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Patent Searching and Data


Title:
COLLECTIVE CERAMIC SUBSTRATE, MANUFACTURING METHOD FOR THE SUBSTRATE, CERAMIC SUBSTRATE, AND CERAMIC CIRCUIT SUBSTRATE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/154295
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a collective ceramic substrate which has dividability wherein the substrate can be excellently divided when intended and cannot be easily divided by mistake when unintended.  Further provided are a ceramic substrate excellent in dimensional precision and flexural strength, and a ceramic circuit substrate excellent in dielectric strength.  The collective ceramic substrate is provided with continuous grooves for dividing, which are for multiple circuit substrates, in one or two faces of a fired ceramic substrate by a laser-beam machining operation.  At least one continuous groove of the collective ceramic substrate has a groove depth difference (Δd), as taken in the longitudinal direction of the grooves, between the deepest portion and the shallowest portion is 10 µm ≤ Δd ≤ 50 µm.  In the ceramic substrate divided from the collective ceramic substrate, for example, at least one side face is formed by dividing the same along the continuous grooves.  In arithmetic mean roughness (Ra) of the side face, the arithmetic average roughness (Ra2) of the continuous groove worked surface is smaller than the arithmetic average surface roughness (Ra1) of the broken portion surface.

Inventors:
TESHIMA HIROYUKI (JP)
WATANABE JUNICHI (JP)
KAZUI SHINICHI (JP)
SASAKI MAKOTO (JP)
MIZUNO AKIHITO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/061342
Publication Date:
December 23, 2009
Filing Date:
June 22, 2009
Export Citation:
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Assignee:
HITACHI METALS LTD (JP)
TESHIMA HIROYUKI (JP)
WATANABE JUNICHI (JP)
KAZUI SHINICHI (JP)
SASAKI MAKOTO (JP)
MIZUNO AKIHITO (JP)
International Classes:
H05K1/02; B23K26/00; H01L23/12; H05K3/00; B23K101/42
Domestic Patent References:
WO2008062496A12008-05-29
Foreign References:
JPH10264130A1998-10-06
JP2004160478A2004-06-10
JPH05110213A1993-04-30
JP2000286511A2000-10-13
JP2008041945A2008-02-21
JP2007081024A2007-03-29
JP2008041945A2008-02-21
JP2000044344A2000-02-15
Other References:
See also references of EP 2315508A4
Attorney, Agent or Firm:
HORI, Shiroyuki et al. (JP)
Ditch Shiroyuki (JP)
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Claims:
セラミックス焼結基板の片面または両面に、回路基板を多数個取りするための分割用の連続溝がレーザ加工により設けられたセラミックス集合基板であって、少なくともその一つの連続溝は、溝の長さ方向にある最大深さ部と最小深さ部との溝深さ差δdが10μm≦δd≦50μmであることを特徴とするセラミックス集合基板。
セラミックス焼結基板の片面または両面に、回路基板を多数個取りするための分割用の連続溝がレーザ加工により設けられたセラミックス集合基板であって、少なくともその一つの連続溝は、端部において溝深さが最小となるように形成されていることを特徴とするセラミックス集合基板。
前記連続溝は、溝の最大深さ部における断面において、溝の深さをdm、基板の厚さをBとしたとき、溝の最大深さdmをB/2以下となし、さらに溝幅cを0.2mm以下となし、両脇に形成される熱影響層の幅c1は、前記溝幅cの1.5倍以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載セラミックス集合基板。
前記連続溝の任意断面において、溝幅cの中心線と該溝部の最深部とのズレ量eがc/4以下であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のセラミックス集合基板。
前記連続溝の任意断面において、底部の曲率半径をρとしたとき、0.1≦dm/B≦0.5の範囲ではρ/B≦0.3であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のセラミックス集合基板。
前記セラミックスは窒化ケイ素であり、前記連続溝はファイバーレーザの照射で形成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のセラミックス集合基板。
前記請求項1乃至6の何れか1項に記載のセラミックス集合基板を製造するための方法であって、セラミックス焼結基板の表面にファイバーレーザをガルバノミラー或いはポリゴンミラーで走査して分割用の連続溝を形成するか、あるいは前記ミラー走査と基板を固定するテーブルの移動の併用で前記連続溝を形成するか、あるいは前記テーブルの移動のみで前記連続溝を形成する何れかの工程を有することを特徴とするセラミックス集合基板の製造方法。
セラミックス焼結基板の片面または両面に、回路基板を多数個取りするための分割用の連続溝がレーザ加工により設けられたセラミックス集合基板から分割されたセラミックス基板であって、少なくともその一つの側面は前記連続溝に沿って分割されて形成された面であり、該側面の算術平均粗さRaにおいて、前記連続溝加工部表面の算術平均粗さRa2の方が破断部表面の表面粗さ算術平均粗さRa1よりも小さいことを特徴とするセラミックス基板。
前記Ra1とRa2の差が10μm以下であることを特徴とする請求項8に記載のセラミックス基板。
前記連続溝に沿って分割されて形成された側面において、連続溝部の底部を連ねた破断線ラインの凹凸は、最大と最小の差が20μm以下であることを特徴とする請求項8または9に記載のセラミックス基板。
前記セラミックスは窒化ケイ素であり、前記連続溝はファイバーレーザの照射で形成されていることを特徴とする請求項8乃至10の何れか1項に記載のセラミックス基板。
請求項8乃至11の何れか1項に記載のセラミックス基板と、当該セラミックス基板の一面に設けた金属回路板と、他面に設けた金属放熱板とを具備するセラミックス回路基板であって、前記金属回路板が前記連続溝跡の溝部側に設けられ、前記金属放熱板が前記破断部側に設けられてなることを特徴とするセラミックス回路基板。
Description:
セラミックス集合基板とその製 方法及びセラミックス基板並びにセラミッ ス回路基板

 本発明は、セラミックス焼結基板から回 基板を多数個取りするのに好適なセラミッ ス集合基板及びその製造方法、さらにその ラミックス集合基板から分割形成されたセ ミックス基板、そのセラミックス基板を用 たセラミックス回路基板に関する。

 半導体モジュール、パワーモジュール等 利用される回路基板には、熱伝導性および 縁性、強度などの点でセラミックス基板が いられ、このセラミックス基板にCuやAlなど の金属回路板や金属放熱板が接合されて回路 基板とされている。セラミックス基板として は、アルミナや窒化アルミニウム材が広く使 われてきたが、最近では、より厳しい環境で も使用できるように、高強度で熱伝導性も改 善された窒化ケイ素が使用されるようになっ てきた。

 また、セラミックス回路基板を量産する 術として、前記セラミックス基板が多数切 出せる大きさのセラミックス集合基板の一 或いは両面に、活性金属ろう付け法や直接 合法などによりCu板等の金属板を接合し、 ッチング加工等で金属回路板を形成したり 金属放熱板を形成し、次いで所定のセラミ クス回路基板の大きさに分割し個々の回路 板を得る方法が知られている。前記個々の ラミックス回路基板への分割は、セラミッ ス集合基板の表面にレーザ加工等でスクラ ブ(刻み込み)を形成しておき、このスクライ ブに曲げ力を作用させることで行われる。

 特許文献1には、窒化ケイ素焼結体基板に スクライブを形成し、これを破断して得られ る窒化ケイ素基板及びその製造方法が開示さ れている。この窒化ケイ素基板は、少なくと も一つの側面に例えばレーザで複数のスクラ イブ孔を形成し、この孔部を結ぶ線に沿って 破断して得られるもので、レーザを照射した 表面から前記側面の凹凸部をみたとき、凹凸 部の最大高さを0.1mm以下とすることが特徴と れている。これにより、破断がしやすいと もに、破断時及び破断後に基板端部に割れ クラックが生じ難くなるとされている。

 また、特許文献2には、セラミックス母材 の表面にレーザ光を照射して溝状のスクライ ブラインを形成し、スクライブラインに沿っ て分割してセラミックス板を形成する技術が 開示されており、レーザ光として波長が250nm 上600nm以下の高調波YAGレーザを用いること 及びこれによりセラミックス板のレーザ光 照射された表層部が厚さが10μm以下のガラス 質としたことが特徴とされている。これによ り、レーザ加工部表層部の熱影響層の厚さを 薄く抑えることができて発生する微小なクラ ックを低減させることが可能になり、熱サイ クル使用時にセラミックス基板に割れが生じ るのを抑制することができるとしている。

 また、特許文献3には、セラミックス基板 の表面にレーザ光を照射して溝状の分離用ラ インを形成する際、オーバーラップ配列され た多数個の凹部により分離用ラインを形成す る技術が開示されている。ここで、分離用ラ インは加工径と同程度の加工ピッチで配列さ れた凹部により形成され、この凹部の深さは 基板厚さの1/10~1/6程度であれば良いことが特 とされている。これにより、セラミックス 板を分割用ラインで容易に分離することが 能となり、且つレーザスクライビングの加 時間が短縮されるとしている。

特開2007-81024号(段落0005~0007)

特開2008-41945号(段落0005)

特開2000-44344号(段落0008~0026)

 通常、セラミックス回路基板は、セラミッ ス焼結基板にスクライブ加工を施してから 属板が接合され、金属板を所望の回路パタ ンに形成し、この上にメッキが施される。 の後分割して形成されるが、分割する前の 属板接合工程等で不用意に破断されること あり、歩留まり面で問題とされてきた。こ ため、分割する時には良好に分割できるが 分割を意図しない時には分割されないよう 分割性を呈するスクライブ技術が望まれて た。また、所望の分割性によって得られた 板は、その寸法精度と強度が高いことが望 れていた。前記特許文献1、2には、スクラ ブで分割された側面を有するセラミックス 板の割れやクラックを防止する技術は例示 れているが、前記のような分割性を実現す ための技術は開示されていない。また、前 特許文献1、2には、YAGレーザでスクライブ加 工を行うことが記載されているが、YAGレーザ はCO 2 レーザに比して波長が短く精密加工には適す るが、セラミックスへの吸熱性が悪く加工能 率面で劣るという問題がある。特に、特許文 献2では、通常用いられている1064nm波長のも よりさらに短波長のものを用いるとしてお 、このレーザで溝状のスクライブラインを 成するのには相当な時間がかかるはずであ 、具体的にどのような性状の溝を加工する か何ら記載されていない。また、特許文献3 は、オーバーラップした多数個の凹部によ スクライブラインを形成することにより加 時間が短縮されるとあるが、具体的にどの うなレーザで、どのような性状の溝を加工 るのか何ら記載されていない。結局、これ の先行技術文献では断言はできないが、工 生産に適用可能な効率的かつ高速での溝加 を行うことは難しいと思われる。このよう ことから、硬度の高いセラミックス焼結基 では、一定間隔をあけた断続孔によるスク イブラインを形成するのが一般的である。

 ところで、上述したようにセラミックス集 基板の一面にはCuやAl等の金属回路板を、他 面には同じくCuやAl等の金属放熱板を設け、 数個取りのセラミックス回路基板を構成す ことが行われる。ここで、金属回路板と金 放熱板はスクライブラインで区画された一 板領域のほぼ全面にろう付け等で接合され 。ところが、YAGレーザやCO 2 レーザ照射によるスクライブ加工は、比較的 深い断続孔に加工するため、熱影響部が広く 、前記基板が窒化ケイ素の場合、表面が酸化 されたり前記レーザの熱エネルギーにより生 成したSiや遊離珪酸(SiO 2 など)を含む酸化物成分や焼結助剤成分等の 融・分解飛散物が孔の周囲にまで飛び散っ 付着することが多い。このような酸化した 板表面ではマイクロクラックを生じさせた 、付着部にはろう材が着き難いので、これ 原因で接合信頼性の低下やボイドが生じ接 不良を引き起こすことがあった。一方、ろ 材が前記断続孔に入り込むこともあり、こ 場合深くて粗い孔からろう材を十分に除去 ることが困難であった。さらに、金属回路 には所定パターンのフォトレジストパター を形成し、エッチングを行うことにより所 の金属板とろう材を除去した回路パターン 形成し、この回路パターン上にNi-Pメッキな を施すことが一般的に行われる。このとき 被メッキ面を活性化させるために基板をパ ジウム触媒液に浸漬し、その後にパラジウ を除去することが行われるが、ろう材に付 したパラジウムは、酸性溶液中での析出が 害され残留し易い。その結果、ろう材やパ ジウムが残渣となって破断面にも残ること なり、絶縁破壊の原因となる。結果、基板 裏間の沿面距離を確保できず絶縁耐圧性が 下するという問題が生じていた。

 以上のことから本発明は、分割時には良 に分割できるが非分割時には不用意に分割 れ難いという分割性を有するとともに良好 品質のセラミックス回路基板が得られるよ なスクライブラインが形成されたセラミッ ス集合基板とその製造方法、及びこれから 割され寸法精度と曲げ強度に優れたセラミ クス基板を、また絶縁耐圧性に優れたセラ ックス回路基板を提供することを目的とし いる。

 本発明は、セラミックス焼結基板の片面 たは両面に、回路基板を多数個取りするた の分割用の連続溝がレーザ加工により設け れたセラミックス集合基板であって、少な ともその一つの連続溝は、溝の長さ方向に る最大深さ部と最小深さ部との溝深さ差δd 10μm≦δd≦50μmであることを特徴としている 。

また、本発明は、セラミックス焼結基板の片 面または両面に、回路基板を多数個取りする ための分割用の連続溝がレーザ加工により設 けられたセラミックス集合基板であって、少 なくともその一つの連続溝は、端部において 溝深さが最小となるように形成されているこ とを特徴としている。なお、前記端部とは集 合基板の隅部にある非製品領域とすることが できる。
また、上述の溝深さは、少なくとも1本の任 の溝について長さ方向に連続的に深さを測 したとき、任意の位置にある最大の深さと 小の深さの数値をとりあげたものであれば い。

 また、本発明の連続溝は、溝の最大深さ部 おける断面において、溝の深さをdm、基板 厚さをBとしたとき、溝の最大深さdmをB/2以 となし、さらに溝幅cを0.2mm以下となし、溝 両脇に形成される熱影響層の幅c1は、前記溝 幅cの1.5倍以下であることを特徴としている ここで、上記熱影響層の幅c1は、例えば、後 述の実施例で示すように、セラミックス基板 を窒化ケイ素とし、その構成成分である助剤 量を3wt%MgO-2wt%Y 2 O 3 とした場合には、その表面酸素量が5wt%以上 範囲とすることができる。したがって、助 添加量の3.1倍以上の酸素量となる。
 また、酸化物セラミックスのアルミナ基板 は、その含有酸素量が47wt%程度であり、初 の含有酸素量が高いため、レーザー加工後 熱影響部の酸素量の変動量は大きくなく、1. 2倍程度の56.3wt%以上の範囲とすることができ 。
 また、前記連続溝の任意断面において、溝 cの中心線と該溝部の最深部とのズレ量eがc/ 4以下であることが好ましい。またさらに、 記連続溝の任意断面において、底部の曲率 径をρとしたとき、0.1≦dm/B≦0.5の範囲ではρ /B≦0.3であることが好ましい。そして、前記 ラミックスは窒化ケイ素とすることができ 前記連続溝はファイバーレーザの照射で形 することができる。
 なお、本発明における連続溝は、セラミッ ス焼結基板の片面だけでなく両面に形成さ てもよいが、この場合の前記溝深さに係わ 規定は、両面の溝深さを加算したものに対 て適応される。

 また、本発明は前記の何れかに記載のセ ミックス集合基板を製造するための方法で って、セラミックス焼結基板の表面にファ バーレーザをガルバノミラー或いはポリゴ ミラーで走査して分割用の連続溝を形成す か、あるいは前記ミラー走査と基板を固定 るテーブルの移動の併用で前記連続溝を形 するか、あるいは前記テーブルの移動のみ 前記連続溝を形成する何れかの工程を有す ことを特徴とするセラミックス集合基板の 造方法である。

 本発明は、セラミックス焼結基板の片面ま は両面に、回路基板を多数個取りするため 分割用の連続溝がレーザ加工により設けら たセラミックス集合基板から分割されたセ ミックス基板であって、少なくともその一 の側面は前記連続溝に沿って分割されて形 された面であり、該側面の算術平均粗さRa おいて、前記連続溝加工部表面の算術平均 さRa2の方が破断部表面の表面粗さ算術平均 さRa1よりも小さいことを特徴としている。 こで、前記Ra1とRa2の差が10μm以下であること が好ましい。より好ましくは5μm以下である
 また、前記連続溝に沿って分割されて形成 れた側面において、連続溝部の底部を連ね 破断線ラインの凹凸は、最大と最小の差が2 0μm以下であることが好ましい。より好まし は15μm以下である。この前記セラミックスは 窒化ケイ素とすることができ、前記連続溝は ファイバーレーザの照射で形成することがで きる。

 また、本発明のセラミックス回路基板は 前記何れかに記載のセラミックス基板と、 該セラミックス基板の一面に設けた金属回 板と、他面に設けた金属放熱板とを具備す セラミックス回路基板であって、前記金属 路板が前記連続溝跡の溝部側に設けられ、 記金属放熱板が前記破断部側に設けられて ることを特徴としている。

 本発明のセラミックス集合基板は分割用の 続溝がレーザ加工により設けられているこ から、外部から応力を受けると、この溝部 からクラックが進展して容易に破断にいた ことがありセラミックス基板は高い破壊靱 値K 1c を有することが好ましい。用いるセラミック スの破壊靱性値と配線形成プロセスの安定性 とは密接な関係にある。セラミックス回路基 板の配線形成プロセスにおいて、前記、集合 基板に高い圧力が負荷される工程があり、す なわち、集合基板の表裏にCu板をろう付けし 接合体に対して、Cu板表面にエッチングレ ストを密着させる工程がこれに該当する。 ッチングレジストには、フィルムレジスト るいは液状レジストを用い、前者では圧着 ミネーターを用いてフィルムレジストと前 接合体を熱圧着ローラーの間隙を通すこと 、接合体のCu板表面にフィルムレジストを密 着させる。また、後者は予め所定の配線パタ ーンを形成したスクリーン版を用い、この印 刷面に液状レジストを投入し、更にその裏面 側に接合体を配置して、印刷スキージを一定 の印圧を負荷しスクリーン版表面上を移動さ せることで、接合体のCu板表面に液状レジス を転写する。両プロセスにおいて、本発明 集合体基板の破壊靱性値が3.5MPa.m 1/2 未満では、上記の圧力負荷時に、レーザー加 工により形成した溝部を起点にクラックが進 展し、次工程のCu配線パターン形成するエッ ングの途中で不規則に分割されてしまい、 度の場合には、エッチング装置の搬送ロー ーの間隙から薬液タンク内に落下してしま 問題が生じることがある。また、軽度の場 においても集合体形状のままで後工程の化 研磨処理およびめっき処理などができなく る不具合が生じ、品質安定性ならびに生産 を著しく低下させることがある。また、上 の負荷圧力を低減することで、クラック発 を抑制することは可能であるが、その反面 レジストとCu板間の密着強度が低下し、密 不良部にエッチング液が浸透して所望のパ ーン形成が困難となることがある。このた 本発明の集合体基板に用いるセラミックス 破壊靱性値は、3.5MPa.m 1/2 以上であることが望ましく、更に量産性なら びに品質安定性の確保から5.0Pa.m 1/2 以上が望ましい。このため本発明のセラミッ クス集合基板に用いるセラミックスは窒化珪 素を主成分とするものが好ましい。

 セラミックス基板の破壊靱性値K 1c の評価方法は、#300、#600、#1000および#2000とSiC 研磨紙を用いて順次進め、0.5μmのダイヤモン ド研磨ペーストとバフ研磨布を用いて鏡面研 磨した基板材について、JIS-R1607によるIF法(Ind entation Fracture法)により測定した。測定条件 ダイヤモンド圧子を用い、荷重2kgf、押し込 時間30secとした。

 本発明によれば、分割時には良好に分割で るが非分割時には不用意に分割され難いと う良好な分割性を有するセラミックス集合 板を高速、高精度の製造方法により提供す ことができる。
また、本発明によれば、寸法精度や曲げ強度 が高いセラミックス基板と、絶縁耐圧性能の 高いセラミックス回路基板を提供することが できる。

本発明のセラミックス集合基板の一例 示す平面図。 本発明のセラミックス回路基板の概要 示す側面図。 本発明によるスクライブ溝の横断面図 本発明のセラミックス集合基板のスク イブ溝の製造方法を説明するための図。 本発明のセラミックス集合基板のスク イブ溝の溝深さの測定例を示す図。 本発明のセラミックス集合基板のスク イブ溝の溝深さ形態例を示す図。 本発明のセラミックス基板のスクライ 溝の分割面の形態例を示す図。 評価試験1におけるスクライブ溝の溝深 さ測定箇所を示す図。 本発明のセラミックス集合基板のスク イブ溝の熱影響層の幅を示す図。 本発明に用いるファイバレーザにより 加工した基板の破壊確率の一例を示す図。

 図1は、本発明のセラミックス集合基板( 降、単に集合基板と略すことがある。)10の 例を示す概略図である。この集合基板10は、 130mm×100mm×0.32mmの大きさの窒化ケイ素製焼結 (以降、単に焼結板と略すことがある。)11に 格子状のスクライブライン20が形成されてい もので、これから50mm×40mmの大きさのセラミ ックス基板1が4枚分割できるようになってい 。スクライブライン20は、XY方向に各3本の 続溝(スクライブ溝)21(21x、21y)で形成され、 クライブ溝21で4辺が囲まれた中央部の4箇所 本発明のセラミックス基板1とされる。それ 以外の外周部分は、該集合基板10をハンドリ グ等行う時に用いられる非製品部2であり、 セラミックス基板1を分割して取り出す時に 時に分離され排除される。本集合基板10は、 後述するように溝深さ、溝面性状などに特徴 を有するスクライブ溝21が形成されたもので り、本発明の集合基板10の製造方法はこの クライブ溝21の形成方法に特徴を有するもの である。なお、集合基板10の材質として窒化 ルミニウム、アルミナ等を用いることもで る。また、集合基板10のサイズは上記例に らわれるものではない。セラミックス基板( 品基板)1の大きさにもよるが、前記集合基 10のサイズ(130×100mm)の場合には、2~数十個の ラミックス基板1を取ることが可能である。 また、前記集合基板10は、焼結板サイズでも いが、製造工程での加工寸法精度の制約に っては、焼結板11(130mm×100mmよりも大きいサ ズ)から前記集合基板10(130mm×100mm)をレーザ 工で精度良く切り出して、焼結体の4辺をあ かじめ除去しても良い。さらに、このスク イブ溝は、格子状に形成し矩形形状の基板 得ることが一般的ではあるが、これにとら れるものではない。例えば三角形や多角形 の基板や曲線状のスクライブ溝となし任意 状の基板とすることもできる。

 本発明のセラミックス回路基板12は、従 同様で図2に示すように、前記集合基板10か 分割されたセラミックス基板1の一面に設け 金属回路板3と、他面に設けた金属放熱板4 を具備するものである。前記セラミックス 路基板12が備えている金属板3、4は、焼結板1 1にスクライブ溝21が形成された後に、基板表 面を液体ホーニング処理し、ろう付け等で接 合され、回路パターン形成などのためエッチ ング等の所定の加工がなされるが、金属板3 4を接合或いは加工した後にスクライブ溝21 形成するようにしてもよい。本発明のセラ ックス回路基板12の構成は、前記金属回路板 3がスクライブ溝21形成側の面(溝部側)に接合 れ、反対面(破断部側)に金属放熱板4が接合 れてなっている。一般的な回路基板では図2 に示される回路パターンを形成した金属回路 板3上に、半導体素子がはんだ接合等で搭載 れる。特にパワー半導体素子(ダイオード、M OS-FET、IGBT、サイリスタなど)からは素子動作 に多量の熱が放出されるため、金属回路板3 の厚さが、放熱金属板4の厚さと同等か、そ よりも厚い回路基板12が多用される。この場 合セラミックス基板1あるいは集合基板10は、 接合後において放熱金属板4側に凸形状に変 する場合もあるが、このような反り形態の 合、放熱金属板4側にスクライブライン20を 成すると、この反りにより予期せぬ段階で クライブライン20が割断されることがあった 。この点で本発明のセラミックス回路基板12 、このような製造上の割断不良を防止する とに効果がある。

 本発明の集合基板10におけるスクライブラ ン20はスクライブ溝21で構成されている。従 、アルミナや窒化アルミ製の焼結基板を効 的にレーザスクライブするためには、吸収 性が良好なCO 2 レーザが主として用いられてきた。しかし、 小さな集光径が得られないことや焦点深度が 長く取れないなどで照射面範囲が大きく、レ ーザ照射により変質して強度が弱くなった熱 影響層の範囲が大きくなったり、熱歪みで生 じるマイクロクラックの発生が多くなるなど の問題があり、スクライブラインは孔を多数 連ねた断続孔の構成がとられていた。しかし 、形状精度の良好な小径のスクライブ孔を形 成することができず、分割面の寸法精度や面 粗さが悪いという問題も有していた。さらに 、本発明で主に対象とする窒化ケイ素の焼結 板は、アルミナや窒化アルミの焼結板より高 強度・高靭性であることから、分割を確実に 行うために断続孔形態ではなく連続溝形態を 採用することが望まれていた。

 本発明のセラミックス集合基板を製造す には、セラミックス焼結基板の表面にファ バーレーザをガルバノミラー或いはポリゴ ミラーで走査して分割用の連続溝を形成す か、あるいは前記ミラー走査と基板を固定 るテーブルの移動の併用で前記連続溝を形 するか、あるいは前記テーブルの移動のみ 前記連続溝を形成する何れかの工程を有す ことが好ましいが、ファイバーレーザーは 導波路をレーザー発振器としているレーザ であり。産業用レーザーとして最も普及し いるYAGレーザーのレーザー媒質(YAG結晶)を く長くしてファイバーにした構造となって る。固体レーザーを冷却する能力は、レー ー媒質の表面積(S)を体積(V)で除したS/Vで表 ことができ、固体レーザーを冷却する能力 、レーザー媒質のr(半径)やL(長さ/厚み)を小 くすることで高められる。長手方向に放熱 積を取れるファイバーレーザーは高い出力 もわずかな冷却システムで済み、これまで 高出力レーザーで問題となっていた熱レン 効果(結晶内部に生じる温度勾配によってビ ーム品質が低下する問題)がない。また実際 光が伝播するファイバーのコアは数ミクロ と非常に細いので、高出力を得るため大出 で励起しても高次のモードが立たず安定し レーザー発振に必要なシングルモードで伝 する。この数ミクロンと非常に細い導波路 での高レベルの光増幅作用は、完全な飽和 幅となりレーザー媒質内に蓄積されたエネ ギーを高効率に引き出すことが可能となり 高出力で高品質な高輝度レーザーを高効率 発振することができる。ファイバーレーザ のビーム特性は、集光性に影響するファイ ー径が細く,シングルモードの光伝送が行な れており,レーザー加工時には炭酸ガスレー ザに近いビーム強度特性を有し,かつこれと 較して波長が1桁短いことにより加工ワーク のビーム吸収率を向上させ,さらにプラズマ へのビームエネルギー吸収の低減効果で,溶 と切断加工に有効なレーザビームとするこ ができる。ファイバーレーザーの発信器に 、コアと外層部からなるダブルクラッドフ イバーが用いられ,そのコアファイバーは、Y bあるいはEr等の希土類元素がドーピングされ たレーザ媒質となっている。内部クラッド層 に導入されたLD(Laser Diode)励起光がこのファ バー内を伝送することでコアファイバーが 起され,さらにこのファイバーの両端に埋め まれた回折格子によりFBG(Fiber Bragg Grating) 原理で光が反射し往復することで増幅され 。コアファイバー径は10μm程度でビームはほ ぼシングルモードで伝送される。ファイバー レーザーによるレーザー発振について、光フ ァイバー内に、例えば、Erイオンは励起光と て980nmの光を入射することで、1550nmの光を 幅させることができる。励起光源には半導 レーザーを用い、WDM(Wavelength Division Multiplex ing:波長分割多重方式)カプラを通じて、1550nm 光を一対のミラー間で共振させ、偏光ビー スプリッター(PBS:Polarization Beam Splitter)にて 出力レーザーを得ている。ファイバーレーザ ーは簡素で安定性に富むレーザー発振を行い 、さらに高周波の超短パルスを発生させるこ とができる有効な装置である。

 ファイバーレーザーの利点を纏めると次の りである。
(1)大幅な小型化が可能
 従来のバルク型レーザーでは光が通る直線 間が必要であるが、これに対し、ファイバ レーザーはファイバーを巻いて使用するこ で、光の行路長はそのままに保ちながら、 ーザー発振に必要な空間を大幅に小型化で る。
(2)出力安定性
 レーザー発振のためには、共振器に定在波 生じ、かつ、ミラーの位置が定在波の節の 置と整合することが必要である。そのため バルク型レーザーの場合、温度変化、振動 よる光学部品の位置ズレが問題となる。バ ク型レーザーの光学系調整には高度な技術 知識が必要とされる。それに対し、ファイ ーレーザーはファイバーカップラーや融着 どの接続技術を用いることで位置ズレの問 が解決でき、安定してレーザー発振を得ら る。
(3)即時応答性と高周波特性
出力制御のレスポンスが良く,ファイバーレ ザでのアイドリング動作は不要で、起動後 ちにレーザが出力させることができる。し がって、変調パルス出力は0~100%の任意のパ ス波形を高周波で動作させることが可能と る。
(4)高出力化
レーザー発振を制御するためのパワーモジュ ールとの増設により、kW級の出力領域まで拡 することが可能である。
 その他、(5)ほぼメンテナンスフリーである, (6)消耗品が少ない,(7)ランニングコストが低 ,(8)初期設備負担が少ない,などが挙げられる 。

 更に加工性については、(1)薄板から厚板ま 広い範囲で精密な接合・切断加工ができる, (2)高速度な加工ができる,(3)ワークに対して 歪な加工ができ、接合面での残留応力を低 できる,(4)遠隔操作による加工ができる,など が挙げられる。ファイバーレーザーは、これ までのYAGレーザーおよびCO 2 ガスレーザーに対して、上記の特徴を有する ため、工業的な利用価値が高まる加工方法と して期待できる。

 図10は本発明に用いるファイバレーザによ クライビング加工したセラミックス基板の 工表裏面での破壊確率の一例を示す図であ 。従来のCO 2 レーザ工法に比べて基板の強度低下が少ない ことを示している。

 また、本発明の集合基板10は、コストパフ ーマンスよく生産されることも目的として り、スクライブ溝21は効率的に加工されなけ ればならない。そこで、本発明ではファイバ ーレーザでスクライブ溝21を加工形成してい 。ファイバーレーザは、CO 2 レーザやYAGレーザに比べて、きわめて集光性 が高く小さなスポットに集光できるとともに 、焦点深度が長くとれ、また変換効率も高く 、高出力が得られるという特徴を有している 。これより、数十KHz~数MHzという高い繰返速 で大きなエネルギー密度となるように照射 ることで、断面形状がほぼ一定した実質的 連続溝を高速で高精度に形成することがで る。これにより、溝深さを制御できるとと に、狭幅のスクライブ溝21をレーザ照射面の 面粗さが小さくなるように形成することがで き、かつスクライブ溝21周辺のレーザ照射で 質した熱影響層c1の範囲を狭く、かつ熱蓄 によるマイクロクラックの発生も抑制して 成することができる。但し、本発明におい ファイバーレーザの使用は、現状では最適 手段であると考えているが、同等の品質と 性が得られるものであればこれに限るもの はない。

 本発明の集合基板10は、分割時に良好に 割できるというだけでなく、分割時でない 例えば集合基板10がコンベヤ等で搬送されて いる時やハンドリングする時、金属板接合工 程、反り量の検査や矯正処理されている時、 回路パターン形成の為のレジスト貼付け時な どには破断し難いという分割性を備えるもの であるが、さらに、分割後のセラミックス基 板1において寸法精度や強度、絶縁耐圧性が 好であるという品質に係わる特性も備えて ることが特徴である。即ち、本発明に係わ スクライブ溝21は、分割性の面からは深さの 異なる部分が形成され得るようになされてお り、また、品質特性面からは、溝幅や溝面粗 さが小さくなるように形成されている。なお 、前記品質の問題はセラミックス基板1を備 たセラミックス回路基板12に係わるものであ るが、現象としてはセラミックス基板1に生 るため、セラミックス基板1の特徴として説 する。以下、スクライブ溝21の性状及び製 方法を説明するが、望ましい性状について 、その詳細は後述する評価試験をもとに規 したものである。

 まず、分割性について図3~図6を用いて説明 る。
 レーザ加工直後に観察した本スクライブ溝2 1は、その全長のほとんどは分割時に良好に 割できるような基準の深さdmとされるが、溝 の一部分を前記基準深さdmよりわずかに浅く るように形成される。即ち、本スクライブ 21は、分割時に所定の曲げ荷重が付与され 時には問題なくスクライブ溝21が分割される ような基準溝深さ部と、それ以外の時には不 用意にスクライブ溝21が分割しないよう抵抗 として作用する浅溝部を有している。浅溝 の形状、寸法等は焼結板11の強度や厚さ、 成する溝の基準深さや長さなどに合わせて 定するのがよいが、基準溝深さ部と浅溝部 最浅箇所との寸法差、即ち溝の最大深さ部 最小深さ部との深さ差δdは、後述する評価 験1より、10μm以上50μm以下とすることが好ま しい。なお、前記基準深さdmは焼結板11の厚 や材質に合わせて適宜適切な値を設定すれ よいが、深くすると分割し易くなるが不用 に破断する危険性が高くなる。また、必然 に溝幅も広くなってセラミックス基板とし 時の寸法精度が低下し易くなり、また加工 間も長くなるので焼結板11の厚さBの1/2以下 するのがよい。

 また、スクライブを精度の高い連続溝とし ことで、片面側のみに設けることで足りる さらに前記基準深さdmを浅くすることが可 で、例えば集合基板の厚さの1/10程度にする ともできるが、分割が良好に行えるよう、 底部の曲率半径ρを小さくし、曲げ応力が 中するようにするとよい。具体的には、後 する評価試験2から考察されるように、0.1≦d m/B≦0.5の範囲でρ/B≦0.3とするのが好ましい なお、曲率半径ρを小さくするにはスクライ ブ溝幅cを狭くするような加工を行うのがよ 。スクライブ溝幅cを狭くすると、分割時の 法精度が良好となり、沿面距離も長くなる で絶縁耐圧性も向上し、同時に金属回路板2 の面積も大きく取れて電子部品の実装密度を 上げることもできる。後述する表2のデータ( 料No.5)からも、溝幅cは0.2mm以下とすること 好ましい。例えばファイバーレーザであれ 、狭幅加工を行う場合レーザ照射範囲は狭 できるので、熱影響層c1の幅も狭くでき、分 割面の割れやクラック発生を抑制することが できる。このとき溝形状は略V字状となし開 角度2θ 1 を120度以下にすることが好ましい。なお、熱 影響層c1は本発明では表面の酸化度合い、つ り表面酸素量で規定している。即ち、図9に 示すようにスクライブ溝21の断面を横断する 向(図3の紙面左右方向)に順次表面酸素量を 析し、表面酸素量が5wt%(助剤(酸化物)が3%MgO 2%Y 2 O 3 が添加されている場合。助剤を多めに入れた Si 3 N 4 の場合は、熱影響でなくても5%以上含有の場 もありうる。バルクの約2倍の表面酸素量) 上となっている範囲を熱影響層c1とした。ス クライブ溝21は、目視および光学顕微鏡観察 よれば黒色部として観察される。表面酸素 が20wt%付近を超えると、溝の外側でも熱影 部が変色部として光学顕微鏡でも観察でき 溝両側での盛り上がり部30(盛り上がり部は 学顕微鏡では確認不可)が生じる場合がある しかし、さらに外側の熱影響層については 光学顕微鏡では必ずしも明確に確認できる けではない。よって、光学顕微鏡では確認 きない熱影響層を捕らえるために、本発明 熱影響層の幅c1は上記した表面酸素量で規 することにした。

 基板厚さBは、0.2mmから1.0mmが望ましい。 らには0.25mmから0.65mmが好ましい。基板厚さB 0.2mm未満となると、これを用いた作製した 路基板について表裏間の絶縁破壊電圧(絶縁 圧)は、7kVを維持するものの、ばらつきが大 きくなる傾向にある。また、Bが1.0mmとなると 、絶縁耐圧のばらつきは小さく絶縁安定性に 優れるものの、回路構成する金属板と絶縁を 担うセラミックス基板の熱伝導率に差がある ため、セラミックス基板の厚さが上昇すると 、律則過程となって放熱が妨げれ、しいては 回路基板の熱抵抗が上昇する不具合を生じる 。また、用いる原料費の上昇、シート成形時 の乾燥が困難なため、ドクターブレード成形 機の乾燥ゾーンの大型化が必要となり製品コ ストが上昇する。

 次に、図4をもとに、前述した浅溝部を有す るスクライブ溝21の加工を特徴とする集合基 10の製造方法を説明する。
 まず、例えば、主原料に窒化ケイ素を用い 焼結助剤として3wt%のMgO及び2wt%のY 2 O 3 を用いて、1850℃×5hで焼成し前述した130mm×100 mm×0.32mmtの大きさの焼結板11を用意する。前 焼結板11は作業テーブル上に載置されるが、 焼結板11の上方にファイバーレーザ照射部が 置される。ファイバーレーザは増幅媒体(例 えばYb)をドーピングしたファイバーコアをフ ァイバー内に設け、このファイバー内にレー ザダイオードによる励起光を伝送させると、 両端にある反射鏡により光が反射、増幅され て出力されるレーザである。小型で安定した レーザ発振が得られ、高出力化と短パルス化 が可能である。特に、上述したようにビーム 径が小さく高いエネルギー密度を持ったレー ザ光を出力できる点と、焦点深度が長くとれ ることから溝深さやパルス幅調節の自由度が ある点で都合が良い。ファイバーレーザ照射 部は、XY2軸のガルバノミラー5或いはポリゴ ミラーと、fθレンズよりなる集光レンズ6を しており、ファイバーレーザ7は、レーザ発 振器から出た後ガルバノミラー5で偏向され 集光レンズ6で焼結板11表面に焦点が合わせ れるように照射される。fθレンズとは、レ ズ周辺部と中心部で走査速度が一定になる うに設定されたレンズである。よって、図1 示すような焼結板11の横(X)方向に形成すべ スクライブ溝21xは、X軸ガルバノミラー5xを 転θ 2 することで矢印A方向にレーザ光7が一定速度f θで走査されて所定性状の連続溝が形成され 。該スクライブ溝21xの形成が終了すると、Y 軸ガルバノミラー(図示せず)を所定角度回転 せて照射位置を縦(Y)方向に所定量移動しY方 向のスクライブ溝21yを形成する。再度X軸ガ バノミラー5xを回転することで、レーザ光7 前記スクライブ溝21xと平行で矢印B方向に走 させて新たなスクライブ溝21xを形成する。 のような操作を繰り返して、全てのX方向ス クライブ溝21x及びY方向スクライブ溝21yを形 し、集合基板10となす。この時、集光レンズ 6を、スクライブ溝21の長さ方向中央部ではレ ーザ光7が焼結板11に垂直に照射されるが、両 端部では放射状に照射される仕様のものを用 い、焼結板11の中央部上方に焦点距離だけ離 て設置すると、スクライブ溝21は溝長さの 央側の垂直光照射範囲内はほぼ同一深さの が形成されるが、両端側の放射光が照射さ る範囲では焦点がずれるため端部に行くほ 浅い溝となる。図5に、このようにして形成 れたスクライブ溝21の溝深さ測定データの 例を示す。図5は連続加工により形成した130m m長のスクライブ溝の任意の1本(21x)における 深さ分布を示したものである。図4、図5に示 す点C、点Dは上記連続溝の両端点である。

 中央部と両端部との溝深さの差δdは、焦 距離の異なる集光レンズ6を用いたり、集光 レンズ6の設置高さfを変えることで、前述し 10μm以上50μm以下となるように制御すること ができる。実際の深さ差は、焼結板11の強度 厚さ、形成する溝21の基準深さdmや長さなど に合わせて設定すればよい。図1で示す集合 板10では、X方向断面図で示すように、スク イブ溝21を、図6(a)に示すように、セラミッ ス基板1の四辺となる部分では基準深さdmと るようにし、非製品部2になる端部余肉部分 浅溝部214が形成されるようにするとよい。 れにより、分離形成されたセラミックス基 1の側面は、スクライブ溝の均一深さ部から 分割されたものであり、面粗さ等面性状がほ ぼ同等になってセラミックス基板1の品質が らつくのを抑制することができる。また、 一、溝深さが浅いことに起因して、非製品 分2の分割面にクラックが入ったり、バリが じたり、さらにはスクライブ溝21から外れ 割れるようなことがあっても、セラミック 基板1に損傷が及ぶ可能性を小さくすること できる。さらに、端部はハンドリング時に 力が及び易いが浅溝部214によって比較的強 が保たれるので不用意に分割されるような とが低減できる。

 なお、浅溝部214の位置は必ずしもスクラ ブ溝21の両端部でなくてもよく、片端部の とする、溝途中の任意の位置にする、など に規制されない。例えば、片端部とする場 は、集光レンズ6の溝方向設置位置を変える と等によって行うことができ、集光レンズ6 をスクライブ溝21の一端部側にずらして設置 れば、図6(b)に示すように、該一端部側から 中央にかけて基準深さdmとなり他端部が浅溝 となる。これは、スクライブ溝長さが短い 合に適用するとよい。なお、溝深さの調整 レーザの出力を変えること等でも可能であ 、ガルバノミラー5の走査方式と併用したり 或いは単独で適用することで、図6(c)に示す うに任意の位置に浅溝部を形成することも 能である。しかし、本発明では溝の一部分 意図的に浅くすることが必須の構成ではな 、結果的に溝の長さ方向にある最大深さ部 最小深さ部との深さ差が10~50μmの範囲内に収 まっていれば良いものである。

 なお、上記説明では、焼結板11を固定し ーザ光7を走査・移動させるとしたが、焼結 11を一軸又は2軸テーブルに載置して焼結板1 1も移動させるようにして、レーザ光7と焼結 11の複合動作でスクライブ溝21を形成するよ うにしてもよい。例えば、Y軸ガルバノミラ によるレーザ光7の縦(Y)方向の移動を、焼結 11をY軸方向に移動させることで置き換えて 良い。このようにすると、スクライブ溝形 のための位置合わせ等の調整作業を容易に ることができる。また、レーザ光7をガルバ ノミラー5で偏向させずに定点に照射するよ にし、焼結板11の方をXY2軸に移動させてスク ライブ溝21を形成するようにすることもでき 。この場合は機械的なテーブルの往復速度 加工時間が規定されるが、大きな慣性を有 るテーブルの移動方向の切り替え時には減 動作が不可欠であり、高速加工という点で 劣る。ただしレーザ光学系の機構が簡略化 きるメリットもある。また、中途での浅溝 の形成は所定位置でレーザの出力を変える うにして行う必要があり、制御の点で面倒 はある。前記の方法以外に任意の位置に浅 部214を形成する手段として集光レンズ6に焦 点距離の小さなレンズ6を使用する方法があ 。例えば焼結板11のスクライブ溝21(21xと21y) 交点では21xと21yの加工が重なるため、必然 に溝が深くなる。そこで任意の位置、例え 前記スクライブ溝21の21x、21yの交点部に浅溝 部214が形成されるようにして、極端に溝深さ が深くなる箇所が形成されるのを防止するこ ともできる。また、ガルバノミラー等を走査 してレーザ光を移動させるのとテーブルの移 動の併用でスクライブ溝を形成することもで きる。レーザ光を走査・移動してマーキング など特定位置に溝形成等を行うことも出来る 。

 次に、セラミックス基板1における品質特性 について図2、図7を用いて説明する。
 本集合基板10から分割されたセラミックス 板1は、少なくとも一側面がスクライブ溝21 分割面であり、通常、この側面は改めて加 されないため、分割面の面性状はセラミッ ス基板1の寸法精度、曲げ強度、絶縁耐圧な 品質に影響する。分割面はスクライブ溝21 レーザ加工面211と分割時の破断面212とから るが、本発明に係わるレーザスクライブは 高出力のパルスを高周期で発振して行うも で、例えば50KHzで発振させながら移動速度100 mm/secでスクライブ加工を行うと、移動方向の ずれ量(ピッチ)は2μmであり、側面及び底面の 凹凸が小さな連続した溝が形成される。この ようなスクライブ溝21に曲げ力を作用させる 、スクライブ溝21の底部から破断されてい が、スクライブ溝底面は凹凸が少なく滑ら であるため、レーザ加工部と破断面との境 となる破断線部213は上下左右のぶれ量frが小 さくほぼ直線状となる。これによって破断力 の偏向性がなくなり、セラミックス基板1の 法精度の悪化や、面粗さの増加そして強度 低下が抑制される。なお、移動速度は80~120mm /secまで変えてスクライブ加工を行ったが結 は変わらなかった。

 このように、分割時に破断位置がばらつ たり、ぶれることがほとんどないため、本 ラミックス基板1は分割面、即ち側面の寸法 精度が良好となる。また、セラミックス基板 1は、回路基板12にした後、熱サイクルによる 熱衝撃・変形に曝されるため曲げ応力が生じ る。よって、セラミックス基板1自身の曲げ 度が高いことが望ましく、このためには分 面の面粗さが小さく、熱影響層(マイクロク ックなど)が少ないことが好ましい。なぜな らば、セラミックスのような脆性材では、凹 凸差の激しい部分や粗さが粗い部位が曲げ試 験時の破壊の起点(初期欠陥)になり、強度を 下ならしめる可能性が極めて高いからであ 。さて、分割面はレーザによる加工面211と その底部から破断された破断面212からなり どちらの面も面粗さが小さい方が好ましい 、破断面の面性状は材質によってほぼ決ま ため(特に窒化ケイ素粒子は柱状粒子形状の ため、アルミナや窒化アルミと比べて破断面 は粗くなり易い)、レーザ加工面の表面粗さ 小さい方が曲げ強度面で有利となる。この で本セラミックス基板1の分割面は、後述す 表3に示すデータで示されるように、レーザ 加工部の面粗さが破断面の面粗さよりも小さ く、また破断線も滑らかであり、レーザ加工 時の熱損傷が少ない。これにより曲げ強度の 低下率が抑制される。なお、ここでいう曲げ 強度の低下率とは、全側面を機械加工して凹 凸や面粗さを極めて小さくしたセラミックス 基板の曲げ強度を基準に算出したものである 。ちなみに後述する実施例では、ファイバー レーザでスクライブ溝を形成し、前記溝を割 断して長さ40mm×幅10mm×厚さ0.32mmtの試験片を 製した。また強度試験は4点曲げ試験で、ス ライブ溝を形成した面側が引張になるよう 試験した。一方、前記基準となる強度試験 は、スライサー加工で40mm×10mm×0.32mmtの同一 焼結ロットの窒化ケイ素曲げ試験片を別途作 製して試験したものである。また、異なる厚 さの窒化ケイ素基板の試料に関しても、試験 片長さと幅は同一とした。4点曲げ試験は、 部支点間距離10mm、下部支点間距離30mmでクロ スヘッド速度0.5mm/minの条件とした。また、レ ーザ加工部211および破断面部212の表面粗さの 測定では、測定領域が微小であるためレーザ 顕微鏡を用いて、非接触で測定した。

 また、本発明のセラミックス回路基板1は、 両面に回路用及び放熱用の金属板3、4が接合 れているが、絶縁耐圧性が良好である。こ は、上述したようにスクライブ加工を行っ 後に金属板を接合する場合、焼結板表面に 布されるろう材が意図せずスクライブ溝21 も入り込んでしまうことがあるが、レーザ 工面表面の凹凸が小さいため容易にこれを 除くことができるからである。また、金属 3、4を接合したのち表面にNiメッキを施すが このとき行うパラジウム触媒液への浸漬と 去過程により、結果的にろう材部分にパラ ウム残渣が斑点状に付いてしまうことがあ 、スクライブ溝21に入り込んだろう材に付 することもある。しかしながら本発明よれ 、前述したように、このろう材は容易に除 されるので、この時一緒にパラジウムも除 され残存しなくなる。また、スクライブ加 時に焼結板中のSiが飛び散って基板周囲にSi たはその酸化物等(SiO 2 部分等)が付着すると、これらの付着部分に ろう材が付き難いためこの部分の金属板3、4 は接合不良となるが、ファイバーレーザによ る溝加工では、溶融物の飛散が少なく熱影響 部の範囲も狭いことから、金属板のスクライ ブ溝に沿った、ろう付け接合不良範囲は小さ い。このようなことから絶縁耐圧の劣化が防 止される。勿論前記レーザ加工後にブラスト やホーニング処理で集合基板10の表面を清浄 する方法もあるが、スクライブ分割溝21の 着物まで十分に除去することは困難である

 (評価試験1)
 浅溝部214を形成したスクライブ溝21の分割 を評価した。表1にデータを示す。図1に示し たものと同サイズで厚さが0.32mmの窒化ケイ素 製焼結基板(焼結板)を準備し、図1に示したス クライブライン20のうち、X方向のライン(130mm )にガルバノミラー5でファイバーレーザ7を走 査して集光レンズ6で焦点合わせをし、スク イブ溝21xを3本形成し、その後ホーニング処 工程で、集合基板10の表裏面にアルミナ等 砥粒を含んだ液体を加圧噴射し、集合基板10 の表裏面の清浄化と平滑化を施し乾燥させた 後、集合基板10を手で分割した。用いた焼結 の曲げ強度は焼結ロット平均で750MPa、破壊 性値は6.5MPam 1/2 であった。ファイバーレーザ7の波長は1.06μm 、50KHzで発振させながら移動速度100mm/secの 返速度で照射した。集光レンズ6をスクライ ライン20の中央部上方に配置したり、一端 の上方に配置したり、また焦点距離の異な 集光レンズ6を用いたりして、浅溝部が形成 れるようにした。いずれのスクライブ溝21 、溝幅cは0.1mmとなるような仕様で加工した なお、溝深さは、図8に示すようにスクライ 溝21の分割後に、側面から破断線213の基板 面からの深さを観察し、最大溝深さdmaxと最 溝深さdminを実測した。以上の作業を3枚の 結板に対して実施しスクライブ溝計9本に対 て溝深さを測定し、その後各スクライブ溝2 1を手で分割した時の感触及び分割面の目視 察をもとに分割性を評価した。表1に示す溝 さは、9本の同一条件で形成した溝の平均値 であり、分割性では代表的な状況を示した。 また、基板厚さ0.2mmと、0.63mmの窒化ケイ素製 結基板についても準備し、同じ条件でスク イブ溝21xを形成し、同様に溝深さを実測し さらに手で分割した時の感触及び分割面の 視観察をもとに分割性を評価した。また、 記評価とは別に、溝入れ基板を各1枚ずつ作 製し、コンクリート床への落下試験で、スク ライブ部に割れやクラックが生じていないか を確認した。これはハンドリングのミスによ り床にスクライブライン入りの基板を落とし た場合でも、スクライブ溝にクラックが生じ ていなければ、製品として使用できることか ら、作業性、歩留まりの観点から実施したも のである。

 実施例1~4と比較例1、2は基板の目標厚さが0. 32mmの場合であるが、実施例1~4は手で分割し 結果、いずれも問題なく分割できることを 認した。一方、比較例1は、δdが50μm以上、 較例2はδdが10μm以下であったため、いずれ 強く曲げないと分割できない程であった。 に比較例1では、浅溝部での破断面部で凹凸 大きい他に、えぐれが生じていた。また、 較例2では、スクライブ溝に沿って割れない 箇所が認められた。以上のことから、最大溝 深さが深いほどδdを大きく、また最大溝深さ が浅いほどδdを小さくする方向になるが、δd を10μm≦δd≦50μmの範囲とすることで適切な 割性能とすることができる。
 実施例5、6と実施例7、8は、各々0.2mm、0.63mm 基板厚さの場合である。基板の薄い0.2mm厚 では比較的軽い力で分割できることを確認 たが、δdが10μmより小さい比較例3では、分 性は問題ないものの、コンクリート床への 下試験の衝撃でスクライブ部分を中心に、 ラックが生じ、作業性(ハンドリングのし易 )と歩留まりの面で問題がある。一方、0.63mm 厚さの基板では、多少分割するのに抵抗があ るが、分割面の性状に問題は認められなかっ た。しかし、δdが50μmより大きい比較例4の場 合には、浅溝部での破断面部の凹凸がかなり 大きく、分割後の寸法精度に悪影響を及ぼす と考えられた。
以上のことから、基板厚さに関係なく、溝の 最大深さ部と最小深さ部との深さ差δdは、10 m以上50μm以下とすることが好ましいことが かった。即ち、10μmより小さいと抵抗部とし ての作用が弱くなり、50μmより大きくなると 割時に良好に分割できない場合が出てくる

 (評価試験2)
 スクライブ溝21の基準深さdm、溝幅c、底部 率半径ρ等の性状の違いによる分割性を評価 した。表2にデータを示す。評価試験1で用い のと同様な焼結板を準備し、同様のファイ ーレーザを用いて図1に示したと同様なスク ライブ溝を21XY両方向に形成し、X方向スクラ ブ溝21xを手で分割した。焼結板をXY2軸テー ルに載置し、ファイバーレーザ光7をガルバ ノミラー5で走査させずに定点に照射し、焼 板の方をX方向スクライブラインに移動させ 浅溝部214を有しない基準深さdmとなるスク イブ溝21をXY方向に形成した点、及び焼結板3 枚毎にレーザ強度、スポット径、加工速度な ど照射条件を変えて、基準深さdmや溝幅cが異 なるスクライブ溝21を形成した事以外は評価 験1と同様である。

 表2に示す試料Noは同じ条件で形成したグ ープを示しており、焼結板3枚分、即ち9本 X方向スクライブ溝21xに対して手で分割し、 クライブラインに沿って割れなかった場合 分割面のクラックやバリの発生状態を目視 観察して分割性として評価した。なお、試 No.1~5は溝幅cを0.2mm狙いで加工したもの、No.6 ~11は0.13mm狙い、No.12~17は0.1mm狙い、No.18~23は0.0 7mm狙い、No.24~29は0.05mm狙いで加工したもので る。また、No.30~35は、レーザ光7をスクライ 溝側面方向に傾斜させて照射し、溝最深部 位置を溝幅c中心線に対してずれるようにし たものであり、No.36~41は、溝幅cと熱影響層幅 c1はほとんど等しくみえるので、スポット径 出力を調整して照射し、熱影響層幅c1を大 くするようにしたものである。熱影響層の c1は表面酸素量が5wt%以上となっている範囲 した。No.42~46は基板厚さ0.2mmの場合を、No.47~5 0は基板厚さ0.63mmの場合である。各試料にお るスクライブ溝形態の測定は、スクライブ が形成された3枚の焼結板の中から任意に選 した1枚の焼結板のX方向スクライブ溝21xで 焼結板中央部のXYスクライブ溝の交点から約 10mm離れた箇所に対してレーザ変位計を用い 2次元の溝断面形態を測定し評価した。また 前記測定断面が不明瞭な場合には、溝断面 磨品の光学顕微鏡観察またはSEM観察の結果 ら溝形態を表す各パラメータを求めた。表2 においてNo.1のδdmは52μm(0.052mm)とした。その のδdmは10~50μmの範囲に調整した。

 表2に示されているように、分割不良は、試 料No.1、6、12、18、24、30、42で生じており、こ れらは同じ溝幅となるように加工した他の試 料に比べて、ρ/Bの値が大きく、かつdm/Bの値 小さいという特徴が見られる。特にNo.1にお いて不良が多いことから、分割不良を減少さ せるためには、dm/Bを0.1以上とし、かつρ/Bを0 .3以下とするのが好ましいと考えられる。
 No.30については、溝最深部の溝幅中心から 位置ずれ量eが大きいことが影響していると えられる。このことから中心からの位置ず 量eはc/4以下とするのが好ましいと考える。 なお、表2において、e値及びc1値については 述したe又はc1の影響を見るための特別な照 条件で加工したものしか記していないが、 の試料を適宜抜き取り測定した結果では、 述する範囲、即ちc1は1.5c以内、eはc/4以内に 題なく入っていることを確認している。
 また、dm/B値が0.5を越える試料については、 金属板接合工程等のハンドリング時に不用意 に割れてしまいそうな感触があった。このこ とからもdm/Bの値は0.5以下とするのが好まし と考える。試料No.36~41で熱影響層幅c1が1.5c以 上のものについては、セラミックス基板とし たときの寸法精度や曲げ強度に、また回路基 板としたときの絶縁耐圧性に影響を与えてい ると考えられる。また、試料No.42~50に示すよ に基板厚さが0.2mm程度に薄い場合には、cの を小さくし精度よく加工できるが、基板厚 が0.63mmまで厚くなった場合に分割性を確保 ようとすると、本評価試験ではcは0.13mm程度 が最少形成幅であり、更に小さくするには焦 点距離の小さな集光レンズが必要となるよう である。

 (評価試験3)
 スクライブ溝性状の違いによるセラミック 基板とされた時の品質特性を評価した。表3 にデータを示す。評価試験2を行った後のX方 に分割された長尺焼結板を用い、Y方向スク ライブ溝21yを手で分割してセラミックス基板 とし、寸法精度、曲げ強度、分割面表面の算 術平均粗さRa等を測定した。表3の試料Noは、 2に示す試料Noと対応しており、同一または 一条件で加工したセラミックス基板である とを示す。寸法精度については、分割して 成された計12枚のセラミックス基板(50×40mm イズ、許容寸法公差±0.1mm)についてノギスで 計測した結果から工程能力を算出し評価した 。曲げ強度は既述した試験片サイズを別途作 製し評価した。
 分割面表面の粗さ測定は、評価試験2で溝形 態を測定した箇所における分割面の一面に対 するものであり、図7に示すようにレーザ加 面は基準溝深さdmの中間部近傍を長さ方向(22 0方向)に、破断面は破断面深さの中間部近傍 長さ方向(220方向)に、破断線はレーザ加工 と破断面の境界部近傍をそれぞれ測定した

 寸法精度は公差±0.1mmにおける工程能力が1.3 以上を良好とし、曲げ強度は低下率が5%以下 許容されるとした。ここで工程能力(Cpk)と 、定められた規格限度内で製品を生産でき 能力を示すもので、規格の上限値Su、規格の 下限値Sl、平均値μ、標準偏差σから下式で表 され、一般的には工程能力1.3(正確には1.33で るが、本実施例では1.3とした)以上が品質保 証の指標とされている。
Cpk=min[(Su-μ)/3σ,(μ-Sl)/3σ]
ただし、min[ ]は括弧内の最小値を返す関数
 寸法精度の工程能力を評価したものについ は、各試作Noの加工条件について、N数を12 として評価した。工程能力Cpk:1.33は同一ロッ ト内での不良率が約60ppmであり、量産に耐え るプロセスであることを示唆している。
 また、曲げ強度は既に述べたように4点曲げ 強度を示しており、試験片サイズが長さ40mm× 幅10mm×厚さ0.32mmtである以外は、ファインセ ミックスの曲げ強さ試験(JIS R1601)に準拠し 行った。

 表3よりNo.1~No.29、No.42~No.50の試料において、 dm/Bが大きいものが曲げ強度低下率が大きい とがわかる。これは、溝深さdmが深いほど基 板が受けるレーザの照射熱エネルギーも大き くなり、基板に与える熱損傷が大きくなるた めである。No.5、10、11、17、22、23、29、46、50 よれば、曲げ強度低下率が5%より大きいも はdm/Bが0.5より大きくなっている。また、No.5 、10、11、50は工程能力も劣り、これらは狙い の溝幅に対して大き目の溝幅cになっている 合であることがわかる。これより、スクラ ブ溝のdm/Bは0.5以下、さらには溝幅cは0.2mm以 となし、かつ規格寸法に対し精度良く加工 ることが肝要であると考える。また、No.31 工程能力が小さいが、e値が大きいことがわ る。前述したように、No.30には分割不良が 生しておりe値が大きいと説明したが、これ らもe値は小さい方が好ましく、No.33、35の 程能力が許容限界値1.3であることから、こ 時のe値を考慮すると、e値はc/4以下であるこ とが好ましいと考えられる。また、No.36、37 38は工程能力が低く、No.38は曲げ強度低下率 悪い。これらの試料はc1がcの1.6~1.8倍あり、 他のNo.39~41が1.4倍以下であることから、c1はc 1.5倍以下であることが好ましいと考えられ 。またNo.50のように厚い基板の分割では破 部の厚さが厚くなり、薄い基板と比べて工 能力が小さく、破断面粗さRa1が大きくなる 向にある。ここでは一部の加工条件で加工 た実験結果しか示していないが、窒化ケイ のように破壊靭性の大きく厚い材料で回路 板を作製する場合には、寸法精度を確保す ために極力溝幅cを小さく加工することが良 と推測される。
 以上の条件を選定することにより、基板の 法精度が公差±0.1mmにおいて工程能力(Cpk)が1 .3以上、曲げ強度の低下率を5%以下に抑えた ラミックス基板を提供することができる。

 また、分割面におけるレーザ加工面の算 表面粗さRa2と破断面の算術表面粗さRa1を比 すると、基板厚さが0.32mmの場合、全試料の ータで見ても、Ra2の最大がNo.7の1.2μmである のに対し、Ra1の最小がNo.4の2.8μmであり、明 かにRa2の方がRa1より小さい。さらに、破断 の凹凸差frも20μm以下でありほとんど平滑と える。このようにレーザ加工面自体の表面 さと破断面との差が小さいこと、および破 線の凹凸差も小さいことによってマイクロ ラックの起点となる要因が少なくなり、か 分割性も良好となる。さらに、金属板接合 のろう材が付着しても容易に除去すること できるようになるのである。また、同一試 におけるRa1とRa2の差はNo.5の5.8μmが最大で、 他にNo.17、22も5μmを超えているが、これらの 料は曲げ強度の低下率が大きいことから、 割面におけるRa1とRa2の差は5μm以内であるこ とが望ましいが、下記比較試験の結果から10 m以内を許容範囲とすることができる。また 曲げ強度の低下率と工程能力の点から言う 破断線の凹凸の差は15μm以下が望ましいが 同じく下記比較試験の結果から20μm以下を許 容範囲とすることができる。

 (比較試験)
 なお、比較のために、前述したと同様の焼 基板を用い、CO 2 レーザで断続孔を加工することにより形成し 、前述の評価試験1、2と同様にして分割性、 質特性面の評価を行った。表4にデータを示 す。スクライブ孔は、分離が容易に行えるよ うに孔深さd´は深めにし、孔壁間の隙間がほ とんどないように孔ピッチは、孔径c´よりも 10~30μm程度大きくし、通常より密とした。No.5 1~53はレーザスクライブ溝21の場合の溝幅0.13mm に相当するような孔径c´に、またNo.54~55は溝 0.07mmに相当するような孔径c´に加工した。 様に基板厚さ0.2mm、0.63mmに対しても孔径c´ 孔の深さd´を各々変化させて評価試料を作 した。

 スクライブ溝のd/Bに相当するd´/Bは、0.32mm 0.2mm、0.63mm各々の厚みに対して0.367~0.512、0.34 2~0.553、0.322~0.580と全体的に大きく、ρ/Bに相 するρ´/Bは0.05前後と非常に小さくなってい 。分割性に関してはNo.55、60の各1枚とNo.65の 2枚に分割不良が見られた他は良好であった 、各試料のd´/B値は0.367、0.342、0.322であり、 スクライブ溝の場合なら不良は発生しない数 値である。これより、スクライブラインを連 続溝21で形成する方が、断続孔で形成するよ も浅い深さの加工でよいことがわかる。た え断続孔をオーバーラップさせたとしても より浅い深さで良いし、ピッチが桁違いに なるので連続溝とすることはできない。ま 、分割してセラミックス基板としたものの 質特性は、No.54、59における工程能力が1.3以 上でかろうじて良好だった以外は、工程能力 、曲げ強度の低下率とも前述した設定許容値 を満足していなかった。これは、深孔の断続 孔形成ラインからの分割面の表面粗さ、具体 的にはレーザ加工面の面粗さの大きさによる ものと考えられる。これは、分割面のレーザ 加工部及び破断面の算術的平均粗さRaの測定 果において、前述したスクライブ連続溝の 合に比べ、破断面のRa1はほとんど同等であ のに対し、レーザ加工面のRa2は数倍~数十倍 と非常に大きく、常にRa1<Ra2となっている とからわかる。また、強度低下に関しては 断続孔の分割後に分割部に生じる半円状の ッチ効果により応力集中が高くなり、これ 強度低下に影響したと考えることができる このように、従来行われてきたスクライブ によるスクライブラインの形成に換えて、 発明に係わる連続スクライブ溝21でスクライ ブラインを形成すると、浅い溝で良好に分割 でき、かつ分割面の特にレーザ加工面の面粗 さが小さく、品質が高まることがわかる。そ して、スクライブラインの加工時間について は、本発明による加工時間を1としたとき、No .51~53の場合は最大で10倍以上、No.54~55の場合 も最短で5倍程度であった。このように本発 のスクライブラインの製造方法によれば加 時間も大幅に短縮でき、製造コスト低減に つながる。
以上のことより、従来のYAGレーザやCO 2 レーザによる断続孔よりも、熱影響部が小さ く表面酸化領域や溝周辺の溶融・飛散物も少 なく出来る。そして加工時間が少なくとも1/2 以下に短縮された連続スクライブ溝の製造方 法を提供することができる。

 (評価試験4)
 評価試験3までのセラミックス基板を用いて 銅回路基板12としたときの品質特性を0.32mm厚 の基板について評価した。
 とりあえず試料No.9、14、21、28と、比較例と して試料No.52の各条件でレーザ加工したセラ ックス基板1を用いた回路基板12について絶 耐圧性能を評価した。尚セラミックス回路 板12は以下のようにして作製した。
 まず、レーザ加工時にスクライブラインを 成する際に、後述するが、ろう材のスクリ ン印刷時の集合基板10に形成される印刷パ ーンがスクライブラインや基板表裏でズレ いように、印刷ガイド孔となる位置あわせ 貫通孔(φ0.2mm)も各々のレーザを用いて切断 工で形成した。加工後に液体ホーニング処 を集合基板10の表裏に施し、洗浄した後、セ ラミックス集合基板10の表裏に活性金属ろう パターンを、上記共通孔を基準にして印刷 た。次に集合基板の一面に厚さ0.6mmの銅回 板と、他面に厚さ0.5mmの銅放熱板を接合した 。接合工程は、活性金属ろう付け法で真空炉 中で接合した。接合体は超音波顕微鏡で大き なボイドが無いことを確認した後、金属回路 板のパターン3と金属放熱板のパターン4を形 するために、銅板にフィルムレジストを貼 付け、露光・現像してレジストパターンを 成した。この後、塩化鉄溶液を用いて湿式 ッチングで前記銅金属パターン3、4を形成 た。その後レジスト除去と不要なろう材を 去する工程と、酸洗浄、化学研磨工程を通 て、パラジウム触媒付与を実施した。パラ ウム付与後、酸性溶液に浸漬してメッキ不 箇所のパラジウムを除去し、Ni-P無電解めっ を銅金属パターン3、4表面に施した。そし 最後にスクライブ溝21に沿って分割して、個 々のセラミックス回路基板12とした。また詳 は割愛するが、ろう付接合時のボイド対策 して集合基板10の非製品部2にダミーの金属 ターンを形成して、上記回路基板を形成し もよいことを追記する。

 また、絶縁耐圧性能は以下のようにして 価した。回路基板を80℃で1時間乾燥した後 絶縁油(シリコーン油またはフロリナート、 20℃)中で回路基板12の金属回路板3と金属放熱 板4間に交流電圧を0→10kVまで徐々に昇圧印加 し、絶縁破壊した時の電圧値で絶縁性能を評 価する試験方法である。したがってこの絶縁 破壊電圧が高い方が絶縁性能に優れているこ とになる。評価した回路基板の数は、No.9、14 、21、28、52の各条件で各々12個評価した。

 本発明によるファイバーレーザでスクライ 分割溝21を形成した実施例では、セラミッ ス回路基板の絶縁破壊電圧はいずれもAC8kV以 上あり良好な結果が得られた。また、絶縁破 壊形態も全てセラミックス基板1を貫通する 壊であり、沿面破壊は認められなかった。 方、比較例では、8kV以上の高い絶縁性能を す回路基板もあったが、絶縁破壊電圧が5kV 度しかないものが認められた。この絶縁不 基板の絶縁破壊形態は沿面破壊であり、セ ミックス回路基板に要求される絶縁性能上 決してあってはならない不良である。
 尚、この不良の原因については、基板端面 近に付着したレーザ飛散物や端面のろう材 ども含めた残渣物による影響や、既述した 路基板製造工程においてスクライブ断続孔 侵入したパラジウム成分除去が不十分なこ による、セラミックス基板側面へのめっき 分の形成により絶縁性が低下したものと推 している。このことからもレーザ加工面の 粗さが小さい方、また破断面との面粗さの が小さい方が絶縁性能にとっても優位であ と考えられる。
 以上のことより、面粗さを制御できるレー 加工で形成した回路基板は、金属回路板及 金属放熱板のろう材接合界面のボイド発生 基板端面へのろう材付着等を抑えることが き、絶縁耐圧性能が8kV以上の絶縁耐圧性に れたセラミックス回路基板を提供すること できる。
 尚、上記評価試験では、より強度が高く硬 窒化ケイ素による効果を確認するためにセ ミックスとして窒化ケイ素焼結体を用いた 、窒化アルミやアルミナ等でも同様に実施 きるし、同様の効果が得られると考えてい 。

 電動自動車、ハブリッド自動車、鉄道車 、電力、産業用インバータおよびコンバー など大電流、高電圧を制御するパワーデバ スの分野で利用でき、パワー半導体モジュ ル(例えばIGBTモジュール)用の回路基板など 用途として挙げられる。また、Siに代わるSi CやGaNなどの高温(300℃以上)動作が可能な新規 半導体を用いたパワーデバイスの分野で利用 できる。

 1 セラミックス基板    
 2 非製品部 
 3 金属回路版 
 4 金属放熱板 
 5 ガルバノミラー
 6 集光レンズ
 7 ファイバーレーザ光 
10 セラミックス集合基板
11 窒化ケイ素製焼結板(焼結板) 
12 セラミックス回路基板 
20 スクライブライン
21 スクライブ溝
30 溶融付着物による盛り上がり部
220 面粗さ測定方向
211 レーザ加工面(連続溝加工部表面) 
212 破断面(破断部表面)
213 破断線
214 浅溝部 




 
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