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Patent Searching and Data


Title:
CELLULOSE ESTER FILM AND METHOD FOR PRODUCING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/102647
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a cellulose ester film satisfying the conditions (A-1), (A-2) and (A-3) below, which is characterized by containing an acrylic polymer having a negative refractive index at least with respect to the stretching direction and a polyester having a terminal aromatic group which has a number average molecular weight of not less than 300 but less than 2000. (A-1): 20 ≤ Ro ≤ 100 (A-2): 70 ≤ Rt ≤ 200 (A-3): 0.82 ≤ Ro(480)/Ro(630) ≤ 0.95 In the above formulae, Ro = (nx - ny) Œ d and Rt = ((nx+ ny)/2 - nz) Œ d (wherein nx represents the refractive index inthe in-plane slow axis direction of the cellulose ester film, ny represents the refractive index in the direction perpendicular to the in-plane slow axis direction, nz represents the refractive index in the thickness direction, and d represents the thickness (nm) of the cellulose ester film, with the wavelength being 590 nm; and Ro(480) and Ro(630) respectively represent Ro at a wavelength of 480 nm or 630 nm.)

Inventors:
TAKAGI TAKAHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/052035
Publication Date:
August 28, 2008
Filing Date:
February 07, 2008
Export Citation:
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Assignee:
KONICA MINOLTA OPTO INC (JP)
TAKAGI TAKAHIRO (JP)
International Classes:
C08J5/18; B29C41/24; C08L1/10; C08L33/04; C08L67/02; G02B5/30; G02F1/13363; B29K1/00; B29L7/00; B29L11/00
Domestic Patent References:
WO2007015369A12007-02-08
Foreign References:
JP2002040487A2002-02-06
JP2007016137A2007-01-25
JP2006257380A2006-09-28
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Claims:
下記式(A-1)~(A-3)を満たすセルロースエステルフィルムであって、少なくとも延伸方向に対して負の複屈折を示すアクリルポリマーおよび数平均分子量が300以上2000未満である芳香族末端ポリエステルを含有することを特徴とするセルロースエステルフィルム。
 (A-1) 20≦Ro≦100
 (A-2) 70≦Rt≦200
 (A-3) 0.82≦Ro(480)/Ro(630)≦0.95なお、 Ro=(nx-ny)×d
   Rt=((nx+ny)/2-nz)×d
(式中、nxはセルロースエステルフィルムの面内の遅相軸方向の屈折率を、nyは面内で遅相軸に直交する方向の屈折率を、nzは厚み方向の屈折率を、dはセルロースエステルフィルムの厚み(nm)をそれぞれ表す。波長は590nmである。Ro(480)、Ro(630)はそれぞれ波長480nm、630nmでのRoを表す。)
前記アクリルポリマーが、少なくとも分子内に芳香環と水酸基を有しないエチレン性不飽和モノマーXaと、分子内に芳香環を有さず水酸基を有するエチレン性不飽和モノマーXbとを共重合して得られた重量平均分子量5000以上30000以下のポリマーX、または、芳香環を有さないエチレン性不飽和モノマーYaを重合して得られた重量平均分子量500以上3000以下のポリマーYを含有することを特徴とする請求の範囲第1項に記載のセルロースエステルフィルム。
前記アクリルポリマーが、前記ポリマーX、および前記ポリマーYを含有することを特徴とする請求の範囲第2項に記載のセルロースエステルフィルム。
前記ポリマーXが下記一般式(1-1)で示され、前記ポリマーYが下記一般式(2-1)で示されることを特徴とする請求の範囲第2または3項に記載のセルロースエステルフィルム。
 一般式(1-1)
 -[CH 2 -C(-R1)(-CO 2 R2)]m-[CH 2 -C(-R3)(-CO 2 R4-OH)-]n-[Xc]p-
 一般式(2-1)
 -[CH 2 -C(-R5)(-CO 2 R6)]k-[Yb]q-
(式中、R1、R3、R5は、HまたはCH 3 を表す。R2、R6は炭素数1~12のアルキル基、シクロアルキル基を表す。R4は-CH 2 -、-C 2 H 4 -または-C 3 H 6 -を表す。Xcは、Xa、Xbに重合可能なモノマー単位を表す。Ybは、Yaに共重合可能なモノマー単位を表す。m、n、k、pおよびqは、モル組成比を表す。ただしm≠0、n≠0、k≠0、m+n+p=100、k+q=100である。)
前記数平均分子量が300以上2000未満である芳香族末端ポリエステルが、下記一般式(3)で表されるポリエステルであることを特徴とする請求の範囲第1~4項のいずれか1項に記載のセルロースエステルフィルム。
 一般式(3)
 B-(G-A)n-G-B
(式中、Bは芳香環を有するモノカルボン酸残基、Gは炭素数2~12のアルキレングリコール残基または炭素数6~12のアリールグリコール残基または炭素数が4~12のオキシアルキレングリコール残基、Aは炭素数4~12のアルキレンジカルボン酸残基または炭素数6~12のアリールジカルボン酸残基を表し、またnは1以上の整数を表す。)
セルロースエステル、負の複屈折を示すアクリルポリマー、分子量が300以上2000未満である芳香族末端ポリエステル並びに添加剤を溶剤に溶解させてドープを調製する工程、ドープを無限に移行する無端の金属支持体上に流延する工程、流延したドープをウェブとして乾燥する工程、乾燥したウェブを金属支持体から剥離する工程、剥離したウェブを延伸または幅保持する工程、更に乾燥する工程、仕上がったフィルムを巻取る工程、を有するセルロースエステルフィルムの製造方法であって、該セルロースエステルフィルムが下記式(A-1)~(A-3)を満たすことを特徴とするセルロースエステルフィルムの製造方法。
 (A-1) 20≦Ro≦100
 (A-2) 70≦Rt≦200
 (A-3) 0.82≦Ro(480)/Ro(630)≦0.95
なお、 Ro=(nx-ny)×d
   Rt=((nx+ny)/2-nz)×d
(式中、nxはセルロースエステルフィルムの面内の遅相軸方向の屈折率を、nyは面内で遅相軸に直交する方向の屈折率を、nzは厚み方向の屈折率を、dはセルロースエステルフィルムの厚み(nm)をそれぞれ表す。波長は590nmである。Ro(480)、Ro(630)はそれぞれ波長480nm、630nmでのRoを表す。)
前記アクリルポリマーが、少なくとも分子内に芳香環と水酸基を有しないエチレン性不飽和モノマーXaと、分子内に芳香環を有さず水酸基を有するエチレン性不飽和モノマーXbとを共重合して得られた重量平均分子量5000以上30000以下のポリマーX、または、芳香環を有さないエチレン性不飽和モノマーYaを重合して得られた重量平均分子量500以上3000以下のポリマーYを含有することを特徴とする請求の範囲第6項に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
前記アクリルポリマーが、前記ポリマーX、および前記ポリマーYを含有することを特徴とする請求の範囲第7項に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
前記ポリマーXが下記一般式(1-1)で示され、前記ポリマーYが下記一般式(2-1)で示されることを特徴とする請求の範囲第7または8項に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
 一般式(1-1)
 -[CH 2 -C(-R1)(-CO 2 R2)]m-[CH 2 -C(-R3)(-CO 2 R4-OH)-]n-[Xc]p-
 一般式(2-1)
 -[CH 2 -C(-R5)(-CO 2 R6)]k-[Yb]q-
(式中、R1、R3、R5は、HまたはCH 3 を表す。R2、R6は炭素数1~12のアルキル基、シクロアルキル基を表す。R4は-CH 2 -、-C 2 H 4 -または-C 3 H 6 -を表す。Xcは、Xa、Xbに重合可能なモノマー単位を表す。Ybは、Yaに共重合可能なモノマー単位を表す。m、n、k、pおよびqは、モル組成比を表す。ただしm≠0、n≠0、k≠0、m+n+p=100、k+q=100である。)
前記数平均分子量が300以上2000未満である芳香族末端ポリエステルが、下記一般式(3)で表されるポリエステルであることを特徴とする請求の範囲第6~9項のいずれか1項に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
 一般式(3)
 B-(G-A)n-G-B
(式中、Bは芳香環を有するモノカルボン酸残基、Gは炭素数2~12のアルキレングリコール残基または炭素数6~12のアリールグリコール残基または炭素数が4~12のオキシアルキレングリコール残基、Aは炭素数4~12のアルキレンジカルボン酸残基または炭素数6~12のアリールジカルボン酸残基を表し、またnは1以上の整数を表す。)
Description:
セルロースエステルフィルムお びその製造方法

 本発明は、液晶表示装置に使用される光 補償光学フィルムに関し、詳しくはレター ーションとその波長分散性を両立させたセ ロースエステルフィルムからなる光学補償 ィルムおよびその製造方法に関する。

 セルロースエステルフィルム、ポリカー ネートフィルム、ポリシクロオレフィンフ ルム等は、液晶表示装置用の光学フィルム して多く用いられている。

 セルロースエステルフィルムは光学的に 明性が高く、さらに複屈折性が低いことか 、液晶表示装置の偏光膜の保護フィルム(以 下、偏光板保護フィルムという)として主に 用され、ポリカーボネートフィルム、ポリ クロオレフィンフィルムはレターデーショ を調整するための光学補償フィルムとして に用いられてきた。

 光学補償フィルムでは、レターデーショ とその波長分散性を制御するために複数枚 光学フィルムを組み合わせることが通常行 れてきた。しかしながら複数枚の光学フィ ムの組み合わせは、組み合わせ精度、工程 の増加等生産工程への負荷が大きく、少な 枚数での光学補償技術が検討されている。

 たとえば非特許文献1では、ポリカーボネ ートフィルム、ポリシクロオレフィンフィル ムでの1枚化技術が提案されている。しかし がら、これらの技術をもってしても、偏光 保護フィルムを兼ねる光学補償フィルムと ては、偏光膜であるポリビニルアルコール の貼合性不十分であり、セルロースエステ フィルムからなる偏光板保護フィルムは、 在でも液晶表示においては必須の光学フィ ムと認識されている。

 そこで、この偏光板保護フィルムとして れているセルロースエステルフィルムに、 学補償フィルムとしての機能を付与するこ が検討されてきた。

 もともとセルロースエステルフィルムは 複屈折性の低いことから偏光板保護フィル として使用されていたという経緯があり、 の機能の付与は容易ではない。

 所望のレターデーション値を得るために ターデーション上昇効果を持つ化合物をセ ロースエステルフィルムに添加し、さらに のフィルムを延伸するという技術(特許文献 1、2)が提案されているが、経時でのレターデ ーション値の波長分散性が安定しないという 問題があった。

 レターデーション値の波長分散性が不十 である場合、偏光板からの光漏れ(特に経時 での光漏れ)、液晶表示画像の色調変動、正 コントラストを劣化させるという現象が発 する。

 そのため、セルロースエステルフィルムに 所望のレターデーション値と経時での安定 たレターデーション値の波長分散性を同時 付与させることが切に望まれていた。

特開2000-111914号公報

特開2002-131538号公報 日本液晶学会誌 液晶「液晶表示素子用 種々の機能フィルム」特集号 第9巻第4号(20 05)

 本発明の目的は、所望のレターデーショ 値と経時での安定したレターデーション値 波長分散性を同時に付与させたセルロース ステルフィルムおよびその製造方法を提供 ることである。

 上記目的を達成するための本発明の態様 1つは、下記式(A-1)~(A-3)を満たすセルロース ステルフィルムであって、少なくとも延伸 向に対して負の複屈折を示すアクリルポリ ーおよび数平均分子量が300以上2000未満であ る芳香族末端ポリエステルを含有することを 特徴とするセルロースエステルフィルム。(A- 1) 20≦Ro≦100、(A-2) 70≦Rt≦200、(A-3) 0.82≦Ro( 480)/Ro(630)≦0.95、なお、Ro=(nx-ny)×d、Rt=((nx+ny)/2 -nz)×d(式中、nxはセルロースエステルフィル の面内の遅相軸方向の屈折率を、nyは面内で 遅相軸に直交する方向の屈折率を、nzは厚み 向の屈折率を、dはセルロースエステルフィ ルムの厚み(nm)をそれぞれ表す。波長は590nmで ある。Ro(480)、Ro(630)はそれぞれ波長480nm、630nm でのRoを表す。)にある。

本発明の上記目的は以下の構成により達成 される。

 (1)下記式(A-1)~(A-3)を満たすセルロースエ テルフィルムであって、少なくとも延伸方 に対して負の複屈折を示すアクリルポリマ および数平均分子量が300以上2000未満である 香族末端ポリエステルを含有することを特 とするセルロースエステルフィルム。

 (A-1) 20≦Ro≦100
 (A-2) 70≦Rt≦200
 (A-3) 0.82≦Ro(480)/Ro(630)≦0.95なお、 Ro=(nx-ny) d
   Rt=((nx+ny)/2-nz)×d
(式中、nxはセルロースエステルフィルムの面 内の遅相軸方向の屈折率を、nyは面内で遅相 に直交する方向の屈折率を、nzは厚み方向 屈折率を、dはセルロースエステルフィルム 厚み(nm)をそれぞれ表す。波長は590nmである Ro(480)、Ro(630)はそれぞれ波長480nm、630nmでのR oを表す。)
 (2)前記アクリルポリマーが、少なくとも分 内に芳香環と水酸基を有しないエチレン性 飽和モノマーXaと、分子内に芳香環を有さ 水酸基を有するエチレン性不飽和モノマーXb とを共重合して得られた重量平均分子量5000 上30000以下のポリマーX、または、芳香環を さないエチレン性不飽和モノマーYaを重合し て得られた重量平均分子量500以上3000以下の リマーYを含有することを特徴とする前記(1) 記載のセルロースエステルフィルム。

 (3)前記アクリルポリマーが、前記ポリマ X、および前記ポリマーYを含有することを 徴とする前記(2)に記載のセルロースエステ フィルム。

 (4)前記ポリマーXが下記一般式(1-1)で示さ 、前記ポリマーYが下記一般式(2-1)で示され ことを特徴とする前記(2)または(3)に記載の ルロースエステルフィルム。

 一般式(1-1)
 -[CH 2 -C(-R1)(-CO 2 R2)]m-[CH 2 -C(-R3)(-CO 2 R4-OH)-]n-[Xc]p-
 一般式(2-1)
 -[CH 2 -C(-R5)(-CO 2 R6)]k-[Yb]q-
(式中、R1、R3、R5は、HまたはCH 3 を表す。R2、R6は炭素数1~12のアルキル基、シ ロアルキル基を表す。R4は-CH 2 -、-C 2 H 4 -または-C 3 H 6 -を表す。Xcは、Xa、Xbに重合可能なモノマー 位を表す。Ybは、Yaに共重合可能なモノマー 位を表す。m、n、k、pおよびqは、モル組成 を表す。ただしm≠0、n≠0、k≠0、m+n+p=100、k+ q=100である。)
 (5)前記数平均分子量が300以上2000未満である 芳香族末端ポリエステルが、下記一般式(3)で 表されるポリエステルであることを特徴とす る前記(1)~(4)のいずれか1項に記載のセルロー エステルフィルム。

 一般式(3)
 B-(G-A)n-G-B
(式中、Bは芳香環を有するモノカルボン酸残 、Gは炭素数2~12のアルキレングリコール残 または炭素数6~12のアリールグリコール残基 たは炭素数が4~12のオキシアルキレングリコ ール残基、Aは炭素数4~12のアルキレンジカル ン酸残基または炭素数6~12のアリールジカル ボン酸残基を表し、またnは1以上の整数を表 。)
 (6)セルロースエステル、負の複屈折を示す クリルポリマー、分子量が300以上2000未満で ある芳香族末端ポリエステル並びに添加剤を 溶剤に溶解させてドープを調製する工程、ド ープを無限に移行する無端の金属支持体上に 流延する工程、流延したドープをウェブとし て乾燥する工程、乾燥したウェブを金属支持 体から剥離する工程、剥離したウェブを延伸 または幅保持する工程、更に乾燥する工程、 仕上がったフィルムを巻取る工程、を有する セルロースエステルフィルムの製造方法であ って、該セルロースエステルフィルムが下記 式(A-1)~(A-3)を満たすことを特徴とするセルロ スエステルフィルムの製造方法。

 (A-1) 20≦Ro≦100
 (A-2) 70≦Rt≦200
 (A-3) 0.82≦Ro(480)/Ro(630)≦0.95
なお、 Ro=(nx-ny)×d
   Rt=((nx+ny)/2-nz)×d
(式中、nxはセルロースエステルフィルムの面 内の遅相軸方向の屈折率を、nyは面内で遅相 に直交する方向の屈折率を、nzは厚み方向 屈折率を、dはセルロースエステルフィルム 厚み(nm)をそれぞれ表す。波長は590nmである Ro(480)、Ro(630)はそれぞれ波長480nm、630nmでのR oを表す。)
 (7)前記アクリルポリマーが、少なくとも分 内に芳香環と水酸基を有しないエチレン性 飽和モノマーXaと、分子内に芳香環を有さ 水酸基を有するエチレン性不飽和モノマーXb とを共重合して得られた重量平均分子量5000 上30000以下のポリマーX、または、芳香環を さないエチレン性不飽和モノマーYaを重合し て得られた重量平均分子量500以上3000以下の リマーYを含有することを特徴とする前記(6) 記載のセルロースエステルフィルムの製造 法。

 (8)前記アクリルポリマーが、前記ポリマ X、および前記ポリマーYを含有することを 徴とする前記(7)に記載のセルロースエステ フィルムの製造方法。

 (9)前記ポリマーXが下記一般式(1-1)で示さ 、前記ポリマーYが下記一般式(2-1)で示され ことを特徴とする前記(7)または(8)に記載の ルロースエステルフィルムの製造方法。

 一般式(1-1)
 -[CH 2 -C(-R1)(-CO 2 R2)]m-[CH 2 -C(-R3)(-CO 2 R4-OH)-]n-[Xc]p-
 一般式(2-1)
 -[CH 2 -C(-R5)(-CO 2 R6)]k-[Yb]q-
(式中、R1、R3、R5は、HまたはCH 3 を表す。R2、R6は炭素数1~12のアルキル基、シ ロアルキル基を表す。R4は-CH 2 -、-C 2 H 4 -または-C 3 H 6 -を表す。Xcは、Xa、Xbに重合可能なモノマー 位を表す。Ybは、Yaに共重合可能なモノマー 位を表す。m、n、k、pおよびqは、モル組成 を表す。ただしm≠0、n≠0、k≠0、m+n+p=100、k+ q=100である。)
 (10)前記数平均分子量が300以上2000未満であ 芳香族末端ポリエステルが、下記一般式(3) 表されるポリエステルであることを特徴と る前記(6)~(9)のいずれか1項に記載のセルロー スエステルフィルムの製造方法。

 一般式(3)
 B-(G-A)n-G-B
(式中、Bは芳香環を有するモノカルボン酸残 、Gは炭素数2~12のアルキレングリコール残 または炭素数6~12のアリールグリコール残基 たは炭素数が4~12のオキシアルキレングリコ ール残基、Aは炭素数4~12のアルキレンジカル ン酸残基または炭素数6~12のアリールジカル ボン酸残基を表し、またnは1以上の整数を表 。)
 本発明では、(A-1)、(A-2)のレターデーション 並びに(A-3)のレターデーション値の波長分散 を有するセルロースエステルフィルムを製 するために、延伸方向に対して負の複屈折 示すアクリルポリマーと分子量が300以上2000 未満である芳香族末端ポリエステルとを含有 させ、その含有量を調整することによること を特徴とする。

 本発明のアクリルポリマーは、延伸方向 対して負の複屈折性を示すことから、レタ デーションの調整のために使用されること あったが、本発明のポリエステルとの併用 よりレターデーション値の波長分散性を調 できることが新たに見出された。

 以下これらの化合物について説明する。

 〈アクリルポリマー〉
 アクリルポリマーとしては、セルロースエ テルフィルムに含有させた場合、機能とし 延伸方向に対して負の複屈折性を示せば特 構造が限定されるものではないが、エチレ 性不飽和モノマーを重合して得られた重量 均分子量が500以上、30000以下であるポリマ であることが好ましい。

 延伸方向に対して負の複屈折を示す重量 均分子量が500以上、30000以下であるアクリ ポリマーは、芳香環を側鎖に有するアクリ ポリマーまたはシクロヘキシル基を側鎖に するアクリルポリマーであることが好まし 。

 該ポリマーの重量平均分子量が500以上、3 0000以下のもので該ポリマーの組成を制御す ことにより、セルロースエステルと該ポリ ーとの相溶性を良好にすることが出来る。

 芳香環を側鎖に有するアクリルポリマー たはシクロヘキシル基を側鎖に有するアク ルポリマーについて、好ましくは重量平均 子量が500以上、10000以下のものであれば、 記に加え、製膜後のセルロースエステルフ ルムの透明性が優れ、透湿度も極めて低く 偏光板用保護フィルムとして優れた性能を す。

 該ポリマーは、重量平均分子量が500以上 30000以下であるから、オリゴマーから低分 量ポリマーの間にあると考えられるもので る。このようなポリマーを合成するには、 常の重合では分子量のコントロールが難し 、分子量を余り大きくしない方法で出来る け分子量を揃えることの出来る方法を用い ことが望ましい。

 更に、本発明のセルロースエステルフィ ムは、分子内に芳香環と水酸基を有しない チレン性不飽和モノマーXaと、分子内に芳 環を有せず、水酸基を有するエチレン性不 和モノマーXbとXa、Xbを除く共重合可能なエ レン性不飽和モノマーとを共重合して得ら た重量平均分子量2000以上、30000以下のポリ ーX、または芳香環を有さないエチレン性不 和モノマーYaと、Yaと共重合可能なエチレン 性不飽和モノマーとを重合して得られた重量 平均分子量500以上、3000以下のポリマーYであ ことが好ましい。

  《ポリマーX、ポリマーY》
 本発明に係るRoおよびRthを調整する方法と ては、分子内に芳香環と水酸基を有しない チレン性不飽和モノマーXaと、分子内に芳香 環を有せず、水酸基を有するエチレン性不飽 和モノマーXbとXa、Xbを除く共重合可能なエチ レン性不飽和モノマーとを共重合して得られ た重量平均分子量2000以上、30000以下のポリマ ーX、そして、より好ましくは、芳香環を有 ないエチレン性不飽和モノマーYaと、Yaと共 合可能なエチレン性不飽和モノマーとを重 して得られた重量平均分子量500以上、3000以 下のポリマーYを含有したセルロースエステ フィルムであることが好ましい。

 一般にモノマー中、特に主鎖に芳香環を する物質はセルロースエステルの複屈折性 同様に正の複屈折性を持つことが知られて り、セルロースエステルフィルムのリター ーション値Rthを打ち消さないため、負の複 折性を持つ材料をフィルム中に添加するこ が好ましい。

 本発明のポリマーXは、分子内に芳香環と 水酸基を有しないエチレン性不飽和モノマー Xaと分子内に芳香環を有せず、水酸基を有す エチレン性不飽和モノマーXbとXa、Xbを除く 重合可能なエチレン性不飽和モノマーとを 重合して得られた重量平均分子量2000以上、 30000以下のポリマーである。

 好ましくは、Xaは分子内に芳香環と水酸 を有しないアクリルまたはメタクリルモノ ー、Xbは分子内に芳香環を有せず水酸基を有 するアクリルまたはメタクリルモノマーであ る。

 本発明に係るポリマーXは、下記一般式(1) で表される。

 一般式(1)
   -[Xa] m -[Xb] n -[Xc] p -
 上記一般式(1)において、Xaは分子内に芳香 と水酸基とを有しないエチレン性不飽和モ マーを表し、Xbは分子内に芳香環を有せず、 水酸基を有するエチレン性不飽和モノマーを 表し、XcはXa、Xbを除く共重合可能なエチレン 性不飽和モノマーを表す。m、n及びpは、各々 モル組成比を表す。ただし、m≠0、n≠0、m+n+p =100である。

 更に、ポリマーXとして好ましくは、下記 一般式(1-1)で表されるポリマーである。

 一般式(1-1)
   -[CH 2 -C(-R1)(-CO 2 R2)] m -[CH 2 -C(-R3)(-CO 2 R4-OH)-] n -[Xc] p -
 上記一般式(1-1)において、R1、R3は、それぞ 水素原子またはメチル基を表す。R2は炭素 1~12のアルキル基またはシクロアルキル基を す。R4は-CH 2 -、-C 2 H 4 -または-C 3 H 6 -を表す。Xcは、[CH 2 -C(-R1)(-CO 2 R 2 )]または[CH 2 -C(-R3)(-CO 2 R4-OH)-]に重合可能なモノマー単位を表す。m、 nおよびpは、モル組成比を表す。ただしm≠0 n≠0、m+n+p=100である。

 本発明に係るポリマーXを構成するモノマ ー単位としてのモノマーを下記に挙げるが、 これに限定されない。

 Xにおいて、水酸基とは、水酸基のみなら ずエチレンオキシド連鎖を有する基をいう。

 分子内に芳香環と水酸基を有しないエチ ン性不飽和モノマーXaは、例えば、アクリ 酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸 ロピル(i-、n-)、アクリル酸ブチル(n-、i-、s- t-)、アクリル酸ペンチル(n-、i-、s-)、アク ル酸ヘキシル(n-、i-)、アクリル酸ヘプチル(n -、i-)、アクリル酸オクチル(n-、i-)、アクリ 酸ノニル(n-、i-)、アクリル酸ミリスチル(n- i-)、アクリル酸(2-エチルヘキシル)、アクリ 酸(ε-カプロラクトン)、等、または上記ア リル酸エステルをメタクリル酸エステルに えたものを挙げることが出来る。中でも、 クリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタ リル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタ リル酸プロピル(i-、n-)であることが好まし 。

 分子内に芳香環を有せず、水酸基を有す エチレン性不飽和モノマーXbは、水酸基を するモノマー単位として、アクリル酸また メタクリル酸エステルが好ましく、例えば アクリル酸(2-ヒドロキシエチル)、アクリル (2-ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3-ヒド ロキシプロピル)、アクリル酸(4-ヒドロキシ チル)、アクリル酸(2-ヒドロキシブチル)、ま たはこれらアクリル酸をメタクリル酸に置き 換えたものを挙げることが出来、好ましくは 、アクリル酸(2-ヒドロキシエチル)及びメタ リル酸(2-ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2- ドロキシプロピル)、アクリル酸(3-ヒドロキ シプロピル)である。

 Xcとしては、Xa、Xb以外のモノマーで、か 共重合可能なエチレン性不飽和モノマーで れば、特に制限はないが、芳香環を有して ないものが好ましい。

 Xa及びXbのモル組成比m:nは99:1~65:35の範囲 好ましく、更に好ましくは95:5~75:25の範囲で る。Xcのpは0~10である。Xcは複数のモノマー 位であってもよい。

 Xaのモル組成比が多いと、セルロースエ テルとの相溶性が良化するがフィルム厚み 向のリターデーション値Rthが大きくなる。Xb のモル組成比が多いと上記相溶性が悪くなる が、Rthを低減させる効果が高い。

 また、Xbのモル組成比が上記範囲を超え と製膜時にヘイズが出る傾向があり、これ の最適化を図りXa、Xbのモル組成比を決める とが好ましい。

 ポリマーXの分子量は、重量平均分子量が 5000以上、30000以下であることがより好ましく 、更に好ましくは8000以上、25000以下である。

 重量平均分子量を5000以上とすることによ り、セルロースエステルフィルムの、高温高 湿下における寸法変化が少ない、偏光板保護 フィルムとしてカールが少ない等の利点が得 られ好ましい。

 重量平均分子量が30000以下とした場合は セルロースエステルとの相溶性がより向上 、高温高湿下においてのブリードアウト、 らには製膜直後でのヘイズの発生が抑制さ る。

 本発明に係るポリマーXの重量平均分子量 は、公知の分子量調節方法で調整することが 出来る。そのような分子量調節方法としては 、例えば、四塩化炭素、ラウリルメルカプタ ン、チオグリコール酸オクチル等の連鎖移動 剤を添加する方法等が挙げられる。

 また、重合温度は、通常、室温から130℃ 好ましくは50℃から100℃で行われるが、こ 温度または重合反応時間を調整することで 能である。

 重量平均分子量の測定方法は、下記の方 により求めることができる。

 (平均分子量測定方法)
 重量平均分子量Mw、数平均分子量Mnは、ゲル パーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を いて測定した。

 測定条件は以下の通りである。

 溶媒:   メチレンクロライド
 カラム:  Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株 )製を3本接続して使用した)
 カラム温度:25℃
 試料濃度: 0.1質量%
 検出器:  RI Model 504(GLサイエンス社製)
 ポンプ:  L6000(日立製作所(株)製)
 流量:   1.0ml/min
 校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポ スチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000~500の13サン ルによる校正曲線を使用した。13サンプルは 、ほぼ等間隔に用いる。

 本発明に係るポリマーYは、芳香環を有さ ないエチレン性不飽和モノマーYaを重合して られた重量平均分子量500以上、3000以下のポ リマーである。重量平均分子量500以上であれ ばポリマーの残存モノマーが減少し好ましい 。

 また、3000以下とすることは、リターデー ション値Rth低下性能を維持するために好まし い。Yaは、好ましくは芳香環を有さないアク ルまたはメタクリルモノマーである。

 本発明に係るポリマーYは、下記一般式(2) で表される。

 一般式(2)
  -[Ya] k -[Yb] q -
 上記一般式(2)において、Yaは芳香環を有し いエチレン性不飽和モノマーを表し、YbはYa 共重合可能なエチレン性不飽和モノマーを す。k及びqは、各々モル組成比を表す。た し、k≠0、q≠0、k+q=100である。

 本発明に係るポリマーYにおいて、さらに 好ましくは下記一般式(2-1)で表されるポリマ である。

 一般式(2-1)
   -[CH 2 -C(-R5)(-CO 2 R6)] k -[Yb] q -
 上記一般式(2-1)において、R5は、それぞれ水 素原子またはメチル基を表す。R6は炭素数1~12 のアルキル基またはシクロアルキル基を表す 。Ybは、[CH 2 -C(-R5)(-CO 2 R6)]と共重合可能なモノマー単位を表す。kお びqは、それぞれモル組成比を表す。ただし k≠0、q≠0、k+q=100である。

 Ybは、Yaである[CH 2 -C(-R5)(-CO 2 R6)]と共重合可能なエチレン性不飽和モノマ であれば特に制限はない。Ybは複数であって もよい。k+q=100、qは好ましくは1~30である。

 芳香環を有さないエチレン性不飽和モノ ーを重合して得られるポリマーYを構成する エチレン性不飽和モノマーYaは、アクリル酸 ステルとして、例えば、アクリル酸メチル アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル(i- n-)、アクリル酸ブチル(n-、i-、s-、t-)、アク リル酸ペンチル(n-、i-、s-)、アクリル酸ヘキ ル(n-、i-)、アクリル酸ヘプチル(n-、i-)、ア リル酸オクチル(n-、i-)、アクリル酸ノニル( n-、i-)、アクリル酸ミリスチル(n-、i-)、アク ル酸シクロヘキシル、アクリル酸(2-エチル キシル)、アクリル酸(ε-カプロラクトン)、 クリル酸(2-ヒドロキシエチル)、アクリル酸 (2-ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3-ヒド キシプロピル)、アクリル酸(4-ヒドロキシブ ル)、アクリル酸(2-ヒドロキシブチル)、メ クリル酸エステルとして、上記アクリル酸 ステルをメタクリル酸エステルに変えたも ;不飽和酸として、例えば、アクリル酸、メ クリル酸、無水マレイン酸、クロトン酸、 タコン酸等を挙げることが出来る。

 Ybは、Yaと共重合可能なエチレン性不飽和 モノマーであれば特に制限はないが、ビニル エステルとして、例えば、酢酸ビニル、プロ ピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニル 、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カ プリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリス チン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステア リン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビ ニル、オクチル酸ビニル、メタクリル酸ビニ ル、クロトン酸ビニル、ソルビン酸ビニル、 桂皮酸ビニル等が好ましい。Ybは複数であっ もよい。

 ポリマーX、Yを合成するには、通常の重 では分子量のコントロールが難しく、分子 をあまり大きくしない方法で、かつ出来る け分子量を揃えることの出来る方法を用い ことが望ましい。

 かかる重合方法としては、クメンペルオ シドやt-ブチルヒドロペルオキシドのよう 過酸化物重合開始剤を使用する方法、重合 始剤を通常の重合より多量に使用する方法 重合開始剤の他にメルカプト化合物や四塩 炭素等の連鎖移動剤を使用する方法、重合 始剤の他にベンゾキノンやジニトロベンゼ のような重合停止剤を使用する方法、更に 開2000-128911号または同2000-344823号公報にある うな一つのチオール基と2級の水酸基とを有 する化合物、あるいは、該化合物と有機金属 化合物を併用した重合触媒を用いて塊状重合 する方法等を挙げることが出来、何れも本発 明において好ましく用いられる。

 特に、ポリマーYは、分子中にチオール基 と2級の水酸基とを有する化合物を連鎖移動 として使用する重合方法が好ましい。この 合、ポリマーYの末端には、重合触媒および 鎖移動剤に起因する水酸基、チオエーテル 有することとなる。この末端残基により、Y とセルロースエステルとの相溶性を調整する ことができる。

 ポリマーXおよびYの水酸基価は、30~150[mgKO H/g]であることが好ましい。

 (水酸基価の測定方法)
 水酸基価の測定は、JIS K 0070(1992)に準ずる この水酸基価は、試料1gをアセチル化させ とき、水酸基と結合した酢酸を中和するの 必要とする水酸化カリウムのmg数と定義され る。

 具体的には試料Xg(約1g)をフラスコに精秤 、これにアセチル化試薬(無水酢酸20mlにピ ジンを加えて400mlにしたもの)20mlを正確に加 る。フラスコの口に空気冷却管を装着し、9 5~100℃のグリセリン浴にて加熱する。1時間30 後、冷却し、空気冷却管から精製水1mlを加 、無水酢酸を酢酸に分解する。

 次に電位差滴定装置を用いて0.5mol/L水酸 カリウムエタノール溶液で滴定を行い、得 れた滴定曲線の変曲点を終点とする。

 更に空試験として、試料を入れないで滴 し、滴定曲線の変曲点を求める。水酸基価 、次の式によって算出する。

   水酸基価={(B-C)×f×28.05/X}+D
 式中、Bは空試験に用いた0.5mol/Lの水酸化カ ウムエタノール溶液の量(ml)、Cは滴定に用 た0.5mol/Lの水酸化カリウムエタノール溶液の 量(ml)、fは0.5mol/L水酸化カリウムエタノール 液のファクター、Dは酸価、また、28.05は水 化カリウムの1mol量56.11の1/2を表す。

 上述のXポリマーポリマーYは何れもセル ースエステルとの相溶性に優れ、蒸発や揮 もなく生産性に優れ、偏光板用保護フィル としての保留性がよく、透湿度が小さく、 法安定性に優れている。

 ポリマーXとポリマーYのセルロースエステ フィルム中での含有量は、下記式(i)、式(ii) 満足する範囲であることが好ましい。ポリ ーXの含有量をXg(質量%=(ポリマーXの質量/セ ロースエステルの質量)×100)、ポリマーYの 有量をYg(質量%)とすると、
 式(i) 5≦Xg+Yg≦35(質量%)
 式(ii) 0.05≦Yg/(Xg+Yg)≦0.4
 式(i)の(Xg+Yg)の好ましい範囲は、10~35質量%で ある。ポリマーXとポリマーYは、セルロース ステル全質量に対し、総量として5質量%以 であれば、リターデーション値Rtの低減に十 分な作用をする。また、総量として35質量%以 下であれば、偏光子PVAとの接着性が良好であ る。

 ポリマーXとポリマーYは、後述するドー 液を構成する素材として直接添加、溶解す か、もしくはセルロースエステルを溶解す 有機溶媒に予め溶解した後ドープ液に添加 ることが出来る。

 <ポリエステル>
 本発明の数平均分子量が300以上2000未満であ る芳香族末端ポリエステルは、下記一般式(3) で表されることが好ましい。

 一般式(3)
 B-(G-A)n-G-B
(式中、Bは芳香環を有するモノカルボン酸残 、Gは炭素数2~12のアルキレングリコール残 または炭素数6~12のアリールグリコール残基 たは炭素数が4~12のオキシアルキレングリコ ール残基、Aは炭素数4~12のアルキレンジカル ン酸残基または炭素数6~12のアリールジカル ボン酸残基を表し、またnは1以上の整数を表 。)
 一般式(3)中、Bで示される芳香環を有するモ ノカルボン酸残基とGで示されるアルキレン リコール残基またはオキシアルキレングリ ール残基またはアリールグリコール残基、A 示されるアルキレンジカルボン酸残基また アリールジカルボン酸残基とから構成され ものであり、通常のポリエステル系可塑剤 同様の反応により得られる。 本発明に係 芳香族末端ポリエステルの芳香環を有する ノカルボン酸成分としては、例えば、安息 酸、パラターシャリブチル安息香酸、オル トルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイ 酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、 ルマルプロピル安息香酸、アミノ安息香酸 アセトキシ安息香酸、ナフタリンカルボン 、アントラセンカルボン酸、ピレンカルボ 酸等があり、これらはそれぞれ1種または2種 以上の混合物として使用することが出来る。

 本発明の芳香族末端ポリエステルの炭素 2~12のアルキレングリコール成分としては、 エチレングリコール、1,2-プロピレングリコ ル、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブタンジ オール、1,3-ブタンジオール、2-メチル1,3-プ パンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペン タンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオ ール(ネオペンチルグリコール)、2,2-ジエチル -1,3-プロパンジオール(3,3-ジメチロ-ルペンタ )、2-n-ブチル-2-エチル-1,3プロパンジオール( 3,3-ジメチロールヘプタン)、3-メチル-1,5-ペン タンジオール1,6-ヘキサンジオール、2,2,4-ト メチル1,3-ペンタンジオール、2-エチル1,3-ヘ サンジオール、2-メチル1,8-オクタンジオー 、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール 1,12-オクタデカンジオール等があり、これ のグリコールは、1種または2種以上の混合物 として使用される。

 また、本発明の芳香族末端ポリエステル 炭素数4~12のオキシアルキレングリコール成 分としては、例えば、ジエチレングリコール 、トリエチレングリコール、テトラエチレン グリコール、ジプロピレングリコール、トリ プロピレングリコール等があり、これらのグ リコールは、1種または2種以上の混合物とし 使用できる。

 また、本発明の芳香族末端ポリエステル 炭素数6~12のアリールグリコール成分として は、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、 ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフ ノール等があり、これらのグリコールは、1 種または2種以上の混合物として使用できる

 本発明の芳香族末端ポリエステルの炭素 4~12のアルキレンジカルボン酸成分としては 、例えば、コハク酸、マレイン酸、フマール 酸、グルタール酸、アジピン酸、アゼライン 酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等が あり、これらは、それぞれ1種または2種以上 混合物として使用される。炭素数6~12のアリ ールジカルボン酸成分としては、フタル酸、 イソフタル酸、テレフタル酸、1,5ナフタレン ジカルボン酸、1,4、ナフタレンジカルボン酸 、アントラセンジカルボン酸、ピレンジカル ボン酸等がある。

 ポリエステルの重縮合は常法によって行 れる。例えば、上記2塩基酸とグリコールの 直接反応、上記の2塩基酸またはこれらのア キルエステル類、例えば2塩基酸のメチルエ テルとグリコール類とのポリエステル化反 またはエステル交換反応により熱溶融縮合 か、或いはこれら酸の酸クロライドとグリ ールとの脱ハロゲン化水素反応の何れかの 法により容易に合成し得るが、重量平均分 量がさほど大きくないポリエステルは直接 応によるのが好ましい。

 低分子量側に分布が高くあるポリエステ はセルロースエステルとの相溶性が非常に く、フィルム形成後、透湿度も小さく、し も透明性に富んだセルロースエステルフィ ムを得ることが出来る。

 分子量の調節方法は、特に制限なく従来 方法を使用できる。例えば、重合条件にも るが、1価の酸で分子末端を封鎖する方法に より、1価の酸を添加する量によりコントロ ルできる。

 この場合、1価の酸としては、例えば、酢 酸、プロピオン酸、酪酸等を挙げることが出 来るが、重縮合反応中には系外に溜去せず、 停止して反応系外にこのような1価の酸を系 に除去するときに溜去し易いものが選ばれ が、これらを混合使用してもよい。

 また、直接反応の場合には、反応中に溜 してくる水の量により反応を停止するタイ ングを計ることによっても重量平均分子量 調節できる。その他、仕込むグリコールま は2塩基酸のモル数を偏らせることによって も出来るし、反応温度をコントロールしても 調節できる。

 本発明のポリエステルの分子量は、前述 GPCによる測定方法、末端基定量法(水酸基価 )を使用して測定することができる。

 その酸価は、0.5mgKOH/g以下、水酸基価は25m gKOH/g以下、より好ましくは酸価0.3mgKOH/g以下 水酸基価は15mgKOH/g以下のものが好適である

 本発明に係るポリエステルは、セルロー エステルに対し1~40質量%含有することが好 しい。特に5~15質量%含有することが好ましい 。

 以下、本発明に好ましく使用することが きるポリエステルの具体例を挙げる。

 <セルロースエステル>
 本発明のセルロースエステルフィルムを形 するための原材料であるセルロースエステ としては、トリアセチルセルロース(TAC)、 アセチルセルロース(DAC)、セルロースアセテ ートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテ トブチレート(CAB)、セルロースアセテート タレート、セルロースアセテートトリメリ ート、硝酸セルロース等のセルロースエス ル類が挙げられる。

 本発明に用いられるセルロースエステル 原料のセルロースとしては、特に限定はな が、綿花リンター、木材パルプ、ケナフな を挙げることができる。また、これらから られたセルロースエステルは、それぞれを 独あるいは任意の割合で混合使用すること できるが、綿花リンターを50質量%以上使用 ることが好ましい。

 セルロースエステルフィルムの分子量が きいと弾性率が大きくなるが、分子量を上 すぎるとセルロースエステルの溶解液の粘 が高くなりすぎるため生産性が低下する。 ルロースエステルの分子量は数平均分子量( Mn)で30000~200000のものが好ましく、500000~200000 ものが更に好ましい。

 本発明で用いられるセルロースエステル Mw/Mn比が1~5であることが好ましく、更に好 しくは2~4であり、特に好ましくは1.5~3.5であ 。

 数平均分子量は、前述のGPCによる測定方法 測定することができる
 <アクリルポリマーとポリエステルによる レターデーションとその波長分散の調整>
 本発明のアクリルポリマーとポリエステル を組み合わせてセルロースエステルフィル に含有させることにより、下記式(A-1)~(A-3) 満足するセルロースエステルフィルムを製 することが可能となる。

 (A-1) 20≦Ro≦100
 (A-2) 70≦Rt≦200
 (A-3) 0.82≦Ro(480)/Ro(630)≦0.95なお、 Ro=(nx-ny) d
   Rt=((nx+ny)/2-nz)×d
(式中、nxはセルロースエステルフィルムの面 内の遅相軸方向の屈折率を、nyは面内で遅相 に直交する方向の屈折率を、nzは厚み方向 屈折率を、dはセルロースエステルフィルム 厚み(nm)をそれぞれ表す。波長は590nmである Ro(480)、Ro(630)はそれぞれ波長480nm、630nmでのR oを表す。)
 セルロースエステルに対するアクリルポリ ーとポリエスエルの含有量は、セルロース ステルに対して、アクリルポリマー量およ ポリエステル量の総計で1~60質量%であり、 ましくは5~30質量%である。

 アクリルポリマー量とポリエステルポリ ー量は1:99~99:1の質量比であり、10:90~90:10で ることが好ましい。

 本発明のアクリルポリマーとポリエステ とを組み合わせ、適宜含有させることによ 、所望のレターデーションだけでなく、そ 波長分散性も調整することが可能となる。

 本発明では、20≦Ro≦100、70≦Rt≦200であ ても、0.82≦Ro(480)/Ro(630)≦0.95の波長分散性を 達成することができる。

 本発明における好ましい範囲は20≦Ro≦100 であり、特に好ましくは45≦Ro≦75である。

 本発明における好ましい範囲は70≦Rt≦200 であり、さらに好ましくは105≦Rt≦130である

 <その他の添加剤>
 本発明のセルロースエステルフィルムには 通常の光学フィルムとしてのセルロースエ テルフィルムに添加することのできる添加 を含有させることができる。これらの添加 としては、可塑剤、紫外線吸収剤、微粒子 を挙げることができる。

 本発明に使用することができる可塑剤と ては特に限定されないが、好ましくは、多 カルボン酸エステル系可塑剤、グリコレー 系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、脂 酸エステル系可塑剤及び多価アルコールエ テル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、ア リル系可塑剤等から選択される。

 そのうち、可塑剤を2種以上用いる場合は 、少なくとも1種は多価アルコールエステル 可塑剤であることが好ましい。

 多価アルコールエステル系可塑剤は2価以 上の脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸 のエステルよりなる可塑剤であり、分子内に 芳香環またはシクロアルキル環を有すること が好ましい。好ましくは2~20価の脂肪族多価 ルコールエステルである。

 以下、本発明に好ましく使用することが きる多価アルコールエステル系可塑剤の具 例を挙げる。

 本発明に使用することができる紫外線吸 剤は、400nm以下の紫外線を吸収することで 耐久性を向上させることを目的としており 特に波長370nmでの透過率が10%以下であること が好ましく、より好ましくは5%以下、更に好 しくは2%以下である。

 本発明に用いられる紫外線吸収剤は特に 定されないが、例えばオキシベンゾフェノ 系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、 リチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノ 系化合物、シアノアクリレート系化合物、 リアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物 無機粉体等が挙げられる。高分子型の紫外 吸収剤としてもよい。

 本発明に使用される微粒子としては、無 化合物の例として、二酸化珪素、二酸化チ ン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム 炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシ ム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミ ウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カル ウムを挙げることができる。

 微粒子は珪素を含むものが濁度が低くな 点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい

 微粒子の一次粒子の平均粒径は5~50nmが好 しく、更に好ましいのは7~20nmである。これ は主に粒径0.05~0.3μmの2次凝集体として含有 れることが好ましい。

 セルロースエステルフィルム中のこれら 微粒子の含有量は0.05~1質量%であることが好 ましく、特に0.1~0.5質量%が好ましい。共流延 による多層構成のセルロースエステルフィ ムの場合は、表面にこの添加量の微粒子を 有することが好ましい。

 二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロ ルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、 OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)の商品 で市販されており、使用することができる

 酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、 エロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株 )製)の商品名で市販されており、使用するこ ができる。

 ポリマーの例として、シリコーン樹脂、 ッ素樹脂及びアクリル樹脂を挙げることが きる。シリコーン樹脂が好ましく、特に三 元の網状構造を有するものが好ましく、例 ば、トスパール103、同105、同108、同120、同1 45、同3120及び同240(以上東芝シリコーン(株)製 )の商品名で市販されており、使用すること できる。

 これらの中でもアエロジル200V、アエロジ ルR972Vがセルロースエステルフィルムの濁度 低く保ちながら、摩擦係数を下げる効果が きいため特に好ましく用いられる。

 <セルロースエステルフィルムの製造>
 次に、本発明のセルロースエステルフィル の製造方法について説明する。本発明に係 セルロースエステルフィルムは、溶液流延 もしくは溶融流延で製造されたセルロース ステルフィルムが好ましい。ここでは溶液 延法での製造方法について述べる。

 本発明のセルロースエステルフィルムの 造は、セルロースエステル、負の複屈折を すアクリルポリマーおよび分子量が300以上2 000未満である芳香族末端ポリエステル並びに 添加剤を溶剤に溶解させてドープを調製する 工程、ドープを無限に移行する無端の金属支 持体上に流延する工程、流延したドープをウ ェブとして乾燥する工程、金属支持体から剥 離する工程、延伸または幅保持する工程、更 に乾燥する工程、仕上がったフィルムを巻取 る工程により行われる。

 ドープを調製する工程について述べる。 ープ中のセルロースエステル、負の複屈折 示すアクリルポリマーおよび分子量が300以 2000未満である芳香族末端ポリエステル並び に添加剤の溶解濃度は、濃い方が金属支持体 に流延した後の乾燥負荷が低減出来て好まし いが、濃度が濃過ぎると濾過時の負荷が増え て、濾過精度が悪くなる。

 これらを両立する濃度としては、10~35質 %が好ましく、更に好ましくは、15~25質量%で る。

 ドープで用いられる溶剤は、単独で用い も2種以上を併用してもよいが、セルロース エステルの良溶剤と貧溶剤を混合して使用す ることが生産効率の点で好ましく、良溶剤が 多い方がセルロースエステルの溶解性の点で 好ましい。

 良溶剤と貧溶剤の混合比率の好ましい範 は、良溶剤が70~98質量%であり、貧溶剤が2~30 質量%である。良溶剤、貧溶剤とは、使用す セルロースエステルを単独で溶解するもの 良溶剤、単独で膨潤するかまたは溶解しな ものを貧溶剤と定義している。

 そのため、セルロースエステルの平均酢 度(アセチル基置換度)によっては、良溶剤 貧溶剤が変わり、例えばアセトンを溶剤と て用いる時には、セルロースエステルの酢 エステル(アセチル基置換度2.4)、セルロース アセテートプロピオネートでは良溶剤になり 、セルロースの酢酸エステル(アセチル基置 度2.8)では貧溶剤となる。

 本発明に用いられる良溶剤は特に限定さ ないが、メチレンクロライド等の有機ハロ ン化合物やジオキソラン類、アセトン、酢 メチル、アセト酢酸メチル等が挙げられる 特に好ましくはメチレンクロライドまたは 酸メチルが挙げられる。

 また、本発明に用いられる貧溶剤は特に 定されないが、例えば、メタノール、エタ ール、n-ブタノール、シクロヘキサン、シ ロヘキサノン等が好ましく用いられる。ま 、ドープ中には水が0.01~2質量%含有している とが好ましい。

 また、セルロースエステル、負の複屈折 示すアクリルポリマーおよび分子量が300以 2000未満である芳香族末端ポリエステル並び に添加剤の溶解に用いられる溶媒は、フィル ム製膜工程で乾燥によりフィルムから除去さ れた溶媒を回収し、これを再利用して用いら れる。

 上記記載のドープを調製する時の、セル ースエステルの溶解方法としては、一般的 方法を用いることができる。加熱と加圧を み合わせると常圧における沸点以上に加熱 来る。

 溶剤の常圧での沸点以上でかつ加圧下で 剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら 拌溶解すると、ゲルやママコと呼ばれる塊 未溶解物の発生を防止するため好ましい。 た、セルロースエステルを貧溶剤と混合し 湿潤或いは膨潤させた後、更に良溶剤を添 して溶解する方法も好ましく用いられる。

 加圧は窒素ガス等の不活性気体を圧入す 方法や、加熱によって溶剤の蒸気圧を上昇 せる方法によって行ってもよい。加熱は外 から行うことが好ましく、例えばジャケッ タイプのものは温度コントロールが容易で ましい。

 溶剤を添加しての加熱温度は、高い方が ルロースエステルの溶解性の観点から好ま いが、加熱温度が高過ぎると必要とされる 力が大きくなり生産性が悪くなる。

 好ましい加熱温度は45~120℃であり、60~110 がより好ましく、70℃~105℃が更に好ましい また、圧力は設定温度で溶剤が沸騰しない うに調整される。

 若しくは冷却溶解法も好ましく用いられ これによって酢酸メチルなどの溶媒にセル ースエステルを溶解させることができる。

 次に、このセルロースエステル、負の複 折を示すアクリルポリマーおよび分子量が3 00以上2000未満である芳香族末端ポリエステル 並びに添加剤溶液を濾紙等の適当な濾過材を 用いて濾過する。

 濾過材としては、不溶物等を除去するた に絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、 対濾過精度が小さ過ぎると濾過材の目詰ま が発生し易いという問題がある。

 このため絶対濾過精度0.008mm以下の濾材が 好ましく、0.001~0.008mmの濾材がより好ましく 0.003~0.006mmの濾材が更に好ましい。

 濾材の材質は特に制限はなく、通常の濾 を使用することができるが、ポリプロピレ 、テフロン(登録商標)等のプラスチック製 濾材や、ステンレススティール等の金属製 濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。

 濾過により、原料のセルロースエステル 含まれていた不純物、特に輝点異物を除去 低減することが好ましい。

 輝点異物とは、2枚の偏光板をクロスニコル 状態にして配置し、その間にロール状セルロ ースエステルを置き、一方の偏光板の側から 光を当てて、他方の偏光板の側から観察した 時に反対側からの光が漏れて見える点(異物) ことであり、径が0.01mm以上である輝点数が2 00個/cm 2 以下であることが好ましい。

 より好ましくは100個/cm 2 以下であり、更に好ましくは50個/m 2 以下であり、更に好ましくは0~10個/cm 2 以下である。また、0.01mm以下の輝点も少ない 方が好ましい。

 ドープの濾過は通常の方法で行うことが きるが、溶剤の常圧での沸点以上で、かつ 圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱 ながら濾過する方法が、濾過前後の濾圧の (差圧という)の上昇が小さく、好ましい。

 好ましい温度は45~120℃であり、45~70℃が り好ましく、45~55℃であることが更に好まし い。

 濾圧は小さい方が好ましい。濾圧は1.6MPa 下であることが好ましく、1.2MPa以下である とがより好ましく、1.0MPa以下であることが に好ましい。

 ついで、ドープの流延について説明する

 流延(キャスト)工程における金属支持体 、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、 属支持体としては、ステンレススティール ルト若しくは鋳物で表面をメッキ仕上げし ドラムが好ましく用いられる。キャストの は1~4mとすることができる。

 流延工程の金属支持体の表面温度は-50℃~ 溶剤の沸点未満の温度で、温度が高い方がウ ェブの乾燥速度が速くできるので好ましいが 、余り高過ぎるとウェブが発泡したり、平面 性が劣化する場合がある。好ましい支持体温 度は0~50℃であり、5~30℃が更に好ましい。

 或いは、冷却することによってウェブを ル化させて残留溶媒を多く含んだ状態でド ムから剥離することも好ましい方法である

 金属支持体の温度を制御する方法は特に 限されないが、温風または冷風を吹きかけ 方法や、温水を金属支持体の裏側に接触さ る方法がある。

 温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行 れるため、金属支持体の温度が一定になる での時間が短く好ましい。温風を用いる場 は目的の温度よりも高い温度の風を使う場 がある。

 ロール状セルロースエステルが良好な平 性を示すためには、金属支持体からウェブ 剥離する際の残留溶媒量は10~150質量%が好ま しく、更に好ましくは20~40質量%または60~130質 量%であり、特に好ましくは、20~30質量%また 70~120質量%である。

 本発明においては、残留溶媒量は下記式 定義される。

 残留溶媒量(質量%)={(M-N)/N}×100
 尚、Mはウェブまたはフィルムを製造中また は製造後の任意の時点で採取した試料の質量 で、NはMを115℃で1時間の加熱後の質量である 。

 また、ロール状セルロースエステルの乾 工程においては、ウェブを金属支持体より 離し、更に乾燥し、残留溶媒量を1質量%以 にすることが好ましく、更に好ましくは0.1 量%以下であり、特に好ましくは0~0.01質量%以 下である。

 フィルム乾燥工程では一般にロール乾燥 式(上下に配置した多数のロールをウェブを 交互に通し乾燥させる方式)やテンター方式 ウェブを搬送させながら乾燥する方式が採 れる。

 本発明のセルロースエステルフィルムを 製するためには、金属支持体より剥離した 後のウェブの残留溶剤量の多いところで搬 方向(=長尺方向)に延伸し、更にウェブの両 をクリップ等で把持するテンター方式で幅 向に延伸を行うことが特に好ましい。

 本発明の製造方法によって製造されたセ ロースエステルフィルムは、大型の液晶テ ビに用いられる。画面サイズとしては、17 以上に用いることができ、好ましくは26型以 上100型程度まで用いることができる。

 以下、本発明について実施例を挙げて説 するが、本発明はこれらに限定されるもの はない。

 実施例1
<セルロースエステルフィルム101の作製>
 〈微粒子分散液1〉
 微粒子(アエロジル R972V 日本アエロジル( )製)    11質量部
 エタノール                           89質量部
 以上をディゾルバーで50分間攪拌混合した 、マントンゴーリンで分散を行った。

 〈微粒子添加液1〉
 メチレンクロライドを入れた溶解タンクに ルロースエステルBを添加し、加熱して完全 に溶解させた後、これを安積濾紙(株)製の安 濾紙No.244を使用して濾過した。

 濾過後のセルロースエステル溶液を充分 攪拌しながら、ここに微粒子分散液1をゆっ くりと添加した。更に、二次粒子の粒径が所 定の大きさとなるようにアトライターにて分 散を行った。これを日本精線(株)製のファイ メットNFで濾過し、微粒子添加液1を調製し 。

 メチレンクロライド                       99質量部
 セルロースエステルB                        4質量部
 微粒子分散液1                         11質量部
 下記組成の主ドープ液を調製した。まず加 溶解タンクにメチレンクロライドとエタノ ルを添加した。溶剤の入った加圧溶解タン にセルロースエステルBを攪拌しながら投入 した。これを加熱し、攪拌しながら、完全に 溶解し。これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.2 44を使用して濾過し、主ドープ液を調製した

 〈主ドープ液の組成〉
 メチレンクロライド                      340質量部
 エタノール                           64質量部
 本発明のセルロースエステルB                  100質量部
 本発明のアクリルポリマー                    5.5質量部
 本発明のポリエステル                      0.5質量部
 微粒子添加液1                          2質量部
 以上を密閉容器に投入し、攪拌しながら溶 してドープ液を調製した。次いで、無端ベ ト流延装置を用い、ドープ液を温度33℃、15 00mm幅でステンレスベルト支持体上に均一に 延した。ステンレスベルトの温度は50℃に制 御した。

 ステンレスベルト支持体上で、流延(キャ スト)したフィルム中の残留溶媒量が75%にな まで溶媒を蒸発させ、次いで剥離張力70N/mで 、ステンレスベルト支持体上から剥離した。

 剥離したセルロースエステルフィルムを 160℃の熱をかけながらテンターを用いて幅 向に35%延伸した。延伸開始時の残留溶媒は2 0%であった。

 次いで、乾燥ゾーンを多数のロールで搬 させながら乾燥を終了させた。乾燥温度は1 20℃で、搬送張力は90N/mとした。

 以上のようにして、乾燥膜厚40μmのセル ースアシレートフィルム101を得た。

 以下、さらに可塑剤、紫外線吸収剤を添 し、溶剤種、膜厚、延伸倍率を表1~6に示す うに変更した以外はほぼ同様にしてセルロ スアシレートフィルム102~122を作成した。

 なお、全ての試料においてドープ液への ルロースエステルの添加量を100質量部、微 子添加液1の添加量を2質量部とした。また 試料103,106では、エタノール64質量部に代え 、エタノール60質量部とブタノール4質量部 使用した。

 比較試料として、特開2000-111914号公報実 例1記載のドープ(平均酢化度60.9%(アセチル基 置換度:2.87)のセルロースアセテート45質量部 レターデーション上昇剤A1.2質量部、メチレ ンクロリド232.72質量部、メタノール42.57質量 およびn-ブタノール8.50質量部)を用い、延伸 倍率を調整し試料201を作成した。また、レタ ーデーション上昇剤Aの添加量を0.8質量部と た試料202も作成した。さらに、比較試料と て、表7に示すように試料203~205を作成した。

 

 得られた各々のサンプルについて、以下 要領で各波長でのレターデーション値、ヘ ズ値を測定したその結果を[表8]に示す。

 《レターデーションRo、Rtの測定》
 得られたフィルムから試料35mm×35mmを切り出 し、25℃,55%RHで2時間調湿し、自動複屈折計(KO BRA21DH、王子計測(株))で、480nm、590nmおよび630n mにおける垂直方向から測定した値とフィル 面を傾けながら同様に測定したレターデー ョン値の外挿値より算出した。

 本発明のセルロースエステルフィルム101~ 122は比較フィルムに比べて、レターデーショ ン値の波長分散性に優れていることが分る。

 実施例2
<偏光板の作製>
 厚さ、120μmのポリビニルアルコールフィル を、一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)した これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水10 0gからなる水溶液に60秒間浸漬し、次いでヨ 化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gからなる68 の水溶液に浸漬した。これを水洗、乾燥し 光膜を得た。

 次いで、下記工程1~5に従って偏光膜と前 セルロースエステルフィルム101~120と、裏面 側にはコニカミノルタタックKC4UY(コニカミノ ルタオプト(株)製セルロースエステルフィル )を光学補償フィルムとして貼り合わせて偏 光板を作製した。

 工程1:60℃の2モル/Lの水酸化ナトリウム溶 液に90秒間浸漬し、次いで水洗し乾燥して、 光子と貼合する側を鹸化したセルロースエ テルフィルムを得た。

 工程2:前記偏光膜を固形分2質量%のポリビ ニルアルコール接着剤槽中に1~2秒浸漬した。

 工程3:工程2で偏光膜に付着した過剰の接 剤を軽く拭き除き、これを工程1で処理した セルロースエステルフィルムの上にのせて配 置した。

 工程4:工程3で積層したセルロースエステル ィルム101~205と偏光膜と裏面側セルロースエ ステルフィルムを圧力20~30N/cm 2 、搬送スピードは約2m/分で貼合した。

 工程5:80℃の乾燥機中に工程4で作製した 光膜とセルロースエステルフィルム101~205と ニカミノルタタックKC4UYとを貼り合わせた 料を2分間乾燥し、偏光板101~205を作製した。

 得られた偏光板の各々について光漏れ量 測定した。結果を[表9]に示す。

 《光漏れ量の評価》
 作製した偏光板を2枚クロスニコルに配置し て、(株)日立製作所製の分光光度計U3100を用 て590nmの透過率(T1)を測定した。更に、偏光 を2枚とも80℃90%の条件で100時間処理した後 上記と同様にしてクロスニコルに配置した の透過率(T2)を測定して、サーモ処理前後の 過率の変化を調べ、次式に従って光漏れ量 測定した。

 なお、セルロースエステルフィルム101~122 、201~205を上記、80℃90%の条件で100時間処理し た後のレターデーション値の波長分散の変化 量:■Ro(480)/Ro(630)を表9に示す。

 光漏れ量(%)=T2(%)-T1(%)
 光漏れ量は0~5%であれば実用上問題ないが、 0~4%であることが好ましく、更に好ましくは0~ 3%であり、0~1(%)であることが特に好ましい。

 上表から、本発明の偏光板101~122は光漏れ に優れた偏光板であることが明らかである。

 実施例3
<液晶表示装置の作製>
 視野角測定を行う液晶パネルを以下のよう して作製し、液晶表示装置としての特性を 価した。

 SONY製40型ディスプレイKLV-40V1000の予め貼 されていた両面の偏光板を剥がして、上記 製した偏光板101~205をそれぞれ液晶セルのガ ス面の両面に貼合した。

 その際、その偏光板の貼合の向きは、本 明のセルロースエステルフィルムの面が、 晶セル側となるように、かつ、予め貼合さ ていた偏光板と同一の方向に吸収軸が向く うに行い、液晶表示装置101~205を各々作製し た。

 この液晶表示装置について色味変動およ 正面コントラストについて評価した。結果 [表9]に示す。

 《色味変動の評価》
 上記作製した各液晶表示装置について、測 機(EZ-Contrast160D、ELDIM社製)を用いて色味変動 について測定した。CIE1976、UCS座標において 上下方向(表示法線から上80°~下80°)での最大 色味変動幅δu‘v’を比較した。

 《正面コントラストの評価》
 23℃55%RHの環境で、各々の液晶表示装置のバ ックライトを1週間連続点灯した後、測定を った。測定にはELDIM社製EZ-Contrast160Dを用いて 、液晶表示装置で白表示と黒表示の表示画面 の法線方向からの輝度を測定し、その比を正 面コントラストとした。

 正面コントラスト=(表示装置の法線方向か 測定した白表示の輝度)/(表示装置の法線方 から測定した黒表示の輝度)
  [表9]の結果から、本発明の偏光板101~122は 味変動、正面コントラストに優れた偏光板 あることが明らかである。

 本発明によれば、経時でも光漏れの発生 抑制された光学補償フィルムを提供するこ ができる。