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Patent Searching and Data


Title:
CIRCUIT CONNECTING MATERIAL, CIRCUIT CONNECTION STRUCTURE, AND METHOD FOR PRODUCING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/044678
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a circuit connecting material for connecting a first circuit member obtained by forming a first circuit electrode on a major surface of a first substrate with a second circuit member obtained by forming a second circuit electrode on a major surface of a second substrate in such a manner that the first circuit electrode and the second circuit electrode face each other. This circuit connecting material contains an adhesive composition having a maximum light absorption wavelength within the range of 800-1200 nm.

Inventors:
HIROSAWA YUKIHISA (JP)
KUBOTA YU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/067491
Publication Date:
April 09, 2009
Filing Date:
September 26, 2008
Export Citation:
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Assignee:
HITACHI CHEMICAL CO LTD (JP)
HIROSAWA YUKIHISA (JP)
KUBOTA YU (JP)
International Classes:
H05K1/14; C09J9/02; C09J11/06; C09J201/00; H01B1/22; H01R11/01; H05K3/36
Domestic Patent References:
WO2007023834A12007-03-01
Foreign References:
JP2000182691A2000-06-30
JP2006237451A2006-09-07
JP2002249751A2002-09-06
JPH05206220A1993-08-13
Attorney, Agent or Firm:
HASEGAWA, Yoshiki et al. (Ginza First Bldg. 10-6Ginza 1-chome, Chuo-k, Tokyo 61, JP)
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Claims:
 第一の基板の主面上に第一の回路電極が形成された第一の回路部材と、第二の基板の主面上に第二の回路電極が形成された第二の回路部材とを、前記第一の回路電極と前記第二の回路電極とを対向させた状態で接続するための回路接続材料であって、
 光の最大吸収波長が800~1200nmの範囲内にある接着剤組成物を有する回路接続材料。
 前記接着剤組成物は、光の最大吸収波長が800~1200nmの範囲内にある近赤外線吸収色素を含む請求項1記載の回路接続材料。
 前記接着剤組成物の樹脂固形分全体に対する前記近赤外線吸収色素の含有量が0.1~10質量%である請求項2記載の回路接続材料。
 前記接着剤組成物が導電粒子を含有する請求項1記載の回路接続材料。
 前記接着剤組成物がフィルム形成性高分子を含有する請求項1記載の回路接続材料。
 第一の基板の主面上に第一の回路電極が形成された第一の回路部材と、
 第二の基板の主面上に第二の回路電極が形成され、前記第二の回路電極と前記第一の回路電極とが対向するように配置された第二の回路部材と、
 前記第一の基板と前記第二の基板との間に設けられ、前記第一の回路部材と前記第二の回路部材とを接続する回路接続部と、を備える接続構造体であって、
 前記回路接続部が、請求項1記載の回路接続材料に近赤外線領域の光を照射することにより前記接着剤組成物を硬化させた樹脂硬化物を含む接続構造体。
 第一の基板の主面上に第一の回路電極が形成された第一の回路部材と第二の回路の主面上に第二の回路電極が形成された第二の回路部材とを、前記第一の回路電極及び前記第二の回路電極が対向するように配置し、これらの間に請求項1~5のいずれか一項に記載の回路接続材料を介在させて、前記第一の回路部材及び前記第二の回路部材と前記回路接続材料とを密着させた状態で近赤外線領域の光を照射して前記回路接続材料の前記接着剤組成物を硬化させることにより、前記第一の回路部材と前記第二の回路部材とを接続する工程を備える接続構造体の製造方法。
Description:
回路接続材料、接続構造体及び の製造方法

 本発明は、回路接続材料、接続構造体及 その製造方法に関する。

 回路部材同士またはICチップ等の電子部品 回路部材の接続とを電気的に接続する際に 、接着剤に必要に応じて導電粒子を分散さ た異方導電性接着剤が用いられている。こ ような接着剤を、相対峙する回路部材の電 間に配置し、加熱及び加圧によって回路部 同士を接続することで、隣接する電極間で 絶縁性を維持しつつ対向する電極間の電気 接続を行うことができる。こうした異方導 性接着剤として、エポキシ樹脂をベースと た回路接続材料が提案されている(例えば、 許文献1参照)。

特開平3-16147号公報

 上述のような回路接続材料を用いた回路 材の接続方法は、回路部材同士またはICチ プ等の電子部品と回路部材との間に異方導 性接着剤を介在させた状態で、回路部材同 またはICチップ等の電子部品と回路部材とを 重ね合わせ、圧着ツールを使用して加熱及び 加圧することにより熱圧着するものである。 このとき行われる加熱加圧の条件は、例えば 150~220℃、1~5MPa、15~4秒間程度である。

 ところで、近年の電子機器の小型化、精 化に伴い、異方導電性接着剤にも微細な電 構造を有する回路部材を十分な信頼性で接 できるように高分解能を有することが求め れるようになってきた。

 本発明者らは、かかる要求に応えるため 、短時間の加熱で接続して、材料の熱膨張 熱収縮の影響を低減することに着目した。 常、短時間で接続を行うためには一層の高 で加熱することが必要となる。ところが、 来の異方導電性接着剤に高温加熱を施して 続を行うと、得られる接続構造体の接続抵 値が上昇したり、熱衝撃試験や高温高湿試 等の信頼性試験における接続抵抗値が上昇 たりする傾向があった。かかる傾向が、高 解能が要求される回路接続材料の短時間接 を実現するうえでの障害となっていた。

 例えば、エポキシ樹脂とイミダゾール系 合物などの従来の回路接続材料を用いて行 れる加熱・加圧条件は通常170~220℃、15~4秒 程度である。ここで、4秒間以下の短時間接 を可能にするためには、220℃を超える温度 の加熱が必要となる。このような高温下で ICチップを異方導電性接着剤を介して、ポ イミドやポリエステル、ポリカーボネート どの高分子フィルム基材、またはガラス基 などの接続基板と接続すると、接続後にICチ ップと基板との熱膨張率差に起因する内部応 力によって、接続部の接続抵抗が増大したり 接着剤の剥離が生じたりすることが懸念され る。また、接続後にICチップと基板との熱膨 率差によって、反りが発生し、狭額縁が必 とされる液晶パネルなどにおいては、表示 位が低下することが懸念される。

 一方、加熱温度を220℃以下にして4秒間以 下の短時間接続を可能にするための手段とし て、スルホニウム塩等の反応性が高い潜在性 硬化剤を用いることが考えられる。しかしな がら、180℃以上の加熱温度では回路接続材料 の硬化反応が急速に進行するため、圧着時の 樹脂流動が不十分となり、電気的導通性が低 下するなどの問題が発生してしまう傾向があ る。

 本発明は、上記事情に鑑みてなされたも であり、対向配置された電極同士を短時間 つ高分解能で接続することが可能で、接続 頼性に十分優れる回路接続材料を提供する とを目的とする。また、このような回路接 材料を用いて接続することにより、反りの 生が十分に抑制され接続信頼性が十分に高 接続構造体を提供すること、及び当該接続 造体の製造方法を提供することを目的とす 。

 上記目的を達成するために、本発明は、 一の基板の主面上に第一の回路電極が形成 れた第一の回路部材と、第二の基板の主面 に第二の回路電極が形成された第二の回路 材とを、第一の回路電極と第二の回路電極 を対向させた状態で接続するための回路接 材料であって、光の最大吸収波長が800~1200nm の範囲内にある接着剤組成物を有する回路接 続材料を提供する。

 このような回路接続材料は、波長が800~120 0nmの近赤外線照射を行なうことによって短時 間且つ高分解能で回路電極を接続することが できる。すなわち、近赤外線照射によって接 着剤組成物の硬化反応が促進されるので、高 分解能が要求される微細構造を有する回路部 材同士の接続であっても短時間で行うことが 可能となる。また、接続時の加熱温度の低減 や加熱時間の短縮が図られ、回路部材やICチ プ等の電子部品等における熱膨張や熱収縮 発生が抑制される。これによって、接続後 反りの発生や残留応力の発生を抑制され、 実に回路部材同士を接続するともに回路部 同士の接続信頼性を向上させることができ 。

 本発明における上記接着剤組成物は、光 最大吸収波長が800~1200nmの範囲内にある近赤 外線吸収色素を含むことが好ましい。

 このような回路接続材料は、近赤外線吸 色素を含有するため、近赤外線照射によっ 近赤外線吸収色素が発熱して接着剤組成物 硬化反応が促進される。したがって、短時 且つ高分解能で回路電極を接続することで 、高分解能が要求される微細構造を有する 路部材同士の接続を短時間で行うことが可 となる。

 本発明では、接着剤組成物の樹脂固形分 体に対する前記近赤外線吸収色素の含有量 0.1~10質量%であることが好ましい。これによ って、低温且つ短時間で回路接続材料を硬化 させることが可能となり、一層確実に回路部 材同士を接続するともに接続信頼性を一層向 上させることができる。

 本発明において、接着剤組成物が導電粒 を含有することが好ましい。これによって 対向配置された回路電極同士を容易に導通 せることができる。このような回路接続材 は作業性に優れている。

 本発明において、接着剤組成物がフィル 形成性高分子を含有することが好ましい。 れにより、回路接続材料のフィルム形成性 十分良好にすることができる。また、導電 子を含有する場合に、該導電粒子の分散状 を一層均一に保持することができる。この うな回路接続材料は、導電粒子を介して対 配置された回路電極同士を一層容易に導通 せるとともに、同一基板上で隣接する回路 極間を確実に絶縁することができる。この うな回路接続材料は作業性に一層優れてい 。

 本発明ではまた、第一の基板の主面上に 一の回路電極が形成された第一の回路部材 、第二の基板の主面上に第二の回路電極が 成され、第二の回路電極と第一の回路電極 が対向するように配置された第二の回路部 と、第一の基板と第二の基板との間に設け れ、第一の回路部材と第二の回路部材とを 続する回路接続部と、を備える接続構造体 あって、回路接続部が、上述の回路接続材 に近赤外線領域の光を照射することにより 記接着剤組成物を硬化させた樹脂硬化物を む接続構造体を提供する。

 このような接続構造体は、上述の特徴を する回路接続材料に近赤外線領域の光を照 して硬化させた樹脂硬化物を含む回路接続 を備えるため、熱膨張や熱収縮による変形 残留応力が十分に抑制されている。このた 、反り等の発生が低減され、接続信頼性に 分に優れている。また、このような接続構 体は、狭額縁が必要とされる液晶パネルな において特に有用であり、表示品位に優れ ものである。

 本発明ではまた、第一の基板の主面上に 一の回路電極が形成された第一の回路部材 第二の基板の主面上に第二の回路電極が形 された第二の回路部材とを、第一の回路電 及び第二の回路電極が対向するように配置 、これらの間に上述の回路接続材料を介在 せて、第一の回路部材及び前記第二の回路 材と回路接続材料とを密着させた状態で近 外線領域の光を照射して、回路接続材料の 着剤組成物を硬化させることにより、第一 回路部材と第二の回路部材とを接続する工 を備える接続構造体の製造方法を提供する

 この製造方法では、上述の回路接続材料 近赤外線領域の光を照射することによって 第一の回路電極と第二の回路電極とを電気 に接続するため、短時間且つ高分解能で接 することができる。この製造方法で得られ 接続構造体は、熱膨張や熱収縮による変形 残留応力が抑制されているため、反り等の 生が十分に低減されている。したがって、 実に回路部材同士を接続することができる また、接続信頼性にも十分に優れている。 の製造方法は、狭額縁が必要とされる液晶 ネルなどにおいて特に有用であり、表示品 に優れた接続構造体を得ることができる。

 本発明によれば、対向配置された電極同 を短時間且つ高分解能で接続することが可 で、接続信頼性に十分優れる回路接続材料 提供することができる。また、このような 路接続材料を用いて接続することにより高 頼性の接続構造体、及びかかる特性を備え 接続構造体の製造方法を提供することがで る。すなわち、本発明の回路接続材料によ ば、回路部材同士またはICチップ等の電子 品と回路部材とを短時間で接続することが き、熱膨張や熱収縮の発生を十分に抑制さ た接続構造体を得ることができる。これに って、接続構造体の反りの発生が十分に低 され、接続信頼性に十分優れる接続構造体 提供することができる。

本発明の回路接続材料の好適な一実施 態を示す模式断面図である。 本発明の回路接続材料の別の実施形態 示す模式断面図である。 本発明の回路接続材料のさらに別の実 形態を示す模式断面図である。 本発明に係る回路部材の接続構造体の 適な一実施形態を示す模式断面図である。

符号の説明

 1…導電粒子、2…接着剤成分、3…近赤外 吸収色素、5…樹脂成分、40…導電性接着剤 、50…絶縁性接着剤層、10…第一の回路部材 、11…第一の基板、12…第一の回路電極、20… 第二の回路部材、21…第二の基板、22…第二 回路電極、30,32…接着剤組成物、100,110,120… 路接続材料、150…回路接続部、200…接続構 体。

 以下、図面を参照しながら本発明の好適 実施形態について詳細に説明する。なお、 面中、同一又は相当部分には同一符号を付 、重複する説明は省略する。また、寸法比 は図面の比率に限られるものではない。

 図1は、本発明の回路接続材料の好適な一 実施形態を示す模式断面図である。本発明の 一実施形態であるフィルム状の回路接続材料 100は、導電粒子1と接着剤成分2と近赤外線吸 色素3とを含む接着剤組成物30からなる。図1 に示すように、導電粒子1及び近赤外線吸収 素3は、接着剤成分2を主成分とする接着剤組 成物30中に均一に分散されている。

 図2は、本発明の回路接続材料の別の実施 形態を示す模式断面図である。フィルム状の 回路接続材料110は、導電性接着剤層40及び絶 性接着剤層50が順次積層されている構造を する。すなわち、回路接続材料110は、導電 子1、接着剤成分2及び近赤外線吸収色素3を む接着剤組成物30からなる導電性接着剤層40 、導電性接着剤層40の一方の面に接するよ に形成された、接着剤成分2及び近赤外線吸 色素3を含む接着剤組成物32からなる絶縁性 絶縁性接着剤層50とを有する。

 図3は、本発明の回路接続材料のさらに別 の実施形態を示す模式断面図である。フィル ム状の回路接続材料120は、絶縁性接着剤層50 導電性接着剤層40及び絶縁性接着剤層50が順 次積層されている積層構造を有する。すなわ ち、回路接続材料120は、導電粒子1、接着剤 分2及び近赤外線吸収色素3を含む接着剤組成 物30からなる導電性接着剤層40と、該導電性 着剤層40を挟むようにして該導電性接着剤層 40の両面上にそれぞれ形成された、接着剤成 2及び近赤外線吸収色素3を含む接着剤組成 32からなる絶縁性接着剤層50とを備える。

 なお、図2及び図3では、フィルム状の回 接続材料を構成する全ての層が近赤外線吸 色素3を含有していたが、回路接続材料は、 赤外線吸収色素3を含有しない層を有してい てもよい。

 また、図1、図2及び図3には図示していな が、フィルム状の回路接続材料100、110及び1 20は、少なくとも一方の表面に、作業性向上 ごみ付着防止のため、剥離可能な剥離性基 (支持フィルム)を有していてもよい。

 上記各実施形態に係る回路接続材料100、1 10及び120は、最大吸収波長を800~1200nmの範囲内 に有する近赤外線吸収色素を含有する。この 近赤外線吸収色素は、近赤外線発光源からの 光を吸収する。吸収された光エネルギーは放 熱され、回路接続材料の硬化を促進し、樹脂 硬化物を得ることができる。これにより、例 えば、回路部材同士の接続際に圧着ツール等 を使用して加熱することなく、接着剤組成物 が硬化した樹脂硬化物を得ることができる。 このため本実施形態に係る回路接続材料は、 短時間且つ高分解能で回路電極同士を接続す ることができる。このような回路接続材料に よって回路部材を接続することにより、熱膨 張や熱収縮が十分に抑制された回路部材の接 続構造を得ることができる。このような接続 構造では、反りの発生が十分に抑制されてお り、確実に回路電極同士を接続することがで きる。また、接続信頼性にも十分に優れてい る。

 なお、本発明の回路接続材料は導電粒子 含有していなくてもよい。この場合、対向 置された回路電極同士が直接接触すること よって、電気的に導通させることができる

 以下、図2に示す、導電性接着剤層40と絶 性接着剤層50とが積層されている回路接続 料110について詳細に説明する。

 導電性接着剤層40を構成する接着剤組成 30は、導電粒子1、接着剤成分2及び近赤外線 収色素3を含有する。導電粒子1及び近赤外 吸収色素3は、接着剤成分2中に均一に分散さ れている。導電性接着剤層40は、対向配置さ た一対の回路部材を接続する際に、それぞ の回路部材の主面上に設けられた、対向す 回路電極同士を、導電粒子1を介して電気的 に導通させることができる。すなわち、導電 性接着剤層40は、同一回路部材上の隣接する 路電極間の絶縁性を維持しつつ対向配置さ た回路電極同士を電気的に接続させること できる。

 接着剤組成物30は、接着剤成分2として、 硬化性樹脂を含有することが好ましい。熱 化性樹脂としては、エポキシ樹脂と、イミ ゾール系、ヒドラジド系、三フッ化ホウ素- アミン錯体、スルホニウム塩、アミンイミド 、ポリアミンの塩、またはジシアンジアミド 等の潜在性硬化剤との混合物や、ラジカル反 応性樹脂と有機過酸化物との混合物などが好 適である。熱硬化性樹脂の含有量は、接着剤 成分2全体を基準として20~70質量%であること 好ましい。

 上記エポキシ樹脂としては、エピクロル ドリンとビスフェノールAやF、AD等とから誘 導されるビスフェノール型エポキシ樹脂、エ ピクロルヒドリンとフェノールノボラックや クレゾールノボラックとから誘導されるエポ キシノボラック樹脂、ナフタレン環を含んだ 骨格を有するナフタレン系エポキシ樹脂、及 びグリシジルアミン、グリシジルエーテル、 ビフェニル、脂環式等の1分子内に2個以上の リシジル基を有する各種のエポキシ化合物 のうち、1種を単独で又は2種以上を組み合 せて用いることができる。

 これらのエポキシ樹脂は、エレクトロンマ グレーション防止の観点から、不純物イオ (Na + 、Cl - 等)や加水分解性塩素等を300ppm以下に低減し 高純度品を用いることが好ましい。

 接着剤組成物30は、接着剤組成物30のフィ ルム形成性をより良好なものとする観点から 、接着剤成分2としてフィルム形成性高分子 含有することが好ましい。フィルム形成性 分子としては、フェノキシ樹脂、ポリエス ル樹脂、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂 挙げられる。これらのフィルム形成性高分 は、熱硬化性樹脂の硬化時に発生する応力 緩和する効果を有する。また、フィルム形 性高分子は、接着性を向上する観点から、 酸基等の官能基を有することが好ましい。

 また、接着剤組成物30は、接着剤成分2と て、潜在性硬化剤などの硬化剤を含有する とが好ましい。硬化剤としては、例えばエ キシ樹脂用硬化剤を用いることができる。 かる硬化剤として、アミン系、フェノール 、酸無水物系、イミダゾール系、ヒドラジ 系、ジシアンジアミド、三フッ化ホウ素-ア ミン錯体、スルホニウム塩、ヨードニウム塩 、アミンイミド等が挙げられる。これらは、 1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使 することができ、さらに分解促進剤、抑制 等を混合して用いてもよい。

 光の最大吸収波長を800~1200nmの範囲内に有 する近赤外線吸収色素としては、アゾ系、ア ミニウム系、アンスラキノン系、シアニン系 、ジイモニウム系、スクアリリウム系、ナフ タロシアニン系、フタロシアニン系化合物等 が挙げられる。これらのうち1種を単独で又 2種以上を組み合わせて用いることができる このとき、近赤外線吸収色素の最大吸収波 は、市販の分光光度計を用い分光透過率を 定して求めることができる。

 近赤外線吸収色素の具体例としては、山 化成株式会社製の「YKR」シリーズ、株式会 日本触媒製の「イーエクスカラー」シリー 、日本化薬株式会社製の「IRG」シリーズ、 ポリン社製の「エポライト」シリーズ等が げられる。これらのうち、各種溶媒への溶 性が高く、耐熱性および耐光性を有しつつ 赤外線吸収性能にも優れることから、フタ シアニン系化合物である山本化成社株式会 製の「YKR」シリーズ、株式会社日本触媒製 「イーエクスカラー」シリーズが特に好ま い。

 近赤外線吸収色素の含有量は、接着剤組 物30に含まれる樹脂固形分全体を基準とし 、0.1~10質量%であることが好ましい。この含 量が0.1質量%未満であると、近赤外線発光源 から照射される光を十分に吸収できず、硬化 が十分に進行しない傾向がある。なお、硬化 の進行度合いは、硬化反応率を求めることに よって判断できる。硬化反応率は、DSC(示差 査熱分析)を用いて、回路接続材料の硬化前 発熱量と、硬化後の発熱量とを測定し、両 の差異から求めることができる。十分な接 信頼性で回路部材を接続する観点から、硬 反応率は80%以上であることが好ましい。

 一方、近赤外線吸収色素の含有量が10質 %を超えると、近赤外線領域の光が回路接続 料全体に均一に照射されず、硬化状態にム が発生する傾向がある。この場合、硬化が 分に進行しない部分が発生する傾向がある なお、本明細書における「樹脂固形分」と 、常温(20℃)でトルエンに溶解しない成分を いう。

 導電性接着剤層40には、異方導電性を積 的に付与する目的で導電粒子1が分散されて る。このように、導電粒子1が分散されてい ることによって、回路接続材料110により接続 されるチップのバンプや基板電極等の高さに ばらつきがあっても、高い信頼性で対向する 回路電極同士を電気的に接続することができ る。

 導電粒子1としては、例えばAu、Ag、Ni、Cu はんだ等の金属を含む導電性を有する粒子 例示できる。導電粒子1は、ポリスチレン等 の高分子からなる球状の核材と、該核材の表 面に、Au、Ag、Ni、Cu、はんだ等の金属からな 導電層とを有する粒子であることが好まし 。また、導電粒子1は、導電性を有する導電 層の表面に、さらにSn、Au、はんだ等の表面 を有していてもよい。

 導電粒子1の粒径は、同一回路部材に設け られる回路電極の最小の間隔(同一回路部材 で隣接する電極の間隔)よりも小さいことが 要である。また、導電粒子1の粒径は、これ らの回路電極の高さにばらつきがある場合、 その高さばらつきよりも大きいことが好まし い。かかる観点から、導電粒子1の平均粒径 、1~10μmであることが好ましく、2~5μmである とがより好ましい。平均粒径が1μm未満であ ると、回路電極の高さばらつきに十分に対応 できずに回路電極間の十分な導電性が損なわ れる傾向があり、10μmを超えると、隣接する 路電極間の十分な絶縁性が損なわれる傾向 ある。

 導電性接着剤層40における導電粒子1の含 量は、接着剤組成物30の全体積を基準とし 、0.1~30体積%であることが好ましい。この含 率が0.1体積%未満であると、接続すべき回路 電極上の導電粒子の数が減少するために接触 点数が不足し、接続する回路電極間における 十分な導電性が損なわれる傾向がある。一方 、該含有率が30体積%を超えると、導電粒子の 表面積が著しく増加し、導電粒子が2次凝集 より連結しやすくなって、同一回路部材上 隣接する回路電極間の十分な絶縁性が損な れる傾向がある。

 回路接続材料110を構成する絶縁性接着剤層5 0は、絶縁性を有する層である。絶縁性接着 層50は、対向配置された回路部材同士を接続 した際に、同一基板上で隣接する回路電極間 の絶縁性を十分に確保する(好ましくは、隣 する電極間の絶縁抵抗値を1×10 8 ω以上とする)ことが可能なものであれば、そ の組成は特に限定されず、例えば、上述の導 電性接着剤層40から導電粒子1を除いた組成と 同様の組成とすることができる。

 導電性接着剤層40及び絶縁性接着剤層50に は、更に無機質充填材やゴム粒子を混入・分 散させることができる。これらは、導電粒子 1、及び近赤外線吸収色素3と共に混入・分散 せることができる。なお、これらは、導電 子1を含まない絶縁性接着剤層50に、これら 混入・分散させてもよいが、導電粒子1を有 する導電性接着剤層40に混入・分散させるこ が好ましい。無機質充填材やゴム粒子を接 剤組成物30に添加することにより、対向す 回路部材同士を接続する際の導電性接着剤 40の溶融粘度を、絶縁性接着剤層50の溶融粘 よりも容易に且つ十分に高くすることがで る。これによって、対向配置された回路部 同士を接続する際に、回路部材の主面上に けられた電極上からの導電粒子が流出する を抑制することができる。したがって、高 解能及び長期接続信頼性を高水準で両立す ことができる。

 無機質充填材としては、特に制限されず 例えば、溶融シリカ、結晶質シリカ、ケイ カルシウム、アルミナ、炭酸カルシウム等 粉体が挙げられる。無機充填材の平均粒径 、接続部での導通不良を防止する観点から 3μm以下であることが好ましい。

 無機質充填材を用いる場合、その配合量 、導電性接着剤層40及び絶縁性接着剤層50の 双方において、接着剤組成物30及び32全体を れぞれ基準(100質量部)として、5~100質量部で ることが好ましい。なお、無機質充填材の 合量を増やすことによって、導電性接着剤 40及び絶縁性接着剤層50の溶融粘度を高くす ることができる。

 導電性接着剤層40及び絶縁性接着剤層50に 分散されるゴム粒子としては、ガラス転移温 度が25℃以下のものが好ましい。具体的には ブタジエンゴム、アクリルゴム、スチレン- ブタジエン-スチレンゴム、ニトリル-ブタジ ンゴム、シリコーンゴム等を好適に用いる とができる。ゴム粒子としては、0.1~10μmの 均粒径を有するものが好ましく、平均粒径 下の粒子が粒径分布の80%以上を占めるもの より好ましい。また、ゴム粒子としては、0 .10~5μmの平均粒径を有するものが更に好まし 。また、接着剤組成物中での分散性を向上 せる観点から、ゴム粒子は、その表面がシ ンカップリング剤で処理されていることが ましい。

 ゴム粒子の中でシリコーンゴム粒子は、 溶剤性に優れる他、分散性にも優れるため 好ましく用いることができる。なお、シリ ーンゴム粒子は、シラン化合物やメチルト アルコキシシラン及び/又はその部分加水分 解縮合物を、苛性ソーダ、アンモニア等の塩 基性物質によりpH9以上に調整したアルコール 水溶液に添加し、加水分解、重縮合させる方 法や、オルガノシロキサンの共重合等で得る ことができる。また、シリコーン粒子は、分 子末端もしくは分子内側鎖に水酸基、エポキ シ基、ケチミン、カルボキシル基、メルカプ ト基等の官能基を有することによって、接着 剤組成物中での分散性を向上することができ る。このため、このようなシリコーン粒子は 好ましく用いられる。

 ゴム粒子を用いる場合、その配合量は、 電性接着剤層40及び絶縁性接着剤層50のいず れにおいても、接着剤成分2全体を基準(100質 部)として5~50質量部であることが好ましい

 回路接続材料110において、導電性接着剤 40の厚みは、3~15μmであることが好ましく、5 ~10μmであることがより好ましい。この厚みが 3μm未満であると、好適な平均粒径である導 粒子を適用した場合において、導電性接着 層の形成性が低下する傾向がある。一方、 該厚みが15μmを超えると、回路電極上からの 導電粒子の流出が多くなり、隣接する回路電 極間の絶縁性と接続すべき回路電極間の導電 性を十分に確保しにくくなる傾向がある。

 絶縁性接着剤層50の厚みは、第一の基板 主面上に形成された第一の回路電極厚みと 第二の基板の主面上に形成された第二の回 電極厚みとの総和以下であることが好まし 。絶縁性接着剤層50の厚みが第一の回路電極 の厚みと第二の回路電極の厚みとの総和より も大きいと、回路電極上からの導電粒子の流 出が多くなり、隣接する回路電極間の絶縁性 と接続すべき回路電極間(対向する回路電極 )の導電性とを高水準で両立することが困難 なる傾向がある。

 回路接続材料110において、導電性接着剤 40は、絶縁性接着剤層50よりも、対向配置さ れた回路部材同士を接続する際の溶融粘度が 高いことが好ましい。ここで、接続する際の 溶融粘度とは、回路接続材料110を用いて対向 配置された回路部材同士を接続する際の加熱 温度における溶融粘度である。なお、対向配 置された回路部材同士を接続する際の回路接 続材料110の温度は、回路接続材料110中の接着 剤の硬化性等に応じて適宜調整されるが、例 えば、120℃~250℃の範囲である。したがって その温度範囲内において、導電性接着剤層40 の溶融粘度が絶縁性接着剤層50の溶融粘度よ も高いことが好ましい。

 次に、回路接続材料110の製造方法の一例 ついて説明する。

 まず、導電性接着剤層40形成用の塗布液 調製する。具体的には、接着剤成分2、導電 子1及び近赤外線吸収色素3を有機溶剤に溶 または分散させ、液状化して塗布液を調製 る。このとき用いる溶剤は、材料の溶解性 向上させる観点から、芳香族炭化水素系と 酸素系の混合溶剤が好ましい。接着剤成分2 、熱硬化性樹脂のほかに潜在性硬化剤など 硬化剤、フィルム形成性高分子等を含んで てもよい。

 次に、この塗布液を通常の剥離性基材(支 持フィルム)上に塗布し、硬化剤の活性温度 下で加熱して溶剤を除去することにより、 持フィルム上に接着剤組成物30からなる導電 性接着剤層40を形成することができる。なお 剥離性基材としては、離型性を有するよう 表面処理されたPETフィルム等が好適に用い れる。

 絶縁性接着剤層50は、導電粒子1を配合し いこと以外は、導電性接着剤層40の形成方 と同様にして形成することができる。

 上記の通り形成された導電性接着剤層40 び絶縁性接着剤層50をラミネートする方法や 、各層を順次塗工する方法などの公知の方法 によって、導電粒子を含有する導電性接着剤 層40と導電粒子を含有しない絶縁性接着剤層5 0が積層された回路接続材料110を製造するこ ができる。

 上記実施形態に係る回路接続材料110を用 て形成された回路部材の接続構造について 明する。

 図4は、本発明に係る回路部材の接続構造 体の好適な一実施形態を示す模式断面図であ る。接続構造体200は、第一の基板11及び第一 回路電極12を有する第一の回路部材10と、第 二の基板21及び第二の回路電極22を有する第 の回路部材20とが、回路接続部150によって接 続されている。第一の回路電極12は第一の基 11の一面(主面)上に形成されており、第二の 回路電極22は第二の基板21の一面(主面)上に形 成されている。そして、第一の回路部材10及 第二の回路部材20は、第一の回路電極12と第 二の回路電極22とが対向するように接続され いる。回路接続部150は、樹脂組成物30,32の 脂硬化物からなり、当該樹脂硬化物は樹脂 分5と導電粒子1と近赤外線吸収色素3と含有 ている。

 すなわち、接続構造体200の回路接続部150 は、第一の回路部材10と第二の回路部材20と が対向する方向に、導電粒子1の含有量が互 に異なる複数の樹脂硬化物層が積層されて る。

 接続構造体200では、対峙する第一の回路 極12と第二の回路電極22とが、導電粒子1を して電気的に接続されている。なお、回路 続部が導電粒子を含有しない場合は、対向 る回路電極同士が直接接触することによっ 、対向配置された回路部材が電気的に接続 れる。

 第一の回路部材10及び第二の回路部材20は 、回路電極12及び22がそれぞれ形成された面( 面)を有する。材質に特に制限はないが、第 一の回路部材10及び第二の回路部材20の少な とも一方は、波長800~1200nmの光の分光透過率 50%以上であることが好ましい。

 第一の回路部材10及び第二の回路部材20の具 体例として、液晶ディスプレイに用いられる ITO等で電極が形成されているガラス基板、プ ラスチック基板、プリント配線板、セラミッ ク配線板、フレキシブル配線板、半導体シリ コンチップ等が挙げられる。これらのうち、 波長800~1200nmの光に対して高い分光透過率を する観点から、ガラス基板及びプラスチッ 基板が好ましい。これらの基板は必要に応 て組み合わせて用いてもよい。また、第一 回路部材10及び第二の回路部材20は、その表 に、銅、アルミニウム等の金属やITO(indium t in oxide)、窒化ケイ素(SiNx)、二酸化ケイ素(SiO 2 )等の無機材質層を備えていてもよい。

 接続構造体200の製造方法の一例について 下に説明する。

 まず、第一の回路電極12と第二の回路電 22とが対峙するようにして、回路接続材料110 を第一の回路部材10と第二の回路部材20との に介在させる。具体的には、例えば剥離性 材上に形成されている回路接続材料110を第 の回路部材20の第二の回路電極22が形成され いる面に貼り合わせる。この状態で加熱及 加圧して回路接続材料110を第二の回路部材2 0上に仮圧着する。その後、回路接続材料110 ら剥離性基材を剥離し、第一の回路部材10を 、第一の回路電極12と第二の回路電極22の位 合せしながら、回路接続材料110上に載せて 第二の回路部材20、回路接続材料110及び第一 の回路部材10がこの順で積層された積層体を 製する。

 次に、第二の回路部材20の下方、すなわ 第二の回路部材20の回路接続材料110側とは反 対側から近赤外線領域の光を照射し、第一の 回路部材10を第二の回路部材20に向けて加圧 る。これによって、回路接続材料110が硬化 て、第一の回路部材10と第二の回路部材20と 接続されるとともに、第一の回路電極12と 二の回路電極22とが電気的に接続され、接続 構造体200を得ることができる。なお、第二の 回路部材20は、波長800~1200nmの範囲内の光の分 光透過率が50%以上であることが好ましい。し たがって、第二の基板21は、ガラス基板又は ラスチック基板であることが好ましい。

 上記積層体に近赤外線領域の光を照射し 圧する条件は、回路接続材料110が硬化して 分な接着強度が得られるように適宜調整す ことができる。なお、加圧と近赤外線領域 光の照射とのタイミングは必ずしも限定さ るものではなく、近赤外線領域の光を照射 る際に、第一の回路部材10及び第二の回路 材が回路接続材料110に密着していればよい また、近赤外線領域の光の照射する際に、 せて圧着ツール等を用いて、積層体を例え 120~250℃に加熱することが好ましい。これに って、一層短時間で対向配置された回路部 同士を一層確実に接続することができる。

 なお、接続構造体200及びその製造方法の 明において、回路接続材料110を用いた場合 説明したが、回路接続材料110の代わりに回 接続材料100または120を用いてもよい。

 以上、本発明の好適な実施形態について 明したが、本発明は上記実施形態に何ら限 されるものではない。例えば、本発明の回 接続材料は、図1~3に示すようなフィルムの 態であってもよく、ペーストの形態であっ もよい。なお、本実施形態に係る回路接続 料は、回路基板同士の接続や、ICチップな の電子部品と配線基板との接続等に好適に いることができる。

 以下、実施例及び比較例に基づき本発明 さらに具体的に説明するが、本発明は以下 実施例に何ら限定されるものではない。

(実施例1)
 フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド社製、 商品名PKHC)32質量部、ビスフェノールA型エポ シ樹脂中にアクリル粒子(20質量%、平均粒子 径0.2μm)が分散しているアクリル粒子含有樹 (株式会社日本触媒製、商品名:BPA328)10質量部 、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェ エポキシ株式会社製、商品名:YL980)20質量部 イミダゾール系硬化剤(旭化成株式会社製、 商品名:ノバキュアHX-3941)34質量部、フタロシ ニン系化合物である近赤外線吸収色素(株式 会社日本触媒製、商品名:イーエクスカラー  HA-1)1質量部、及びシランカップリング剤(日 ユニカー株式会社製、商品名:A187)3質量部を 溶剤であるトルエンに溶解し、樹脂固形分5 0質量%の絶縁性接着剤層形成用の塗布液Aを得 た。各原料の配合割合を表1に示す。

 次いで、この絶縁性接着剤層形成用の塗 液Aを、片面(塗布液を塗布する面)に離型処 が施された厚み50μmのPETフィルムに塗工装 を用いて塗布し、70℃で10分間熱風乾燥する とにより、PETフィルム上に厚み13μmの絶縁 接着剤層(a)を形成した。

 次に、フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイ ド社製、商品名:PKHC)32質量部、ビスフェノー A型エポキシ樹脂中にアクリル粒子(20質量% 平均粒子径0.2μm)が分散しているアクリル粒 含有樹脂(株式会社日本触媒製、商品名:BPA32 8)20質量部、イミダゾール系硬化剤(旭化成株 会社製、商品名:ノバキュアHX-3941)34質量部 フタロシアニン系化合物である近赤外線吸 色素(株式会社日本触媒製、HA-1)1質量部、シ ンカップリング剤(日本ユニカー株式会社製 、商品名:A187)3質量部、及びシリコーンゴム( レダウコーニング株式会社製、商品名:EP2100 )30質量部を、溶剤であるトルエンに溶解し、 固形分50質量%の接着剤液Bを調整した。各原 の配合割合を表1に示す。

 この接着剤液B100質量部に、ポリスチレン 系核体(直径:3μm)の表面にNiおよびAu層が形成 れた導電粒子(積水化学工業株式会社製、商 品名:ミクロパールAU、平均粒径:3.2μm、最外 :Au)20質量部を分散して導電性接着剤層形成 の塗布液を得た。

 この導電性接着剤層形成用の塗布液を、 面(塗布液を塗布する面)に離型処理が施さ た厚み50μmのPETフィルムに塗工装置を用いて 塗布し、70℃で10分間熱風乾燥することによ 、該PETフィルム上に厚み10μmの導電性接着剤 層(b)を形成した。

 PETフィルム上にそれぞれ形成された絶縁 接着剤層(a)と導電性接着剤層(b)とを、絶縁 接着剤層(a)と導電性接着剤層(b)とが接触す ように、40℃で加熱しながらロールラミネ タでラミネートして、絶縁性接着剤層(a)の みが13μm、導電性接着剤層(b)の厚みが10μmで る、2層構造の回路接続材料を得た。この回 路接続材料は導電粒子を含有する接着剤層と 導電粒子を含有しない接着剤層とが積層され た構造を有する。

 当該回路接続材料を用いて、金バンプ(面 積:30×50μm、バンプ高さ:15μm、バンプ数:300)付 きチップ(1.2×19mm、厚み:500μm)とガラス基板の 一方の面上にITO回路が形成されたITO回路付き ガラス基板(ITO回路厚み:0.15μm、ガラス基板厚 み:0.5mm)との接続を、次の通り行った。

 所定のサイズ(1.5×20mm)に切り出した2層構造 回路接続材料を、ITO回路付きガラス基板に 80℃、0.98MPa(10kgf/cm 2 )の条件で1秒間加熱加圧することにより貼り けて積層体を得た。なお、この際、導電性 着剤層(b)上のPETフィルムを剥離した後、2層 構造の回路接続材料の導電性接着剤層(b)がITO 回路に接着するようにして、回路接続材料を ITO回路付きガラス基板に貼り付けた。

 次いで、回路接続材料の絶縁性接着剤層(a) のPETフィルムを剥離し、金バンプ付きチッ のバンプとITO回路付きガラス基板との位置 わせを行った後、上記積層体のITO回路付き ラス基板側から近赤外線領域の光を照射し がら、チップのバンプを有する面を回路接 材料の絶縁性接着剤層(a)に向けて、圧着ツ ルを用いて加圧することにより、積層体と バンプ付きチップとの本接続を行った。こ によって、回路接続材料を介してチップとI TO回路付きガラス基板とが接続された接続構 体を得た。本接続の条件は、加熱温度:230℃ 、加圧圧力:40g/バンプ、加熱加圧時間:3秒間 した。近赤外線の照射は、光源として波長90 4nmの半導体レーザーを用い、光量2.5W/mm 2 の近赤外線光で行った。なお、上記加熱温度 (230℃)は加熱加圧時の回路接続材料の温度で り、近赤外線照射によって到達した温度で る。

[硬化反応率の測定]
 上記本接続時の回路接続材料の硬化反応率 次の通り求めた。まず、DSC(示差走査熱分析 )を用いて本接続前後におけるそれぞれの発 量を測定し、当該測定結果を用いて下記式(1 )により算出した。算出結果を表3に示す。な 、本接続後の発熱量は、接続された接続構 体の回路接続部からサンプルを採取して測 を行った。

 硬化反応率(%)=(Q 0 -Q T )/Q 0 ×100   (1)
 [式(1)におけるQ 0 は本接続前の発熱量を、Q T は本接続後の発熱量を示す。]

 次に、得られた接続構造体を、85℃、85%RH の環境下で1000時間保存した。保存後、以下 通りにして、接続抵抗値と反り量との測定 行った。結果を表3に示す。

[接続抵抗値の測定]
 デジタルマルチメータを用いて、上記環境 で保存した後の接続構造体の1バンプ毎の接 続抵抗値を4端子法で測定し、導通が良好で るか否かを評価した。全てのバンプの接続 抗値が20ω以下の場合を「A」、接続抵抗値が 20ωを越えるバンプを含む場合「B」と評価し 。

[反り量の測定]
 表面形状測定機((株)小坂研究所社製、商品 :表面粗さ測定機/SE3500)を用いて、上記環境 で保存した後の接続構造体におけるガラス 板裏面(ITO回路付きガラス基板の回路接続部 側とは反対側の面)の最大反り量を測定した その結果を表3に示す。

(実施例2)
 塗布液A及び接着剤液Bにおける近赤外線吸 色素(株式会社日本触媒製、商品名:イーエク スカラー HA-1)の配合量を、それぞれ0.1質量 としたこと以外は、実施例1と同様にして2層 構造の回路接続材料を調製し、接続構造体を 作製した。そして、実施例1と同様にして評 を行った。各原料の配合割合を表1に、評価 果を表3に示す。

(実施例3)
塗布液Aにおける近赤外線吸収色素(株式会社 本触媒製、商品名:イーエクスカラー HA-1) 配合量を9.6質量部とし、接着剤液Bにおける 赤外線吸収色素(株式会社日本触媒製、商品 名:イーエクスカラー HA-1)の配合量を8.6質量 としたこと以外は、実施例1と同様にして2 構造の回路接続材料を調製し、接続構造体 作製した。そして、実施例1と同様にして評 を行った。各原料の配合割合を表1に、評価 結果を表3に示す。

(比較例1)
 塗布液A及び接着剤液Bにおける近赤外線吸 色素(株式会社日本触媒製、商品名:イーエク スカラー HA-1)の配合量を0.03質量部としたこ 以外は、実施例1と同様にして2層構造の回 接続材料を調製し、接続構造体を作製した そして、実施例1と同様にして評価を行った 各原料の配合割合を表2に、評価結果を表3 示す。

(比較例2)
 塗布液A及び接着剤液Bにおける近赤外線吸 色素(株式会社日本触媒製、商品名:イーエク スカラー HA-1)の配合量を15質量部としたこと 以外は、実施例1と同様にして、2層構造の回 接続材料を得た。次いで、実施例1と同様の 回路部材を用い、同様の条件で本接続を行っ た。そして、実施例1と同様にして評価を行 た。各原料の配合割合を表2に、評価結果を 3に示す。

(比較例3)
 実施例1と同様にして2層構造の回路接続材 を調製し積層体を得た。そして、積層体と バンプ付きチップとの本接続の際に、近赤 線領域の光の照射を行わず、圧着ツールを いて加熱加圧することにより、積層体と金 ンプ付きチップとの本接続を行ったこと以 は実施例1と同様にして本接続を行った。こ によって、回路接続材料を介してチップとI TO回路付きガラス基板とが接続された接続構 体を得た。本接続の条件は、加熱温度:230℃ 、加圧圧力:40g/バンプ、加熱加圧時間:3秒間 した。そして、実施例1と同様にして評価を った。各原料の配合割合を表2に、評価結果 を表3に示す。

(比較例4)
 近赤外線吸収色素を配合せず、イミダゾー 系硬化剤(旭化成工業社製、商品名ノバキュ アHX-3941)の配合量を35質量部としたこと以外 、実施例1と同様にして、塗布液A及び接着剤 液Bを調製した。そして、実施例1と同様にし 、2層構造の回路接続材料を調製し、接続構 造体を作製して評価を行った。各原料の配合 割合を表2に、評価結果を表3に示す。

 表3に示す結果から明らかなように、光の 波長800~1200nmの範囲内で最大吸収波長を有す 近赤外線吸収色素を樹脂固形分全体に対し 0.1~10質量%含有する回路接続材料を用いて、 赤外線光の照射により硬化させた接続構造 は、耐湿試験後の接続抵抗値も硬化反応率 良好であった。また、接続構造体の反り量 小さいことが確認された。

 一方、近赤外線吸収色素を含有していな 回路接続材料(比較例4)を用いた場合、耐湿 験後の接続抵抗値、硬化反応率が劣ること 確認された。また、近赤外線吸収色素の含 量が0.1質量%未満の回路接続材料(比較例1)に おいても、耐湿試験後の接続抵抗値、硬化反 応率が劣ることが確認された。更に、近赤外 線吸収色素の含有量が10質量%より多い回路接 続材料(比較例2)においては、耐湿試験後の接 続抵抗値が劣ることが確認された。

 また、熱硬化性樹脂と、導電粒子と、光 波長800~1200nmの範囲内で最大吸収波長を有す る近赤外線吸収色素0.1~10質量%とを含有させ 回路接続材料を用いて、圧着ツールの加熱 みにより接着剤組成物を硬化させた接続構 体(比較例3)は、耐湿試験後の接続抵抗値が り、接続体の反り量も大きいことが確認さ た。このように、圧着ツールを用いて回路 材側(金バンプ付きチップ)から加熱するため に接続体の反り量が大きくなっている。

 以上より、本発明の回路接続材料を用い ことによって、短時間で回路部材同士を確 に接続できること、得られる接続構造体が 続信頼性に優れること、接続構造体の反り 十分に低減できることが確認された。

 本発明によれば、対向配置された電極同 を短時間且つ高分解能で接続することが可 で、接続信頼性に十分優れる回路接続材料 提供することができる。また、このような 路接続材料を用いて接続することにより高 頼性の接続構造体、及びかかる特性を備え 接続構造体の製造方法を提供することがで る。すなわち、本発明の回路接続材料によ ば、回路部材同士またはICチップ等の電子 品と回路部材とを短時間で接続することが き、熱膨張や熱収縮の発生を十分に抑制さ た接続構造体を得ることができる。これに って、接続構造体の反りの発生が十分に低 され、接続信頼性に十分優れる接続構造体 提供することができる。