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Patent Searching and Data


Title:
CELLULAR PRODUCTS AND PROCESS FOR PRODUCTION THEREOF
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/078650
Kind Code:
A1
Abstract:
A process for the production of cellular products which comprises the step of heating a molding of a composition comprising a polymer, a cell-forming agent and a decomposition-type blowing agent to a temperature at which the polymer can be melted to expand the molding through the decomposition of the blowing agent and the step of extracting the cell-forming agent from the expanded molding by dissolving the cell-forming agent in a solvent to form open cells in the molding.

Inventors:
SUGAI YOSHIMASA (JP)
KOSE RYOJI (JP)
MATSUZAKI KAZUO (JP)
HOSOYA KEN (JP)
NISHIKAWA TEPPEI (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/074545
Publication Date:
July 03, 2008
Filing Date:
December 20, 2007
Export Citation:
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Assignee:
HITACHI CHEMICAL CO LTD (JP)
SUGAI YOSHIMASA (JP)
KOSE RYOJI (JP)
MATSUZAKI KAZUO (JP)
HOSOYA KEN (JP)
NISHIKAWA TEPPEI (JP)
International Classes:
C08J9/26; B01J39/00; C02F1/42; C08J5/20; C08J9/06; B01D39/16
Foreign References:
JPS4743162A
JPS5128162A1976-03-09
JPH0718113A1995-01-20
JP2005068396A2005-03-17
JPS6475542A1989-03-22
JP2003301069A2003-10-21
JP2000061275A2000-02-29
JP2005264013A2005-09-29
JP2005315666A2005-11-10
Attorney, Agent or Firm:
HASEGAWA, Yoshiki et al. (Ginza First Bldg. 10-6Ginza 1-chome, Chuo-k, Tokyo 61, JP)
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Claims:
 高分子物質、気孔形成剤及び分解型発泡剤を含有する組成物の成形物を、前記高分子物質が溶融する温度に加熱して前記分解型発泡剤の分解により発泡させる工程と、
 発泡した前記成形物から前記気孔形成剤を溶媒への溶解により抽出して、前記成形物内に連続気泡を形成させる工程と、
を備える多孔体の製造方法。
 前記気孔形成剤が、前記高分子物質の融点Maよりも高い融点Mbを有する第1の成分を含む、請求項1記載の製造方法。
 前記第1の成分が、100~350℃の融点Mbを有する多価アルコールである、請求項2記載の製造方法。
 前記多価アルコールがペンタエリスリトールである、請求項3記載の製造方法。
 前記組成物が、
 前記高分子物質 100重量部、
 前記気孔形成剤の前記第1の成分 50~400重量部、及び
 前記分解型発泡剤 1~50重量部
を含有する、請求項2記載の製造方法。
 前記気孔形成剤が、前記高分子物質の融点Maよりも低い融点Mcを有する第2の成分を更に含む、請求項2記載の製造方法。
 前記第2の成分がポリエチレンオキシドである、請求項6記載の製造方法。
 前記組成物が、
 前記高分子物質 100重量部、
 前記気孔形成剤の第1の成分 40~450重量部、
 前記気孔形成剤の第2の成分 20~450重量部、及び
 前記分解型発泡剤 1~50重量部
を含有する、請求項6記載の製造方法。
 Ma以上、且つ、Mb及び前記分解型発泡剤の分解温度Mdのうち低い温度よりも低い温度、で前記組成物を溶融混練する工程と、
 溶融混練された前記組成物を成形して前記成形物を得る工程と、
を更に備える、請求項2記載の製造方法。
 前記組成物を、押出成形法、カレンダ-成形法、プレス成形法又は射出成形法を利用して成形して前記成形物を得る、請求項9記載の製造方法。
 前記高分子物質が熱可塑性樹脂又は熱可塑エラストマーである、請求項1記載の製造方法。
 前記高分子物質がオレフィン系樹脂又はポリエステル系樹脂である、請求項1記載の製造方法。
 前記高分子物質がエチレン-酢酸ビニル共重合体である、請求項1記載の製造方法。
 前記溶媒が水又は水性溶媒である、請求項1記載の製造方法。
 前記組成物が機能性充填材を更に含有する、請求項1記載の製造方法。
 前記機能性充填材が機能性高分子粒子である、請求項15記載の製造方法。
 前記機能性高分子粒子が分子鋳型である、請求項16記載の製造方法。
 前記機能性高分子粒子がイオン交換樹脂である、請求項16記載の製造方法。
 前記機能性高分子粒子を構成する高分子化合物と前記高分子物質との溶解度パラメータの差が1以内である、請求項20記載の製造方法。
 前記機能性高分子粒子がその表面に官能基を有する、請求項16記載の製造方法。
 前記官能基が前記高分子物質との反応性を有する、請求項20記載の製造方法。
 連続気泡を形成している高分子物質を含有し、50~90容積%の気孔率を有する、多孔体。
 機能性充填材を更に含有する、請求項22記載の多孔体。
 前記機能性充填材が前記連続気泡の壁面に露出している、請求項23記載の多孔体。
 前記機能性充填材が機能性高分子粒子である、請求項23記載の多孔体。
 前記機能性高分子粒子が分子鋳型である、請求項25記載の多孔体。
 前記機能性高分子粒子がイオン交換樹脂である、請求項25記載の多孔体。
 前記機能性高分子粒子を構成する高分子化合物と前記高分子物質との溶解度パラメータの差が1以内である、請求項25記載の多孔体。
 前記機能性高分子粒子が、その表面の官能基と前記高分子物質との反応により前記高分子物質と結合している、請求項25記載の多孔体。
 連続気泡を形成している高分子物質と、分子鋳型である機能性高分子粒子とを含有する、多孔体。
 前記機能性高分子粒子を構成する高分子化合物と前記高分子物質との溶解度パラメータの差が1以内である、請求項30記載の多孔体。
 前記機能性高分子粒子が、その表面の官能基と前記高分子物質との反応により前記高分子物質と結合している、請求項30記載の多孔体。
 請求項22~32のいずれか一項に記載の多孔体を備える濾過材。
 請求項22~32のいずれか一項に記載の多孔体を備えるイオン交換体母材。
Description:
多孔体及びその製造方法

 本発明は、多孔体及びその製造方法に関 る。

 多孔体を製造する方法としては、例えば 樹脂と炭酸ガスやアンモニアガス等の揮発 発泡剤とを混練し、混練物を揮発ガスによ 発泡させる方法や分解型発泡剤を樹脂と混 し、分解型発泡剤の分解によって生じるガ により混練物を発泡させる方法がある。分 型発泡剤としては、アゾジカルボンアミド ジニトロソペンタメチレンテトラミン及び ドラゾジカルボンアミドがある。

 これらの発泡による方法の場合、独立気 タイプの発泡体が形成される。そこで、発 体に機械的変形を加えて独立気泡を破壊す ことにより、連続気泡が形成された多孔体 得る方法が提案されている(特許文献1参照) しかしこの方法では、すべての独立気泡を 壊することは難しく、連続気泡の割合が高 多孔体を得ることは困難であった。

 そのため、熱可塑性樹脂をその融点より 高い融点を有する水溶性粉末を溶融混練し 成形物を得た後に、成形物から水溶性粉末 抽出して多孔体を得る方法(以下「抽出法」 という。)が知られている(特許文献2参照)。

 一方、各種機能を付加した樹脂発泡体又は 脂多孔体として、例えば、多孔質粒子が充 された複合発泡体(特許文献3)や、無機吸湿 を含有する樹脂多孔体(特許文献4)が提案さ ている。

特公昭62-19294号公報

特開2002-322310号公報

特開2002-1829号公報

特開2002-191929号公報

 しかしながら、上記の抽出法では、水溶 粉末を多量に用いると、成形物を得るため 成形工程で混練物の流動性が低下して、成 性が悪化したり、外観が悪くなる傾向があ 。そのため、水溶性粉末の充填率(混合比率 )を高めることにより十分に高い気孔率を有 る多孔体を得ることは事実上困難であった

 また、気泡が実質的に形成されていない 実成形品からの抽出により気泡が形成され ため、滑らかな表面から内部に向かって順 現われる密な表面を溶かしながら水溶性粉 を抽出する必要がある。したがって、抽出 間が長くなるという問題もあった。

 本発明は、このような事情に鑑みてなさ たものであり、その目的とするところは、 一に、気孔率の高い多孔体およびその製造 法を提供することにある。さらに本発明の 二の目的とするところは、短時間で多孔体 得る製造方法を提供することにある。本発 の第三の目的とするところは、新規な機能 多孔体およびその製造方法を提供すること ある。

 本発明に係る多孔体の製造方法は、高分 物質、気孔形成剤及び分解型発泡剤を含有 る組成物の成形物を、高分子物質が溶融す 温度に加熱して分解型発泡剤の分解により 泡させる工程と、発泡した成形物から気孔 成剤を溶媒への溶解により抽出して、成形 内に連続気泡を形成させる工程とを備える

 上記本発明に係る製造方法によれば、発 及び抽出を組み合わせ、これらを順に行う とにより、高い気孔率を有する多孔体を短 間で得ることが可能になった。

 上記気孔形成剤は、高分子物質の融点Ma りも高い融点Mbを有する第1の成分を含むこ が好ましい。これにより、高分子物質及び 孔形成剤を含有する組成物を、溶融しない 孔形成剤が含まれた状態で高分子物質を溶 させて混練して、粉末状又は粒子状の気孔 成剤を含んだ成形用の混練物を容易に得る とができる。その結果、連続気泡を更に効 的に形成させることが可能になる。

 気孔形成剤の第1の成分は、100~350℃の融 Mbを有する多価アルコールであることが好ま しい。多価アルコールはペンタエリスリトー ルであることが好ましい。

 気孔形成剤が上記第1の成分を含む場合、 上記組成物は、高分子物質 100重量部、気孔 成剤の第1の成分 50~400重量部、及び分解型 泡剤 1~50重量部を含有することが好ましい

 気孔形成剤は、高分子物質の融点Maより 低い融点Mcを有する第2の成分を更に含むこ が好ましい。この第2の成分はポリエチレン キシドであることが好ましい。

 気孔形成剤が上記第1及び第2の成分を含 場合、上記組成物は、高分子物質 100重量部 、気孔形成剤の第1の成分 40~450重量部、気孔 形成剤の第2の成分 20~450重量部、及び分解型 発泡剤 1~50重量部を含有することが好ましい 。

 本発明に係る製造方法は、Ma以上、且つ Mb及び分解型発泡剤の分解温度Mdのうち低い 度よりも低い温度、で組成物を溶融混練す 工程と、溶融混練された組成物を成形して 形物を得る工程とを更に備えていてもよい この場合、組成物を、押出成形法、カレン -成形法、プレス成形法又は射出成形法を利 用して成形して成形物を得ることが好ましい 。

 高分子物質は熱可塑性樹脂又は熱可塑エ ストマーであってもよい。高分子物質はオ フィン系樹脂又はポリエステル系樹脂であ てもよい。高分子物質はエチレン-酢酸ビニ ル共重合体であってもよい。

 上記溶媒は水又は水性溶媒であることが ましい。

 上記組成物は機能性充填材を更に含有し いてもよい。これにより、連続気泡を利用 た各種機能を多孔体に付与することができ 。

 上記機能性充填材は機能性高分子粒子で ることが好ましい。この機能性高分子粒子 分子鋳型であることが好ましい。この機能 高分子はイオン交換樹脂であることも好ま い。

 機能性高分子粒子を構成する高分子化合 と多孔体を構成する高分子物質との溶解度 ラメータの差は1以内であることが好ましい 。

 機能性高分子粒子はその表面に官能基を することが好ましい。この官能基は、高分 物質との反応性を有することが好ましい。

 本発明に係る多孔体は、連続気泡を形成 ている高分子物質を含有し、50~90容積%の気 率を有する。

 本発明に係る多孔体は、上述の機能性充 材を更に含有していてもよい。この場合、 能性充填材は連続気泡の壁面に露出してい ことが好ましい。上記多孔体は、その気孔 が高いことから、機能性充填材をその連続 泡の壁面に露出させたときに機能性充填材 機能を特に有効に発揮させることができる

 機能性高分子粒子は、その表面の官能基 高分子物質との反応により高分子物質と結 していることが好ましい。

 本発明に係る多孔体は、連続気泡を形成 ている高分子物質と、分子鋳型である機能 高分子粒子とを含有するものであってもよ 。また、本発明に係る多孔体は、連続気泡 形成している高分子物質と、イオン交換樹 である機能性高分子粒子とを含有するもの あってもよい。

 本発明に係る濾過材は、上記本発明に係 多孔体を備える。本発明に係るイオン交換 母材は、上記本発明に係る多孔体を備える

 本発明の製造方法によれば、気孔率の高 多孔体を短時間で得ることができる。また 本発明の製造方法によれば、発泡後に気孔 成剤の除去を行うため、連続気泡が形成さ 、良好な通水性を有する多孔体を短い抽出 間で容易に製造することができる。高い気 率の多孔体を製造する場合も気孔形成剤の 用量を低減することができ、気孔形成剤の 去も容易である。そのため、生産効率がよ 、また、得られる多孔体をより堅牢にする とができる。

 本発明に係る多孔体は、気孔率が高いこ から良好な通気性を有しており、濾過用フ ルター材料、イオン交換構造材、モノリス カラム等に特に適している。

 また、本発明の製造方法によれば、機能 充填材を用いたときに、良好な通水性等を 持しながら、連続気泡を利用した各種機能 付与された多孔体を容易に製造することが きる。

通水性の測定装置を示す模式図である 実施例1、実施例2及び比較例1の抽出時 と多孔体の気孔率との関係を示すグラフで る。 実施例3、実施例4及び比較例2の抽出時 と多孔体の気孔率との関係を示すグラフで る。 実施例5、実施例6及び比較例3の抽出時 と多孔体の気孔率との関係を示すグラフで る。 実施例7で得られた多孔体の電子顕微鏡 写真(倍率1000倍)である。 実施例8で得られた多孔体の電子顕微鏡 写真(倍率1000倍)である。 実施例9で得られた多孔体の電子顕微鏡 写真(倍率1000倍)である。 実施例10で得られた多孔体の電子顕微 写真(右下:35倍、左下:100倍、右上;1000倍、左 :2000倍)である。 実施例11で得られた多孔体の電子顕微 写真(右下:35倍、左下:100倍、右上;1000倍、左 :2000倍)である。 実施例12で得られた多孔体の電子顕微 写真(右下:35倍、左下:100倍、右上;1000倍、左 上:2000倍)である。 実施例13で得られた多孔体の電子顕微 写真(右下:35倍、左下:100倍、右上;1000倍、左 上:2000倍)である。 実施例14で得られた多孔体の電子顕微 写真(右下:35倍、左下:100倍、右上;1000倍、左 上:2000倍)である。 実施例15で得られた多孔体の電子顕微 写真(右下:35倍、左下:100倍、右上;1000倍、左 上:2000倍)である。 実施例16で得られた多孔体の電子顕微 写真(右下:35倍、左下:100倍、右上;1000倍、左 上:2000倍)である。 実施例11及び比較例4における抽出時間 と多孔体の気孔率との関係を示すグラフであ る。 実施例14及び比較例5における抽出時間 と多孔体の気孔率との関係を示すグラフであ る。

符号の説明

 1…多孔体、2…濾過用フィルターホルダ 、3…減圧ポンプ接続口付容器、4…クランプ 、5…減圧ポンプ接続口。

 以下、本発明の好適な実施形態について 細に説明する。ただし、本発明は以下の実 形態に限定されるものではない。

 本実施形態に係る多孔体の製造方法は、 分子物質、気孔形成剤及び分解型発泡剤を 有する組成物を溶融混練する混練工程と、 融混練された組成物(混練物)を成形して成 物を得る成形工程と、成形物を高分子物質 溶融する温度に加熱して分解型発泡剤の分 により発泡させる発泡工程と、発泡した成 物から気孔形成剤を溶媒への溶解により抽 して、成形物内に連続気泡を形成させる抽 工程とを備える。

 上記高分子物質としては、熱可塑性樹脂 熱可塑エラストマー又はこれらの混合物が ましく用いられる。高分子物質の融点Maは10 0~300℃であることが好ましい。

 熱可塑性樹脂は、押出成形、カレンダー 形、又は射出成形に適したものが好適であ 。そのため、熱可塑性樹脂は100~300℃の融点 を有することが好ましい。熱可塑性樹脂の好 適な具体例としては、ポリエチレン、ポリプ ロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体及 エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物のよ なオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフ レート及びポリブチレンテレフタレートの うなポリエステル系樹脂、エチレン-メタク リル酸共重合体、ポリスチレン、AS樹脂、ABS 脂、ポリアミド6、ポリアミド6・6、ポリカ ボネート、ポリアセタール、並びにポリビ ルアルコールが挙げられる。これらの熱可 性樹脂は1種類で又は2種類以上を組合わせ 用いられる。これらのなかでも、オレフィ 系樹脂及びポリエステル系樹脂が好ましい

 熱可塑エラストマーは、ゴム状弾性を付 するソフトセグメントおよび三次元網目の び目を形成するハードセグメントからなる 分子材料であり、常温ではゴム弾性を示し 高温で可塑化する。そのため、熱可塑エラ トマーは押出成形、カレンダー成形、又は 出成形によって容易に成形することができ 。

 熱可塑エラストマーの具体例としては、 ードセグメントがポリスチレンでソフトセ メントがポリブタジエン、ポリイソプレン はこれらの水素添加物であるポリスチレン エラストマー、ハードセグメントがポリエ レンまたはポリプロピレンでソフトセグメ トがブチルゴムやEPDM(エチレン-プロピレン- ジエン共重合体)であるポリオレフィン系エ ストマー、ハードセグメントがポリアミド ソフトセグメントがポリエステル又はポリ ーテルであるポリアミド系エラストマー、 ードセグメントがポリエステルでソフトセ メントがポリエーテルであるポリエステル エラストマー、及び、ハードセグメントが レタン結合を有するポリウレタン系ブロッ でソフトセグメントがポリエステル又はポ エーテルであるポリウレタン系エラストマ が挙げられる。これらを1種で又は2種以上を 組合わせて高分子物質として用いてもよい。

 気孔形成剤としては、抽出のための溶媒 可溶であり、溶媒によって抽出されたとき 気泡が形成されるような材料が用いられる そのため、高分子物質を気孔形成剤ととも 溶融混練したときに、粉末状又は粒子状の 孔形成剤が高分子物質中に分散した混練物 得られるような、粉末状又は粒子状の材料 気孔形成剤として好適に用いられる。

 気孔形成剤は、高分子物質の融点Maより 高い融点Mbを有する有機化合物である第1の 分(以下場合により「第一気孔形成剤」とい 。)を含む。第一気孔形成剤は、高分子物質 を含む組成物の成形温度において固体状態を 維持することが可能である。そのため、第一 気孔形成剤を用いることにより、抽出後に連 続気泡が効率的に形成され易くなる。

 多孔体の製造方法は、融点Maの高分子物 に、Maより高い融点Mbを有する第一の気孔形 剤及びMaより高い熱分解温度Mdを有する分解 型発泡剤を含有する多孔体用組成物の成形物 をMd以上に加熱して発泡させる工程と、高分 物質は溶解しないが第一気孔形成剤は溶解 る溶媒で第一気孔形成剤を抽出する工程と 含んでいてもよい。

 第一気孔形成剤の融点Mbは40~350℃である とが好ましい。融点Mbの下限はより好ましく は100℃、更に好ましくは150℃である。融点Mb 上限はより好ましくは300℃である。例えば 分子物質の融点Maが100℃~300℃である場合、 一気孔形成剤の融点Mbは、Ma以上で、且つ、 100℃を超え350℃以下であることが好ましく、 150℃~300℃であることがより好ましい。

 第一気孔形成剤としては、炭素数2~5程度 多価アルコール、及び尿素が好ましく用い れる。多価アルコールの具体例としては、 ンタエリスリトール、L-エルスリトール、D- エリスリトール、meso-エリスリトール及びビ コールが挙げられる。これらの材料の中で にペンタエリスリトールが好ましい。ペン エリスリトールは親水性であることから、 出工程に用いる溶媒として水又は水性溶媒 選択することが可能となる。また、ペンタ リスリトールは、その純度に依存して変化 得るものの、一般に180℃~260℃の融点を有す ることから各種の高分子物質と組合わせて適 用しやすい。しかも、ペンタエリスリトール は溶融状態から固化する速度が速いことから 成形物の冷却時間が短くすることができ、生 産性向上のためにも有利である。

 第一気孔形成剤は、1種類だけ用いてもよ いし、2種類以上組合わせてもよい。2種類以 を組合わせる場合には、粒径の異なる材料 、成形温度での剛性の異なる材料を組み合 せることによって、気孔の形成状態をより 易に変化させることができる。

 気孔形成剤は、高分子物質の融点Maより 低い融点Mcを有する第2の成分(以下場合によ 「第二気孔形成剤」という。)を更に含むこ とが好ましい。第二気孔形成剤の融点Mcは、5 0~200℃であることが好ましい。第二気孔形成 としては、例えば、ポリエチレンオキシド びポリエチレングリコールが挙げられる。 でも、ポリエチレンオキシド(好ましくは分 子量100万~800万)が溶融粘度等の観点から望ま い。

 第一気孔形成剤及び必要に応じて使用さ る第二気孔形成剤は、成形のための混練物 得るための溶融混練において、高分子物質 に均一に分散されることが大切である。こ ため、分散剤を適宜用いてもよい。この分 剤としては、例えば、ステアリン酸のよう 高級脂肪酸、ステアリルアルコールのよう 高級脂肪族アルコール、パラフィン、並び 、ステアロアミド、パルミチルアミド、メ レンビスステアロアミド及びエチレンビス テアロアミドのような高級脂肪酸アミドが げられる。

 分解型発泡剤は、所定の分解温度Md以上 加熱されたときに分解してガスを発生する とにより、成形物を発泡させる成分である 分解型発泡剤の具体例としては、アゾジカ ボンアミド(ADCA、分解温度195~210℃)、アゾビ イソブチロニトリル(AIBN、分解温度98~102℃) バリウムアゾジカルボキシレート(分解温度 240~250℃)、ジニトロソペンタメチレンテトラ ン(DPT、分解温度200~205℃)、p,p’-オキシビス ベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH、分解温 157~162℃)、及びパラトルエンスルホニルヒ ラジド(TSH、分解温度103~111℃)が挙げられる

 分解型発泡剤の選定に際しては、上述の 分子物質及び気孔形成剤を含有する混練物 成形温度と、分解型発泡剤の分解温度との 係が考慮される。分解型発泡剤の分解温度 おける混練物の溶融粘度が高すぎると、発 剤の分解によって発生するガス圧が混練物 機械的強度によって抑えられて混練物が発 しにくくなる。逆に混練物の溶融粘度が低 ぎると、発生するガスが容易に混練物を突 破って発散するため発泡しにくくなる。係 観点から、例えば高分子物質がオレフィン 樹脂の場合には、分解型発泡剤としては、 ゾジカルボンアミド(ADCA)及びジニトロソペ タメチレンテトラミン(DPT)が特に好適であ 。

 また、より良い発泡状態を得るために、 成物が架橋剤及び/又は架橋助剤を含有して いてもよい。架橋剤としては、例えばジクミ ルパーオキサイド、2,5ジメチル-2,5-ジ(t-ブチ パーオキシ)ヘキサン、及び2,5ジメチル-2,5- (t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3等の有機過 化物を用いることができる。上記架橋助剤 、二種以上組み合わせて使用してもよい。 橋剤の量は、高分子物質100重量部に対して 好ましくは0~5重量部、より好ましくは2重量 部以下である。架橋剤の効果を発現し易くす るためには、架橋剤の量は0.2重量部以上が好 ましく、0.4重量部以上がより好ましい。架橋 剤は、少なすぎると発泡状態の向上効果が小 さくなる傾向があり、多すぎると発泡度の向 上が難しくなる傾向がある。

 架橋助剤としては、例えば、トリメチロ ルプロパントリメタクリレート、トリメチ ールプロパントリアクリレート、エチレン リコールジメタクリレート、及びトリアリ イソシアヌレートが挙げられる。架橋助剤 、二種以上組み合わせて使用してもよい。 橋助剤の量は、高分子物質100重量部に対し 、好ましくは0~2重量部、より好ましくは1.5 量部以下である。架橋助剤の量が2重量部を 超えても、発泡性の改善効果の著しい向上は 得られにくい。架橋助剤による効果を発現し 易くするためには0.1重量部以上が好ましい。

 成形物を得るための上記組成物は、機能 充填材を更に含有していてもよい。機能性 填材は、特定の機能を多孔体に付与する無 又は有機の充填材である。機能性充填材と ては、例えば、研磨機能、熱伝導機能、熱 導防止機能、導電性機能、光線吸収機能、 子ふるい機能、イオン交換機能、又は分子 型機能を多孔体に付与する材料が用いられ 。

 無機の機能性充填材としては、シリカ、 化アルミニウム及び酸化セリウム等の研磨 、炭酸カルシウム及び酸化珪素等の熱伝導 は熱伝導防止を担う物質、金、銀及び銅等 熱伝導性又は導電性の金属粒子、酸化チタ 等の顔料粒子がある。

 有機の機能性充填材としては、高分子化 物によって形成された機能性高分子粒子が る。機能性高分子粒子は、イオン交換樹脂 子、分子鋳型、研磨剤、又は有機顔料であ てもよい。また、機能性高分子粒子は、ポ スチレン多孔体粒子であってもよい。ポリ チレン多孔体粒子は、例えばゲルパーミエ ションクロマトグラフィのカラム充填剤と て使用される粒子であり、ジビニルベンゼ を用いて形成された架橋構造を含んでいて よい。機能性高分子粒子は、ポリエチレン ウダー等の改質用高分子微粒子であっても い。

 機能性充填材は、無機と有機の複合材料 あってもよい。機能性充填材として用いら る複合材料の例としては、ポリスチレン粒 に金めっきを施した粒子がある。

 機能性充填材が融点又は分解点を有する きは、これらの温度は、前記したMa、Mb及び Mcのうち最も低い温度よりも高いことが好ま く、Ma、Mb及びMcのうち最も高い温度よりも いことがより好ましい。機能性充填材の融 又は分解点は、前記した多孔体の製造工程 いて機能性充填材に負荷される温度よりも いことが好ましい。

 機能性高分子粒子を、多孔体を形成する 分子物質に均一に分散させるためには、機 性高分子粒子を構成する高分子化合物と多 体を構成する高分子物質とで、溶解度パラ ータとの差が1以内であることが好ましく、 0.5以内であることがより好ましい。

 溶解度パラメータ(solubility parameter;SP値) は、ポリマーハンドブック(Polymer Handbook)IV-3 41頁~IV-368頁(H.-G.ELIASと共同で、J.BRANDRUP/E.H.IMME RGUT編;INTERSCIENCE PUBLISHERS発行)に示される”SOL UBILITY PARAMETER VALUE”(H.Burrell著)に説明される 値である。また、「溶剤ハンドブック」(浅  照三、戸倉 仁一郎、大河原 信、熊野谿  従、妹尾 学編、株式会社 講談社サイエン ィフィク 1976年第1刷発行、1993年第13刷発行) 第91~93頁にも同様の溶解度パラメータについ 説明されている。溶解度パラメータは、smal lの方法で又は実験的に求めることができる

 smallの方法では、SP値をδ、分子中又は繰り し単位中の原子及び基の全てのF値の総和を σF(ただし、F値は、molar-attraction constant(単位; (cal・cm 3 ) 1/2 /mol、25℃)である。)、分子量(又は繰り返し単 位の分子量)をM、分子の密度をρとするとき SP値δは、式:

により求めることができる。

 なお、主な置換基のF値は、次のとおりであ る。
メチル基(H 3 C-):214
メチレン基(-CH 2 -;2級炭素):133
メチレン基(H 2 C=(二重結合)):190
メチン基(HC;3級炭素):28
メチン基(-HC=(二重結合)):111
四級炭素:93
エステル基(-COO-):310
二級水酸基(-OH):300
フェニル基:735
フェニレン基:658

 上記の式によると、エチレン-酢酸ビニル共 重合体(エチレン:酢酸ビニル=9:1(モル比)、密 0.93)のδは8.5(繰り返し単位C 22 H 42 O 2 の分子量:338.56)、スチレン-ジビニルベンゼン 共重合体(スチレン:ジビニルベンゼン=1:1(モ 比)、密度0.90)のδは7.2(繰り返し単位C 18 H 19 の分子量:234.32)、ポリ(エチレングリコールジ メタクリレート)重合体(密度1.1)のδは7.7(繰り 返し単位C 10 H 14 O 4 の分子量:198.21)、ポリ(グリセロールジメタク リレート)(密度1.1)のδは8.3(繰り返し単位C 11 H 16 O 5 の分子量:228.24)である。

 機能性高分子粒子が分子鋳型である場合 分子鋳型を、多孔体を形成している高分子 質に担持させることできる。このような多 体は、分子鋳型を用いた微量有機化合物の 捉及び捕捉後の微量有機化合物の回収に際 て、取扱に便利がよい。多孔体内に連続気 が形成されているため、分子鋳型が担持さ た多孔体に通水すれば、水中に含まれる微 の特定有機化合物を採取することができる 従って、多孔体を濾過剤の一種としても用 ることができる。このような目的のために 、多孔体が高い通水性を有することが好ま い。

 分子鋳型として用いられる機能性高分子 子としては、分子インプリントポリマー又 フラグメントインプリントポリマーとして られている高分子の粒子が挙げられる。イ プリントポリマーは、一定の条件下で標的 質を選択的に吸着し、一定の条件下で吸着 た標的物質を放出する。

 これらインプリントポリマーは、標的物 又はその類似化合物からなる鋳型分子と機 性モノマーとを、水素結合のような非共有 合的な相互作用によって自己会合させた後 架橋剤の存在下に重合を行わせ、次いで、 型分子を除去する方法により得られる重合 である。塊状重合を利用した場合、得られ 重合体は適宜粉砕して使用される。懸濁重 を利用した場合、粒子状のインプリントポ マーが得られ、この場合、粉砕は必ずしも 要ではない。粒子状のインプリントポリマ を得るには、シード重合、特に二段膨潤重 法又は多段膨潤重合法として知られている 法が好ましい。

 上記の標的物質としては、特に制限はな が、比較的低分子量の化合物が好ましい。P CB(パークロロビフェニル)、ビスフェノールA 臭素化ビスフェノールA、及びダイオキシン 等が環境ホルモンである故に標的物質として 注目される。

 ビスフェノールAが標的物質である場合、 それ自身だけでなく、パラターシャリーブチ ルフェノールを鋳型分子として使用すること ができる。また臭素化ビスフェノールAが標 物質である場合、それ自身だけでなく、2,6- ス-(トリフルオロメチル)-安息香酸を鋳型分 子として使用することができる。

 インプリントポリマーを得るために用い れる機能性モノマーとしては、重合性(特に ラジカル重合性)を有する化合物が用いられ 。機能性モノマーは、重合サイト以外に標 物質と相互作用するサイト(塩基性基、酸性 等の官能基)を有する。機能性モノマーの具 体例としては、ビニルピリジン、ビニルイミ ダゾール、アクリル酸、メタクリル酸、マレ イン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコ ン酸、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタ リル酸2-ヒドロキシエチル、アクリルアミ 、メタクリルアミド、アクリロニトリル、 タクリロニトリル、グリシジルメタクリレ ト及び酢酸ビニルが挙げられる。

 インプリントポリマーを得るために用い れる架橋剤としては、二重結合を2個以上有 するラジカル重合性化合物が好ましい。その 具体例としては、エチレングリコールジメタ クリレート、エチレングリコールジアクリレ ート、グリセロールジメタクリレート、グリ セロールジアクリレート、テトラメチレング リコールジメタクリレート、ペンタエリスリ トールテトラメタクリレート及びジビニルベ ンゼンがある。二重結合を2個以上有するラ カル重合性化合物とともに、二重結合を1個 するラジカル重合性化合物(以下「1官能モ マー」という。)を適宜併用することができ 。この1官能モノマーとしては、メチルメタ クリレート、エチルメタクリレート、ブチル メタクリレート、オクチルメタクリレート及 び2-エチルヘキシルメタクリレート等のアル ルメタクリレート、メチルアクリレート、 チルアクリレート、ブチルアクリレート、 クチルアクリレート及び2-エチルヘキシル クリレート等のアルキルアクリレート、並 にスチレンがある。

 上記の二段膨潤重合法又は多段膨潤重合 は、フタル酸ジブチル等の膨潤助剤により リスチレン等の膨潤可能なポリマーの粒子 膨潤させることと、膨潤した粒子を鋳型分 、機能性モノマー、架橋剤(必要に応じて1 能モノマーを併用する)及び重合開始剤とと に溶媒に懸濁させ、粒子をさらに膨潤させ 後、昇温して機能性ポリマーを架橋剤と共 重合させることとを含む。重合開始剤は、 潤助剤又は架橋剤に予め溶解しておくこと 好ましい。

 上記の膨潤助剤は、フタル酸ジブチルに 表されるようにポリマーの可塑剤として知 れるものが好ましい。膨潤助剤として、1官 能モノマー、架橋剤、非水溶性の有機溶剤を 使用してもよい。

 上記の溶媒としては、水又は水性溶媒が ましい。水性溶媒としては、水と水溶性有 溶媒との混合溶媒がある。水溶性有機溶媒 しては、例えば、メタノール、エタノール びイソブチルアルコール等のアルコール、 セトン、メチルエチルケトン及びシクロヘ サノン等のケトン、並びに、ジイソプロピ エーテル及びジブチルエーテル等のエーテ が挙げられる。また、粒子その他の成分を く懸濁させるために、溶媒にポリビニルア コール等の高分子分散剤及び陰イオン界面 性剤等の界面活性剤を添加することが好ま い。また、上記のポリマーの粒子や架橋剤 と共にベンゼン、トルエン、キシレン、シ ロヘキサン及びヘキサン等の非水溶性の有 溶剤を併用することにより、多孔性の粒子 インプリントポリマーを得ることができる インプリントポリマーが多孔性であると、 的物質の吸着サイトが多く露出することと り好ましい。重合開始剤や界面活性剤とし は、後記するものが使用できる。

 多段膨潤重合法として、ポリマーの粒子 、膨潤助剤による膨潤、非水溶性の有機溶 による膨潤、及び架橋剤による膨潤を順次 い、その後重合を行ってもよい。この場合 重合前の任意の時点から溶媒(水または水性 溶媒)に粒子を懸濁させることができる。

 以上のような、分子鋳型の製造に利用さ るいずれの重合法においても、重合の最終 階又はその終了後さらに、官能基を有する1 官能モノマーを添加しこれを重合させて、分 子鋳型を表面修飾することができる。このよ うな官能基を有する1官能モノマーとしては 上記機能性モノマーと同様のものが使用で る。これにより、官能基を表面に有するイ プリントポリマー粒子が得られる。この官 基を使用して、インプリントポリマーの担 体への吸着又は結合を容易にすることがで る。例えば、官能基を有する1官能モノマー して、カルボキシル基を有する1官能モノマ ーを使用して得たインプリントポリマーを、 多孔体を形成する高分子物質としてのエチレ ン-酢酸ビニル共重合体と組合わせた場合、 ンプリントポリマーのカルボキシル基とエ レン-酢酸ビニル共重合体のアセチル基とで ステル交換反応させることにより、多孔体 インプリントポリマーを結合させることが きる。これにより多孔体にインプリントポ マーを担持させることができる。

 分子鋳型、イオン交換樹脂等の機能性充 材(機能性高分子粒子)は、その機能を十分 発揮させるために、多孔体の連続気泡の壁 に露出していることが好ましい。そのため は、機能性充填材を構成する高分子化合物 多孔体を構成する高分子物質との溶解度パ メータの差は好ましくは1以内、より好まし は0.5以内である。これにより、機能性充填 を均一に分散させて、機能性充填材の多孔 表面への露出が容易に確保される。あるい 、溶解度パラメータの差を、これらの範囲 として、すなわち溶解度パラメータの差を0 .5又は1より大きくすることにより機能性高分 子粒子と高分子物質とが混ざり難くしてもよ い。この場合、多孔体の壁面に機能性高分子 粒子を吸着や化学結合などの相互作用により つなぎ止めるようにすれば、より少量の機能 性高分子粒子の使用でより大きな効果を発揮 させることができる。そのために、機能性高 分子粒子の表面を、多孔体を構成する高分子 物質と相互作用し得る官能基で表面修飾する ことが好ましい。係る観点等から、機能性高 分子粒子は、多孔体を構成する高分子物質と の反応性を有する官能基をその表面に有して いることが好ましい。この官能基としては例 えばカルボキシル基がある。

 機能性充填材として、機能性高分子粒子 ある分子鋳型を用いる場合、発泡剤及び気 形成剤のうちいずれか一方のみを用いても いし、両方を用いてもよい。発泡剤を用い いときは、架橋剤及び架橋助剤も用いなく もよい。

 機能性高分子粒子の大きさは任意である 、その最大粒径が0.1~1000μmであることが好 しい。また、機能性充填材の量は、多孔体 構成する高分子物質100重量部に対して、0.1~3 00重量部であることが好ましく、0.5~200重量部 であることがさらに好ましい。

 多孔体を得るための組成物の好適な配合比 以下に示す。以下に示す各配合比において 括弧内の数値範囲はさらに好ましい範囲で る。また、以下のいずれの組成においても 混練作業性を改善するために分散剤を追加 てもよいことは言うまでもない。
高分子物質 100重量部
第一気孔形成剤 50~400重量部(100~350重量部)
分解型発泡剤 1~50重量部(3~20重量部)
分散剤 0~3重量部(0.1~1重量部)
架橋剤 0~5重量部(0.2~2重量部)
架橋助剤 0~2重量部(0~1.5重量部)

 また、第二気孔形成剤を用いる場合には、 記のような配合比が好ましい。
高分子物質 100重量部
第一気孔形成剤 40~450重量部(80~300重量部)
第二気孔形成剤 20~450重量部(40~300重量部)
分解型発泡剤 1~50重量部(3~20重量部)
分散剤 0~3重量部(0.1~1重量部)
架橋剤 0~5重量部(0.2~2重量部)
架橋助剤 0~2重量部(0~1.5重量部)

 機能性充填材を用いる場合には、下記のよ な配合比が好ましい。
高分子物質 100重量部
第一気孔形成剤 50~400重量部
分解型発泡剤 1~50重量部(100~350重量部)
機能性充填材 0.1~300重量部(0.5~200重量部)
 またこの場合、下記のような配合比でもよ 。
高分子物質 100重量部
第一気孔形成剤 50~400重量部(100~350重量部)
分解型発泡剤 1~50重量部(3~20重量部)
分散剤 0~3重量部(0.1~1重量部)
架橋剤 0~5重量部(0.2~2重量部)
架橋助剤 0~2重量部(0~1.5重量部)
機能性充填材 0.1~300重量部(0.5~200重量部)

 更に、第二気孔形成剤を用いる場合、下記 ような配合比が好ましい。
高分子物質 100重量部
気孔形成剤の第1の成分 40~450重量部(80~300重 部)
気孔形成剤の第2の成分 20~450重量部(40~300重 部)
分解型発泡剤 1~50重量部(3~20重量部)
機能性充填材 0.1~300重量部(0.5~200重量部)
 またこの場合、下記のような配合比でもよ 。
高分子物質 100重量部
第一気孔形成剤 40~450重量部(80~300重量部)
第二気孔形成剤 20~450重量部(40~300重量部)
分解型発泡剤 1~50重量部(3~20重量部)
分散剤 0~3重量部(0.1~1重量部)
架橋剤 0~5重量部(0.2~2重量部)
架橋助剤 0~2重量部(0~1.5重量部)
機能性充填材 0.1~300重量部(0.5~200重量部)

 気孔形成剤が少なすぎると気孔率が低下 る傾向がある。気孔形成剤が多すぎると気 率が大きくなりすぎて、機械的強度や成形 が低下する傾向がある。また、第二気孔形 剤は溶融混練時に溶融する改質剤的な役目 担うため、第一気孔形成剤を第二気孔形成 よりも多く含有させることができる。発泡 が少なすぎると実質的に発泡せず、多すぎ と外観不良等の原因となる。

 組成物及びこれを用いて得られる成形物 おいて、第一気孔形成剤及び第二気孔形成 の合計量は、成形物全体に対して好ましく 40~90容積%、より好ましくは50~85容量%である とが好ましい。この合計量が40容積%未満で 、抽出時間が長時間化する傾向があり、85 積%を越えると得られる多孔体の機械的強度 成形性が低下する傾向がある。

 組成物は、界面活性剤を含有していてもよ 。これにより、水又は水性溶媒によって気 形成剤を抽出するときに、抽出を更に効率 く行うことができる。界面活性剤としては 陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤 及び非イオン界面活性剤のいずれでもよい 陰イオン界面活性剤としては例えば、ドデ ルベンゼンスルホン酸ナトリウムの如きア キルベンゼンスルホン酸塩、アルキル基に 接SO 3 Na基が付加したアルキルスルホン酸塩、ナフ リンにSO 3 Na基が付加したβ-テトラヒドロナフタリンス ホン酸塩、及びオレイン酸ナトリウム等の 級脂肪酸塩が使用される。陽イオン界面活 剤としては、トリアルキルベンジルアンモ ウム塩、及びテトラアルキルアンモンジウ 塩等がある。非イオン界面活性剤としては ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポ オキシエチレンアルキルフェニルエーテル ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリ キシエチレンアルキルアミン脂肪酸エステ 、アルキルジエタノールアミン、ヒドロキ アルキルモノエタノールアミン、及びアル ジエタノールアマイド等がある。界面活性 の量は、高分子物質100重量部に対して、0~5 量部であることが好ましく、0.5~3重量部で ることがより好ましい。

 多孔体を得るための組成物は、以上のよ な成分の他、溶融混練の効率を上げること の目的のために、本発明の趣旨を逸脱しな 範囲で、酸化防止剤、金属劣化防止剤、紫 線吸収剤、アンチブロッキング剤、及び顔 等を必要に応じて添加することができる。

 混練工程において、高分子物質、気孔形 剤及び分解型発泡剤を含有する組成物を高 子物質を溶融させながら溶融混練する。溶 混練は、熱可塑性樹脂や熱可塑エラストマ の溶融混練のために一般的に用いられる方 により行うことができる。具体的には、混 ロール、ヘンシェルミキサー、単軸押出機 は二軸押出機を用いて溶融混練を行うこと できる。混練後の混練物は、必要によりペ ット状にカッティングされる。

 第一気孔形成材を用いる場合、高分子物 の融点Ma以上、且つ、第一気孔形成剤の融 Mb及び分解型発泡剤の分解温度Mdのうち低い 度よりも低い温度で組成物を溶融混練する とが好ましい。これにより粉末状又は粒子 の第一気孔形成剤が均一に分散した混練物 容易に得ることができる。

 成形工程において、溶融混練により得ら た混練物は成形物に賦形される。言い換え と、混練物を成形して成形物を得る。成形 程は混練工程と同時又はその後で行われる 混練物は、シート状、フィルム状、矩形状 円筒状、円柱状、及び角柱状等の任意の形 に成形される。成形方法は、必要な成形物 形状等に応じて決められる。シート状の成 物は、プレス成形法、カレンダー成形法、 は押出成形法によって得ることができる。 筒形、円柱形、及び角柱形の成形物は押出 形法によって得ることができる。その他任 の3次元形状の成形物は、射出成形法によっ て得ることができる。3次元形状の成形物は 混練物を一旦シート状の成形した後、真空 形法、圧空成形法等により3次元形状に賦形 る方法によって得ることもできる。

 発泡工程において、混練物から得られた 形物(充実成形物)を加熱して発泡させる。 泡工程は、成形物を、成形物中に練り込ま た分解型発泡剤の分解温度まで昇温するこ によって行われる。昇温はたとえば高温槽 行われる。昇温時には、成形物は柔らかく って敷物にくっついてしまうことがある。 にシート状の成形物の場合は敷物にくっつ 易い。そのため、フッ素樹脂シート等の離 性を有するシート上に成形物を載せて成形 を発泡させることが好ましい。また、3次元 状の成形物の場合、型くずれしないよう適 な治具に成形物を担持させることが好まし 。

 抽出工程において、発泡させた成形物か 、気孔形成剤を溶解する溶媒を用いて気孔 成剤を抽出する。上記溶媒は、高分子物質 実質的に溶解せず、気孔形成剤を溶解する 独の溶媒または混合溶媒であれば特に限定 れず、高分子物質及び気孔形成剤の種類に って適宜選択される。ただし、環境への影 等の配慮から水又は水性溶媒(水性媒体)が ましい。

 水性溶媒としては、水と水溶性有機溶媒 の混合溶媒が用いられる。水溶性有機溶媒 しては、例えば、メタノール、エタノール びイソブチルアルコール等のアルコール、 セトン、メチルエチルケトン及びシクロヘ サノン等のケトン、並びに、ジイソプロピ エーテル及びジブチルエーテル等のエーテ が挙げられる。水溶性有機溶媒の比率は溶 全体で50質量%以下が好ましい。

 抽出は、槽中に収容された液温が常温~60 の水又は水性溶媒に発泡工程後の成形物を 漬する方法によって行うことができる。こ 際、溶媒をスクリュー等で攪拌したり、高 子物質がエラストマー材料のように伸縮性 有する材料である場合は成形物を2本ロール 等に通して絞り加工を繰り返すと、抽出時間 を短くすることができる。

 抽出時間は、成形物の厚さ、発泡倍率等 よって変わるが、通常、10~200時間の範囲で ばれる。抽出後、成形物に付着している溶 を乾燥して、連続気泡が形成された多孔体 得られる。

 本実施形態に係る方法において、高分子 質、気孔形成剤、及び分解型発泡剤等の種 及びその量と、製造条件を適宜調整するこ により、各種の孔径で、各種の気孔率を有 る多孔体を得ることができる。特に、本実 形態によれば高い気孔率を有する多孔体を 時間で容易に得ることができる。

 発泡工程において、成形物が発泡する。 泡により、発泡前と比較して膨張した成形 が得られる。例えば、高分子物質が40容積% 気孔形成剤の合計量が60容積%である組成物 成形して得た3mLの体積を有する成形物の場 、発泡工程を経ずに抽出のみによって多孔 を形成させると、60容積%(1.8mL)の気孔形成剤 が抽出されて、残り40容積%(1.2mL)の高分子物 によって形成された、見かけの体積が3mLの 孔体(気孔率60容積%)が得られる。これに対し て、上記と同様の3mLの組成物を発泡工程によ り見かけの体積が4mLになるまで膨張させた場 合、抽出後、1.2mLの高分子物質によって形成 れた、見かけの体積が4mL(気孔率70容積%)の 孔体が得られる。すなわち、発泡工程を経 ことにより、発泡工程がない場合に見かけ 体積が3mLの多孔体が得られる組成物と同じ の高分子物質を用いて、見かけの体積が4mL 多孔体が得られる。

 このことからも明らかなように、本発明 は、第一に、発泡工程を加えることによっ 、発泡工程を含まない従来法では成形性の 点より成形が難しい気孔率の高い多孔体が られる。第二に、抽出量が少なくすれば、 来法と同じ気孔率の多孔体を、より安価に 造することができる。

 第三に、充実な成形物を抽出するという とは、滑らかな表面から、順次内部へと溶 しながら抽出することになり、抽出時間が くかかるのに対して、発泡体を抽出する場 、内部の気泡へと気泡を伝って溶解しなが 抽出されるため、抽出時間が短くて済む長 がある。

 本実施形態に係る方法によれば、50~90容 %の気孔率を有する多孔体を容易に作製可能 あり、更には、80~90容積%という従来にない い気孔率を有する多孔体を得ることも可能 ある。また、抽出によって形成される気泡 連続気泡であり、高い気孔率で、且つ、連 気泡が形成された多孔体が得られる。連続 泡が形成されることから、通水性に優れた 孔体を得ることができる。

 本実施形態に係る方法によって得られた 孔体は、連続気泡タイプである。係る多孔 は、通気性、及び通水性に優れることから 各種濾過材、イオン交換体の母材などに好 に用いることができる。また、含水性も優 ることから、係る多孔体を化粧用パフ材、 鑑の朱肉材、生け花等の水分補給材等にも いることができる。さらに、係る多孔体は 防音材、保温材、衝撃緩衝材、制振材、及 クッション材等に好適に用いることもでき 。

 円柱状の多孔体は、例えばイオン交換能 有するモノリス型カラムとしての応用が可 である。本発明によれば、高い開孔率を有 るモノリス型カラムを短時間に作製するこ が可能になる。また、例えば、円柱状の多 体の一端を植木鉢の土中に差し込み、他の 端を植木鉢の脇に置いた水層中の水に差し むと、水が毛細管現象によって多孔体中を 動することにより、植木鉢に水を供給する とができる。すなわち、多孔体を給水用に いることができる。

 円柱状の多孔体は、例えば、上述の組成 の円柱状の成形物を、該成形物の直径より 大きな内径を有する管状容器内に配する工 と、管状容器内の成形物を加熱により発泡 せる工程と、発泡した成形物から気孔形成 を抽出する工程とを備える方法によって、 製することができる。また、上記の発泡さ る工程の後、発泡した成形物を管状容器か 取り出す工程と、発泡した成形物から気孔 成剤を抽出する工程と、抽出後の発泡成形 を管状容器に収容する工程と、を備える方 によって円柱状の多孔体を得ることができ 。管状容器としては、例えば、ガラス管、 ラスチックチューブ、鋼管等が用いられる

実施例1
 高分子物質として、エチレン-酢酸ビニル共 重合体(三井・デュポンポリケミカル株式会 製、商品名:エバフレックスP1007、融点94℃)10 0重量部を、第一気孔形成剤としてペンタエ スリトール(広栄化学工業株式会社製、品名: ペンタリット、融点254℃)225重量部を、第二 孔形成剤としてポリエチレンオキシド(住友 化株式会社製、商品名:PEO-18Z、融点65℃)225 量部を、発泡剤としてアゾジカルボンアミ (大塚化学株式会社製、商品名:ユニフォーム AZ、分解温度199℃)9重量部を用い、これらと もに、界面活性剤(花王株式会社製商品名:エ レクトロストリッパーTS-5)1重量部及び架橋剤 (日本油脂株式会社製商品名:パークミル)0.8重 量部をロール混練(混練温度:150℃)した。混練 物を、プレス成形機(型締め力50トン)を用い 150℃で5分間加熱した後、冷却して、250mm×250 mm×厚さ3mmのシート状の成形物を得た。その 、該成形物を高温槽中のフッ素樹脂シート に置き、230℃で5分間の加熱により成形物を 泡させた。

 発泡済みの成形物を水槽内の40℃の水に 漬し、表1の実施例1の抽出時間欄に示す抽出 時間の間、水を攪拌機で攪拌しつつ気孔形成 剤を抽出した。抽出後、成形物を40℃で24時 乾燥炉中で乾燥させて、連続気泡が形成さ た多孔体を得た。

実施例2
 発泡剤の量を4.5重量部に変えたこと以外は 施例1と同じ方法で連続気泡が形成された多 孔体を得た。

実施例3
 第一気孔形成剤の量を100重量部、第二気孔 成剤の量を100重量部に変えたこと以外は実 例1と同じ方法で連続気泡が形成された多孔 体を得た。

実施例4
 発泡剤の量を4.5重量部に変えたこと以外は 施例3と同じ方法で連続気泡が形成された多 孔体を得た。

実施例5
 成形物の厚さを10mmに変えたこと以外は実施 例1と同じ方法で連続気泡が形成された多孔 を得た。

実施例6
 発泡剤の量を4.5重量部に変えたこと以外は 施例5と同じ方法で連続気泡が形成された多 孔体を得た。

比較例1
 高分子物質としてエチレン-酢酸ビニル共重 合体(三井・デュポンポリケミカル株式会社 、商品名:エバフレックスP1007)100重量部を、 一気孔形成剤としてペンタエリスリトール( 広栄化学工業株式会社製、商品名:ペンタリ ト)225重量部を、第二気孔形成剤としてポリ チレンオキサイド(住友精化株式会社製、商 品名:PEO-18Z)225重量部を用い、これらとともに 、界面活性剤(花王株式会社製商品名:エレク ロストリッパーTS-5)1重量部、及び架橋剤(日 本油脂株式会社製商品名:パークミル)0.8重量 をロール混練(混練温度:150℃)した。混練物 、プレス成形機(型締め力50トン)を用いて、 150℃で5分間加熱した後、冷却して、250mm×250m m×厚さ3mmの成形物を得た。

 その後、該成形物を水槽内の40℃の水に 漬し、表1に示す抽出時間の間、水を攪拌機 攪拌しつつ気孔形成剤を抽出した。槽内の4 0℃の水に浸漬し、表1の実施例1の抽出時間欄 に示す抽出時間の間、水を攪拌機で攪拌しつ つ気孔形成剤を抽出した。抽出後、成形物を 40℃で24時間乾燥炉中で乾燥させて、多孔体 得た。

比較例2
 第一気孔形成剤の量を100重量部、第二気孔 成剤の量を100重量部に変えたこと以外は比 例1と同じ方法で多孔体を得た。

比較例3
 成形物の厚さを10mmに変えたこと以外は比較 例1と同じ方法で多孔体を得た。

 実施例及び比較例で得られた多孔体の気孔 及び通水性の測定結果を表1に示す。気孔率 及び通水性の測定は抽出前及び所定の時間の 抽出後の成形体に関して以下の手順で行った 。
(1)気孔率(容積%)
 東京サイエンス株式会社製空気比較式比重 1000型を用いて、真空中での多孔体の容積V1 測定し、V1および多孔体の縦、横及び高さ 法から算出される容積Vから、下記式により 孔率を算出した。
多孔体の気孔率=(1-(V1/V))×100[容積%]
(2)通水性
 図1は通水性の測定装置を示す模式図である 。多孔体1を、東洋濾紙株式会社製濾過用フ ルターホルダー(内径35mm)2と、同じく内径35mm の口を有する容器3との間に挟み、クランプ4 挟持した。容器3の接続口5を減圧ポンプに 続し、容器内の空気を矢印Aの方向に吸引し 、容器内を10cmHgまで減圧した。減圧を継続 つつフィルターホルダー2に50mLの純水を供 し、その純水を多孔体1を通過して容器3内に 移動させた。純水を供給してからフィルタホ ルダー2内に純水がなくなるまでの時間(秒)を 通水性の指標として測定した。

 図2は、実施例1、実施例2及び比較例1の気 孔率と抽出時間との関係を示すグラフである 。これらの結果から、発泡工程を経て作製さ れた実施例1及び実施例2の多孔体では、抽出 間がほぼ15時間程度の段階で、気孔率が飽 するまで抽出できており、しかもその気孔 は85容積%以上に達している。一方、発泡工 を経ずに得られた比較例1の多孔体では、抽 が完了するまでほぼ60~80時間程度を要した 更に、比較例1の気孔率は80容積%程度であり 実施例1、2の85容積%と比較して低いレベル 留まっている。

 また、発泡工程を経て作製された実施例1 、2の多孔体の通水時間は短く、これら多孔 は非常に良好な通水性を示している。一方 発泡工程を経ずに作製された比較例1の多孔 の通水時間は長く、その通水性も実施例1、 2と比較して劣っていた。

 図3は、実施例3、実施例4及び比較例2の気 孔率と抽出時間との関係を示すグラフである 。これらの結果から、発泡工程を経て作製さ れた実施例3及び実施例4の多孔体では、抽出 間がほぼ20時間程度の段階で、気孔率が飽 するまで抽出できており、しかもその気孔 は80容積%以上に達している。一方、発泡工 を経ずに作製された比較例2の多孔体では、 出時間が90時間でも気孔率は65容積%程度に か達していない。

 図4は、実施例5、実施例6及び比較例3の気 孔率と抽出時間との関係を示すグラフである 。これらの結果から、発泡工程を経て作製さ れた実施例5及び実施例6の多孔体では、抽出 間が40時間程度の段階で、気孔率がほぼ飽 するまで抽出できており、その気孔率は80容 積%前後に達している。一方、発泡工程を経 に作製された比較例3の多孔体では、抽出が 了するまで90時間以上を要した。

 以下のようにして、ビスフェノールAを標 的物質とする分子鋳型である参考例1~4の機能 性高分子粒子を作製した。

参考例1:機能性高分子粒子(高分子化合物を用 いた分子鋳型)の製造(重合方法:ポリスチレン 粒子を使用したシード重合)
 平均粒度1μmのポリスチレン粒子6.9g、膨潤 剤(フタル酸ジブチル)4.5g、界面活性剤:ドデ ル硫酸ナトリウム0.7g及び水40gの混合物中に 、エチレングリコールジメタクリレート/4-ビ ニルピリジン/パラターシャリーブチルフェ ール/(モル比40/8/1)の混合物63.9g、重合開始剤 (2,2’-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル)3 .2g、ポリビニルアルコール25.9g、ドデシル硫 ナトリウム2.2g、トルエン47.0g、水320gを均一 に分散したものを添加し、360分間25℃で攪拌 、ポリスチレン粒子の膨潤を行い、その後5 0℃に昇温して240分間重合を行った。240分経 後、粒子をメタクリル基により表面修飾す ためにメタクリル酸を2.4g添加し、引き続き6 00分間重合を行った。この後、重合体を濾過 分離し、反応物を水、メタノール、テトラ ドロフランで洗浄し、パラターシャリーブ ルフェノールを除去した。得られた機能性 分子粒子(分子鋳型)の平均粒径は5μmであっ 。また、この分子鋳型の溶解度パラメータ 前述の式による計算の結果9.9であった。

参考例2:機能性高分子粒子(スチレン-ジビニ ベンゼン共重合体粒子)の製造
 エチレングリコールジメタクリレート/4-ビ ルピリジン/パラターシャリーブチルフェノ ールの混合物63.9gに代えて、スチレン/ジビニ ルベンゼン/(モル比1/1)の混合物48.6gを用いた と以外は参考例1と同様に重合を行った。重 合240分経過後のメタクリル酸の添加は行わな かった。その他は参考例1と同様にして、ス レン-ジビニルベンゼン共重合体粒子を製造 た。得られた共重合体粒子の平均粒径は4.5 mであった。また、共重合体粒子(分子鋳型) 溶解度パラメータは前述の式による計算の 果7.2であった。

参考例3:機能性高分子粒子(エチレングリコー ルジメタクリレート重合体粒子)の製造
 エチレングリコールジメタクリレート/4-ビ ルピリジン/パラターシャリーブチルフェノ ールの混合物63.9gに代えて、エチレングリコ ルジメタクリレート55.1gを用いたこと以外 参考例1と同様に重合を行った。重合240分経 後のメタクリル酸の添加を行わなかった。 の他は参考例1と同様にして、エチレングリ コールジメタクリレート重合体粒子を製造し た。得られた重合体粒子の平均粒径は5μmで った。また、重合体粒子(分子鋳型)の溶解度 パラメータは、前述の式による計算の結果7.7 であった。

参考例4:機能性高分子粒子(グリセロールジメ タクリレート重合体粒子)の製造
 エチレングリコールジメタクリレート/4-ビ ルピリジン/パラターシャリーブチルフェノ ールの混合物63.9gに代えて、グリセリンジメ クリレート55.6gを用いたこと以外は参考例1 同様に重合を行った。重合240分経過後のメ クリル酸の添加を行わなかった。その他は 考例1と同様にして、グリセロールジメタク リレート重合体粒子(分子鋳型)を製造した。 られた重合体粒子の平均粒径は4.5μmであっ 。重合体粒子の溶解度パラメータは前述の による計算の結果8.3であった。

実施例7
 高分子物質としてエチレン-酢酸ビニル共重 合体(三井・デュポンポリケミカル株式会社 、商品名:エバフレックスP1007、密度0.93g/ml、 溶解度パラメータ:8.5)100重量部を、第一気孔 成剤としてペンタエリスリトール(広栄化学 工業株式会社製、商品名:ペンタリット)225重 部を、第二気孔形成剤としてポリエチレン キシド(住友精化株式会社製、商品名:PEO-18Z) 225重量部を、発泡剤としてアゾジカルボンア ミド(大塚化学株式会社製、商品名:ユニフォ ムAZ)4.5重量部を用い、これらととともに、 面活性剤(花王株式会社製商品名:エレクト ストリッパーTS-5)1重量部、架橋剤(日本油脂 式会社製商品名:パークミル)0.8重量部及び 記参考例1で得られた分子鋳型5重量部をロー ル混練(混練温度:150℃)した。混練物を、プレ ス成形機(型締め力50トン)を用いて150℃で5分 加熱した後、冷却して、250mm×250mm×厚さ3mm シート状の成形物を得た。得られた成形物 高温槽中のフッ素樹脂シート上に置き、230 で5分間の加熱により発泡させた。

 その後、該成形物を水槽内の40℃の水に 漬し、90時間の間、水を攪拌機で攪拌しつつ 気孔形成剤を抽出した。抽出後、成形物を40 で24時間乾燥炉中で乾燥させて、連続気泡 形成された多孔体を得た。

実施例8
 分子鋳型の量を2重量部に変えたこと以外は 実施例7と同じ方法で多孔体を得た。

実施例9
 分子鋳型の量を1重量部に変えたこと以外は 実施例7と同じ方法で多孔体を得た。

実施例10
 分子鋳型の量を0重量部に変えたこと以外は 実施例7と同じ方法で多孔体を得た。

 実施例7~10の多孔体を使用し、以下の手順 でビスフェノールAの吸着等温線を作成した 吸着等温線はフロインドリッヒの吸着等温 (JIS Z 8830)を用いて作成した。

 水にビスフェノールAを0.013g/Lの濃度で溶 させた水溶液を準備し、これを吸着試料と て用いた。実施例7~10で得られたそれぞれの 多孔体(吸着材)を、2重量%から0.004重量%まで 範囲で8~9点の異なる濃度となるように吸着 料100mLに加え、5分間超音波振動を与えた後 20時間攪拌を行った。その後、ビスフェノー ルAの多孔体による吸着量を測定した。吸着 は、吸着試料中のビスフェノールA残留濃度 ら求めた。残留濃度は、下記条件の液体ク マトグラフィーによる分析を行い、別途調 した標準サンプルとの面積比に基づいて求 た。得られた吸着量からフロインドリッヒ 吸着等温式(JIS Z 8830)を求めた。その結果 表1に示す。

(液体クロマトグラフィー条件)
カラム:Shimpak VP-ODS (島津製作所(株)、4.6mm(I.D .)×150mm)
流速 :0.8mL/min
温度 :40℃
検出器:UV220nm
移動相:アセトニトリル:水=6:4

 上記表中、「C」はビスフェノールAの平 時の残留濃度(g/L)である。上記吸着等温式に より、ビスフェノールAの平衡時溶液中の残 濃度に対する吸着材1gに対するビスフェノー ルAの吸着量(mg)がわかる。

 吸着率が50%、すなわちビスフェノールAの 残留濃度が0.0065g/L(C=0.0065)となるときの吸着 は、表3のように算出される。

 表3の結果より、多孔体中への分子鋳型の 導入による吸着性能の増大は明らかである。 分子鋳型の量を1重量部、2重量部及び5重量部 とすることにより、それぞれ、分子鋳型を用 いない実施例10と比較して約2倍、約3倍及び 9倍の吸着性能が発現された。

 実施例7~9の多孔体の断面を電子顕微鏡写 (1000倍)で観察した。図5、6及び7は、それぞ 、実施例7、8及び9で得られた多孔体の断面 示す電子顕微鏡写真(倍率1000倍)である。い れの多孔体においても、細孔壁面に付着す 機能性充填材(分子鋳型)の粒子が観察され 。実施例7、実施例8及び実施例9の順に機能 充填材(分子鋳型)の粒子がより多く観察され た。本実施例の場合、分子鋳型と多孔体を構 成する高分子物質の溶解度パラメータとの差 が1.4である。分子鋳型の表面には表面修飾に よりカルボキシル基が存在しており、これが 多孔体を構成する高分子物質と相互作用する ことにより、分子鋳型の粒子が多孔体表面に つなぎ止められていると考えられる。

 更に、参考例1で得られた分子鋳型の量を 10重量部又は15重量部に変えたことの他は実 例7と同様の方法で得た多孔体の断面も電子 微鏡により観察したところ、分子鋳型の量 1重量部、2重量部、5重量部、10重量部及び15 重量部の順に、分子鋳型の粒子を多孔体表面 により多く観察することができた。

 図8は、実施例10で得られた多孔体の断面 示す電子顕微鏡写真(35倍、100倍、1000倍、200 0倍)である。当然であるが機能性充填材の粒 はは観察されない。

実施例11
 高分子物質として、エチレン-酢酸ビニル共 重合体(EVA、三井・デュポンポリケミカル株 会社製、商品名:エバフレックスP1007、密度0. 93g/ml、溶解度パラメータ8.5)100重量部を、第 気孔形成剤としてペンタエリスリトール(広 化学工業株式会社製、商品名:ペンタリット )225重量部を、第二気孔形成剤としてポリエ レンオキシド(住友精化株式会社製、商品名: PEO-18Z)225重量部を、発泡剤としてアゾジカル ンアミド(大塚化学株式会社製、商品名:ユ フォームAZ)4.5重量部を用い、これらととも 、界面活性剤(花王株式会社製商品名:エレク トロストリッパーTS-5)1重量部、架橋剤(日本 脂株式会社製商品名:パークミル)0.8重量部及 び参考例4で得られたグリセロールジメタク レート重合体粒子5重量部をロール混練(混練 温度:150℃)した。混練物を、プレス成形機(型 締め力50トン)を用いて150℃で5分間加熱した 、冷却して、250mm×250mm×厚さ3mmの成形物を得 た。得られた成形物を、高温槽中のフッ素樹 脂シート上に置き、230℃で5分間の加熱によ 発泡させた。

 その後、該成形物を水槽内の40℃の水に 漬し、表3の実施例4の抽出時間欄に示す抽出 時間(5~90時間)の間、水を攪拌機で攪拌しつつ 気孔形成剤を抽出した。抽出後、成形物を40 で24時間乾燥炉中で乾燥させて、連続気泡 形成された多孔体を得た。

実施例12
 高分子物質として、エチレン-酢酸ビニル共 重合体(EVA、三井・デュポンポリケミカル株 会社製、商品名:エバフレックスP1007、密度0. 93g/ml、溶解度パラメータ8.5)100重量部を、第 気孔形成剤としてペンタエリスリトール(広 化学工業株式会社製、商品名:ペンタリット )225重量部を、第二気孔形成剤としてポリエ レンオキシド(住友精化株式会社製、商品名: PEO-18Z)225重量部を、発泡剤としてアゾジカル ンアミド(大塚化学株式会社製、商品名:ユ フォームAZ)4.5重量部を用い、これらととも 、界面活性剤(花王株式会社製商品名:エレク トロストリッパーTS-5)1重量部、架橋剤(日本 脂株式会社製商品名:パークミル)0.8重量部及 び上記参考例3で得られたエチレングリコー ジメタクリレート重合体粒子5重量部をロー 混練(混練温度:150℃)した。混練物を、プレ 成形機(型締め力50トン)を用いて150℃で5分 加熱した後、冷却して、250mm×250mm×厚さ3mmの 成形物を得た。得られた成形物を高温槽中の フッ素樹脂シート上に置き、230℃で5分間の 熱により発泡させた。

 その後、該成形物を水槽内の40℃の水に 漬し、90時間、水を攪拌機で攪拌しつつ気孔 形成剤を抽出した。抽出後、成形物を40℃で2 4時間乾燥炉中で乾燥させて、連続気泡が形 された多孔体を得た。

実施例13
 高分子物質として、エチレン-酢酸ビニル共 重合体(EVA、三井・デュポンポリケミカル株 会社製、商品名:エバフレックスP1007、密度0. 93g/ml、溶解度パラメータ8.5)100重量部を、第 気孔形成剤としてペンタエリスリトール(広 化学工業株式会社製、商品名:ペンタリット )225重量部を、第二気孔形成剤としてポリエ レンオキシド(住友精化株式会社製、商品名: PEO-18Z)225重量部を、発泡剤としてアゾジカル ンアミド(大塚化学株式会社製、商品名:ユ フォームAZ)4.5重量部を用い、これらととも 、界面活性剤(花王株式会社製商品名:エレク トロストリッパーTS-5)1重量部、架橋剤(日本 脂株式会社製商品名:パークミル)0.8重量部及 び上記参考例2で得られたスチレン-ジビニル ンゼン共重合体粒子5重量部をロール混練( 練温度:150℃)した。混練物を、プレス成形機 (型締め力50トン)を用いて150℃で5分間加熱し 後、冷却して、250mm×250mm×厚さ3mmの成形物 得た。得られた成形物を高温槽中のフッ素 脂シート上に置き、230℃で5分間の加熱によ 発泡させた。

 その後、該成形物を水槽内の40℃の水に 漬し、90時間、水を攪拌機で攪拌しつつ気孔 形成剤を抽出した。抽出後、成形物を40℃で2 4時間乾燥炉中で乾燥させて、連続気泡が形 された多孔体を得た。

 図9、10及び11は、実施例11~13で得られた機 能性充填材入りの多孔体の断面の電子顕微鏡 写真である。各図中、右下は35倍、左下は100 、右上は1000倍、左上は2000倍の写真である 溶解度パラメータが多孔体を構成する高分 物質と最も良く近似するグリセロールジメ クリレート重合体粒子は、多孔体を構成す 高分子物質との溶解度パラメータの差がよ 大きいエチレングリコールジメタクリレー 重合体粒子及びスチレン-ジビニルベンゼン 重合体粒子と比べて、多孔体の細孔壁面に いてより多く観察された。

実施例14
 高分子物質として、ポリエチレン樹脂(旭化 成ケミカルズ株式会社製、商品名:サンテッ LD F2225、溶剤溶解性から実験的に求めた溶 度パラメータ8.1、融点112℃)100重量部を、第 気孔形成剤としてペンタエリスリトール(広 栄化学工業株式会社製、商品名:ペンタリッ )225重量部を、第二気孔形成剤としてポリエ レンオキシド(住友精化株式会社製、商品名 :PEO-18Z)225重量部を、発泡剤としてアゾジカル ボンアミド(大塚化学株式会社製、商品名:ユ フォームAZ)4.5重量部を用い、これらととも 、界面活性剤(花王株式会社製商品名:エレ トロストリッパーTS-5)1重量部、架橋剤(日本 脂株式会社製商品名:パークミル)0.8重量部 び上記参考例4で得られたグリセロールジメ クリレート重合体粒子5重量部をロール混練 (混練温度:150℃)した。混練物を、プレス成形 機(型締め力50トン)を用いて150℃で5分間加熱 た後、冷却して、250mm×250mm×厚さ3mmの成形 を得た。得られた成形物を高温槽中のフッ 樹脂シート上に置き、230℃で5分間の加熱に り発泡させた。

 その後、該成形物を水槽内の40℃の水に 漬し、表4の実施例4の抽出時間欄に示す抽出 時間(5~90時間)の間、水を攪拌機で攪拌しつつ 気孔形成剤を抽出した。抽出後、成形物を40 で24時間乾燥炉中で乾燥させて、連続気泡 形成された多孔体を得た。

実施例15
 高分子物質として、ポリエチレン樹脂(PE、 化成ケミカルズ株式会社製、商品名:サンテ ックLD F2225)100重量部を、第一気孔形成剤と てペンタエリスリトール(広栄化学工業株式 社製、商品名:ペンタリット)225重量部を、 二気孔形成剤としてポリエチレンオキシド( 友精化株式会社製、商品名:PEO-18Z)225重量部 、発泡剤としてアゾジカルボンアミド(大塚 化学株式会社製、商品名:ユニフォームAZ)4.5 量部を用い、これらとともに、界面活性剤( 王株式会社製商品名:エレクトロストリッパ ーTS-5)1重量部、架橋剤(日本油脂株式会社製 品名:パークミル)0.8重量部及び上記参考例3 得られたエチレングリコールジメタクリレ ト重合体粒子5重量部をロール混練(混練温度 :150℃)した。混練物を、プレス成形機(型締め 力50トン)を用いて150℃で5分間加熱した後、 却して、250mm×250mm×厚さ3mmの成形物を得た。 得られた成形物を高温槽中のフッ素樹脂シー ト上に置き、230℃で5分間の加熱により発泡 せた。

 その後、該成形物を水槽内の40℃の水に 漬し、90時間、水を攪拌機で攪拌しつつ気孔 形成剤を抽出した。抽出後、成形物を40℃で2 4時間乾燥炉中で乾燥させて、連続気泡が形 された多孔体を得た。

実施例16
 高分子物質として、ポリエチレン樹脂(PE、 化成ケミカルズ株式会社製、商品名:サンテ ックLD F2225)100重量部を、第一気孔形成剤と てペンタエリスリトール(広栄化学工業株式 社製、商品名:ペンタリット)225重量部を、 二気孔形成剤としてポリエチレンオキシド( 友精化株式会社製、商品名:PEO-18Z)225重量部 、発泡剤としてアゾジカルボンアミド(大塚 化学株式会社製、商品名:ユニフォームAZ)4.5 量部を用い、これらとともに、界面活性剤( 王株式会社製商品名:エレクトロストリッパ ーTS-5)1重量部、架橋剤(日本油脂株式会社製 品名:パークミル)0.8重量部及び上記参考例2 得られたスチレン-ジビニルベンゼン共重合 粒子5重量部をロール混練(混練温度:150℃)し た。続いて、プレス成形機(型締め力50トン) 用いて150℃で5分間加熱した後、冷却して、2 50mm×250mm×厚さ3mmの成形物を得た。得られた 形物を高温槽中のフッ素樹脂シート上に置 、230℃で5分間の加熱により発泡させた。

 その後、該成形物を水槽内の40℃の水に 漬し、90時間、水を攪拌機で攪拌しつつ気孔 形成剤を抽出した。抽出後、成形物を40℃で2 4時間乾燥炉中で乾燥させて、連続気泡が形 された多孔体を得た。

 図12、13及び14は、実施例14~16で得られた 能性充填材入り多孔体の断面を示す電子顕 鏡写真である。各図中、右下は35倍、左下は 100倍、右上は1000倍、左上は2000倍の写真であ 。実施例11~13と同様に、溶解度パラメータ 多孔体を構成する高分子物質と最も良く近 するグリセロールジメタクリレート重合体 子は、多孔体を構成する高分子物質との溶 度パラメータの差がより大きいエチレング コールジメタクリレート重合体粒子及びス レン-ジビニルベンゼン共重合体粒子と比べ 、多孔体の細孔壁面においてより多く観察 れた。

比較例4
 高分子物質として、エチレン-酢酸ビニル共 重合体(EVA、三井・デュポンポリケミカル株 会社製、商品名:エバフレックスP1007)100重量 を、第一気孔形成剤としてペンタエリスリ ール(広栄化学工業株式会社、製商品名:ペ タリット)225重量部を、第二気孔形成剤とし ポリエチレンオキサイド(住友精化株式会社 製、商品名:PEO-18Z)225重量部を用い、これらと ともに、界面活性剤(花王株式会社製商品名: レクトロストリッパーTS-5)1重量部、及び架 剤(日本油脂株式会社製商品名:パークミル)0 .8重量部をロール混練(混練温度:150℃)した。 練物を、プレス成形機(型締め力50トン)を用 いて150℃で5分間加熱した後、冷却して、250mm ×250mm×厚さ3mmの成形物を得た。

 その後、該成形物を水槽内の40℃の水に 漬し、表4の比較例2の抽出時間欄に示す抽出 時間(5~90時間)の間、水を攪拌機で攪拌しつつ 気孔形成剤を抽出した。抽出後、成形物を40 で24時間乾燥炉中で乾燥させて、連続気泡 形成された多孔体を得た。

比較例5
 高分子物質としてポリエチレン樹脂(PE、旭 成ケミカルズ株式会社製商品名:サンテック LD F2225)を用いたこと以外は、比較例4と同じ 法で多孔体を得た。

 実施例7~16及び比較例4、5で得られた多孔 の気孔率及び通水性を上述の方法で測定し 。測定結果を配合比等とともに表4に示す。

 図15は、実施例11及び比較例4における気 率と抽出時間との関係を示すグラフである 発泡工程を経て作製された実施例11の多孔体 では、抽出時間がほぼ15時間程度の段階で、 孔率が飽和するまで抽出できており、その 孔率は、機能性充填材が5質量部充填されて いるにも関わらず80容積%以上に達している。 一方、発泡工程を経ずに作製された比較例4 多孔体では、抽出率が飽和するまでに40~60時 間と長い時間を要することがわかる。また、 比較例4の気孔率は、機能性充填材が充填さ ていないにも関わらず、80容積%程度にしか しなかった。

 また、発泡工程を経て作製された実施例1 1の多孔体は、通水時間が短く、その通水性 非常に良好である。一方、発泡工程を経ず 作製された比較例4の多孔体は通水時間が長 、通水性が劣っていた。

 図16は、実施例14及び比較例5における気 率と抽出時間との関係を示すグラフである 発泡工程を経て作製された実施例14の多孔体 では、抽出時間がほぼ20時間の段階で、気孔 が飽和するまで抽出できており、その気孔 は、機能性充填材が5重量部充填されている のも関わらず80容積%以上に達している。一方 、発泡工程を経ずに作製された比較例5の多 体では、抽出率が飽和するまでに60~80時間と 長い時間を要することがわかる。また、比較 例5の気孔率は、機能性充填材が充填されて ないにも関わらず、77容積%程度であり、実 例14に比較して低かった。

 また、発泡工程を経て作製された実施例1 4の多孔体は、通水時間が短く、その通水性 非常に良好である。一方、発泡工程を経ず 作製された比較例4の多孔体は通水時間が長 、通水性が劣っていた。

 以上、総合的にみて、発泡剤を使用して 形物を抽出工程の前に発泡させた場合、発 工程がない場合と比較して気孔率が高くな ことがわかる。これは、発泡工程によって 形物が嵩高くなり、その分気孔率が高くな ためであると考えられる。すなわち、発泡 を使用して成形物を抽出工程の前に発泡さ ることによって、より少ない材料を用いて 短い抽出時間で高い気孔率の多孔体が得ら ることがわかる。これにより加工費を低く 制することが可能になる。更に、得られる 孔体は、通水性試験の結果から明らかなよ に、良好な通水性を有する連続気泡が形成 れた多孔体であることがわかる。

 実施例17
 高分子物質として、エチレン-酢酸ビニル共 重合体(三井・デュポンポリケミカル株式会 製、商品名:エバフレックスP1007、密度0.93g/mL 、溶解度パラメータ8.5)100重量部を、第一気 形成剤としてペンタエリスリトール(広栄化 工業株式会社製、商品名:ペンタリット)225 量部を、第二気孔形成剤としてポリエチレ オキシド(住友精化株式会社製、商品名:PEO-18 Z)225重量部を、発泡剤としてアゾジカルボン ミド(大塚化学株式会社製、商品名:ユニフ ームAZ)4.5重量部を用い、これらとともに、 面活性剤(花王株式会社製商品名:エレクトロ ストリッパーTS-5)1重量部、架橋剤(ジクミル ーオキシド)0.8重量部及び市販のゲル型強酸 陽イオン交換樹脂(架橋化ポリスチレンスル ホン酸ナトリウム型の陽イオン交換樹脂、粒 度範囲200~240μm(85%以上)、見かけ密度:805g/L、 分:52~55.5%)100重量部をロール混練(混練温度:15 0℃)した。

 得られた混練物を二軸押出機(スクリュー 径20mm)を用い、シリンダー温度150℃で押出成 して、直径3mmの円柱状成形物を得た。この 柱状成形物を長さ10cmに切断し、内径3.5mm、 径4.5mmのガラス管中に挿入した。ガラス管 挿入された円柱状成形物を恒温槽中に置き 230℃で5分間の加熱により発泡させた。発泡 、ガラス管を破壊して円柱状の発泡成形物 取り出した。

 その後、該成形物を水槽内の40℃の水に 漬し、90時間、水を攪拌機で攪拌しつつ気孔 形成剤を抽出した。抽出後、成形物を40℃で2 4時間乾燥炉中で乾燥させて、連続気泡が形 された多孔体を得た。

実施例18
 実施例17と同様にして得た混練物を、プレ 成形機(型締め力50トン)を用いて150℃で5分間 加熱及び加圧した後、冷却して、250mm×250mm× さ3mmのシート状の成形物を得た。得られた 形物を高温槽中のフッ素樹脂シート上に置 、230℃で5分間の加熱により発泡させた。

 その後、該成形物を水槽内の40℃の水に 漬し、90時間、水を攪拌機で攪拌しつつ気孔 形成剤を抽出した。抽出後、成形物を40℃で2 4時間乾燥炉中で乾燥させて、連続気泡が形 されたシート状の多孔体を得た。

 実施例17、18で得られた多孔体の気孔率及 びイオン交換容量を測定した。実施例18は通 性も測定した。イオン交換容量は、以下の 順で測定した。組成物の配合比と多孔体の 価結果を表5、6に示す。

イオン交換容量の測定方法
 約0.5gの試料を100mLビーカーに入れ、メタノ ル及び超純水を用いて10分間ずつの超音波 理を行った。その後、試料の水気を軽くき 、1.5M-塩酸水溶液20mLに試料を浸漬し、エア きのため攪拌棒で軽く表面を押しながら3時 超音波を印加した。この後、試料を取り出 、新たな1.5M-塩酸水溶液20mLに試料を浸漬し さらに前と同様に3時間超音波を印加した。 その後、超純水によって十分に洗浄してから 水をよくきって試料をシャーレに移し、一晩 真空乾燥を行った。乾燥した試料を100mLの三 フラスコに移し、そこに1M-塩化ナトリウム 溶液20mLを加え、フィルムで蓋をして超音波 を印加しながら試料を1M-塩化ナトリウム水溶 液に6時間浸漬した。次いで、指示薬として ェノールフタレイン0.1mLを加え、0.1M-水酸化 トリウム水溶液を用いて滴定を行った。0.1M -水酸化ナトリウム水溶液について0.01M-塩酸 溶液を用いてそのファクター値を求め、測 値の補正を行った。イオン交換能Qは下記式 より算出した。
イオン交換能Q[meq./g]=xyf/m
x:水酸化ナトリウム溶液の濃度[N]
y:滴定量[mL]
m:試料質量(乾燥質量)[g]
f:水酸化ナトリウム溶液のファクター値

 上記表に示されるように、機能充填剤と てイオン交換樹脂を用いたことにより、高 イオン交換能を有する円柱状又はシート状 多孔体が得られた。円柱状の多孔体はモノ ス型カラムとして有効に適用され得る。