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Title:
CLUTCH RELEASE BEARING AND CLUTCH RELEASE BEARING DEVICE WITH THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/084355
Kind Code:
A1
Abstract:
A clutch release bearing in which, without making the shape of an outer ring complex, a seal member is prevented as much as possible from coming out of an opening between both rings. The clutch release bearing (10) has as main structural members the inner and outer rings (11, 12) and first and second seal members (15, 16). The inner and outer rings (11, 12) are arranged so as to be rotatable relative to each other with balls (13) retained between the inner and outer rings. The first and second seal members (15, 16) have outer-diameter ends fitted by pressure and fixed to an inner-diameter surface (12a1) of the outer ring (12) and seal the rear side and the front side, respectively, of an annular space formed between the inner and outer rings (11, 12). A retaining member (19) for restricting axially outward movement of an outer-diameter end (15a) of the first seal member (15) is fitted on the outer-diameter surface (12a2) of the outer ring (12).

Inventors:
ISHIKAWA YASUMITSU (JP)
KATAYAMA YASUYUKI (JP)
INOUE SEIYA (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/071715
Publication Date:
July 09, 2009
Filing Date:
November 28, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NTN TOYO BEARING CO LTD (JP)
ISHIKAWA YASUMITSU (JP)
KATAYAMA YASUYUKI (JP)
INOUE SEIYA (JP)
International Classes:
F16D23/14; F16C33/64; F16C33/78; F16D25/08
Foreign References:
JP2006189086A2006-07-20
JPS59197624A1984-11-09
JP2006009932A2006-01-12
JP2004176782A2004-06-24
JPS4514963Y11970-06-24
Attorney, Agent or Firm:
TANAKA, Hideyoshi et al. (15-26 Edobori 1-chome,Nishi-ku, Osaka-shi, Osaka 02, JP)
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Claims:
 クラッチ装置の回転部材との当接部を有するクラッチレリーズ軸受であって、転動体を介して相対回転可能に設けられた内輪および外輪と、内輪と外輪の間に形成される環状空間の開口部をシールするシール部材とを備え、シール部材の外径端部が、外輪の開口部内径に圧入固定されるものにおいて、
 外輪に、シール部材の外径端部の軸方向外側への移動を規制する抜け止め部材を嵌合したことを特徴とするクラッチレリーズ軸受。
 抜け止め部材は、外輪の外径面に嵌合された筒状部と、該筒状部の一端から径方向内側に延在するフランジ部とを備え、フランジ部の内径端部が、シール部材の外径端部の軸方向外側に配置された請求項1に記載のクラッチレリーズ軸受。
 抜け止め部材のフランジ部を、円周方向で断続的に設けた請求項2に記載のクラッチレリーズ軸受。
 外輪の外径面に段差部を設け、該段差部に抜け止め部材の端部を係合した請求項1に記載のクラッチレリーズ軸受。
 シール部材は、その内径端部が、全周に亘って内輪に接触するものである請求項1に記載のクラッチレリーズ軸受。
 クラッチ装置の回転部材との当接部を有するクラッチレリーズ軸受であって、転動体を介して相対回転可能に設けられた内輪および外輪と、内輪と外輪の間に形成される環状空間の開口部をシールするシール部材とを備え、シール部材の外径端部が、軸方向に延びる外輪の内径面に圧入固定されるものにおいて
 前記シール部材は、芯金およびその表面を被覆するゴム製の被覆部からなり、
 前記シール部材の外径端部は、その外周面の一部分で露出した芯金が外輪の内径面に圧接されると共に、前記外周面の一部分と軸方向位置を異ならせて設けた被覆部が外輪の内径面に圧接されていることを特徴とするクラッチレリーズ軸受。
 前記環状空間の開口部側で被覆部を外輪の内径面に圧接し、前記環状空間の反開口部側で芯金を外輪の内径面に圧接した請求項6記載のクラッチレリーズ軸受。
 外輪の内径面に他所よりも外径側に後退した凹状の環状溝を設け、該環状溝に被覆部を嵌合させた請求項7記載のクラッチレリーズ軸受。
 被覆部を形成するゴム材料が、水素添加ニトリルゴム又は耐熱ニトリルゴムである請求項6記載のクラッチレリーズ軸受。
 シール部材は、その内径端部が、内輪の外径面に接触するものである請求項6記載のクラッチレリーズ軸受。
 外輪が、プレス成形品である請求項6記載のクラッチレリーズ軸受。
 クラッチ装置の回転部材との当接部を有するクラッチレリーズ軸受であって、転動体を介して相対回転可能に設けられた内輪および外輪と、内輪と外輪の間に形成される環状空間の開口部をシールするシール部材とを備えるものにおいて、
 前記内輪の一端に、径方向に延在して前記シール部材と軸方向に対向するカバー材を固定し、このカバー材と前記シール部材との間に、径方向に延在するラビリンスシールを形成したことを特徴とするクラッチレリーズ軸受。
 前記ラビリンスシールを直線状に延在させた請求項12に記載のクラッチレリーズ軸受。
 前記カバー材又は前記シール部材の少なくとも一方に環状の隆起部を設け、この隆起部で前記ラビリンスシールを形成した請求項13に記載のクラッチレリーズ軸受。
 前記ラビリンスシールを蛇行状に延在させた請求項12に記載のクラッチレリーズ軸受。
 前記カバー材に一又は複数の環状突起を設けると共に、前記シール部材に、前記カバー材の環状突起と径方向位置を異ならせて一又は複数の環状突起を設け、前記カバー材の環状突起と前記シール部材の環状突起とで、前記ラビリンスシールを形成した請求項15に記載のクラッチレリーズ軸受。
 固定体と、固定体との間に形成される容積可変チャンバの容積変動により固定体に沿って軸方向移動可能に設けられた可動体とを備え、可動体に、請求項1~16の何れか一項に記載のクラッチレリーズ軸受が設けられたクラッチレリーズ軸受装置。
Description:
クラッチレリーズ軸受およびこ を備えるクラッチレリーズ軸受装置

 本発明は自動車をはじめとする車両のク ッチ装置に組み込まれるクラッチレリーズ 受、およびこれを備えるクラッチレリーズ 受装置に関する。

 クラッチレリーズ軸受装置は、マニュア トランスミッション車のエンジンとトラン ミッションとの間に配設され、クラッチペ ルの操作に伴って軸方向移動し、クラッチ ON/OFFを切り替えるものである。クラッチレ ーズ軸受装置に組み込まれるクラッチレリ ズ軸受は、例えば図13に示すように、転動 (ボール)305を介して相対回転可能に設けられ た内輪301および外輪302を備え、外輪302には、 図示しないクラッチ装置の回転部材(ダイヤ ラムスプリング)と当接する鍔部304が設けら る。また、内輪301と外輪302との間に形成さ る環状空間には潤滑材(例えば、グリース) 充填され、この充填されたグリースの外部 洩や環状空間への異物侵入を防止すべく、 輪間にはシール部材306,306が配設される。

 図13に示すクラッチレリーズ軸受300では 軸方向に延びる円筒面状に形成された外輪30 2の内径面303にシール部材306の外径端部が圧 固定される。かかる構成では、外輪形状を 略化することが、またシール部材306の組み けを容易に行うことが可能であり、製造コ トを抑制する上で好適である。なお、図13に 示すシール部材306は、外径端部を外輪302に固 定した状態で、内径端部(シールリップ)が全 に亘って内輪301に接触する、いわゆる接触 である(以上、例えば特許文献1を参照)。

 上記態様で外輪302に組み付けられるシール 材としては、上述した接触型のみならず、 径端部を外輪の内径面に固定した状態で、 えば内径端部が内輪の外径面と所定の半径 向隙間を介して対向する、いわゆる非接触 もある(例えば、特許文献2を参照)。

特開2006-189086号公報

特開平11-270583号公報

 近年、過酷な使用環境下においても所期 軸受性能を安定的に維持すべく、内外輪間 密封性を高める試みが種々なされている。 かしながら、密封性を高めると、その反作 として、軸受運転時の転がり抵抗やグリー の攪拌抵抗等によって軸受内圧が高まり易 なり、かかる内圧の上昇に起因してシール 材が環状空間の開口部から抜脱するおそれ ある。

 ところで、密封性(シール性)を高める上 は、シール部材を接触型とするのが有効で る。接触型のシール部材は、図13にも示すよ うに、芯金307と、芯金表面を被覆するゴム製 の被覆部308とで構成される。このようなシー ル部材を用いる場合に密封性を一層高めるに は、内輪の外径面に摺接するリップの数を増 加させる、リップの接触代を増大させる等の 手段を採用することが考えられるが、これで は軸受トルクの増大が顕著となり、クラッチ 装置の機能低下を招くおそれがある。

 本発明の第1の課題は、外輪形状を複雑化 させることなくシール部材が両輪間の開口部 から抜脱するのを可及的に防止することがで き、高い密封性を誇るクラッチレリーズ軸受 を提供することにある。

 また、本発明の第2の課題は、軸受トルク を増大させることなく、密封性を一層高めた クラッチレリーズ軸受を提供することにある 。

 上記第1の課題を解決するため、本発明で は、第1の構成として、クラッチ装置の回転 材との当接部を有するクラッチレリーズ軸 であって、転動体を介して相対回転可能に けられた内輪および外輪と、内輪と外輪の に形成される環状空間の開口部をシールす シール部材とを備え、シール部材の外径端 が、外輪の開口部内径に圧入固定されるも において、外輪に、シール部材の外径端部 軸方向外側への移動を規制する抜け止め部 を嵌合したことを特徴とするクラッチレリ ズ軸受を提供する。

 上記のように、外輪に、シール部材の外 端部の軸方向外側への移動を規制する抜け め部材を嵌合すれば、外輪形状を複雑化す ことなく内圧上昇等に伴ってシール部材が 口部側に移動するのを、ひいてはシール部 が開口部から抜脱するのを可及的に防止す ことができる。また、外輪の開口部内径に するシール部材の締め代(径方向での締め代 )を減少させることができるので、シール部 の変形を抑制あるいは防止して、安定した ール機能を確保することができる。また、 け止め部材によってシール部材の軸方向移 が規制されるので、外輪のうち、シール部 が固定される領域の軸方向長さを短小化す ことが、すなわち軸受のコンパクト化を図 ことができる。

 抜け止め部材は、外輪の外径面に嵌合さ た筒状部と、該筒状部の一端から延びて径 向内側に屈曲成形されたフランジ部とを備 るものとすることができ、この場合、フラ ジ部の内径端部をシール部材の外径端部の 方向外側に配置することによって、シール 材の軸方向外側への移動を規制することが きる。かかる構成とすれば、抜け止め部材 設けることによる重量化を極力抑制しつつ 、シール部材(の外径端部)の軸方向移動を 果的に規制することができる。なお、抜け め部材のフランジ部の内径端部は、その先 がシール部材の外径端部に当接するように 置することができる他、これがシール部材 外径端部との間に所定の隙間を形成するよ に配置することもできる。前者の構成では シール部材の外径端部の微小な軸方向移動 規制することができるため、所期のシール 能を安定的に維持する上で好適である。

 抜け止め部材のフランジ部は、全周に亘 て設けても(リング状に形成しても)良いし 円周方向で断続的に設けても良い。特に後 の構成は、軸受の軽量・コンパクト化を図 ことができるため、好適である。

 抜け止め部材自体が外輪から抜脱するの 防止するため、外輪の外径面に段差部を設 、該段差部に抜け止め部材の端部を係合さ るのが望ましい。

 本発明は、特に、内径端部を全周に亘っ 内輪に接触させる、いわゆる接触型のシー 部材を採用するクラッチレリーズ軸受に好 である。接触型のシール部材は、いわゆる 接触型のシール部材に比べて高い密封性を 保することができる反面、密封性が高いが に内圧が上昇し易く、外輪からの抜脱が生 易いからである。

 また、上記第1の課題を解決するため、本 発明では、第2の構成として、クラッチ装置 回転部材との当接部を有するクラッチレリ ズ軸受であって、転動体を介して相対回転 能に設けられた内輪および外輪と、内輪と 輪の間に形成される環状空間の開口部をシ ルするシール部材とを備え、シール部材の 径端部が、軸方向に延びる外輪の内径面に 入固定されるものにおいて、シール部材は 芯金およびその表面を被覆するゴム製の被 部からなり、シール部材の外径端部は、そ 外周面の一部分で露出した芯金が外輪の内 面に圧接されると共に、前記外周面の一部 と軸方向位置を異ならせて設けた被覆部が 輪の内径面に圧接されていることを特徴と るクラッチレリーズ軸受を提供する。

 上記のようにシール部材を構成する芯金 外輪の内径面に圧接することで、外輪形状 複雑化せずとも外輪に対するシール部材の 定強度を高めることができ、内圧上昇に伴 てシール部材が軸方向移動するのを可及的 防止することが可能となる。しかしながら 金属同士を全周に亘って隙間無く密着させ のは容易ではなく、従って両者間に形成さ る隙間からグリース漏れ等の不具合が生じ おそれは依然として残る。この点、本発明 は、シール部材の外径端部の一部を構成す 芯金と軸方向位置を異ならせて設けた被覆 が外輪の内径面に圧接され、この圧接部分 は、ゴム製の被覆部が、その弾性復元力に って外輪の内径面に対して良好な態様で密 する。そのため、外輪と芯金との間に仮に 間が形成されたとしても、グリース漏れ等 不具合が生じるのを確実に防止することが きる。さらに、以上に述べた作用効果を実 するには、被覆部の形成位置や厚み等を適 設定するだけで良い。

 上記第2の構成において、シール部材の外 径端部は、環状空間の開口部側で、被覆部を 外輪の内径面に圧接し、環状空間の反開口部 側で芯金を外輪の内径面に圧接するのが望ま しい。外輪の内径面に対する密着性は、芯金 よりも被覆部の方が良好なため、外部からの 異物侵入に対するシール性能は上記態様とし た方が好適なためである。

 外輪の内径面に他所よりも外径側に後退 た凹状の環状溝を設け、該環状溝と被覆部 を嵌合させることができる。かかる構成と れば、環状溝と被覆部とが軸方向に係合す ため、シール部材の軸方向移動が一層効果 に防止され、所定のシール性能が一層安定 に得られる。

 シール部材の被覆部は、この種のシール 材の形成に好適とされる公知のゴム材料、 えばニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリル ム(H-NBR)、耐熱ニトリルゴム、ポリアクリル ム、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、フッ素 ム(FKM)等を用いて形成することが可能であ が、耐水性や耐摩耗性に特に優れる水素添 ニトリルゴムあるいは耐熱ニトリルゴムで 成するのが望ましい。

 上記本発明に係る第2の構成は、特に、シ ール部材の内径端部を内輪の外径面に接触さ せた、いわゆる接触シールを採用するクラッ チレリーズ軸受に好適である。接触シールは 、いわゆる非接触シールに比べて高い密封性 を確保することができる反面、密封性が高い が故に軸受内圧が上昇し易く、シール部材の 軸方向移動が生じ易いからである。

 また、本発明は、シール部材の外径端部 圧入固定される外輪が、プレス成形された ラッチレリーズ軸受に好適である。プレス 形は製造コストの低廉化に有利な反面、各 を高精度に形成する上では不利なため、シ ル部材(の芯金)と外輪の内径面との間に隙 が形成され易いからである。

 また、上記第2の課題を解決するため、本 発明では、クラッチ装置の回転部材との当接 部を有するクラッチレリーズ軸受であって、 転動体を介して相対回転可能に設けられた内 輪および外輪と、内輪と外輪の間に形成され る環状空間の開口部をシールするシール部材 とを備えるものにおいて、内輪の一端に、径 方向に延在してシール部材と軸方向に対向す るカバー材を固定し、このカバー材とシール 部材との間に、径方向に延在するラビリンス シールを形成したことを特徴とするクラッチ レリーズ軸受を提供する。

 上記の構成では、シール部材と内輪(又は 外輪)との協働で形成されるシール部よりも 受外方側に、非接触シールであるラビリン シールが付加的に設けられる。そのため、 受トルクを増大させることなく、密封性の 上が図られる。また、ラビリンスシールを 成する一方側の部材は、内輪の一端に固定 た(内輪とは別部材の)カバー材であって、当 該カバー材は、シール部材の抜脱を防止し得 るだけの強度を具備していれば足り、内輪の 主要部に必要とされるほどの強度は不要であ る。そのため、カバー材は、例えば、形状自 由度の高い(加工の容易な)薄肉の鋼板や樹脂 形成することが可能であり、従って、軸受 軽量化を図りつつ、この種のラビリンスシ ルを簡便に形成することが可能となる。

 前記ラビリンスシールは、径方向で直線 に延在させることができる。かかる構成の ビリンスシールは、カバー材又はシール部 の少なくとも一方に環状の隆起部を設け、 の隆起部で(隆起部と、これに対向する相手 部材もしくは相手部材に設けた隆起部との間 に)形成することができる。

 ラビリンスシールは、径方向で直線状に 在させる他、径方向で蛇行状に延在させる ともできる。この場合、前述した構成に比 、ラビリンスシールの全長を長大化するこ ができるため、密封性を一層高めることが 能となる。かかる構成のラビリンスシール 、カバー材に一又は複数の環状突起を設け と共に、シール部材に、カバー材の環状突 と径方向位置を異ならせて一又は複数の環 突起を設け、カバー材の環状突起とシール 材の環状突起とで形成することができる。 お、環状突起の形成態様(位置、数、断面形 状等)はラビリンスシールを形成可能である りにおいて任意であり、必要とされるシー 性能や、軸受タイプ(外輪回転タイプ、内輪 転タイプ)に応じて適宜設定可能である。さ らに言えば、径方向で蛇行状に延在するラビ リンスシールとは、凹円弧と凸円弧とが交互 に連続したものに限定されるわけではない。

 以上に示す本発明に係るクラッチレリー 軸受は、例えば、固定体と、固定体との間 形成される容積可変チャンバの容積変動に り固定体に沿って軸方向移動可能に設けら た可動体とを備え、該可動体にクラッチレ ーズ軸受が設けられるタイプ、簡単に述べ と油圧駆動式のクラッチレリーズ軸受装置 組み込んで好適に使用可能である。

 以上のように、本発明によれば、外輪形 を複雑化させることなくシール部材が両輪 の開口部から抜脱するのを可及的に防止す ことができる。これにより、高い密封性を るクラッチレリーズ軸受を提供することが きる。

 また、本発明によれば、軸受トルクを増 させることなく、密封性を一層高めたクラ チレリーズ軸受を提供することができる。

 以下、本発明の実施形態を図面に基づい 説明する。

 図1は本発明の第1の構成を適用したクラ チレリーズ軸受を組み込んだクラッチレリ ズ軸受装置であって、詳細には、油圧によ て駆動される油圧駆動式のクラッチレリー 軸受装置の一例を示す断面図である。同図 クラッチが係合している状態を示すもので る。同図に示すクラッチレリーズ軸受装置1 、ギアボックスのケーシング50に取り付け れた固定体30と、固定体30に対して軸方向移 可能に設けられ、固定体30と協働して容積 変チャンバ40を形成する可動体20とで主要部 構成される。容積可変チャンバ40には図示 ない制御用油圧発生器が接続され、チャン 40内には制御流体としてのオイルが充満され ている。なお、便宜上、以下の説明では、図 中左側をフロント側、図中右側をリア側とい う。

 固定体30は、リア側一端に容積可変チャ バ40の底部を構成するラジアルエッジ34が設 られたガイドチューブ33と、内径面に設け 溝部32にラジアルエッジ34の外径側一端を嵌 した円筒状の外側本体31とで主要部が構成 れる。

 可動体20は、ピストン支持チューブ21を介 してガイドチューブ33に外嵌されたピストン2 2と、ピストン22のフロント側一端に配設され 、図示しないクラッチ装置の回転部材(以下 これをダイヤフラムスプリングという)との 接部を有するクラッチレリーズ軸受10とを 要な構成部材として備える。ピストン22は、 軸方向に延在する外側円筒部22aおよび内側円 筒部22bと、両円筒部をフロント側一端で接続 する環状部22cと、外側円筒部22aの基端から外 径側に張り出した突起部22dとを有する。ピス トン22のうち、内側円筒部22bは外側本体31の 周に挿入され、固定体30との間に容積可変チ ャンバ40を形成し、突起部22dは、外側円筒部2 2aの外周に配設された予圧スプリング24のフ ント側一端を係止する役割を担う。ピスト 支持チューブ21のフロント側一端はピストン 22の環状部22cを若干越えて延設され、この延 部分の外径面に形成された環状溝21aに調心 ング(皿ばね)23が嵌合される。調心リング23 、ピストン22の環状部22cと協働してクラッ レリーズ軸受10(の内輪11)を弾性的に支持す ためのばね力を有するものであり、クラッ レリーズ軸受10は、調心リング23のばね力で ストン22側に押圧されることによって調心 許容されるようになっている。

 以上の構成からなるクラッチレリーズ軸 装置1において、クラッチを解除状態にする 際の各部材の挙動を簡単に説明する。まず、 図示しない油圧発生器によって容積可変チャ ンバ40内のオイルが加圧されると、容積可変 ャンバ40の容積が増大し、これに伴ってピ トン22がフロント側に移動する。ピストン22 移動中にクラッチレリーズ軸受10を作動さ る。クラッチレリーズ軸受10が作動すると、 図示しないダイヤフラムスプリングにはスラ スト力が付加され、これによりクラッチが解 除される。

 以下、本発明の要旨であるクラッチレリ ズ軸受10について詳述する。図示例のクラ チレリーズ軸受10はいわゆるアンギュラ玉軸 受からなり、図2にも拡大して示すように、 数の転動体(ボール)13を介して相対回転可能 設けられた内輪11および外輪12と、両輪間に 組み込まれ、ボール13を円周方向所定間隔で 持する保持器14と、両輪間に形成される環 空間のリア側およびフロント側開口部にそ ぞれ配設された第1および第2シール部材15,16 、外輪12の外径面に嵌合され、第1シール部 15の軸方向外側(リア側)への移動を規制する 抜け止め部材19とを備え、両輪間に形成され 環状空間には潤滑材としてのグリースが充 される。図示例のクラッチレリーズ軸受10 、内輪11が静止側、外輪12が回転側を構成す 外輪回転タイプの軸受である。

 内輪11は、鋼板のプレス成形品とされ、 方向に延びる略円筒状をなし、外径面にボ ル13の転動面が形成された筒状部11aと、筒状 部11aのフロント側一端から内径側に延び、先 端部がピストン22の環状部22cと調心リング23 の間に介在する第1鍔部11bと、筒状部11aのリ 側一端から外径側に延び、フロント側の端 が第1シール部材15のリア側の端面と軸方向 間隙を介して対向する第2鍔部11cとを一体に 有する。第1鍔部11bのリア側端面は、これが 接するピストン22の環状部22cの端面形状に対 応する形で、軸線と直交する方向の平坦面に 形成される。なお、内輪11の構成部分のうち 第2鍔部11cは、筒状部11aのリア側一端に略同 一形状の別部材を固定することで構成するこ ともできる。

 外輪12は、内輪11同様に鋼板のプレス成形 品とされ、軸方向に延びる略円筒状をなし、 内径面12a1にボール13の転動面が形成された筒 状部12aと、筒状部12aのフロント側一端から内 径側に延在し、図示しないダイヤフラムスプ リングとの当接部となる鍔部12bとを一体に有 する。筒状部12aの内径面12a1のうち、両シー 部材15,16が固定される領域は軸線と平行な円 筒面に形成される。鍔部12bは、外側本体31と ストン22のフランジ部22dとの間で作用する 圧スプリング24によってダイヤフラムスプリ ングに常時当接しており、その断面形状は、 ダイヤフラムスプリングと線接触(断面図で 点接触)するように、フロント側に突出した 円弧状とされる。

 内輪11および外輪12形成用の鋼板としては 、例えば浸炭鋼板を使用することができる。 使用可能な浸炭鋼として、ニッケルクロム鋼 (SNC)、ニッケルクロムモリブデン鋼(SNCM)、ク ム鋼(SCr)、クロムモリブデン鋼(SCM)などが挙 げられる。なお、内輪11および外輪12の何れ 一方又は双方は、上記のような鋼板のプレ 成形品とする他、鍛造成形品、あるいは切 等の機械加工品とすることも可能である。

 第2シール部材16は、断面略L字形状の芯金 17と、この芯金17表面を被覆するように加硫 着されたゴム製の被覆部18とからなる。この 第2シール部材16は、外径端部16aを構成する被 覆部18を外輪筒状部12aの内径面12a1(厳密には フロント側の内径面)に圧接させることによ 、外輪12の内径面12a1に圧入固定される。外 端部16aが外輪12の内径面12a1に圧入固定され と、内径端部16b(リップ)が全周に亘って内 11の外径面に接触し、いわゆる接触シールか らなるシール部Sが形成される。これにより 両輪11,12間に形成される環状空間のフロント 側開口部がシールされる。

 第1シール部材15は、第2シール部材16と同 に、断面略L字形状の芯金17と、この芯金17 面を被覆するように加硫接着されたゴム製 被覆部18とからなり、その外径端部15aを構成 する被覆部18を外輪筒状部12aの内径面12a1(厳 には、リア側の内径面)に圧接させることに り、外輪12の内径面12a1に圧入固定される。 径端部15aが外輪12の内径面12a1に圧入固定さ ると、内径端部15b(リップ)が全周に亘って 輪11の外径面に接触し、いわゆる接触シール からなるシール部Sを形成する。これにより 両輪11,12間に形成される環状空間のリア側開 口部がシールされる。

 両シール部材15,16を構成する被覆部18の形 成に用いるゴム材料としては、耐摩耗性に優 れる公知のゴム材料、例えば、ニトリルゴム (NBR)、水素添加ニトリルゴム(H-NBR)、耐熱ニト リルゴム、ポリアクリルゴム、エチレンプロ ピレンゴム(EPDM)、フッ素ゴム(FKM)等が使用可 であるが、これらの中でも耐水性(耐候性) 優れた特性を示す水素添加ニトリルゴムあ いは耐熱ニトリルゴムが特に好適である。

 抜け止め部材19は、軸方向に延びる略円 状をなし、外輪12(筒状部12a)の外径面12a2に嵌 合された筒状部19aと、筒状部19aの一端(リア 端部)から径方向内側に延在するフランジ部1 9bとを備える。本実施形態において、フラン 部19bは図3Aに示すようなリング状を呈し、 の内径端部19b1が、第1シール部材15の外径端 15aの軸方向外側に位置する。フランジ部19b 内径端部19b1はフロント側に屈曲しており、 その先端が第1シール部材15の外径端部15a(厳 には、外径端部15aの外周角部)に当接してい 。

 この抜け止め部材19は、鋼板素材から上 態様にプレス成形されたものを外輪12の外径 面12a2に嵌合することによって外輪12に固定さ れる。本実施形態では、外輪12の筒状部12aの 径面12a2に、フロント側に向かって漸次縮径 したテーパ面状の段差部12a3が形成され、こ 段差部12a3に抜け止め部材19の筒状部19aの他 (フロント側端部)を嵌合させることにより、 外輪12から抜け止め部材19が抜脱するのを効 的に防止するようにしている。なお、例え 、外輪12の外径面12a2に軸方向に延びる円筒 の鋼板素材を嵌合した後、外輪12の形状に沿 って鋼板素材に曲げ加工等を施すことにより 、抜け止め部材19の形成および外輪12に対す 組み付けを行うこともできる。また、外輪12 に対する抜け止め部材19の固定強度を確保す ために、両者間に接着剤を介在させても良 。

 以上に示すように、外輪12(の外径面12a2) 、第1シール部材15の外径端部15aの軸方向外 への移動を規制する抜け止め部材19を嵌合す れば、外輪12形状を複雑化することなく内圧 昇等に伴って第1シール部材15が軸方向移動 るのを、ひいては第1シール部材15が両輪間 開口部から抜脱するのを可及的に防止する とができる。特に、本実施形態においては 両シール部材15,16を、相対的に良好な密封 を確保することができる、いわゆる接触型 しているため、軸受運転時のボール13の転が り抵抗等によって内圧が上昇し易く、従って シール部材(特に第1シール部材15)の抜脱のお れが高いが、上記本発明の構成を適用する とにより、外輪12からの抜脱を確実に防止 ることができる。

 また、図示例では特に明示はしていない 、上記構成を採用することによって第1シー ル部材15の抜脱を可及的に防止することがで るため、第1シール部材15の外径端部15aの軸 向長さ、すなわち外輪12に対する第1シール 材15の固定部長さ、および外輪12のリア側内 径面12a1の軸方向長さを短小化することがで る。これにより、軸受のコンパクト化を図 ことができる。

 また、第1シール部材15の抜脱を可及的に 止することができるため、第1シール部材15 外輪12の間の半径方向の締め代を従来より 小さくすることができる。これにより、プ ス成形品である外輪12(筒状部12a)のリア側端 の変形を抑制あるいは防止することができ 。

 抜け止め部材19のフランジ部19bの内径側 の延在寸法は、第1シール部材15(の外径端部1 5a)の軸方向移動を規制することができれば任 意であるが、延在寸法が長大化するほど、抜 け止め部材19、ひいてはクラッチレリーズ軸 10が重量化する。この点、本実施形態では 内径端部19b1が第1シール部材15の外径端部15a 軸方向外側に位置するようにフランジ部19 内径側へ延在させているので、第1シール部 15の抜脱を可及的に防止しつつも、抜け止 部材19を設けることによるクラッチレリーズ 軸受10の重量化を極力抑制することができる

 また、抜け止め部材19のフランジ部19bの 径端部19b1を、第1シール部材15の外周角部に 接させているので、第1シール部材15のリア 開口部への移動が効果的に規制され、所期 シール性能が安定的に維持される。

 以上では、抜け止め部材19のフランジ部19 bをリング状に形成した(全周に亘って形成し )場合について説明を行ったが、第1シール 材15の抜脱を防止することができるのであれ ば、フランジ部19bは、図3Bに示すように、円 方向で断続的に形成することもできる。か る構成とすれば、上述した実施形態に比べ 抜け止め部材19、ひいてはクラッチレリー 軸受10の軽量化を図ることができる。

 また、以上では、抜け止め部材19を鋼板 の金属材料で形成した場合について説明を ったが、本発明の構成はこれに限定されな 。すなわち、第1シール部材15の軸方向移動( 脱)を防止することができるのであれば、抜 け止め部材19を樹脂材料やセラミックスで形 することも可能である。

 また、以上では、外輪回転型のクラッチ リーズ軸受に本発明に係る第1の構成を適用 した場合について説明を行ったが、例えば、 上記特許文献2中に記載のような内輪回転型 軸受構造とした場合、より具体的には、内 11のフロント側一端にダイヤフラムスプリン グとの当接部となる鍔部を形成する一方、外 輪12のフロント側一端に鍔部を設けない軸受 造とした場合には、フランジ部19bが筒状部1 9aのフロント側一端に設けられた抜け止め部 19を外輪12の外径面に嵌合することにより、 このフランジ部19bで、フロント側開口部をシ ールする第2シール部材16の抜脱を防止するこ ともできる。

 また、以上では、シール部材15,16の双方 、いわゆる接触型としたクラッチレリーズ 受について説明を行ったが、シール部材15,16 の何れか一方又は双方を、いわゆる非接触型 としたクラッチレリーズ軸受に上記本発明の 構成を適用することが可能であるのはもちろ んのことである。

 図4は本発明の第2構成を適用したクラッ レリーズ軸受を組み込んだクラッチレリー 軸受装置であって、詳細には、油圧によっ 駆動される油圧駆動式のクラッチレリーズ 受装置の一例を示す断面図である。同図は ラッチが係合している状態を示している。 図に示すクラッチレリーズ軸受装置101は、 アボックスのケーシング150に取り付けられ 固定体130と、固定体130に対して軸方向移動 能に設けられ、固定体130と協働して容積可 チャンバ140を形成する可動体120とで主要部 構成される。容積可変チャンバ140には図示 ない制御用油圧発生器が接続され、チャン 140内には制御流体としてのオイルが充満さ ている。なお、便宜上、以下の説明では、 中左側をフロント側、図中右側をリア側と う。

 固定体130は、リア側一端に容積可変チャ バ140の底部を構成するラジアルエッジ134が けられたガイドチューブ133と、内径面に設 た溝部132にラジアルエッジ134の外径側一端 嵌合した円筒状の外側本体131とで主要部が 成される。

 可動体120は、ピストン支持チューブ121を してガイドチューブ133に外嵌されたピスト 122と、ピストン122のフロント側一端に配設 れ、図示しないクラッチ装置の回転部材(ダ イヤフラムスプリング)との当接部を有する ラッチレリーズ軸受110とを主要な構成部材 して備える。ピストン122は、軸方向に延在 る外側円筒部122aおよび内側円筒部122bと、両 円筒部をフロント側一端で接続する環状部122 cと、外側円筒部122aの基端部から外径側に延 するフランジ部122dとを有する。ピストン122 のうち、内側円筒部122bは外側本体131の内周 挿入され、固定体130との間に容積可変チャ バ140を形成し、フランジ部122dは、外側円筒 122a(ピストン122)の外周に配設された予圧ス リング124のフロント側一端を係止する役割 担う。ピストン支持チューブ121のフロント 一端はピストン122の環状部122cを若干越えて 延設され、この延設部分の外径面に形成され た環状溝121aに調心リング(皿ばね)123が嵌合さ れる。調心リング123は、ピストン122の環状部 122cと協働してクラッチレリーズ軸受110(の内 111)を弾性的に支持するためのばね力を有す るものであり、クラッチレリーズ軸受110は、 調心リング123のばね力でピストン122側に押圧 されることによって調心が許容されるように なっている。

 以上の構成からなるクラッチレリーズ軸 装置101において、クラッチを解除状態にす 際の各部材の挙動を簡単に説明する。まず 図示しない油圧発生器によって容積可変チ ンバ140内のオイルが加圧されると、容積可 チャンバ140の容積が増大し、これに伴って ストン122がフロント側に移動する。ピスト 122は移動中にクラッチレリーズ軸受110を作 させる。クラッチレリーズ軸受110が作動す と、図示しないダイヤフラムスプリングに スラスト力が付加され、これによりクラッ が解除される。

 以下、クラッチレリーズ軸受110について 述する。図示例のクラッチレリーズ軸受110 、いわゆるアンギュラ玉軸受からなり、図5 にも拡大して示すように、複数の転動体(ボ ル)113を介して相対回転可能に設けられた内 111および外輪112と、両輪間に組み込まれ、 ール113を円周方向所定間隔で保持する保持 114と、両輪間に形成される環状空間の両端 口部に配設された第1および第2シール部材11 5,116とを備え、両輪間に形成される環状空間 は潤滑材としてのグリースが充満される。 示例のクラッチレリーズ軸受110は、内輪111 静止側、外輪112が回転側を構成する外輪回 タイプの軸受である。

 内輪111は、製造コストを抑制する観点か 、鋼板をプレス加工して得られる成形品に 処理等を施してなるプレス成形品とされ、 方向に延びる略円筒状部分のフロント側一 から内径側に延び、先端部がピストン122の 状部122cと調心リング123との間に介在する第 1鍔部111aと、円筒状部分のリア側一端から外 側に延び、フロント側一端が第1シール部材 115のリア側一端と軸方向の間隙を介して対向 する第2鍔部111bとを一体に有する。第1鍔部111 aのリア側端面は、これが接するピストン122 環状部122cの端面形状に対応する形で、軸線 直交する方向の平坦面に形成される。なお 第2鍔部111bは、円筒状部分のリア側一端に 部材を固定することで構成することもでき 。

 外輪112は、内輪111同様に鋼板のプレス成 品であり、軸方向に延びる略円筒状部分の ロント側一端から内径側に延在し、図示し いダイヤフラムスプリングとの当接部とな 鍔部112aを一体に有する。外輪112の内径面112 bのうち、両シール部材115,116が固定される領 は軸方向に延びる円筒面に形成される。外 112の鍔部112aは、外側本体131とピストン122の フランジ部122dとの間で作用する予圧スプリ グ124によってダイヤフラムスプリングに常 当接しており、その断面形状は、ダイヤフ ムスプリングと線接触(断面図では点接触)す るように、フロント側に突出した凸円弧状と される。

 なお、内輪111および外輪112形成用の鋼板 しては、例えば浸炭鋼板を使用することが きる。使用可能な浸炭鋼として、ニッケル ロム鋼(SNC)、ニッケルクロムモリブデン鋼(S NCM)、クロム鋼(SCr)、クロムモリブデン鋼(SCM) どが挙げられる。また、内輪111および外輪1 12の何れか一方又は双方は、上記のような鋼 のプレス成形品とする他、鍛造成形品、あ いは切削等の機械加工品とすることも可能 ある。

 第2シール部材116は、図5にも示すように 断面略L字形状の芯金117と、この芯金117表面 被覆するように加硫接着されたゴム製の被 部118とからなり、その外径端部119が軸方向 延びる外輪112の内径面112b(厳密には、フロ ト側の内径面)に圧入固定される。詳細には 第2シール部材116の外径端部119は、芯金117の 表面全体が被覆部118で被覆され、この被覆部 118を外輪112の内径面112bに圧接させることに り、外輪112の内径面112bに圧入固定される。 径端部119が外輪112の内径面112bに対して圧入 固定されると、内径端部に設けたリップが全 周に亘って内輪111の外径面に接触し、いわゆ る接触シールからなるシール部S1が形成され 。これにより、両輪111,112間に形成される環 状空間のフロント側開口部がシールされる。

 第1シール部材115は、第2シール部材116と 様に、断面略L字形状の芯金117と、この芯金1 17表面を被覆するように加硫接着されたゴム の被覆部118とからなり、その外径端部119が 方向に延びる外輪112の内径面112b(厳密には リア側の内径面)に圧入固定される。第1シー ル部材115の外径端部19は、芯金117の外周面の ち、開口部側(リア側)の一部を被覆するよ に被覆部118が形成されたものである。従っ 、第1シール部材115の外輪112の内径面112bに対 する圧入固定は、開口部側(リア側)の所定領 に形成した被覆部118を、また反開口部側(フ ロント側)の所定領域で露出した芯金117を、 れぞれ外輪112の内径面112bに圧接させること より行われる。そして、外径端部119が外輪 径面112bに対して圧入固定されると、内径端 部に設けたリップが全周に亘って内輪111の外 径面に接触し、いわゆる接触シールからなる シール部S1を形成する。これにより、両輪111, 112間に形成される環状空間のリア側開口部が シールされる。

 なお、被覆部118の形成に用いるゴム材料 しては、この種のシール部材の形成に好適 される公知のゴム材料、例えば、ニトリル ム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(H-NBR)、耐熱 トリルゴム、ポリアクリルゴム、エチレン ロピレンゴム(EPDM)、フッ素ゴム(FKM)等が使 可能であるが、優れた耐水性(耐候性)および 耐摩耗性を具備する水素添加ニトリルゴムあ るいは耐熱ニトリルゴムが特に好適で、本実 施形態では水素添加ニトリルゴムを用いて形 成される。

 上述したように、第1シール部材115の外径 端部119のうち、その一部領域で(外部に)露出 た芯金117、およびこれとは軸方向位置を異 らせて設けた被覆部118の双方を外輪112の内 面112bに圧接するようにすれば、外輪112に対 する第1シール部材115の外径端部119の固定強 を、被覆部118のみを外輪112の内径面112bに圧 させていた従来構成に比べて高めることが きる。

 しかしながら、双方共に金属材料で形成 れる外輪112と芯金117とを全周に亘って隙間 く密着させるのは困難で、外輪112をプレス 形品とした本実施形態においては、特に両 間に隙間が生じ易い。この点、本発明では 第1シール部材115の外径端部119の一部を構成 する芯金117と軸方向位置を異ならせて設けた ゴム製の被覆部118が外輪112の内径面112bに圧 され、この圧接部分では、被覆部118が、そ 弾性復元力によって外輪112の内径面112bに良 な態様で密着する。特に本実施形態のよう 、内輪111と外輪112との間に形成される環状 間の開口部(リア側の開口部)側で、被覆部11 8を外輪112の内径面112bに圧接するようにすれ 、外部からの異物侵入に対して有効であり 近年求められる高い耐泥水性を満足する上 好適である。

 さらに、上述した作用効果は、芯金117に して加硫接着される被覆部118の形成位置や み等を適宜設定するだけで得られ、外輪112 状を複雑化する必要がない。以上のことか 、本発明によれば、以上のことから、外輪1 12と第1シール部材115の外径端部119との間での 固定力不足、および外輪112の内径面112bに対 る第1シール部材115の外径端部119の密着不良 起因したシール性能の低下、すなわち予期 ぬグリース漏れや異物侵入等の不具合が発 するのを簡単な構造で確実に防止すること できる。

 以上では、軸方向に延びるストレートな 筒面状に形成された外輪112の内径面112bに、 第1シール部材115の外径端部119を圧入固定し 場合について説明を行ったが、例えば図6に すように、外輪112の内径面112bのうち、リア 側開口部近傍に、他所よりも外径側に後退し た凹状の環状溝112cを設け、この環状溝112cに 第1シール部材115の外径端部119を構成する被 覆部118を嵌合させることも可能である。かか る構成とすれば、環状溝112cと被覆部118とが 方向に係合するため、第1シール部材115の軸 向移動が一層効果的に防止され、所定のシ ル性能が一層安定的に得られる。

 なお、本実施形態において、第2シール部 材116は、その一端面(フロント側端面)の一部 、外輪112の鍔部112aと当接状態にあるため、 内圧上昇等に伴う第2シール部材116の開口部( ロント側開口部)側への移動は防止される。 そのため、第2シール部材116の外径端部119を 来同様の構成としているが、外輪112の形状 によって、この種のバックアップ機能を得 ことができず、第1シール部材115と同様の軸 向移動が生じ易い場合には、第2シール部材 116の外径端部119を第1シール部材115の外径端 119と同様の構成とすることができる。

 また、以上では、シール部材115,116の双方 を、いわゆる接触型としたクラッチレリーズ 軸受について説明を行ったが、シール部材115 ,116の何れか一方又は双方を、いわゆる非接 型としたクラッチレリーズ軸受に上記本発 の構成を適用することも可能である。

 また、以上では、外輪112にダイヤフラム プリングとの当接部となる鍔部を設けたク ッチレリーズ軸受について説明を行ったが 内輪111の一端(フロント側一端)に外径側に びる鍔部を設け、この鍔部をダイヤフラム プリングとの当接部としたクラッチレリー 軸受に本発明の構成を適用することももち ん可能である。

 図7は本発明の第3構成を適用したクラッ レリーズ軸受を組み込んだクラッチレリー 軸受装置、詳細には、油圧によって駆動さ る油圧駆動式のクラッチレリーズ軸受装置 一例を示す断面図である。同図は、クラッ が係合している状態を示すものである。同 に示すクラッチレリーズ軸受装置201は、ギ ボックスのケーシング250に取り付けられた 定体230と、固定体230に対して軸方向移動可 に設けられ、固定体230と協働して容積可変 ャンバ240を形成する可動体220とで主要部が 成される。容積可変チャンバ240には図示し い制御用油圧発生器が接続され、チャンバ24 0内には制御流体としてのオイルが充満され いる。なお、便宜上、以下の説明では、図 左側をフロント側、図中右側をリア側とい 。

 固定体230は、リア側一端に容積可変チャ バ240の底部を構成するラジアルエッジ234が けられたガイドチューブ233と、内径面に設 た溝部232にラジアルエッジ234の外径側一端 嵌合した円筒状の外側本体231とで主要部が 成される。

 可動体220は、ピストン支持チューブ221を してガイドチューブ233に外嵌されたピスト 222と、ピストン222のフロント側一端に配設 れ、図示しないクラッチ装置の回転部材(以 下、これをダイヤフラムスプリングという) の当接部を有するクラッチレリーズ軸受210 を主要な構成部材として備える。ピストン22 2は、軸方向に延在する外側円筒部222aおよび 側円筒部222bと、両円筒部をフロント側一端 で接続する環状部222cと、外側円筒部222aの基 から外径側に張り出した突起部222dとを有す る。ピストン222のうち、内側円筒部222bは外 本体231の内周に挿入されて固定体230との間 容積可変チャンバ240を形成し、突起部222dは 外側円筒部222aの外周に配設された予圧スプ リング224のフロント側一端を係止する役割を 担う。ピストン支持チューブ221のフロント側 一端はピストン222の環状部222cを若干越えて 設され、この延設部分の外径面に形成され 環状溝221aに調心リング(皿ばね)223が嵌合さ る。調心リング223は、ピストン222の環状部22 2cと協働してクラッチレリーズ軸受210(の内輪 211)を弾性的に支持するためのばね力を有す ものであり、クラッチレリーズ軸受210は、 心リング223のばね力でピストン222側に押圧 れることによって調心が許容されるように っている。

 以上の構成からなるクラッチレリーズ軸 装置201において、クラッチを解除状態にす 際の各部材の挙動を簡単に説明する。まず 図示しない油圧発生器によって容積可変チ ンバ240内のオイルが加圧されると、容積可 チャンバ240の容積が増大し、これに伴って ストン222がフロント側に移動する。ピスト 222は移動中にクラッチレリーズ軸受210を作 させる。クラッチレリーズ軸受210が作動す と、図示しないダイヤフラムスプリングに スラスト力が付加され、これによりクラッ が解除される。

 以下、クラッチレリーズ軸受210について 述する。図示例のクラッチレリーズ軸受210 いわゆるアンギュラ玉軸受からなり、図8に も拡大して示すように、複数の転動体(ボー )213を介して相対回転可能に設けられた内輪2 11および外輪212と、両輪間に組み込まれ、ボ ル213を円周方向所定間隔で保持する保持器2 14と、両輪間に形成される環状空間のリア側 よびフロント側開口部にそれぞれ配設され 第1および第2シール部材215,216と、内輪211の ア側一端に固定されたカバー材219とを備え 。両輪211,212間に形成される環状空間には潤 滑材としてのグリースが充満される。なお、 図示例のクラッチレリーズ軸受210は、内輪211 が静止側、外輪212が回転側を構成する外輪回 転タイプの軸受である。

 内輪211は、例えば鋼板のプレス成形品と れ、軸方向に延びる略円筒状をなし、外径 にボール213の転動面211a1が形成された筒状 211aと、筒状部211aのフロント側一端から径方 向内側に延び、先端部がピストン222の環状部 222cと調心リング223との間に介在する鍔部211b を一体に有する。鍔部211bのリア側端面は、 これが当接するピストン222の環状部222cの端 形状に対応する形で、軸線と直交する方向 平坦面に形成される。

 外輪212は、内輪211同様に鋼板のプレス成 品とされ、軸方向に延びる略円筒状をなし 内径面にボール213の転動面212a1が形成され 筒状部212aと、筒状部212aのフロント側一端か ら内径側に延在し、図示しないダイヤフラム スプリングとの当接部となる鍔部212bとを一 に有する。筒状部212aの内径面のうち、両シ ル部材215,216が固定される領域は軸線と平行 な円筒面212a2に形成される。鍔部212bは、外側 本体231とピストン222のフランジ部222dとの間 作用する予圧スプリング224によってダイヤ ラムスプリングに常時当接しており、その 面形状は、ダイヤフラムスプリングと線接 (断面図では点接触)するように、フロント側 に突出した凸円弧状とされる。

 内輪211および外輪212形成用の鋼板として 、例えば浸炭鋼板を使用することができる 使用可能な浸炭鋼として、ニッケルクロム (SNC)、ニッケルクロムモリブデン鋼(SNCM)、 ロム鋼(SCr)、クロムモリブデン鋼(SCM)などが げられる。なお、内輪211および外輪212の何 か一方又は双方は、上記のような鋼板のプ ス成形品とする他、鍛造成形品、あるいは 削等の機械加工品とすることも可能である

 第2シール部材216は、断面略L字形状の芯 217と、この芯金217表面を被覆するように加 接着されたゴム製の被覆部218とからなり、 体として、リア側を開口させた断面略コの 形状を呈する。この第2シール部材216は、外 端部216aが外輪212の円筒面212a2(厳密には、フ ロント側の円筒面212a2)に圧入固定され、この 状態で内径端部216b(リップ)が全周に亘って内 輪211の外径面に接触する。これにより、いわ ゆる接触シールからなるシール部S10が形成さ れ、両輪211,212間に形成される環状空間のフ ント側開口部がシールされる。

 第1シール部材215は、第2シール部材216と 様に、断面略L字形状の芯金217と、この芯金2 17表面を被覆するように加硫接着されたゴム の被覆部218とからなり、全体として、フロ ト側を開口させた断面略コの字形状を呈す 。この第1シール部材215は、外径端部215aが 輪212の円筒面212a2(厳密には、リア側の円筒 212a2)に圧入固定され、この状態で内径端部21 5b(リップ)が全周に亘って内輪211の円筒状の 径面211a2に接触することにより、いわゆる接 触シールからなるシール部S10を形成する。

 両シール部材215,216を構成する被覆部218の 形成に用いるゴム材料としては、耐摩耗性や 耐水性(耐候性)に優れる公知のゴム材料、例 ば、ニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリル ム(H-NBR)、耐熱ニトリルゴム、ポリアクリル ム、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、フッ素 ム(FKM)等が使用可能である。

 カバー材219は、全体として径方向に延在 る略円盤状をなし、フロント側に屈曲した 径端部219bを内輪211の内径面に嵌合させるこ とにより、内輪211のリア側一端に固定される 。このカバー材219は、所定の軸方向隙間を介 して第1シール部材215のリア側端面と対向す 環状部219aと、この環状部219aの外径側所定領 域をフロント側に断面コの字形状に所定量隆 起させてなる隆起部219cとを有する。隆起部21 9cは、環状部219aよりも第1シール部材215に近 しており、そのフロント側端面が、第1シー 部材215のリア側端面との間に径方向で直線 に延びるラビリンスシールS2を形成する。

 本実施形態において、カバー材219は、少 くとも内輪211の各部より薄肉の鋼板素材を レス成形して得られるプレス成形品とされ 。このように、カバー材219を薄肉鋼板で形 することができるのは、このカバー材219は 軸受運転時の内圧上昇等に伴って第1シール 部材215が、環状空間のリア側開口部から抜脱 するのを防止し得るだけの強度を具備してい れば足り、内輪211(の筒状部211aや鍔部211b)に 要とされるほどの強度は不要なためである なお、カバー材219と内輪211の間の固定強度 高めるために、例えば、カバー材219の内径 部219bと内輪211との間に接着剤を介在させる うにしても良い。

 そして、第1シール部材215と内輪211との協 働で形成されるシール部S10と、カバー材219と 第1シール部材215との協働で形成されるラビ ンスシールS2とで、両輪211,212間に形成され 環状空間のリア側開口部が密封(シール)され る。

 以上に示すように、本発明にかかるクラ チレリーズ軸受210では、第1シール部材215の 内径端部215bと内輪211の外径面(円筒面211a2)と 協働で形成されるシール部S10よりも軸受外 側に、非接触シールであるラビリンスシー S2が付加的に設けられる。そのため、軸受 ルクを増大させることなく、両輪211,212間に 成される環状空間の両開口部のうち、リア 開口部における密封性の向上が図られる。 た、ラビリンスシールS2を形成する一方側 部材は、内輪211よりも薄肉の鋼板素材から 成されたものであり、このような薄肉鋼板 形状自由度が高く、しかも軽量である。従 て、クラッチレリーズ軸受210の軽量化を図 つつ、ラビリンスシールS2を簡便に形成する ことが可能となる。以上のことから、本発明 によれば、軽量・低トルクでありながら、よ り高い密封性を具備するクラッチレリーズ軸 受210を簡便に提供することができる。

 以上の説明では、カバー材219に隆起部219c を設け、この隆起部219cの端面と、これに相 向する第1シール部材215の端面との間に径方 で直線状に延在するラビリンスシールS2を 成しているが、かかる態様のラビリンスシ ルS2を形成する手段はこれに限定されない。 すなわち、例えば、第1シール部材215を構成 る被覆部218に他所よりもリア側に隆起した 起部を設け、この隆起部の端面と、これに 対向するカバー材219の端面との間(あるいは カバー材219に設けた隆起部219cの端面との間 )に径方向で直線状に延在するラビリンスシ ルS2を形成することも可能である。なお、第 1シール部材215の被覆部218は加硫接着される のであり、被覆部218の形態は、成形金型の 状を変更するだけで容易に変更可能である したがって、この種のラビリンスシールS2も 特段のコスト増を招くことなく、容易に形成 することが可能である。

 以上、本発明の第3構成を適用したクラッ チレリーズ軸受210の一実施形態について説明 を行ったが、本発明の第3構成はこれに限定 れない。以下、本発明の第3構成を適用した ラッチレリーズ軸受の変形例について説明 行うが、以上で説明したものと実質的に同 の機能を奏する部材・部位には共通の参照 号を付し、重複説明を省略する。

 図9は、本発明の第3構成を適用したクラ チレリーズ軸受210の第2実施形態を示すもの ある。同図に示すクラッチレリーズ軸受210 図8に示すものと異なる主な点は、カバー材 219の径方向に離隔した二箇所に環状突起219d,2 19dを設けると共に、第1シール部材215を構成 る被覆部218に、カバー材219に設けた環状突 219dとは径方向位置を異ならせるようにして( 厳密には、環状突起219d,219d間に位置するよう にして)環状突起215cを設け、各環状突起215c,21 9dで、径方向で蛇行状に延在するラビリンス ールS2を形成した点にある。かかる構成で 、径方向で直線状に延在するラビリンスシ ルS2を形成した第1実施形態に比べ、ラビリ スシールS2の全長を長大化することができる ので、密封性を一層向上することができる。 なお、第1シール部材215を構成する被覆部218 芯金217表面に加硫接着(型成形)されるもので あるから、被覆部218に環状突起215cを形成す ことによる特段のコスト増は生じない。

 図10~図12は、本発明の第3構成を適用した ラッチレリーズ軸受210の第3~第5実施形態を れぞれ示すものであり、図9に示すクラッチ レリーズ軸受210の変形例である。まず、図10 示す実施形態が図9に示すものと異なる主な 点は、図9に示すカバー材219に設けた2つの環 突起219dのうち、径方向外側に設けた環状突 起219dを省略した点にある。また、図11に示す 実施形態が図9に示すものと異なる主な点は カバー材219に1つの環状突起219dを設けると共 に、この環状突起219dを挟みこむようにして 第1シール部材215の被覆部218に2つの環状突起 215c,215cを設けた点にある。また、図12に示す 施形態が図9に示すものと異なる主な点は、 図9に示すカバー材219に設けた2つの環状突起2 19d,219dのうち、径方向内側に設けた環状突起2 19dを省略した点にある。

 なお、以上では、内輪211を静止側、外輪2 12を回転側としたクラッチレリーズ軸受210に 本発明を適用した場合について説明を行っ が、これとは逆に、内輪211を回転側、外輪2 12を静止側としたクラッチレリーズ軸受210に 発明の構成を適用することももちろん可能 ある。ただしこの場合、ダイヤフラムスプ ングとの当接部は、内輪211のフロント側一 に径方向外側に延在するように設けられた 部となる(図示は省略)。またこの場合、外 212のフロント側一端に設けた鍔部は不要と る。

 また、図9~図12の各実施形態に示すクラッ チレリーズ軸受210では、凹円弧と凸円弧とが 交互に連続する蛇行状のラビリンスシールS2 形成しているが、いわゆるパルス波形のよ に、矩形波状に蛇行したラビリンスシールS 2を形成することも可能である。かかる構成 、例えば、カバー材219および第1シール部材2 15にそれぞれ設ける環状突起219d,215cを断面矩 状に形成することで容易に得られる(図示は 省略)。また、上述した各実施形態はあくま も例示であり、カバー材219および第1シール 材215にそれぞれ設ける環状突起219d,215cの位 、数、断面形状等は、求められる密封性等 応じて適宜変更可能である。

 以上では、カバー材219を薄肉の鋼板素材 形成した場合について説明を行ったが、カ ー材219の形成材料は特に限定されず、樹脂 料やセラミックスで形成することも可能で る。この場合、クラッチレリーズ軸受を一 軽量化することができる。

 また、図示は省略するが、図2に示すクラ ッチレリーズ軸受10や図5に示すクラッチレリ ーズ軸受110においても、以上で説明した本発 明の第3構成を適用することが可能である。 なわち、図2および図5に示すクラッチレリー ズ軸受では、第1シール部材のリア側端面と れに対向する内輪鍔部との間にラビリンス ールを形成することができる。もちろん、 2や図5に示すクラッチレリーズ軸受において も、内輪のリア側に設けた鍔部を図8に示す うな別体構造、すなわち内輪のリア側鍔部 省略する代わりに図8等に示すカバー材219を 輪のリア側一端に固定し、このカバー材219 第1シール部材との間にラビリンスシールを 形成することも可能である。

 また、以上では、シール部材215,216の双方 を、いわゆる接触型としたクラッチレリーズ 軸受について説明を行ったが、シール部材215 ,216の何れか一方又は双方を、いわゆる非接 型としたクラッチレリーズ軸受に上記本発 の第3構成を適用することも可能である。

 以上、本発明の各構成を適用したクラッ レリーズ軸受について説明を行ったが、本 明は上述した実施形態に何ら限定されるも でなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲に いて、さらに種々なる形態で実施し得るこ は勿論のことである。本発明の範囲は、特 請求の範囲によって示され、さらに特許請 の範囲に記載の均等の意味、および範囲内 全ての変更を含む。

本発明の第1構成を適用したクラッチレ リーズ軸受を組み込んだクラッチレリーズ軸 受装置の全体構成を示す断面図である。 図1に示すクラッチレリーズ軸受の拡大 断面図である。 抜け止め部材を図2中のX方向から見た 合の正面図である。 抜け止め部材の他例を示す図である。 本発明の第2構成を適用したクラッチレ リーズ軸受を組み込んだクラッチレリーズ軸 受装置の全体構成を示す断面図である。 図4に示すクラッチレリーズ軸受の拡大 断面図である。 図5に示すクラッチレリーズ軸受の変形 例を示す要部拡大断面図である。 本発明の第3構成を適用したクラッチレ リーズ軸受を組み込んだクラッチレリーズ軸 受装置の全体構成を示す断面図である。 図7に示すクラッチレリーズ軸受の拡大 断面図である。 図8に示すクラッチレリーズ軸受の変形 例である。 図8に示すクラッチレリーズ軸受の変 例である。 図8に示すクラッチレリーズ軸受の変 例である。 図8に示すクラッチレリーズ軸受の変 例である。 従来構成のクラッチレリーズ軸受を概 念的に示す断面図である。

符号の説明

 10、110、210  クラッチレリーズ軸受
 11、111、211  内輪
 12、112、212  外輪
 13、113、213  ボール(転動体)
 15、115、215  第1シール部材
 16、116,216  第2シール部材
 17、117、217  芯金
 18、118、218  被覆部
 19  抜け止め部材
 19b フランジ部
 20、120、220  可動体
 30、130、230  固定体
 40、140、240  容積可変チャンバ
 215c 環状突起
 219  カバー材
 219c 隆起部
 219d 環状突起
 S、S1、S10   シール部
 S2   ラビリンスシール