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Patent Searching and Data


Title:
COMPOSITE OF STEEL PRODUCT AND RESIN AND PROCESS FOR PRODUCING THE COMPOSITE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/084648
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a composite comprising an aluminum-plated steel plate material and a resin strongly bonded integrally with the aluminum-plated steel plate material. Also disclosed is a steel plate material having corrosion resistance. Three-dimensional protrusions having a stone-like shape with a surface diameter of not less than about 0.3 μm or having an irregular shape with a short axis of not less than 0.3 μm and a major axis of several micrometers or more formed by chemical etching of the aluminum-plated steel plate material are scattered on a plain part. On the plain part, in such a state that shallow concaves having a diameter of 20 to 50 nm are distributed adjacent to each other, 30 to 50% of the area of the plain part is accounted for by the shallow concaves. The surface of the three-dimensional protrusions is mainly formed of a ceramic containing silicon. The plain part is mainly formed of a ceramic containing aluminum. A steel product is heated, and a resin molded product is pressure bonded and fused to the steel product followed by injection bonding or by bonding to other adherend with a resin-type adhesive. Further, coating may be performed for corrosion resistance imparting purposes.

Inventors:
NARITOMI MASANORI (JP)
ANDOH NAOKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/073769
Publication Date:
July 09, 2009
Filing Date:
December 26, 2008
Export Citation:
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Assignee:
TAISEI PLAS CO LTD (JP)
NARITOMI MASANORI (JP)
ANDOH NAOKI (JP)
International Classes:
B32B15/08; B29C45/14; B29C65/48; C23C28/00; C23F1/00; B29K105/22
Domestic Patent References:
WO2007040245A12007-04-12
WO2004041533A12004-05-21
Foreign References:
JP2005205056A2005-08-04
JP2007144795A2007-06-14
JP2007182071A2007-07-19
JP2003073630A2003-03-12
Attorney, Agent or Firm:
TOMISAKI, Motonari et al. (Toranomon-yoshiara Bldg. 6-13, Nishishimbashi 1-chome, Minato-k, Tokyo 03, JP)
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Claims:
 直径0.3μm程度以上の石ころ形状または短径が0.3μm以上で長径が数μm以上の不規則形状の立体的突起物が平原状部上に散在している形状であり、該平原状部上では20~50nm径の浅い凹部が隣り合って分布する状態で覆っている部分が該平原状部の面積の30~50%を占めている表面形状であり、かつ、前記立体的突起物の表面は主に珪素を含むセラミック質であり、前記平原状部は主としてアルミニウムを含むセラミック質である、アルミ鍍金鋼板に所定の化学反応を施すことで得た鋼板形状物と、
 硬質で結晶性の熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂組成物の成形物と、
が接着剤の存在なしに直接的に接合していることを特徴とする鋼材と樹脂の複合体。
 直径0.3μm程度以上の石ころ形状または短径が0.3μm以上で長径が数μm以上の不規則形状の立体的突起物が平原状部上に散在している形状であり、該平原状部上では20~50nm径の浅い凹部が隣り合って分布する状態で覆っている部分が該平原状部の面積の30~50%を占めている表面形状であり、かつ、前記立体的突起物の表面は主に珪素を含むセラミック質であり、前記平原状部は主としてアルミニウムを含むセラミック質である、アルミ鍍金鋼板に所定の化学反応を施すことで得た鋼板形状物と、
 1液性熱硬化型接着剤が硬化した接着剤層と、
 該接着剤層により前記鋼板形状物に接合された金属合金製または樹脂製の形状物である被着材と、
からなることを特徴とする鋼材と樹脂の複合体。
 直径0.3μm程度以上の石ころ形状または短径が0.3μm以上で長径が数μm以上の不規則形状の立体的突起物が平原状部上に散在している形状であり、該平原状部上では20~50nm径の浅い凹部が隣り合って分布する状態で覆っている部分が該平原状部の面積の30~50%を占めている表面形状であり、かつ、前記立体的突起物の表面は主に珪素を含むセラミック質であり、前記平原状部は主としてアルミニウムを含むセラミック質である、アルミ鍍金鋼板に所定の化学反応を施すことで得た鋼材形状物と、
 1液性熱硬化型コート材が硬化した塗膜層と、
を少なくとも含むことを特徴とする耐食性を有する鋼材。
 少なくともPH9~11の弱塩基性水溶液で化学エッチングする工程を含む化学反応により形成され、輪郭曲線要素の平均長さ(RSm)が3~20μmで最大高さ粗さ(Rz)が1~8μmである、もとがアルミ鍍金鋼板である鋼板形状物と、
 硬質で結晶性の熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂組成物の成形物と、
が直接的に接合していることを特徴とする鋼材と樹脂の複合体。
 少なくともPH9~11の弱塩基性水溶液で化学エッチングする工程を含む化学反応工程により形成され、輪郭曲線要素の平均長さ(RSm)が3~20μmで最大高さ粗さ(Rz)が1~8μmである、もとがアルミ鍍金鋼板である鋼板形状物と、
 1液性熱硬化型接着剤が硬化した接着剤層と、
 該接着剤層により前記鋼板形状物に接合された金属合金製または樹脂製の形状物である被着材と、
からなることを特徴とする鋼材と樹脂の複合体。
 少なくともPH9~11の弱塩基性水溶液で化学エッチングする工程を含む化学反応により形成され、輪郭曲線要素の平均長さ(RSm)が3~20μmで最大高さ粗さ(Rz)が1~8μmである、もとがアルミ鍍金鋼板である鋼板形状物と、
 1液性熱硬化型コート材が硬化した塗膜層と、
を少なくとも含むことを特徴とする耐食性を有する鋼材。
 請求の範囲1または4のいずれか1項に記載の鋼材と樹脂の複合体において、前記硬質で結晶性の熱可塑性樹脂がポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアミド樹脂、または液晶ポリマーを主成分とする樹脂組成物のいずれかであることを特徴とする鋼材と樹脂の複合体。
 請求の範囲1または4のいずれか1項に記載の鋼材と樹脂の複合体において、前記硬質結晶性の熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂組成物がポリブチレンテレフタレート樹脂を主成分とする第1樹脂組成物、ポリフェニレンサルファイド樹脂を主成分とする第2樹脂組成物、または芳香族ポリアミド樹脂を主成分とする第3樹脂組成物のいずれかであって、
 前記第1樹脂組成物の樹脂分はポリブチレンテレフタレート樹脂を主成分としポリエチレンテレフタレート樹脂及び/またはポリオレフィン系樹脂を従成分とする樹脂組成物であり、前記第2樹脂組成物の樹脂分はポリフェニレンサルファイド樹脂を主成分としポリオレフィン系樹脂を従成分とする樹脂組成物であり、前記第3樹脂組成物の樹脂分は芳香族ポリアミド樹脂を主成分とし脂肪族ポリアミド樹脂を従成分とする樹脂組成物であること、
を特徴とする鋼材と樹脂の複合体。
 請求の範囲8に記載の鋼材と樹脂の複合体において、
 前記第1樹脂組成物は、ポリブチレンテレフタレート樹脂が70ないし97質量%、前記ポリエチレンテレフタレート樹脂及び/またはポリオレフィン系樹脂が3ないし30質量%である
ことを特徴とする鋼材と樹脂の複合体。
 請求の範囲8に記載の鋼材と樹脂の複合体において、
 前記第2樹脂組成物は、ポリフェニレンサルファイド樹脂が70ないし97質量%、前記ポリオレフィン系樹脂が3ないし30質量%である
ことを特徴とする鋼材と樹脂の複合体。
 請求項の範囲2または5のいずれか1項に記載の鋼材と樹脂の複合体において、
 前記の熱硬化性接着剤がフェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル系接着剤である
ことを特徴とする鋼材と樹脂の複合体。
 請求の範囲11に記載の鋼材と樹脂の複合体において、
 前記の樹脂製の被着材がフェノール樹脂を含んだ研磨剤や摩擦材用組成物、エポキシ樹脂を含んだ繊維強化プラスチック、または不飽和ポリエステル樹脂を含んだ繊維強化プラスチック、である
ことを特徴とする鋼材と樹脂の複合体。
 請求の範囲3または6のいずれか1項に記載の鋼材において、
 前記の熱硬化性コート材が、エポキシ系樹脂を主体としたものである
ことを特徴とする耐食性ある鋼材。
 請求の範囲1ないし13のいずれか1項に記載された鋼材、または鋼材と樹脂の複合体において、
 前記熱可塑性の結晶性樹脂組成物、熱硬化性接着剤、または熱硬化型コート材は0~60重量%のガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、カーボンナノチューブ、その他の強化繊維、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、タルク、粘土、及びガラス粉から選ばれる1種以上の充填材が含まれている
ものであることを特徴とする鋼材、または鋼材と樹脂の複合体。
 アルミ鍍金鋼板を機械的加工で形状化する形状化工程と、
 前記形状化された鋼材を酸塩基性水溶液で化学エッチングする工程と、
 前記処理した鋼材をPH9~11の弱塩基性水溶液で微細エッチングする工程と、
 別途に、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアミド樹脂、または液晶ポリマーを主成分とする樹脂組成物から射出成形等の樹脂成形法を使用して樹脂製成形品を得る工程と、
 前記化学反応工程後の前記鋼材を前記樹脂組成物の溶融温度以上の温度に加熱する加熱工程と、
 前記の加熱した鋼材に前記の樹脂製成形品を押し付けて圧融着する接合工程と、
からなることを特徴とする鋼材と樹脂の複合体の製造方法。
 アルミ鍍金鋼板を機械的加工で形状化する形状化工程と、
 前記形状化された鋼材を酸塩基性水溶液で化学エッチングする工程と、
 前記処理した鋼材をPH9~11の弱塩基性水溶液で微細エッチングする工程と、
 前記化学反応工程後の前記鋼材を射出成形金型にインサートするインサート工程と、
 インサートされた前記基材に、ポリブチレンテレフタレート樹脂を主成分としポリエチレンテレフタレート樹脂及び/またはポリオレフィン液樹脂を従成分とする第1樹脂組成物、ポリフェニレンサルファイド樹脂を主成分としポリオレフィン系樹脂を従成分とする第2樹脂組成物、または芳香族ポリアミド樹脂を主成分とし脂肪族ポリアミド樹脂を従成分とする第3樹脂組成物を射出して前記鋼材と前記樹脂組成物を一体化する射出接合工程と
からなることを特徴とする鋼材と樹脂の複合体の製造方法。
 アルミ鍍金鋼板を機械的加工で形状化する形状化工程と、
 前記形状化された鋼材を酸塩基性水溶液で化学エッチングする工程と、
 前記処理した鋼材をPH9~11の弱塩基性水溶液で微細エッチングする工程と、
 前記化学反応工程後の前記基材に1液性熱硬化型接着剤を塗布する工程と、
 前記の接着剤塗布済みの鋼材に金属製又は未硬化熱硬化性樹脂製の被着材を押し付けて固定する工程と、
 前記の仮一体化物を加熱して接着剤成分と被着材の双方を硬化させる硬化接着工程と、
からなることを特徴とする鋼材と樹脂の複合体の製造方法。
 アルミ鍍金鋼板を機械的加工で形状化する形状化工程と、
 前記形状化された鋼材を酸塩基性水溶液で化学エッチングする工程と、
 前記処理した鋼材をPH9~11の弱塩基性水溶液で微細エッチングする工程と、
 前記化学反応工程後の前記基材に1液性熱硬化型接着剤を塗布する工程と、
 接着剤を塗布した前記基材を密閉容器に収納して減圧し、その後に加圧する操作を行う接着剤の染み込まし工程と、
 前記の接着剤塗布済みの鋼材に金属製又は未硬化熱硬化性樹脂製の被着材を押し付けて固定する工程と、
 前記の仮一体化物を加熱して接着剤成分を硬化させる硬化接着工程と、
 からなることを特徴とする鋼材と樹脂の複合体の製造方法。
 アルミ鍍金鋼板を機械的加工で形状化する形状化工程と、
 前記形状化された鋼材を酸塩基性水溶液で化学エッチングする工程と、
 前記処理した鋼材をPH9~11の弱塩基性水溶液で微細エッチングする工程と、
 前記化学反応工程後の前記基材に1液性熱硬化型コート材を塗布し硬化する工程と、
を少なくとも含むことを特徴とする耐食性ある鋼材の製造方法。
 アルミ鍍金鋼板を機械的加工で形状化する形状化工程と、
 前記形状化された鋼材を酸塩基性水溶液で化学エッチングする工程と、
 前記処理した鋼材をPH9~11の弱塩基性水溶液で微細エッチングする工程と、
 前記化学反応工程後の前記基材に1液性熱硬化型コート材を塗布する工程と、
 前記コート材を塗布した前記基材を密閉容器に収納して減圧し、その後に加圧する操作を行うコート材の染み込まし工程と、
 前記の鋼材を加熱し硬化させる硬化工程と、
を少なくとも含むことを特徴とする耐食性ある鋼材の製造方法。
 請求の範囲15ないし20のいずれか1項に記載された鋼材、または鋼材と樹脂の複合体の製造方法において、
 微細エッチングに使用する水溶液は常温~70℃で使用し、加えられている塩基性物質が、水和ヒドラジン、アンモニア、または水溶性アミン化合物から選ばれていることを特徴とする鋼材、または鋼材と樹脂の複合体の製造方法。
Description:
鋼材と樹脂の複合体とその製造 法

 本発明は、鋼材と樹脂の複合体とその製 方法に関し、さらに詳細には、建材、屋外 器、建設機械部品、一般機械の部品等に用 られるアルミ鍍金鋼板等の鋼材の用途、応 性、耐食性等をさらに高めるようにした鋼 と樹脂の複合体とその製造方法に関する。 らに詳細には、耐食性の高いプレコート鋼 とその新製造方法、また、アルミ鍍金鋼板 同士やアルミ鍍金鋼板材とその他金属部品 接着剤接着した金属部品、または、アルミ 金鋼板材と樹脂部品が直接的に接合した複 体、または、アルミ鍍金鋼板材と繊維強化 ラスチック(以下「FRP」という)が接着剤を して一体化した複合体、アルミ鍍金鋼板材 研磨材等フェノール樹脂硬化物が接着剤を して一体化した鋼材と樹脂の複合体とその 造方法に関する。

 金属同士を接合する接着剤、金属と合成 脂を強く接着する技術等は、自動車、家庭 化製品、産業機器等の部品製造業等だけで く建材や土木材を含む広い産業分野におい 求められており、このために多くの接着剤 開発されている。この中には非常に優れた 着剤が提案されている。

 しかしながら、接着剤を使用しない、よ 合理的な接合方法も従来から研究されてき 。マグネシウム、アルミニウムやその合金 ある軽金属類、また、ステンレス等の鉄合 類に対し、接着剤の介在なしで高強度のエ ジニアリング樹脂を一体化する方法がその 例である。例えば、本発明者等は、予め射 成形金型内にインサートしていた金属部品 、熱可塑性樹脂を射出して樹脂部分を成形 ると同時に、その成形品と金属部品とを接 する方法を提案した(以下、略称して「射出 接合」という)。

 この発明は、アルミニウム合金に対しポ ブチレンテレフタレート樹脂(以下、「PBT」 という)、またはポリフェニレンサルファイ 樹脂(以下、「PPS」という)を射出接合させる 製造技術を提案している(例えば、特許文献1 照)。また、他にアルミニウム材の陽極酸化 皮膜に大きめの穴を設け、この穴に合成樹脂 体を食い込ませ接着させる接合技術を提案し ている(例えば、特許文献2参照)。

 特許文献1の提案における射出接合の原理 は、以下に示すようになっている。アルミニ ウム合金を水溶性アミン系化合物の希薄水溶 液に浸漬させ、アルミニウム合金を水溶液の 弱い塩基性によって微細にエッチングさせる ものである。また、この浸漬では、アルミニ ウム合金表面へのアミン系化合物分子の吸着 が同時に起こる。この処理がなされたアルミ ニウム合金を射出成形金型にインサートし、 溶融した熱可塑性樹脂を高圧で射出させる。

 このとき、熱可塑性樹脂と、アルミニウ 合金表面に吸着していたアミン系化合物分 が遭遇することで発熱や高分子切断反応が こる。この化学反応と平行し、低温の金型 度に保たれたアルミニウム合金に接して急 され、このために結晶化し固化しようとす (結晶化反応)。化学反応と結晶化反応は何 か競争反応の関係になるとみられ、この場 、化学反応が進み結晶化反応は抑制される その結果、樹脂の粘度はアルミニウム合金 冷やされても急上昇することなく、超微細 アルミニウム合金面上の凹部にも潜り込め 。

 このことにより、アルミニウム合金と熱 塑性樹脂は樹脂がアルミニウム合金表面か 剥がれることなく強固に接合する。すなわ 、結晶化反応を抑制できるような化学反応 生じると強固な射出接合ができる。実際、 ミン系化合物と化学反応できるPBTやPPSがこ アルミニウム合金と射出接合ができること 確認している。この射出接合のメカニズム 本発明者らは「NMT(Nano molding technologyの略) 理論(仮説)と称した。

 また、NMT理論ではないが、他に予めケミ ルエッチングし、次に金属部品を射出成形 の金型にインサートして熱可塑性樹脂材料 用いて射出成形する技術が知られている(例 えば、特許文献3参照)。この技術は接合法と ては稚拙でありNMT理論による接合力のレベ よりも不十分なものだったが、一方のNMT理 はアルミニウム合金だけが対象であったの 、NMT理論の提唱者である本発明者らもアル ニウム合金以外の金属への射出接合に対し 新規な接合技術の開発を行うべきと考えた

 そのような目的で開発を進めた結果、本 明者らは新たな技術「新NMT」理論に行き着 た。これはアミン系化合物の金属部品表面 の化学吸着なしに、要するに特段の発熱反 や何らかの特異な化学反応の助力を得るこ なしに、射出接合が可能な条件がある、と うものであり、この新NMT理論は以下に述べ が、多種の金属合金で実証できた。

 新NMT理論による射出接合理論では少なく も以下の条件を必要とする。第1の条件は、 硬い高結晶性樹脂を使用すること、すなわち PPSやPBTや芳香族ポリアミドを使うことである 。しかもこれらを射出接合に合わせてさらに 改良した組成物にすることが必要である。他 の条件は、金型にインサートする金属部品の 表層が丈夫で硬く、かつ特定の表面形状を有 していることである。

 例えば、マグネシウム合金を素材として の形状物を使用する場合、自然酸化層で覆 れたままのマグネシウム合金では耐食性が いので、これを化成処理して表層を金属酸 物、金属炭酸化物、または金属リン酸化物 することで、硬度の高いセラミックス質で われた表面とすることができる。これらセ ミック質の表層を有し、かつ、ミクロンオ ダーでの凹凸面を有するマグネシウム合金 品であれば前記条件に合致させることがで た。

 理論的には、これら表面処理されたマグ シウム合金形状物を射出成形金型にインサ トした場合を設定して考えると、以下のよ になる。金型及びインサートしたマグネシ ム合金形状物は射出する樹脂の融点より約1 50℃低い温度に保たれているので、射出され 樹脂は金型内の流路に入った途端に急冷さ マグネシウム金属部品に接近した時点で融 以下になっている可能性が高い。

 どのような結晶性樹脂でも溶融状態から 速に冷却されて融点以下になった場合、即 に結晶化するわけでなく、僅かな時間であ が融点以下の溶融状態、すなわち過冷却状 の時間がある。マグネシウム合金形状物上 凹部の径が1~10μm程度と比較的大きくてその 凹部深さが径の半分程度までの場合、樹脂組 成物によっては過冷却から微結晶が生じる限 られた時間内に樹脂は凹部に入り込み得る。

 また、生じた高分子微結晶群の数密度が だ小さい場合も大きな凹部ならば樹脂は入 込み得る。それは微結晶、すなわち不規則 運動していた分子鎖から分子鎖に何らかの 列状態が生じたときの形を有する微結晶の きさが、分子モデルから推定すると数nm~10nm の大きさとみられるからである。

 それゆえ、微結晶は10nm径の超微細凹部に 対し簡単に侵入出来るとは言い難いが、数十 nm周期の凹凸面の凹部なら若干は樹脂流の頭 突っ込める可能性がある。ただし、微結晶 同時発生的に無数に生じるので、射出樹脂 先端や金型金属面に接している箇所では樹 流の粘度が急上昇する。

 結果的に言って、急冷時の結晶化速度を 殊なコンパウンドで遅くした樹脂を使用し 場合、1~10μm周期で深さがその周期の半分の 0.5~5μm程度の凹部であれば、溶融樹脂はその 部奥底まで侵入でき、もしその凹部内壁面 さらに10~100nm周期程度の微細凹凸があった 合、その微細凹凸の隙間の凹部に若干は樹 流の頭を突っ込むことができるとみられた 偶然にも、化成処理をしたマグネシウム合 表面を電子顕微鏡で観察すると10~50nm周期の 微細な凹凸面が観察され、上記するような 細表面構造のあることが確認された。

 マグネシウム合金に限らず、同様な形の 面をなす金属部品がある場合に射出接合し とした場合、樹脂流はミクロンオーダーの きな凹部(すなわち、1~10μm周期の凹凸があ 、その凹凸高低差が周期の半分程度までの )の奥底まで侵入し得て、さらにその大きな 部の中で硬い微細凹凸部に引っ掛けられる とがあれば、この大きな凹部の中で樹脂が 晶化固化した場合、これを引き抜くのは結 難しいだろうと推定できる。

 実際、そのような形状を目指して銅、チ ンや鋼材の合金部品をエッチング加工や化 処理をして製作し、改良PPS樹脂を射出接合 ると相当強い接合力が生じた。合金形状物 表面は酸化や化成処理によって金属酸化物 のセラミックス質の微結晶群やアモルファ 層となっており、これが硬く丈夫なスパイ の役目を担ったのである。すなわち、微細 凸が大きな凹部の中でスパイクのように働 、樹脂部に強い引き剥がし力がかかっても きな凹部の中で固化した樹脂分は抜けるこ なく、結果的に合金形状物と樹脂間の強い 合が得られることになる。

 上記した、改良PPS樹脂等について述べる 射出成形において、樹脂組成物は射出によ 溶融状態から融点以下の温度に急冷される もし、急冷時の結晶化速度が遅くなる性質 もつ樹脂組成物が得られれば、金型にイン ートした金属合金部品上の上記した様な細 い凹部に侵入する時間がとれることになり より強い接合力を生むことになる。これは 出接合に適する樹脂組成物の重要な条件と る。

 本発明者らは、前記の考え方に基づき、 述のようにマグネシウム合金やその他の金 合金の形状物を化学エッチングし、さらに 成処理等の表面処理によって表層をセラミ クス化硬化することで、これに特殊組成と た硬質の結晶性樹脂を射出接合させて高接 性を得ることを見出した(特許文献4~8)。こ らの特許文献は各金属種に対応するもので るが、共通している考え方は前記の新NMT理 である。要するに、これらの特許文献にお る技術は金属種によらない一般論として共 していることがわかる。

 新NMT理論のほぼ最終的な条件について述べ 。金属合金についてまず述べれば、その金 合金種に見合った化学処理をして、以下の( 1)~(3)のような表面にすることが基本的な必要 条件である。すなわち、
 (1)1~10μm周期で高低差がその周期の半分程度 までの凹凸面であるミクロンオーダーの粗度 を有した表面とすること、
 (2)前記の凹部内壁面は10~500nm周期、最も好 しくは50~80nm周期の微細凹凸面とすること、
 (3)表面はセラミック質の硬質相の薄層で覆 れたものにし、具体的には環境的に安定な 属酸化物や金属リン酸化物の薄層で覆われ ものにすること、
である。このようにした金属合金に液状の樹 脂組成物が侵入したとして侵入後に硬く硬化 したとすれば、金属合金基材と硬化した樹脂 分は非常に強固に接合する、という簡潔な考 え方である。

 この新NMT理論で熱可塑性樹脂の射出接合 説明すると、以下のようになる。急冷時の 晶化固化速度を遅くすることができた硬質 高結晶性の熱可塑性樹脂組成物を射出した 合、射出成形金型内に射出された樹脂組成 は融点以下の温度に冷やされてもしばらく 間は過冷却状態の液状である。それゆえに 射出成形金型内に前記の金属合金を前もっ インサートしておけば、前記(1)の凹部に容 に侵入し得る。

 さらに(2)の微細凹凸の凹部にも、完全で ないとしてもある程度侵入できるのである その後に結晶化が高速で進み固化に至った して、凹部内に侵入固化した樹脂は(2)の微 凹凸に引っ掛けられ、またその微細凹凸は( 3)にて非常に硬質であるのでスパイクされた うに強固に止められて凹部から抜け出すこ ができない。これが熱可塑性樹脂を使用し 射出接合の技術である(特許文献4~8)。

 新NMT理論と同じ考え方で接合の方法を変 ることもできる。すなわち、先に硬質の高 晶性樹脂を主成分とする樹脂組成物を原料 して射出成形等の手法で樹脂成形物を作製 ておく。一方、前記の(1)~(3)を満足する金属 合金片を作製しておき、これをホットプレー ト等で加熱する。加熱した金属合金片に前記 の樹脂成形物を押し付けたとする。金属合金 片の温度が樹脂組成物の融点より高温である と、接触面では樹脂組成物が溶融する。

 そのまま放置して金属と樹脂の接触面で 温度が数秒~十数秒かけて樹脂融点より低下 した場合、溶融樹脂の一部分が金属表面上の 凹部に侵入し、その後に結晶化固化する。こ の方法を使えば、急冷時の結晶化固化速度を 特殊コンパウンド等で遅くする必要はないの で、樹脂組成物に求める条件は甘くなる。侵 入時の圧力は射出接合と異なって、溶融時の 環境を真空にしてから常圧に戻しても1気圧 度とごく低く、接合力を最高のものに持っ 行くことは不可能だが、実用面で使用でき 接合力は得られる。これが高結晶性の熱可 性樹脂を使用した成形品圧融着法である(特 文献9を参照)。

 また、新NMT理論の接合メカニズムが正し とすれば、1液性熱硬化型接着剤を使った接 着も非常に強い接合を産むことが予期できる 。すなわち、新NMT理論に従った表面処理済み の金属合金に対し液状樹脂が接近してミクロ ンオーダーの凹部に侵入し、さらにその凹部 内壁面にある微細凹凸の凹部隙間にもある程 度侵入し、その後に硬く固化すればスパイク 効果で固化樹脂は凹部から抜けられず、強い 接合が得られることが推測されるからである 。ただし、液状樹脂がその環境(圧力、温度) おいてどの程度の粘度であるかに応じてど 程度まで樹脂が微細凹凸の隙間に侵入でき かが決まる。

 その意味で、1液性熱硬化型接着剤を使用 した接着で強烈な接着力が得られる原理では あるが、未硬化時の液粘度はどの程度なのか が重要事項になる。本発明者らは新NMT理論に 従って金属合金片を表面処理し、汎用の1液 エポキシ系接着剤を使って前記金属合金片 士を接着し、せん断破断力や引っ張り破断 で40~70MPaという強烈な接着の生じることを確 認した。

 ただし、接着剤塗布後に僅かな工夫をし 。それは、塗布物をデシケータに入れて真 にし、その後に常圧に戻す処理を繰り返す いうことである。圧力差は1気圧程度しかな いが、液状の接着剤は金属表面上の凹部に侵 入し易いと考えた。その後、塗布した金属合 金同士をクリップ等で固定し、加熱して硬化 すると従来にみられない強固な金属合金同士 の接着物が得られたのである。この技術を本 発明者らは「NAT(Nano adhesion technologyの略)理 」と称し、射出成形を利用した技術と別の であることがわかるようにした。

 NAT理論で1液性接着剤が好ましいのは、塗 布やその後の硬化前操作でゲル化が進まず、 樹脂成分をなす分子の分子径が小さいので(2) の微細凹凸の隙間にもある程度侵入が可能だ からである。2液性熱硬化型接着剤でもNAT理 に従う表面処理をした金属合金を使用する 接合力が向上するが、劇的な接着力の上昇 至らない場合が多い。これは、2液性接着剤 は主液に硬化剤成分を加えて混合した瞬間 らゲル化が始まるものがほとんどであり、 ル化が進むと(2)の微細凹凸の隙間に樹脂成 の侵入が少なくなるためである。

 要するに、2液性接着剤を使用した場合は 、硬化剤を混合した後の経過時間によって接 着力が変化することが多く、安定性や再現性 に劣ることがあるのが好ましくない理由であ る。ただし、一般的に2液性接着剤とみられ いる酸無水物を硬化剤とするエポキシ樹脂 着剤であっても、ゲル化が始まるまでの時 が長く、かつゲル化温度が高い場合は使用 好ましいことが理解されよう。このような 着剤は1液性接着剤と同じ扱いになる。

 同じことが、フェノール樹脂系接着剤、 飽和ポリエステル樹脂系接着剤でも言える すなわち、フェノール樹脂系接着剤は市販 れているが、多くは溶剤が添加されており エポキシ系接着剤の多くのように無溶剤系 はない。しかしながら、塗布した後でしば く放置することにより溶剤を揮発させて固 させ、さらに50~70℃の中温下で減圧/常圧戻 をすると溶剤揮発後のフェノール樹脂も溶 して粘度が十Pa秒程度の粘性液体に変わっ いるので、金属凹凸面上の空気を抜くこと できる。

 また、不飽和ポリエステル系の接着剤と うのは市販されていないが、ガラス繊維強 プラスチック(以下「GFRP(Glass-fiber reinforced  plasticsの略」という)の作製に使用する不飽和 ポリエステル成分は多種が市販されており、 これに混ぜる加熱硬化用の有機過酸化物も市 販されている。適正なレシピーで両者を混ぜ た場合にはすぐにゲル化が進行することはな く昇温することでゲル化固化に進むので、実 質的に1液性熱硬化型接着剤として使用でき 。

 金属合金の接着の相手である被着材は前 した金属合金だけではない。接着剤にフェ ール樹脂系接着剤を使用した場合、フェノ ル樹脂をマトリックスとする摩擦材や砥材 やはり容易に接着するし、接着剤にエポキ 系接着剤を使用した場合、エポキシ樹脂を トリックスとした炭素繊維強化プラスチッ (以下、「CFRP(Carbon-fiber reinforced plasticsの略 )」という)もやはり容易に接着する。

 また、接着剤に不飽和ポリエステル樹脂 接着剤を使用した場合、不飽和ポリエステ 樹脂をマトリックスとしたGFRPもやはり容易 に接着する。いずれも、接着剤塗布済みの金 属合金片とプレプリグとを接触させて固定し 、このまま加熱硬化させると接着剤とプリプ レグの双方が固化し、金属合金と繊維強化プ ラスチック(以下、「FRP(Fiber reinforced plastics) という)が強固に接着一体化した複合物を得 ことができる。(特許文献10~15)。

 なお、金属合金と熱可塑性樹脂を使用し 射出接合に関し、似た技術が過去に報告さ ている(特許文献3)。この特許文献3に記載さ れた技術は射出接合技術ではなく、射出成形 の技術で金属の線膨張率と樹脂の成形収縮率 の関係を利用した技術であることを述べてお く。

 特許文献3が示すように、金属製の棒状物質 が突き抜けた形の周囲部に熱可塑性樹脂を射 出成形した場合、成形品を金型から離型し放 冷すると金属製棒部は樹脂成形品部から締め 付けられる形になる。何故なら、金属の線膨 張率は大きくてもアルミニウム合金やマグネ シウム合金、銅合金の1.7~2.5×10 -5 -1 であり、金型から降ろされて室温まで冷えた としても、線膨張率×100℃程度でその縮み具 は0.2~0.3%に過ぎない。

 しかし、一方の樹脂類は成形収縮率がPPS 1%程度、硝子繊維入りPPSで0.5%もあり、フィ ーを増やした樹脂であっても必ず射出成形 は金属部品より樹脂部の方が大きく縮むの ある。従って、中心部に金属部品があって かも樹脂部を突き抜けている形状品をイン ートによる射出成形で製作すれば樹脂部の 形収縮による締め付け効果で金属部が抜け い一体化品を製造することができる。

 このような締め付け型の金属と樹脂の一 化品の製造方法は従来から知られている方 であり、類似成形品として石油ストーブの 手がある。φ2mm程度の鉄製の太い針金を射 成形金型にインサートし耐熱性樹脂等を射 している。針金にはギザギザのきず(ローレ ト加工)を入れて樹脂が移動しないようにし ている。特許文献3は、凹凸加工を物理的加 法から化学的加工法に代えてスマートにし かつ凹凸具合をやや微細にしたこと、また 脂側に硬質でしかも結晶性のある樹脂を多 してグリップする効果を上げたことが特徴 ある。実際、特許文献3においては、その開 する技術により金属棒状物に沿って生じる ス漏洩が大きく抑制されるとしてあるが、 合力に関する記載はない。

 一方、特許文献1及び特許文献4~8に開示し た本発明者らによる発明では樹脂の締め付け 効果は全く必要としない。平板形状同士が接 合した形状品にて破壊するには強烈な力が必 要となる。本発明の接合力を高める技術は、 急冷時に長い過冷却時間を経て結晶化固化す る高硬度結晶性樹脂組成物を用いていること も大きな特徴である。

 なお、金属と熱可塑性樹脂の接合状態を 期間安定的に維持するには、両者の線膨張 が近い数字であることが実際には必要であ 。熱可塑性樹脂組成物の線膨張率はガラス 維や炭素繊維等の強化繊維を、すなわち充 剤を大量に含有させることでかなり低くす ことができる。

WO2003-064150

WO2004/055248

日本国特許公開2001-225352

WO2008/069252

WO2008/047811

WO2008/078714

WO2008/081933

PCT/JP2008/062945

PCT/JP2008/066009

PCT/JP2008/054539

PCT/JP2008/057309

PCT/JP2008/056820

PCT/JP2008/057131

PCT/JP2008/057922

PCT/JP2008/059783

 前記した特許文献8、15には一般鋼材を使 した例が記載されている。本発明者らは最 一般的な構造用鋼材として冷間圧延鋼材や 間圧延鋼材などを射出接合や接着剤接合に した、要するに新NMT理論、NAT理論に即した 状に表面処理してきた。これはこれで良か たのだが、この発明につき一部の建材業界 予期した大きな興味を示さず、本発明者ら 見込んだ鋼材とGFRP材の一体化物による屋外 向けの住宅資材用途については別の物を先ず 開発すべきとのアドバイスを受けた。

 10年~20年のメンテナンスフリーを当然と る建材関係では亜鉛系鍍金鋼板やアルミ鍍 鋼板が使用され、これらの鋼板にさらに1コ ト、2コート、場合によっては3コートの焼 け塗装を加えたプレコート鋼板(カラー鋼板 カラー鉄板とも言う)等も耐食性と後加工性 の良さを特徴に大量に使用されている。また 、アルミ鍍金鋼板は高温での耐食性が優れて いることから上記の他にストーブカバーや高 温ガス排気管等に使用されている。以上から 、本発明者らは一般鋼材に加えて亜鉛系鍍金 鋼板、アルミ鍍金鋼板での研究開発を進めた 。

 今回、本発明者らはNAT理論を応用して、 ルミ鍍金鋼板とその上部コート層との接合 をさらに向上させ得ないか、NAT理論の元々 目的であるエポキシ系接着剤、フェノール 脂系接着剤、不飽和ポリエステル樹脂系接 剤で従来では認められなかった強い接着力 得られるか、新NMT理論によるPBT、PPS系樹脂 よる射出接合は可能か、等について研究開 を進めた。

 本発明は、前記したようなNMT理論、新NMT 論、NAT理論を確かめる上でも重要な研究開 であったが、結論は意外であった。すなわ 、本発明の目的は完全に得られたのだが、 の目的を達する処理済みアルミ鍍金鋼板の 面形状はNMT理論、新NMT理論、NAT理論で求め いる条件とは異なっていたのである。これ 電子顕微鏡観察の結果である図13、14を見れ ば理解される。このような定義し難い表面形 状は、本発明者にとって、α-β系チタン合金 次いで2つ目のものである。

 ただ、単純な写真像が得られる展伸用ア ミニウム合金についてのNMT理論、新NMT理論 よる表面処理品と異なるものの、白く大き 立体状物はアンダー構造も有する複雑形状 しており、平原上の小さな凹凸もアミン系 合物が吸着していればNMT理論どおりでしっ り射出樹脂は凹部や凸部根元が作る隙間に 入して固化するであろう。それゆえ、NMT理 、新NMT理論、NAT理論で定義した表面形状と なるものの、結果は似たものが得られるこ が予想できる形ではあった。

 このように現状では、アルミ鍍金鋼板材 熱可塑性樹脂組成物を射出接合し、アルミ 金鋼板材に熱可塑性樹脂組成物成形品を圧 着し、またはアルミ鍍金鋼板材同士あるい アルミ鍍金鋼板材と他の被着材とを接着剤 合して強固な鋼板樹脂一体化物を得る実用 術に関係すること、また、アルミ鍍金鋼板 塗装して強固に接着した塗膜としアルミ鍍 鋼板の耐食性をさらに高めることが望まれ という課題がある。

 アルミ鍍金鋼板材と樹脂成形品を強固に一 化した複合部品が製造できれば、屋外使用 主となる建材関係部品で好ましく使用する とができる。また、アルミ鍍金鋼板に耐食 コート層を強力に接着することができれば アルミ鍍金鋼板の耐食性向上に繋がるばか でなく、アルミ鍍金鋼板を使用したプレコ ト鋼板の性能改善に役立つことになる。
 本発明では、これらの課題を解決する技術 提供することを目的とするものである。

 本発明は前述した課題を解決すべくなし ものであり、本発明の請求の範囲1による鋼 材と樹脂の複合体は、直径0.3μm程度以上の石 ころ形状または短径が0.3μm以上で長径が数μm 以上の不規則形状の立体的突起物が平原状部 上に散在している形状であり、該平原状部上 では20~50nm径の浅い凹部が隣り合って分布す 状態で覆っている部分が該平原状部の面積 30~50%を占めている表面形状であり、かつ、 記立体的突起物の表面は主に珪素を含むセ ミック質であり、前記平原状部は主として ルミニウムを含むセラミック質である、ア ミ鍍金鋼板に所定の化学反応を施すことで た鋼板形状物と、硬質で結晶性の熱可塑性 脂を主成分とする樹脂組成物の成形物と、 接着剤の存在なしに直接的に接合している のである。

 本発明の請求の範囲2による鋼材と樹脂の 複合体は、直径0.3μm程度以上の石ころ形状ま たは短径が0.3μm以上で長径が数μm以上の不規 則形状の立体的突起物が平原状部上に散在し ている形状であり、該平原状部上では20~50nm の浅い凹部が隣り合って分布する状態で覆 ている部分が該平原状部の面積の30~50%を占 ている表面形状であり、かつ、前記立体的 起物の表面は主に珪素を含むセラミック質 あり、前記平原状部は主としてアルミニウ を含むセラミック質である、アルミ鍍金鋼 に所定の化学反応を施すことで得た鋼板形 物と、1液性熱硬化型接着剤が硬化した接着 層と、該接着剤層により前記鋼板形状物に 合された金属合金製または樹脂製の形状物 ある被着材と、からなるものである。

 本発明の請求の範囲3による耐食性を有す る鋼材は、直径0.3μm程度以上の石ころ形状ま たは短径が0.3μm以上で長径が数μm以上の不規 則形状の立体的突起物が平原状部上に散在し ている形状であり、該平原状部上では20~50nm の浅い凹部が隣り合って分布する状態で覆 ている部分が該平原状部の面積の30~50%を占 ている表面形状であり、かつ、前記立体的 起物の表面は主に珪素を含むセラミック質 あり、前記平原状部は主としてアルミニウ を含むセラミック質である、アルミ鍍金鋼 に所定の化学反応を施すことで得た鋼材形 物と、1液性熱硬化型コート材が硬化した塗 層と、を少なくとも含むものである。

 本発明の請求の範囲4による鋼材と樹脂の 複合体は、少なくともPH9~11の弱塩基性水溶液 で化学エッチングする工程を含む化学反応に より形成され、輪郭曲線要素の平均長さ(RSm) 3~20μmで最大高さ粗さ(Rz)が1~8μmである、も がアルミ鍍金鋼板である鋼板形状物と、硬 で結晶性の熱可塑性樹脂を主成分とする樹 組成物の成形物と、が直接的に接合してい ものである。

 本発明の請求の範囲5による鋼材と樹脂の 複合体は、少なくともPH9~11の弱塩基性水溶液 で化学エッチングする工程を含む化学反応工 程により形成され、輪郭曲線要素の平均長さ (RSm)が3~20μmで最大高さ粗さ(Rz)が1~8μmである もとがアルミ鍍金鋼板である鋼板形状物と 1液性熱硬化型接着剤が硬化した接着剤層と 該接着剤層により前記鋼板形状物に接合さ た金属合金製または樹脂製の形状物である 着材と、からなるものである。

 本発明の請求の範囲6による耐食性を有す る鋼材は、少なくともPH9~11の弱塩基性水溶液 で化学エッチングする工程を含む化学反応に より形成され、輪郭曲線要素の平均長さ(RSm) 3~20μmで最大高さ粗さ(Rz)が1~8μmである、も がアルミ鍍金鋼板である鋼板形状物と、1液 熱硬化型コート材が硬化した塗膜層と、を なくとも含むものである。

 本発明の請求の範囲1または4のいずれか1 を引用する請求の範囲7による鋼材と樹脂の 複合体は、前記硬質で結晶性の熱可塑性樹脂 がポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリフ ェニレンサルファイド樹脂、ポリアミド樹脂 、または液晶ポリマーを主成分とする樹脂組 成物のいずれかであるようにしたものである 。

 本発明の請求の範囲1または4のいずれか1 を引用する請求の範囲8による鋼材と樹脂の 複合体は、前記硬質結晶性の熱可塑性樹脂を 主成分とする樹脂組成物がポリブチレンテレ フタレート樹脂を主成分とする第1樹脂組成 、ポリフェニレンサルファイド樹脂を主成 とする第2樹脂組成物、または芳香族ポリア ド樹脂を主成分とする第3樹脂組成物のいず れかであって、前記第1樹脂組成物の樹脂分 ポリブチレンテレフタレート樹脂を主成分 しポリエチレンテレフタレート樹脂及び/ま はポリオレフィン系樹脂を従成分とする樹 組成物であり、前記第2樹脂組成物の樹脂分 はポリフェニレンサルファイド樹脂を主成分 としポリオレフィン系樹脂を従成分とする樹 脂組成物であり、前記第3樹脂組成物の樹脂 は芳香族ポリアミド樹脂を主成分とし脂肪 ポリアミド樹脂を従成分とする樹脂組成物 あるようにしたものである。

 本発明の請求の範囲8を引用する請求の範 囲9による鋼材と樹脂の複合体は、前記第1樹 組成物は、ポリブチレンテレフタレート樹 が70ないし97質量%、前記ポリエチレンテレ タレート樹脂及び/またはポリオレフィン系 脂が3ないし30質量%であるようにしたもので ある。

 本発明の請求の範囲8を引用する請求の範 囲10による鋼材と樹脂の複合体は、前記第2樹 脂組成物は、ポリフェニレンサルファイド樹 脂が70ないし97質量%、前記ポリオレフィン系 脂が3ないし30質量%であるようにしたもので ある。

 本発明の請求の範囲2または5のいずれか1 を引用する請求の範囲11による鋼材と樹脂 複合体は、前記の熱硬化性接着剤がフェノ ル樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステ 系接着剤であるようにしたものである。

 本発明の請求の範囲2または5のいずれか1 を引用する請求の範囲12による鋼材と樹脂 複合体は、前記の樹脂製の被着材がフェノ ル樹脂を含んだ研磨剤や摩擦材用組成物、 ポキシ樹脂を含んだ繊維強化プラスチック または不飽和ポリエステル樹脂を含んだ繊 強化プラスチックであるようにしたもので る。

 本発明の請求の範囲3または6のいずれか1 を引用する請求の範囲13による耐食性を有 る鋼材は、前記の熱硬化性コート材が、エ キシ系樹脂を主体としたものであるように たものである。

 本発明の請求の範囲1ないし13のいずれか1 項を引用する請求の範囲14による耐食性を有 る鋼材または鋼材と樹脂の複合体は、前記 可塑性の結晶性樹脂組成物、熱硬化性接着 、または熱硬化型コート材は0~60重量%のガ ス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、カーボ ナノチューブ、その他の強化繊維、炭酸カ シウム、炭酸マグネシウム、シリカ、タル 、粘土、及びガラス粉から選ばれる1種以上 充填材が含まれているものである。

 本発明の請求の範囲15による鋼材と樹脂 複合体の製造方法は、アルミ鍍金鋼板を機 的加工で形状化する形状化工程と、前記形 化された鋼材を酸塩基性水溶液で化学エッ ングする工程と、前記処理した鋼材をPH9~11 弱塩基性水溶液で微細エッチングする工程 、別途に、ポリブチレンテレフタレート樹 、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリ ミド樹脂、または液晶ポリマーを主成分と る樹脂組成物から射出成形等の樹脂成形法 使用して樹脂製成形品を得る工程と、前記 学反応工程後の前記鋼材を前記樹脂組成物 溶融温度以上の温度に加熱する加熱工程と 前記の加熱した鋼材に前記の樹脂製成形品 押し付けて圧融着する接合工程と、からな ものである。

 本発明の請求の範囲16による鋼材と樹脂 複合体の製造方法は、アルミ鍍金鋼板を機 的加工で形状化する形状化工程と、前記形 化された鋼材を酸塩基性水溶液で化学エッ ングする工程と、前記処理した鋼材をPH9~11 弱塩基性水溶液で微細エッチングする工程 、前記化学反応工程後の前記鋼材を射出成 金型にインサートするインサート工程と、 ンサートされた前記基材に、ポリブチレン レフタレート樹脂を主成分としポリエチレ テレフタレート樹脂及び/またはポリオレフ ン液樹脂を従成分とする第1樹脂組成物、ポ リフェニレンサルファイド樹脂を主成分とし ポリオレフィン系樹脂を従成分とする第2樹 組成物、または芳香族ポリアミド樹脂を主 分とし脂肪族ポリアミド樹脂を従成分とす 第3樹脂組成物を射出して前記鋼材と前記樹 組成物を一体化する射出接合工程と、から るものである。

 本発明の請求の範囲17による鋼材と樹脂 複合体の製造方法は、アルミ鍍金鋼板を機 的加工で形状化する形状化工程と、前記形 化された鋼材を酸塩基性水溶液で化学エッ ングする工程と、前記処理した鋼材をPH9~11 弱塩基性水溶液で微細エッチングする工程 、前記化学反応工程後の前記基材に1液性熱 化型接着剤を塗布する工程と、前記の接着 塗布済みの鋼材に金属製又は未硬化熱硬化 樹脂製の被着材を押し付けて固定する工程 、前記の仮一体化物を加熱して接着剤成分 被着材の双方を硬化させる硬化接着工程と からなるものである。

 本発明の請求の範囲18による鋼材と樹脂 複合体の製造方法は、アルミ鍍金鋼板を機 的加工で形状化する形状化工程と、前記形 化された鋼材を酸塩基性水溶液で化学エッ ングする工程と、前記処理した鋼材をPH9~11 弱塩基性水溶液で微細エッチングする工程 、前記化学反応工程後の前記基材に1液性熱 化型接着剤を塗布する工程と、接着剤を塗 した前記基材を密閉容器に収納して減圧し その後に加圧する操作を行う接着剤の染み まし工程と、前記の接着剤塗布済みの鋼材 金属製又は未硬化熱硬化性樹脂製の被着材 押し付けて固定する工程と、前記の仮一体 物を加熱して接着剤成分を硬化させる硬化 着工程と、からなるものである。

 本発明の請求の範囲19による耐食性ある 材の製造方法は、アルミ鍍金鋼板を機械的 工で形状化する形状化工程と、前記形状化 れた鋼材を酸塩基性水溶液で化学エッチン する工程と、前記処理した鋼材をPH9~11の弱 基性水溶液で微細エッチングする工程と、 記化学反応工程後の前記基材に1液性熱硬化 コート材を塗布し硬化する工程と、を少な とも含むものである。

 本発明の請求の範囲20による耐食性ある 材の製造方法は、アルミ鍍金鋼板を機械的 工で形状化する形状化工程と、前記形状化 れた鋼材を酸塩基性水溶液で化学エッチン する工程と、前記処理した鋼材をPH9~11の弱 基性水溶液で微細エッチングする工程と、 記化学反応工程後の前記基材に1液性熱硬化 コート材を塗布する工程と、前記コート材 塗布した前記基材を密閉容器に収納して減 し、その後に加圧する操作を行うコート材 染み込まし工程と、前記の鋼材を加熱し硬 させる硬化工程と、を少なくとも含むもの ある。

 本発明の請求の範囲15ないし20のいずれか 1項を引用する請求の範囲21による耐食性を有 する鋼材または鋼材と樹脂の複合体の製造方 法は、微細エッチングに使用する水溶液は常 温~70℃で使用し、加えられている塩基性物質 が、水和ヒドラジン、アンモニア、または水 溶性アミン化合物から選ばれているものであ る。

 本発明の複合体は、熱可塑性樹脂組成物 品とアルミ鍍金鋼板部品とが容易に剥がれ ことなく一体化されたものである。アルミ 金鋼板部品に本発明による表面処理をした のに、PBT70~97質量%とPET及び/またはポリオレ フィン系樹脂30~3質量%を含む樹脂分組成を有 る熱可塑性樹脂組成物、またはPPS70~97質量% ポリオレフィン系樹脂3~30重量%を含む樹脂 組成を有する熱可塑性樹脂組成物、または 香族ポリアミドと脂肪族ポリアミドの双方 含む熱可塑性樹脂組成物を強く射出接合し 複合体を製造することができる。

 また、本発明の複合体は、PBT、PPS、ポリ ミド、液晶ポリマー等を含む熱可塑性樹脂 成物で一旦樹脂成形品を射出成形法で作製 、その一方でアルミ鍍金鋼板部品に本発明 よる表面処理を付与しておく。そして表面 理済みの前記鋼板片を加熱する。加熱した 板片に先ほどの樹脂成形品を押し付けて圧 着することで金属樹脂複合体を製造するこ ができる。

 また、本発明の複合体は、1液性熱硬化型 接着剤とアルミ鍍金鋼板材とが非常に強烈に 接着する。アルミ鍍金鋼板部品に本発明によ る表面処理をした物に対し、市販のエポキシ 接着剤等を使用して、アルミ鍍金鋼板部品同 士、アルミ鍍金鋼板部品とその他の金属合金 製部品、またはアルミ鍍金鋼板部品とCFRPま はGFRPとが強く接着した金属樹脂複合体を製 することができる。

 さらに、本発明は、1液性熱硬化型コート 材とアルミ鍍金鋼板が非常に強く接着するこ とができることを応用し、耐食性に優れたア ルミ鍍金鋼板、プレコート鋼板の性能向上に 寄与する。

金属と樹脂の射出接合による複合体を 造する過程を模式的に示した金型構成図で る。 金属と樹脂の射出接合による複合体を 式的に示したものである。 樹脂製ボス成形品の形状例を示す図で る。 樹脂製ボスを射出成形で得るときに金 上にてボス底中央部が外に向かって僅か膨 むように金型設計することが分かるよう示 た模式図である。 金属合金部品と樹脂製部品を圧融着す のに使用する治具の例を示した模式図であ 。 本発明の実験例で使用した金属合金片 平面図を示したものである。 本発明で得た、金属合金板片上に樹脂 ボスが接合した部品の例を示す図である。 本発明の実験例で作製した金属合金片 樹脂製ボス一体化物の破壊強度を測定する 合の模式図である。 金属片と予備成形品を1液性熱硬化型接 着剤で貼り合せ、熱風乾燥機内で硬化させる ための焼成治具を模式的に示す断面図である 。 金属片と予備成形品とを1液性熱硬化 接着剤で接合した接着複合体を示す外観図 ある。 金属片同士を1液性熱硬化型接着剤で 着した接着複合体を示す外観図である。 新NMT理論、NAT理論での金属合金表面構 造を示す模式的部分断面図である。 苛性ソーダ水溶液をエッチング剤とし て使用し、さらに一水和ヒドラジン水溶液を 微細エッチング剤として使用し、表面処理を して得たアルミ鍍金鋼板「MSA120(日本国東京 、日新製鋼株式会社製)」の表面の1万倍の電 子顕微鏡写真である。 苛性ソーダ水溶液をエッチング剤とし て使用し、さらに一水和ヒドラジン水溶液を 微細エッチング剤として使用し、表面処理を して得たアルミ鍍金鋼板「MSA120(日本国東京 、日新製鋼株式会社製)」の表面の10万倍の 子顕微鏡写真である。

 以下、本発明による鋼材と樹脂の複合体 その製造方法について、鋼材と樹脂の複合 とその製造方法の特徴、接合の形態、実施 に分けて説明する。

〔A〕鋼材と樹脂の複合体とその製造方法の 徴
(a)アルミ鍍金鋼板材
 本発明でいう鋼板の基材は詳しくは溶融ア ミニウム合金鍍金鋼板であり、国内外の鋼 メーカーからほとんどが「アルミ鍍金鋼板 の名称で市販されているものである。溶融 ルミニウム合金を蓄えた高温槽内にコイル 板材を原材として鋼板を連続的に通過浸漬 せ、再び巻き取って製造するのがこの鋼材 通常の製造方法である。それゆえ、発明の 明においても「鋼板」という語が多くある 、当然ながら同様に溶融アルミニウム合金 浸漬させて得た鋼材は板形状以外であって 本発明の対象である。

 アルミ鍍金鋼板の製造過程で使用される ルミニウム合金にはアルミニウム以外に珪 が含まれ、多少の鉄も含まれている。詳細 カタログや専門書によるが、市販アルミ鍍 鋼板のアルミ表層を元素分析した例で、金 分としてアルミニウム77%、珪素8%、鉄15%あ たとされている。また、珪素の含有により 面アルミ層と基材である鋼材との間に中間 が生じ易くなり、その結果、鋼材とアルミ ウム合金層との接合力が高くなるとされて る。

 上記の分析で得られた鉄原子の含有が元 の溶融アルミニウム合金に含まれていたも か、溶融アルミニウム合金への浸漬後に鋼 から移行したものか、双方からの鉄が混ざ 合ったのか、また、分析そのものが鍍金層 どこまでの部分を取ってなされたものなの 、本発明者らはアルミ鍍金鋼板のメーカー ないこともあってわからない。また、本発 者ら自身も、アルミ鍍金鋼板原材のXPSによ 表面分析までは行っておらず、鉄原子の含 が表面まで至っているのか、もしくは表面 含めてほぼ均等に十数%の鉄含有があるのか 等の詳細イメージはわからない。

 すなわち、鍍金層の厚さ50~100μmの間で、 の底から表面にかけて鉄含有量が傾斜的な か均一に近いのかだが、もし傾斜的であれ 、製造時の高温履歴時間が長いほど、ある は、製造後の経時時間が長いほど表面への 原子の移行は進むはずである。この考察か 製品履歴によって表面処理の方法が変わる もしれないと思われた。それゆえ、本発明 らが使用したアルミ鍍金鋼板は、国内メー ーが製造してから6ヶ月以内のものを実験に 使用した。

 もし鋼材に電気鍍金や爆着等の手段で珪 及び鉄の含有が非常に少ないアルミニウム 金、いわば展伸用アルミニウム合金の組成 近いアルミニウム合金が表層となった鋼板 あり、これについて樹脂の射出接合や接着 接合を論じる場合であれば、本発明でなく すでに公開したアルミニウム合金自体に関 る特許、すなわち特許文献1、2、3、9、10等 参考にすべきである。

(b)鋼材の表面処理
 新NMT理論、NAT理論に従う金属合金を得るに 、前述した(1)~(3)の条件を満足する表面にす るには、基本的に、1)脱脂、2)化学エッチン 、3)微細エッチング、4)表面硬化の4工程を経 る。また、NMT理論に従うアルミニウム合金を 得るには、基本的に、1)脱脂、2)化学エッチ グ、3)微細エッチングの3工程を経る。本発 の対象はアルミ鍍金鋼板であるので基本的 はNMT理論の手法を用い、表面形状は新NMT理 に沿うもの、すなわち、ミクロンオーダー 大きな凹凸が存在するようにする表面処理 とした。そこで、1)脱脂、2)化学エッチング 3)微細エッチングの3工程について具体的に べる。

 脱脂工程は、一般に機械加工等を済ませ 金属合金製部品には工作油や指脂が付着し いるので、これを界面活性剤入りの水溶液 浸漬し水洗する工程である。脱脂には界面 性剤を溶解した一般金属用脱脂剤の使用が ましい。すなわち、アルミ用脱脂剤、マグ シウム合金用脱脂剤、鉄用脱脂剤、ステン ス鋼用脱脂剤などが好適に使用できる。

 次いで行う化学エッチングは、苛性ソー 等の強塩基の水溶液やハロゲン酸等の非酸 性酸の水溶液を使用するのが好ましい。酸 基の何れでも良いが、双方を順次使用する が好ましい。すなわち、酸性液であれ塩基 液であれ前記工程後の鋼材を浸漬してエッ ング反応が本格的に始まるまでに多少の誘 期間がある。これはアルミ鍍金鋼板の最外 がアルミニウム合金の自然酸化層で覆われ いるためである。従って、自然酸化層の様 次第で誘導期間が変化し、そのために一定 度、一定温度の酸塩基性水溶液を使用して エッチングレベルが一定し難い結果となる  

 まず塩基性水溶液に短時間浸漬して水洗 、次に酸水溶液に一定時間浸漬して水洗し 場合を考えると理解できるが、最初の浸漬 洗は予備塩基洗浄と考えその目的はアルミ ウム合金表面に塩基性物質を吸着させるこ である。塩基性物質の吸着があった場合、 の酸水溶液でのエッチングがほぼ誘導期間 しで始まる。この逆も同じである。要する 予備洗浄してエッチング工程に入るのが好 しい。

 エッチング工程の具体例は実験例に示し が、エッチング液の酸塩基濃度、液温、浸 時間を調整し、走査型プローブ顕微鏡の粗 観察で日本工業規格(JIS)のB0601:2001(ISO4287)に る粗さ曲線(roughness profile )についての輪郭 曲線要素の平均長さ(mean length of profile eleme nt)RSmが1~10μmで、粗さ曲線(roughness profile)につ いての輪郭曲線の最大高さ(maximum profile eleme nt height)すなわち最大高さ粗さ(maximum hight of  roughness profile)Rzが0.5~5μmになるような大ま な条件を探す。

 しかし本発明者らが実際にアルミ鍍金鋼 についてエッチングの条件を大きく振って ってみても、予期した前記の粗面はなかな 得られなかった。そこで粗度を指標にせず 射出接合力、具体的には後述するPPS系樹脂 使った射出接合試験を行い得られた一体化 の破断力の大きいものを良しとする指標に 、射出接合力の高かったものにつき粗度測 をした。

 その結果、ほとんどが、RSmが3~20μm、Rzが1 ~8μmの範囲に入った。これは予期していた粗 面よりかなり大ぶりな面である。理由がわ らず、数種につき電子顕微鏡で観察したと ろ全く予想もしなかった表面形状であった 1例は図13であるが、これは展伸用アルミニ ム合金を処理した場合の電顕写真と大いに なる。これらの詳細説明は後述する。

 前記したように、予備塩基洗浄と酸エッ ングを行った場合も、予備酸洗浄と塩基エ チングを行った場合も、その後に薄い硝酸 溶液に数分浸漬し水洗するのが好ましい。 %濃度の程度の硝酸水溶液への浸漬は、表面 の大きな凹凸(前記で得たミクロンオーダー 度の凹凸)に影響をほとんど与えないが、そ 一方で前工程の影響で付着していたハロゲ イオンやナトリウムイオンを一掃する。こ らのイオンがアルミニウム合金周辺に残存 ていると、長期的な観点だが、アルミニウ 合金の腐食を促進することが多い。それゆ 、硝酸水溶液への浸漬と水洗でこれらを払 するのが好ましい。

 次いで微細エッチングすべく、ヒドラジ 、アンモニア、または水溶性アミンを含む 溶液に浸漬するのが好ましい。これらを使 た実験結果によると、液温が常温~70℃でPH9~ 11の水溶液に1~30分浸漬することで目的を達す ることができる。アンモニア水は臭気が強い ので常温でしか使用できず、25%程度の最高濃 度にして使用しても20~30分の浸漬が必要であ 。これは塩基性がやや弱いからである。

 本発明者らは一水和ヒドラジンを使用す のが最も好ましいと考えている。数%濃度の 水溶液とし、50~60℃、PH9.5~10.2程度として使用 するのが好ましく臭気も強くない。このよう な弱塩基性水溶液への浸漬により、アルミニ ウムリッチ表面は30~50nm径の凹部が全面を覆 ように微細エッチングされ、同時に使用し アミン系化合物、ここではヒドラジンが表 に化学吸着する。

 このような工程で得られ、かつ、その内 ら射出接合力に優れたものを選んで電子顕 鏡観察した。その一つが図13、14であり、図 13は1万倍、図14は10万倍電顕写真を示す。図13 であるが、巨大な立体形状物と多数の小さな 石ころが散在する平原状の不思議な表面を表 している。

 写真中の白色の表現し難い立体形状の大 な塊や散在する石ころ状のものは、別の分 電顕によるEDX機能の分析によれば大量の珪 と少量のアルミニウム、微量の鉄が認めら るので珪素を主に含む酸化珪素系のセラミ ク質でできているとみられる。また、平原 EDX分析によるとアルミニウム像が最も濃く 素も鉄も認められたので、表面は酸化アル ニウムを主とするセラミック質層であると られた。そしてその平原状の箇所を拡大し 図14からは石ころの他に30~50nm径の円形模様 、全面ではないが1/3の割合くらいの面積で められる。

 表面をXPSで分析をすると窒素原子が少な が確認され、一般のアルミニウム合金をNMT 理したのと同じように微細エッチング処理 使用したアミン系物質、すなわち、ここで ヒドラジンが化学吸着していることがわか た。一般のアルミニウム合金のNMT液処理で アミン系分子は表面の3価のアルミニウム原 子に化学吸着しているとみられるので、この 表面では平原状に見える部分に吸着している ものと推定した。

 本発明者らは、表面処理したアルミ鍍金 板にPPS系樹脂(実施例中の調製例1によるPPS 成物(1))を射出接合し、得られた一体化物の 合力を測定した。これらの実験で十分な接 強度を与えたアルミ鍍金鋼板につき、その 度を走査型プローブ顕微鏡で測定した。そ 結果、輪郭曲線要素の平均長さRSmが3~20μm、 最大高さ粗さRzが1~8μmであるものが強い射出 合力を与えていることがわかった。これは り返すが、新NMT理論、NAT理論で本発明者ら 従来述べていた範囲と異なる。前述のこと らわかるはずであるが、アルミ鍍金鋼板に 徴的な事象である。

 新NMT理論、NAT理論で主張しているスパイ の役目をするものは、上記のアルミ鍍金鋼 においては、大きく立体的にせり出した珪 系化合物の部分や石ころ状に突き出してい 珪素系化合物の部分である可能性が高いが 平原部の30~50nm径の微細凹凸も多少の役目を 果たしているとみられる。本発明者らが従来 の経験から予想している最もスパイク効果の 大きい微細凹凸は全面的な50~100nm周期の凹凸 あり、そのような目で図13を見ると微細凹 の姿はやや大ぶりである。しかし珪素化合 部のように垂直的に突き出した部分があり この部分の形状も複雑形状であるので大き 効果があるものと思われる。

 「新NMT」の一般論で言えば、微細凹凸が1 0nm周期程度のように細か過ぎると樹脂側から 見れば非常に円滑な面と同じように見えるの でスパイク効果が出難く、一方、微細周期が 300nmよりも大きな周期であれば(その様な場合 はミクロンオーダーの大きな凹部の直径や周 期が10μm以上となり大きいのであろうが)、ミ クロンレベルの凹部の内壁面に存在するスパ イク数そのものが激減するので効果が効き難 くなる。そのような見方で図13の写真をみる 、少なくとも微細凹凸が小さ過ぎることも く、かつ、500nm以上の周期でもなくて大き ぎることもない。異形だが射出接合に向い いるようである。

 なお、通常のアルミニウム合金のXPS分析 わかっていることを述べておく。市販の展 用アルミニウム合金そのものをXPS分析しア ミニウム原子に注目して見ると、3価のアル ミニウム原子と0価のアルミニウム原子が2:1~3 :1で検出される。XPSでは表面から1~2nmまでの さまでに存在する原子が検出できるので、0 のアルミニウムが少量ながら検出できるこ はその自然酸化層(酸化アルミニウムの層) 厚さが1nm前後であることを示すのである。

 一方、前記の表面処理済みのアルミ鍍金 板の分析では検出されるアルミニウム原子 全てが3価であった。このことは、アルミの 自然酸化層の厚さは少なくとも2nm以上であり 、市販のA5052等のアルミニウム合金が有する 然酸化層よりも厚い。以上から、全体とし 処理後のアルミ鍍金鋼板の表層は電顕で見 の白色部も平原部もそれなりの硬いセラミ ク質で覆われていると言えるので、新NMT理 、NAT理論で言う金属合金の表層の化学的条 を満たしている。

(c)射出接合用の熱可塑性樹脂組成物
 この樹脂組成物は、射出成形により前記ア ミ鍍金鋼板に直接的に接合される、結晶性 樹脂であるPBTを主成分とする第1樹脂組成物 、PPSを主成分とする第2樹脂組成物、または 芳香族ポリアミドを主成分とする第3樹脂組 物をいう。

 この第1樹脂組成物の樹脂分は、PBTを主成 分としPET及び/またはポリオレフィン系樹脂 従成分とする樹脂組成物である。また、第2 脂組成物の樹脂分は、PPSを主成分としポリ レフィン系樹脂を従成分とする樹脂組成物 ある。また、第3樹脂組成物の樹脂分は、芳 香族ポリアミドを主成分とし脂肪族ポリアミ ドを従成分とする樹脂組成物である。

 第1樹脂組成物はPBTが70ないし97質量%、前 PET及び/またはポリオレフィン系樹脂が3な し30質量%であり、第2樹脂組成物はPPSが70な し97質量%、前記ポリオレフィン系樹脂が3な し30質量%であり、第3樹脂組成物は芳香族ポ リアミドが50~100%、脂肪族ポリアミドが0~50%で あると良い。この範囲外であると射出接合力 が大きく低下する。

 樹脂組成物である高硬度結晶性樹脂組成物 、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、 の他強化繊維、炭酸カルシウム、炭酸マグ シウム、シリカ、タルク、粘土、及びガラ 粉から選ばれる1種以上の充填材を組成物全 体の20~60質量%含むPPSまたはPBTが好ましい。こ れはこれら充填材を含ませることで樹脂成形 物の線膨張率を2~3×10 -5 -1 とし、線膨張率を金属合金に近づけて温度変 化時に生じる接合面での内部歪を小さいレベ ルに抑えるためである。

(d)複合体の製造/熱可塑性樹脂を使用した射 接合
 この複合体製造方法は金属合金材部品を金 にインサートした上で行う射出成形法であ 以下のように行う。射出成形用金型を用意 、金型を開いてその一方に前述の処理によ 得られた鋼材形状物をインサートし、金型 閉じ、改良したPBT、改良したPPS、または改 した芳香族ポリアミド系の熱可塑性樹脂組 物を射出し、固化した後に金型を開き離型 ることにより複合体の製造を行う。

 射出条件について説明する。金型温度と ては特に固化後樹脂強度への影響が少なく 複合体の生産効率に優れることからPBTやPPS 樹脂では100℃以上が好ましく、より好まし は120℃以上であるとよい。射出温度、射出 、射出速度は特に通常の射出成形と変わら いが、強いて言えば、射出速度と射出圧は 目にすることが好適である。

(e)圧融着用の熱可塑性樹脂組成物
 この樹脂組成物は、硬質の高結晶性樹脂を 成分とする樹脂組成物が使用できる。新NMT 論での圧融着では、樹脂種としてPBT、PPS、 香族ポリアミド、脂肪族ポリアミド、液晶 リマー、ポリエーテルエーテルケトン(以下 、「PEEK」という)等が使用できるとしており 本発明でも同様に使用できる。また、前述 た射出接合用の熱可塑性樹脂、すなわち、 出接合用に改良したPBT、PPS、芳香族ポリア ド系の樹脂ももちろん使用できる。要する 、前述した射出接合用の熱可塑性樹脂より 範囲が広く、硬質の高結晶性樹脂であれば 用できる。特に、その融点が高過ぎないこ から、PBT、PPS、ポリアミド樹脂等が好まし 。

 これらを樹脂分とする樹脂組成物は、ガ ス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、その他 化繊維、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウ 、シリカ、タルク、粘土、及びガラス粉か 選ばれる1種以上の充填材を、組成物全体の 20~60質量%含んでいてもよい。また、液晶ポリ マーでは前記充填材を0~50%含んでいてもよい これはこれら充填材を含ませることで樹脂 形物の線膨張率を下げるためである。

(f)複合体の製造/熱可塑性樹脂を使用した圧 着
 この複合体製造法に使用する樹脂組成物の 脂分は硬質の高結晶性樹脂であって、具体 には、PBT、PPS、ポリアミド、液晶ポリマー が好ましい。射出接合で好適に使用できる した、改良済みのPBT、PPS、芳香族ポリアミ 系の樹脂組成物もこれらの範疇に入り、も ろん使用に好ましい。ガラス繊維、その他 充填材をコンパウンドして樹脂組成物とし これを原料にして射出成形機にかけて樹脂 形品をまず製作する。

 次いで、前述の表面処理をしたアルミ鍍 鋼板材をホットプレート、熱風乾燥機、そ 他を使用して接合する樹脂組成物の融点以 の温度とし、昇温した鋼材の上に先ほどの 脂成形品を押し付ける。融点以上と言って 、せいぜい融点より数十℃高い程度の高温 以下の作業の実施は可能である。

 好ましい作業形態について述べる。まず 記鋼板部品を所定の温度まで加熱する。加 した鋼板部品を一旦断熱板上に移し、置い 鋼板片に用意しておいた樹脂成形品を押し ける。押し付けた樹脂部品の底面が溶融し その後は熱が分散して再度結晶化固化する この間に鋼板表面上の凹部に溶融樹脂が入 込み、入り込んだ後で再び放冷されて固化 、接合するのである。

 接合力の再現性を良くするには、樹脂が 融している数秒、または十数秒の間に全体 真空下に置き、その後に常圧に戻すという うな操作を入れることである。適当な圧融 用治具を作り真空ポンプと組み上げること 合理的で再現性のよい圧融着が可能になる 一例を実施例に示した。

(g)1液性熱硬化型接着剤
 塗布時に液状でありかつ巨大分子(ゲル化分 子)が少ない熱硬化型接着剤がNAT理論面から まれるものである。さらに具体面から言え 、金属(アルミ鍍金鋼板)表面上の数μm周期の 凹部に侵入し、さらにその凹部内に存在する 数十~数百nm周期の微細凹凸の隙間にもある程 度侵入してもらわなければならないため、液 の粘度は高くとも十数Pa秒程度以下であるこ が望ましい。

 ただし、接着剤を塗布した後に50~80℃に 温した容器、例えば加温したデシケータに れてしばらくおき、接着剤塗布済み鋼板片 同様な温度にした状態で減圧/常圧戻しの操 を加えることもできるから、常温で粘度が 百Pa秒というペースト状の接着剤組成物で っても、50~80℃に昇温することで粘度を下げ て液状化し使用できることになる。ただし、 この昇温下で接着剤のゲル化等が進むようで あると上記した微細凹凸面の隙間への侵入具 合が悪くなるので、このような高粘度接着剤 を使用する場合はゲル化温度が高い方が好ま しい。

 同じ解釈ができるが、2液性熱硬化型接着 剤であってもゲル化温度が高く、硬化剤混合 後も常温付近でのゲル化速度が非常に遅く、 かつ、混合物の粘度域が上記したもの以下で あれば使用に好ましいことは自明である。接 着剤の種類としてエポキシ系、フェノール樹 脂系、不飽和ポリエステル系のものが使用で きる。前二者は優れた接着能を有するものが 多数市販されている。

 不飽和ポリエステル系では、分解温度の 常に高い有機過酸化物を硬化剤として使用 きる。不飽和ポリエステルにはアルキッド とビニルエステル型があるが、接着力自体 ビニルエステル型、特にエポキシ樹脂とメ クリル酸から製造したビニルエステル型の 飽和ポリエステルを使った方が強い。

 エポキシ系接着剤についてさらに詳細に べる。市販の1液性エポキシ接着剤の多くは 、エポキシ樹脂としてビスフェノール型エポ キシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂 、多官能ポリフェノール型エポキシ樹脂、脂 環型エポキシ樹脂等を使用し、硬化剤として ジシアンジアミドやイミダゾール類を加えた ものである。これらは接着剤粘度が比較的低 くでき、塗布作業は容易であるがやや耐熱性 が以下に述べるタイプより低い。

 一方、硬化剤に芳香族アミン系化合物を 用したものは、芳香族アミン系化合物の多 が固体であることからして混合物も一旦溶 しないと製作できず、混合物が出来たとし も常温では高粘度のペースト状か固体とな 。硬化物の耐熱性が高いという特徴はある 、本発明での観点から言えば粘度が高過ぎ 塗布後の後作業(金属面への染み込まし作業 )が困難である。このようなものは重合反応 全く関与しない溶剤を加えることで使用可 な接着剤組成物にできる。

 また、硬化剤に酸無水物を使用すること 可能であり、酸無水物には低粘度液体の物 生産されているので、エポキシ樹脂と酸無 物からの熱硬化性接着剤は好ましく使用で る。この種類も残念ながら市販されていな 。その理由は、混合後、常温下で保管する 低速ではあるがゲル化が進行することにあ 。したがって混合品を市販するのは品質保 の面から難しく、現状では接着剤を必要と る企業がエポキシ樹脂と酸無水物を購入し 前でコンパウンドして自家使用するのが普 である。

 混合物のゲル化や硬化温度は150℃以上で る場合が多くてゲル化温度が高いので、酸 水物をコンパウンドしたエポキシ樹脂(接着 剤組成物)を冷蔵庫に入れておけば数日保管 支障ない。その意味で、酸無水物添加のエ キシ系接着剤は、見た目は2液性のようであ が、本発明内では1液性熱硬化型接着剤とし て分類している。

(h)複合体の製造/1液性熱硬化型接着剤を使用 た接着剤接合
 接着剤としてエポキシ系、フェノール樹脂 、不飽和ポリエステル系のものが好ましく 用できる。エポキシ系、フェノール樹脂系 双方は優れた接着能を有するものが多数市 されている。塗布時に液体であることが必 である。常温で固体状である高粘度接着剤 50~80℃にすれば十数Pa秒の液体と言えるレベ ルの粘度にまで下がる。このような現象を利 用するのが好ましい。このような高粘度の接 着剤はエポキシ系接着剤であるので、エポキ シ接着を使用するときの要点について述べる 。

 減圧にする操作が可能なデシケータ等の 型容器をまず用意する。これらの容器を温 乾燥機内に1時間近く入れて暖めておく。一 方、前述の表面処理をした鋼板部品を用意し 、これの必要箇所に接着剤を塗りつける(塗 する)。先ほどのデシケータを温風乾燥機か 取り出し、デシケータ内に接着剤塗布済み 鋼板片を並べ、蓋をして真空ポンプで数十m mHg~数mmHgの減圧とする。減圧下にしばらく置 た後に常圧に戻す。

 そして、さらに減圧/常圧戻し操作を繰り 返す。これらの操作によって、デシケータの 余熱で液状になった接着剤が鋼板表面上の凹 部の中に吸い込まれる。デシケータから取り 出し、鋼板片を被着材とくっつけ固定してか ら熱風乾燥機に入れ、100~135℃にして数十分~ 時間近く保つゲル化促進と、その後に150~200 ℃まで上げて数十分~数時間程度保って硬化 るのが普通である。この温度設定は硬化剤 によって大きく異なり、詳細は個々のエポ シ樹脂と硬化剤種によって異なる。要点は ゲル化を円滑に進めることがよい接合を生 ということであり、一挙に温度を上げ過ぎ とゲル化と硬化が暴走的に起こるので、結 的に接着力を下げることもあるということ ある。

 被着材として同じ鋼板片を使用して鋼板 同士を接着することができる。また、鋼板 を、その他の金属合金、例えばNAT理論に従 て作製した同種鋼材以外の金属合金、例え NAT理論によるステンレス鋼とも接着するこ ができる。また、炭素繊維強化プラスチッ (以下、「CFRP(Carbon-fiber reinforced plasticsの略 )」という)はエポキシ樹脂をマトリックスと る超軽量高強度の材料であるが、未硬化状 のCFRP(すなわちCFRPプリプレグ)とエポキシ接 着剤塗布済みの鋼板部品とをクリップで繋ぎ 合わせ、その繋ぎ合わせた状態のまま熱風乾 燥機で加熱して全エポキシ成分を硬化させた 場合、エポキシ系接着剤とCFRP部がほぼ同時 固化するので、鋼板部品とCFRPの強固な一体 物を得ることができる。

(i)1液性熱硬化型コート材
 アルミ鍍金鋼板にコートして強く接着し耐 性を向上するコート材について記す。エポ シ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエス ル樹脂等にそれぞれに適した硬化剤を加え 加熱してゲル化、硬化するものであれば基 的に耐食性を向上するコート材として使用 きる。これらの中ではエポキシ系コート材 最も接着力が高く、さらに言えば、常温付 の温度域では間違いなくエポキシ系コート の接着力が高いので、最高度の耐食性鋼材 作製するにはエポキシ系コート材の使用が ましい。それゆえ、エポキシ系コート材に いて述べる。

 エポキシ系接着剤や塗料は優れたものが 販品で存在し、自作する場合であっても、 材料は市販のものから容易に調達できる。 なわち、市販のビスフェノール型エポキシ 脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、多 能ポリフェノール型エポキシ樹脂、脂環型 ポキシ樹脂等が市販されておりいずれも材 として使用できる。これらエポキシ樹脂同 を多官能の第三成分、例えば複数の水酸基 有する多官能オリゴマー等と反応させて繋 合わせたものも使用できる。これらエポキ 樹脂に多官能アミン系化合物を硬化剤とし 加え、混合してエポキシ系コート材となす が好ましい。

 ちなみに本発明者らは市販のエポキシ系 料も使用して試験を行ったが、樹脂接着剤 EP106(セメダイン社製)」を溶剤希釈した物も 自作のコート材として試験用に使用した。こ の接着剤は、ジシアンジアミドが既に硬化剤 として配合された1液性熱硬化型エポキシ接 剤であり粘度は常温で10~20Pa秒程度のもので った。

〔B〕接合の形態
 鋼材と樹脂との接合の形態について具体的 説明する。
(a)射出接合
 図1、図2は熱可塑性樹脂の射出接合に関す 図であり、図1は、実施例で使用した射出成 金型の断面を模式的に示した断面図である 図1は金型が閉じ射出成形される状態を示し ている。図2は、射出成形金型で成形された 材と樹脂の複合体7の外観を示す外観図であ 。この射出成形金型は、可動側型板2と固定 側型板3で構成され、固定側型板3側にピンポ ントゲート5、ランナー等からなる樹脂射出 部が構成されている。

 複合体7の成形は次のように行う。まず可 動側型板2を開いて、固定側型板3との間に形 されるキャビティーに鋼板片1をインサート する。インサートした後、可動側型板2を閉 て図1の射出前の状態にする。次にピンポイ トゲート5を介して溶融した樹脂組成物を鋼 材片のインサートされたキャビティーに射出 する。

 射出されると樹脂組成物4は鋼板片と接合し つつキャビティーを埋めて樹脂成形され、金 属と樹脂の一体となった複合体7が得られる 複合体7は、鋼板片1と樹脂組成物4との接合 6を有しており、この接合面6の面積は5mm×10mm である。すなわち、接合面6の面積は0.5cm 2 である。

(b)圧融着接合
 図3、図4、図5、図6、図7、図8は熱可塑性樹 の圧融着接合に関する図であり、図3は実験 例で使用した熱可塑性樹脂の射出成形品の形 を模式的に示した図である。図4は、前記樹 成形品はボス形状だが、ボス底部中央が0.1mm 程度外に突き出した形状になるように形状設 計したことを示している。要するに、肉盗み なしの充填型ボス形状品を射出成形すると、 樹脂組成物の成形収縮によって必ずボス底部 の中央がへっこむ。底のへっこんだものは圧 融着に望ましくないため、底中央部が突き出 るように予め設計すべきことを示したもので ある。図4のように成形はピンゲートによっ なされてもよいが、結果的に、ボス底中央 0.1mm程度張り出しているか、または悪くとも 平面であることが好ましい。

 図5は圧融着法で鋼板片にボスが2本融着 た一体化物を作るための治具の例である。 ットプレート等で加熱した鋼材片13を断熱材 12の上に作った凹部に置き、予め上型19にセ トしておいた樹脂成形品22(図3で示したボス らランナー部を切断したもの)もろとも上型 19を下型11に押し付ける。そしてほぼ同時に2 コック28を開き、前もって駆動していた真 ポンプにラインを繋いで系全体を数mmHgの減 下とし、数秒おいて4方コック27を90度廻し 系全体を常圧に戻す。この一連の操作で、 板片に触れて溶融した樹脂成形物の底部は その溶融物が鋼材上のミクロンオーダーの 部内に侵入し易くなる。

 やがて放冷固化するので上金型19を下金 11から引き上げて外し、付着している一体化 物30を圧融着治具から離型する。得られた一 化物は、できれば1時間ほどアニールするの が好ましい。樹脂組成物の融点によってアニ ール温度は異なるが、PBTやポリアミド類では 150℃程度、PPS等では170℃程度が好ましい。一 方、図6は、圧融着物の接合強度が計り得る 合体を作成するための鋼板片形状を示した のであり、先ほどの図5で示す圧融着試験に 用する。多数のビス穴を開けておき、引っ り試験に備えている。よって一連の実験で 7に示した鋼材と樹脂の一体化物30が得られ 。

(c)金属同士の接着剤接合
 図11は、本発明による鋼板片を含む金属同 の接着剤接合物の例を示したものであり、 施例で使ったものでもある。金属片は45mm×18 mmであり、接着面は18mm×約3mmの0.5~0.6cm 2 の面積である。引っ張り破断してのせん断破 断力を測定することに使用する。一方、金属 片の片方をアルミ鍍金鋼板片でなく他種の金 属片に代えて接着剤接合できることは当然で ある。多種金属片が、本発明と同じ目的の加 工をしたもの、すなわちNAT理論に基づいて処 理されたアルミニウム合金、マグネシウム合 金、銅合金、チタン合金、ステンレス鋼、一 般鋼材等であれば、特に強烈な接合力を観察 できる。

(d)金属片とFRPの接合
 図9、図10に本発明者らが使用した鋼板片とC FRPの接着強度測定用の一体化物の製作治具と その使用の状況、及び得られる一体化物の形 状を示した。図9の42、45、45は鉄製の金型状 で組み合わせ型になっている。57はポリエチ レンフィルムを長方形に切ったもので2枚を ね合わせて離型用フィルムとしている。51は 1mm厚の鋼板片、53、56はポリテトラフルオロ チレン樹脂(以下、「PTFE」という。)製のス ーサー、52は炭素繊維織物とここへ染み込ま せたエポキシ系接着剤、要するにCFRPプリプ グである。

 54は離型用のポリエチレンフィルム片、55 はPTFEのブロックであり、加熱硬化時には図9 ように組み込んだもの全体を熱風乾燥機内 設置し、55の上に各数百gの錘58を置いて放 する。硬化し放冷した後、錘58、ブロック55 53、フィルム54、及び台座48を外して金型42 床に押し付けると座部45が金型42から離れ、 型用フィルム57と共に一体化物(図10)が取り せる。フィルムは必要に応じて剥がせばよ  

〔C〕実施例
 以下、本発明の実施例を詳記する。
〔観察・測定及びそれに使用する装置〕
この実施例において、また得られた鋼材と樹 脂の複合体についての観察・測定、それに使 用した装置は次のようである。

(a)PPSの溶融粘度測定
 直径1mm、長さ2mmのダイスを装着した高化式 ローテスター「CFT-500(日本国京都府、株式 社島津製作所製)」にて、測定温度315℃、荷 98N(10kgf)の条件下で溶融粘度の測定を行う。
(b)X線光電子分析装置(XPS観察)
 表面観察方法の一つに、試料にX線を照射す ることによって試料から放出してくる光電子 のエネルギーを分析し、 元素の定性分析等 行う光電子分析装置(XPS観察)により行った この光電子分析装置は、数μm径の表面を深 数nmまでの範囲で観察する形式の「AXIS-Nova( 品名)」(英国、クレイトス アナリティカル /日本国京都府、株式会社島津製作所製)を 用した。

(c)電子顕微鏡観察
 主に基材表面の観察のために電子顕微鏡を いた。この電子顕微鏡は、走査型(SEM)の電 顕微鏡「S-4800(製品名)」(日本国東京都、株 会社日立製作所製)及び「JSM-6700F(製品名)」( 本国東京都、日本電子株式会社製)を使用し 、1~2KVにて観察した。
(d)分析電顕によるEDX観察
 EDX機能付きの電顕(分析電顕)である「HF-3000S (製品名)」(日本国東京都、株式会社日立製作 所製)を使用した。

(e)走査型プローブ顕微鏡観察
 さらに、主に基材表面の観察のために上記 微鏡を用いた。この顕微鏡は、先端を尖ら た探針を用いて、物質の表面をなぞるよう 動かして表面状態を 拡大観察する走査型 ローブ顕微鏡である。この走査型プローブ 微鏡として、「SPM-9600(製品名)」(日本国京都 府、株式会社島津製作所製)」を使用した。
(f)複合体の接合強度の測定
 引張り応力は、引張り試験機で複合体7を引 っ張ってせん断力を負荷して、破断するとき の破断力をせん断応力とした。この引張り試 験機は、「モデル1323(製品名)」(日本国東京 、アイコーエンジニヤリング株式会社製)」 使用し、引っ張り速度10mm/分でせん断力を 定した。

〔調整例1〕PPS組成物の調製例
 攪拌機を装備する50リットルオートクレー に、Na 2 S・2.9H 2 Oを6,214g及びN-メチル-2-ピロリドンを17,000g仕 み、窒素気流下攪拌しながら徐々に205℃ま 昇温して、1,355gの水を留去した。この系を14 0℃まで冷却した後、p-ジクロロベンゼン7,160g とN-メチル-2-ピロリドン5,000gを添加し、窒素 流下に系を封入した。

 この系を2時間かけて225℃に昇温し、225℃ にて2時間重合させた後、30分かけて250℃に昇 温し、さらに250℃にて3時間重合を行った。 合終了後、室温まで冷却しポリマーを遠心 離機により分離した。該固形分を温水でポ マーを繰り返し洗浄し100℃で一昼夜乾燥す ことにより、溶融粘度が280ポイズのPPS(以下 PPS(1)と記す。)を得た。このPPS(1)を、さらに 窒素雰囲気下250℃で3時間硬化を行いPPS(以下 PPS(2)と記す。)を得た。得られたPPS(2)の溶融 粘度は、400ポイズであった。

 得られたPPS(2)6.0kgとエチレン-アクリル酸 ステル-無水マレイン酸三元共重合体1.5kg「 ンダインTX8030(フランス国、アルケマ社製) 、エポキシ樹脂0.5kg「エピコート1004(日本国 京都、ジャパンエポキシレジン株式会社製) 」を予めタンブラーにて均一に混合した。そ の後、二軸押出機「TEM-35B(日本国静岡県沼津 、東芝機械株式会社製)」にて、平均繊維径 9μm、繊維長3mmのガラス繊維「RES03-TP91(日本国 東京都、日本板硝子株式会社製)」をサイド ィーダーから添加量が20質量%となるように 給しながら、シリンダー温度300℃で溶融混 してペレット化したPPS組成物(1)を得た。得 れたPPS組成物(1)を175℃で5時間乾燥させた。

〔調整例2〕PPS組成物の調製
 調整例1で得られたPPS(1)を、酸素雰囲気下250 ℃で3時間硬化を行いPPS(以下、PPS(3)と記す。) を得た。得られたPPS(3)の溶融粘度は、1800ポ ズであった。

 得られたPPS(3)5.98kgとポリエチレン0.02kg「 ポロンハード8300A(日本国東京都、東ソー株 会社製)」を予めタンブラーにて均一に混合 した。その後、二軸押出機「TEM-35B」にて、 均繊維径9μm、繊維長3mmのガラス繊維「RES03-T P91」をサイドフィーダーから添加量が40質量% となるように供給しながら、シリンダー温度 300℃で溶融混練してペレット化したPPS組成物 (2)を得た。得られたPPS組成物(2)を175℃で5時 乾燥させた。

〔調整例3〕PPS組成物の調製
 調整例1で得られたPPS(2)7.2kgとグリシジルメ クリレート-エチレン共重合体0.8kg「ボンド ァーストE(日本国東京都、住友化学株式会 製)」を予めタンブラーにて均一に混合した その後、二軸押出機「TEM-35B」にて、平均繊 維径9μm、繊維長3mmのガラス繊維「RES03-TP91」 サイドフィーダーから添加量が20質量%とな ように供給しながら、シリンダー温度300℃ 溶融混練してペレット化したPPS組成物(3)を た。得られたPPS組成物(3)を175℃で5時間乾燥 させた。

〔調整例4〕PPS組成物の調製
 調整例1で得られたPPS(2)4.0kgとエチレン-アク リル酸エステル-無水マレイン酸三元共重合 4.0kg「ボンダインTX8030(フランス国、アルケ 社製)」を予めタンブラーにて均一に混合し 。その後、二軸押出機「TEM-35B」にて、平均 繊維径9μm、繊維長3mmのガラス繊維「RES03-TP91 をサイドフィーダーから添加量が20質量%と るように供給しながら、シリンダー温度300 で溶融混練してペレット化したPPS組成物(4) 得た。得られたPPS組成物(4)を175℃で5時間乾 燥させた。

〔調整例5〕PBT組成物の調整
 PBT樹脂「トレコン1100S(日本国東京都、東レ 式会社製)」4.5kgとPET樹脂「TR-4550BH(日本国東 京都、帝人化成株式会社製)」0.5kgをタンブラ ーにて均一に混合した。その後、二軸押出機 「TEM-35B」にて、平均繊維径9μm、繊維長3mmの ラス繊維「RES03-TP91」をサイドフィーダーか ら添加量が30質量%となるように供給しながら 、シリンダー温度270℃で溶融混練し、ペレッ ト化したPBT系樹脂組成物を得た。140℃で3時 乾燥しPBT組成物(1)とした。

〔調整例6〕PBT組成物の調製
 PBT樹脂「トレコン1401X31(日本国東京都、東 株式会社製)」6.0kgとエチレン-アクリル酸エ テル-無水マレイン酸三元共重合体0.7kg「ボ ダインTX8030(フランス国、アルケマ社製)」 エポキシ樹脂「エピコート1004(日本国東京都 、ジャパンエポキシレジン株式会社製)」0.15k gを予めタンブラーにて均一に混合した。そ 後、二軸押出機「TEM-35B(日本国静岡県沼津市 、東芝機械株式会社製)」にて、平均繊維径9 m、繊維長3mmのガラス繊維「RES03-TP91(日本国 京都、日本板硝子株式会社製)」をサイドフ ーダーから添加量が30質量%となるように供 しながら、シリンダー温度270℃で溶融混練 てペレット化したPBT組成物(2)を得た。得ら たPBT組成物(2)を150℃で5時間乾燥させた。

〔調整例7〕PBT組成物の調整
 PBT樹脂「トレコン1401X31(日本国東京都、東 株式会社製)」6.0kgとPET樹脂「TR-4550BH(日本国 京都、帝人化成株式会社製)」0.5kg、エチレ -アクリル酸エステル-無水マレイン酸三元 重合体0.5kg「ボンダインTX8030(フランス国、 ルケマ社製)」、エポキシ樹脂「エピコート1 004(日本国東京都、ジャパンエポキシレジン 式会社製)」0.1kgを予めタンブラーにて均一 混合した。その後、二軸押出機「TEM-35B(日本 国静岡県沼津市、東芝機械株式会社製)」に 、平均繊維径9μm、繊維長3mmのガラス繊維「R ES03-TP91(日本国東京都、日本板硝子株式会社 )」をサイドフィーダーから添加量が30質量% なるように供給しながら、シリンダー温度2 70℃で溶融混練してペレット化したPBT組成物( 3)を得た。得られたPBT組成物(3)を150℃で5時間 乾燥させた。

〔実験例1〕アルミ鍍金鋼板片の作製
 0.6mm厚のクロメート処理付きアルミ鍍金鋼 「MSA120(日本国東京都、日新製鋼株式会社製) 」を18mm×45mmの長方形片に切断し、金属板1で る鋼材片とした。槽にアルミ用脱脂剤「NE-6 (日本国東京都、メルテックス株式会社製)」7 .5%を含む水溶液を用意して65℃とし、この水 液を脱脂用水溶液とした。また、別の槽に1 %濃度の塩酸水溶液を40℃として用意し、予備 酸洗浄用の水溶液とした。また、別の槽に苛 性ソーダ1.5%含む水溶液を40℃とし、これをエ ッチング液とした。さらに、別の槽に、中和 用として40℃とした3%濃度の硝酸水溶液を用 した。さらに別の槽に微細エッチング用と て60℃とした3.5%濃度の一水和ヒドラジン水 液を用意した。

 鋼板片を先ず脱脂槽で5分浸漬し水洗した 。次いで予備酸洗浄槽に1分浸漬して水洗し 。次いでエッチング槽に0.75分浸漬して水洗 た。次いで中和槽に1分浸漬して水洗した。 次いで微細エッチング槽に1分浸漬して水洗 た。なお水洗は全てイオン交換水を使用し 。これを67℃で15分乾燥し処理済みの鋼片と た。

 2日後、このうち1個を電子顕微鏡と走査 プローブ顕微鏡による観察を行った。1万倍 10万倍の電子顕微鏡観察結果を図13、14に示 。前者からは、平原上に直径0.3μm程度以上 石ころ状突起物や短径0.3μm以上で長径数μm 上になる複雑形状の立体的突起物が散在し 見え、後者はこの平原の写真であるが、20~5 0nm径の浅い凹部が隣り合って覆っている部分 が平原の約30%を占めている様子が見てとれる 。また、走査型プローブ顕微鏡による異なる 方位の20μmを5箇所測定した結果、表面は粗面 でありその平均凹凸周期(輪郭曲線要素の平 長さ)RSmは4~7μm、最大高さ粗さRzは1~3μmであ た。

〔実験例2〕射出接合
 実験例1にて作成したアルミ鍍金鋼板片を取 り出し、油分等が付着せぬよう穴のある方を 手袋で摘まみ射出成形金型にインサートした 。金型を閉じ調製例1により得られたPPS組成 (1)を射出温度310℃で射出した。金型温度は14 0℃であり、図2に示す一体化した複合体20個 得た。樹脂部の大きさは10mm×45mm×5mmであり 接合面6は10mm×5mmの0.5cm 2 であった。成形当日に170℃の熱風乾燥機に1 間投入してアニールし、さらにその1日後に っ張り試験したところ、5個の平均のせん断 破断力は23.5MPaであった。

〔実験例3〕射出接合の比較例
 調製例1により得られたPPS組成物(1)の代わり に、調製例2により得られたPPS組成物(2)を用 た以外は、実験例2と全く同様にして実験例1 の方法で鋼板片を作製し、射出成形して複合 体を得た。得られた複合体を170℃で1時間ア ールした。要するに、ポリオレフィン系ポ マーをごく僅かしか含まないPPSとフィラー みのPPS系樹脂組成物を使用した実験である 1日後、これら5個を引っ張り試験したところ 、平均のせん断破断力は9.2MPaであった。実施 例1に大きく及ばず、使用した樹脂材料の差 が結果として出た。

〔実験例4〕射出接合
 調製例1により得られたPPS組成物(1)の代わり に、調製例3により得られたPPS組成物(3)を用 た以外は、実験例1によって製作した鋼板片 使い実験例2と全く同様の方法にして複合体 を得た。成形した日に170℃×1時間のアニール をし、2日後にこの複合体を引っ張り試験機 せん断破断力を測定したところ、5個の平均 21.1MPaであった。 

〔実験例5〕射出接合の比較例
 調整例1により得られたPPS組成物(1)の代わり に、調製例4により得られたPPS組成物(4)を用 た以外は、実験例1によって製作した鋼板片 使い実験例2と全く同様の方法にして複合体 を得た。要するに、ポリオレフィン系ポリマ ーをごく大量に含むPPS系樹脂組成物を使用し た実験である。しかしながら、成形時に多量 のガスが発生し、成形を中断した。この実験 では樹脂組成物の主成分がPPSではなかった。

〔実験例6〕射出接合
 調製例5により得られたPBT組成物(1)と、実験 例1によって製作した鋼板片を使った。すな ち、鋼板片を射出成形金型にインサートし 。金型を閉じ調製例5により得られたPBT組成 (1)を射出温度280℃で射出した。金型温度は1 40℃であり、図2に示す一体化した複合体5個 得た。樹脂部の大きさは10mm×45mm×5mmであり 接合面6は10mm×5mmの0.5cm 2 であった。成形当日に150℃の熱風乾燥機に1 間投入してアニールし、さらにその1日後に っ張り試験したが、5個の平均のせん断破断 力は23.6MPaであった。

〔実験例7〕射出接合の比較例
 調製例5により得られたPBT組成物(1)の代わり に、ガラス繊維30%を含む市販PBT樹脂「トレコ ン1101-G30(日本国東京都、東レ株式会社製)」 用いた以外は、実験例5と全く同様にして射 接合して複合体を得た。得られた複合体を1 50℃で1時間アニールした。要するに、射出接 合を助力するポリマーを含まないPBTとフィラ ーのみのPBT系樹脂組成物を使用した実験であ る。1日後、これら5個を引っ張り試験したと ろ、平均のせん断破断力は9.0MPaであった。 験例6に大きく及ばず、使用した樹脂材料の 差異が結果として出た。

〔実験例8〕射出接合
 調製例5により得られたPBT組成物(1)の代わり に、調製例6により得られたPBT組成物(2)を用 た以外は、実験例1によって製作した鋼板片 使い実験例5と全く同様の方法にして複合体 を得た。成形した日に150℃×1時間のアニール をし、その2日後にこの複合体を引っ張り試 機でせん断破断力を測定したところ、5個の 均で21.7MPaであった。 

〔実験例9〕射出接合
 調製例5により得られたPBT組成物(1)の代わり に、調製例7により得られたPBT組成物(3)を用 た以外は、実験例1によって製作した鋼板片 使い実験例6と全く同様の方法にして複合体 を得た。成形した日に150℃×1時間のアニール をし、その2日後にこの複合体を引っ張り試 機でせん断破断力を測定したところ、5個の 均で19.8MPaであった。

〔実験例10〕射出成形品の製作
 図3、図4の形状の射出成形品を、(a)ガラス 維30%を含むPBT樹脂「トレコン1101G30(日本国東 京都、東レ株式会社製)」、(b)調整例7によっ 得られたPBT組成物(3)、(c)ガラス繊維30%を含 PPS樹脂「サスティールGS40(日本国東京都、 ソー株式会社製)」、(d)調整例1によって得ら れたPPS組成物(1)、(e)ガラス繊維30%を含む6ナ ロン樹脂「B3EG7(ドイツ国、ベーアーエスエ 社製)」、(f)ガラス繊維50%を含む芳香族ポリ ミド樹脂「アミランCM3510G50(日本国東京都、 東レ株式会社製)」、(g)液晶ポリマー「ベク ラA460(日本国東京都、ポリプラスチックス株 式会社製)」を使用して作製した。得られた 形品のランナー部(ゲート部から本体に繋が 突き出し部分)を根元からニッパーでカット し、次の実験に備えた。

〔実験例11〕圧融着実験
 図5の治具システムの上金型19の断熱材部分2 0に実験例10で作成した射出成形品22をはめこ だ。一方、実験例1で得たアルミ鍍金鋼板を ホットプレートで加熱しピンセットで挟み掴 んで図5に示した下金型11の断熱材12に凹部に ットした。真空ポンプを駆動し、すぐに上 と下型に押し付け、コック28を開いた。数 ~5秒おいたら内部は数mmHg程度になり、かつ 脂成形品22の底部も溶融するので4方コック27 を90度回転して系内を常圧に戻す。

 金属片の大きさ(熱容量)や加熱温度によ が十秒程度の間、樹脂成形品底部が溶融状 を保つように調整するのが技術的な鍵であ 。これら一連の操作で、溶融樹脂は鋼板表 のミクロンオーダー凹部に染み込み、その の結晶化固化で強い接合を生む。結局、図7 様な樹脂金属一体化品が得られるので、こ を150℃とした熱風乾燥機内に1時間入れてア ニールし、放冷した。その1週間後、図8のよ な仕組みで鋼板片から樹脂成形品を引っ張 破断してその接合力を測定した。その結果 表1に示した。50kgf以下で破断したものを× し、破断しなかったものを○とした。

〔実験例12〕圧融着実験:比較例
 図6に示す、0.6mm厚のアルミ鍍金鋼板片を用 たが、実験例1と異なって、脱脂だけ行った 物を使用して実験例10と同様な各種樹脂成形 による圧融着試験を行った。その結果を表1 に「比較品」として示した。まあ当然なのだ が、全く付着しなかった。

〔実験例13〕接着
 実験例1による鋼板片にエポキシ系接着剤「 EP106(日本国東京都、セメダイン株式会社製) を端部に塗り、デシケータに入れた。真空 ンプで減圧して内部圧力を5mmHgとした。この 減圧状態に2分おき、常圧に戻した。再度、 圧/常圧戻しの操作を計3回行い、デシケータ から鋼板片を取り出した。接着剤塗布済みの 前記鋼板片2個を接着した形状、すなわち、 11に示した形状にしてクリップで固定した。 接着面積は0.6~0.7cm 2 になるようにした。この固定品を熱風乾燥機 に入れて加熱した。すなわち、135℃まで昇温 して40分おき、その後さらに昇温して165℃と 、この温度に30分保った。放冷し、1週間後 引っ張り破断してそのせん断破断力を測定 たところ450kgf/cm 2 (44MPa)あり、非常に強かった。

〔実験例14〕CFRPプリプレグの作成
 プリプレグを作成するために表2からなる熱 硬化性樹脂を作った。

 この表2の成分からなる熱硬化性樹脂を常温 で混合し、ロールでシート状化した。得られ た熱樹硬化性樹脂フィルムをプリプレグマシ ンにセットし、強化繊維として一方向に引き 揃えた炭素繊維「T-300(日本国東京都、東レ株 式会社製)」の両面から常法により加圧下で 着し、樹脂含有率38%に調整したプリプレグ 得た。繊維目付は190g/m であった。

〔実験例15〕複合体の作製
 0.6mm厚アルミ鍍金鋼板を切断して45mm×15mmの 方形片とした。実験例13と全く同様にして 処理した物にエポキシ系接着剤を塗布し、 らにデシケータに入れて減圧/常圧戻しの操 を3回加えた。一方、図9に示す焼成金型40の 使用方法は前述した通りである。金型41内に 0.05mmポリエチフィルムの離型用フィルム57 敷き、上記した鋼板片51、PTFEスペーサー56を 置いた。別途切断しておいた炭素繊維「T-300( 日本国東京都、東レ株式会社製)からの正織 布を積層して敷いて、注射器から出すエポ シ系接着剤「EP-106」を塗りながら3枚重ね、 いで鋼板片51の上部にポリエチフィルム製 離型用フィルム54を置いた。使用した液状一 液型ジシアンジアミド硬化型エポキシ系接着 剤「EP-106」は約1ccであった。

 PTFE製のスペーサー53とブロック55を載せ 熱風乾燥機に入れた。そこでさらにPFTEスペ サー、ブロック53、55の上に、0.5kgの鉄の錘5 8を乗せて乾燥機に通電し135℃まで昇温した 135℃で40分加熱し、さらに5分かけて165℃に 温し、165℃で60分保持し、通電を止めて扉を 閉めたまま放冷した。翌日に乾燥機から出し 焼成金型1から成形物を離型しポリエチフィ ムを剥ぎ取って図10に示す複合体50を得た。 じ操作を繰り返し8個の鋼板片とCFRPの複合 である一体化物50を得た。

 接合後2日目に3個を引っ張り破断試験し 。CFRP部分は紙やすりをかけた1mm厚のSUS304ス ンレス鋼片2枚で挟み、これをチャック板で 挟んで固定する方法を取った。4組の平均で ん断破断力は32MPaあり強かった。ただし、接 合面積は図2における重なり部分の面積とし 計算した。

〔実験例16〕複合体の作成
 0.6mm厚アルミ鍍金鋼板を切断して45mm×15mmの 方形片とした。実験例13と全く同様にして 処理した物にエポキシ系接着剤を塗布し、 らにデシケータに入れて減圧/常圧戻しの操 を3回加えた。一方、図9に示す焼成金型40の 使用方法は前述したとおりである。金型41内 、0.05mmポリエチフィルムの離型用フィルム5 7を敷き、上記した黄銅合金板片51、PTFEスペ サー56を置いた。別途切断しておいた実験例 14によるプリプレグを3枚重ね、次いで鋼板片 51の上部にポリエチフィルム製の離型用フィ ム54を置いた。

 PTFE製のスペーサー53とブロック55を乗せ 熱風乾燥機に入れた。そこで更にPFTEスペー ー、ブロック53、55の上に、0.5kgの鉄の錘58 のせて乾燥機に通電し135℃まで昇温した。12 0℃で1時間加熱し、さらに10分かけて165℃に 温し、165℃で2時間保持し、通電を止めて扉 閉めたまま放冷した。翌日に乾燥機から出 焼成金型1から成形物を離型しポリエチフィ ルムを剥ぎ取って図10に示す複合体50を得た 同じ操作を繰り返し8個の鋼板片とCFRPの複合 体である一体化物50を得た。

 接合後2日目に3個を引っ張り破断試験し 。CFRP部分は紙やすりをかけた1mm厚のSUS304ス ンレス鋼片2枚で挟み、これをチャック板で 挟んで固定する方法を取った。4組の平均で ん断破断力は36MPaあり強かった。ただし、接 合面積は図2におけるl×mとして計算した。

〔実験例17〕接着
 GFRP用の市販のビニルエステル型不飽和ポリ エステル「リポキシR802(日本国東京都、昭和 分子株式会社製)」10gとt-ブチルパーオキシ ンゾエート「パーブチルZ(日本国東京都、 油株式会社製)」0.1gをよく混ぜて接着剤とし た。実験例1による鋼板片にこの接着剤を端 に塗り、デシケータに入れた。真空ポンプ 減圧して内部圧力を50mmHg以下とした。この 圧状態になったら数秒置いて常圧に戻した 再度、減圧/常圧戻しの前記操作を計3回行い 、デシケータから鋼板片を取り出した。

 接着剤塗布済みの前記鋼板片2個を接着した 形状、すなわち図11に示した形状、にしてク ップで固定し3組作った。接着面積は0.6~0.7cm 2になるようにした。この固定品を熱風乾燥 に入れて加熱した。すなわち、90℃まで昇温 して1時間置き、その後さらに昇温して120℃ し、この温度に1時間保った。放冷し、その1 週間後に引っ張り破断してそのせん断破断力 を測定したところ300kgf/cm 2 (30MPa)あり、非常に強かった。

〔実験例18〕塗装
 1液性熱硬化型接着剤「EP106(日本国東京都、 セメダイン株式会社製)」10gとメチルエチル トン10gを混合して完全に溶解し自社製エポ シ系コート材とした。前記の鋼板片5枚を段 ール紙の上に置き前記自社製コート材を筆 りした。しばらく風乾してから段ボール紙 共135℃とした熱風乾燥機に30分入れ、温度 150℃に昇温し、この温度に20分おいて熱風乾 燥機から出した。次いで段ボール紙の上で鋼 材片を裏返し、この面にも自社製コート材を 筆塗りした。しばらく風乾してから段ボール 紙諸共135℃とした熱風乾燥機に30分入れ、温 を165℃に昇温し、この温度に30分おいて熱 乾燥機から出した。後から塗布焼付けした を表面とした。

〔実験例19〕塗装:比較例
 25mm×100mmに切断し端部に3mmφの穴を開けたア ルミ鍍金鋼板「MSA120(日本国東京都、日新製 株式会社製)」を5枚用意し、実験例1で使用 た脱脂槽にだけ浸漬し、次いで水洗して67℃ ×15分乾燥させた。次いで、実験例18と同様に して自社製のエポキシ系コート材を同様に表 裏塗装した。実験例18と同様にして表と裏を めた。

〔実験例20〕耐食性試験
 実験例18~19で作成した塗装済みアルミ鍍金 板を使用して耐食性の一端を測定した。す わち、各実験例による塗装鋼板5枚ずつを取 、それらの表側に縦方向に1本、横方向に1 の鋼部に達するキズをカッターナイフで加 た。要するにクロスカットをした。一方、 ラスチックバケツに濃度5%の食塩水をイオン 交換水で作って5リットル入れ、この内部に 片が重ならないように鋼材片の穴に塩ビ銅 を通してぶら下げた。ただし、全て完全に 没するようにした。このバケツにポリエチ ン袋を軽く被せ、温風乾燥機に入れて67℃で 10日間置いた。ただし、土日の2日間を除き毎 日ポリ袋を外して僅かに揮発した水量を補給 した。バケツから取り出し純水に15分浸漬し 単に洗い流しながしてから67℃とした温風 燥機に30分入れて乾燥させた。

 表側に入れたカッターナイフの切り線か 塗装がどの程度の幅だけ脹れているか、ま 、十字の部分はどのようになっているかを 察した。その後に爪で白錆をこそげ取り錆 根の大きさや広がりを観察した。その結果 表3に示したが、わずかながら塗膜の接着力 が本発明で優れていることが分かる。

 本発明を種々の分野に適用することによ 、接合性の向上、効率化、適用範囲の拡大 が図られ、建材や屋外用住宅機器の製造で しい設計方法が可能になる。すなわち、複 な形状をした樹脂成形部と比較的単純な形 のアルミ鍍金鋼板部分を接着剤なしの自動 効率的な方法(射出接合法、圧融着法)で製 することができる。また、アルミ鍍金鋼板 FRPを不飽和ポリエステル系接着剤を介し一 化でき、屋外向けの商品、すなわち、建材 住宅設備機器の部品や構造材の製造で役立 ものと思われる。さらに、エポキシ系コー 材の塗布でアルミ鍍金鋼板の長期の耐食性 さらに向上させることができ、プレコート 板の性能改善に有用である。

 安価な鋼板材の表面を特殊な微細凹凸形 にすることで、結晶性熱可塑性樹脂、各種 着剤、塗料などコート材との接合は万全と り、その結果、接着剤接合の被着材としてC FRP、GFRP等のFRPとも強烈な接着が可能となっ 。本発明は全くの基礎技術発明であり、応 は列記できぬほど広く、前記した以外の多 の分野で各種部品の性能向上、その製造生 性に寄与することができる。