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Patent Searching and Data


Title:
CATALYST FOR FISCHER-TROPSCH SYNTHESIS, AND PROCESS FOR PRODUCTION OF HYDROCARBON
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/157260
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed are: a catalyst for FT synthesis, which has a high CO conversion rate, can reduce the production of a gaseous component, enables a stable FT synthesis reaction, and can improve the productivity of a hydrocarbon in FT method; and a process for producing a hydrocarbon by using the catalyst. Specifically disclosed are: a catalyst for Fischer-Tropsch synthesis, which comprises a carrier mainly composed of manganese carbonate and at least one metal having an activity on a Fischer-Tropsch reaction and supported on the carrier; and a process for producing a hydrocarbon by using the catalyst.

Inventors:
SATO KAZUHITO
NAKASHIZU SHIGENORI
Application Number:
PCT/JP2009/059076
Publication Date:
December 30, 2009
Filing Date:
May 15, 2009
Export Citation:
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Assignee:
COSMO OIL CO LTD (JP)
SATO KAZUHITO
NAKASHIZU SHIGENORI
International Classes:
B01J27/232; C10G2/00
Foreign References:
JP2004196874A2004-07-15
JP2002161279A2002-06-04
JPS60146835A1985-08-02
JP2005530881A2005-10-13
JPS61200856A1986-09-05
JPH03502067A1991-05-16
US5733839A1998-03-31
US5545674A1996-08-13
EP0167215A21986-01-08
JPH0370691B21991-11-08
JPH0370692B21991-11-08
JP2008164458A2008-07-17
JP2009070113A2009-04-02
Other References:
"Cl Chemistry", April 1984, CATALYST SOCIETY OF JAPAN, KODANSHA LTD., pages: 25
See also references of EP 2301663A4
Attorney, Agent or Firm:
OGURI Shohei et al. (JP)
Shohei Oguri (JP)
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Claims:
 炭酸マンガンを主成分とする担体に、フィッシャー・トロプシュ反応に活性を有する金属の少なくとも1種以上を含有させてなることを特徴とするフィッシャー・トロプシュ合成用触媒。
 前記フィッシャー・トロプシュ反応に対する活性を有する金属が、ルテニウム及びコバルトから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のフィッシャー・トロプシュ合成用触媒。
 前記ルテニウムの含有量が触媒基準、金属換算で0.5~5質量%であることを特徴とする請求項2に記載のフィッシャー・トロプシュ合成用触媒。
 前記コバルトの含有量が触媒基準、金属換算で5~40質量%であることを特徴とする請求項2に記載のフィッシャー・トロプシュ合成用触媒。
 さらに、アルカリ金属の少なくとも1種以上を含有させてなることを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載のフィッシャー・トロプシュ合成用触媒。
 前記アルカリ金属の含有量が、触媒基準、金属換算で0.05~3質量%であることを特徴とする請求項5に記載のフィッシャー・トロプシュ合成用触媒。
 前記アルカリ金属が、ナトリウム及びカリウムから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項6に記載のフィッシャー・トロプシュ合成用触媒。
 請求項1~7のいずれかに記載のフィッシャー・トロプシュ合成用触媒に、水素及び一酸化炭素を主成分とするガスを接触させることを特徴とする炭化水素類の製造方法。
Description:
フィッシャー・トロプシュ合成 触媒及び炭化水素類の製造方法

 本発明は、水素と一酸化炭素を主成分と る混合ガス(以下「合成ガス」という)から 化水素類を製造するための、フィッシャー トロプシュ合成用触媒、及び該触媒を用い 炭化水素類の製造方法に関する。さらに詳 くは、主として炭酸マンガンからなる担体 、フィッシャー・トロプシュ反応に対する 性を有する金属(以下「FT活性金属」という) 含有させてなる触媒、及び該触媒に合成ガ を接触させ、ナフサ、灯油、軽油、ワック といった炭化水素類を製造する方法に関す 。

 合成ガスから炭化水素類を合成する方法と て、フィッシャー・トロプシュ反応(Fischer-T ropsch反応)、メタノール合成反応、C 2 含酸素(エタノール、アセトアルデヒド等)合 反応などが良く知られている。そして、フ ッシャー・トロプシュ反応は鉄、コバルト ニッケルの鉄族元素やルテニウム等の白金 元素を活性金属とする触媒で、メタノール 成反応は銅系触媒で、C 2 含酸素合成反応はロジウム系触媒で進行する ことが知られている(例えば、非特許文献1参 )。

 ところで、近年、大気環境保全の観点か 、低硫黄分の軽油が望まれており、今後そ 傾向はますます強くなるものと考えられる また、原油資源は有限であるとの観点やエ ルギーセキュリティーの面から、石油代替 料の開発が望まれており、今後ますます強 望まれるようになるものと考えられる。こ らの要望に応える技術として、エネルギー 算で原油に匹敵する可採埋蔵量があるとい れる天然ガス(主成分メタン)から灯軽油等 液体燃料を合成する技術であるGTL(gas to liqu ids)がある。

 天然ガスは、硫黄分を含まないか、含んで ても脱硫が容易な硫化水素(H 2 S)等であるため、得られる灯軽油等の液体燃 には、その中に殆ど硫黄分が無く、またセ ン価の高い高性能ディーゼル燃料に利用で るなどの利点があるため、このGTLは近年ま ます注目されるようになってきている。

 上記GTLの一環として、合成ガスからフィ シャー・トロプシュ反応(以下「FT反応」と う)によって炭化水素類を製造する方法(以 「FT法」という)が盛んに研究されている。 のFT法において炭化水素類の収率を高めるた めには、炭化水素類の製造能力、すなわち活 性が高く、ガス成分の生成が少なく、長時間 安定した活性を示すといった優れた性能を有 する触媒を用いることが有効と考えられる。

 そして、従来から、種々のFT反応用の触 が提案されており、例えば、コバルトや鉄 いったFT活性金属種をアルミナや、シリカ、 シリカ-アルミナ、チタニアなどの金属酸化 担体に担持した触媒が提案されている(例え 、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。 また、オレフィン類への高選択性を目的とし た触媒として、マンガン酸化物担体にルテニ ウムを担持させた触媒、このルテニウム担持 触媒にさらに第三成分を加えた触媒などのル テニウム系触媒が提案されている(例えば、 許文献4、特許文献5参照)。

 これらの従来提案されている触媒は、そ を用いたFT法において、相応に優れたオレ ィン類の選択性や、相応の触媒活性を示す 、更なる触媒活性の向上が望まれる。一般 、触媒の活性が高いほど、触媒重量当たり 目的物の生産性が高く、同じ量の目的物を るための触媒使用重量は少なくて済み、そ に伴い反応器を小型化できるなど、触媒費 や装置費用の軽減が期待できる。また、FT反 応用の触媒には、生成物中のメタン等のガス 成分の生成が少なく、灯油や軽油といった有 用な液状の炭化水素類の得率が高いことが望 まれる。

米国特許第5733839号明細書

米国特許第5545674号明細書

欧州特許第0167215号明細書

日本国特公平3-70691号公報

日本国特公平3-70692号公報

「C1ケミストリー」、触媒学会編、講談 、1984年4月1日、第25頁

 本発明は、上記従来の状況に鑑み、FT法 おいて、CO転化率が高く、ガス成分の生成が 少なく、かつ安定してFT合成反応を行うこと でき、炭化水素類の生産性を向上させるこ ができるFT合成用触媒、及びその触媒を用 る炭化水素類の製造方法を提供することを 的とする。

 本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭 研究をしたところ、FT活性金属を、炭酸マ ガンを主成分とする担体に含有させた触媒 、従来提案されている金属酸化物系の担体 用いる触媒に比較して、活性が大幅に高く かつ、ガス成分の生成が少ないことを見出 、本発明を完成するに至った。

 本発明の触媒の活性向上やガスの生成の 下の詳細なメカニズムについては解明され おらず、現在、鋭意検討中ではあるが、FT 応に対しては不活性である担体主成分の炭 マンガンやアルカリ金属が何らかの形でFT活 性金属種に作用し、活性を向上させるととも に、ガスの生成を抑制する作用を有するもの と推察している。

 すなわち、本発明は、上記目的を達成する めに、下記構成のFT合成用触媒、及びその 媒を用いる炭化水素類の製造方法を提供す 。
 1.炭酸マンガンを主成分とする担体に、フ ッシャー・トロプシュ反応に活性を有する 属の少なくとも1種以上を含有させてなるこ を特徴とするフィッシャー・トロプシュ合 用触媒。
 2.前記フィッシャー・トロプシュ反応に対 る活性を有する金属が、ルテニウム及びコ ルトから選ばれた少なくとも1種であること 特徴とする上記1に記載のフィッシャー・ト ロプシュ合成用触媒。
 3.前記ルテニウムの含有量が触媒基準、金 換算で0.5~5質量%であることを特徴とする上 2に記載のフィッシャー・トロプシュ合成用 媒。
 4.前記コバルトの含有量が触媒基準、金属 算で5~40質量%であることを特徴とする上記2 記載のフィッシャー・トロプシュ合成用触 。
 5.さらに、アルカリ金属の少なくとも1種以 を含有させることを特徴とする上記1~4のい れかに記載のフィッシャー・トロプシュ合 用触媒。
 6.前記アルカリ金属の含有量が、触媒基準 金属換算で0.05~3質量%であることを特徴とす 上記5に記載のフィッシャー・トロプシュ合 成用触媒。
 7.前記アルカリ金属が、ナトリウム及びカ ウムから選ばれた少なくとも1種であること 特徴とする上記6に記載のフィッシャー・ト ロプシュ合成用触媒。
 8.上記1~7のいずれかに記載のフィッシャー トロプシュ合成用触媒に、水素及び一酸化 素を主成分とするガスを接触させることを 徴とする炭化水素類の製造方法。

 本発明の炭酸マンガンを担体とし、FT活性 属を含有する触媒は、従来のアルミナやシ カを担体とする触媒に比較してCO転化率が高 く、また、ガス成分であるCH 4 などの生成割合を低下させることができる。 更に、アルカリ金属を含有させることで、よ りCO転化率を高くすることができ、ガス成分 生成割合を低下させることができる。
 また、本発明によれば、触媒の活性が高く 炭化水素類の生産性が高い触媒が提供され 触媒コストや反応器のサイズダウン等の効 が見込まれる。

 以下に本発明を詳細に説明する。
 本発明のフィッシャー・トロプシュ合成用 媒(以下「本発明の触媒」とも言う。)は、 酸マンガンを主成分とする担体(以下「炭酸 ンガン担体」とも言う。)に、FT活性金属種 含有させてなるものであって、必要に応じ アルカリ金属を含有させるものである。以 、本発明の触媒、及び当該触媒の調製から れを用いた炭化水素類の製造方法までを順 詳しく説明する。

<触媒及びその調製>
 本発明の触媒における炭酸マンガン担体の 成分である炭酸マンガンとしては、工業的 生産販売されているものを用いることもで るし、また、従来公知の方法で製造するこ もできる。炭酸マンガンを公知方法で得る 合、可溶性マンガン塩溶液と炭酸アンモニ あるいはアルカリの炭酸塩(たとえば炭酸ナ トリウム)を反応させることで得られる。ま 、二価のマンガンイオンと炭酸イオンある は重炭酸イオンとの反応によっても得るこ ができる。また、炭酸マンガン担体は、炭 マンガンのみからなるものでも、本発明に ける所期の炭酸マンガンの効果を阻害しな 限りにおいて、炭酸マンガン以外の他の成 を含んでいても良い。この他の成分として 、シリカ、アルミナ、シリカ-アルミナなど 通常担体として用いられる無機酸化物が挙 られる。また、この他の成分の含有量は、 発明における所期の炭酸マンガンの効果を 害しない限りにおいて適宜設定できるが、 般に、担体基準で5~50質量%が適当である。

 本発明の触媒におけるFT活性金属種とし は、ニッケル、コバルト、鉄、ルテニウム 挙げられるが、中でも高活性な金属種とし ルテニウムやコバルトが好ましく選択され 。また、これらの金属種は単独で用いるこ もできるし、2種以上を複合させて用いるこ も可能である。

 本発明の触媒を調製するための、炭酸マ ガン担体にFT活性金属種を含有させる方法 一つに、FT活性金属種を炭酸マンガン担体に 含浸担持させる方法がある。以下、この含浸 担持について、説明する。この含浸担持は、 通常の含浸担持方法で行うことができる。

 例えば、炭酸マンガン担体にルテニウム やコバルト塩の水溶液を含浸させ、その後 乾燥、焼成することによって行うことがで る。このとき、FT活性金属種として2種以上 金属を担持させる場合、例えばルテニウム とコバルト塩の両方を含む水溶液を調製し ルテニウム塩とコバルト塩を同時に含浸さ 、その後、乾燥、焼成することもできるし 各々を別途に順次含浸させ、その後、乾燥 焼成しても良い。炭酸マンガン担体へのFT 性金属種の含浸担持方法は、特に限定され い。

 上記含浸担持に用いるルテニウム塩として 、塩化ルテニウム、硝酸ルテニウム、酢酸 テニウム、塩化六アンモニアルテニウムな の水溶性ルテニウム塩が挙げられる。また コバルト塩としては、塩化コバルト、硝酸 バルト、酢酸コバルト、硫酸コバルト、ギ コバルトが好ましく用いられる。
 また、ナトリウム塩やカリウム塩としては 塩化物、硝酸塩、酢酸塩、炭酸塩などの水 性の塩が好ましい。
 さらに、含浸担持に用いるルテニウム塩、 バルト塩、ナトリウム塩、カリウム塩の溶 の溶媒に、水ではなく、アルコール、エー ル、ケトンなどの有機溶媒を用いることも 能であり、この場合は、これらの塩として 種有機溶媒に可溶な塩を選択する。

 本発明の触媒におけるルテニウムの含有 は、触媒基準、金属量換算で好ましくは0.5~ 5質量%、より好ましくは0.8~4.5質量%、特に好 しくは1~4質量%である。ルテニウムの担持量 活性点数と関連する。ルテニウムの担持量 0.5質量%以上とすることにより、活性点数が 保たれ十分な触媒活性を得ることができる。 また、ルテニウムの担持量を5質量%以下とす ことにより、ルテニウムの分散性の低下や 担体成分と相互作用を持たないルテニウム が発現するのを抑制できる。

 また、コバルトの含有量は、触媒基準、 属量換算で好ましくは5~40質量%、より好ま くは5~35質量%、特に好ましくは5~30質量%であ 。コバルトの含有量を5質量%以上とするこ により、活性金属としての顕著な活性向上 効果が認められる。また、40質量%以下とす ことにより、触媒調製の際の乾燥工程、焼 処理工程や、FT反応に供した際の反応条件下 において、コバルトの凝集を抑制することが でき、また、触媒の比表面積や細孔容積の低 下を抑制することができ、さらにまた、FT反 における生成物中のガス生成量を抑制する とができる。

 本発明の触媒は、アルカリ金属を含有さ る場合もある。本発明の触媒におけるアル リ金属種としては、リチウム、ナトリウム カリウム、ルビジウムなどが挙げられるが 中でもナトリウムやカリウムが好ましく選 される。これらのアルカリ金属種は単独で いることもできるし、2種以上を複合させて 用いることも可能である。

 炭酸マンガン担体にアルカリ金属種を担 する場合は、例えば、炭酸マンガン担体に トリウム塩やカリウム塩の水溶液を含浸さ 、その後、乾燥、焼成することによって行 ことができる。アルカリ金属種として2種以 上の金属を担持させる場合、例えばナトリウ ム塩とカリウム塩の両方を含む水溶液を調製 し、ナトリウム塩とカリウム塩を同時に含浸 させ、その後、乾燥、焼成することもできる し、各々を別途に順次含浸させ、その後、乾 燥、焼成しても良い。

 本発明の触媒におけるナトリウムやカリ ムなどのアルカリ金属の含有量は、触媒基 、金属量換算で好ましくは0.05~3質量%、より 好ましくは0.05~2質量%、特に好ましくは0.1~1.5 量%である。ナトリウムやカリウムの含有量 を0.05質量%以上とすることにより、ガス成分 生成量を抑制する効果が顕著となる。また 3質量%以下とすることにより、FT活性を低下 させることなくガス生成量を抑制することが 可能となる。

 FT活性金属種とアルカリ金属種の両方を 酸マンガン担体に担持させる場合、FT活性金 属種とアルカリ金属種の担持の順序に関して は特に限定されない。

 FT活性金属種やアルカリ金属種を炭酸マ ガン担体に含浸した後は、乾燥、焼成を行 。このときの乾燥は、原則、水を蒸散させ ために行い、その温度は80~200℃が好ましく 100~150℃がより好ましい。乾燥温度を80℃以 とすることで、水の蒸散を十分に促進する とが可能であり、200℃以下であれば急激な の蒸散による活性金属成分の不均一化を抑 することができるため好ましい。

 また、焼成温度は150~300℃が好ましく、150 ~250℃がより好ましい。焼成温度を300℃以内 することにより、担体成分の炭酸マンガン マンガン酸化物と炭酸ガスに分解すること 抑制することができる。本発明においては 担体成分の炭酸マンガンは、炭酸塩の形態 存在することが必須であり、後記比較例に 体的に示すように、酸化マンガンでは本発 の所期の効果は得られない。また、FT活性金 属種やアルカリ金属種の活性化を図るために は相応の温度が必要であるので、焼成温度は 上記範囲が好ましい。

 また、乾燥や焼成の処理時間は、処理量 よって一概には決まらないが、通常1~10時間 である。処理時間を1時間以上とすることに り、水分の蒸散を確実に行い、FT活性金属種 やアルカリ金属種の活性化が希薄となること を抑制できる。また、処理時間が10時間を超 ても、触媒活性は、10時間以下の場合とほ んど変わらないため、作業性や生産性を考 すると10時間以下が好ましい。なお、この乾 燥や焼成処理は空気中で行うことも、あるい は窒素やヘリウムといった不活性ガス雰囲気 でも、水素などの還元ガス雰囲気でもよく、 特に限定はされない。

 上述の焼成工程は、FT活性金属種やアル リ金属種の活性化を図る目的があるが、焼 処理以外にアルカリ性水溶液処理によって 性化を達成することも可能である。炭酸マ ガン担体にFT活性金属種やアルカリ金属種を 担持した触媒をアルカリ性水溶液に浸漬して 後処理する。アルカリ性水溶液としては、ア ンモニア水、水酸化ナトリウム水溶液、水酸 化カリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、 炭酸カリウム水溶液などを用いることができ 、好ましくはアンモニア水を用いることがで きる。アルカリ水溶液中のアルカリの濃度は 0.05~1N、好ましくは0.05~0.5N、より好ましくは0. 05~0.2Nである。0.05N未満では後処理効果が希薄 となり、その後の焼成処理を行っても触媒活 性の向上があまり見られない。また、1Nを超 ると未反応のアルカリ分が多くなり、不経 となるほか、洗浄工程に要する水量や時間 多くなる。後処理の時間はアルカリ分の濃 にも依るが、通常1~10時間が好ましい。

 アルカリ性水溶液で後処理した後、水洗 、余剰のアルカリ分を充分に洗浄し上述の 燥、焼成を行う。なお、このアルカリ性水 液による処理は、炭酸マンガン担体にFT活 金属種やアルカリ金属種を含浸担持して、 燥後に行うかあるいは焼成後に行ってもよ 、特に限定しない。さらに、後述するスプ ードライを行った触媒や成型した触媒につ て実施することもできる。

 上述の含浸担持法以外の、本発明の炭酸 ンガン担体にFT活性金属種やアルカリ金属 を含有させてなる触媒の製造方法としては 炭酸マンガンとFT活性金属種やアルカリ金属 種を含む水系のスラリーを調製し、それをス プレードライする方法が挙げられる。このス プレードライ法におけるスラリーの濃度は特 に限定はされないが、スラリー濃度が低すぎ ると炭酸マンガンの沈殿が発生し、触媒成分 が不均一となり好ましくなく、また、スラリ ー濃度が高すぎるとスラリーの送液が困難と なるため、適度なスラリー濃度を選択する。 さらにこのとき、スラリーの濃度調整や触媒 の成形性の向上、球状化を目的にシリカゾル やアルミナ等をバインダー成分として添加す ることも可能である。このときのバインダー の添加量としては、触媒活性を低下させない 程度が好ましく、好ましくは1~40質量%、より ましくは3~30質量%、さらに好ましくは5~20質 %である。バインダー量を1質量%以上とする とで、触媒の成型性や強度面での効果が顕 となる。また、バインダー量を40質量%以下 することで、炭酸マンガン含有量の低下に るFT活性の低下を抑制することが可能とな 好ましい。

 また、スプレードライ法で触媒を製造す 場合、スラリー中に炭酸マンガン、FT活性 属種、アルカリ金属種、バインダー成分を 時に含有させて、スプレーする方法や、炭 マンガンとバインダーを含むスラリーをス レーし、その後、上述の含浸担持方法に則 て、FT活性金属種やアルカリ金属種を添加す る方法がある。また、スプレードライ法にお ける送風温度は上述の含浸担持法における乾 燥及び焼成温度内で実施することが好ましい 。

 上述のスプレードライ法で得られる触媒 一般的に粒子径が約1~150μmの微粉末状であ 、後述する本発明である炭化水素の製造方 における反応器の形式としては流動床、懸 床、スラリー床に適している。しかし、固 床反応機に用いる場合は、微粉末状では差 の発生が懸念されるため、触媒の形状とし は一般に押し出し成型品、打錠成型品等が ましく用いられる。これらは、一般的な押 出し製法や打錠製法で成型することが可能 あり、炭酸マンガン担体、あるいは炭酸マ ガン担体にFT活性金属やアルカリ金属を含有 させた触媒を押し出し成型機や打錠成型機を 用いて成型することができる。この時、担体 や触媒の成型性、結合性、強度を向上させる 目的でバインダーを添加することができる。 バインダーとしては無機バインダーや有機バ インダーが一般的であり、無機バインダーと してはシリカ、アルミナ、チタニア等が好ま しく、有機バインダーとしてはカルボキシメ チルセルロースナトリウムやメチルセルロー ス等が挙げられる。

 バインダーの添加量としては、触媒活性 低下させない程度が好ましく、好ましくは1 ~40質量%、より好ましくは3~30質量%である。バ インダー量を1質量%以上とすることで、触媒 成型性、結合性、押し出し性や強度が良好 なる。また、バインダー量を40質量%以下に ることで、炭酸マンガン含有量の低下によ FT活性の低下を抑制することが可能となり ましい。

 なお、炭酸マンガン担体あるいはバイン ーを含む炭酸マンガン担体の成型品に対し は、上述の含浸法等でFT活性金属やアルカ 金属を含有させて触媒とする。

 さらに他の、本発明の炭酸マンガン担体 FT活性金属やアルカリ金属を含有させた触 の製造方法としては、炭酸マンガン担体あ いはスプレードライによって調製された炭 マンガンとバインダーを含む担体を、FT活性 金属種の水溶液に浸漬し担体上へ活性金属を 吸着させる方法(平衡吸着法)や、担体をFT活 金属種やアルカリ金属種の水溶液に浸漬さ た後、アンモニア水等のアルカリ性の沈殿 溶液を加えて担体上にFT活性金属やアルカリ 金属を沈殿させる方法(沈着法)等がある。

<炭化水素類の製造方法>
 本発明の炭化水素類の製造方法は、上記の くして調製された本発明の触媒をFT反応に して、すなわち該触媒に水素及び一酸化炭 を主成分とする合成ガスを接触させて行わ る。本発明の炭化水素類の製造方法におい は、FT反応の反応器の形式に関しては、固定 床、流動床、懸濁床、スラリー床などが挙げ られ、特に限定はしないが、その一例として 、以下に、スラリー床による本発明の炭化水 素類の製造方法を説明する。

 スラリー床にて本発明の炭化水素類の製 方法を行う場合は、触媒の形状としては、 状が好ましく、また、触媒粒子分布として ましい範囲は1μm以上150μm以下、さらに好ま しくは5μm以上120μm以下、最も好ましくは10μm 以上110μm以下である。スラリー床反応形式の 場合は、液状の炭化水素中などに触媒を分散 させて使用するため、触媒粒子径を1μm以上 することにより、粒子が細かすぎることに る下流側への触媒粒子の流出を抑制し、反 容器内の触媒濃度の低下を抑制し、下流側 器が触媒微粒子によって障害を受けるなど 抑制することができる。また、触媒粒子径 150μm以内とすることにより、反応容器内全 に触媒粒子が分散せずに、スラリーが不均 となることによる反応活性の低下を抑制す ことができる。また、触媒形状が凹凸がな 球状であることは、スラリー床の反応形式 おいて、触媒同士の接触や触媒と反応器内 等との接触による触媒の割れや粉化による 粉の発生が低減されるため好ましい。

 本発明の炭化水素類の製造方法において 、上記の如くして調製された本発明の触媒 、FT反応に供する前に予め還元処理(活性化 理)される。この還元処理により、触媒がFT 応において所望の触媒活性を示すように活 化される。この還元処理を行わなかった場 には、FT活性金属種が十分に還元されず、FT 反応において所望の触媒活性を示さない。

 この還元処理は、触媒を液状炭化水素類 分散させたスラリー状態で還元性ガスと接 させる方法でも、炭化水素類を用いず単に 媒に還元性ガスを通気、接触させる方法で 好ましく行うことができる。前者の方法に ける触媒を分散させる液状炭化水素類とし は、処理条件下において液状のものであれ 、オレフィン類、アルカン類、脂環式炭化 素類、芳香族炭化水素類を始めとする種々 炭化水素類を使用できる。また、含酸素、 窒素等のヘテロ元素を含む炭化水素であっ も良い。これらの炭化水素類の炭素数は、 理条件下において液状のものであれば特に 限する必要はないが、一般にC6~C40のものが ましく、C9~C40のものがより好ましく、C9~C35 ものが最も好ましい。C6の炭化水素類より 質なものであれば、溶媒の蒸気圧が高くな 過ぎず、処理条件幅が制限されないため好 しい。また、C40の炭化水素類より軽質なも であれば、還元性ガスの溶解度が低下せず 十分な還元処理ができるため好ましい。

 また、この還元処理に当たり炭化水素類 に分散させる触媒量は、1~50質量%の濃度が 当あり、好ましくは2~40質量%、より好ましく は3~30質量%の濃度である。触媒量が1質量%以 であれば、触媒の還元効率が低下し過ぎる とを防ぐことができる。したがって、触媒 還元効率の低下を防ぐ方法として、還元性 スの通気量を減少させる方法が挙げられる これにより、気(還元性ガス)-液(溶媒)-固(触 )の分散が損なわれることを回避することが できる。また、触媒量が50質量%以下であれば 、炭化水素類に触媒を分散させたスラリーの 粘性が高くなり過ぎず、気泡分散が良好で、 触媒の還元が十分なされるため好ましい。

 また、この還元処理の処理温度は、140~250 ℃が好ましく、150~200℃がより好ましく、160~2 00℃が最も好適である。140℃以上であれば、F T活性金属種およびアルカリ金属種が十分に 元され、十分な反応活性が得られる。また 250℃以下であれば、担体成分の炭酸マンガ の酸化マンガンへの分解が進行して活性低 を招く危険を回避できる。

 この還元処理には、水素を主成分とする 元性ガスが好ましく用いられる。用いる還 性ガスには、水素以外の成分、例えば水蒸 、窒素、希ガスなどを、還元を妨げない範 である程度の量を含んでいても良い。

 また、この還元処理は、上記処理温度と に、水素分圧及び処理時間にも影響される 、水素分圧は、0.1~10MPaが好ましく、0.5~6MPa より好ましく、1~5MPaが最も好ましい。還元 理時間は、触媒量、水素通気量等によって 異なるが、一般に、0.1~72時間が好ましく、1~ 48時間がより好ましく、4~48時間が最も好まし い。処理時間が0.1時間以上であれば、触媒の 活性化が不十分となることを回避できる。ま た、72時間以下であれば、触媒性能の向上に 分である。

 本発明の炭化水素類の製造方法においては 上記の如く還元処理した本発明の触媒がFT 応、すなわち炭化水素類の合成反応に供せ れる。
 本発明の炭化水素類の製造方法におけるFT 応は、触媒を液状炭化水素類中に分散せし た分散状態となし、この分散状態の触媒に 素と一酸化炭素からなる合成ガスを接触さ る。この際、触媒を分散させる炭化水素類 しては、上記の予め行う還元処理で用いら る炭化水素類と同様のものを用いることが きる。すなわち、反応条件下において液状 ものであれば、オレフィン類、アルカン類 脂環式炭化水素類、芳香族炭化水素類を始 とする種々の炭化水素類を使用でき、含酸 、含窒素等のヘテロ元素を含む炭化水素で っても良く、その炭素数は特に制限する必 はないが、一般にC6~C40のものが好ましく、C9 ~C40のものがより好ましく、C9~C35のものが最 好ましい。C6の炭化水素類より重質なもので あれば、溶媒の蒸気圧が高くなり過ぎず、反 応条件幅が制限されないため好ましい。また 、C40の炭化水素類より軽質なものであれば、 原料の合成ガスの溶解度が低下せず、反応活 性の低下を回避することができる。上記の予 め行う還元処理において、触媒を液状炭化水 素類に分散させて行う方法が採用されている 場合は、該還元処理で用いられた液状炭化水 素類をそのままこのFT反応において用いるこ ができる。

 FT反応に当たって炭化水素類中に分散さ る触媒量は、好ましくは1~50質量%の濃度であ り、より好ましくは2~40質量%、最も好ましく 3~30質量%の濃度である。触媒量が1質量%以上 であれば、触媒の活性が不足することを回避 できる。なお、活性が不足するとその活性の 不足を補うために、合成ガスの通気量を減少 させ、その合成ガスの通気量の低下により気 (合成ガス)-液(溶媒)-固(触媒)の分散が損なわ る。また、触媒量が50質量%以下であれば、 化水素類に触媒を分散させたスラリーの粘 が高くなりすぎ、気泡分散が悪くなり、反 活性が十分得られなくなることを回避する とができる。

 FT反応に用いる合成ガスは、水素及び一酸 炭素を主成分としていれば良く、FT反応を妨 げない他の成分が混入されていても差し支え ない。また、FT反応の速度(k)は、水素分圧に 一次で依存するので、水素及び一酸化炭素 分圧比(H 2 /COモル比)が0.6以上であることが望まれる。 の反応は、体積減少を伴う反応であるため 水素及び一酸化炭素の分圧の合計値が高い ど好ましい。水素及び一酸化炭素の分圧比 、その上限は特に制限されないが、現実的 この分圧比の範囲としては0.6~2.7が好ましく より好ましくは0.8~2.5、特に好ましくは1~2.3 ある。この分圧比が0.6以上であれば、生成 る炭化水素類の収量が低下することを防ぐ とができ、また、この分圧比が2.7以下であ ば、生成する炭化水素類においてガス成分 軽質分が増える傾向を抑止することができ 。

 上記合成ガス中に混入していても差し支 ないFT反応を妨げない他の成分としては、 酸化炭素が挙げられる。本発明の炭化水素 の製造方法では、天然ガスや石油製品など 改質反応により得られる二酸化炭素の混入 ている合成ガスも何ら問題なく用いること できる。また、二酸化炭素以外のFT反応を妨 げない他の成分が混入されていても差し支え なく、例えば、天然ガスや石油製品等の水蒸 気改質反応あるいは自己熱改質反応から得ら れるようなメタンや水蒸気や部分酸化された 窒素等が含有された合成ガスでも良い。また 、この二酸化炭素は、二酸化炭素の含有され てない合成ガスに積極的に添加することもで きる。本発明の炭化水素類の製造方法の実施 に当たって、天然ガスや石油製品を自己熱改 質法あるいは水蒸気改質法等で改質して得ら れた二酸化炭素を含有する合成ガスを、その 中の二酸化炭素を除去するための脱炭酸処理 をすることなくそのままFT反応に供すれば、 炭酸処理に要する設備建設コスト及び運転 ストを削減することができ、FT反応で得ら る炭化水素類の製造コストを低減すること できる。

 本発明の炭化水素類の製造方法において FT反応に供する合成ガス(混合ガス)の全圧( 成分の分圧の合計値)は、0.5~10MPaが好ましく 0.7~7MPaがさらに好ましく、0.8~5MPaがなおさら に好ましい。この全圧が0.5MPa以上であれば、 連鎖成長が十分となり、ガソリン分、灯軽油 分、ワックス分などの収率が低下することを 防ぐことができる。平衡上は、水素及び一酸 化炭素の分圧が高いほど有利になるが、上記 全圧が10MPa以下であれば、プラント建設コス 等が高まったり、圧縮に必要な圧縮機など 大型化により運転コストが上昇するなどの 業上の観点からの不利益を相応に抑止する とができる。

 このFT反応においては、一般に、合成ガス H 2 /COモル比が同一であれば、反応温度が低いほ ど連鎖成長確率やC5+選択性(FT反応性生物中の 炭素数5以上の生成物の割合)が高くなるが、C O転化率は低くなる。逆に、反応温度が高く れば、連鎖成長確率、C5+選択性は低くなる 、CO転化率は高くなる。また、H 2 /CO比が高くなれば、CO転化率が高くなり、連 成長確率、C5+選択性は低下し、H 2 /CO比が低くなれば、その逆となる。これらの ファクターが反応に及ぼす効果は、用いる触 媒の種類等によってその大小が異なるが、本 発明の触媒を用いる方法においては、反応温 度は、200~350℃が適当であり、210~310℃が好ま く、220~290℃がさらに好ましい。なお、CO転 率は下記式で定義されるものである。
 〔CO転化率〕
 CO転化率=[(単位時間当たりの原料ガス中のCO モル数)-(単位時間当たりの出口ガス中のCOモ 数)]/単位時間当たりの原料ガス中のCOモル ×100

 以下、実施例及び比較例によりさらに具 的に本発明を説明するが、本発明はこれら 実施例に限定されるものではない。

 以下の実施例において、CO分析は、Active Car bon(60/80mesh)を分離カラムに用いた熱伝導度型 スクロマトグラフ(TCD-GC)で行った。なお、 料ガスには、Arを内部標準として25vol%添加し た合成ガス(H 2 とCOの混合ガス)を用いた。COのピーク位置、 ーク面積をArと比較することで定性及び定 分析した。触媒の化学成分の同定はICP(CQM-100 00P、島津製作所製)により求めた。

 また、CH 4 選択率は下記式により算出した。
 CH 4 選択率(%)=(単位時間当たりの出口ガス中のCH 4 モル数)/{(単位時間当たりの原料ガス中のCOモ ル数)-(単位時間当たりの出口ガス中のCOモル )}×100

実施例1
 炭酸マンガンとして和光純薬工業製の炭酸 ンガン(II)n水和物を使用した。N 2 吸着法で測定した比表面積は46.4m 2 /g、細孔容積は0.15ml/g、細孔径は4.2nmであった 。
 予め150℃で5時間乾燥した後、炭酸マンガン 4.9gを秤量し、それに、水3.0gに塩化ルテニウ (小島化学製Ru Assay 40.79質量%)0.18gを溶解し 水溶液を含浸させ、1時間放置した後、空気 中、80℃で3時間乾燥し、その後150℃で3時間 成し触媒Aを得た。
 触媒AについてX線回折にて構造分析を行っ 結果、マンガンは炭酸マンガンを維持して た。また、ICPにて触媒Aの化学組成分析を行 た結果、ルテニウムは金属換算で1.5質量%で あった。

 触媒A、2.4gを分散媒のノルマルヘキサデカ 40ml(スラリー濃度7.2重量%)と共に内容積100ml 反応器に充填し、水素分圧0.9MPa・G、温度170 、流量100(STP)ml/min(STP:standard temperature and pr essure)で水素を触媒Aに接触させて3時間還元し た。還元後、H 2 /CO比約2の合成ガス(Ar約25vol.%含む)に切り換え 、温度260℃、H 2 +CO圧力0.9MPa・GにしてFT反応を行った。
 W/F(weight/flow)[g・hr/mol]は約11g・hr/molであった 。FT反応開始20時間後のCO転化率は約51.5%、CH 4 選択率は約10.5%、100時間後のCO転化率は約50.2% であった。

実施例2
 ルテニウムの含有量が金属換算で3.0質量%と なるように炭酸マンガン及び塩化ルテニウム の量を調節した以外は実施例1と同様にして 媒Bを得た。
 ICPにて触媒Bの化学組成分析を行った結果、 ルテニウムは金属換算で2.9質量%であった。 の触媒Bを実施例1と同様の方法でFT反応に供 た。FT反応開始20時間後のCO転化率は約70.9% CH 4 選択率は11.5%、100時間後のCO転化率は約70.3%で あった。

実施例3
 炭酸マンガンとして、実施例1と同様の和光 純薬工業製の炭酸マンガン(II)n水和物を使用 た。
 予め150℃で5時間乾燥した後、炭酸マンガン 4.5gを秤量し、それに、水3.0gに硝酸コバルト( 和光純薬工業製Co(NO 3 ) 2 ・6H 2 O)2.46gを溶解した水溶液を含浸させ、1時間放 した後、空気中、80℃で3時間乾燥し、その 200℃で3時間焼成し触媒Cを得た。
 触媒CについてX線回折にて構造分析を行っ 結果、マンガンは炭酸マンガンを維持して た。また、ICPにて触媒Cの化学組成分析を行 た結果、コバルトは金属換算で10.1質量%で った。この触媒Cを実施例1と同様の方法でFT 応に供した。FT反応開始20時間後のCO転化率 約62.4%、CH 4 選択率は約11.8%、100時間後のCO転化率は約60.1% であった。

実施例4
 コバルトの含有量が金属換算で30質量%とな ように炭酸マンガン及び硝酸コバルトの量 調節した以外は実施例3と同様にして触媒D 得た。
 ICPにて触媒Dの化学組成分析を行った結果、 コバルトは金属換算で30.2質量%であった。こ 触媒Dを実施例1と同様の方法でFT反応に供し た。FT反応開始20時間後のCO転化率は約68.2%、C H 4 選択率は約20.8%、100時間後のCO転化率は約67.1% であった。 

実施例5
 炭酸マンガンとして、実施例1と同様の和光 純薬工業製の炭酸マンガン(II)n水和物を使用 た。
 予め150℃で5時間乾燥した後、炭酸マンガン 4.4gを秤量し、それに、水3.0gに塩化ルテニウ (小島化学製Ru Assay 40.79質量%)0.18g及び硝酸 バルト(和光純薬工業製CO(NO 3 ) 2 ・6H 2 O)2.46gを溶解した水溶液を含浸させ、1時間放 した後、空気中、80℃で3時間乾燥し、その 200℃で3時間焼成し触媒Eを得た。
 触媒EについてX線回折にて構造分析を行っ 結果、マンガンは炭酸マンガンを維持して た。また、ICPにて触媒Eの化学組成分析を行 た結果、ルテニウムは金属換算で1.5質量%、 コバルトは金属換算で10.1質量%であった。こ 触媒Eを実施例1と同様の方法でFT反応に供し た。FT反応開始20時間後のCO転化率は約76.7%、C H 4 選択率は約35.4%、100時間後のCO転化率は約76.2% であった。

 実施例6
 炭酸マンガンとして実施例1と同様の和光純 薬工業製の炭酸マンガン(II)n水和物を使用し 。
 予め150℃で5時間乾燥した後、炭酸マンガン 4.9gを秤量し、それに、水3.0gに塩化ルテニウ (小島化学製Ru Assay 40.79質量%)0.18gを溶解し 水溶液を含浸させ、1時間放置した後、空気 中、80℃で3時間乾燥した。
 乾燥品全量を0.05Nのアンモニア水100mlに浸漬 し、マグネチックスターラーで約1時間アル リ水溶液処理した後ろ過し、300mlの水で洗浄 ろ過した。これを80℃で3時間乾燥後、150℃で 3時間焼成した。次に、得られた焼成品3.0gを 量し、これに、0.007gの炭酸ナトリウム(和光 純薬製)を1.5gの水に溶解した炭酸ナトリウム 溶液を含浸させ、1時間放置した後、空気中 、80℃で3時間乾燥後、150℃で3時間焼成して 媒Fを得た。
 触媒FについてX線回折にて構造分析を行っ 結果、マンガンは炭酸マンガンを維持して た。また、ICPにて触媒Fの化学組成分析を行 た結果、ルテニウムは金属換算で1.5質量%、 ナトリウムは金属換算で0.1質量%であった。 の触媒Fを実施例1と同様の方法でFT反応に供 た。FT反応開始20時間後のCO転化率は約52.7% CH 4 選択率は約8.1%、100時間後のCO転化率は約51.8% あった。

 実施例7
 ルテニウムの含有量が金属換算で3.0質量%、 ナトリウム含有量が金属換算で1.0質量%とな ように炭酸マンガン、塩化ルテニウムおよ 炭酸ナトリウムの量を調節した以外は実施 6と同様にして触媒Gを得た。
 この触媒GについてX線回折にて構造分析を った結果、マンガンは炭酸マンガンを維持 ていた。ICPにて触媒Gの化学組成分析を行っ 結果、ルテニウムは金属換算で3.0質量%、ナ トリウムは金属換算で1.0質量%であった。こ 触媒Gを実施例1と同様の方法でFT反応に供し 。FT反応開始20時間後のCO転化率は約72.4%、CH 4 選択率は7.8%、100時間後のCO転化率は約72.1%で った。

 実施例8
 触媒化成工業製のシリカゾル(SI-550)270gに塩 ルテニウム(小島化学製Ru Assay 40.79質量%)11. 0gを溶解し、次いで炭酸マンガン乾燥品210g、 炭酸ナトリウム2.0gを添加し、混合した。こ に、メチルセルロース(和光純薬製MC4000)を30. 0gを添加し、乳鉢で十分に混練した。次に、 酸コバルト(和光純薬製)49.5gを水40.0gに溶解 た水溶液を徐々に加えてさらに良く混練し 。この混練品を押出し成型機(押し出し穴径 1.5mm)を用いて押し出し、成型品を80℃で3時間 乾燥後、200℃で3時間空気中焼成し、触媒Hを た。
 この触媒HについてX線回折にて構造分析を った結果、マンガンは炭酸マンガンを維持 ていた。ICPにて触媒Hの化学組成分析を行っ 結果、ルテニウムは金属換算で1.5質量%、コ バルトは金属換算で10.0%、ナトリウムは金属 算で0.3質量%であった。この触媒Hを粉砕し 実施例1と同様の方法でFT反応に供した。FT反 応開始20時間後のCO転化率は約77.7%、CH 4 選択率は14.2%、100時間後のCO転化率は約77.1%で あった。

 実施例9
 炭酸マンガン3.50gを秤量し、それに、水5.0g 硝酸コバルト7.5gを溶解した水溶液を含浸さ せ、1時間放置した後、空気中、80℃で3時間 燥し200℃で3時間焼成した。次に、得られた 成品3.0gを秤量し、これに、0.04gの炭酸カリ ム(和光純薬製)を1.5gの水に溶解した炭酸カ ウム水溶液を含浸させ、1時間放置した後、 空気中、80℃で3時間乾燥後、200℃で3時間焼 して触媒Iを得た。
 この触媒IについてX線回折にて構造分析を った結果、マンガンは炭酸マンガンを維持 ていた。また、ICPにて触媒Iの化学組成分析 行った結果、コバルトは金属換算で30.1質量 %、カリウムは金属換算で0.8質量%であった。 の触媒Iを粉砕し、実施例1と同様の方法でFT 反応に供した。FT反応開始20時間後のCO転化率 は約69.1%、CH 4 選択率は12.6%、100時間後のCO転化率は約67.9%で あった。

比較例1
 炭酸マンガンに代えて和光純薬工業製の酸 マンガン(III)(Mn 2 O 3 )を使用した以外は実施例1と同様にして触媒J を得た。
 触媒JについてX線回折にて構造分析を行っ 結果、マンガンはMn 2 O 3 であった。ICPにて触媒Jの化学組成分析を行 た結果、ルテニウムは金属換算で1.6質量%で った。この触媒Jを実施例1と同様の方法でFT 反応に供した。FT反応開始20時間後のCO転化率 は約31.0%、CH 4 選択率は約8.5%、100時間後のCO転化率は約23.1% あった。

比較例2
 炭酸マンガンに代えて和光純薬工業製の酸 マンガン(II)(MnO)を使用した以外は実施例1と 同様にして触媒Kを得た。
 触媒KについてX線回折にて構造分析を行っ 結果、マンガンはMnOであった。ICPにて触媒K 化学組成分析を行った結果、ルテニウムは 属換算で1.5質量%であった。この触媒Kを実 例1と同様の方法でFT反応に供した。FT反応開 始20時間後のCO転化率は約11.2%、CH 4 選択率は約7.2%、100時間後のCO転化率は約9.3% あった。

比較例3
 炭酸マンガンに代えて富士シリシア化学製 球状シリカ(Q-30)を予め充分乾燥した後、4.9g を秤量し、それに、水6.1gに塩化ルテニウム( 島化学製Ru Assay 40.79質量%)0.18gを溶解した 溶液を含浸させ、1時間放置した後、空気中 80℃で3時間乾燥し、その後200℃で3時間焼成 し触媒Lを得た。
 ICPにて触媒Lの化学組成分析を行った結果、 ルテニウムは金属換算で1.6質量%であった。 の触媒Lを実施例1と同様の方法でFT反応に供 た。FT反応開始20時間後のCO転化率は約15.7% CH 4 選択率は約16.6%、100時間後のCO転化率は約14.8% であった。

比較例4
 炭酸マンガンに代えて酸化アルミニウム粉 (Pural SB, Condea製)を予め充分乾燥した後、4. 9gを秤量し、それに、水4.4gに塩化ルテニウム (小島化学製Ru Assay 40.79質量%)0.18gを溶解した 水溶液を含浸させ、1時間放置した後、空気 、80℃で3時間乾燥し、その後200℃で3時間焼 し触媒Mを得た。
 ICPにて触媒Mの化学組成分析を行った結果、 ルテニウムは金属換算で1.5質量%であった。 の触媒Mを実施例1と同様の方法でFT反応に供 た。FT反応開始20時間後のCO転化率は約30.2% CH 4 選択率は約21.0%、100時間後のCO転化率は約18.9% であった。

比較例5
 炭酸マンガンに代えて富士シリシア化学製 球状シリカ(Q-30)を予め充分乾燥した後、4.5g を秤量し、それに、水5.5gに硝酸コバルト(和 純薬工業製Co(NO 3 ) 2 ・6H 2 O)2.46gを溶解した水溶液を含浸させ、1時間放 した後、空気中、80℃で3時間乾燥し、その 200℃で3時間焼成し触媒Nを得た。
 ICPにて触媒Nの化学組成分析を行った結果、 コバルトは金属換算で10.2質量%であった。こ 触媒Nを実施例1と同様の方法でFT反応に供し た。FT反応開始20時間後のCO転化率は約36.2%、C H 4 選択率は約43.5%、100時間後のCO転化率は約30.7% であった。

比較例6
 コバルトの含有量が30質量%となるように球 シリカ、水及び硝酸コバルトの量を調節し 以外は比較例5と同様にして触媒Pを得た。
 ICPにて触媒Pの化学組成分析を行った結果、 コバルトは金属換算で30.1質量%であった。こ 触媒Pを実施例1と同様の方法でFT反応に供し た。FT反応開始20時間後のCO転化率は約61.6%、C H 4 選択率は約50.7%、100時間後のCO転化率は約57.5% であった。

比較例7
 炭酸マンガンに代えて和光純薬工業製の酸 マンガン(II)(MnO)4.9gを秤量し、それに、水3.0 gに塩化ルテニウム0.18gを溶解した水溶液を含 浸させ、1時間放置した後、空気中、80℃で3 間乾燥し、その後150℃で3時間焼成した。次 、得られた焼成品3.0gを秤量し、これに、0.0 07gの炭酸ナトリウム(和光純薬製)を1.5gの水に 溶解した炭酸ナトリウム水溶液を含浸させ、 1時間放置した後、空気中、80℃で3時間乾燥 、150℃で3時間焼成して触媒Qを得た。
 ICPにて触媒Qの化学組成分析を行った結果、 ルテニウムは金属換算で1.5質量%、ナトリウ は金属換算で0.1質量%であった。この触媒Qを 実施例1と同様の方法でFT反応に供した。FT反 開始20時間後のCO転化率は約11.9%、CH 4 選択率は6.5%、100時間後のCO転化率は約9.6%で った。

 上記実施例1~9及び比較例1~7の実験結果を表1 及び表2に示す。表1及び表2から、本発明の炭 酸マンガン担体を用いた触媒、及び本発明の 炭酸マンガン担体を用いると共にアルカリ金 属を含有する触媒は、従来のアルミナやシリ カを担体とする触媒やアルカリ金属を含有し ない触媒に比較してCO転化率が高く、また、 ス成分であるCH 4 の生成割合が低いことが明らかである。

 さらに、本発明の触媒の性能は長時間安 的に発揮されることが分かる。また、本発 のこのような効果は、酸化マンガンの担体 用いたのでは認められず、炭酸マンガンの 体を用いることで発現していることが分か 。

 本出願は、2008年6月24日出願の日本特許出 願(特願2008-164458)、並びに2009年3月23日出願の 本特許出願(特願2009-070113)に基づくものであ り、その内容はここに参照として取り込まれ る。

 本発明のFT合成用触媒、並びに当該FT合成 用触媒を用いた本発明の炭化水素類の製造方 法を利用することで、合成ガスからメタン等 のガス成分が少なく、灯油留分や軽油留分に 富む炭化水素類を製造することができる。