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Title:
CHOPPED FIBER BUNDLE, MOLDING MATERIAL, AND FIBER REINFORCED PLASTIC, AND PROCESS FOR PRODUCING THEM
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/149615
Kind Code:
A1
Abstract:
This invention provides a chopped fiber bundle comprising a large number of unidirectionally arranged reinforced fibers. The length of each of the reinforced fibers is in the range of 5 to 100 mm. The chopped fiber bundle has a transition segment in which the number of the reinforced fibers increases toward the central part of the chopped fiber bundle in the aligned direction of the reinforced fibers with both ends in the aligned direction of the reinforced fibers in the chopped fiber bundle being a starting point. The level of a change in total sectional area of the large number of reinforced fibers is not more than 0.05 mm2 per mm in the aligned direction of the reinforced fibers over the whole area in the longitudinal direction of the chopped fiber bundle.

Inventors:
TAKETA ICHIRO (JP)
WADAHARA EISUKE (JP)
SATO NARUMICHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/057849
Publication Date:
December 11, 2008
Filing Date:
April 23, 2008
Export Citation:
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Assignee:
TORAY INDUSTRIES (JP)
TAKETA ICHIRO (JP)
WADAHARA EISUKE (JP)
SATO NARUMICHI (JP)
International Classes:
C03B37/16; B29B15/14; B29C39/10; B29C43/18; C03C25/10; D06M15/564; B29K105/14; B29K105/20
Foreign References:
JP2003165739A2003-06-10
JPH0542538A1993-02-23
JPH04133704A1992-05-07
JP2005170765A2005-06-30
JP2003251589A2003-09-09
JPS5017710B11975-06-23
JPS4972786A1974-07-13
JP2006130698A2006-05-25
JPS6248730A1987-03-03
JPH01163218A1989-06-27
Other References:
See also references of EP 2151418A4
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Claims:
 (a)一方向に配列された多数本の強化繊維と該多数本の強化繊維を集束する集束剤とからなるチョップド繊維束であって、
 (b)前記強化繊維の繊維長が5乃至100mmであり、
 (c)前記チョップド繊維束は、前記強化繊維の配列方向における一方の先端である第1の先端から他方の先端である第2の先端に向かい、前記強化繊維の配列方向に直角な方向の繊維束横断面における前記強化繊維の本数が増加する第1の遷移区間を有するとともに、前記第2の先端から前記第1の先端に向かい、前記繊維束横断面における前記強化繊維の本数が増加する第2の遷移区間を有し、
 (d)前記第1の遷移区間と前記第2の遷移区間との間に、前記強化繊維の配列方向に沿って、前記繊維束横断面における前記強化繊維の本数が不変である不変区間を有し、該不変区間の一方の端面が、前記第1の遷移区間の前記第1の先端とは反対側の終端である第1の終端面に一致するとともに、前記不変区間の他方の端面が、前記第2の遷移区間の前記第2の先端とは反対側の終端である第2の終端面に一致し、あるいは、前記第1の終端面と前記第2の終端面とが直接一致し、かつ、
 (e)前記第1の先端と前記第2の先端との間において、前記繊維束横断面における前記強化繊維の総断面積の変化量が、前記強化繊維の配列方向に1mm当たり0.05mm 2 以下であるチョップド繊維束。
 前記強化繊維の総断面積の最大値が、0.1mm 2 以上である請求項1に記載のチョップド繊維束。
 前記強化繊維の総断面積の最大値が、0.1mm 2 未満であり、前記第1の先端と前記第2の先端との間において、前記繊維束横断面における前記強化繊維の本数の変化量が、前記強化繊維の配列方向に1mm当たり前記強化繊維の最大本数の30%以下である請求項1に記載のチョップド繊維束。
 前記強化繊維の各繊維長が同じである請求項1に記載のチョップド繊維束。
 前記強化繊維が、炭素繊維であり、該炭素繊維の本数が、1,000乃至700,000であり、前記第1の先端と前記第2の先端との間において、前記繊維束横断面における前記炭素繊維の本数の変化量が、前記炭素繊維の配列方向に1mm当たり1,400本以下である請求項1に記載のチョップド繊維束。
 前記チョップド繊維束の前記強化繊維の配列方向に直角な方向の幅が最大となる状態が描画された平面図において、当該最大幅をWbとし、該最大幅の位置における前記繊維束横断面において、前記平面図の垂直方向における前記チョップド繊維束の最大厚みをTbとしたとき、比率Wb/Tbの値が、20乃至400である請求項1に記載のチョップド繊維束。
 前記チョップド繊維束の前記強化繊維の配列方向に直角な方向の幅が最大となる状態が描画された平面図において、前記第1の遷移区間および前記第2の遷移区間の双方の遷移区間の外形状における前記先端から前記終端に向かう一方の辺は、前記強化繊維の配列方向に沿った直線状の線分で形成され、他方の辺は、前記強化繊維の配列方向に対し角度2乃至30°をもって傾斜した直線状の線分で形成されている請求項1に記載のチョップド繊維束。
 前記集束剤が、強化繊維束を製造する際に用いられるサイジング剤であり、該サイジング剤の前記チョップド繊維束への付着量が、0.1乃至10質量%である請求項1に記載のチョップド繊維束。
 前記集束剤が、強化繊維を含む樹脂成形体を製造する際に用いられるマトリックス樹脂であり、該マトリックス樹脂の前記チョップド繊維束への付着量が、20乃至75質量%である請求項1に記載のチョップド繊維束。
 多数の請求項1に記載のチョップド繊維束が、該チョップド繊維束の集束剤および/または隣接するチョップド繊維束の前記強化繊維同士の絡合により接合され一体化した多数のチョップド繊維束の一層あるいは複数層からなるチョップド繊維束集合体からなる成形材料。
 前記集束剤が、強化繊維を含む樹脂成形体を製造する際に用いられるマトリックス樹脂であり、該マトリックス樹脂の前記チョップド繊維束への付着量が、20乃至75質量%であり、かつ、前記チョップド繊維束集合体がシート状である請求項10に記載の成形材料。
 前記シート状のチョップド繊維束集合体における各チョップド繊維束の前記強化繊維の配列方向が、それぞれ同一である請求項11に記載の成形材料。
 前記チョップド繊維束集合体が、複数枚の前記シート状のチョップド繊維束集合体の積層を含む積層体からなり、該積層体において、一つの層を形成する前記シート状のチョップド繊維束集合体における前記強化繊維の配列方向と、他の一つの層を形成する前記シート状のチョップド繊維束集合体における前記強化繊維の配列方向とが異なる請求項12に記載の成形材料。
 前記チョップド繊維束集合体における各チョップド繊維束の前記強化繊維の配列方向が、ランダムである請求項10に記載の成形材料。
 横断面形状において、少なくとも一つの屈曲部を有するように、前記チョップド繊維束集合体が三次元形状に賦形されている請求項10に記載の成形材料。
 多数の請求項1に記載のチョップド繊維束と熱可塑性樹脂との混合物で形成された射出成形用ペレットからなる成形材料。
 多数の請求項1に記載のチョップド繊維束からなるチョップド繊維束集合体と該チョップド繊維束集合体に一体化したマトリックス樹脂とからなる繊維強化プラスチック。
 前記繊維強化プラスチックの厚み方向の断面において、少なくとも20の前記チョップド繊維束が該厚み方向に堆積している請求項17に記載の繊維強化プラスチック。
 (a)一方向に配列された多数本の連続した強化繊維と該強化繊維を集束する集束剤とからなる連続強化繊維束を供給する連続強化繊維束供給工程、および、
 (b)該連続強化繊維束供給工程から供給された連続強化繊維束を、該連続強化繊維束の長手方向に一定の間隔をおいて、切断し、チョップド繊維束を形成する連続強化繊維束切断工程とからなるチョップド繊維束の製造方法において、
 (c)前記連続強化繊維束切断工程において形成されるチョップド繊維束が、請求項1に記載のチョップド繊維束となるように、前記連続強化繊維束切断工程において、前記連続強化繊維束が切断されるチョップド繊維束の製造方法。
 前記連続強化繊維束供給工程が、前記連続強化繊維束の横断面における前記多数本の強化繊維の配列状態が扁平となるように、前記連続強化繊維束を開繊する連続強化繊維束開繊工程を含む請求項19に記載のチョップド繊維束の製造方法。
 前記集束剤が、前記連続強化繊維束を製造する際に用いられるサイジング剤であり、該サイジング剤の前記連続強化繊維束への付着量が、0.1乃至10質量%である請求項19に記載のチョップド繊維束の製造方法。
 前記集束剤が、強化繊維を含む樹脂成形体を製造する際に用いられるマトリックス樹脂であり、該マトリックス樹脂の前記連続強化繊維束への付着量が、20乃至75質量%である請求項19に記載のチョップド繊維束の製造方法。
 (a)一方向に配列された多数本の連続した強化繊維からなる連続強化繊維束の複数本が並列して配列された連続強化繊維シートを供給する連続強化繊維シート供給工程、
 (b)該連続強化繊維シート供給工程から供給された前記連続強化繊維シートを、強化繊維を含む樹脂成形体を製造する際に用いられるマトリックス樹脂から形成された樹脂シート上に載置し、前記強化繊維と前記マトリックス樹脂とを一体化し、プリプレグシートを形成するプリプレグシート形成工程、および、
 (c)該プリプレグシート形成工程において形成されたプリプレグシートを、前記強化繊維の配列方向に一定の間隔をおいて、切断し、あるいは、前記強化繊維の配列方向および該強化繊維の配列方向に直角な方向に一定の間隔をおいて、切断し、チョップド繊維束を形成するプリプレグシート切断工程とからなるチョップド繊維束の製造方法において、
 (d)前記プリプレグシート切断工程において形成されるチョップド繊維束が、請求項1に記載のチョップド繊維束となるように、前記プリプレグシート切断工程において、前記プリプレグシートが切断されるチョップド繊維束の製造方法。
 前記プリプレグシート形成工程において、前記連続強化繊維シートが載置された前記樹脂シートの上に、強化繊維を含む樹脂成形体を製造する際に用いられるマトリックス樹脂から形成された別の樹脂シートが載置され、前記強化繊維と前記マトリックス樹脂とが一体化され、かつ、得られるチョップド繊維束における前記マトリックス樹脂の付着量が20乃至75質量%となるように前記マトリックス樹脂の量が調整された状態で、プリプレグシートが形成される請求項23に記載のチョップド繊維束の製造方法。
 (a)多数の請求項1に記載のチョップド繊維束を、成形基体上に、前記多数のチョップド繊維束が一層あるいは複数層堆積するように散布するチョップド繊維束散布工程、および、
 (b)前記成形基体上に散布された多数のチョップド繊維束を、互いに接合させることにより一体化し、チョップド繊維束集合体からなる成形材料を形成するチョップド繊維束集合体形成工程とからなる成形材料の製造方法。
 前記チョップド繊維束散布工程において、前記成形基体が平坦面を有し、該平坦面上における前記多数のチョップド繊維束のそれぞれの強化繊維の配列方向が同一となるように、かつ、前記平坦面上に前記多数のチョップド繊維束からなるチョップド繊維束シートが形成されるように、前記平坦面上に前記チョップド繊維束が散布され、前記チョップド繊維束集合体形成工程において、前記多数のチョップド繊維束にて形成されたチョップド繊維束シートからなる成形材料が形成される請求項25に記載の成形材料の製造方法。
 前記チョップド繊維束シートが形成された後、該形成されたチョップド繊維束シート上における前記多数のチョップド繊維束のそれぞれの強化繊維の配列方向が同一となるように、かつ、前記形成されたチョップド繊維束シートにおけるチョップド繊維束の強化繊維の配列方向と異なるように、更に、前記形成されたチョップド繊維束シート上に前記多数のチョップド繊維束からなる別のチョップド繊維束シートが形成されるように、前記形成されたチョップド繊維束シート上に前記チョップド繊維束が散布され、チョップド繊維束シートの積層体からなる成形材料が形成される請求項26に記載の成形材料の製造方法。
 前記成形基体上における前記多数のチョップド繊維束のそれぞれの強化繊維の配列方向がランダムになるように、前記成形基体上に前記チョップド繊維束が散布される請求項25に記載の成形材料の製造方法。
 前記成形基体が、強化繊維を含む樹脂成形体を製造する際に用いられるマトリックス樹脂により形成された樹脂シートである請求項25に記載の成形材料の製造方法。
 前記チョップド繊維束散布工程が、
 (a)前記成形基体が三次元形状面を有し、該三次元形状面上における前記多数のチョップド繊維束のそれぞれの強化繊維の配列方向が同一となるように、前記三次元形状面上に前記チョップド繊維束を散布して多数のチョップド繊維束からなる第1のチョップド繊維束層を形成する第1の層形成工程、および、
 (b)前記第1の層形成工程において形成された前記第1のチョップド繊維束層の上における前記多数のチョップド繊維束のそれぞれの強化繊維の配列方向が同一となるように、かつ、前記第1のチョップド繊維束層におけるチョップド繊維束の強化繊維の配列方向とは異なる強化繊維の配列方向となるように、前記第1のチョップド繊維束層の上に前記チョップド繊維束を散布して多数のチョップド繊維束からなる第2のチョップド繊維束層を形成する第2の層形成工程からなる請求項25に記載の成形材料の製造方法。
 (a)多数の請求項1に記載のチョップド繊維束を、強化繊維を含む樹脂成形体を製造する際に用いられるマトリックス樹脂により形成された第1の樹脂シートからなる成形基体上に散布するチョップド繊維束散布工程、
 (b)該チョップド繊維束散布工程において得られた前記多数のチョップド繊維束を有する前記第1の樹脂シートの該多数のチョップド繊維束の上に、前記マトリックス樹脂からなる第2の樹脂シートを積層する樹脂シート積層工程、および、
 (c)該樹脂シート積層工程において得られた前記多数のチョップド繊維束と前記第1および第2の樹脂シートとからなる積層体を、加圧および/または加熱することにより、前記多数のチョップド繊維束と前記第1および第2の樹脂シートとを一体化し、チョップド繊維束集合体を形成するチョップド繊維束集合体形成工程とからなる成形材料の製造方法。
 多数の請求項1に記載のチョップド繊維束と熱可塑性樹脂とが混練され、チョップド繊維束と熱可塑性樹脂との混練物を用意する混練工程と、該混練工程により用意された混練物を連続して棒状あるいはシート状に押し出し、棒状あるいはシート状の連続成形物を成形する成形工程と、該成形工程により得られた連続成形物を、その長手方向に間隔をおいて切断し、射出成形用のペレットを形成するペレタイジング工程とからなる成形材料の製造方法。
 成形型のキャビティの投影面積よりも小さい面積を有する請求項11に記載の成形材料の一枚あるいは複数枚を、前記キャビティの厚さよりも厚い状態で、前記キャビティ内に配置し、前記成形型を型締めして、前記成形材料を加圧することにより、あるいは、加圧および加熱することにより、前記成形材料を伸張させ、前記キャビティ内に前記成形材料を充填させ、前記キャビティ内での繊維強化プラスチックの成形が終了した後、成形された繊維強化プラスチックを前記キャビティから取り出してなる繊維強化プラスチック製造方法。
Description:
チョップド繊維束、成形材料、 よび、繊維強化プラスチック、ならびに、 れらの製造方法

 本発明は、多数本の強化繊維からなるチ ップド繊維束に関する。本発明は、繊維強 プラスチックの成形に用いられる多数の本 明のチョップド繊維束の集合からなる成形 料に関する。本発明は、多数の本発明のチ ップド繊維束の集合とマトリックス樹脂か なる繊維強化プラスチックに関する。

 多数本の強化繊維とマトリックス樹脂か なる繊維強化プラスチックは、比強度、比 性率が高く、力学特性に優れること、耐候 、耐薬品性などの高機能特性を有すること どから、産業用途においても注目され、そ 需要は年々高まりつつある。

 高機能特性を有する繊維強化プラスチッ の成形法として、多数本の連続強化繊維に トリックス樹脂を含浸せしめた半硬化状態 原料基材(プリプレグ)を積層し、得られた 層体を高温高圧釜で加熱加圧することによ マトリックス樹脂を硬化させ、繊維強化プ スチックを成形するオートクレーブ成形法 ある。このオートクレーブ成形法は、汎用 れている。

 また、他の一つの繊維強化プラスチック 成形法として、生産効率の向上を目的とし 、あらかじめ所望の部材形状に賦形した多 本の連続強化繊維からなる原料基材(プリフ ォーム)にマトリックス樹脂を含浸し、含浸 れたマトリックス樹脂を硬化させるRTM(レジ トランスファーモールディング)成形法があ る。

 これらの成形法により得られた繊維強化 ラスチックは、多数本の強化繊維が連続繊 である所以、優れた力学物性を有する。ま 、これら多数本の連続繊維は、原料基材に いて規則的に配列されているため、積層す 原料基材の配置により、繊維強化プラスチ クが必要とする力学物性を有するように設 することが可能であり、得られる繊維強化 ラスチックの力学物性のばらつきも小さい しかしながら、一方で、多数本の強化繊維 連続繊維である所以、3次元形状等の複雑な 形状を形成することは難しく、これらの成形 法は、主として平面形状に近い部材の製造に 限って用いられている。

 3次元形状等の複雑な形状を有する成形体 の成形に適した成形法として、SMC(シートモ ルディングコンパウンド)シートやスタンパ ルシートを用いた成形法がある。

 SMC成形法は、通常25mm程度に切断された多 数本の強化繊維からなるチョップド繊維束に マトリックス樹脂としての熱硬化性樹脂を含 浸せしめ、半硬化状態としたSMCシートを、加 熱型プレス機を用いて加熱加圧することによ り成形を行う成形方法である。

 スタンパブルシート成形法は、通常25mm程 度に切断された多数本の強化繊維からなるチ ョップド繊維束にマトリックス樹脂としての 熱可塑性樹脂を含浸させたスタンパブルシー トを、熱可塑性樹脂の融点以上に加熱し、所 定の温度に温度調節した成形型上に配置して 冷却加圧することにより成形を行う成形方法 である。

 多くの場合、所望の成形体の形状より小 く切断したSMCシートやスタンパブルシート 成形型上に配置し、成形型上に配置された ートを加圧により、前記成形体の形状に、 ートを引き伸ばして(流動させて)成形を行 。そのため、マトリックス樹脂および切断 れている多数本の強化繊維の流動により、3 元形状等の複雑な形状への成形追従性が得 れる。

 しかしながら、従来のSMCシートやスタン ブルシートに用いられているチョップド繊 束は、一方向に配列された多数本の連続し 強化繊維からなる連続強化繊維束が、強化 維の配列方向に直角な方向において、切断 れることにより製造されている。このよう チョップド繊維束の多数とマトリックス樹 とから成形された成形体(繊維強化プラスチ ック)に荷重が加わると、その荷重のほとん を、多数のチョップド繊維束が受け持つこ になる。すなわち、多数のチョップド繊維 は、互いに、マトリックス樹脂を介して、 重を受け渡すことになる。

 この場合、従来の成形体においては、チ ップド繊維束の端部における各強化繊維の 端が強化繊維の配列方向に直角な面に位置 ているため、荷重が一気に隣接するチョッ ド繊維束に受け渡される状態が生じる。こ 状態において、当該部位に、応力集中が発 する。この応力集中が発生すると、荷重が い場合であっても、当該部位が応力集中に り破壊され、成形体中にクラックが発生す 。発生したクラックは、他に発生したクラ クに連結し、成形体全体の破壊を引き起こ ことになる。

 従来のSMCシートやスタンパブルシートは そこに用いられているチョップド繊維束に ける各強化繊維の長さは、25mm程度であるた め、成形体を形成する際の強化繊維の流動性 は得られるものの、各強化繊維の末端が強化 繊維の配列方向に直角な面に位置しているた め、成形された成形体において、クラックが 発生し易い問題を有していた。

 この問題を解消するため、SMCシートを、強 繊維の本数を減らしたチョップド繊維束を いて作製し、チョップド繊維束同士の絡み 増加して緻密化し、成形体におけるクラッ の発生や進展を抑制するとされるSMCシート 提案されている(例えば、特許文献1、2)。し かしながら、一般的に、チョップド繊維束に おける強化繊維の本数を減らすことは、成形 体における必要な強化繊維の量を満たすため に、多くのチョップド繊維束が必要となり、 SMCシートの製作費用の増大をもたらす。一方 、強化繊維の本数を減らした細いチョップド 繊維束は、チョップド繊維束同士が凝集しや すいため、成形体における強化繊維の分布ム ラ、配向ムラを生じ易くし、得られる成形体 の力学特性が低下する問題を有する。

特開昭62-48730号公報

特開平1-163218号公報

 本発明の目的の一つは、かかる従来技術 問題点に鑑み、成形材料として用いた場合 良好な流動性、成形追従性を有し、繊維強 プラスチックとした場合、優れた力学物性 発現するチョップド繊維束、および、その 造方法を提供することにある。

 本発明の目的の他の一つは、本発明のチ ップド繊維束を用いた成形材料、および、 維強化プラスチック、ならびに、これらの 造方法を提供することにある。

 本発明のチョップド繊維束は、
 (a)一方向に配列された多数本の強化繊維と 多数本の強化繊維を集束する集束剤とから るチョップド繊維束であって、
 (b)前記強化繊維の繊維長が5乃至100mmであり
 (c)前記チョップド繊維束は、前記強化繊維 配列方向における一方の先端である第1の先 端から他方の先端である第2の先端に向かい 前記強化繊維の配列方向に直角な方向の繊 束横断面における前記強化繊維の本数が増 する第1の遷移区間を有するとともに、前記 2の先端から前記第1の先端に向かい、前記 維束横断面における前記強化繊維の本数が 加する第2の遷移区間を有し、
 (d)前記第1の遷移区間と前記第2の遷移区間 の間に、前記強化繊維の配列方向に沿って 前記繊維束横断面における前記強化繊維の 数が不変である不変区間を有し、該不変区 の一方の端面が、前記第1の遷移区間の前記 1の先端とは反対側の終端である第1の終端 に一致するとともに、前記不変区間の他方 端面が、前記第2の遷移区間の前記第2の先端 とは反対側の終端である第2の終端面に一致 、あるいは、前記第1の終端面と前記第2の終 端面とが直接一致し、かつ、
 (e)前記第1の先端と前記第2の先端との間に いて、前記繊維束横断面における前記強化 維の総断面積の変化量が、前記強化繊維の 列方向に1mm当たり0.05mm 2 以下である。

 本発明のチョップド繊維束において、多 本の強化繊維は、実質的に一方向に配列さ ていれば良い。ここで、各強化繊維が実質 に一方向に配列されているとは、チョップ 繊維束のある一部に注目した際、半径5mm以 に存在する強化繊維群の90%以上が、チョッ ド繊維束の前記ある一部に存在する強化繊 の配列方向に対し、角度±10°以内に配列さ ている状態を云う。

 本発明のチョップド繊維束において、前記 化繊維の総断面積の最大値が、0.1mm 2 以上であることが好ましい。

 本発明のチョップド繊維束において、前記 化繊維の総断面積の最大値が、0.1mm 2 未満であり、前記第1の先端と前記第2の先端 の間において、前記繊維束横断面における 記強化繊維の本数の変化量が、前記強化繊 の配列方向に1mm当たり前記強化繊維の最大 数の30%以下であることが好ましい。

 本発明のチョップド繊維束において、前 強化繊維の各繊維長が同じであることが好 しい。この各繊維長は、実質的に同じであ ば良い。ここで、各繊維長が実質的に同じ は、チョップド繊維束に含まれる強化繊維 繊維長の平均値から±5%の範囲内の繊維長を 有する強化繊維が、チョップド繊維束に含ま れる全強化繊維の95%を占めている状態を云う 。

 本発明のチョップド繊維束において、前 強化繊維が、炭素繊維であり、該炭素繊維 本数が、1,000乃至700,000であり、前記第1の先 端と前記第2の先端との間において、前記繊 束横断面における前記炭素繊維の本数の変 量が、前記炭素繊維の配列方向に1mm当たり1, 400本以下であることが好ましい。

 本発明のチョップド繊維束において、前 チョップド繊維束の前記強化繊維の配列方 に直角な方向の幅が最大となる状態が描画 れた平面図において、当該最大幅をWbとし 該最大幅の位置における前記繊維束横断面 おいて、前記平面図の垂直方向における前 チョップド繊維束の最大厚みをTbとしたとき 、比率Wb/Tbの値が、20乃至400であることが好 しい。

 本発明のチョップド繊維束において、前 チョップド繊維束の前記強化繊維の配列方 に直角な方向の幅が最大となる状態が描画 れた平面図において、前記第1の遷移区間お よび前記第2の遷移区間の双方の遷移区間の 形状における前記先端から前記終端に向か 一方の辺は、前記強化繊維の配列方向に沿 た直線状の線分で形成され、他方の辺は、 記強化繊維の配列方向に対し角度2乃至30°を もって傾斜した直線状の線分で形成されてい ることが好ましい。

 本発明のチョップド繊維束において、前 集束剤が、強化繊維束を製造する際に用い れるサイジング剤であり、該サイジング剤 前記チョップド繊維束への付着量が、0.1乃 10質量%であっても良い。

 本発明のチョップド繊維束において、前 集束剤が、強化繊維を含む樹脂成形体を製 する際に用いられるマトリックス樹脂であ 、該マトリックス樹脂の前記チョップド繊 束への付着量が、20乃至75質量%であっても い。

 本発明のチョップド繊維束において、変 量とは、増加量または減少量の絶対値を表 。

 本発明の成形材料は、多数の前記本発明 チョップド繊維束が、該チョップド繊維束 集束剤および/または隣接するチョップド繊 維束の前記強化繊維同士の絡合により接合さ れ一体化した多数のチョップド繊維束の一層 あるいは複数層からなるチョップド繊維束集 合体からなる。

 本発明の成形材料において、前記集束剤 、強化繊維を含む樹脂成形体を製造する際 用いられるマトリックス樹脂であり、該マ リックス樹脂の前記チョップド繊維束への 着量が、20乃至75質量%であり、かつ、前記 ョップド繊維束集合体がシート状であるこ が好ましい。

 本発明の成形材料において、前記シート のチョップド繊維束集合体における各チョ プド繊維束の前記強化繊維の配列方向が、 れぞれ同一であっても良い。チョップド繊 束集合体における各チョップド繊維束の前 強化繊維の配列方向は、それぞれ実質的に 一であれば良い。ここで、各チョップド繊 束の前記強化繊維の配列方向がそれぞれ実 的に同一とは、チョップド繊維束に含まれ 各強化繊維の配列方向の平均値を当該チョ プド繊維束を代表する強化繊維の代表配列 向として、チョップド繊維束集合体におけ 各チョップド繊維束の各代表配列方向が±10 %以内であるチョップド繊維束が、チョップ 繊維束集合体における全チョップド繊維束 90%以上である状態を云う。

 本発明の成形材料において、前記チョッ ド繊維束集合体が、複数枚の前記シート状 チョップド繊維束集合体の積層を含む積層 からなり、該積層体において、一つの層を 成する前記シート状のチョップド繊維束集 体における前記強化繊維の配列方向と、他 一つの層を形成する前記シート状のチョッ ド繊維束集合体における前記強化繊維の配 方向とが異なることが好ましい。

 本発明の成形材料において、前記チョッ ド繊維束集合体における各チョップド繊維 の前記強化繊維の配列方向が、ランダムで っても良い。

 本発明の成形材料において、横断面形状 おいて、少なくとも一つの屈曲部を有する うに、前記チョップド繊維束集合体が三次 形状に賦形されていても良い。

 本発明の成形材料の他の態様は、多数の 記本発明のチョップド繊維束と熱可塑性樹 との混合物で形成された射出成形用ペレッ からなる。

 本発明の繊維強化プラスチックは、多数 前記本発明のチョップド繊維束からなるチ ップド繊維束集合体と該チョップド繊維束 合体に一体化したマトリックス樹脂とから る。

 本発明の繊維強化プラスチックにおいて 該繊維強化プラスチックの厚み方向の断面 おいて、少なくとも20の前記チョップド繊 束が該厚み方向に堆積していることが好ま い。

 本発明のチョップド繊維束の製造方法は、
 (a)一方向に配列された多数本の連続した強 繊維と該強化繊維を集束する集束剤とから る連続強化繊維束を供給する連続強化繊維 供給工程、および、
 (b)該連続強化繊維束供給工程から供給され 連続強化繊維束を、該連続強化繊維束の長 方向に一定の間隔をおいて、切断し、チョ プド繊維束を形成する連続強化繊維束切断 程とからなるチョップド繊維束の製造方法 おいて、
 (c)前記連続強化繊維束切断工程において形 されるチョップド繊維束が、本発明のチョ プド繊維束となるように、前記連続強化繊 束切断工程において、前記連続強化繊維束 切断されることからなる。

 連続強化繊維束供給工程において、多数 の連続強化繊維は、実質的に一方向に配列 れていれば良い。ここで、各連続強化繊維 実質的に一方向に配列されているとは、連 強化繊維束のある一部に注目した際、半径5 mm以内に存在する強化繊維群の90%以上が、連 強化繊維束の前記ある一部に存在する強化 維の配列方向に対し、角度±10°以内に配列 れている状態を云う。

 本発明のチョップド繊維束の製造方法に いて、前記連続強化繊維束供給工程が、前 連続強化繊維束の横断面における前記多数 の強化繊維の配列状態が扁平となるように 前記連続強化繊維束を開繊する連続強化繊 束開繊工程を含んでいることが好ましい。

 本発明のチョップド繊維束の製造方法に いて、前記集束剤が、前記連続強化繊維束 製造する際に用いられるサイジング剤であ 、該サイジング剤の前記連続強化繊維束へ 付着量が、0.1乃至10質量%であっても良い。

 本発明のチョップド繊維束の製造方法に いて、前記集束剤が、強化繊維を含む樹脂 形体を製造する際に用いられるマトリック 樹脂であり、該マトリックス樹脂の前記連 強化繊維束への付着量が、20乃至75質量%で っても良い。

 本発明のチョップド繊維束の製造方法の他 態様は、
 (a)一方向に配列された多数本の連続した強 繊維からなる連続強化繊維束の複数本が並 して配列された連続強化繊維シートを供給 る連続強化繊維シート供給工程、
 (b)該連続強化繊維シート供給工程から供給 れた前記連続強化繊維シートを、強化繊維 含む樹脂成形体を製造する際に用いられる トリックス樹脂から形成された樹脂シート に載置し、前記強化繊維と前記マトリック 樹脂とを一体化し、プリプレグシートを形 するプリプレグシート形成工程、および、
 (c)該プリプレグシート形成工程において形 されたプリプレグシートを、前記強化繊維 配列方向に一定の間隔をおいて、切断し、 るいは、前記強化繊維の配列方向および該 化繊維の配列方向に直角な方向に一定の間 をおいて、切断し、チョップド繊維束を形 するプリプレグシート切断工程とからなる ョップド繊維束の製造方法において、
 (d)前記プリプレグシート切断工程において 成されるチョップド繊維束が、本発明のチ ップド繊維束となるように、前記プリプレ シート切断工程において、前記プリプレグ ートが切断されることからなる。

 連続強化繊維シート供給工程において、 方向に配列された多数本の連続した強化繊 は、実質的に一方向に配列されていれば良 。ここで、各連続した強化繊維が実質的に 方向に配列されているとは、多数本の連続 た強化繊維からなる連続強化繊維束のある 部に注目した際、半径5mm以内に存在する強 繊維群の90%以上が、連続強化繊維束の前記 る一部に存在する強化繊維の配列方向に対 、角度±10°以内に配列されている状態を云 。

 本発明のチョップド繊維束の製造方法の 記他の態様における、前記プリプレグシー 形成工程において、前記連続強化繊維シー が載置された前記樹脂シートの上に、強化 維を含む樹脂成形体を製造する際に用いら るマトリックス樹脂から形成された別の樹 シートが載置され、前記強化繊維と前記マ リックス樹脂とが一体化され、かつ、得ら るチョップド繊維束における前記マトリッ ス樹脂の付着量が20乃至75質量%となるよう 前記マトリックス樹脂の量が調整された状 で、プリプレグシートが形成されることが ましい。

 本発明の成形材料の製造方法は、
 (a)多数の本発明のチョップド繊維束を、成 基体上に、前記多数のチョップド繊維束が 層あるいは複数層堆積するように散布する ョップド繊維束散布工程、および、
 (b)前記成形基体上に散布された多数のチョ プド繊維束を、互いに接合させることによ 一体化し、チョップド繊維束集合体からな 成形材料を形成するチョップド繊維束集合 形成工程とからなる。

 本発明の成形材料の製造方法における、 記チョップド繊維束散布工程において、前 成形基体が平坦面を有し、該平坦面上にお る前記多数のチョップド繊維束のそれぞれ 強化繊維の配列方向が同一となるように、 つ、前記平坦面上に前記多数のチョップド 維束からなるチョップド繊維束シートが形 されるように、前記平坦面上に前記チョッ ド繊維束が散布され、前記チョップド繊維 集合体形成工程において、前記多数のチョ プド繊維束にて形成されたチョップド繊維 シートからなる成形材料が形成されること 好ましい。

 前記平坦面上における前記多数のチョッ ド繊維束のそれぞれの強化繊維の配列方向 、実質的に同一であれば良い。ここで、各 ョップド繊維束の前記強化繊維の配列方向 それぞれ実質的に同一とは、チョップド繊 束に含まれる各強化繊維の配列方向の平均 を当該チョップド繊維束を代表する強化繊 の代表配列方向として、チョップド繊維束 合体における各チョップド繊維束の各代表 列方向が±10%以内であるチョップド繊維束 、チョップド繊維束集合体における全チョ プド繊維束の90%以上である状態を云う。

 本発明の成形材料の製造方法において、 記チョップド繊維束シートが形成された後 該形成されたチョップド繊維束シート上に ける前記多数のチョップド繊維束のそれぞ の強化繊維の配列方向が同一となるように かつ、前記形成されたチョップド繊維束シ トにおけるチョップド繊維束の強化繊維の 列方向と異なるように、更に、前記形成さ たチョップド繊維束シート上に前記多数の ョップド繊維束からなる別のチョップド繊 束シートが形成されるように、前記形成さ たチョップド繊維束シート上に前記チョッ ド繊維束が散布され、チョップド繊維束シ トの積層体からなる成形材料が形成される とが好ましい。

 前記形成されたチョップド繊維束シート における前記多数のチョップド繊維束のそ ぞれの強化繊維の配列方向は、実質的に同 であれば良い。ここで、各チョップド繊維 の前記強化繊維の配列方向がそれぞれ実質 に同一とは、チョップド繊維束に含まれる 強化繊維の配列方向の平均値を当該チョッ ド繊維束を代表する強化繊維の代表配列方 として、チョップド繊維束集合体における チョップド繊維束の各代表配列方向が±10% 内であるチョップド繊維束が、チョップド 維束集合体における全チョップド繊維束の90 %以上である状態を云う。

 本発明の成形材料の製造方法において、 記成形基体上における前記多数のチョップ 繊維束のそれぞれの強化繊維の配列方向が ンダムになるように、前記成形基体上に前 チョップド繊維束が散布されても良い。

 本発明の成形材料の製造方法において、 記成形基体が、強化繊維を含む樹脂成形体 製造する際に用いられるマトリックス樹脂 より形成された樹脂シートであることが好 しい。

 本発明の成形材料の製造方法において、前 チョップド繊維束散布工程が、
 (a)前記成形基体が三次元形状面を有し、該 次元形状面上における前記多数のチョップ 繊維束のそれぞれの強化繊維の配列方向が 一となるように、前記三次元形状面上に前 チョップド繊維束を散布して多数のチョッ ド繊維束からなる第1のチョップド繊維束層 を形成する第1の層形成工程、および、
 (b)前記第1の層形成工程において形成された 前記第1のチョップド繊維束層の上における 記多数のチョップド繊維束のそれぞれの強 繊維の配列方向が同一となるように、かつ 前記第1のチョップド繊維束層におけるチョ プド繊維束の強化繊維の配列方向とは異な 強化繊維の配列方向となるように、前記第1 のチョップド繊維束層の上に前記チョップド 繊維束を散布して多数のチョップド繊維束か らなる第2のチョップド繊維束層を形成する 2の層形成工程からなっていても良い。

 前記多数のチョップド繊維束のそれぞれ 強化繊維の配列方向は、実質的に同一であ ば良い。ここで、各チョップド繊維束の前 強化繊維の配列方向がそれぞれ実質的に同 とは、チョップド繊維束に含まれる各強化 維の配列方向の平均値を当該チョップド繊 束を代表する強化繊維の代表配列方向とし 、チョップド繊維束集合体における各チョ プド繊維束の各代表配列方向が±10%以内で るチョップド繊維束が、チョップド繊維束 合体における全チョップド繊維束の90%以上 ある状態を云う。

 本発明の成形材料の製造方法の他の態様は
 (a)多数の本発明のチョップド繊維束を、強 繊維を含む樹脂成形体を製造する際に用い れるマトリックス樹脂により形成された第1 の樹脂シートからなる成形基体上に散布する チョップド繊維束散布工程、
 (b)該チョップド繊維束散布工程において得 れた前記多数のチョップド繊維束を有する 記第1の樹脂シートの該多数のチョップド繊 維束の上に、前記マトリックス樹脂からなる 第2の樹脂シートを積層する樹脂シート積層 程、および、
 (c)該樹脂シート積層工程において得られた 記多数のチョップド繊維束と前記第1および 第2の樹脂シートとからなる積層体を、加圧 よび/または加熱することにより、前記多数 チョップド繊維束と前記第1および第2の樹 シートとを一体化し、チョップド繊維束集 体を形成するチョップド繊維束集合体形成 程とからなる。

 本発明の成形材料の製造方法の更に他の 様は、多数の本発明のチョップド繊維束と 可塑性樹脂とが混練され、チョップド繊維 と熱可塑性樹脂との混練物を用意する混練 程と、該混練工程により用意された混練物 連続して棒状あるいはシート状に押し出し 棒状あるいはシート状の連続成形物を成形 る成形工程と、該成形工程により得られた 続成形物を、その長手方向に間隔をおいて 断し、射出成形用のペレットを形成するペ タイジング工程とからなる。

 本発明の繊維強化プラスチックの製造方 は、成形型のキャビティの投影面積よりも さい面積を有する本発明の成形材料の一枚 るいは複数枚を、前記キャビティの厚さよ も厚い状態で、前記キャビティ内に配置し 前記成形型を型締めして、前記成形材料を 圧することにより、あるいは、加圧および 熱することにより、前記成形材料を伸張さ 、前記キャビティ内に前記成形材料を充填 せ、前記キャビティ内での繊維強化プラス ックの成形が終了した後、成形された繊維 化プラスチックを前記キャビティから取り すことからなる。

 本明細書において、連続強化繊維とは、 に断らない限り、100mmを超える繊維長を有 る強化繊維を云う。連続強化繊維束は、こ 連続強化繊維の多数本が束状に配列されて る。

 本発明によれば、成形材料として用いた 合、良好な流動性、成形追従性を有し、繊 強化プラスチックとした場合、優れた力学 性を発現するチョップド繊維束、および、 の製造方法が提供される。また、本発明の ョップド繊維束を用いた成形材料、および 繊維強化プラスチック、ならびに、これら 製造方法が提供される。

図1は、本発明のチョップド繊維束の一 例の平面図である。 図2は、本発明のチョップド繊維束の他 の一例の平面図である。 図3は、本発明のチョップド繊維束の更 に他の一例の平面図である。 図4は、図1の本発明のチョップド繊維 の幅が最大幅Wbを有している位置における横 断面図である。 図5は、本発明のチョップド繊維束の他 の7例のそれぞれの平面図((a)乃至(g))の羅列で ある。 図6は、従来のチョップド繊維束の一例 の平面図(a)および側面図(b)の羅列である。 図7は、図2の本発明のチョップド繊維 の平面図(a)、側面図(b)、および、当該チョ プド繊維束の強化繊維の配列方向における 化繊維の本数の増減の状態を示すグラフ(c) 羅列である。 図8は、図3の本発明のチョップド繊維 の平面図(a)、側面図(b)、および、当該チョ プド繊維束の強化繊維の配列方向における 化繊維の本数の増減の状態を示すグラフ(c) 羅列である。 図9は、本発明の成形材料の一例の平面 図である。 図10は、本発明の成形材料の製造方法 一例を説明するための概略斜視図である。 図11は、本発明の繊維強化プラスチッ の一例の横断面図である。 図12は、従来の繊維強化プラスチック 一例の横断面図である。

符号の説明

 11:強化繊維
 12a:第1の先端
 12b:第2の先端
 13a:第1の遷移区間
 13b:第2の遷移区間
 13Ea:遷移区間の第1の終端面
 13Eb:遷移区間の第2の終端面
 14:不変区間
 14Ea:不変区間の一方の端面
 15a:第1の遷移区間における一方の辺
 15b:第2の遷移区間における一方の辺
 16a:第1の遷移区間における他方の辺
 16b:第2の遷移区間における他方の辺
 61:従来のチョップド繊維束における強化繊
 61a、61b:従来のチョップド繊維束の先端
 91:成形材料
 101:連続強化繊維束
 102:ボビン
 103、104:ガイドローラ
 105:ローラーカッター
 106:集束剤付与装置
 107:集束剤供給口
 108:スリット状のノズル
 109:成形基体
 110:ロボットアーム
 111:本発明の繊維強化プラスチック
 112:本発明の繊維強化プラスチックの横断面
 113:本発明の繊維強化プラスチックにおける 強化繊維
 114:本発明の繊維強化プラスチックにおける チョップド繊維束
 115:本発明の繊維強化プラスチックにおける チョップド繊維束の端部
 121:従来の繊維強化プラスチック
 122:従来の繊維強化プラスチックの横断面
 123:従来の繊維強化プラスチックにおける強 化繊維
 124:従来の繊維強化プラスチックにおけるチ ョップド繊維束
 125:従来の繊維強化プラスチックにおけるチ ョップド繊維束の端部
 126:従来の繊維強化プラスチックにおける樹 脂溜まり
 CFB、CFB1、CFB2、CFB3、CFB5a-CFB5g:チョップド繊 束
 CFBC:従来のチョップド繊維束
 CFTS:強化繊維の総断面積の変化量
 Ld:チョップド繊維束の差し渡し長さ
 Lf:強化繊維の繊維長
 Tb:チョップド繊維束の最大厚み
 Wb:チョップド繊維束の最大幅
 Wd:チョップド繊維束の差し渡し幅

 本発明のチョップド繊維束のいくつかの 施態様を、図面を参照しながら説明する。

 図1は、本発明のチョップド繊維束の一例 の平面図である。図1において、本発明のチ ップド繊維束CFB1は、一方向に配列された多 本の強化繊維11と多数本の強化繊維11を集束 する集束剤(図示されていない)とからなる。 強化繊維11の繊維長Lfは、5乃至100mmである。

 チョップド繊維束CFB1は、強化繊維11の配 方向における一方の先端である第1の先端12a から他方の先端である第2の先端12bに向かい 強化繊維11の配列方向に直角な方向の繊維束 横断面における強化繊維11の本数が増加する 1の遷移区間13aを有する。また、第2の先端12 bから第1の先端12aに向かい、繊維束横断面に ける強化繊維11の本数が増加する第2の遷移 間13bを有する。

 強化繊維11の配列方向は、図1において、 下方向あるいは垂直方向に描かれている。 化繊維11の配列方向は、チョップド繊維束CF B1の長手方向でもある。強化繊維11の配列方 に直角な方向は、図1において、左右方向あ いは水平方向に描かれている。強化繊維11 配列方向に直角な方向は、チョップド繊維 CFB1の幅方向でもある。

 第1の遷移区間13aと第2の遷移区間13bとの に、強化繊維11の配列方向に沿って、繊維束 横断面における強化繊維11の本数が不変であ 不変区間14を有する。不変区間14の一方の端 面14Eaが、第1の遷移区間13aの第1の先端12aとは 反対側の終端である第1の終端面13Eaに一致し いる。また、不変区間14の他方の端面14Ebが 第2の遷移区間13bの第2の先端12bとは反対側 終端である第2の終端面13Ebに一致している。

 チョップド繊維束CFB1は、第1の先端12aと第2 先端12bとの間において、繊維束横断面にお る強化繊維の総断面積の変化量が、強化繊 11の配列方向に1mm当たり0.05mm 2 以下とされている。

 図1は、チョップド繊維束CFB1の強化繊維11 の配列方向に直角な方向の幅が最大となる状 態が描画された平面図である。チョップド繊 維束CFB1は、不変区間14の全域において、最大 幅Wbを有する。最大幅Wbを有する位置(区間)に おいて、強化繊維11の本数が最大になる。

 図1において、第1の遷移区間13aおよび第2 遷移区間13bの双方の遷移区間の外形状にお る先端から終端に向かう一方の辺15a、15bの れぞれは、強化繊維11の配列方向に沿った 線状の線分で形成され、他方の辺16a、16bの れぞれは、チョップド繊維束CFB1が製造され 際に切断された多数の強化繊維11の切断端 が並ぶ直線状の線分で形成されている。

 チョップド繊維束CFB1の辺15aと辺15bとの間 のチョッド繊維束CFB1の幅方向における距離 、チョップド繊維束CFB1の差し渡し幅Wdであ 、第1の先端12aと第2の先端12bとの間のチョッ プド繊維束CFB1の長手方向の距離は、チョッ ド繊維束CFB1の差し渡し長さLdである。

 図2は、本発明のチョップド繊維束の他の 一例の平面図である。図2において、本発明 チョップド繊維束CFB2は、図1のチョップド繊 維束CFB1と同様の形態を有する。従って、図2 チョップド繊維束CFB2の各部位には、図1の ョップド繊維束CFB1のそれに相当する部位の 号と同じ符号が付けられている。

 図2のチョップド繊維束CFB2と図1のチョッ ド繊維束CFB1との相違は、図2のチョップド 維束CFB2の不変区間14におけるチョップド繊 束の幅Wb、すなわち、チョップド繊維束CFB2 差し渡し幅Wdが、図1のチョップド繊維束CFB1 差し渡し幅Wdに比べ、狭い点にある。その 果、図2のチョップド繊維束CFB2の第1の遷移 間13aにおける多数本の強化繊維11の切断端部 が並ぶ辺16aの長さは、図1のチョップド繊維 CFB1の辺16aの長さより短く、また、図2のチョ ップド繊維束CFB2の第2の遷移区間13bにおける 数本の強化繊維11の切断端部が並ぶ辺16bの さは、図1のチョップド繊維束CFB1の辺16bの長 さより短くなっている。

 チョップド繊維束CFB2における各強化繊維11 繊維長Lfは、5乃至100mmである。チョップド 維束CFB2は、第1の先端12aと第2の先端12bとの において、繊維束横断面における強化繊維 総断面積の変化量が、強化繊維11の配列方向 に1mm当たり0.05mm 2 以下とされている。

 図3は、本発明のチョップド繊維束の更に 他の一例の平面図である。図3において、本 明のチョップド繊維束CFB3は、図1のチョップ ド繊維束CFB1の不変区間14を有していない点を 除いて、図1のチョップド繊維束CFB1と同様の 態を有する。従って、図3のチョップド繊維 束CFB3の各部位には、図1のチョップド繊維束C FB1のそれに相当する部位の符号と同じ符号が 付けられている。

 図3のチョップド繊維束CFB3は、強化繊維11 の本数が第1の先端12aから第2の先端12bに向か 増加する第1の遷移区間13aと強化繊維11の本 が第2の先端12bから第1の先端12aに向かい増 する第2の遷移区間13bとからなる。チョップ 繊維束CFB3において、第1の遷移区間13aの第1 先端12aとは反対側の終端である第1の終端面 13Eaと第2の遷移区間13bの第2の先端12bとは反対 側の終端である第2の終端面13Ebとが直接一致 ている。

 チョップド繊維束CFB3は、これら両終端面 13Ea、13Ebが一致している箇所において、最大 Wbを有する。最大幅Wbを有する位置(区間)に いて、強化繊維11の本数が最大になる。ま 、これら両終端面13Ea、13Ebが一致しているた め、チョップド繊維束CFB3の差し渡し長さLdの 値は、強化繊維11の長さLfの値の2倍となって る。

 チョップド繊維束CFB3における各強化繊維11 繊維長Lfは、5乃至100mmである。チョップド 維束CFB3は、第1の先端12aと第2の先端12bとの において、繊維束横断面における強化繊維 総断面積の変化量が、強化繊維11の配列方向 に1mm当たり0.05mm 2 以下とされている。

 図4は、図1の本発明のチョップド繊維束CF B1の幅が最大幅Wbを有している位置のチョッ ド繊維束CFB1の長手方向に直角な方向におけ 横断面図である。図4において、多数本の強 化繊維11が集束剤により集束されてなるチョ プド繊維束CFB1は、その幅方向(図4における 右方向あるいは水平方向)において最大幅Wb 有し、その厚み方向(図4における上下方向 るいは垂直方向)において最大厚みTbを有す 。図2の本発明のチョップド繊維束CFB2、およ び、図3のチョップド繊維束CFB3のそれぞれの 大幅Wbの位置におけるそれぞれの横断面形 は、図4のチョップド繊維束CFB1の横断面形状 と同じであるため、それらの図示は省略する 。最大幅の値Wbと最大厚みの値Tbとの比率Wb/Tb により、チョップド繊維束の扁平率が示され る。

 チョップド繊維束の長手方向に直角な方 における横断面形状は、円形、楕円形、四 形など種々の形状を採り得るが、チョップ 繊維束の横断面形状の安定性、チョップド 維束の良好な取り扱い性、および、チョッ ド繊維束の製造の容易性の観点から、チョ プド繊維束の横断面形状は、円形、楕円形 あるいは、四角形であることが好ましく、 4に示すような扁平な長方形、あるいは、扁 平な楕円形であることが特に好ましい。

 図5は、本発明のチョップド繊維束の他の 7例のそれぞれの平面図((a)乃至(g))の羅列であ る。図5のそれぞれのチョップド繊維束は、 において上下方向に配列され、集束剤によ 集束された多数本の強化繊維11からなる。

 図5(a)のチョップド繊維束CFB5aは、上側に4 つの先端を、下側に4つの先端を有し、隣接 る先端の間に、V字の切り込みを有する。チ ップド繊維束CFB5aの外形は、16の辺からなり 、各辺は、全て直線の線分からなる。

 図5(b)のチョップド繊維束CFB5bは、上側に1 つの先端を、下側に2つの先端を有し、下側 2つの先端の間に、V字の切り込みを有する。 チョップド繊維束CFB5bの外形は、6つの辺から なり、各辺は、全て直線の線分からなる。

 図5(c)のチョップド繊維束CFB5cは、上側に1 つの先端を、下側に1つの先端を有する。チ ップド繊維束CFB5cの外形は、4つの辺からな 、それらのうち2つの辺は、曲線の線分から り、他の2つの辺は、直線の線分からなる。

 図5(d)のチョップド繊維束CFB5dは、上側に2 つの先端を、下側に1つの先端を有する。チ ップド繊維束CFB5dの外形は、4つの辺からな 、それらのうち上側の2つの先端を結ぶ辺は U字の曲線の線分からなり、下側の先端を含 む辺は、U字の曲線の線分からなり、残りの2 の辺は、直線の線分からなる。

 図5(e)のチョップド繊維束CFB5eは、上側に1 つの先端を、下側に1つの先端を有する。チ ップド繊維束CFB5eの外形は、2つの辺からな 、それらの辺は、それぞれ上側の先端と下 の先端とを結ぶ外側に凸の曲線の線分から る。

 図5(f)のチョップド繊維束CFB5fは、上側に1 つの先端を、下側に1つの先端を有する。チ ップド繊維束CFB5fの外形は、6つの辺からな 、各辺は、全て直線の線分からなる。

 図5(g)のチョップド繊維束CFB5gは、上側に1 つの先端を、下側に1つの先端を有する。チ ップド繊維束CFB5gの外形は、4つの辺からな 、各辺は、全て直線の線分からなる。

 本発明のチョップド繊維束は、繊維強化 形体(繊維強化プラスチック)を成形するた の成形材料の製造に用いられる。この成形 料は、多数の本発明のチョップド繊維束の 合体からなる。この成形材料を用いて複雑 形状を有する成形体を成形する場合、複雑 形状への良好な成形追従性が求められる。 発明のチョップド繊維束中に含まれる全て 強化繊維11の繊維長Lfが100mm以下とされてい ため、多数の本発明のチョップド繊維束か なる成形材料は、良好な成形追従性を有す 。

 繊維長Lfが100mmを超える場合、繊維長が長 くなるほど、成形体の成形過程において、強 化繊維11がその配列方向に流動し難くなり、 雑の形状を有する成形体の製造が困難とな 。繊維長Lfが5mm未満の場合は、成形体の成 過程における強化繊維11の流動性は向上する が、得られる成形体の力学特性が低下する。 成形体の成形過程における強化繊維の流動性 と得られる成形体の力学特性との関係から、 本発明のチョップド繊維束中の各強化繊維11 長さLfは、10乃至50mmであることが好ましい

 チョップド繊維束内に含まれる繊維長が5 mm未満の強化繊維の本数は、少なければ少な ほど良く、チョップド繊維束を形成してい 強化繊維の総本数の5%より少ないのが良い すなわち、本発明において、チョップド繊 束を形成している強化繊維11の繊維長Lfが5乃 至100mmであるとは、繊維長が5mm未満の強化繊 の本数が、チョップド繊維束を形成してい 強化繊維の総本数の5%以下であり、かつ、 ての強化繊維の繊維長が100mm以下である状態 を含む。

 一般的に、多数のチョップド繊維束の集 体からなる成形材料を成形することにより 繊維強化プラスチック(以下、「短繊維強化 プラスチック」と称することがある)が製造 れる。繊維強化プラスチックに荷重が付加 れた場合、荷重のほとんどを、繊維強化プ スチックに内在している強化繊維が受け持 ことになる。チョップド繊維束の場合、そ を形成している多数の強化繊維は、ある長 をもって切断された状態にある。従って、 るチョップド繊維束の強化繊維が受け持っ いた荷重は、そのチョップド繊維束の端部 ら、マトリックス樹脂を介して、近傍に位 するチョップド繊維束の端部においてその ョップド繊維束の強化繊維に受け渡される 要がある。

 繊維強化プラスチックの製造に用いられ いる従来のチョップド繊維束の一例の平面 および側面図を、図6に示す。図6において 従来のチョップド繊維束CFBCは、集束剤によ 集束された多数本の強化繊維61からなる。 ョップド繊維束CFBCは、多数本の連続した強 繊維からなる連続強化繊維束が、長さ方向 一定間隔で、連続強化繊維束の長さ方向に 角な方向において切断されて製造される。 って、チョップド繊維束CFBCの長手方向の双 方の先端61a、61bにおいて、チョップド繊維束 CFBCが製造された際に切断された多数の強化 維61の切断端部の全てが、チョップド繊維束 CFBCの幅方向に位置する、換言すれば、多数 強化繊維61の切断端部の位置に、チョップド 繊維束CFBCの長手方向におけるずれがない。

 このような多数の従来のチョップド繊維 CFBCからなる繊維強化プラスチックに荷重が 付加された場合、あるチョップド繊維束の強 化繊維が受け持っていた荷重は、そのチョッ プド繊維束の端部から、マトリックス樹脂を 介して、近傍に位置するチョップド繊維束に 受け渡される。特に、繊維強化プラスチック に荷重が負荷された方向にチョップド繊維束 の強化繊維が配列している場合、チョップド 繊維束は多くの荷重を負担するため、チョッ プド繊維束の端部から多くの荷重が近傍に位 置するチョップド繊維束に受け渡される。そ の際、従来のチョップド繊維束CFBCでは、多 本の強化繊維の端部の全てが、チョップド 維束CFBCの幅方向(図6において、左右方向あ いは水平方向)に整列しているため、マトリ クス樹脂を介してのチョップド繊維束間の 重の受け渡しが、一気に生じることになる このような荷重の受け渡し状態においては チョップド繊維束CFBCの端部に応力集中が生 じる。この応力集中により、チョップド繊維 束CFBCの端部が破壊され、クラックが発生す 。発生したいくつかのクラックが連結する とで、繊維強化プラスチック全体が破壊に ることも生じる。

 短繊維強化プラスチックの強度向上のた には、前記特許文献1および2に提案がある うに、チョップド繊維束に含まれる強化繊 の本数を少なくすることが有効である。強 繊維の本数を減らすことにより、あるチョ プド繊維束端部から周囲のチョップド繊維 の端部に受け渡す荷重が小さくなるため、 力集中の影響範囲が小さくなる。そのため クラックが発生しても、クラック同士の連 が生じ難く、結果として、繊維強化プラス ックの強度が向上する。

 しかしながら、チョップド繊維束に含ま る強化繊維の本数は、工業的には減らすこ は非常に難しい。強化繊維としてガラス繊 が使用される場合、強度向上を図るために 多数本の連続したガラス繊維からなる連続 ラス繊維束を分繊して、ガラス繊維の本数 小分けにした後、繊維束を切断することで ガラス繊維の本数が少ないチョップド繊維 を製造している。しかし、分繊の工程が必 となるため、チョップド繊維束の製造コス が高くなる問題を有する。また、強化繊維 して炭素繊維が使用される場合、炭素繊維 を分繊すると、毛羽が発生するため、炭素 維束を小分けにすることが難しい。

 一方、多数本の強化繊維の各強化繊維を 糸単位で分散させて配列しようとする場合 強化繊維一本一本の曲げ剛性が低く、強化 維の真直性を保ったまま分散させるのは非 に困難であり、また、強化繊維同士が凝集 て結局強度が低下してしまうため、強化繊 を単糸分散させた成形材料は、工業的に製 することが困難である。

 本発明のチョップド繊維束は、上記の問 を解決することを目的とする。本発明のチ ップド繊維束は、チョップド繊維束を形成 る強化繊維の本数を、チョップド繊維束の 端部において、その中央部よりも少なくす ことにより、チョップド繊維束の中央部で 大であるチョップド繊維束の受け持つ荷重 、チョップド繊維束端部に向かって、本数 減少している強化繊維を通じて、少しずつ 近傍に位置するチョップド繊維束に受け渡 ようにしたものである。従って、本発明の ョップド繊維束からなる繊維強化プラスチ クにおいては、上記応力集中が発生しにく 。

 そのため、従来の同一箇所で強化繊維が べて切断されているチョップド繊維束の場 に比べ、本発明のチョップド繊維束の場合 得られる繊維強化プラスチックの強度が、 段に向上する。それだけではなく、応力集 が起こらないため、初期の損傷(クラック) 発生しにくい。繊維強化プラスチックの用 では、初期の損傷により音鳴りが起き、不 を誘うため、適用できない用途も存在する 、そのような用途にも、本発明のチョップ 繊維束からなる繊維強化プラスチック(本発 の繊維強化プラスチック)を使用することが 可能となる。また、初期の損傷は、疲労強度 に大きく影響するが、本発明の繊維強化プラ スチックの場合、初期の損傷が少ないため、 静的強度のみならず疲労強度も大きく向上す る。

 本発明のチョップド繊維束の遷移区間13a、1 3bにおける強化繊維11の本数の増加は、遷移 間13a、13bにおいて、少なくとも二箇所で強 繊維11の本数の増加があり、その本数の増加 箇所のチョップド繊維束の横断面における強 化繊維の総断面積の最大値が、0.008mm 2 以下である場合、遷移区間13a、13bにおける強 化繊維11の本数の増加は、連続的な増加と云 ことが出来る。より滑らかに強化繊維の本 が増加した方が、上記の応力集中が起き難 との観点から、上記本数の増加箇所のチョ プド繊維束の横断面における強化繊維の総 面積は、0.002mm 2 以下であることが好ましい。

 実際に強化繊維11の本数の変化が起こる遷 区間13a、13bを含む本発明のチョップド繊維 の長手方向の全域(差し渡し長さLdの全域)に って、強化繊維の総断面積の変化量は、1mm たり0.05mm 2 以下とされている。この変化量の規定により 、上記の応力集中を有効に防止することが出 来る。この変化量は、1mm当たり0.04mm 2 以下であることが好ましく、0.025mm 2 以下であることが更に好ましい。

 チョップド繊維束中の任意の位置におけ 強化繊維の総断面積とは、当該任意の位置 おいて、強化繊維の配列方向に直交した面( 横断面)に存在する全ての強化繊維の各強化 維の断面積を加算して得られる総和である

 図7は、図2の本発明のチョップド繊維束CF B2の平面図(a)、側面図(b)、および、チョップ 繊維束CFB2の強化繊維11の配列方向における 化繊維11の本数の増減の状態を示すグラフ(c )である。図7(c)のグラフにおいて、横軸Xは、 チョップド繊維束CFB2の差し渡し長さLdにおけ る位置を示し、縦軸Yは、強化繊維11の本数あ るいは強化繊維11の総断面積を示す。

 図7(c)のグラフに示すように、チョップド 繊維束CFB2の強化繊維11の本数は、第1の先端12 aから第1の遷移区間の第1の終端面13Eaに向か 、チョップド繊維束CFB2の長手方向に沿って 連続的に増加し、第1の終端面13Eaにおいて 一定値となる。この一定値は、第1の終端面1 3Eaから第2の遷移区間の第2の終端面13Ebまでの 不変区間14において維持される。次いで、強 繊維11の本数は、第2の終端面13Ebから第2の 端12bに向かい、チョップド繊維束CFB2の長手 向に沿って、連続的に減少する。不変区間1 4における強化繊維11の本数は、チョップド繊 維束CFB2における強化繊維11の本数の最大値で ある。

 図8は、図3の本発明のチョップド繊維束CF B3の平面図(a)、側面図(b)、および、チョップ 繊維束CFB3の強化繊維11の配列方向における 化繊維11の本数の増減の状態を示すグラフ(c )である。図8(c)のグラフにおいて、横軸Xは、 チョップド繊維束CFB3の差し渡し長さLdにおけ る位置を示し、縦軸Yは、強化繊維11の本数あ るいは強化繊維11の総断面積を示す。

 図8(c)のグラフに示すように、チョップド 繊維束CFB3の強化繊維11の本数は、第1の先端12 aから第1の遷移区間の第1の終端面13Eaに向か 、チョップド繊維束CFB3の長手方向に沿って 連続的に増加する。チョップド繊維束CFB3は 、強化繊維の本数が繊維束の長手方向に一定 値に維持される不変区間を有さず、第1の終 面13Eaと第2の遷移区間13bの第2の終端面13Ebと 一致しているため、第1の終端面13Ea(第2の終 端面13Eb)における強化繊維11の本数は、最大 を示す。次いで、強化繊維11の本数は、第2 終端面13Ebから第2の先端12bに向かい、チョッ プド繊維束CFB3の長手方向に沿って、連続的 減少する。

 本発明のチョップド繊維束のその長手方 における強化繊維の本数の変化の形態は、 加後、一定値となり、その後減少する第1の 形態と増加後、一定値を有することなく、減 少する第2の形態との二つである。

 本発明のチョップド繊維束において、第1の 先端12aと第2の先端12bとの間のチョップド繊 束の横断面における強化繊維11の総断面積FTS の変化量CFTSは、強化繊維11の配列方向に1mm当 たり0.05mm 2 以下である。チョップド繊維束の横断面にお ける強化繊維11の総断面積FTSは、当該横断面 存在する各強化繊維11の横断面積の総和で る。

 チョップド繊維束の横断面に存在する各 化繊維11の横断面積が、それらの中で選択 れた代表的な強化繊維の横断面積に対し、± 10%以下のばらつきがある場合は、強化繊維11 総断面積FTSとして、当該横断面に存在する 化繊維11の本数に前記代表的な強化繊維の 断面積を掛けて得られる値を用いる。また チョップド繊維束の最大幅Wbが3mm未満である 場合は、強化繊維の総断面積FTSの変化量CFTS して、チョップド繊維束における強化繊維11 の総断面積FTSの最大値を、強化繊維の配列方 向の遷移区間13a、13bの長さ(mm)で割って得ら る値を用いる。

 図1乃至5に、本発明のチョップド繊維束の 々の例が示されている。これらのいずれの ョップド繊維束も、強化繊維の本数が増加 る遷移区間を有しており、かつ、チョップ 繊維束長手方向の全域に渡って、強化繊維 総断面積の変化量が、強化繊維の配列方向 1mm当たり0.05mm 2 以下である。本発明のチョップド繊維束にお いて、強化繊維の総断面積の最大値が0.1mm 2 以上であることが好ましい。

 本発明のチョップド繊維束の遷移区間の 端から終端に向かって、強化繊維の本数が 加する状態は、逆に、チョップド繊維束の 央部からチョップド繊維束の先端に向かっ 、強化繊維の本数が減少する状態と表現す ことが出来る。この強化繊維の本数の減少 態により、上記の繊維強化プラスチックに ける応力集中の発生が防止される。この強 繊維の本数の減少状態は、強化繊維の本数 徐々に、すなわち、連続的に減少する形態 好ましい。チョップド繊維束が太く、強化 維の本数が多く、強化繊維の総断面積が大 い方が、応力集中の発生の防止効果が大き なる。強化繊維の総断面積が大きければ大 いほど、繊維強化プラスチック中の一つの ョップド繊維束が負担する荷重が大きくな が、負担する荷重が大きくても、その荷重 、隣接するチョップド繊維束の端部に、マ リックス樹脂を介して、一気に受け渡され 状態は、遷移区間における強化繊維の本数 減少状態により、防止される。すなわち、 接するチョップド繊維束の間の荷重の伝達 、遷移区間における強化繊維の本数の減少 態により、徐々に行われ、チョップド繊維 の端部における応力集中が防止される。

 チョップド繊維束を製造する場合、太い ョップド繊維束を製造する方が、プロセス に優れ、製造コストも低くなる。しかし、 6を用いて説明した形態からなる従来のチョ ップド繊維束を太いチョップド繊維束とした 場合、この太いチョップド繊維束を用いて成 形された従来の短繊維強化プラスチックは、 強度が低い。従って、この短繊維強化プラス チックは、強度部材には適用し難いという問 題があった。

 本発明のチョップド繊維束は、太いチョッ ド繊維束であっても、これを用いて成形さ た短繊維強化プラスチックは、従来の太い ョップド繊維束用いて成形された従来の短 維強化プラスチックに比べ、高い強度を有 る。従って、チョップド繊維束の製造コス を低くすることが出来る上、高い強度を有 る短繊維強化プラスチックを製造すること 可能となる。太いチョップド繊維束との観 から、強化繊維の総断面積の最大値は、0.2m m 2 以上であることが好ましい。なお、繊維強化 プラスチックとした際の厚み設計の自由度の 観点からは、強化繊維の総断面積の最大値は 、30mm 2 以下であることが好ましく、5mm 2 以下であることがより好ましい。

 一方、強化繊維の総断面積の最大値が0.1mm 2 未満である場合、チョップド繊維束の全域に 亘って、強化繊維の本数の変化量が、強化繊 維の配列方向に1mm当たり強化繊維の最大本数 (本数の最大値)の30%以下であることが好まし 。強化繊維の総断面積の最大値が0.1mm 2 未満である場合、すなわち、細いチョップド 繊維束であっても、従来のチョップド繊維束 のように、荷重が一気に解放されるより、強 化繊維の本数が、チョップド繊維束の中央部 から先端にかけて、徐々に減少する形態は、 繊維強化プラスチックにおける荷重の伝達が 徐々に行われるので、好ましい。

 本発明のチョップド繊維束において、各 化繊維11の繊維長Lfが、同じであることが好 ましい。チョップド繊維束を製造する際、各 強化繊維の繊維長が同一であると、連続強化 繊維束を長手方向に同一間隔で切断してチョ ップド繊維束を製造することが出来るので、 チョップド繊維束の製造効率が良く、また、 多数のチョップド繊維束を一体化して成形材 料とし、この成形材料を用いて成形体の成形 を行う際に、各強化繊維の繊維長が同じであ る方が、強化繊維の流動を制御し易い。各強 化繊維の繊維長が同一である本発明のチョッ プド繊維束の例は、図1、2、3、5(a)、5(b)、5(c) および5(d)に示されている。

 各強化繊維の繊維長が同じであるとは、 ョップド繊維束に含まれる強化繊維の繊維 の平均値から±5%の範囲内の繊維長を有する 強化繊維が、チョップド繊維束に含まれる全 強化繊維の95%を占めている状態を云う。

 本発明のチョップド繊維束に用いられる 化繊維としては、例えば、アラミド繊維、 リエチレン繊維、ポリパラフェニレンベン オキサドール(PBO)繊維などの有機繊維、ガ ス繊維、炭素繊維、炭化ケイ素繊維、アル ナ繊維、チラノ繊維、玄武岩繊維、セラミ クス繊維などの無機繊維、ステンレス繊維 スチール繊維などの金属繊維、その他、ボ ン繊維、天然繊維、変性した天然繊維があ 。また、種類の異なる2種以上の強化繊維を み合わせであっても良い。これらの中でも 炭素繊維は、軽量であり、優れた比強度お び比弾性率を有しており、更に、優れた耐 性や耐薬品性を有しているため、強化繊維 して好ましく用いられる。炭素繊維からな 本発明のチョップド繊維束から製造された 形体(繊維強化プラスチック)は、軽量化が まれる自動車パネルなどの部材に好適に用 られる。

 本発明のチョップド繊維束において、強 繊維が、炭素繊維であり、炭素繊維の本数 、1,000乃至700,000本であり、チョップド繊維 の全域に亘って、炭素繊維の配列方向に1mm 動する毎の、炭素繊維の本数の変化量が、1 ,400本以下であることが好ましい。

 炭素繊維は、高強度が得られ易いポリア リロニトリル系炭素繊維が好ましい。入手 易い炭素繊維の単糸の径は、5乃至10μm程度 あることを考慮すると、チョップド繊維束 おける炭素繊維の本数は、1,000乃至700,000本 あることが好ましい。炭素繊維の本数は、3 ,000乃至100,000本であることが更に好ましい。 強度を有し、繊維の本数が6,000乃至50,000本 らなる連続炭素繊維束は、安価で、かつ、 手し易いので、本発明のチョップド繊維束 製造する際に、好ましく用いられる。

 本発明のチョップド繊維束の全域に亘っ 、強化繊維の配列方向に1mm移動する毎に、 化繊維の本数の変化量が、1,400本以下であ と、繊維強化プラスチックにおいて、有効 応力集中を防ぐことが出来る。強化繊維の 数の変化量は、1,000本以下であることが好ま しい。繊維強化プラスチックの強度向上を図 るためには、強化繊維の本数の変化量は、600 本以下であることが好ましい。

 チョップド繊維束の最大幅Wbが3mm未満で る場合は、強化繊維の本数の変化量として 当該チョップド繊維束の強化繊維の本数の 大値を、強化繊維の配列方向における遷移 間の長さで割り、1mm当たりの変化量に比例 算した値を用いる。この際、遷移区間内で なくとも二箇所で強化繊維の本数の増加が り、強化繊維の本数が増加する箇所におけ チョップド繊維束の横断面に含まれる強化 維の本数が、200本以下であることが好まし 、50本以下であることが更に好ましい。

 本発明のチョップド繊維束において、最 幅Wbと最大厚みTbとの比率Wb/Tbが、20乃至400 あることが好ましい。比率Wb/Tbは、チョップ ド繊維束の扁平率を表す。扁平率が大きいほ ど、チョップド繊維束は扁平である。扁平な チョップド繊維束は、繊維強化プラスチック の強度向上をもたらす。最大厚みTbの値は、1 50μm以下であることが好ましく、100μm以下で ることが更に好ましい。

 扁平なチョップド繊維束は、例えば、一 向に引き出された連続した強化繊維束を開 した後に切断することにより製造すること 出来る。この連続した強化繊維束の開繊は 例えば、連続した強化繊維束をローラーに 触させて通過させたり、連続した強化繊維 を振動させたり、連続した強化繊維束に対 エアブローを行うことにより行うことが出 る。

 本発明のチョップド繊維束の特に好まし 形態は、チョップド繊維束の端部が強化繊 の配列方向に対して斜行している側辺を有 ている形態である。斜行している側辺が強 繊維の配列方向に対し、2乃至30°の角度を して直線状に形成されている形態がより好 しい。

 このような形態を有する本発明のチョッ ド繊維束は、例えば、連続した強化繊維束 一方向に引き出し、強化繊維の繊維長が5乃 至100mmとなるようにして、強化繊維の配列方 (連続した強化繊維束の引き出し方向)に対 て2乃至30°の角度に直線状に、引き出された 連続した強化繊維束を切断することにより、 製造することが出来る。この製造方法におい て、一方向に引き出された連続した強化繊維 束を開繊した後に、切断することにより、よ り扁平なチョップド繊維束を製造することが 出来る。従来のチョップド繊維束は、強化繊 維の配列方向(連続した強化繊維束の引き出 方向)に垂直な方向において、連続した強化 維束を切断することにより製造されていた ころを、強化繊維の配列方向(連続した強化 繊維束の引き出し方向)に対し2乃至30°の角度 で連続した強化繊維束を切断するだけで、高 強度を有する繊維強化プラスチックの製造を 可能とする本発明のチョップド繊維束を得る ことが出来る。

 チョップド繊維束の端部における切断さ た強化繊維の配列が形成する辺の強化繊維 配列方向に対する角度は、小さいほど、こ を用いて成形される繊維強化プラスチック 高強度化の効果が得られる。角度が30°以下 の場合、その効果が著しい。しかし、一方に おいて、チョップド繊維束自体の取り扱い性 は、低下する。また、強化繊維の配列方向と 切断する刃との角度が小さければ小さいほど 、切断工程における安定性が低下する。その ため、角度は2°以上であることが好ましい。 角度は、3乃至25°であることがより好ましい 繊維強化プラスチックの高強度化とチョッ ド繊維束の製造工程におけるプロセス性と 兼ね合いから、角度は、5乃至15°であるこ が更に好ましい。なお、ここに云う角度は 絶対値で表される。

 図1、2、3に示す本発明のチョップド繊維 は、連続強化繊維束をその長手方向に同一 切断間隔で切断することにより製造された のである。図1の本発明のチョップド繊維束 CFB1は、比較的広幅の連続強化繊維束を切断 て得られたもので、強化繊維11の切断端が配 列されている辺16a、16bの長さが長い形態を有 する。辺16a、16bの長さが長いため、成形材料 製造時、または、その成形材料を用いて成形 体を成形する際に、強化繊維が開繊し易い。 そのため、成形材料あるいは成形体における 各チョップド繊維束の厚みが薄くなり、得ら れる成形体(繊維強化プラスチック)の強度が 上し易い。

 図2の本発明のチョップド繊維束CFB2は、 較的狭い幅の連続強化繊維束を切断して得 れたもので、強化繊維11の切断端が配列され ている辺16a、16bの長さが短い形態を有する。 辺16a、156bの長さが短いため、強化繊維がば け難く、チョップド繊維束の取り扱い性に れている。

 図3の本発明のチョップド繊維束CFB3は、 続強化繊維束を切断するときの切断角度と 続強化繊維束の幅との関係により、図1ある は図2のチョップド繊維束に存在する不変区 間有さず、実質的に二つの遷移区間13a、13bの みからなる。このチョップド繊維束CFB3にお ては、チョップド繊維束CFB3の差し渡し長さL dが、強化繊維11の繊維長Lfの2倍となる。

 チョップド繊維束を製造するための連続 化繊維束の切断手段としては、例えば、ギ チンカッター、ロービングカッター等のロ タリーカッターがある。連続強化繊維束は 連続強化繊維束の長手方向と切断手段に装 されている切断刃の方向とが相対的に斜行 る状態において、切断手段に挿入され、切 される。

 図5(a)のチョップド繊維束CFB5aの製造には ぎざぎざの刃、図5(b)のチョップド繊維束CFB 5bの製造には、V字型の刃、図5(c)のチョップ 繊維束CFB5cの製造には、流線型の刃、図5(d) チョップド繊維束CFB5dの製造には、Uの字型 刃が用いられる。図5(e)のチョップド繊維束C FB5eは、連続強化繊維束に水などの集束剤を 与しながら、連続強化繊維束の長手方向に 行して連続強化繊維束を切断して、切断に り得られた切断片の長手方向の両側部を両 端部に向かってカヌー状に収束させて製造 れる。図5(f)のチョップド繊維束CFB5f、およ 、図5(g)のチョップド繊維束CFB5gの製造には 異なる形状を有する複数の刃が用いられる

 本発明のチョップド繊維束は、従来のチ ップド繊維束の製造方法により得られた強 繊維の切断端がチョップド繊維束の長手方 に直角な方向に配列されているチョップド 維束の厚み方向にせん断を加え、強化繊維 本数が変化する遷移区間を形成することに り製造することも出来る。また、本発明の ョップド繊維束は、連続強化繊維束を、牽 紡績手段を用いて紡績することにより、製 することも出来る。牽切により得られたチ ップド繊維束は、その両端部において、チ ップド繊維束の長手方向に長さが異なる強 繊維が配列した形態を有し、この部分によ 、遷移区間が形成される。

 本発明のチョップド繊維束は、それを形 している多数本の強化繊維が束の状態を維 するための集束剤を含む。集束剤は、多数 の強化繊維が束の状態を維持することがで 、かつ、チョップド繊維束からなる成形体( 繊維強化プラスチック)を製造する際に使用 れる樹脂との適合性に問題がない材料であ ば良い。

 本発明のチョップド繊維束は、連続強化 維束を切断することにより製造される。こ 連続強化繊維束には、通常、繊維束の取り い性を良好にするために、連続強化繊維束 製造する段階で、サイジング剤が付与され いる。従って、このサイジング剤をそのま 、本発明のチョップド繊維束の集束剤とし 用いることができ、この場合、別途、他の 束剤を用意する必要がなくなる利点がある

 一方、本発明のチョップド繊維束は、そ の集合体からなる成形材料の製造に用いら る。更には、製造された成形材料は、成形 (繊維強化プラスチック)の製造に用いられ 。成形材料や成形体の製造には、チョップ 繊維束とともに、マトリックス樹脂が使用 れる。従って、このマトリックス樹脂をそ まま、本発明のチョップド繊維束の集束剤 して用いることができ、この場合、別途、 の集束剤を用意する必要がなくなる利点が る。集束剤として、マトリックス樹脂を用 る場合、マトリックス樹脂を付与する連続 化繊維束、あるいは、チョップド繊維束に あらかじめ、サイジング剤あるいは他の集 剤が付与されていても良い。ただし、この 合、あらかじめ付与されているサイジング あるいは他の収束剤と後から付与するマト ックス樹脂との間の親和性に配慮する必要 ある。

 集束剤としてサイジング剤を用いる場合 強化繊維へのサイジング剤の付着量は、チ ップド繊維束全体の質量を基準として、0.1 至10質量%であることが好ましい。この量と じ量のサイジング剤が、チョップド繊維束 製造に使用する連続強化繊維束に付着され いる場合、連続強化繊維束を切断する際、 化繊維がばらばらになることなく、切断さ て得られるチョップド繊維束の形状は、意 したものとなる。連続強化繊維束からチョ プド繊維束を製造する場合、用いる連続強 繊維に0.1乃至10質量%のサイジング剤が付与 れていることで、チョップド繊維束の製造 程におけるプロセス性が飛躍的に向上する また、チョップド繊維束を用いて成形材料 製造する際のチョップド繊維束の取り扱い も向上する。

 例えば、引き出した連続強化繊維束に、 媒に溶解または分散させたサイジング剤を0 .1乃至10質量%付与し、連続強化繊維束を切断 た後、加熱して溶媒を乾燥する、もしくは 加熱して溶媒を乾燥した後、連続強化繊維 を切断することにより、本発明のチョップ 繊維束を得ることが出来る。

 サイジング剤としては、例えば、エポキ 樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステ 樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリアミド樹 、ウレタン樹脂、あるいは、これらを混合 た混合樹脂がある。これらの樹脂は、水や 媒等で希釈して、連続強化繊維束に付与さ る。

 収束剤としてマトリックス樹脂を用いる 合、マトリックス樹脂は、例えば、一方向 引き出された連続強化繊維束に付与される その後、マトリックス樹脂が付与された連 強化繊維束が切断され、多数の強化繊維に トリックス樹脂が付着したチョップド繊維 が得られる。マトリックス樹脂を付与する 、連続強化繊維束を形成している多数の強 繊維の間に完全にマトリックス樹脂を含浸 せても良い。また、切断後の多数の強化繊 がばらばらにならないのであれば、マトリ クス樹脂が連続強化繊維束の表面に偏在す 状態で、マトリックス樹脂を連続強化繊維 に付与しても良い。

 収束剤としてマトリックス樹脂を用いる 合、強化繊維へのマトリックス樹脂の付着 は、チョップド繊維束全体の質量を基準と て、20乃至75質量%であることが好ましい。 トリックス樹脂が、あらかじめ、連続強化 維束に付与されている場合、連続強化繊維 を切断してチョップド繊維束を製造する際 多数の強化繊維がばらばらになることなく 所定の形状のチョップド繊維束を安定して 造することが出来る。また、得られた多数 チョップド繊維束を一体化して成形材料を 造する際のチョップド繊維束の取り扱い性 向上する。

 好ましい本発明のチョプド繊維束の製造 法は、複数本の連続強化繊維束が隣接して 列した連続強化繊維束シートを用意し、用 された連続強化繊維束シートに、20乃至75質 量%の量のマトリックス樹脂を付与し、マト ックス樹脂が付与された連続強化繊維束シ トを、強化繊維の配列方向および強化繊維 配列方向と2乃至30°の角度の方向に直線状に 切断することからなる。前記の複数本の連続 強化繊維束が隣接して並列した連続強化繊維 束シートは、通常、樹脂に対する離反性を有 する基材(例えば、離型紙)あるいは基台の上 用意される。

 マトリックス樹脂としては、例えば、エ キシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニ エステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ クリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹 、フェノキシ樹脂、アルキド樹脂、ウレタ 樹脂、マレイミド樹脂、シアネート樹脂な の熱硬化性樹脂や、ポリアミド、ポリアセ ール、ポリアクリレート、ポリスルフォン ABS、ポリエステル、アクリル、ポリブチレ テレフタラート(PBT)、ポリエチレンテレフ レート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレン 、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエー ルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー、塩 、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ 系樹脂、シリコーンなどの熱可塑性樹脂が る。

 これらの中の熱硬化性樹脂を用いる場合 は、得られるチョップド繊維束は、室温に いてタック性を有する。そのため、多数の ョップド繊維束を一体化して成形材料を製 する際、このタック性を利用して、多数の ョップド繊維束の一体化を行うことができ 室温で成形材料を製造することが出来る。

 熱硬化性樹脂の中では、エポキシ樹脂、 飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹 、フェノール樹脂、アクリル樹脂、あるい 、これらの混合樹脂が好ましく用いられる これらの樹脂の常温(25℃)における樹脂粘度 としては、1×106Pa・s以下であることが好まし く、この粘度であれば、好ましいタック性お よびドレープ性を有する本発明のチョップド 繊維束を得ることが出来る。

 本発明のチョップド繊維束を用いた本発 の繊維強化プラスチックは、多数の本発明 チョップド繊維束の集合体からなる本発明 成形材料を用いて製造される。図9は、本発 明の成形材料の一例の平面図である。図9に いて、本発明の成形材料91は、多数の本発明 のチョップド繊維束CFB(例えば、図3に示すチ ップド繊維束CFB3)の集合体からなる。本発 の成形材料は、多数の本発明のチョップド 維束の集合体からなるが、この集合体は、 の基材、例えば、多数の連続繊維からなる 材、と組み合わされていても良い。いずれ 形態であっても、本発明の成形材料は、繊 強化プラスチックの製造に用いられるため 良好な取り扱い性や、プレス成形やドレー 成形など加圧成形に適した特性を有してい ことが好ましい。

 本発明の成形材料は、例えば、多数の本 明のチョップド繊維束を、成形基体の上に シート状に散布した後、ニードルパンチ、 動などの手段により、隣接するチョップド 維束の強化繊維同士を絡み合わせて、多数 チョップド繊維束を一体化させ、多数のチ ップド繊維束の集合体を形成することによ 製造される。成形基体として、マトリック 樹脂シートを使用する場合、多数の本発明 チョップド繊維束をマトリックス樹脂シー の上に散布した後、その上に、別のマトリ クス樹脂シートを重ね、散布された多数の ョップド繊維束を、上下のマトリックス樹 シートで挟み込むことにより、多数のチョ プド繊維束とマトリックス樹脂とが一体化 た成形材料を製造することが出来る。この うな成形材料は、通常、SMCシートあるいは タンパブルシートと呼称されている。

 本発明の成形材料は、あらかじめマトリ クス樹脂を含浸させた多数の本発明のチョ プド繊維束を、成形基体の上に、シート状 散布して、マトリックス樹脂の粘着性を利 して、多数のチョップド繊維束を一体化さ ることにより製造されても良い。また、本 明の成形材料は、マトリックス樹脂が含浸 ていない多数のチョップド繊維束の集合体 ら形成されていても良い。このような成形 は、繊維強化プラスチックの製造に際にマ リックス樹脂を注入するRTM(レジントランス ファーモールディング)により繊維強化プラ チックを製造する場合に、好ましく用いら る。

 本発明のチョップド繊維束における集束 としてサイジング剤を用いる場合、成形材 を製造する際のチョップド繊維束同士の十 な粘着性が得られない場合がある。また、 発明のチョップド繊維束における集束剤と てマトリックス樹脂を用いる場合、成形材 を製造する際のチョップド繊維束の取り扱 性が悪くなる場合がある。これらの場合は 集束剤として、サイジング剤あるいはマト ックス樹脂とは異なる集束剤を用いること なる。これにより、成形材料の製造工程に けるプロセス性を良くすることが出来る。

 このような集束剤としては、形態的には 例えば、液状、布状、粒状の集束剤がある 集束剤の取り扱い性の観点から、粒状のも が好ましい。このような集束剤の成分とし は、例えば、エポキシ樹脂、ビニルエステ 樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、低融点ポ マーとしてのポリアミド、ポリエステル、 リウレタン、これらの混合からなる混合樹 がある。これらの集束剤は、そのままで用 ても良いが、水などの溶液に分散させて用 ても良い。

 本発明のチョップド繊維束における集束 の主たる目的は、多数の強化繊維を束状に 持する、あるいは、拘束することにあるが 強化繊維を拘束するのに十分な量を超えた 束剤を強化繊維に付着させ、集束剤による 数のチョップド繊維束同士の接合にも役立 ようにしても良い。例えば、強化繊維に付 させるサイジング剤量を多くして、多数の ョップド繊維束同士を一体化させても良い 強化繊維をマトリックス樹脂で含浸または 含浸させ、マトリックス樹脂が熱硬化性樹 の場合は、室温でタック性を有するため、 数のチョップド繊維束を一体化させても良 。マトリックス樹脂が熱可塑性樹脂の場合 、融点以上に加熱した状態でプレスして、 数のチョップド繊維束を一体化させても良 。これらの場合、得られる成形材料は、強 繊維のほかに、サイジング剤および/または マトリックス樹脂のみからなるため、成形材 料の物性の低下要因を少なくすることが出来 る。

 本発明の成形材料が、マトリックス樹脂 含む場合、成形材料におけるマトリックス 脂の量は、20乃至75質量%であることが好ま い。成形材料中のマトリックス樹脂の量が20 質量%未満の場合、樹脂量が少ないため、本 明の成形材料の一つの大きな特徴である流 性が損なわれる場合がある。成形材料中の トリックス樹脂の量が75質量%より大きい場 、樹脂量に比べ強化繊維の量が少なくなる め、得られる繊維強化プラスチックの力学 性を向上させることが困難となる。成形材 中のマトリックス樹脂の量は、35乃至55質量% であることがより好ましい。

 成形材料に用いられるマトリックス樹脂 しては、熱硬化性樹脂が好ましい場合があ 。熱硬化性樹脂は、架橋構造を有するため 一般的に、弾性率が高く、形状安定性に優 ている。これにより製造される繊維強化プ スチックにおいて、高い弾性率、良好な寸 安定性が発現される。熱硬化性樹脂は、樹 の粘度を低粘度に調整することが出来る。 のため、適切に粘度調整された熱硬化性樹 は、チョップド繊維束中に容易に含浸させ ことが出来る。また、熱硬化性樹脂の粘度 適宜調整することにより、繊維強化プラス ックを製造するどの課程においても、必要 応じて、樹脂を付与することが出来る。ま 、室温で樹脂が未硬化の状態にある成形材 は、柔軟性を有する。そのため、そのよう 成形材料は、切断や型形状への追従が容易 、取り扱い性に優れる。他にも、室温でタ ク性をもたせるよう設計することが出来る め、このような成形材料は、互いにあるい 他の基体に押し付けるだけで一体化するた 、互いの、あるいは、他の基体との積層体 形成作業が容易となる。

 成形材料に用いられるマトリックス樹脂 しては、熱可塑性樹脂が好ましい場合があ 。一般的に、熱可塑性樹脂は高い靭性を有 るため、マトリックス樹脂として熱可塑性 脂を用いることにより、短繊維強化プラス ックの弱点である生じたクラック同士の連 を抑制することができ、短繊維強化プラス ックの強度が向上する。特に、衝撃特性を 要視する用途では、マトリックス樹脂に熱 塑性樹脂を用いるのが良い。熱可塑性樹脂 用いた成形には、通常、化学反応を伴わな ため、熱硬化性樹脂を用いることにより、 形時間を短縮することが出来る。

 本発明の成形材料において、すなわち、 ョップド繊維束集合体において、各チョッ ド繊維束の強化繊維の配列方向が同一であ ことが好ましい。強化繊維の配列方向が同 の成形材料の複数枚を積層することで、所 の物性を有する積層体を設計することが容 となる。得られる積層体の力学特性のばら きを低減させることが容易となる。このよ な成形材料は、多数の本発明のチョップド 維束を、基体の上に、各チョップド繊維束 強化繊維の配列方向が同一となるように、 ート状に散布することにより、製造される 各チョップド繊維束をそれぞれの強化繊維 配列方向が同一となるように散布するため 手段としては、例えば、強化繊維の配列方 が一定の方向に向いた状態で各チョップド 維束を基体の上に供給できるスリット状の ズルがある。

 本発明の成形体における、すなわち、チ ップド繊維束集合体における各チョップド 維の強化繊維の配列方向は、それぞれ実質 に同一であれば良い。各チョップド繊維の 化繊維の配列方向がそれぞれ実質的に同一 は、チョップド繊維束に含まれる各強化繊 の配列方向の平均値を当該チョップド繊維 を代表する強化繊維の代表配列方向として チョップド繊維束集合体における各チョッ ド繊維束の各代表配列方向が±10%以内であ チョップド繊維束が、チョップド繊維束集 体における全チョップド繊維束の90%以上で る状態を云う。

 本発明の成形材料が、複数枚のシート状 チョップド繊維束集合体の積層を含む積層 からなる場合、各シート状のチョップド繊 束集合体における各チョップド繊維束の強 繊維の配列方向が同一であり、かつ、積層 において、一つの層を形成するシート状の ョップド繊維束集合体における強化繊維の 列方向と、他の一つの層を形成するシート のチョップド繊維束集合体における強化繊 の配列方向とが異なることが好ましい。

 一般に、繊維強化プラスチックは、荷重 向と垂直な方向(厚み方向)にクラックが繋 った際、破壊に至る。成形材料を積層体で 成し、厚み方向にクラックが貫通し難くす ことで、高強度な繊維強化プラスチックを ることが出来る。すなわち、成形材料を形 している積層体において、二つの層を異な 強化繊維の配列方向としておくと、クラッ が発生しやすい方向が異なるため、層を超 てクラックが貫通し難くなる。異なる強化 維の配列方向を有する二つの層は、隣接す 二つの層であることが好ましい。

 このような本発明の成形材料は、例えば、 数の本発明のチョップド繊維束を、各チョ プド繊維束の強化繊維の配列方向が同一方 になるように、基体の上に、シート状に散 してチョップド繊維束の集合体からなる層 形成し、形成された層の上に、形成された におけるチョップド繊維束の強化繊維の配 方向とは異なる強化繊維の配列方向になる うに、かつ、各チョップド繊維束の強化繊 の配列方向が同一方向になるように多数の 発明のチョップド繊維束を、シート状に散 することにより製造される。積層構成とし は、[+45/0/-45/90] S 、[0/±60] S といった擬似等方積層が、得られる積層体( 形材料)の物性を全体として均等とすること でき、また、得られる積層体(成形材料)の リの発生が抑制できるので、好ましい。

 一方、図9の成形材料91は、本発明の多数 チョップド繊維束CFBが、それぞれの強化繊 の配列方向がランダムな状態で位置する集 体からなる。多数のチョップド繊維束CFBは 互いに部分的に重なっているが、明確な層 造は、形成されていない。この成形材料91 、チョップド繊維束の強化繊維の配列方向 制御しながら層構造を有する成形材料を製 する場合に比べ、安価に製造することがで 、また、等方的で設計しやすい成形材料と える。

 本発明の成形材料の他の態様として、多 の本発明のチョップド繊維束と熱可塑性樹 とを混練して、連続して棒状に押し出し成 し、成形された連続した棒状物を、その長 方向に、所定の間隔をもって切断して得ら る射出成形用のペレットがある。従来の射 成形用のペレットは、ロータリーカッター で連続した強化繊維束を強化繊維の配列方 に直角な方向に切断してチョップド繊維束 し、得られたチョップド繊維束を熱可塑性 脂とともに押出機内で混練して、連続して 状に押し出し成形し、成形された連続した 状物を、その長手方向に、所定の間隔をも て切断することにより製造されていた。本 明のチョップド繊維束は、強化繊維の配列 向に各強化繊維の端部がずれて配置されて るため、熱可塑性樹脂のような高粘度の樹 と混練した場合、強化繊維同士が分離しや く、凝集の少ない分散性に優れた成形材料 得ることが出来る。

 本発明の成形材料は、多数の本発明のチ ップド繊維束からなるチョップド繊維束集 体が、横断面形状において、少なくとも一 の屈曲部を有するように、三次元形状に賦 されていても良い。三次元形状を有する本 明の成形材料を用いて同じく三次元形状を する繊維強化プラスチックを成形する場合 成形時にチョップド繊維束を大きく流動さ る必要がないため、流動による強化繊維の 列のうねりや偏りが防止され、得られる繊 強化プラスチックにおいて、優れた品位の 定性が得られる。

 三次元形状を有する本発明の成形材料は 例えば、次のようにして製造することが出 る。多数の本発明のチョップド繊維束を、 形基体の上にシート状に散布して一体化し 一体化したシートを三次元形状に賦形する とからなる成形材料の製造方法。多数の本 明のチョップド繊維束を、スリット状のノ ルを通過させることにより、各チョップド 維束の強化繊維の配列方向を同一方向に揃 て、三次元形状を有する成形基体の上に散 して、強化繊維の配列方向が同じであるチ ップド繊維束集合体からなる層を形成し、 成された層の上に、形成された層における ョップド繊維束の強化繊維の配列方向とは なる強化繊維の配列方向になるように、か 、各チョップド繊維束の強化繊維の配列方 が同一方向になるように多数の本発明のチ ップド繊維束を、シート状に散布すること らなる成形材料の製造方法。

 図10は、三次元形状を有する本発明の成 材料の製造方法の一例を説明するための概 斜視図である。図10において、三次元形状を 有する本発明の成形材料の製造装置は、連続 強化繊維束101が巻かれた複数本のボビン102( 10においては、6個のボビンが図示されてい )、連続強化繊維のガイドローラ103、104、連 強化繊維をボビン102から引き出し、一定間 で、かつ、連続強化繊維の長手方向に対し 斜した方向に切断するローラーカッター105 連続強化繊維の切断により得られたチョッ ド繊維束に集束剤を付与する集束剤付与装 106、集束剤付与装置106の側部に設けられた 束剤供給口107、集束剤が付与されたチョッ ド繊維束の強化繊維の配列方向を一定の方 に制御するスリット状のノズル108、三次元 状を有する賦形型からなる成形基体109、お び、ロボットアーム110からなる。

 ローラーカッター105は、集束剤付与装置1 06の上部に取り付けられている。集束剤付与 置106は、その上部に、切断により得られた ョップド繊維束を受け入れるチョップド繊 束導入口を、その下部に、集束剤が付与さ たチョップド繊維束を排出するチョップド 維束排出口を有する。スリット状のノズル1 08は、その上部に、チョップド繊維束排出口 ら排出されるチョップド繊維束を受け入れ チョップド繊維束導入口を、その下部には 強化繊維の配列方向が一定の方向に制御さ たチョップド繊維束を排出するチョップド 維束排出口を有する。スリット状のノズル1 08は、集束剤付与装置106の下部に取り付けら ている。ロボットアーム110の先端は、集束 付与装置106の側部に結合されている。ロボ トアーム110の先端は、成形基体109に対し、 ボットアーム操作装置(図示せず)により、 動自在とされている。

 図10において、ローラーカッター105のロ ラーの回転により、ボビン102から引き出さ た連続強化繊維束101は、ガイドローラ103、10 4を通過して、ローラーカッター105に導入さ 、そこにおいて、本発明のチョップド繊維 が形成されるように、切断される。切断に り得られたチョップド繊維束は、集束剤付 装置106に導入される。集束剤付与装置106の 部において、チョップド繊維束に、集束剤 給口107から供給された粉状の集束剤が付与 れる。集束剤が付与されたチョップド繊維 は、スリット状のノズル108に導入される。 リット状のノズル108の内部をチョップド繊 束が移動するに従い、強化繊維の配列方向 一定の方向となるようにチョップド繊維束 整列される。整列されたチョップド繊維束 、スリット状のノズル108から排出され、チ ップド繊維束の配列状態が実質的に維持さ たまま、落下し、成形基体109の表面に到達 る。

 チョップド繊維束の成形基体109の表面に ける到達位置は、ロボットアーム110の操作 より、順次、変更され、成形基体109の上に 粉状の集束剤が付着しているチョップド繊 束の層が形成される。成形基体109の上に形 されたチョップド繊維束の層は、そこに含 れている粉状の集束剤を溶融するために、 熱され、溶融した集束剤により、チョップ 繊維束同士の一体化が行われ、三次元形状 有する本発明の成形材料が製造される。

 本発明の繊維強化プラスチックは、本発明 チョップド繊維束の集合体とマトリックス 脂とからなる。従って、本発明の繊維強化 ラスチックにおけるチョップド繊維束は、 れを形成している強化繊維の繊維長は、5乃 至100mmであり、チョップド繊維束の両端から 強化繊維の配列方向に沿って、チョップド 維束の長手方向の中央部に向かって、チョ プド繊維束の横断面における強化繊維の本 が増加する遷移区間を有し、チョップド繊 束の全域に亘って、チョップド繊維束の横 面における強化繊維の総断面積の変化量が 1mm当たり0.05mm 2 以下である。

 繊維強化プラスチックにおけるチョップド 維束は、その中央部から端部にかけて、強 繊維の本数が減少する形態を有しているた 、繊維強化プラスチック中において、チョ プド繊維束が受け持つ荷重を徐々に周囲の ョップド繊維束に受け渡すことができ、応 集中を効果的に減らすことが出来る。特に チョップド繊維束の全域に亘って、強化繊 の総断面積の変化量が1mm当たり0.05mm 2 以下であることで、応力伝達効率が飛躍的に 向上する。この変化量は、0.04mm 2 以下であることが好ましい。応力集中の影響 を最小化するためには、この変化量は、0.025m m 2 以下であることが良い。強化繊維(単糸)の直 が5乃至10μm程度の炭素繊維の場合は、チョ プド繊維束の全域に亘って、強化繊維の総 数の変化量が、1mm当たり1,400本以下である とが良い。この総本数の変化量は、1,000本以 下であることがより好ましい。応力集中の影 響を最小化するためには、この総本数の変化 量は、600本以下であることが良い。

 図12は、従来のチョップド繊維束の集合 とマトリックス樹脂とからなる従来の繊維 化プラスチックの一例の横断面図である。 12には、従来の繊維強化プラスチック121を厚 み方向(図12において、上下方向(垂直方向))に 切断した横断面122が示されている。横断面122 を観察すると、横断面122の左右方向(水平方 )に略平行に多数の強化繊維123が配列された 来のチョップド繊維束124の端部125において 多数の強化繊維123の端部が、横断面122の上 方向(垂直方向)の実質的に同じ位置に存在 ていることが分かる。すなわち、多数の強 繊維123の端部は、チョップド繊維束124の端 125において、その長手方向に位置がずれる となく、一箇所に集中しており、チョップ 繊維束124の端部125は、横断面122の上下方向( 直方向)に切り立っている様子が分かる。

 図12に示す従来の繊維強化プラスチック12 1の横断面122において、横断面122の左右方向( 平方向)に荷重が加わった際、応力集中が起 き、低い荷重でも、繊維強化プラスチック121 が破壊する場合がある。また、横断面122の左 右方向(水平方向)に略平行な方向に配列され いる多数の強化繊維123からなるチョップド 維束124の端部125は、上記の幾何形状を有し いるため、繊維強化プラスチック121の成形 に、その厚み方向(横断面122の上下方向(垂 方向))に、従来のチョップド繊維束124のうね りが発生し易い。発生したチョップド繊維束 124のうねりが、成形された繊維強化プラスチ ック121の弾性率や強度低下の原因となってい る。更に、チョップド繊維束124の端部125の外 側には、端部125に接して、マトリックス樹脂 の樹脂溜まり126が発生し易い。発生した樹脂 溜まり126は、熱応力によるクラックの発生源 となる他、ボイドの発生源ともなる。

 図11は、本発明のチョップド繊維束の集 体とマトリックス樹脂とからなる本発明の 維強化プラスチックの一例の横断面図であ 。図11には、本発明の繊維強化プラスチック 111を厚み方向(図11において、上下方向(垂直 向))に切断した横断面112が示されている。横 断面112を観察すると、横断面112の左右方向( 平方向)に略平行に多数の強化繊維113が配列 れた本発明のチョップド繊維束114の強化繊 113の本数が、チョップド繊維束114の中央部 ら端部115に向かうにつれ、連続的に減少し いる様子が分かる。

 チョップド繊維束114の強化繊維113の本数 、チョップド繊維束114の中央部から端部115 向かうにつれ減少している状態は、図11に す本発明の繊維強化プラスチック111の横断 112において、横断面112の左右方向(水平方向) に荷重が加わった際、隣接するチョップド繊 維束114の間での荷重の伝達が、一挙に行われ るのではなく、徐々に行われ、応力集中が生 じ難いことを意味する。すなわち、本発明の 繊維強化プラスチック111における荷重の伝達 効率は、従来の繊維強化プラスチック121のそ れに比べ、向上している。

 また、チョップド繊維束114の端部115が細 なっているため、繊維強化プラスチック111 厚み方向におけるチョップド繊維束114のう りの発生が、ほとんどない。この状態によ 、繊維強化プラスチック111の弾性率や強度 向上が、もたらされる。更に、従来の繊維 化プラスチック121に見られるような樹脂溜 りもほとんど発生しない。

 従来の繊維強化プラスチック121に含まれ 各チョップド繊維束124の各強化繊維123の繊 長と、本発明の繊維強化プラスチック111に まれる各チョップド繊維束114の各強化繊維1 13の繊維長とが、同じとした場合、従来の繊 強化プラスチック121に含まれる各チョップ 繊維束124の差し渡し長さLd(図6参照)に比べ 本発明の繊維強化プラスチック111に含まれ 各チョップド繊維束114の差し渡し長さLd(図1 至3参照)が長いため、繊維強化プラスチッ に含まれる各チョップド繊維束の平均厚み 小さくなっている。その結果、従来の繊維 化プラスチック121に比べ、本発明の繊維強 プラスチック111は、より良い力学特性を有 る。

 本発明の繊維強化プラスチック111の横断 112において、その厚み方向(図11において、 下方向(垂直方向))に、少なくとも20のチョ プド繊維束114が堆積していることが好まし 。

 チョップド繊維束の堆積数は、繊維強化 ラスチックの表面における無作為に選んだ1 0点のそれぞれにおいて、厚み方向に存在す チョップド繊維束の数を断面観察により測 して得られた10点の測定数の平均値である。 繊維強化プラスチックは、全体の大きさに比 べ、厚みが薄いのが一般的であり、繊維強化 プラスチックに含まれる各チョップド繊維束 の厚みが、繊維強化プラスチックの厚みに対 して、薄ければ薄いほど、繊維強化プラスチ ックの強度が向上する。特に、繊維強化プラ スチックの厚み方向に、20以上のチョップド 維束が堆積している場合、繊維強化プラス ックの強度の向上が著しい。チョップド繊 束の堆積数は、30以上であることがより好 しく、強度ばらつきが少ない安定した強度 発現するためには、チョップド繊維束の堆 数は、40以上であることが更に好ましい。

 本発明の繊維強化プラスチックの横断面 おいて、そこに存在する各チョップド繊維 の平均厚みが、100μm以下であることが好ま い。

 チョップド繊維束の平均厚みは、繊維強 プラスチックの表面における無作為に選ん 10点のそれぞれにおいて、厚み方向に存在 るチョップド繊維束の数と各チョップド繊 束の厚みを断面観察により測定し、得られ 各厚みの合計をチョップド繊維束の数で割 て得られる10点の値の平均値である。

 繊維強化プラスチック中のチョップド繊 束の厚みは、薄い方が良く、100μm以下であ ことが好ましい。強度ばらつきが少ない安 した強度を発現するためには、チョップド 維束の厚みは、50μm以下であることがより ましい。

 厚みが50μm以下のチョップド繊維束は、 純に連続強化繊維束を切断するだけでは製 するのが難しい場合がある。成形材料にお て、チョップド繊維束の厚みを50μm以下にす る手法として、多数のチョップド繊維束から 成形材料をプレス成形するときに、チョップ ド繊維束のチャージ率が低くなるように、成 形金型の上に、金型面積より狭い範囲内に、 厚めに多数のチョップド繊維束を載置し、プ レスしながら各チョップド繊維束を開繊して 成形材料を成形する手法がある。なお、チャ ージ率とは、金型を上から見たときの金型面 積に対するプレス開始前の成形材料(成形材 の原材料)が占める面積の割合を云う。同様 手法は、成形材料あるいは多数のチョップ 繊維束から繊維強化プラスチックを成形す 際にも、用いることが出来る。

 チョップド繊維束の厚みを50μm以下にす 他の手法として、チョップド繊維束を連続 化繊維束から製造する際に、連続強化繊維 を、開繊した後に、切断する手法がある。 続強化繊維束の開繊は、例えば、走行する 続強化繊維束へのローラー接触、振動付与 あるいは、エアブローにより、行うことが 来る。

 本発明の繊維強化プラスチックが、各層 強化繊維とマトリックス樹脂とからなる複 の層の積層体からなる場合、複数の層の少 くとも2層が多数の本発明のチョップド繊維 束の集合体から形成され、当該2層のそれぞ における各チョップド繊維束に含まれる強 繊維の配列方向が互いに同一であり、かつ 当該2層の強化繊維の配列方向が互いに異な ていることが好ましい。

 このような繊維強化プラスチックは、チ ップド繊維束の集合体からなる各層のチョ プド繊維束に含まれる強化繊維の配列方向 調整することにより、所望の力学特性を有 るように設計することが容易となるため、 化繊維の配列方向がランダムな繊維強化プ スチックに比べ、力学特性のばらつきが小 い。また、このような繊維強化プラスチッ は、チョップド繊維束の集合体からなる2層 の間において、クラックの発生し易い方向が 異なるため、隣接層へのクラックの伝播が抑 制され、繊維強化プラスチックにおける高い 強度の発現が可能となる。隣接する層が、と もに、チョップド繊維束の集合体からなるこ とが、より好ましい。

 本発明の繊維強化プラスチックは、例え 、本発明の成形材料を、成形型のキャビテ の投影面積よりも小さく、かつ、キャビテ 厚よりも厚い状態でキャビティ内に配置し 成形型を型締めして成形材料を加圧するこ により成形材料を伸張させ、最終的にキャ ティ内に成形材料を充填し、成形完了後、 形体を成形型から取り出すことにより製造 れる。また、本発明の繊維強化プラスチッ は、本発明の成形材料を密閉された成形型 キャビティ内に配置し、マトリックス樹脂 注入して、成形材料中にマトリックス樹脂 含浸させることにより製造される。

 本発明の成形材料、あるいは、本発明の 維強化プラスチックは、強度、剛性、軽量 が要求される、自転車用品、ゴルフクラブ シャフトあるいはヘッド等のスポーツ部材 航空機内装材、ドアやシートフレーム等の 動車部材、ロボットアーム等の機械部品の 造に好ましく用いられる。中でも、強度、 量に加え、成形時に複雑な形状の成形追従 が要求されるシートパネルやシートフレー 等の自動車部品の製造により好ましく用い れる。

 次に、本発明の実施例のいくつかを説明 る。本発明は、これらの実施例に限定され ものではない。

 実施例における繊維強化プラスチックの引 強度の測定方法:
 実施例において得られた平板状の繊維強化 ラスチックから、長さ250±1mm、幅25±0.2mmの 張強度試験片を切り出した。得られた試験 について、JIS K-7073(1998)に規定する試験方法 に従い、標点間距離を150mmとし、クロスヘッ 速度2.0mm/分で、引張強度を測定した。引張 度試験機として、インストロン(登録商標) 能試験機4208型を用いた。測定に供した試験 の数は、5本であり、各測定値の平均値を繊 維強化プラスチックの引張強度とした。

 連続強化繊維束として、実質的に無撚り 未サイジングの炭素繊維の多数本からなる 続強化繊維束を用いた。強化繊維(単糸)の は7μm、強化繊維の本数は12,000、強化繊維束 引張強度は5.0GPa、および、強化繊維束の引 弾性率は240GPaであった。連続強化繊維束を 樹脂成分が2.0質量%になるように反応性ウレ タン樹脂エマルジョン(第一工業製薬(株)製、 スーパーフレックス-R5000)を精製水で希釈し サイジング剤母液に連続的に浸漬させて、 続強化繊維束にサイジング剤を付与した。 イジング剤が付与された連続強化繊維束を 乾燥張力600g/dtexのもと、150℃のホットロー と200℃の乾燥炉で乾燥し水分を除去した。 イジング剤付着量は、1.2質量%であった。

 周方向に5mm間隔で刃を設けたロータリーカ ターを用意した。サイジング剤が付与され 連続強化繊維束を、ロータリーカッターの に対して12°の角度で、ロータリーカッター に連続して挿入し、チョップド繊維束を製造 した。得られたチョップド繊維束は、図3に すチョップド繊維束CFB3の形態、すなわち、 変区間がなく、二つの遷移区間13a、13bを有 るものであった。チョップド繊維束CFB3の両 先端部における辺15aと辺16aとがなす角度、お よび、辺15bと辺16bとがなす角度は、それぞれ 12°の角度であった。各強化繊維11の繊維長Lf 、同じチョップド繊維束内で3%程度のばら きはあるものの、25mmであった。各遷移区間1 3a、13bにおける強化繊維11の増加本数は、強 繊維11の配列方向に1mm当たり500本±100本であ た。各遷移区間13a、13bにおける多数本の強 繊維11の総断面積の変化量は、強化繊維11の 配列方向に1mm当たり0.016乃至0.023mm 2 であった。

 強化繊維11の配列方向に1mmの区間を無作為 3区間設定し、各区間における区間の始点と 点における強化繊維本数を測定し、それら 差を求め、その値をその区間における強化 維11の本数の変化量とし、3区間における変 量の平均値を、チョップド繊維束CFB3の遷移 区間13a、13bにおける強化繊維の配列方向1mm当 たりの強化繊維本数の変化量とした。多数本 の強化繊維11の総断面積は、得られた強化繊 本数の変化量に、強化繊維(単糸)11の横断面 積3.85×10 -5 mm 2 を掛けることにより求めた。

 マトリックス樹脂として、ビニルエステル 脂(ダウ・ケミカル(株)製、デラケン790)を100 重量部、硬化剤としてtert-ブチルパーオキシ ンゾエート(日本油脂(株)製、パーブチルZ) 1重量部、内部離型剤としてステアリン酸亜 (堺化学工業(株)製、SZ-2000)を2重量部、増粘 として酸化マグネシウム(協和化学工業(株) 、MgO#40)を4重量部用いて、それらを十分に 合撹拌し、樹脂ペーストを得た。得られた 脂ペースト(マトリックス樹脂)を、ドクター ブレードを用いて、ポリプロピレン製の2枚 離型フィルム上に、それぞれ塗布し、2枚の 脂シートを作成した。得られた一方の樹脂 ートのマトリックス樹脂の表面に、その上 から、多数の上記チョップド繊維束CFB3を、 単位面積当たりの重量が725g/m 2 になるよう、均一に落下、散布した。得られ たチョップド繊維束が散布された樹脂シート のチョップド繊維束が散布されている面に、 先に用意した他方の樹脂シートをマトリック ス樹脂の面を内側にして積層しSMCシートを作 成した。SMCシートにおける強化繊維の体積含 有量は40%とした。得られたSMCシートを40℃に 24時間静置することにより、マトリックス 脂を十分に増粘化させて、SMCシートからな 図9に示すような成形材料91を得た。

 この成形材料(SMCシート)91から、250×250mm 大きさのシートを4枚切り出し、4層重ねた後 、300×300mmの大きさのキャビティを有する平 金型上の概中央部に配置した。この配置に けるチャージ率は、70%である。その後、加 型プレス成形機により、6MPaの加圧のもと、1 50℃×5分間の条件により、マトリックス樹脂 硬化せしめ、300×300mmの大きさの平板状の繊 維強化プラスチックを得た。

 使用した金型キャビティ内に、成形され 繊維強化プラスチックが充填されており、 形過程における成形材料の流動性が良好で ったことが確認された。製造された繊維強 プラスチックは、試験台の平坦な表面の上 置いただけで、試験台の平坦な表面と全面 接触しており、ソリがないことが確認され 。

 繊維強化プラスチックの厚みは2.8mm、繊 強化プラスチックの表面の無作為に選んだ10 点において、厚み方向にチョップド繊維束が いくつ存在するかを断面観察により測定し、 10点のデータを平均したところ、32であった それにより、チョップド繊維束の平均厚み 90μm程度であることが分かった。

 繊維強化プラスチックの引張試験の結果 よると、引張弾性率は33GPaと非常に高い値 、また、引張強度は330MPaと高い値を示した 後述の比較例1と比較しても、弾性率で35%以 、強度で2倍以上の力学特性の向上が得られ た。また、繊維強化プラスチックを切り出し 、切り出し面を観察すると、図11に示すよう 、チョップド繊維束が中央部から端部に向 うにつれ細くなっており、特に切り出し面 並行に走るチョップド繊維束も中央部から 部に向かうにつれ細くなり、強化繊維本数 減少している様子が分かり、荷重の伝達効 が向上した分、引張強度のみならず、弾性 も向上するという著しい効果が得られてい ことが判明した。

 実施例1と同様の連続強化繊維束を切断して チョップド繊維束を得るに当たり、ロータリ ーカッターの周方向に12.5mm間隔で刃を設け、 刃に対して30°の角度で連続強化繊維束を挿 した。得られたチョップド繊維束は、図2に すような形態のチョップド繊維束CFB2であっ た。チョップド繊維束CFB2の端部の辺16a、16b 、強化繊維11の配列方向と30°の角度で直線 の形態を有しており、強化繊維11の繊維長Lf 、おなじチョップド繊維束内で2%程度のば つきはあるものの、25mmであった。チョップ 繊維束CFB2の端部から中央部にかけて強化繊 維11の配列方向に強化繊維本数が増加する遷 区間13a、13bがあり、強化繊維の配列方向に1 mm当たり1,300本±100本の範囲内で強化繊維本数 が増加していた。また、遷移区間13a、13bにお ける多数本の強化繊維11の総断面積の変化量 、強化繊維の配列方向に1mm当たり0.047乃至0. 054mm 2 であった。

 こうして得られたチョップド繊維束CFB2を 用いて、実施例1と同様にして、SMCシート(成 材料)を作成し、実施例1と同様にして、繊 強化プラスチックを成形した。使用した金 キャビティ内に、成形された繊維強化プラ チックが充填されており、成形過程におけ 成形材料の流動性が良好であったことが確 された。製造された繊維強化プラスチック 、試験台の平坦な表面の上に置いただけで 試験台の平坦な表面と全面で接触しており ソリがないことが確認された。

 繊維強化プラスチックの厚みは2.8mm、繊 強化プラスチックの表面の無作為に選んだ10 点において、厚み方向にチョップド繊維束が いくつ存在するか(強化繊維の配列方向が異 るチョップド繊維束が厚み方向にいくつ横 っているか)を断面観察により測定し、10点 データを平均したところ、22であった。それ により、チョップド繊維束の平均厚みは130μm 程度であることが分かった。

 次に、実施例1と同様にして、引張試験を 実施した。引張弾性率は29GPaと高く、引張強 に関しても250MPaと高い値が得られた。後述 比較例1と比較しても、弾性率で20%以上、強 度で70%程度の力学特性の向上が得られた。ま た、繊維強化プラスチックを切り出し、切り 出し面を観察すると、図11に示すように、チ ップド繊維束が中央部から端部に向かうに れ細くなっており、特に切り出し面に並行 走るチョップド繊維束も中央部から端部に かうにつれ細くなり、強化繊維本数が減少 ている様子が分かり、荷重の伝達効率が向 した分、引張強度のみならず、弾性率も向 するという著しい効果が得られていること 判明した。

 連続強化繊維束として、サイジング剤がす に付着したガラス繊維の多数本からなる連 強化繊維束(RS570M-521ZS、繊維目付570tex、日東 紡社製)を用いた。この連続強化繊維束を、 ビンから横取り解舒により無撚り状態で引 出し、実施例1と同様にして切断し、チョッ ド繊維束を得た。得られたチョップド繊維 は、図2に示すような形態のチョップド繊維 束CFB2であった。チョップド繊維束CFB2の端部 辺16a、16bが、強化繊維11の配列方向と12°の 度で直線状の形態を有しており、強化繊維1 1の繊維長Lfは、おなじチョップド繊維束内で 2%程度のばらつきはあるものの、25mmであった 。チョップド繊維束CFB2の端部から中央部に けて強化繊維11の配列方向に強化繊維本数が 増加する遷移区間13a、13bがあり、強化繊維の 配列方向に1mm当たり230本±40本の範囲内で強 繊維本数が増加していた。また、遷移区間13 a、13bにおける多数本の強化繊維11の総断面積 の変化量は、強化繊維の配列方向に1mm当たり 0.015乃至0.021mm 2 であった。多数本の強化繊維11の総断面積は 得られた強化繊維本数の変化量に、強化繊 (単糸)11の横断面積7.85×10 -5 mm 2 を掛けることにより求めた。

 チョップド繊維束の単位面積当たりの重量 1,000g/m 2 とした他は、実施例1と同様にして、SMCシー (成形材料)を作成し、実施例1と同様にして 繊維強化プラスチックの成形をした。使用 た金型キャビティ内に、成形された繊維強 プラスチックが充填されており、成形過程 おける成形材料の流動性が良好であったこ が確認された。製造された繊維強化プラス ックは、試験台の平坦な表面の上に置いた けで、試験台の平坦な表面と全面で接触し おり、ソリはないことが確認された。

 繊維強化プラスチックの厚みは2.8mm、繊 強化プラスチックの表面の無作為に選んだ10 点において、厚み方向にチョップド繊維束が いくつ存在するかを断面観察により測定し、 10点のデータを平均したところ、29であった それにより、チョップド繊維束の平均厚み 100μm程度であることが分かった。

 次に、実施例1と同様にして、引張試験を 実施した。引張弾性率は18GPaと高く、引張強 に関しても300MPaと高い値が得られた。後述 比較例4と比較しても、弾性率で20%程度、強 度で70%程度の力学特性の向上が得られた。ま た、繊維強化プラスチックを切り出し、切り 出し面を観察すると、図11に示すように、チ ップド繊維束が中央部から端部に向かうに れ細くなっており、特に切り出し面に並行 走るチョップド繊維束も中央部から端部に かうにつれ細くなり、強化繊維本数が減少 ている様子が分かり、荷重の伝達効率が向 した分、引張強度のみならず、弾性率も向 するという著しい効果が得られていること 判明した。

 エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン( )製“エピコート(登録商標)”828:30重量部、 エピコート(登録商標)”1001:35重量部、“エ コート(登録商標)”154:35重量部)に、熱可塑 樹脂ポリビニルホルマール(チッソ(株)製“ ニレック(登録商標)”K)5重量部をニーダーで 加熱混練してポリビニルホルマールを均一に 溶解させた後、硬化剤ジシアンジアミド(ジ パンエポキシレジン(株)製DICY7)3.5重量部と、 硬化促進剤3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメ ルウレア(保土谷化学工業(株)製DCMU99)4重量部 を、ニーダーで混練して未硬化のエポキシ樹 脂組成物を調整した。このエポキシ樹脂組成 物を、リバースロールコーターを用いて、シ リコーンコーティング処理された厚さ100μmの 離型紙上に塗布して樹脂フィルム(マトリッ ス樹脂フィルム)を作製した。

 次に、連続強化繊維束として、多数本の炭 繊維を一方向に配列させた炭素繊維シート( 強化繊維シート)を用意した。強化繊維(単糸) の径は7μm、強化繊維の引張強度は5.0GPa、お び、強化繊維の引張弾性率は240GPaであった 用意した強化繊維シートの両面のそれぞれ 、作製した樹脂フィルムを重ね、加熱・加 することによって、樹脂を強化繊維シート 含浸させ、プリプレグシートを作製した。 られたプリプレグシートにおける単位面積 たりの強化繊維の重さは100g/m 2 、強化繊維の体積含有率Vfは50%、厚みは0.11mm あった。

 得られたプリプレグシートを自動切断機 用いて、強化繊維の配列方向に25mm間隔で、 強化繊維の配列方向と12°の角度をもって、 線状に切断し、バイアスカットされたプリ レグテープを作製した。次いで、作製した リプレグテープを、強化繊維の配列方向に5m m間隔で強化繊維の配列方向に切断して、チ ップド繊維束を作製した。

 得られたチョップド繊維束は、幅Wbが5mm、 みTbが110μm、強化繊維11の繊維長Lfが25mmであ た。チョップド繊維束の端部から中央部に けて、強化繊維の配列方向に、強化繊維本 が増加する遷移区間13a、13bがあり、強化繊 11の増加本数は、強化繊維11の配列方向に1mm 当たり290本±20本であった。また、遷移区間13 a、13bにおける多数本の強化繊維11の総断面積 の変化量は、強化繊維11の配列方向に1mm当た 0.010乃至0.012mm 2 であった。

 得られたチョップド繊維束を、離型フィル の上に、目付が6,000g/m 2 程度となるように、ランダムに散布し、更に その上から、他の離型フィルムを乗せ、離型 フィルムの上から軽く押圧し、樹脂のタック で、多数のチョップド繊維束同士を一体化し て成形材料を得た。

 この成形材料から、250mm×250mmの大きさの ートを切り出し、得られたシートを、300×30 0mmの大きさのキャビティを有する平板金型上 の概中央部に配置した。この配置におけるチ ャージ率は70%である。その後、加熱型プレス 成形機により、6MPaの加圧のもと、150℃×30分 の条件により、マトリックス樹脂を硬化せ め、300×300mmの大きさの平板状の繊維強化プ ラスチックを得た。

 使用した金型キャビティ内に、繊維強化 ラスチックが充填されており、成形過程に ける成形材料の流動性が良好であったこと 確認された。製造された繊維強化プラスチ クは、試験台の平坦な表面の上に置いただ で、試験台の平坦な表面と全面で接触して り、ソリがないことが確認された。

 繊維強化プラスチックの厚みは2.8mm、繊 強化プラスチックの表面の無作為に選んだ10 点において、厚み方向にチョップド繊維束が いくつ存在するかを断面観察により測定し、 10点のデータを平均したところ、41であった それにより、チョップド繊維束の平均厚み 70μm程度であることが分かった。

 繊維強化プラスチックの引張試験の結果 よると、引張弾性率は41GPaと非常に高い値 、また、引張強度は400MPaと高い値を示した 後述の比較例5と比較しても、弾性率で40%以 、強度で2.5倍以上の力学特性の向上が得ら た。また、繊維強化プラスチックを切り出 、切り出し面を観察すると、図11に示すよ に、チョップド繊維束が中央部から端部に かうにつれ細くなっており、特に切り出し に並行に走るチョップド繊維束も中央部か 端部に向かうにつれ細くなり、強化繊維本 が減少している様子が分かり、荷重の伝達 率が向上した分、引張強度のみならず、弾 率も向上するという著しい効果が得られて ることが判明した。また、実施例1と比較し も、強度が向上しており、樹脂が高靭性で ることで、クラック同士の連結が抑制され ためと、推測された。

 共重合ポリアミド樹脂(東レ製“アミラン ”(登録商標)CM4000、ポリアミド6/66/610共重合 、融点155℃)のペレットを、200℃で加熱した レスで28μm厚みのフィルム状に加工し、2枚 熱可塑性樹脂シートを作製した。

 次に、連続強化繊維束として、多数本の炭 繊維を一方向に配列させた炭素繊維シート( 強化繊維シート)を用意した。強化繊維(単糸) の径は7μm、引張強度は5.0GPa、および、引張 性率は240GPaであった。用意した強化繊維シ トの両面のそれぞれに、作製した熱可塑性 脂シートを重ね、加熱・加圧することによ て、樹脂を強化繊維シートに含浸させ、プ プレグシートを作製した。得られたプリプ グシートにおける単位面積当たりの強化繊 の重さは100g/m 2 、強化繊維体の積含有率Vfは50%、厚みは0.11mm あった。

 得られたプリプレグシートを、実施例4と同 様にして、切断して、チョップド繊維束を作 製した。得られたチョップド繊維束において 、チョップド繊維束端部(図2における辺16a、1 6b)と強化繊維の配列方向との角度は12°、幅Wb は5mm、厚みTbは110μm、強化繊維11の繊維長Lfは 25mmであった。チョップド繊維束の端部から 央部にかけて、強化繊維の配列方向に、強 繊維本数が増加する遷移区間13a、13bがあり 強化繊維11の増加本数は、強化繊維11の配列 向に1mm当たり290本±30本であった。また、遷 移区間13a、13bにおける多数本の強化繊維11の 断面積の変化量は、強化繊維11の配列方向 1mm当たり0.010乃至0.012mm 2 であった。

 得られたチョップド繊維束の370gほどを、 300×300mmの大きさのキャビティを有する平板 型上にランダムに散布した。その後、加熱 プレス成形機により、6MPaの加圧のもと、200 ×1分間の条件により、チョップド繊維束を 動せしめ、型を開けることなく、冷却した 、脱型して、300×300mmの大きさの平板状の繊 維強化プラスチックを得た。

 使用した金型キャビティ内に、繊維強化 ラスチックが充填されており、成形過程に ける成形材料の流動性が良好であったこと 確認された。製造された繊維強化プラスチ クは、試験台の平坦な表面の上に置いただ で、試験台の平坦な表面と全面で接触して り、ソリがないことが確認された。

 繊維強化プラスチックの厚みは2.8mm、繊 強化プラスチックの表面の無作為に選んだ10 点において、厚み方向にチョップド繊維束が いくつ存在するかを断面観察により測定し、 10点のデータを平均したところ、39であった それにより、チョップド繊維束の平均厚み 70μm程度であることが分かった。

 繊維強化プラスチックの引張試験の結果 よると、引張弾性率は38GPaと非常に高い値 、また、引張強度は420MPaと高い値を示した また、繊維強化プラスチックを切り出し、 り出し面を観察すると、図11に示すように、 チョップド繊維束が中央部から端部に向かう につれ細くなっており、特に切り出し面に並 行に走るチョップド繊維束も中央部から端部 に向かうにつれ細くなり、強化繊維本数が減 少している様子が分かり、荷重の伝達効率が 向上した分、引張強度のみならず、弾性率も 向上するという著しい効果が得られているこ とが判明した。

 多数のチョップド繊維束を、各チョップ 繊維束における強化繊維の配列方向が同一 なる状態で、積層したチョップド繊維束の 合体からなる成形材料に、マトリックス樹 を注入して、繊維強化プラスチックを得る キュームアシストティッドレジントランス ァーモールディング(Va-RTM)成形を行った。

 実施例1と同様にして、チョップド繊維束 を作成した。このチョップド繊維束を、平板 状の成形型の上に、スリット状のノズルを通 過させ、各チョップド繊維束における強化繊 維の配列方向が同一になる状態で、層状のチ ョップド繊維束の集合体を作製する工程を、 強化繊維の配列方向が異なる状態で、所望の 回数実施し、一つのチョップド繊維束の集合 体における各チョップド繊維束の強化繊維の 配列方向は同一であるが、積層されるチョッ プド繊維束の集合体の間では、強化繊維の配 列方向が異なる積層体(成形材料)を作製した

 積層されたチョップド繊維束の集合体に ける各積層における強化繊維の配列方向が 順次、[45/0/-45/90/-45/0/45]となるよう積層体が 作製された。中央の90°のみ、他の層の略2倍 厚みとした。

 注入用の樹脂(マトリックス樹脂)として 、エポキシ樹脂である“エピコート807”(油 シェルエポキシ社製)70重量部、“エピコー 630”(油化シェルエポキシ社製)30重量部とア ミン硬化剤である“アンカミン2049”(パシフ ックアンカーケミカル社製)43重量部を混合 て得た液状エポキシ樹脂を用いた。注入開 時の樹脂温度は50℃で、粘度は50mPa・sであ た。

 成形型にポリアミド樹脂製チューブから る注入口と減圧口を設け、成形材料を含む 体をバギングフィルムで覆って密封した。 入口には、マトリックス樹脂を入れたディ ポカップを接続し、減圧口には、真空ポン を接続し、Va-RTM成形を行った。マトリック 樹脂注入終了後、型ごとオーブンに入れて 100℃に加熱し、2時間その状態を保持して、 マトリックス樹脂を硬化させ、型を冷却後、 脱型を行い、マトリックス樹脂の未含浸部の ない繊維強化プラスチックを得た。

 Va-RTM成形による片面型の成形であったた 、片面は平坦であるが、もう一方の面には 強化繊維のうねりが浮き出し、厚みムラの る繊維強化プラスチックとなった。この繊 強化プラスチックにはソリはなく、その平 厚みは2.8mmであった。繊維強化プラスチッ の表面の無作為に選んだ10点において、厚み 方向にチョップド繊維束がいくつ存在するか を断面観察により測定し、10点のデータを平 したところ、25であった。それにより、チ ップド繊維束の平均厚みは110μm程度である とが分かった。

 繊維強化プラスチックの引張試験の結果 よると、引張弾性率は43GPaと非常に高い値 、また、引張強度は410MPaと高い値を示した また、繊維強化プラスチックを切り出し、 り出し面を観察すると、図11に示すように、 チョップド繊維束が中央部から端部に向かう につれ細くなっており、特に切り出し面に並 行に走るチョップド繊維束も中央部から端部 に向かうにつれ細くなり、強化繊維本数が減 少している様子が分かり、荷重の伝達効率が 向上した分、引張強度のみならず、弾性率も 向上するという著しい効果が得られているこ とが判明した。

 実施例1と同様の連続強化繊維束に、振動を 加えて、開繊し、繊維束の幅を当初の5mmから 20mmに拡幅した。拡幅された連続強化繊維束 、実施例1と同様の切断手法を用いて、強化 維の繊維長が25mm、連続強化繊維束の切断方 向が強化繊維の配列方向に対し角度12°を有 る直線になるように、切断して、チョップ 繊維束を得た。得られたチョップド繊維束 、図1に示すチョップド繊維束CFB1の形態、す なわち、強化繊維の切断辺16a、16bの長さが長 い形態を有していた。得られたチョップド繊 維束CFB1は、端部から中央部にかけて、強化 維11の配列方向に、強化繊維本数が増加する 遷移区間13a、13bを有し、遷移区間13a、13bにお ける強化繊維11の増加本数は、強化繊維11の 列方向に1mm当たり120本±20本であった。各遷 区間13a、13bにおける多数本の強化繊維11の 断面積の変化量は、強化繊維11の配列方向に 1mm当たり0.004乃至0.005mm 2 であった。

 得られたチョップド繊維束CFB1を用いて、 実施例1と同様にして、SMCシートを作成し、 成されたSMCシートを用いて、実施例1と同様 して、繊維強化プラスチックを成形した。

 使用した金型キャビティ内に、成形され 繊維強化プラスチックが充填されており、 形過程における成形材料の流動性が良好で ったことが確認された。製造された繊維強 プラスチックは、試験台の平坦な表面の上 置いただけで、試験台の平坦な表面と全面 接触しており、ソリがないことが確認され 。

 繊維強化プラスチックの厚みは2.8mm、繊 強化プラスチックの表面の無作為に選んだ10 点において、厚み方向にチョップド繊維束が いくつ存在するかを断面観察により測定し、 10点のデータを平均したところ、90であった それにより、チョップド繊維束の平均厚み 30μm程度であることが分かった。チョップド 繊維束CFB1の強化繊維の切断辺16a、16bの長さ 長いため、繊維強化プラスチックの成形時 、チョップド繊維束が開繊し易く、その結 、得られた繊維強化プラスチックにおける ョップド繊維束の厚みが小さくなったもの 推測される。

 繊維強化プラスチックの引張試験の結果 よると、引張弾性率は39GPaと非常に高い値 、また、引張強度は410MPaと高い値を示した 後述の比較例1と比較しても、弾性率で60%以 、強度で2.5倍以上の力学特性の向上が得ら た。また、繊維強化プラスチックを切り出 、切り出し面を観察すると、図11に示すよ に、チョップド繊維束が中央部から端部に かうにつれ細くなっており、特に切り出し に並行に走るチョップド繊維束も中央部か 端部に向かうにつれ細くなり、強化繊維本 が減少している様子が分かり、荷重の伝達 率が向上した分、引張強度のみならず、弾 率も向上するという著しい効果が得られて ることが判明した。

 実施例1と同様の連続強化繊維束上に、実施 例5と同様の共重合ポリアミド樹脂のペレッ を200℃で加熱して押し当て、連続強化繊維 中に、前記共重合ポリアミド樹脂をマトリ クス樹脂として含浸して、強化繊維の体積 有率Vfが50%のヤーンプリプレグを作成した。 得られたヤーンプリプレグを、実施例1と同 の切断手法を用いて、強化繊維の繊維長が25 mm、強化繊維の切断方向が強化繊維の配列方 に対し角度12°を有する直線になるように、 切断して、チョップド繊維束を得た。得られ たチョップド繊維束の幅Wbは5.5mmで、厚みTbは 170μmであった。得られたチョップド繊維束は 、端部から中央部にかけて、強化繊維の配向 方向に、強化繊維本数が増加する遷移区間13a 、13bを有し、遷移区間13a、13bにおける強化繊 維11の増加本数は、強化繊維の配列方向に1mm たり460本±50本であった。各遷移区間13a、13b における多数本の強化繊維11の総断面積の変 量は、強化繊維の配列方向に1mm当たり0.016 至0.020mm 2 であった。

 得られたチョップド繊維束を用いて、実 例5と同様にして、繊維強化プラスチックを 成形した。

 使用した金型キャビティ内に、成形され 繊維強化プラスチックが充填されており、 形過程における成形材料の流動性が良好で ったことが確認された。製造された繊維強 プラスチックは、試験台の平坦な表面の上 置いただけで、試験台の平坦な表面と全面 接触しており、ソリがないことが確認され 。

 繊維強化プラスチックの厚みは2.8mm、繊 強化プラスチックの表面の無作為に選んだ10 点において、厚み方向にチョップド繊維束が いくつ存在するかを断面観察により測定し、 10点のデータを平均したところ、28であった それにより、チョップド繊維束の平均厚み 100μm程度であることが分かった。

 繊維強化プラスチックの引張試験の結果 よると、引張弾性率は33GPaと非常に高い値 、また、引張強度は380MPaと高い値を示した また、繊維強化プラスチックを切り出し、 り出し面を観察すると、図11に示すように、 チョップド繊維束が中央部から端部に向かう につれ細くなっており、特に切り出し面に並 行に走るチョップド繊維束も中央部から端部 に向かうにつれ細くなり、強化繊維本数が減 少している様子が分かり、荷重の伝達効率が 向上した分、引張強度のみならず、弾性率も 向上するという著しい効果が得られているこ とが判明した。

 実施例1と同様にして、チョップド繊維束を 作成した。平板状の成形型の上に、実施例4 同様の樹脂フィルム(マトリックス樹脂フィ ム)を載置し、この樹脂フィルムの表面に、 作成されたチョップド繊維束を、スリット状 のノズルを通過させ、各チョップド繊維束の 強化繊維の配列方向が±10°の範囲内となるよ うに、シート状に堆積させた。その後、シー ト状に堆積しているチョップド繊維束の上に 、同様の樹脂フィルムを載置した。得られた 下側の樹脂シート、中間のチョップド繊維束 シート、上側の樹脂シートからなる積層シー トを、温度60℃のカレンダーロール間を通過 せ、マトリックス樹脂をチョップド繊維束 に含浸させ、プリプレグシートを作成した 得られたプリプレグシートにおける単位面 当たりの強化繊維の重さは200g/m 2 、強化繊維の体積含有率Vfは50%、厚みは0.22mm あった。

 得られたプリプレグシートを、[45/0/-45/90] S の積層構成にて積層し、250×250mmの大きさの 層体を得た。この積層体を300×300mmの大きさ キャビティを有する平板金型上の概中央部 配置した。この配置におけるチャージ率は7 0%である。その後、加熱型プレス成形機によ 、6MPaの加圧のもと、150℃×5分間の条件によ り、マトリックス樹脂を硬化せしめ、300×300m mの大きさの平板状の繊維強化プラスチック 得た。

 使用した金型キャビティ内に、繊維強化 ラスチックが充填されており、成形過程に ける成形材料の流動性が良好であったこと 確認された。製造された繊維強化プラスチ クは、試験台の平坦な表面の上に置いただ で、試験台の平坦な表面と全面で接触して り、ソリがないことが確認された。繊維強 プラスチックの厚みは、1.8mmであった。

 繊維強化プラスチックの引張試験の結果 よると、引張弾性率は41GPaと非常に高い値 、また、引張強度は420MPaと高い値を示した 強度ばらつきのCV値は、7%と極めて低く、強 繊維の配列方向を制御してチョップド繊維 シートを積層したことにより、繊維強化プ スチックの力学特性のばらつきが低減した のと推測された。

 実施例1と同様の連続強化繊維束を、実施 例1と同様の切断手法を用いて、強化繊維の 維長が25mm、連続強化繊維束の切断方向が強 繊維の配列方向に対し角度12°を有する直線 になるように、切断して、チョップド繊維束 を得た。得られたチョップド繊維束と実施例 5と同様の共重合ポリアミド樹脂(マトリック 樹脂)のペレットとを、溶融押出機((株)日本 製鋼所製TEX30α、L/D=31.5、スクリュー回転数250 rpm、温度180乃至200℃)で混練し、棒状に押し し、得られた棒状の成形体を、ペレット状 切断し、強化繊維の体積含有率Vfが20%のペレ ットを得た。得られたペレット中の重量平均 繊維長は、0.5mmであった。得られたペレット 温度210℃で射出成形し、250×250mmの大きさの 平板状の繊維強化プラスチックを得た。

 繊維強化プラスチックの引張試験の結果 よると、引張弾性率は15GPa、また、引張強 は220MPaと高い値を示した。後述の比較例6と 較しても、弾性率で20%以上、強度で20%以上 力学特性の向上が得られた。チョップド繊 束における各強化繊維の端部が、強化繊維 配列方向に互いにずれて位置しているため ペレタイズの工程において、強化繊維同士 分離しやすく、凝集しにくいため、繊維長 長いペレットを製造することができ、その 果、射出成形後においても、比較的長い繊 長が保存され、繊維強化プラスチックの高 力学特性が発現したと推測された。

比較例1

 この比較例は、連続強化繊維束を、強化 維の配列方向に対し角度90°の方向に切断し て得た従来のチョップド繊維束からなるSMCシ ートに関する。

 実施例1と同様な連続強化繊維束を切断し てチョップド繊維束を得るに当たり、ロータ リーカッターの周方向に25mm間隔で刃を設け 刃に対して90°の角度で連続強化繊維束を挿 した。得られたチョップド繊維束は、強化 維の繊維長が25mmで、チョップド繊維束の端 部がチョップド繊維束の強化繊維の配列方向 と90°の角度で直線状の形態を有していた。

 このチョップド繊維束を用いて、実施例1 と同様にして、SMCシートを作成し、作成した SMCシートを用いて、実施例1と同様にして、 維強化プラスチックの成形を行った。

 使用した金型キャビティ内に、成形され 繊維強化プラスチックが充填されており、 形過程における成形材料の流動性が良好で ったことが確認された。製造された繊維強 プラスチックにはソリはなく、その厚みは2 .8mmであった。

 繊維強化プラスチックの引張試験の結果 よると、引張弾性率は24GPa、引張強度は150MP aであった。また、繊維強化プラスチックを り出し、切り出し面を観察すると、図12に示 すように、切り出し面に並行に走るチョップ ド繊維束が、端部で厚み方向(図12において、 上下方向(垂直方向))に垂直に切れており、端 部の先に樹脂溜り126が発生していた。この樹 脂溜り126のいくつかには、ボイドが発生して いた。

比較例2

 この比較例は、比較例1よりも繊維長が長 く、実施例1と同等レベルの差し渡し長さLdを 有するチョップド繊維束からなるSMCシートに 関する。

 実施例1と同様な連続強化繊維束を切断し てチョップド繊維束を得るに当たり、ロータ リーカッターの周方向に50mm間隔で刃を設け 刃に対して90°の角度で連続強化繊維束を挿 した。得られたチョップド繊維束は、強化 維の繊維長が50mmで、チョップド繊維束の端 部がチョップド繊維束の強化繊維の配列方向 と90°の角度で直線状の形態を有していた。

 このチョップド繊維束を用いて、実施例1 と同様にして、SMCシートを作成し、作成した SMCシートを用いて、実施例1と同様にして、 維強化プラスチックの成形を行った。

 使用した金型キャビティ内に、成形され 繊維強化プラスチックが充填されており、 形過程における成形材料の流動性が良好で ったことが確認された。製造された繊維強 プラスチックにはソリはなく、その厚みは2 .8mmであった。

 繊維強化プラスチックの引張試験の結果 よると、引張弾性率は26GPa、引張強度は160MP aであり、ほぼ比較例1と同等の力学特性を示 た。従来のチョップド繊維束からなるSMCシ トでは、繊維長を長くしても、繊維強化プ スチックの力学特性の向上にほとんど寄与 ないことが分かった。

比較例3

 この比較例は、連続強化繊維束を、強化 維の配列方向に対し角度45°の方向に切断し て得たチョップド繊維束からなるSMCシートに 関する。

 実施例1と同様な連続強化繊維束を切断して チョップド繊維束を得るに当たり、ロータリ ーカッターの周方向に17.7mm間隔で刃を設け、 刃に対して45°の角度で連続強化繊維束を挿 した。得られたチョップド繊維束は、強化 維の繊維長が25mmで、チョップド繊維束の端 がチョップド繊維束の強化繊維の配列方向 45°の角度で直線状の形態を有していた。チ ョップド繊維束の端部から中央部にかけて、 強化繊維の配列方向に、強化繊維本数が増加 する遷移区間があり、強化繊維の増加本数は 、強化繊維の配列方向に1mm当たり2,400本±100 であった。また、遷移区間における多数本 強化繊維の総断面積の変化量は、強化繊維 配列方向に1mm当たり0.088乃至0.096mm 2 であった。

 このチョップド繊維束を用いて、実施例1 と同様にして、SMCシートを作成し、作成した SMCシートを用いて、繊維強化プラスチックの 成形を行った。

 使用した金型キャビティ内に、繊維強化 ラスチックが充填されており、成形過程に ける成形材料の流動性が良好であったこと 確認された。製造された繊維強化プラスチ クにはソリはなく、その厚みは2.8mmであっ 。

 繊維強化プラスチックの引張試験の結果 よると、引張弾性率は25GPa、引張強度は200MP aであった。比較例1と比較すると、強度は高 ものの、著しい向上は見られなかった。ま 、弾性率においては、ほとんど向上が見ら なかった。

比較例4

 連続強化繊維束として、実施例3と同様に サイジング剤がすでに付着したガラス繊維の 多数本からなる連続強化繊維束(RS570M-521ZS、 維目付570tex、日東紡社製)を用いた。この連 強化繊維束を、ボビンから縦取り解舒によ 撚りが加わった状態で引き出し、比較例1と 同様にして切断し、チョップド繊維束を得た 。得られたチョップド繊維束は、強化繊維の 繊維長が25mmで、チョップド繊維束の端部が ョップド繊維束の強化繊維の配列方向と90° 角度で直線状の形態を有していた。

 このチョップド繊維束を用いて、実施例3 と同様にして、SMCシートを作成し、作成した SMCシートを用いて、実施例3と同様にして、 維強化プラスチックの成形を行った。

 使用した金型キャビティ内に、成形され 繊維強化プラスチックが充填されており、 形過程における成形材料の流動性が良好で ったことが確認された。製造された繊維強 プラスチックにはソリはなく、その厚みは2 .8mmであった。また、繊維強化プラスチック 引張試験の結果によると、引張弾性率は15GPa 、引張強度は180MPaであった。

比較例5

 実施例4と同様にして、プリプレグを作成 し、自動切断機を用いて、強化繊維の配列方 向に25mm間隔、強化繊維の配列方向に直角な 向(配列された強化繊維の幅方向)に5mm間隔で 直線状に切断して、幅5mmで厚み110μm、強化繊 維の繊維長が25mmのチョップド繊維束を作成 た。得られたチョップド繊維束は、強化繊 の繊維長が25mmで、チョップド繊維束の端部 チョップド繊維束の強化繊維の配列方向と9 0°の角度で直線状の形態を有していた。

 このチョップド繊維束を用いて、実施例4 と同様にして、成形材料を作成し、作成され た成形材料を用いて、実施例4と同様にして 繊維強化プラスチックの成形を行った。

 使用した金型キャビティ内に、繊維強化 ラスチックが充填されており、成形過程に ける成形材料の流動性が良好であったこと 確認された。製造された繊維強化プラスチ クにはソリはなく、その厚みは2.8mmであっ 。

 繊維強化プラスチックの引張試験の結果 よると、引張弾性率は29GPa、引張強度は150MP aであった。また、繊維強化プラスチックを り出し、切り出し面を観察すると、図12に示 すように、切り出し面に並行に走るチョップ ド繊維束が、端部で厚み方向(図12において、 上下方向(垂直方向))に垂直に切れており、端 部の先に樹脂溜り126が発生していた。この樹 脂溜り126のいくつかには、ボイドが発生して いた。

比較例6

 比較例1と同様のチョップド繊維束を用い て、実施例10と同様にして、ペレタイズを行 、ペレットを作成した。得られたペレット の重量平均繊維長は、0.3mmであった。得ら たペレットを用いて、実施例10と同様にして 、射出成形を行って、平板状の繊維強化プラ スチックを成形した。得られた繊維強化プラ スチックの引張試験の結果によると、引張弾 性率は12GPa、引張強度は180MPaであった。

 本発明によれば、成形材料として用いた 合、良好な流動性、成形追従性を有し、繊 強化プラスチックとした場合、優れた力学 性を発現するチョップド繊維束、および、 の製造方法が提供される。また、本発明の ョップド繊維束を用いた成形材料、および 繊維強化プラスチック、ならびに、これら 製造方法が提供される。

 本発明の成形材料、あるいは、本発明の 維強化プラスチックは、強度、剛性、軽量 が要求される、自転車用品、ゴルフクラブ シャフトあるいはヘッド等のスポーツ部材 航空機内装材、ドアやシートフレーム等の 動車部材、ロボットアーム等の機械部品の 造に好ましく用いられる。中でも、強度、 量に加え、成形時に複雑な形状の成形追従 が要求されるシートパネルやシートフレー 等の自動車部品の製造により好ましく用い れる。