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Title:
COMPOSITE SEMIPERMEABLE MEMBRANES AND PROCESS FOR PRODUCTION THEREOF
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/001916
Kind Code:
A1
Abstract:
The invention aims at providing a process by which composite semipermeable membrane excellent in contamination resistance, particularly microbial contamination resistance can be easily produced at a low cost; and composite semipermeable membranes produced by the process. The invention relates to a process for the production of semipermeable membrane which comprises the step of forming a skin layer containing a polyamide resin prepared by reacting a polyfunctional amine component with a polyfunctional acid halide component on the surface of a porous substrate, the step of forming a polymer layer (A) containing a silver salt on the skin layer directly or through other layer, and the step of reducing the silver salt to precipitate metallic silver in the polymer layer (A) and/or on the surface thereof.

Inventors:
KONISHI TAKAHISA (JP)
KURATA NAOKI (JP)
MARUYAMA KOUJI (JP)
UDA YASUHIRO (JP)
YAMASHIRO YUUJI (JP)
HARADA CHIAKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/061706
Publication Date:
December 31, 2008
Filing Date:
June 27, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NITTO DENKO CORP (JP)
KONISHI TAKAHISA (JP)
KURATA NAOKI (JP)
MARUYAMA KOUJI (JP)
UDA YASUHIRO (JP)
YAMASHIRO YUUJI (JP)
HARADA CHIAKI (JP)
International Classes:
B01D71/38; B01D67/00; B01D69/12; B01D71/56
Domestic Patent References:
WO2006098872A22006-09-21
Foreign References:
JPH05115760A1993-05-14
JP3379963B22003-02-24
JP2001286741A2001-10-16
JP2000026220A2000-01-25
JPH0881318A1996-03-26
JPH11226367A1999-08-24
JP2004025102A2004-01-29
JP2003053163A2003-02-25
JPS5824303A1983-02-14
JPH01180208A1989-07-18
Other References:
See also references of EP 2172259A4
Attorney, Agent or Firm:
UNIUS PATENT ATTORNEYS OFFICE (1 13-9, Nishinakajima,5-chome, Yodogawa-ku, Osaka-shi, Osaka 11, JP)
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Claims:
多官能アミン成分と多官能酸ハライド成分とを反応させてなるポリアミド系樹脂を含むスキン層を多孔性支持体の表面に形成する工程、前記スキン層上に直接又は他の層を介して銀塩化合物を含有するポリマー層Aを形成する工程、及び前記銀塩化合物を還元して前記ポリマー層A中及び/又は表面に金属銀を析出させる工程を含む複合半透膜の製造方法。
多官能アミン成分と多官能酸ハライド成分とを反応させてなるポリアミド系樹脂を含むスキン層を多孔性支持体の表面に形成する工程、前記スキン層上に直接又は他の層を介して銀塩化合物を含有する銀塩層を形成する工程、前記銀塩化合物を還元することにより金属銀を析出させて金属銀層を形成する工程、及び前記金属銀層上にポリマー層Bを形成する工程を含む複合半透膜の製造方法。
銀塩化合物を活性エネルギー線で還元する請求項1又は2記載の複合半透膜の製造方法。
銀塩化合物が、硝酸銀である請求項1又は2記載の複合半透膜の製造方法。
ポリマー層A又はBを形成するポリマーが、ポリビニルアルコールである請求項1又は2記載の複合半透膜の製造方法。
ポリビニルアルコールは、ケン化度が99~100%である請求項5記載の複合半透膜の製造方法。
ポリビニルアルコールは、ケン化度が90%以上であり、該ポリビニルアルコールを前記スキン層のポリアミド系樹脂に架橋させる工程を含む請求項5記載の複合半透膜の製造方法。
請求項1又は2記載の方法により製造される複合半透膜。
 
 
Description:
複合半透膜及びその製造方法

 本発明は、ポリアミド系樹脂を含むスキ 層とこれを支持する多孔性支持体とを含む 合半透膜及びその製造方法に関する。かか 複合半透膜は、超純水の製造、かん水また 海水の脱塩などに好適であり、また染色排 や電着塗料排水などの公害発生原因である れなどから、その中に含まれる汚染源ある は有効物質を除去・回収し、排水のクロー 化に寄与することができる。また、食品用 などで有効成分の濃縮、浄水や下水用途等 の有害成分の除去などの高度処理に用いる とができる。

 複合半透膜を用いた水処理工程では、時 の経過に伴って水透過量や塩阻止率のよう 水透過特性が低下する現象、即ちファウリ グが発生しており、水処理施設の運営コス の中で最も多くのコストがこのようなファ リングによる損失処理及びファウリング防 に使われている。そのため、このようなフ ウリングに対する根本的な防止策が求めら ている。

 ファウリングを引き起こす原因物質は、 の性状によって、無機結晶質ファウリング 有機物ファウリング、粒子及びコロイドフ ウリング、微生物ファウリングに分けられ 。ポリアミド系複合半透膜の場合は、水中 存在する微生物が分離膜の表面に吸着し、 いバイオフィルムを形成することにより発 する微生物ファウリングが主原因物質であ 。

 ファウリングを減らすために、原水の前 理、分離膜表面の電気的性質改質、モジュ ル工程条件改質、周期的クリーニングなど 方法が広く用いられている。特に、複合半 膜で最も激しく発生する微生物によるファ リングの場合、塩素のような殺菌剤の処理 よって微生物によるファウリングが著しく 少することが知られている。しかし、塩素 場合、発癌物質などの副産物を発生させる で、飲料水を生産する工程にそのまま適用 るには多くの問題点がある。

 最近のアンチファウリング分離膜の研究は 大抵表面の電荷的な特性を変化させること 焦点を合わせている。例えば、逆浸透複合 上に、非イオン系の親水性基を有する架橋 た有機重合体を含む表層を形成する方法が 案されている(特許文献1)。また、ポリアミ 薄膜上に、エポキシ化合物を架橋させた非 溶性高分子にて親水性コートを行う方法が 案されている(特許文献2)。また、TiO 2 をナノサイズの粒状に分離膜の表面に取り込 んだ構造を有するナノ構造形逆浸透分離膜が 提案されている(特許文献3)。また、分離活性 層中にナノ粒子を配合する方法、又は分離活 性層上にナノ粒子を含む親水性層を設ける方 法が提案されている(特許文献4)。

 しかし、特許文献1の方法は、表面を電気 的中性に改質しているのみであり、いったん 菌などが付着すると、その菌を殺したり、繁 殖を抑制する機能はないため、生物由来の汚 染、あるいはそれに起因する副次的な汚染等 による膜特性低下を抑制する効果が低い。

 特許文献2の方法も、付着した菌を殺した り、繁殖を抑制する機能はないため、生物由 来の汚染に関しては効果が低い。

 特許文献3の方法は、ナノサイズの光触媒 を用いているが、光触媒は光が照射されない と有機物を分解する作用は発現しない。した がって、逆浸透分離膜が実際の水処理工程で 使用されるように加工されたスパイラルエレ メント、及び該スパイラルエレメントを水処 理装置に格納する耐圧ベッセルの中では、光 が届かないため触媒活性が機能せず、膜面の 付着物を分解できないため汚染性に対する効 果は低い。

 特許文献4の方法は、分離活性層は、分子 レベルでの極めて高度な緻密性が要求される が、ナノ粒子が混在した状態で製膜すると、 分離活性層の緻密性が損なわれて著しい膜性 能の低下が予想される。また、ナノ粒子の凝 集を抑制するために分散剤等を添加している が、抗菌持続性を保持するためにナノ粒子濃 度を高くすると凝集しやすくなり、均一に分 離活性層又は親水性層を形成することは困難 である。さらに、ナノ粒子を凝集させること なく分散した状態を保持することは非常に高 度な技術を要し、そのためナノ粒子の価格は 非常に高額であり、コストの面でも問題があ る。

特開平11-226367号公報

特開2004-25102号公報

特開2003-53163号公報

国際公開第06/098872号パンフレット

 本発明は、耐汚染特性、特に耐微生物汚 特性に優れる複合半透膜を安価かつ簡便に 造する方法、及び該方法により製造される 合半透膜を提供することを目的とする。

 本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭 検討を重ねた結果、以下に示す複合半透膜 製造方法により上記目的を達成できること 見出し、本発明を完成するに至った。

 すなわち、本発明の複合半透膜の製造方 は、多官能アミン成分と多官能酸ハライド 分とを反応させてなるポリアミド系樹脂を むスキン層を多孔性支持体の表面に形成す 工程、前記スキン層上に直接又は他の層を して銀塩化合物を含有するポリマー層Aを形 成する工程、及び前記銀塩化合物を還元して 前記ポリマー層A中及び/又は表面に金属銀を 出させる工程を含む。

 上記方法によれば、強い抗菌作用及び広 抗菌スペクトルを有する金属銀が凝集する となく均一に分散したポリマー層Aをスキン 層上に容易に形成することができる。また、 スキン層中に金属銀を分散させていないため 、スキン層の性能の低下を抑制でき、水透過 性能及び塩阻止率を高く維持することができ る。

 また、別の本発明の複合半透膜の製造方 は、多官能アミン成分と多官能酸ハライド 分とを反応させてなるポリアミド系樹脂を むスキン層を多孔性支持体の表面に形成す 工程、前記スキン層上に直接又は他の層を して銀塩化合物を含有する銀塩層を形成す 工程、前記銀塩化合物を還元することによ 金属銀を析出させて金属銀層を形成する工 、及び前記金属銀層上にポリマー層Bを形成 する工程を含む。

 上記方法によれば、強い抗菌作用及び広 抗菌スペクトルを有する金属銀が凝集する となく均一に分散した金属銀層をスキン層 に容易に形成することができる。また、ス ン層中に金属銀を分散させていないため、 キン層の性能の低下を抑制でき、水透過性 及び塩阻止率を高く維持することができる

 本発明においては、均一に金属銀を析出 せることができ、また簡便であるという理 から、銀塩化合物を活性エネルギー線で還 することが好ましい。

 また、前記銀塩化合物は、水溶液中での 定性及び水溶液への溶解性の観点から、硝 銀であることが好ましい。

 また、ポリマー層A又はBを形成するポリ ーは、スキン層及び多孔性支持体を溶解せ 、また水処理操作時に溶出しないポリマー あることが必要であり、特にポリビニルア コールを用いることが好ましい。

 前記ポリビニルアルコールは、ケン化度 99~100%であることが好ましい。ケン化度が99~ 100%であるポリビニルアルコールは、分子鎖 水素結合の影響により、熱水(80℃程度)には 溶であるが常温付近(25℃程度)では水不溶性 であり、たとえ架橋度が低くても水溶液に対 する溶解性が低くなるため好ましい。また、 ポリマー層表面に水酸基を多く付与できるた め、複合半透膜の親水性向上の観点からも好 ましい。

 また、ケン化度が90%以上のポリビニルア コールを用い、該ポリビニルアルコールを 記スキン層のポリアミド系樹脂に架橋させ ことにより、水処理操作時におけるポリマ 層の水不溶性を実現してもよい。

 また、本発明は、前記方法により製造さ る複合半透膜、に関する。本発明の複合半 膜は、耐微生物汚染特性に優れるだけでな 、水透過性能及び塩阻止率にも優れるもの ある。

 以下、本発明の実施の形態について説明 る。本発明の複合半透膜の製造方法は、多 能アミン成分と多官能酸ハライド成分とを 応させてなるポリアミド系樹脂を含むスキ 層を多孔性支持体の表面に形成する工程、 記スキン層上に直接又は他の層を介して銀 化合物を含有するポリマー層Aを形成する工 程、及び前記銀塩化合物を還元して前記ポリ マー層A中及び/又は表面に金属銀を析出させ 工程を含む。

 別の本発明の複合半透膜の製造方法は、 官能アミン成分と多官能酸ハライド成分と 反応させてなるポリアミド系樹脂を含むス ン層を多孔性支持体の表面に形成する工程 前記スキン層上に直接又は他の層を介して 塩化合物を含有する銀塩層を形成する工程 前記銀塩化合物を還元することにより金属 を析出させて金属銀層を形成する工程、及 前記金属銀層上にポリマー層Bを形成する工 程を含む。

 多官能アミン成分とは、2以上の反応性ア ミノ基を有する多官能アミンであり、芳香族 、脂肪族及び脂環式の多官能アミンが挙げら れる。

 芳香族多官能アミンとしては、例えば、m -フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン 、o-フェニレンジアミン、1,3,5-トリアミノベ ゼン、1,2,4-トリアミノベンゼン、3,5-ジアミ ノ安息香酸、2,4-ジアミノトルエン、2,6-ジア ノトルエン、N,N’-ジメチル-m-フェニレンジ アミン、2,4-ジアミノアニソール、アミドー 、キシリレンジアミン等が挙げられる。

 脂肪族多官能アミンとしては、例えば、 チレンジアミン、プロピレンジアミン、ト ス(2-アミノエチル)アミン、n-フェニル-エチ レンジアミン等が挙げられる。

 脂環式多官能アミンとしては、例えば、1 ,3-ジアミノシクロヘキサン、1,2-ジアミノシ ロヘキサン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、 ペラジン、2,5-ジメチルピペラジン、4-アミ メチルピペラジン等が挙げられる。

 これらの多官能アミンは1種で用いてもよ く、2種以上を併用してもよい。高塩阻止性 のスキン層を得るためには、芳香族多官能 ミンを用いることが好ましい。

 多官能酸ハライド成分とは、反応性カル ニル基を2個以上有する多官能酸ハライドで ある。

 多官能酸ハライドとしては、芳香族、脂 族及び脂環式の多官能酸ハライドが挙げら る。

 芳香族多官能酸ハライドとしては、例え 、トリメシン酸トリクロライド、テレフタ 酸ジクロライド、イソフタル酸ジクロライ 、ビフェニルジカルボン酸ジクロライド、 フタレンジカルボン酸ジクロライド、ベン ントリスルホン酸トリクロライド、ベンゼ ジスルホン酸ジクロライド、クロロスルホ ルベンゼンジカルボン酸ジクロライド等が げられる。

 脂肪族多官能酸ハライドとしては、例え 、プロパンジカルボン酸ジクロライド、ブ ンジカルボン酸ジクロライド、ペンタンジ ルボン酸ジクロライド、プロパントリカル ン酸トリクロライド、ブタントリカルボン トリクロライド、ペンタントリカルボン酸 リクロライド、グルタリルハライド、アジ イルハライド等が挙げられる。

 脂環式多官能酸ハライドとしては、例え 、シクロプロパントリカルボン酸トリクロ イド、シクロブタンテトラカルボン酸テト クロライド、シクロペンタントリカルボン トリクロライド、シクロペンタンテトラカ ボン酸テトラクロライド、シクロヘキサン リカルボン酸トリクロライド、テトラハイ ロフランテトラカルボン酸テトラクロライ 、シクロペンタンジカルボン酸ジクロライ 、シクロブタンジカルボン酸ジクロライド シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド テトラハイドロフランジカルボン酸ジクロ イド等が挙げられる。

 これら多官能酸ハライドは1種で用いても よく、2種以上を併用してもよい。高塩阻止 能のスキン層を得るためには、芳香族多官 酸ハライドを用いることが好ましい。また 多官能酸ハライド成分の少なくとも一部に3 以上の多官能酸ハライドを用いて、架橋構 を形成するのが好ましい。

 また、ポリアミド系樹脂を含むスキン層 性能を向上させるために、ポリビニルアル ール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリ 酸などのポリマー、ソルビトール、グリセ ンなどの多価アルコールなどを共重合させ もよい。

 スキン層を支持する多孔性支持体は、ス ン層を支持しうるものであれば特に限定さ ず、通常平均孔径10~500Å程度の微孔を有す 限外濾過膜が好ましく用いられる。多孔性 持体の形成材料としては、例えば、ポリス ホン、ポリエーテルスルホンのようなポリ リールエーテルスルホン、ポリイミド、ボ フッ化ビニリデンなど種々のものをあげる とができるが、特に化学的、機械的、熱的 安定である点からポリスルホン、ポリアリ ルエーテルスルホンが好ましく用いられる かかる多孔性支持体の厚さは、通常約25~125 m、好ましくは約40~75μmであるが、必ずしも れらに限定されるものではない。なお、多 性支持体は織布、不織布等の基材による裏 ちにて補強されていている。

 ポリアミド系樹脂を含むスキン層を多孔 支持体の表面に形成する方法は特に制限さ ず、あらゆる公知の手法を用いることがで る。例えば、界面縮合法、相分離法、薄膜 布法などが挙げられる。界面縮合法とは、 体的に、多官能アミン成分を含有するアミ 水溶液と、多官能酸ハライド成分を含有す 有機溶液とを接触させて界面重合させるこ によりスキン層を形成し、該スキン層を多 性支持体上に載置する方法や、多孔性支持 上での前記界面重合によりポリアミド系樹 のスキン層を多孔性支持体上に直接形成す 方法である。かかる界面縮合法の条件等の 細は、特開昭58-24303号公報、特開平1-180208号 公報等に記載されており、それらの公知技術 を適宜採用することができる。

 多孔性支持体上に形成したスキン層の厚 は特に制限されないが、通常0.05~2μm程度で り、好ましくは、0.1~1μmである。

 本発明においては、スキン層を多孔性支 体の表面に形成した後、前記スキン層上に 接又は他の層を介して銀塩化合物を含有す ポリマー膜を形成する。

 本発明で用いる銀塩化合物としては、例 ば、ハロゲン化銀(塩化銀、臭化銀、ヨウ化 銀);硝酸銀、及び硫酸銀などの無機酸銀;酢酸 銀、乳酸銀、及びマロン酸銀などの有機酸銀 などが挙げられる。これらのうち、特に硝酸 銀を用いることが好ましい。

 ポリマー膜を形成するポリマーは、スキ 層及び多孔性支持体を溶解せず、また水処 操作時に溶出しないポリマーであれば特に 限されず、例えば、ポリビニルアルコール ポリビニルピロール、ポリビニルピロリド 、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエ レングリコール、及びケン化ポリエチレン- 酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。これ らのうち、ポリビニルアルコールを用いるこ とが好ましく、特にケン化度が99~100%のポリ ニルアルコールを用いることが好ましい。

 また、ケン化度90%以上のポリビニルアル ールを用い、該ポリビニルアルコールを前 スキン層のポリアミド系樹脂に架橋させる とにより、水処理操作時におけるポリビニ アルコールの溶出を防止してもよい。ポリ ニルアルコールを架橋させる方法としては 例えば、ポリマー層Aをスキン層上に形成し た後に、塩酸酸性の多価アルデヒド溶液中に 浸漬する方法が挙げられる。多価アルデヒド としては、例えば、グルタルアルデヒド及び テレフタルアルデヒドなどのジアルデヒドが 挙げられる。また、架橋剤として、エポキシ 化合物、多価カルボン酸などの有機架橋剤、 ホウ素化合物などの無機架橋剤を用いてもよ い。

 ポリマー膜は、前記銀塩化合物及び前記 リマーを含有する水溶液をスキン層上に直 又は他の層(例えば、親水性樹脂を含む保護 層など)を介して塗工することにより形成す 。塗工方法としては、例えば、噴霧、塗布 シャワーなどが挙げられる。溶媒としては 水の他、スキン層等の性能を低下させない 機溶媒を併用してもよい。そのような有機 媒としては、例えば、メタノール、エタノ ル、プロパノール、及びブタノールなどの 肪族アルコール;メトキシメタノール及びメ キシエタノールなどの低級アルコールが挙 られる。

水溶液中の銀塩化合物の濃度は0.001~10重量% であることが好ましく、より好ましくは0.1~1 量%である。銀塩化合物の濃度が0.001重量%未 満の場合には、ポリマー層A中の金属銀の量 少なくなりすぎるため抗菌性が十分に発揮 れず、一方10重量%を超える場合には、膜性 が低下する傾向にある。

 水溶液中のポリマーの濃度は0.01~1重量%で あることが好ましく、より好ましくは0.05~0.5 量%である。ポリマーの濃度が0.01重量%未満 場合には、ポリマー層A表面の金属銀が脱落 しやすくなったり、十分にスキン層等を被覆 できない。一方1重量%を超える場合には、ポ マー層Aが厚くなりすぎて水透過性能が低下 する傾向にある。

 水溶液の温度は、該水溶液が液体として 在する温度範囲であれば特に制限されない 、スキン層の劣化防止の観点、及び取り扱 の容易さ等から10~90℃であることが好まし 、さらに好ましくは10~60℃、特に好ましくは 10~45℃である。

 その後、ポリマー膜を乾燥させてポリマ 層Aを形成する。乾燥処理を行う際の温度は 特に制限されないが、20~150℃であることが好 ましく、より好ましくは40~130℃である。20℃ 満の場合には、乾燥処理に時間がかかりす たり、乾燥が不十分となり、150℃を超える 合には、熱による膜の構造変化により膜性 が低下する傾向にある。

 ポリマー層Aの厚さは特に制限されないが 、通常0.01~1μmであり、好ましくは0.01~0.1μmで る。ポリマー層Aの厚さが0.01μm未満の場合 は、抗菌性が十分に発揮されず、1μmを超え 場合には、水透過性能が低下する傾向にあ 。

 その後、前記銀塩化合物を還元して前記 リマー層A中及び/又は表面に金属銀を析出 せる。銀塩化合物を還元する方法は特に制 されず、例えば、活性エネルギー線を照射 る方法、加熱する方法、及び還元剤で処理 る方法などが挙げられる。これらのうち、 リマー層中及び/又は表面に金属銀を均一に 出させることができ、また簡便であるとい 理由から、活性エネルギー線を照射する方 を用いることが好ましい。

 活性エネルギー線としては、例えば、キ ノンランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ラ プ、又は超高圧水銀ランプなどの線源から せられる紫外線(UV-A、UV-B、UV-C)及び可視光 、20~2000kV程度の電子線加速器から放射され 電子線及びα線、β線、γ線などの放射線が げられる。取扱い性及び作業性を考慮する 、紫外線又は可視光線を用いることが好ま い。

 活性エネルギー線として紫外線及び/又は可 視光線を用いる場合、紫外線及び/又は可視 線の照射量は、ポリマー層Aに含まれる銀塩 合物の量により適宜調整されるが、通常10~2 000mJ/cm 2 程度である。

 銀塩化合物を還元して析出する金属銀の きさは特に限定されないが、ナノスケール あることが好ましく、ナノ金属銀の場合、 の大きさは1~100nm程度である。

 一方、別の本発明においては、前記スキ 層上に直接又は他の層を介して銀塩化合物 含有する銀塩層を形成する。そして、前記 塩化合物を還元することにより金属銀を析 させて金属銀層を形成し、その後、前記金 銀層上にポリマー層Bを形成する。

 本発明で用いる銀塩化合物としては、前 と同様である。

 銀塩層は、銀塩化合物を含有する水溶液 スキン層上に直接又は他の層(例えば、親水 性樹脂を含む保護層など)を介して塗工し、 の後、乾燥することにより形成する。塗工 法、水溶液中の銀塩化合物の濃度、及び乾 温度などは前記と同様である。

 その後、銀塩化合物を還元することによ 金属銀を析出させて金属銀層を形成する。 塩化合物を還元する方法は前記と同様であ 。

 その後、前記金属銀層上にポリマー層Bを 形成する。ポリマー層Bを形成するポリマー 及びポリマー層Bの形成方法は、前記と同様 ある。また、前記と同様に、ケン化度90%以 のポリビニルアルコールを用い、該ポリビ ルアルコールを前記スキン層のポリアミド 樹脂に架橋させてもよい。

 水溶液中のポリマーの濃度は0.01~1重量%で あることが好ましく、より好ましくは0.05~0.5 量%である。ポリマーの濃度が0.01重量%未満 場合には、金属銀層を十分に被覆できない め、金属銀が脱落しやすくなる。一方、1重 量%を超える場合には、ポリマー層Bが厚くな すぎて水透過性能が低下する傾向にある。

 ポリマー層Bの厚さは特に制限されないが 、通常0.01~1μmであり、好ましくは0.01~0.1μmで る。ポリマー層Bの厚さが0.01μm未満の場合 は、金属銀層を十分に被覆できず、1μmを超 る場合には、ポリマー層Bが厚くなりすぎて 水透過性能が低下する傾向にある。

 また、複合半透膜の塩阻止性、透水性、 び耐酸化剤性等を向上させるために、従来 知の各種処理を施してもよい。

 以下に実施例をあげて本発明を説明する 、本発明はこれら実施例によりなんら限定 れるものではない。

 〔評価及び測定方法〕
 (透過流束及び塩阻止率の測定)
 平膜状の超低圧逆浸透複合膜(ポリマー層な し)を所定の形状、サイズに切断し、平膜評 用のセルにセットする。約1500mg/LのNaClを含 かつNaOHを用いてpH6.5~7.5に調整した水溶液を2 5℃で膜の供給側と透過側に1.5MPaの差圧を与 て膜に接触させる。この操作によって得ら た透過水の透過速度および電導度を測定し 透過流束(m 3 /m 2 ・d)および塩阻止率(%)を算出した。塩阻止率 、NaCl濃度と水溶液電導度の相関(検量線)を 前に作成し、それらを用いて下式により算 した。また、作製した平膜状の複合半透膜( ポリマー層あり)の透過流束(m 3 /m 2 ・d)および塩阻止率(%)も上記と同様の方法で 出した。 
 塩阻止率(%)={1-(透過液中のNaCl濃度[mg/L])/(供 液中のNaCl濃度[mg/L])}×100

 (抗菌性の評価)
 JIS Z2801:2000に準拠して評価した。

 実施例1
 硝酸銀0.1重量%、及びケン化度99%のポリビニ ルアルコール0.25重量%を含む水溶液(イソプロ パノール:水=3:7)を、超低圧逆浸透複合膜(日 電工製、型式:ES20、性能:透過流束1.2(m 3 /m 2 ・d)、塩阻止率99.6(%))のスキン層上に塗布し ポリマー膜を形成し、その後オーブンにて13 0℃で3分間乾燥させてポリマー層A(厚さ:0.1μm) を形成した。そして、ポリマー層A表面に、 圧水銀ランプの紫外線(UV-A(320~390nm):280mJ/cm 2 、UV-B(280~320nm):200mJ/cm 2 、UV-C(250~260nm):150mJ/cm 2 、UV-V:70mJ/cm 2 )を照射して、硝酸銀を還元してポリマー層A 及び/又は表面に金属銀を析出させて複合半 透膜を作製した。作製した複合半透膜の透過 流束は0.8(m 3 /m 2 ・d)、塩阻止率は99.5(%)であった。また、作製 した複合半透膜は抗菌性を有していた。

 実施例2
 硝酸銀0.1重量%、及びケン化度90%のポリビニ ルアルコール0.25重量%を含む水溶液(イソプロ パノール:水=3:7)を、超低圧逆浸透複合膜(日 電工製、型式:ES20、性能:透過流束1.2(m 3 /m 2 ・d)、塩阻止率99.6(%))のスキン層上に塗布し ポリマー膜を形成し、その後オーブンにて13 0℃で3分間乾燥させてポリマー層A(厚さ:0.1μm) を形成した。そして、ポリマー層A表面に、 圧水銀ランプの紫外線(UV-A(320~390nm):280mJ/cm 2 、UV-B(280~320nm):200mJ/cm 2 、UV-C(250~260nm):150mJ/cm 2 、UV-V:70mJ/cm 2 )を照射して、硝酸銀を還元してポリマー層A 及び/又は表面に金属銀を析出させた。その 後、得られた複合膜を、0.24N塩酸酸性のグル ルアルデヒド0.001重量%を含む水溶液中に10 間浸漬し、再度130℃で5分間乾燥して複合半 膜を作製した。作製した複合半透膜の透過 束は0.78(m 3 /m 2 ・d)、塩阻止率は99.6(%)であった。また、作製 した複合半透膜は抗菌性を有していた。

 実施例3
 硝酸銀0.1重量%を含む水溶液(イソプロパノ ル:水=3:7)を、超低圧逆浸透複合膜(日東電工 、型式:ES20、性能:透過流束1.2(m 3 /m 2 ・d)、塩阻止率99.6(%))のスキン層上に塗布し その後オーブンにて130℃で1分間乾燥させて 酸銀層を形成した。そして、硝酸銀層表面 、高圧水銀ランプの紫外線(UV-A(320~390nm):280mJ /cm 2 、UV-B(280~320nm):200mJ/cm 2 、UV-C(250~260nm):150mJ/cm 2 、UV-V:70mJ/cm 2 )を照射して、硝酸銀を還元して金属銀を析 させて金属銀層を形成した。そして、ケン 度99%のポリビニルアルコール0.25重量%を含む 水溶液(イソプロパノール:水=3:7)を前記金属 層上に塗布してポリマー膜を形成し、その オーブンにて130℃で3分間乾燥させてポリマ 層B(厚さ:0.1μm)を形成した。作製した複合半 透膜の透過流束は0.78(m 3 /m 2 ・d)、塩阻止率は98.8(%)であった。また、作製 した複合半透膜は抗菌性を有していた。

 比較例1
 ケン化度99%のポリビニルアルコール0.25重量 %を含む水溶液(イソプロパノール:水=3:7)を、 低圧逆浸透複合膜(日東電工製、型式:ES20、 能:透過流束1.2(m 3 /m 2 ・d)、塩阻止率99.6(%))のスキン層上に塗布し ポリマー膜を形成し、その後オーブンにて13 0℃で3分間乾燥させてポリマー層(厚さ:0.1μm) 形成して複合半透膜を作製した。作製した 合半透膜の透過流束は0.8(m 3 /m 2 ・d)、塩阻止率は99.5(%)であった。作製した複 合半透膜は抗菌性を有していなかった。