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Title:
CHEMICAL SUBSTANCE SENSING ELEMENT, CHEMICAL SUBSTANCE SENSING APPARATUS, AND PROCESS FOR PRODUCING CHEMICAL SUBSTANCE SENSING ELEMENT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/108371
Kind Code:
A1
Abstract:
This invention provides a chemical substance sensing element (142) for detecting a specific chemical substance contained in biological information. The chemical substance sensing element (142) is formed of a carbon nanostructure and exhibits a substance selecting capability and a high sensitivity by virtue of a metal complex or a fluorescent molecule which modifies the surface of the structure. In substances which modify onto the surface of the carbon nanostructure, CoPc is reacted with NO and pentane in components contained in the biological information, and DAF-2 is reacted with NO. In both the above cases, respective reaction products are produced. The CoPc-derived reaction product changes electrical resistance between contact points (154, 156), and the DAF-2-derived reaction product produces fluorescence with a specific wavelength upon exposure to excitation light. Accordingly, sensing NO or pentane is possible by determining a change in electrical resistance of this element, or whether or not the fluorescence is present, and measuring wavelength.

Inventors:
YAMANAKA MIKIHIRO
MATSUI NORIE
HARA KEITA
KUDO JUN
TAKAO KATSUTOSHI
NISHIURA SHUHJI
MURASHI YASUAKI
KAWATA TOMOHISA
Application Number:
PCT/JP2008/053867
Publication Date:
September 12, 2008
Filing Date:
March 04, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SHARP KK (JP)
YAMANAKA MIKIHIRO
MATSUI NORIE
HARA KEITA
KUDO JUN
TAKAO KATSUTOSHI
NISHIURA SHUHJI
MURASHI YASUAKI
KAWATA TOMOHISA
International Classes:
G01N27/04; G01N21/64; G01N21/78; G01N27/12
Domestic Patent References:
WO2006134942A12006-12-21
WO2005040755A22005-05-06
Foreign References:
JP2004028798A2004-01-29
Other References:
XING-JIU HUANG ET AL.: "Ferrocene Functionalized Single-Walled Carbon Nanotube Bundles. Hybrid Interdigitated Construction Film for L-Glutamate Detection", J.PHYS.CHEM., vol. 111, 25 January 2007 (2007-01-25), pages 1200 - 1206, XP055354510
JIAN-SHAN YE ET AL.: "Electrochemical Biosensing Platforms Using Phthalocyanine-Functionalized Carbon Nanotube Electrode", ELECTROANALYSIS, vol. 17, no. 1, January 2005 (2005-01-01), pages 89 - 96, XP055354528
JACOB N.WOHLSTADTER: "Carbon Nanotube-Based Biosensor", ADVANCED MATERIALS, vol. 15, no. 14, 19 August 2003 (2003-08-19), pages 1184 - 1187, XP055354532
HEE CHEUL CHOI ET AL.: "Carbon nanotube platform for fluorescence based biosensor systems", PROCEEDINGS OF SPIE, NANOSENSING: MATERIALS AND DEVICES II, vol. 6008, 2005, pages 600804.1 - 600804.7, XP055354629
ZHENYU SUN ET AL.: "Synthesis of Zr02-Carbon Nanotube Composites and Their Application as Chemiluminescent Sensor Material for Ethanol", J.PHYS.CHEM.B, vol. 110, no. 27, 20 June 2006 (2006-06-20), pages 13410 - 13414, XP055344347
Attorney, Agent or Firm:
SHIMIZU, Satoshi (Dojima Axis Building 2-28, Dojima-hama 2-chome, Kita-ku, Osaka-sh, Osaka 04, JP)
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Claims:
 金属錯体又はその誘導体により表面修飾された、導電性を有するセンシング用基体を含む、特定化学物質を検出するための化学物質センシング素子。
 前記センシング用基体はカーボンナノ構造体を含む、請求項1に記載の化学物質センシング素子。
 前記金属錯体は金属フタロシアニン類からなる、請求項1に記載の化学物質センシング素子。
 前記特定化学物質は、一酸化窒素及びペンタンからなるグループから選択される、請求項1に記載の化学物質センシング素子。
 特定化学物質と選択的に結合可能で、結合による生成物が励起光に対して特定の波長の蛍光を発生する蛍光分子により表面修飾されたセンシング用基体を含む、特定化学物質を検出するための化学物質センシング素子。
 前記センシング用基体はカーボンナノ構造体を含む、請求項5に記載の化学物質センシング素子。
 前記蛍光分子はジアミノフルオレセイン-2(Diaminofluorescein-2)からなる、請求項5に記載の化学物質センシング素子。
 前記特定化学物質は一酸化窒素である、請求項5に記載の化学物質センシング素子。
 前記蛍光分子は2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(2,4-Dinitrophenylhydrazine)からなる、請求項5に記載の化学物質センシング素子。
 前記特定化学物質はアセトンである、請求項5に記載の化学物質センシング素子。
 金属錯体又はその誘導体、及び蛍光分子により表面修飾された、導電性を有するセンシング用基体を含む、特定化学物質を検出するための化学物質センシング素子であって、
 前記蛍光分子は、特定化学物質と選択的に結合可能で、結合による生成物が励起光に対して特定の波長の蛍光を発生する、化学物質センシング素子。
 前記センシング用基体はカーボンナノ構造体を含む、請求項11に記載の化学物質センシング素子。
 前記金属錯体は金属フタロシアニン類からなる、請求項11に記載の化学物質センシング素子。
 前記蛍光分子はジアミノフルオレセイン-2からなる、請求項11に記載の化学物質センシング素子。
 特定化学物質を検出するための化学物質センシング素子であって、
 第1の蛍光分子により表面修飾された第1のセンシング用基体を含む第1のセンシング素子と、
 前記第1の蛍光分子と異なる第2の蛍光分子により表面修飾された第2のセンシング用基体を含む第2のセンシング素子とを含む、化学物質センシング素子。
 前記第1及び第2のセンシング用基体は、カーボンナノ構造体を含む、請求項15に記載の化学物質センシング素子。
 前記蛍光分子は、ジアミノフルオレセイン-2及び2,4-ジニトロフェニルヒドラジンからなるグループから選択される、請求項15に記載の化学物質センシング素子。
 金属錯体又はその誘導体により表面修飾された導電性のセンシング用基体を含む化学物質センシング素子と、
 前記化学物質センシング素子に電気的に結合され、前記化学物質センシング素子の電気抵抗の変化を検出するための検出手段とを含む、化学物質センシング装置。
 前記センシング用基体はカーボンナノ構造体を含む、請求項18に記載の化学物質センシング装置。
 前記金属錯体は金属フタロシアニン類からなる、請求項18に記載の化学物質センシング装置。
 前記化学物質センシング装置は、さらに、前記化学物質センシング素子を加熱、光照射又は真空引きするための手段を含み、それにより、前記化学物質センシング素子表面に吸着された物質が実質的に除去される、請求項18に記載の化学物質センシング装置。
 特定化学物質と選択的に結合可能で、結合による生成物が励起光に対して特定の波長の蛍光を発生する蛍光分子により表面修飾されたセンシング用基体を含む化学物質センシング素子と、
 前記励起光に起因して前記化学物質センシング素子に結合した前記蛍光分子から発生する蛍光を検出可能なように設置された蛍光検出手段と、
 前記蛍光検出手段に接続され、前記特定の波長の蛍光の有無を判定するための判定手段とを含む、化学物質センシング装置。
 前記化学物質センシング素子に対し、その発光する光を照射可能な位置に設置された、前記蛍光分子の励起光を照射するための発光手段をさらに含む、請求項22に記載の化学物質センシング装置。
 前記センシング用基体はカーボンナノ構造体を含む、請求項22に記載の化学物質センシング装置。
 前記蛍光分子は、ジアミノフルオレセイン-2及び2,4-ジニトロフェニルヒドラジンからなるグループから選択される、請求項22に記載の化学物質センシング装置。
 前記化学物質センシング装置は、さらに、前記化学物質センシング素子を加熱、光照射又は真空引きするための手段を含み、それにより、前記化学物質センシング素子表面に吸着された物質が実質的に除去される、請求項22に記載の化学物質センシング装置。
 金属錯体又はその誘導体、及び蛍光分子により表面修飾された、導電性を有するセンシング用基体を含む、特定化学物質を検出するための化学物質センシング素子と、
 前記化学物質センシング素子に電気的に結合され、前記化学物質センシング素子の電気抵抗の変化を検出するための検出手段と、
 励起光に起因して前記化学物質センシング素子に結合した前記蛍光分子から発生する蛍光を検出可能なように設置された蛍光検出手段と、
 前記蛍光検出手段に接続され、前記特定の波長の蛍光の有無を判定するための判定手段とを含む、化学物質センシング装置であって、
 前記蛍光分子は、特定化学物質と選択的に結合可能で、結合による生成物が前記励起光に対して特定の波長の蛍光を発生する、化学物質センシング装置。
 前記化学物質センシング素子にその発光する光を照射可能な位置に設置された、前記蛍光分子のための前記励起光を照射するための発光手段をさらに含む、請求項27に記載の化学物質センシング装置。
 前記センシング用基体はカーボンナノ構造体を含む、請求項27に記載の化学物質センシング装置。
 前記金属錯体は金属フタロシアニン類からなる、請求項27に記載の化学物質センシング装置。
 前記蛍光分子はジアミノフルオレセイン-2からなる、請求項27に記載の化学物質センシング装置。
 前記化学物質センシング装置は、さらに、前記化学物質センシング素子を加熱、光照射又は真空引きするための手段を含み、それにより、前記化学物質センシング素子表面に吸着された物質が実質的に除去される、請求項27に記載の化学物質センシング装置。
 金属錯体又はその誘導体により表面修飾された、導電性を有するセンシング用基体を含む、第1の化学物質センシング素子と、
 蛍光分子により表面修飾された、導電性を有するセンシング用基体を含む、第2の化学物質センシング素子と、
 前記第1の化学物質センシング素子に電気的に結合され、前記第1の化学物質センシング素子の電気抵抗の変化を検出するための検出手段と、
 励起光に起因して前記第2の化学物質センシング素子に結合した前記蛍光分子から発生する蛍光を検出可能なように設置された蛍光検出手段と、
 前記蛍光検出手段に接続され、特定の波長の蛍光の有無を判定するための判定手段とを含む、特定化学物質を検出するための、化学物質センシング装置であって、
 前記蛍光分子は、特定化学物質と選択的に結合可能で、結合による生成物が前記励起光に対して前記特定の波長の蛍光を発生する、装置。
 前記第2の化学物質センシング素子に対し、その発光する光を照射可能な位置に設置された、前記蛍光分子の前記励起光を照射するための発光手段をさらに含む、請求項33に記載の化学物質センシング装置。
前記センシング用基体はカーボンナノ構造体を含む、請求項33に記載の化学物質センシング装置。
 前記金属錯体は金属フタロシアニン類からなる、請求項33に記載の化学物質センシング装置。
 前記蛍光分子はジアミノフルオレセイン-2からなる、請求項33に記載の化学物質センシング装置。
 前記化学物質センシング装置は、さらに、前記化学物質センシング素子を加熱、光照射又は真空引きするための手段を含み、それにより、前記化学物質センシング素子表面に吸着された物質が実質的に除去される、請求項33に記載の化学物質センシング装置。
 特定化学物質を検出するための、化学物質センシング素子の製造方法であって、
 導電性のセンシング用基体を平面上に作製するステップと、
 金属錯体又はその誘導体、及び蛍光分子を含む溶液を、前記作製されたセンシング用基体に滴下するステップと、
 前記平面上の前記センシング用基体の前記蛍光分子を含む溶液が滴下された領域において、前記センシング用基体と他の部位との間に所定の電圧をかけるステップとを含み、
 前記蛍光分子は、特定化学物質と選択的に結合可能で、結合による生成物が励起光に対して特定の波長の蛍光を発生する、分子であって
 前記方法により、前記センシング用基体が前記金属錯体又はその誘導体、及び蛍光分子により実質的に均一に表面修飾される、方法。
 前記導電性のセンシング用基体は、カーボンナノ構造体を含む、請求項39に記載の方法。
Description:
化学物質センシング素子、化学 質センシング装置、及び化学物質センシン 素子の製造方法

 この発明は、人間の健康状態を調べるた に、気体及び液体の生体試料中の化学物質 センシングするための素子に関し、特に、 ーボンナノチューブ、カーボンナノファイ ーを含むナノ構造よりなる炭素同位体(以下 「カーボンナノ構造体」と呼ぶ。)を利用し センシング素子のセンシング対象ガスに対 る選択性とその感度とを改善する技術に関 る。

 現代の日本は高齢化社会を迎えている。 れに伴い、医療費が増大し、医療保険制度 健全な運営が難しくなっている。こうした 題及びその他の関連する問題に起因して、 会における健康管理及び疾病予防への関心 高まっており、病気になってから治療する ではなく、病気になることを予防すること 重点が置かれた社会(これをここでは「医療 予防社会」と呼ぶ。)の実現が待ち望まれて る。

 こうした目的を達成する為には、個人で 軽に且つ迅速に健康状態をチェックできる ステムが必要である。個人の健康状態を把 するために容易にサンプリングできる生体 報としては、血液、尿、汗、唾液、呼気等 ある。これらの構成成分のうち、ある特定 物質は、体調不良、将来疾病になる可能性 高い何かの兆候、及び既に患っている疾病 起因して、発生したり、その量が変化した する場合があり、その変化を知ることで個 の健康状態を把握できる可能性が高い。こ ような物質をマーカーと呼ぶ。マーカーの ニタリングが、健康管理や疾病の早期発見 早期治療に役立つ。

 非特許文献1には疾病とマーカーとの関係 が示されている。テーブル1にこの一部を引 する。

 生体情報のうち、呼気は、肺の中において 細血管中の血液と薄膜を隔てて近接して存 するため、その中には特にマーカーを多く んでいる。加えて、サンプリングが最も簡 である為、モニタリングには最も有用な生 情報である。

 これら呼気中マーカーのモニタリング法と て、ガスセンシング素子を挙げることがで る。従来技術では酸化錫を用いた酸化物半 体ガスセンサが知られているが、その感度 検出下限が~10 3 ppmレベルで、さらに、試料を約300度に加熱す る必要がある。呼気マーカーモニタリングに 対しては、非特許文献1によると検出下限がpp bレベルの高感度が必要なことと、呼気は加 すると変化してしまう恐れが高いため非侵 な方法が望まれていることとにより、酸化 半導体ガスセンサは不適切である。社会的 ーズを満足させるためには、さらなる高性 化が必要である。

 この問題を解決するための一方法として 後述する非特許文献2には、近年発見された カーボンナノチューブ(Carbon Nano Tube。以下 CNT」と呼ぶ。)からなるガスセンサが提案さ ている。

 CNTは直径がナノオーダーのチューブ状炭 材料である。6つの炭素原子が正六角形の板 状構造を形成して結合した結晶構造はグラフ ァイト構造と言われる。このグラファイト構 造が、二次元に連続するとグラフェンシート と呼ばれる。CNTは、このグラフェンシートを 円筒状に丸めた構造によりなる。CNTは非常に 安定な構造で、その内部ではπ電子結合に基 く高速な電子移動を許容する導電性を示し 構造によっては金属線よりも優れた導体と ることが知られている。

 非特許文献2によれば、CNTに化学物質分子 が付着すると、電子移動が起こり起電力が発 生する。言い換えれば、CNTの2点間に、電位 、又は、電気抵抗の変化が生じる。この電 抵抗の変化を検出すれば、化学物質のセン ングが可能となる。さらに、CNTの形状がナ オーダーの微細構造であることから、応答 及び検出下限に大幅な改善が期待できる。 なわち、当該特定化学物質がCNT表面に吸着 てからCNTの電気抵抗変化が発生するまでの 間は、CNTの導電性及びナノ構造に起因して 前述した従来のセンシング素子に比べて非 に短い。さらに、CNTは、その表面積が大き ことと、すべての原子が表面を構成する、 の構造とにより、物質吸着の影響が電気抵 変化へ反映される際の電子散乱等による損 が少ない。そのためCNTによれば、従来のセ シング素子では困難な、微量の特定化学物 の吸着と、その存在確認とが可能になると えられる。

 さらに、CNTのナノ構造により、CNTを利用 た化学物質センシング素子は、超小型、低 費電力、ポータブルを実現し、個人の簡単 健康チェック手段として最適である。

 一般的なCNTを利用したセンサとしては、特 文献1に記載の様なものが知られている。し かし、前述した生体情報に含まれるマーカー のモニタリングに関する記載は無く、また、 その感度についても詳細は明確に記載されて いない。
ウェンチン・ツァオ他、「呼気分析:臨 診断及び曝露評価の可能性」、クリニカル ケミストリ、第52巻:5、p.800-811、2006年(Wenqing Cao et al.、“Breath Analysis:Potential for Clinical  Diagnosis and Exposure Assessment”、Clinical Chemis try、vol.52:5、p.800-811、2006) 齋藤理一郎、「カーボンナノチューブの 概要と課題」、機能材料、vol.21、No.5、p6-14、 2001年5月号

特表2003-517604号公報

 以上述べたように、CNTを利用したセンシ グ技術は、ガス中のマーカーとなる特定化 物質をセンスするためのものとして有望で る。しかし、非特許文献2に示されたセンシ ング技術は、センシング対象物質に対する選 択性がないと考えられる。これは、以下のよ うに実験により確認された。

 本願発明者は、非特許文献2に開示された 技術により、特定化学物質に対する選択性が 得られるか否かを確認するために、以下のよ うな実験を行なった。実験では、自然界に存 在するN2ガスと、トルエンガスとを、それぞ 非特許文献2に示された技術による化学物質 センシング素子に吸着させ、その電気抵抗変 化を測定した。その結果、いずれの場合も、 吸着ガスの無い場合と比べて差異が認められ 、何らかの物質の存在を確認することができ た。しかし、N2ガスとトルエンガスとの間に 電気抵抗変化の明確な差異は認められなか た。

 つまり、非特許文献2に開示された技術を 用いたセンサには、センシング対象物質に対 する選択性がないと考えられる。そのため、 雰囲気中の物質の存在を確認することは可能 であるが、「存在する物質が何か」を知るた めの定性分析ができない。したがって、マー カーの検出についてはその利用価値はほとん どないと考えられる。

 また、特許文献1に示されたセンシング技 術は、マーカーのモニタリングに対応してお らず、その性能の程度は不明である。

 したがって本発明の目的は、生体情報に まれるマーカーに対して、マーカー選択性 、高い性能とを有する化学物質センシング 子とその製造方法、及びそうした化学物質 ンシング素子を用いた化学物質センシング 置を提供することである。

 本発明の他の目的は、生体情報に含まれ マーカーに対して、マーカー選択性と、高 性能とを有する、カーボンナノ構造体を含 化学物質センシング素子とその製造方法、 びそうした化学物質センシング素子を用い 化学物質センシング装置を提供することで る。

 本発明の第1の局面に係る化学物質センシ ング素子は、金属錯体又はその誘導体により 表面修飾された導電性を有するセンシング用 基体を含み、特定化学物質を検出することを 特徴とする。

 好ましくは、センシング用基体はカーボ ナノ構造体を含む。

 この化学物質センシング素子においては センシング対象ガスを吸着させる部分とし 、CNTに比べ簡易に製造可能なカーボンナノ 造体を含む。本願発明者は、非特許文献1に 記載の技術を、カーボンナノ構造であればCNT に限定せず、そのいずれにも適用できると考 える。なぜなら、前述した技術は、カーボン ナノ構造の特徴である、導電性及びナノ構造 を利用しているためである。加えて、このカ ーボンナノ構造体は、その表面を金属錯体又 はその誘導体により修飾されており、以下の 理由により、物質選択性を有すると考える。 すなわち、修飾のないカーボンナノ構造体は 非常に安定な結合状態で電気的に分極してい ないが、金属錯体又はその誘導体による修飾 のあるカーボンナノ構造体は、修飾基が分極 しており、その電気的特性により特定の物質 のみを表面に吸着する。また、吸着した際、 ガスの種類に起因する結合状態や電荷の状態 の違いを、修飾ありの場合は、なしの場合よ り大きく反映した挙動を示し、これがカーボ ンナノ構造体の電気抵抗の変化に影響し、ガ ス選択性を持ち得る。さらに、金属錯体又は その誘導体による修飾により、カーボンナノ 構造体からなる化学物質センシング素子は、 その感度を向上する。なぜなら、その立体構 造を考えると、修飾ありのものは前述のグラ フェンシートを変形したカーボンナノ構造体 のそれぞれに、側鎖的に金属錯体又はその誘 導体の置換基が付与されていると考えられ、 置換基周辺にはガス吸着を許容する空間があ るが、修飾なしのものはその構造により制約 を受けるためである。

 本化学物質センシング素子は、従来技術 は困難であった、生体情報に含まれる特定 学物質を、高い感度で検出可能である。す わち、本素子により、生体情報に含まれる ーカーに対して、マーカー選択性と、高い 能とを有する、カーボンナノ構造体からな 化学物質センシング素子を提供できる。

 より好ましくは、化学物質センシング素 に含まれる金属錯体は、金属フタロシアニ 類からなる。

 この化学物質センシング素子においては、 定対象ガスを吸着させる部分として、その 面を、金属フタロシアニンにより修飾され いるカーボンナノ構造体を含む。金属フタ シアニンは、4つのフタル酸イミドが窒素原 子で架橋された構造をもつ環状化合物フタロ シアニン(Phthalocyanine又はTetrabenzoazaporphyrine, C 32 N 8 H 16 )と、その中央部分に配置された金属(Metal)と 錯体である。本願発明者は、金属フタロシ ニン(以下「MePc」と呼ぶ。)修飾を施したカ ボンナノ構造体は、修飾なしのものに比べ ペンタンに対する吸着能が高いことを、密 汎関数理論(Density Functional Theory。以下「DFT 」と呼ぶ。)に基づいたシミュレーションに り発見した。ペンタンは呼気中の酸化スト ス疾患に関連するマーカーである。加えて MePcによりその表面を修飾すると、以下の理 でそのセンシング感度を向上させることが きる。化学物質センシング素子によりセン ングを行なう場合、後述するように、その 気抵抗変化を測定するために電界をかける これにより、カーボンナノ構造体の内部で 電子の移動が起こる。修飾により、カーボ ナノ構造体の表面に付与されたMePcへも電子 が移動し注入されると、励起状態となり、金 属は酸化され正電荷を、フタロシアニンは負 電荷をさらに帯び、これにより物質吸着に対 してより活性となる。当該特定化学物質と反 応した場合その電気的特性の変化は、MePc及 カーボンナノ構造体がそれぞれの分子構造 体に共通に有するπ電子結合により高速にカ ーボンナノ構造体へ伝わり、電気抵抗変化を 迅速に発生させる。

 すなわち、本素子によれば、生体情報に まれるマーカーに対して、マーカー選択性 、従来のものよりも高い感度とを有する、 ーボンナノ構造体からなる化学物質センシ グ素子を提供できる。

 さらに好ましくは、化学物質センシング 子において、検出される特定化学物質は、 酸化窒素(Nitric Oxide。以下「NO」と呼ぶ。) びペンタンからなるグループから選択され 。

 MePcにより表面修飾されたカーボンナノ構 造体を含む、本発明に係る化学物質センシン グ素子において、本願発明者は、NO及びペン ンを高い感度で検出することを確認した。 れは、MePcが、その電気的特性により、NO及 ペンタンに対する吸着能が高いことに起因 る。NO及びペンタンは、呼気中のマーカー して知られ、NOは肺疾病、ペンタンは酸化ス トレスに関連する。

 すなわち、本素子によれば、生体情報に まれるマーカー物質である一酸化窒素及び ンタンに対する選択性と、従来のものより 高い感度とを持つ、化学物質のセンシング 子を提供できる。

 本発明の第2の局面に係る化学物質センシ ング素子は、特定化学物質と選択的に結合可 能で、結合による生成物が励起光に対して特 定の波長の蛍光を発生する蛍光分子により表 面修飾されたセンシング用基体を含み、特定 化学物質を検出することを特徴とする。

 好ましくは、センシング用基体はカーボ ナノ構造体を含む。

 この本化学物質センシング素子は、測定 象ガスを吸着させる部分として、その表面 蛍光分子により修飾されたカーボンナノ構 体を含む。さらに、その蛍光分子は、その 子構造及び電気的特性により、マーカーで る特定化学物質と選択的に結合する。この 合による生成物に特定波長の光を照射する 、この生成物は励起し、特定波長の蛍光を 生する。このため、本化学物質センシング 子の蛍光励起反応を測定することで、測定 象ガス中の特定化学物質の存在の有無を確 することができる。また、測定対象ガス中 複数の成分が含まれていても、蛍光分子の 応選択性により、個別にマーカーセンシン が可能である。

 すなわち、本発明によれば、生体情報に まれるマーカーに対する選択性の高い、感 のよい、カーボンナノ構造体からなる化学 質センシング素子を提供できる。

 より好ましくは、化学物質センシング素 に含まれる蛍光分子は、ジアミノフルオレ イン-2(Diaminofluorescein-2。以下「DAF-2」と呼ぶ 。)からなることを特徴とする。

 さらに好ましくは、化学物質センシング 子において、検出される特定化学物質は、N Oであることを特徴とする。

 DAF-2は、分子構造に含まれるアミノ基が 酸化窒素と反応し、ジアミノフルオレセイ ー2-トリアゾーレ(Diaminofluorescein-2-triazole。以 下「DAF-2T」と呼ぶ。)を形成する。DAF-2Tに波 495nmの励起光を照射すると、波長515nmの蛍光 発生する。これにより生体情報中の一酸化 素の有無を確認することが可能である。

 本願発明者は、DAF-2により表面修飾され カーボンナノ構造体を含む化学物質センシ グ素子により、測定対象ガス中のNOを検出す ることができ、その感度は検出下限100ppb以下 であることを確認した。

 本発明によれば、従来のものよりも高い 度で、NOのモニタリングを行なうことがで る化学物質センシング素子を提供できる。

 好ましくは、化学物質センシング素子に まれる蛍光分子は2,4-ジニトロフェニルヒド ラジン(2,4-Dinitrophenylhydrazine:以下「DNPH」と呼 。)からなる。

 より好ましくは、化学物質センシング素 において、検出される特定化学物質はアセ ンであることを特徴とする。

 DNPHはその末端アミノ基が、アセトンと反 応してイミンを生成する。この生成物に波長 440nmの励起光を照射すると、やはり特定波長 蛍光を示す。これにより生体情報中のアセ ンの有無を確認することが可能である。

 本願発明者は、DNPHにより表面修飾された カーボンナノ構造体を含む化学物質センシン グ素子により、センシング対象ガス中のアセ トンを検出することができ、その感度は検出 下限100ppb以下であることを確認した。

 すなわち、本発明によれば、従来のもの りも高い感度で、アセトンのモニタリング 行なうことができる化学物質センシング素 を提供できる。

 本発明の第3の局面に係る化学物質センシ ング素子は、金属錯体又はその誘導体、及び 蛍光分子により表面修飾された、導電性を有 するセンシング用基体を含み、特定化学物質 を検出することを特徴とする。本素子に含ま れる蛍光分子は、特定化学物質と選択的に結 合可能で、結合による生成物が励起光に対し て特定の波長の蛍光を発生する。

 好ましくは、センシング用基体はカーボ ナノ構造体を含む。

 より好ましくは、金属錯体はMePc類からな る。

 さらに好ましくは、蛍光分子はDAF-2から る。

 金属錯体であるMePcと、蛍光分子であるDAF -2により表面修飾されたカーボンナノ構造体 おいて、MePc及びDAF-2のそれぞれに対し、特 の化学物質が反応して反応生成物を生成す 。このため、本素子に測定対象ガスを導入 、素子への特定化学物質の吸着による蛍光 起反応と、電気抵抗変化とを同時に測定す 場合、それぞれを単独に測定する場合と比 、一度の測定において検出可能な特定化学 質の種類を増加させ、また、一方の測定で 感度等の問題で検出不可能であった特定化 物質を、他方の測定において補完し、検出 ることが可能である。

 本発明の第4の局面に係る化学物質センシ ング素子は、特定化学物質を検出するための 化学物質センシング素子であって、第1の蛍 分子により表面修飾された第1のセンシング 基体を含む第1のセンシング素子と、第1の 光分子と異なる第2の蛍光分子により表面修 された第2のセンシング用基体を含む第2の ンシング素子とを含む。

 好ましくは、第1及び第2のセンシング用 体はいずれもカーボンナノ構造体を含む。

 第1及び第2の蛍光分子により表面修飾さ たカーボンナノ構造体をそれぞれ含む第1及 第2のセンシング素子を用いるため、異なる 化学物質をこれらセンシング素子で別々に検 出できる。したがって、生体情報中の複数の 化学物質を同時に、かつ別々に検出すること が可能な化学物質センシング素子を提供でき る。

 より好ましくは、第1及び第2の蛍光分子 、DAF-2及びDNPHからなるグループから選択さ る。

 DAF-2及びDNPHによりそれぞれ表面修飾され カーボンナノ構造体をそれぞれ含む第1及び 第2のセンシング素子を用いる。このため、 体情報中に数種の化学物質が含まれていて 、第1のセンシング素子は例えば一酸化窒素 、第2のセンシング素子は例えばアセトンを 、同時に、かつ別々に、検出することが可能 である。

 本発明の第5の局面に係る化学物質センシ ング装置は、金属錯体又はその誘導体により 表面修飾された導電性のセンシング用基体を 含む化学物質センシング素子と、化学物質セ ンシング素子に電気的に結合され、化学物質 センシング素子の電気抵抗の変化を検出する ための検出手段とを含む。

 好ましくは、化学物質センシング装置に まれるセンシング用基体はカーボンナノ構 体を含む。

 より好ましくは、センシング用基体表面 修飾する金属錯体は、MePcからなる。

 本装置によれば、生体情報に含まれる特 化学物質に対する選択性と、従来のものよ も高い感度とを持つ、化学物質のセンシン を行なうことが可能である。

 さらに好ましくは、化学物質センシング 置は、さらに、化学物質センシング素子を 熱、光照射又は真空引きするための手段を み、それにより、前記化学物質センシング 子表面に吸着された物質が実質的に除去さ る。

 本装置によれば、化学物質センシング素 表面に吸着された物質を除去することがで 、これを再利用することができる。

 本発明の第6の局面に係る化学物質センシ ング装置は、特定化学物質と選択的に結合可 能で、結合による生成物が励起光に対して特 定の波長の蛍光を発生する蛍光分子により表 面修飾されたセンシング用基体を含む化学物 質センシング素子と、励起光に起因して前記 化学物質センシング素子に結合した蛍光分子 から発生する蛍光を検出可能なように設置さ れた蛍光検出器と、蛍光検出器に接続され、 特定の波長の蛍光の有無を判定するための判 定器とを含む。

 好ましくは、化学物質センシング装置は らに、化学物質センシング素子に対し、そ 発光する光を照射可能な位置に設置された 蛍光分子の励起光を照射するための発光器 含む。

 より好ましくは、化学物質センシング装 に含まれるセンシング用基体はカーボンナ 構造体を含む。

 さらに好ましくは、センシング用基体表 を修飾する蛍光分子はDAF-2及びDNPHからなる ループから選択される。

 本装置によれば、生体情報に含まれる特 化学物質に対する選択性と、従来のものよ も高い感度とを持つ、化学物質のセンシン を行なうことが可能である。

 好ましくは、化学物質センシング装置は さらに、化学物質センシング素子を加熱、 照射又は真空引きするための機器を含み、 れにより、化学物質センシング素子表面に 着された物質が実質的に除去される。

 本装置によれば、化学物質センシング素 表面に吸着された物質を除去することがで 、化学物質センシング素子を再利用するこ ができる。

 本発明の第7の局面に係る化学物質センシ ング装置は、金属錯体又はその誘導体、及び 蛍光分子により表面修飾された導電性センシ ング用基体を含む、特定化学物質検出のため の化学物質センシング素子と、化学物質セン シング素子に電気的に結合され、化学物質セ ンシング素子の電気抵抗変化検出のための検 出器と、励起光に起因して化学物質センシン グ素子に結合した蛍光分子から発生する蛍光 を検出可能なように設置された蛍光検出器と 、蛍光検出器に接続され、特定の波長の蛍光 の有無を判定するための判定器とを含む。本 装置に含まれる蛍光分子は、特定化学物質と 選択的に結合可能で、結合による生成物が励 起光に対して特定の波長の蛍光を発生する。

 好ましくは、化学物質センシング装置は らに、化学物質センシング素子に対し、そ 発光する光を照射可能な位置に設置された 蛍光分子の励起光を照射するための発光器 含む。

 より好ましくは、センシング用基体はカ ボンナノ構造体を含む。

 さらに好ましくは、金属錯体はMePc類から なる。

 蛍光分子はDAF-2からなってもよい。

 金属錯体であるMePcと、蛍光分子であるDAF -2により表面修飾されたカーボンナノ構造体 おいて、MePc及びDAF-2のそれぞれに対し、特 の化学物質が反応して反応生成物を生成す 。このため、本装置に測定対象ガスを導入 、化学物質センシング素子への特定化学物 の吸着による蛍光励起反応と、電気抵抗変 とを同時に測定する場合、それぞれを単独 測定する場合と比べ、一度の測定において 出可能な特定化学物質の種類を増加させ、 た、一方の測定では感度等の問題で検出不 能であった特定化学物質を、他方の測定に いて補完し、検出することが可能である。

 化学物質センシング装置は、さらに、化 物質センシング素子を加熱、光照射又は真 引きするための機器を含み、それにより、 学物質センシング素子表面に吸着された物 が実質的に除去される。

 本装置によれば、化学物質センシング素 表面に吸着された物質を除去することがで 、化学物質センシング素子を再利用するこ ができる。

 本発明の第8の局面に係る化学物質センシ ング装置は、金属錯体又はその誘導体により 表面修飾された導電性センシング用基体を含 む、第1の化学物質センシング素子と、蛍光 子により表面修飾された導電性センシング 基体を含む、第2の化学物質センシング素子 、第1の化学物質センシング素子に電気的に 結合され、第1の化学物質センシング素子の 気抵抗の変化を検出するための検出器と、 起光に起因して第2の化学物質センシング素 に結合した蛍光分子から発生する蛍光を検 可能なように設置された蛍光検出器と、蛍 検出器に接続され、特定の波長の蛍光の有 を判定するための判定器とを含み、特定化 物質を検出することを特徴とする。蛍光分 は、特定化学物質と選択的に結合可能で、 合による生成物が前記励起光に対して特定 波長の蛍光を発生する。

 好ましくは、化学物質センシング装置は らに、第2の化学物質センシング素子に対し 、その発光する光を照射可能な位置に設置さ れた、蛍光分子の励起光を照射するための発 光器を含む。

 より好ましくは、センシング用基体はカ ボンナノ構造体を含む。

 さらに好ましくは、金属錯体はMePc類から なる。

 蛍光分子はDAF-2からなってもよい。

 金属錯体であるMePcにより表面修飾された カーボンナノ構造体と、蛍光分子であるDAF-2 より表面修飾されたカーボンナノ構造体に いて、MePc及びDAF-2のそれぞれに対し、特定 化学物質が反応して反応生成物を生成する このため、本装置に測定対象ガスを導入し 素子への特定化学物質の吸着による蛍光励 反応と、電気抵抗変化とを同時に測定する 合、それぞれを単独に測定する場合と比べ 一度の測定において検出可能な特定化学物 の種類を増加させ、また、一方の測定では 度等の問題で検出不可能であった特定化学 質を、他方の測定において補完し、検出す ことが可能である。

 化学物質センシング装置は、さらに、化 物質センシング素子を加熱、光照射又は真 引きするための機器を含み、それにより、 学物質センシング素子表面に吸着された物 が実質的に除去される。

 本装置によれば、化学物質センシング素 表面に吸着された物質を除去することがで 、化学物質センシング素子を再利用するこ ができる。

 本発明の第9の局面に係る、特定化学物質 を検出するための、化学物質センシング素子 の製造方法は、導電性のセンシング用基体を 平面上に作製するステップと、金属錯体又は その誘導体、及び蛍光分子を含む溶液を、作 製されたセンシング用基体に滴下するステッ プと、平面上のセンシング用基体の蛍光分子 を含む溶液が滴下された領域において、セン シング用基体と他の部位との間に所定の電圧 をかけるステップとを含む。蛍光分子は、特 定化学物質と選択的に結合可能で、結合によ る生成物が励起光に対して特定の波長の蛍光 を発生することを特徴とする。この方法によ り、センシング用基体が金属錯体又はその誘 導体、及び蛍光分子により実質的に均一に表 面修飾される。

 好ましくは、導電性のセンシング用基体 、カーボンナノ構造体を含む。

 以上のように本発明によれば、従来技術 は困難であった、生体情報に含まれる特定 質のセンシングにおいて、マーカー選択性 、高い感度とを有する、好ましくはカーボ ナノ構造体からなるセンシング用基体を有 る化学物質センシング素子を得ることがで る。この素子により、NO、ペンタン、アセ ンなどのマーカーについて、マーカー選択 を持つ化学物質センシングを行なうことが きる。加えて、表面処理により高感度化が 能なことから、今までその検出が困難であ た微量マーカーについてもそのセンシング できるようになる。

化学物質センシング装置20の構成図で る。 本発明の第1の実施の形態に係る化学物 質センシング素子32の構成図である。 第1の実施の形態に係る化学物質センシ ング部42の構成と動作とについて説明するた の模式図である。 第2の実施の形態に係る化学物質センシ ング装置62に構成図である。 第2の実施の形態に係る化学物質センシ ング部の構成と動作とについて説明するため の模式図である。 第3の実施の形態に係る化学物質センシ ング素子108の構成と動作とについて説明する ための模式図である。 第4の実施の形態に係る化学物質センシ ング素子128の構成図である。 第5の実施の形態に係る化学物質センシ ング素子142の構成図である。 第5の実施の形態の変形例に係る化学物 質センシング素子180の構成図である。 第1の実施の形態に基づく実施例1に係 化学物質センシング素子270の製造方法の一 を説明するための模式図である。 第1の実施の形態に基づく実施例1の測 結果である。

符号の説明

20,62 化学物質センシング装置、30,192 直流 電源、32,108,128,142,180,200,210,270 化学物質セン ング素子、34 負荷抵抗、36 増幅器、40a,40b 電極、42,66 化学物質センシング部、50,80 CNT 、52,82,84 CNT表面に修飾付与された物質、64  器、67 光源、68 光路容器、69 ダイクロイ クミラー、70 CCDカメラ、71 表示システム 72,100 励起光、73,102,124,126 蛍光、74 表示画 、110 プレート、120,122 化学物質センシン 部を保持するためのプレート上のウエル、13 0,150,190,280 基板、132,152,153,202,203,212,213 櫛型 パターン、138,178,179 カーボンナノ構造体、 139,140,154,156,204,206,214,216,286,288 接点、134,170  体基板、135,172 熱酸化膜、136,174 バッファ 、175 開口部、137,176 触媒層、282 化学物質 センシング素子製造用Au電極、284 分散液

 以下、図面を参照しながら、本発明の実 の形態について説明する。以下の図面及び 明においては、同一の部品又は構成要素に 同一の参照符号を付してある。それらの機 も同一である。したがって、それらについ の詳細な説明は繰返さない。

 [第1の実施の形態]
 ―構成―
 図1に、本発明の第1の実施の形態に係る化 物質センシング素子を採用した化学物質セ シング装置20の構成図を示す。図1を参照し 、装置20は、直流電源30と、直流電源30のプ ス端子に一端が接続された、本実施の形態 係る化学物質センシング素子32と、化学物質 センシング素子32の他端と直流電源30のマイ ス端子との間に接続された負荷抵抗34と、化 学物質センシング素子32及び負荷抵抗34の接 に入力が接続され、この接点の電位変化を 幅するための増幅器36とを含む。測定時、こ の電位変化を測定するために、増幅器36の他 の端子に図示しない直流電圧計が接続され 。

 図2に、化学物質センシング素子32の構成 を示す。図2(A)を参照して、化学物質センシ ング素子32は、金属錯体であるMePcにより表面 修飾された、センシング用の基体を構成する カーボンナノ構造体からなる、化学物質セン シング部42と、化学物質センシング部42の両 に配置され、化学物質センシング部42とそれ ぞれ電気的に接続された電極40a及び40bとを含 む。

 化学物質センシング部42は、カーボンナ チューブ、カーボンナノファイバー、フラ レンといった、カーボンナノ構造体の集合 で形成されている。したがって、化学物質 ンシング部42は多数のCNT等を含んでいる。図 3に、化学物質センシング部42に含まれる一本 のCNT50の概念図を示す。図3を参照して、本実 施の形態では、CNT50の表面に、MePc分子52が付 されている。すなわち、その他のカーボン ノチューブ(したがって化学物質センシング 部42)も同様に、MePcにより表面修飾されてい 。

 MePcは、特定物質とのみ反応する選択能を 有し、MePcにより修飾されたカーボンナノ構 体からなる化学物質センシング部42に電流を 通したときの化学物質センシング部42の抵抗 は、化学物質センシング部42に物質が吸着 たか否かにより異なる。化学物質センシン 部42は雰囲気中の特定物質を吸着するので、 その電気抵抗値の変化の態様は雰囲気中にあ る特定物質が存在しているか否かにより異な る。したがって、図1に示す装置により、雰 気中の特定の物質を選択的に検出できる。 なわち、呼気をこの装置20に導入し、直流電 圧計の出力を測定することにより、呼気中の 特定物質を選択的に検出できる。

 ―化学物質センシング素子32の製造方法―
 化学物質センシング素子32は以下のように て製造される。センシング用基体を構成す カーボンナノ構造体は、従来の方法を用い 生成することができる。カーボンナノ構造 を生成後、不純物除去のため還流処理を行 う。その後、これを乾燥させ、MePc溶液中へ 入し超音波照射によりMePc溶液中にカーボン ナノ構造体が一様に分散した分散液を作製す る。その後、これを乾燥させて化学物質セン シング部42とし、その両端に電極をつけて化 物質センシング素子32とする。

 ―動作―
 図1、図2、及び図3を参照して、本実施の形 に係る装置20は以下のように動作する。図1 参照して、直流電源30により、化学物質セ シング素子32と負荷抵抗34とを直列接続した のの両端に一定電圧をかけながら、測定対 ガスを化学物質センシング素子32表面に導 する。

 図2を参照して、化学物質センシング素子 32に含まれる化学物質センシング部42を構成 るカーボンナノ構造体の表面に測定対象ガ 中の化学物質が付着すると、電極40a、40b間 電気抵抗が変化する。その変化を増幅器36の 出力電圧の変化として図示しない直流電圧計 により検出する。

 図3に、NOが表面をMePcで修飾されたCNT50の 面に吸着した様子を示す。前述したように MePcによる吸着物質に対する選択能により、 NO60が吸着する。化学物質センシング部42を構 成する、一本一本のCNT50及びその他のカーボ ナノ構造体のそれぞれに物質の吸着がおこ 、それぞれの電気抵抗変化の総和が、図1に 示す装置20における、出力電圧変化として検 される。

 これは以下のような理由による。化学物 センシング部42においては、一本一本のナ 構造体が隣接するものと互いに接触しあっ いる。したがって、化学物質センシング部42 は全体として導電性の集合体となっている。 前述したように、この集合体の両端の電気抵 抗は、ナノ構造体の表面に何らかの物質が付 着することにより変化する。したがって、化 学物質センシング部の両端の電気抵抗の変化 を見ることにより、化学物質センシング部42 何らかの物質が付着したこと、すなわち、 らかの物質が雰囲気中に存在することが分 る。

 加えて、化学物質センシング部42表面に 飾された、MePcは、特定物質を選択的に吸着 る。このため、化学物質センシング部42の 体の電気抵抗の変化量を知ることにより、 体情報中の特定物質の存在の有無を確認す ことができる。

 なお、MePcはペンタンに対する吸着選択能を も持つ。テーブル2は、配位金属の異なるMePc びカーボンナノ構造体を代表するCNTのペン ンに対する吸着エネルギーを、DFTに基づい シミュレータ(accelrys社製 DMol 3 )を用いて計算したものである。例示するす てのMePcが、CNTより低い吸着エネルギーを持 ことから、CNTよりペンタンに対する吸着能 高いことが予測できる。このことから、MePc の、ペンタンに関する吸着能は、カーボンナ ノ構造体のそれよりも高いことが推測できる 。

 なお、化学物質センシング素子を再利用す ためには、先に測定した測定対象ガスの除 が必要である。この場合、化学物質センシ グ素子32の温度を上げることで、吸着した 定対象ガスを脱離させることができる。化 物質センシング素子32の温度を上げるために は様々な手段を設けることができる。本実施 の形態に係る装置20においては、ガスの離脱 理時には、直流電源30の電圧を高く調整す ことにより、化学物質センシング素子32の温 度を200度程度に上昇させることで各種センシ ング対象物質を取り除く。また、化学物質セ ンシング素子32を周期的に150度で加熱するた の手段を設けても良い。さらに、半導体レ ザによるレーザ光照射による加熱を行なっ も良い。センシング対象物質の脱離法はこ に限らず、真空引きによっても可能である

 以上の様に本実施の形態に係る装置20が 学物質センシング部42の電気抵抗の変化を測 定する。この電気抵抗の変化の態様は、化学 物質センシング部42に特定の物質が付着した きには、そうでないときと区別可能である したがって、装置20により、雰囲気中の特 の物質を検知することができる。カーボン ノ構造体を使用しているため、この電気抵 の変化は吸着された物質の量を高い感度で 映する。そのため、雰囲気中の特定の化学 質を高感度で検知することができる。

 上記実施の形態では、金属錯体としてMePc を挙げたが、これに限らず、一般的に金属錯 体又はその誘導体により、上記した実施の形 態と同様の効果を奏することができると考え られる。

 なお、以下の実施の形態において、構成 動作及び物質の検出原理の一部は第1の実施 の形態同様である。したがって、以後の実施 の形態の説明において、これらの詳細な説明 は繰返さない。

 [第2の実施の形態]
 本実施の形態における化学物質センシング は、特定の蛍光分子により表面修飾された ーボンナノ構造体を用いる。この蛍光分子 しては、生体情報に含まれる特定物質と反 し、その反応生成物に特定波長の光を照射 ると、励起されて所定の波長の蛍光を発生 るような蛍光分子を採用する。すなわち、 実施の形態では、このような蛍光分子によ 表面修飾されたカーボンナノ構造体を採用 たセンシング素子を用いる。

 ―構成―
 図4に第2の実施の形態に係る化学物質セン ング部を採用した、化学物質センシング装 62の構成を示す。図4を参照して、装置62は、 大気に影響を受けないガスセンシングを行な うため、センシング素子の周辺雰囲気を閉系 にするための容器64と、容器64の中に配され 化学物質センシング部66と、光72を出射する 源67と、化学物質センシング部66の直上に、 光源67からの光72を化学物質センシング部66に 向けて反射し、化学物質センシング部66から 蛍光73を透過させるように配置されたダイ ロイックミラー69と、容器64に接続され、ダ クロイックミラー69を収容し、光源67からの 光72と化学物質センシング部66からの蛍光73と の光路を形成する光路容器68と、光路容器68 、化学物質センシング部66からの蛍光73が到 する位置に設けられ、化学物質センシング 66から発生した蛍光73により得られる画像を 撮像するためのCCDカメラ70と、CCDカメラ70の 力を受けるように接続され、励起により生 た蛍光73による画像の色彩と、複数の標準試 料から得られる画像(色彩)とを表示画面74に 比して示すことにより、特定化学物質の存 の有無をユーザに確認させるための表示シ テム71とを含む。

 図5(A)に、化学物質センシング部66中のカ ボンナノ構造体に含まれる、CNT80の概念図 示す。図5(A)を参照して、CNT80の表面には、 光分子である、DAF-2(82)が修飾付与されてい 。その他のカーボンナノ構造体(したがって 学物質センシング部66)も同様に修飾付与さ ている。

 後述するように、DAF-2は、そのアミノ基 NOと反応しトリアゾールを形成することで、 特定の波長(495nm)の光を受けると特定の波長(5 15nm)の蛍光を発生する性質を有する。したが て、図4に示す装置により、生体情報中のNO 選択的に検出できる。

 ―化学物質センシング部66の製造方法―
 化学物質センシング部66は、第1の実施の形 に係る化学物質センシング素子32の製造方 と同様に製造される。ただし、第1の実施の 態で使用したMePc溶液に代えてDAF-2溶液を用 、カーボンナノ構造体の分散液を作製する その後、これを乾燥させて化学物質センシ グ部66とする。また本実施の形態では、蛍 を用いてNOの検出を行ない、電気抵抗の変化 は使用しないので、第1の実施の形態と異な 、カーボンナノ構造体に電極を付与する必 はない。

 ―動作―
 図4及び図5を参照して、本実施の形態に係 装置62は以下のように動作する。図4を参照 て、容器64内に化学物質センシング部66を設 し、容器64内に測定対象ガスを導入する。 こでは測定対象ガスを、NOと、大気を構成す るO 2 との混合ガスとする。その結果、化学物質セ ンシング部66にNOが吸着する。その量は測定 象ガス中のNOの濃度と正の相関を持つ。その 後、光源67から波長を495nmに調整された励起 72を発生させ、ダイクロイックミラー69を介 て化学物質センシング部66に照射させる。

 図5(A)を参照して、測定対象ガス中のNO分 90が化学物質センシング部66に接近すると、 図5(B)に示すようにCNT80の表面に修飾付与され たDAF-2 82のアミノ基がNOと反応してトリアゾ ルを生成し、DAF-2T 84へ変化する。このDAF-2T  84へ波長495nmの励起光100を照射すると、波長 515nmの緑色の蛍光102を発生する。

 再び図4を参照して、化学物質センシング 部66より発生した蛍光73は、放射線状に進行 、その一部は光路容器68へ導入される。光路 容器68へ導入された蛍光73はダイクロイック ラー69を通過してCCDカメラ70の方向に進み、C CDカメラ70により撮像される。撮像された像 、表示システム71へ伝送され、表示画面74に 定試料の画像として標準試料とともに表示 れる。

 この場合、表示システム71の表示により 測定試料からの蛍光の色を標準試料と比較 ることにより、測定対象ガス中のNOの存在の 有無を確認することができる。

 なお、図5(B)を参照して、センシング対象の 化学物質であるNO分子90が、大気を構成する の気体分子(例えばO 2 分子92)と共存していても、DAF-2 82はそれらと 反応せず、蛍光励起も起こらない。そのため 、NOを大気中のO 2 等とは区別して検出することができる。

 ―変形例―
 DAF-2に代えて、テーブル3に示す蛍光分子を カーボンナノ構造体表面へ同様に修飾し、 学物質センシング部66としてもよい。

 [第3の実施の形態]
 本実施の形態における化学物質センシング は、第2の実施の形態と同様、蛍光励起によ り特定の化学物質のセンシングを行なうが、 マイクロプレートを用い、一度の測定で複数 のセンシング対象の化学物質の有無を確認す ることを可能にする。

 ―構成―
 第3の実施の形態に係る化学物質センシング 素子を採用した化学物質センシング装置は、 第2の実施の形態に係る、図4に示す化学物質 ンシング装置62と同様の構成である。ただ 、図4に示す化学物質センシング部66に代え 、複数の化学物質のセンシングを行なうた の化学物質センシング素子を含む。

 図6(A)に、複数の化学物質のセンシングを 行なうための化学物質センシング素子108の概 略を示す。図6(A)を参照して、本実施の形態 係る化学物質センシング素子108は、基板プ ート110と、プレート110上に配置された複数 ウエル120,122等とを含む。それぞれのウエル1 20、122は、蛍光励起により、測定対象ガス中 異なる化学物質を検出する。例えば、ウエ 120はNOを、ウエル122はアセトンを検出する また、励起光は波長200nm~800nmの紫外(Ultra Viol et。以下「UV」と呼ぶ。)光を用い、複数種類 蛍光物質に対応させる。

 ―化学物質センシング素子108の製造方法―
 図5に示すNO検出用のウエル120と、アセトン 出用のウエル122とは以下のようにして作製 る。

 ウエル120には、第2の実施の形態に係る、 DAF-2により表面修飾されたカーボンナノ構造 からなる化学物質センシング部を設置する

 ウエル122には、DNPHにより表面修飾された カーボンナノ構造体を化学物質センシング部 として設置する。

 ウエル122に要するカーボンナノ構造体の 造方法は、第1の実施の形態におけるカーボ ンナノ構造体の製造方法と同様である。ただ し、第1の実施の形態で使用したMePc溶液中に えて、DNPH溶液によるカーボンナノ構造体が 一様に分散した分散液を作製する。その後、 これを乾燥させて化学物質センシング部とす る。

 ―動作―
 図4、図6(A)、及び図6(B)により、本実施の形 に係る装置の動作を以下に説明する。図4及 び図6(A)を参照して、図4に示す化学物質セン ング装置62において、化学物質センシング 子108を化学物質センシング部66に代えて容器 64中に設置する。容器64中に、NOとアセトンと を含む測定対象ガスを導入する。これにより 、測定対象ガス中のNOとアセトンとが化学物 センシング素子108表面に導入される。これ はそれぞれ、ウエル120及び122上に設置され 化学物質センシング部と結合する。この後 化学物質センシング素子108に波長200nm~800nm UV光を励起光72として照射する。

 図6(B)を参照して、この結果、ウエル120は 、励起光72が波長495nmの時、波長515nmの緑色の 蛍光124を、ウエル122は、励起光72が波長440nm 時、黄色味がかったオレンジ色の蛍光126を 生する。

 図4を参照して、これらの蛍光による像を CCDカメラ70により撮像し、表示システム71に り検出し、それぞれ所定の波長の蛍光124及 蛍光126の有無により、測定対象ガスにおけ NO及びアセトンの有無を確認することができ る。

 このような化学物質センシング素子108を いることにより、測定対象ガス中の複数種 の特定化学物質を選択的に検知することが きる。

 [第4の実施の形態]
 本実施の形態においては、測定対象ガスを 着させる化学物質センシング部をシート状 し、その形状をパターン化することで、化 物質センシング部の形状を使用用途にあわ て最適化する。

 ―構成―
 本実施の形態に係る化学物質センシング装 は、第1の実施の形態に示す化学物質センシ ング装置20と同様の構成を有する。ただし、 1に示す化学物質センシング素子32に代えて シート状にパターン化された化学物質セン ング部を有する化学物質センシング素子を 用する点で第1の実施の形態と異なる。

 図7(A)に本実施の形態で使用される化学物 質センシング素子128の鳥瞰図を、図7(B)に平 図を、それぞれ示す。図7(C)は、図7(B)に示す 断面C-Cにおける矢視方向断面図である。

 図7(A)~(C)を参照して、化学物質センシン 素子128は、表面に形成された熱酸化膜を有 る平板状の基板130と、その表面上に作製さ たカーボンナノ構造体層を含む櫛型のパタ ン132とを含む。

 図7(C)を参照して、基板130は、固体基板134 と、固体基板134の表面に形成された熱酸化膜 135とを含む。

 櫛型のパターン132は、熱酸化膜135上に櫛 形状にパターン化して作製されたバッファ 136と、バッファ層136の上に形成された金属 よる触媒層137と、金属による触媒層137上の 面から垂直に立ち上がるように形成された 数のカーボンナノ構造体138とを含む。なお バッファ層136は絶縁物からなる。

 化学物質センシング素子128は、図7(A)に示 されるように、櫛の両端のいずれか一方であ る接点139が、図2に示される直流電源30のよう な直流電流のプラス端子に、他方である接点 140が、負荷抵抗34に接続されるよう設置する なお、接点139及び140は、図7(C)に示すカーボ ンナノ構造体138の層に接続されるよう配置す る。

 ―化学物質センシング素子128の製造方法―
 図7(C)を特に参照して、化学物質センシング 素子128は以下のように製造される。はじめに 、固体基板134上に熱酸化膜135を形成すること で、基板130を準備する。熱酸化膜135は絶縁体 である。この基板130上にカーボンナノ構造体 を成長させるため、熱酸化膜135の表面にパタ ーンにしたがったマスクを作製し、バッファ 層136を熱酸化膜135上に作製する。

 化学物質センシング部を構成するカーボ ナノ構造体は、固体基板の上にCNT成長の為 触媒をメタルマスク越しに蒸着し、そのパ ーン上にカーボンナノ構造体を生成する、 来の方法を用いて生成することができる。 の時、CNT成長触媒粒子の径がナノメーター ーダーで正確に制御できることが必要であ 。なぜならCNTの直径は種触媒粒子の直径と 関を持って成長するためである。

 次に、バッファ層136作成後、金属による 媒層137を、同じマスクパターンにより作製 る。触媒層137作成後、カーボンナノ構造体1 38を、同じマスクパターンにより触媒層137表 に作製する。最後にマスクパターンを除去 る。

 次に、図7(A)を参照して、接点139を図示し ない直流電源のプラス端子に、接点140を直流 電源のマイナス端子に、それぞれ接続する。 その後、MePc溶液とDAF-2溶液との混合液を、カ ーボンナノ構造体138表面にピペット等を用い て、図7(C)を参照して基板130の真上から滴下 る。この時、カーボンナノ構造体138は、図7( C)を参照して触媒層137の表面に対し垂直方向 成長し、密集しているために、フィルタの うな機能を持ち、MePc溶液とDAF-2溶液との混 液はカーボンナノ構造体138に高効率でトラ プされる。

 その後、直流電源による電圧を化学物質 ンシング素子128にかけ、カーボンナノ構造 に電圧をかけると、カーボンナノ構造体表 がMePc及びDAF-2により一様に修飾される。こ は以下の理由による。前述のように、カー ンナノ構造体138は、図7(C)に示すように、金 属による触媒層137の表面に対し垂直方向に成 長しているが、その一つ一つはいずれも接触 しあっており、また前述したとおり、カーボ ンナノ構造体は良導電体である。このため、 上記の電気的接続の存在の下で化学物質セン シング素子128に電圧をかけると、櫛形パター ン上に電流が流れる。一方、MePcと蛍光分子 あるDAF-2はその分子構造から極性を持ってお り、電界の存在によりカーボンナノ構造体へ 引き寄せられ、その表面へ修飾される。

 表面修飾後、図1を参照して、本実施の形 態に係る化学物質センシング素子128を、図1 示す化学物質センシング素子32に代えて装置 20へ導入する。

 ―動作―
 図7(C)を参照して、本来、触媒層137は導体で ある金属で構成されることから、本構造では カーボンナノ構造体138の電気抵抗変化を測定 不可能であることが予想される。なぜなら、 化学物質センシング素子128では、電界は、図 7(A)及び(B)を参照して、接点139から接点140の にカーボンナノ構造体138を介してかかる。 の際、図7(C)を参照して、熱酸化膜135及びそ 下に配された固体基板134と、絶縁膜である ッファ層136には電流は流れないが、カーボ ナノ構造体138以外に、導体である、金属か なる触媒層137には電流が流れてしまうから ある。しかし、本発明者は、本実施の形態 おいて、アークプラズマガン(Arc Plasma Gun 以下「APG」と呼ぶ。)で製膜した触媒層137は 縁性を示すことを確認した。その理由とし は、触媒金属の微粒子間の抵抗が想定され 。また、カーボンナノ構造体138についても 垂直方向に10 10~13 本/cm 2 程度で高密度に成長した状態で水平方向に電 界をかけると、導電性を得ることを確認した 。これはトンネル効果によりカーボンナノ構 造体138がより高い導電性を得たことによると 推定される。これらのことから、図1に示す 置20に、素子128を導入し、その電気抵抗変化 を測定すると、図7(C)に示すカーボンナノ構 体138に電流が流れ、その電気抵抗変化を測 することができ、これにより特定化学物質 センシングを行なうことが可能である。

 この第4の実施の形態によれば、小さな面 積に大量のカーボンナノ構造体を配置できる 。その結果、測定対象の特定化学物質の量も 大きくなり、したがって櫛型のパターン132の 電気抵抗変化が大きくなる。その結果、化学 物質のセンシングの感度を高めることができ るという効果がある。

 ―変形例―
 図1を参照して、本実施の形態に係る化学物 質センシング素子を、化学物質センシング素 子32に代えて装置20へ導入し、その装置20を、 図4に示す容器64へ導入し、容器64内に化学物 センシング部66に代えて設置し、前述の方 で作成した化学物質センシング素子に直流 源30を介して電圧をかけると同時に、励起光 72を照射することにより、蛍光励起反応の測 と、電気抵抗変化の測定とを同時に行なう ともできる。これにより、蛍光分子と反応 る特定化学物質と、MePcと反応する特定化学 物質とを同時に測定することが可能である。

 また、カーボンナノ構造体を生成する際、 体基板として、例えばシリコン基板、石英 板、化合物半導体基板、グラファイト基板 Al基板、Cu基板、Ag基板、Au基板、Fe基板、Ni 板、Co基板、ガラス基板、セラミックス基 若しくは高分子基板などの基板、Al 2 O 3 、TiO 2 、ZrO 2 、Nb 2 O 5 、SnO 2 、HfO 2 若しくはAlPO 4 などの金属酸化物系材料、SiO 2 ・Al 2 O 3 、SiO 2 ・TiO 2 、SiO 2 ・V 2 O 5 、SiO 2 ・B 2 O 3 若しくはSiO 2 ・Fe 2 O 3 などのシリケート系材料、Pt、Ag若しくはAuな どからなる金属系材料、Siなどからなる半導 系材料、活性炭若しくは有機高分子などか なる炭素系材料、珪藻土若しくはホタテ貝 などの生体由来系材料又はSiO 2 などの多孔質基板の少なくとも1種類以上を いることができる。

 また、触媒粒子を構成する材料としては たとえば、Fe、Ni、Co、Cr、Mo、W、Ti、Au、Ag Cu、Pt、Ta、Al、Pd、Gd、Sm、Nd及びDyからなる 、又はそれらの合金から選択された少なく も1種の金属などを用いることができる。

 また、触媒の塗布方法として、アークプ ズマ法、スパッタ法、電子ビーム蒸着法、 抗加熱法、スピンコート法等の方法を用い ことができる。

 [第5の実施の形態]
 ―構成―
 本実施の形態に係る化学物質センシング素 は、第4の実施の形態に示す化学物質センシ ング素子128と同様の構成を有する。ただし、 図8(A)~(C)に示す、カーボンナノ構造体を含む2 つの櫛型のパターンを、その櫛の歯が交互に 配置されるように形成する点で第4の実施の 態と異なる。

 図8(A)に本実施の形態で使用される化学物 質センシング素子142の鳥瞰図を、図8(B)に平 図を、それぞれ示す。図8(C)は、図8(B)に示す 断面C-Cにおける矢視方向断面図である。

 図8(A)~(C)を参照して、化学物質センシン 素子142は、表面に形成された熱酸化膜を有 る平板状の基板150と、その表面上に作製さ たカーボンナノ構造体層を含む櫛型のパタ ン152及び153とを含む。櫛型のパターン152及 153はそれぞれの根元部分から伸びる櫛の歯 交互に配置されるように形成されている。

 図7(C)を参照して、基板150は、固体基板170 と、固体基板170の表面に形成された熱酸化膜 172とを含む。

 櫛型のパターン152及び153は、熱酸化膜172 に櫛型形状にパターン化して作製されたバ ファ層174と、バッファ層174の上に形成され 金属による触媒層176と、金属による触媒層1 76上の表面から垂直に立ち上がるように形成 れた多数のカーボンナノ構造体178とを含む 櫛型のパターン152及び153のそれぞれの櫛の の間には開口部175が形成される。なお、カ ボンナノ構造体の作製時には、開口部175上 、櫛型のパターン152及び153にそれぞれ含ま 、隣接するカーボンナノ構造体178の橋渡し するように水平方向に成長するカーボンナ 構造体179も形成される。なお、バッファ層1 74は絶縁物からなる。

 化学物質センシング素子142は、図8(A)及び 図8(B)に示されるように、隣接して配置され 櫛型のパターン152の一方の接点154が、図1に される直流電源30のような直流電流のプラ 端子に、櫛型のパターン153の一方の接点156 、負荷抵抗34に接続されるよう設置する。な お、接点154及び156は、図8(C)に示す、カーボ ナノ構造体178及び179の層に接続されるよう 置する。

 ―化学物質センシング素子142の製造方法―
 図8(C)を特に参照して、化学物質センシング 素子142は以下のように製造される。はじめに 、固体基板170上に熱酸化膜172を形成すること で、基板150を準備する。熱酸化膜172は絶縁体 である。この基板150上にカーボンナノ構造体 を成長させるため、熱酸化膜172の表面にパタ ーンにしたがった開口部を有するマスクを作 製し、バッファ層174を熱酸化膜172上に作製す る。このとき、マスクパターンを図8(A)に示 ような櫛型を残す形で、2つの櫛が交互に向 い合うような形状にし、櫛と櫛との間の開 部175の面積が大きくなるようにする。

 次に、バッファ層174作成後、金属による 媒層176を、同じマスクパターンにより作製 る。触媒層176作成後、カーボンナノ構造体1 78を、同じマスクパターンにより触媒層176表 に作製する。最後にマスクパターンを除去 る。

 次に、図8(A)を参照して、櫛型のパターン 152に接続する接点154を図示しない直流電源の プラス端子に、櫛型のパターン153に接続する 接点156を直流電源のマイナス端子に、それぞ れ接続する。その後、MePc溶液とDAF-2溶液の混 合液を、カーボンナノ構造体178表面にピペッ ト等を用いて、図8(C)を参照して基板150の真 から滴下する。その後、直流電源による電 を化学物質センシング素子142にかけ、カー ンナノ構造体に電圧をかけると、カーボン ノ構造体表面がMePc及びDAF-2により一様に修 される。

 これは以下の理由による。前述のように カーボンナノ構造体には、大きく分けて、 8(C)に示すように、金属による触媒層176の表 面に対し垂直方向に成長するカーボンナノ構 造体178と、これらカーボンナノ構造体178の橋 渡しをするように、開口部において水平方向 に成長するカーボンナノ構造体179との2種類 ある。これらカーボンナノ構造体の一つ一 はいずれも接触しあっており、また前述し とおり、カーボンナノ構造体は良導電体で る。このため、上記の電気的接続の存在の で化学物質センシング素子142に電圧をかけ と、櫛形パターン上と、開口部とのそれぞ に電流が流れる。一方、MePcと蛍光分子であ DAF-2はその分子構造から極性を持っており 電界の存在によりカーボンナノ構造体へ引 寄せられ、その表面へ修飾される。

 この第5の実施の形態によれば、小さな面 積により大量のカーボンナノ構造体を配置で きる。その結果、測定対象の特定化学物質の 量も大きくなり、したがって櫛型のパターン 152及び153の電気抵抗の変化が大きくなる。そ の結果、化学物質のセンシングの感度を高め ることができるという効果がある。また、水 平方向に成長するカーボンナノ構造体は非常 に細く、これらに化学物質が付着したときに は、それによって生ずる電気抵抗の変化が極 めて大きい。そのため、これらを用いること により、特定化学物質に対するセンシングの 感度がより高くなるという効果がある。

 ―変形例―
 本実施の形態に係る化学物質センシング素 は、図9を参照して、表面に形成された熱酸 化膜を有する平板状の基板190と、その上に作 製された、カーボンナノ構造体層を含む櫛型 のパターン202及び203、櫛型のパターン202に接 続する接点204、並びに櫛型のパターン203に接 続する接点206を含む化学物質センシング素子 200とを複数含んでもよい。基板190上には、こ の化学物質センシング素子200が複数個配置さ れてもよい。

 また、別の例として、本実施の形態に係 化学物質センシング素子は、以下の態様で っても良い。基板190上を図9に示すように例 えば内部及び外部の二つの領域に分離し、外 部領域には複数の化学物質センシング素子200 を配置する。内部領域には、化学物質センシ ング素子200と同様、櫛形のパターン212及び213 の組合せを複数持ち、櫛型のパターン212がい ずれも共通の接点214に、櫛型のパターン213が いずれも共通の接点216に、それぞれ接続され た化学物質センシング素子210を配置する。

 こうした配置により、外部領域で複数種 の化学物質を検知し、内部領域では特定の 質を特に感度高く検知することができる。

 また、本素子は、図9に示すように、複数 の化学物質センシング素子200と、化学物質セ ンシング素子210とを含む、化学物質センシン グ素子180であってもよい。

 また、本素子は、前述した化学物質セン ング素子142の製造方法と同様に製造され、 ーボンナノ構造体の表面修飾の際、MePc溶液 とDAF-2溶液との混合液を滴下する代わりに、 型のパターンの一部にMePc溶液を、他の残り の部分にDAF-2溶液をそれぞれ滴下することに り、MePc修飾部とDAF-2修飾部を作製された素 でもよい。この場合、以下の方法により特 化学物質の検出を行なってもよい。図1に示 す装置20にMePc修飾部を、化学物質センシング 素子32に代えて導入する。その装置20、及び MePc修飾部を、図4に示す容器64へ導入し、容 64内に化学物質センシング部66に代えて設置 する。MePc修飾部に直流電源30を介して電圧を かけると同時に、DAF-2に励起光72を照射する とにより、蛍光励起反応の測定と、電気抵 変化の測定とを同時に行なうことができる これにより、蛍光分子と反応する特定化学 質と、MePcと反応する特定化学物質とを同時 測定することが可能である。

 [実施例1]
 以下に、第1の実施の形態に基づく実施例に ついて説明する。

 ―化学物質センシング素子32の製造方法―
 化学物質センシング素子32を以下に述べる 法により製造した。はじめに、カーボンナ 構造体を作製するための前準備を行なった 表面に厚さ300nmの熱酸化膜172が形成された2 ンチのSi基板上に、所望のパターンのメタル マスクを載せ、高周波スパッタ装置(ULVAC社製 SBR2304/13.56MHz、200W)によりSiO 2 ターゲットで2200秒製膜することで、熱酸化 の上に更に200nm程度のスパッタSiO 2 膜を製膜した。メタルマスクはそのまま維持 して、APG装置(ULVAC社製/放電電圧60V、アノー ―基板間90mm)にてCoを5nm、Tiを1nmの順番で蒸 し、触媒層176を製膜した。

 次に、カーボンナノ構造体の製膜を行なっ 。マイクロ波プラズマ化学気相合成(microwave  plasma-enhanced chemical vapor deposition:MW-CVD)装置 により、真空チャンバー内の圧力を15Torr程度 になるように圧力コントロールバルブにて調 整しながら、基板温度は800℃程度に保持し、 マスフローコントローラを通じて真空チャン バー内にH 2 ガスを50sccm程度導入した。次に2.45GHzのマイ ロ波(350W)を導入することによってH 2 ガスをプラズマ化し、5分程度、基板上に設 された種触媒の表面をクリーニングした。 続して、H 2 で希釈したCH 4 ガス(H 2 :CH 4 =50sccm:50sccm)を原料ガスとして5分間プラズマ することで、触媒層のパターンに応じたカ ボンナノ構造体が作製された。カーボンナ 構造体の密度は1×10 10 ~1×10 13 本/cm 2 となっていた。このようにして作製されたカ ーボンナノ構造体178をピンセットでかき集め た。

 次に、かき集めたカーボンナノ構造体5mg 度を還流処理した。還流は以下の通りの手 で行なった。先ず、5mgのカーボンナノ構造 を20mL稀硝酸中(35vol%)で超音波洗浄し、5時間 100℃で還流処理を行なった。その後、穴径が 0.2μmの四フッ化エチレン(Polytetrafluoroethylene。 以下「PTFE」と呼ぶ。)膜を真空ポンプで引く とでフィルタリングを行ない、PTFE膜上に残 ったカーボンナノ構造体をPTFE膜ごと30mLの脱 オン水でpH7まで洗浄した。このPTFE膜をさら に15mLのアセトンで洗浄し、60℃で一晩乾燥さ せたものからカーボンナノ構造体を剥ぎ取り 、30%の過酸化水素水20mLで100℃で180分還流し 。再度PTFE膜でフィルタリングし、30mLの脱イ オン水で洗浄し15mLのアセトンで洗浄後、60℃ で乾燥して最終的なカーボンナノ構造体を得 た。

 カーボンナノ構造体の表面修飾は次の要 で行なった。コバルトフタロシアニン(以下 「CoPc」と呼ぶ。)粉末をテトラヒドロフラン( Tetrahydrofuran。以下「THF」と呼ぶ。)溶液に0.1mM の濃度で展開することで溶液を作製した。こ の溶液中にカーボンナノ構造体を5mg入れた後 、超音波洗浄機を用いてカーボンナノ構造体 を溶液中に一様に分散した。

 次に、本実施例に係る化学物質センシン 素子270を以下のように作製した。図10を参 して、予め基板280上に、シャドウマスクを いた蒸着法にて、Au電極282をピッチ100μmの線 幅で2つの櫛型が向かい合うパターンに作製 た。その上からCoPc分子により表面修飾され カーボンナノ構造体を含む、100μLの溶液284 滴下し、溶液中溶媒を乾燥させて化学物質 ンシング素子270とした。

 図10に示すAu電極282上に溶液284を滴下、付 着させた部位を、図2に示す化学物質センシ グ部42に相当する部位とし、Au電極282のうち 溶液284が付着していない領域において、2つ の櫛のうち、いずれかの一端286近傍及び他方 の一端288近傍を、それぞれ、図2に示す電極40 a及び電極40bとして用いることで化学物質セ シング素子の製造を完了した。以下、本実 例の説明においては、このようにして製造 れた化学物質センシング素子を化学物質セ シング素子32と呼ぶことにする。

 なお、以下の実施例において、化学物質 ンシングに係る部位の製造方法は、実施例1 と同様である。したがって、以後の実施の形 態の説明において、これらの詳細な説明は繰 返さない。

 ―評価方法―
 この化学物質センシング素子32の特性評価 法を次に示す。図1に示す装置20を、雰囲気 制御できる約20リットルのステンレス(Stainles s Used Steel:SUS)製チャンバー内へ挿入し、一 、化学物質センシング素子の周辺雰囲気を イヤフラムポンプで10 -3 Torr程度の真空状態とした。直流電源30により 電流200μAを流し、化学物質センシング素子32 負荷抵抗34との間の接点の電気抵抗変化を 幅器36において増幅し、増幅した電気抵抗変 化を増幅器36の出力電圧変化として図示しな 直流電圧計により測定した。なお、化学物 センシング素子32の初期抵抗はRo=20kωであり 、測定頻度は1秒毎で、60秒間行なった。この 測定値を初期値とした。次に、1リットルの ドラーバッグに封入したペンタン濃度100ppb センシング対象ガスを、チャンバー内へ、 力ゲージを見ながら少量ずつ導入し、大気 になったところで導入を停止した。

 なお、センシング対象ガスは以下の要領 作製した。1ppmの濃度に窒素で希釈されたペ ンタン標準ガスと、窒素ガスとを1/10の割合 混合することにより、ペンタン標準ガスを 釈し、ペンタン濃度100ppbのセンシング対象 スとした。

 この状態で、先の測定と同様の条件で増 器36の出力電圧変化を基準値測定時と同様 行なった。初期値との差異をプロットした のを図11に示す。

 ―評価結果―
 図11を参照して、測定値300は電気抵抗変化 示している。図11から、本実施例における化 学物質センシング素子32は、ペンタンの存在 確認が可能で、その検出下限は、本実験系 おいては100ppb以下であることがわかった。

 以上のように、第1の実施の形態に係る化 学物質センシング素子は、雰囲気中のペンタ ンの存在を確認することができ、さらに、従 来技術に比べ、高感度であることがわかった 。

 なお、以下の実施例において、化学物質 ンシングに係る部位の製造方法と、化学物 センシングに係る部位周辺への測定対象ガ の導入方法は、実施例1と同様である。した がって、以後の実施の形態の説明において、 これらの詳細な説明は繰返さない。

 [実施例2]
 以下に、第2の実施の形態に基づく実施例に ついて説明する。

 ―化学物質センシング部66の製造方法―
 本実施例に係る化学物質センシング部66の 造方法を以下に示す。はじめに、実施例1に す化学物質センシング素子32の製造方法と 様に、カーボンナノ構造体を作製するため 前準備と、カーボンナノ構造体の作製と、 ーボンナノ構造体の還流処理とを行なった 次に、ジメチルスルホキシド(Dimethyl Sulfoxide 。以下「DMSO」と呼ぶ。)550μL中にDAF-2を1mg展 したDAF-2の5mmoL溶液をリン酸緩衝液(0.1mol/L)で 500倍に希釈し(約10μmol/L)、この溶液中へ、カ ボンナノ構造体を5mg入れた後、超音波洗浄 を用いて分散した。この分散液を、PTFE膜上 にろ過して乾燥させ、化学物質センシング部 66とした。

 ―評価方法―
 化学物質センシング装置62の特性評価方法 次に示す。図4を参照して、内部に化学物質 ンシング部66が設置された容器64内に、窒素 で希釈されたNO濃度100ppbの測定対象ガスを導 し、直後に波長495nmの励起光72を化学物質セ ンシング部66へ照射した。この時の蛍光73の 無と、その波長とを、表示システム71を用い て調べた。

 ―評価結果―
 上記処理の結果、波長515nmの蛍光が観測さ た。これにより、本実施例における化学物 センシング素子は、NOの存在の確認が可能で 、その検出下限は、本実験系において100ppb以 下であることがわかった。

 以上のように、第2の実施の形態に係る化 学物質センシング素子は、雰囲気中のNOの存 を確認することができ、さらに、従来技術 比べ、高感度であることがわかった。

 [実施例3]
 以下に、第3の実施の形態に基づく実施例に ついて説明する。

 ―化学物質センシング素子108の製造方法―
 化学物質センシング素子108の製造方法を以 に示す。はじめに、NOセンシング用の化学 質センシング部を、実施例2と同様にして作 し、図6を参照して、ウエル120へ設置した。

 次に、アセトンセンシング用化学物質セ シング部を以下のように作製した。はじめ 、実施例1に示す化学物質センシング素子32 製造方法と同様に、カーボンナノ構造体を 製するための前準備と、カーボンナノ構造 の作製と、カーボンナノ構造体の還流処理 を行なった。次に、DNPH-硫酸試薬を、カー ンナノ構造体表面へ塗布し、アセトンセン ング用化学物質センシング部とした。これ ウエル122に設置し、化学物質センシング素 108の製造を完了した。

 ―評価方法―
 本実施例に基づく化学物質センシング素子1 08の特性評価方法を次に示す。本実施例でも 図4に示す化学物質センシング装置62と同構 の装置を用いる。図4を参照して、容器64内 化学物質センシング素子108を設置する。容 64内に窒素で希釈されたNO及びアセトン濃度 100ppbの測定対象ガスを導入し、直後にUV光(波 長200nm~800nm)を励起光72として化学物質センシ グ素子108へ照射した。この時の蛍光73の有 と、その波長とを、表示システム71を用いて 調べた。

 ―評価結果―
 図4を参照して、励起光72が波長440nmの時、 エル122より、黄色味がかったオレンジ色の 光126を、波長495nmの時、ウエル120より、緑色 の蛍光124を、それぞれ得た。これにより、本 実施例における化学物質センシング素子は、 NOとアセトンとの存在の確認が可能で、その 出下限は、本実験系において100ppb以下であ ことがわかった。

 以上のように、第3の実施例に係る化学物 質センシング素子によれば、雰囲気中のNOと セトンとの存在を確認することができ、さ に、従来技術に比べ、高感度であることが かった。

 また、第3の実施例に係る化学物質センシ ング素子は、このようにセンシング対象ガス が複数混合したものであっても、一度の測定 で簡単にセンシングを行なうことを可能にす ることがわかった。

 [実施例4]
 以下に、第5の実施の形態に基づく実施例に ついて説明する。

 ―化学物質センシング素子142の製造方法―
 化学物質センシング素子142の製造方法を以 に示す。はじめに、実施例1に示す化学物質 センシング素子32の製造方法と同様に、カー ンナノ構造体を作製するための前準備と、 ーボンナノ構造体の作製とを行なった。こ 時、カーボンナノ構造体製膜時の基板温度 、800℃に代えて、500℃~1000℃とした。その き作製されたカーボンナノ構造体は、図8(C) 示される様に、表面に対して垂直に、100μm 度にその長さを揃えて、櫛型パターン上に 長していたカーボンナノ構造体178と、開口 において水平方向へ成長したカーボンナノ 造体179とを含んでいた。

 次に、このカーボンナノ構造体のパター の上から、以下に示す混合液100μLを滴下し 。すなわち、THF溶液に0.1mMの濃度で展開さ たCoPc溶液と、DMSO 0.45mL中、DAF-2が1mgで展開 れた溶液(約5mmol/L)をリン酸緩衝液(0.1mol/L)で5 00倍に希釈した溶液との混合液である。その 、図8(A)に示されるように、櫛型のパターン 152に接続される接点154を直流電源のプラス端 子へ、櫛型のパターン153に接続される接点156 を直流電源のマイナス端子へ接続し、直流電 源の電圧を5Vかけ、カーボンナノ構造体に電 を流し、カーボンナノ構造体表面へCoPc及び DAF-2を一様に修飾した。これを、化学物質セ シング素子142とした。

 ―評価方法―
 窒素で希釈されたNO濃度100ppbのセンシング 象ガスを用いて実施例1と同様に評価を行な 、図11に示されると同様の電気抵抗変化を 認した。これにより、本実施例における化 物質センシング素子は、NOの存在の確認が可 能で、その検出下限は、本実験系において100 ppb以下であることがわかった。

 以上のように、第5の実施の形態に係る化 学物質センシング素子は、雰囲気中のNOの存 を確認することができ、さらに、従来技術 比べ、高感度であることがわかった。

 [実施例2と実施例4の製造方法の評価と比較]
 実施例2及び実施例4において作製した、化 物質センシング素子32及び化学物質センシン グ素子142における、DAF-2による表面修飾の様 を、エネルギーフィルター型透過型電子顕 鏡(EF-TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)、ラマン分 光装置、FT-IR装置、蛍光X線分析装置(FX)、X線 折装置(XD)により評価し、比較した。その結 果、実施例2に基づく化学物質センシング素 32におけるDAF-2層は10~50nm程度の範囲に膜厚が 分布していることが確認された。一方、実施 例4に基づく化学物質センシング素子142にお て、DAF-2層は平均膜厚が5nm程度で形成されて いることが確認され、化学物質センシング素 子32よりも膜厚が薄く、かつ均一であった。

 このことから、実施例4に基づく化学物質 センシングでは、実施例2に基づく方法に比 、NOと反応できるCNTの比表面積がより大きく 、雰囲気中の成分状態をさらに反映できるこ とがわかった。

 以上のように本発明によれば、従来技術 は困難であった、生体情報に含まれる特定 質のセンシングにおいて、マーカー選択性 、高い感度とを有する、カーボンナノ構造 からなる化学物質センシング素子を得るこ ができる。この素子により、NO、ペンタン アセトンなどのマーカーについて、マーカ 選択性を持つ化学物質センシングを行なう とができる。加えて、表面処理により高感 化が可能なことから、今までその検出が困 であった微量マーカーについてもそのセン ングができるようになる。

 なお、上記実施の形態では、カーボンナ 構造体を基体として、その表面を金属錯体 しくはその誘導体、又は特定物質と結合す ことにより蛍光を発する性質を帯びる蛍光 子で修飾をすることにより、化学物質セン ング素子を作成した。カーボンナノ構造体 用いれば感度が向上するのでカーボンナノ 造体を基体として用いることが望ましいが 原理的には基体としては表面修飾する分子 親和性の高いものであればどのような物質 も使用することができる。

 本発明の実施の形態によれば、生体情報 含まれる、疾患に起因する特定物質を、高 度で検出することが可能である。これによ 、個人が容易に健康状態をチェックでき、 患予防及び早期発見に貢献する。

 今回開示された実施の形態は単に例示で って、本発明が上記した実施の形態のみに 限されるわけではない。本発明の範囲は、 明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特 請求の範囲の各請求項によって示され、そ に記載された文言と均等の意味及び範囲内 のすべての変更を含む。

 この発明は、人間の健康状態を調べるた に、気体及び液体の生体試料中の化学物質 センシングするために利用することが出来 。