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Patent Searching and Data


Title:
COATING COMPOSITION AND USAGE THEREOF
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/117644
Kind Code:
A1
Abstract:
The invention aims at providing a low-cost coating composition which can inhibit the adsorption of biorelated substances and is excellent in water resistance and strength; and usage thereof. The coating composition is characterized by comprising (A) a polymer having repeating units represented by the general formula (1), (B) a crosslinking agent, and (C) a solvent: (1) wherein R0 is hydrogen or methyl; and X is a monovalent organic group derived from a sugar or a sugar derivative.

Inventors:
MIYAJI MASAAKI (JP)
WANG YONG (JP)
MOMIYAMA MASAKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/054029
Publication Date:
October 02, 2008
Filing Date:
March 06, 2008
Export Citation:
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Assignee:
JSR CORP (JP)
MIYAJI MASAAKI (JP)
WANG YONG (JP)
MOMIYAMA MASAKI (JP)
International Classes:
C09D125/18; A61L27/00; A61L29/00; A61L31/00; A61L33/00; C08F12/14
Foreign References:
JP2005112987A2005-04-28
JPH09221524A1997-08-26
JP2004346209A2004-12-09
JPH08319317A1996-12-03
JPH08317785A1996-12-03
JPH08253495A1996-10-01
JPH03188870A1991-08-16
JPH107835A1998-01-13
JP2000510720A2000-08-22
Attorney, Agent or Firm:
SUZUKI, Shunichiro (Gotanda Yamazaki Bldg. 6F13-6, Nishigotanda 7-chom, Shinagawa-ku Tokyo 31, JP)
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Claims:
 (A)下記式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体、
 (B)架橋剤、および
 (C)溶剤
を含有するコーティング組成物;
(式(1)中、R 0 は、水素原子又はメチル基である。Xは糖又は糖誘導体からなる1価の有機基である。)。
 前記式(1)におけるXが下記式(2)で表される基である、請求項1に記載のコーティング組成物;
(式(2)中、R 1 ~R 8 は、それぞれ独立に、水素原子、-OH、-CH 2 OH、-NHCOCH 3 、-CH 2 -O-CH 2 -COOH、又は-OYである。Yは糖又は糖誘導体に由来する1価の有機基である。)。
 前記式(2)におけるYが下記式(3)で表される基である、請求項2に記載のコーティング組成物;
(式(3)中、R 9 ~R 16 は、それぞれ独立に、水素原子、-OH、-CH 2 OH、-NHCOCH 3 、-OY 又は-CH 2 -O-CH 2 -COOHである。Yは糖又は糖誘導体に由来する1価の有機基である。)。
 前記(A)重合体の式(1)で表される繰り返し単位が、N-p-ビニルベンジル-O-β-ガラクトピラノシル-(1→4)-D-グルコンアミドに由来するものである、請求項3に記載のコーティング組成物。
 前記(B)架橋剤が、ポリグリシジル化合物である、請求項1~4のいずれかに記載のコーティング組成物。
 前記(B)架橋剤が、水溶性ポリグリシジル化合物であり、かつ、(C)溶剤が、水を含有する、請求項5に記載のコーティング組成物。
 請求項1に記載のコーティング組成物から得られる被膜。
 請求項1に記載のコーティング組成物を物品の表面に塗布する工程および該物品を(C)溶剤の沸点±20℃の範囲で1~12時間処理する工程を含む、物品のコーティング方法。
 (A)下記式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体
(式(1)中、R 0 は、水素原子又はメチル基である。Xは糖又は糖誘導体からなる1価の有機基である。)、および
 (C)溶剤
を含有するコーティング組成物を物品の表面に塗布する工程、該物品を(C)溶剤の沸点±20℃の範囲で1~12時間処理する工程およびその後に、該物品を(B)架橋剤で処理する工程を含む、物品のコーティング方法。
 請求項9に記載のコーティング方法により形成された被膜。
 請求項10に記載の被膜を有する物品。
Description:
コーティング組成物およびその 用方法

 本発明は、タンパクや核酸等の生体関連 質の吸着を低減することのできるコーティ グ組成物およびその使用方法に関する。

 生化学分析、タンパク質等の生体関連物 の分離・精製、医療等の分野では、各種反 容器、遠心管、チューブ、シリンジ、ピペ ト、フィルター、分離用カラム、人工臓器 血液回路、人工心肺回路、注射器、カテー ル、カニューレ、容器、器具、および装置 の種々の物品が用いられている。そして、 れらの物品は、例えば、ポリスチレン、ポ プロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン ナイロン、ポリ塩化ビニル、ガラス、ステ レス、アルミニウム等の素材を用いて形成 れている。

 しかしながら、上記のような素材はいず も、生体関連物質の吸着(非特異吸着)が大 いため、医療用途においては、免疫反応を 引したり、生化学分析用途においては、非 異吸着した物質が分析を妨害することによ 検出感度の低下や再現性の低下を引き起こ ことがある。また、タンパク質等の生体関 物質の分離・精製用途においては、精製に いる容器等に生体関連物質が非特異吸着す ことにより、目的とする生体関連物質の収 の低下や純度の低下等を引き起こすことが る。

 これの問題を解決する方法として、ポリ キシエチレン系の非イオン性界面活性剤の 用、血清アルブミン等のタンパク質、糖質 または脂質を試験サンプルに添加する方法 知られている。しかしながら、界面活性剤 試験サンプルに添加すると、タンパク質等 生体関連物質が修飾され変性してしまうこ がある。また、タンパク質、糖質、脂質等 多量に添加する必要があるため、分析目的 生体関連物質の検出感度が低下することが る。

 タンパク質等の生体関連物質の吸着を防 する別の方法として、ポリメトキシエチル クリレートを主成分とするポリマーをコー ィングする方法が提案されている(特許文献 1、2、3)。しかしながら、ポリメトキシエチ メタクリレートを主成分とするポリマーは 着性が高いために大気中の汚染物が前記ポ マーからなる塗膜に付着しやすい。また、 記塗膜の膜強度や耐水性が不十分であり、 らには、生体関連物質吸着防止効果が不十 な場合がある。

 また、タンパク質等の生体関連物質の吸着 防止するためのコーティング剤として、リ 脂質類似構造を有する共重合体が提案され いる(特許文献4、5、6)。しかしながら、こ らのリン脂質類似構造を有する共重合体は 特殊なモノマーを使用するためコストが高 、また生体関連物質の吸着防止効果が不十 である。

特許第2806510号公報

特開2001-323030号公報

特開2002-105136号公報

特開平9-12904号公報

特開平9-183819号公報

特開2000-279512号公報

 本発明は上述の実情に鑑みてなされたも であり、本発明の課題は、生体関連物質の 着を低減することができ、耐水性および強 に優れ、かつ、低コストであるコーティン 組成物およびその使用方法を提供すること ある。

 本発明のコーティング組成物は、
 (A)下記式(1)で表される繰り返し単位を有す 重合体、
 (B)架橋剤、および
 (C)溶剤
を含有することを特徴としている。

 式(1)中、R 0 は、水素原子又はメチル基である。Xは糖又 糖誘導体からなる1価の有機基である。
 前記式(1)におけるXは、下記式(2)で表される 基であるのが好ましい。

 式(2)中、R 1 ~R 8 は、それぞれ独立に、水素原子、-OH、-CH 2 OH、-NHCOCH 3 、-CH 2 -O-CH 2 -COOH、又は-OYである。Yは糖又は糖誘導体に由 来する1価の有機基である。

 さらに、前記式(2)におけるYが下記式(3)で 表される基であるのが好ましい。

 式(3)中、R 9 ~R 16 は、それぞれ独立に、水素原子、-OH、-CH 2 OH、-NHCOCH 3 、-OY 又は-CH 2 -O-CH 2 -COOHである。Yは糖又は糖誘導体に由来する1 の有機基である。

 また、前記(A)重合体の式(1)で表される繰 返し単位は、N-p-ビニルベンジル-O-β-ガラク トピラノシル-(1→4)-D-グルコンアミドに由来 るものであるのが望ましい。

 前記(B)架橋剤は、ポリグリシジル化合物 あるのが好ましく、さらに前記(B)架橋剤が 水溶性ポリグリシジル化合物であり、かつ (C)溶剤が、水を含有するのが望ましい。

 本発明の被膜は、前記コーティング組成物 ら得られることを特徴としている。
 また、本発明の物品のコーティング方法は 前記コーティング組成物を物品の表面に塗 する工程および該物品を(C)溶剤の沸点±20℃ の範囲で1~12時間処理する工程を含むことを 徴としている。

 さらに、本発明の物品のコーティング方法 、
 (A)前記式(1)で表される繰り返し単位を有す 重合体、および
 (C)溶剤
を含有するコーティング組成物を物品の表面 に塗布する工程、該物品を(C)溶剤の沸点±20 の範囲で1~12時間処理する工程およびその後 、該物品を(B)架橋剤で処理する工程を含む が望ましい。

 さらに、本発明の被膜は前記コーティング 法により形成されたことを特徴としている
 また、本発明の物品は、前記被膜を有する とを特徴としている。

 本発明のコーティング組成物およびその 用方法によれば、生体関連物質の吸着性が く、汚染物が付着しにくく、低コストであ 、かつ、強靭で耐水性に優れた被膜を形成 ることができる。

モノマーA1として得られたN-p-ビニルベンジル -D-ラクトンアミドの 1 H-NMRチャートである。 (A)重合体として得られたポリ(N-p-ビニルベン ル-D-ラクトンアミド)の 1 H-NMRチャートである。

 以下、本発明のコーティング組成物および の使用方法について具体的に説明する。
 <I.生体関連物質吸着防止用コーティング 成物>
 本発明の生体関連物質吸着防止用コーティ グ組成物は、(A)重合体、(B)架橋剤、および( C)溶剤から2種類以上を含む。以下、本発明の 生体関連物質吸着防止用コーティング組成物 の各成分について説明する。

  1.(A)重合体
 本発明に用いられる(A)成分の重合体は、下 式(1)で表される繰り返し単位を有する。下 式(1)の構造を有することにより、生体関連 質の非特異吸着量を低減することができる

 式(1)中、R 0 は、水素原子又はメチル基である。Xは糖又 糖誘導体からなる1価の有機基である。
 Xは、下記一般式(2)で表される基であること が好ましい。

 式(2)中、R 1 ~R 8 は、それぞれ独立に、水素原子、-OH、-CH 2 OH、-NHCOCH 3 、-CH 2 -O-CH 2 -COOH、又は-OYである。Yは糖又は糖誘導体に由 来する1価の有機基である。

 さらに、Yは、下記一般式(3)で表される基 であることが好ましい。

 式(3)中、R 9 ~R 16 は、それぞれ独立に、水素原子、-OH、-CH 2 OH、-NHCOCH 3 、又は-CH 2 -O-CH 2 -COOHである。
 (A)重合体は、前記式(1)で表される繰り返し 位以外のその他の繰り返し単位を含むこと できる。その他の繰り返し単位としては、 に限定されないが、ビニル基又は(メタ)ア リロイル基を有するモノマに由来する繰り し単位であることが好ましい。

 (A)重合体が、前記式(1)で表される繰り返 単位とその他の繰り返し単位からなる共重 体である場合には、これらの繰り返し単位 ランダム共重合体、ブロック共重合体のい れであってもよい。

 (A)重合体中における前記式(1)で表される り返し単位の割合は、(A)重合体全体の重量1 00質量%中、50~100質量%であることが好ましく 80~100質量%がさらに好ましく、100質量%が特に 好ましい。(A)重合体中における前記式(1)で表 される繰り返し単位の割合が50質量%未満であ ると、本発明の組成物から形成される被膜が 生体関連物質を非特異吸着する量が増大する 傾向がある。

 (A)重合体の分子量には特に制限はないが コーティング時の塗布性、密着性等の観点 ら、ゲルパーミエーションクロマトグラフ ーにより測定されるポリスチレン換算重量 均分子量が2,000~100,000であるのが好ましい。

 (A)重合体は、以下に述べる1種又は2種以 のモノマーA1を重合させ、又は1種若しくは2 以上のモノマーA1および1種若しくは2種以上 のモノマーA2を共重合させることにより得ら る。

 (1)モノマーA1
 モノマーA1は、下記式(4)で表される構造を するモノマーである。モノマーA1を重合する ことにより、(A)重合体に前記式(1)で表される 構造単位が導入される。

 式(4)中、Xは、式(1)におけるXと同じである
 モノマーA1の具体例としては、たとえば、N- p-ビニルベンジル-[O-β-D-ガラクトピラノシル- (1→4)-D-グルコンアミド]、N-p-ビニルベンジル -[O-α-D-グルコピラノシル-(1→4)-D-グルコンア ド]、N-p-ビニルベンジル-[(O-α-D-グルコピラ シル-(1→4)) 4 -D-グルコンアミド]、N-p-ビニルベンジル-[(O-α -D-グルコピラノシル-(1→4)) 6 -D-グルコンアミド]、N-p-ビニルベンジル-[O-β- D-マンノピラノシル-(1→4)-D-マンナアミド]、N -p-ビニルベンジル-[O-α-D-ガラクトピラノシル -(1→6)-D-グルコンアミド]、N-p-ビニルベンジ -[O-6-カルボキシメチル-β-D-ガラクトピラノ ル-(1→4)-O-D-6-カルボキシメチル-グルコンア ド]、3-O-4'-ビニルベンジル-D-グルコース、N- p-ビニルベンジル-[O-2-アセトアミド-2-デオキ -β-D-グルコピラノシル-(1→4)-O-D-2-アセトア ド-2-デオキシ-β-D-グルコピラノシル-(1→4)-O -D-2-アセトアミド-2-デオキシ-β-D-グルコンア ド]、N-p-ビニルベンジル-[O-2-アセトアミド-2 -デオキシ-β-D-グルコピラノシル-(1→4)-O-D-2- セトアミド-2-デオキシ-β-D-グルコンアミド] N-p-ビニルベンジル-[O-β-D-グルコピラノシル -(1→3)-D-グルコンアミド]、N-p-ビニルベンジ -D-グルコンアミド等が挙げられる。これら 中でも、生体関連物質の非特異吸着量を低 できる観点から、N-p-ビニルベンジル-[O-β-D- ラクトピラノシル-(1→4)-D-グルコンアミド] N-p-ビニルベンジル-[O-α-D-グルコピラノシル -(1→4)-D-グルコンアミド]、N-p-ビニルベンジ -[(O-α-D-グルコピラノシル-(1→4)) 4 -D-グルコンアミド]、N-p-ビニルベンジル-[(O-α -D-グルコピラノシル-(1→4)) 6 -D-グルコンアミド]、N-p-ビニルベンジル-[O-β- D-マンノピラノシル-(1→4)-D-マンナアミド]、N -p-ビニルベンジル-[O-α-D-ガラクトピラノシル -(1→6)-D-グルコンアミド]、N-p-ビニルベンジ -[O-6-カルボキシメチル-β-D-ガラクトピラノ ル-(1→4)-O-D-6-カルボキシメチル-グルコンア ド]、3-O-4'-ビニルベンジル-D-グルコース、3- O-4'-ビニルベンジル-D-グルコース、N-p-ビニル ベンジル-[O-β-D-グルコピラノシル-(1→3)-D-グ コンアミド]、N-p-ビニルベンジル-D-グルコ アミド等が好ましい。1種類のモノマーA1を 独で用いることもできるし、2種類以上のモ マーA1を併用することもできる。

 (2)他のモノマーA2
 他のモノマーA2は、(A)重合体に前記式(1)で される構造単位以外の他の構造単位を導入 るモノマーである。他のモノマーA2の具体例 としては、特に限定されないが、アルコキシ アルキル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ )アクリレート、ビニル化合物、ヒドロキシ 基含有(メタ)アクリレート、ポリエチレング リコールモノ(メタ)アクリレート、カルボキ ル基含有モノマー、アミノ基含有モノマー を挙げることができる。

 アルコキシアルキル(メタ)アクリレート 具体例としては、メトキシメチル(メタ)アク リレート、メトキシエチル(メタ)アクリレー 、メトキシプロピル(メタ)アクリレート、 トキシブチル(メタ)アクリレート、エトキシ メチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル( メタ)アクリレート、エトキシプロピル(メタ) アクリレート、エトキシブチル(メタ)アクリ ート、プロポキシメチル(メタ)アクリレー 、プロポキシエチル(メタ)アクリレート、プ ロポキシプロピル(メタ)アクリレート、プロ キシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシ チル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル( タ)アクリレート、ブトキシプロピル(メタ) クリレート、ブトキシブチル(メタ)アクリレ ート等を挙げることができる。

 アルキル(メタ)アクリレートの具体例と ては、メチル(メタ)アクリレート、エチル( タ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレ ト、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル( タ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレ ト、オクチル(メタ)アクリレート等を挙げる ことができる。

 ビニル化合物の具体例としては、メチルビ ルケトン、酢酸ビニル等を挙げることがで る。
 ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートの 体例としては、ヒドロキシエチル(メタ)アク リレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリ ート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート グリセリンジ(メタ)アクリレート、ジエチレ ングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリ チレングリコールモノ(メタ)アクリレート トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレ ート、テトラエテレングリコールモノ(メタ) クリレート、ヘキサエチレングリコールモ (メタ)アクリレート、オクタエチレングリ ールモノ(メタ)アクリレート等を挙げること ができる。

 ポリエチレングリコールモノ(メタ)アク レートの具体例としては、ジエチレングリ ールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレン グリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエ レングリコールモノ(メタ)アクリレート、 トラエテレングリコールモノ(メタ)アクリレ ート、ヘキサエチレングリコールモノ(メタ) クリレート、オクタエチレングリコールモ (メタ)アクリレート等を挙げることができ 。

 カルボキシル基含有モノマーの具体例とし は、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン 、イタコン酸等を挙げることができる。
 アミノ基含有モノマーの具体例としては、 ミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプ ピル(メタ)アクリレート、アクリルアミド、 メタクリルアミド、アミノプロピルアクリル アミド、アミノプロピルメタクリルアミド等 を挙げることができる。

 また、グリシジル(メタ)アクリレート、フ フリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフ ルフリル(メタ)アクリレート等も好適に用い ことができる。
 1種類のモノマーA2を単独で用いることもで るし、2種類以上のモノマーA2を併用するこ もできる。

 これらのモノマーの中でも、ヒドロキシ チル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロ ル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メ )アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリ ート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アク リレート、トリエチレングリコールモノ(メ )アクリレート、トリエチレングリコールモ (メタ)アクリレート、テトラエテレングリ ールモノ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレ ングリコールモノ(メタ)アクリレート、オク エチレングリコールモノ(メタ)アクリレー 等のヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート 類、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリ ート、トリエチレングリコールモノ(メタ) クリレート、トリエチレングリコールモノ( タ)アクリレート、テトラエテレングリコー ルモノ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレン リコールモノ(メタ)アクリレート、オクタ チレングリコールモノ(メタ)アクリレート等 のポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリ ート類、グリシジルアクリレート、グリシ ルメタクリレート、ビニルベンジルグリシ ルエーテル、1,2-エポキシ-5-ヘキセン、1,2- ポキシ-9-デセン等のグリシジル化合物類が ましい。

 (A)重合体の重合方法に特に制限はないが 例えば、ラジカル重合、イオン重合、光重 等の公知の方法を用いることができる。ま 、(A)重合体を製造する際の温度および反応 間は、モノマーの種類に応じて適宜設定す ことができる。

 典型的な製造方法としては、モノマーA1 含むモノマーをジメチルスルホキシド(DMSO) の溶媒に溶解して、2,2'-アゾビスイソブチロ ニトリル(AIBN)等の重合開始剤を添加して、窒 素雰囲気下、50~70℃で1~8時間撹拌することに り得ることができる。

 本発明のコーティング組成物中における( A)重合体の配合量は、(C)溶剤以外の組成物中 全成分の合計量100質量%中、50~95質量%である ことが好ましく、65~95質量%であることがさら に好ましく、80~95質量%であることが特に好ま しい。(A)重合体の割合が50質量%未満であると 、形成される被膜の吸着防止効果が不十分に なる。また、95質量%を越えると、(B)架橋剤の 配合量が制限されるため、被膜の強度が低下 する傾向がある。

  2.(B)架橋剤
 本発明のコーティング用組成物に用いられ (B)架橋剤は、(A)重合体が有する糖残基の水 基と反応して、(A)重合体を分子内又は分子 に架橋構造を生成することのできる化合物 ある。

 (B)架橋剤の具体例としては、特に限定さ ないが、ポリイソシアネート化合物、アミ 樹脂、ポリグリシジル化合物、多官能アク ル酸、Al、Ti、Zrの金属アルコキシドおよび/ また金属キレート等が挙げられる。

 ポリイソシアネート化合物としては、エ レンジイソシアネート、テトラメチレンジ ソシアネート、ヘキサメチレンジイソシア ート、ドデカメチレンジイソシアネート、1 ,6,11-ウンデカントリイソシアネート、リジン ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネ ート、モルフォリンジイソシアネート、4,4'- チレンビス(シクロヘキシルイソシアネート )、シクロヘキシレンジイソシアネート、メ ルシクロヘキシレンジイソシアナート、ト レンジイソシアネート、メチレンジフェニ ジイソシアネート、ナフタレンジイソシア ート、キシリレンジイソシアネート等を挙 ることができる。また、これらのポリイソ アネートをブロック剤と反応させたブロッ ポリイソシアネート化合物も用いることが きる。

 アミノ樹脂としては、トリメチロ-ル化メ ラミン、トリブチロール化メラミン、ヘキサ メチロール化メラミン、ヘキサブチロール化 メラミン等のメラミン樹脂、メチロール化尿 素樹脂、ブチロール化尿素樹脂等の尿素樹脂 、メチロール化ベンゾグアナミン、ブチロー ル化ベンゾグアナミン等のベンゾグアナミン 等を挙げることができる。

 ポリグリシジル化合物としては、オルト タル酸ジグリシジルエステル、イソフタル ジグリシジルエステル、p-オキシ安息香酸 グリシジルエステル、テトラハイドロフタ 酸ジグリシジルエステル、ヘキサハイドロ タル酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジ リシジルエステル、アジピン酸ジグリシジ エステル、セバシン酸ジグリシジルエステ 、トリメリット酸トリグリシジルエステル のジグリシジルエステル、エチレングリコ ルジグリシジルエーテル、プロピレングリ ールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオ ルジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオ ールグリシジルエーテル、ポリアルキレング リコールジグリシジルエーテル、グリセロー ルトリグリシジルエーテル、トリメチロール プロパントリグリシジルエーテル、ペンタエ リスリトールトリグリシジルエーテル等のジ グリシジル等のグリシジルエーテル、トリグ リシジルイソシアヌレート、1,4-ジグリシジ オキシベンゼン、ジグリシジルプロピレン 素、グリセロールアルキレンオキサイド付 物のトリグリシジルエーテル等の多官能性 ポキシ類等が挙げられる。

 これら架橋剤には水溶性イソシアネート 、水溶性メラミン樹脂等をはじめとする水 性アミノ樹脂類、水溶性エポキシ類等の水 性架橋剤、および水性分散体の架橋剤も含 れる。

 これら架橋剤の中でもオルトフタル酸ジ リシジルエステル、イソフタル酸ジグリシ ルエステル、p-オキシ安息香酸ジグリシジ エステル、テトラハイドロフタル酸ジグリ ジルエステル、ヘキサハイドロフタル酸ジ リシジルエステル、コハク酸ジグリシジル ステル、アジピン酸ジグリシジルエステル セバシン酸ジグリシジルエステル、トリメ ット酸トリグリシジルエステル等のジグリ ジルエステル、エチレングリコールジグリ ジルエーテル、プロピレングリコールジグ シジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリ ジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールグリシ ジルエーテル、ポリアルキレングリコールジ グリシジルエーテル、グリセロールトリグリ シジルエーテル、トリメチロールプロパント リグリシジルエーテル、ペンタエリスリトー ルトリグリシジルエーテル等のジグリシジル 等のグリシジルエーテル、トリグリシジルイ ソシアヌレート、1,4-ジグリシジルオキシベ ゼン、ジグリシジルプロピレン尿素、グリ ロールアルキレンオキサイド付加物のトリ リシジルエーテル等の多官能性エポキシ類 のポリグリシジル化合物が架橋温度の範囲 広く好ましい。中でも、エチレングリコー ジグリシジルエーテル、プロピレングリコ ルジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオー ジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオー ルグリシジルエーテル、ポリアルキレングリ コールジグリシジルエーテル、グリセロール トリグリシジルエーテル、トリメチロールプ ロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリ スリトールトリグリシジルエーテル等の非芳 香族系ジグリシジル等のグリシジルエーテル 類が生体関連物質(タンパク質)の吸着性が低 、特に好ましい。

 1種類の(B)架橋剤を単独で用いることもでき るし、2種類以上の(B)架橋剤を併用すること できる。
 本発明の生体関連物質吸着防止用コーティ グ組成物において、(B)架橋剤を含むことに り、本発明の組成物から形成される塗膜の 靭性、耐水性が向上し、異物の付着性が低 し、生体関連物質の吸着性が低減可能とな 。

 本発明のコーティング組成物中における( B)架橋剤の配合量は、(C)溶剤以外の組成物中 全成分の合計量100質量%中、1~50質量%である とが好ましく、5~35質量%であることがさら 好ましく、5~20質量%であることが特に好まし い。(B)架橋剤の割合が1質量%未満であると、 膜の強度が低下する傾向がある。また、50 量%を越えると、被膜の吸着防止効果が減少 る傾向がある。

 (B)架橋剤と(A)重合体との反応を促進する めに、使用する(B)架橋剤に適した公知の硬 触媒を添加することも可能である。このよ な硬化触媒としては、例えば、有機スズ化 物、有機チタン化合物、有機アルミニウム 合物、有機ジルコニウム化合物等の有機金 化合物、第一級アミン、第二級アミン、第 級アミン、イミダゾ-ル等の塩基性物質、p- ルエンスルホン酸・ピリジニウム塩等の塩 等を挙げることができる。

  3.(C)溶剤
 (C)溶剤の具体例としては、特に限定されな が、水、メタノール、エタノール、プロパ ール、イソプロピルアルコール、n-ブタノ ル、iso-ブタノール、sec-ブタノール、t-ブタ ール等のアルコール類、エチレングリコー 、エチレングリコールモノメチルエーテル エチレングリコールモノエチルエーテル、 チレングリコールモノプロピルエーテル、 チレングリコールモノブチルエーテル、エ レングリコールモノエチルエーテルアセテ ト、ジエチレングリコールモノメチルエー ル、ジエチレングリコールモノエチルエー ル、ジエチレングリコールジメチルエーテ 、ジエチレングリコールジエチルエーテル のエチレングリコール誘導体、プロピレン リコール、プロピレングリコールモノメチ エーテル、プロピレングリコールモノエチ エーテル、プロピレングリコールモノプロ ルエーテル、プロピレングリコールモノブ ルエーテル、プロピレングリコールモノメ ルエーテルアセテート等のプロピレングリ ール誘導体、アセトン、メチルエチルケト 、メチルイソブチルケトン、メチルアミル トン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサ ン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル 酢酸イソブチル、乳酸エチル、γ―ブチロ クトン等のエステル類、ジメチルホルムア ド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリ ドン等のアミド類、ベンゼン、トルエン、キ シレン、メシチレン等の芳香族類、ヘキサン 、オクタン、シクロヘキサン、ミネラルスピ リッツ等の脂肪族溶剤等が挙げられる。

 1種類の(C)溶剤を単独で用いることもでき るし、2種類以上の(C)溶剤を併用することも きる。ただし、2種類以上の(C)溶剤を併用す 場合には、当該2種類以上の(C)溶剤が相溶す ることが必要である。

 本発明の生体関連物質吸着防止用コーテ ング組成物中における(C)溶剤の割合は特に 定されず、所定厚みの被膜が形成されるよ に、(A)重合体の組成・分子量、(B)活性水素 と反応可能な架橋剤の種類、(A)重合体と(B) 橋剤との比率、コーティング方式などに応 て適宜設定することができる。

 典型的には、(C)溶剤は、(A)重合体100重量部 対して、1000~100000重量部配合される。
  4.その他の成分
 本発明のコーティング組成物には、前記組 物を塗布する物品の素材との濡れ性を改善 たり、塗膜の欠陥を改善したりするために 水酸基を有しない限り、公知の界面活性剤 消泡剤等の添加剤を含有することも可能で る。

  5.基材
 本発明のコーティング組成物により塗膜を 成することのできる基材は、特に限定され いが、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポ エチレン、ポリウレタン、ナイロン、ポリ 化ビニル、ポリブタジエン、ポリエチレン 酸ビニル樹脂、ポリエチレンビニル樹脂、 リアクリロニトリル樹脂、ポリメチルメタ リレート樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、AAS樹脂、 リアミド樹脂、ポリカーボネート、ポリエ レンテレフタラート、ポリエチレンナフタ ート、脂肪族ポリエステル、ポリ乳酸、ポ グルコール酸、脂肪族ポリアミド、脂環式 リアミド、シクロオレフィン、ポリメチル ンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル ポリアリレート、ポリサルホン、ポリエー ルサルホン、ポリイミド、トリアセチルセ ロース、セルロースアセテート樹脂、硝酸 ルロース樹脂、エポキシ樹脂、ポリテトラ ルオロエチレン、フッ化エチレンポリプロ レンコポリマー、テトラフルオロエチレン ーフルオロアルコキシビニルエーテルコポ マー、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化 ニル、シリコーン樹脂等のプラスチック類 ガラス、セラミックス等の無機材料、鋼鉄 ステンレス、アルミニウム等の金属類を挙 ることができる。

 <II.コーティング組成物の使用方法>
 本発明のコーティング組成物は、前記基材 表面に接触させた後、加熱することにより 基材表面に被膜を形成することができる。 るいは、基材表面を加熱しながら本発明の ーティング組成物を接触させてもよい。

 本発明のコーティング組成物を基材表面 接触させる方法としては特に限定されない 、例えば、スピンコート等による塗布、ス レーによる噴霧、ディッピング等が挙げら る。

 また、基材を加熱する際の温度および加 時間は特に限定されず、使用するコーティ グ組成物の種類に応じて適宜設定すること できる。典型的には、用いた(C)溶剤の沸点 満の温度で1~12時間かけて(C)溶剤の大半を除 去した後、(C)溶剤の沸点±20℃で1~12時間放置 る。例えば、(C)溶剤が水の場合、20~60℃で1~ 12時間放置した後に、80~120℃でさらに1~12時間 放置する。

 以上述べたコーティング方法は、(A)重合 、(B)架橋剤および(C)溶剤を含有するコーテ ング組成物を用いるものであるが、この他 も、(A)重合体および(C)溶剤を含有するが(B) 橋剤を含有しないコーティング組成物を基 の表面に接触させ、前記条件で加熱し、そ 後に、(B)架橋剤で処理する方法も採用する とができる。この場合、(B)架橋剤による処 は、(B)架橋剤を適当な溶媒に溶解した溶液 基材表面に接触させた後、60~120℃で1~12時間 放置することにより行われる。

 本発明のコーティング組成物を用いて基 表面に被膜を形成する場合、はじきや剥離 の欠陥が発生しないように、あらかじめ、 材を従来公知の前処理、たとえば、洗浄、 磨、ブラスト、脱脂、メッキ、化成処理、 ロナ放電処理、プライマー処理等を行なう とも可能である。

 以上述べたコーティング組成物を用いて 材表面に被膜を形成することにより、生体 連物質の非特異吸着量を低減することがで る。非特異吸着量を低減することのできる 体関連物質としては、タンパク質(例えば、 酵素、抗体、アプタマー、受容体等)、ペプ ド(例えばグルタチオン等)、核酸(例えば、DN AやRNA等)、糖質、脂質、およびその他の細胞 たは物質(例えば、血小板、赤血球、白血球 等の各種血球細胞を含む各種血液由来物質、 各種浮遊細胞等)が挙げられる。本発明のコ ティング組成物は、特に、タンパク質、ペ チドの非特異吸着量を効果的に低減するこ ができる。

 本発明のコーティング組成物は、生体関 物質の非特異吸着量を低減することができ 表面をコーティングする物品として、バイ メディカルまたはライフサイエンスの分野 使用される種々の部品、容器、器具、機器 および装置が挙げられる。より具体的には 例えば、生化学分析,タンパク質の分離また は精製,あるいは細胞の培養または分離等に いられる容器,器具,機器および装置、生体関 連物質の保存容器、遠心管、チューブ、シリ ンジ、ピペット、フィルター、分離用カラム 、人工臓器(例えば、人工肺、人工心臓、人 肛門、人工腎臓、人工弁、人工関節、人工 管等)、人工透析装置、血液回路、人工心肺 路、注射針、ステント、カニューレ、カテ テル等が好適な物品として挙げられる。

 特に、本発明のコーティング組成物は、 患組織細胞などの細胞破砕液、その他培養 胞などの破砕液、抽出液、血液、血清、血 や、これらから特定タンパクを排除した液 特定タンパクを抽出した液、タンパク質を リプシン等で消化したペプチドなどの生体 連物質を含む液体が接触する部分(表面)を ーティングする場合に好適に用いられる。

 以下、実施例に基づいて本発明をさらに具 的に説明するが、本発明はこの実施例に限 されるものではない。
 なお、 1 H-NMRは、日本電子株式会社製EX270を用いて測 した。

 [モノマーA1の合成例]
 まず、Vincenzo Bertini, et al., Tetrahedron, 60 ( 2004), 11407-11414に記載の方法に従って、p-ビニ ルベンジルアミンを合成した。クロロメチル スチレン10.20g (66.8mmol)、フタルイミドカリウ ム12.75g (66.8mmol)をDMSO 65mlに溶解させ、窒素 、55℃、8時間加熱攪拌した。室温に戻した 、溶媒を留去し、固体をトルエンに溶解さ 、0.2N NaOHaq、超純水の順に洗浄を行った。Mg SO 4 で乾燥した後、溶媒を留去し、メタノールで 再結晶することによりp-ビニルベンジルフタ イミドを得た。

 さらに、p-ビニルベンジルフタルイミドp-ビ ニルベンジルアミン10g(38.0mmol)をエタノール  50mlに溶解させ、窒素下、還流まで昇温し、 ドラジン水和物 2.66g(53.2mmol)のエタノール溶 液(5ml)を加えた。3時間加熱攪拌後、室温まで 戻し溶媒を留去した。その後、クロロホルム に溶解させ、20%NaOH水溶液で有機層を洗浄し 有機層と水層を分離後、水層はクロロホル で抽出し、先に分取した有機層と合わせた MgSO 4 で乾燥後、溶媒を留去し、減圧蒸留すること によりp-ビニルベンジルアミンを得た。

 次に、K. Kobayashi, et al., Polymer. J, 17 (1985 ), 567-575に従って、ラクトース
ラクトンを合成した。ヨウ素14.09g(55.5mmol)を タノール200mlに溶解させて40℃で加熱攪拌し いる中に、ラクトース一水和物10g(27.8mmol)を 水8mlで加熱溶解させ、メタノール25mlを加え 希釈した溶液を加えた。40℃のまま、4%水酸 カリウムのメタノール溶液400mlを滴下する とにより、ヨウ素の色が消失するまでゆっ りと加えた。反応溶液を氷浴で冷却し、得 れた結晶を濾取後、冷メタノール、冷エー ルの順に洗浄し、再結晶(メタノール/水=9/1) ることにより酸カリウム塩を得た。それを 取し、少量の水に溶解させ、陽イオン交換 脂カラムで酸性部分を集め、メタノールと タノールを加え留去した。得られた固体を タノールとエタノールを加えて溶解させ再 留去した。この操作を数回繰り返し、ラク ースラクトンを得た。

 そして、上記K. Kobayashi, et al.に従って、 素雰囲気下、ラクトースラクトン10
g(29.4mmol)を還流でメタノール100mlに溶解させ p-ビニルベンジルアミン3.91g(29.4mmol)のメタノ ール溶液15mlを滴下することにより加えた。 流で2時間攪拌後、室温まで冷却した。得ら た結晶を濾取し、冷メタノールで洗浄した その後、メタノールで再結晶を行い、N-p-ビ ニルベンジル-D-ラクトンアミドを得た。得ら れたN-p-ビニルベンジル-D-ラクトンアミドの 造を、 1 H-NMRにて確認した。結果を図1に示す。

 [(A)重合体の合成例]
 上記合成例で得られたN-p-ビニルベンジル-D- ラクトンアミド5g(10.6mmol)をDMSO10mlに溶解させ AIBN24.6mg(0.15mmol)を加えて窒素バブリングを い、反応系を密閉して、60℃、3時間加熱攪 した。その後、攪拌しているメタノールに リマー溶液をゆっくり落とし、沈殿させた 沈殿を濾取し、少量の水に溶解させメタノ ルに再沈殿した。この操作を数回繰り返し 後、水に溶解させ凍結乾燥することにより ポリ(N-p-ビニルベンジル-D-ラクトンアミド)( 下、「PVLA」という。)を得た。得られたPVLA 構造を、 1 H-NMRにて確認した。結果を図2に示す。

 [実施例1]
 上記合成例で得られたPVLA1重量部とエチレ グリコールジグリシジルエーテル0.1重量部 水100重量部に溶解することにより、コーテ ング組成物を得た。ポリプロピレン製のサ プルチューブ(エッベンドルフ社製 商品名 ーフロック:容量1.5ml)をこの溶液に1分間浸し 、水を除去した後、130℃で一晩加熱すること により、サンプルチューブの表面に膜を形成 した。得られた膜を被膜とした。

 [実施例2]
 実施例1と同様にしてサンプルチューブの表 面に膜を形成した後、さらに、イソホロンジ イソシアネート1重量部ジブチル鈴オキサイ 酢酸エチル100重量部に溶解させた架橋剤0.5ml を評価用チューブ内に投入し、1分間撹拌し チューブ内面の全体に架橋剤が行き渡る用 塗布した後、100℃で一晩加熱した。

 [参考例1]
 上記合成例で得られたPVLA1重量部を水100重 部に溶解することにより、コーティング組 物を得た。ポリプロピレン製のサンプルチ ーブ(エッベンドルフ社製 商品名セーフロ ク。容量1.5ml)をこの溶液に1分間浸し、水を ぞいた後、室温で一晩放置することにより サンプルチューブの表面に被膜を形成した

 [比較例1]
 比較のため、非特異吸着コート剤を塗布し いない評価用サンプルについてタンパク質 特異吸着性を評価した。

 [非特異吸着量の評価方法]
 ウシ血清アルブミン(BSA)をリン酸緩衝液に1 量%となるように溶解させ、フィルタ(ポア イズ0.22μm)を用いてろ過することにより、BSA 溶液を得た。これをサンプルチューブの中に 100μl投入し、4℃一晩放置した。洗浄液(10mM H EPES pH=7.4、0.005% Tween20)を1mlずつピペットで 下しては流し、これを4回繰り返すことで洗 を行った。溶出液(0.5%ドデシル硫酸ナトリ ム水溶液)を50μl注入し、10分間振動撹拌を行 った。常温で10分静置後、シリンジで全量抜 取った。Leammliサンプルバッファー(バイオ ッド社製)1mlにジチオスレイトール81mgを溶解 させた溶液を調製して、この溶液25μlと、先 抜き取った剥離液25μlとを混合し、99℃で2 間加熱して、SDS-PAGE(ドデシル硫酸ナトリウ -ポリアクリルアミドゲル電気泳動)用サンプ ルとした。SDS-PAGEを行った後、銀染色を行い BSAの特徴的なバンドである約66kDa近辺のピ ク幅と濃さをデンシトメーターGS-800(バイオ ッド社製)で測定し、同一のSDS-PAGEゲルで、 のレーンに流した既知濃度のBSAの染色され 濃さを100%としたときの、サンプルから洗浄 されずに回収されたタンパク質のゲルパター ン濃さ%との差を非特異吸着量とした。

 [被膜強度1]
 サンプルチューブの表面を爪で擦って、被 における剥がれ等の外観の変化の有無を目 観察した。

 [被膜強度2]
 サンプルチューブを25℃の純水中に10時間浸 漬し、放置前後で外観の変化の有無を目視観 察した。

 表1から明らかなように、実験例1、2で形成 れた被膜によれば、被膜が形成されていな 場合(比較例1)と比較して、タンパク質の吸 を大幅に低減することができた。
また、加熱処理、さらには架橋剤を用いた処 理を行うことにより、塗膜の強度が上がり、 膨潤などの問題点がないことが確認できた。