田中 勇 (〒12 鹿児島県霧島市国分山下町1番4号 京セラ株式会社総合研究所内 Kagoshima, 8994312, JP)
OHKUMA, Takeshi (1-4 Kokubuyamashita-choKirishima-sh, Kagoshima 12, 8994312, JP)
京セラ株式会社 (〒01 京都府京都市伏見区竹田鳥羽殿町6番地 Kyoto, 6128501, JP)
TANAKA, Isamu (1-4 Kokubuyamashita-choKirishima-sh, Kagoshima 12, 8994312, JP)
田中 勇 (〒12 鹿児島県霧島市国分山下町1番4号 京セラ株式会社総合研究所内 Kagoshima, 8994312, JP)
| 硬質相としてWC粒子を、結合相としてCoをそれぞれ含み、かつCo 3
W 3
C、Co 6
W 6
C、Co 2
W 4
CおよびCo 3
W 9
Cから選ばれる少なくとも1種のコバルトタングステン炭化物粒子を含有する超硬合金であって、 Cukα線を用いたX線回折測定における前記Co 3 W 3 Cのピーク、前記Co 6 W 6 Cのピーク、前記Co 2 W 4 Cのピークおよび前記Co 3 W 9 Cのピークのうち最大のピーク強度をI 1 とし、前記WCの最大のピーク強度をI 2 としたとき、0<I 1 /I 2 ≦0.05を満足するとともに、前記WC粒子の平均粒径が0.3μm以下であり、かつ前記コバルトタングステン炭化物粒子の平均粒径が前記WC粒子の平均粒径よりも小さいことを特徴とする超硬合金。 |
| 超硬合金断面の30000倍の電子顕微鏡写真における40μm角の視野中において、粒径1μm以上の前記コバルトタングステン炭化物粒子が1個存在するか、または存在しないことを特徴とする請求項1に記載の超硬合金。 |
| 前記WC粒子の内部に炭素粒子が存在するとともに、該炭素粒子の外周部の格子面が、前記WC粒子の格子面と連続していることを特徴とする請求項1または2に記載の超硬合金。 |
| 前記炭素粒子の平均粒径が50nm以下であることを特徴とする請求項3に記載の超硬合金。 |
| 前記結合相中の酸素量が3質量%以下であることを特徴とする請求項3または4に記載の超硬合金。 |
| 前記WC粒子が柱状粒子であるとともに、超硬合金の任意断面に前記WC粒子の四角形状の断面が複数現れており、該WC粒子の四角形状の断面のうち、アスペクト比が2以上の断面が面積比で10%以上存在することを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれかに記載の超硬合金。 |
| 前記WC粒子の四角形状の断面のうち、アスペクト比が2以上の断面における長辺の平均長さが1μm以下であることを特徴とする請求項6に記載の超硬合金。 |
| 前記WC粒子の四角形状の断面のうち、アスペクト比が2以上の断面の面積比率が30%以下であることを特徴とする請求項6または7に記載の超硬合金。 |
| 請求項1乃至8のうちいずれかに記載の超硬合金からなることを特徴とする切削工具。 |
| 請求項9に記載の切削工具と、該切削工具により加工される被切削材を保持するための保持台とを具備することを特徴とする切削加工装置。 |
本発明は、超硬合金、切削工具ならびに 削加工装置に関し、特に、小径エンドミル 小径ドリル、小径パンチなどの切削工具、 にはミニチュアドリル、ならびに切削加工 置に関する。
炭化タングステン(WC)/コバルト(Co)系超硬 金は耐磨耗性、高温強度および高弾性率に れているという理由から、金属の切削加工 プリント基板加工用の材料として用いられ いる。特に、WC粒子を主体として、チタン ニオブ、ジルコニウム、クロム、バナジウ 、およびタンタル等の炭化物を添加し、か 結合相としてコバルトを含有せしめた超硬 金が広く用いられている。
上述のWC/Co系超硬合金では、結合相であるCo 相の量と、WC粒子の粒度、そして、WC粒子間 距離によって機械的な特性が影響を受ける うになり、一般的に、WC粒子が微細であるほ ど機械的特性、特に硬度および強度が大きく なる。これに伴い、WC/Co系超硬合金の製造時 、炭化バナジウム(VC)、炭化クロム(Cr 3 C 2 )、炭化タンタル(TaC)、および炭化ニオブ(NbC) うち少なくとも1種が粒子成長抑制剤として 添加されている。
一方、WC/Co系超硬合金において、合金中の 素量は、合金全体の特性を大きく左右する 因であることから、製造上細かな制御が行 れている。一般に、この炭素量は、各金属 素の炭化物としての化学量論組成になる量 添加される。その炭素量が多い場合、合金 には遊離炭素が析出し、逆に炭素量が少な 場合には、合金中に炭素が少ないコバルト ングステン炭化物、例えば、Co 3 W 3 C、Co 6 W 6 C、Co 2 W 4 C、Co 3 W 9 C 4 (以下、η相と総称する場合がある)が析出す 。通常、合金の特性の面から、上述したよ な遊離炭素またはη相を含まない、いわゆる 健全合金が一般的に使用されている。これは 、遊離炭素やη相が破壊の起源となり易く、 硬合金の切削特性を低下させると考えられ きたためである。
これに対して、Co 3 W 3 Cの析出を積極的に促進させ、これによりス ンレス等の難切削性被削材の切削時におけ 耐摩耗性を向上させた超硬合金が提案され いる(例えば、特許文献1参照)。また、η相を 微量に析出して分散させることによって、耐 摩耗性と耐欠損性を向上させた超硬合金が提 案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、ミニチュアドリル用の超硬合金材料
しては、特許文献3、4、5に記載されるよう
ものが知られている。
しかしながら、特許文献1に記載の超硬合 金では、低強度のη相の割合が多いため、強 が小さくなるという問題があった。
また、特許文献2に記載の超硬合金では、 健全合金に比べて30%程度も強度が低いという 問題があった。これは、特許文献2記載の超 合金では、η相は微量な場合があるものの、 WC粒子の粒径が大きいため、強度が低下して るものと考えられる。
さらに、特許文献1、2に記載の超硬合金 は、WC粒子の粒径が大きいため、プリント基 板加工用等のミニチュアドリルなどにそのま ま使用することができなかった。
さらに、特許文献3~5に示されるように、 年ではミニチュアドリルの開発が進んでお 、ミニチュアドリルの小径化が進み、近年 は、切刃部の直径が300μm以下、さらには100 m以下にまで小径化が進んでおり、ミニチュ ドリルの小径化に伴いミニチュアドリル用 超硬合金のWC粒子も0.5μm以下、さらには0.3μ m以下と微粒になってきている。そして、WC粒 子の微粒化に伴い、WC粒子の粒径を超えるη 粒子が存在するようになり、強度が低いη相 粒子を起点として、ミニチュアドリルが折損 し易くなるという問題があった。
本発明は、高強度と高硬度を有し、かつ 損を抑制できる超硬合金、切削工具ならび 切削加工装置を提供することを目的とする
本発明者等は、上記課題について検討を重 た結果、下記式0<I 1 /I 2 ≦0.05を満足するとともに、WC-Co系超硬合金に おけるWC粒子の平均粒径を0.3μm以下とし、WC 子よりも平均粒径が小さいη相粒子を微量に 分散析出させることにより、優れた機械的強 度と高硬度を有し、かつ折損を抑制できる超 硬合金が得られることを知見し、本発明に至 った。
即ち、本発明の超硬合金は、硬質相としてW
C粒子を、結合相としてCoをそれぞれ含み、か
つCo 3
W 3
C、Co 6
W 6
C、Co 2
W 4
CおよびCo 3
W 9
Cから選ばれる少なくとも1種のコバルトタン
ステン炭化物粒子を含有する。ここで、Cuk
線を用いたX線回折測定における前記Co 3
W 3
Cのピーク、前記Co 6
W 6
Cのピーク、前記Co 2
W 4
Cのピークおよび前記Co 3
W 9
Cのピークのうち最大のピーク強度をI 1
とし、前記WCの最大のピーク強度をI 2
としたとき、0<I 1
/I 2
≦0.05を満足するとともに、前記WC粒子の平均
粒径が0.3μm以下であり、かつ前記コバルトタ
ングステン炭化物粒子の平均粒径が前記WC粒
の平均粒径よりも小さいことを特徴とする
また、本発明の超硬合金は、その断面の3000
0倍の電子顕微鏡写真における40μm角の視野中
において、粒径1μm以上の前記コバルトタン
ステン炭化物粒子が1個存在するか、または
在しないことを特徴とする。
また、本発明の超硬合金は、前記WC粒子の
部に炭素粒子が存在するとともに、該炭素
子の外周部の格子面が、前記WC粒子の格子面
と連続していることを特徴とする。
ここで、炭素粒子の平均粒径が50nm以下であ
ることを特徴とする。
また、結合相中の酸素量が3質量%以下であ
ことを特徴とする。
さらに、本発明の超硬合金は、前記WC粒子
柱状粒子であるとともに、超硬合金の任意
面に前記WC粒子の四角形状の断面が複数現れ
ており、該WC粒子の四角形状の断面のうち、
スペクト比が2以上の断面が面積比で10%以上
存在することを特徴とする。
ここで、前記WC粒子の四角形状の断面のう
、アスペクト比が2以上の断面における長辺
平均長さが1μm以下であることを特徴とする
。
また、前記WC粒子の四角形状の断面のうち
アスペクト比が2以上の断面の面積比率が30%
下であることを特徴とする。
本発明の切削工具は、上記超硬合金から る。また、本発明の切削加工装置は、上記 削工具と、該切削工具により加工される被 削材を保持するための保持台とを具備する
本発明の超硬合金では、WC粒子の平均粒径 0.3μm以下とすることにより、主に合金の強 を向上でき、また、前記した式0<I 1 /I 2 ≦0.05で示される関係を満足させ、高硬度なη 相を結合相中に微量に分散させることにより 、主に結合相を高硬度化でき、これにより耐 摩耗性を向上することができる。さらに、η 粒子の平均粒径をWC粒子の平均粒径よりも さくすることにより、WC粒子の粒径を超える η相粒子を少なくでき、このような強度の低 粗粒のη相粒子を起点とする折損を抑制で る。
このような超硬合金を切削工具に用いる とにより、強度および硬度に優れ、折損を 制でき、切削性能を向上できるとともに、 寿命を達成できる切削工具、例えばプリン 配線板加工に優れたミニチュアドリルを得 ことができる。
図1は、超硬合金の実施形態を示すもので 、超硬合金は、硬質相3と結合相5とで構成さ ている。硬質相3はWC粒子からなり、結合相5 はCoを主成分とするもので、Coは全量中に5~15 量%の割合で含有されている。WCは、合金全 中81~95質量%の割合で含有されている。
また、結合相5の強化の点で、超硬合金中に 含有されるバナジウムを炭化物(VC)換算で0.1~1 .5質量%、クロムを炭化物(Cr 3 C 2 )換算で0.1~2.5質量%含有することが望ましい。
これらのバナジウム(V)およびクロム(Cr)は WCとCoとの界面における中間体として機能し WCとCoとの結合を強固にできるという作用を する。また、バナジウムおよびクロムは、W CおよびCoに対して粒成長抑制剤としての機能 も備えている。これらの粒成長抑制剤は、結 合相5中のCoに固溶している。バナジウム(V)に ついては、一部WC内にも存在している。
尚、図1は、超硬合金断面の30000倍の走査 電子顕微鏡(SEM)写真である。硬質相であるWC 粒子の平均粒径は0.3μm以下であり、特に高強 度化という観点から、平均粒径0.2μm以下であ ることが望ましい。WC粒子の平均粒径は、原 粉末の混合が可能という点から、0.1μm以上 あることが望ましい。WC粒子は三角柱状で り、見る角度によって三角形や四角形に見 る。このようなWC粒子の平均粒径は、走査型 電子顕微鏡(SEM)写真においてWC粒子の占める 面積を測定して、WC粒子の個数で割って平均 値を算出し、WC粒子が球状と仮定したときの 径に換算して、平均粒径を得ることができ 。WC粒子の占める面積は、例えば、画像ソ ト(日本ローパー:ImagePro Plus)により測定でき る。
そして、本実施形態の超硬合金は、図1に示
したように、上記の硬質相3、結合相5以外に
相7が存在することが大きな特徴である。η
7は、図1において黒っぽく表示されている。
η相7としては、C 3
W 3
C、Co 6
W 6
C、Co 2
W 4
CおよびCo 3
W 9
Cから選ばれるコバルトタングステン炭化物
ある。尚、η相7としては、C 3
W 3
C、Co 6
W 6
C、Co 2
W 4
CおよびCo 3
W 9
Cに、V、Crが固溶したものも含まれる。これ
のη相7のX線回折パターン(Cukα線)における最
大ピークは、Co 3
W 3
Cの(333)と(511)の合成ピーク、Co 6
W 6
Cの(333)と(511)の合成ピーク、Co 2
W 4
Cの(333)と(511)の合成ピークおよびCo 3
W 9
Cの(301)のピークである。
本発明によれば、これらのη相7のピークの
、最も強度の大きいピーク高さをI 1
、WCの最大ピークであるWCの(001)のピーク高さ
をI 2
とした時、I 1
/I 2
で表わされるピーク強度比が0より大きく、0.
05以下とされている。図2に、X線回折パター
を示す。尚、図2において、2θ=40°付近と、42
.5°付近にη相のピークが現れており、この場
合のI 1
/I 2
は、0.03とされている。尚、図2の40°付近のピ
ークはC 3
W 3
Cの(422)のピークである。ピーク強度は、X線
折測定におけるカウント値を用いる。
ピーク強度比I 1 /I 2 を0<I 1 /I 2 ≦0.05に設定し、η相を微量に合金中に存在さ せることにより、主に結合相の高硬度化を達 成できる。一方、この強度比が0であると合 中にη相の析出がなく、結合相の高硬度化に 伴う合金の高硬度化を達成できず、耐摩耗性 が低下して工具摩耗量が増加するとともに、 硬質相と結合相の結合が弱くなる為に抗折強 度が低下してしまう。また、I 1 /I 2 が0.05を超えると、過剰のη相析出のため抗折 強度が低下してしまう。抗折強度向上という 観点から、I 1 /I 2 は、望ましくは0.005~0.03、さらには、0.005~0.02 望ましい。
尚、Co 3 W 3 Cの(333)と(511)の合成ピークについては、Cukα を用いたX線回折測定において、2θ=42.5°付近 、Co 6 W 6 Cの(333)と(511)の合成ピークについては2θ=43° 近、Co 2 W 4 Cの(333)と(511)の合成ピークについては2θ=42° 近、Co 3 W 9 Cの(301)のピークについては2θ=41°付近に生じ 。
上記η相7の平均粒径はWC粒子の平均粒径 りも小さい、即ち、η相の平均粒径は0.3μmよ りも小さくされている。η相の平均粒径は、 損防止という点から特に0.2μm以下であるこ が望ましい。η相の平均粒径は、WC粒子の平 均粒径と同様にして求めることができる。
このような超硬合金では、0<I 1 /I 2 ≦0.05を満足するとともに、WC粒子の平均粒径 を0.3μm以下に微粒化させ、WC粒子よりも平均 径の小さいη相粒子を微量に分散分布させ ことにより、高強度と高硬度を有し、かつ 損を抑制できる。
これは、WC粒子の平均粒径を0.3μm以下とす ことにより、主に合金の強度を向上でき、 た、0<I 1 /I 2 ≦0.05を満足させ、高硬度なη相を結合相中に 微量に分散させることにより、主に結合相を 高硬度化する機能を有し、これにより耐摩耗 性を向上することができる。さらに、η相の 均粒径をWC粒子の平均粒径よりも小さくす ことにより、WC粒子の粒径を超えるη相粒子 少なくでき、このような強度の低い粗粒の 相粒子を起点とする折損を抑制できる。
本実施形態では、焼結体断面の30000倍の 査型電子顕微鏡写真における40μm角の視野中 において、粒径1μm以上のコバルトタングス ン炭化物(η相粒子)が1個または存在しないこ とが望ましい。特には存在しないことが望ま しい。このような超硬合金では、巨大なη相 子を起点とする折損を防止できる。また、 相粒子の脱粒を防止でき、折損を抑制でき という効果もある。粒径1μm以上のコバルト ングステン炭化物粒子(η相粒子)の個数を算 出する場合は、走査型電子顕微鏡写真上にお いて、η相粒子の最大幅が1μm以上のものを算 出する。
本実施形態の超硬合金を製造するに当たっ は、原料として微粒のWC粉末、Co粉末、およ び粒成長抑制剤として、例えば、VC粉末とCr 3 C 2 粉末、炭素量調整のために、例えば、カーボ ンブラック(C)を使用する。尚、粒成長抑制剤 としては、VC粉末およびCr 3 C 2 粉末のいずれか一方を用いても良い。ここで 、WC粉末、Co粉末は、WCの微粒化とCoの均一分 のため、WとCoの水溶性塩を水に溶かして乾 し、熱処理し、その後炭化処理することに って生成したWC-Co複合炭化物粉末を使用す ことが望ましい。
また、VC粉末とCr 3 C 2 粉末については、平均粒径1.0μm以下であるこ とが望ましく、酸素含有量がそれぞれ0.5質量 %以下であることが望ましい。WC粉末について は、平均粒径0.25μm以下、酸素含有量が0.2質 %以下であることが望ましい。酸素含有量を 下させるには、WC粉末、VC粉末、Cr 3 C 2 粉末について、例えば炭化処理時の炭化雰囲 気を強くすることにより達成できる。酸素含 有量については、赤外吸収法により測定でき る。
尚、粒成長抑制剤としては、VC粉末、Cr 3 C 2 粉末の代わりに、炭化タンタル(TaC)および/ま たは炭化ニオブ(NbC)を用いることもできる。 の場合にも、平均粒径1.0μm以下であること 望ましく、酸素含有量が0.5質量%以下である ことが望ましい。
上記の粉末を秤量して、アセトンやプロパ ールなどの有機溶剤を用いて湿式混合粉砕 、乾燥した後、プレス成形などの公知の成 方法により成形後、焼成し、さらにその後 力をかけて熱間静水圧(HIP)焼成する。なお 有機溶剤については、酸素の含有量の少な アセトンやプロパノールが望ましい。また 有機溶剤を用いての湿式混合粉砕の回数も 小限とし、有機溶剤に浸漬する時間も最小 することが望ましい。焼成は、焼成炉内を 空度0.133~13.3Pa(10 -1 ~10 -3 Torr)の真空とし1300~1390℃の範囲で10分~2時間焼 成し、引き続き、焼成炉内をAr雰囲気で1~10MPa の圧力とし、1290~1380℃で焼成する。
尚、WC-Co複合炭化物粉末として、WとCoの水 性塩を水に溶かして乾燥し、熱処理し、そ 後炭化処理することによって生成した粉末 使用する場合には、VC、Cr 3 C 2 粉末は、なるべく焼成直前に添加し、有機溶 剤を添加して混合粉砕するとしても、OH基の ない溶剤を選択し、混合粉砕時間を短くし しかも、VCとCr 3 C 2 への有機溶剤添加回数を極力減らすことによ り、酸素含有量を低減することができる。
このように、VC粉末、Cr 3 C 2 粉末、WC粉末の酸素量を低減し、しかも、OH の少ない溶剤を選択して湿式混合粉砕する め、焼成前の酸素量が少なくなり、これに り、カーボンブラック(C)の添加量により、η 相量を制御することができる。
また、上記のVC粉末、Cr 3 C 2 粉末の酸素含有量が0.5質量%よりも多い場合 は、焼成時に粗大なη相粒子が析出しやすい 。これは、VCとCr 3 C 2 はWCに比べて酸化されやすいため、焼成中に 料表面に吸着したOHなどと反応して表面が 化される。そして、焼成の最終段階におい 、VCもしくはCr 3 C 2 粉末表面の酸素が周囲のカーボンまたはWCのC と反応してCOとなって抜けてしまうため、周 のカーボン量が不足となり、大きなη相が 成されると考えられる。
同様に、VC粉末、Cr 3 C 2 粉末の粒径が大きくなると、粗大なη相粒子 生成されやすい。一方、WC粒子を0.3μm以下 した場合、原料粒径としては約0.25μm以下と り、これに伴い、添加するVC粉末、Cr 3 C 2 粉末等の粒成長抑制剤の原料粒径も、分散性 向上のため小さくなるが、粒成長抑制剤の表 面積が増加するため酸素の吸着量が増加し、 しかも粒成長抑制剤が凝集した場合にはなお さら酸素量が多くなり、特に、WC粒子を微粒 した場合には、粗大なη相粒子が析出し、WC 粒子の平均粒径よりもη相粒子の平均粒径が きくなってしまう。
即ち、WC粒子が0.5μm以上と大きい場合に 、η相粒子が存在していたとしても、η相粒 がWC粒子よりも大きくなることはあまりな ったので、例えばミニチュアドリルの特性 それ程影響を与えなかったが、ミニチュア リルの小径化が進み、WC粒子が0.3μm以下と微 粒になってくると、WC粒子の粒径を超えるη 粒子が存在するようになり、WCよりも強度が 低いη相粒子を起点として、ミニチュアドリ が折損し易くなるという問題があった。
このような状態となると、超硬合金断面 30000倍の走査型電子顕微鏡写真における40μm 角の視野中において、粒径1μm以上のη相粒子 が多数存在するようになり、その低強度のη 粒子を起点として折損しやすくなるという 題があった。
本実施形態では、WC粉末を微粉化し、VC粉末 、Cr 3 C 2 粉末等の粒成長抑制剤を微粉化したとしても 、上記のように、これらの原料粉末の酸素量 を少なくし、しかも、混合粉砕工程回数、時 間を減らし、さらには溶剤も酸素量の少ない ものを使用し、かつ、炭素源、例えばカーボ ンブラック(C)の添加量を制御することにより 、0<I 1 /I 2 ≦0.05を満足するη相量に確実に制御できると ともに、WCの平均粒径を0.3μm以下、かつ、η 粒子の平均粒径をWCの平均粒径よりも小さく でき、さらには、超硬合金断面の30000倍の電 顕微鏡写真における40μm角の視野中におい 、粒径1μm以上のη相粒子が1個または存在し い組織とできる。
本実施形態の切削工具は、上記超硬合金か
なるもので、例えば、小径エンドミル、小
ドリル(ミニチュアドリルを含む)、小径パ
チなど高硬度かつ高強度で、耐折損性が求
られる切削工具、特にはミニチュアドリル
好適に用いることができる。特に、切刃部
直径が300μm以下、特には200μm以下、さらに
100μm以下の場合には、折損し易くなるため
本発明の超硬合金を好適に用いることがで
る。さらに、切削工具の小径棒状部分(直径
300μm以下)、例えばミニチュアドリルの切刃
部が、長さ1mm以上の場合に本発明を好適に用
いることができる。
ミニチュアドリルとは、極小ドリルに包含
れるもので、基板、特にプリント基板に孔
けするものに好適に用いられるが、特に基
孔あけ用に限定されるものではない。ミニ
ュアドリルとは、特には、切刃部の直径が3
00μm以下のものをいう。このようなミニチュ
ドリルは、一般に、図3(a-1)(a-2)に示すよう
断面円形の小径棒状超硬合金21の長さ方向x
一端部を研削し、螺旋状の溝を形成して切
部を作製し、図3(b)に示すように、円柱状の
ャンク部25と、該シャンク部25にその長さ方
向xに一体的に設けられた断面円形状の切刃
27と、シャンク部25と切刃部27との間の段差
29とを形成して作製されている。シャンク部
25の長さは10~30mm、切刃部27の長さは1~3mmとさ
ている。尚、段差部29は、必ずしも形成する
必要はない。ここで、図3(a-1)は小径棒状超硬
合金21の側面図、図3(a-2)は、図3(a-1)の正面図
ある。
さらに、切削加工装置は、上記切削工具と
該切削工具により加工される被切削材を保
するための保持台とを具備して構成するこ
ができる。切削加工装置としては、上記切
工具を具備する、旋盤のような旋削加工装
、マシニングセンタのようなフライス加工
置、などが挙げられる。このような切削加
装置では、切削工具を長期間取り替えるこ
なく切削することができ、切削工具の取替
数が少なくなり、コストを低減できる。
ミニチュアドリルを用いた切削加工装置と
ては、上記のミニチュアドリルと、該ミニ
ュアドリルのシャンク部を保持する保持部
、基板等を固定する固定部とを具備して構
される。
また、本実施形態では、WC粒子の内部に炭
粒子が存在するとともに、該炭素粒子の外
部の格子面が、WC粒子の格子面と連続してい
ることが望ましい。
すなわち、図4(a)(b)に示すように、硬質相3
あるWC粒子中に炭素粒子9が存在しており、
の炭素粒子9の外周部9aの格子面11aが、WC粒子
の格子面11bと直線状に連続している。言い換
えると、炭素粒子9の外周部9aがWC粒子の結晶
造と同一結晶構造を有している。これは、W
Cの結晶化に伴い、炭素粒子9の外周部9aが引
ずられて、炭素粒子9の外周部9aの格子面11a
、WC粒子の格子面11bと連続するようになると
考えている。従って、炭素粒子9の外周部9aは
、炭素粒子9において、WC粒子の格子面11bと連
続する格子面11aを有する部分ということがで
きる。一方、炭素粒子9の中央部9bはアモルフ
ァスであると考えている。
このような炭素粒子9の外周部9aはダイヤ ンドに近い構造で、硬度が高いため、超硬 金としての硬度を向上できる。従って、本 態の超硬合金を切削工具、例えばミニチュ ドリルとして用いる場合に、WC粒子が次第 摩耗していったとしても、WC粒子内の硬い炭 素粒子9の外周部9aが被切削材を削ることにな り、継続して切削可能となり、長寿命化を図 ることができる。
炭素粒子9の平均粒径は50nm以下が望ましい
炭素粒子9の平均粒径は、断面の写真上でそ
ぞれの炭素粒子9の最大幅を測定し、これら
の平均値とする。
このように炭素粒子9を形成するには、後述
のように焼成時に900~1100℃で一定時間保持す
ことが望ましい。このような微粒の炭素粒
9を有するため、炭素粒子9中において、WC粒
子の格子面と連続する格子面を有する割合(
周部9aの割合)が多くなり、硬度をさらに向
できる。より微粒の炭素粒子9を得るには、
成時での保持温度を、より低温に設定する
一方、炭素粒子9の平均粒径が50nmよりも きい場合には、WC粒子の格子面と連続する格 子面を有する割合(炭素粒子に対する外周部 割合)が少なく、硬度向上効果が小さい。炭 粒子9の平均粒径は、硬度を向上するという 点から、40nm以下、さらには35nm以下が望まし 。さらに、炭素粒子9の脱粒を抑制するとい う点から、10nm以上、さらには15nm以上である とが望ましい。
炭素粒子9は、WC粒子1個につき、1個以上 在すると考えている。尚、実際は、超硬合 の任意断面を確認するため、その断面では 素粒子9が確認されないWC粒子も存在するが この場合でも、断面位置を変えれば、炭素 子9が確認できると考えている。
図5は本形態の超硬合金の断面の50万倍の 過型電子顕微鏡(TEM)写真である。この写真 は、炭素粒子9が確認できる程度であるが、1 00万倍以上の倍率の写真となると、図4(b)に模 式図で示すように、硬質相3であるWC粒子内に 縞模様(格子面)が見られ、この縞模様(格子面 11b)が炭素粒子9の外周部9aまで直線状に連続 ていることが確認でき、炭素粒子9の外周部9 aの格子面11aが、WC粒子の格子面11bと直線状に 連続していることを確認できる。尚、結合相 部をエネルギー分散型分光計(EDS)を用いて測 を行うと、Co、W、C、O、およびV、Cr等の微 添加物が検出される。
本形態の超硬合金は、炭素粒子の外周部 格子面が、WC粒子の格子面と直線状に連続 ているため、言い換えれば、外周部がWC粒子 の結晶構造と同一結晶構造を有する炭素粒子 をWC粒子内部に有するため、炭素粒子の外周 は、あたかもダイヤモンドのような特性を しており、硬度を向上できる。このような 硬合金では、炭化バナジウムを全量中0.01~0. 5質量%含有することが望ましい。
さらに、本形態の超硬合金は、炭素粒子 平均粒径が50nm以下である場合には、炭素粒 子において、WC粒子の格子面と連続する格子 を有する外周部の割合が多くなり、硬度を らに向上できる。
また、本形態の超硬合金は、結合相中の 素量が3質量%以下であることが望ましい。 のような超硬合金では、結合相中の酸素量 3質量%以下であるため、結合相によるWC粒子 接合強度を向上でき、超硬合金としての機 的強度を向上できる。
次に図5のWC粒子中に炭素粒子9を有する超 硬合金の製法について説明する。
本形態の超硬合金を製造するに当たっては 上記したように、各原料粉末等の酸素量を 御するとともに、WCの微粒化、結合相であ Co、粒成長抑制剤であるV、Crを均一分散させ るため、W、Co及びV、Crの水溶性塩を水に溶解 させて乾燥させ、粉末を得る。得られた粉末 を、例えば窒素、Ar、真空等の雰囲気中にお て450~600℃で熱分解処理し、次に例えばCO/H 2 雰囲気や、メタン、エタンを含有する雰囲気 中で700~1000℃の温度で炭化することによって 成したWC-Co複合炭化物粉末(V、Cr含有)を使用 する。尚、Crについては、水溶性塩として添 しない場合には、炭化処理した後、Cr 3 C 2 として添加することもできる。WC-Co複合炭化 粉末では、V、CrはWC内に固溶するとともに Co中に固溶し、さらにはV、Crの酸化物および /または炭化物として存在している。
Crを含有させることで切削工具の切削時 おける耐酸化性を向上させることができ、 料の酸化による強度低下を防ぐことができ 。またこの時、CoはWC粒子の表面に10~50nmの粒 子として均一に分散している。
上記のWC-Co複合炭化物粉末とC量を制御する
めのカーボンを含有するスラリーを秤量し
、アセトンやイソプロパノールなどの有機
剤を用いて湿式混合粉砕し、乾燥した後、
レス成形などの公知の成形方法により成形
、焼成し、さらにその後圧力をかけて熱間
水圧(HIP)焼成する。ここで、WC-Co複合炭化物
粉末の酸素量を少なくし、OH基の少ない有機
剤を用いて湿式混合し、焼成前の酸素量を
なくする。
焼成は、焼成炉内を真空度0.133~13.3Pa(10 -1
~10 -3
Torr)の雰囲気とし、900~1100℃で0.5~5時間保持し
て焼成したあと、1300~1390℃の範囲で10分~2時
焼成し、引き続き、焼成炉内をAr雰囲気で1~1
0MPaの圧力とし、1290~1380℃で10分~2時間HIP焼成
る。これにより、0<I 1
/I 2
≦0.05を満足するとともに、WC粒子の平均粒径
が0.3μm以下であり、かつコバルトタングステ
ン炭化物粒子の平均粒径がWC粒子の平均粒径
りも小さくなる。
ここで、900~1100℃で一定時間保持して焼 を行うことにより、Coが液相化(1200℃程度)す る前にWC表面に吸着した酸素や水がWC中の炭 と反応し、COとして脱離する反応を促進する ことができ、結合相中の酸素量を低減するこ とができる。また、900~1100℃で一定時間保持 ることにより、V、CrがWCから出てCo中に固溶 し易くなるとともに、900~1100℃の温度では、W Cが結晶化し始めるため、WC中に存在している カーボンがV、Crが抜け出た部分に凝集し、炭 素粒子が形成されると考えている。そして、 焼成により、凝集した炭素の外周部が、WCの 子面に引きずられて結晶化し、炭素粒子の 周部がWC粒子の格子面に連続した格子面と るものと考えている。
また、WC-Co複合粉末合成時に粒成長抑制剤
あるV、Crを水溶液として添加することでVC、
Cr 3
C 2
を微細に均一に分散することができ、V、Crの
WC、Co等への固溶が速やかに進行するため、WC
粒子の粒成長抑制の効果が大きい。これによ
り粗大粒の発生を抑制し、微細な組織を得る
ことができる。
さらに、本実施形態では、WC粒子が柱状粒
であり、超硬合金の任意断面にWC粒子の四角
形状の断面が複数現れており、該WC粒子の四
形状の断面のうち、アスペクト比が2以上の
断面が面積比で10%以上存在することが望まし
い。
すなわち、図6は本形態の超硬合金の任意断
面の30000倍の走査型電子顕微鏡(SEM)写真であ
。図6の超硬合金の断面には、WC粒子の四角
状の断面が複数現れている。WC粒子が柱状で
あるか否かは、焼結体の結晶粒子を収束イオ
ンビーム(FIB)装置によって微細加工し、その
度、走査型電子顕微鏡分析像にて深さ方向
形状の確認を繰り返し行うことによって、
状粒子であることを確認することができる
WC粒子は三角柱状をなしており、三角形 底面と四角形状の側面を有し、三角形の底 の一辺の長さよりも高さが大きくなってい 。本発明のアスペクト比は、超硬合金の任 断面において現れるWC粒子の四角形の断面形 状において、長辺(長さ)を短辺(幅)で割った で定義される。WC粒子の四角形状の断面には 2つの長辺と2つの短辺があるが、アスペクト を求める際の長辺、短辺は、長い方の長辺 長い方の短辺を用いて算出される。
そして、本形態の超硬合金は、図6に示す ように、WC粒子が柱状粒子であるとともに、 硬合金の任意断面にWC粒子の四角形状の断 が複数現れており、該WC粒子の四角形状の断 面のうち、アスペクト比が2以上の断面が面 比で10%以上存在することが望ましい。この うにアスペクト比が2以上の断面の面積比率 、超硬合金の任意断面において10%以上とす ことにより、柱状粒子が三次元的に絡み合 、荷重が加わった際に柱状粒子が亀裂の成 (進展)を妨げることで破壊靱性を向上でき 。
尚、本形態の超硬合金の任意断面には、 スペクト比が1~2のWC粒子の断面が面積比率 90%未満存在することになる。
また、本形態では、WC粒子の四角形状の 面のうち、アスペクト比が2以上の断面にお る長辺の平均長さが1μm以下であることが望 ましい。このように、アスペクト比が2以上 断面における長辺の平均長さが1μm以下であ ため、破壊の起源となりうる粗大粒が少な なり、抗折強度を向上できる。特に、超硬 金の任意断面において現れるアスペクト比 2以上の断面の平均長さは、0.7μm以下が望ま しい。尚、WC粒子の四角形状の断面には上記 たように長辺と短辺があるが、長辺の平均 さとは、長い方の長辺の長さの平均をいう
さらに、本形態では、WC粒子の四角形状 断面のうち、アスペクト比が2以上の断面の 積比率が、30%以下であることが望ましい。 のような超硬合金では、アスペクト比が2以 上の断面の面積比率が30%以下であるため、焼 結体の緻密化の妨げとなるアスペクト比が大 きい柱状粒子の間隙がアスペクト比の小さい 粒子により充填されることで緻密化を促進す ることができ、抗折強度を向上できる。アス ペクト比が2以上の断面の面積比率は、強度 よび靱性を向上するという点から、14~25%で ることが望ましい。尚、アスペクト比が2以 の断面の面積は、長い方の長辺と長い方の 辺をかけて求める。
図6の超硬合金は、下記のようにして製造 することができる。先ず、WCを微粒化するた 、また結合相であるCo、粒成長抑制剤であ Vを均一分散させるため、W、Co及びVの水溶性 塩を水に溶解させて乾燥し、得られた粉末を 熱処理(熱分解処理ともいう)により脱塩し、 合酸化物粉末を作製し、これを炭化処理す ことによって生成した複合炭化物粉末を使 する。
熱処理によって、少量添加した粒成長抑 剤であるVは酸化物または炭化物としてWCに 一に付着している。Vの酸化物は下記の焼成 工程にて周囲の炭素と反応しVCに変化する。W C内にも固溶している。
上記の複合炭化物粉末とC量を制御するため のCスラリー、Cr 3 C 2 粉末を所定量秤量し添加して、アセトンまた はイソプロパノールなどの有機溶剤を用いて 湿式混合粉砕し、乾燥した後、プレス成形な どの公知の成形方法により成形後、焼成し、 さらにその後圧力をかけて(HIP)焼成する。こ で、WC-Co複合炭化物粉末の酸素量を少なく 、OH基の少ない有機溶剤を用いて湿式混合し 、焼成前の酸素量を少なくする。
焼成は、焼成炉内を真空度0.133~13.3Paの真空 し、1300~1390℃の範囲で10分~2時間焼成し、引 き続き、焼成炉内をAr雰囲気で1~10MPaの圧力と し、1290~1380℃で(HIP)焼成する。これにより、0 <I 1 /I 2 ≦0.05を満足するとともに、WC粒子の平均粒径 が0.3μm以下であり、かつコバルトタングステ ン炭化物粒子の平均粒径がWC粒子の平均粒径 りも小さくなる。
特に、本形態では、主に、W、Co及びVの水溶 性塩を水に溶解させてスプレードライするこ とで粒成長抑制剤であるVを均一に分散する と、および真空雰囲気での焼成において、V 2 O 5 が溶解する温度920~970℃にて所定時間保持す ことにより、WC粉末の周囲に存在しているV 酸化物を溶解し、WC粉末周囲を覆い、WCを長 方向に粒成長させることができる。すなわ 、920~970℃での温度、保持時間を変動させる ことにより、WC粒子の長さ方向への粒成長を 御することができる。同一温度であるなら 、保持時間が短い場合には、溶解したVの酸 化物の分散が十分でなく柱状粒子の成長に十 分な効果が得られない。保持時間が長すぎる と粒成長し、粗大粒が生成してしまうため保 持時間は1~2時間が望ましい。
そして、その後焼成温度を上げて焼成す ことにより、Crを結合相中に固溶し、WC粒子 を覆い、WC粒子の粒成長(長さ方向への粒成長 も)を抑制することができる。
すなわち、複合酸化物粉末合成時に粒成 抑制剤であるVを水溶性液として添加するこ とでVを微細に均一に分散することができ、 ってVのWC、Co等への固溶が速やかに進行する ため、粒成長抑制の効果が大きい。これによ り粗大粒の発生や、微細な組織を得ることが できる。
そして、Vを複合酸化物粉末中に含有させ 、Crを複合炭化物粉末(湿式混合時)に添加し 場合は、焼成時に920~970℃にて所定時間保持 ることにより、特定の方向への粒成長が強 抑制され、その結果柱状粒子を形成する。 の理由は明確ではないが、Vは主に特定の方 向の粒成長を抑制するため、スプレードライ により細かく均一に分散したVが、焼成時に92 0~970℃にて所定時間保持することにより、Cr りも先にCoに固溶しやすく、Crが粒成長抑制 果を発揮するまでにWCが特定の方向に粒成 し柱状粒子を形成すると考えている。そし 、その後、Crが粒成長抑制効果を発揮し、全 体として粒成長を抑制し、機械強度と破壊靱 性が向上する。
一方でVと同じくCrを複合酸化物粉末合成時
水溶性液として添加した場合にはCrもVと同
に細かく均一に分散しているため、Vと同程
度にCrもCo中への固溶がすすみ、同様の粒成
抑制効果を発揮するため柱状粒子が形成さ
にくい。V、Crをともに複合炭化物粉末に添
した場合も同様の理由で柱状粒子が形成さ
にくい。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明
る。
水溶性のタングステン原料(タングステン酸 アンモニウム)、コバルト原料(硝酸コバルト) を、混合原料100gに対し水500mlの比で溶解させ 、スプレードライヤにて乾燥させた。得られ たスプレードライ粉末100gを、窒素雰囲気中 おいて500℃で熱分解処理を行い、WO 3 -CoO複合酸化物粉末を得た。これらの複合酸 物粉末をCO/H 2 雰囲気中で700~900℃の温度で炭化処理を行い WC-Co複合炭化物粉末(WC92質量%、Co8質量%)を得 。このWC-Co複合炭化物粉末は、WC粉末の周囲 にCoが付着した構造であり、WCの平均粒径をSE M画像の画像解析により求め、表1-1に記載し 。
WC-Co複合炭化物100質量部と平均粒径0.5μmのVC 粉末0.3質量部、平均粒径1μmのCr 3 C 2 粉末0.6質量部とを混合し、さらに焼結体のカ ーボン量を調整するために、混合粉末中の総 カーボン量を表1-1に示す量となるように、微 量のカーボンスラリーを添加した後、表1-1に 示す有機溶剤を加えてボールミル中で湿式混 合処理を72時間行った。なお、VC、Cr 3 C 2 については、炭化処理を行い、酸素量の異な る原料を数種類準備した。
ボールミルで混合した原料スラリーは、 ラフィンワックスを添加してからスプレー ライで造粒乾燥し、プレス成形した後、真 焼成し、熱間静水圧処理(HIP)を行い、超硬 金を得た。なお、真空焼成までの昇温速度:5 ℃/min、真空焼成条件は時間:1時間、温度:1350 、熱間静水圧処理は温度:1340℃、アルゴン スで6MPaの条件で行った。
得られた超硬合金の表面を研磨後、Cukα線 用いたX線回折測定を行い、η相のピーク高 I 1 とWC(001)のピーク高さI 2 (2θ=48°付近に生じる)の強度比を算出し、走 型電子顕微鏡(SEM)の30000倍の写真により超硬 金中のWC粒径、η相の平均粒径を評価した。 評価は、画像解析ソフト(日本ローパー製:Imag ePro Plus)により行った。さらに、ビッカース 度を加重9.8Nの条件で評価し、抗折強度は、 スパン20mm、3点曲げにて評価した。試料形状 直径2mm、長さ30mmの円柱形状とした。
超硬合金のある任意の断面の30000倍の電 顕微鏡写真における40μm角の視野中において 、粒径1μm以上のη相粒子数を算出した。
さらに、各々の試料先端を直径0.120mm、長 さ2.0mmのドリル形状に加工し、次の条件で耐 耗性と耐折損性の評価を行った。なお、耐 耗性については、孔位置精度を指標とした 孔位置精度については、4000箇所を孔空けし た時のX+3σの値を指標とし、基板厚み方向へ 送り速度は3m/minとした。耐折損性について 、孔毎に基板厚み方向への送り速度を徐々 上げていったときにドリルが折損する最大 り速度の値を指標とし、表1-2に記載した。 工条件を記載する。
ドリル回転速度 300krpm
送り速度 2~20m/min
評価基板 日立679G(0.4mm 3枚重ね)に、エ
トリーシート(LE
800 1枚)を積層したもの
表1-1、1-2によれば、試料No.1-5はWC原料粒径 粗大であるためにWCとη相の平均粒径大きく っており、ビッカース硬度が低く、耐摩耗 が悪いことがわかる。また、試料No.1-6は、 カーボン量が少なく、これによりη相比率(I 1 /I 2 )が0.08と高くη相が過剰な状態であり、抗折 度が低く、耐折損性が悪いことがわかる。 らに、試料No.1-11では添加カーボン量を多く 定しているため、η相が存在しないが、カ ボンが過剰すぎるためフリーカーボンの析 が見られ、ビッカース硬度、抗折強度が低 、耐摩耗性、耐折損性が悪いことがわかる さらに、試料No.1-12では、WC粒子の平均粒径 りもη相粒子の平均粒径が大きく、抗折強度 が低く、耐折損性が悪いことがわかる。
これに対して、本発明の試料では、ビッカ
ス硬度が19.8GPa以上、抗折強度3980MPa以上、
摩耗性を示す孔位置精度が30μm以下、耐折損
性を示す最大送り速度が3.5m/min以上と優れた
性を示すことがわかる。
水溶性のタングステン原料(タングステン酸 アンモニウム)、コバルト原料(硝酸コバルト) 、V原料(バナジン酸アンモニウム)、Cr原料(酢 酸クロム)を、混合原料100gに対し水500mlの比 溶解させ、スプレードライヤにて乾燥させ 。得られたスプレードライ粉末100gを、窒素 囲気中において500℃で熱分解処理を行い、W O 3 -CoO-V 2 O 5 -Cr 2 O 3 複合酸化物粉末を得た。
この複合酸化物粉末をCO/H 2 雰囲気中で800℃の温度で炭化処理を行い、複 合炭化物粉末を得た。複合炭化物粉末は、試 料No.2-1~2-3、2-6については、WC91.2質量%、Co8質 %、VC0.3質量%、Cr 3 C 2 0.5質量%とし、試料No.2-4では、WC91質量%、Co8質 量%、VC0.5質量%、Cr 3 C 2 0.5質量%とし、試料No.2-5では、WC90質量%、Co8質 量%、VC1.5質量%、Cr 3 C 2 0.5質量%とした。
この後、複合炭化物粉末と、カーボンス リーと、プロパノールからなる有機溶剤を えてボールミル中で湿式混合処理を72時間 った。
尚、試料No.2-7については、WC粉末に、CoO粉 、VC粉末、Cr 3 C 2 粉末を添加して作製し、組成は、WC91.2質量% Co8質量%、VC0.3質量%、Cr 3 C 2 0.5質量%とした。
ボールミルで混合した原料スラリーは、 ラフィンワックスを添加してからスプレー ライで造粒乾燥し、プレス成形した後、真 焼成し、この後、熱間静水圧(HIP)焼成を行 、超硬合金を得た。なお、真空焼成までの 温速度:5℃/min、真空焼成条件は、表2-1の焼 温度900~1100℃で1時間保持した後(1段階焼成) 1350℃で1時間保持する(2段階焼成)プロファイ ルとし、この後、熱間静水圧焼成を行った。 条件は温度:1340℃、アルゴンガス6MPaで行った 。
得られた超硬合金のWC粒子中に炭素粒子 存在するか否かを、焼結体の任意断面につ ての透過型電子顕微鏡(TEM)の50万倍の写真に り求め、また、50万倍の写真(120×100nm)5枚に 在する炭素粒子の粒径をそれぞれ測定し、 素粒子の個数で割って平均値を算出し、平 粒径として表2-2に記載した。炭素粒子の粒 は、写真上において炭素粒子の最大幅とし 。
また、WC粒子の平均粒径を、走査型電子 微鏡(SEM)の3万倍の写真により、画像解析ソ ト(日本ローパー製:ImagePro Plus)を用い、WC粒 の占める面積を測定して平均値を算出し、W C粒子が球状と仮定したときの直径に換算し 、平均粒径を求め、表2-1に記載した。
さらに、炭素粒子の外周部が、WC粒子の 子面と連続しているか否かを、透過型電子 微鏡(TEM)の100万倍の写真より目視にて観察し 、連続性の有無を表2-2に記載した。
得られた焼結体を薄く加工し、透過型電 顕微鏡(TEM)およびエネルギー分散型分光計 よる測定により、結合相中の酸素量を評価 、表2-2に記載した。
さらに、抗折強度は、スパン20mm、3点曲 にて評価した。試料形状は直径2mm、長さ30mm 円柱形状とした。ビッカース硬度を加重9.8N の条件で求めた。
表2-1、2-2によれば、本発明の試料No.2-1~2-6 では、炭素粒子の平均粒径が50nm以下であり 炭素粒子の外周部は、WC粒子の格子面と連続 する格子面を有しており、硬度が21.5GPa以上 高いことがわかる。また、本発明の試料No.2- 1~2-6では、結合相中の酸素量が3質量%以下と なく、抗折強度が大きいことがわかる。こ に対して、比較例の試料No.2-7では、炭素粒 が形成されず、硬度も小さいことがわかる
また、本発明の試料No.2-3の超硬合金をドリ
形状に加工し、日立製の679FGを3枚重ねにし
基板について穴あけ(ドリルの回転数300krpm
送り速度10m/min)を行ったところ、20000回穴あ
を行った場合でも加工に不具合はなかった
また、試料No.2-1~2-6では、Cukα線を用いたX線
回折測定におけるCo 3
W 3
Cのピーク、Co 6
W 6
Cのピーク、Co 2
W 4
CのピークおよびCo 3
W 9
Cのピークのうち最大のピーク強度I 1
と、WCの最大のピーク強度I 2
との比I 1
/I 2
の値は、0.02~0.04であり、WC粒子の平均粒径は0
.16~0.23μmであり、かつコバルトタングステン
化物粒子の平均粒径は0.10~0.15μmであった。
た、1μm以上のη相は0個であった。
さらに、各々の試料先端を直径0.120mm、長さ
2.0mmのドリル形状に加工し、次の条件で耐摩
性と耐折損性の評価を行った。なお、耐摩
性については、孔位置精度を指標とした。
位置精度については、4000箇所を孔空けした
時のX+3σの値を指標とし、基板厚み方向への
り速度は3m/minとした。耐折損性については
孔毎に基板厚み方向への送り速度を徐々に
げていったときにドリルが折損する最大送
速度の値を指標とした。その結果、試料No.2
-1~2-6では、孔位置精度は15~30μm、最大送り速
は5m/min以上であった。加工条件を記載する
ドリル回転速度 300krpm
送り速度 2~20m/min
評価基板 日立679G(0.4mm 3枚重ね)に、エ
トリーシート(LE
800 1枚)を積層したもの
水溶性のタングステン原料(タングステン酸 アンモニウム)、コバルト原料(硝酸コバルト) 、V原料(バナジン酸アンモニウム)を、これら の混合原料100gに対し水500mlの比で溶解させ、 スプレードライヤにて乾燥させ、スプレード ライ粉末を得た。得られたスプレードライ粉 末100gを、窒素雰囲気中において500℃で熱分 処理を行い、WO 3 -CoO-V 2 O 5 複合酸化物粉末を得た。
作製したWO 3 -CoO-V 2 O 5 複合酸化物粉末を炭化処理し、複合炭化物粉 末を得た。この複合炭化物粉末に、C量を制 するためのCスラリーと、Cr 3 C 2 粉末とを秤量添加し、プロパノールからなる 有機溶剤を加えてボールミル中で湿式混合処 理を72時間行った。
ボールミルで混合した原料スラリーは、 ラフィンワックスを添加してからスプレー ライで造粒乾燥し、プレス成形した後、真 焼成し、熱間静水圧処理(HIP)を行い、表3-1 超硬合金を得た。なお、真空焼成は、昇温 度は5℃/minであり、950℃で1~6時間保持し、135 0℃で1時間焼成した。熱間静水圧処理は、温 1340℃、アルゴンガス中6MPaの条件で行った
得られた超硬合金の表面を研磨後、走査 電子顕微鏡(SEM)の30000倍の写真により超硬合 金中の任意断面におけるWC粒子の断面サイズ アスペクト比を評価した。評価は、焼結体 ある任意の断面の30000倍のSEM写真2枚におい 、四角形の断面形状として現れたもののう 、アスペクト比が2以上の断面をトレースし 、その断面形状の長辺サイズ(長さ)と短辺サ ズ(幅)を測定し、平均値を求め、平均長さ 平均幅として表3-1に記載した。
また、アスペクト比が2以上の全断面につ いて、長辺サイズ×短辺サイズにより面積を め、アスペクト比が2以上の全断面の面積を 求め、写真2枚分の面積に対する比率を求め アスペクト比が2以上の断面の面積比率とし 。尚、長辺サイズ(長さ)と短辺サイズ(幅)は 、断面における長い方の長辺サイズ、長い方 の短辺サイズを用いた。
また、FIB装置により微細加工することに り、WC粒子が板状か柱状かを確認したとこ 、WC粒子は、三角形状の底辺の一辺の長さよ りも高さ(側面の長さ)が長く、本発明の範囲 の試料は柱状であることを確認した。
さらに、破壊靱性値を加重9.8Nの条件で評価
し、抗折強度は、スパン20mm、3点曲げにて評
し、その結果を表3-1に記載した。試料形状
直径2mm、長さ30mmの円柱形状とした。抗折強
度は、4.0Gpa未満を×、4~5Gpaを△、5Gpaより大き
い場合を○として、表3-1に記載した。
表3-1に記載した結果から、Vを複合酸化物合 成時に添加して、VC換算で0.025~1質量%含有し 950℃での保持時間を1時間とすることにより WC粒子が柱状となり、アスペクト比が2以上 断面の面積比率を10%以上とでき、破壊靱性 が8.8MPa・m 1/2 以上とすることができ、靱性を向上できるこ とがわかる。
また、アスペクト比が2以上の断面の面積 比率を30%以下とすることにより、抗折強度を 大きくできることがわかる。
試料No.3-1~3-4では、Cukα線を用いたX線回折測 定におけるCo 3 W 3 Cのピーク、Co 6 W 6 Cのピーク、Co 2 W 4 CのピークおよびCo 3 W 9 Cのピークのうち最大のピーク強度I 1 と、WCの最大のピーク強度I 2 との比I 1 /I 2 の値は、0.02~0.04であり、WC粒子の平均粒径は0 .15~0.20μmであり、かつコバルトタングステン 化物粒子の平均粒径は0.10~0.15μmであった。 た、1μm以上のη相は0個であり、ビッカース 硬度は20GPa以上であった。
さらに、試料No.3-1~3-4の試料先端を直径0.1 20mm、長さ2.0mmのドリル形状に加工し、次の条 件で耐摩耗性と耐折損性の評価を行った。な お、耐摩耗性については、孔位置精度を指標 とした。孔位置精度については、4000箇所を 空けした時のX+3σの値を指標とし、基板厚み 方向への送り速度は3m/minとした。耐折損性に ついては、孔毎に基板厚み方向への送り速度 を徐々に上げていったときにドリルが折損す る最大送り速度の値を指標とした。その結果 、試料No.3-1~3-4では、孔位置精度は15~30μm、最 大送り速度は5m/min以上であった。加工条件を 記載する。
ドリル回転速度 300krpm
送り速度 2~20m/min
評価基板 日立679G(0.4mm 3枚重ね)に、エ
トリーシート(LE
800 1枚)を積層したもの
