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Title:
CERAMIC FOR DECORATIVE PART AND DECORATIVE PART COMPRISING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/119481
Kind Code:
A1
Abstract:
A ceramic for decorative parts is provided which has excellent wearing resistance and can retain over long a gold color tone capable of giving a high-grade feeling, a feeling of aesthetic satisfaction, and spiritual comfortableness. Also provided is a decorative part comprising the ceramic. The ceramic for decorative parts is characterized by comprising 50 mass% or more titanium nitride, 6-30 mass% unstabilized zirconia containing substantially no stabilizer, and nickel, the unstabilized zirconia having a crystal grain size smaller than the crystal grain size of the titanium nitride.

Inventors:
HAMAMURA KENICHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/055615
Publication Date:
October 01, 2009
Filing Date:
March 23, 2009
Export Citation:
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Assignee:
KYOCERA CORP (JP)
HAMAMURA KENICHI (JP)
International Classes:
C04B35/58; A01K87/04; A44C5/02; A63B53/04; C22C29/16; A63B102/32
Domestic Patent References:
WO2005093110A12005-10-06
Foreign References:
JP2007290939A2007-11-08
JP2006232622A2006-09-07
JP2003252682A2003-09-10
JPS63319262A1988-12-27
Attorney, Agent or Firm:
TANAKA, Mitsuo et al. (JP)
Mitsuo Tanaka (JP)
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Claims:
 窒化チタンを50質量%以上と、安定化剤を実質的に含まない未安定化ジルコニアを6質量%以上30質量%以下と、ニッケルと、を含み、前記未安定化ジルコニアの結晶粒子の大きさが前記窒化チタンの結晶粒子の大きさより小さいことを特徴とする装飾部品用セラミックス。
 前記未安定化ジルコニアの結晶粒子の大きさが前記窒化チタンの結晶粒子の大きさの0.1倍以上0.5倍以下であることを特徴とする請求項1に記載の装飾部品用セラミックス。
 前記ニッケルの含有量が4質量%以上8質量%以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の装飾部品用セラミックス。
 前記窒化チタンの結晶粒子に350MPa以上の圧縮応力が付与されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の装飾部品用セラミックス。
 CIE1976L*a*b*空間における明度指数L*が60以上70以下、クロマティクネス指数a*が6.0以上8.2以下、クロマティクネス指数b*が16.5以上24.5以下である装飾面を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の装飾部品用セラミックス。
 クロムをさらに含有していることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の装飾部品用セラミックス。
 マンガンをさらに含有していることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の装飾部品用セラミックス。
 熱伝導率が20W/(m・K)以上26W/(m・K)以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の装飾部品用セラミックス。
 請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の装飾部品用セラミックスからなることを特徴とする釣糸案内用装飾部品。
 請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の装飾部品用セラミックスからなることを特徴とする時計用装飾部品。
 請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の装飾部品用セラミックスからなることを特徴とする携帯端末機用装飾部品。
 請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の装飾部品用セラミックスからなることを特徴とする生活用品用装飾部品。
 請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の装飾部品用セラミックスからなることを特徴とする車両用品用装飾部品。
 請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の装飾部品用セラミックスからなることを特徴とするスポーツ用品用装飾部品。
 請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の装飾部品用セラミックスからなることを特徴とする楽器用装飾部品。
 請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の装飾部品用セラミックスからなることを特徴とする装身具用装飾部品。
Description:
装飾部品用セラミックスおよび れを用いた装飾部品

 本発明は、美しい黄金色の色の色調と優 た耐磨耗性とを備えた装飾部品用セラミッ スおよびこれを用いた装飾部品に関するも である。特に、釣糸案内用装飾部品、時計 装飾部品、携帯端末機用装飾部品、装身具 装飾部品、車両用品用装飾部品、スポーツ 品用装飾部品、楽器用装飾部品および生活 品用装飾部品ならびにこれらに用いる装飾 品用セラミックスに関する。

 従来、釣糸の案内や時計等に用いられる 飾部品は、金属系の材料が用いられていた しかし、これらの金属材料は耐スクラッチ や耐食性が劣り、装飾部品の表面に損傷が じやすく、次第にこれら部品の装飾性が損 われるという問題があった。

 また、基材表面に下地層を形成し、プラ マ放電によるCVD(Chemical Vapor Deposition:化学 気相成長法)によって、この下地層上にDLC(Dia mond Like Carbon)皮膜を形成して、複雑な色彩 色調とを醸し出すことが考えられたが、こ ようなCVDによるDLC皮膜からなる被覆層の剥 や損傷が生じやすく、装飾部品には適さな ものもあった。

 このような問題を解決するために、釣糸の 内や時計等に用いられる装飾部品に耐磨耗 の優れたセラミックスが用いられるように っている。本発明者は、チタンの窒化物を む第1の硬質相と、アルミナまたはジルコニ アの少なくとも1種を含む第2の硬質相と、ニ ケルを含む結合相とから構成されるセラミ ク焼結体を特許文献1に開示している。この セラミック焼結体は、湿式下(湿潤条件下)ま は乾式下(乾燥条件下)での摺動によりチタ の窒化物を含む第1の硬質相の表層が酸化物 なり体積膨張を生ずる。しかし、この体積 張により第1の硬質相が脱離することがない ように第2の硬質相が第1の硬質相を保護する とから、優れた耐磨耗性を得ることができ 。特許文献1は、このセラミック焼結体が釣 糸案内用装飾部品や時計用装飾部品に適用で きることを示している。

国際公開第05/093110号パンフレット

 しかし、釣糸案内用装飾部品には、さら る耐磨耗性の向上が要求されており、特許 献1のセラミック焼結体の耐摩耗性では十分 でない場合があった。また、最近ではこのよ うなセラミック焼結体は時計用装飾部品のみ ならず、携帯端末機の押して操作する各種キ ー等に用いることが試みられている。このよ うな需要者が身に着けるかまたは携帯する装 飾部品には、汗や水分が付着して表層が酸化 することによる色調の変化の抑制と、擦れな どによる傷の発生を抑制できるさらに優れた 耐磨耗性と、が求められている。

 さらに、このような装飾部品には、高級 ,美的満足感および精神的安らぎを与えるこ とができる黄金色の色調を有していることが 求められる場合がある。

 本発明は、上記課題を解決すべく案出さ たものであり、耐磨耗性に優れるとともに 高級感,美的満足感および精神的安らぎを与 えることができる黄金色の色調を長期に亘り 保持できる装飾部品用セラミックスおよびこ れを用いた釣糸案内用装飾部品,時計用装飾 品ならびに携帯端末機用装飾部品等の各種 飾部品を提供することを目的とする。

 本発明の態様の1つは、窒化チタンを50質 %以上と、安定化剤を実質的に含まない未安 定化ジルコニアを6質量%以上30質量%以下と、 ッケルと、を含み、前記未安定化ジルコニ の結晶粒子の大きさが前記窒化チタンの結 粒子の大きさより小さいことを特徴とする 飾部品用セラミックスである。

 本発明の装飾部品用セラミックスは、窒 チタンを主成分(質量%で50%以上)とし、安定 剤を実質的に含まない未安定化ジルコニア 6質量%以上30質量%以下と、ニッケルとを含 、未安定化ジルコニアの結晶粒子が窒化チ ンの結晶粒子より小さい。これにより、高 に加熱し焼結させた後、室温(常温)まで冷却 したときに未安定化ジルコニアが体積膨張し 、この体積膨張により窒化チタンの結晶粒子 は、高い圧縮応力がかかった状態となり、窒 化チタンの結晶粒子の脱粒を抑制する。この 結果、耐磨耗性を向上させることができると ともに、黄金色の色調を有することによって 需要者に高級感,美的満足感および精神的安 ぎを長期間与えることができる。

本発明の釣糸案内用装飾部品である釣 用ガイドリングおよびこの釣糸用ガイドリ グを備えた釣糸ガイドの一例を示しており (a)は釣糸用ガイドリングの平面図であり、( b)は(a)の釣糸用ガイドリングを備えた釣糸ガ ドの斜視図である。 本発明の時計用装飾部品である時計用 ースの一例を示しており、(a)は時計用ケー を表側から見た斜視図であり、(b)は(a)の時 用ケースを裏側から見た斜視図である。 本発明の時計用装飾部品である時計用 ースの別の例を示す斜視図である。 本発明の時計用装飾部品である時計用 ンドの構成の一例を示す模式図である。 本発明の携帯端末機用装飾部品を用い 携帯電話機の一例を示す斜視図である。 図5に示す例の携帯電話機の筐体が開い た状態を示す斜視図である。 本発明の生活用品用装飾部品の一例で る石鹸ケースの構成を例示す模式図である 本発明の生活用品用装飾部品の別の例 あるコーヒーカップセットの一例を示す斜 図である。 本発明の車両用品用装飾部品を取り付 た車体の一例を示す斜視図である。 本発明の車両用品用装飾部品を用いた コーナーポールの一例を示す正面図である。 本発明のスポーツ用品用装飾部品を用 いたゴルフクラブの一例を示す正面図である 。 本発明のスポーツ用品用装飾部品を用 いたスパイクシューズの一例を示す底面図で ある。 本発明の楽器用装飾部品を用いたギタ ーの一例を示す斜視図である。 本発明の装身具用装飾部品を用いた人 工歯冠の一例を示す模式断面図である。 本発明の装身具用装飾部品を用いたイ ヤホンユニットの一例を示す正面図である。 本発明の装身具用装飾部品を用いため がねの一例を示す斜視図である。 本発明の装飾部品用セラミックスの耐 磨耗性の評価に用いる耐磨耗性評価装置の概 略構成図である。

符号の説明

 1:釣糸用ガイドリング
 2:保持部
 3:支持部
 4:固定部
 5:枠体
 6:釣糸ガイド
 10A,10B:時計用ケース
 11:凹部
 12:足部
 13:底部
 14:胴部
 15:穴部
 20:中駒
 21:貫通孔
 30:外駒
 31:ピン穴
 40:ピン
 50:時計用バンド
 60:携帯電話機
 90:石鹸ケース
 100:コーヒーカップセット
 110:車体
 120:ゴルフクラブ
 130:スパイクシューズ
 140:ギター
 160:イヤホンユニット
 170:めがね

 1.装飾部品用セラミックス
 以下、本発明の装飾部品用セラミックスの 施の形態の例について説明する。
 本発明の装飾部品用セラミックスは、窒化 タンを主成分(質量%で50%以上)とし、さらに 定化剤を実質的に含まない未安定化ジルコ アを6質量%以上30質量%以下とニッケルとを んでいる。そして、未安定化ジルコニアの 晶粒子の大きさは窒化チタンの結晶粒子の きさより小さい。

 詳細を後述するように未安定化ジルコニ は、高温に加熱し焼結させた後、室温まで 却したときに相転移により体積膨張する。 の体積膨張により窒化チタンの結晶粒子は 高い圧縮応力が付与された状態となり容易 は脱粒しなくなる。耐摩耗性をおよび所望 黄金色の色調を有する窒化チタンの結晶粒 の脱粒を防止できる本発明の装飾部品用セ ミックスは、より優れた耐磨耗性を有する ともに、黄金色の色調を有することによっ 需要者に高級感,美的満足感および精神的安 らぎを長期間与えることができる。

 以下、本発明の装飾部品用セラミックスの 細について示す。
 ・窒化チタン(チタンナイトライド)
 本発明の装飾部品用セラミックスは、窒化 タンを主成分とする。
 ここでいう主成分とは、装飾部品用セラミ クスを構成する全成分100質量%に対して50質 %以上を占める成分であることを意味する。 この主成分である窒化チタンは、装飾部品と して良好な黄金色の色調を呈するとともに、 強度や硬度等の機械的特性が高く、また耐摩 耗性にも優れるという特長を有している。本 発明の装飾部品用セラミックスは、窒化チタ ンを70質量%以上で含有していることが好適で ある。

 ・ジルコニア
 安定化剤を実質的に含まない未安定化ジル ニア(以下、単に未安定化ジルコニアと称す 。)とは、ジルコニアの安定化剤として知ら ている酸化カルシウム,酸化マグネシウム,酸 化イットリウム,酸化セリウム,酸化ネオジム よび酸化ジスプロシウム等が意図的に添加 れていないことを意味するものであり、こ ら安定化剤が不可避不純物として存在する とを排除するものではない。なお、不可避 純物として存在する場合、本発明の装飾部 用セラミックスを構成する全成分100質量%に 対して1質量%以下であることが好適である。

 本発明に係る装飾部品用セラミックスは 以下の理由からその全成分100質量%に対して 、未安定化ジルコニアを6質量%以上30質量%以 含む。

 窒化チタンを主成分とするセラミックス 汗や泥水等が付着すると、窒化チタンの表 が酸化されて酸化チタンとなり、その際に 積膨張して窒化チタンの結晶粒子が脱粒し すい状態となる。しかし、以下の理由によ 、未安定化ジルコニアを6質量%以上30質量% 下含むことにより、窒化チタンの結晶粒子 脱粒を抑制することができる。

 室温における未安定化ジルコニアの結晶 造は単斜晶であり、焼結時の加熱によって 積収縮を伴いながら正方晶,立方晶へと順に 相転移する。そして、この高温の立方晶を冷 却すると、体積膨張を伴いながら正方晶,単 晶へと順に相転移する。従って、安定化ジ コニアを6質量%以上30質量%以下含む本願の装 飾部品用セラミックスは、焼結後の室温への 冷却過程において、上記相転移により未安定 化ジルコニアが体積膨張し、窒化チタンに圧 縮応力を付与する。室温においてこの圧縮応 力を付与された状態にある窒化チタンは表層 の酸化に伴う体積膨張を抑制されることから 、窒化チタンの結晶粒子の脱粒を抑制するこ とができる。また、表層に耐摩耗性が優れる 未安定化ジルコニアが存在することにより、 装飾部品用セラミックスの耐磨耗性を向上さ せることができる。

 一方、未安定化ジルコニアが6質量%未満 は、装飾部品用セラミックスの表層が酸化 れるときの体積膨張を抑えて窒化チタンの 晶粒子の脱粒を抑制する効果が小さくなる 向がある。また、未安定化ジルコニアが30質 量%を超えると、冷却したときに未安定化ジ コニアが容易に体積膨張して、装飾部品用 ラミックスを形成する窒化チタンの結晶粒 にかかる圧縮応力が高くなり過ぎ、得られ 装飾部品用セラミックスにクラックを生じ 場合がある。

 上述した未安定化ジルコニアの体積膨張 よる窒化チタンの結晶粒子の脱粒抑制の効 をより大きくするとともに耐摩耗性の向上 図り、かつクラックの発生を防止するには 装飾部品用セラミックスを構成する全成分1 00質量%に対する未安定化ジルコニアの含有量 を、例えば11質量%以上30質量%以下と、6質量% 上30質量%以下の範囲内で多くすることが好 である。

 装飾部品用セラミックスにおける未安定化 ルコニアの含有量は、以下の分析により求 ることができる。
 最初に、蛍光X線分析法またはICP(Inductively C oupled Plasma)発光分析法によりジルコニウム(Zr )元素の含有量を求め、求めたジルコニウム 素の含有量を酸化物(ジルコニア)に換算して 未安定化ジルコニアおよび安定化ジルコニア を含めた全ジルコニアの含有量を求める。
 次に、X線回折法により測定した単斜晶ジル コニアの(111)および(11-1)の反射ピーク強度,正 方晶ジルコニアおよび立方晶ジルコニアの(11 1)の反射ピーク強度を用いて、下記式(1)より ジルコニア(すなわち未安定化ジルコニアお よび安定化ジルコニアの合計)に占める未安 化ジルコニアの割合Xmを算出する。

 なお、単斜晶ジルコニアの(111)反射ピーク 度をIm(111),単斜晶ジルコニアの(11-1)反射ピー ク強度をIm(11-1),正方晶および立方晶ジルコニ アの(111)反射ピーク強度をItc(111)として表す

 Xm(%)={(Im(111)+Im(11-1))/(Im(111)+Im(11-1)
        +Itc(111))}×100  …(1)

 そして、全ジルコニアの含有量に対する未 定化ジルコニアの割合Xmから下記の式(2)に り未安定化ジルコニアの含有量を求めるこ ができる。

未安定化ジルコニアの含有量=全ジルコニア 含有量×Xm/100  …(2)

 本発明に係る装飾部品用セラミックスは、 安定化ジルコニアの結晶粒子が窒化チタン 結晶粒子より小さい。
 これにより、本発明に係る装飾部品用セラ ックスでは、未安定化ジルコニアにより窒 チタンの呈する黄金色の色調が損なわれる とがない。そして、上述したように高温で 結した後室温に冷却する際の未安定化ジル ニアの体積膨張に起因する圧縮応力が窒化 タンの結晶粒子に付与されていることから 窒化チタンの結晶粒子が容易に脱粒するこ なく、耐磨耗性を向上させることができる

 一方、未安定化ジルコニアの結晶粒子が 化チタンの結晶粒子より大きい場合には、 色を呈している(すなわち、所望の黄金色を 呈しない)未安定化ジルコニアの大きな粒子 表面に存在することにより、白い部分が目 つ場合があり、装飾部品用セラミックス表 を良好な黄金色の色調とすることが難しく る。未安定化ジルコニアの結晶粒子が窒化 タンの結晶粒子より大きい場合はさらに、 安定化ジルコニアの体積膨張によって窒化 タンに生ずる圧縮応力が局部的に大きくな 、装飾部品用セラミックスとなる焼結体に ラックを生じる場合がある。

 本発明の装飾部品用セラミックスでは、未 定化ジルコニアの結晶粒子の大きさが窒化 タンの結晶粒子の大きさの0.1倍以上0.5倍以 であることが好適である。
 未安定化ジルコニアの結晶粒子が窒化チタ の結晶粒子の0.1倍以上0.5倍以下の大きさで るときには、上述の未安定化ジルコニアの 積膨張に起因して、窒化チタンの結晶粒子 付与される圧縮応力による窒化チタン結晶 子の脱粒抑制効果がより顕著になり、より 層耐磨耗性が向上するからである。

 また、白色を呈する未安定化ジルコニア 結晶粒子の大きさが窒化チタン粒子の大き の0.5倍以下となることで、装飾部品用セラ ックスの色調に与える影響をより少なくで る。従って、窒化チタンが呈する黄金色を 飾部品用セラミックス表面の色調とできる で、優れた耐磨耗性を有した装飾的価値の い装飾部品用セラミックスとすることがで る。

 なお、窒化チタンの結晶粒子の大きさと 、走査型電子顕微鏡(SEM)による4000~6000倍の 率の観察で得られた画像を解析することに り求められる窒化チタンの結晶粒子の粒径 平均値のことである。また、未安定化ジル ニアの結晶粒子の大きさとは、本発明の装 部品用セラミックス中に存在するジルコニ の大半は未安定化ジルコニアであるため、 記の窒化チタンの結晶粒子の場合と同様に 4000~6000倍の倍率のSEM観察で得られた画像を 析して求められたジルコニアの結晶粒子の 径の平均値を未安定化ジルコニアの結晶粒 の大きさとみなせばよい。

 ・ニッケル
 本発明の装飾部品用セラミックスは、ニッ ルを含有する。
 ニッケルは、窒化チタンの結晶粒子同士の 合を強固にする結合剤として作用し、破壊 性を向上させることができる。また、ニッ ルの含有量は装飾部品用セラミックスの表 の光沢にも影響を与える
 ニッケルの含有量が4質量%以上8質量%以下で あることが好適である。ニッケルの含有量が 4質量%以上8質量%以下であるときには、窒化 タンの結晶粒子同士がより強固に結合され いるため、破壊靱性をより向上させること できる。また、ニッケルの含有量が4質量%以 上8質量%以下の範囲内であれば、ニッケルが する銀色が窒化チタンの呈する黄金色にほ んど影響することがないので、装飾部品用 ラミックスの表面はより容易に所望の黄金 の光沢を有することができる。

 なお、ニッケルの含有量は、蛍光X線分析 法またはICP発光分析法により求めることがで きる。

 ・その他成分
 また、主成分である窒化チタンと、さらに 安定化ジルコニアとニッケルとを含む本発 の装飾部品用セラミックスには、珪素,リン ,イオウ,マンガン,鉄,コバルト,ニオブ,モリブ デン等の不可避不純物を含むことも可能であ る。それぞれの不純物元素は、装飾部品用セ ラミックスを構成する全成分100質量%に対し 1質量%以下であることが好適である。

 なお、マンガンについては含有されてい ことが好ましい。マンガンを意図的に含有 せるように添加してもよい。マンガンは、 オン化傾向が大きく、強い酸素吸着作用が るため、マンガンを含むことにより、噴霧 燥によって得られた、窒化チタン、未安定 ジルコニアおよびニッケルを含む混合原料 顆粒の酸化を抑制し、得られた装飾部品用 ラミックス装飾面の色調のばらつきを抑え ことができるからである。好ましいマンガ の含有量は0.2質量%以上0.4質量%以下である マンガンの含有量が0.2質量%以上であれば、 粒がほとんど酸化されず、マンガンの含有 が0.4質量%以下であればマンガンが本質的に 備える銀白色の影響を受けなくてすむからで ある。

 そして、マンガンが装飾部品用セラミッ スに含まれているか否か、および含有量に いては、蛍光X線分析法またはICP(Inductively C oupled Plasma)発光分析法により求めることがで きる。

 本発明の装飾部品用セラミックスは、ク ムを含有していることが好適である。クロ は、空気中の酸素と結合して装飾面に緻密 酸化膜を生成することにより耐食性を向上 せることができるので、本発明の装飾部品 セラミックスが、クロムを含有していると には、需要者に高級感,美的満足感および精 神的安らぎを長期間与え続けることができる 。

 なお、クロムについては、X線回折法また は蛍光X線分析法により含有の有無を確認す ことができる。クロムは炭化クロムとして 在していてもよい。クロムが全て炭化クロ として存在するとみなして計算し、炭化ク ムが装飾部品用セラミックスを構成する全 分100質量%に対して5質量%以下で含有されて ることが好適である。クロムの含有量は蛍 X線分析法またはICP発光分析法により求めれ よい。

 ・その他の特性
 本発明の装飾部品用セラミックスは、上述 ように窒化チタンの結晶に圧縮応力が付与 れている。この圧縮応力が350MPa以上である とが好適である。圧縮応力が350MPa以上であ ときには、窒化チタンの結晶粒子はより脱 しにくくなるので、耐磨耗性がさらに向上 た装飾部品用セラミックスとすることがで る。

 装飾部品用セラミックスの製造方法につ ての説明で詳細は示すが、例えば装飾部品 セラミックスを得るための焼結を行なう温 、すなわち焼成温度を1600℃以上1650℃以下 することで圧縮応力を350MPa以上とすること 可能である。

 なお、圧縮応力は、X線回折装置(例えば ブルカー・エイエックスエス製 D8 DISCOVER w ith GADDS Super Speedまたはその後継機種)を用 た2D法により求めることができる。

 本発明の装飾部品用セラミックスは、装 面のCIE1976L*a*b*色空間における明度指数L*の が60以上70以下であり、クロマティクネス指 数a*の値が6.0以上8.2以下、およびクロマティ ネス指数b*の値が16.5以上24.5以下であること が好適である。この範囲であれば、程良い明 るさと鮮やかさを有した黄金色の色調となり 、高級感,美的満足感および精神的安らぎを 要者に与えることのできる装飾部品用セラ ックスとすることができる。

 なお、本発明の装飾部品用セラミックス おける装飾面とは、装飾部品の装飾的価値 要求される面を指し、装飾的価値が要求さ ない面を含む必要はないので、全ての面を すものではない。例えば、本発明の装飾部 用セラミックスを時計用ケースに用いる場 では、この時計用ケースの外側の面は、鑑 の対象となるものでもあり装飾的価値が要 されるので装飾面であるが、時計の駆動機 が嵌め込まれる内側の面等は、通常は装飾 価値を要求される面ではないので装飾面に まない。

 また、CIE1976L*a*b*色空間における明度指数 L*とは、色調の明暗を示す指数であり、明度 数L*の値が大きいと色調は明るく、明度指 L*の値が小さいと色調は暗くなる。本発明の 装飾部品用セラミックスでは、好ましくは、 明度指数L*の値が60以上70以下であり、この範 囲であれば、程良い明るさを有した色調の黄 金色を得ることができる。一方、明度指数L* 値が60未満では、色調が暗くなるため美的 足感が得られにくいものとなる。他方、明 指数L*が70を超えると、明る過ぎる色調とな 、高級感が損なわれるものとなるため好ま くない。特に、明度指数L*の値は63以上67以 の範囲であることが、上記の効果をより安 して得られるという点で好適である。

 本発明の装飾部品用セラミックスにおい 、装飾面における開気孔率が色調の明暗に 響を及ぼすため、明度指数L*の値を60以上と するには、装飾面における開気孔率が3%以下 あることが好ましい。さらに、明度指数L* 値を63以上とするには、装飾面における開気 孔率を2.5%以下とすることが好ましく、さら 、明度指数L*の値を65以上とするには、装飾 における開気孔率を1.1%以下とすることが好 ましい。

 例えば、詳細を後述するように調合原料 顆粒を乾式加圧法により成形する際に成形 力を49MPa以上196MPa以下とすることで、成形 の寿命を長くできるとともに、開気孔率を3% 以下とすることができる。また、成形圧力を 62MPa以上196MPa以下とすることで、開気孔率を2 .5%以下にすることができる。さらに、成形圧 力を98MPa以上196MPa以下とすることで、開気孔 を1.1%以下にすることができる。

 CIE1976L*a*b*色空間におけるクロマティクネ ス指数a*とは、色調の赤から緑の度合いを示 指数であり、クロマティクネス指数a*の値 プラス方向に大きいと赤色の色調になり、 の絶対値が小さいと鮮やかさに欠けたくす だ色調になり、クロマティクネス指数a*の値 がマイナス方向に大きいと緑色の色調になる 。

 本発明の装飾部品用セラミックスでは、 ましくは、クロマティクネス指数a*の値が6. 0以上8.2以下であり、この範囲であれば、赤 を帯びるのを抑えて鮮やかな色調とするこ ができる。一方、クロマティクネス指数a*の 値が6.0未満では、鮮やかさに欠けた色調とな り、さらにクロマティクネス指数a*の値をマ ナス方向に大きくすると鮮やかさを得るこ はできるものの緑色の色調となる。他方、 ロマティクネス指数a*の値が8.2を超えると 赤の色合いが強くなって派手な感じの色調 なり、高級感を与えにくくなる。

 例えば、焼結により得られた装飾部品用 ラミックスにさらにバレル研磨またはラッ 加工等を行ない、算術平均高さRaが0.05μm以 0.23μm以下となるように研磨することでクロ マティクネス指数a*の値を6.0以上8.2以下とす ことが可能である。

 また、CIE1976L*a*b*色空間におけるクロマテ ィクネス指数b*とは、色調の黄から青の度合 を示す指数であり、クロマティクネス指数b *の値がプラス方向に大きいと黄色の色調に り、その絶対値が小さいと色調は鮮やかさ 欠けたくすんだ色調になり、クロマティク ス指数b*の値がマイナス方向に大きいと青色 の色調になる。本発明の装飾部品用セラミッ クスでは、好ましくはクロマティクネス指数 b*の値が16.5以上24.5以下であり、この範囲で れば、鮮やかな黄金色の色調とすることが きる。一方、クロマティクネス指数b*の値が 16.5未満では、鮮やかさに欠けるようになり クロマティクネス指数b*の値が24.5を超える 、黄色の色合いが強くなって、黄金色の色 いが弱くなり、需要者によっては高級感が れて美的満足感および精神的安らぎが得ら にくくなる。

 例えば、上述の研磨により装飾部品用セ ミックスの表面の算術平均高さRaを0.05μm以 0.23μm以下とすることで、クロマティクネス 指数b*の値を16.5以上24.5以下とすることがで る。

 また、本発明の装飾部品用セラミックスは 窒化チタンの組成式をTiN x としたときに0.8≦x≦0.96であることが好まし 。窒化チタンの組成式をTiN x としたときの原子数xが小さいときには、黄 色の色調が薄まり、原子数xが大きいときに 、鮮やかさに欠け、くすんだ色調の黄金色 なる。このため、窒化チタンの組成式をTiN x としたときの原子数xの値は、0.8以上0.96以下 あることが好ましい。原子数xの値がこの範 囲であるときには、光沢のある色調の黄金色 となり、より高い高級感および美的満足感を 得ることができる。

 装飾面のCIE1976L*a*b*色空間における明度指 数L*の値とクロマティクネス指数a*およびb*の 値は、JIS Z 8722-2000に準拠して測定すること 求めることができる。例えば、分光測色計( コニカミノルタホールディングス製CM-3700dま はその後継機種)を用い、光源をCIE標準光源 D65,視野角を10°,測定径を3×5mm,照明径を5×7mm 設定して測定することができる。

 また、装飾面の硬度が高級感,美的満足感 および精神的安らぎを長期間与え続ける信頼 性に影響を与える要因の一つとなることから 、本発明の装飾部品用セラミックスは、装飾 面のビッカース硬度(Hv)が8GPa以上であること 好ましい。装飾面のビッカース硬度(Hv)が8GP a以上であれば、ガラスまたは金属からなる 埃のような硬度の高い物質と接触しても装 面に容易に傷が入るおそれが少なくなり、 期間に亘り所望の色調を維持できる。装飾 のビッカース硬度(Hv)はJIS R 1610-2003に準拠 て測定することができる。

 なお、例えば、詳細を後述するように、 式加圧法により成形体を形成する際に成形 力を49MPa以上196MPa以下とすることで、装飾 のビッカース硬度(Hv)を8GPa以上とすることが 可能である。

 本発明の装飾部品用セラミックスは、熱伝 率が20W/(m・K)以上26W/(m・K)以下であることが 好適である。
 熱伝導率が20W/(m・K)以上であれば、より優 た放熱特性を有し、絶縁ゲート・バイポー ・トランジスタ(IGBT)素子等の使用時に発熱 伴う電子部品から発生した熱を速やかに外 に逃がし、これら電子部品の誤作動のおそ を少なくすることができる。従って、これ 電子部品が搭載された、携帯端末機等の電 機器の一部に本発明の装飾部品用セラミッ スを用いると好適である。

 また、熱伝導率が26W/(m・K)以下であれば 本発明の装飾部品用セラミックスの表面に ける結露を抑制することができる。例えば 車両に取り付けるエンブレム等に本発明の 飾部品用セラミックスを用いることで、冬 寒い朝であっても結露を生じにくいため美 満足感が損なわれることがほとんどない。

 さらに、熱伝導率が20W/(m・K)以上26W/(m・K)以 下の範囲で、かつ、40℃~800℃における熱膨張 係数が8.5×10 ―6 /℃以上9.7×10 ―6 /℃以下であることがより好適である。上述 放熱特性に加え、熱衝撃抵抗性を備えるこ ができるからである。この熱膨張係数は、JI S R 1618-2002に準拠して求めることができる。

 詳細は後述するが、例えば成形体を焼結す 焼成温度を1600℃以上1650℃以下とすること より、焼結中の粒成長を抑制することで、 伝導率を26W/(m・K)以下にすることが可能であ る。一方、例えば、熱伝導率を低下させる効 果のあるリチウム,ナトリウム,カリウム,鉄, ルシウム,マグネシウム,ストロンチウム,バ ウム,マンガンおよび硼素の合計含有量を0.3 量%以下にすることにより、熱伝導率を20W/(m ・K)以上とすることができる。
 また、熱膨張係数が8.5×10 ―6 /℃以上9.7×10 ―6 /℃以下とすることが可能である。

 ・製造方法
 次に、本発明の装飾部品用セラミックスの 造方法について説明する。
 本発明の装飾部品用セラミックスを得るに 、まず、主成分である窒化チタンの粉末と 安定化剤である酸化イットリウム,酸化マグ ネシウム,酸化カルシウム,酸化セリウム,酸化 ネオジムおよび酸化ジスプロシウム等を実質 的に含まない未安定化ジルコニアの粉末と、 ニッケルの粉末とを所定量秤量し、混合して 調合原料とする。

 より具体的には、純度が99%以上で平均粒 が未安定化ジルコニアの平均粒径より大き かつ30μm以下の窒化チタン粉末と、純度が99 %以上で平均粒径が1μm以上2μm以下の未安定化 ジルコニアの粉末と、純度が99.5%以上で平均 径が5μm以上20μm以下のニッケルの粉末とを 備し、装飾部品用セラミックスを構成する 成分100質量%に対して、未安定化ジルコニア の含有量が6質量%以上30質量%以下、ニッケル 含有量が3質量%以上10質量%以下であって、 部が窒化チタンとなるように秤量して混合 ればよい。

 なお、窒化チタンの粉末は化学量論的組成 TiNであっても、また非化学量論的組成のTiN x (0<x<1)であってもよいが、より高い高級 および美的満足感を得るためには、窒化チ ンの組成式をTiN x としたときの原子数xの値が0.8≦x≦0.96である ことが好ましいので、窒化チタンの粉末は、 原子数xの値が0.7≦x≦0.9のものを用いるのが ましい。

 次に、窒化チタンの結晶粒子同士を結合さ るためにニッケルを添加し混合する。
 窒化チタンの結晶粒子同士の結合を強固に て破壊靱性を高くするためには、装飾部品 セラミックスを構成する全成分100質量%に対 して、ニッケルの含有量を4質量%以上8質量% 下となるように秤量して混合するのが好ま い。
 本発明の装飾部品用セラミックスの耐食性 向上させるために、装飾部品用セラミック を構成する全成分100質量%に対して、クロム を炭化クロムに換算した値が5質量%以下とな ように、クロムの粉末または炭化クロムの 末を添加してもよい。

 次に、調合原料に2-プロパノール(イソプ ピルアルコール)またはメタノール等の有機 溶媒を加え、ミルを用いて混合粉砕する。そ の後、バインダとしてポリエチレングリコー ルを所定量添加して混合し、得られたスラリ ーを噴霧乾燥法により乾燥させて顆粒を得る 。この顆粒を所定の成形型に充填し、所望の 成形手段、例えば、乾式加圧成形法,冷間静 圧加圧成形法等により所望形状に成形し、 形体を得る。また、製品形状が複雑であれ 、調合原料に溶媒やバインダ等を添加した ラリーを用いて、鋳込成形法や射出成形法 用いて成形体を得てもよい。さらに、各種 形法によりブロック形状または製品形状に い形状に成形した後に、切削加工を施すこ により成形体を得ることも可能である。

 なお、成形体の成形方法として乾式加圧 選択した場合、成形圧力は装飾面における 気孔率およびビッカース硬度(Hv)に影響を与 えることから、成形圧力を49MPa以上196MPa以下 することが好適である。成形圧力を49MPa以 196MPa以下とすることにより、成形型の寿命 長くできるとともに、装飾部品用セラミッ スの装飾面における開気孔率を3%以下にし、 またビッカース硬度(Hv)を8GPa以上にすること できる。

 次に、得られた成形体を必要に応じて、窒 雰囲気、アルゴン雰囲気等の非酸化性雰囲 中で脱脂した後、窒素および不活性ガスか 選択される少なくとも1種のガス雰囲気中ま たは真空中で加熱することにより焼結させて 焼結体を得る。
 なお、成形体を窒素および不活性ガスから 択される少なくとも1種のガス雰囲気中また は真空中で加熱して焼結する理由は、酸化性 雰囲気中で加熱して焼結させると窒化チタン が酸化して酸化チタンとなり、この酸化チタ ンが本質的に備えている白色の色調の影響を 受け、装飾部品用セラミックス全体の色調が 白っぽくくすむからである。

 成形体を加熱して焼結させる温度(焼成温 度)は、装飾部品用セラミックスの機械的特 や表面の開気孔に影響を与える。焼成温度 低いと、緻密化が進行せず、開気孔が増加 、または機械的特性の低下等の問題を生ず 場合がある。一方、焼成温度が高いと異常 粒成長が発生し、機械的特性が低下するお れが高くなる。このような観点より、焼成 度は1550℃以上1650℃以下の範囲とすることが 好適である。

 また、焼結体における窒化チタンの結晶 かかる圧縮応力は、焼結体の相対密度によ て異なり、相対密度が高いほど高くなる。 対密度を高くして窒化チタンの結晶にかか 圧縮応力を350MPa以上とするには、上記製造 法により得られた成形体を1600℃以上1650℃ 下の範囲の焼成温度で焼結させればよい。

 なお、窒化チタン質焼結体、すなわち本発 に係る装飾部品用セラミックスの熱伝導率 26W/(m・K)以下とするには、粒成長を抑制す 必要がある。そして、焼成温度を1600℃以上1 650℃以下とすることにより、粒成長が適度に 抑制され、熱伝導率を26W/(m・K)以下とするこ ができる。
 また、窒化チタン質焼結体、すなわち本発 に係る装飾部品用セラミックスの熱伝導率 20W/(m・K)以上とするには、熱伝導率を低下 せる効果のあるリチウム,ナトリウム,カリウ ム,鉄,カルシウム,マグネシウム,ストロンチ ム,バリウム,マンガンおよび硼素の合計含有 量を窒化チタンの粉末に対して0.3質量%以下 すればよい。
 このように、焼成温度と、リチウム,ナトリ ウム,カリウム,鉄,カルシウム,マグネシウム, トロンチウム,バリウム,マンガンおよび硼 の合計含有量とを制御することにより、本 明に係る装飾部品用セラミックスの熱伝導 を好ましい範囲である20W/(m・K)以上26W/(m・K) 下とすることができる。

 次に、得られた焼結体に必要に応じて研 加工を施し、装飾部品用セラミックスの装 面のCIE1976L*a*b*空間における明度指数L*を60 上70以下、クロマティクネス指数a*を6.0以上8 .2以下、クロマティクネス指数b*を16.5以上24.5 以下とする。

 焼結体が円環状または円柱状である場合は 回転バレル研磨機を用いてバレル研磨する とにより、また焼結体が円板状等の板状で る場合は、主面である平面にダイヤモンド ーストを用いてラップ加工を施すことによ 、いずれの場合も算術平均高さRaが0.05μm以 0.23μm以下となるように研磨すればよい。ま た、バレル研磨とラップ加工とを併用するこ とも可能であり、これらの研磨加工を施すこ とにより、光沢のある黄金色の色調を得るこ とができる。
 さらに、これ以外にも算術平均高さRaが0.05 m以上0.23μm以下となるよう研磨できる他の研 磨方法を用いてもよい。

 なお、算術平均高さRaはJIS B 0601-2001に準 拠して測定すればよい。測定長さおよびカッ トオフ値をそれぞれ5mmおよび0.8mmに設定する 触針式の表面粗さ計を用いて測定する場合 あれば、例えば、装飾部品用セラミックス 装飾面に、触針先端半径が2μmの触針を当て 、触針の走査速度は0.5mm/秒に設定し、この測 定で得られた5箇所の平均値を算術平均高さRa の値とする。

 以上の製造方法により得られる本発明の 飾部品用セラミックスは、耐磨耗性に優れ とともに、程良い明るさと鮮やかさとを有 た黄金色の色調であるため、需要者に高級 ,美的満足感および精神的安らぎを長期間与 え続けることができる。このため、本発明の 装飾部品用セラミックスを釣糸案内用装飾部 品に用いれば、釣糸を案内する際に釣糸に付 着した細かい砂等に擦られても、耐磨耗性に 優れることから表面に傷が付きにくく、黄金 色の色調を長期にわたり維持することができ る。さらに、本発明の装飾部品用セラミック スは、装飾的価値の高い黄金色の色調を醸し 出し、高級感が溢れる魅力的な商品を構成す ることができるので、時計用ケース,時計用 ンド駒等の時計用装飾部品を始め、携帯電 に用いる、押して操作する各種キー等の携 端末機用装飾部品、ブローチ,ネックレス,イ ヤリング,リング,ネクタイピン,タイタック, ダル,ボタン等の装身具用装飾部品、床,壁, 井を飾るタイルあるいはドアの取手等の建 用装飾部品、スプーン,フォーク等のキッチ 部品用装飾部品(生活用品用装飾部品)とし 好適に用いることができる。

 本発明の装飾部品用セラミックスの耐磨耗 は、以下に示す構成の耐磨耗性評価装置を 製し、これを用いることにより評価するこ ができる。
 図17は、本発明の装飾部品用セラミックス 耐磨耗性の評価に用いる耐磨耗性評価装置 概略構成図である。この耐磨耗性評価装置18 0は、ナイロン製の糸182と、所定位置で糸182 張力を与える複数のプーリー183と、プーリ 183の1つであるプーリー183aに連結して糸182を 矢印の向きに走行させるモーター(図示しな )と、糸182に泥水を付着させる水槽184とから る。おもり185の質量分の荷重が与えられ、 槽184を通って泥水が付着した糸182が、所定 置に治具(図示しない)等により固定された 柱状の装飾部品用セラミックス181の外周面 摺動する構造となっている。ナイロン製の 182の号数(直径を規定)は、例えば3号とすれ よい。

 耐磨耗性評価装置180を用いて装飾部品用 ラミックス181の耐磨耗性を評価する際の条 は、例えば、おもり185の質量を500gとし、糸 182が円柱状の装飾部品用セラミックス181の外 周で摺動する速度を60m/分とし、糸182の走行 離が3000m以上になるように設定すればよい。 そして、モーターを駆動し設定した条件に従 い糸182を摺動させた後に、糸182との摩擦に起 因する磨耗により装飾部品用セラミックス181 に生じた傷の最も深い部分を表面形状測定顕 微鏡(キーエンス製 測定部VF-7510/コントロー VF-7500)を用いて測定し、この測定値を比較 ることにより耐磨耗性を評価することがで る。

 2.本発明に係る装飾部品用セラミックスを いた装飾部品
 本発明に係る装飾部品用セラミックスは、 述のように耐摩耗性に優れ、かつ、高級感, 美的満足感および精神的安らぎを与えること ができる黄金色の色調を有している。このた め、釣糸案内用装飾部品、時計用装飾部品、 携帯端末機用装飾部品
装身具用装飾部品、車両用品用装飾部品、ス ポーツ用品用装飾部品、楽器用装飾部品およ び生活用品用装飾部品等の各種の装飾部品に 適用することができる。
 このような本発明に係る装飾部品用セラミ クスを用いた装飾部品も本願発明の技術的 囲に含まれる。以下に、このような装飾部 の詳細を例示する。

 ・釣り糸案内用装飾部品
 図1は、本発明の釣糸案内用装飾部品である 釣糸用ガイドリングおよびこの釣糸用ガイド リングを備えた釣糸ガイドの一例を示してお り、図1(a)は釣糸用ガイドリングの平面図で り、図1(b)は図1(a)の釣糸用ガイドリングを備 えた釣糸ガイドの斜視図である。

 釣糸用ガイドリング1は、その内周側に釣 糸(図示しない)を挿通して案内するものであ 、釣糸ガイド6はこの釣糸用ガイドリング1 、この釣糸ガイドリング1を保持する保持部2 を備え、この保持部2の支持部3および釣竿(図 示しない)に固定する固定部4が一体的に形成 れた枠体5とからなるものである。

 釣糸用ガイドリング1は、本発明の装飾部品 用セラミックスから成る。釣糸用ガイドリン グ1は耐磨耗性に優れているので、内周側に 糸を挿通して案内する際に釣糸に付着した かい砂等により擦られても釣糸用ガイドリ グ1の表面は傷が付きにくく、黄金色の色調 長期間維持することができる。
 また、釣糸用ガイドリング1の表面に、例え ば、非晶質硬質炭素からなる膜等の透明な耐 磨耗性に優れた膜を被覆して、耐磨耗性をさ らに向上させてもよい。この場合、透明な膜 を用いることで、本発明の装飾部品用セラミ ックスが有する所望の黄金色の色調を視認す ることが可能となる。

・時計用装飾部品
 本発明の装飾部品用セラミックスからなる 計用装飾部品の例として、時計用ケースや 計用バンド駒がある。
 図2は本発明の時計用装飾部品である時計用 ケースの一例を示しており、図2(a)は時計用 ースを表側から見た斜視図であり、図2(b)は 2(a)の時計用ケースを裏側から見た斜視図で ある。図3は本発明の時計用装飾部品である 計用ケースの別の例を示す斜視図である。 4は本発明の時計用装飾部品である時計用バ ドの構成の一例を示す模式図である。なお これらの図において、同じ部位を示す場合 同じ符号を付してある。

 図2(a)、(b)に示す時計用ケース10Aは、図示 しないムーブメント(駆動機構)を収容する凹 11と、時計を腕に装着するための時計用バ ド(図示しない)を固定する足部12とを備えて り、凹部11は厚さが薄い底部13と厚さが厚い 胴部14とからなる。また、図3に示す時計用ケ ース10Bは、図示しないムーブメント(駆動機 )が入る穴部15と、胴部14に形成された時計を 腕に装着するための時計用バンド(図示しな )を固定する足部12とを備えている。

 図4に示す時計用バンド50を構成するバン 駒は、ピン40が挿入される貫通孔21を有する 中駒20と、中駒20を挟むようにして配置され ピン40の両端が差し込まれるピン穴31を有す 外駒30とから構成されており、中駒20の貫通 孔21にピン40が挿入され、挿入されたピン40の 両端が外駒30のピン穴31に差し込まれること より、中駒20と外駒30とが順次連結されて時 用バンド50が構成されている。

 これら、時計用ケース10A,10Bおよび時計用 バンド50を構成するバンド駒(中駒20、外駒30) 含む本発明の時計用装飾部品は、本発明の 飾部品用セラミックスから成るものである とから、色調が装飾的価値の高い黄金色で り、耐磨耗性に優れているので、需要者に 覚を通じて高級感,美的満足感および精神的 安らぎを長期間にわたって与えることができ る。

 ・携帯端末機用装飾部品
 図5は、本発明の携帯端末機用装飾部品を用 いた携帯電話機の一例を示す斜視図であり、 図6は、図5に示す例の携帯電話機の筐体が開 た状態を示す斜視図である。

 本発明の装飾部品用セラミックスからな 携帯端末機用装飾部品の具体例としては、 5、6に示し、以下で説明する各種操作キー, ース,スイッチ等がある。

 図5に示す例の携帯電話機60は、携帯電話 60のモードを、ラジオを聴くモードである ジオモードや音楽を聴くモードである音楽 ードなどに変更するモードキー61aと、携帯 話機60をマナーモードにするマナーキー61bと を第1の筐体62に備え、指などの接触を検知し て入力が行なわれるタッチセンサ63と、被写 を撮像するカメラ64と、ライト65と、タッチ センサ63等の入力の有効又は無効を設定する ライドスイッチ66とを第2の筐体67に備えて る。

 図6に示す携帯電話機60は、第2の筐体67が いた状態を示すものであり、第1の筐体62と 2の筐体67とは、ヒンジ68を介して連結され おり、これにより第2の筐体67は、自在に開 することができる。また、第2の筐体67は、 ロントケース69aとリアケース69bとを有して り、フロントケース69aには液晶表示ユニッ 70が設けられている。

 また、第1の筐体62もフロントケース71aと アケース71bとを有しており、フロントケー 71aには各種操作キーが設けられている。こ 操作キーには、電話番号等を入力するテン ー72a,各種機能のメニューについてカーソル を移動するカーソル移動キー72b,着信時に押 て操作することによって通話を開始する通 キー72c,電源のオンオフおよび通話中に押し 操作することによって通話を終了する電源/ 終話キー72d,カーソル移動キー72bの中心に配 されたセンターキー72fの左右に配置された ァンクションキー73L,73R等がある。

 上記したケースであるフロントケース69a 71a,リアケース69bや71b,操作キーであるテン ー72a,カーソル移動キー72b,通話キー72c,電源/ 話キー72d,センターキー72f,ファンクション ー73Lや73R等の少なくともいずれか1種を本発 の装飾部品用セラミックスで形成すること より、需要者に高級感,美的満足感および精 神的安らぎを長期間与え、このような色調を 呈する携帯電話を所有することによる満足感 を感じさせることができる。また、本発明の 装飾部品用セラミックスは、他の色調との相 性がよいことから、様々な色調の部材と組み 合わせて用いることもできるので、需要者の 嗜好の多様化に応えることができる。

 なお、携帯端末機の一例として携帯電話 を用いて説明したが、本発明の携帯端末機 装飾部品を用いることができる携帯端末機 携帯電話機に限定されるものではなく、携 情報端末(PDA),携帯型のカーナビゲーション オーディオプレーヤー等の携帯型の端末機 あって、部品に装飾性が求められる様々な 帯端末機を含む。

 ・生活用品用装飾部品
 図7は、本発明の生活用品用装飾部品の一例 である石鹸ケースの構成を例示す模式図であ る。

 この石鹸ケース90は、本体93と蓋92とから り、石鹸91を載置する本体93の載置面94には 石鹸91の表面に付着している水を切るため 排出孔95が形成されている。石鹸91を使用し いときには、石鹸91は載置面94に載置され、 蓋92を本体93に嵌め合わすことにより収納さ ている。石鹸91を使用するときには、本体93 ら蓋92を外して石鹸91を取り出して使用する 。そして、使用後の石鹸91を載置面94に載置 ることにより、排出孔95により石鹸91の表面 付着している水を切ることができ、石鹸91 水に溶けるのを防ぐことができるものであ 。

 石鹸ケース90の蓋92および/または本体93を 本発明の装飾部品用セラミックスで形成する ことにより、多くの需要者に所有することに よる満足感および使用の際に視覚を通じて高 級感,美的満足感および精神的安らぎを与え ことができる。

 図8は、本発明の生活用品用装飾部品の別 の例であるコーヒーカップセットの一例を示 す斜視図である。

 図8に示すコーヒーカップセット100は、コ ーヒーカップ101とソーサー102とスプーン103と からなり、このコーヒーカップ101,ソーサー10 2およびスプーン103を本発明の装飾部品用セ ミックスで形成することにより、多くの需 者に対し、所有することによる満足感およ 使用の際に視覚を通じて高級感,美的満足感 よび精神的安らぎを与えることができる。

 また、本発明の装飾部品用セラミックス 他の色調との相性がよいので、コーヒーカ プ101,ソーサー102またはスプーン103の少なく とも1つを本発明の装飾部品用セラミックス 形成し、他を異なる色調として組み合わせ 用いることもできる。

 また、本発明の生活用品用装飾部品は、 鹸ケース90やコーヒーカップセット100だけ はなく、ハブラシやカミソリの柄,耳かきお びハサミ等の生活用品用装飾部品に好適に いることができる。特に、高級ホテルの浴 や洗面所において、各種ロゴ等のマーキン されたアメニティーグッズに本発明の装飾 品用セラミックスを用いることにより、非 常感が強く演出された高級感,美的満足感お よび精神的安らぎを与えることができる。

 ・車両用品用装飾部品
 図9は、本発明の車両用品用装飾部品を取り 付けた車体の一例を示す斜視図である。

 図9に示す車体110には、車両用品用装飾部 品の一例であるエンブレム111が取り付けられ ている。エンブレム111は本発明の装飾部品用 セラミックスにより形成されており、需要者 に対し、視覚を通じて高級感,美的満足感お び精神的安らぎを与えることができるので 車体110の装飾的価値を高めることができる

 なお、図8では車体110の前方に取り付けた エンブレム111を示したが、車体110の後方に本 発明の装飾部品用セラミックスで形成したメ ーカー名や車種名等を示すエンブレム111を取 り付けることによっても、車体110の装飾的価 値を高めることができる。

 図10は、本発明の車両用品用装飾部品を いたコーナーポールの一例を示す正面図で る。

 図10に示すコーナーポール112は、駐車場 出し入れ時等に運転席から見えにくい車体 左前方(右ハンドル車の場合)の目印とするた めに取り付けられるものであり、車体への取 り付け部113と、ポール部114と、LED等からなる 点灯部115と、を有している。このコーナーポ ール112のポール部114を本発明の装飾部品用セ ラミックスで形成したり、点灯部115に替えて 本発明の装飾部品用セラミックスで形成した エンブレムを取り付けたりすることにより、 コーナーポール112はもとより車体の装飾的価 値が向上するので好適である。

 また、本発明の車両用装飾部品は、エン レム111やコーナーポール112だけでなく、ホ ールキャップの一部や車体のボンネット上 設けられるフードオーナメントの一部、さ に車内に取り付ける小物やアクセサリーま はこれらの一部として用いても装飾的価値 向上するので好適である。

 ・スポーツ用品用装飾部品
 図11は、本発明のスポーツ用品用装飾部品 用いたゴルフクラブの一例を示す正面図で る。

 図11に示すゴルフクラブ120は、シャフト12 1と、このシャフト121の一端に取り付けられ グリップ122と、シャフト121の他端に取り付 られたヘッド123とを備えている。ヘッド123 、ゴルフボールを捉える部分であるフェー 面123Fや地面に接地する部分となるソール面1 23Sを有しており、図11に示すように、本発明 装飾部品用セラミックスで形成したアクセ リー124がフェース面123Fに埋め込まれており 、これにより装飾的価値が向上する。

 また、本発明のスポーツ用品用装飾部品 、フェース面123Fだけではなく、ソール面123 Sやグリップ122に本発明の装飾部品用セラミ クスで形成したアクセサリー124が埋め込ま ていても好適である。

 図12は、本発明のスポーツ用品用装飾部 を用いたスパイクシューズの一例を示す底 図である。

 図12に示すスパイクシューズ130は、例え 、サッカーやラグビーに用いられるもので り、靴底131にはボールを蹴るとき等に軸足 固定するために突起状に形成されたスタッ 132が複数装着されている。本発明の装飾部 用セラミックスをこのスタッド132に用いる とで、スパイクシューズ130の装飾的価値が 上する。さらに、従来から用いられている ルミニウム合金製のスタッドよりも耐磨耗 が優れているので、スタッド132の交換頻度 少なくなり、交換によるコストを低減する とができる。なお、競技中に発生するおそ があるスタッド132の欠けを防止するために 透明な樹脂でスタッド132の表面を被覆して よい。

 ・楽器用品用装飾部品
 図13は、本発明の楽器用装飾部品を用いた ターの一例を示す斜視図である。
 図13に示すギター140の主な構成は、本体141 、本体141から前方に延設されたネック142と からなる。ネック142の先端部にはナット143 配設され、ナット143より前方には弦144の張 を調整することができるチューニングベグ14 5が、それぞれの弦144毎に設けられている。 た、弦144を保持してナット143に対して動か いようにするためのクランプ機構146が、ナ ト143の近くに配設されている。

 一方、本体141には、弦144の張力を同時に 大、あるいは減少させて印象的な音効果を えるためのトレモロ装置147が取り付けられ いる。トレモロ装置147は、本体141に取り付 られているベースプレート148と、このベー プレート148に保持されて弦144を調律可能に 持するブリッジサドル149と、トレモロ装置 稼働させるトレモロバー150と、により構成 れている。

 ギター140のベースプレート148,ブリッジサ ドル149,トレモロバー150等のギター140の構成 素の1つ以上を本発明の装飾部品用セラミッ スで形成することにより、ギター140の装飾 価値が向上するため、このギター140を所有 ることによる満足感を感じさせることがで るとともに多くの観客を魅了することがで る。

 ・装身具用装飾部品
 図14は、本発明の装身具用装飾部品を用い 人工歯冠の一例を示す模式断面図である。 14は、歯肉155の内部の顎骨152に埋め込まれた 人工歯根(インプラント)153と、人工歯根153に 定された支台(アパットメント)154と、支台15 4に装着された人工歯冠151とを示している。

 人工歯冠151を本発明の装飾部品用セラミ クスで形成することにより、歯が黄金色の きを放つため、歯の装飾を好む需要者に高 陶酔感を与えることができる。

 また、顎骨152に埋め込まれる人工歯根153 、側面部がスクリュー状に形成されてもよ 。このスクリュー状に形成された部分には 新生骨(新成骨ともいう)の生成を誘導する 力が高いキチン,コラーゲン,およびこれらの 誘導体の少なくとも1種を含む生体分解性基 からなる硬質の接合層が形成されていても い。さらに、支台154の基部には、架橋され 上記生体分解性基材よりなる軟質の接合層 、顎骨152の上側に位置する歯肉155に当接す ように形成されていてもよい。

 本発明の装飾部品用セラミックスは、窒 チタン質焼結体からなるので、生体に適合 やすい。この利点を生かして、人工歯冠151 けでなく、人工歯根153や支台154に本発明の 飾部品用セラミックスを用いることが好ま い。

 図15は、本発明の装身具用装飾部品を用い イヤホンユニットの一例を示す正面図であ 。
 図15に示すイヤホンユニット160は、聴取者 耳殻内に挿入されて音波を発するスピーカ16 1と、その内部にスピーカ161を収容するケー 162と、ケース162に当接するコード導出部163 介してスピーカ161に電気信号を供給するコ ド164と、を備えている。

 このイヤホンユニット160のケース162を本 明の装飾部品用セラミックスで形成するこ により、装飾的価値が高まり、多くの需要 に視覚を通じて高級感,美的満足感および精 神的安らぎを与えられる装身具用装飾部品と することができる。

 図16は、本発明の装身具用装飾部品を用い めがねの一例を示す斜視図である。
 図16に示すめがね170は、視力を矯正したり 紫外線から目を保護したりするための一対 レンズ171a,171bと、一対のレンズ171a,171bを連 するブリッジ172と、それぞれのレンズ171a,171 bに連結される鎧173a,173bと、ヒンジを介して 動することができるように鎧173a,173bに連結 れるテンプル174a,174bと、レンズ171a,171bにそ ぞれノーズパッド連結部材を介して取り付 られるノーズパッド175と、を備えている。

 めがね170のブリッジ172,テンプル174a,174bお よびノーズパッド175の少なくとも1つを本発 の装飾部品用セラミックスで形成すること より、装飾的価値が高まり、多くの需要者 視覚を通じて高級感,美的満足感および精神 安らぎを与えられる装身具用装飾部品とす ことができる。

 以下、本発明の実施例を具体的に説明する 、本発明はこれらの実施例により限定され ものではない。
 (実施例1)
 表1に示すような純度および平均粒径を有す る、窒化チタン粉末と安定化剤を含まないジ ルコニア粉末とニッケル粉末とを用いて、装 飾部品セラミックスが表2に示すような未安 化ジルコニアおよびニッケルの含有量とな ように秤量し、混合して調合原料とした。

 次に、各調合原料に溶媒としてメタノー を加えて振動ミルに入れ、120時間混合粉砕 た後、ポリエチレングリコール等のバイン を調合原料に対して、3質量%添加して混合 、得られたスラリーを噴霧乾燥法により乾 させて顆粒とした。そして、得られた顆粒 98MPaの圧力で加圧成形して、円柱状の成形体 を作製した。次に、この成形体を窒素雰囲気 中、600℃で脱脂した後、窒素雰囲気中で、表 1に示す焼成温度に2時間保持して、直径が8mm, 厚さが15mmの円柱状の焼結体を得た。

 そして、回転バレル研磨機を用いて、こ 円柱状の焼結体にバレル研磨を施し、JIS B 0601-2001で規定する算術平均高さRaが0.05~0.23μm の表面を有する試料No.1~23の装飾部品用セラ ックスを得た。

 各試料の装飾部品用セラミックスの未安定 ジルコニアの含有量を以下の手順で求めた
 X線回折法により測定した単斜晶の(111)およ (11-1)の反射ピーク強度,正方晶および立方晶 の(111)の反射ピーク強度を用いて、上述した (1)により全ジルコニアの含有量に対する未 定化ジルコニアの割合Xmを算出した。
 そして、ICP発光分析法によりジルコニウム( Zr)元素の含有量を求め、これを酸化物(ジル ニア)に換算して、全ジルコニアの含有量を めた。そして、得られた未安定化ジルコニ の割合Xmと全ジルコニア含有量とを用い、 述の式(2)により未安定化ジルコニアの含有 を求めた。

 また、ニッケルについても、ICP発光分析法 より含有量を求めた。
 さらに、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、60 00倍の倍率で観察して得られた画像を解析す ことにより、未安定化ジルコニアの結晶粒 の平均値および窒化チタンの結晶粒径の平 値を求め、未安定化ジルコニアの結晶粒径 平均値を窒化チタンの結晶粒径の平均値で して、窒化チタンの結晶粒子の大きさに対 る未安定化ジルコニアの結晶粒子の大きさ 割合を求めた。

 窒化チタンの結晶に付与されている圧縮 力については、X線回折装置(ブルカー・エ エックスエス製 D8 DISCOVER with GADDS Super Sp eed)を用いた2D法により、試料No.1~23の円柱状 装飾部品用セラミックスの上面における圧 応力を測定した。

 耐磨耗性の評価については、図17に示して 述した耐磨耗性評価装置を用いた。試料No.1~ 19の円柱状の装飾部品用セラミックスを所定 置(図17において、装飾部品用セラミックス1 01の位置)に治具で固定した後、水0.001m 3 に対して半磁器土(粘土の中に磁器土(陶石)を 配合した粘土)を10g投入し混合して、水槽104 に泥水を準備した。さらに、おもり105の質 を500gに設定し、ナイロン製の糸(東レ製 銀 σ3号)102が速度60m/分で3000m動くようにと設定 した。そして、泥水が付着した糸102を円柱状 の装飾部品用セラミックスの外周側で摺動さ せた。その後、表面形状測定顕微鏡(キーエ ス製 測定部VF-7510/コントローラVF-7500)を用 て、糸102を摺動させることによって円柱状 装飾部品用セラミックスの表面に磨耗によ 生じた傷の最も深い部分を測定した。

 破壊靱性K 1C については、JIS R 1607-1995で規定する圧子圧 法(IF法:Indentation-Fracture法)に準拠して求めた 。また、色調およびクラックの評価を目視で 行なった。なお、色調については、黄金色を ○、銀色がかった黄金色を△、白っぽくくす んだ黄金色を×と示し、クラックについては クラックが観察されなかった試料を○、ク ックが観察された試料を×と示した。結果 表2に示す。

 表1および表2に示すとおり、未安定化ジ コニアの含有量が6質量%未満である試料No.1 、他の試料と比較して磨耗深さの測定値が きかった。すなわち、他の試料に比べて耐 耗性が劣ることが判る。また、未安定化ジ コニアの含有量が30質量%を超える試料No.22は 、冷却したときの未安定化ジルコニアの体積 膨張によって過度の圧縮応力がかかっており 、この過度の圧縮応力に耐えきれずクラック が生じていた。また、未安定化ジルコニアの 結晶粒子が窒化チタンの結晶粒子より大きい 試料No.23は、磨耗深さの測定値が小さく耐磨 性に優れるものの、未安定化ジルコニアの する白色の影響を受け白っぽくくすんだ色 となった。

 一方、本発明に係る試料No.2~21は、窒化チ タンを主成分とし、安定化剤を実質的に含ま ない未安定化ジルコニアを6質量%以上30質量% 下およびニッケルを含み、未安定化ジルコ アの結晶粒子が窒化チタンの結晶粒子より さくなっている。これにより、高温に加熱 焼結させた後、室温まで冷却したときに未 定化ジルコニアが体積膨張し、窒化チタン 結晶粒子には高い圧縮応力がかかった状態 なり、窒化チタンの結晶粒子は容易に脱粒 ないので、磨耗深さの測定値が3.4μm以下と さく、すなわち優れた耐摩耗性を有し、ま 高級感,美的満足感および精神的安らぎを与 える黄金色の色調を有していた。

 特に、試料No.5~17,19~21は、未安定化ジルコ ニアの結晶粒子の大きさが窒化チタンの結晶 粒子の大きさの0.1倍以上0.5倍以下であること から、未安定化ジルコニアの結晶粒子の体積 膨張により窒化チタンの結晶粒子には高い圧 縮応力がかかった状態になっているため、磨 耗深さの測定値が2.2μm以下であり、耐磨耗性 がさらに高いことが分かった。

 また、用いた窒化チタン粉末の大きさ(平 均粒径)のみが異なる試料No.3と試料No.5および 試料No.4と試料No.6を比較すると、試料No.5,6は 未安定化ジルコニアの結晶粒子の大きさが 化チタンの結晶粒子の大きさの0.5倍以下で ることから、磨耗深さの測定値が小さく、 化チタンの結晶粒子に対する未安定化ジル ニアの結晶粒子の相対的な大きさが耐磨耗 に影響を与えていることが分かった。また 未安定化ジルコニアの結晶粒子の大きさが 化チタンの結晶粒子の大きさの0.1倍未満の 料No.18は、窒化チタンの結晶粒子に対する 安定化ジルコニアの結晶粒子の相対的な大 さが小さいために、得られる耐磨耗性の向 の効果が少なかった。

 用いた原料粉末の純度および平均粒径、 成温度ならびに未安定化ジルコニアの含有 が同じで、ニッケルの含有量が異なる試料N o.5~9を比べると、試料No.6~8はニッケルの含有 が4質量%以上8質量%以下であり、窒化チタン の結晶粒子同士が強固に結合されているため 、破壊靱性を高くすることができるとともに 、ニッケルが呈する銀色が窒化チタンの呈す る黄金色による試料の色調にほとんど影響を 与えておらず、好適であることが分かった。

 また、各成分の含有量が同じで、焼成温 が異なる試料No.19~21を比べると、焼成温度 1600℃以上で焼成した試料No.20,21は、窒化チ ンの結晶にかかる圧縮応力が350MPa以上と高 ことから、窒化チタンの結晶粒子がより脱 しにくくなる。さらに、未安定化ジルコニ を6質量%以上30質量%以下の範囲内において、 未安定化ジルコニアを多く含み1650℃で焼成 た試料No.21は、磨耗深さの測定値が最も小さ かった。

 (実施例2)
 純度が99%,平均粒径が10μmの窒化チタン粉末 、純度が99.5%,平均粒径が1μmの安定化剤を実 質的に含まないジルコニア粉末と、純度が99. 5%,平均粒径が14μmのニッケル粉末とを用いて 焼結体における各成分の含有量が表3に示す 未安定化ジルコニアおよびニッケルの含有量 となるように秤量し、混合して調合原料とし た。

 次に、各調合原料に溶媒としてメタノー を加えて振動ミルに入れ、120時間混合粉砕 た後、ポリエチレングリコール等のバイン を調合原料に対して、3質量%添加して混合 、得られたスラリーを噴霧乾燥法により乾 させて顆粒とした。そして、得られた顆粒 98MPaの圧力で加圧成形して、円板状の成形体 を作製した。次に、この成形体を窒素雰囲気 中、600℃で脱脂した後、窒素雰囲気中、1620 の焼成温度で2時間保持して、直径が16mm,厚 が2mmの円板状の焼結体を得た。

 次に、この円板状の焼結体にダイヤモンド ーストを用いてラップ加工を施し、JIS B 06 01-2001で規定する算術平均高さRaが0.05~0.23μmの 表面を有する試料No.24~29の装飾部品用セラミ クスを得た。
 その後、実施例1と同じ方法にて、未安定化 ジルコニアおよびニッケルの含有量を求めた 。さらに、JIS Z 8722-2000に準拠して、分光測 計(コニカミノルタホールディングス製CM-370 0d)を用い、光源をCIE標準光源D65,視野角を10°, 測定径を3×5mm,照明径を5×7mmに設定して、試 No.24~29の装飾部品用セラミックスの表面の色 調を測定した。

 また、色調については、20歳代~50歳代の各 代について男女5名ずつ計40名のモニターに 高級感,美的満足感および精神的安らぎの3項 目でアンケート調査を実施した。この各項目 に対して「得られる」と回答したモニターの 比率で、高級感,美的満足感,精神的安らぎの ち1項目が90%以上であって,残り2項目が100%の ものは優とし、これら3項目のうち2項目以上 90%以下であるものは良として評価した。
 色調の測定結果およびアンケート調査の結 を表3に示す。

 表3に示す結果から分かるように、本発明 の装飾部品用セラミックスである試料No.24~29 、高級感,美的満足感,精神的安らぎの各項 に対して「得られる」との回答を90%以上の ニターから得ることができた。また、試料No .25~28は、装飾面のCIE1976L*a*b*空間における明 指数L*が60以上70以下であり、クロマティク ス指数aが6.0以上8.2以下、クロマティクネス 数b*が16.5以上24.5以下であることから、高級 感,美的満足感,精神的安らぎのモニターの評 がより高く、色調評価結果は「優」となり 本発明の装飾部品用セラミックスの色調の 価が高いことが分かった。

 (実施例3)
 純度が99%,平均粒径が12μmの窒化チタン粉末 、純度が99.5%,平均粒径が1.5μmの安定化剤を 質的に含まないジルコニア粉末と、純度が9 9.5%,平均粒径が6.7μmのニッケル粉末とを用い 、焼結体における各成分の含有量が表4に示 す未安定化ジルコニアおよびニッケルの含有 量となるように秤量し、混合して調合原料と した。なお、試料No.30には、炭化クロムを添 した。

 次に、各調合原料に溶媒としてメタノー を加えて振動ミルに入れ、120時間混合粉砕 た後、ポリエチレングリコール等のバイン を調合原料に対して、3質量%添加して混合 、得られたスラリーを噴霧乾燥法により乾 させて顆粒とした。そして、得られた顆粒 98MPaの圧力で加圧成形して、円板状の成形体 を作製した。次に、この成形体を窒素雰囲気 中、600℃で脱脂した後、窒素雰囲気中、1620 の焼成温度で2時間保持して、直径が16mm,厚 が2mmの円板状の焼結体を得た。

 そして、この円板状の焼結体にダイヤモン ペーストを用いてラップ加工を施し、JIS B 0601-2001で規定する算術平均高さRaが0.05~0.23μm の表面を有する試料No.30,31の装飾部品用セラ ックスを得た。
 その後、実施例1と同じ方法で、未安定化ジ ルコニアおよびニッケルの含有量を求めた。 クロムについてもICP発光分析法により含有量 を求めた。次に、JIS Z 8722-2000に準拠して、 光測色計(コニカミノルタホールディングス 製CM-3700d)を用い、光源にCIE標準光源D65を用い 、視野角を10°,測定径を3×5mm,照明径を5×7mmに 設定して、装飾部品用セラミックスの装飾面 の色調を測定した。測定後、JIS B 7001-1995で 定する耐食試験のうち、人工汗半浸漬試験( 23±2℃、24時間放置)を試料No.30,31に準用して 食試験を行なった。耐食試験後に試料No.30,31 の表面の色調を上記と同じ測定方法により測 定した。結果を表4に示す。

 表4に示す結果から分かるように、クロム を含有している試料No.30は、クロムを含有し いない試料No.31に比べ、試験前後の明度指 L*およびクロマティクネス指数a*の変動が少 いことから、クロムを含有していることに り、クロムが空気中の酸素と結合して装飾 に緻密な酸化膜を生成して耐食性の向上を れることが分かった。これにより、需要者 高級感,美的満足感および精神的安らぎを長 期間与え続けることができることが分かった 。

 (実施例4)
 まず、純度が99%,平均粒径が12μmの窒化チタ 粉末と、純度が99.5%,平均粒径が1.5μmの安定 剤を実質的に含まないジルコニア粉末と、 度が99.5%,平均粒径が6.7μmのニッケル粉末と 純度が99%,平均粒径が7μmの炭化クロム粉末 、純度が99.9%,平均粒径が18.8μmの炭酸マンガ 粉末とを用いて、焼結体における各成分の 有量が表5に示す未安定化ジルコニア,ニッ ル,クロムおよびマンガンの含有量となるよ に秤量し、混合して調合原料とした。

 次に、実施例3と同じ製造方法にて、試料No. 32~35の装飾部品用セラミックスを得た。なお 炭酸マンガンは、焼成中に分解して炭酸マ ガンから二酸化炭素や酸素が焼失し、装飾 品用セラミックス中では、マンガンとして 在した。
 また、炭化クロムも焼成中に分解して、炭 が焼失し、装飾部品用セラミックス中では クロムとして存在した。
 その後、実施例1と同様の方法にて、未安定 化ジルコニアおよびニッケルの含有量を求め た。クロムおよびマンガンについてもICP発光 分析法により含有量を求めた。また、表面の 中央部1箇所および周辺部4箇所の計5箇所にお ける色調を測定し、平均値および標準偏差を 算出した。結果を表5に示す。

 表5に示す結果から分かるように、マンガ ンを含まない試料No.32に比べて、マンガンを む試料No.33~35は、噴霧乾燥によって得られ 顆粒がほとんど酸化されていないので、表 における色調のばらつきが少なく、良好で ることが分かった。

 本発明の装飾部品用セラミックスを用い 、釣糸案内用装飾部品である釣糸用ガイド ング,時計用装飾部品である時計用ケースや 時計バンド駒,携帯端末機用装飾部品である 帯電話の各種の操作キーを作製した。何れ 装飾部品サンプルも耐磨耗性に優れること ら表面に傷が付きにくく、黄金色の色調を 期にわたり維持することができるので、こ らの装飾部品を用いれば、高級感,美的満足 および精神的安らぎを長期間与え続ける魅 的な商品を構成することができることが分 った。

 本国際出願は、2008年3月24日出願の出願番 号「特願2008-075827」である日本での特許出願 対し、優先権を主張するものである。この 許出願「特願2008-075827」は参照することに り本明細書に含まれる。




 
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