石澤 俊崇 (〒67 栃木県真岡市鬼怒ケ丘11番地 日立金属株式会社素材研究所内 Tochigi, 3214367, JP)
SEKIGUCHI, Kenichiro (Casting Technology Research Laboratory, 11, Kinugaok, Moka-shi Tochigi 67, 3214367, JP)
日立金属株式会社 (〒14 東京都港区芝浦1丁目2-1 Tokyo, 1058614, JP)
ISHIZAWA, Toshitaka (Casting Technology Research Laboratory, 11, Kinugaok, Moka-shi Tochigi 67, 3214367, JP)
石澤 俊崇 (〒67 栃木県真岡市鬼怒ケ丘11番地 日立金属株式会社素材研究所内 Tochigi, 3214367, JP)
| 多孔質の隔壁で仕切られた多数の流路を有するハニカム構造体と、前記流路の排気ガス流入側又は排気ガス流出側に交互に設けられた封止部とを有するセラミックハニカムフィルタであって、前記隔壁の厚さW(mm)、前記隔壁の通気度κ(μm 2
)、前記流路の長さL(mm)及び前記流路の長さ方向に垂直な面における前記流路の断面積A(mm 2
)が、 0.1≦W≦0.5、 8≦κ/W≦26.7、及び 125≦L/A 0.5 ≦360 を満たすことを特徴とするセラミックハニカムフィルタ。 |
| 請求項1に記載のセラミックハニカムフィルタにおいて、前記通気度κ(μm 2 )が2以上であることを特徴とするセラミックハニカムフィルタ。 |
| 請求項1又は2に記載のセラミックハニカムフィルタにおいて、前記L及び前記流路の長さ方向に垂直な面における前記ハニカムフィルタの断面積S(mm 2
)が、 0.75≦L/S 0.5 ≦1.2 を満たすことを特徴とするセラミックハニカムフィルタ。 |
| 請求項1~3のいずれかに記載のセラミックハニカムフィルタにおいて、前記長さLが140 mm以上であることを特徴とするセラミックハニカムフィルタ。 |
| 請求項1~4のいずれかに記載のセラミックハニカムフィルタにおいて、前記流入側封止部の流出側端面と、前記流出側封止部の流入側端面との距離が120 mm以上であることを特徴とするセラミックハニカムフィルタ。 |
本発明は、ディーゼルエンジン等から排 される粒子状物質を含む排気ガスを浄化す のに使用されるセラミックハニカムフィル に関する。
ディーゼルエンジンの排気ガス中には、 素(煤等)及び高沸点炭化水素を主成分とす 微粒子(Particulate Matter)が含まれており、こ が大気中に放出されると人体や環境に悪影 を与えるおそれがある。このため、ディー ルエンジンの排気管の途中に、微粒子を除 し排気ガスを浄化するためのセラミックハ カムフィルタ(以下「ハニカムフィルタ」と いう)を装着することが従来から行われてい る。図8(a)及び図8(b)に示すように、従来のハ カムフィルタ20は、多数の流路3,4を形成す 多孔質隔壁2と外周壁1とからなるセラミック ハニカム構造体と、流路3,4の両端面8,9を市松 模様に交互に封止する封止部6a,6bとからなる ハニカムフィルタの外周壁1は、金属メッシ ュ又はセラミックス製のマット等で形成され た把持部材(図示せず)で固定され、金属製収 容器(図示せず)内に配置されている。
ハニカムフィルタ20において、排気ガス 点線矢印で示すように、排気ガス流入側端 8に開口している流出側封止流路3から流入す る。排気ガス中に含まれる微粒子は、隔壁2 形成された細孔を通過する際に捕集され、 気ガス流出側端面9に開口している流入側封 流路4から浄化された排気ガスが流出する。 隔壁2に微粒子が捕集され続けると隔壁の細 が目詰まりし、圧力損失を増加させる。堆 した微粒子をバーナーやヒーター等により 焼させることで、ハニカムフィルタを再生 ることができる。しかし、微粒子を燃焼さ るにはエネルギーを消費するため、できる け再生処理の間隔を長くするのが好ましい そのためには、ハニカムフィルタの初期圧 が小さいこととともに、微粒子を捕集した もハニカムフィルタの圧力損失が急激に大 くならないことが要求される。
ハニカムフィルタには、微粒子の高い捕 効率を維持しつつ圧力損失が小さいことが 求される。ハニカムフィルタの圧力損失は 図2に模式的に示すように、排気ガスが流入 側端面8から流入する際の入口損失(P1)、流出 端面9から流出する際の出口損失(P2)、隔壁2 通過する際の隔壁損失(P3)、流路3,4を流れる 際の隔壁との摩擦による流路損失(P4)の合計 あると考えられている。中でも隔壁損失(P3) フィルタの圧力損失の大部分を占めると考 られているため、これを低減する技術が検 されている。特に微粒子を捕集した後の圧 損失の上昇は隔壁損失(P3)の寄与が非常に大 きい。
特開2003-40687号は、気孔率が55~65%、平均細孔 径が15~30μm及び隔壁の面積に対する隔壁表面 露出した気孔の総面積が35%以上であるハニ ムフィルタを開示しており、隔壁の気孔率 を規定することにより、微粒子の高捕集効 と低圧力損失との両立が可能であると記載 ている。さらに隔壁損失(P3)の大きさに影響 を与える隔壁の通気度(パーミアビリティー) 1.5~6μm 2 が好ましいと記載している。しかし特開2003-4 0687号は、隔壁損失(P3)を低減する技術に関し 記載しているが、流路の長さ及び断面積を 定することで流路損失(P4)を低減する技術に 関して記載していない。
特開2002-239322号は、隔壁の厚さが0.1~0.3 mm、 隔壁ピッチが1.4~3 mm、流路の断面積が1.3 mm 2 以上、流路の一辺の長さが1.15 mm以上、及び 位体積当たりのフィルタ表面積が7 cm 2 /cm 3 以上である多孔質セラミックハニカム構造体 を開示しており、これらの規定により微粒子 を高効率に捕集するとともに圧力損失を低く できると記載されている。さらに特開2002-2393 22号は、隔壁ピッチが小さすぎると、排気ガ が流入側端面8から流入する際の入口損失(P1 )が大きくなることも記載している。この記 から出口損失(P2)も大きくなることは容易に 像できる。しかしながら特開2002-239322号は 隔壁ピッチを3 mm以下と小さくした場合に、 隔壁損失(P3)が小さくなる一方で、入口損失(P 1)と出口損失(P2)が大きくなった結果、ハニカ ムフィルタのトータルの圧力損失がどのよう になるかについて記載していない。さらに流 路損失(P4)に関しては検討されていないので 例えば隔壁ピッチを一定として流路の長さ 長くした場合には、隔壁2の総面積が大きく るので隔壁損失(P3)は小さくなるが、一方で 流路損失(P4)は大きくなると予想され、その 果ハニカムフィルタのトータルの圧力損失 どのようになるかは特開2002-239322号の記載か らは判らない。
WO2003/074848号は、流路の断面の最長辺の長 さl(mm)と、流路の長さL(mm)とが、60≦L/l≦500の 関係を満たし、流路内壁の表面粗さRaが100μm 下であるハニカムフィルタを開示している WO2003/074848号は、流路の長さが過度に長い場 合や、流路の長さ方向に垂直な断面の面積( 下、単に流路の断面積ともいう)が過度に小 い(すなわち隔壁の厚さが同じならば隔壁ピ ッチが小さい)場合には、流路損失(P4)が大き なると記載している。しかしながら流路が い場合や隔壁ピッチが小さい場合は、流路 失(P4)が大きくなる一方で隔壁の総面積が大 きくなるために隔壁損失(P3)が小さくなるこ は検討されていない。すなわち流路損失(P4) 大きくなり隔壁損失(P3)が小さくなった結果 、ハニカムフィルタのトータルの圧力損失が どのようになるかWO2003/074848号の記載からは らない。
流路の長さとハニカムフィルタの圧力損失 の関係を示す公知文献として、特表2003-51502 3号は、少なくとも約0.50 g/cm 3 の嵩密度を有し、直径に対する長さの比が約 0.9を超えないセラミックフィルタを開示して いる。特表2003-515023号は、隔壁の厚さ、隔壁 ピッチ、及びハニカムフィルタの体積を一 にしたときのハニカムフィルタの全長と圧 損失との関係を示しており、全長が短くな に従って(このとき、体積は一定であるから 流路垂直方向断面積は増加している)、ハニ ムフィルタの圧力損失が減少すると記載し いる。つまり隔壁の総面積が一定であるか 隔壁損失(P3)は変わらないが、流路の長さが くなる分、流路損失(P4)は減少するためトー タルの圧力損失は減少する。しかし仮にハニ カムフィルタの断面積を一定として全長(流 長さ)を変更した場合には、流路損失(P4)は減 少し隔壁損失(P3)は増加するため、トータル 圧力損失がどのようになるか特表2003-515023号 の記載からは判らない。
以上のように隔壁のピッチと流路の長さ より、P1~P4の4つの損失がそれぞれ大きくな か小さくなるかは推定できるものの、4つの 損失を合計したハニカムフィルタの圧力損失 がどのようになるのかは容易には判らない。
特開平9-299811号は、直径dと長さLとの比L/dが 0.4~1.3の範囲にあり、隔壁の厚さが0.1 mm以下 あり、流路の数が100個/cm 2 以上であるハニカム構造体を記載している。 しかしこのハニカム構造体は、高い排気ガス 浄化性能を維持しつつスポーリング強度を高 めたものであり、圧力損失を低減することを 目的としたものではない。従って、特開平9-2 99811号からはハニカムフィルタの圧力損失を 減するために、隔壁のピッチ及び流路の長 をどのように設定すればよいかの指針を得 ことができない。
以上のように隔壁のピッチと流路の長さ より、P1~P4の4つの損失がそれぞれ大きくな か小さくなるかは推定できるものの、4つの 損失を合計したハニカムフィルタの圧力損失 がどのようになるのかは容易には判らない。 このためハニカムフィルタの開発は、実際に 何種類ものハニカムフィルタを製作して特性 を測定し、これを繰り返すことによってより 好ましいものを得るといった方法で行われて いる。
また隔壁のピッチ及び流路の長さは、ハ カムフィルタの再生(微粒子の燃焼)時の温 上昇に影響を与え、流路が長いほど排気ガ 流出側端面9近傍の温度が高くなり、溶損が 生しやすくなるという問題もあった。
従って、本発明の目的は、圧力損失を低 し、溶損の発生しにくいハニカムフィルタ 得ることである。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明 らは、隔壁の厚さと通気度との関係、及び 路の断面積と長さの関係を規定することで 圧力損失を低減し、溶損の発生しにくいハ カムフィルタが得られることを見出し、本 明に想到した。
すなわち、本発明のセラミックハニカムフ
ルタは、多孔質の隔壁で仕切られた多数の
路を有するハニカム構造体と、前記流路の
気ガス流入側又は排気ガス流出側に交互に
けられた封止部とを有するセラミックハニ
ムフィルタであって、前記隔壁の厚さW(mm)
前記隔壁の通気度κ(μm 2
)、前記流路の長さL(mm)及び前記流路の長さ方
向に垂直な面における前記流路の断面積A(mm 2
)が、
0.1≦W≦0.5、
8≦κ/W≦26.7、及び
125≦L/A 0.5
≦360
を満たすことを特徴とする。
前記通気度κ(μm 2 )は2以上であるのが好ましい。
前記L及び前記流路の長さ方向に垂直な面に おける前記ハニカムフィルタの断面積S(mm 2 )は、0.75≦L/S 0.5 ≦1.2を満たすのが好ましい。
前記長さLは140 mm以上であるのが好まし 。
前記流入側封止部の流出側端面と、前記 出側封止部の流入側端面との距離は120 mm以 上であるのが好ましい。
セラミックハニカムフィルタの隔壁の厚 と通気度、及び流路の断面積と長さの関係 規定することで、圧力損失を低減し、かつ 損の発生しにくいハニカムフィルタを得る とができる。さらにこれらの関係から、圧 損失が最も低くなる構成のセラミックハニ ムフィルタの形状パラメータを決めること できる。
[1]本発明の作用効果
本発明のハニカムフィルタ10は、図1(a)及び
1(b)に示すように、外周壁1と、この外周壁1
内側に各々直交する隔壁2で仕切られた多数
の流出側封止流路3と流入側封止流路4とを有
る多孔質セラミックハニカム構造体と、排
ガス流入側端面8と排気ガス流出側端面9を
松模様に交互に封止する流入側封止部6aと流
出側封止部6bとからなる。
(1) 隔壁の厚さW
隔壁2の厚さW(mm)は0.1~0.5 mmである。Wが0.5 mm
より大きいと隔壁損失(P3)が増大するととも
入口損失(P1)と出口損失(P2)が増加し、ハニカ
ムフィルタの圧力損失が増加する。Wが0.1 mm
り小さいとハニカムフィルタの強度が低く
り実用に適さない。
(2) 通気度κ
通気度κ(μm 2
)は、式(1)により表される。
κ=1×10 -3
η・Q・W/(E・P3) ・・・(1)
式(1)において、ηは室温における空気の粘
(MPa・s)、Wは隔壁の厚さ(mm)、Qは隔壁を通過
るガスの流量(m 3
/s)、Eはガスが通過する隔壁の面積(m 2
)、P3は隔壁の厚さ方向の圧力差[隔壁損失](MPa
)である。通気度の測定方法は例えば特表2003-
534229号に記載されている。式(1)より、隔壁損
失(P3)は、
P3=(1×10 -3
ηQ/E)・W/κ ・・・(2)
となるので、ハニカムフィルタの隔壁損失(P3
)はκ/Wに反比例することが分かる。つまりκ/W
が大きいほど隔壁損失(P3)は小さくなる。
隔壁2の通気度κは2μm 2 以上であるのが好ましい。通気度κが2μm 2 未満の場合、隔壁損失(P3)が大きいためハニ ムフィルタの圧力損失が大きくなる。隔壁2 通気度κは4μm 2 以上であるのがさらに好ましい。また、通気 度κが10μm 2 を超えると微粒子の捕集率が悪化すので、通 気度κは10μm 2 以下であるのが好ましい。さらに好ましくは 8μm 2 以下である。通気度κは隔壁の気孔率及び気 径によって調節する。具体的には、発泡樹 等の造孔剤の坏土への添加量を増減するこ で調整することができる。
式(1)より、ハニカムフィルタの隔壁損失(P3) は隔壁の面積Eに反比例することが分かる。 まり隔壁の面積が大きいほど隔壁損失(P3)は さくなる。隔壁の面積Eは、流路の長さL(ハ カムフィルタの全長)に比例し、隔壁ピッチ Pに反比例する。ここで隔壁ピッチPは流路の 面積Aの平方根に比例するので、隔壁の面積 EはL/A 0.5 に比例し、従って隔壁損失(P3)はL/A 0.5 に反比例する。さらに隔壁の総面積が大きい ほど隔壁単位面積当たりに捕集される微粒子 の量が低減するため、微粒子を捕集した後の 圧力損失[隔壁損失(P3)]の上昇は小さくなる。
一方、流路損失(P4)は、流路の長さLが長い ど、また流路の断面積Aが小さいほど(隔壁ピ ッチPが小さいほど)大きくなり、ほぼL/A 0.5 に比例する。κ/Wが一定でL/A 0.5 を変化させたときの隔壁損失(P3)、流路損失(P 4)、及び隔壁損失(P3)と流路損失(P4)の合計(図 は計と表示)の変化の一例を図3(a)に示す。 ニカムフィルタの圧力損失[隔壁損失(P3)と流 路損失(P4)の合計]が極小となるL/A 0.5 が存在し、単に隔壁ピッチPを小さくし隔壁 面積を大きくするほど、又は流路長さLを短 するほどハニカムフィルタの圧力損失が小 くなるわけではないことが理解できる。過 にL/A 0.5 が大きい場合にもハニカムフィルタの圧力損 失は上昇する。
(3) 通気度と隔壁の厚さの比:κ/W
κ/Wは、8≦κ/W≦26.7を満たす値である。κ/W
図3(a)の場合よりも小さい場合のL/A 0.5
と圧力損失の関係を図3(b)に示す。κ/Wが小さ
なると隔壁損失(P3)が大きくなるため、ハニ
カムフィルタの圧力損失[隔壁損失(P3)と流路
失(P4)の合計]が大きくなる。従って過度にκ
/Wが小さい場合にはハニカムフィルタの圧力
失が著しく大きくなり実用に適さない。従
てκ/Wを8以上にすることでハニカムフィル
の圧力損失の上昇を防止できる。
κ/Wが図3(a)の場合よりも大きい場合のL/A 0.5 と圧力損失の関係を図3(c)に示す。κ/Wが大き なると隔壁損失(P3)が小さくなるため、ハニ カムフィルタの圧力損失[隔壁損失(P3)と流路 失(P4)の合計]も小さくなる。従ってハニカ フィルタの圧力損失を低減するためにはκ/W 大きいほど好ましい。しかし隔壁の気孔率 び/又は平均気孔径を大きくして通気度κを きくしたり、隔壁の厚さWを薄くしたりする とハニカムフィルタの強度は小さくなってし まう。従って過度にκ/Wを大きくするような 計を行うとハニカムフィルタの強度が低下 実用に適さない。例えば、κ=8μm 2 (気孔率を70%程度)の隔壁を、厚さW=0.3 mmより さくするとハニカムフィルタの強度は低く りすぎて実用に適さなくなる。従ってκ/Wは 26.7以下である。
(4) 流路の長さと(流路の断面積) 0.5
の比:L/A 0.5
流路の長さL(mm)と流路の断面積A(mm 2
)の平方根との比L/A 0.5
は、125≦L/A 0.5
≦360を満たす値である。L/A 0.5
が360より大きな値になるとハニカムフィルタ
の圧力損失が上昇するとともに、ハニカムフ
ィルタの再生時に溶損が発生する。ハニカム
フィルタの再生は、フィルタに流入させた高
温の空気によって隔壁の表面に堆積した微粒
子を燃焼させることによって行うが、流路の
長さL及び流路の断面積Aは、ハニカムフィル
再生時のフィルタの温度に影響を与える。
図5は、流路の長さLのみが異なる各種ハニ ムフィルタに一定量の微粒子を捕集させた 、流入側端面8より550℃の空気を流入させ微 子を燃焼させたときの、L/A 0.5 の値と排気ガス流出側端面の最高温度との関 係を示す。L/A 0.5 の値が大きくなると急激に排気ガス流出側端 面の最高温度が上昇する。つまり流路の長さ Lが長いほどフィルタ温度が高くなり、溶損 発生しやすくなる。また流路の断面積Aを小 くすると隔壁の総面積が大きくなり、隔壁 単位面積当たりの微粒子の堆積量が減少す 。このため空気との接触面積が増加し、微 子が効率よく燃焼するようになる。その結 、急激な温度上昇が起こり、ハニカムフィ タに溶損が発生しやすくなる。
本発明において上記のκ/Wが8以上で、かつL/ A 0.5 が360以下である場合にハニカムフィルタの圧 力損失を低減することができる。κ/Wが8未満 あると隔壁損失(P3)が高いため、圧力損失を 低減するためには流路の長さLを長くしたり 隔壁のピッチを小さくしてA 0.5 を小さくしたりする必要がある。しかし流路 の長さLを長くすると上記溶損の問題が生じ 隔壁ピッチを小さくすると後述するように 密度が増大する。
図3(a)に示すように、L/A 0.5 が125以下になるとハニカムフィルタの圧力損 失が急激に大きくなる。しかし図3(c)に示す うに、κ/Wの値の大きいハニカムフィルタを 用した場合、隔壁損失(P3)と流路損失(P4)の 計が極小となるL/A 0.5 は小さくなる。従って、ハニカムフィルタの 強度を満足する範囲内でκ/Wを大きくするこ によりハニカムフィルタの全長Lを短くして 十分に圧力損失を小さくできる。しかしな ら、L/A 0.5 が小さい(ハニカムフィルタの全長Lが短い及 /又は隔壁ピッチPが大きい)、すなわち隔壁 総面積が小さいときには、図4に示すように 、微粒子を捕集するに伴って隔壁単位面積当 たりの微粒子の堆積量が急激に増加し、ハニ カムフィルタの圧力損失が上昇する。従って L/A 0.5 の値の下限は微粒子捕集時の圧力損失により 制限され、125≦L/A 0.5 とすることで、微粒子捕集時のハニカムフィ ルタの圧力損失が急激に上昇することを防ぐ ことができる。そしてL/A 0.5 を大きくすることによって、例えハニカムフ ィルタの初期圧損が増加する場合であっても 、微粒子捕集時の圧力損失の上昇を低減する ことができる。よって133.3≦L/A 0.5 であるのが好ましく、166≦L/A 0.5 であるのがより好ましく、175≦L/A 0.5 であるのが最も好ましい。
なお、本発明においては全ての流路が125≦L /A 0.5 ≦360の式を満たす必要はなく、半数以上の流 路がこの式を満たせばよい。さらに好ましく は80%以上の流路がこの式を満たせばよい。
(5) 流路の長さと(フィルタ断面積) 0.5
の比:L/S 0.5
流路の長さL(mm)方向に垂直な面におけるハ
カムフィルタの断面積をS(mm 2
)としたとき、LとSとの関係が0.75≦L/S 0.5
≦1.2を満足するのが好ましい。流路の断面積
Aが一定である場合、ハニカムフィルタの断
積Sが減少すると、流路3,4の数が減少しハニ
ムフィルタの圧力損失が大きくなるので、
力損失を低減するためにはSは大きい方が好
ましい。また流路の長さLが大きくなると、
ニカムフィルタの体積が大きくなり、車両
の搭載スペースを大きくとるため好ましく
い。従ってL/S 0.5
≦1.2とすることでハニカムフィルタの圧力損
失の増大を防止するとともに、ハニカムフィ
ルタの体積の増大を防止できる。なお、Lと
元をあわせるためS 0.5
としている。
流路の長さLに対してハニカムフィルタの断 面積Sが大きくなると、ハニカムフィルタの 量と体積が大きくなり好ましくない。また ニカムフィルタの断面積Sが大きくなると、 ニカムフィルタの圧力損失が増大し好まし ない。Sが大きくなるとハニカムフィルタを 収納する容器の直径が大きくなる。排気管を 流れるガスがハニカムフィルタを通過する前 後で膨張・収縮するため、この収納容器の直 径が大きくなるとガスの膨張収縮量が大きく なり、圧力損失が大きくなるためである。従 って0.75≦L/S 0.5 とすることで、ハニカムフィルタの圧力損失 の増大を防止すると同時に、ハニカムフィル タの体積と重量の増大を防止でき好ましい。 0.87≦L/S 0.5 であるのが好ましく、0.98≦L/S 0.5 であるのがさらに好ましい。L/S 0.5 が0.98未満の場合にはL/A 0.5 は210以下であるのがハニカムフィルタの圧力 損失が低減できるので好ましい。
(6) 嵩密度
本発明のハニカムフィルタは、嵩密度[ハニ
カムフィルタの質量(g)/ハニカムフィルタの
積(cm 3
)]を0.5 g/cm 3
未満にするのが好ましい。嵩密度が0.5 g/cm 3
以上であると熱容量が大きくなるため、特に
触媒担持型(担持した触媒物質の作用により
集した微粒子を燃焼浄化する)ハニカムフィ
タの場合には、高温の排気ガスや未燃燃料
の加熱手段による温度の上昇が遅く、触媒
質が活性化されるのに時間がかかる。その
めハニカムフィルタの再生を短時間で行う
とができない。また高温の排気ガスや未燃
料等の加熱手段を大量に供給しなければな
ず燃費が悪くなる。ハニカムフィルタの嵩
度は0.4 g/cm 3
未満であるのがさらに好ましい。一方、ハニ
カムフィルタの嵩密度は、流路3,4の断面積が
大きいほど、また隔壁の厚さWが薄いほど、
た隔壁の気孔率が大きいほど小さくなるた
、極端に嵩密度の小さな設計にした場合は
ニカムフィルタの強度が弱く実用に適さな
なる。また過度に嵩密度が小さいと、ハニ
ムフィルタの再生時に温度が上昇しすぎる
め、溶損が発生したり、部位ごとに大きな
度差が生じて割れが発生したりする。従っ
ハニカムフィルタの嵩密度は0.1 g/cm 3
以上であるのが好ましく、0.3 g/cm 3
以上であるのがさらに好ましい。
ハニカムフィルタの嵩密度を小さくする めに、外周壁1の気孔率は30%以上であるのが 好ましく、35%以上であるのがより好ましい。 外周壁1の気孔率は極端に大きいと強度が低 し実用に適さなくなるため、80%以下である が好ましく、60%以下であるのがさらに好ま い。外周壁1は、押出成形時に隔壁2の成形と 同時に一体成形することもできるし、押出成 形セラミックハニカム構造体の外周に後から 形成することもできる。後者の場合は、隔壁 2と外周壁1とを異なった気孔率にすることが きる。
(7) 開口率
排気ガス流入側端面8での開口率は30%以上で
あるのが好ましい。開口率は30%未満であると
入口損失(P1)が小さくなり、ハニカムフィル
の圧力損失が大きくなってしまう。開口率
34%以上がより好ましい。上記開口率とは、
気ガス流入側端面8の面積に対する流出側封
流路3の開口面積の総和の割合である。
(8) 流路の長さL
本発明のハニカムフィルタは、流路の長さL
(mm)が140 mm以上であるのが好ましい。本発明
らは、ハニカムフィルタに微粒子を捕集し
後における圧力損失の大きさが、流路の長
Lが140 mmを境として大きく変化することを
出した。流路の長さLと微粒子捕集後の圧力
失の大きさとの関係を概念的に表したグラ
を図6に示す。Lの値が140 mmより小さい値で
るときに、微粒子捕集後における圧力損失
著しく大きくなる。
(9) 流入側封止部の流出側端面と流出側封止
の流入側端面との距離X
さらに、図1に示すように流入側封止部6aの
出側端面7aと、流出側封止部6bの流入側端面
7bとの距離X(mm)を120 mm以上にすることで、封
部6a、6bの流路方向の長さが10 mm以上と長い
場合や、流入側封止部6aが排気ガス流入側端
8より離れて配置されている場合であっても
、微粒子捕集後における圧力損失が小さいハ
ニカムフィルタをより確実に得ることができ
る。
(10) 酸化触媒
排気ガスの温度が低い場合でも、効率よく
粒子を燃焼させるために、隔壁の表面及び
孔内に酸化触媒を担持させるのが好ましい
酸化触媒としては、白金族金属触媒が特に
ましい。触媒が担持された隔壁の通気度κ
1以上であるのが好ましく、2以上であるのが
特に好ましい。触媒担持後の隔壁の気孔率を
50%以上とすることで、触媒担持した場合でも
通気度κを1以上にすることができる。通気度
κを大きくするためには、触媒の担持量をハ
カムフィルタ体積1リットル当り6 g以下、
ましくは4 g以下とするのが好ましい。この
、触媒担持前の隔壁の気孔率は60%以上、通
度κを3以上とするのが好ましい。
[2] セラミックハニカムフィルタ
本発明のセラミックハニカムフィルタは主
ディーゼルエンジンの排気ガス中の微粒子
除去する目的で使用されるため、隔壁及び
止部を構成する材料としては耐熱性に優れ
ものが好ましく、コーディエライト、アル
ナ、ムライト、窒化珪素、炭化珪素、チタ
酸アルミニウム、窒化アルミニウム及びLAS
らなる群から選ばれた少なくとも一種を主
晶とするセラミック材料を用いるのが好ま
い。中でも、コージェライトを主結晶とす
材料は、安価で耐熱性及び耐食性に優れ、
熱膨張であることから最も好ましい。隔壁
構成する材料と封止部を構成する材料は異
っていても構わないが、隔壁と封止部との
膨張係数の違いによって発生する応力を低
するために、同一の材料を用いるのが好ま
い。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細 説明するが、本発明はこれらに限定される のではない。
実施例1
カオリン、タルク、シリカ、アルミナ、水
化アルミニウムの粉末を、50質量%のSiO 2
、35質量%のAl 2
O 3
、及び15質量%のMgOの組成となるように配合し
、コーディエライト生成原料粉末とした。こ
れにバインダーとしてメチルセルロース及び
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、潤滑
材及び造孔剤として発泡樹脂を添加し、乾式
で十分混合した後、水を添加して十分に混練
し、可塑化セラミック坏土を作製した。この
坏土を押出し成形し、切断して、ハニカム構
造を有する成形体とした。この成形体を乾燥
及び焼成し、コーディエライト質セラミック
ハニカム構造体を得た。このハニカム構造体
の各流路3,4の一端に封止部6a,6bを設け、さら
外周壁1を設け、全長(L)360 mm、外径(2r)300 mm
、隔壁の厚さ(W)0.3 mm、隔壁ピッチ(P)1.5 mm及
気孔率60%の図1に示すハニカムフィルタ10を
た。得られたハニカムフィルタの通気度κ
4.6μm 2
、嵩密度は0.4 g/cm 3
であった。通気度κは造孔剤である発泡樹脂
坏土への添加量を増減することで調整する
とができる。排気ガス流入側端面8での開口
率は、[(隔壁ピッチP-隔壁厚さW) 2
/(隔壁ピッチP) 2
]×0.5で表され、1.2 2
/1.5 2
×0.5=32%であった。
実施例2~9
流路の長さLを表1に示すように変更した以
は実施例1と同様にしてハニカムフィルタを
製した。
実施例1~9のハニカムフィルタの、L/A 0.5 の値、κ/W、L/S 0.5 の値、体積及び嵩密度を表1に示す。なお体 は実施例3のハニカムフィルタを100とした相 値で示した。
圧力損失の測定
各ハニカムフィルタの排気ガス流入側端面8
側より、微粒子発生器からのカーボン粉(粒
0.042μm)を0.4 g/min(空気流量1 Nm 3
/min)で1時間投入した。その後これらのハニカ
ムフィルタに20℃の空気を10 Nm 3
/minの流量で通過させ、上流側と下流側との
圧(圧力損失)を圧力損失測定装置で測定した
。
溶損の評価
圧力損失の測定を行った後の各ハニカムフ
ルタに、さらに上記のカーボン粉を1.6 g/min
で1時間投入し、550℃の空気でカーボン粉を
焼させた後のハニカムフィルタの溶損を以
の基準で評価した。
溶損が確認されなかったもの・・・○
溶損が確認されたが、実用上問題のないも
・・・△
溶損が確認されたもの・・・×
通気度の測定
実施例1~9のハニカムフィルタとそれぞれ同
条件で製造したハニカムフィルタの隔壁よ
切り出したテストピースを用いて通気度を
定した。通気度の測定は特表2003-534229号に
載の方法に倣って行った。
圧力損失、溶損の評価及び通気度を表1に 示す。なお、圧力損失の値は実施例3の値を10 0とした相対値で示した。
実施例10~18
隔壁の厚さW、通気度κ、流路の長さL、ハニ
カムフィルタの断面積S、隔壁ピッチP及び流
の断面積Aを表1に示すように変更した以外
実施例1と同様にして、実施例10~18のハニカ
フィルタを作製した。これらのハニカムフ
ルタの嵩密度、体積及び圧力損失の測定、
びに溶損の評価を実施例1のハニカムフィル
と同様に行った。結果を表1に示す。
実施例19
隔壁の厚さWを0.2、ハニカムフィルタの隔壁
に白金金属を担持(フィルタ1Lあたり3 g)して
気度κを2.0とした以外は実施例3と同様にし
、ハニカムフィルタを作製した。これらの
ニカムフィルタの嵩密度、体積及び圧力損
の測定、並びに溶損の評価を実施例1のハニ
カムフィルタと同様に行った。結果を表1に
す。
比較例1
フィルタの全長Lを表1に示すように短縮し
以外は実施例13と同様にしてハニカムフィル
タを作製した。
比較例2
通気度κ、フィルタの全長L及び隔壁ピッチP
を表1に示すように変更した以外は実施例13と
同様にしてハニカムフィルタを作製した。
比較例3
隔壁の厚さWを表1に示すように変更した以
は実施例3と同様にしてハニカムフィルタを
製した。
比較例4
隔壁厚さW及び通気度κを表1に示すように変
更した以外は実施例3と同様にしてハニカム
ィルタを作製した。
比較例1~4のハニカムフィルタの嵩密度、 力損失及び通気度の測定、並びに溶損の評 を実施例1のハニカムフィルタと同様に行っ た。結果を表1に示す。
また実施例3と比較例4のハニカムフィル のアイソスタティック強度を測定した結果 実施例3のハニカムフィルタに対して比較例4 のハニカムフィルタの強度は約50%であった。
本発明のハニカムフィルタ(実施例1~19)は、 1より分かるように、隔壁の厚さが0.1~0.5 mm あり、125≦L/A 0.5 ≦360及び8≦κ/W≦26.7を満足しているため、圧 力損失が140以下と低い値であった。中でも隔 壁の通気度κが2.0μm 2 以上の実施例1~16及び19のハニカムフィルタは 、圧力損失が138以下と低い値であった。また 実施例2~7及び14のハニカムフィルタは、0.75≦ L/S 0.5 ≦1.2の関係を満足しているため、圧力損失、 体積が小さく特に優れた形状である。
本発明の実施例に比較して、L/A 0.5 の値が125より小さい比較例1のハニカムフィ タは圧力損失が222と大きい。またL/A 0.5 の値が360よりも大きい比較例2のハニカムフ ルタは圧力損失が142と大きく、溶損が確認 れた。隔壁厚さWが0.5より大きい比較例3は、 κ/Wが8.0より小さいため圧力損失も157と大き 。比較例3のハニカムフィルタには溶損は確 されなかったが、微粒子の燃焼のこりが確 された。これは嵩密度が0.7 g/cm 3 と高いことが原因と推定される。κ/Wが26.7よ 大きい比較例4は、前述のようにアイソスタ ティク強度が小さいため実用に適さない。
表1(続き)
実施例20~23
隔壁のピッチP及びフィルタの外径をそれぞ
れ1.4 mm及び190 mmに変更し、流路の長さLを表
2に示す値に変更した以外は実施例8と同様に
てハニカムフィルタを作製した。
実施例20~23のハニカムフィルタの排気ガス 入側端面8側より、微粒子発生器からのカー ン粉(粒径0.042μm)を0.3 g/min(空気流量1 Nm 3 /min)で1時間投入した。その後これらのハニカ ムフィルタに20℃の空気を10 Nm 3 /minの流量で通過させ、上流側と下流側との 圧(圧力損失)を圧力損失測定装置で測定した 。結果を表2に示す。なお圧力損失の値は実 例20の値を100とした相対値で示した。
比較例5~7
流路の長さLを変更した以外は実施例20と同
にしてハニカムフィルタを作製した。
比較例5~7のハニカムフィルタの圧力損失 、実施例20~23と同様にして測定した。結果 表2に示す。なお圧力損失の値は実施例20の を100とした相対値で示した。
実施例20~23及び比較例5~7のハニカムフィ タの長さLと微粒子捕集後の圧力損失の関係 図7に示す。表2及び図7より、ハニカムフィ タの全長Lが140 mm以上の場合には、微粒子 集後の圧力損失の大きさはLの大きさにほと ど影響されないが、ハニカムフィルタの全 Lが140 mmより小さい場合には、Lが小さくな に従い急激に微粒子捕集後の圧力損失が増 した。
注**:圧力損失の値は実施例20の値を100とした
対値で示した。
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