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Patent Searching and Data


Title:
COAL GASIFICATION FURNACE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2010/047159
Kind Code:
A1
Abstract:
A coal gasification furnace is provided which yields a hydrogen-rich gas through coal gasification to render the miniaturization of shift reactors possible.  The coal gasification furnace (G) into which a gasifiable material such as coal and a gasifying agent have been introduced yields a coal gasification gas through gasification reactions proceeding therein.  At least one of water and steam is introduced into the furnace as a substance for accelerating hydrogen formation reactions proceeding simultaneously with the gasification reactions.

Inventors:
YAMAMOTO TAKASHI (JP)
YOKOHAMA KATSUHIKO (JP)
KOYAMA YOSHINORI (JP)
OTA KATSUHIRO (JP)
ISHII HIROMI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/062589
Publication Date:
April 29, 2010
Filing Date:
July 10, 2009
Export Citation:
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Assignee:
MITSUBISHI HEAVY IND LTD (JP)
YAMAMOTO TAKASHI (JP)
YOKOHAMA KATSUHIKO (JP)
KOYAMA YOSHINORI (JP)
OTA KATSUHIRO (JP)
ISHII HIROMI (JP)
International Classes:
C10J3/46; C10J3/48
Domestic Patent References:
WO2007125046A12007-11-08
Foreign References:
JP2005171148A2005-06-30
JPH0892573A1996-04-09
JPH06136371A1994-05-17
JPH06330058A1994-11-29
JP2008150463A2008-07-03
JPH0765484B21995-07-19
Other References:
See also references of EP 2338956A4
Attorney, Agent or Firm:
FUJITA, Takaharu et al. (JP)
Takaharu Fujita (JP)
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Claims:
 石炭等のガス化原料及びガス化剤を投入した炉内で進行するガス化反応により石炭ガス化ガスが生成される石炭ガス化炉において、
 前記ガス化反応と同時進行する水素生成反応の促進用物質として、前記炉内に水及び水蒸気の少なくとも一方が投入される石炭ガス化炉。
 前記石炭ガス化炉が燃焼室及び還元室を備えた二段噴流床ガス化炉とされ、
 前記燃焼室には前記ガス化材料及び前記ガス化剤とともに前記水蒸気が投入され、かつ、前記還元室には前記ガス化材料のみが投入される請求項1に記載の石炭ガス化炉。
 前記石炭ガス化炉が燃焼室及び還元室を備えた二段噴流床ガス化炉とされ、
 前記燃焼室には前記ガス化材料及び前記ガス化剤が投入され、かつ、前記還元室には前記ガス化材料とともに前記水及び前記水蒸気の少なくとも一方が投入される請求項1に記載の石炭ガス化炉。
 前記水及び水蒸気の投入量は、前記ガス化原料の投入量に対して0.1~0.8(質量基準)である請求項1から3のいずれかに記載の石炭ガス化炉。
 前記石炭ガス化ガスを冷却するガス冷却用熱交換器が前記石炭ガス化炉の出口に接続して設けられ、前記石炭ガス化ガスとともに前記ガス冷却用熱交換器を通過するチャー(未反応石炭)中の炭素(C)残留量が30%以上に設定されている請求項1から4のいずれかに記載の石炭ガス化炉。
 前記水蒸気は、前記ガス化炉の外周を冷却する水冷壁及び/または前記ガス冷却用熱交換器を流れる水冷却系統から導入される請求項1から5のいずれかに記載の石炭ガス化炉。
Description:
石炭ガス化炉

 本発明は、石炭ガス化複合発電用ガス化 や化学用石炭ガス化炉等に適用される石炭 ス化炉に関する。

 従来、石炭ガス化複合発電設備(Integrated
Coal Gasification Combined Cycle;IGCC)においては、 率のよいガス化炉として、石炭からガスタ ビンの燃料ガスを生成する空気吹きの石炭 ス化複合発電用ガス化炉(以下、発電用ガス 化炉)が開発されている。
 一方、化学用ガス化炉では、生成ガスのカ リーが重視される従来の発電用ガス化炉と 異なり、目的とする製品(合成物)に合わせ 生成ガス組成(CO/H 2 比)にする必要がある。このため、化学用ガ 化炉においては、CO/H 2 比を調整するためのシフト反応器が必要とな る。

 同様に、発電用ガス化炉においても、大気 へ排出される二酸化炭素量を低減する目的 ら、二酸化炭素(CO 2 )回収設備を組み合わせる場合がある。この うな発電用ガス化炉においては、二酸化炭 の回収率を向上させるため、シフト反応器 設けて生成ガス中の二酸化炭素濃度を高め いる。

 従来の石炭ガス化複合発電設備においては 石炭ガス化炉で生成された石炭ガスを熱交 器群により冷却しており、この場合、生成 れた石炭ガスの冷却用として水や水蒸気の 入は行われていない。(たとえば、特許文献 1参照)
 また、従来の石炭ガス化システムにおいて 、ガス化ガスの冷却を主目的とし、ガス化 出口から水を投入するものがある。(たとえ ば、特許文献2参照)

特公平7-65484号公報

国際公開第2007/125046号パンフレット

 上述したように、化学用ガス化炉及び二酸 炭素回収発電用ガス化炉等の石炭ガス化炉 おいては、シフト反応器により生成ガス組 を調整する(H 2 濃度を高める)必要がある。このため、石炭 ス化炉出口の水素(H 2 )濃度を極力高めることにより、シフト反応 の容積を小さくすることができる。

 また、石炭ガス化炉の出口ガスは、1000℃以 上の高温である。このため、化学原料あるい は燃料ガスとするためのガス精製を行う場合 、熱交換器もしくはクエンチ投入による冷却 が必要であり、クエンチ投入用のクエンチ媒 体としては、水もしくはガス(生成ガス,イナ トガス等)が使用される。
 しかし、クエンチ媒体を水とする水クエン は最も容易な方法であるが、炉内温度を低 させるためプラントの熱効率は低くなる。 らに、クエンチ用に投入した水が完全に気 しない場合は、未燃分が混入した水(煤水、 黒水、Black-water)を処理することが必要となる 。

 このような背景から、化学用ガス化炉及び 酸化炭素回収発電用ガス化炉等の石炭ガス 炉においては、石炭ガス化炉で生成された 炭ガス化ガスを水素リッチにして、シフト 応器の小型化を可能にすることが望まれる
 また、石炭ガス化炉で生成された高温の石 ガス化ガスを冷却する2段目冷却については 、特に発電用ガス化炉の場合、黒水処理の問 題を解決して効率のよい熱交換器を使用可能 とすることが望ましい。
 本発明は、上記の事情に鑑みてなされたも であり、その目的とするところは、水素リ チの石炭ガス化ガスを生成してシフト反応 の小型化を可能にした石炭ガス化炉を提供 ることにある。

 本発明は、上記の課題を解決するため、下 の手段を採用した。
 本発明の一態様に係る石炭ガス化炉は、石 等のガス化原料及びガス化剤を投入した炉 で進行するガス化反応により石炭ガス化ガ が生成される石炭ガス化炉において、前記 ス化反応と同時進行する水素生成反応の促 用物質として、前記炉内に水及び水蒸気の なくとも一方が投入されるものである。

 このような石炭ガス化炉によれば、ガス化 応と同時進行する水素生成反応の促進用物 として、炉内に水及び水蒸気の少なくとも 方が投入されるので、水生ガス化反応及び/ またはシフト反応が迅速に進行して水素を生 成する。この結果、ガス化反応により生成さ れた石炭ガス化ガスは、水素成分の割合(H 2 比)が高い水素リッチのガスとなる。

 上記の石炭ガス化炉において、前記石炭ガ 化炉が燃焼室及び還元室を備えた二段噴流 ガス化炉とされ、前記燃焼室には前記ガス 材料及び前記ガス化剤とともに前記水蒸気 投入し、かつ、前記還元室には前記ガス化 料のみを投入することが好ましい。
 このような二段噴流床ガス化炉は、燃焼室 ガス化材料及びガス化剤とともに水蒸気を 入するので、燃焼室内では、水生ガス化反 及びシフト反応が進行し、ガス化材料のみ 投入する還元室内では、吸熱反応であるガ 化反応及び水生ガス化反応が進行する。こ 結果、燃焼室内の水生ガス化反応及びシフ 反応と、還元室内の水生ガス化反応とによ 水素が生成されることになるので、ガス化 応により生成された石炭ガス化ガスは、水 成分の割合が高い水素リッチなガスとなる また、還元室内のガス化反応及び水生ガス 反応は吸熱反応であるから、反応の進行に り石炭ガス化ガスを冷却する反応クエンチ 行われる。
 この場合の水蒸気は、ガス化剤(空気または 酸素)と予混合した状態で燃焼室に投入する とが望ましく、これにより、炉内高温場へ 速やかな混合が促進され、反応の迅速な進 に有効である。

 上記の石炭ガス化炉において、前記石炭ガ 化炉が燃焼室及び還元室を備えた二段噴流 ガス化炉とされ、前記燃焼室には前記ガス 材料及び前記ガス化剤を投入し、かつ、前 還元室には前記ガス化材料とともに前記水 び前記水蒸気の少なくとも一方を投入する とが好ましい。
 このような二段噴流床ガス化炉は、燃焼室 において、投入されたガス化材料及びガス 剤によりガス化反応が進行し、ガス化材料 ともに水や水蒸気を投入する還元室内にお て、ガス化反応及び水生ガス化反応が進行 る。この結果、還元室内の水生ガス化反応 より水素が生成されるので、ガス化反応に り生成された石炭ガス化ガスは、水素成分 割合が高い水素リッチとなる。また、還元 内のガス化反応及び水生ガス化反応は吸熱 応であるから、反応の進行により石炭ガス ガスを冷却する反応クエンチが行われる。

 上記の石炭ガス化炉において、前記水及 水蒸気の投入量は、前記ガス化原料の投入 に対して0.1~0.8(質量基準)の範囲にあること 好ましい。この場合の水蒸気投入量は、炉 温度が低下しない範囲内において反応に十 な量を確保した値である。

 上記の態様においては、前記石炭ガス化 スを冷却するガス冷却用熱交換器が前記石 ガス化炉の出口に接続して設けられ、前記 炭ガス化ガスとともに前記ガス冷却用熱交 器を通過するチャー(未反応石炭)中の炭素(C )残留量が30%以上に設定されていることが好 しく、これにより、熱交換器表面に堆積し チャーの焼結を防止して熱効率のよい熱交 器の使用が可能となる。

 上記の石炭ガス化炉において、前記水蒸 は、前記ガス化炉の外周を冷却する水冷壁 び/または前記ガス冷却用熱交換器を流れる 水冷却系統から導入されることが好ましく、 これにより、既存の設備(水蒸気供給源)を有 利用して投入用の水蒸気を確保することが きる。

 上記の態様においては、前記石炭ガス化 スを冷却するガス冷却用熱交換器が前記石 ガス化炉の出口に接続して設けられ、前記 炭ガス化ガスとともに前記ガス冷却用熱交 器を通過するチャー(未反応石炭)中の炭素(C )残留量が30%以上に設定されていることが好 しく、これにより、熱交換器表面に堆積し チャーの焼結を防止して熱効率のよい熱交 器の使用が可能となる。

 上述した本発明によれば、石炭ガス化炉に り生成される石炭ガス化ガスは、成分中の 素(H 2 )比が高い水素リッチのガスとなるため、す わち、石炭ガス化炉出口における石炭ガス ガス中の水素濃度を高めることができるの 、特に、シフト反応器を必要とする化学用 ス化炉や二酸化炭素回収発電用ガス化炉等 石炭ガス化炉においては、シフト反応器を 型化することできる。
 また、ガス冷却用熱交換器を通過するチャ 中の炭素(C)残留量を30%以上に設定すれば、 水処理の問題を解消して石炭ガス化ガスの2 段目冷却に熱交換器を使用できるので、特に 二酸化炭素回収発電用ガス化炉の場合、プラ ント熱効率を向上させることができる。さら に、乾燥したチャーを石炭ガス化炉に循環さ せてガス化できるので、石炭等のガス化原料 から石炭ガス化ガスを得る炭素転換率も向上 させることができる。

本発明に係る石炭ガス化炉について、 1の実施形態を示す構成図である。 本発明に係る石炭ガス化炉について、 2の実施形態を示す構成図である。 本発明に係る石炭ガス化炉について、 3の実施形態を示す構成図である。 蒸気投入により石炭ガス化ガスに含ま る水素の割合が増加することを示す実験デ タである。 蒸気投入により硫化カルボニル(COS)が 減することを示す実験データである。 蒸気投入によりアンモニア(NH 3 )発生量が低減することを示す実験データで る。 蒸気投入により水素量の割合が増すこ を示すグラフである。

 以下、本発明に係る石炭ガス化炉の一実施 態を図面に基づいて説明する。
<第1の実施形態>
 図1に示す石炭ガス化炉Gは、石炭等のガス 原料及びガス化剤を投入した炉内で進行す ガス化反応により、石炭ガス化ガス(以下、 石炭ガス」と呼ぶ)を生成する装置である。 図示の石炭ガス化炉Gは、燃焼室10及び還元室 20を備えた二段噴流床ガス化炉であり、燃焼 10の上段(ガス流れ方向の下流側)に連通して 還元室20が設けられている。以下の説明では 燃焼室10及び還元室20を総称して「炉」また は「ガス化炉」と呼ぶことにする。
 また、石炭ガス化炉Gは、還元室20の下流側 連通して、ガス化炉内で生成した石炭ガス 冷却する熱交換器30が設けられている。
 なお、上述した石炭ガス化炉Gは、燃焼室10 還元室20及び熱交換器30の外周面が冷却水を 循環させて冷却する水冷壁Wにより覆われて る。

 このように、本実施形態の石炭ガス化炉Gは 、燃焼室10及び還元室20を備えた二段噴流床 ス化炉であり、下段の燃焼室10にはガス化材 料及びガス化剤とともに水蒸気が投入され、 かつ、上段の還元室20にはガス化材料のみが 入される。
 すなわち、二段噴流床ガス化炉の燃焼室(コ ンバスタ)10には、適所に複数設けたバーナ11 ら、ガス化材料の石炭(微粉炭)及び後述す チャー(未反応石炭)と、ガス化剤の空気もし くは酸素とが投入される。さらに、本実施形 態では、反応を迅速に促進させるための水蒸 気がバーナ11から燃焼室10に投入される。

 ここで投入する水蒸気は、ガス化剤の空気 たは酸素と予混合してバーナ11に投入する とが望ましい。これは、予混合した状態で 入される水蒸気は、燃焼室10内の高温場(炉 温度が1800℃程度)における速やかな混合が促 進されるので、この結果、燃焼室10内の反応 迅速に進行するためである。
 なお、燃焼室10へ投入する水蒸気について 、上述したガス化剤との予混合に限定され ことはなく、水蒸気を単独で投入してもよ 。

 燃焼室10では、水蒸気を投入することによ 、下記の水性ガス化反応及びシフト反応が 速に進行する。従って、水蒸気を投入しな 場合と比較して、ガス化反応により生成さ る石炭ガス(CO)は、ガス中の水素割合が高い 素リッチとなる。
     水性ガス化反応 ; C(固)+H 2 O
→ H 2 +CO
     シフト反応   ; CO+O 2  → H 2 +CO 2
     ガス化反応   ; C(固)+CO 2
→ 2CO

 燃焼室10に対する好適な水蒸気の投入量は たとえば図7に示すように、水蒸気の投入量 増すと石炭ガス(CO)中の水素割合(H 2 /CO)が増すことから、ガス化材料として投入 れる微粉炭の石炭流量に対して質量基準で0. 1~0.8程度となる。これは、蒸気投入量を増や と燃焼室10の温度が下がり、燃焼性やスラ 排出性を悪化させることから、蒸気投入量 上限が0.8程度(質量基準)であれば、石炭ガス 化炉10の運転に支障がないことを確認したシ ュレーション結果に基づくものである。す わち、水蒸気の投入量については、反応促 に十分な投入量の確保と、燃焼室10内の温 低下抑制というように、相反する作用を考 して最適値に設定することが望ましい。
 なお、ヒートロスの割合が小さくなる商用 等においては、水蒸気投入量の増量が可能 なるので、石炭ガス中の水素割合を増して 素リッチにしたガスを生成することができ 。

 還元室(リダクタ)20では、バーナ21からガ 化材料の石炭(微粉炭)のみが投入される。 の結果、還元室20では、燃焼室10から流入し 石炭ガス、水素及び二酸化炭素等の生成物 、追加投入された石炭とにより、上記のガ 化反応及び水性ガス化反応が進行する。こ 反応はいずれも吸熱反応であるため、反応 行により石炭ガス及び水素を主成分とする 成ガス(石炭ガス化ガス)を冷却する反応ク ンチが行われる。

 還元室20で生成された生成ガスは、ガス化 出口(還元室20の出口)に接続された熱交換器3 0により2段目のガス冷却が行われる。この熱 換器30は、高温の生成ガスと水とが熱交換 行うように構成されているので、吸熱され 生成ガスは温度低下して次工程へ流出し、 熱した水は温度上昇して水蒸気になる。
 この熱交換器30では、生成ガスとともに流 するチャー(未反応石炭)が堆積することによ り、チャーの焼結トラブルを発生する場合が ある。しかし、チャー中のC残留量を30%以上 することにより、チャーの焼結防止が可能 なる。なお、この場合のC残留量30%以上とい 値は、実験等に基づいて得られた知見であ 。

 また、炉内温度を高温に維持し、投入し 水蒸気を完全に気化させているので、チャ が混入した煤水や黒水等の処理問題も解消 れる。従って、石炭ガスの2段目冷却用とし て、熱交換効率のよい熱交換器を使用するこ とが可能になる。このような熱交換器30によ 生成ガスの冷却は、特に二酸化炭素回収発 用ガス化炉等においてプラント熱効率の向 に有効である。

 上述したチャーは、熱交換器30の下流側 設けられた図示しないチャー回収装置(サイ ロン、高温フィルタ等)により回収された後 、ガス化原料として燃焼室10に再投入される この場合のチャーは、黒水等の問題が解消 れているので、乾燥した状態で回収される 従って、乾燥したチャーを石炭ガス化炉Gに 循環させてガス化できるので、石炭等のガス 化原料から石炭ガスを得る炭素転換率の向上 にも有効である。

 このような二段噴流床の石炭ガス化炉Gは、 炉内温度が1800~2000℃程度と高温の燃焼室10に ス化材料及びガス化剤とともに水蒸気を投 するので、燃焼室10内では水生ガス化反応 びシフト反応が進行し、ガス化材料のみを 入する還元室20内では吸熱反応であるガス化 反応及び水生ガス化反応が進行する。この結 果、燃焼室10内の水生ガス化反応及びシフト 応と、還元室20内の水生ガス化反応とによ 水素が生成されるので、ガス化反応により 成された石炭ガスは、含有する水素成分の 合が高い水素リッチなガスとなる。図4に示 比較実験結果によれば、生成ガス中におけ 水素の割合は、蒸気投入有りの場合が22.1(Vo l%-dry)となり、蒸気投入なしの16.3(Vol%-dry)より 増加していることが分かる。
 また、還元室20内のガス化反応及び水生ガ 化反応は吸熱反応であるから、これらの反 進行により石炭ガスを冷却する反応クエン が行われる。

 すなわち、高温の燃焼室10に水蒸気を投入 ると反応がより迅速に進行するので、燃焼 10の効率(炭素転換率)が向上する。
 また、燃焼室10に水蒸気を投入することに り、石炭ガス化炉Gの副生成物であるアンモ ア、硫化カルボニル等の生成量を抑制する とができる。すなわち、図5及び図6に示す 験結果によれば、蒸気なしのテスト1と蒸気 のテスト2とを比較した場合、蒸気有のテス ト2において生成量が明らかに減少している とが分かる。

 ところで、上述した水蒸気は、高圧(2.5~5M Pa程度)の燃焼室10内へ投入するため、高圧の 蒸気源が必要となる。そこで、高圧の水蒸 源としては、たとえば水冷壁Wや熱交換器30 流れる水冷却系統の水が加熱されて生成さ た水蒸気を導入し、必要に応じて所望の圧 まで昇圧したものを使用する。すなわち、 圧の水蒸気とするための昇圧装置が必要に る場合はあるものの、石炭ガス化炉Gが有す る既設設備(水冷却系等の水冷壁Wや熱交換器3 0)を有効に利用して水蒸気供給源とし、水蒸 投入に必要な水蒸気量を確保することがで る。

 このように、高温の燃焼室10に水蒸気を投 する方式は、原料炭として一般的な石炭を 用する場合に適している。すなわち、一般 な(良質な)原料炭を使用することで燃焼室10 の温度を高温に維持できる場合は、高温の 焼室10に大量の水蒸気量を投入することが 能となる。しかも、水蒸気にはガス化剤と ての効果もあるため、水蒸気の投入量に応 てガス化剤として投入する空気または酸素 酸素比(酸素投入量)を下げることもでき、こ の結果、ガスタービン燃料として使用する有 効ガス成分(CO,H 2 )の濃度を上げることができる。
 なお、上述した実施形態では水蒸気を投入 たが、噴霧状の水を投入してもよい。

<第2の実施形態>
 次に、本発明に係る石炭ガス化炉について 第2の実施形態を図2に示して説明する。な 、上述した実施形態と同様の部分には同じ 号を付し、その詳細な説明は省略する。
 図示の石炭ガス化炉G1は、上述した実施形 と同様に、燃焼室10及び還元室20を備えた二 噴流床ガス化炉である。
 この実施形態において、燃焼室10には、ガ 化原料となる石炭(微粉炭)やチャーがバーナ 11Aからガス化剤(空気もしくは酸素)とともに 入される。この結果、燃焼室10内では、投 されたガス化原料及びガス化剤によりガス 反応が進行する。

 還元室20には、バーナ21から投入されるガ ス化原料の石炭(微粉炭)とともに、噴霧状の が噴霧ノズル22から投入される。この結果 還元室20内では、燃焼室10から流入した石炭 スと、還元室20に投入された微粉炭及び水 により、上述したガス化反応及び水性ガス 反応が進行する。これらの反応はいずれも 熱反応であるから、反応進行により生成ガ を冷却する反応クエンチが行われる。この 合、好適な水投入量は、ガス化材料として 入される微粉炭の石炭流量に対して、上述 た実施形態と同様の理由により、質量基準 0.1~0.8程度となる。

 このような二段噴流床ガス化炉の石炭ガス 炉G1では、燃焼室10において投入されたガス 化材料及びガス化剤によるガス化反応が進行 する。さらに、還元室20内においては、ガス 材料とともに噴霧状の水が投入されること 、ガス化反応及び水生ガス化反応が進行す 。
 この結果、還元室20内の水生ガス化反応に り生成される水素は、石炭ガス化ガスを水 リッチのガスにする。また、還元室20内のガ ス化反応及び水生ガス化反応は吸熱反応であ るから、反応の進行により生成ガスを冷却す る反応クエンチが行われる。

 このように構成された石炭ガス化炉G1は 還元室20に水を単独投入するため、水投入用 のノズルに関する設計や配置の制約はほとん どなく、極めて自由度が高い。また、この場 合の水は、ポンプにより昇圧可能な高圧水を 投入することになるので、高圧の水蒸気源は 不要である。さらに、還元室20に対する水投 は、還元室20内のクエンチ効果についても 待することができる。

 また、このように構成された石炭ガス化炉G 1は、燃焼室10内への水蒸気投入がないため、 燃焼室10内を高温に維持することが容易にな 。
 このため、還元室20へ噴霧状の水を投入す 石炭ガス化炉G1は、ガス化原料として使用す る石炭(微粉炭)が高灰融点炭(1500℃以上)であ 場合に適している。すなわち、高灰融点炭 原料炭の場合、溶融灰を安定排出するため 水蒸気投入をしないで燃焼室10内を高温に ち、かつ、還元室20においては、水蒸気投入 によるクエンチ効果と反応進行による反応ク エンチとにより、高温の石炭ガス化ガスを急 激に温度低下させることができる。

<第3の実施形態>
 次に、本発明に係る石炭ガス化炉について 第3の実施形態を図3に示して説明する。な 、上述した実施形態と同様の部分には同じ 号を付し、その詳細な説明は省略する。
 図示の石炭ガス化炉G2は、上述した実施形 と同様に、燃焼室10及び還元室20を備えた二 噴流床ガス化炉である。
 この実施形態では、上述した第2の実施形態 における還元室20への水投入に代えて、二段 流床ガス化炉とした石炭ガス化炉G2の還元 20に蒸気ノズル23から水蒸気を投入している が異なっている。なお、本実施形態の石炭 ス化炉G2において、他の構成は上述した第2 実施形態と同じである。

 すなわち、本実施形態の還元室20には、ガ 化原料の微粉炭とともに水蒸気が投入され 。この場合の好適な水蒸気投入量は、燃焼 10及び還元室20へ供給される微粉炭の石炭流 に対して、上述した実施形態と同様の理由 より、質量基準で0.1~0.8程度である。
 還元室20では、水蒸気の投入によりガス化 応及び水性ガス化反応が進行する。この反 はいずれも吸熱反応であるから、反応進行 より生成ガスを冷却する反応クエンチが行 れる。また、水性ガス化反応により水素が 成されるため、水素リッチな石炭ガスが生 される。

 このように構成された石炭ガス化炉G2は、 焼室10への水蒸気投入がないため、燃焼室10 を高温に維持することが容易になる。この め、還元室20へ水蒸気を投入する石炭ガス 炉G2は、ガス化原料として使用する石炭(微 炭)が高灰融点炭の場合に適している。すな ち、高灰融点炭(1500℃以上)が原料炭の場合 溶融灰を安定排出するために燃焼室10内を 温に保ち、かつ、還元室20においては、水蒸 気投入によるクエンチ効果と反応進行による 反応クエンチとにより、高温の石炭ガス化ガ スを急激に温度低下させることができる。
 また、還元室20へ水蒸気を投入する本実施 態は、たとえば褐炭等のように、燃料比が1 下の低燃料比炭を原料炭とする場合に適し いる。これは、還元室20への水蒸気投入が 原料炭中に含まれる揮発分を起源とするガ 化副生成物の分解を促進するクラッキング 果を有しているためである。
 また、還元室20に投入した水蒸気により、 元室20へ投入した原料炭に含まれている揮発 分の分解反応が促進されるため、たとえば炭 化水素、タール(重質炭化水素)及びアンモニ 等のように、還元室投入石炭を起源とする 生成物の発生が抑制される。

 このように、本発明の石炭ガス化炉G,G1,G2 によれば、ガス化反応と同時進行する水素生 成反応の促進用物質として、燃焼室10及び/ま たは還元室20の炉内に、水及び水蒸気の少な とも一方が投入されるので、水生ガス化反 及び/またはシフト反応が迅速に進行して水 素を生成する。この結果、ガス化反応により 生成された石炭ガスは、水素成分の割合が高 い水素リッチのガスとなる。

 このように、上述した本発明によれば、石 ガス化炉G,G1,G2により生成される石炭ガス化 ガスは、成分中の水素比率が高い水素リッチ のガスとなるため、特に、シフト反応器を必 要とする化学用ガス化炉や二酸化炭素回収発 電用ガス化炉等の石炭ガス化炉においては、 シフト反応器を小型化することできる。
 また、ガス冷却用の熱交換器30を通過する ャー中の炭素(C)残留量を30%以上に設定すれ 、黒水処理の問題を解消して石炭ガス化ガ の2段目冷却に熱交換器を使用できるので、 に二酸化炭素回収発電用ガス化炉の場合、 ラント熱効率の向上が可能になる。さらに 乾燥したチャーを石炭ガス化炉G,G1,G2に循環 させてガス化できるので、石炭等のガス化原 料から石炭ガス化ガスを得る炭素転換率につ いても向上させることができる。

 ところで、上述した各実施形態においては 燃焼室10に対する水蒸気投入、還元室20に対 する水(水噴霧)投入、及び還元室20に対する 蒸気投入を単独で実施しているが、本発明 これに限定されることはなく、適宜組み合 せが可能である。すなわち、燃焼室10への水 蒸気投入と還元室20への水噴霧投入とを組み わせて同時に実施することや、燃焼室10へ 水蒸気投入と還元室20への水蒸気投入とを組 み合わせて同時に実施することなど、諸条件 に応じて適宜選択可能である。
 なお、本発明は上述した実施形態に限定さ ることはなく、その要旨を逸脱しない範囲 において適宜変更することができる。

 G,G1,G2  石炭ガス化炉
 10  燃焼室
 20  還元室
 30  熱交換器