Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
CHIRAL IRIDIUM AQUA COMPLEX AND METHOD FOR PRODUCING OPTICALLY ACTIVE HYDROXY COMPOUND BY USING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/093668
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a novel chiral iridium aqua complex which can be used for an asymmetric transfer hydrogenation reaction of a carbonyl compound. Specifically disclosed is a chiral iridium aqua complex represented by the following formula (1). (1) (In the formula, R1 and R2 may be the same or different and represent a halogen atom, an alkyl group having 1-6 carbon atoms, an alkoxy group having 1-6 carbon atoms, a haloalkoxy group having 1-6 carbon atoms, an aryl group having at least one substituent selected from the group consisting of a nitro group, a carboxyl group and a cyano group, or the like; and R3 and R4 may be the same or different and represent an alkyl group or the like.)

Inventors:
CARREIRA ERICK M (CH)
Application Number:
PCT/JP2008/051287
Publication Date:
August 07, 2008
Filing Date:
January 29, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
SUMITOMO CHEMICAL CO (JP)
CARREIRA ERICK M (CH)
International Classes:
C07F17/02; C07C51/367; C07C59/48; C07C201/12; C07C205/16; C07C205/32; C07C253/30; C07C255/36; C07F15/00; C07B53/00; C07B61/00
Domestic Patent References:
WO2007032409A12007-03-22
Foreign References:
JPH11335385A1999-12-07
JP2003286294A2003-10-10
Other References:
POTH T. ET AL.: "Kinetics and Mechanism of Water Substitution at Half-Sandwich Iridium(III) Aqua Cations Cp*Ir(A-B)(H2O)2+/+ in Aqueous Solution (Cp+ = eta5-Pentamethylcyclopentadienyl Anion; A-B = Bidentate N,N or N,O Ligand)", EUROPEAN JOURNAL OF INORGANIC CHEMISTRY, no. 5, 2001, pages 1361 - 1369, XP008115953
ABURA T. ET AL.: "Isolation and Crystal Structure of a Water-Soluble Iridium Hydride: A Robust and Highly Active Catalyst for Acid-Catalyzed Transfer Hydrogenations of Carbonyl Compounds in Acidic Media", JOURNAL OF THE AMERICAN CHEMICAL SOCIETY, vol. 125, no. 14, 2003, pages 4149 - 4154, XP008115958
MCFARLAND J.M. ET AL.: "Reductive Alkylation of Proteins Using Iridium Catalyzed Transfer Hydrogenation", JOURNAL OF THE AMERICAN CHEMICAL SOCIETY, vol. 127, no. 39, 2005, pages 13490 - 13491, XP008115954
See also references of EP 2123661A4
J. AM. CHEM. SOC., vol. 126, 2004, pages 3020 - 3021
EUR. J. INORG. CHEM., 2001, pages 1361 - 1369
ORGANOMETALLICS, vol. 18, 1999, pages 5470 - 5474
Attorney, Agent or Firm:
TAKASHIMA, Hajime (1-1 Fushimimachi 4-chome, Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 44, JP)
Download PDF:
Claims:
 式(1):

(式中、
R 1 およびR 2 は同一または異なって、それぞれハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のハロアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基およびシアノ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基を有していてもよいアリール基を示すか、または、R 1 およびR 2 が結合して、その結合炭素原子と一緒になって環を形成する炭素数3~4の直鎖アルキレン基を示し、ここで、当該炭素数3~4の直鎖アルキレン基は、炭素数1~6のアルキル基または炭素数1~6のアルコキシ基を有していてもよく、
R 3 およびR 4 は同一または異なって、それぞれハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のハロアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基およびシアノ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基を有していてもよいアラルキル基、アルキル基または水素原子を示す。)
で表されるキラルなイリジウムアクア錯体。
 アリール基がフェニル基である、請求項1に記載の錯体。
 R 3 およびR 4 が同一または異なって、それぞれ炭素数1~10のアルキル基または水素原子である、請求項1に記載の錯体。
 式(1)で示されるキラルなイリジウムアクア錯体が、式(2):

で表される錯体である、請求項1に記載の錯体。
 式(1)で示されるキラルなイリジウムアクア錯体が、式(2-S):

で表される錯体である、請求項1に記載の錯体。
 式(1)で示されるキラルなイリジウムアクア錯体が、式(3):

で表される錯体である、請求項1に記載の錯体。
 式(1)で示されるキラルなイリジウムアクア錯体が、式(3-R):

で表される錯体である、請求項1に記載の錯体。
 式(1)で示されるキラルなイリジウムアクア錯体が、式(4):

で表される錯体である、請求項1に記載の錯体。
 式(1)で示されるキラルなイリジウムアクア錯体が、式(4-R):

で表される錯体である、請求項1に記載の錯体。
 式(8):

で表されるイリジウム錯体と、式(9):

(式中、
R 1 およびR 2 は同一または異なって、それぞれハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のハロアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基およびシアノ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基を有していてもよいアリール基を示すか、または、R 1 およびR 2 が結合して、その結合炭素原子と一緒になって環を形成する炭素数3~4の直鎖アルキレン基を示し、ここで、当該炭素数3~4の直鎖アルキレン基は、炭素数1~6のアルキル基または炭素数1~6のアルコキシ基を有していてもよく、
R 3 およびR 4 は同一または異なって、それぞれハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のハロアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基およびシアノ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基を有していてもよいアラルキル基、アルキル基または水素原子を示す。)
で表されるキラルなジアミンとを反応させることを特徴とする、式(1):

(式中、R 1 、R 2 、R 3 およびR 4 は上記と同一の意味を示す。)
で表されるキラルなイリジウムアクア錯体の製造方法。
 式(5):

(式中、
R 7 は炭素数1~6のハロアルキル基で置換されたアリール基を示し、
R 8 およびR 9 は同一または異なって、それぞれハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のハロアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基およびシアノ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基を有していてもよいアラルキル基、アルキル基または水素原子を示し、
Xは1価または2価の陰イオンを示し、Xが1価の陰イオンのとき、nは2を示し、Xが2価の陰イオンのとき、nは1を示す。)
で表されるキラルなイリジウムアクア錯体。
 式(5)で示されるキラルなイリジウムアクア錯体が、式(5-R):

(式中、R 7 、R 8 、R 9 、Xおよびnは請求項11と同一の意味を示す。)
で表される錯体である、請求項11に記載の錯体。
 炭素数1~6のハロアルキル基で置換されたアリール基が、トリフルオロメチル基で置換されたフェニル基である、請求項11または請求項12に記載の錯体。
 トリフルオロメチル基で置換されたフェニル基が、3-トリフルオロメチルフェニル基である、請求項13に記載の錯体。
 R 8 およびR 9 が同一または異なって、それぞれ水素原子または炭素数1~10のアルキル基である、請求項13に記載の錯体。
 Xが、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ギ酸イオン、酢酸イオン、トリクロロ酢酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、アセチルアセトナートイオン、ヘキサフルオロリン酸イオンまたはテトラフルオロホウ酸イオンである、請求項11または請求項12に記載の錯体。
 Xが硫酸イオンである、請求項11または請求項12に記載の錯体。
 式(10):

(式中、Xは1価または2価の陰イオンを示し、Xが1価の陰イオンのとき、nは2を示し、Xが2価の陰イオンのとき、nは1を示す。)
で表されるイリジウム錯体と、式(11):

(式中、
R 7 は炭素数1~6のハロアルキル基で置換されたアリール基を示し、
R 8 およびR 9 は同一または異なって、それぞれハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のハロアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基およびシアノ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基を有していてもよいアラルキル基、アルキル基または水素原子を示す。)
で表されるキラルなジアミンとを反応させることを特徴とする、式(5):

(式中、R 7 、R 8 、R 9 、Xおよびnは上記と同一の意味を示す。)
で表されるキラルなイリジウムアクア錯体の製造方法。
 式(1):

(式中、
R 1 およびR 2 は同一または異なって、それぞれハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のハロアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基およびシアノ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基を有していてもよいアリール基を示すか、または、R 1 およびR 2 が結合して、その結合炭素原子と一緒になって環を形成する炭素数3~4の直鎖アルキレン基を示し、ここで、当該炭素数3~4の直鎖アルキレン基は、炭素数1~6のアルキル基または炭素数1~6のアルコキシ基を有していてもよく、
R 3 およびR 4 は同一または異なって、それぞれハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のハロアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基およびシアノ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基を有していてもよいアラルキル基、アルキル基または水素原子を示す。)
で表されるキラルなイリジウムアクア錯体、または式(5):

(式中、
R 7 は炭素数1~6のハロアルキル基で置換されたアリール基を示し、
R 8 およびR 9 は同一または異なって、それぞれハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のハロアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基およびシアノ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基を有していてもよいアラルキル基、アルキル基または水素原子を示し、
Xは1価または2価の陰イオンを示し、Xが1価の陰イオンのとき、nは2を示し、Xが2価の陰イオンのとき、nは1を示す。)
で表されるキラルなイリジウムアクア錯体の存在下で、式(6):

(式中、
R 5 は、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のハロアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基およびシアノ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基を有していてもよいアリール基;ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のハロアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基およびシアノ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基を有していてもよいヘテロアリール基;ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のハロアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基およびシアノ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基を有していてもよいシクロアルキル基;またはハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のハロアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基およびシアノ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基を有していてもよいアラルキル基を示し、
R 6 は、1つまたは2つの炭素数1~6のアルキル基で置換されていてもよいカルバモイル基(ここで、2つの炭素数1~6のアルキル基が結合して窒素原子を含む環を形成してもよく、該環のメチレン基は酸素原子と置き換わっていてもよい。);ハロゲン原子、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のハロアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基およびシアノ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基を有していてもよいアルキル基;またはカルボキシル基を示す。)
で表されるカルボニル化合物の不斉移動水素化反応を実施することを特徴とする、式(7):

(式中、R 5 およびR 6 は上記と同一の意味を示し、*で示した炭素原子は、不斉炭素原子であることを示す。)
で表される光学活性ヒドロキシ化合物の製造方法。
 不斉移動水素化反応をギ酸またはその塩の存在下で実施する、請求項19に記載の製造方法。
 不斉移動水素化反応をギ酸の存在下で実施する、請求項19に記載の製造方法。
 不斉移動水素化反応を水または水とアルコール溶媒との混合溶媒中で実施する、請求項19に記載の製造方法。
 R 6 が、カルボキシル基、カルボキシメチル基、シアノメチル基またはニトロメチル基である、請求項19に記載の製造方法。
 式(6):

(式中、
R 5 は、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のハロアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基およびシアノ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基を有していてもよいアリール基;ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のハロアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基およびシアノ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基を有していてもよいヘテロアリール基;ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のハロアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基およびシアノ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基を有していてもよいシクロアルキル基;またはハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のハロアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基およびシアノ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基を有していてもよいアラルキル基を示し、
R 6 は、1つまたは2つの炭素数1~6のアルキル基で置換されていてもよいカルバモイル基(ここで、2つの炭素数1~6のアルキル基が結合して窒素原子を含む環を形成してもよく、該環のメチレン基は酸素原子と置き換わっていてもよい。);ハロゲン原子、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のハロアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基およびシアノ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基を有していてもよいアルキル基;またはカルボキシル基を示す。)
で表されるカルボニル化合物の不斉移動水素化反応における、式(1):

(式中、
R 1 およびR 2 は同一または異なって、それぞれハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のハロアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基およびシアノ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基を有していてもよいアリール基を示すか、または、R 1 およびR 2 が結合して、その結合炭素原子と一緒になって環を形成する炭素数3~4の直鎖アルキレン基を示し、ここで、当該炭素数3~4の直鎖アルキレン基は、炭素数1~6のアルキル基または炭素数1~6のアルコキシ基を有していてもよく、
R 3 およびR 4 は同一または異なって、それぞれハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のハロアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基およびシアノ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基を有していてもよいアラルキル基、アルキル基または水素原子を示す。)
で表されるキラルなイリジウムアクア錯体、または式(5):

(式中、
R 7 は炭素数1~6のハロアルキル基で置換されたアリール基を示し、
R 8 およびR 9 は同一または異なって、それぞれハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のハロアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基およびシアノ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基を有していてもよいアラルキル基、アルキル基または水素原子を示し、
Xは1価または2価の陰イオンを示し、Xが1価の陰イオンのとき、nは2を示し、Xが2価の陰イオンのとき、nは1を示す。)
で表されるキラルなイリジウムアクア錯体の使用。
Description:
キラルなイリジウムアクア錯体 よびそれを用いた光学活性ヒドロキシ化合 の製造方法

 本発明は、新規なキラルなイリジウムア ア錯体、その製造方法およびそれを用いた 斉移動水素化反応(Asymmetric Transfer Hydrogenati on)による光学活性ヒドロキシ化合物の製造方 法に関する。

 イリジウム錯体を用いた不斉移動水素化反 により、カルボニル化合物から光学活性ヒ ロキシ化合物を製造する方法として、J. Am.  Chem Soc. 2004,  126 , 3020-3021には、

で示されるイリジウムアクア錯体を用いる方 法が記載されている。
 また、Eur. J. Inorg. Chem. 2001, 1361-1369には 過塩素酸イオンを有するキラルなイリジウ アクア錯体が記載されている。

 本発明者は、不斉移動水素化反応による 学活性ヒドロキシ化合物の製造方法に用い ことができる新規なキラルなイリジウム錯 を開発すべく鋭意検討し、本発明に至った

 すなわち、本発明は、
<1>式(1):

(式中、
R 1 およびR 2 は同一または異なって、それぞれハロゲン原 子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアル コキシ基、炭素数1~6のハロアルコキシ基、ニ トロ基、カルボキシル基およびシアノ基から なる群から選ばれる少なくとも1つの置換基 有していてもよいアリール基を示すか、ま は、R 1 およびR 2 が結合して、その結合炭素原子と一緒になっ て環を形成する炭素数3~4の直鎖アルキレン基 を示し、ここで、当該炭素数3~4の直鎖アルキ レン基は、炭素数1~6のアルキル基または炭素 数1~6のアルコキシ基を有していてもよく、
R 3 およびR 4 は同一または異なって、それぞれハロゲン原 子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロ アルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素 数1~6のハロアルコキシ基、ニトロ基、カルボ キシル基およびシアノ基からなる群から選ば れる少なくとも1つの置換基を有していても いアラルキル基、アルキル基または水素原 を示す。)
で表されるキラルなイリジウムアクア錯体;
<2>アリール基がフェニル基である、<1& gt;に記載の錯体;
<3>R 3 およびR 4 が同一または異なって、それぞれ炭素数1~10 アルキル基または水素原子である、<1> たは<2>に記載の錯体; 
<4>式(1)で示されるキラルなイリジウムア クア錯体が、式(2):

で表される錯体である、<1>に記載の錯体 ;
<5>式(1)で示されるキラルなイリジウムア クア錯体が、式(2-S):

で表される錯体である、<1>に記載の錯体 ;
<6>式(1)で示されるキラルなイリジウムア クア錯体が、式(3):

で表される錯体である、<1>に記載の錯体 ;
<7>式(1)で示されるキラルなイリジウムア クア錯体が、式(3-R):

で表される錯体である、<1>に記載の錯体 ;
<8>式(1)で示されるキラルなイリジウムア クア錯体が、式(4):

で表される錯体である、<1>に記載の錯体 ;
<9>式(1)で示されるキラルなイリジウムア クア錯体が、式(4-R):

で表される錯体である、<1>に記載の錯体 ;
<10>式(8):

で表されるイリジウム錯体と、式(9):

(式中、
R 1 およびR 2 は同一または異なって、それぞれハロゲン原 子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアル コキシ基、炭素数1~6のハロアルコキシ基、ニ トロ基、カルボキシル基およびシアノ基から なる群から選ばれる少なくとも1つの置換基 有していてもよいアリール基を示すか、ま は、R 1 およびR 2 が結合して、その結合炭素原子と一緒になっ て環を形成する炭素数3~4の直鎖アルキレン基 を示し、ここで、当該炭素数3~4の直鎖アルキ レン基は、炭素数1~6のアルキル基または炭素 数1~6のアルコキシ基を有していてもよく、
R 3 およびR 4 は同一または異なって、それぞれハロゲン原 子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロ アルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素 数1~6のハロアルコキシ基、ニトロ基、カルボ キシル基およびシアノ基からなる群から選ば れる少なくとも1つの置換基を有していても いアラルキル基、アルキル基または水素原 を示す。)
で表されるキラルなジアミンとを反応させる ことを特徴とする、式(1):

(式中、R 1 、R 2 、R 3 およびR 4 は上記と同一の意味を示す。)
で表されるキラルなイリジウムアクア錯体の 製造方法;
<11>式(5):

(式中、
R 7 は炭素数1~6のハロアルキル基で置換されたア リール基を示し、
R 8 およびR 9 は同一または異なって、それぞれハロゲン原 子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロ アルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素 数1~6のハロアルコキシ基、ニトロ基、カルボ キシル基およびシアノ基からなる群から選ば れる少なくとも1つの置換基を有していても いアラルキル基、アルキル基または水素原 を示し、
Xは1価または2価の陰イオンを示し、Xが1価の イオンのとき、nは2を示し、Xが2価の陰イオ ンのとき、nは1を示す。)
で表されるキラルなイリジウムアクア錯体;
<12>式(5)で示されるキラルなイリジウム クア錯体が、式(5-R):

(式中、R 7 、R 8 、R 9 、Xおよびnは<11>と同一の意味を示す。)
で表される錯体である、<11>に記載の錯 ;
<13>炭素数1~6のハロアルキル基で置換さ たアリール基が、トリフルオロメチル基で 換されたフェニル基である、<11>または& lt;12>に記載の錯体;
<14>トリフルオロメチル基で置換された ェニル基が、3-トリフルオロメチルフェニル 基である、<13>に記載の錯体;
<15>R 8 およびR 9 が同一または異なって、それぞれ水素原子ま たは炭素数1~10のアルキル基である、<11>~ <14>のいずれかに記載の錯体;
<16>Xが、塩化物イオン、臭化物イオン、 ウ化物イオン、メタンスルホン酸イオン、 リフルオロメタンスルホン酸イオン、ギ酸 オン、酢酸イオン、トリクロロ酢酸イオン 硝酸イオン、硫酸イオン、アセチルアセト ートイオン、ヘキサフルオロリン酸イオン たはテトラフルオロホウ酸イオンである、& lt;11>~<15>のいずれかに記載の錯体;
<17>Xが硫酸イオンである、<11>~<15&g t;のいずれかに記載の錯体;
<18>式(10):

(式中、Xは1価または2価の陰イオンを示し、X 1価の陰イオンのとき、nは2を示し、Xが2価 陰イオンのとき、nは1を示す。)
で表されるイリジウム錯体と、式(11):

(式中、
R 7 は炭素数1~6のハロアルキル基で置換されたア リール基を示し、
R 8 およびR 9 は同一または異なって、それぞれハロゲン原 子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロ アルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素 数1~6のハロアルコキシ基、ニトロ基、カルボ キシル基およびシアノ基からなる群から選ば れる少なくとも1つの置換基を有していても いアラルキル基、アルキル基または水素原 を示す。)
で表されるキラルなジアミンとを反応させる ことを特徴とする、式(5):

(式中、R 7 、R 8 、R 9 、Xおよびnは上記と同一の意味を示す。)
で表されるキラルなイリジウムアクア錯体の 製造方法;
<19>式(1):

(式中、
R 1 およびR 2 は同一または異なって、それぞれハロゲン原 子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアル コキシ基、炭素数1~6のハロアルコキシ基、ニ トロ基、カルボキシル基およびシアノ基から なる群から選ばれる少なくとも1つの置換基 有していてもよいアリール基を示すか、ま は、R 1 およびR 2 が結合して、その結合炭素原子と一緒になっ て環を形成する炭素数3~4の直鎖アルキレン基 を示し、ここで、当該炭素数3~4の直鎖アルキ レン基は、炭素数1~6のアルキル基または炭素 数1~6のアルコキシ基を有していてもよく、
R 3 およびR 4 は同一または異なって、それぞれハロゲン原 子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロ アルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素 数1~6のハロアルコキシ基、ニトロ基、カルボ キシル基およびシアノ基からなる群から選ば れる少なくとも1つの置換基を有していても いアラルキル基、アルキル基または水素原 を示す。)
で表されるキラルなイリジウムアクア錯体、 または式(5):

(式中、
R 7 は炭素数1~6のハロアルキル基で置換されたア リール基を示し、
R 8 およびR 9 は同一または異なって、それぞれハロゲン原 子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロ アルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素 数1~6のハロアルコキシ基、ニトロ基、カルボ キシル基およびシアノ基からなる群から選ば れる少なくとも1つの置換基を有していても いアラルキル基、アルキル基または水素原 を示し、
Xは1価または2価の陰イオンを示し、Xが1価の イオンのとき、nは2を示し、Xが2価の陰イオ ンのとき、nは1を示す。)
で表されるキラルなイリジウムアクア錯体の 存在下で、式(6):

(式中、
R 5 は、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、 炭素数1~6のハロアルキル基、炭素数1~6のアル コキシ基、炭素数1~6のハロアルコキシ基、ニ トロ基、カルボキシル基およびシアノ基から なる群から選ばれる少なくとも1つの置換基 有していてもよいアリール基;ハロゲン原子 炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロア キル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1 ~6のハロアルコキシ基、ニトロ基、カルボキ ル基およびシアノ基からなる群から選ばれ 少なくとも1つの置換基を有していてもよい ヘテロアリール基;ハロゲン原子、炭素数1~6 アルキル基、炭素数1~6のハロアルキル基、 素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のハロア コキシ基、ニトロ基、カルボキシル基およ シアノ基からなる群から選ばれる少なくと 1つの置換基を有していてもよいシクロアル ル基;またはハロゲン原子、炭素数1~6のアル キル基、炭素数1~6のハロアルキル基、炭素数 1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のハロアルコキ シ基、ニトロ基、カルボキシル基およびシア ノ基からなる群から選ばれる少なくとも1つ 置換基を有していてもよいアラルキル基を し、
R 6 は、1つまたは2つの炭素数1~6のアルキル基で 換されていてもよいカルバモイル基(ここで 、2つの炭素数1~6のアルキル基が結合して窒 原子を含む環を形成してもよく、該環のメ レン基は酸素原子と置き換わっていてもよ 。);ハロゲン原子、炭素数1~6のアルコキシ基 、炭素数1~6のハロアルコキシ基、ニトロ基、 カルボキシル基およびシアノ基からなる群か ら選ばれる少なくとも1つの置換基を有して てもよいアルキル基;またはカルボキシル基 示す。)
で表されるカルボニル化合物の不斉移動水素 化反応を実施することを特徴とする、式(7):

(式中、R 5 およびR 6 は上記と同一の意味を示し、*で示した炭素 子は、不斉炭素原子であることを示す。)
で表される光学活性ヒドロキシ化合物の製造 方法;
<20>不斉移動水素化反応をギ酸またはそ 塩の存在下で実施する、<19>に記載の製 方法;
<21>不斉移動水素化反応をギ酸の存在下 実施する、<19>に記載の製造方法;
<22>不斉移動水素化反応を水または水と ルコール溶媒との混合溶媒中で実施する、&l t;19>、<20>または<21>に記載の製造 法;
<23>R 6 が、カルボキシル基、カルボキシメチル基、 シアノメチル基またはニトロメチル基である 、<19>~<22>のいずれかに記載の製造方 法;
<24>式(6):

(式中、
R 5 は、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、 炭素数1~6のハロアルキル基、炭素数1~6のアル コキシ基、炭素数1~6のハロアルコキシ基、ニ トロ基、カルボキシル基およびシアノ基から なる群から選ばれる少なくとも1つの置換基 有していてもよいアリール基;ハロゲン原子 炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロア キル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1 ~6のハロアルコキシ基、ニトロ基、カルボキ ル基およびシアノ基からなる群から選ばれ 少なくとも1つの置換基を有していてもよい ヘテロアリール基;ハロゲン原子、炭素数1~6 アルキル基、炭素数1~6のハロアルキル基、 素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のハロア コキシ基、ニトロ基、カルボキシル基およ シアノ基からなる群から選ばれる少なくと 1つの置換基を有していてもよいシクロアル ル基;またはハロゲン原子、炭素数1~6のアル キル基、炭素数1~6のハロアルキル基、炭素数 1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のハロアルコキ シ基、ニトロ基、カルボキシル基およびシア ノ基からなる群から選ばれる少なくとも1つ 置換基を有していてもよいアラルキル基を し、
R 6 は、1つまたは2つの炭素数1~6のアルキル基で 換されていてもよいカルバモイル基(ここで 、2つの炭素数1~6のアルキル基が結合して窒 原子を含む環を形成してもよく、該環のメ レン基は酸素原子と置き換わっていてもよ 。);ハロゲン原子、炭素数1~6のアルコキシ基 、炭素数1~6のハロアルコキシ基、ニトロ基、 カルボキシル基およびシアノ基からなる群か ら選ばれる少なくとも1つの置換基を有して てもよいアルキル基;またはカルボキシル基 示す。)
で表されるカルボニル化合物の不斉移動水素 化反応における、式(1):

(式中、
R 1 およびR 2 は同一または異なって、それぞれハロゲン原 子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアル コキシ基、炭素数1~6のハロアルコキシ基、ニ トロ基、カルボキシル基およびシアノ基から なる群から選ばれる少なくとも1つの置換基 有していてもよいアリール基を示すか、ま は、R 1 およびR 2 が結合して、その結合炭素原子と一緒になっ て環を形成する炭素数3~4の直鎖アルキレン基 を示し、ここで、当該炭素数3~4の直鎖アルキ レン基は、炭素数1~6のアルキル基または炭素 数1~6のアルコキシ基を有していてもよく、
R 3 およびR 4 は同一または異なって、それぞれハロゲン原 子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロ アルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素 数1~6のハロアルコキシ基、ニトロ基、カルボ キシル基およびシアノ基からなる群から選ば れる少なくとも1つの置換基を有していても いアラルキル基、アルキル基または水素原 を示す。)
で表されるキラルなイリジウムアクア錯体、 または式(5):

(式中、
R 7 は炭素数1~6のハロアルキル基で置換されたア リール基を示し、
R 8 およびR 9 は同一または異なって、それぞれハロゲン原 子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロ アルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素 数1~6のハロアルコキシ基、ニトロ基、カルボ キシル基およびシアノ基からなる群から選ば れる少なくとも1つの置換基を有していても いアラルキル基、アルキル基または水素原 を示し、
Xは1価または2価の陰イオンを示し、Xが1価の イオンのとき、nは2を示し、Xが2価の陰イオ ンのとき、nは1を示す。)
で表されるキラルなイリジウムアクア錯体の 使用;
等を提供するものである。

 本発明の式(1)または式(5)で示されるキラ なイリジウムアクア錯体は新規であり、該 体を用いる不斉移動水素化反応により、光 活性ヒドロキシ化合物を製造することがで る。

 まず、式(1):

(式中、
R 1 およびR 2 は同一または異なって、それぞれハロゲン原 子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアル コキシ基、炭素数1~6のハロアルコキシ基、ニ トロ基、カルボキシル基およびシアノ基から なる群から選ばれる少なくとも1つの置換基 有していてもよいアリール基を示すか、ま は、R 1 およびR 2 が結合して、その結合炭素原子と一緒になっ て環を形成する炭素数3~4の直鎖アルキレン基 を示し、ここで、当該炭素数3~4の直鎖アルキ レン基は、炭素数1~6のアルキル基または炭素 数1~6のアルコキシ基を有していてもよく、
R 3 およびR 4 は同一または異なって、それぞれハロゲン原 子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロ アルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素 数1~6のハロアルコキシ基、ニトロ基、カルボ キシル基およびシアノ基からなる群から選ば れる少なくとも1つの置換基を有していても いアラルキル基、アルキル基または水素原 を示す。)
で示されるキラルなイリジウムアクア錯体( 下、錯体(1)と略記する。)について説明する

 錯体(1)の式中、R 1 およびR 2 におけるアリール基としては、炭素数6~14の リール基が挙げられ、フェニル基、ナフチ 基、アントリル基、フェナントリル基、ア ナフチレニル基、ビフェニリル基等が好ま く、フェニル基がより好ましい。
 R 1 およびR 2 におけるハロゲン原子としては、フッ素原子 、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙 げられる。
 R 1 およびR 2 における炭素数1~6のアルキル基としては、直 鎖状であっても分枝鎖状であってもよく、メ チル基、エチル基、プロピル基、イソプロピ ル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル 、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル 基、ネオペンチル基、ヘキシル基等が挙げら れる。
 R 1 およびR 2 における炭素数1~6のアルコキシ基としては、 直鎖状であっても分枝鎖状であってもよく、 メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イ ソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ 基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチ ルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペ ンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等が挙げ られる。
 R 1 およびR 2 における炭素数1~6のハロアルコキシ基として は、直鎖状であっても分枝鎖状であってもよ く、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキ シ基、トリフルオロメトキシ基、2-フルオロ トキシ基、2,2-ジフルオロエトキシ基、2,2,2- トリフルオロエトキシ基、3-フルオロプロポ シ基、4-フルオロブトキシ基、5-フルオロペ ンチルオキシ基、6-フルオロヘキシルオキシ 等が挙げられる。

 また、R 1 およびR 2 が結合して、その結合炭素原子と一緒になっ て環を形成する炭素数3~4の直鎖アルキレン基 としては、トリメチレン基およびテトラメチ レン基が挙げられる。かかる炭素数3~4の直鎖 アルキレン基が有していてもよい炭素数1~6の アルキル基および炭素数1~6のアルコキシ基と しては、前記したものと同様のものが挙げら れる。さらに、形成される前記環の具体例と しては、シクロペンタン環、シクロヘキサン 環等が挙げられる。

 R 1 およびR 2 がそれぞれフェニル基であるか、またはR 1 およびR 2 が結合してテトラメチレン基を示し、その結 合炭素原子と一緒になってシクロヘキサン環 を形成することが好ましい。

 R 3 およびR 4 におけるアラルキル基としては、前記アリー ル基と前記炭素数1~6のアルキル基とから構成 されるものが挙げられ、ベンジル基、1-フェ ルエチル基、2-フェニルエチル基、1-(1-ナフ チル)エチル基、1-(2-ナフチル)エチル基、2-(1- ナフチル)エチル基、2-(2-ナフチル)エチル基 1-フェニルプロピル基、2-フェニルプロピル 、3-フェニルプロピル基、1-フェニルブチル 基、2-フェニルブチル基、3-フェニルブチル 、4-フェニルブチル基等が挙げられる。
 R 3 およびR 4 におけるハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル 基、炭素数1~6のアルコキシ基および炭素数1~6 のハロアルコキシ基としては、前記したもの と同様のものが挙げられる。
 R 3 およびR 4 における炭素数1~6のハロアルキル基としては 、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく 、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、 トリフルオロメチル基、2-フルオロエチル基 2,2-ジフルオロエチル基、2,2,2-トリフルオロ エチル基、3-フルオロプロピル基、4-フルオ ブチル基、5-フルオロペンチル基、6-フルオ ヘキシル基等が挙げられる。

 R 3 およびR 4 におけるアルキル基としては、メチル基、エ チル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチ ル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチ ル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペ ンチル基、ヘキシル基、2-エチルブチル基、 プチル基、オクチル基、ノニル基、デシル 等の炭素数1~10のアルキル基が挙げられる。

 R 3 およびR 4 が同一または異なって、それぞれ水素原子ま たは炭素数1~10のアルキル基であることが好 しく、共に水素原子または炭素数1~10のアル ル基であることがより好ましく、共に水素 子またはメチル基であることがさらに好ま く、共にメチル基であることが特に好まし 。

 錯体(1)の具体例としては、下記式(2)~(4):

で表されるキラルなイリジウムアクア錯体 、すなわち、下記式(2-S)、(2-R)、(3-R)、(3-S)、( 4-R)および(4-S):

で表されるキラルなイリジウムアクア錯体が 挙げられる。
 なかでも、式(2-S)、(3-R)および(4-R)で示され キラルなイリジウムアクア錯体が好ましい

 かかる錯体(1)は、式(8):

で表されるイリジウム錯体(以下、イリジ ム錯体(8)と略記する。)と式(9):

(式中、R 1 、R 2 、R 3 およびR 4 は上記と同一の意味を示す。)
で表されるキラルなジアミン(以下、ジアミ (9)と略記する。)とを反応させることにより 造することができる。

 イリジウム錯体(8)は、Organometallics 1999,  18 , 5470-5474に記載の方法に従い製造することが できる。

 ジアミン(9)の具体例としては、下記式:


で表されるキラルなジアミン、すなわち、下 記式:

で表されるキラルなジアミンが挙げられる 。

 かかるジアミン(9)は、市販されているもの 用いてもよいし、公知の方法で製造したも を用いてもよい。
 かかるジアミン(9)としては、その光学純度 0%e.e.より大きく、100%e.e.以下であるもので ればよく、なかでも、90%e.e.以上のものが好 しく、95%e.e.以上のものがより好ましい。
 ジアミン(9)の使用量は、イリジウム錯体(8)1 モルに対して、通常0.8~2モルであり、経済性 観点から、0.9~1.2モルが好ましい。

 イリジウム錯体(8)とジアミン(9)との反応は 通常溶媒中で、その両者を混合することに り実施される。
 溶媒としては、水、メタノール等のアルコ ル溶媒、およびこれらの混合溶媒等が挙げ れ、中でも、水または水とアルコール溶媒 の混合溶媒が好ましい。水とアルコール溶 との混合溶媒を用いる場合、水とアルコー 溶媒の容量比は、ジアミン(9)の種類にもよ が、通常1:1~10:1であり、好ましくは1:1~5:1で る。溶媒の使用量は、イリジウム錯体(8)に して、通常1~100重量倍である。
 反応温度は、通常0~110℃、好ましくは5~50℃ あり、反応時間は、ジアミン(9)の種類にも るが、通常1~50時間、好ましくは1~24時間で る。
 反応終了後、例えば、反応混合物を濃縮す ことにより、錯体(1)を取り出すことができ 。取り出した錯体(1)は、必要に応じて、再 晶等の通常の精製手段によりさらに精製し もよい。
 得られた錯体(1)は空気や水に対する安定性 良好である。また、水への溶解性も良好で る。

 続いて、式(5):

(式中、
R 7 は炭素数1~6のハロアルキル基で置換されたア リール基を示し、
R 8 およびR 9 は同一または異なって、それぞれハロゲン原 子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロ アルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素 数1~6のハロアルコキシ基、ニトロ基、カルボ キシル基およびシアノ基からなる群から選ば れる少なくとも1つの置換基を有していても いアラルキル基、アルキル基または水素原 を示し、
Xは1価または2価の陰イオンを示し、Xが1価の イオンのとき、nは2を示し、Xが2価の陰イオ ンのとき、nは1を示す。)
で表されるキラルなイリジウムアクア錯体( 下、錯体(5)と略記する。)について説明する

 R 7 におけるアリール基としては、前記したもの と同様のものが挙げられ、なかでも、フェニ ル基が好ましい。R 7 における炭素数1~6のハロアルキル基としては 、前記したものと同様のものが挙げられ、な かでもトリフルオロメチル基が好ましい。
 R 7 としては、トリフルオロメチル基で置換され たフェニル基が好ましく、3-トリフルオロメ ルフェニル基がより好ましい。

 R 8 およびR 9 におけるハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル 基、炭素数1~6のハロアルキル基、炭素数1~6の アルコキシ基、炭素数1~6のハロアルコキシ基 、ニトロ基、カルボキシル基およびシアノ基 からなる群から選ばれる少なくとも1つの置 基を有していてもよいアラルキル基および ルキル基としては、前記R 3 およびR 4 において例示したものと同様のものが挙げら れる。
 R 8 およびR 9 が同一または異なって、それぞれ水素原子ま たは炭素数1~10のアルキル基であることが好 しく、共に水素原子または炭素数1~10のアル ル基であることがより好ましく、共に水素 子またはメチル基であることがさらに好ま く、共にメチル基であることが特に好まし 。

 陰イオンとしては、塩化物イオン、臭化 イオン、ヨウ化物イオン、メタンスルホン イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イ ン、ギ酸イオン、酢酸イオン、トリクロロ 酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、アセ ルアセトナートイオン、ヘキサフルオロリ 酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン等 挙げられ、硫酸イオンが好ましい。

 かかる錯体(5)としては、下記式(5-R)およ (5-S):

(式中、R 7 、R 8 、R 9 、Xおよびnは上記と同一の意味を示す。)
で表されるキラルなイリジウムアクア錯体が 挙げられ、式(5-R)で表されるキラルなイリジ ムアクア錯体が好ましく、下記式(12):

で表されるキラルなイリジウムアクア錯体 がより好ましく、下記式(12-R):

で表されるキラルなイリジウムアクア錯体 が特に好ましい。

 かかる錯体(5)は、式(10):

(式中、Xおよびnは上記と同一の意味を示す。 )
で表されるイリジウム錯体(以下、イリジウ 錯体(10)と略記する。)と式(11):

(式中、R 7 、R 8 およびR 9 は上記と同一の意味を示す。)
で表されるキラルなジアミン(以下、ジアミ (11)と略記する。)とを反応させることにより 製造することができる。

 イリジウム錯体(10)は、例えば、Organometallics  1999,  18 , 5470-5474に記載の方法に準じて製造すること ができる。

 ジアミン(11)としては、下記式:

で示されるキラルなジアミン、すなわち、

で示されるキラルなジアミンが挙げられる 。

 かかるジアミン(11)は、市販されているもの を用いてもよいし、公知の方法で製造したも のを用いてもよい。
 かかるジアミン(11)としては、その光学純度 が0%e.e.より大きく、100%e.e.以下であるもので ればよく、なかでも、90%e.e.以上のものが好 ましく、95%e.e.以上のものがより好ましい。
 ジアミン(11)の使用量は、イリジウム錯体(10 )1モルに対して、通常0.8~2モルであり、経済 の観点から、0.9~1.2モルが好ましい。

 イリジウム錯体(10)とジアミン(11)との反応 、通常溶媒中で、その両者を混合すること より実施される。
 溶媒としては、水、メタノール等のアルコ ル溶媒、およびこれらの混合溶媒等が挙げ れ、中でも、水または水とアルコール溶媒 の混合溶媒が好ましい。水とアルコール溶 との混合溶媒を用いる場合、水とアルコー 溶媒の容量比は、ジアミン(11)の種類にもよ るが、通常1:1~10:1であり、好ましくは1:1~5:1で ある。溶媒の使用量は、イリジウム錯体(10) 対して、通常1~100重量倍である。
 反応温度は、通常0~110℃、好ましくは5~50℃ あり、反応時間は、ジアミン(10)の種類にも よるが、通常1~50時間、好ましくは1~24時間で る。
 反応終了後、例えば、反応混合物を濃縮す ことにより、錯体(5)を取り出すことができ 。取り出した錯体(5)は、必要に応じて、再 晶等の通常の精製手段によりさらに精製し もよい。
 得られた錯体(5)は、空気や水に対する安定 が良好である。また、水への溶解性も良好 ある。

 続いて、錯体(1)または錯体(5)の存在下で 式(6)で表されるカルボニル化合物(以下、カ ルボニル化合物(6)と略記する。)の不斉移動 素化反応を実施して、式(7)で表される光学 性ヒドロキシ化合物(以下、光学活性ヒドロ シ化合物(7)と略記する。)を製造する方法に ついて説明する。

 R 5 におけるハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル 基、炭素数1~6のハロアルキル基、炭素数1~6の アルコキシ基、炭素数1~6のハロアルコキシ基 、アリール基およびアラルキル基としては、 前記したものと同様のものが挙げられる。ア リール基としては、フェニル基およびナフチ ル基が好ましい。かかるアリール基の置換基 としては、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキ ル基、炭素数1~6のアルコキシ基およびニトロ 基が好ましく、ハロゲン原子、炭素数1~4のア ルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基およびニ トロ基がより好ましい。
 R 5 におけるヘテロアリール基としては、フリル 基、チエニル基、ピリジル基、ベンゾフラニ ル基、インドリル基、ベンゾチオフェニル基 、ピリミジル基、ピラジニル基、キノリル基 、イソキノリル基、フタラジニル基、キナゾ リニル基、キノキサリニル基、シンノリニル 基等が挙げられ、チエニル基が好ましい。
 R 5 におけるシクロアルキル基としては、炭素数 3~8のシクロアルキル基が挙げられ、シクロプ ロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル 基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、 シクロオクチル基等が好ましく、シクロへキ シル基がより好ましい。

 R 5 としては、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキ ル基、炭素数1~6のハロアルキル基、炭素数1~6 のアルコキシ基、炭素数1~6のハロアルコキシ 基、ニトロ基、カルボキシル基およびシアノ 基からなる群から選ばれる少なくとも1つの 換基を有していてもよいアリール基;ハロゲ 原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6の ロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、 素数1~6のハロアルコキシ基、ニトロ基、カ ボキシル基およびシアノ基からなる群から ばれる少なくとも1つの置換基を有していて もよいヘテロアリール基;またはハロゲン原 、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロ ルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素 1~6のハロアルコキシ基、ニトロ基、カルボ シル基およびシアノ基からなる群から選ば る少なくとも1つの置換基を有していてもよ シクロアルキル基であることが好ましく、
ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素 数1~6のハロアルキル基、炭素数1~6のアルコキ シ基、炭素数1~6のハロアルコキシ基、ニトロ 基、カルボキシル基およびシアノ基からなる 群から選ばれる少なくとも1つの置換基を有 ていてもよいアリール基;ヘテロアリール基; またはシクロアルキル基であることがより好 ましく、
フェニル基;ハロゲン原子で置換されたフェ ル基;炭素数1~6のアルキル基で置換されたフ ニル基;炭素数1~6のアルコキシ基で置換され たフェニル基;ニトロ基で置換されたフェニ 基;ナフチル基;チエニル基;またはシクロヘ シル基であることがさらに好ましく、
フェニル基;ハロゲン原子で置換されたフェ ル基;炭素数1~6のアルキル基で置換されたフ ニル基;炭素数1~6のアルコキシ基で置換され たフェニル基;ニトロ基で置換されたフェニ 基;またはナフチル基であることが特に好ま い。

 R 6 における炭素数1~6のアルキル基としては、前 記したものと同様のものが挙げられる。1つ たは2つの炭素数1~6のアルキル基で置換され いてもよいカルバモイル基の具体例として 、カルバモイル基、メチルカルバモイル基 モルホリノカルボニル基等が挙げられる。
 R 6 におけるハロゲン原子、炭素数1~6のアルコキ シ基、炭素数1~6のハロアルコキシ基およびア ルキル基としては、前記したものと同様のも のが挙げられる。

 R 6 としては、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルコ キシ基、炭素数1~6のハロアルコキシ基、ニト ロ基、カルボキシル基およびシアノ基からな る群から選ばれる少なくとも1つの置換基を していてもよい炭素数1~10のアルキル基、ま はカルボキシル基が好ましく、カルボキシ 基、ニトロ基およびシアノ基からなる群か 選ばれる少なくとも1つの置換基を有する炭 素数1~6のアルキル基、またはカルボキシル基 がより好ましく、カルボキシメチル基、シア ノメチル基、ニトロメチル基またはカルボキ シル基が特に好ましい。

 かかるカルボニル化合物(6)としては、市販 れているものを用いてもよいし、公知の方 に準じて製造したものを用いてもよい。
 カルボニル化合物(6)としては、下記式(6a):

(式中、Ar 1 は、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、 炭素数1~6のアルコキシ基およびニトロ基から なる群から選ばれる少なくとも1つの置換基 有していてもよいフェニル基;ナフチル基;チ エニル基またはシクロヘキシル基を示し、R 10 は、カルボキシル基、ニトロ基またはシアノ 基を示す。)で表されるカルボニル化合物が ましい。

 錯体(1)としては、前記式(2)~(4)で表されるキ ラルなイリジウムアクア錯体が好ましい。錯 体(5)としては、前記式(12)で表されるキラル イリジウムアクア錯体が好ましい。
 不斉移動水素化反応における立体選択性の で、錯体(5)を用いることが好ましく、式(5-R )で表されるキラルなイリジウムアクア錯体 用いることがより好ましい。また、R 7 がトリフルオロメチル基で置換されたフェニ ル基である錯体(5)または式(5-R)で表されるキ ルなイリジウムアクア錯体を用いることが ましく、R 7 が3-トリフルオロメチルフェニル基である錯 (5)または式(5-R)で表されるキラルなイリジ ムアクア錯体を用いることがより好ましい
 また、Xが硫酸イオンである錯体(5)または式 (5-R)で表されるキラルなイリジウムアクア錯 を用いることが好ましく、R 7 がトリフルオロメチル基で置換されたフェニ ル基で、かつXが硫酸イオンである錯体(5)ま は式(5-R)で表されるキラルなイリジウムアク ア錯体を用いることがより好ましく、前記式 (12)で表されるキラルなイリジウムアクア錯 または前記式(12-R)で表されるキラルなイリ ウムアクア錯体を用いることが特に好まし 。

 錯体(1)または錯体(5)の使用量は、カルボ ル化合物(6)1モルに対して、通常0.001~0.1モル であり、反応性と経済性の観点から、0.003~0.0 5モルが好ましい。

 カルボニル化合物(6)の不斉移動水素化反応 、通常、溶媒中で、カルボニル化合物(6)と 素供与性化合物と錯体(1)または錯体(5)を混 することにより実施される。
 水素供与性化合物としては、ギ酸、ギ酸ナ リウム等のギ酸塩、イソプロパノール等が げられ、カルボニル化合物(6)の転換率の点 、ギ酸またはその塩が好ましく、ギ酸がよ 好ましい。水素供与性化合物の使用量は、 ルボニル化合物(6)1モルに対して、通常1~100 ルであり、経済性の観点から、2~10モルが好 ましい。
 溶媒としては、水、メタノール等のアルコ ル溶媒、およびそれらの混合溶媒等が挙げ れ、中でも、水または水とアルコール溶媒 の混合溶媒が好ましい。水とアルコール溶 との混合溶媒を用いる場合、水とアルコー 溶媒の容量比は、カルボニル化合物(6)およ 錯体(1)または(5)の種類や量にもよるが、通 10:1~1:10であり、好ましくは3:1~1:3である。溶 媒の使用量は、カルボニル化合物(6)に対して 、通常1~100重量倍である。
 反応温度は、通常30~100℃、好ましくは40~85 であり、反応時間は、錯体(1)または(5)の種 にもよるが、通常1~50時間、好ましくは1~24時 間である。
 反応終了後、例えば、反応混合物を濃縮す ことにより、光学活性ヒドロキシ化合物(7) 取り出すことができる。取り出した光学活 ヒドロキシ化合物(7)を、再結晶、抽出精製 蒸留、活性炭、シリカ、アルミナ等の吸着 理、シリカゲルカラムクロマトグラフィー のクロマトグラフィー法等の通常の精製手 によりさらに精製することができる。

 以下、本発明について、実施例を挙げてさ に具体的に説明する。本発明はこれらによ 何ら限定されるものではない。なお、Cp * はη 5 -ペンタメチルシクロペンタジエニル アニオ ンを表わす。

参考例1

 水12mL、硫酸銀1.05gおよび[Cp * IrCl 2 ] 2 1.34gの混合物を室温で12時間攪拌した。次い 、反応混合物を濾過して、塩化銀を除去し 溶媒を減圧留去して、黄色固体の[Cp * Ir(H 2 O) 3 ](SO 4 )1.55gを得た。収率:97%。
1 H NMR (300 MHz, D 2 O) δ: 1.59 (s, 15 H).

参考例2

 [Cp * Ir(H 2 O) 3 ](SO 4 )100mg、ビピリジン34mgおよび水1.5mLを混合し、 室温で12時間攪拌した。反応混合物から溶媒 減圧留去して、黄色固体の上記式(a)で表さ るイリジウムアクア錯体を定量的に得た。
1 H NMR (300 MHz, D 2 O) δ: 1.65 (s, 15 H), 7.87 (t, J = 5.7 Hz, 2 H ), 8.32 (t, J = 8.1 Hz, 2 H), 8.51 (d, J = 8.1 Hz, 2 H), 9.10 (d, J = 5.7 Hz, 2 H).

実施例1

 [Cp * Ir(H 2 O) 3 ](SO 4 )100mg、(1S,2S)-シクロヘキサン-1,2-ジアミン25mg よび水2mlを混合し、室温で7時間攪拌した。 反応混合物から溶媒を減圧留去して、緑色固 体の上記式(2-S)で表されるキラルなイリジウ アクア錯体を得た。
1 H NMR (300 MHz, MeOD) δ: 1.15-1.46 (m, 4H), 1.59-1 .71 (m, 2H), 1.74 (s, 15H), 2.01-2.19 (m, 3H), 2.50 -2.60 (m, 1H), 4.65-4.75 (m, 1H), 5.20-5.40 (m, 1H),  5.42-5.75 (m, 2H). 
13 C NMR (75 MHz, MeOD) δ: 8.8, 25.6, 25.7, 33.7, 34 .5, 58.7, 63.7, 86.1.
HR-MALDI calcd for C 16 H 28 IrN 2 [M-SO 4 -H 2 O-H] + , 441.1882. Found 441.1876. 
[α] D 30  -44.24 (c 0.25, EtOH).

実施例2

 [Cp * Ir(H 2 O) 3 ](SO 4 )95mg、(1R,2R)-1,2-ジフェニルエタン-1,2-ジアミ 45mgおよび水とメタノールの混合溶媒(容量比  2:1)3mLを混合し、得られた溶液を室温で12時 攪拌した。反応混合物から溶媒を減圧留去 て、オレンジ色固体の上記式(3-R)で表され キラルなイリジウムアクア錯体を得た。
1 H NMR (300 MHz, D 2 O) δ: 1.75 (s, 15H), 4.18 (br s, 2H), 7.20-7.28 ( m, 10H). 
1 H NMR (300 MHz, MeOD) δ: 1.81 (s, 15H), 3.90-4.00 (m, 1H), 4.28-4.38 (m, 1H), 7.14-7.41 (m, 10H).
13 C NMR (75 MHz, MeOD) δ: 8.9, 63.7, 68.3, 86.5, 12 8.7, 129.0, 129.1, 129.3, 137.9, 138.9. 
HR-MALDI calcd for C 24 H 30 IrN 2 [M-SO 4 -H 2 O-H] + , 539.2038. Found 539.1827. 
[α] D 30  +70.43 (c 0.45, CHCl 3 ).

実施例3

 [Cp * Ir(H 2 O) 3 ](SO 4 )26.0mg、(1R,2R)-N,N’-ジメチル-1,2-ジフェニルエ タン-1,2-ジアミン14mg、および水とメタノール の混合溶媒(容量比 2:1)1.2mLを混合し、得られ た溶液を室温で24時間攪拌した。反応混合物 ら溶媒を減圧留去して、褐色固体の上記式( 4-R)で表されるキラルなイリジウムアクア錯 を得た。
1 H NMR (300 MHz, MeOD) δ: 1.75 (s, 15H), 2.68 (s, 3H), 2.91 (s, 3H), 3.85 (d, J = 12.3 Hz, 1H), 4. 08 (d, J = 12.3 Hz, 1H), 7.15-7.29 (m, 10H). 
13 C NMR (75 MHz, MeOD) δ: 8.9, 37.1, 41.5, 72.6, 76 .8, 87.7, 129.3, 129.5, 129.9, 135.0, 136.1. 
HR-MALDI calcd for C 26 H 34 IrN 2 [M-SO 4 -H 2 O-H] + 567.2347, found 567.2338. 
[α] D 24  +75.48 (c 0.43, EtOH).

実施例4

 [Cp * Ir(H 2 O) 3 ](SO 4 )95mg、(1R,2R)-N,N’-ジメチル-1,2-ビス[3-(トリフ オロメチル)フェニル]エタン-1,2-ジアミン79m g、および水とメタノールの混合溶媒(容量比 2:1)6mLを混合し、得られた溶液を室温で12時 攪拌した。反応混合物から溶媒を減圧留去 て、黄色固体の上記式(12-R)で表されるキラ なイリジウムアクア錯体を得た。
1 H NMR (300 MHz, MeOD) δ: 1.74 (s, 15H), 2.70 (s, 3H), 2.94 (s, 3H), 4.05 (d, J = 11.9 Hz, 1H), 4. 27 (d, J = 11.9 Hz, 1H), 7.45-7.80 (m, 8H). 
13 C NMR (75 MHz, MeOD) δ: 9.1, 37.4, 41.8, 71.9, 75 .8, 87.9, 123.7 (c, J = 279.9 Hz), 123.7 (c, J = 270.0 Hz), 126.2 (c, J = 3.7 Hz), 126.5 (c, J = 3.6 Hz), 130.1, 130.8, 131.8, 131.3 (c, J = 32 Hz ), 135.9, 137.3. 
HR-MALDI calcd for C 28 H 32 F 6 IrN 2 [M-SO 4 -H 2 O-H] +  703.2099, found 703.2103.
[α] D 27  +57.45 (c 0.50, EtOH).

実施例5
 水とメタノールの混合溶媒(容量比 1:1)5mLと 下記表1に示すイリジウムアクア錯体(2-シア アセトフェノンに対して0.5モル%)とを混合し 、得られた溶液に、2-シアノアセトフェノン1 ミリモルおよび表1に示す水素供与性化合物5 リモルを室温で加えた。得られた混合物を7 0℃で攪拌した。薄層クロマトグラフィーに 、2-シアノアセトフェノンの消失を確認した 後、食塩水20mLを反応混合物に加え、反応を 止した。酢酸エチル20mLで3回抽出処理を行い 、得られた有機層を混合した。混合後の有機 層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、濃縮 した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロ マトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン:メ タノール=20:1)で精製して、(S)-3-フェニル-3-ヒ ドロキシプロピオニトリルを得た。Conversion 光学純度を表1に示す。

実施例6

 水とメタノールの混合溶媒(容量比 1:1)5mL と式(12-R)のキラルなイリジウムアクア錯体( (b)で表される化合物に対して0.5モル%)とを混 合し、得られた溶液に、表2に示す式(b)で表 れる化合物1ミリモルおよびギ酸5ミリモルを 室温で加えた。得られた混合物を70℃で攪拌 、不斉移動水素化反応を行なった。薄層ク マトグラフィーにて、式(b)で表される化合 の消失を確認した後、食塩水20mLで反応を停 止した。酢酸エチル20mLで3回抽出処理を行い 得られた有機層を混合した。得られた有機 を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、濃縮 た。得られた残渣をシリカゲルカラムクロ トグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン:メ ノール=20:1)で精製して、対応する式(c)で表 れる光学活性ヒドロキシ化合物を得た。得 れた光学活性ヒドロキシ化合物の立体配置 いずれもS体であった。反応時間、収率、光 学純度を表2に示す。

実施例7

 水とメタノールの混合溶媒(容量比 1:1)5mL と上記式(12-R)で表されるキラルなイリジウム アクア錯体(式(d)で表される化合物に対して0. 5モル%)とを混合し、得られた溶液に、表3に す式(d)で表される化合物1ミリモルおよびギ 5ミルモルを室温で加え、得られた混合物を 70℃で攪拌し、不斉移動水素化反応を行なっ 。薄層クロマトグラフィーにて、式(d)で表 れる化合物の消失を確認した後、反応混合 に食塩水20mLを加えて反応を停止した。酢酸 エチル20mLで3回抽出処理を行い、得られた有 層を混合した。混合後の有機層を無水硫酸 トリウムで乾燥した後、濃縮した。得られ 残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ (展開溶媒:ジクロロメタン:メタノール=20:1) 精製して、対応する式(e)で表される光学活 ヒドロキシ化合物を得た。得られた光学活 ヒドロキシ化合物の立体配置はいずれもR体 であった。反応時間、収率、光学純度を表3 示す。

 

実施例8

 水とギ酸の混合溶媒(容量比 1:1)5mLと上記 式(12-R)で表されるキラルなイリジウムアクア 錯体(上記式(d)で表される化合物に対して0.5 ル%)とを混合し、得られた溶液に、表4に示 式(d)で表される化合物1ミリモルを室温で加 、得られた混合物を70℃で攪拌し、不斉移 水素化反応を行なった。薄層クロマトグラ ィーにて、式(d)で表される化合物の消失を 認した後、反応混合物に食塩水20mLを加えて 応を停止した。酢酸エチル20mLで3回抽出処 を行い、得られた有機層を混合した。混合 の有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した 、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカ ムクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメ タン:メタノール=20:1)で精製して、対応する (e)で表される光学活性ヒドロキシ化合物を た。得られた光学活性ヒドロキシ化合物の 体配置はいずれもR体であった。反応時間、 率、光学純度を表4に示す。

実施例9
 水とギ酸の混合溶媒(容量比 1:1)5mLと上記式 (12-R)で表されるキラルなイリジウムアクア錯 体(2-メチルフェニルグリオキシル酸に対して 0.5モル%)とを混合し、得られた溶液に、2-メ ルフェニルグリオキシル酸1ミリモルを室温 加えた。得られた混合物を室温で攪拌し、 斉移動水素化反応を行なった。薄層クロマ グラフィーにて2-メチルフェニルグリオキ ル酸の消失を確認した後、食塩水20mLを反応 合物に加え、反応を停止した。酢酸エチル2 0mLで3回抽出処理を行ない、得られた有機層 混合した。混合した有機層を無水硫酸ナト ウムで乾燥した後、濃縮した。得られた残 をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展 溶媒:ジクロロメタン:メタノール=20:1)で精 して、対応する(R)-2-(2-メチルフェニル)-2-ヒ ロキシ酢酸を得た。収率95%、光学純度83%e.e.

 本発明の式(1)または式(5)で表されるキラ なイリジウムアクア錯体は、新規な錯体で り、空気や水への安定性がよく、また水へ 溶解性も良好であり、グリーンケミストリ に適した環境にやさしい水または親水性溶 中での反応に用いることができる。式(1)ま は式(5)で表されるキラルなイリジウムアク 錯体は、特に、カルボニル化合物の不斉移 水素化反応に好適であり、光学活性ヒドロ シ化合物を収率よく、立体選択性よく製造 ることができる。