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Title:
COMPONENT FOR CONSTANT VELOCITY UNIVERSAL JOINT AND METHOD FOR MANUFACTURING THE COMPONENT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/105209
Kind Code:
A1
Abstract:
This invention provides a component for a constant velocity universal joint, which can realize an enhancement in strength without a significant change in process and can contribute to a size reduction and a weight reduction, and a method for manufacturing the same. In the manufacture of the component for a constant velocity universal joint, after cold plastic working, machining is carried out to form an acute angle part (15). Thereafter, carburizing treatment is carried out to a surface carbon concentration of less than 0.45% by mass to 0.60% by mass followed by quenching. Next, high frequency dielectric heat quenching is carried out.

Inventors:
YOSHIDA KAZUHIKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/051230
Publication Date:
September 04, 2008
Filing Date:
January 28, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NTN TOYO BEARING CO LTD (JP)
YOSHIDA KAZUHIKO (JP)
International Classes:
F16D3/20; C21D1/06; C21D1/10; C21D9/00; C23C8/22; C23C8/38; F16D3/2237; F16D3/2245
Foreign References:
JPH05331616A1993-12-14
JP2006028541A2006-02-02
JP3395252B22003-04-07
JPH11294476A1999-10-26
JPH04103752A1992-04-06
JP2000104749A2000-04-11
JPH05331616A1993-12-14
JP2002371320A2002-12-26
JP2005048292A2005-02-24
JP3381738B22003-03-04
JP3395252B22003-04-07
Attorney, Agent or Firm:
TANAKA, Hideyoshi et al. (15-26 Edobori 1-chome,Nishi-ku, Osaka-shi, Osaka 02, JP)
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Claims:
 冷間塑性加工を行った後、機械加工で鋭角部が形成される等速自在継手用部品であって、肌焼鋼を用いて、浸炭焼入れ後短時間2次焼入れ処理により、表面に0.45mass%~0.60mass%未満の炭素濃度を有し、旧オーステナイト粒の混粒の生成がないことを特徴とする等速自在継手用浸炭部品。
 鋭角部を有する等速自在継手用部品を製造する等速自在継手用部品製造方法であって、冷間塑性加工を行った後、機械加工で前記鋭角部を形成し、その後、表面炭素濃度が0.45mass%~0.60mass%未満となる浸炭処理を行った後焼入れを行い、次に高周波誘導加熱焼入を行うことを特徴とする等速自在継手用部品製造方法。
 鋭角部を有する等速自在継手用部品を製造する等速自在継手用部品製造方法であって、冷間塑性加工を行った後、機械加工で前記鋭角部を形成し、その後、表面炭素濃度が0.45mass%~0.60mass%未満となる浸炭処理を行った後、A r1 点以下まで徐冷し、ベイナイト、標準組織、又はベイナイトと標準組織との混合組織とし、次に高周波誘導加熱焼入を行うことを特徴とする等速自在継手用部品製造方法。
 鋭角部を有する等速自在継手用部品を製造する等速自在継手用部品製造方法であって、冷間塑性加工を行った後、機械加工で前記鋭角部を形成し、その後、表面炭素濃度が0.45mass%~0.60mass%未満となる浸炭処理を行った後、A r1 点以下の温度で恒温変態させ、次に高周波誘導加熱焼入を行うことを特徴とする等速自在継手用部品製造方法。
Description:
等速自在継手用部品及びその製 方法

 本発明は、等速自在継手用ケージ等の等 自在継手用部品及びその製造方法に関する

 等速自在継手は、自動車や各種産業機械 動力伝達系において、駆動側の回転軸と従 側の回転軸を連結して等角速度でトルクを 達するもので、トルク伝達要素であるボー を用いたボールタイプの等速自在継手とし 、ボールフィックス型等速自在継手(BJ)、ダ ブルオフセット型等速自在継手(DOJ)やレブロ 等速自在継手(LJ)など種々のものがある。ま た、トルク伝達ボールの個数は6個または8個 代表的である。

 これら等速自在継手は、外側継手部材と ての外輪、内側継手部材としての内輪、ト ク伝達ボールおよびケージを主要な構成要 として成り立っている。外輪の内周面には 方向に延びるトラック溝が形成され、また 内輪の外周面にも軸方向に延びるトラック が形成されている。これら外輪と内輪に、 動側の回転軸と従動側の回転軸が連結され いる。外輪のトラック溝と内輪のトラック とが対をなしてボールトラックを形成し、 ボールトラックにトルク伝達ボールが組み んである。トルク伝達ボールは、ケージの 方向に形成されたポケット内に収容されて 動自在に保持されている。

 このような等速自在継手は近年小型化・ 量化を図れている。ところが、等速自在継 の小型化・軽量化で最も困難なことは、高 動角時に十分な強度を確保することである この高角強度を評価するのに、等速自在継 では準静捩り試験を行うことによって評価 ている(特許文献1)。ここで、準静捩り試験 は、実車状況を考慮して等速自在継手に回 を与えながらトルクを加えて破壊トルクを 定する試験である。

 準静捩り強度は、ケージや内輪等の浸炭 品の強度に強く依存している。したがって 等速自在継手の小型・軽量化を達成するた には、浸炭部品(特にケージ)の強靭化が課 である。そこで、等速自在継手用のケージ 製造は、一般に、低炭素鋼(SCr415)の素材を冷 間で塑性加工を加えた後、機械加工を行い、 その後、浸炭焼入れを行って仕上加工を行う (特許文献2)。

 そして、浸炭部品の高強度化の対策とし は、例えば特許文献3に記載されているよう に提案されている。すなわち、冷間で塑性加 工を受けた部品を高温で長時間保持すると、 オーステナイト結晶粒の粗大化が発生し強度 が著しく低下する。このため、材料に特殊な 元素を添加しオーステナイト粒の成長を抑制 し強度を向上させるものである。

 また、0.6~0.9%の炭素を浸炭後、高周波焼 れをすることによって、炭化物などの偏析 減少とオーステナイト結晶粒の微細化(♯10 上)をすることで強度を向上する処理方法も 案されている(特許文献4)。

 さらには、窒化処理後高周波焼入れし、機 的強度を向上させるものも提案されている( 特許文献5)。また、浸炭後徐冷し表面のみを 周波焼入れし高強度化するものも提案され いる(特許文献6)。

特開2000-104749号公報

特開平5-331616号公報

特開2002-371320号公報

特開2005-48292号公報

特許第3381738号公報

特許第3395252号公報

 前記したように、等速自在継手の小型化 軽量化を達成するためには、浸炭部品の強 化が課題である。しかしながら、前記特許 献3に記載のように、材料に特殊な元素を添 加しオーステナイト粒の成長を抑制し強度を 向上させるものでは、Nb、Ti、V等の特殊な材 は、調達性に問題がある。また、浸炭によ 粒界へのP、S、炭化物等の析出は避けられ いため、粒界破壊を完全に防止できない。 ージは、冷間で強加工されるため、Nb、Ti、V 等の特殊な材料を使用しても、浸炭加熱時に 結晶粒の局部的な粗大化が発生し、微細な部 分と著しく粗大化した部分が混在した混粒状 態を呈し、強度の向上は望めない。

 また、冷間で塑性加工を行い、機械加工 より鋭い鋭角部を有するケージ等の等速自 継手用部品においては、前記特許文献4に記 載の処理方法では効果がない。すなわち、ケ ージ等のように鋭角部を有し表面に高濃度の 炭素を浸炭焼入れ処理された部品では、鋭角 部は平坦な部位より炭素濃度が増加し、焼入 れ後セメンタイトが析出し強度を著しく低下 させる。そのため、応力が作用すると低応力 で降伏が開始し、高炭素な鋭角部より亀裂が 粒界に沿って脆性的に破壊するためである。

 さらに、ケージのような窓の孔があり、 続的な形状を有する部品の高周波加熱は、 一に加熱されないため、熱拡散を利用し焼 れ温度に加熱せざるを得ないため、加熱温 をオーステナイト変態温度よりも高める必 がある。したがって、ケージの高周波焼入 時の加熱温度は局部的にオーステナイト変 温度直上では、局部的に不完全焼入れ部が じる。

 特許文献5に記載のように、中炭素鋼を窒 化処理後高周波焼入れし、機械的強度を向上 させるものでは、中炭素鋼は、浸炭の肌焼鋼 (C:0.10mass%~0.20mass%、SCr415、SCr420等)と比較し、 素量が増加するため、冷間で塑性加工を行 場合、変形能が低下し製品の割れや型寿命 低下を招く問題がある。また、特許文献6に 記載の場合、浸炭時の浸炭量は一般的に行わ れる量であり、十分に粒界を強化できず、鋭 角な部品を有する部品の高強度化には十分で はない。

 本発明は、上記課題に鑑みて、従来の浸 焼入れ処理された部品の大幅な工程変更を うことなく高強度化が可能であって、小型 及び軽量化に貢献できる等速自在継手用部 及びその製造方法を提供する。

 本発明の等速自在継手用部品は、等速自 継手用浸炭部品であって、冷間塑性加工を った後、機械加工で鋭角部が形成される等 自在継手用部品で、肌焼鋼を用いて、浸炭 入れ後短時間2次焼入れ処理により、表面に 0.45mass%~0.60mass%未満の浸炭層を有し、旧オー テナイト粒の混粒の生成がないものである ここで、肌焼鋼とは、JIS G 4104、4105相当の 材である。また、旧オーステナイト粒の混 とは、JIS G O551参照、2つ以上の異なった粒 度指数(番号)系列に属する結晶粒が含まれる とである。

 本発明の等速自在継手用部品は、低濃度 炭であるため、炭化物の粒界への析出や鋭 部の高炭素化が抑制される。また、高周波 導加熱での短時間2次焼入れにより浸炭時の 混粒が改善され、強度が大幅に向上する。す なわち、本発明は、鋭角部を有する等速自在 継手用部品の強度向上させる発明である。

 本発明の第1の等速自在継手用部品の製造 方法は、鋭角部を有する等速自在継手用部品 を製造する等速自在継手用部品製造方法であ って、冷間塑性加工を行った後、機械加工で 前記鋭角部を形成し、その後、表面炭素濃度 が0.45mass%~0.60mass%未満となる浸炭処理を行っ 後焼入れを行い、次に高周波誘導加熱焼入 行うものである。

 本発明の第1の等速自在継手用部品の製造 方法によれば、低濃度浸炭であるため、炭化 物の粒界への析出が抑制される。また、高周 波誘導加熱での2次焼入れにより浸炭時の粗 化が改善される。

 本発明の第2の等速自在継手用部品の製造方 法は、鋭角部を有する等速自在継手用部品を 製造する等速自在継手用部品製造方法であっ て、冷間塑性加工を行った後、機械加工で前 記鋭角部を形成し、その後、表面炭素濃度が 0.45mass%~0.60mass%未満となる浸炭処理を行った 、A r1 点以下まで徐冷し、ベイナイト、標準組織、 又はベイナイトと標準組織との混合組織とし 、次に高周波誘導加熱焼入を行うものである 。

 本発明の第2の等速自在継手用部品の製造 方法によれば、浸炭後徐冷し、組織をベイナ イト、標準組織、又はベイナイトと標準組織 との混合組織とするので、高周波焼入れ後の 熱処理変形を低減できる。すなわち、浸炭後 焼入れするより、徐冷する方が均一に冷却さ れるため熱歪が小さく、次の高周波加熱で熱 歪が開放されて変形を来たすが、熱歪が小さ いため高周波焼入れ後の変形が少ない。

 本発明の第3の等速自在継手用部品の製造方 法は、鋭角部を有する等速自在継手用部品を 製造する等速自在継手用部品製造方法であっ て、冷間塑性加工を行った後、機械加工で前 記鋭角部を形成し、その後、表面炭素濃度が 0.45mass%~0.60mass%未満となる浸炭処理を行った 、A r1 点以下の温度で恒温変態させ、次に高周波誘 導加熱焼入を行うものである。

 本発明の第3の等速自在継手用部品の製造方 法によれば、A r1 点以下の温度で恒温変態させ、次に高周波誘 導加熱焼入を行うものであるので、より一層 高周波誘導焼入れ後の変形が少ない。

 本発明の等速自在継手用部品は、低濃度 炭層が表面に生成し、炭化物の粒界への析 や鋭角部の高炭素化が抑制され、また、高 波誘導加熱での短時間2次焼入れにより浸炭 時の粗大化が改善される。このため、新たな 清浄度の高い微細な粒界が全断面に形成され 、より高強度化できる。したがって、製造し た等速自在継手用部品を用いた等速自在継手 の小型化を図ることができる。また、製造し た等速自在継手用部品としては、従来の既存 の部品と同一形状であっても、強度的に優れ たものとなる。このため、この従来と同一形 状のものを使用することによって、他の部品 を従来の既存のものを使用して、従来と同一 形状同一大きさの等速自在継手を構成するこ とができる。このように、本発明によれば、 継手高角度強度の最弱部品である浸炭部品の 高強度化が可能となり、継手の小型化が可能 で、従来形状と同一で使用できるため、大幅 な工程変更を伴うことなく高強度化が可能で ある。特に、小型化できたことにより、コス トの低減や車両の燃費向上に寄与することが できる。

 本発明の第1の等速自在継手用部品の製造 方法では、低濃度浸炭であるため、炭化物の 粒界への析出が抑制され、また、高周波誘導 加熱での短時間2次焼入れにより浸炭時の粗 化が改善される。このため、新たな清浄度 高い粒界が全断面に形成されるため、より 強度化できる。

 本発明の第2の等速自在継手用部品の製造方 法であっても、低濃度浸炭であるため、炭化 物の粒界への析出や鋭角部の高炭素化が抑制 され、高周波誘導加熱での短時間2次焼入れ より浸炭時の粗大化が改善される。このた 、前記第1の等速自在継手用部品の製造方法 同様の作用効果を奏することができる。し も、浸炭後焼入れすることにより、高周波 入れ後の変形が少なく、高品質の等速自在 手用部品の製造が可能となる。
本発明の第3の等速自在継手用部品の製造方 であっても、低炭素浸炭であるため、炭化 の粒界への析出や鋭角部の高炭素化が抑制 れ、高周波誘導加熱での2次焼入れにより浸 時の粗大化が改善される。このため、前記 1の等速自在継手用部品の製造方法と同様の 作用効果を得ることができる。しかも、A r1 点以下の温度で恒温変態させ、次に高周波誘 導加熱焼入を行うものであるので、高周波焼 入れ後の変形がより一層少なく、高品質の等 速自在継手用部品の製造が可能となる。

 以下本発明の実施の形態を図1~図7に基づ て説明する。

 図1に本発明に係る等速自在継手用部品の 製造方法にて製造された等速自在継手用部品 (この場合、ケージ)を使用した等速自在継手 示している。この等速自在継手は、外側継 部材としての外輪1、内側継手部材としての 内輪2、トルク伝達ボール3およびケージ4を主 要な構成要素として成り立っている。

 外輪1の内周面(内径面)5には軸方向に延び るトラック溝6が形成され、また、内輪2の外 面7にも軸方向に延びるトラック溝8が形成 れている。外輪1のトラック溝6と内輪2のト ック溝8とが対をなしてボールトラックを形 し、各ボールトラックにトルク伝達ボール3 が組み込んである。トルク伝達ボール3は、 ージ4の周方向に形成されたポケット11内に 容されて転動自在に保持されている。また 内輪2の中心孔にシャフト10が嵌入されてい 。

 図2と図3に示すように、ケージ4には周方 に沿って所定ピッチ(図例では、45度ピッチ) で8個のポケット11が形成されている。このた め、周方向に沿って隣合うポケット11間に柱 12(この場合、8個)が形成されることになる

 ところで、ケージ4は、図2に示すように 各柱部12においては、15a、15b、15c等で示す部 位に鋭角部が形成され、各ポケット11では15d で示す部位に鋭角部が形成される。

 この等速自在継手用部品は、冷間塑性加 を行った後、機械加工で鋭角部が形成され 等速自在継手用部品で、肌焼鋼を用いて、 炭焼入れ後短時間2次焼入れ処理により、表 面に0.45mass%~0.60mass%未満の浸炭層を有し、旧 ーステナイト粒の混粒の生成がないもので る。ここで、肌焼鋼とは、JIS G 4104、4105相 の鋼材である。また、旧オーステナイト粒 混粒とは、JIS G O551参照、2つ以上の異なっ た粒度指数(番号)系列に属する結晶粒が含ま ることである。

 次に前記のように構成されるケージ4の製 造方法を説明する。まず、鋼管(例えば、SCr41 5)を所定の長さに切断後プレス機にて据え込 球状に膨らませる。この据え込んだ短球状 素形材の内外面及び端面を切削して、球形 面及び球形内面を有する素材を形成する。 に、この素材を打抜きプレスして複数のポ ット11を素形材周方向に形成するプレス工 を行って素材を形成する。ポケット11のケー ジ軸方向で対向する一対の側面14,14を切削す シェービング工程を行う。すなわち、素材 冷間で塑性加工を受けかつ機械加工で鋭角 が形成される。

 その後は、焼入れ硬化処理を行う。この 合、表面炭素濃度が0.45mass%~0.60mass%未満とな る浸炭処理を行った後焼入れを行い、次に高 周波誘導加熱焼入を行うものである。ここで 、浸炭処理とは、炭素を多く含むガス、液体 、固体などの浸炭剤中で鋼を加熱することに より、表面層から炭素を含浸させる処理であ る。この処理には、真空浸炭処理装置やプラ ズマ浸炭処理装置を使用することができる。 また、浸炭焼入れ処理時にアンモニアガスを 流し窒素を拡散させて、表面の軟化特性をよ り向上させるようにしてもよい。

 高周波誘導加熱焼入は、高周波電流の通 ているコイルの間に部品(この場合、ケージ )を入れ、その表面に生じる渦電流に伴うジ ール熱によって加熱する焼入れである。そ 後は、必要に応じて最終的に旋削・研削等 仕上工程を行うことによって、製品を完成 せる。

 本発明によれば、低濃度浸炭であるため 炭化物の粒界への析出が抑制され、また、 周波誘導加熱での短時間2次焼入れにより浸 炭時の粗大化が改善される。このため、新た な清浄度の高い粒界が全断面に形成されるた め、より高強度化できる。したがって、製造 した等速自在継手用部品を用いた等速自在継 手の小型化を図ることができる。また、製造 した等速自在継手用部品としては、従来の既 存の部品と同一形状であっても、強度的に優 れたものとなる。このため、この従来と同一 形状のも使用することによって、他の部品( 材)を従来の既存のものを使用して、従来と 一形状同一大きさの等速自在継手を構成す ことができる。このように、本発明によれ 、継手高角度強度の最弱部品である浸炭部 の高強度化が可能となり、継手の小型化が 能で、従来形状と同一で使用できるため、 幅な工程変更を伴うことなく高強度化が可 である。特に、小型化できたことにより、 ストの低減や車両の燃費向上に寄与するこ ができる。

 本発明の他の実施形態として、冷間塑性加 を行った後、機械加工で前記鋭角部を形成 、その後、表面炭素濃度が0.45mass%~0.60mass%未 満となる浸炭処理を行った後、A r1 点以下まで徐冷し、ベイナイト組織とし、次 に高周波誘導加熱焼入を行うようにしてもよ い。

 ベイナイトとは、オーステナイトの冷却変 生成物の一つで、パーライトの生成温度(A r1 )とマルテンサイト生成温度(Ms点)との中間の 度範囲で生じる組織である。このため、前 素材を、A r1 とMs変態点との中間温度の熱浴に急冷して恒 変態をおこさせればよい。

 このように、浸炭後徐冷し、組織をベイ イトとすれば、高周波焼入れ後の熱処理変 を低減できる。すなわち、浸炭後除冷する とにより、徐冷する方が均一に冷却される め熱歪が小さく、次の高周波加熱で熱歪が 放されて変形を来たすが、熱歪が小さいた 高周波焼入れ後の変形が少ない。

 また、ベイナイト組織とせずに、標準組 としたり、ベイナイトと標準組織との混合 織としたりしてもよい。ここで、標準組織 は、オーステナイト状態から徐冷(例えば空 冷)して、平衡状態図にほぼ従って生成した 織である。

 このように、標準組織としたり、ベイナ トと標準組織との混合組織としたりしても 高周波焼入れ後の熱処理変形を低減できる

 本発明の別の実施形態として、表面炭素濃 が0.45mass%~0.60mass%未満となる浸炭処理を行っ た後、A r1 点以下の温度で恒温変態させ、次に高周波誘 導加熱焼入を行うようにしてもよい。

 このように、A r1 点以下の温度で恒温保持後高周波誘導加熱焼 入を行うことによって、高周波焼入れ後の熱 処理変形をより一層低減できる。

 以上、本発明の実施形態につき説明した 、本発明は前記実施形態に限定されること く種々の変形が可能であって、例えば、等 自在継手用部品として以外に、内輪や外輪 であってもよい。また、等速自在継手用部 がケージの場合、ポケット数としては、8個 に限るものではなく、その増減は任意である が、8個や6個とするのが、ボールPCDを小さく てコンパクト化を図る上で有効である。

 次に実施例を示す。材質がSCr415(主要化学 成分 0.16C-0.20Si-0.7Mn-0.02P-0.025S-1.0Cr)を使用し ケージ(第1~第6のサンプルと従来品)を製造し 、これらを、図1に示す等速自在継手に組み んで準静捩り試験を試供した。次の表1に各 ンプルと従来品との性状を示す。表1におい て、CPc値は浸炭時のカーボンポテンシャルで あり、CPd値は浸炭拡散工程のカーボンポテン シャルであり、TIQは高周波加熱温度である。 なお、表1において、サンプル2、3、4が本発 に対応し、浸炭焼入れのみの欄のものが従 品であり、サンプル1、5、6が比較品である

 図8に従来品の熱処理条件を示し、図4にサ プル1~サンプル6の熱処理条件を示している また、高周波加熱装置は、10kHz、出力10kWで ージの外周より加熱するものを使用した。 静捩り試験の試験結果を図5に示す。この図5 から分かるように、炭素量が0.6mass%を切ると 強度が著しく増加することが分かる。なお 図5において、No.1の◇がサンプル1を示し、N o.2の◇がサンプル2を示し、No.3の◇がサンプ 3を示し、No.4の◇がサンプル4を示し、No.5の ◇がサンプル5を示し、No.6の◇がサンプル6を 示し、*は従来品を示している。準静捩り試 は、実車状況を考慮して等速自在継手に回 を与えながらトルクを加えて破壊トルクを 定する試験である。図9は従来の浸炭品の旧 ーステナイト粒の状況を示し、図10は本発 の前記No.3の旧オーステナイト粒の状況を示 。このように、本発明にかかるサンプル品 は粗大化は見られない。

 また、ケージを角度8°、回転数1500rpm,ト ック面圧1.5GPaで100hr運転後、ケージのボール 接触部の摩耗量を測定した。その結果を図6 示す。この図6から分かるように、0.45mass%に るとケージの摩耗量が増加するため、浸炭 の表面炭素量は、0.45mass%から0.6mass%未満と るのがよい。なお、図6においても、No.1の◇ がサンプル1を示し、No.2の◇がサンプル2を示 し、No.3の◇がサンプル3を示し、No.4の◇がサ ンプル4を示し、No.5の◇がサンプル5を示し、 No.6の◇がサンプル6を示している。

 また、浸炭焼入れのみしたケージと、浸 後徐冷し高周波焼入れしたケージと、浸炭 350℃のソルトバスで恒温30分保持後、空冷 高周波焼入れしたケージとを、試作した。 炭と高周波焼入れの条件は、前記サンプル4 同じである。この3種類のケージの窓(ポケ ト)の幅の変化量を測定し、恒温保持したケ ジの変化量を100としたときの各ケージの変 量を図7に示した。この図7に示すように、 炭後徐冷したものが125程度であり、浸炭後 入れしたものが140程度であり、これらが恒 保持したものに比べて大きく窓幅の変化量 大きいことが分かる。

本発明の実施形態を示す等速自在継手 部品の製造方法で製造した部品を用いた等 自在継手の断面図である。 前記等速自在継手用部品であるケージ 断面図である。 前記等速自在継手用部品であるケージ 側面図である。 前記等速自在継手用部品の製造方法の 処理条件を示すグラフ図である。 前記等速自在継手用部品の表面炭素量 準静捩り強度との関係を示すグラフ図であ 。 前記等速自在継手用部品の表面炭素量 ケージ転走面の摩耗量との関係を示すグラ 図である。 前記等速自在継手用部品であるケージ 窓幅の変化量を示すグラフ図である。 従来の熱処理条件を示すグラフ図であ 。 従来品の旧オーステナイト粒の顕微鏡 真である。 実施例のNo.3の旧オーステナイト粒の 微鏡写真である。