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Title:
COMBUSTIBLE GAS SENSOR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/123092
Kind Code:
A1
Abstract:
This invention provides a combustible gas sensor which, while reducing the whole size, can increase the area of contact between a measuring object gas and oxidation catalyst particles, and consequently increases the amount of heat generated by an oxidation reaction and, at the same time, improves the transfer of the heat of oxidation reaction, whereby the measuring sensitivity and the measuring accuracy can be significantly improved. A temperature measuring element such as a thermophile comprises a dissimilar metal joined to the upper surface of an Si substrate. A porous catalyst layer comprising oxidation catalyst particles such as Pt supported on a porous material layer, or a chain-like catalyst layer comprising a number of oxidation catalyst particles connected to and linked to one another in a chain form is provided on a heat sensitive part in the temperature measuring element. The porous catalyst layer or the chain-like catalyst layer is integrally linked to the heat sensitive part in the temperature measuring element.

Inventors:
OIE TSUTOMU (JP)
OKAMOTO KAZUTAKA (JP)
NAKATA YOSHIAKI (JP)
YAMAGISHI YUTAKA (JP)
TAKAMATSU SHUJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/055056
Publication Date:
October 16, 2008
Filing Date:
March 19, 2008
Export Citation:
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Assignee:
HORIBA LTD (JP)
OIE TSUTOMU (JP)
OKAMOTO KAZUTAKA (JP)
NAKATA YOSHIAKI (JP)
YAMAGISHI YUTAKA (JP)
TAKAMATSU SHUJI (JP)
International Classes:
G01N27/16; G01N25/32
Domestic Patent References:
WO2004111628A12004-12-23
WO2005012171A22005-02-10
Foreign References:
JP2004241295A2004-08-26
JP2006071362A2006-03-16
JPH1151893A1999-02-26
JP2005083950A2005-03-31
JP2006131428A2006-05-25
JP2006515231A2006-05-25
JPH1172455A1999-03-16
JP2007064865A2007-03-15
JPH08304320A1996-11-22
Other References:
NAKATA Y. ET AL.: "Thermopile to Pt Shokubai o Kumiawaseta Suiso Sensor", HEISEI 18 NEN THE INSTITUTE OF ELECTRICAL ENGINEERS OF JAPAN ZENKOKU TAIKAI KOEN RONBUNSHU, 15 March 2006 (2006-03-15), pages 260
STAR A. ET AL.: "Gas Sensor Array Based on Metal-Decorated Carbon Nanotubes", J. PHYS. CHEM. B, vol. 110, 2006, pages 21014 - 21020, XP002620383, DOI: doi:10.1021/jp064371z
CHOA W.-S. ET AL.: "Patterned multiwall carbon nanotube films as materials of NO2 gas sensors", SENSORS AND ACTUATORS B: CHEMICAL, vol. 119, no. 1, 24 November 2006 (2006-11-24), pages 180 - 185, XP005645449
UEDA T. ET AL.: "NO Sensing Property of Carbon Nanotube Based Thin Film Gas Sensors Prepared by Chemical Vapor Deposition Techniques", JAPANESE JOURNAL OF APPLIED PHYSICS, vol. 45, no. 10B, 30 October 2006 (2006-10-30), pages 8393 - 8397
Attorney, Agent or Firm:
FUJIMOTO, Hideo (2-40 Katamachi 2-chome,Miyakojima-k, Osaka-shi Osaka 25, JP)
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Claims:
 半導体基板面に成膜された絶縁膜上に測温素子を形成し、この測温素子で測定対象ガスの発熱量を検出することにより、測定対象ガス中の可燃性ガス濃度を測定するように構成されている可燃性ガスセンサであって、
 前記測温素子の感熱部上に、多孔材料層に酸化触媒粒子を担持させてなる多孔触媒層または多数の酸化触媒粒子を鎖状に繋ぎ結合させてなる鎖状触媒層を設け、この触媒層を前記感熱部に一体結合していることを特徴とする可燃性ガスセンサ。
 前記多孔触媒層が、層状繊維、多孔質セラミック、繊維状またはクラスター状のカーボンナノチューブの中から選択した多孔材料に、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ニッケル、ルテニウムを含む貴金属の中から選択された酸化触媒粒子を担持させて形成されたものである請求項1に記載の可燃性ガスセンサ。
 前記多孔触媒層が、ニッケル薄膜層、鉄薄膜層またはコバルト薄膜層の熱処理により凝集した複数の核上に成長させて形成されるクラスター状のカーボンナノチューブに酸化触媒粒子を結合させて形成されたものである請求項1に記載の可燃性ガスセンサ。
 前記鎖状触媒層が、多数の酸化触媒粒子を分散剤により分散させて熱処理することにより、酸化触媒粒子同士を鎖状に繋ぎ結合させて多孔状に形成されたものである請求項1に記載の可燃性ガスセンサ。
 前記測温素子として、サーモパイルを使用している請求項1に記載の可燃性ガスセンサ。
 前記酸化触媒粒子担持の多孔触媒層または前記鎖状触媒層が、測温素子の感熱部裏面に形成されている請求項1ないし5のいずれかに記載の可燃性ガスセンサ。
 半導体基板面上に実装された測温素子で測定対象ガスの発熱量を検出することにより、測定対象ガス中の可燃性ガス濃度を測定するように構成されている可燃性ガスセンサであって、
 前記半導体基板面上には、少なくとも二つの測温素子が互いに近接して実装されており、それら測温素子は、感熱部上に測定対象ガスとの接触により酸化反応熱を発生する酸化触媒粒子を多孔材料層に担持させてなる多孔触媒層または多数の酸化触媒粒子を鎖状に繋ぎ結合させてなる鎖状触媒層が設けられたものと、感熱部上に前記多孔触媒層または鎖状触媒層が設けられていないものとに分けられていることを特徴とする可燃性ガスセンサ。
 半導体基板面上に実装された測温素子で測定対象ガスの発熱量を検出することにより、測定対象ガス中の可燃性ガス濃度を測定するように構成されている可燃性ガスセンサであって、
 前記半導体基板面上には、少なくとも二つの感熱部を有する一つの測温素子が実装されており、この測温素子における感熱部は、測定対象ガスとの接触により酸化反応熱を発生する酸化触媒粒子を多孔材料に担持されてなる多孔触媒層または多数の酸化触媒粒子を鎖状に繋ぎ結合させてなる鎖状触媒層が設けられたものと、前記多孔触媒層または鎖状触媒層が設けられていないものとに分けられていることを特徴とする可燃性ガスセンサ。
 前記多孔触媒層または鎖状触媒層が設けられた感熱部側の測温素子と前記多孔触媒層または鎖状触媒層が設けられていない側の測温素子とは、両者の極性が互いに直列逆極性となるように接続されている請求項7または8に記載の可燃性ガスセンサ。
 前記多孔触媒層または鎖状触媒層が設けられた感熱部側の測温素子及び前記多孔触媒層または鎖状触媒層が設けられていない側の測温素子のそれぞれには演算増幅器が接続され、これら演算増幅器の出力の差を演算する差動回路が半導体基板面に実装されている請求項7または8に記載の可燃性ガスセンサ。
 前記多孔触媒層が、層状繊維、多孔質セラミック、繊維状またはクラスター状のカーボンナノチューブの中から選択した多孔材料に、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ニッケル、ルテニウムを含む貴金属の中から選択された酸化触媒粒子を担持させて形成されたものである請求項7または8に記載の可燃性ガスセンサ。
 前記多孔触媒層が、ニッケル薄膜層、鉄薄膜層またはコバルト薄膜層の熱処理により凝集した複数の核上に成長させて形成されるクラスター状のカーボンナノチューブに酸化触媒粒子を結合させて形成されたものである請求項7または8に記載の可燃性ガスセンサ。
 前記鎖状触媒層が、多数の酸化触媒粒子を分散剤により分散させて熱処理することにより、酸化触媒粒子同士を鎖状に繋ぎ結合させて多孔状に形成されたものである請求項7または8に記載の可燃性ガスセンサ。
 前記測温素子として、サーモパイルを使用している請求項7または8に記載の可燃性ガスセンサ。
 前記多孔材料としてクラスター状カーボンナノチューブを選択した場合、そのカーボンナノチューブと前記測温素子の感熱部とは、前記カーボンナノチューブの一端に取付けられたチオール基の硫黄原子と前記測温素子の感熱部上の絶縁膜部分に成膜した金属膜の金属原子との結合により接続されている請求項7または8に記載の可燃性ガスセンサ。
 前記多孔材料としてクラスター状カーボンナノチューブを選択した場合、そのカーボンナノチューブと前記測温素子の感熱部とは、前記測温素子の感熱部上の絶縁膜部分に形成されたダイヤモンド薄膜の一部を修飾する官能基の終端とカーボンナノチューブの一端を修飾する官能基の終端同士の化学結合により接続されている請求項7または8に記載の可燃性ガスセンサ。
 前記多孔材料としてクラスター状カーボンナノチューブを選択した場合、そのカーボンナノチューブと前記測温素子の感熱部とは、カーボンナノチューブの一端部がシランカップリング剤で終端化され、その終端を測温素子の感熱部上の薄い絶縁膜部分に直接化学結合することにより接続されている請求項7または8に記載の可燃性ガスセンサ。
 
Description:
可燃性ガスセンサ

 本発明は、例えば石油化学工場等におい CO、HC、ホルムアルデヒド、水素等の可燃性 ガスの爆発等といった災害を未然に防止する ために、測定対象ガスの発熱量を測定するこ とにより、当該測定対象ガス中に含有されて いる可燃性ガス、特に水素ガスの濃度を測定 するために用いられる水素ガスセンサで代表 される可燃性ガスセンサに関する。

 この種の可燃性ガスセンサとしては、サ ミスタ、熱電対(サーモカップル)、アルミ 温抵抗体等の測温素子の表面に絶縁層を介 て白金等の酸化触媒を積層させた構造のも が汎用されているが、このような積層構造 汎用ガスセンサは、熱容量が大きいために 可燃性ガスの酸化反応熱による熱量が少な 、それゆえに、熱量変化による電圧や電流 あるいは、電気抵抗の変化として取り出さ る出力信号も小さくて低濃度の可燃性ガス 測定感度は非常に低いという難点がある。

 また、サーモパイルの温接点部に絶縁膜 介して白金やパラジウム等の酸化触媒を含 アルミナ等の被膜を形成(蒸着)する一方、 ーモパイルの冷接点部を露出させて、水素 ス等の可燃性ガスが白金等の触媒を含む被 に接触することに伴う燃焼により温接点部 加熱昇温し、この温接点部と低温状態にあ 冷接点部との間に熱起電力を発生させ、こ 熱起電力を検出することにより、可燃性ガ の濃度を測定するようにした接触燃焼式ガ センサも従来より多用されている(例えば、 許文献1参照)が、このような接触燃焼式ガ センサは、上記した積層構造の汎用ガスセ サに比べて周囲温度に対する補償回路等が 必要であり、その分だけ測定感度の向上が れるものの、熱容量は依然として大きく応 性に欠け、低濃度の可燃性ガスの測定感度 は満足のゆく結果が得られないという問題 ある。

 上記のような積層構造の汎用ガスセンサ び接触燃焼式ガスセンサの有する難点や問 を解消すべく本出願人らは、半導体基板面 成膜された絶縁膜上にサーモパイル等の測 素子を形成し、この測温素子の感熱部に白 やルテニウム等の酸化触媒を直接成膜する あるいは、CrやTi等の良熱伝導性金属材料を 含む接着層を介して成膜して担持させるとと もに、この酸化触媒を活性状態に維持するた めのヒータを設けた可燃性ガスセンサを既に 提案している(例えば、特許文献2参照)。

特開平5-10901号公報

特開2006-71362公報

 上記特許文献2で示されている可燃性ガス センサは、半導体基板面への絶縁膜、測温素 子及び酸化触媒の成膜といった薄膜化技術の 採用によって、測温素子の熱容量を小さくす ることが可能であるとともに、測定対象ガス 中の可燃性ガスが酸化触媒に接触して酸化反 応熱が発生し、その熱量を検出することによ り水素等の所定の可燃性ガス濃度を測定する ことが可能で、上記した汎用ガスセンサや接 触燃焼式ガスセンサに比べて、測定感度及び 応答性の向上が図れるものの、酸化触媒の表 面で生じる酸化反応熱並びにその反応熱が測 温素子の感熱部へ伝達される熱伝達性(速度 効率)が十分でなく、測定感度及び測定精度 面から未だ改良の余地が残されていた。

 また、測定対象ガスの酸化触媒に対する 触面積も余り大きくとれないために、酸化 応により生じる熱量も小さく、特に低濃度 可燃性ガスの測定感度の向上には限界があ 、また、それを補うためには、酸化触媒を に活性状態に維持するためのヒータを設け ことが必須不可欠となり、ガスセンサ全体 大型化しやすいという問題があった。

 さらに、この種の可燃性ガスセンサは、 熱部の温度変化を電圧の変化として取り出 、いわゆる温度センサであるから、周囲の 定環境温度が変化した場合、測定対象ガス 作用等に関係なく、感熱部の温度変化に伴 てドリフト(オフセット電圧)が生じて、あ かもガスの発熱量を測定したかのごとく出 することになり、その結果、測定値が周囲 度の影響を受けて大きく変動し、測定誤差 生じるという問題があり、このような問題 解決するために、測温素子とは別個に周囲 度を測るサーミスタを設けたり、サーミス ブリッジを温度調整用ブロック内に設けた 、ダイヤフラム構造のサーモパイルアレイ 用いたりして周囲温度の影響をキャンセル しくは補正する種々の工夫を施すことが考 られるが、いずれも回路を含めて周辺の構 が複雑でコスト的に高価であるとともに、 ンサ全体が大型化しやすい。さらに、サー スタなど周囲温度の影響をキャンセルもし は補正するための構成と測温素子とで特性 ばらつきが発生することは避けられず、そ 結果として、測定精度の向上にも自ずと限 があるという問題もあった。

 本発明は上述の実情に鑑みてなされたも で、その主たる目的は、全体の小型化、低 スト化を図りつつ、測定対象ガスと酸化触 との接触面積を増大して酸化反応熱の発生 を増加するとともに測温素子への熱伝達性 改善して、低濃度の可燃性ガスであっても 定感度及び測定精度の著しい向上を実現す ことができる可燃性ガスセンサを提供する とにあり、その他の目的は、上記主たる目 に加えて、周囲温度の変化にかかわらず、 リフトの発生をなくして測定精度のより一 の向上を実現できるようにすることにある

 上記の主たる目的を達成するために案出 れた請求項1記載の発明に係る可燃性ガスセ ンサは、半導体基板面に成膜された絶縁膜上 に測温素子を形成し、この測温素子で測定対 象ガスの発熱量を検出することにより、測定 対象ガス中の可燃性ガスの濃度を測定するよ うに構成されている可燃性ガスセンサであっ て、前記測温素子の感熱部上に、多孔材料層 に酸化触媒粒子を担持させてなる多孔触媒層 または多数の酸化触媒粒子を鎖状に繋ぎ結合 させてなる鎖状触媒層を設け、この触媒層を 前記感熱部に一体結合していることを特徴と するものである。

 上記のような特徴構成を有する請求項1記載 の発明に係る可燃性ガスセンサによれば、測 定対象ガスが多孔触媒層または鎖状触媒層に 接触すると、測定対象ガス中の可燃性ガスが 多孔触媒層に担持された酸化触媒粒子または 鎖状触媒層を形成する鎖状の酸化触媒粒子に より酸化されて反応熱を発生する。例えば、 可燃性ガスが水素ガス(H 2  )である場合、
 2H 2  +O 2  →2H 2  O+Q …(1)
なる反応式で示されるとおり、水素ガス(H 2  )分子が酸素ガス(O 2  )分子と反応して水分子(H 2  O)を生じ、このとき、反応熱Qを発生する。 の反応熱が酸化触媒粒子の表面から多孔層 経て、または、鎖状酸化触媒層粒子の表面 ら直接に測温素子の感熱部に効率よく伝わ 該感熱部が昇温される。ここで、酸化触媒 子が多孔層に担持されている、または、酸 触媒粒子が鎖状に繋ぎ結合されていること より、測定対象ガス中の可燃性ガスと酸化 媒粒子の接触面積を十分に大きくとること 可能であるために、上記反応式(1)による発 量Qは非常に大きく前記測温素子の感熱部の 昇温度合いを高めることができる。したがっ て、酸化触媒粒子担持の多孔触媒層または酸 化触媒粒子が鎖状に繋ぎ結合された鎖状触媒 層を使用することにより、ガスセンサ全体の 小型化を図りつつ、測温素子の感熱部におけ る昇温効率を高めて、測定対象ガス中の水素 など低濃度の可燃性ガスであっても、その濃 度測定感度及び測定精度の著しい向上を実現 することができるという効果を奏する。

 上記請求項1記載の発明に係る可燃性ガス センサにおける前記多孔触媒層としては、層 状繊維、多孔質セラミック、繊維状またはク ラスター状のカーボンナノチューブの中から 選択した多孔材料に、白金、パラジウム、ロ ジウム、イリジウム、ニッケル、ルテニウム を含む貴金属の中から選択された酸化触媒粒 子を担持させて形成されたものであればよい (請求項2)。特に、前記多孔触媒層として、ニ ッケル薄膜層、鉄薄膜層またはコバルト薄膜 層の熱処理により凝集した複数の核上に成長 させて形成されるクラスター状のカーボンナ ノチューブに酸化触媒粒子を結合させて形成 されたものを用いる場合(請求項3)は、測定対 象ガスとの接触面積をより大きく確保できる とともに、該多孔触媒層と測温素子の感熱部 との結合強度を高めて丈夫で、かつ、酸化反 応熱の感熱部への熱伝達性(速度、効率)にも れ、測定感度の一層の向上が図れる。

 また、請求項1記載の発明に係る可燃性ガ スセンサにおける前記鎖状触媒層としては、 多数の酸化触媒粒子を分散剤により分散させ て熱処理することにより、酸化触媒粒子同士 を鎖状に繋ぎ結合させて多孔状に形成された ものを用いる(請求項4)ことができる。この場 合は、測定対象ガスを直接に鎖状の酸化触媒 粒子に接触させることが可能で、酸化反応熱 量を増大して、所定の測定感度及び測定精度 を一層向上することができる。

 また、請求項1記載の発明に係る可燃性ガ スセンサにおける前記測温素子としては、サ ーモパイルの使用が好ましい(請求項5)。さら に、請求項1記載の発明に係る可燃性ガスセ サにおいて、前記酸化触媒粒子担持の多孔 媒層または前記多孔状触媒層を測温素子の 熱部裏面に形成してもよい(請求項6)。この 合は、多孔触媒層または多孔状触媒層を測 素子の感熱部上に形成する際に多少の位置 れがあっても、構造上、その触媒層が測温 子の冷接点部に触れることがなく、冷接点 の不用な温度上昇に伴う感度低下がない。 の結果、測定感度及び測定精度の向上が図 るとともに、特性の揃った可燃性ガスセン を量産することが容易になるという効果を する。

 一方、上記の他の目的を達成するために 出された請求項7記載の発明に係る可燃性ガ スセンサは、半導体基板面上に実装された測 温素子で測定対象ガスの発熱量を検出するこ とにより、測定対象ガス中の可燃性ガス濃度 を測定するように構成されている可燃性ガス センサであって、前記半導体基板面上には、 少なくとも二つの測温素子が互いに近接して 実装されており、それら測温素子は、感熱部 上に測定対象ガスとの接触により酸化反応熱 を発生する酸化触媒粒子を多孔材料層に担持 させてなる多孔触媒層または多数の酸化触媒 粒子を鎖状に繋ぎ結合させてなる鎖状触媒層 が設けられたものと、感熱部上に前記多孔触 媒層または鎖状触媒層が設けられていないも のとに分けられていることを特徴とするもの である。

 また、上記請求項7記載の発明と同一の目 的を達成するために案出された請求項8記載 発明に係る可燃性ガスセンサは、半導体基 面上に実装された測温素子で測定対象ガス 発熱量を検出することにより、測定対象ガ 中の可燃性ガス濃度を測定するように構成 れている可燃性ガスセンサであって、前記 導体基板面上には、少なくとも二つの感熱 を有する一つの測温素子が実装されており この測温素子における感熱部は、測定対象 スとの接触により酸化反応熱を発生する酸 触媒粒子を多孔材料に担持されてなる多孔 媒層または多数の酸化触媒粒子を鎖状に繋 結合させてなる鎖状触媒層が設けられたも と、前記多孔触媒層または鎖状触媒層が設 られていないものとに分けられていること 特徴とするものである。

 上記のような特徴構成を有する請求項7記載 の発明及び請求項8記載の発明に係る可燃性 スセンサによれば、多孔触媒層または鎖状 媒層が設けられている側の測温素子(以下、 定用測温素子という)の感熱部及び前記多孔 触媒層または鎖状触媒層が設けられていない 側の測温素子(以下、比較用測温素子という) 感熱部側に測定対象ガスが接触すると、こ 測定対象ガス中の可燃性ガスは、測定用測 素子の多孔触媒層または鎖状触媒層に担持 れている酸化触媒粒子により酸化されて反 熱を発生する。例えば、可燃性ガスが水素 ス(H 2  )である場合、
 2H 2  +O 2  →H 2  O+Q …(1)
なる化学反応式で示されるとおり、水素ガス (H 2  )分子が酸素ガス(O 2  )分子と化学反応して水分子(H 2  O)を生じ、このとき、反応熱Qを発生し、こ 反応熱Qと周囲温度の変化に対応して変動す る測定対象ガスの保有熱量とを含めた大きな 熱量によって測定用測温素子の感熱部の温度 が急速に上昇し、その温度に見合った電圧が 出力される一方、比較用測温素子の感熱部で は上記のような化学反応による反応熱が発生 されず、周囲温度の変化に対応して変動する 測定対象ガスの保有熱量のみによって比較用 測温素子の感熱部温度が上昇し、その温度に 見合った電圧が出力されることになり、これ ら両出力電圧の差を求めることで、周囲温度 の変化にかかわらず前記反応熱に起因する電 圧のみが得られ、その電圧から測定対象ガス 中の水素等の可燃性ガス濃度を求めることに よって、周囲温度の変化に影響されることな く、所定の可燃性ガス濃度を高精度に測定す ることができる。

 しかも、測温素子とは別個に周囲温度を るためのサーミスタを設けたり、サーミス ブリッジを温度調整用ブロック内に設けた 、ダイヤフラム構造のサーモパイルアレイ 設けたりするといった複雑な回路等を有す 周辺構成を用いるのではなく、感熱部に多 触媒層または鎖状触媒層を設けたものと設 ていないものとに分けるのみで、その他の 成は同一の少なくとも二つの測温素子を実 する、または、一つの測温素子に少なくと 二つの感熱部を形成すればよいので、製作 易かつ構造簡単で低コスト化及びガスセン 全体の小型化を図りやすい。さらに、測温 子同士または感熱部同士の特性を揃えるこ が可能であるから、周囲の温度変化に影響 れない高精度なガスセンサを確実容易に得 ことができるという効果を奏する。

 上記請求項7または8記載の発明に係る可 性ガスセンサにおいては、前記測定用測温 子と比較用測温素子のそれぞれに演算増幅 を接続し、これら演算増幅器の出力の差、 なわち、オフセット電圧を外部回路におい キャンセルするように構成することも可能 あるが、特に、請求項9に記載のように、前 測定用測温素子と比較用測温素子とを、両 の極性が互いに直列逆極性となるように接 する構成を採用する場合は、例えばボンデ ングワイヤなどを用いた単なる配線接続で フセット電圧を打ち消し合うことが可能で 配線を外部に引き出して外部回路に逆接続 る必要がないとともに、差動増幅器の使用 不要で一層簡単な構成でドリフトを防止し 測定精度の向上を実現できる。

 また、上記請求項7または8記載の発明に る可燃性ガスセンサにおいて、請求項10に記 載のように、測定用測温素子及び比較用測温 素子のそれぞれに演算増幅器を接続し、これ ら演算増幅器の出力の差を演算する差動回路 を半導体基板面に実装する構成を採用する場 合は、各測温素子と演算増幅器との接続が極 めて短距離で行えるとともに、測温素子、演 算増幅器、差動回路を含めセンサ全体を金属 キャップなどのシールドケースで覆うことが 可能となり、電磁波などの外乱に対しても強 く、かつ、取扱い性にも優れたガスセンサを 提供することができる。

 また、上記請求項7または8記載の発明に る可燃性ガスセンサにおける前記多孔触媒 としては、層状繊維、多孔質セラミック、 維状またはクラスター状のカーボンナノチ ーブの中から選択した多孔材料に、白金、 ラジウム、ロジウム、イリジウム、ニッケ 、ルテニウムを含む貴金属の中から選択さ た酸化触媒粒子を担持させて形成されたも であればよい(請求項11)。特に、多孔材料と てクラスター状のカーボンナノチューブ(Car bon Nano Tube、以下、CNTと称するものを含む) 選択することが望ましい。この場合は、熱 導度が非常に大きく(因みに、CNTの熱伝導度 約6000W/m・K)、かつ、測定対象ガス中の可燃 ガスとの接触面積を大きくとれることから CNTで発生する反応熱を増大し、その大きな 応熱を速やかに、かつ、効率よく測定用測 素子の感熱部に伝達して該感熱部を急速か 大きく上昇させ、その温度に見合った電圧 出力させることができるので、周囲温度の 化に影響されることなく、所定の可燃性ガ 濃度を高精度に測定できるとともに、測定 度の著しい向上が図れて低濃度の可燃性ガ の測定にも有効利用できる。

 また、上記請求項7または8記載の発明に る可燃性ガスセンサにおける前記多孔触媒 として、ニッケル薄膜層、鉄薄膜層または バルト薄膜層の熱処理により凝集した複数 核上に成長させて形成されるクラスター状 CNTに酸化触媒粒子を結合させて形成された のを用いる場合(請求項12)は、測定対象ガス の接触面積をより大きく確保できるととも 、該多孔触媒層と測温素子の感熱部との結 強度を高めて丈夫で、かつ、酸化反応熱の 熱部への熱伝達性(速度、効率)にも優れ、 定感度の一層の向上が図れる。

 また、請求項7または8記載の発明に係る 燃性ガスセンサにおける前記鎖状触媒層と ては、多数の酸化触媒粒子を分散剤により 散させて熱処理することにより、酸化触媒 子同士を鎖状に繋ぎ結合させて多孔状に形 されたものを用いる(請求項13)ことができる この場合は、測定対象ガスを直接に鎖状の 化触媒粒子に接触させることが可能で、酸 反応熱量を増大して、所定の測定感度及び 定精度を一層向上することができる。

 また、請求項7または8記載の発明に係る 燃性ガスセンサにおける前記測温素子とし は、サーモパイルの使用が好ましい(請求項1 4)。

 さらに、請求項7または8記載の発明に係 可燃性ガスセンサにおける多孔触媒層を形 する多孔材料としてクラスター状のCNTを選 した場合のCNTと測定用測温素子の感熱部と 接続手段として、請求項15に記載のように、 CNTの一端に取付けられたチオール基の硫黄原 子と前記測定用測温素子の感熱部上の絶縁膜 部分に成膜した金属膜の金属原子との結合に より接続する手段を採用する場合は、測温素 子の感熱部上の薄い絶縁膜に熱的、力学的な ストレス及びそのストレスによるダメージを 与えることなく、両者(CNTと測温素子)を接続 ることができ、可燃性ガスセンサの高品質 及び高性能化を図ることができる。

 また、請求項16に記載のように、前記CNT 前記測定用測温素子の感熱部とを、前記測 素子の感熱部上の絶縁膜部分に形成された イヤモンド薄膜の一部を修飾する官能基の 端とカーボンナノチューブの一端を修飾す 官能基の終端同士の化学結合により接続す 手段、あるいは、請求項17に記載のように、 前記CNTと前記測定用測温素子の感熱部とを、 CNTの一端部がシランカップリング剤で終端化 され、その終端を測温素子の感熱部上の薄い 絶縁膜部分に直接化学結合することにより接 続する手段の何れを採用してもよく、これら の場合は、ダイヤモンド薄膜とCNTとの官能基 の終端同士の化学結合による成膜構造、ある いは、シランカップリング剤による直接化学 結合による自己組織分子膜構造に形成される ために、前記反応熱及び測定対象ガスの保有 熱をロスなく、かつ、急速に各感熱部に伝達 することができ、測定感度及び測定精度の一 層の向上を期することができる。

本発明に係る第1実施例の可燃性ガスセ ンサの縦断面図である。 第1実施例の可燃性ガスセンサにおける 多孔触媒層の拡大モデル図である。 本発明に係る第2実施例の可燃性ガスセ ンサの縦断面図である。 本発明に係る第3実施例の可燃性ガスセ ンサの縦断面図である。 (a),(b)共に第3実施例の可燃性ガスセン における多孔状触媒層の拡大モデル図であ 。 本発明に係る第4実施例の可燃性ガスセ ンサの縦断面図である。 本発明に係る第5実施例の可燃性ガスセ ンサにおける多孔触媒層の拡大縦断面図であ る。 本発明に係る第6実施例の可燃性ガスセ ンサの縦断面図である。 本発明に係る第7実施例の可燃性ガスセ ンサを、その構成の一部を取り除いた状態で 示す平面図である。 図9のX-X線に沿った縦断面図である。 第7実施例の可燃性ガスセンサ要部の 面図である。 第7実施例の可燃性ガスセンサ要部の 面図である。 第7実施例の可燃性ガスセンサの等価 路図である。 本発明に係る第8実施例の可燃性ガス ンサの測定回路の一例である。 本発明に係る第9実施例の可燃性ガス ンサの要部の拡大縦断面図である。

符号の説明

 1-1,1-2,…,1-9 可燃性ガスセンサ
 2 Si基板(半導体基板の一例)
 4,40A,40B サーモパイル(測温素子の一例)
 4a,4b,40a,40b 温接点部(感熱部の一例)
 5 絶縁膜
 6 多孔触媒層
 6a 多孔材料
 6b Pt微粒子(酸化触媒微粒子の一例)
 7 鎖状触媒層
 8 多孔層
 12,12A,12B CNT(クラスター状カーボンの一例)
 13 ニッケル薄膜層、鉄薄膜層またはコバル ト薄膜層
 15A,15B 演算増幅器
 19 Au薄膜(金属膜の一例)

 以下、本発明の実施の形態を、図面を参照 ながら説明する。
 図1は、本発明に係る第1実施例の可燃性ガ センサの縦断面図である。この可燃性ガス ンサ1-1は、シリコン(Si)基板(半導体基板の一 例)2の中央部分裏面にエッチングにより空洞 3を形成し、この空洞部3に対応するSi基板2 上面に、測温素子の一例として、例えばポ シリコンとアルミニウム等の異種金属4A,4Bを 接合してなり、受熱量に応じたゼーベック効 果により熱起電力を発生し出力するサーモパ イル4が形成されているとともに、このサー パイル4の表面及び該サーモパイル4周辺の前 記Si基板2の上面全域にはSiO 2  などの絶縁膜5a、5bが成膜されている。

 前記サーモパイル4の感熱部である温接点部 4a上のSiO 2  からなる絶縁膜5a部分上に、図2の拡大モデ 図に示すように、炭素繊維などの繊維状多 材料6aに酸化触媒粒子の一例である白金(Pt) 子6bを散在させて担持させてなる多孔触媒 7を設け、この多孔触媒層7を前記サーモパイ ル4の温接点部4a上の絶縁薄膜5a部分に化学的 しくは物理的に結合したものである。

 なお、前記多孔触媒層7における酸化触媒 粒子としては、Pt粒子6b以外に、パラジウム(P d)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ニッケル(N i)、ルテニウム(Ru)等の貴金属粒子を単独ある いは複合して使用してもよい。

 上記のように構成された第1実施例の可燃性 ガスセンサ1-1においては、水素等の可燃性ガ スを含んだ測定対象ガスが前記Pt粒子6bを担 の多孔触媒層7に接触し侵入すると、測定対 ガス中の可燃性ガス、例えば水素ガス(H 2  )分子が多孔触媒層7に担持されているPt粒子 6bに接触して、既述(1)式で示すとおり、酸素 ス(O 2  )分子と反応して水分子(H 2  O)を生じ、このとき、反応熱Qを発生する。

 ここで、前記多孔触媒層7におけるPt粒子6 bが、炭素繊維などの繊維状多孔材料6aに担持 されているので、測定対象ガス中の可燃性ガ スとPt粒子6bとの接触面積は大きくて前記反 熱Qは非常に大きいものとなり、その大きな 応熱がPt粒子6bの表面から熱伝導度の大きい 炭素繊維などの繊維状多孔材料6aを経て、サ モパイル4の温接点部4aに速やかに、かつ、 率よく伝達されて該温接点部4aが急速かつ きく昇温し冷接点部との間で大きな熱起電 を発生することになる。この熱起電力を測 して単位時間当たりの熱量を算出すること より、水素ガス等の可燃性ガス濃度を非常 感度よく測定することができる。

 図3は、本発明に係る第2実施例の可燃性 スセンサの縦断面図である。この第2実施例 ガスセンサ1-2は、サーモパイル4の温接点部 4a上の絶縁膜5a部分上に炭素繊維や多孔質セ ミックなど熱伝導率の高い材料からなる多 層8を薄膜状に形成し、この薄膜状多孔層8上 に、第1実施例と同様な多孔触媒層7を形成し ものであり、その他の構成は上記した第1実 施例と同様であるため、同一部材、同一部位 に同一の符号を付して、それらの説明を省略 する。

 上記第2実施例の可燃性ガスセンサ1-2におい ても、第1実施例の可燃性ガスセンサ1-1とほ 同様に、測定対象ガスが前記多孔触媒層7に 触し侵入することにより、測定対象ガス中 可燃性ガス、例えば水素ガス(H 2  )分子が多孔触媒層7に担持されているPt粒子 6bに接触して、既述(1)式で示すとおり、酸素 ス(O 2  )分子と反応して水分子(H 2  O)を生じ、このとき、発生する反応熱がPt粒 子6bの表面から熱伝導度の大きい炭素繊維な の繊維状多孔材料6a及び薄膜状多孔層8を経 、サーモパイル4の温接点部4aに効率よく伝 されて該温接点部4aが急速かつ大きく昇温 冷接点部との間で大きな熱起電力を発生し この熱起電力を測定して単位時間当たりの 量を算出することにより、水素ガス等の可 性ガス濃度を非常に感度よく測定すること できる。

 図4は、本発明に係る第3実施例の可燃性ガ センサの縦断面図である。この第3実施例の 燃性ガスセンサ1-3は、サーモパイル4上にSiO 2  及びSiNからなる二重の絶縁膜5を形成すると ともに、前記サーモパイル4の温接点部4aに対 応する絶縁膜部分5a上に鎖状触媒層9を形成し たものである。この鎖状触媒層9は、図5の拡 モデル図(a)で示すように、酸化触媒粒子の 例であって、比較的粒径が大きい多数のPt 子6bを分散剤によりPt粒子6bよりも融点の低 材料、例えば繊維材料10に分散させたうえ、 熱処理を施して前記低融点の繊維材料10を融 し消失させることにより、図5の(b)に示すよ うに、残った多数のPt粒子6b同士のみが鎖状 繋ぎ結合されて多孔状に形成されたもので る。その他の構成は上記した第1実施例と同 であるため、同一部材、同一部位に同一の 号を付して、それらの説明を省略する。

 上記第3実施例の可燃性ガスセンサ1-3にお いては、測定対象ガスが鎖状触媒層9を形成 る鎖状Pt粒子6bに直接接触することにより、 述(1)式で示すとおりに反応して大きな反応 を発生し、その反応熱がPt粒子6bの表面から 直接にサーモパイル4の温接点部4aに効率よく 伝達されて昇温し冷接点部との間で大きな熱 起電力を発生し、この熱起電力を測定して単 位時間当たりの熱量を算出することにより、 水素ガス等の可燃性ガス濃度を非常に感度よ く測定することができる。

 図6は、本発明に係る第4実施例の可燃性 スセンサの縦断面図である。この第4実施例 可燃性ガスセンサ1-4は、サーモパイル4の温 接点部4a上の絶縁膜5a部分上に金属膜、特に (Au)薄膜11が成膜されているとともに、このAu 薄膜11上に、該薄膜11の平面に、Pt粒子を予め 担持させてなるクラスター状カーボンの代表 例としての複数個のカーボンナノチューブ(Ca rbon Nano Tube、以下、CNTと称する)12が配置さ 、これらCNT12を、その一端部に取り付けたチ オール基の硫黄原子と前記Au薄膜11のAu原子と の結合によるCNT-R-S-Au構造の成膜化によって ーモパイル4の温接点部4aに接続して多孔触 層7を形成したものである。その他の構成は 記第3実施例と同様であるため、同一部材、 同一部位に同一の符号を付して、それらの説 明を省略する。

 なお、前記CNT12の接続手段としては、上 のように、一端に取り付けたチオール基の 黄原子とAu薄膜11のAu原子との結合による接 の他に、サーモパイル4の温接点部4a上の絶 膜5a部分上に、例えばCVD法によりダイヤモン ド薄膜を形成し、このダイヤモンド薄膜の一 部を水素、水酸基、カルボキシル基、アミノ 基などの官能基で終端化するとともに、CNT12 一端部にその一部の炭素結合をカルボキシ 基、アミノ基などの官能基で終端化し、そ ら両官能基の終端同士を脱水重合し化学結 することにより接続してもよく、また、CNT1 2の一端部をシランカップリング剤で終端化 、その終端をサーモパイル4の温接点部4a上 絶縁膜5a部分に直接化学結合して接続しても よい。

 さらに、本発明に係る第5実施例の可燃性 ガスセンサとして、図7に示すように、ニッ ル薄膜層、鉄薄膜層またはコバルト薄膜層13 の熱処理により凝集した複数の核14上にCVD法 どにより成長させてクラスター状のCNT12を 成し、このCNT12にPt粒子6bを付着させて形成 れた多孔触媒層7を、サーモパイル4の温接点 部4a上の絶縁膜5a部分上に化学的もしくは物 的に結合したものであってもよい。その他 構成は第3実施例と同様であるため、ガスセ サ全体の構成は省略する。

 これら第4実施例及び第5実施例の可燃性 スセンサの場合は、熱伝導度が非常に大き 、かつ、測定対象ガスとの接触面積が大き とれるCNT12を用いることにより、当該ガスセ ンサ全体の小型コンパクト化を図りつつ、大 きな熱起電力を急速に発生させることが可能 で、水素ガス等の可燃性ガス濃度を非常に感 度よく、かつ、精度よく測定することができ る。

 図8は、本発明に係る第6実施例の可燃性 スセンサの縦断面図である。この第6実施例 可燃性ガスセンサ1-6は、Pt粒子担持の多孔 媒層7を、サーモパイル4の裏面における温接 点部4aに対応する部分に形成したものであり サーモパイル4の表面には保護膜15が形成さ ている。その他の構成は上記第1実施例と同 様であるため、同一部材、同一部位に同一の 符号を付して、それらの説明を省略する。

 このように構成された第6実施例の可燃性 ガスセンサ1-6においても、上記第1~第5実施例 で示したものと同様に、水素ガス等の可燃性 ガス濃度を高感度、高精度に測定することが 可能であるが、特に、多孔触媒層7をサーモ イル4の裏面側に形成することにより、多孔 媒層7をサーモパイル4の温接点部4aに対応さ せて形成する際、その形成位置に多少の位置 ずれがあっても、構造上、その多孔触媒層7 サーモパイル4の冷接点部に触れることがな ので、冷接点部の不用な温度上昇に伴う感 低下がない。その結果、測定感度及び測定 度の向上が図れるとともに、特性の揃った 燃性ガスセンサを量産することが容易であ 。

 なお、第6実施例において、サーモパイル 4の裏面における温接点部4aに対応する部分に 形成される触媒層としては、図2に示すよう 多孔触媒層に限らず、図5の(b)で示すような 状に結合されたPt粒子6bからなる鎖状触媒層 9であっても、図6や図7に示すように、Pt粒子 担持するCNT12を用いた多孔触媒層7であって よい。

 図9は本発明に係る第7実施例の可燃性ガス ンサを、その構成の一部(後述の金属製キャ プ)を取り除いて示す平面図、図10は図9のX-X 線に沿った縦断面図である。この第7実施例 可燃性ガスセンサ1-7は、ステム16上に全面接 着して設けたシリコン(Si)基板(半導体基板の 例)2の中央部分裏面にエッチングにより空 部3を形成し、この空洞部3に対応するSi基板2 の上面に、測温素子の一例として、例えばポ リシアンとアルミニウム等の異種金属4A,4B(図 1参照)を接合してなり、受熱量に応じたゼー ック効果により熱起電力を発生して電圧を 力する二つのサーモパイル40A,40Bが互いに近 接して形成されているとともに、これらサー モパイル40A,40Bの表面を含めて前記Si基板2の 面全域には、例えばSiO 2  薄膜やSiN薄膜などのダイヤフラム状の絶縁 5が成膜されている。

 前記各サーモパイル40A,40Bのうち、一方の サーモパイル40Aの感熱部である温接点部40a上 の絶縁膜部分には、図1,図2で示したと同様な 多孔触媒層7が設けられている(以下、これを 定用サーモカップルという)一方、他方のサ ーモパイル40Bの温接点部40bには、多孔触媒層 が設けられていない(以下、これを比較用サ モパイルという)。これら二つのサーモパイ 40A,40Bには、前記ステム16を貫通する状態で 接点部40a,40b及び冷接点部に接続される各二 本の端子17A1,17A2、17B1,17B2が設けられており、 これら各端子17A1,17A2、17B1,17B2は、図11に示す うに、同一円周上に中心角で90°の等間隔を 置いて配置されている。

 そして、前記測定用サーモパイル40Aと比 用サーモパイル40Bとの極性が互いに直列逆 性となるように、測定用サーモパイル40Aの 出力部(冷接点部)と比較用サーモパイル40B 負出力部(冷接点部)とがボンディングワイヤ 18aによって相互に接続されて端子17A2に接続 れるとともに、測定用サーモパイル40Aの正 力部(温接点部40a)がボンディングワイヤ18bに よって端子17A1に、比較用サーモパイル40Bの 出力部(温接点部40b)がボンディングワイヤ18c によって端子17B1に接続され、これによって 図13に示すような等価回路が形成されている 。なお、端子17B2はケースアース端子である

 また、前記ステム16の上部には、前記二 のサーモパイル40A,40Bを包囲し被覆する金属 キャップ19が例えば電気溶接等の手段を介 て固定され、これによって、可燃性ガスセ サ1-7がパッケージ化されている。前記金属 キャップ19の頂壁面には開口部20が設けられ この開口部20は、図12に示すように、測定対 象ガスの通過を可能とする金属メッシュ21に り閉塞されている。

 上記のように構成された第7実施例の可燃性 ガスセンサ1-7においては、水素等の可燃性ガ スを含んだ測定対象ガスが測定用サーモパイ ル40Aの温接点部4a上に設けられている多孔触 層7に担持されているPt6bに接触すると、測 対象ガス中の可燃性ガス、例えば水素ガス(H 2  )分子が既述(1)式で示すとおり、酸素ガス(O 2  )分子と化学反応して水分子(H 2  O)を生じ、このとき、反応熱Qを発生し、そ 反応熱によって測定用サーモパイル40Aの温 点部40aの温度が上昇し、その温度に見合っ 起電力を生じて電圧を出力する一方、比較 サーモパイル40Bでは上記のような化学反応 よる反応熱を発生せず、測定対象ガスの保 熱量のみによってその温接点部40bの温度が 昇し、その温度に見合った起電力を生じて 圧を出力することになり、これら両電圧の を求めることで、前記反応熱に起因する電 のみが得られ、その電圧から測定対象ガス の水素等の可燃性ガス濃度を求めることに って、可燃性ガス濃度を測定する。

 この測定時において周囲温度が変化する 、過渡的にオフセット電圧(ドリフト)が生 るが、そのオフセット電圧の大きさは、Pt担 持の測定用サーモパイル40AもPt非担持の比較 ーモパイル40Bも同等であるために、周囲温 の変化にかかわらず所定の可燃性ガス濃度 定を精度よく行うことができる。

 特に、第7実施例の可燃性ガスセンサ1-7は 、両サーモパイル40A,40Bをそれらの極性が互 に直列逆極性となるように接続しているの 、周囲温度の変化によって生じるオフセッ 電圧を打ち消し合うことが可能で、配線を 部に引き出して外部回路に逆接続する必要 ないとともに、差動増幅器の使用も不要な 単な構成でドリフトを防止し、測定精度の 上を実現できる。

 図14は本発明に係る第8実施例の可燃性ガ センサの測定回路の一例である。この第8実 施例では、前記二つのサーモカップル40A,40B それらの極性が互いに逆直列逆極性となる うに接続するのではなく、可燃性ガスセン のパッケージ内部に後述の測定回路を実装 たものであり、その基本的な構成は、上記 7実施例で説明したものと同一であるため、 示及びそれら構成の詳細な説明は省略する

 この第8実施例の可燃性ガスセンサ1にお ては、測定用サーモパイル40A及び比較用サ モパイル40Bにそれぞれが発生する起電力を ンピーダンス変換及び電圧増幅する演算増 器22A及び22Bが接続されている。これは、一 にサーモパイルによる起電力は小さいので 各演算増幅器22A,22Bにゲインを持たせて扱い すい電圧になるまで増幅する。また、この きのゲインを、R2/R1=R4/R3に設定することに り、両演算増幅器22A,22Bのゲインを等しくし いる。

 そして、前記両演算増幅器22A,22B並びにこ れら両演算増幅器22A,22Bの出力の差を演算す 差動回路がSi基板2に実装されたものである

 上記差動回路としては、両演算増幅器22A, 22Bの出力をAD変換器23のアナログ入力端AIN1,AIN 2に直接入力してAD変換したデジタル信号をMPU 24に取り込んで両出力(電圧)の差を演算する うにしても、また、前記両演算増幅器22A,22B 出力を差動増幅器25に入力して両出力の差 予め求め、その差信号をAD変換器23のアナロ 入力端AIN0に入力してAD変換後のデジタル信 をMPU24に取り込むようにしてもよい。いず の場合も、比較用サーモパイル40Bにより発 される起電力から測定対象ガスの温度を演 し、この演算した温度で測定用サーモカッ ル40Aにより発生される起電力から演算され 測定対象ガスの温度を補正することにより 周囲温度の変化による影響をうけることな 、測定対象ガス中の可燃性ガスの濃度を精 よく演算することができる。

 なお、前記MPU24で演算され出力される可 性ガスの濃度値は、そのまま表示部に表示 せるようにしても、例えばホストコンピュ タなどの上位装置に通信転送しても、ある は、印刷したり、メモリに記憶保存したり てもよい。

 また、上記第7,第8実施例における測定用 ーモパイル40Aの感熱部40a上に設けられる多 触媒層7の形成材料としては、炭素繊維など の層状繊維や多孔質セラミックを用いてもよ く、この多孔触媒層7における酸化触媒粒子 しては、Pt粒子6b以外に、パラジウム(Pd)、ロ ジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ニッケル(Ni)、ル テニウム(Ru)等の貴金属粒子を単独あるいは 合して使用してもよい。さらに、多孔触媒 7に代えて、図4,図5で示したような鎖状触媒 を設けてもよい。

 また、上記第7及び第8実施例では、Si基板 2上に、測定用及び比較用の二つのサーモパ ル40A,40Bを互いに近接して形成させたものに いて説明したが、これに代えて、Si基板2上 二つの温接点部を有する単一のサーモパイ を形成し、その二つの温接点部の一方に多 触媒層または鎖状触媒層を設け、他方の温 点部には多孔触媒層または鎖状触媒層を設 ない構成としてもよく、このような構成の のにおいても、上記第7,第8実施例の可燃性 スセンサと同様な作用及び効果を奏する可 性ガスセンサを実現可能である。なお、こ 単一サーモパイルを用いた可燃性ガスセン の具体的な構成の説明及び図示は省略する

 図15は本発明に係る第9実施例の可燃性ガ センサの要部の拡大縦断面図である。この 9実施例の可燃性ガスセンサ1-9は、Si基板2上 に互いに近接して形成された二つのサーモパ イル40A,40Bの温接点部(図示省略)に対応する絶 縁膜5部分にそれぞれ金属膜、特に金(Au)薄膜2 6が成膜されているとともに、これらAu薄膜26 に、CNT12A,12Bが配置され、前記Au薄膜26に結 し接続されている。

 前記二つのサーモパイル40A,40Bに対応する CNT12A,12Bのうち、一方の、つまり、測定用サ モパイル40A側のCNT12Aは、単層または複層(多 )のCNTに酸化触媒粒子の一例であるPt6bを予 担持させてこれを多孔触媒層としたもので り、他方のCNT12Bは前記と同様に単層または 層のCNTにPtを担持させていないものである。 そして、これらPt担持のCNT12A及びPt非担持のCN T12Bの一端には、一部にチオール基を取り付 、このチオール基の硫黄原子Sと前記サーモ イル40A,40B上の絶縁膜5部分上に成膜の前記Au 薄膜26のAu原子との結合によるCNT-R-S-Auの構造 成膜化によって、Pt担持CNT12A及びPt非担持CNT 12Bを前記サーモパイル40A,40Bの温接点部に接 したものである。

 なお、この第9実施例の可燃性ガスセンサ1-9 は、第7実施例のものと同様に、ステム16とそ の上部に前記二つのサーモパイル40A,40Bを包 し被覆するように固定された金属製キャッ 19とによりパッケージ化したもの、あるいは 、両CNT12A,12Bを露出させて非パッケージ化し もの、のいずれであってもよい。
 また、この第9実施例の可燃性ガスセンサ1-9 の測定回路としては、パッケージ化された前 記二つのサーモカップル40A,40Bをそれらの極 が互いに逆直列逆極性となるように接続し もよいし、図14に示したような差動回路を用 いてもよい。

 上記のように構成された第9実施例の可燃 性ガスセンサ1-9においても、上記第1~第7実施 例で示したものと同様に、水素ガス等の可燃 性ガス濃度を高感度、高精度に測定すること が可能である。特に、二つのサーモパイル40A ,40Bの温接点部に熱伝導度が非常に大きく、 つ、測定対象ガス中の可燃性ガスとの接触 積を大きくとれるCNT12A,12Bを接続しているの 、Pt担持CNT12Aで発生する反応熱は非常に大 く、その反応熱を速やかに、かつ、効率よ サーモパイル40Aの温接点部に伝達して該温 点部を急速かつ大きく上昇させ、その温度 見合った電圧が出力されるとともに、Pt非担 持CNT12Bでは、周囲温度の変化に対応して変動 する測定対象ガスの保有熱量のみをサーモパ イル40Bの温接点部に速やかに、かつ、効率よ く伝達して該温接点部を周囲温度を反映した 温度に上昇させ、その温度に見合った電圧が 出力されることになり、これら両出力電圧の 差を求めることで、周囲温度の変化にかかわ らず前記反応熱に起因する電圧のみが得られ 、その電圧から測定対象ガス中の水素等の可 燃性ガス濃度を求めることによって、周囲温 度の変化に影響されることなく、所定の可燃 性ガス濃度を高精度に測定できるとともに、 測定感度の著しい向上が図れて低濃度の可燃 性ガスの測定にも有効利用できる。

 なお、図示は省略するが、二つのサーモ イル40A,40Bの温接点部に対応する絶縁膜5部 にそれぞれダイヤモンド薄膜をCVD法により 膜する、もしくは、シランカップリング剤 用いてダイヤモンド粒子を堆積してなるダ ヤモンド薄膜を形成し、このダイヤモンド 膜の一部を水素、水酸基、カルボキシル基 アミノ基等の官能基で終端化するとともに 前記両CNT12A,12Bの一端に一部の炭素結合をカ ボキシル基、アミノ基等の官能基で終端化 、それら両官能基の終端同士を脱水重合し 学結合することにより、前記両CNT12A,12Bをダ イヤモンド薄膜及び各サーモパイル40A,40Bの 接点部に結合し接続してもよい。この場合 、ダイヤモンド薄膜と両CNT12A,12Bとの結合部 丈夫な構造膜を形成することが可能である

 また、図示省略するが、CNT12A,12Bの一部を シランカップリング剤で終端化し、この終端 をサーモパイル40A,40Bの温接点部上の絶縁膜5 分に直接化学結合して接続してもよい。

 また、上記各実施例において、サーモパ ル4や4A,4Bの周囲にヒータなどを組み込んで 定対象ガスを加熱するように構成してもよ 。この場合は、ヒータによる測定対象ガス 加熱温度を調節することにより、測定対象 スに含まれている水素以外の他の可燃性ガ の測定も可能で、測定対象ガスに対する選 性をもたせることができる。

 また、測定対象ガスが複数の可燃性ガス 含有している場合は、サンプリング装置と ラムを用いて可燃性ガス種を分離し、その 離後の可燃性ガスに酸素を補給してサーモ イル4、4A,4B上で反応させることにより、分 された種類毎の可燃性ガスの濃度を測定す ことが可能である。

 さらに、上記各実施例では、測温素子と て、サーモパイルを用いたもので説明した 、それ以外に、サーミスタボロメータを用 たものであっても、上記したものと同様に センサ全体の小型化を図りつつ、可燃性ガ の測定感度及び測定精度の向上効果を奏す ものである。

 本発明に係る可燃性ガスセンサは、全体 小型化を図りつつ、測定対象ガスと酸化触 との接触面積の増大により酸化反応熱の発 量を増加するとともに、測温素子への熱伝 性を改善して、低濃度の可燃性ガスであっ も、その測定感度及び測定精度の著しい向 を実現することができるので、例えば石油 学工場等においてCO、HC、ホルムアルデヒド 、水素等の可燃性ガスが爆発する等の災害を 未然に防止するために、測定対象ガスの発熱 量を測定して当該測定対象ガス中に含有され ている水素ガス等の可燃性ガスの濃度測定に 有効に利用することができる。