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Patent Searching and Data


Title:
COMPOSITE MAGNETIC MATERIAL FOR MAGNET AND METHOD FOR MANUFACTURING SUCH MATERIAL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/057742
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a composite magnetic material having high magnetic characteristics and high electrical resistivity to be used for a magnet, especially a composite magnetic material to be suitably used for a rotary motor magnet or the like which functions in a high frequency region. The composite magnetic material for the magnet is provided by covering the surface of a rare earth-iron-nitrogen magnetic material with a ferrite magnetic material.

Inventors:
IMAOKA NOBUYOSHI (JP)
ABE MASANORI (JP)
NAKAGAWA TAKASHI (JP)
TADA MASARU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/069858
Publication Date:
May 07, 2009
Filing Date:
October 31, 2008
Export Citation:
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Assignee:
ASAHI CHEMICAL IND (JP)
TOKYO INST TECH (JP)
IMAOKA NOBUYOSHI (JP)
ABE MASANORI (JP)
NAKAGAWA TAKASHI (JP)
TADA MASARU (JP)
International Classes:
H01F1/09; B22F1/16; B22F3/00; C22C38/00; C23C18/00; C23C26/00; H01F1/053; H01F41/02
Domestic Patent References:
WO2003015109A12003-02-20
Foreign References:
JP2006032466A2006-02-02
JPH0855712A1996-02-27
JP2003086415A2003-03-20
JP2005142241A2005-06-02
JP2005093548A2005-04-07
JPH04276043A1992-10-01
JPH05222483A1993-08-31
JP3560387B22004-09-02
JP2951349B21999-09-20
JP3220212B22001-10-22
JP2002329603A2002-11-15
Other References:
NOBUYOSHI IMAOKA; ATSUSHI OKAMOTO; HIROAKI KATO; TETSU OHSUNA; KENJI HIRAGA; MITSUHIRO MOTOKAWA: "Magnetic Properties and Microstructure ofMn-Substituted Sm2Fe17Nx", JOURNAL OF THE MAGNETICS SOCIETY OF JAPAN, vol. 22, no. 4-2, 1998, pages 353 - 356
MASATO SAGAWA (ED.): ""Permanent Magnet - Material Science and Application"", 2007, AGNE GIJUTSU CENTER, pages: 281
K. KOBAYASHI; Y IRIYAMA; T. YAMAGUCHI; J. ALLOYS, COMPOUNDS, vol. 193, 1993, pages 235
A. CHIBA; K. HOKAMOTO; S. SUGIMOTO; T. KOZUKA; A. MORI; E. KAKIMOTO, J. MAGN. MAGN. MATER., vol. 310, 2007, pages E881
See also references of EP 2228808A4
Attorney, Agent or Firm:
ASAMURA, Kiyoshi et al. (New Ohtemachi Bldg. 2-1, Ohtemachi 2-chome, Chiyoda-k, Tokyo 04, JP)
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Claims:
 希土類系磁性材料の表面にフェライト系磁性材料が被覆されてなることを特徴とする磁石用複合磁性材料。
 フェライト系磁性材料が、軟磁性フェライトであることを特徴とする請求項1に記載の磁石用複合磁性材料。
 フェライト系磁性材料が、スピネル構造を有するフェライトであることを特徴とする請求項1または2に記載の磁石用複合磁性材料。
 フェライト系磁性材料の厚みが、0.8~10000nmであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の磁石用複合磁性材料。
 希土類系磁性材料が、希土類-鉄-窒素系磁性材料であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の磁石用複合磁性材料。
 希土類-鉄-窒素系磁性材料が下記の一般式で表される磁性材料であることを特徴とする請求項5に記載の磁石用複合磁性材料。
       R x Fe (100-x―y) N y
(但し式中、RはYを含む希土類元素のうち少なくとも一種、x、yは原子%で、3≦x≦30、1≦y≦30である。)
 上記一般式中のFeの0.01~50原子%が、Co、Ni、B、Al、Ti、V、Cr、Mn、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Hf、Ta、W、Ru、Re、Os、Ir、Pt、Pb、Bi、アルカリ金属、及びアルカリ土類金属の中から選択される少なくとも1種で置き換えられていることを特徴とする請求項6に記載の磁石用複合磁性材料。
 上記一般式中のRの50原子%以上が、Smであることを特徴とする請求項6または7に記載の磁石用複合磁性材料。
 希土類-鉄-窒素系磁性材料の主相の結晶構造が、六方晶、菱面体晶及び正方晶の中から選ばれるいずれかであることを特徴とする請求項5~8のいずれかに記載の磁石用複合磁性材料。
 希土類-鉄-窒素系磁性材料が、平均粒径が0.1~2000μmの粉体であることを特徴とする請求項5~9のいずれかに記載の磁石用複合磁性材料。
 交換スプリング磁石であることを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載の磁石用複合磁性材料。
 フェライト被覆材料からなる層と希土類-鉄-窒素系磁性材料の界面にRと酸素を同時に含む相の厚みが10nm未満であることを特徴とする請求項5~11のいずれかに記載の磁石用複合磁性材料。
 磁石用複合磁性材料中のフェライト系磁性材料からなる層が、フェライトめっき法により希土類-鉄-窒素系磁性材料の表面に形成されることを特徴とする請求項5~12のいずれかに記載の磁石用複合材料。
 請求項1~13のいずれかに記載の磁石用複合磁性材料を5~99.9質量%、樹脂を0.1~95質量%含有する磁石用磁性材樹脂複合材料。
 希土類-鉄-窒素系磁性材料が下記の一般式で表される磁性材料を、酸性水溶液で酸処理する工程と、
       R x Fe (100-x―y) N y
(但し、式中、RはYを含む希土類元素のうち少なくとも一種でRの50原子%以上が、Smであり、かつ、x、yは原子%で、3≦x≦30、1≦y≦30である。)
 引き続き、該磁性材料を大気に直接触れさせる事なく水中に分散させ、さらに引き続き塩基性水溶液でpHを酸性から塩基性へ移行させると同時に少なくとも二価の鉄イオンを含む水溶液を添加し、酸素を含む雰囲気下で混合攪拌してフェライトをめっきする工程と、を経て得られることを特徴とするフェライトめっきされた希土類-鉄-窒素系磁石用複合磁性材料の製造方法。
 請求項1~14のいずれかに記載の材料を製造する方法において、少なくとも1回、外部磁場を用いて材料を磁場配向させることを特徴とする、上記材料の製造方法。
 
Description:
磁石用複合磁性材料、及びその 造方法

 本発明は、高磁気特性で高電気抵抗率を有 、耐酸化性能に優れた希土類-鉄-窒素系磁 用複合磁性材料に関する。
 磁石用複合磁性材料は、各種アクチュエー 、ボイスコイルモータ、リニアモータ、ロ タ又はステータとして回転機用モータ、医 用装置や金属選別機の磁場発生源のほかVSM 置、ESR装置、加速器などの分析機用磁場発 源、マグネトロン進行波管、プリンタヘッ や光ピックアップなどOA機器、アンジュレ タ、ウイグラ、リターダ、マグネットロー 、マグネットチャック、各種マグネットシ トなどに用いられる。特に、回転数500rpmを える電気自動車、燃料電池自動車、ハイブ ット自動車などの自動車駆動用モータ、発 機、工作機、発電機、各種ポンプなどの産 機械用モータ、空調機、冷蔵庫、掃除機な の家庭用電気製品向けモータに利用される

 高性能の希土類系磁性材料としては、例え 、Sm-Co系磁石、Nd-Fe-B系磁石など(本発明にお いて、“希土類系磁性材料”とは、前記材料 のように希土類元素を含む磁性材料であると 定義する。)の金属系磁石材料が知られてい 。前者は高い熱安定性と耐食性等の理由に り、また、後者は極めて高い磁気特性、低 スト、原料供給の安定性等の理由によりそ ぞれ広く用いられている。今日、高い熱安 性と高い磁気特性とを併せ持ち、原料コス の安価な希土類磁石が、電装用や各種FA用の アクチュエータ、あるいは回転機用の磁石と して要望されている。
 さらに、近年、省エネルギー・省スペース どの要請から、自動車用駆動モータや、空 機用モータなどに上記の金属系磁石材料が いられているが、電気抵抗率が低いために 磁石内に生じる渦電流による損失の問題が 在化している。この傾向は運動が高速、即 モータの場合高回転数になればなるほど、 たは発生電界が高周波(ここでは、500rpm以上 1.8Mrpm(=30kHz)未満の周波数領域をいう。)にな ばなるほど顕著となる。この渦電流損失に り、磁石内に熱が発生し、温度上昇が生じ 減磁することもあり、これがより広い応用 の大きな障害となっている。

 一方、例えばBaフェライトなどの酸化物系 石材料の電気抵抗率は、10 10 μωcm以上あり、例えば金属系磁石材料のNd-Fe- B系磁石の100μωcmより遙かに電気抵抗率が高 、上記のような渦電流による損失の恐れは い。しかし、磁気特性が低いために、近年 小型で高性能化している機器には用いられ い傾向にある。
 従って、金属系磁石材料より電気抵抗率が くて、例えば2000μωcmさらに好ましくは、250 0μωcmを超えるような電気抵抗率を有し、し も酸化物系磁石材料より高性能な、例えば ェライト磁石で現在最高性能の43kJ/m 3 以上であるような最大エネルギー積或いは0.5 Tを超えるような固有保磁力を有した、磁石 料の出現が求められている。
 一方、これらの、金属系磁石材料と酸化物 磁石材料の中間的存在である窒化物系磁石 磁性材料がこれらの要望に沿う新磁性材料 して挙げられる。しかしながら、希土類-鉄 -窒素系磁性材料で代表されるこれらの材料( 許文献1又は2を参照)は、高密度の磁性材料 すると、その電気抵抗率は400μωcm程度であ て、フェライト系酸化物系磁性材料に比べ と、あまり高くないので、さらなる高電気 抗率化が求められている。

特許第2691034号公報

特許第2703281号公報

 本発明は、希土類-鉄-窒素系磁性材料の 体表面にフェライト系磁性材料を被覆した 合磁性材料を用いることにより、酸化物系 石材料よりも磁化が高くなるために大きな 力(=最大エネルギー積)を実現することが可 であり、更に金属系磁石材料よりも電気抵 率が高くなるために前述の渦電流損失など 問題点を解決することが可能な、新しい窒 物系の高性能磁石用複合磁性材料を提供す ことを目的とする。

 本発明者らは、従来の磁石材料では背反 る特性、即ち、磁化が高く、かつ電気抵抗 が高くて前述の渦電流損失の問題点を解決 得るという金属系材料と酸化物材料の双方 利点を併せ持つ電磁気特性の優れた磁石用 性材料を得るために、窒化物の利用につい 鋭意検討したところ、希土類-鉄-窒素系磁 材料を用いて、その表面をフェライト系磁 材料で被覆した磁性粉体を磁石用複合磁性 料として用いれば、特に電気的絶縁・磁気 連結(後述で詳細を説明する)が達成され、し かも耐酸化性能の改善も期待でき、各種成形 を施すことにより、目的に適った機能を発揮 する永久磁石が得られることを見いだし、そ の組成および結晶構造、微構造や粒径を制御 すること、さらにその製造方法を確立するこ とにより、本発明を成すに至った。また、フ ェライト系磁性材料で被覆した希土類系磁性 材料においても、希土類-鉄-窒素系磁性材料 劣るとは言え電気抵抗率を改善できる。

 即ち、本発明は、以下のとおりである。

(1) 希土類系磁性材料の表面にフェライト系 性材料が被覆されてなることを特徴とする 石用複合磁性材料。
(2) フェライト系磁性材料が、軟磁性フェラ トであることを特徴とする上記(1)に記載の 石用複合磁性材料。
(3) フェライト系磁性材料が、スピネル構造 有するフェライトであることを特徴とする 記(1)または(2)に記載の磁石用複合磁性材料
(4) フェライト系磁性材料の厚みが、0.8~10000n mであることを特徴とする上記(1)~(3)のいずれ に記載の磁石用複合磁性材料。
(5) 希土類系磁性材料が、希土類-鉄-窒素系 性材料であることを特徴とする上記(1)~(4)の ずれかに記載の磁石用複合磁性材料。
(6) 希土類-鉄-窒素系磁性材料が下記の一般 で表される磁性材料であることを特徴とす 上記(5)に記載の磁石用複合磁性材料。
R x Fe (100-x―y) N y
(但し式中、RはYを含む希土類元素のうち少な くとも一種、x、yは原子%で、3≦x≦30、1≦y≦ 30である。)
(7) 上記一般式中のFeの0.01~50原子%が、Co、Ni B、Al、Ti、V、Cr、Mn、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、P d、Ag、Cd、In、Sn、Hf、Ta、W、Ru、Re、Os、Ir、Pt 、Pb、Bi、アルカリ金属、及びアルカリ土類 属の中から選択される少なくとも1種で置き えられていることを特徴とする上記(6)に記 の磁石用複合磁性材料。
(8) 上記一般式中のRの50原子%以上が、Smであ ことを特徴とする上記(6)または(7)に記載の 石用複合磁性材料。
(9) 希土類-鉄-窒素系磁性材料の主相の結晶 造が、六方晶、菱面体晶及び正方晶の中か 選ばれるいずれかであることを特徴とする 記(5)~(8)のいずれかに記載の磁石用複合磁性 料。
(10) 希土類-鉄-窒素系磁性材料が、平均粒径 0.1~2000μmの粉体であることを特徴とする上 (5)~(9)のいずれかに記載の磁石用複合磁性材 。
(11) 交換スプリング磁石であることを特徴と する上記(1)~(10)のいずれかに記載の磁石用複 磁性材料。
(12) フェライト被覆材料からなる層と希土類 -鉄-窒素系磁性材料の界面にRと酸素を同時に 含む相の厚みが10nm未満であることを特徴と る上記(5)~(11)のいずれかに記載の磁石用複合 磁性材料。
(13) 磁石用複合磁性材料中のフェライト系磁 性材料からなる層が、フェライトめっき法に より希土類-鉄-窒素系磁性材料の表面に形成 れることを特徴とする上記(5)~(12)のいずれ に記載の磁石用複合材料。
(14) 上記(1)~(13)のいずれかに記載の磁石用複 磁性材料を5~99.9質量%、樹脂を0.1~95質量%含 する磁石用磁性材樹脂複合材料。
(15) 希土類-鉄-窒素系磁性材料が下記の一般 で表される磁性材料を、酸性水溶液で酸処 する工程と、
       R x Fe (100-x―y) N y
(但し、式中、RはYを含む希土類元素のうち少 なくとも一種でRの50原子%以上が、Smであり、 かつ、x、yは原子%で、3≦x≦30、1≦y≦30であ 。)
 引き続き、該磁性材料を大気に直接触れさ る事なく水中に分散させ、さらに引き続き 基性水溶液でpHを酸性から塩基性へ移行さ ると同時に少なくとも二価の鉄イオンを含 水溶液を添加し、酸素を含む雰囲気下で混 攪拌してフェライトをめっきする工程と、 経て得られることを特徴とするフェライト っきされた希土類-鉄-窒素系磁石用複合磁性 材料の製造方法。
(16) 上記(1)~(14)のいずれかに記載の材料を製 する方法において、少なくとも1回、外部磁 場を用いて材料を磁場配向させることを特徴 とする、上記材料の製造方法。

 本発明によれば、磁気特性が高く、電気 抗率も高い磁石用複合磁性材料、特に高周 領域で機能する回転モータ用磁石などにも 適に利用される磁石用複合磁性材料を提供 ることができる。

 以下、本発明のフェライト被覆した希土類- 鉄-窒素系磁石用複合磁性材料について詳細 説明する。
 本発明の主なる形態は、希土類-鉄-窒素系 性材料の表面にフェライト系磁性材料が被 されてなる磁石用複合磁性材料に関するも であり、その主な形態は、希土類-鉄-窒素系 磁性材料の“粉体”の表面がフェライト系磁 性材料で覆われている磁石用複合磁性材料の “粉体”である。この磁石用複合磁性材料粉 体をそのまま固化して成形したり、樹脂等の 成分を加えて成形したりしたのち、各種用途 の磁石として用いられる。磁石用複合磁性材 料としての強磁性は主に、希土類-鉄-窒素系 料成分が担うが、その表面に被覆されたフ ライト系磁性材料成分により、大幅な電気 抗率の向上が達成され、しかも、この被覆 分は磁性を帯びているため、シリカやマグ シアといった非磁性である被覆成分を導入 た場合に比べて、磁石用複合磁性材料全体 磁気特性の低下は差ほど大きくなく、比較 小さな値に留めることができる。

 以下、希土類-鉄-窒素系磁性材料の組成、 の結晶構造や形態、フェライト系磁性材料 種類、その結晶構造や形態、磁石用磁性材 脂複合材料の樹脂成分、又はそれらの製造 法、その中で特にフェライト系磁性材料の 覆処理法と磁場配向の方法について説明す 。
 上記希土類-鉄-窒素系磁性材料(以下、この 料を“R-Fe-N系磁性材料”ともいう。)におい て、希土類元素(R)としては、Y、La、Ce、Pr、Nd 、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびL uのうちから選択された少なくとも一種を含 ばよく、従って、ミッシュメタルやジジム の二種以上の希土類元素が混合した原料を いてもよいが、好ましい希土類は、Y、La、Ce 、Pr、Nd、Sm、Gd、Dy、Er、Ybである。さらに好 しくは、Y、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Dyである。特 に、SmをR成分全体の50原子%以上含むと、磁化 や保磁力が際立って高い磁性材料が得られ、 さらに、耐酸化性能やコストのバランスから 、Smを70原子%以上含むことが好ましい。
 ここで用いる希土類元素は工業的生産によ 入手可能な純度でよく、製造上混入が避け れない不純物、例えば、O、H、C、Al、Si、F Na、Mg、Ca、Liなどが存在しているものであっ ても差し支えない。

 本発明の希土類-鉄-窒素系磁性材料中にお て、R成分を3~30原子%含有する。R成分が3原子 %未満の場合には、鉄成分を多く含む軟磁性 属相が母合金鋳造・焼鈍後も許容量を超え 分離し、このような種類の軟磁性金属相は に保磁力を低下させ、本発明の目的のひと である高性能磁石用磁性材料としての機能 阻害させるので好ましくない。またR成分が3 0原子%を超えると、磁化が低下して好ましく い。さらに好ましいRの組成範囲は5~15原子% ある。
 鉄(Fe)は強磁性を担う本希土類-鉄-窒素系磁 材料の基本組成であり、40原子%以上含有す 。40原子%未満であると、磁化が小さくなり ましくない。また、96原子%を超えるとFeを く含む軟磁性金属相が分離するので、上記R 分が不足する場合と同様な理由で好ましく い。鉄成分の組成範囲が50~85原子%の領域に れば、磁化が高く、保磁力が高いバランス 取れた磁性材料となり、特に好ましい。

 本発明の磁石用磁性材料は、Feのうち0.01~50 子%を以下のM成分で置き換えた組成を有す ことができる。該M成分とは、Co、Ni、B、Al、 Ti、V、Cr、Mn、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Pd、Ag、C d、In、Sn、Hf、Ta、W、Ru、Re、Os、Ir、Pt、Pb、Bi 、アルカリ金属、アルカリ土類金属の中から 選択される少なくとも1種である。M成分の導 により、必ずしもその全てがFeと置換して 晶構造に取り込まれるわけではないが、元 の種類により、磁化、キュリー点、保磁力 角形比などの磁気特性と電気抵抗率のうち どれか一項目が上昇するとともに、耐酸化 能も向上させることができる場合がある。
 ここにいう磁気特性とは、材料の飽和磁化J s (T)、残留磁束密度B r (T)、磁気異方性磁場μ 0 H a (T)、磁気異方性エネルギーμ 0 E a (T)、磁気異方性比B r /J s (%)、固有保磁力μ 0 H cJ (T)、最大エネルギー積[(BH) max ](J/m 3 )、キュリー点T c (K)、熱減磁率α(%)、固有保磁力の温度変化率 (%)のうち少なくともひとつを言う。但し、 気異方性比とは、外部磁場を1.5T印加したと 困難磁化方向の磁化(p)と容易磁化方向の磁 (q)の比(p/q)である。本願明細書における“ 場”の単位は、磁場に真空の透磁率を掛け ことにより、T(テスラ)に変換した単位で表 する。磁場の各単位の換算式は、1[T]=10 4 [Oe]=1/(4π)×10 7 [A/m]である。即ち、1Tは約0.8MA/mに相当する。

 本発明においては、“鉄成分”、“Fe成分 と表記した場合、又は“R-Fe-N系”などの式 で“Fe”、“鉄”と表記した場合、Feの0.01~50 原子%をM成分で置き換えた組成も含むものと る。M成分のFe置き換え量の好ましい範囲は1 ~50原子%である。
 M成分が50原子%を超えると、製造コストの上 昇に対する上記の効果が小さくコストパフォ ーマンスで利得が得られないばかりか、磁気 特性が不安定となり、逆に0.01原子%未満であ と、置き換えの効果がほとんど見られない 中でもCo、Niは耐酸化性能に対する効果が高 く、Coは加えてキュリー点を大きく向上させ ことができるので、場合によっては好まし 成分であるが、この成分のFe置換量の特に ましい範囲は2~20原子%である。さらに、Mnを え適当な窒素量に調整すると、ピニング型 磁性材料が得られ10μmを超える粒径でも高 保磁力の磁性材料となる。このような磁性 料は、例えば、特許第3560387号公報(以下、「 特許文献3」と称する。)並びに“Mn添加Sm 2 Fe 17 N x 系材料の磁気特性と微細構造”、今岡伸嘉、 岡本敦、加藤宏朗、大砂哲、平賀賢二、本河 光博、日本応用磁気学会誌, vol. 22 No. 4-2 ( 1998) 353-356(以下、「非特許文献1」と称する )に開示されている。

 前記の組成に導入される窒素(N)量は、1~30 原子%の範囲にしなければならない。30原子% 超えると磁化が全般に低くなり、1原子%未満 では保磁力があまり向上せず好ましくない。 窒素が磁性材料に含有されることが、本発明 における組成上の最大の特徴であるが、その 主な効果のひとつは磁気異方性磁場、磁気異 方性エネルギー、磁気異方性比(これら3つの 気特性を総称して、“磁気異方性”と呼ぶ) 、及び電気抵抗率の増大である。この特徴が 、他の金属系磁性材料と異なり、渦電流損失 をある程度低減できる高性能磁石の素材とし て最も相応しい根拠となっている。本発明で は、電気抵抗率の向上の多くの部分は、希土 類-鉄-窒素系磁性材料を被覆するフェライト 磁性材料層(この層を“フェライト被覆層” と呼ぶ)が担っているが、磁化を稼ぐために ェライト被覆層を薄くしたい場合などにお ても、希土類-鉄-窒素系磁性材料を含んでい れば、高磁気特性の担い手となる主相の電気 抵抗率は高いので、目的とする機能を発揮さ せるための材料設計において大きな自由度が 得られることが、大きな利点である。

 窒素量の好ましい範囲は、目的とするR-Fe-N 磁性材料のR-Fe組成比や副相の量比さらに結 晶構造などによって、最適な窒素量は異なる ので、その量によるが、例えば菱面体構造を 有するSm 10.5 Fe 76.1 Co 12.4 を原料合金として選ぶと、10~22原子%付近に最 適な窒素量がある。このときの最適な窒素量 とは、目的に応じて異なるが材料の耐酸化性 能及び、磁気特性又は電気抵抗率のうち少な くとも一特性が最適となる窒素量である。
 本発明におけるR-Fe-N系磁性材料の各組成は 希土類成分が3~30原子%、鉄成分が40~96原子% Nが1~30原子%の範囲とし、これらを同時に満 すものである。さらに、本発明で得られるR- Fe-N系磁性材料には、水素(H)が0.01~10原子%含ま れてもよい。
 Hが上記の組成範囲で含まれると耐酸化性能 と磁化の向上がもたらされる。また、表面に 局在する場合、フェライト相の被覆を強固な ものにする働きもある。特に好ましい本発明 のR-Fe-N系磁性材料の組成は、一般式R x Fe (100-x-   y-   z) N y H z で表わしたとき、x、y、zは原子%で、3≦x/(1-z/ 100)≦30、1≦y/(1-z/100)≦30、0.01≦z≦10の範囲で あり、該3つの式が同時に成り立つようにx、y 、zが選ばれる。

 さらに製造法によっては、酸素(O)が0.1~20原 %含まれることがあり、この場合、磁気特性 の安定性が向上し、電気抵抗率の高いR-Fe-N系 磁性材料とすることができる。従って、さら に好ましい本発明のR-Fe-N系磁性材料の組成は 、一般式R x Fe (100-x-y-z-w) N y H z O w で表わしたとき、x、y、z、wは原子%で、3≦x/{ (1-z/100)(1-w/100)}≦30、1≦y/{(1-z/100)(1-w/100)}≦30 0.01≦z/(1-w/100)≦10、0.1≦w≦20の範囲であり、 および該4つの式が同時に成り立つようにx、y 、z、wが選ばれる。この酸素成分は、磁性粉 表面に局在していると電気抵抗率向上の効 が高い。しかし、フェライト被覆層として 磁性相を導入するときなど、表面局在酸素 含まれていないときの方が好ましい場合も り、この部分を除去する工程を施すことが る。

 本発明において、希土類-鉄-窒素系磁性材 の窒素成分の0.01~50原子%未満をH、C、P、Si、S の各元素の少なくとも1種で置き換えてもよ 。該元素の導入により、元素の種類と量に ってはその全てがN成分と置換されるわけで ないし、1対1に置換されるとも限らない。 かし、置き換えた元素の種類と量により、 酸化性能や保磁力などの電磁気特性の向上 もたらせることがあり、さらに磁石用磁性 樹脂複合材料において、樹脂成分との親和 が良くなり、機械的な性質の改善が期待さ る場合もある。
 置換量が0.01原子%未満では、上記の置き換 の効果がほとんどなくなり、50原子%を超え 置き換えると電気抵抗率の向上や磁気特性 最適化に関する窒素の効果を阻害するもの して好ましくない。

 本発明においては、“窒素成分”、“N成分 ”と表記した場合、又は“R-Fe-N系”などの式 や磁性材料組成を論ずる文脈の中でN又は窒 と表記した場合、Nの0.01~50原子%をH、C、P、Si 、Sで置き換えた組成も含むものとする。
 本発明の希土類-鉄-窒素系磁性材料中には 菱面体晶、六方晶及び正方晶の結晶構造を する相を含有することが好ましい。本発明 はこれらの結晶構造を作り、少なくともR、F e、Nを含む相を“主相”といい、該結晶構造 作らない、または他の結晶構造を作るよう 組成を有する相を“副相”と呼ぶ。副相は 土類-鉄原料から、希土類-鉄―窒素(-水素- 素)系磁性材料を製造する過程で意図的に、 いは無為に生じる主相でない相である。主 にはR、Fe成分、N成分に加え、酸素を含むこ とがある。しかし、この主相に含まれる酸素 は、後述する交換スプリング磁石を構成する 場合は、極力少量に抑えた方がよい場合があ る。

 好ましい希土類-鉄―窒素系磁性材料主相の 結晶構造の例としては、Th 2  Zn 17 などと同様な結晶構造を有する菱面体晶、ま たは、Th 2 Ni 17 、TbCu 7 、CaZn 5  などと同様な結晶構造を有する六方晶、RFe 12-X M X N y 相といった正方晶を取る磁性の高い窒化物相 が挙げられ、これらのうち少なくとも1種を むことが必要である。
 この中でTh 2  Zn 17 などと同様な結晶構造を有する菱面体晶及び Th 2 Ni 17 などと同様な結晶構造を有する六方晶を含む ことが、良い電磁気特性及びその安定性を確 保するために最も好ましい。
 ここでいう“電磁気特性”とは、磁気特性 電気抵抗率の総称をいう。
 R-Fe-N系磁性材料中に副相として、R-Fe合金原 料相、水素化物相、Feナノ結晶を含む分解相 酸化アモルファス相などを含んでいてもよ が、本発明の効果を充分に発揮させるため は、その体積分率は主相の含有量より低く さえる必要があり、主相の含有量がR-Fe-N系 性材料全体に対して75体積%を超えることが 実用上極めて好ましい。

 ここでいう“体積分率”とは、磁性材料の 隙を含めた全体の体積に対して、ある成分 占有する体積の割合のことである。
 R-Fe-N系磁性材料の主相は、主原料相であるR -Fe合金の格子間に窒素が侵入し、結晶格子が 多くの場合膨張することによって得られるが 、その結晶構造は、主原料相とほぼ同じ対称 性を有する。
 ここにいう“主原料相”とは、少なくともR 、Feを含みかつNを含まず、かつ菱面体晶、六 方晶又は正方晶の結晶構造を有する相のこと である。(なお、それ以外の組成または結晶 造を有し、かつNの含まない相を“副原料相 と呼ぶ。)
 窒素の侵入による結晶格子の膨張に伴い、 酸化性能または磁気特性・電気抵抗率の各 目のうち一項目以上が向上し、実用上好適 R-Fe-N系磁性材料となる。この窒素導入過程 のち初めて好適な高性能磁石用磁性材料に り、従来の窒素を含まないR-Fe合金やFeとは く異なった電磁気特性を発現する。
 例えば、R-Fe成分母合金の主原料相として、 菱面体構造を有するSm 10.5 Fe 89.5 を選んだ場合、窒素を導入することによって 、電気抵抗率が増加し、キュリー点、磁化や 磁気異方性エネルギーを初めとする磁気特性 と耐酸化性能が向上する。

 本発明の希土類-鉄-窒素系磁性材料は平 粒径0.1~2000μmの粉体であり、好ましくは0.2~20 0μmである。0.2μm未満の領域では、磁化の低 や磁性粉の凝集が著しくなり、本来希土類- -窒素系磁性材料が持っている磁気特性を充 分発揮しえないし、一般的な工業生産にも適 合しない領域なので、非常に適切な粒径範囲 であるとは言えない。しかし、0.2μm未満であ っても、窒素非含有金属系磁石用磁性材料に 比べると耐酸化性能が圧倒的に優れるため肉 薄や超小型な特殊用途の高性能磁石用磁性材 料に好適である。但し、平均粒径0.1μm未満で あると、発火性も生じ、粉体の取り扱いを低 酸化雰囲気で行うなど製造工程が複雑になる 。また、2000μmを超えると均質な窒化物を製 することが難しくなる上に、電気抵抗率の る磁性材料となる。従って、一般に200μm以 とするのがより好ましいが、200μmを超え、20 00μm未満の範囲でも、結晶粒径の大きさや希 類-鉄母合金の窒化のされやすさ(M成分の種 にもよる)によっては、問題なく製造される し、電気抵抗率も高い磁性材料となり得る。 さらに0.5~100μmであれば、保磁力が高く、か 電気抵抗率の高い磁性材料になるので特に ましい。本発明の磁石用複合磁性材料の粒 の求め方であるが、上記の希土類-鉄-窒素系 材料の平均粒径にフェライト被覆層の厚みの 2倍を掛けた数値を加えればよい。

 ここで“平均粒径”とは、通常用いられる 径分布測定装置で得られた体積相当径分布 線をもとにして求めたメジアン径のことを う。
 希土類-鉄-窒素系磁性材料粉体の形状は、 状、塊状のような形態だけでなく、鱗片状 リボン状、針状、円板状、楕円体状など、 平或いは細長い形態であってもよいし、不 形粉体やそれらの混合粉であってもよい。 だし、ファライト系磁性材料の被覆が効果 に行われるような形態である必要がある。
 本発明の希土類-鉄-窒素系磁性材料を用い 磁石用複合磁性材料には、Nd-Fe-B系磁性材料 Sm-Co系磁性材料、アルニコ系磁性材料、Mn-Al 系磁性材料、Coフェライト、BaフェライトやSr フェライトなどの硬磁性フェライト系磁性材 料などの中で磁石用磁性材料となる材料やそ れらの混合物を含んでいてもよい。しかし、 その体積分率は、希土類-鉄-窒素系磁性材料 体積分率を超えてはならない。ただし、本 明の希土類-鉄-窒素系磁性材料以外に含ま る材料として本発明の希土類系磁性材料を いた磁石用複合磁性材料においては、この りではない。

 次に、本発明の希土類-鉄-窒素系磁性材料 被覆しているフェライト系磁性材料につい 詳しく述べる。
 上記、希土類-鉄-窒素系磁性材料の表面に 覆されているフェライト系磁性材料として 、マグネタイト、マグヘマイト、マグネタ ト及びマグヘマイトの中間体などのFeフェラ イト、Niフェライト、Znフェライト、Mn-Znフェ ライト、Ni-Znフェライト、Mg-Mnフェライトな の(M’、Fe) 3 O 4 を中心とした組成を有するスピネル構造を有 したフェライト系磁性材料やY 3 Fe 5 O 12 などの鉄ガーネット型フェライト材料、軟磁 性六方晶マグネトプランバイト型フェライト 、などの軟磁性フェライト系磁性材料、また 、BaフェライトやSrフェライトなどの硬磁性 ェライト系磁性材料などの酸化物系磁性材 が挙げられる。

 上記、M’成分(前述の、スピネル構造を有 たフェライトの一般式に含まれる成分)は、R 成分、M成分の中から、二価或いは一価にな 金属元素を表しており、具体的には、Sm、Eu Yb、Co、Ni、V、Ti、Cr、Mn、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb Mo、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Hf、Ta、W、Pb、Bi、ア カリ金属、アルカリ土類金属である。なお M’成分以外のM成分においても、R-Fe-N系磁性 材料内のみならず、フェライト被覆層にも含 有されることがある。
 上記のフェライト系磁性材料のうちで、希 類-鉄-窒素系磁性材料を被覆するフェライ 系磁性材料としては、希土類-鉄-窒素系磁性 材料粉体とフェライト被覆層が交換相互作用 で互いによく連結されているのであれば、よ り高い磁化を実現できるので、軟磁性フェラ イト材料であることが好ましい。

 一方、スピネル構造を有するフェライトは 希土類-鉄-窒素系磁性材料表面との化学的 結合をよく保ち、高磁気特性、耐酸化性能 向上させるので、フェライト被覆層として ましい成分である。従って、スピネル構造 有した軟磁性のフェライト系磁性材料は、 発明の磁石用複合磁性材料において非常に ましい成分である。
 以上のような組成を有する、交換相互作用 より硬磁性相と軟磁性相が連結された磁石 複合磁性材料は、交換スプリング磁石、或 はナノコンポジット磁石と呼ばれ、次のよ な特徴を有している。磁石内に軟磁性相を し、その軟磁性相と硬磁性相の磁化が交換 互作用で互いに結びつき、そのため逆磁場 より軟磁性相の磁化が反転するのを硬磁性 の磁化が妨げ、あたかも軟磁性相が存在し いような特性を示す。

 交換相互作用で連結されていない硬磁性と 磁性の複合材料においては、小さな逆磁場 外部より印加されると容易に軟磁性相の磁 が反転し、磁場を零に戻しても、反転した 磁性相の磁化は元に戻らない。ゆえに、軟 性相の存在は、磁石特性を劣化させてしま 。従って、通常高性能な磁石材料を作製す 際には、軟磁性相を徹底的に除去する。こ に反して、交換スプリング磁石においては 交換相互作用により、軟磁性相の磁化は、 磁性相の磁化と連結されているので、硬磁 相の磁化の磁気異方性に支えられ、逆磁場 印加されても容易に反転しない。また、磁 を零に戻せば元の状態に復する。従って、 磁性の存在は磁石特性を劣化させず、例え 、Nd-Fe-BやSm-Fe-Nの超急冷箔体やストリップ ャスト材料では、軟磁性相として、硬磁性 より磁化が高いα-FeやFe 3 Bを利用して、硬磁性単体より高い磁気特性 得ている。但し、実用化されている交換ス リング磁石は全て、等方性のものである[例 ば、佐川真人編「永久磁石-材料科学と応用 」アグネ技術センター(2007)p.281(以下、「非特 許文献2」と称する)を参照]。現状では、異方 性を有した高性能な磁石を実用化するに至っ ていない。
 一般に、以上のような交換スプリング磁石 要件のひとつとして“高い残留磁束密度” 挙げられていて[岡田益男、日本応用磁気学 会研究会資料、91、23(1995)、(以下「非特許文 3」と称する)を参照]、これを実現するため は、軟磁性相が硬磁性相より高い磁化を有 ることが必須となる。従って、高磁化の硬 性相である希土類-鉄-窒素系磁性材料(例え Sm 2 Fe 17 N 3 の磁化は1.52T)に、低磁化の軟磁性相であるフ ェライト(例えばマグネタイトの磁化は0.6T)を 加えて、交換スプリング磁石を構成する試み は、残留磁束密度を低下させるので、当業界 の常識では考えられない。本発明で開示した ように、軟磁性相に対して主に電気抵抗率の 向上という効果を期待して初めて、本発明の 構成による磁石用複合磁性材料は、鋭意検討 される価値が生じたのである。なお、本発明 においては、非特許文献3の記述にも関わら 、以下の特徴を有した、硬磁性-軟磁性の磁 用複磁性材料を利用した磁石を交換スプリ グ磁石と呼ぶ。

 本発明の交換スプリング磁石の特徴は、先 述べた構成から想到されるように、1) 磁気 曲線の低磁場領域(0~0.5Tの間を目安とする。 ぜなら、軟磁性フェライトより遙かに保磁 が高い硬磁性フェライトにおいても固有保 力がこれ以上の値を取らないからである。) 変曲点がなく、なめらかな軌跡を描く。軟 性が存在しているにも関わらず、あたかも 一の磁石のような振る舞いを示す。2)リコ ル透磁率(動作点におけるリコイル線の勾配 対応する透磁率)が、フェライト被覆層を含 まない希土類-鉄-窒素磁性材料(若しくは希土 類系磁性材料)と比べて高い。この挙動はス リングバックといわれ、本発明の交換スプ ング磁石において、どのような振る舞いを すかは、後述する実施例4並びに比較例4のデ ータを比較して記述するときに改めて詳しく 述べる。
 図1に上記1)の状況の説明図を示した。(a)は 磁性相と硬磁性相が交換相互作用で連結さ ていない“軟磁性-硬磁性混合磁性材料”、 (b)は軟磁性相と硬磁性相が交換相互作用で連 結された“交換スプリング磁石”の減磁曲線 を模式化したものである。(a)においては、低 磁場で軟磁性相が磁化反転し飽和に達するた め、磁気曲線上に変曲点を有し、その結果保 磁力、角形比、最大エネルギー積の劣るもの となる。一方、(b)においては、低磁場での軟 磁性相の磁化の反転を、交換相互作用を通し て、硬磁性の磁化が食い止めるので、なだら かな変曲点のない磁気曲線を得る。以上のよ うに、軟磁性相が存在する磁石用磁性材料の 場合、減磁曲線の低磁場領域(0~0.5T領域と定 する)に変曲点を持つか否かが、交換スプリ グ磁石となっているか否かの一つの指標と えてよい。

 本発明の磁石用複合磁性材料においては、 磁性相である希土類-鉄-窒素系磁性材料粉 (以降、この“硬磁性相である希土類-鉄-窒 系磁性材料”主相をR相と呼ぶ)と軟磁性相で あるフェライト被覆相(以降、この“軟磁性 であるフェライト被覆相”をF相と呼ぶ)が交 換相互作用で互いによく連結されているので 、フェライト被覆層が軟磁性材料であった場 合、本発明の交換スプリング磁石とすること ができる。
 フェライト被覆層が硬磁性相であった場合 り、軟磁性相、特にスピネル構造を有する 立方晶の結晶構造を持つ磁性材料であった が、R相との化学的結合を強く保持せしめ、 交換相互作用による連結が強い。この特徴は 例えば、ボンド磁石材料やバルク型の磁石用 固形材料においても空隙を多く有する軽い磁 石に応用する際、磁石用複合磁性材料の耐酸 化性能を向上させるためにも有効である。た だし、ZnフェライトがF相であった場合は、そ れ自体の磁化が低くて磁石用複合磁性材料の 磁化があまり向上されないうえに、希土類- -窒素系磁性材料との化学的結合が不十分な 合もあるために、“磁気特性を大きく低下 せないで電気抵抗率を高める”という本発 の効果が見られない場合がある。

 ここで、本発明の基本的な狙いを改めて述 ると、以下のようになる。
 金属系磁石の電気抵抗率を上げるためには 絶縁性或いは電気抵抗率の高い酸化物など セラミックスや樹脂を、磁石を構成する粒 間に着実に導入すればよい。しかし、非磁 の材料であれば、導入した体積分率の分だ 磁化が低下するので、高い性能の磁石を得 ことができない。この背反する2つ事象を満 足させるためには、電気抵抗率が高く磁性を 有する酸化物相を硬磁性粒子間に導入し、磁 性を大きく落とさないようにして、かつ“電 気的絶縁”性を持たせる必要がある。さらに 、この硬磁性粒子相と軟磁性粒界相を化学的 によく結合させ、交換相互作用で連結させる “磁気的連結”を確保できれば、被覆しやす いフェライト軟磁性相を粒界に導入しても、 磁気的な性能を大きく低下させないのである 。このような方法論を本発明者らは“電気的 絶縁・磁気的連結”と呼んでいる。この“電 気的絶縁・磁気的連結”の実現こそが、本発 明の課題の解決に直結するのである。
 本発明におけるフェライト被覆されたR-Fe-N 磁性材料は、以上のような交換スプリング 石であることが、高い磁気特性と電気抵抗 を達成する上で好ましい。
 また本発明の交換スプリング磁石を得るた には、K. Kobayashi, Y. Iriyama and T.Yamaguchi, J . Alloys and Compaunds, 193, 235 (1993)(以下、非 許文献4と称する)に示されているように、例 えばSm 2 Fe 17 N 3 微粉体表面には約10nmのアモルファス状の表 酸化層が観測されているが、主相表面に存 するこの酸化層をなるべく取り除くことが 要となる。この厚みは10nm未満が好ましく、 り好ましくは5nm以下、さらに好ましくは2nm 下である。以上については、実施例2と比較 例5、或いは実施例8との比較において明らか する。実施例4においては、フェライトめっ き前後の残留磁束密度の低下率の計算により 、上記表面酸化層が最適なフェライト被覆操 作(後述の“フェライト被覆処理”における ェライトめっき工程前段の酸処理によって 希土類-鉄-窒素系磁性粉体の表面酸化層を除 去する操作)によって取り除かれ、代わりに ェライト被覆相が置き換わることにより、 れた交換スプリング磁石性能が引き出され ことを述べる。さらに実施例4の中で、TEM観 により、上記表面酸化層がフェライトめっ 工程前段の酸処理によって取り除かれてい ことを確認する。
 希土類-鉄-窒素系磁性材料表面の酸化層、 びに、フェライトが被覆された希土類-鉄-窒 素系磁石用複合磁性材料のR相-F相界面に存在 する場合があるR相の酸化層は透過型電子顕 鏡(TEM)で同定することができる。見分け方は 、1)この相に希土類が多く存在するかどうか 2)アモルファスであるかどうかであるが、ED Xや電子線回折などの方法を組み合わせるこ で、見極めることができる。

 ところで、フェライト被覆層には、以上に 示したフェライト系磁性材料に、LaFeO 3 などのペルブスカイト型磁性材料、CrO 2 などのルチル型磁性材料、コランダムやイル メナイト型磁性体、磁性を有するマンガナイ トやクロマイト、V、Coなどの酸化物系磁性材 料が混合されていてもよいし、希土類-酸化 、希土類-鉄-酸化物、ヘマタイトやゲーサイ トのようなオキシ酸化物などの副相或いは副 生成物が含まれていても良いが、その体積分 率は、フェライト系磁性材料の体積分率を超 えてはならない。
 本発明の希土類-鉄-窒素系磁性材料の表面 フェライト系磁性材料が被覆された磁石用 合磁性材料の好ましい組成範囲は、一般式R α Fe (100-   α-   β-   γ) N β O γ で表わしたとき、α、β、γは原子%で、0.3≦α ≦30、0.1≦β≦30、0.1≦γ≦75の範囲であり、 よび該3つの式が同時に成り立つようにα、β 、γが選ばれる。酸素量が0.1原子%未満である と、フェライト被覆層の厚みが十分でなく、 電気抵抗率が十分向上しないので好ましくな く、75原子%を超えると高磁気特性の磁石用複 合磁性材料とはならないので好ましくない。 さらに好ましい範囲は、0.5≦α≦30、0.2≦β≦ 30、0.2≦γ≦50であり、この場合、磁気特性と 電気抵抗率のバランスが取れた材料になる。 なお、Feの0.01~50原子%がM成分で置き換えられ もよい。

 本発明において、フェライト被覆層の厚み 、0.8~10000nmであることが必要である。0.8nm未 満であると、複合材料の電気抵抗率がほとん ど大きくならず、またフェライト被覆層の磁 気的な性質も十分発揮できないので好ましく ない。また10000nmを超えると、電気的絶縁性 十分確保できても、R-Fe-N系磁性材料よりフ ライト被覆層の方が、磁化が低い場合が多 ので、磁石用複合磁性材料の磁化が低下し 、高性能な磁石とはならない。
 さらに、好ましいフェライト被覆層の厚み 範囲は以下の通りである。フェライト被覆 が薄すぎて超常磁性的な性質が支配的にな ず、逆にフェライト被覆層が厚くなりすぎ 、交換相互作用による硬磁性相の磁化を起 とした異方性の影響が希薄とならない領域 即ち2~1000nmの範囲である。2nm未満、1000nmを える範囲では、いずれも保磁力が低下する
 本発明の被覆層中のフェライト相の結晶粒 は、0.8~100nmとすることが好ましい。0.8nm未 であると、磁石用複合磁性材料の電気抵抗 ほとんど大きくならず、また100nmを超えると 、保磁力が大きく低下する。好ましいフェラ イト相の結晶粒径の範囲は2~50nmである。

 このように、磁石用複合磁性材料が、高い 気抵抗率、及び交換相互作用によるR相とF の強い結合を持つためには、R-Fe-N系磁性材 の粒径を小さく押さえて比表面積を大きく るほど有利であるものの、平均粒径が小さ なりすぎると、磁化が低下し高性能な磁石 ならない可能性がある。つまり、R-Fe-N系磁 材料の平均粒径(r)とフェライト被覆層の厚 (d)のバランスが重要で、各種用途により、0. 00001≦d/r≦10の範囲で選ばれることが望まし 。
 フェライト被覆層の厚みは、磁石用複合磁 材料の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)又は 過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察することで 、凡そ有効数字1桁の値で求めることができ 。また、本発明の磁石用複合磁性材料が粉 であり、フェライト被覆層の厚みが10nm以上 ときは、上述のような方法でフェライト被 前後の平均粒径を求め、その差の1/2の値で さの確認を行うことができる。また、本発 のフェライト被覆層の厚みは、その平均値 言うが、表面被覆率が100%から大きく外れて 90%を切るときであっても、表面被覆率が100% あったとした場合の平均値を求める。即ち この場合におけるフェライト被覆層の厚み 値は、全体に対するフェライト被覆層の体 分率と希土類-鉄-窒素系磁性材料の比表面積 から計算して求める方が正確な値を得ること ができる。勿論、表面被覆率が100%であって 、この方法は可能で、計算に用いる物理量 精度が良ければ、有効数字2桁以上でフェラ ト被覆層を知ることができる場合もある。
 本発明の磁石用複合磁性材料を成形して、 ェライト被覆層が連続相を成しているとき 、その連続相の平均厚みの半分がフェライ 被覆層の厚みとなるが、通常は、上記磁石 複合磁性材料成形体断面を観察し、そのフ ライト粒界層と希土類-鉄-窒素系磁性材料 相の体積分率を得て、その値と希土類-鉄-窒 素系磁性材料の粒径又は比表面積から、割り 出すのが最も簡便な方法である。

 次に、本発明における磁石用複合磁性材料 フェライト被覆層の同定方法について述べ 。
 フェライト被覆層の厚みが十分大きい時に 、一般的なX線回折法を用いて、同定するこ とが可能である。しかし、d/rが0.1以下で、d 200nmを切る領域では、希土類-鉄-窒素系磁性 料の結晶性が高く、結晶の対称性が低い場 が多いため、数多くの強度の大きな回折ピ クが磁石用複合磁性材料の回折パターンに れる。この場合、フェライト被覆層の回折 ークが覆い隠されてしまい、X線回折法での 同定が非常に難しくなる場合がある。裏を返 せば、希土類-鉄-窒素系磁性材料の同定には X線回折法を用いるのが相応しいということ になる。
 以上の状況においては、磁石用複合磁性材 を薄片化し、フェライト被覆層のみを電子 回折法及びエネルギー分散型蛍光X線分析法 (EDX)で同定する方法が有効である。電子線は フェライト被覆層の厚み以下か、それを超 ても10倍を超えないようにすると精度の高 解析が行える。

 一例としてフェライト被覆層の厚みが100nm 度の場合は、以下の条件がこのましい。カ ラ長0.2m、加速電圧200kV、電子線波長0.00251nm 電子線径50nm。
 表面被覆率については、50%~100%の範囲に制 する。50%未満では、電気伝導が粒子間を伝 って生じ、電気抵抗率が上昇に寄与しない また、渦電流が粒子間を跨いで生じてしま ので、損失を低減する効果が乏しくなる。
 表面被覆率は、80%以上、さらに90%以上が好 しい。本発明の磁石用複合磁性材料をボン 磁石や空隙率が高く軽い磁石に応用する場 は、さらに95%以上の表面被覆率を有する方 好ましい。理想的な被覆状態としては、100% の被覆率とすることである。これらの表面被 覆率は電子線マイクロアナライザー(EPMA)を用 いて定量することが可能である。

 次に、本発明の磁石用磁性材樹脂複合材料 ついて述べる。
 磁石用磁性材樹脂複合材料の樹脂成分につ て、使用できるものを以下に例示する。
 12-ナイロン、6-ナイロン、6、6-ナイロン、4 6-ナイロン、6、12-ナイロン、非晶性ポリア ド、半芳香族ポリアミドのようなポリアミ 系樹脂。
 ポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポ エチレン等のポリオレフィン系樹脂。
 ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩 ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチ ン-酢酸ビニル共重合体等のポリビニル系樹 脂。
 エチレン-エチルアクリレート共重合体、ポ リメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂。 ポリアクリルニトリル、アクリルニトリル/ タジエン/スチレン共重合体等のアクリロニ リル系樹脂。

 各種ポリウレタン系樹脂。
 ポリテトラフルオロエチレン等の弗素系樹 。
 ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリ ミド、ポリスルホン、ポリブチレンテレフ レート、ポリアリレート、ポリフェニレン キシド、ポリエーテルスルホン、ポリフェ ルスルフィド、ポリアミドイミド、ポリオ シベンジレン、ポリエーテルケトン等のエ ジニアリングプラスチックと呼称される合 樹脂。
 全芳香族ポリエステル等の液晶樹脂を含む 可塑性樹脂。
 ポリアセチレン等の導電性ポリマー。
 エポキシ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ 性ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、熱 化アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂。
 ニトリルゴム、ブタジエン-スチレンゴム、 ブチルゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、 アクリルゴム、ポリアミドエラストマー等の エラストマー。

 本発明の磁性材樹脂複合材料の樹脂成分と ては、上記に例示した樹脂だけには限らな が、上記に例示した樹脂のうち少なくとも1 種が含まれると、電気抵抗率が高く、耐衝撃 性や成形加工性に優れた磁性材樹脂複合材料 とすることができる。樹脂成分の含有量とし ては、0.1~95質量%の範囲とすることが好まし 。樹脂成分の含有量が0.1質量%未満であると 衝撃性などの樹脂の効果がほとんど発揮さ ず、95質量%を超えると磁化や最大エネルギ 積が極端に落ちて、磁石用磁性材料として 実用性が乏しく、好ましくない。高磁気特 、耐衝撃性が特に要求される用途において 、同様な理由で1~90質量%の範囲が好ましい
 特に本発明の特徴は、磁気特性と電気抵抗 が同時に高いことであるが、樹脂成分を多 配合すると、電気抵抗率は上昇しても磁気 性が低下する。その効果についてのみ考え と、樹脂成分は10質量%未満に抑えた方が、 らに好ましい。しかし、樹脂成分を3質量% 満の範囲で添加しても、電気抵抗率はあま 向上せず、一方で磁気特性は向上するとい 理由から、本発明の磁石用複合磁性材料を 性材樹脂複合材料とする効果が顕著に見ら る。

 また、耐酸化性能の向上をも考慮に入れる 、樹脂成分が共存しても、バインダーと希 類-鉄-窒素系粉体の反応劣化や、酸素の拡 などによる希土類-鉄-窒素系磁性材料の劣化 が生じるため、フェライト系磁性材料の被覆 は、樹脂成分の含有量0.1~95質量%の全範囲で 果的である。
 また、本発明の磁性材樹脂複合材料におい 磁性材成分の好ましい含有量は5~99.9質量%で あり、さらに好ましくは10~99質量%である。磁 性材成分の含有量が5質量%未満であると磁化 極端に落ちて、磁石用磁性材料としての実 性が乏しく、99.9質量%を超えると耐衝撃性 どの樹脂の効果がほとんど発揮されず好ま くない。

 なお、本発明の磁性材樹脂複合材料には、 タン系、シリコン系カップリング剤を添加 ることができる。一般にチタン系カップリ グ剤を多く加えると流れ性、成形加工性が 上し、その結果磁性粉体の配合量を増やす とが可能となり、磁場配向を行う際、配向 が向上して、磁気特性の優れた磁性材樹脂 合材料になる。
 一方、シリコン系カップリング剤を使用す と、機械的強度を増す効果が得られるが、 般に流れ性が悪化する。両者の長所を活か ために混合添加することも可能である。又 チタン系、シリコン系に加えてアルミニウ 系、ジルコニウム系、クロム系、鉄系のカ プリング剤を添加することも可能である。
 さらに本発明の磁性材樹脂複合材料には、 剤、耐熱性老化防止剤、酸化防止剤を各種 合することも可能である。

 次に本発明の磁石用複合磁性材料並びに磁 用磁性材樹脂複合材料の製造方法について 載するが、特にこれらに限定されるもので ない。
 本発明において、実質的にR成分、Fe成分か なる合金とは、R成分及びFe成分を主成分と る合金であって、Fe成分のFeがM成分で置き えられているものでよく、該合金をアンモ アガス又は窒素ガスで処理し、必要応じて 粉砕などの処理を行って得た本発明の希土 -鉄-窒素系磁性材料を、さらにフェライト被 覆処理をして、フェライト系磁性材料で被覆 された磁石用複合磁性材料になり得るものを いう。さらに、本発明の製造法の特徴は、“ フェライトめっき法”を用いることができる 点である。フェライトめっき法によって作製 した磁石用複合磁性材料によれば、希土類- -窒素系磁性材料が磁気的に異方性の材料で ったとき、表面をフェライト系磁性材料で 覆した磁石用複合磁性材料も磁気的に異方 の材料となるので、主に成形時に、“少な とも1回、外部磁場を用いて磁石用複合磁性 材料を磁場配向”させれば、高性能な磁石と なり、特に有効である。

(1)母合金の調製
 R-Fe系合金の製造法としては、(i)R、Fe成分の 各金属成分を高周波により溶解し、鋳型など に鋳込む高周波溶解法、(ii)銅などのボート 金属成分を仕込み、アーク放電により溶し むアーク溶解法、(iii)アーク溶解した溶湯を 水冷した鋳型に一気に落とし込んで急冷する ドロップキャスト法、(iv)高周波溶解した溶 を、回転させた銅ロール上に落しリボン状 合金を得る超急冷法、(v)高周波溶解した溶 をガスで噴霧して合金粉体を得るガスアト イズ法、(vi)Fe成分及びまたはM成分の粉体、 たはFe-M合金粉体、R及びまたはM成分の酸化 粉体及び還元剤を高温下で反応させ、Rまた はR及びM成分を還元しながら、RまたはR及びM 分を、Fe成分及びまたはFe-M合金粉体中に拡 させるR/D法、(vii)各金属成分単体及びまた 合金をボールミルなどで微粉砕しながら反 させるメカニカルアロイング法、(viii)上記 れかの方法で得た合金を水素雰囲気下で加 し、一旦R及びまたはMの水素化物と、Fe成分 びまたはM成分またはFe-M合金に分解し、こ 後高温下で低圧として水素を追い出しなが 再結合させ合金化するHDDR(Hydrogenation Decomposi tion Desorption Recombination)法のいずれを用いて よい。
 高周波溶解法、アーク溶解法を用いた場合 溶融状態から、合金が凝固する際にFe主体 副原料相が析出しやすく、特に窒化工程を た後も残存して、保磁力の低下をひきおこ 。そこで、このFe主体の副原料相を消失させ たり、菱面体晶や六方晶、正方晶の結晶構造 を有する主相を増大させたりする目的で、ア ルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス、水素ガ スのうち少なくとも1種を含むガス中もしく 真空中、200~1300℃の温度範囲で、好ましくは 600~1185℃の範囲内で焼鈍を行うことが有効で る。この方法で作製した合金は、超急冷法 どを用いた場合に比べ、結晶粒径が大きく 晶性が良好であり、高い磁化を有している 従って、この合金は均質な主原料相を多量 含んでおり、本発明の磁性材料を得る母合 として好ましい。

(2)粗粉砕及び分級
 上記方法で作製した合金インゴット、R/D法 はHDDR法合金粉体を直接窒化することも可能 であるが、結晶粒径が2000μmより大きいと窒 処理時間が長くなり、粗粉砕を行ってから 化する方が効率的である。200μm以下に粗粉 すれば、窒化効率がさらに向上するため、 に好ましい。
 粗粉砕は、ジョークラッシャー、ハンマー スタンプミル、ローターミル、ピンミル、 ーヒーミルなどを用いて行う。また、ボー ミルやジェットミルなどのような粉砕機を いても、条件次第では窒化に適当な合金粉 の調製が可能である。母合金に水素を吸蔵 せたのち上記粉砕機で粉砕する方法、水素 吸蔵・放出を繰り返し粉化する方法を用い も良い。
 さらに、粗粉砕の後、ふるい、振動式ある は音波式分級機、サイクロンなどを用いて 度調整を行うことも、より均質な窒化を行 ために有効である。粗粉砕、分級の後、不 性ガスや水素中で焼鈍を行うと構造の欠陥 除去することができ、場合によっては有効 ある。以上で、本発明の製造法における希 類-鉄合金の粉体原料またはインゴット原料 の調製法を例示したが、これらの原料の結晶 粒径、粉砕粒径、表面状態などにより、以下 に示す窒化の最適条件に違いが見られる。

(3)窒化・焼鈍
 窒化はアンモニアガス、窒素ガスなどの窒 源を含むガスを、上記(1)または、(1)及び(2) 得たR-Fe成分合金粉体またはインゴットに接 触させて、結晶構造内に窒素を導入する工程 である。
 このとき、窒化雰囲気ガス中に水素を共存 せると、窒化効率が高いうえに、結晶構造 安定なまま窒化できる点で好ましい。また 応を制御するために、アルゴン、ヘリウム ネオンなどの不活性ガスなどを共存させる 合もある。最も好ましい窒化雰囲気として 、アンモニアと水素の混合ガスであり、特 アンモニア分圧を0.1~0.7の範囲に制御すれば 、窒化効率が高い上に本発明の窒素量範囲全 域の磁性材料を作製することができる。
 窒化反応は、ガス組成、加熱温度、加熱処 時間、加圧力で制御し得る。このうち加熱 度は、母合金組成、窒化雰囲気によって異 るが、200~650℃の範囲で選ばれるのが望まし い。200℃未満であると窒化が進まず、650℃を 超えると主原料相が分解して、菱面体晶また は六方晶、正方晶の結晶構造を保ったまま窒 化することができない。窒化効率と主相の含 有率を高くするために、さらに好ましい温度 範囲は250~600℃である。
 また窒化を行った後、不活性ガス及び又は 素ガス中で焼鈍することは磁気特性を向上 せる点で好ましい。窒化・焼鈍装置として 、横型、縦型の管状炉、回転式反応炉、密 式反応炉などが挙げられる。何れの装置に いても、本発明の磁性材料を調整すること 可能であるが、特に窒素組成分布の揃った 体を得るためには回転式反応炉を用いるの 好ましい。
 反応に用いるガスは、ガス組成を一定に保 ながら1気圧以上の気流を反応炉の送り込む 気流方式、ガスを容器に加圧力0.01~70気圧の 域で封入する封入方式、或いはそれらの組 せなどで供給する。

(4)微粉砕
 微粉砕工程は、上記のR-Fe-N系磁性材料やR-Fe -N-H系磁性材料より細かい微粉体まで粉砕す 場合や、R-Fe-N-H-O系磁性材料を得るために、 述のR-Fe-N系磁性材料にO成分及びH成分を導 する目的で行われる工程である。
 微粉砕の方法としては“(2)粗粉砕及び分級 で挙げた方法のほか、回転ボールミル、振 ボールミル、遊星ボールミル、ウエットミ 、ジェットミル、カッターミル、ピンミル 自動乳鉢などの乾式・湿式の微粉砕装置及 それらの組合せなどが用いられる。O成分や H成分を導入する際、その導入量を本発明の 囲に調整する方法としては、微粉砕雰囲気 の水分量や酸素濃度を制御する方法が挙げ れる。
 例えば、ジェットミル等の乾式粉砕機を用 る場合は、粉砕ガス中の水分量を1ppm~1%、酸 素濃度を0.01~5%の範囲の所定濃度に保ったり またボールミル等の湿式粉砕機を用いる場 は、エタノールや他の粉砕溶媒中の水分量 0.1質量ppm~80質量%、溶存酸素量を0.1~10質量ppm 範囲に調整するなどしたりして酸素量を適 な範囲に制御する。
 また、微粉砕した粒子の取り扱い操作をさ ざまな酸素分圧に制御されたグローブボッ スや容器中で行ったり、所定時間放置した する操作を加え、酸素量を制御することも きる。本発明における磁性材料は、非窒化 である金属系磁性材料に比べ微粒子になっ も安定で粉砕性に優れるので、例えば窒化 理後の粒径が2000μmを超える大きさであって も、上記の微粉砕方法によれば0.1~2000μmに調 することが可能であるが、工業的なコスト リットを重視する場合、0.2以上の範囲で調 することが肝要である。また、こののちに 体表面を、ハンマーミルなどの表面改質機 改質したり、酸処理、アルカリ処理、洗浄 理、脱脂処理などの各種表面処理を行うこ も、場合によっては後段のフェライト系材 による表面被覆処理をより効果的なものと 、最終的に粉体同士の電気的絶縁・磁気的 結や耐酸化性能向上のために有効である。

(5)フェライト被覆処理
 上記(3)又は(4)までで得た希土類-鉄-窒素系 性材料の表面にフェライト系磁性材料を被 する方法、特にその中でF相、さらに又スピ ル構造を有したフェライトを被覆するのに 効な“フェライトめっき法”について詳し 述べる。
 フェライト被覆層の導入方法は、混合法、 着法、スパッタ法、パルスレーザー堆積法 プラズマフラッシュ法、フェライトめっき を含む電界・無電界めっき法、ハンマーミ などの表面改質機を用いてR-Fe-N系磁性材料 体の表面にフェライト系磁性材料粉体の層 形成する方法、さらに条件によってはプラ マジェット法も使用可能である。
 本発明の特徴のひとつである磁場配向によ 高性能化できる材料を製造する方法として 、フェライトめっき法による、希土類-鉄- 素系磁性材料のフェライト表面被覆法が挙 られる。本発明の被覆層であるフェライト 磁性材料がF相である場合は、フェライトめ き法で希土類-鉄-窒素系磁性材料粉体の表 に結合させ、被覆させるのが好ましい。
 フェライトめっき法によれば、F相とR相を 学的に強固に結びつけるために、磁気的連 を持たせるのみならず、フェライトのよう 大気中で安定な酸化物被覆により、R相の耐 化性能を向上させる効果がある。フェライ めっき法については、公知の方法が利用で 、例えば、阿部正紀、日本応用磁気学会誌 22巻、9号(1998)1225頁(以下、「非特許文献5」 称する)、再公表特許W02003/015109号公報(以下 「特許文献4」と称する)などに開示されて る。
 “フェライトめっき法”とは、本発明者の 部らにより見いだされたものであり、粉体 面めっきだけでなく、薄膜などにも応用さ 、その反応機構なども非特許文献5に開示さ れているが、本発明においては、“100℃以下 の水溶液中で反応を行い、強磁性で結晶性の フェライト系磁性材料を粉体表面に直接形成 する方法”と定義する(温度条件及び水中反 場の根拠は非特許文献5の左欄16行目を参照)

 以下に、R-Fe-N系磁性材料にスピネル構造を したフェライト系磁性材料を被覆する方法 関して例示する。
 R-Fe-N系磁性材料表面を酸性表面処理液で酸 理し表面酸化膜を除去した後、引き続き、 磁性材料を直接大気に触れさせる事なく水 に分散した後、室温大気下、超音波励起し がら、若しくは適切な強度或いは回転数で 機械的撹拌を行いながら、反応液とともにp H調節液を滴下して、酸性からアルカリ性領 に溶液のpHを徐々に変化させ、R-Fe-N系磁性材 料の表面にフェライトを被覆させる。この方 法は、工程が簡便であるため、コスト的に安 価な方法のひとつとして挙げられる。本発明 のフェライトめっき法は、勿論上記に限られ るわけではないが、ここで用いられる表面処 理液、反応液、pH調節液は、フェライトめっ を行う上での必須の成分であるので、上記 工程に従って、以下に説明を加える。
 表面処理液としては、酸性溶液が好ましく 塩酸、硝酸、硫酸、リン酸などの無機酸の か、塩化鉄溶液や塩化ニッケル溶液など金 塩、さらにそれらの復塩、錯塩の水溶液、 機酸水溶液など、さらにそれらの組み合わ も使用が可能である。pHは0未満であると、 激にR-Fe-N系磁性材料が溶解してしまう場合 あるので、0以上7未満の間で制御すること 望まれる。表面処理をマイルドに行い、不 なR-Fe-N系磁性材料の溶出を最小限に食い止 るために、特に好ましいpH領域は2以上7未満 ある。
 この表面処理操作によって、R-Fe-N系磁性粉 の表面酸化層を取り除き、フェライト相を 接結合させることが可能となり、優れた本 明の交換スプリング磁石を構成する上で重 な操作である。

 次に、反応場としての溶媒は、有機溶媒な も使用できるが、無機塩が電離できるよう 、水が含まれる必要がある。
 反応液については、塩化鉄、塩化ニッケル 塩化マンガンなどの塩化物、硝酸鉄などの 酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩などの M’成分の無機塩の、水を主体とする溶液で も、場合よっては有機酸塩の水を主体とする 溶液でも使用可能である。また、それらの組 み合わせでもよい。反応液の中には、鉄イオ ンを含むことが必須である。反応液中の鉄イ オンについて述べると、二価の鉄(Fe 2+ )イオンのみを含む場合と、三価の鉄(Fe 3+ )イオンとの混合物、三価の鉄イオンのみの 合の何れでもよいが、Fe 3+ イオンのみ場合はM’成分元素の二価以下の 属イオンが含まれている必要がある。
 pH調節液としては、水酸化ナトリウム、水 化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナ リウム、水酸化アンモニウムなどのアルカ 溶液や、塩酸などの酸性溶液、及びその組 合わせが挙げられる。酢酸-酢酸ナトリウム 合溶液のようなpH緩衝液の使用、キレート 合物などの添加なども可能である。

 酸化剤は一般に必ずしも必須ではないが、 応液中にFe 2+ イオンのみが含まれている場合には、必須な 成分である。例示すると、亜硝酸塩、硝酸塩 、過酸化水素水、塩素酸塩、過塩素酸、次亜 塩素酸、臭素酸塩、有機過酸化物、溶存酸素 水など、及びそれらの組み合わせが挙げられ る。大気中や酸素濃度が制御された雰囲気中 で撹拌することによって、フェライトめっき 反応場へ連続的に、酸化剤としての働きを持 つ溶存酸素が供給されている状況を保ち、反 応の制御を行うことは有効である。又、逆に 、反応場にバブリングするなどして、窒素ガ スやアルゴンガスなどの不活性ガスを連続的 あるいは一時的に導入し、酸素の酸化作用を 制限することによって、他の酸化剤の効果を 阻害せず、安定して反応制御を行うこともで きる。

 典型的なフェライトめっき法では、以下の うな反応機構でフェライト被覆層の形成が む。反応液としてFe 2+ イオンが含まれており、これが粉体表面のOH に吸着され、H + を放出する。次いで空気中の酸素や酸化剤、 陽極電流(e + )などによって酸化反応を行うと、吸着され Fe 2+ イオンの一部がFe 3+ イオンに酸化される。液中のFe 2+ イオンまたは、Fe 2+ およびM’ 2+ イオンが、既に吸着していた金属イオン上に 再び吸着しつつ、加水分解を伴いながら、H + を放出してスピネル構造を有したフェライト 相が生成する。このフェライト層の表面には 、OH基が存在しているので、再び金属イオン 吸着して、同様のプロセスが繰り返され、 ェライト被覆層が成長する。

 この反応機構のなかで、Fe 2+ イオンから直接スピネル構造のフェライト、 例えばマグネタイトに変化させるためには、 FeのpH-電位図における平衡曲線で、Fe 2+ イオンとマグネタイトを仕切る線を横切るよ うに、pHと酸化還元電位を調節しながら、(ゆ っくり)Fe 2+ イオンの安定な領域からマグネタイトが析出 する領域に、反応系をずらして行かねばなら ない。M’ 2+ イオンなどM’成分元素のイオンが含まれる 合も、その組成・温度に対応するpH-電位図 用いるか、或いは予測することにより、同 な議論ができる。従って、pH調節剤、酸化剤 の働きは非常に重要で、それらの種類や濃度 、添加方法などにより、F相が生成するかど かの反応の成否や、フェライト被覆層の純 に大きく関わることになる。
 その他、反応を決定する因子としては、R-Fe -N系磁性材料の分散状態と反応温度が挙げら る。
 R-Fe-N系磁性材料の表面反応を円滑行うため 或いは凝集を防ぐために、溶液中へのR-Fe-N 磁性粉体の分散は非常に重要であるが、超 波で分散しながら反応励起を同時に行う方 、分散液をポンプで搬送・循環する方法、 に撹拌バネや回転ドラムで撹拌したり、ア チュエータなどで揺動・振動したりする方 など、目的の反応制御に応じて、公知の方 の何れか、或いは組み合わせが用いられる

 反応の制御には、温度も重要である。一般 R相とF相との化学的結合を強固にするため 反応温度は、R-Fe-N系磁性材料が分解しない 囲の650℃以下で選ぶことができるが、フェ イトめっき法では水共存下での反応である めに、大気圧下での水の凝固点から沸点ま の0~100℃の間が好ましい。特に、生体物質な どの共存下でR-Fe-N系磁性粉体にフェライトめ っきを施すような、該方法が室温付近でも十 分反応が進む利点を活かした応用が考えられ る。
 本発明では、系全体を高圧下に置くなどし 100℃を超える温度領域でめっきを行う方法 例えば超臨界反応などは、本発明ではフェ イトめっき法の範疇には属さないが、本発 の効果を発揮するフェライト被覆層が希土 -鉄-窒素系磁性材料の表面上に形成されれ 、勿論本発明の磁石用複合磁性材料に属す 。
 反応の励起方法としては、上記のように温 や超音波の他に、圧力や光励起なども場合 よっては有効である。

 さらに、本発明では、反応液としてFe 2+ を含む水溶液を用い、フェライトめっき法を 適用した場合、特にフェライト被覆層がマグ ネタイト、マグネタイトとマグヘマイトとの 中間体、或いはFeフェライト以外でもFeが二 イオンとして混入する条件で反応した場合 最終的に生成した本発明の磁石用複合磁性 料のフェライト被覆層中にFeの二価イオンが 観測されることが重要である。その量はFe 2+ /Fe 3+ 比で、0.05以上、0.5以下であることが好まし 。これを同定する方法としては、電子線マ クロアナライザー(EPMA)を用いることが有効 ある。R-Fe-N系磁性材料と、フェライト系磁 材料で被覆した磁石用複合磁性材料の表面 EPMAで分析し、FeL α -FeL β のX線スペクトルを得て、上記2種の材料の差 を取り、Fe 2+ を含む酸化鉄(例えばマグネタイト)及びFe 3+ のみの酸化鉄(例えばヘマタイトやマグヘマ イト)標準試料のスペクトルと比較すること より表面被覆フェライト相中のFe 2+ イオン量を同定できる。
 このとき、EPMAの測定条件は、加速電圧7kV、 測定径50μm、ビーム電流30nA、測定時間1秒/ス ップである。

(6)配向・成形
 本発明の磁石用複合磁性材料を用いた磁石 料は、本発明のフェライト系磁性材料を表 被覆した希土類-鉄-窒素系磁性材料のみを 化するか、又は金属バインダー、他の磁性 料や樹脂を添加して成形するなどして、各 用途に用いられる。特に上記で述べた樹脂 配合すると、本発明の磁性材樹脂複合材料 なる。また、本発明の磁石用複合磁性材料 異方性材料であった場合、この成形工程で なくとも1回、磁場配向操作を行うと高磁気 性の磁石となるので特に推奨される。
 本発明の磁石用複合磁性材料のみを固化す 方法としては、型に入れ冷間で圧粉成形し 、そのまま使用したり、或いは続いて、冷 で圧延、鍛造、衝撃波圧縮成形などを行っ 成形したりする方法もあるが、多くの場合 50℃以上の温度で熱処理しながら焼結して 形を行う。熱処理雰囲気は非酸化性雰囲気 あることが好ましく、アルゴン、ヘリウム どの希ガスや窒素ガス中などの不活性ガス で、或いは水素ガスを含む還元ガス中で熱 理を行うと良い。500℃以下の温度条件なら 気中でも可能である。また、常圧や加圧下 焼結でも、さらには真空中の焼結であって 構わない。

 この熱処理は圧粉成形と同時に行うことも き、ホットプレス法やHIP(ホットアイソスタ ティックプレス)法、さらにはSPS(放電プラズ 焼結)法などのような加圧焼結法でも、本発 明の磁性材料を成形することが可能である。 なお、本発明に対する加圧効果を顕著とする ためには、加熱焼結工程における加圧力を0.0 001~10GPaの範囲内としなければならない。0.0001 GPa未満であると、加圧の効果が乏しく常圧焼 結と電磁気特性に変わりがないため、加圧焼 結すると生産性が落ちる分不利となる。10GPa 超えると、加圧効果が飽和するので、むや に加圧するだけで生産性が落ちて意味をな ない。
 また、大きな加圧は磁性材料に好まれざる ラックを誘起し、本来有する高い電気抵抗 や保磁力などの磁気特性が悪化する可能性 ある。従って、加圧力の好ましい範囲は0.00 1~1GPa、さらに好ましくは0.01~0.1GPaである。

 ホットプレス法の中でも、圧粉成形体を組 変形するカプセルの中に仕込み、1軸~3軸方 から、大きな圧を掛けながら、熱処理して ットプレスする超高圧HP法は、一軸圧縮機 用い超硬やカーボン製の金型中で加圧熱処 するホットプレス法と異なり、タングステ カーバイド超硬金型を用いても難しい2GPa以 の圧を金型の破損などの問題なく、しかも 方的に、磁性材料に加えることができ、し も圧力でカプセルが塑性変形し内部が密閉 れることより大気に触れず成形できるので 酸素などの不純物を混入させず、また揮発 の成分の蒸散を押さえることが可能である
 さらに以上の方法の多くの場合は、若干磁 材料表面の分解を伴い固化されることが往 にしてあるが、衝撃波圧縮法の中で、公知 水中衝撃波圧縮法は、磁性材料の分解をと なわず成形できる方法として有利である。

 次に、本発明の磁石用複合磁性材料を成形 て磁石とする一例として、水中衝撃波圧縮 ついて詳しく述べる。但し、本発明の製造 は、これに限定されるわけではない。
 水中衝撃波による衝撃圧縮方法としては、 重管の最内部に当該粉体を圧粉成形し、中 部に水を入れ、外周部に爆薬を配置し、爆 を爆轟させることで、前記中間部の水中に 撃波を導入し、最内部の当該粉体を圧縮す 方法や、当該粉体を密閉容器中へ圧粉成形 、水中へ投入し、爆薬を水中にて爆轟させ その衝撃波により当該粉体を圧縮する方法 、特許第2951349号公報(以下、「特許文献5」 称する)又は、特許第3220212号公報(以下、「 許文献6」と称する)による方法が選択でき 。いずれの方法においても、以下に示す水 衝撃波による衝撃圧縮の利点を得ることが きる。

 水中衝撃波を用いた本発明の衝撃圧縮法 よる圧縮固化工程では、衝撃波の持つ超高 剪断性、活性化作用は、粉体の金属的結合 よる固化作用と組織の微細化作用を誘起し バルク固化することが可能である。このと 、衝撃圧力自体の持続時間は、従来の衝撃 を用いた場合よりも長いが、体積圧縮と衝 波の非線形現象に基づくエントロピーの増 による温度上昇は極めて短時間(数μs以下) 消失し、分解や脱窒は殆ど起こらない。水 衝撃波を用いて圧縮した後も残留温度は存 する。この残留温度が分解温度(常圧で約650 以上)になると、希土類-鉄-窒素系磁性材料 分解が開始され、磁気特性を劣化するので ましくない。しかし、水中衝撃波による場 は、従来の衝撃波による場合よりも、残留 度を低く保つことが非常に容易である。希 類-鉄-窒素系磁性材料を水中衝撃波法で固 した例としては、特開2002-329603号公報(以下 「特許文献7」と称する)、A. Chiba, K. Hokamoto , S. Sugimoto, T. Kozuka, A. Mori and E. Kakimoto, J. Magn. Magn. Mater., 310, E881 (2007) (以下、 非特許文献6」と称する)がある。

 ところで、複合磁性材料に金属を加え、上 のいずれかの方法で成形する方法は本発明 複合磁性材料を分解せずに固化する方法と て、特に有効である。Zn、In、Sn、Ga等の融 が1000℃以下、好ましくは500℃以下の各低融 金属が好ましく、中でもZnを用いると保磁 とその熱安定性が格段によくなる。フェラ ト系磁性材料の希土類-鉄-窒素系磁性材料に 対する表面被覆率が50~99.9%の範囲にある場合 Znの添加は特に効果的である。Fe、Co、Niの うな強磁性元素や、Al、V、Cr、Mn、Cu、Zn、Nb Mo、Ag、Sn、Ta、W、Ir、Pt、Au、Pbなどの立方 金属元素を混合し、圧粉成形、焼結、圧延 ることも可能である。
 ただし、これらの金属バインダーは添加し ぎると、フェライト被覆層の導入により付 された高い電気絶縁性を阻害することにな 、好ましくない。

 添加量は、フェライト被覆層の厚みにもよ が、0.01~30質量%までに留めるべきである。 らに好ましい添加量の範囲は、0.1~10質量%で る。なお、0.01質量%未満の添加では、金属 インダーの易成形性に対する効果がほとん 見られない。
 上記(5)で得た複合磁性材料粉体を磁石用磁 材樹脂複合材料に応用する場合、熱硬化性 脂や熱可塑性樹脂と混合したのち圧縮成形 たり、熱可塑性樹脂と共に混練したのち射 成形を行ったり、さらに押出成形、ロール 形やカレンダ成形などによりして成形する
 配向方法は機械的方法や磁場配向などがあ 。扁平率が高い磁性粉体を用いる場合、そ 形状の異方性を利用して、圧力の掛け方の 夫などで機械的な配向が可能である。ロー 成形では1次元の圧力が、圧縮成形では2次 の圧力が掛かるので、磁性粉体の形状によ ては、配向したのちの複合磁性材料又は磁 材樹脂複合材料の異方性も成形に応じて変 する。

 以上の方法で、磁石用複合磁性材料単独成 、或いは、磁性材樹脂複合材料を成形する 、その工程の一部又は全部を磁場中で行う 、磁性粒子が磁場配向して、磁気特性が大 く向上する場合がある。このような大きな 上が見られるのは、本発明の磁石用複合磁 材料が異方性材料である場合である。本発 の磁気的連結方法であると、磁場配向が有 な異方性の磁石用複合磁性材料が容易に得 れるが、これが本発明における製造法の特 のひとつである。磁場配向の方法には大き 、一軸磁場配向、回転磁場配向、対向磁極 向の3種類が挙げられる。
 “一軸磁場配向”とは、運動が可能な状態 ある磁性材料又は磁性材樹脂複合材料に、 常外部から任意の方向に静磁場を掛けて、 性材料の容易磁化方向を外部静磁場方向に えることを言う。この後通常、圧を掛けた 、樹脂成分を固めたりして、一軸磁場配向 形体を作製する。

 “回転磁場配向”とは、運動が可能な状態 ある複合磁性材料又は磁性材樹脂複合材料 、通常一つの平面内で回転する外部磁場の におき、磁性材料の困難磁化方向を一方向 揃える方法である。回転する方法は、外部 場を回転させる方法、静磁場中で磁性材料 回転させる方法、外部磁場も磁性材料も回 させないが、複数の磁極の強さを同調させ 変化させ、あたかも磁場が回転しているが とく磁性材料が感じるようなシークエンス 組んで磁場を随時印加する方法などがある 押出成形やロール成形などでは、押出方向 磁極を2以上並べ、磁場の強さ或いは極性を 変化させて、複合磁性材料又は磁性材樹脂複 合材料が通過するときに回転する磁場を感じ るように配置し配向させる方法も、広義の回 転磁場配向である。
 対向磁極配向は、同極の磁極を向かい合わ た環境に、磁性材料又は磁性材樹脂複合材 を静置するか或いは回転又は並進運動させ 、困難磁化方向を一方向に揃える方法であ 。ラジアル配向といわれる方法も原理は対 磁極配向と同様で、一般に成形中の磁性材 を貫く磁路の方向を正確に制御するために 磁性金型と非磁性金型を効果的に組み合わ ることにより実施される。

 磁場成形は、複合磁性材料を充分に磁場配 せしめるため、好ましくは0.01T以上、さら 好ましくは0.1T以上、最も好ましくは0.5T以上 の磁場中で行う。磁場配向に必要な磁場の強 さと時間は、磁性粉体の形状、磁性材樹脂複 合材料の場合マトリックスの粘度や磁性粉体 との親和性により決まる。
 一般に強い磁場を用いるほど配向時間が短 なるので、成形時間が短くマトリックス樹 の粘度の大きいロール成形やカレンダ成形 おける磁場配向には、0.5T以上の磁場を用い た方が望ましい。
 本複合磁性材料若しくは磁性材樹脂複合材 の製造方法としては、(1)、又は(1)及び(2)に 示した方法でR-Fe成分組成の母合金を調製し てから、(3)で示した方法で窒化し、(4)で示し た微粉砕し、(5)で示した方法によりスピネル 構造を有した軟磁性フェライト系磁性材料で 表面被覆し、さらに(6)で示した磁場配向を施 して製造する工程を用いるのが最も好ましい 。

 以下、実施例などにより本発明を更に具体 に説明するが、本発明はこれらの実施例な により何ら限定されるものではない。本発 の評価方法は以下のとおりである。
(1)磁気特性
 希土類-鉄-窒素系磁性材料、複合磁性材料 は磁性材樹脂複合材料の成形体を室温中6Tで 着磁し、振動試料型磁力計(VSM)を用いて減磁 線を描かせた。それを元に、室温の残留磁 密度B r (T)、固有保磁力μ 0 H cJ (T)、最大エネルギー積(BH) max (J/m 3 )を求めた。本実施例においては、上記で測 した磁化の値が、低磁場領域(0~0.5T)の範囲で 磁気曲線上に変曲点がないとき磁気的連結が 達成されたとする。
(2)電気抵抗率
 希土類-鉄-窒素系磁性材料、複合磁性材料 は磁性材樹脂複合材料の成形体を4端子法で 定した。本実施例においては、電気抵抗率 2500μωcm以上のとき電気的絶縁が達成された とする。しかし、その好ましい電気抵抗率の 範囲は、3500μωcm以上である。
(3)窒素量及び酸素量
 窒素量、酸素量は、Si 3 N 4 (SiO 2  を定量含む)を標準試料として、不活性ガス 融解法により定量した。

(4)希土類-鉄-窒素系材料の平均粒径
 レーザー回折式粒度分布計を用いて、体積 当径分布を測定し、その分布曲線より求め メジアン径(μm)にて評価した。
(5)フェライト系磁性材料の被覆厚さ
 複合磁性材料の断面を、走査型電子顕微鏡( SEM)又は透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、各磁 性材料成分・空隙量を密度測定の結果を併せ て求めた。また、上記(4)の平均粒径をフェラ イト被覆処理前後で求め、その差の1/2の値で おおよその厚さの確認を行った。
(6)耐酸化性能
 磁性材料を110℃に保った恒温槽に入れ、大 中で200時間放置後、固有保磁力を測定し、 期の固有保磁力との比を取って、その保持 (%)を求めた。本発明では、耐酸化性能80%以 を有する材料を耐酸化性が優れた材料であ とした。

  [実施例1]
 純度99.9%のSm及び純度99.9%のFeを用いてアル ンガス雰囲気下アーク溶解炉で溶解混合し インゴットを作製した。さらにアルゴン雰 気中、1150℃で20時間焼鈍し徐冷して表面研 することにより、Sm 10.6 Fe 89.4 組成の合金を調製した。
 この合金をジョークラッシャにより粉砕し 次いでアルゴン雰囲気中カッターミルでさ に粉砕した後、ふるいで粒度を調整して、 均粒径約60μmの粉体を得た。このSm-Fe合金粉 体を横型管状炉に仕込み、450℃において、ア ンモニア分圧0.35atm、水素ガス分圧0.65atmの混 気流中で2時間加熱処理し、さらにアルゴン 気流中で30分間焼鈍を行い、平均粒径約30μm Sm 9.0 Fe 76.1 N 14.9 組成に調整した。
 続いて、上記で得られた磁性粉体をヘキサ 中で回転ボールミルにより4時間微粉砕して 、平均粒径約2μmの希土類-鉄-窒素系磁性材料 を作製した。この材料は、X線回折法で測定 たところ、菱面体晶の結晶構造を有してい ことが判った。

 この材料を精製水とともにリアクターに入 、表面を酸処理したのち、再び材料を精製 中で十分分散する程度に大気中にて激しく 拌しながら、280mMの水酸化カリウム水溶液(p H調整液)を滴下し、系のpHを6.1~11.8の範囲で酸 側からアルカリ側に徐々に移行して調整し、 同時に126mMのFeCl 2 水溶液(反応液)を滴下して、10分間反応させ のち、pH調整液と反応液の滴下を中止して、 さらに10分間撹拌操作を続けた。そのあと、 製水で、続いてアセトンで洗浄し、希土類- 鉄-窒素系磁性材料から遊離した成分を取り いた。このフェライトめっき法によるフェ イト被覆処理を行うことにより、平均粒径 2.1μmのSm 7.7 Fe 71.1 N 12.6 O 8.6 のフェライト被覆層を有した希土類-鉄-窒素 材料である磁石用複合磁性材料を得た。こ フェライト被覆層は電子線回折法及びEPMA測 定の結果、マグネタイトとマグヘマタイトの 中間体相であることが判った。
 これに、エポキシ樹脂を2質量%配合し、配 磁場を1.5T、1GPaで成形し、キュア処理して得 た圧縮成形ボンド磁石の磁気特性及び電気抵 抗率を測定した。結果を表1に示す。低磁場 域で磁気曲線には変曲点は見られず、電気 絶縁・磁気的連結が達成されていることが かった。フェライト被覆層の厚みは約40nmで った。この圧縮成形ボンド磁石の密度及び 填率は、5.62g/cm 3 及び77体積%であった。この圧縮成形ボンド磁 石の耐酸化性能は85%であり、磁石用複合磁性 材料は優れた耐酸化性能を有することがわか った。

  [比較例1]
 フェライト被覆処理を行わないこと以外は 実施例1と同様にして、希土類-鉄-窒素系材 を用いた圧縮成形ボンド磁石を作製し、そ 磁気特性及び電気抵抗率を測定したところ 表1に示す結果を得た。この圧縮成形ボンド 磁石の密度及び充填率は、5.89g/cm 3 及び77体積%であった。
 この圧縮成形ボンド磁石は実施例1に比べ、 磁気特性は若干上回るものの電気抵抗率が低 く、電気的絶縁が実現されていない。この圧 縮成形ボンド磁石の耐酸化性能は65%と実施例 1に比べかなり低かった。これらの結果から 本発明の磁石用複合磁性材料は、フェライ 被覆層の導入の結果、耐酸化性能が向上し ことがわかった。

  [実施例2]
 平均粒径約2μmであって、菱面体晶の結晶構 造を有しているSm 9.1 Fe 77.3 N 13.6 組成の希土類-鉄-窒素系磁性材料を、実施例1 と同様な方法で得た。続いて、この磁性材料 粉体を、実施例1と同様なフェライト被覆処 法により、ただし、系のpHを4.6~13.8の範囲で 側からアルカリ側に徐々に移行するように 整しながら反応時間を20分とする条件の変 を行って、Sm 7.5 Fe 71.6 N 11.3 O 9.6 組成の磁石用複合磁性材料を得た。この複合 磁性材料とフェライト被覆前の希土類-鉄-窒 系磁性材料のSEM写真を図2に示した。(A)がフ ェライト被覆処理前の希土類-鉄-窒素系磁性 料粉体であり、(B)がフェライト被覆処理後 複合磁性材料粉体のSEM写真である。この写 より、直径約2μmの希土類-鉄-窒素系磁性材 粉体の表面が、10nm程度以下の粒径を有した フェライト系磁性材料にほとんど完全に被覆 されている様子がわかる。この複合磁性材料 を、配向磁場を1.5T、1GPaで圧粉成形して得た 石の磁気特性及び電気抵抗率を表1に示す。 電気抵抗率は7490μωcmに達し、2500μωcmの電気 絶縁の基準を十分超えている。図3には、こ の圧粉成形磁石の減磁曲線を示した。低磁場 領域で磁気曲線には変曲点は見られず、電気 的絶縁・磁気的連結の達成が確認された。な お、この圧粉成形体磁石の密度及び充填率は 、5.31g/cm 3 及び73体積%であり、フェライト被覆層の厚み は約50nmである。

  [比較例2]
 フェライト表面被覆処理を行わなかった以 は実施例2と同様にして、希土類-鉄-窒素系 性材料の圧粉成形磁石を作製し、その磁気 性及び電気抵抗率を測定したところ、表1に 示すような結果を得た。なお、この圧粉成形 磁石の密度及び充填率は、5.35g/cm 3 及び70体積%である。図3に、この圧粉成形磁 の減磁曲線を示した。
 実施例2に比べ、磁気特性は良好であるが、 電気抵抗率は1730μωcmと遙かに悪く、電気的 縁がなされていない。

  [実施例3及び比較例3]
 実施例2で用いた磁石用複合磁性材料粉体及 び比較例2で用いた希土類-鉄-窒素系磁性材料 粉体を公知の方法(特許文献7に記載の方法)に て、それぞれ水中衝撃波圧縮成形を行った。 このときの加圧力は6GPaである。また、等方 磁石となるように、これらの原料となる磁 材料は、一度も磁場を掛けないで成形した これらの衝撃波圧縮成形磁石の密度及び充 率は、それぞれ、実施例2の磁石用複合磁性 料を用いた衝撃波圧縮成形磁石(実施例3)が6 .84g/cm 3 及び94体積%、比較例2の磁性材料を用いた衝 波圧縮成形磁石(比較例3)が7.07g/cm 3 及び92体積%であった。図4(A)は比較例3の衝撃 圧縮成形磁石、(B)は実施例3の複合磁性材料 を用いた衝撃波圧縮成形磁石断面のSEM写真で ある。(A)には希土類-鉄-窒素系材料しか存在 ず、結晶粒を分ける粒界が存在しているの である。(B)においては、フェライト被覆層 希土類-鉄-窒素系磁性材料の粒界相として 在しており、その厚みは50nmであった。また このSEM測定により、希土類-鉄-窒素系磁性 料相とフェライト被覆相の体積比は85:15であ ることもわかった。

 図5に、実施例3の衝撃波圧縮成形磁石断面 TEM観察した写真(上図(A))とフェライト被覆層 である粒界相の電子線回折パターン(下図(B)) 示した。上図のTEM写真において、(A)の部分 希土類―鉄-窒素系磁性材料(主相)、(B)の部 は被覆材としてのフェライト系磁性材料(粒 界相)である。なお、下図の(B)相の電子線回 パターンは電子ビームを約50nmに絞って観測 たときの測定結果である。確認された7つの 電子線回折リングパターンは全てスピネル構 造を有するFeフェライトに帰属された。下図 各リングに示した数値はスピネル構造を有 るFeフェライトのミラー指数である。また EPMA解析を行った結果から、フェライト被覆 にFe 2+ がかなりの量存在することが明らかになり、 実施例2及び3の希土類-鉄-窒素系磁性材料の ェライト被覆層は、スピネル構造を有するFe フェライトの一種であるマグネタイトとマグ ヘマイトの中間体で構成されており、組成と してはマグネタイトに非常に近いFeフェライ 系磁性材料であることが判った。
 これらの衝撃波圧縮成形磁石の磁気特性、 気抵抗率を表1に示す。電気抵抗率は4770μωc mと高く、また実施例3の衝撃波圧縮成形磁石 磁気曲線には低磁場領域に変曲点がなく電 的絶縁・磁気的連結が達成されているのが 認された。比較例3の衝撃波圧縮成形磁石は 、磁気特性が実施例3より僅かに上回るもの 電気抵抗率が低く、電気的絶縁が成されて ない。その理由は、図4に見られるように、 較例3の衝撃波圧縮成形磁石の粒界には、実 施例3の衝撃波圧縮成形磁石とは異なって、 性材料粒間の電気的な絶縁を確保する、フ ライト被覆層のような高電気抵抗率の層が 在しないためである。
 [実施例4及び比較例4]
 実施例3及び比較例3と同様にして作製した ェライト被覆した希土類-鉄-窒素系磁石用複 合磁性材料用いた衝撃波圧縮成形磁石(実施 4)および希土類―鉄-窒素系磁性材料を用い 衝撃波圧縮成形磁石(比較例4)を6Tのパルス磁 場で着磁した各磁石に対して、逆磁場方向に 磁場を印加し、反転磁場で折り返したあと、 磁場を0に戻して描かせたリコイル線が図6で る。反転磁場の大きさは、0.2~μ 0 H cJ (T)の間で0.1T刻みとし、ある反転磁場でリコ ルループを一回描かせるたびに、着磁し直 て測定を行った。図6には、6Tのパルス磁場 着磁した各磁石の減磁曲線も併せて示した
 同程度の反転磁場で比較するとフェライト っきした希土類-鉄-窒素系磁石用複合磁性 料の衝撃波圧縮磁石のリコイル線の傾きは 希土類-鉄-窒素系磁性材料のものより僅かで あるが大きいことが読み取れる。リコイル透 磁率は、B-H曲線におけるリコイル線を直線に 近似したときの値である。このリコイル透磁 率μ r は、反転磁場μ 0 H d での磁化の値J d と磁場0に戻したときの磁化の値J 0 を測定し、関係式(1)を用いて計算する。

 すなわち、図6のJ-H曲線におけるリコイル線 の傾きに1を足したものとなる。従って、J-H 線でリコイル線の傾きが大きい磁石ほど、 コイル透磁率μ r が大きい。そして、軟磁性と硬磁性の間に交 換相互作用による強い結合が生じていると、 硬磁性単体のものより、リコイル透磁率が大 きくなる。
 この理由は、交換スプリング磁石に逆磁場 かかり、スピンを倒す方向に大きな外力が えられ、交換スプリング磁石中の軟磁性相 スピンが大きく傾いても、この外力が取り かれれば、バネ仕掛けのごとく可逆的にも の状態に戻ることに起因する。外力により ピンを倒す方向への傾きが大きくなる軟磁 相が磁石内に存在しない場合より、存在す 場合の方が、磁化が戻る量が大きくなるか 、リコイル透磁率が大きくなるのである。
 図7は、横軸を反転磁場(有効磁場)とし、実 例4より比較例4のリコイル透磁率を比較し ものである。実施例4の磁石の方が全反転磁 の範囲で、比較例4の磁石より、リコイル透 磁率が高いことがわかった。
 従って、フェライトを被覆した希土類-鉄- 素系磁石用複合磁性材料を用いた実施例4の 石は、交換スプリング磁石であることがわ った。
 また、実施例3と比較例3、並びに実施例4と 較例4を比較することでわかったこととして 、衝撃波圧縮磁石の残留磁束密度の低下率は 再現性よく4%となるが、フェライト層の体積 率が15体積%もあることを考え合わせると、 なり低下率が小さい値に抑えられていると えよう。この原因を知るために、めっきに る残留磁束密度の低下率の計算をおこなっ 。非特許文献4に述べられているように、粉 体粒径2μmのSm 2 Fe 17 N 3 微粉体には約10nmのアモルファス状の表面酸 層が観測されているが、この層はEPMAの詳細 検討結果によるとFe 3+ のヘマタイトに電荷状態が近いことが確認さ れ、また、粉砕に従って比表面積が増すと飽 和磁化が減少していくこと、さらに飽和磁化 の減少率は表面酸化層の体積分率程度、或い はそれ以上であることがわかっているので、 少なくともこの層は非磁性であると考えてい る。この仮定によれば、100%充填率のSm 2 Fe 17 N 3 およびフェライトめっきSm 2 Fe 17 N 3 衝撃波圧縮磁石の磁化はそれぞれ1.52Tおよび1 .40Tとなる。ところで、StonerとWohlfarthの理論[E . C. Stoner and E. P. Wohlfarth, Phil. Trans.Roy. S ci., 240, 599(1948)(以下「非特許文献7」と称す )を参照]によると、無秩序な配向をした単 区粒子の集合体であれば、残留磁束密度は 和磁化の1/2となる。Sm 2 Fe 17 N 3 およびフェライトめっきSm 2 Fe 17 N 3 衝撃波圧縮磁石はともに等方性であるために 、外部磁場0まで磁壁の移動がなく、磁石を 成する結晶粒子が単磁区状態に保たれてい ば、残留磁束密度はそれぞれ0.76Tおよび0.70T なるはずである。実際の磁石の残留磁束密 は、これより15~24%低いが、本研究のSm 2 Fe 17 N 3 系衝撃波圧縮磁石の場合、磁性粉体の欠陥な どを除去し切れていないために、磁壁の移動 による残留磁束密度の低下分が含まれ、若干 小さめな値を示していると考える。
 ここで、めっき有無による残留磁束密度の が、飽和磁化の比に対応すると仮定する。 条件で衝撃波圧縮を行った磁石の特性を比 しているので、この仮定のもとに議論を進 ても、現象を理解する上で、おおむね間違 はなかろうと考えるからである。
 フェライトめっきSm 2 Fe 17 N 3 衝撃波圧縮磁石のSm 2 Fe 17 N 3 衝撃波圧縮磁石に対するB r の低下率δ obs  は、
 δ obs  = 1-(フェライトめっきSm 2 Fe 17 N 3 磁石のB r ) / (Sm 2 Fe 17 N 3 のB r )
により計算して4%であった。
 次に、磁束密度の低下率の計算値δ calc を、上述の仮定の元に、次式から求めると7% なる。

 ここに、Sm 2 Fe 17 N 3 の磁化ならびに微粉体の表面酸化層の体積分 率はJ N =1.52[T]ならびにν SO =0.03(表面酸化層の厚みは10nmであるので、2μm Sm 2 Fe 17 N 3 微粉体において、表面酸化層の全体に対する 体積分率は3%となる)、フェライト層の磁化は マグネタイトの磁化で代表してJ O =0.6[T]、Sm 2 Fe 17 N 3 の衝撃波圧縮磁石の充填率はη S =0.92、フェライトめっきSm 2 Fe 17 N 3 の衝撃波圧縮磁石の充填率ならびにSm 2 Fe 17 N 3 とフェライトの体積比は、η f =0.94ならびにν N O =0.85:0.15である。
 ゆえに、以上の計算では、実測の値を説明 ることができない。
関係式(2)は、フェライトめっきSm 2 Fe 17 N 3 磁石の中にも、Sm 2 Fe 17 N 3 微粉体表面に存在する酸化層が含まれるとし たときの計算である。これは正しい仮定だろ うか。減磁曲線の形やリコイル透磁率の測定 結果から、フェライト相とSm 2 Fe 17 N 3 相との間に交換相互作用による強い結合があ り、交換スプリング磁石となっていると考え られることを述べた。もし、非磁性の酸化物 層がフェライトめっきされた後のSm 2 Fe 17 N 3 微粉体表面にも依然10nmの厚みで存在すると れば、この層で隔てられたフェライト相とSm 2 Fe 17 N 3 相の間に交換相互作用で結びつく、強磁性結 合が生じるとは思えない。従って、Sm 2 Fe 17 N 3 微粉体表面酸化層は、フェライトめっき工程 でほとんど除去され、フェライト層に置き換 わっていると考えるのが妥当である。図8は 記の状況を説明する図である。a)はSm 2 Fe 17 N 3 表面酸化層の上にフェライトめっきされる場 合、b)はSm 2 Fe 17 N 3 表面酸化層がフェライトめっき工程冒頭での 酸処理でエッチングされ除去されたのち、Sm 2 Fe 17 N 3 表面に直接めっき層が形成される場合である 。
 b)の場合を仮定すると、δ calc は関係式(3)のように修正される。

 この式に基づいてδ calc を計算すると4%となり、実測値δ obs に一致する。
 以上の残留磁束密度の低下率の計算結果に り、フェライト相とSm 2 Fe 17 N 3 相との間の希土類元素を含む酸化物層はほぼ 0nmとなっており、その結果、交換相互作用に よる結合が強く働いているであることがわか った。
 図9は、実際に、実施例4の衝撃波圧縮成形 石のフェライト相とSm 2 Fe 17 N 3 相の界面付近をTEMにより観察した結果である 。図中、(A)の部分がSm 2 Fe 17 N 3 相、(B)の部分がフェライト相である。この写 真から、軟磁性相-硬磁性相界面には、希土 -鉄-窒素系磁性材料原料粉体表面にあった酸 化層が、TEMの観察限界内の範囲で存在しない ことが確認できた。このことは、R相-F相界面 付近のEDX及び電子線回折の結果から裏づけら れている。
 なお、本実施例の磁石用複合磁性材料にお て、フェライトめっき直後のフェライト粒 の結晶粒径が10nm以下、1nm以上と細かいが、 それがそのまま衝撃波圧縮後にも保たれてい ることが、良好な特性を示す強磁性結合磁石 を構成する上で、非常に重要である。もしフ ェライト相の結晶粒径が大きいと、小さな逆 磁場によって、まず軟磁性相内部に磁壁が生 じ磁化反転が起こって、全体の保磁力を大き く低下させることになるはずだからである。
 [比較例5]
 実施例2で作製した平均粒径2μmの希土類-鉄- 窒素系磁性材料とマグネタイト微粉体をめの う乳鉢中で、ヘキサンを加え混合した。この とき、マグネタイトの添加量を15体積%とした 。この混合磁性材料を用いて、実施例2と同 に圧粉体を作製し、磁気特性及び電気抵抗 の測定結果を表1に示した。希土類-鉄-窒素 磁性材料、マグネタイト混合粉体の成形体 度及び充填率は、5.30g/cm 3 及び73体積%であり、実施例2と組成及び充填 が同様であるにも関わらず、実施例2の磁石 複合磁性材料に比べ、電気抵抗率は30%、最 エネルギー積も75%と非常に悪い結果を得た
 図9に、実施例2と比較例5の減磁曲線を比較 た。
 比較例5の減磁曲線には、逆磁場0.2T付近に 曲点を持ち、交換相互作用による結合はな 交換スプリング磁石となっていない。その めに磁気特性が軟磁性フェライトの混合に り劣化している。また、フェライト系磁性 子は希土類-鉄-窒素系磁性粉体の粒子間に存 在しているだけで、希土類-鉄-窒素系磁性材 を被覆していない。従って、希土類-鉄-窒 系磁性粉体表面をフェライト層でほぼ完全 被覆している実施例2の磁石用複合磁性材料 比べ、電気抵抗率が極端に小さくなるので る。
 [実施例5~7]
 希土類-鉄-窒素系磁性材料粉体とフェライ 被覆層の組成を表2に示すように変更した以 は実施例1と同様な方法で複合磁性材料を得 た。また、その材料を外部磁場1.5T、加圧力1. 2GPaで圧粉成形し、その磁気特性及び電気抵 率を測定したところ、表2に示すような結果 得た。電気抵抗率は全ての複合磁性材料の 粉磁石で2500μωcmをこえており、電気的絶縁 が達成されている。表2には、希土類-鉄-窒素 系磁性材料の粒径とフェライト被覆層の厚み も併せて示した。なお、X線回折法の結果か 、これらの磁石用複合磁性材料は全て菱面 晶の結晶構造を有していることが判った。 お、フェライト被覆層のフェライトは全て ピネル構造を有した磁性材料である。
 全ての磁石用複合磁性材料の圧粉成形磁石 おいて、低磁場領域で磁気曲線には変曲点 見られず、電気的絶縁・磁気的連結が達成 れていることが確認できた。
 [実施例8]
 希土類-鉄-窒素系磁性材料の表面処理をし い以外は、実施例2と同様な方法で、Sm 7.5 Fe 71.6 N 11.3 O 9.6 組成の磁石用複合磁性材料を得た。この磁気 特性及び電気抵抗率を表1に示した。この磁 用複合磁性材料には約10nmの厚みの希土類-鉄 -窒素系磁性材料の酸化層がフェライト相と 土類-鉄-窒素相の間に存在しており、磁気特 性の低下が大きく、最大エネルギー積は実施 例2に比べ16%程度低い値を示した。また、減 曲線の0.2T当たりに僅かな変曲点が見られた さらに、実施例2に比べ電気抵抗率は55%低下 した。フェライト層の厚みは約50nmである。
 実施例8のめっき処理後の磁石用複合磁性材 料粉体をSEM写真により観測すると、表面がフ ェライト層で50体積%程度しか被覆されていな い希土類-鉄-窒素系磁性材料粒子が50体積%以 混在しており、また、50体積%以下の非磁性 酸化鉄や水酸化鉄のような材料の混在も確 された。

 本発明のフェライト系磁性材料が被覆され 希土類-鉄-窒素系磁性材料によれば、電気 絶縁・磁気的連結が達成でき、従来の酸化 材料と金属系材料では二律背反する、高磁 特性で高電気抵抗率を有し、耐酸化性能に れた希土類-鉄-窒素系磁石用複合磁性材料を 提供できる。
 本発明は主として、各種アクチュエータ、 イスコイルモータ、リニアモータ、ロータ はステータとして回転機用モータ、医療用 置や金属選別機の磁場発生源のほかVSM装置 ESR装置、加速器などの分析機用磁場発生源 マグネトロン進行波管、プリンタヘッドや ピックアップなどOA機器、アンジュレータ ウイグラ、リターダ、マグネットロール、 グネットチャック、各種マグネットシート どに用いられる。特に、回転数500rpmを超え 電気自動車、燃料電池自動車、ハイブリッ 自動車などの自動車駆動用モータ、発電機 工作機、発電機、各種ポンプなどの産業機 用モータ、空調機、冷蔵庫、掃除機などの 庭用電気製品向けモータに用いられる。

交換スプリング磁石を説明する模式図 (a)は軟磁性相と硬磁性相が交換相互作用で 結されていない“軟磁性-硬磁性混合磁性材 料”、(b)は軟磁性相と硬磁性相が交換相互作 用で連結された“交換スプリング磁石”。 希土類-鉄-窒素系磁性材料粉体、及び 発明の磁石用複合磁性材料粉体の走査型電 顕微鏡(SEM)写真。(A)は比較例2の希土類-鉄-窒 素系磁性材料粉体、(B)は実施例2の磁石用複 磁性材料粉体。 実施例2の磁石用複合磁性材料と比較例 2の希土類-鉄-窒素材料を用いた圧粉成形磁石 の減磁曲線。 衝撃波圧縮成形磁石の断面の走査型電 顕微鏡(SEM)写真。(A)は希土類-鉄-窒素系磁性 材料を用いた比較例3の衝撃波圧縮成形磁石 (B)は本発明の磁石用複合磁性材料を用いた 施例3の衝撃波圧縮磁石。(B)の図において、 色の部分が希土類-鉄-窒素系磁性材料(主相) 、黒い部分が被覆材としてのフェライト系磁 性材料(粒界相)。 実施例3の衝撃波圧縮成形磁石断面の透 過型電子顕微鏡(TEM)写真と、電子線回折リン パターン。上図のTEM写真において、(A)の部 は希土類―鉄-窒素系磁性材料(主相)、(B)は 覆材としてのフェライト系磁性材料(粒界相 )。下図は(B)相の電子線回折パターンの写真 図中、白抜きの数値はスピネル構造を有し Feフェライトのミラー指数。 実施例4の磁石用複合磁性材料及び比較 例4の希土類-鉄-窒素材料を用いた衝撃波圧縮 磁石のリコイル線と減磁曲線。 実施例4の磁石用複合磁性材料及び比較 例4の希土類-鉄-窒素材料を用いた衝撃波圧縮 磁石における反転磁場とリコイル透磁率の関 係。 実施例4の磁石用複合磁性材料において、フ ライト被覆によるB r 低下率計算における仮定を説明するための図 。 実施例4の衝撃波圧縮成形磁石において 、フェライト被覆相と希土類―鉄-窒素系磁 材料相界面近傍のTEM写真。図中、(A)の部分 希土類―鉄-窒素系磁性材料(主相)、(B)の部 は被覆材としてのフェライト系磁性材料(粒 相)。 実施例2の磁石用複合磁性材料、及び 較例5の希土類-鉄-窒素系磁性材料粉体とフ ライト粉体の混合材料を用いた、各圧粉成 磁石の減磁曲線。