TANAKA TAKASHI (JP)
NISHIKAWA MOTOHIRO (JP)
TANAKA TAKASHI (JP)
JP2005163148A | 2005-06-23 | |||
JP2004300550A | 2004-10-28 | |||
JP2005325398A | 2005-11-24 | |||
JP2001329337A | 2001-11-27 | |||
JP2006169637A | 2006-06-29 | |||
JP2007217761A | 2007-08-30 |
質量%で、 C:0.10~0.35%、 Si:0.40~1.50%、 Mn:0.10~1.50%、 P:0.030%以下、 S:0.030%以下、 Cr:0.50~3.00%、 Ti:0.02~0.20%、 Al:0.005~0.050%、 B:0.0010~0.0050%、 N:0.0100%以下、 Ni:0~3.00%、 Mo:0~1.00%、 Nb:0~0.20%、 V:0~0.20%、ならびに 残部Feおよび不可避不純物 からなり、Ti>3.4N、7Si+3Cr+Mn≧7.0を満足し、 ガス浸炭時の浸炭異常層深さが10μm以下である、面圧疲労強度、衝撃強度及び曲げ疲労強度に優れたはだ焼鋼。 |
Ni:3.00%以下、Mo:1.00%以下の1種または2種を含有する、請求項1に記載のはだ焼鋼。 |
Nb:0.02~0.20%、V:0.02~0.20%の1種または2種を含有する、請求項1に記載のはだ焼鋼。 |
Nb:0.02~0.20%、V:0.02~0.20%の1種または2種を含有する、請求項2に記載のはだ焼鋼。 |
本発明は、低コストのガス浸炭焼入れ焼 しを施すことにより、動力を伝達する歯車 主要必要特性である、面圧疲労強度、衝撃 度及び曲げ疲労強度を向上させたはだ焼鋼 関する。
自動車の動力伝達用の歯車は、主として 歯面の面圧疲労強度と、歯元の衝撃強度及 曲げ疲労強度とが要求される。このため、 動車の動力伝達用の歯車には、JIS鋼のSCr420 SCM420などのはだ焼鋼に浸炭焼入れ焼戻しを い使用される場合が多い。しかし、近年地 温暖化防止気運が高まり、自動車の二酸化 素排出量削減のための燃費向上ニーズが高 っている。そのため、歯車の小型軽量化ニ ズが高まっており、上記JIS鋼では十分な強 が得られなくなってきている。
従来、歯車用のはだ焼鋼において、面圧 労強度、衝撃強度及び曲げ疲労強度を同時 向上させようとした場合は、一般的なJIS SC r420やSCM420に対し、Si量を低減し、浸炭異常層 深さを抑制し、Cr、Moなどの合金元素を増量 加し、焼戻し軟化抵抗特性を向上させる技 が提案されている(例えば、特開2000-297347号 報参照)。しかし、この技術はSiを低減した とにより、焼戻し軟化抵抗特性はそれほど くなく、面圧強度は十分とは言えない。
一方、従来のJISはだ焼鋼に対し、Siを増 し、焼戻し軟化抵抗特性を向上させ、かつ 炭異常層深さを低減し、衝撃強度や曲げ疲 強度を低下させることなく、面圧強度を向 させた歯車用はだ焼鋼が提案されている(特 平7-258793号公報)。しかし、この技術はSi量 浸炭異常層深さに影響を及ぼすことは述べ れているが、その他の元素が浸炭異常層深 や形態にどの様な影響を及ぼすかは述べら ておらず、その他の元素の影響は不明であ 。
上述の特開平7-258793号公報に示されてい ように、Siを増量していくと浸炭異常層深さ はある値で最も深くなり、それ以上の添加で 逆に浅くなることが示されている。しかし、 本発明者らは、今般、Si以外のCr、Mnにも同様 の効果があり、7Si+3Cr+Mn≧7.0を満たせば、浸 異常層の深さが10μm以下にまで浅くなること を知見した。そして、そのようなはだ焼鋼に よれば、浸炭歯車の面圧疲労強度、衝撃強度 及び曲げ疲労強度の全ての特性を向上させ、 低コストのガス浸炭で浸炭部品の強度を向上 させることができるとの知見を得た。
したがって、本発明の目的は、浸炭歯車 面圧疲労強度、衝撃強度及び曲げ疲労強度 全ての特性を向上させ、低コストのガス浸 で浸炭部品の強度を向上させるはだ焼鋼を 供することにある。
本発明によれば、質量%で、
C:0.10~0.35%、
Si:0.40~1.50%、
Mn:0.10~1.50%、
P:0.030%以下、
S:0.030%以下、
Cr:0.50~3.00%、
Ti:0.02~0.20%、
Al:0.005~0.050%、
B:0.0010~0.0050%、
N:0.0100%以下、
Ni:0~3.00%、
Mo:0~1.00%、
Nb:0~0.20%、
V:0~0.20%、ならびに
残部Feおよび不可避不純物
からなり、Ti>3.4N、7Si+3Cr+Mn≧7.0を満足し、
ガス浸炭時の浸炭異常層深さが10μm以下で
る、面圧疲労強度、衝撃強度及び曲げ疲労
度に優れたはだ焼鋼が提供される。
本発明の好ましい態様によれば、上記は 焼き鋼は、Ni:3.00%以下、Mo:1.00%以下の1種ま は2種を含有する。
本発明の好ましい態様によれば、上記は 焼き鋼は、Nb:0.02~0.20%、V:0.02~0.20%の1種また 2種を含有する。
上記の手段における鋼成分の限定理由を 下に説明する。なお、以下において、%は質 量%を示す。
Cは、強度を付与するために必要な元素で あるが、0.10%未満であると、浸炭焼入後の芯 強度が確保できず低く、0.35%超えると靱性 低下するとともに素材の硬度が上昇して加 性が劣化する。そこで、C含有量は0.10~0.35%と し、好ましくは0.15~0.25%とする。
Siは、本発明において重要な元素であり 鋼の脱酸に有効な元素であるとともに、鋼 必要な強度及び焼入性を付与し、焼戻し軟 抵抗特性を向上し、一定量以上の添加で浸 異常層深さを小さくするために有効な元素 あるが、0.40%未満では、焼戻し軟化抵抗特性 が低く、ガス浸炭時の浸炭異常層深さが大き くなる。一方、1.50%を超えると素材硬度が上 し、加工性が劣化する。そこで、Si含有量 0.40~1.50%とし、好ましくは0.50~1.00%とし、さら に好ましくは0.50~0.80%とする。
Mnは、鋼の焼入性を向上させる元素であ が、0.10%未満では脱酸が不十分であり、1.50% 超えると、加工性を低下する。そこで、Mn 有量は0.10~1.50%、好ましくは0.10~1.00%とし、さ らに好ましくは0.20~0.80%とする。
Pは、粒界に偏析して靱性及び疲労強度を 低下させ、その結果、衝撃強度及び曲げ疲労 強度を低下させる元素である。そこで、P含 量は0.030%以下とする。
Sは、鋼中にMnSとして存在し素材の被削性 を向上させる元素であるが、0.030%を超えると 、粒界偏析により粒界脆化を招き、冷間加工 性及び靱性を劣化する。そこで、S含有量は0. 030%以下とし、好ましくは0.020%以下%とする。
Crは、鋼の焼入性及び靱性の向上に必要 元素である。少な過ぎると焼戻し軟化抵抗 性が低くなるので、下限値を0.50%とし、好ま しくは1.50%する。しかし、多すぎると加工性 低下させ、かつ浸炭性を低下するので、Cr 有量は、3.00%以下とし、好ましくは2.20%以下 する。
Niは、鋼の焼入性及び靱性の向上に有効 任意元素である。3.00%を超えると素材の硬度 が上昇しすぎて加工性を低下させ、かつ、鋼 材コストを上昇する。そこで、本発明の好ま しい態様によれば、Ni含有量は3.00%以下とす 。
Moは、鋼の焼入性及び靱性の向上に有効 任意元素である。しかし、多すぎると加工 を低下し、かつ鋼材コストが上昇する。そ で、本発明の好ましい態様によれば、Mo含有 量は1.00%以下とする。
Alは、鋼の脱酸作用を有すると同時に、 素と結合してAlNを生成し、結晶粒の粗大化 抑制する効果を有するが、少なすぎると脱 効果が不十分であり、多くなり過ぎると酸 物が増加して疲労強度を低下し、さらに加 性を低下する。そこで、Al含有量は0.005~0.050% 、好ましくは0.010~0.040%とする。
Tiは、TiCとして鋼中に微細に析出し、鋼 分散強化し、疲労き裂の生成、伝播を抑制 る元素であるが、0.02%以下ではその効果は小 さく、0.20%を超えると加工性を低下する。そ で、Ti含有量は0.02~0.20%とする。
Bは、極微量の添加によって鋼の焼入れ性 を著しく向上させる元素であり、かつ粒界に 偏析し粒界破壊を抑制することにより浸炭焼 入れ焼戻し後の疲労強度や衝撃強度を向上さ せるが、0.0010%未満ではその効果が十分でな 、0.005%を超えると逆に強度を低下させる。 こで、B含有量は0.0010~0.0050%とする。
Nbは、結晶粒の粗大化を防止する効果を する任意元素であるが、0.02%未満ではその効 果は小さく、0.20%を超えるとその効果は飽和 る傾向があり、かつ浸炭性を阻害する。そ で、本発明の好ましい態様によれば、Nb含 量は0.02~0.20%、望ましくは0.03~0.10%とする。
Vは、結晶粒の粗大化を防止する効果を有 する任意元素であるが、0.02%未満ではその効 は小さく、0.20%を超えるとその効果は飽和 る傾向があり、かつ加工性を低下する。そ で、本発明の好ましい態様によれば、V含有 は0.02~0.20%、望ましくは0.05~0.10%とする。
Bは、鋼中に固溶することによって上記効 果を発揮するが、B添加時にfree-Nが存在する 、BNを生成してしまい上記効果を発揮できな くなるため、B添加前にTiを添加し、鋼中のfre e-NをTiNの形で固定する必要がある。Nが多す るとTiN量が多くなり、疲労強度、衝撃強度 加工性を低下するので、N含有量は0.010%(100ppm )以下とする。N含有量の下限値は限定されな が、0.001%(10ppm)が典型的である。また、全て のfree-NをTiNの形で固定するためには3.4N<Ti 満たさなければならない。
本発明により、浸炭部品の焼戻し軟化抵 特性を向上させるとともに、ガス浸炭によ 浸炭異常層を浅く、全体に均一にさせるこ で面圧強度、衝撃強度及び曲げ疲労強度の ての特性が向上した。また上記浸炭異常層 より製品歯車の歯接触面のなじみ性が向上 面圧強度を更に向上させるはだ焼鋼を提供 ることができた。
以下、本発明を実施例によって具体的に 明する。
表1に示す比較例及び本発明の実施例の化 学成分の鋼を100kg真空溶解炉で溶製し、イン ットに鋳造して鋳片とした。この鋳片を1250 ℃に加熱して5時間保持して溶体化処理した 、棒鋼に鍛伸した。このとき、シャルピー 撃試験片は角40(40mm×40mm角棒)に、回転曲げ疲 労試験片はφ20(径20mm丸棒)に、ローラーピッ ング試験片はφ32(径32mm丸棒)にそれぞれ鍛伸 た。
次いで、この棒鋼を900℃に加熱し、1時間 保持後空冷して焼きならしを行った後、図1 示す形状の2mm10RCノッチを有するシャルピー 撃試験片と、図2に示す形状の2mmVノッチを する回転曲げ疲労試験片と図3に示す形状の ーラーピッチング試験片を作製し、それぞ 図4に示す浸炭焼入・焼戻し条件によりガス 浸炭による浸炭焼入・焼戻しを行った。
この場合、ガス浸炭処理は、機械加工後の 部材を800~1000℃に加熱し、加熱炉中でCO又は CH 4 を含有する浸炭ガス雰囲気中に1~5時間保持し 、鋼部材の表面から1mm程度の深さまで炭素を 拡散浸透させた。浸炭が終了した鋼部材は水 中、または油中で焼入れし、さらに150~200℃ 焼戻した。
次いで、シャルピー衝撃試験、回転曲げ疲 試験、およびローラーピッチング試験を実 した。その結果、実施例および比較例の各 について、表2に示される通りの浸炭異常層 深さ、衝撃値、回転曲げ疲労強度並びにロー ラーピッチング寿命が得られた。回転曲げ疲 労強度は10 7 サイクル強度で評価をおこなった。また、表 2において、衝撃値、回転曲げ疲労強度およ ローラーピッチング寿命は、比較例1の強度 1.0とした際の強度比で示した。
表2から分かるように、本発明の実施例の 各鋼は、成分のSi量、Cr量およびMn量を7Si+3Cr+M n≧7.0を満足する範囲のものとしたことで、 炭異常層の深さが10μm以下と浅くなり、密な 異常層を生成することができ、衝撃強度およ び曲げ疲労強度を向上させ、ローラーピッチ ング寿命も大幅に向上できた。