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Title:
COATED STEEL PRODUCT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/093545
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a coated steel product that comprises a coating film provided on the surface of a steel product, is free from chromium and thus is environmentally friendly and, at the same time, has excellent corrosion resistance. The coated steel product comprises a steel product and a coating film provided on the surface of the steel product through an inorganic film containing silicon oxide in an amount of 5 to 100 mg/m2 in terms of silicon and substantially free from chromium and an organic material. Despite the fact that the coated steel product is a so-called non-chromium coated steel product which is substantially free from hexavalent chromium and trivalent chromium, the coated steel product has excellent corrosion resistance and thus is an environmentally friendly material. Therefore, the coated steel product can be safely used in a broad range of applications.

Inventors:
TAKASAWA REIKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/050665
Publication Date:
July 30, 2009
Filing Date:
January 19, 2009
Export Citation:
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Assignee:
NIPPON LIGHT METAL CO (JP)
TAKASAWA REIKO (JP)
International Classes:
C23C22/07; B05D7/14
Foreign References:
JPS5290435A1977-07-29
JP2000079370A2000-03-21
JP2000144444A2000-05-26
JP2001303263A2001-10-31
JP2002317278A2002-10-31
JP2006249459A2006-09-21
Attorney, Agent or Firm:
SASAKI, Kazuya et al. (TKK Nishishinbashi Bldg. 11-5, Nishi-shinbashi 2-chome, Minato-k, Tokyo 03, JP)
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Claims:
 鋼材の表面に、珪素酸化物をシリコン量5~100mg/m 2 の範囲で含有すると共に、クロム及び有機物質を実質的に含まない無機皮膜を介して塗膜が形成されていることを特徴とする塗装鋼材。
 無機皮膜は、皮膜のシリコン含有率が30~46.7重量%である請求項1に記載の塗装鋼材。
 無機皮膜は、水分散性シリカを原料として形成された皮膜である請求項1又は2に記載の塗装鋼材。
 水分散性シリカがコロイダルシリカである請求項3に記載の塗装鋼材。
 無機皮膜は、珪素酸化物以外にリン化合物を含む請求項1~4のいずれかに記載の塗装鋼材。
 無機皮膜のリン量が1~15mg/m 2 である請求項5に記載の塗装鋼材。
 無機皮膜は、皮膜のリン含有率が10重量%以下である請求項5又は6に記載の塗装鋼材。
Description:
塗装鋼材

 この発明は、冷延鋼材、熱延鋼材,ステン レススチール、亜鉛系めっき鋼材、亜鉛―ア ルミニウム合金系めっき鋼材、亜鉛―鉄系め っき鋼材、亜鉛―マグネシウム系めっき鋼材 、アルミニウム系めっき鋼材等の各種の鋼材 の表面に、耐食性に優れた塗膜を有する塗装 鋼材に関する。

 従来、鋼材の耐食性処理にはクロメート 理やリン酸クロメート処理等のクロム系表 処理剤を用いる方法がよく知られており、 れらの方法は現在でも広く行われている。 かしながら、クロム系表面処理剤には、ク ムの有する毒性のため、将来的に使用が制 される可能性がある。環境負荷物質の使用 規制しようとする気運が世界的に高まって ており、例えばEUでは、廃自動車指令等に り6価のクロムに関する法規制が始まってい 。このため、クロムを含有しない、いわゆ ノンクロム処理であって耐食性に優れた塗 鋼材の開発が望まれていた。

 そして、鋼材のノンクロム型の被覆処理 例としては、亜鉛めっき鋼板等の金属板の 面に、特定の架橋樹脂マトリックス(A)50~90 量%と、コロイダルシリカ、リン酸及び酸化 オブゾル等の無機防錆剤(B)10~50質量%とを含 皮膜を形成することにより、ノンクロム型 耐食性、耐アルカリ性、耐溶剤性、耐傷つ 性及び密着性に優れた有機被覆処理金属板 提供することが提案されている(特許文献1 照)。

 また、全ての金属に対して良好なノンクロ 化成処理として、ジルコニウム、チタン系 化成処理が提案されており(特許文献2参照) また、亜鉛系めっき鋼板、アルミニウム材 ノンクロム処理として、硫黄化合物とポリ レタンを含む塗装下地処理が提案されてお (特許文献3参照)、更に、金属材料のノンク ム処理として、シランカップリング剤、ウ タン樹脂、ジルコニウム化合物を含有する 膜を形成することで、耐食性と塗膜密着性 優れた表面処理皮膜を提供することが提案 れている(特許文献4参照)。

特開2005-281,863号公報

特開2004-218,070号公報

特開2006-124,752号公報

特開2006-328,445号公報

 本発明者は、係るノンクロムで環境に優 くて優れた耐食性能を有する塗膜が形成さ ている塗装鋼材について、更に検討を進め 結果、意外なことには、塗装鋼材の表面と の塗膜との間に所定の珪素酸化物を所定の リコン量で含有すると共に有機物質を実質 に含まない皮膜(無機皮膜)を介在させるこ により、得られた塗装鋼材の耐食性能を顕 に向上せしめることが可能であることを見 し、本発明を完成した。

 従って、本発明の目的は、鋼材表面に塗 を有し、ノンクロムで環境に優しくて優れ 耐食性能を発揮する塗装鋼材を提供するこ にある。

 すなわち、本発明は、鋼材の表面に、珪素 化物をシリコン量5~100mg/m 2 の範囲で含有すると共に、クロム及び有機物 質を実質的に含まない無機皮膜を介して塗膜 が形成されていることを特徴とする塗装鋼材 である。ここで、「クロムを実質的に含まな い」とは、無機皮膜の蛍光X線分析でクロム 検出限界以下(通常、0.5mg/m 2 以下)であることを意味し、意識的にクロム 添加しないことを意味し、また、「有機物 を実質的に含まない」とは、蛍光X線分析に いて表面汚染で検出される微量の炭素量(C )以下(通常10mg/m 2 以下)であり、例えば有機樹脂バインダー等 無機皮膜中に残留させることを意図した有 物質を添加しないことを意味し、この無機 膜の形成過程で例えばアルコール類等の無 皮膜中に実質的に残留しない有機物質を用 ることは排除されるものではない。

 本発明において、鋼材としては、冷延、 延鋼材、ステンレススチール、亜鉛系めっ 鋼材、亜鉛―アルミニウム合金系めっき鋼 、亜鉛―鉄系めっき鋼材、亜鉛―マグネシ ム系めっき鋼材、アルミニウム系めっき鋼 等の鋼材が挙げられ、これらを適宜加工し 得られる加工材、更にはこれらの材料を適 組み合わせて得られる組合せ材等が挙げら る。そして、上記亜鉛系めっき鋼材の例と ては、例えば、電気亜鉛めっき鋼板、溶融 鉛めっき鋼板等が、また、亜鉛―アルミめ き鋼材の例としては、例えば、溶融亜鉛-5% ルミ合金めっき鋼板、溶融55%アルミ-亜鉛合 金めっき鋼板等が挙げられる。

 本発明において、鋼材の表面に形成される 機皮膜は、珪素酸化物をシリコン量5mg/m 2 以上100mg/m 2 以下、好ましくは10mg/m 2 以上90mg/m 2 以下の範囲で含有することが必要である。こ の無機皮膜におけるシリコン量が5mg/m 2 より少ないと、耐食性が劣るという問題があ り、反対に、100mg/m 2 より多くなると、密着性が不良になるという 問題が生じる。

 また、本発明の無機皮膜は、通常その膜 が5nm以上500nm以下、好ましくは20nm以上300nm 下であるのがよく、また、この皮膜中のシ コン含有率が30重量%以上46.7重量%以下、好ま しくは32重量%以上46.7重量%以下であるのがよ 。この無機皮膜の膜厚が5nmより薄いと、耐 錆性が不足する虞があり、反対に、500nmよ 厚くなると、密着性が不足する虞が生じる また、皮膜中のシリコン含有率が30重量%よ 少ないと、耐食性が劣るという問題が生じ 46.7重量%より多いと汎用的な原料では皮膜形 成が難しくなりコストが高くなるという問題 が生じる。

 更に、本発明の珪素酸化物を含有する無 皮膜は、好ましくは水分散性シリカを原料 して形成された皮膜であるのがよく、この 分散性シリカとしてはコロイダルシリカ、 相シリカ等があり、より好ましくはコロイ ルシリカである。そして、コロイダルシリ としては、特に限定されるものではないが 具体的には例えば、球状のコロイダルシリ として、日産化学工業社製のスノーテック -C、スノーテックス-O、スノーテックス-N、 ノーテックス-S、スノーテックス-OL、スノ テックス-XS、スノーテックス-XL等があり、 た、鎖状のコロイダルシリカとして、日産 学工業社製のスノーテックス-UP、スノーテ クス-OUP等がある。また、気相シリカとして 、日本アエロジル社製のアエロジル130、ア ロジル200、アエロジル200CF、アエロジル300 アエロジル300CF、アエロジル380、アエロジル MOX80等がある。

 更にまた、この無機皮膜には、必要により 層の耐食性の向上等を目的として、この無 皮膜を形成する皮膜形成処理に際に、使用 る皮膜形成処理液中に上記珪素酸化物に加 て所定のリン化合物が添加し、これによっ 無機皮膜中にリン化合物が添加される。添 されたリン化合物は、皮膜形成時にめっき 材表面の亜鉛、アルミニウムとリン化合物 反応しリン酸亜鉛、リン酸アルミニウム等 リン酸塩が生成し、皮膜中に含有されるよ な場合もある。この目的で無機皮膜中に添 されるリン化合物の添加量は、この皮膜中 リン量として1mg/m 2 以上15mg/m 2 以下、好ましくは1.5mg/m 2 以上10mg/m 2 以下であるのがよく、また、皮膜中のリン含 有率として10重量%以下の範囲内であるのがよ い。このリン化合物の添加量については、皮 膜中のリン量については、1mg/m 2 未満であると、リン化合物添加の目的が達成 されず、また、15mg/m 2 を超えて添加すると密着性不良という問題が 生じ、また、皮膜中のリン含有率については 、10重量%を超えると密着性が低下するという 問題が生じる。

 この目的で皮膜形成処理液中に添加され リン化合物としては、特に限定されないが 好ましくは、例えばオルトリン酸、ホスホ 酸、ピロリン酸、トリポリリン酸及びこれ の塩から選ばれた1種又は2種以上の混合物 挙げることができ、具体的には、リン酸、 ン酸三アンモニウム、リン酸三ナトリウム リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、リン酸 グネシウム等を例示することができる。

 また、この無機皮膜には、上記珪素酸化 に加えて、必要により一層の耐食性の向上 を目的として、上記のリン化合物と同様に て無機化合物を添加してもよい。ここでい 無機化合物とは、上記の珪素酸化物やリン 合物以外の無機化合物のことであり、皮膜 の無機化合物の添加量は35重量%以下である とが好ましい。皮膜中の無機化合物の添加 が35重量%を超えると耐食性が低下する。皮 形成処理液中に添加される無機化合物とし は、例えば、アルミナゾル、ジルコニアゾ 、チタニアゾル等の金属酸化物ゾルや、酸 亜鉛、酸化チタン、硫酸バリウム、アルミ 、カオリン、酸化鉄等の無機顔料を挙げる とができる。

 本発明において、鋼材の表面に無機皮膜 介して形成される塗膜については、特に限 されるものではなく、この塗膜を形成する めの塗料としては、例えば、アクリル系塗 、ポリエステル系塗料、ウレタン系塗料、 クリルウレタン系、アクリルポリエステル ,エポキシ系塗料、フッ素系塗料、アクリル シリコン系塗料、ウレタンシリコン系塗料、 アクリルウレタンシリコン系塗料、アルカリ シリケート系塗料、コロイダルシリカ等を使 用したシリカゾル系塗料、酸化チタン系塗料 、セラミックス系塗料、シリコン含有塗料等 を挙げることができ、有機系、無機系、有機 ・無機ハイブリッド系等のいずれの塗料であ ってもよい。

 また、鋼材の表面に無機皮膜を介して形 される塗膜は、シリコン元素(Si)を含むシリ コン含有塗料を塗布して形成され、塗膜中に シリコン元素(Si)を含むシリコン含有塗膜で ってもよく、このシリコン含有塗膜を形成 るためのシリコン含有塗料についても、特 制限されるものではない。このシリコン含 塗料としては、具体的にはシロキサン結合 有するモノマー又はポリマーを含有する塗 、又は、アルコキシシラン及び/又はシラノ ル基を含有する塗料である。このような塗 の具体例としては、例えば、シリコン系塗 、アクリルシリコン系塗料、ウレタンシリ ン系塗料、アクリルウレタンシリコン系塗 、アルカリシリケート系塗料、シリカゾル 塗料、シリカ系塗料、セラミックス系塗料 を挙げることができ、また、塗料系として 、溶剤系、水系エマルジョン系、水系等の 料を挙げることができる。

 本発明において、鋼材の表面に無機皮膜 介して形成される塗膜は、それ自体が塗装 材の最外層表面を形成するトップ塗膜であ てもよいが、更にその上にトップ塗膜を積 するためにプライマー層として機能するプ イマー塗膜であってもよい。そして、無機 膜の上に形成される塗膜の膜厚については 塗装鋼材の使用目的等に応じて適宜選択さ るものであるが、プライマー層として機能 るプライマー塗膜の膜厚については、通常0 .1μm以上20μm以下、好ましくは0.5μm以上15μm以 下であるのがよく、0.1μmより薄いと十分な耐 食性能が発揮されず、反対に、20μmより厚く るとトップ塗膜との密着性が低下するとい 問題が生じる。

 そして、本発明の塗膜がプライマー層と て用いられる場合、その塗膜の上に更に上 り塗料を塗布してトップ塗膜が形成される 、ここで用いられる上塗り塗料についても に制限はなく、例えば、アクリル系塗料、 リエステル系塗料、ウレタン系塗料、アク ルウレタン系、アクリルポリエステル系、 ポキシ系塗料、フッ素系塗料、シリコン系 料、アクリルシリコン系塗料、ウレタンシ コン系塗料、アクリルウレタンシリコン系 料、アルカリシリケート系塗料、コロイダ シリカ等を使用したシリカゾル系塗料、酸 チタン系塗料、セラミックス系塗料を挙げ ことができ、有機系、無機系、有機・無機 イブリッド系等のいずれの塗料であっても い。また、このトップ塗膜については、単 層塗膜に限らず、二層以上の多層塗膜でも く、更に、その膜厚については特に制限さ ないが通常は1~100μmが好ましい。

 本発明の塗装鋼材は、鋼材の表面に、珪素 化物を含有する皮膜形成処理液を塗布して リコン量5~100mg/m 2 の無機皮膜を形成する皮膜形成処理を行い、 次いで得られた無機皮膜の上に塗料を塗布し て塗膜を形成することにより製造される。

 この本発明の塗装鋼材の製造に際しては 好ましくは、皮膜形成処理に先駆けて、予 その表面に、脱脂や表面調整等を目的とし 、酸溶液、好ましくはpH6以下の酸溶液によ 酸処理、及び/又は、アルカリ溶液、好まし くはpH8以上のアルカリ溶液によるアルカリ処 理からなる前処理を施してもよい。

 ここで、この前処理に用いる酸溶液とし は、例えば、市販の酸性脱脂剤で調製した の、硫酸、硝酸、フッ酸、リン酸等の鉱酸 酢酸、クエン酸等の有機酸や、これらの酸 混合して得られた混合酸等の酸試薬を用い 調製したもの等を用いることができ、好ま くはpH6以下の酸溶液であるのがよく、また アルカリ溶液としては、例えば、市販のア カリ性脱脂剤により調製したもの、苛性ソ ダ等のアルカリ試薬により調製したもの、 はこれらのものを混合して調製したもの等 用いることができ、好ましくはpH8以上のア カリ溶液であるのがよい。

 また、前処理に用いる酸溶液及び/又はア ルカリ溶液は珪素化合物を含有していてもよ い。珪素化合物を含有する酸溶液及び/又は ルカリ溶液を用いて前処理を行うことによ 、鋼材の表面とその上に形成される無機皮 との間の密着性がより強固になるという作 効果が期待される。このような珪素化合物 含有する酸溶液及び/又はアルカリ溶液とし は、例えば、コロイダルシリカを含有する 溶液やメタ珪酸ソーダ、珪酸ソーダ等の珪 塩を含有するアルカリ溶液等を例示するこ ができる。

 上記の酸溶液及び/又はアルカリ溶液を用 いて行なう前処理の操作方法及び処理条件に ついては、従来よりこの種の酸溶液又はアル カリ溶液を用いて行なわれている前処理の操 作方法及び処理条件と同様でよく、例えば、 浸漬法、スプレー法等の方法により、室温か ら90℃まで、好ましくは室温から70℃までの 度で、1工程1秒から15分程度、好ましくは5秒 から10分程度の条件で行うのがよいが、より ましくは、5秒から3分であるのがよい。

 そして、鋼材の表面に前処理を施した後 、必要により水洗処理してもよく、この水 処理には工業用水、地下水、水道水、イオ 交換水等を用いることができ、製造される 材に応じて適宜選択される。更に、前処理 れた鋼材については、必要により乾燥処理 れるが、この乾燥処理についても、室温で 置する自然乾燥でよいほか、エアーブロー ドライヤー、オーブン等を用いて行う強制 燥でもよい。

 次に、鋼材の表面に、あるいは、必要によ 上記の酸処理及び/又はアルカリ処理に前処 理が施された鋼材の表面に、好ましくはコロ イダルシリカ等の水分散性シリカからなる珪 素酸化物を含有し、必要により更に所定のリ ン化合物や無機化合物が添加された皮膜形成 処理液を塗布して、シリコン量5~100mg/m 2 の無機皮膜を形成する皮膜形成処理が施され る。

 この皮膜形成処理液については、水溶液 るいはアルコール溶液が好ましく、必要に りアルコール、溶剤、表面調整剤等の有機 質を添加してもよい。ここで添加される有 物質については、好ましくは、無機皮膜の 成時に皮膜から気化して消失し、実質的に 膜の構成成分として皮膜中に残留しないも であるのがよい。皮膜形成時に皮膜から気 して実質的に消失する有機物質としては、 およその目安として、沸点150℃以下のもの ある。

 鋼材の表面に上記の皮膜形成処理液を塗 して無機皮膜を形成する皮膜形成処理の操 方法及び処理条件については、例えば、ロ ルコート法、スプレーコート法、浸漬法、 ーコート法、静電塗装法等によるプレコー 法であっても、また、スプレーコート法、 ピンコート法、浸漬法、静電塗装法等によ ポストコート法により、通常、室温から80 まで、好ましくは室温から50℃までの温度範 囲で、1工程1秒から10分程度、好ましくは2秒 ら5分程度の条件で行うのがよく、また、塗 布後に必要により乾燥処理されるが、この乾 燥処理についても、室温で放置する自然乾燥 でよいほか、エアーブロー、ドライヤー、オ ーブン等を用いて行う強制乾燥でもよい。強 制乾燥の場合は、室温~250℃で1秒~10分程度、 ましくは2秒から5分程度乾燥するのがよい

 以上のようにして鋼材の表面に所定の無 皮膜が形成された後、この無機皮膜の上に 料を塗布して塗膜が形成される。この塗料 塗装方法については、例えばロールコート 、スプレーコート法、浸漬法、バーコート 、静電塗装法等によるプレコート法であっ も、また、スプレーコート法、スピンコー 法、浸漬法、静電塗装法等によるポストコ ト法であってもよい。そして、塗装後の乾 処理についても、塗料に応じた乾燥方法を 用すればよく、例えば、エアーブロー、ド イヤー、オーブン等を用いて室温から300℃ 範囲で5秒から24時間行う方法を例示するこ ができる。

 また、上記塗膜をプライマー層として用 、その上にトップ塗膜を設ける場合につい も、従来のプライマー層の上に上塗り塗料 塗布してトップ塗膜を形成せしめる場合と わりなく、例えば形成されたプライマー塗 の上にロールコート法、スプレーコート法 浸漬法、バーコート法、静電塗装法等によ プレコート法や、スプレーコート法、スピ コート法、浸漬法、静電塗装法等によるポ トコート法で上塗り塗料を塗布し、次いで 塗り塗料に応じた乾燥方法で乾燥すればよ 。

 本発明によれば、鋼材の表面に塗膜を有 、クロムを実質的に含まないノンクロムで 境に優しくて優れた耐食性能を発揮する塗 鋼材を提供することができる。

 以下、実施例及び比較例に基づいて、本 明の好適な実施の形態を具体的に説明する

[実施例1~17及び比較例1~7]
 実施例1~4及び比較例1では大きさ70mm×150mm×0. 6mmの電気亜鉛めっき鋼板(目付量20g/m 2 )を、実施例5~9及び比較例2、3及び7では大き 70mm×150mm×0.6mmの溶融亜鉛めっき鋼板(目付量1 00g/m 2 )を、実施例10~13及び比較例4では大きさ70mm×15 0mm×0.6mmの亜鉛-5%アルミめっき鋼板(目付量50g/ m 2 )を、及び、実施例14~17及び比較例5及び6では きさ70mm×150mm×0.6mmの亜鉛-55%アルミめっき鋼 板(目付量150g/m 2 )をそれぞれ鋼材として用意し、以下のよう して前処理、皮膜形成、塗膜の形成を行な た。

〔前処理〕
 実施例1~9及び比較例1~3では、珪素化合物を 有するアルカリ溶液として、メタ珪酸ナト ウムを含有する脱脂剤(脱脂剤A:日本ペイン 社製商品名:サーフクリーナー53S)の2重量%水 溶液を用い、60℃で2分間スプレー処理した後 、水洗して乾燥させた。

 また、実施例10~17及び比較例4~7では、珪 化合物を含有するアルカリ溶液として、メ 珪酸ナトリウムを含有する脱脂剤(脱脂剤A: 本ペイント社製商品名:サーフクリーナー155) の2重量%水溶液を用い、60℃で30秒間浸漬した 後、水洗して乾燥させた。

〔皮膜形成処理〕
 珪素酸化物を含有する処理液として、表1に 示す水分散性シリカを含有する表2(実施例1~8) 、表3(実施例9~16)及び表4(実施例17及び比較例1 ~6)に示す組成の皮膜形成処理液を用いた。

 実施例1~17及び比較例1~6では、前処理後に、 表2に示す組成の皮膜形成処理液をバーコー ーで6g/m 2 になるように塗装し、200℃で1分間乾燥させ 。

 この際に、実施例2、5、8、9、及び13~17と 較例2及び5においては、水分散性シリカ以 に、表2及び表3に示す割合でリン酸(和光純 工業社製の試薬特級:リン酸含有量85wt%)及び/ 又はリン酸アルミニウム(和光純薬工業社製 試薬化学用)を添加した。

 また、実施例5及び11~15と比較例1、2及び6 おいては、水分散性シリカ以外に、アルミ ゾル(日産化学工業製:アルミナゾル-100、固 分10wt%)又はジルコニアゾル(日産化学工業製 、固形分30wt%)又はベーマイト(日産化学工業 :AS-100、固形分10wt%)を添加した。

  更に、比較例7においては、この無機皮 を形成するための皮膜形成処理を実施しな った。

 上記のようにして形成された実施例1~17及び 比較例1~6の無機皮膜について、皮膜単位面積 中に含有されるシリコン量(Si量:mg/m 2 )及びリン量(P量:mg/m 2 )をそれぞれ蛍光X線分析で測定した。測定に 、99.999%の純アルミの板に実施例1~17及び比 例1~6の場合と同様の方法で無機皮膜を作製 、皮膜単位面積中に含有されるシリコン量(S i量:mg/m 2 )及びリン量(P量:mg/m 2 )を定量分析した。クロム(Cr)及びカーボン(C) 関しても同様に蛍光X線分析でクロム量(Cr量 )及びカーボン量(C量)の定量分析を行い、検 されない(検出限界以下:Crの検出限界は0.5mg/m 2 であり、また、Cの検出限界は10mg/m 2 である。)ことを確認した。

 更に、無機皮膜中のシリコン含有率(Si含 率:wt%)及びリン含有率(P含有率:wt%)について 、珪素含有皮膜を形成する塗料を一定量分 し、200℃で5分間加熱後、形成された珪素含 有皮膜の重量を測定し、化学分析により、Si とP量とを定量分析し、含有率を求めた。

〔塗膜の形成〕
 無機皮膜を介して形成される塗膜は、下記 表5に示す塗料を用いて形成した。シリコン 含有塗膜の形成は、表5のシリコン含有塗料 ある塗料F、G、H、及びIを用いた。

〔実施例1~7、12~14、16及び17並びに比較例1~4、 6及び7〕
 上記の前処理及び皮膜形成処理が行なわれ 後の各実施例1~7、12~14、16及び17並びに比較 1~4、6及び7の各鋼板について、下記の方法 塗膜を形成し、各試験片(塗装鋼材)を調製し た。

 実施例1では、塗料Aをバーコート塗装し 最高到達温度(PMT: Peak metal temperature)210℃で 40秒間の焼付け処理をして乾燥させ、膜厚5μm のプライマー塗膜を形成した。次いで、塗料 Jをバーコート塗装し、PMT225℃で60秒間の焼付 け処理をして乾燥させ、膜厚20μmのトップ塗 を形成し、実施例1の試験片(塗装鋼材)を調 した。

 実施例2では、塗料Bをバーコート塗装し PMT225℃で60秒間の焼付け処理をして乾燥させ 、膜厚10μmのトップ塗膜を形成し、実施例2の 試験片(塗装鋼材)を調製した。

 実施例3では、塗料Cをバーコート塗装し PMT210℃で40秒間の焼付け処理をして乾燥させ 、膜厚10μmのプライマー塗膜を形成した。次 で、塗料Kをバーコート塗装し、PMT225℃で60 間の焼付け処理をして乾燥させ、膜厚10μm トップ塗膜を形成し、実施例3の試験片(塗装 鋼材)を調製した。

 実施例4では、塗料Dをバーコート塗装し PMT210℃で40秒間の焼付け処理をして乾燥させ 、膜厚2μmのプライマー塗膜を形成した。次 で、塗料Cをバーコート塗装し、PMT225℃で60 間の焼付け処理をして乾燥させ、膜厚10μmの トップ塗膜を形成し、実施例4の試験片(塗装 材)を調製した。

 実施例5では、塗料Eをバーコート塗装し PMT210℃で40秒間の焼付け処理をして乾燥させ 、膜厚1μmのプライマー塗膜を形成した。次 で、塗料Mをバーコート塗装し、PMT225℃で60 間の焼付け処理をして乾燥させ、膜厚15μmの トップ塗膜を形成し、実施例5の試験片(塗装 材)を調製した。

 実施例6では、塗料Fをバーコート塗装し PMT230℃で40秒間の焼付け処理をして乾燥させ 、膜厚0.5μmのシリコン含有のプライマー塗膜 を形成した。次いで、塗料Kをバーコート塗 し、PMT225℃で60秒間の焼付け処理をして乾燥 させ、膜厚30μmのトップ塗膜を形成し、実施 6の試験片(塗装鋼材)を調製した。

 実施例7では、塗料Gをバーコート塗装し PMT230℃で100秒間の焼付け処理をして乾燥さ 、膜厚20μmのシリコン含有のトップ塗膜を形 成し、実施例7の試験片(塗装鋼材)を調製した 。

 実施例12では、塗料Fをバーコート塗装し PMT230℃で40秒間の焼付け処理をして乾燥さ 、膜厚5μmのシリコン含有のプライマー塗膜 形成した。次いで、塗料Kをバーコート塗装 し、PMT225℃で60秒間の焼付け処理をして乾燥 せ、膜厚10μmのトップ塗膜を形成し、実施 12の試験片(塗装鋼材)を調製した。

 実施例13では、塗料Cをバーコート塗装し PMT220℃で40秒間の焼付け処理をして乾燥さ 、膜厚10μmのプライマー塗膜を形成した。次 いで、塗料Lをバーコート塗装し、PMT225℃で60 秒間の焼付け処理をして乾燥させ、膜厚20μm トップ塗膜を形成し、実施例13の試験片(塗 鋼材)を調製した。

 実施例14では、塗料Fをバーコート塗装し PMT230℃で40秒間の焼付け処理をして乾燥さ 、膜厚1μmのシリコン含有のプライマー塗膜 形成した。次いで、塗料Jをバーコート塗装 し、PMT225℃で60秒間の焼付け処理をして乾燥 せ、膜厚15μmのトップ塗膜を形成し、実施 14の試験片(塗装鋼材)を調製した。

 実施例16では、塗料Cをバーコート塗装し PMT220℃で40秒間の焼付け処理をして乾燥さ 、膜厚10μmのプライマー塗膜を形成した。次 いで、塗料Lをバーコート塗装し、PMT225℃で60 秒間の焼付け処理をして乾燥させ、膜厚20μm トップ塗膜を形成し、実施例16の試験片(塗 鋼材)を調製した。

 実施例17では、塗料Fをバーコート塗装し PMT230℃で40秒間の焼付け処理をして乾燥さ 、膜厚0.2μmのシリコン含有のプライマー塗 を形成した。次いで、塗料Kをバーコート塗 し、PMT225℃で60秒間の焼付け処理をして乾 させ、膜厚10μmのトップ塗膜を形成し、実施 例17の試験片(塗装鋼材)を調製した。

 比較例1では、塗料Cをバーコート塗装し PMT220℃で40秒間の焼付け処理をして乾燥させ 、膜厚10μmのプライマー塗膜を形成した。次 で、塗料Kをバーコート塗装し、PMT225℃で60 間の焼付け処理をして乾燥させ、膜厚10μm トップ塗膜を形成し、比較例1の試験片(塗装 鋼材)を調製した。

 比較例2及び4では、塗料Dをバーコート塗 し、PMT220℃で40秒間の焼付け処理をして乾 させ、膜厚5μmのプライマー塗膜を形成した 次いで、塗料Kをバーコート塗装し、PMT225℃ で60秒間の焼付け処理をして乾燥させ、膜厚1 0μmのトップ塗膜を形成し、比較例2及び4の試 験片(塗装鋼材)を調製した。

 比較例3では、塗料Gをバーコート塗装し PMT230℃で40秒間の焼付け処理をして乾燥させ 、膜厚2μmのシリコン含有のプライマー塗膜 形成した。次いで、塗料Kをバーコート塗装 、PMT225℃で60秒間の焼付け処理をして乾燥 せ、膜厚10μmのトップ塗膜を形成し、比較例 3の試験片(塗装鋼材)を調製した。

 比較例6及び7では、塗料Cをバーコート塗 し、PMT230℃で40秒間の焼付け処理をして乾 させ、膜厚10μmのプライマー塗膜を形成した 。次いで、塗料Kをバーコート塗装し、PMT225 で60秒間の焼付け処理をして乾燥させ、膜厚 10μmのトップ塗膜を形成し、比較例6及び7の 験片(塗装鋼材)を調製した。

〔実施例8~11、15及び比較例5〕
 実施例8では、塗料Hをスプレー塗装し、PMT17 0℃で20分間焼き付けて乾繰させ、膜厚30μmの リコン含有のトップ塗膜を形成し、実施例8 の試験片(塗装鋼材)を調製した。

 実施例9では、塗料Iをスプレー塗装し、PM T100℃で20分間焼き付けて乾繰させ、膜厚5μm シリコン含有のプライマー塗膜を形成した 次いで、塗料Kをバーコート塗装し、PMT225℃ 60秒間の焼付け処理をして乾燥させ、膜厚10 μmのトップ塗膜を形成し、実施例9の試験片( 装鋼材)を調製した。

 実施例10及び15では、塗料Iをスプレー塗 し、PMT100℃で20分間焼き付けて乾繰させ、膜 厚50μmのシリコン含有のトップ塗膜を形成し 実施例10及び15の試験片(塗装鋼材)を調製し 。

 実施例11では、塗料Iをスプレー塗装し、P MT100℃で20分間焼き付けて乾繰させ、膜厚10μm のシリコン含有のトップ塗膜を形成し、実施 例11の試験片(塗装鋼材)を調製した。

 比較例5では、塗料Iをスプレー塗装し、PM T100℃で20分間焼き付けて乾繰させ、膜厚50μm シリコン含有のトップ塗膜を形成し、比較 5の試験片(塗装鋼材)を調製した。

[耐食性能試験]
 以上のようにして調製された各実施例1~17及 び比較例1~7の試験片について、下記の塩水噴 霧試験、耐食性能および密着性能を評価した 。

 塩水噴霧試験は、JIS K5600の方法でクロス カットを入れて1000hr実施した。1000hr後の塗膜 で、カット部に腐食、フクレ等の発生が全く 無く、カット部の密着性が良好なものを◎、 カット部の腐食、フクレ幅が1mm以内で、フク レが無く、密着性が良好なものを○、カット 部の腐食が1mm以上、又は、フクレの発生、又 は密着性が不良等の異常が発生したものを× して評価した。

 沸騰水浸漬試験は、試験片を沸騰水に5時間 浸漬し、試験終了後に膨れ、剥がれ等の異常 を観察した後,二次物性として、塗膜の密着 を評価した。試験終了後の外観に異常のな ものを○、膨れ、剥がれ等の異常を生じた のを×として評価した。二次物性は、JIS K560 0の付着性(クロスカット法)の方法で、全く剥 離がない場合を◎、剥離が生じているクロス カット部の面積が5%以下(分類1以下)を○、5% 超えるものを×とした。
 塩水噴霧試験及び沸騰水浸漬試験の結果を 6(実施例1~17、比較例1~7)に示す。

 本発明の塗装鋼材は、6価及び3価のクロ を実質的に全く含まない、いわゆるノンク ムでありながら、優れた耐食性能を有する のであり、環境に優しい材料であるので、 範囲の用途に安心して用いることができ、 の工業的価値の高いものである。