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Patent Searching and Data


Title:
COATING AGENT COMPOSITION
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/113591
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a coating agent composition able to form a coating film which is outstandingly weather resistant, is highly uniform, and also has a favourable glossy surface. The coating agent composition includes: a fluoropolymer (constituent A) containing a unit (A2) which is a hydroxyl group-containing monomer-based unit reacted with a compound represented by general formula (1), and a fluoro-olefin-based unit (A1), and a constituent B represented by general formula (2), the proportion of constituent A in the total content of constituent A and constituent B being 10-90 mass%. OCN(CH2)mSiXnR3-n … (1) [In formula (1), R is a hydrogen atom or a monovalent hydrocarbon group, X is an alkoxy group, n represents an integer from 1 to 3, and m represents an integer from 1 to 5.] (R1)4-aSi(OR2)a … (2) [In formula (2), R1 and R2 are, independently of each other, a monovalent hydrocarbon group, and a represents an integer from 1 to 4.]

Inventors:
SAITO SHUN (JP)
FUJITA SATOSHI (JP)
SASAKI KOICHI (JP)
SASUDA SHO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/054694
Publication Date:
September 17, 2009
Filing Date:
March 11, 2009
Export Citation:
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Assignee:
ASAHI GLASS CO LTD (JP)
SAITO SHUN (JP)
FUJITA SATOSHI (JP)
SASAKI KOICHI (JP)
SASUDA SHO (JP)
International Classes:
C09D127/12; C09D7/12; C09D127/18; C09D143/04; C09D175/04; C09D183/02; C09D183/04
Foreign References:
JPS62149764A1987-07-03
JP2000212501A2000-08-02
JPH09302286A1997-11-25
JPH04275379A1992-09-30
JPS6330571A1988-02-09
JP2000086976A2000-03-28
JPH07286126A1995-10-31
JPS62558A1987-01-06
JPH04275379A1992-09-30
JP2000212501A2000-08-02
JPS6330571A1988-02-09
Other References:
See also references of EP 2275504A4
Attorney, Agent or Firm:
SENMYO, Kenji et al. (JP)
Spring name Kenji (JP)
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Claims:
 下記A成分および下記B成分を含有し、A成分とB成分の含有量合計のうち、A成分の割合が10~90質量%であることを特徴とするコーティング剤用組成物。
 A成分:フルオロオレフィンに基づく単位(A1)、および、水酸基含有モノマーに基づく単位に下式(1)で表される化合物が反応した単位(A2)を含む含フッ素重合体。 B成分:下式(2)で表される化合物、および/または、該式(2)で表される化合物の部分加水分解縮合物。
 OCN(CH 2 ) m SiX n R 3-n  ・・・(1)
(式中、Rは水素原子または炭素数1~10の1価炭化水素基であり、Xは炭素数1~5のアルコキシ基であり、nは1~3の整数を示し、mは1~5の整数を示す。)
 (R 1 ) 4-a Si(OR 2 ) a  ・・・(2)
(式中、R 1 およびR 2 は、それぞれ独立に、炭素数1~10の1価炭化水素基であり、aは1~4の整数を示す。)
 単位(A2)が、水酸基含有モノマーと式(1)で表される化合物との反応生成物からなるモノマーを重合させた重合単位、または、水酸基含有モノマーを重合させた重合単位の水酸基に式(1)で表される化合物を反応させた単位、である請求項1に記載のコーティング剤用組成物。
 A成分が、単位(A1)および単位(A2)を必須の単位として含み、単位(A1)以外の単位であって官能基を有しない単位(A3)および水酸基含有モノマーに基づく単位(A4)を任意で含む含フッ素重合体である請求項1または2に記載のコーティング剤用組成物。
 A成分において、単位(A1)と単位(A2)の含有量合計のうち、単位(A1)の割合が10~99モル%であり、単位(A2)の割合が1~90モル%であり、単位(A1)以外の単位であって官能基を有しない単位(A3)の割合が全単位の含有量合計に対して0~89モル%であり、水酸基含有モノマーに基づく単位(A4)の割合が全単位の含有量合計に対して0~30モル%である請求項3に記載のコーティング剤用組成物。
 式(1)で表される化合物が、γ-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ-イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、γ-イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、γ-イソシアネートプロピルジメチルメトキシシラン、γ-イソシアネートプロピルジメチルエトキシシラン、δ-イソシアネートブチルトリメトキシシラン、δ-イソシアネートブチルトリエトキシシラン、β-イソシアネートエチルトリメトキシシラン、およびβ-イソシアネートエチルトリエトキシシランからなる群より選択される少なくとも1種の化合物である請求項1~4のいずれかに記載のコーティング剤用組成物。
 水酸基含有モノマーが、ヒドロキシアルキルビニルエーテル類、エチレングリコールモノビニルエーテル類、ヒドロキシアルキルアリルエーテル類、ヒドロキシアルキルビニルエステル類、ヒドロキシアルキルアリルエステル類、および(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類からなる群より選択される少なくとも1種のモノマーである請求項1~5のいずれかに記載のコーティング剤用組成物。
 B成分が、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、およびジフェニルジエトキシシランからなる群より選択される少なくとも1種の化合物、および/または、該化合物の部分加水分解縮合物である請求項1~6のいずれかに記載のコーティング剤用組成物。
 フルオロオレフィンがテトラフルオロエチレンおよび/またはトリフルオロエチレンである請求項1~7のいずれかに記載のコーティング剤用組成物。
 下記C成分を含む請求項1~8のいずれかに記載のコーティング剤用組成物。
 C成分:硬化触媒。
 C成分が、酸性リン酸エステルとアミンとの反応物、および酸性リン酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種の硬化触媒である請求項9に記載のコーティング剤用組成物。
 下記D成分を含む請求項1~10のいずれかに記載のコーティング剤用組成物。
 D成分:弱溶剤。
 酸化チタンを含む請求項1~11のいずれかに記載のコーティング剤用組成物。
Description:
コーティング剤用組成物

 本発明は、基材表面に塗膜を形成するた に用いるコーティング剤用組成物、より詳 くは、含フッ素コーティング剤用組成物に する。

 塗料、ハードコート剤、基材保護塗工液等 含フッ素コーティング剤用組成物は、耐候 や耐紫外線性に優れることから、メンテナ スフリーの高性能コーティング剤として、 層建築、大型構造物、船舶、車両、住宅物 、橋梁等の広い範囲で使用される。
 しかし高温多湿で、かつ日照量(紫外線量) 多い環境下では、酸化チタン顔料等の顔料 らラジカル種が多量に発生する等の理由か 、塗膜が劣化する問題がある。
 フッ素樹脂塗料は含フッ素重合体が配合さ た塗料である。フッ素樹脂塗料は、アクリ 樹脂やポリエステル樹脂、アルキッド樹脂 どが配合された汎用樹脂塗料と比較すると 候性等において優れた性能を有している。 かしフッ素樹脂塗料の耐汚染性や塗膜の硬 をより高めるために、含フッ素重合体とし 架橋部位を有するものを用い、多価イソシ ネート化合物やメチル化メラミン樹脂など アミノブラスト樹脂系の硬化剤を配合して る。このうち多価イソシアネート化合物を 化剤とするフッ素樹脂塗料から得られる塗 は、架橋方式がウレタン架橋になる。しか ウレタン結合の結合エネルギーが低いため 、厳しい環境下では、早い段階で、塗膜が 化する問題があった。

 さらに、上記のフッ素樹脂塗料にアルコキ シラン化合物やその加水分解縮合物を硬化 として配合し、塗膜の耐候性を向上させる 記の方法が開示されている。
 加水分解性シリル基を有さず、水酸基およ 酸基を有する含フッ素共重合体に、硬化剤 してアルコキシシランを配合したフッ素樹 塗料(特許文献1参照)。
 フルオロオレフィンに基づく単量体単位と ビニル基、アリル基、ブテニル基、ビニロ シ基、アリロキシ基、(メタ)アクリロイル 、CH 2 =CHO(CH 2 ) 3 -、CH 2 =CHCOO(CH 2 ) 3 -、CH 2 =CHOCO(CH 2 ) 3 -、CH 2 =C(CH 3 )COO(CH 2 ) 3 -、またはCH 2 =C(CH 3 )COO(CH 2 ) 2 -O-(CH 2 ) 3 -等に、加水分解性シリル基が直接結合した ノマーの重合単位とを必須とする含フッ素 重合体にテトラメトキシシランの加水分解 合物を配合したフッ素樹脂塗料(特許文献2参 照)。さらに、有機溶剤への溶解性、架橋塗 の柔軟性の点から、前記含フッ素共重合体 (メタ)アクリル酸エステル類に基づく単量体 単位を含有させることが好ましいことが記載 されている。
 側鎖に水酸基を有する含フッ素共重合体と ソシアネート官能性シランとを反応させて ルコキシ基を側鎖に導入してなる含フッ素 重合体と、シラノール基またはアルコキシ リル基を1分子中に2個以上有するオルガノ リシロキサンとを配合した湿気硬化性塗料 樹脂組成物(特許文献3参照)。

特開平4-275379号公報

特開2000-212501号公報

特開昭63-30571号公報

 特許文献1のフッ素樹脂塗料は、含フッ素共 重合体とアルコキシシランの相溶性が悪く、 均一な塗膜を得ることが困難である。また、 完全硬化するまでにかかる時間が非常に長く 、塗膜硬化性不良による基材からの塗膜剥離 や耐候性不良などの問題がある。
 特許文献2のフッ素樹脂塗料は、(メタ)アク ル酸エステル類に基づく単量体単位を含有 せた場合、交互共重合性が低く、重合体中 アクリル部位の劣化に起因する耐候性の低 の問題がある。また、加水分解性シリル基 有するオレフィン性単量体は、フルオロオ フィン類との共重合性が乏しく、含フッ素 重合体への加水分解性シリル基の導入量に 制限がある。
 特許文献3の塗料用樹脂組成物は、含フッ素 共重合体とオルガノポリシロキサンとの相溶 性が悪く、塗膜中の樹脂成分が不均一となり 、顔料分散不良や塗膜の光沢低下などの問題 が発生する。

 本発明は、耐候性に優れるとともに、均 性が高く、表面の光沢も良好な塗膜を形成 きるコーティング剤用組成物を提供するこ を目的とする。

 本発明者らは、鋭意検討した結果、含フ 素重合体に下式(1)で示される化合物に基づ 特定の架橋性部位を導入するとともに、下 (2)で表される化合物、および/または、該式 (2)で表される化合物の部分加水分解縮合物を 硬化剤として用いることにより、硬化後に、 非常に優れた耐候性性能を示すコーティング 剤用組成物が得られることを見出し、本発明 を完成するに至った。

 すなわち、本発明は、次の[1]~[12]の要旨を するものである。
[1]下記A成分および下記B成分を含有し、A成分 とB成分の含有量合計のうち、A成分の割合が1 0~90質量%であることを特徴とするコーティン 剤用組成物。
 A成分:フルオロオレフィンに基づく単位(A1) および、水酸基含有モノマーに基づく単位 下式(1)で表される化合物が反応した単位(A2) を含む含フッ素重合体。
 B成分:下式(2)で表される化合物、および/ま は、該式(2)で表される化合物の部分加水分 縮合物。
 OCN(CH 2 ) m SiX n R 3-n  …(1)
(式中、Rは水素原子または炭素数1~10の1価炭 水素基であり、Xは炭素数1~5のアルコキシ基 あり、nは1~3の整数を示し、mは1~5の整数を す。)
 (R 1 ) 4-a Si(OR 2 ) a  …(2)
(式中、R 1 およびR 2 は、それぞれ独立に、炭素数1~10の1価炭化水 基であり、aは1~4の整数を示す。)

[2]単位(A2)が、水酸基含有モノマーと式(1)で される化合物との反応生成物からなるモノ ーを重合させた重合単位、または、水酸基 有モノマーの重合単位の水酸基に式(1)で表 れる化合物を反応させた単位、である上記[1 ]のコーティング剤用組成物。
[3]A成分が、単位(A1)および単位(A2)を必須の単 位として含み、単位(A1)以外の単位であって 能基を有しない単位(A3)および水酸基含有モ マーに基づく単位(A4)を任意で含む含フッ素 重合体である上記[1]または[2]のコーティング 剤用組成物。
[4]A成分において、単位(A1)と単位(A2)の含有量 合計のうち、単位(A1)の割合が10~99モル%であ 、単位(A2)の割合が1~90モル%であり、単位(A1) 外の単位であって官能基を有しない単位(A3) の割合が全単位の含有量合計に対して0~89モ %であり、水酸基含有モノマーに基づく単位( A4)の割合が全単位の含有量合計に対して0~30 ル%である上記[3]のコーティング剤用組成物
[5]式(1)で表される化合物が、γ-イソシアネー トプロピルトリメトキシシラン、γ-イソシア ネートプロピルトリエトキシシラン、γ-イソ シアネートプロピルメチルジメトキシシラン 、γ-イソシアネートプロピルメチルジエトキ シシラン、γ-イソシアネートプロピルジメチ ルメトキシシラン、γ-イソシアネートプロピ ルジメチルエトキシシラン、δ-イソシアネー トブチルトリメトキシシラン、δ-イソシアネ ートブチルトリエトキシシラン、β-イソシア ネートエチルトリメトキシシラン、およびβ- イソシアネートエチルトリエトキシシランか らなる群より選択される少なくとも1種の化 物である上記[1]~[4]のいずれかのコーティン 剤用組成物。

[6]水酸基含有モノマーが、ヒドロキシアルキ ルビニルエーテル類、エチレングリコールモ ノビニルエーテル類、ヒドロキシアルキルア リルエーテル類、ヒドロキシアルキルビニル エステル類、ヒドロキシアルキルアリルエス テル類、および(メタ)アクリル酸ヒドロキシ ルキルエステル類からなる群より選択され 少なくとも1種のモノマーである上記[1]~[5] いずれかのコーティング剤用組成物。
[7]B成分が、テトラメトキシシラン、テトラ トキシシラン、メチルトリメトキシシラン メチルトリエトキシシラン、フェニルトリ トキシシラン、フェニルトリエトキシシラ 、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシル リエトキシシラン、デシルトリメトキシシ ン、トリフルオロプロピルトリメトキシシ ン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチル エトキシシラン、ジフェニルジメトキシシ ン、およびジフェニルジエトキシシランか なる群より選択される少なくとも1種の化合 、および/または、該化合物の部分加水分解 縮合物である上記[1]~[6]のいずれかのコーテ ング剤用組成物。
[8]フルオロオレフィンがテトラフルオロエチ レンおよび/またはトリフルオロエチレンで る上記[1]~[7]のいずれかのコーティング剤用 成物。

[9]硬化触媒(C成分)を含む上記[1]~[8]のいずれ のコーティング剤用組成物。
[10]C成分が、酸性リン酸エステルとアミンと 反応物、および酸性リン酸エステルからな 群より選択される少なくとも1種の硬化触媒 である上記[9]のコーティング剤用組成物。
[11]弱溶剤(D成分)を含む上記[1]~[10]のいずれか のコーティング剤用組成物。
[12]酸化チタンを含む上記[1]~[11]のいずれかの コーティング剤用組成物。

 本発明によれば、耐候性に優れるととも 、均一性が高く、表面の光沢も良好な塗膜 形成できる含フッ素コーティング剤用組成 が得られる。該組成物はメンテナンスフリ の高性能コーティング剤として有用である

 以下、本発明について更に詳細に説明する
 本発明のコーティング剤用組成物は、下記 A成分とB成分を含有する。

<A成分>
 A成分は、フルオロオレフィンに基づく単位 (A1)、および、水酸基含有モノマーと前記式(1 )で表される化合物(以下、化合物(1)というこ がある。)との反応生成物に基づく単位(A2) とを含む含フッ素重合体(以下、含フッ素重 体(A)ということもある。)である。
 本発明においては、モノマーの重合により 接得られたモノマー単位である重合単位と 重合単位を化学変換して得られた繰り返し 位を総称して、単位という。

[フルオロオレフィン]
 フルオロオレフィンは、オレフィン炭化水 (一般式C n H 2n )の水素原子の1以上がフッ素原子で置換され 化合物である。オレフィン炭化水素の水素 子のうちフッ素原子で置換されている水素 子の数(以下、フッ素付加数という。)は2以 が好ましく、3~4がより好ましい。フッ素付 数が2以上であると、塗膜の耐候性が充分と なる。フルオロオレフィンにおいて、フッ素 原子で置換されていない水素原子の1以上が 素原子で置換されていてもよい。
 フルオロオレフィンとしては、例えば、テ ラフルオロエチレン、クロロトリフルオロ チレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ ビニリデン、フッ化ビニル等の炭素数2~3の ルオロオレフィンが挙げられ、特に、テト フルオロエチレン、トリフルオロエチレン 好ましい。
 フルオロオレフィンは、1種を単独で用いて もよいし、2種以上を組み合わせて用いても い。
 本発明におけるフルオロオレフィンに基づ 単位(A1)は、フルオロオレフィンの重合単位 であるのが好ましい。

[水酸基含有モノマー]
 水酸基含有モノマーは、フルオロオレフィ と共重合可能な重合性反応基を有するとも 、水酸基を含有するモノマーである。重合 反応基としては、ビニル基、アリル基、(メ タ)アクリロイル基などのエチレン性不飽和 が好ましい。
 水酸基含有モノマーの具体例としては、ヒ ロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシ チルビニルエーテル、シクロへキサンジメ ノールモノビニルエーテル等のヒドロキシ ルキルビニルエーテル類;ジエチレングリコ ールモノビニルエーテル、トリエチレングリ コールモノビニルエーテル、テトラエチレン グリコールモノビニルエーテル等のエチレン グリコールモノビニルエーテル類;ヒドロキ エチルアリルエーテル、ヒドロキシブチル リルエーテル、シクロへキサンジメタノー モノアリルエーテル等のヒドロキシアルキ アリルエーテル類;ヒドロキシエチルビニル ステル、ヒドロキシブチルビニルエステル シクロへキサンジメタノールモノビニルエ テル等のヒドロキシアルキルビニルエステ 類;ヒドロキシエチルアリルエステル、ヒド ロキシブチルアリルエステル、シクロへキサ ンジメタノールモノアリルエステル等のヒド ロキシアルキルアリルエステル類;ヒドロキ エチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリ 酸ヒドロキシアルキルエステル類などが挙 られる。
 これらのうちで、交互共重合性に優れ、形 される塗膜の耐候性が良好であることから ヒドロキシアルキルビニルエーテル類、エ レングリコールモノビニルエーテル類が好 しく、特にヒドロキシエチルビニルエーテ 、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエ レングリコールモノビニルエーテルが好ま い。
 水酸基含有モノマーは、1種単独で用いても よいし、2種以上を組み合わせてもよい。

<式(1)で表される化合物>
 前記式(1)において、Rは水素原子または炭素 数1~10の1価炭化水素基である。
 該1価炭化水素基の炭素数が10を越えると、 合物(1)が嵩高くなるため、立体障害により 塗膜の硬化時にアルコキシ基(X)の縮合反応 進行しにくくなる。これにより塗膜の硬化 良、耐候性の低下が生じやすくなり好まし ない。
 該1価炭化水素基の炭素数は1~5が好ましく、 1または2がより好ましい。Rはメチル基または エチル基が好ましい。
 Xは炭素数1~5のアルコキシ基であり、エトキ シ基またはメトキシ基が好ましい。Xの炭素 が5以下であると、縮合反応により生じるア コール成分が揮発しやすいので、硬化後の 膜中に残存しにくく、塗膜の耐水性、耐溶 性が向上する。
 nは1~3の整数であり、3が好ましい。
 mは1~5の整数であり、2~4がより好ましい。

 化合物(1)の具体例としては、γ-イソシアネ トプロピルトリメトキシシラン(X=メトキシ 、n=3、m=3)、γ-イソシアネートプロピルトリ エトキシシラン(X=エトキシ基、n=3、m=3)、γ- ソシアネートプロピルメチルジメトキシシ ン(X=メトキシ基、R=メチル基、n=2、m=3)、γ- ソシアネートプロピルメチルジエトキシシ ン(X=エトキシ基、R=メチル基、n=2、m=3)、γ- ソシアネートプロピルジメチルメトキシシ ン(X=メトキシ基、R=メチル基、n=1、m=3)、γ- ソシアネートプロピルジメチルエトキシシ ン(X=エトキシ基、R=メチル基、n=1、m=3)、δ- ソシアネートブチルトリメトキシシラン(X= トキシ基、n=3、m=4)、δ-イソシアネートブチ トリエトキシシラン(X=エトキシ基、n=3、m=4) 、β-イソシアネートエチルトリメトキシシラ ン(X=メトキシ基、n=3、m=2)、β-イソシアネー エチルトリエトキシシラン(X=エトキシ基、n= 3、m=2)などが挙げられる。
 これらの化合物のうち、入手性の点から、 -イソシアネートプロピルトリメトキシシラ 、γ-イソシアネートプロピルトリエトキシ ランが好ましい。
 式(1)で表される化合物は、1種単独で用いて もよく、2種以上を組み合わせて用いてもよ 。
 本発明において、水酸基含有モノマーに基 く単位に式(1)で表される化合物が反応した 位(A2)は、水酸基含有モノマーの水酸基と、 化合物(1)のイソシアネート基とを反応させて 得たモノマーの重合により形成される重合単 位、または、水酸基含有モノマーの重合単位 の水酸基と式(1)で表される化合物のイソシア ネート基との反応により形成される単位、で あるのが好ましい。水酸基と、式(1)で表され る化合物との反応では、ウレタン結合(-NHC(O)O -)により式-OC(O)NH-(CH 2 ) m SiX n R 3-n で表される基を有する単位が形成される。

[他の単位]
 本発明において、含フッ素重合体(A)は、単 (A1)と単位(A2)以外に他の単位を任意で含ん もよい。
 他の単位としては、単位(A1)以外の単位であ って官能基を含まない単位(A3)が挙げられる 官能基を含まない単位(A3)としては、水酸基 含まない単位等が挙げられる。さらに、官 基を含まない単位(A3)は、フッ素原子も官能 基も含まない単位であることが好ましく、フ ッ素原子も官能基も含まないモノマー(以下 他のモノマーという。)の重合単位であるの 好ましい。他のモノマーとしては、ビニル モノマーが好ましい。含フッ素重合体(A)に 位(A3)を含有させることにより、塗工する基 材との密着性が向上し、また、塗膜に柔軟性 を付与させることができる。
 前記ビニル系モノマーとしては、酢酸ビニ 、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル等の ニルエステル類;エチルビニルエーテル、ブ チルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニ エーテル、シクロへキシルビニルエーテル のビニルエーテル類;エチルアリルエーテル 、ブチルアリルエーテル、シクロヘキシルア リルエーテル等のアリルエーテル類;エチレ 、イソブチレン等のオレフィン類、などが げられる。
 ビニル系モノマーは、1種単独で用いてもよ く、2種以上を組み合わせてもよい。

<含フッ素重合体(A)の製造方法>
 含フッ素重合体(A)は、次に示す方法(i)、方 (ii)により製造するのが好ましい。
 (i)フルオロオレフィンと共重合可能な部位 水酸基とを有する水酸基含有モノマーにお て、該モノマーの水酸基と、化合物(1)のイ シアネート基とを反応させて反応生成物を て(工程(i-1))、該反応生成物であるモノマー と、フルオロオレフィン、および必要に応じ て他のモノマーを用いて共重合させる(工程(i -2))方法。
 (ii)フルオロオレフィンと共重合可能な部位 と水酸基とを有する水酸基含有モノマーと、 フルオロオレフィンと、必要に応じて他のモ ノマーを用いて共重合させて、側鎖に水酸基 を有する共重合体を得て(工程(ii-1))、該側鎖 水酸基に対して化合物(1)のイソシアネート を反応させる(工程(ii-2))方法。
 方法(i)を採用した場合、単位(A2)は、水酸基 含有モノマーと化合物(1)との反応生成物から なるモノマーを重合させた重合単位となる。
 方法(ii)を採用した場合、単位(A2)は、水酸 含有モノマーの重合単位に式(1)で表される 合物が反応した単位となる。
 本発明における単位(A2)はどちらでもよいが 、方法(i)は、製造中のゲル化を防止するため に、重合条件を厳しく制御、管理する必要が ある。これに比して、方法(ii)は、含フッ素 合体(A)の製造がしやすさという観点から、 り好ましい。
 上記工程(i-1)における、水酸基含有モノマ と化合物(1)との付加反応、および、上記工 (ii-2)における、水酸基含有共重合体と化合 (1)との付加反応は、イソシアネート基と反 する活性水素を含有しない溶剤(例えば酢酸 チル、メチルエチルケトン、キシレン等)中 で、水酸基1モルに対して、化合物(1)を0.1~10 ル、好ましくは、0.5~5モルの割合で反応させ ることが好ましい。
 化合物(1)が0.1モル以上であると、硬化が充 となり、耐候性、耐衝撃性、耐溶剤性など 塗膜本来の性能を充分に発揮できる。化合 (1)が10モル以下であれば、該化合物が未反 物として塗膜中に残存しにくく、そのため 塗膜の耐水性や耐溶剤性などが向上する。

 工程(i-1)において、水酸基とイソシアネ ト基との反応は、ほぼ100%の収率で実施でき が、収率を高くするために、触媒を添加し り、反応温度を高くした場合には、反応生 物がゲル化するおそれがある。そのため、 応収率(特に転化率)が100%よりも低くなる条 で反応を行う場合もある。その場合には、 応生成物から未反応の水酸基含有モノマー 除去した後に、工程(i-2)を行ってもよく、 応生成物が未反応の水酸基モノマーを含む まで、工程(i-2)を行ってもよい。工程(i-2)で られる含フッ素重合体(A)に水酸基が多量に っているとB成分との相溶性が悪くなり、塗 膜の物性面、特に耐水性が低下する。

 工程(ii-2)において、水酸基含有共重合体中 水酸基の50モル%以上が化合物(1)のイソシア ート基と反応して変性されることが好まし 。50モル%未満であると、工程(ii-2)で得られ 含フッ素重合体(A)と、B成分との相溶性が悪 くなり、塗膜の物性面、特に耐水性が低下す る。水酸基の100モル%を変性することも可能 あるが、化合物(1)の使用量が多くなるほど ストが高くなるため、価格面で変性率50~70モ ル%が好ましい。
 方法(i)において未反応の水酸基モノマーを んだままで工程(i-2)を行った場合、および 方法(ii)の工程(ii-2)において水酸基の100モル% 未満を化合物(1)のイソシアネート基と反応し て変性した場合のいずれにおいても、得られ た含フッ素重合体は、水酸基含有モノマーの 単位を含む重合体になる。すなわち、本発明 の含フッ素重合体は、さらに水酸基含有モノ マーの単位(A4)を含んでいてもよい。

 工程(i-1)および工程(ii-2)の付加反応は、 常、室温~100℃、好ましくは50~70℃で、窒素 の不活性雰囲気下で行うことが好ましい。 応時間は、反応進行状況に応じて適宜変更 き、1~24時間が好ましく、3~5時間が特に好ま い。付加反応の系中には反応を促進させる 的で、有機スズ化合物、有機アルミニウム 合物、有機ジルコニウム化合物、有機チタ ート化合物等の有機金属触媒を存在させる とが好ましい。

 工程(i-2)および工程(ii-1)は、公知の手法に り実施することができる。 例えば、通常の ラジカル重合法が採用でき、その重合形態と しては、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等が 採用できる。
 重合時の反応温度は、用いるラジカル重合 始剤によるが、通常、0~130℃、好ましくは30 ~100℃である。反応時間は1~50間程度が好まし 、5~24時間がより好ましい。
 溶媒としては、例えば、イオン交換水;エタ ノール、ブタノール、プロパノール等のアル コール系溶剤;n-へキサン、n-ヘプタン等の飽 炭化水素系溶剤;トルエン、キシレン等の芳 香族炭化水素系溶剤;メチルエチルケトン、 クロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸エチ 、酢酸ブチル等のエステル系溶剤などが使 できる。

 ラジカル重合開始剤としては、例えば、 イソプロピルパーオキシジカーボネート、 -n-プロピルパーオキシジカーボネート等の ーオキシジカーボネート類;t-ヘキシルパー キシピバレート、t-ブチルパーオキシピバ ート等のパーオキシエステル類;シクロヘキ ノンパーオキサイド、メチルエチルケトン ーオキサイド等のケトンパーオキサイド類; 1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)シクロへキサ 、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロへキ ン等のパーオキシケタール類;t-ヘキシルパ オキシ-n-ブチルカーボネート、t-ブチルパー オキシ-n-プロピルカーボネート等のパーオキ シカーボネートエステル類;イソブチリルパ オキサイド、ラウロイルパーオキサイド等 ジアシルパーオキサイド類;ジクミルパーオ サイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド等のジ ルキルパーオキサイド類などが使用できる

 乳化重合の場合には、水中で、かつアニ ン系やノニオン系の乳化剤存在下で、水溶 過酸化物、過硫酸塩、水溶性アゾ化合物な の開始剤を用いて重合させることができる  工程(i-2)において、重合反応中に微量の塩 酸またはフッ酸が生成する場合があるため、 重合反応後にバッファー(例えば、炭酸カリ ムなどの弱アルカリやハイドロタルサイト どの酸吸着剤)で塩酸またはフッ酸を除去す のが好ましい。

 工程(ii-1)で得られる、側鎖に水酸基を有 る共重合体の換わりとしては、ルミフロン( 旭硝子社製、商品名)、フルオネート(大日本 ンキ化学工業社製、商品名)、セフラルコー ト(セントラル硝子社製、商品名)、ザフロン( 東亜合成社製、商品名)、ゼッフル(ダイキン 業社製、商品名)等の、市販のフッ素樹脂を 使用することもできる。

 本発明の含フッ素重合体は、単位(A1)および 単位(A2)を必須の単位として含み、単位(A1)以 の単位であって官能基を有しない単位(A3)お よび水酸基含有モノマーに基づく単位(A4)を 意で含む重合体であるのが好ましい。すな ち、単位(A1)および単位(A2)からなる重合体、 単位(A1)、単位(A2)、および官能基を有しない 位(A3)からなる重合体、単位(A1)、単位(A2)、 よび水酸基含有モノマーに基づく単位(A4)か らなる重合体、ならびに単位(A1)、単位(A2)、 能基を有しない単位(A3)、および水酸基含有 モノマーに基づく単位(A4)からなる重合体か 選ばれるいずれか1種または2種以上の重合体 であるのが好ましく、いずれか1種の重合体 あるのがより好ましい。
 含フッ素重合体中の単位(A1)の割合は、単位 (A1)と単位(A2)の含有量合計に対して、10~99モ %が好ましく、30~95モル%がより好ましい。単 (A1)の割合が10モル%以上であると、塗膜の耐 候性が向上し、99モル%以下であると基材との 密着性が向上する。
 含フッ素重合体中の単位(A2)の割合は、単位 (A1)と単位(A2)の含有量合計に対して、1~90モル %が好ましく、5~70モル%がより好ましい。単位 (A2)が1モル%以上であると、後述するB成分と 相溶性が良好となり、均一な塗膜が得られ 。また90モル%以下であると、含フッ素重合 の安定性が向上し、塗料のポットライフが くなる。
 官能基を有しない単位(A3)は任意の成分であ り、全単位の含有量合計に対する単位(A3)の 合は0~89モル%が好ましく、0~65モル%がより好 しい。単位(A3)の割合が0モル%であるとは、 位(A3)を含まないことを意味し、単位(A3)を む場合の下限は、0.01モル%が好ましい。単位 (A3)は、89モル%以下であると、塗膜の耐候性 向上する。
 また水酸基含有モノマーに基づく単位(A4)を 含む場合の割合は、全単位の含有量合計に対 して、0超~30モル%が好ましく、1~10モル%がよ 好ましい。水酸基含有モノマーに基づく単 (A4)がこの範囲であると、耐候性が向上し、 フッ素重合体が安定し、ゲル化等が起こり くい。
 含フッ素重合体(A)を構成する各単位の割合 、含フッ素重合体(A)を得るための重合反応 おける、各モノマーの仕込み量および反応 件により制御することができる。 

 含フッ素重合体(A)は、環境負荷低減の観点 ら、パラフィン系溶剤やナフテン系溶剤等 弱溶剤に溶解した溶剤溶液(以下、ワニスと いう)とすることが好ましい。ワニスは、含 ッ素重合体(A)を、弱溶剤中で重合するか、 合後に溶剤または分散媒の一部または全部 弱溶剤に置換することにより得ることがで る。
 本発明における弱溶剤とは、下記(a)または( b)のいずれかに相当するものである。
(a)ガソリン、コールタールナフサ(ソルベン ナフサを含む)、石油エーテル、石油ナフサ 石油ベンジン、テレピン油、ミネラルスピ ット(ミネラルシンナー、ペトロリウムスピ リット、ホワイトスピリット、ミネラルター ペンを含む)。
(b)(a)のみからなる混合物。
 なお、(a)のみからなる混合物とは、(a)に記 された溶剤の2種以上からなる混合物をいう 。
 弱溶剤としては新日本石油社製の「ミネラ スピリットA」、「Aソルベント」、「ハイ ロム2S」(商品名)、シェルケミカルズ社製の LAWS」、「HAWS」(商品名)、エクソンモービル 社製の「ぺガソール3040」、「ぺガソールAN45 (商品名)等の市販品が好適に使用できる。

 含フッ素重合体(A)は、ポリスチレンを標 物質として、ゲルパーミエーションクロマ グラフィー(GPC)で測定される数平均分子量(M n)が5000~20000であることが好ましい。Mnが5000以 上であると、塗膜の良好な耐候性が得られや すい。また、Mnが20000を以下であると、粘度 適当であるため扱いやすく、塗料化(粘度調 )の際に少ない溶剤で希釈することができ、 環境負荷の点から好ましい。

<B成分>
 本発明のコーティング剤用組成物は、B成分 として上式(2)で表される化合物、および/ま は、その部分加水分解縮合物を含有する。
 B成分は、-OR 2 で表される基の一部または全部がA成分と反 することにより、コーティング膜を形成す 。
 コーティング剤用組成物中のB成分は、式(2) で表される化合物の1種以上、若しくは式(2) 表される化合物の部分加水分解縮合物の1種 上であり、さらには、両方を組み合わせた のでもよい。

 上式(2)において、R 1 およびR 2 は、それぞれ独立に、炭素数1~10の1価炭化水 基である。
 R 1 としての1価炭化水素基は置換基を有してい もよい。すなわち、1価炭化水素基の水素原 の一部または全部が置換基で置換されてい もよい。該置換基はハロゲン原子が好まし 、フッ素原子がより好ましい。R 1 は、メチル基、ヘキシル基、デシル基、フェ ニル基、トリフルオロプロピル基などが好ま しい。1分子中にR 1 が複数存在する場合、互いに同じであっても よく異なっていてもよい。原料の供給性の点 から複数のR 1 は、互いに同じであることが好ましい。
 R 2 としての1価炭化水素基は炭素数1~10のアルキ 基が好ましく、メチル基またはエチル基が り好ましい。1分子中にR 2 が複数存在する場合、互いに同じであっても よく異なっていてもよい。複数のR 2 が互いに異なっていると、反応性の違いから 塗膜の均一性が低下しやすいため、複数のR 2 は互いに同じであることが好ましい。
 式(2)において、aは1~4の整数であり、2~4が好 ましい。

 式(2)で表される化合物の具体例としては、 トラメトキシシラン、テトラエトキシシラ 、テトライソプロポキシシラン等の4官能性 アルコキシシラン;メチルトリメトキシシラ 、メチルトリエトキシシラン、フェニルト メトキシシラン、フェニルトリエトキシシ ン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシ トリエトキシシラン、デシルトリメトキシ ラン、トリフルオロプロピルトリメトキシ ラン等の3官能性アルコキシシラン;ジメチル ジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシ ラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニ ルジエトキシシラン等の2官能性アルコキシ ラン等が挙げられる。
 これらのうちでテトラメトキシシラン、テ ラエトキシシラン、メチルトリメトキシシ ン、メチルトリエトキシシラン、フェニル リメトキシシランなどが、硬化速度、およ 、塗膜物性の点から好ましい。
 式(2)で表される化合物は、1種単独でまたは 2種以上を混合して使用することができる。

 式(2)で表される化合物の部分加水分解縮合 は、式(2)で表される化合物を、分子中に2以 上の加水分解性基(-OR 2 )基が残るように部分的に加水分解、縮合さ て得られる化合物である。その全体構造は らかではないが、Si-O結合からなる骨格とア コキシ基からなるポリ珪酸エステルであっ 、骨格は、直鎖状でもよく、分岐していて よく、環状構造をとってもよい。
 式(2)で表される化合物の部分加水分解縮合 を製造する方法は、特に限定されず、公知 方法を適宜用いることができる。例えば、 (2)で表される化合物に、水、酸、および/ま たは溶剤を加え、部分的に加水分解、縮合さ せて得ることができる。
 このようなアルコキシシラン化合物の部分 水分解縮合物は、縮合度、構造、アルコキ 基の種類の異なるものが市販されている。 えば、三菱化学社製の「MKCシリケートMS51」 、「MKCシリケートMS56」(商品名)、多摩化学工 業社製の「Mシリケート51」、「エチルシリケ ート40」、「エチルシリケート45」(商品名)な どの有効シリカ分を28~52質量%程度にしたもの 、または、これらをエタノールやイソプロパ ノールに溶解したコルコート社製の「HAS-1」 「HAS-6」、「HAS-10」(商品名)等が挙げられる 。
 なお「有効シリカ分」とは、製品中に含ま るポリアルキルシリケートを100質量%とした ときの、SiO 2 換算としてのシリカの含有量を示す値である 。
 式(2)で表される化合物の部分加水分解縮合 は、1種単独でまたは2種以上を混合して使 することができる。

 本発明のコーティング剤用組成物中におい 、含フッ素重合体(A)とB成分の含有量の合計 量のうち含フッ素重合体(A)の割合は10~90質量% であり、20~80質量%が好ましく、30~70質量%がよ り好ましい。
 含フッ素重合体(A)の含有量が、10質量%以上 あると、塗膜の柔軟性が良好であり、塗膜 にクラックが発生しにくく、密着性も向上 る。含フッ素重合体(A)の含有量が、90質量% 下であると、B成分の含有量とのバランスが 良好であり、耐候性が向上する。

<C成分:硬化触媒>
 本発明のコーティング剤用組成物は、硬化 応を促進し、硬化物に良好な化学性能およ 物理性能を付与させる目的で、C成分として 硬化触媒を含有してもよい。特に、低温にて 短時間で硬化させる場合には、硬化触媒を含 有させることが好ましい。
 硬化触媒の具体例としては、リン酸モノエ テル、リン酸ジエステル等の酸性リン酸エ テル類;ホウ酸モノエステル、ホウ酸ジエス テル等の酸性ホウ酸エステル類;酸性リン酸 ステルとアミンとの付加反応物、カルボン 化合物とアミンとの付加反応物等のアミン 加物類;オクチル酸スズ、ジブチルチンジラ レート等の金属エステル類;トリス(アセチ アセトネート)アルミニウム、テトラキス(ア セチルアセトネート)ジルコニウム等の金属 レート類;アルミニウムイソプロポキサイド チタニウムブトキサイド等の金属アルコキ ド類等が挙げられる。
 これらの硬化触媒のうち、硬化性や塗膜の 滑性の観点から酸性リン酸エステル類が好 しく、該酸性リン酸エステル類の中でも、 素数1~8のモノアルキルホスフェート、炭素 1~8のジアルキルホスフェート、またはその 合物が、硬化性、塗膜の平滑性、および塗 耐水性等の観点からより好ましい。
 硬化触媒は、単独で使用してもよく、2種以 上を組み合わせても使用してもよい。硬化触 媒の添加量は、コーティング剤用組成物の総 固形分のうち、通常、0.00001~10質量%の範囲、0 .01~5質量%の範囲が好ましい。硬化触媒の添加 量が0.00001質量%未満では、触媒効果が不充分 なりやすく、10質量%を超えると、最終的に られる塗膜が着色しやすい。また耐水性が 下しやすい。

<D成分:溶剤>
 本発明のコーティング剤用組成物は溶剤を 有してもよい。該溶剤としては、従来から いられているケトン類、エステル類、芳香 炭化水素類、エーテル類、エーテルエステ 類、非プロトン性極性溶剤などを用いるこ ができる。環境負荷低減の観点から、PRTR(Po llutant Release and Transfer Register)法やHAPs(Hazardo us Air Pollutants)規制に対応した溶剤や弱溶剤 使用することが好ましい。
 弱溶剤としては、含フッ素重合体(A)の重合 たは溶剤置換の際に使用可能な弱溶剤が好 しく、特に好ましくは、ミネラルスピリッ 、ミネラルターペンが挙げられる。 コー ィング剤用組成物中の溶剤の含有量は、含 ッ素重合体(A)の溶解性、塗料として塗装す 際の適度な粘度、塗装方法などを考慮して 宜決定される。

<他の樹脂>
 本発明のコーティング剤用組成物は、含フ 素重合体(A)以外の、他の樹脂を含んでいて よい。
 他の樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエ テル樹脂、アクリルポリオール樹脂、ポリ ステルポリオール樹脂、ウレタン樹脂、ア リルシリコーン樹脂、シリコーン樹脂、ア キッド樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹 、アミノ樹脂等の非フッ素系樹脂、および フッ素重合体(A)以外のフッ素樹脂が挙げら る。他の樹脂は、反応硬化性部位を有して てもよい。他の樹脂を配合する場合の量は 含フッ素重合体(A)の100質量部に対して1~200 量部が好ましく、10~100質量部がより好まし 。

<その他の成分>
 本発明のコーティング剤用組成物には、そ 他の成分として着色剤(顔料または染料)、 膜の付着性向上のためのシランカップリン 剤等を配合してもよい。
 顔料としては、カーボンブラック、酸化チ ン等の無機顔料、フタロシアニンブルー、 タロシアニングリーン、キナクリドンレッ 、インダンスレンオレンジ、イソインドリ ン系イエロー等の有機顔料等が挙げられる 酸化チタンは、表面被覆した酸化チタンが ましく、該酸化チタンは、石原産業社製、 品名「PFC-105」;堺化学社製、商品名「D-918」 等として入手できる。

 本発明のコーティング剤用組成物には、さ に必要に応じて光安定剤、紫外線吸収剤、 や消し剤等を適宜添加してもよい。
 光安定剤としては、ヒンダードアミン系光 定剤等が挙げられる。例えば、アデカアー ス化学社製の「MARX LA62」、「MARX LA67」(商 名);チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社 の「チヌビン292」、「チヌビン144」、「チ ビン-123」、「チヌビン440」(商品名)等が挙 られる。
 紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系 合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリ ジン系化合物、シアノアクリレート系化合 等が挙げられる。該化合物としては、「Vios orb130」、「Viosorb582」、「Viosorb583」(以上、共 同製薬社製、商品名)、「チヌビン320」、「 ヌビン982」、「チヌビン1130」、「チヌビン4 00」(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカル ズ社製、商品名)等が挙げられる。
 つや消し剤としては、超微粉合成シリカ等 挙げられる。つや消し剤を使用した場合、 雅な半光沢、つや消し仕上げの塗膜を形成 きる。

 本発明のコーティング剤用組成物には、界 活性剤を配合してもよい。界面活性剤は表 張力を制御できるため有効である。該界面 性剤としてはノニオン型、カチオン型、ア オン型のいずれでもよく、レオレックスASE( 第一工業社製、商品名)、フッ素系界面活性 の「サーフロン」(旭硝子社製、商品名)、ア クリル系の「モダフロー」(モンサント社製 商品名)、「レオファット」シリーズ(花王社 製、商品名)等が挙げられる。
 また本発明のコーティング剤用組成物には レベリング剤を配合してもよい。レベリン 剤を添加すると塗膜の厚さの均一性を向上 せることができる。該レベリング剤として 、BYK-300(BYK-Chemie社製、商品名)、フローレン No.3(共栄社化学社製、商品名)、ディスパロン LF1985(楠本化成社製、商品名)等が挙げられる
 その他の成分の配合量は、本発明の効果を なわない範囲で適宜選定できる。

 本発明のコーティング剤用組成物は、上記 必須成分、必要に応じて添加される各種添 剤を混合することにより製造できる。その 合順序、添加順序は、特に限定されない。
 本発明のコーティング剤用組成物を使用し 塗装する方法は、スプレー塗装、はけ塗装 浸漬法、ロールコーター、フローコーター の任意の方法を適用できる。

 塗装される物品材質としては特に限定され 、コンクリート、自然石、ガラス等の無機 ;鉄、ステンレス、アルミニウム、銅、真鍮 、チタン等の金属;プラスチック、ゴム、接 材、木材等の有機物が挙げられる。また有 無機複合材であるFRP(Fiber Reinforced Plastics)、 樹脂強化コンクリート、繊維強化コンクリー ト等も挙げられる。
 本発明のコーティング剤用組成物は、特に すでに形成された塗膜表面の塗装に適して る。
 塗装される物品としては自動車、電車、航 機等の輸送用機器;橋梁部材、鉄塔等の土木 部材;防水材シート、タンク、パイプ等の産 機材;ビル外装、ドア、窓門部材、モニュメ ト、ポール等の建築部材;道路の中央分離帯 、ガードレール、防音壁、ポリカーボネート 、アクリル等の透光板等の道路部材;通信機 ;電気および電子部品;等が挙げられる。

 以下に実施例を用いて本発明を説明するが 本発明はこれらの実施例に限定して解釈さ るものではない。
<製造例1:含フッ素重合体(A-α)の製造>
 上記方法(ii)にしたがって含フッ素重合体(A- α)を製造した。
 すなわち、内容積3000mLのステンレス製攪拌 付きオートクレーブに、シクロヘキシルビ ルエーテル(284.5g)、2-エチルへキシルビニル エーテル(202.9g)、ヒドロキシブチルビニルエ テル(90.7g)、キシレン(722g)、エタノール(189g) 、および炭酸カリウム(9.5g)を一括で投入し、 窒素により溶存酸素を除去した。
 その後、クロロトリフルオロエチレン(505g) オートクレーブ中に導入して徐々に昇温し 65℃に達した後、t-ブチルパーオキシピバレ ートの50質量%キシレン溶液(7g)を7時間かけて ートクレーブ中に導入した。その後、さら 15時間攪拌し、反応を停止した。
 得られた水酸基含有含フッ素重合体のキシ ン溶液に、γ-イソシアネートプロピルトリ トキシシラン(154.5g)とオクチル酸錫(0.5g)を え、窒素雰囲気下、50℃で5時間、反応を行 た。さらに、エバポレーション(evaporation)し がらミネラルスピリットへの溶剤置換を行 、含フッ素重合体(A-α)のミネラルスピリッ 溶液(不揮発分62.5質量%。表では「(A-α)溶液 と略記する。以下、同様。)を得た。
 得られた溶液の赤外吸収スペクトルを測定 たところ、イソシアネート基の吸収帯には さな吸収ピークしか観測されず、逆にウレ ン結合の吸収帯には大きな吸収ピークが観 された。すなわち、含フッ素重合体(A-α)か なるA成分の生成が確認できた。

<製造例2:含フッ素重合体(A-β)の製造>
 上記方法(i)にしたがって含フッ素重合体(A- )を製造した。
 すなわち、内容積3000mLのステンレス製攪拌 付きオートクレーブに、ヒドロキシブチル ニルエーテル(90.7g)、γ-イソシアネートプロ ピルトリエトキシシラン(154.5g)、およびオク ル酸錫(0.5g)を一括で投入し、窒素雰囲気下 50℃で5時間反応を行なった。
 次に、シクロヘキシルビニルエーテル(284.5g )、2-エチルへキシルビニルエーテル(202.9g)、 シレン(722g)、エタノール(189g)、および炭酸 リウム(9.5g)を一括で投入し、窒素により溶 酸素を除去した。
 その後、クロロトリフルオロエチレン(505g) オートクレーブ中に導入して徐々に昇温し 65℃に達した後、t-ブチルパーオキシピバレ ートの50質量%キシレン溶液(7g)を7時間かけて ートクレーブ中に導入した。その後、さら 15時間攪拌し、反応を停止した。
 得られた含フッ素重合体(A-β)のキシレン溶 をエバポレーションしながらミネラルスピ ットへの溶剤置換を行い、含フッ素重合体( A-β)のミネラルスピリット溶液(不揮発分62.5 量%)を得た。
 こうして得られた溶液の赤外吸収スペクト を測定したところ、イソシアネート基の吸 帯には小さな吸収ピークしか観測されず、 にウレタン結合の吸収帯には大きな吸収ピ クが観測された。すなわち、含フッ素重合 (A-β)からなるA成分の生成が確認できた。

<製造例3:含フッ素重合体(A-γ)の製造>
 製造例1において、シクロヘキシルビニルエ ーテルの使用量を179.3gに変更し、2-エチルへ シルビニルエーテルの202.9gに代えてエチル ニルエーテルの96.6gを使用し、ヒドロキシ チルビニルエーテルの使用量を100.7gに変更 、キシレンの使用量を587.6gに変更した他は 製造例1と同様にして水酸基含有含フッ素重 体のキシレン溶液を得た。
 これに、γ-イソシアネートプロピルトリエ キシシラン(171.5g)とオクチル酸錫(0.5g)を加 、窒素雰囲気下、50℃で5時間、反応を行い 含フッ素重合体(A-γ)のキシレン溶液(不揮発 62.5質量%)を得た。
 こうして得られた溶液の赤外吸収スペクト を測定したところ、イソシアネート基の吸 帯には小さな吸収ピークしか観測されず、 にウレタン結合の吸収帯には大きな吸収ピ クが観測された。含フッ素重合体(A-γ)から るA成分の生成を確認した。

<比較製造例1:含フッ素重合体δの製造>
 式(1)で表される化合物を用いずに含フッ素 合体δを製造した。
 すなわち、製造例1と同様にして水酸基含有 含フッ素重合体のキシレン溶液を得た。この 水酸基含有含フッ素重合体を含フッ素重合体 δとした。すなわち、得られた水酸基含有含 ッ素重合体のキシレン溶液をエバポレーシ ンしながらミネラルスピリットへの溶剤置 を行い、含フッ素重合体δのミネラルスピ ット溶液(不揮発分62.5質量%)を得た。

<比較製造例2:含フッ素重合体εの製造>
 式(1)で表される化合物を用いずに含フッ素 合体εを製造した。
 まず内容積3000mLのステンレス製攪拌機付き ートクレーブに、ヒドロキシブチルアリル ーテル(101.6g)、酢酸ビニル(223.5g)、トリエト キシビニルシラン(166.9g)、キシレン(722g)、エ ノール(189g)、および炭酸カリウム(9.5g)を一 で投入し、窒素により溶存酸素を除去した
 その後、クロロトリフルオロエチレン(505g) オートクレーブ中に導入して徐々に昇温し 65℃に達した後、t-ブチルパーオキシピバレ ートの50質量%キシレン溶液(7g)を7時間かけて ートクレーブ中に導入した。その後、さら 15時間攪拌し、反応を停止した。
 得られた水酸基含有含フッ素重合体の溶液 エバポレーションしながらエタノール成分 みを留去し、含フッ素重合体εのキシレン 液(不揮発分62.5質量%)を得た。

(実施例1~6、比較例1~4、および参考例1)
 表1、および表2に示す成分を表1、および表2 に示す配合割合(単位:質量部)で使用し、酸化 チタン顔料を含むコーティング剤用組成物を 調製した。
 さらにイワタカップ(粘度調整用器具)によ 粘度が25秒となるようにミネラルスピリット を加えて白エナメル塗料を得た。得られた白 エナメル塗料を、クロメート処理したアルミ 板の表面に、膜厚が50μmとなるように塗装し 25℃の恒温室中で、1週間養生させることに り塗膜を形成した。得られた塗膜付試験板 ついて、「塗膜の均一性」、「塗膜の耐候 」、および「塗膜の鏡面光沢度」を下記の 験方法で評価した。結果を表1、および表2 示す。
 表1、および表2において、A成分およびA成分 との比較で用いた成分(比較成分)の()内に記 した数値は、成分中の不揮発分量である。 た、含フッ素共重合体(A)とB成分の含有量合 に対するA成分(含フッ素共重合体(A))の割合( A/(A+B)、単位:質量%)を算出するときに用いたA 分量とは、()内に記載した不揮発分量のこ である。

 下記の表1、および表2中で用いた材料およ その略号は次の通りである。
「AP-8」:モノ-2-エチルへキシルホスフェート ジ-2-エチルへキシルホスフェートの混合物( 大八化学工業社製)。
「D-918」:酸化チタン顔料(堺化学社製)。
「BYK-300」:レベリング剤(BYK-Chemie社製)。
「KR-213」:メトキシ基を含有するメチルフェ ル系シリコーン樹脂(信越化学工業社製)。

[試験方法]
1.塗膜の鏡面光沢度
 JIS Z 5400 7.6に準拠し測定した。
2.塗膜の均一性
 走査電子顕微鏡により、塗膜の表面観察を 施し、以下の基準にて評価した。なお、走 電子顕微鏡の測定条件は以下のとおりであ 。
○:海島構造が見られない。(均一な塗膜が形 されている。)
×:海島構造が見られる。(不均一な塗膜が形 されている。)
<測定条件>
試験機;日本電子社製、「JSM-5900LV」。
加速電圧;20kV。
倍率;90倍。
測定前処理;JEOL社製オートファインコーター JFC-1300」による、20mA,45秒の白金コート。
3.塗膜の耐候性
 沖縄県那覇市の屋外に塗膜付試験板を設置 、設置直前と、2年後の塗膜表面光沢を、PG- 1M(光沢計:日本電色工業社製)を用いて測定し 。設置直前の光沢の値を100%としたときの、 2年後の光沢の値の割合を光沢保持率(単位:%) して算出した。耐候性の評価は、以下の基 で実施した。
○:光沢保持率80%以上。
△:光沢保持率60%以上80%未満。
×:光沢保持率60%未満。

 表1,および表2の結果より、実施例1~6のコー ィング剤用組成物を使用した塗膜は、塗膜 表面観察の結果より、A成分(含フッ素共重 体(A))とB成分が均一に混じりあった均一な膜 であることが確認できた。
 前記塗膜は、表面光沢も良好であった。前 塗膜は、耐候性についても、沖縄県の屋外 いう高温多湿で紫外線量が多い苛酷な曝露 境下において、しかも酸化チタン顔料を含 しているにも拘わらず、良好な耐候性を示 た。これらの評価結果は、A成分を含有しB 分を含有していない参考例1と比べても優れ いた。

 一方、B成分をウレタン結合で結合したシリ ルメトキシ基をもたないメチルフェニル系シ リコーン樹脂に変更した比較例1のコーティ グ剤用組成物は、含有成分の相溶性が悪く 結果的に、塗膜の光沢低下が見られた。
 A成分を含フッ素重合体δに変更した比較例2 は、塗膜は海島構造を形成しており、塗膜が 不均一であった。該塗膜は、耐候性も劣って いた。
 比較例3は、A成分の割合が10質量%未満の例 あり、塗膜中にクラックが発生し、評価す ことができなかった。
 A成分を含フッ素重合体εに変更した比較例4 においては、塗膜は海島構造を形成しており 、塗膜が不均一であることがわかった。該塗 膜は、耐候性も劣っていた。

 本発明の含フッ素コーティング剤用組成物 、耐候性に優れ、均一性が高く、表面の光 も良好な塗膜を提供することができ、メン ナンスフリーの高性能コーティング剤とし 、高層建築、大型構造物、船舶、車両、住 物件、橋梁等の広い範囲で使用できるなど 業上有用である。

 なお、2008年3月14日に出願された日本特許出 願2008-066717号の明細書、特許請求の範囲、及 要約書の全内容をここに引用し、本発明の 細書の開示として、取り入れるものである