Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
CHEESE AND METHOD FOR PRODUCTION THEREOF
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/108473
Kind Code:
A1
Abstract:
In a pasta filata cheese such as mozzarella cheese, the content of tungstic-acid-soluble nitrogen is adjusted to a predetermined value. In a method for producing a pasta filata cheese, an aged cheese and/or an enzymatically processed cheese is added and kneaded together during the curd kneading process. These enable to produce a cheese which shows a flavor like an aged cheese immediately after the completion of the production without the need of employing any aging process and which has a desired level of stringiness.

Inventors:
SUGIYAMA KAZUNOBU
ITO HIROTO
AIZAWA SHIGERU
Application Number:
PCT/JP2008/054206
Publication Date:
September 12, 2008
Filing Date:
March 07, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
MEIJI DAIRIES CORP (JP)
SUGIYAMA KAZUNOBU
ITO HIROTO
AIZAWA SHIGERU
International Classes:
A23C19/076
Domestic Patent References:
WO2001049123A12001-07-12
Foreign References:
JPH09262054A1997-10-07
JP2006115702A2006-05-11
US20060115569A12006-06-01
JPH0383541A1991-04-09
JPH01148147A1989-06-09
JP2003199493A2003-07-15
JP2000262211A2000-09-26
Attorney, Agent or Firm:
OGURI, Shohei et al. (7-13 Nishi-Shimbashi 1-chom, Minato-ku Tokyo 03, JP)
Download PDF:
Claims:
 ホスホタングステン酸可溶性窒素含量が0.4~4.0mg/gであることを特徴とする熟成チーズの風味を持つパスタフィラータチーズ。
 所定値以上の糸引き性を有することを特徴とする請求項1に熟成チーズの風味を持つパスタフィラータチーズ。
 糸引き性が12cm以上であることを特徴とする請求項1又は2に熟成チーズの風味を持つパスタフィラータチーズ。
 安定剤をチーズ成分に対して0.05~2.5重量%含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のパスタフィラータチーズ。
 熟成チーズの風味を持つパスタフィラータチーズの製造方法であって、pH5.0~5.8のカードを熱水中で混練して、品温50~80℃の可塑性のあるカードとした後、熱水からカードを分離する工程と、当該カードにホスホタングステン酸可溶性窒素含量が所定量以上の熟成チーズ及び/又は酵素処理チーズをカード重量に対し所定の割合で添加・混練する工程と、を有し、チーズ中のホスホタングステン酸可溶性窒素含量が0.4~4.0mg/gであることを特徴とするパスタフィラータチーズの製造方法。
 添加するチーズがホスホタングステン酸可溶性窒素含量が2.0mg/g以上の熟成チーズであって、カード重量に対し1.0~50.0%の割合で添加・混練することを特徴とする請求項5に記載のパスタフィラータチーズの製造方法。
 添加するチーズがホスホタングステン酸可溶性窒素含量が2.0mg/g以上の酵素処理チーズであって、カード重量に対し0.1~20.0%の割合で添加・混練することを特徴とする請求項5に記載のパスタフィラータチーズの製造方法。
 混練工程において、カードと熟成チーズ及び/又は酵素処理チーズの合計重量に対し、安定剤を0.05~2.5%添加することを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載のパスタフィラータチーズの製造方法。
 所定値以上の糸引き性を有することを特徴とする請求項5乃至8のいずれかに記載のパスタフィラータチーズの製造方法。
 糸引き性が12cm以上であることを特徴とする請求項9に記載のパスタフィラータチーズの製造方法。
Description:
チーズ及びその製造方法

 本発明は、主にピザなどに使用するモッ ァレラチーズ等のパスタフィラータチーズ 関する。

 モッツァレラチーズに代表されるパスタ ィラータチーズは、イタリア語の「生地(パ スタ)」と「糸状に裂ける(フィラータ)」とか ら命名されており、加熱することで糸引き状 態となる。パスタフィラータチーズは一般的 に、一旦凝固したカードを熱水中で練り上げ る混練工程に特徴のある製造方法より製造さ れる。この工程を経ることで、生地が弾力の ある繊維状の組織となり、一定温度以上の熱 を加えると伸縮性のある生地、すなわち糸引 き状態を呈する。パスタフィラータチーズに はモッツァレラチーズ以外に、カチョカヴァ ッロ・シラーノ、プロヴォローネ・ヴァルパ ダーナ、カネストラート・プリエーゼ等があ る。このようなパスタフィラータチーズは、 ピザ・グラタンなどのチーズを利用する加工 食品に使用され、加熱調理時に溶解したチー ズによる糸引きを得ることができる。

 しかし例えば、モッツァレラチーズのみ ピザ、グラタンなどにトッピングした場合 良好な糸引きを得ることはできるが、当該 ーズの特性からそのままでは熟成チーズの 味を得ることは困難である。また、上記の うな熱水中での混練という製造工程を経る めに、カード中のレンネットの一部が失活 たり、乳酸菌数が減少したりするために、 成したとしても風味の生成は遅くなってし う。また日数をかけて熟成したとしても、 スタフィラータチーズ特有の糸引き性や独 の食感が失われてしまう。

 現在市場において販売されているピザや ラタン製品(宅配システムにおけるピザを含 む)では、パスタフィラータチーズの持つ糸 き性と熟成チーズ特有の風味の双方を製品 付与するために、例えばシュレッドしたモ ツァレラチーズとシュレッドした熟成チー とを混合して製品にトッピングすることで 応している。具体的には、市販の冷凍ピザ は、ゴーダチーズ、チェダーチーズ、エダ チーズなどの熟成プロセスチーズとモッツ レラチーズとの粉砕物を複数種類混合した 合チーズをピザ生地にトッピングしている しかし、上記の製品においては、その製造 に個々のチーズを粉砕・計量し、更に特定 率にブレンドする必要があり、その作業が 雑であり、経済的に不利となる。

 一方、パスタフィラータチーズに関して 、食品素材、調味料などを均一に混入して 覚の豊富化をすることが検討されている(例 えば、特許文献1,特許文献2)。しかしいずれ 技術においても食品素材を均一にパスタフ ラータチーズに含有させるための添加方法 ついてのみ言及しており、純粋なチーズと て風味の改良については述べられておらず 即ち熟成チーズの風味とパスタフィラータ ーズの十分な糸引き性とを併せ持つパスタ ィラータチーズ及びその製造方法に関して 全く言及されていない。

特開平1-148147号公報

特開平3-83541号公報

 したがって、従来技術によれば、ピザや ラタンなどのトッピングとして糸引き性と 成チーズの風味との双方を有するパスタフ ラータチーズは未だ提供されておらず、ゴ ダチーズ、チェダーチーズ、エダムチーズ どの熟成チーズとモッツァレラチーズ等の スタフィラータチーズとを混合して使用す 以外に解決方法が無く、繁雑な作業を経な ればならないなどの問題点があった。

 即ち、本発明は製造直後で熟成チーズの 味を持ち、且つそれ自身の有する十分な糸 き性を有するモッツァレラチーズを始めと るパスタフィラータチーズを提供すること 目的とする。これにより、特別な熟成期間 経ることなく、モッツァレラチーズ等のパ タフィラータチーズの食感と熟成チーズの 味とが同時に味わえるチーズを提供するこ が可能となった。

 本発明の一態様は、ホスホタングステン 可溶性窒素含量が0.4~4.0mg/gであることを特 とする熟成チーズの風味を持つパスタフィ ータチーズである。

 本発明のパスタフィラータチーズは所定 以上の糸引き性を有することが好ましい。 らに糸引き性が12cm以上であることが好まし い。

 本発明のパスタフィラータチーズは、必 な場合に、安定剤をチーズ成分に対して0.05 ~2.5重量%含有することが好ましい。

 また、本発明の別の態様は、熟成チーズ 風味を持つパスタフィラータチーズの製造 法である。本発明の製造方法は、pH5.0~5.8の ードを熱水中で混練して、品温50~80℃の可 性のあるカードとした後、熱水からカード 分離する工程と、当該カードにホスホタン ステン酸可溶性窒素含量が所定量以上の熟 チーズ及び/又は酵素処理チーズをカード重 に対し所定の割合で添加・混練する工程と 経ることにより、チーズ中のホスホタング テン酸可溶性窒素含量が0.4~4.0mg/gであるパ タフィラータチーズを製造することが出来 。

 上記製造方法においては、添加するチー としてはホスホタングステン酸可溶性窒素 量が2.0mg/g以上の熟成チーズであって、カー ド重量に対し1.0~50.0%の割合で添加・混練する ことが好ましい。

 あるいは、上記製造方法においては、添 するチーズとしてはホスホタングステン酸 溶性窒素含量が2.0mg/g以上の酵素処理チーズ であって、カード重量に対し0.1~20.0%の割合で 添加・混練することが好ましい。

 なお、上記製造方法における混練工程に いて、必要な場合に、カードと熟成チーズ び/又は酵素処理チーズの合計重量に対し、 安定剤を0.05~0.5%添加することが好ましい。

 本発明の製造方法によるパスタフィラー チーズは所定値以上の糸引き性を有するこ が好ましい。さらに糸引き性が12cm以上であ ることが好ましい。

 本発明によれば、ピザ、グラタンなどの ーズトッピングを施す食品に最適な、良好 糸引き性を有し、且つ熟成チーズの風味を せ持つモッツァレラチーズを始めとするパ タフィラータチーズを提供することができ 。

 以下、本発明を詳細に説明するが、本発 は以下に述べる個々の形態には限定されな 。

 本発明におけるパスタフィラータチーズ 、一般的に、一旦凝固したカードを熱水中 の練り上げ工程を経ることで、生地が弾力 ある繊維状の組織となり、一定温度以上の を加えると伸縮性のある生地、すなわち糸 き状態を呈するチーズの総称である。本発 によるパスタフィラータチーズは、その組 及び製造方法に特徴があり、特定のパスタ ィラータチーズ(モッツァレラチーズ、カチ ョカヴァッロ・シラーノ、プロヴォローネ・ ヴァルパダーナ、カネストラート・プリエー ゼ等)のうちの特定のチーズには限定されな 。しかし、熟成したパスタフィラータチー の糸引き性は著しく低下してしまうために ましくない。

 本発明によるパスタフィラータチーズの スホタングステン酸(以下PTAと略称する)可 性窒素含量は0.4~4.0mg/gであり、好ましくは0.4 ~2.0mg/gである。PTA可溶性窒素含量がこの範囲 ある場合に、本発明のパスタフィラータチ ズは、その糸引き性を呈すると同時に、熟 チーズの風味を呈することになる。

 本発明のパスタフィラータチーズは、上 課題を解決するため、その製造工程に混練 程があることに着目し、チーズカードに、 ーダチーズ、チェダーチーズ、エダムチー 等の熟成チーズや酵素処理チーズを混練時 加えることで、製造直後でも熟成チーズの クのある風味をもつチーズを提供すること できる。

 本発明のパスタフィラータチーズの製造方 は、主に以下の工程からなる。
 pH5.0~5.8のパスタフィラータチーズカードを 水中で混練して、品温50~80℃の可塑性のあ カードとした後、熱水からカードを分離し
 熱水から分離したカードにPTA可溶性窒素含 が所定量以上の熟成チーズ及び/又は酵素処 理チーズをカード重量に対し所定の割合で添 加・混練する工程を有する製造方法である。

 なお、上記のカードについては、その製 方法に得に制約はなく、パスタフィラータ ーズ製造の常法に従って得られるものを用 ることができる。

 熟成チーズ及び/又は酵素処理チーズの添 加・混練工程においては、品温を先の工程と 同じ程度に維持することが好ましい。品温を 50~80℃に保持することで、可塑性を保つこと できる。可塑性を保つことで、混練により 成チーズ及び/又は酵素分解チーズを均一に 分散させることができる。従って、ここで用 いる混練機等の混練手段としては、ジャケッ ト等の保温機能のついたものであることが好 ましい。

 本発明における「熱水」とは、60~90℃に 温した水であり、水の種類は、通常食品製 過程において使用される水(飲用に適する水) が用いられる。また、本発明における「可塑 性」とは、一定の形状は保つが、ある程度以 上の負荷をかけることで容易にその形状が変 化し、負荷を取り除いてもそのひずみがその まま残る性質をいう。

 本発明において添加するチーズが熟成チ ズである場合には、熟成チーズのPTA可溶性 素含量は2.0mg/g、好ましくは2.0~4.0mg/gである この熟成チーズをカード重量に対して1.0~50. 0%、好ましくは20.0~50.0%添加する。これにより 製造直後に得られるパスタフィラータチーズ のPTA可溶性窒素含量が0.4~4.0mg/g、好ましくは0 .4~2.0mg/gとなる。

 本発明において添加する熟成チーズとは 通常市場において流通しているゴーダチー 、チェダーチーズ、エダムチーズなどの熟 チーズであってよい。

 また、添加するチーズが酵素処理チーズ ある場合には、酵素処理チーズのPTA可溶性 素含量は2.0mg/g、好ましくは10.0~20.0mg/gであ 。この酵素処理チーズをカード重量に対し 0.1~20.0%、好ましくは4.0~10.0%添加する。これ より製造直後に得られるパスタフィラータ ーズのPTA可溶性窒素含量が0.4~4.0mg/g、好まし くは0.4~2.0mg/gとなる。

 本発明において添加する酵素処理チーズ は、未熟成のチーズを粉砕し、水を加えて ラリー状にした原料に、プロテアーゼ、リ ーセなどの各種酵素を作用させてチーズの 成風味を短期間で実現させたものである。 該技術分野において一般的に加工食品・菓 などにチーズ風味を付与する目的で使用さ るものを本発明に用いることができる。

 本発明において用いられるPTA可溶性窒素 は、タンパク質が酵素によって分解される とで生成された分子量約600以下の短鎖ペプ ド、アミノ酸に含まれる窒素を定量化した のであって、熟成の進行と共に増加する。 れらの短鎖ペプチドやアミノ酸は熟成チー のコクのある風味に寄与しているために、P TA可溶性窒素は熟成度合いの指標となる。

 なおPTA可溶性窒素は以下の方法によって測 し、得られた値がチーズ1g当たりのアミノ 窒素となる。
(1) 試料25gを温湯150mlに溶解する。
(2) 40%ホルマリン数滴を溶液に加え、50℃で2 間振とうする。
(3) 生じた脂肪層を除き、残った溶液を遠心 離にかける(3000rpm、5分間)。
(4) 上澄み液を目の細かい綿布で濾過し、濾 を250mlメスフラスコに移す。また、遠沈管 び沈殿を少量の温湯で洗って、遠心分離・ 過を繰り返し、濾液と合わせる。
(5) 濾液に水を加えて250mlに定容後、溶液を50 ml採取する。
(6) 採取した溶液に、25%硫酸30ml、水10ml、19%PT A水溶液10mlを加え、24時間、室温で放置する
(7) 溶液をNo.5Bの濾紙で濾過する。
(8) 濾液20mlを取り窒素を定量する(ケルダー 法)。

 本発明によるパスタフィラータチーズは、 定の糸引き性を呈することが好ましく、特 12cm以上であることが好ましい。たとえばパ スタフィラータチーズは熟成工程を経ること でPTA可溶性窒素含量が増加し、その結果、熟 成チーズの風味を有することになる。しかし この場合には糸引き性が著しく低下してしま い、本発明の目的とする所望の糸引き性をピ ザなどのチーズ使用製品に付与することが出 来ない。従って本発明によるパスタフィラー タチーズは、従来品と比較して、熟成風味が する割には糸引き性が強いものになる。
 本発明によるパスタフィラータチーズの糸 き性は以下の方法により測定した値である
(1)シュレッドしたチーズ約30gをアルミホイル にのせ、オーブントースターで約3分加熱す 。
(2)30秒間静置した後、フォークで溶けたチー をかき混ぜ上方に引っ張る。
(3)引っ張りの動作を糸を引いたチーズが切れ るまで行い、糸が切れた時の距離(チーズの 引き長さ)を測定する。この距離(cm)を糸引き 性として評価する。
 本発明のパスタフィラータチーズは、上記 法により12~90cm、好ましくは30~70cmの糸引き を有する。一方、熟成したパスタフィラー チーズの糸引き性は、10cm以下まで低下して まうため好ましくない。

 尚、パスタフィラータチーズは、製造工 中、特にカード混練時に脂肪が分離するこ がある。本発明の場合、熟成チーズの種類 熟度、酵素分解チーズの種類によってはさ に脂肪分離の可能性は高くなる。したがっ 本発明においては、必要に応じて脂肪分離 低減するために安定剤を添加することが好 しい。本発明において用いられる安定剤と ては、これらには限定されないが、ローカ トビーンガム、キサンタンガム、グアガム タラガム、ペクチン、カラギーナン、カル キシメチルセルロース、澱粉(化工澱粉を含 む)、ゼラチン、アラビアガム、ナトリウム ゼイン、卵白などが挙げられる。安定剤を 加するには、直接あるいは水溶液として添 することができる。特に水溶液として添加 るとより確実な効果が得られる。安定剤の 加量としてはカードと熟成チーズ及び/又は 素処理チーズの合計重量に対し、0.05~2.5%、 ましくは0.05~1.0%である。

 本発明のチーズは、熟成チーズの風味と スタフィラータチーズの糸引き性を併せ持 ており、ピザ・グラタン等の加熱調理食品 利用できる。また、パスタフィラータチー のミルキーな風味と熟成チーズのコクのあ 風味を併せ持っていることから、そのまま 食しても美味なチーズである。

 以下、本発明を実施例を挙げて説明する 、本発明はこれにより限定されるものでは い。なお、本明細書において%表示は明示し ない場合には重量%を示す。

 まず、乳を原料として従来のパスタフィ ータチーズの製造方法に従ってpH5.0~5.8のカ ドを調整する。得られたカードを細断し混 機内に入れ、熱水中(60~90℃)で混練する。品 温が50~80℃の可塑性のあるカードを調整した 、混練機内の熱水を排水する。カードに食 を添加した後、続いて所定PTA可溶性窒素含 の熟成チーズ及び/又は酵素分解チーズの所 定量を添加して、品温を50~80℃に保持しなが 更に混練する。上記の方法で得られたカー は、目的とする製品の大きさ・形に応じて 形し、更に20%食塩水中に浸漬し、製品とす 。

 次に、より具体的な本発明によるパスタ ィラータチーズと比較のチーズとを製造し それぞれについてその特性を調べた。

[試験例1]
 常法に従って、モッツァレラチーズのカー を調製した。カードは、短冊状に細断し、7 0℃の熱水が入った混練機で混練し、可塑性 ある60℃のカードを作成した。混練機から熱 水を排水した後、対カード重量比0.75%の食塩 添加し、さらに混練した。次いで、約3mm×5m m×50mmのサイズにシュレッドした熟成6ヶ月、P TA可溶性窒素含量が3.4mg/gのゴーダチーズを添 加し混練した。ゴーダチーズを混合したカー ドは、100mm×100mm×250mmのサイズに成形し、冷 中で1時間冷却後、4℃の20%食塩水に3時間浸 した。浸漬終了後のカードは、真空包装し 冷蔵保管した。なお、ゴーダチーズの添加 は、対カード重量比で20%、40%添加し、それ れを実施例1,実施例2とした。また無添加の のを製造し、比較例1とした。

 作成した実施例1,2及び比較例1の試作チー ズに関して、PTA可溶性窒素含量の測定を先述 した方法に基づいて行った。

 また、実施例1,2及び比較例1の試作チーズの 糸引き性について評価を行った。評価方法は 、以下の通りである。
(1)シュレッドしたチーズ約30gをアルミホイル にのせ、オーブントースターで約3分加熱す 。
(2)30秒間静置した後、フォークで溶けたチー をかき混ぜ、上方に引っ張る。
(3)引っ張りの動作を、糸を引いたチーズが切 れるまで行い、糸が切れた時の距離(チーズ 糸引き長さ)を測定する。この距離(cm)を糸引 き性として評価した。

 また、実施例1,2及び比較例1の「熟成チーズ の風味」について評価を行った。評価は、訓 練された専門パネラー10名により各チーズに ける「熟成チーズの風味」について評価を った。評価基準は、以下の通りである。
 1点:熟成チーズの風味がない
 2点:熟成チーズの風味がわずかにある
 3点:熟成チーズの風味がある
 4点:熟成チーズの風味がやや強い
 5点:熟成チーズの風味が強い

 PTA可溶性窒素含量、「熟成チーズの風味 評価、糸引き性のそれぞれの結果を表1に示 す。

 比較例1はPTA可溶性窒素含量が低く、これ に対して実施例1,2は、PTA可溶性窒素含量が高 くなっている。PTA可溶性窒素含量は、分子量 600以下のアミノ酸、ペプチド中の窒素分を示 す指標であり、これらの成分が旨味を始めと する熟成チーズの風味を呈する。すなわち、 実施例1,2では、ゴーダチーズ由来の呈味成分 が製造直後のモッツァレラチーズに付与され たと言える。官能評価においては、比較例1 、「熟成チーズの風味」がわずかである。 方、実施例1,2は、「熟成チーズの風味」を していた。糸引き性の評価では、実施例1,2 比較例1同等の良好な糸引き性を示した。

[試験例2]
 常法に従って、モッツァレラチーズのカー を調製した。カードは、短冊状に細断し、7 0℃の熱水が入った混練機で混練し、可塑性 ある60℃のカードを作成した。混練機から熱 水を排水した後、対カード重量比0.75%の食塩 添加し、さらに混練した。次いで、PTA可溶 窒素含量が17mg/gの酵素分解チーズを混練し 。酵素処理チーズを混合したカードは、100m m×100mm×250mmのサイズに成形し、冷水中で1時 冷却後、4℃で20%食塩水に3時間浸漬した。チ ーズの食塩含量は1.5%となった。浸漬終了後 カードは、真空包装し、冷蔵保管した。
 なお、酵素処理チーズの添加量は、対カー 重量比で4%、8%添加し、それぞれを実施例3, 施例4とした。また無添加のものを製造し、 比較例2とした。

 作成した実施例3,4及び比較例2の試作チー ズに関して、PTA可溶性窒素含量、糸引き性の 測定と、熟成チーズの風味についての評価を 、試験例1と同様の方法により行った。

 PTA可溶性窒素含量、「熟成チーズの風味 評価、糸引き性のそれぞれの結果を表2に示 す。

 比較例2はPTA可溶性窒素含量が低く、これ に対して実施例3,4はPTA可溶性窒素含量が高く なっていた。官能評価においては、比較例2 、「熟成チーズの風味」がわずかである。 方、実施例3,4は十分な「熟成チーズの風味 を呈していた。糸引き性の評価では、実施 3,4は比較例2同等の良好な糸引き性を示した

[試験例3]
 常法に従って、モッツァレラチーズのカー を調製した。カードは、短冊状に細断し、7 0℃の熱水が入った混練機で混練し、可塑性 ある60℃のカードを作成した。混練機から熱 水を排水した後、対カード重量比0.75%の食塩 添加し、さらに混練した。次いで、約3mm×5m m×50mmのサイズにシュレッドした熟成6ヶ月の ーダチーズを対カード重量比で20%添加し混 した。また、安定剤であるローカストビー ガムをカード・熟成チーズの合計重量比で0 .075%、0.15%添加した試作チーズを作成した。
 安定剤0.075%、0.15%添加の試料をそれぞれ実 例5,6とした。また安定剤を添加していない のを製造し、比較例3とした。
 なお、本試験例において使用したローカス ビーンガムは、3.0%のローカストビーンガム 水溶液を作製し、カード・熟成チーズの合計 重量に対して所定量の濃度になるよう添加し た。

 上記製造過程における混練工程の脂肪歩留 りを測定し表3に示した。尚、混練工程にお ける脂肪歩留まりは以下の式(1)により求めた 。












 安定剤の添加により、脂肪歩留まりの低下 防ぐことができ、向上が認められた。
 本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照 て説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱 ることなく様々な変更や修正を加えること できることは当業者にとって明らかである
 本出願は、2007年3月8日出願の日本特許出願( 特願2007-058815)に基づくものであり、その内容 はここに参照として取り込まれる。また、こ こに引用されるすべての参照は全体として取 り込まれる。

 本発明により、製造直後で熟成チーズの 味を持ち、且つそれ自身の有する糸引き性 損なわずに有するモッツァレラチーズを始 とするパスタフィラータチーズを提供する とが可能となった。