Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
COMPOSITION FOR BATTERY
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/108360
Kind Code:
A1
Abstract:
[PROBLEMS] To provide a composition for a battery, containing an electroconductive assistant, which can realize improved battery performance of a battery produced using the composition by dispersion stabilization without inhibiting electroconductive properties of the electroconductive assistant. [MEANS FOR SOLVING PROBLEMS] A composition for a battery, comprising at least one dispersant selected from acidic functional group-containing organic coloring matter derivatives or acidic functional group-containing triazine derivatives, a carbon material as an electroconductive assistant, optionally a solvent, a binder, and a positive electrode active material or a negative electrode active material. There is also provided a lithium rechargeable battery comprising a positive electrode comprising a positive electrode mixture layer provided on a current collector, a negative electrode comprising a negative electrode mixture layer provided on a current collector, a lithium-containing electrolyte, and an optional electrode substrate layer. The positive electrode mixture layer, the negative electrode mixture layer, or the electrode substrate layer have been formed using the composition for a battery.

Inventors:
HIROTA NAOHISA (JP)
ITABASHI TADASHI (JP)
MAKI SHINICHIRO (JP)
NAKASONE DAISUKE (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/053833
Publication Date:
September 12, 2008
Filing Date:
March 04, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
TOYO INK MFG CO (JP)
HIROTA NAOHISA (JP)
ITABASHI TADASHI (JP)
MAKI SHINICHIRO (JP)
NAKASONE DAISUKE (JP)
International Classes:
H01M4/62; H01M4/13; H01M4/139; H01M4/66
Foreign References:
JP2000113891A2000-04-21
JPS63236258A1988-10-03
JP2006516795A2006-07-06
JP2000123823A2000-04-28
JP2002298853A2002-10-11
JPS63236258A1988-10-03
JPH08190912A1996-07-23
JP2003157846A2003-05-30
JP2006516795A2006-07-06
JP2005063955A2005-03-10
JPH0660877A1994-03-04
JP2002025527A2002-01-25
JPS3928884B1
JPS4511026B1
JPS4529755B1
JPS645070A1989-01-10
JP2004217842A2004-08-05
Other References:
See also references of EP 2068385A4
"Solvent Handbook", 1990, KODANSHA SCIENTIFIC, LTD.
V GOODMAN; OHTAKI; OKADA TRANS.: "Donors and Acceptors", 1983, ACADEMIC PUBLICATION CENTER, LTD.
Attorney, Agent or Firm:
KOBAYASHI, Hiroshi et al. (IKUBO & KATAYAMA Fukuoka Bldg. 9th Fl.,8-7, Yaesu 2-chom, Chuo-ku Tokyo 28, JP)
Download PDF:
Claims:
 酸性官能基を有する有機色素誘導体、または酸性官能基を有するトリアジン誘導体から選ばれる1種以上の分散剤と、導電助剤としての炭素材料とを含むことを特徴とする電池用組成物。
 酸性官能基が、スルホン酸基(-SO 3 H)、カルボキシル基(-COOH)、またはリン酸基(-P(O)(-OH) 2 )である請求項1記載の電池用組成物。
 酸性官能基が、スルホン酸アンモニウム塩、カルボン酸アンモニウム塩、またはリン酸アンモニウム塩である請求項1記載の電池用組成物。
 酸性官能基を有する有機色素誘導体、または酸性官能基を有するトリアジン誘導体から選ばれる1種以上の分散剤が非水溶性である請求項1ないし3いずれか記載の電池用組成物。
 更に、溶剤を含むことを特徴とする請求項1ないし4いずれか記載の電池用組成物。
 導電助剤としての炭素材料の分散粒径(D 50 )が2μm以下であること特徴とする請求項1ないし5いずれか記載の電池用組成物。
 更に、バインダー成分を含むことを特徴とする請求項1ないし6いずれか記載の電池用組成物。
 バインダー成分が、分子内にフッ素原子を含む高分子化合物であることを特徴とする請求項7記載の電池用組成物。
 溶剤の比誘電率が15以上、200以下である請求項5ないし8いずれか記載の電池用組成物。
 溶剤のドナー数が15Kcal/mol以上、60Kcal/mol以下であることを特徴とする請求項5ないし9いずれか記載の電池用組成物。
 溶剤が非プロトン性である請求項5ないし10いずれか記載の電池用組成物。
 更に、正極活物質または負極活物質を含むことを特徴とする請求項1ないし11いずれか記載の電池用組成物。
 酸性官能基を有する有機色素誘導体、または酸性官能基を有するトリアジン誘導体から選ばれる1種以上の分散剤の存在下、導電助剤としての炭素材料を溶剤に分散することを特徴とする電池用組成物の製造方法。
 酸性官能基を有する有機色素誘導体、または酸性官能基を有するトリアジン誘導体から選ばれる1種以上の分散剤の存在下、導電助剤としての炭素材料を溶剤に分散してなる分散体に、正極活物質、負極活物質、またはバインダー成分を混合する電池用組成物の製造方法。
 集電体上に正極合材層を有する正極と、集電体上に負極合材層を有する負極と、リチウムを含む電解質とを具備するリチウム二次電池であって、前記正極合材層または前記負極合材層が、請求項12記載の電池用組成物を使用して形成されていることを特徴とするリチウム二次電池。
 集電体上に正極合材層を有する正極と、集電体上に負極合材層を有する負極と、リチウムを含む電解質とを具備するリチウム二次電池であって、前記正極合材層と前記集電体との間、または前記負極合材層と前記集電体との間に、請求項1ないし11いずれか記載の電池用組成物を使用して電極下地層が形成されていることを特徴とするリチウム二次電池。
Description:
電池用組成物

 本発明は、電池を構成する電極を作製す ために使用する組成物およびその製造方法 関する。特に、本発明の電極用組成物は、 チウム二次電池の作製に好適に用いられる また、本発明は、大電流での放電特性ある は充電特性、サイクル特性、および電極合 の導電性に優れ、電極集電体と電極合材と 接触抵抗が小さい電極を具備するリチウム 次電池に関する。

 近年、デジタルカメラや携帯電話のよう 小型携帯型電子機器が広く用いられるよう なってきた。これらの電子機器には、容積 最小限にし、かつ重量を軽くすることが常 求められてきており、搭載される電池にお ても、小型、軽量かつ大容量の電池の実現 求められている。また、自動車搭載用など 大型二次電池においても、従来の鉛蓄電池 代えて、大型の非水電解質二次電池の実現 望まれている。

 そのような要求に応えるため、リチウム 次電池の開発が活発に行われている。リチ ム二次電池の電極としては、リチウムイオ を含む正極活物質と導電助剤と有機バイン ーなどからなる電極合材を金属箔の集電体 表面に固着させた正極、及び、リチウムイ ンの脱挿入可能な負極活物質と導電助剤と 機バインダーなどからなる電極合材を金属 の集電体の表面に固着させた負極が使用さ ている。

 一般的に、正極活物質としては、コバル 酸リチウム、マンガン酸リチウム等のリチ ム遷移金属複合酸化物が用いられているが これらは電子伝導性が低く、単独での使用 は十分な電池性能が得られない。そこで、 ーボンブラック(例えば、アセチレンブラッ ク)やグラファイト(黒鉛)等の炭素材料を導電 助剤として添加することで導電性を改善し、 電極の内部抵抗を低減することが試みられて いる。

 一方、負極活物質としては、通常黒鉛が いられている。黒鉛はそれ自身が導電性を しているものの、黒鉛とともに導電助剤と てアセチレンブラック等のカーボンブラッ を添加すると充放電特性が改善されること 知られている。これは、一般に用いられる 鉛粒子は大きいために、黒鉛単独で使用す と電極層に充填された時の隙間が多くなっ しまうが、導電助剤としてカーボンブラッ を併用した場合は、微細なカーボンブラッ 粒子が黒鉛粒子間の隙間を埋めることで接 面積が増え、抵抗が下がるためではないか 思われる。しかしながら、この場合も導電 剤の分散が不十分であると、導電効果が低 する。

 この様に、とりわけ電極の内部抵抗を低減 ることは、大電流での放電を可能とするこ や、充放電の効率を向上させる上で非常に 要な要素の一つとなっている。
 しかしながら、導電性に優れた炭素材料(導 電助剤)は、ストラクチャーや比表面積が大 いため凝集力が強く、リチウム二次電池の 極合材形成用スラリー中に均一混合・分散 ることが困難である。そして、導電助剤で る炭素材料の分散性や粒度の制御が不十分 場合、均一な導電ネットワークが形成さな ために電極の内部抵抗の低減が図れず、そ 結果、活物質であるリチウム遷移金属複合 化物やグラファイトなどの性能を十分に引 出せないという問題が生じている。また、 極合材中の導電助剤の分散が不十分である 、部分的凝集に起因して電極板上に抵抗分 が生じ、電池として使用した際に電流が集 し、部分的な発熱および劣化が促進される の不具合が生ずることがある。

 また、金属箔などの電極集電体上に電極 材層を形成する場合、多数回充放電を繰り すと、集電体と電極合材層の界面や、電極 材内部における活物質と導電助剤界面の密 性が悪化し、電池性能が低下する問題があ 。これは、充放電におけるリチウムイオン ドープ、脱ドープにより活物質および電極 材層が膨張、収縮を繰り返すために、電極 材層と集電体界面および、活物質と導電助 界面に局部的なせん断応力が発生し界面の 着性が悪化するためと考えられている。そ てこの場合も、導電助剤の分散が不十分で ると、密着低下が著しくなる。これは、粗 な凝集粒子が存在すると、応力が緩和され くくなるためであると思われる。

 また、電極集電体と電極合材間の問題と て、例えば正極の集電体としてアルミニウ を用いると、この表面に絶縁性の酸化皮膜 形成され、電極集電体と電極合材間の接触 抗が上昇するといった問題もある。

 前述の様な電極集電体と電極合材間の不 合に対して、いくつかの提案がなされてい 。例えば特許文献1および特許文献2には、 ーボンブラック等の導電剤を分散した塗膜 、電極下地層として集電極上に形成する方 が試みられているが、この場合も導電剤の 散が悪いと十分な効果が得られない。

 リチウム二次電池においては導電助剤で る炭素材料の分散が重要なポイントの一つ ある。特許文献3、特許文献4には、カーボ ブラックを溶剤に分散する際に、分散剤と て界面活性剤を用いる例が記載されている しかしながら、界面活性剤は炭素材料表面 の吸着力が弱いため、良好な分散安定性を るには界面活性剤の添加量を多くしなけれ ならず、この結果、含有可能な活物質の量 少なくなり、電池容量が低下してしまう。 た、界面活性剤の炭素材料への吸着が不十 であると、炭素材料が凝集してしまう。ま 、一般的な界面活性剤では、水溶液中での 散と比較して、有機溶剤中での分散効果が しく低い。

 また、特許文献5および特許文献6には、 ーボンブラックを溶剤に分散する際に、分 樹脂を添加することでカーボンスラリーの 散状態を改善し、そのカーボンスラリーと 活物質とを混合して、電極用合材を作成す 方法が開示されている。しかしながら、こ 方法では、カーボンブラックの分散性は向 するものの、比表面積の大きな微細なカー ンブラックの分散を行う場合には大量の分 樹脂が必要となること、および分子量の大 な分散樹脂がカーボンブラック表面を被覆 てしまうことなどから、導電ネットワーク 阻害され電極の抵抗が増大し、結果的にカ ボンブラックの分散向上による効果を相殺 てしまう場合がある。

 更に、電極材料の分散性の向上と併せて 充放電の効率を向上させる上で重要な要素 しては、電極の電解液に対する濡れ性の向 が挙げられる。電極反応は、電極材料表面 電解液との接触界面で起こるため、電解液 電極内部まで浸透し電極材料が良く濡れる とが重要となる。電極反応を促進させる方 としては、微細な活物質や導電助剤を用い 電極の表面積を増大させる方法が検討され いるが、特に炭素材料を用いる場合は、電 液に対する濡れが悪く、実際の接触面積が きくならないため、電池性能の向上が難し といった問題がある。

 電極の濡れ性を改善する方法として、特 文献7には、電極中に繊維径1~1000nmの炭素繊 を含有させることで、活物質粒子間に微細 空隙を持たせる方法が開示されている。し しながら、通常、炭素繊維は複雑に絡み合 ているため、均一な分散が難しく、炭素繊 を混ぜるだけでは、均一な電極を作製する とができない。また、同文献では、分散制 のために炭素繊維の表面を酸化処理した炭 繊維を使用する方法も挙げられているが、 素繊維を直接、酸化処理すると、炭素繊維 導電性や強度が低下してしまうという問題 ある。また、特許文献8には、炭素粉末を主 剤とする負極材料に高級脂肪酸アルカリ塩の 様な界面活性剤を吸着させ、濡れ性を改善す る方法が開示されているが、上述したように 界面活性剤は特に非水系での分散性能が十分 でないことが多く、均一な電極塗膜が得られ ない。これらの例では、いずれも電極材料の 分散性を含めたトータルでの性能としては不 十分であった。

 またリチウム二次電池においては、上述 問題の他に、金属成分の負極上での還元・ 出による電池性能劣化の問題や、短絡の発 による過剰発熱や発火といった安全性にか わる問題もある。金属成分による性能劣化 短絡の要因としては、(1)製造工程における 銅や鉄といった金属不純物の混入や、(2)正 、集電体、電池容器等に含まれる金属イオ が電解液中へ溶出した後に、負極上で還元 析出することや、また、(3)正極の劣化によ 、正極活物質から金属イオンが溶出し、負 上で還元・析出すること等が考えられる。

 金属イオンの析出を抑制するために、特 文献9では、セパレーターの表面に陽イオン 交換基を導入することにより、正極から溶出 した陽イオンをセパレーター表面にトラップ させることで、負極での析出を抑制する試み がなされている。しかしながらこの場合、セ パレーターの基体となる不織布を、アクリル 酸(モノマー)と重合開始剤の水溶液に浸漬し 窒素雰囲気下で紫外線を照射することによ 表面に陽イオン交換基を導入したセパレー ーを得るため、製造工程が煩雑になり大量 産には不向きである。またこの場合、セパ ーターを通過したイオンを捕獲することは きない。

 以上のような問題に鑑み、本発明は、導 助剤を含む電池用組成物において、導電助 の導電性を阻害せずに分散安定化を図るこ 、炭素材料である導電助剤の電解液に対す 濡れ性を向上させること、ならびに、導電 剤に金属イオンを捕捉する機能を付与する とにより、これを用いて作製される電池の 池性能を向上させることを目的とする。

特開2000-123823号公報

特開2002-298853号公報

特開昭63-236258号公報

特開平8-190912号公報

特開2003-157846号公報

特表2006-516795号公報

特開2005-063955号公報

特開平6-60877号公報

特開2002-25527号公報

 本発明者らは、上記目的を達成するため鋭 検討を行った結果、導電助剤としての炭素 料を溶剤に分散させる際に、酸性官能基を する有機色素誘導体、または酸性官能基を するトリアジン誘導体から選ばれる1種以上 を分散剤として添加することにより、分散安 定性に優れる炭素材料粒子の分散体を調製で きることだけでなく、さらに、この炭素材料 粒子の電池電解液に対する濡れ性が向上する ことを見出した。さらに、この炭素材料粒子 の分散体を含む組成物について、電極の低抵 抗化および、電極集電体と電極合材もしくは 、活物質と導電助剤との密着性の向上に起因 すると思われる電池性能向上効果および、電 解液に対する濡れ性改善効果、さらに金属イ オン析出抑制効果を見出し、本発明をなすに 至ったものである。
 本発明の電池用組成物は、リチウム二次電 、ニッケル水素二次電池、ニッケルカドニ ム二次電池、アルカリマンガン電池、鉛電 、燃料電池、キャパシタなどに用いること できるが、特にリチウム二次電池に用いる 好適である。

 すなわち、本発明は、酸性官能基を有する 機色素誘導体、または酸性官能基を有する リアジン誘導体から選ばれる1種以上の分散 剤と、導電助剤としての炭素材料とを含むこ とを特徴とする電池用組成物に関する。
 また、本発明は、酸性官能基が、スルホン 基(-SO 3 H)、またはカルボキシル基(-COOH)であることを 特徴とする上記の電池用組成物に関する。ま た、本発明は、酸性官能基が、リン酸基(-P(O) (-OH) 2 )であることを特徴とする上記の電池用組成 に関する。
 また、本発明は、酸性官能基が、スルホン アンモニウム塩、またはカルボン酸アンモ ウム塩であることを特徴とする上記の電池 組成物に関する。また、本発明は、酸性官 基が、リン酸アンモニウム塩であることを 徴とする上記の電池用組成物に関する。
 また、本発明は、酸性官能基を有する有機 素誘導体、または酸性官能基を有するトリ ジン誘導体から選ばれる1種以上の分散剤が 非水溶性であることを特徴とする上記いずれ かの電池用組成物に関する。

 また、本発明は、更に、溶剤を含むことを 徴とする上記いずれかの電池用組成物に関 る。
 また、本発明は、導電助剤としての炭素材 の平均分散粒径(D 50 )が2μm以下であること特徴とする上記いずれ の電池用組成物に関する。
 また、本発明は、更に、バインダー成分を むことを特徴とする上記いずれかの電池用 成物に関する。
 また、本発明は、バインダー成分が、分子 にフッ素原子を含む高分子化合物であるこ を特徴とする上記の電池用組成物に関する
 また、本発明は、溶剤の比誘電率が15以上 200以下である上記いずれかの電池用組成物 関する。
 また、本発明は、溶剤のドナー数が15Kcal/mol 以上、60Kcal/mol以下であることを特徴とする 記いずれかの電池用組成物に関する。
 また、本発明は、溶剤が非プロトン性であ 上記いずれかの電池用組成物に関する。
 また、本発明は、更に、正極活物質または 極活物質を含むことを特徴とする上記いず かの電池用組成物に関する。

 また、本発明は、酸性官能基を有する有機 素誘導体、または酸性官能基を有するトリ ジン誘導体から選ばれる1種以上の分散剤の 存在下、導電助剤としての炭素材料を溶剤に 分散することを特徴とする電池用組成物の製 造方法に関する。
 また、本発明は、酸性官能基を有する有機 素誘導体、または酸性官能基を有するトリ ジン誘導体から選ばれる1種以上の分散剤の 存在下、導電助剤としての炭素材料を溶剤に 分散してなる分散体に、正極活物質、負極活 物質、またはバインダー成分を混合する電池 用組成物の製造方法に関する。

 また、本発明は、集電体上に正極合材層を する正電極と、集電体上に負極合材層を有 る負極と、リチウムを含む電解質とを具備 るリチウム二次電池であって、前記正極合 層または前記負極合材層が、正極活物質ま は負極活物質を含む上記いずれかの電池用 成物を使用して形成されていることを特徴 するリチウム二次電池に関する。
 さらに、本発明は、集電体上に正極合材層 有する正極と、集電体上に負極合材層を有 る負極と、リチウムを含む電解質とを具備 るリチウム二次電池であって、前記正極合 層と前記集電体との間、または前記負極合 層と前記集電体との間に、上記いずれかの 池用組成物を使用して電極下地層が形成さ ていることを特徴とするリチウム二次電池 関する。

 本発明の好ましい実施態様によれば、電 用組成物において、導電助剤の分散安定性 優れるとともに、導電助剤の導電性を阻害 ることなく分散安定性が図られていること および、本電池用組成物による電極では、 解液に対する濡れ性が改善されるとともに 金属イオンの析出が抑制されるため、本発 の好ましい実施態様に係る電池用組成物を いることにより、例えばリチウム二次電池 どの電池性能を総合的に向上させることが きる。

 本発明における電池用組成物は、酸性官 基を有する有機色素誘導体、または酸性官 基を有するトリアジン誘導体から選ばれる1 種以上の分散剤と、導電助剤としての炭素材 料を含むことを特徴とするが、以下にその詳 細を説明する。

<導電助剤(炭素材料)>
 本発明における導電助剤としては、炭素材 が最も好ましい。炭素材料としては、導電 を有する炭素材料であれば特に限定される のではないが、グラファイト、カーボンブ ック、カーボンナノチューブ、カーボンナ ファイバー、カーボンファイバー、フラー ン等を単独で、もしくは2種類以上併せて使 用することができる。導電性、入手の容易さ 、およびコスト面から、カーボンブラックの 使用が好ましい。

 カーボンブラックとしては、気体もしくは 体の原料を反応炉中で連続的に熱分解し製 するファーネスブラック、特にエチレン重 を原料としたケッチェンブラック、原料ガ を燃焼させて、その炎をチャンネル鋼底面 あて急冷し析出させたチャンネルブラック ガスを原料とし燃焼と熱分解を周期的に繰 返すことにより得られるサーマルブラック 特にアセチレンガスを原料とするアセチレ ブラックなどの各種のものを単独で、もし は2種類以上併せて使用することができる。 また、通常行われている酸化処理されたカー ボンブラックや、中空カーボン等も使用でき る。
 カーボンの酸化処理は、カーボンを空気中 高温処理したり、硝酸や二酸化窒素、オゾ 等で二次的に処理したりすることより、例 ばフェノール基、キノン基、カルボキシル 、カルボニル基の様な酸素含有極性官能基 カーボン表面に直接導入(共有結合)する処 であり、カーボンの分散性を向上させるた に一般的に行われている。しかしながら、 能基の導入量が多くなる程カーボンの導電 が低下することが一般的であるため、酸化 理をしていないカーボンの使用が好ましい

 用いるカーボンブラックの比表面積は、値 大きいほど、カーボンブラック粒子どうし 接触点が増えるため、電極の内部抵抗を下 るのに有利となる。具体的には、窒素の吸 量から求められる比表面積(BET)で、20m 2 /g以上、1500m 2 /g以下、好ましくは50m 2 /g以上、1500m 2 /g以下、更に好ましくは100m 2 /g以上、1500m 2 /g以下のものを使用することが望ましい。比 面積が20m 2 /gを下回るカーボンブラックを用いると、十 な導電性を得ることが難しくなる場合があ 、1500m 2 /gを超えるカーボンブラックは、市販材料で 入手が困難となる場合がある。

 また、用いるカーボンブラックの粒径は 一次粒子径で0.005~1μmが好ましく、特に、0.0 1~0.2μmが好ましい。ただし、ここでいう一次 子径とは、電子顕微鏡などで測定された粒 径を平均したものである。

 市販のカーボンブラックとしては、例え 、トーカブラック#4300、#4400、#4500、#5500等( 海カーボン社製、ファーネスブラック)、プ リンテックスL等(デグサ社製、ファーネスブ ック)、Raven7000、5750、5250、5000ULTRAIII、5000ULT RA等、Conductex SC ULTRA、Conductex 975 ULTRA等(コ ンビヤン社製、ファーネスブラック)、#2350 #2400B、#30050B、#3030B、#3230B、#3350B、#3400B、#54 00B等(三菱化学社製、ファーネスブラック)、M ONARCH1400、1300、900、VulcanXC-72R、BlackPearls2000等( キャボット社製、ファーネスブラック)、ケ チェンブラックEC-300J、EC-600JD(アクゾ社製)、 デンカブラック、デンカブラックHS-100、FX-35( 電気化学工業社製、アセチレンブラック)等 挙げられるが、これらに限定されるもので ない。

<分散剤>
 本発明における分散剤としては、酸性官能 を有する有機色素誘導体、または酸性官能 を有するトリアジン誘導体から選ばれる1種 以上のものを使用する。とりわけ、下記一般 式(1)で示されるトリアジン誘導体、または一 般式(4)で示される有機色素誘導体の使用が好 ましい。

 一般式(1)
 X 1 は-NH-、-O-、-CONH-、-SO 2 NH-、-CH 2 NH-、-CH 2 NHCOCH 2 NH-または-X 3 -Y-X 4 -を表し、X 2 及びX 4 はそれぞれ独立に-NH-または-O-を表し、X 3 は-CONH-、-SO 2 NH-、-CH 2 NH-、-NHCO-または-NHSO 2 -を表し、
 Yは炭素数1~20で構成された、置換基を有し もよいアルキレン基、置換基を有してもよ アルケニレン基または置換基を有してもよ アリーレン基を表し、
 Zは-SO 3 Mまたは-COOM、または-P(O)(-OM) 2 を表し、Mは1~3価のカチオンの一当量を表し
 R 1 は有機色素残基、置換基を有していてもよい 複素環残基、置換基を有していてもよい芳香 族環残基または下記一般式(2)で表される基を 表し、
 Qは-O-R 2 、-NH-R 2 、ハロゲン基、-X 1 -R 1 または-X 2 -Y-Zを表し、R 2 は水素原子、置換基を有してもよいアルキル 基または置換基を有してもよいアルケニル基 を表す。

 一般式(2)
 X 5 は-NH-または-O-を表し、X 6 及びX 7 はそれぞれ独立に-NH-、-O-、-CONH-、-SO 2 NH-、-CH 2 NH-または-CH 2 NHCOCH 2 NH-を表し、
 R 3 及びR 4 はそれぞれ独立に、有機色素残基、置換基を 有していてもよい複素環残基、置換基を有し ていてもよい芳香族環残基または-Y-Zを表し Y及びZは一般式(1)と同じ意味を表す。

 一般式(1)のR 1 及び一般式(2)のR 3 、R 4 で表される有機色素残基としては、例えばジ ケトピロロピロール系色素、アゾ、ジスアゾ 、ポリアゾ等のアゾ系色素、フタロシアニン 系色素、ジアミノジアントラキノン、アント ラピリミジン、フラバントロン、アントアン トロン、インダントロン、ピラントロン、ビ オラントロン等のアントラキノン系色素、キ ナクリドン系色素、ジオキサジン系色素、ぺ リノン系色素、ぺリレン系色素、チオインジ ゴ系色素、イソインドリン系色素、イソイン ドリノン系色素、キノフタロン系色素、スレ ン系色素、金属錯体系色素等が挙げられる。 とりわけ、金属による電池の短絡を抑制する 効果を高めるためには、金属錯体系色素では ない有機色素残基の使用が好ましく、中でも アゾ系色素、ジケトピロロピロール系色素、 無金属フタロシアニン系色素、キナクリドン 系色素、ジオキサジン系色素の使用が分散性 に優れるため好ましい。

 一般式(1)のR 1 及び一般式(2)のR 3 、R 4 で表される複素環残基および芳香族環残基と しては、例えば、チオフェン、フラン、ピリ ジン、ピラゾール、ピロール、イミダゾール 、イソインドリン、イソインドリノン、ベン ズイミダゾロン、ベンズチアゾール、ベンズ トリアゾール、インドール、キノリン、カル バゾール、アクリジン、ベンゼン、ナフタリ ン、アントラセン、フルオレン、フェナント レン、アントラキノン等が挙げられる。とり わけ、少なくともS、N、Oのヘテロ原子のいず れかを含む複素環残基の使用が分散性に優れ るため好ましい。

 一般式(1)及び一般式(2)のYは、炭素数20以 の置換基を有していてもよいアルキレン基 アルケニレン基またはアリーレン基を表す 、好ましくは置換されていてもよいフェニ ン基、ビフェニレン基、ナフチレン基また 炭素数が10以下の側鎖を有していてもよい ルキレン基が挙げられる。

 一般式(1)のQ中に含まれるR 2 で表される置換基を有してもよいアルキル基 、アルケニル基は、好ましくは炭素数20以下 ものであり、更に好ましくは炭素数が10以 の側鎖を有していてもよいアルキル基が挙 られる。置換基を有しているアルキル基ま はアルケニル基とは、アルキル基またはア ケニル基の水素原子がフッ素原子、塩素原 、臭素原子等のハロゲン基、水酸基、メル プト基等に置換されたものである。

 一般式(1)の式中Mは、1~3価のカチオンの一当 量を表し、例えば、水素原子(プロトン)、金 カチオン、4級アンモニウムカチオンのいず れかを表す。また、分散剤構造中にMを2つ以 有する場合、Mはプロトン、金属カチオン、 4級アンモニウムカチオンのいずれかひとつ みでも良いし、これらの組み合わせでも良 。
 金属としては、リチウム、ナトリウム、カ ウム、カルシウム、バリウム、マグネシウ 、アルミニウム、ニッケル、コバルト等が げられる。
 4級アンモニウムカチオンとしては、一般式 (3)で示される構造を有する単一化合物または 、混合物である。

一般式(3)
 R 5 、R 6 、R 7 、R 8 は、水素、置換基を有してもよいアルキル基 、置換基を有してもよいアルケニル基、また は置換基を有してもよいアリール基のいずれ かを表す。

 一般式(3)のR 5 、R 6 、R 7 、R 8 は、それぞれ同一でもよいし、異なっていて もよい。また、R 5 、R 6 、R 7 、R 8 が炭素原子を有する場合、炭素数は1~40、好 しくは1~30、更に好ましくは1~20である。炭素 数が40を超えると電極の導電性が低下する場 がある。

 4級アンモニウムの具体例としては、ジメ チルアンモニウム、トリメチルアンモニウム 、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモ ニウム、ヒドロキシエチルアンモニウム、ジ ヒドロキシエチルアンモニウム、2-エチルヘ シルアンモニウム、ジメチルアミノプロピ アンモニウム、ラウリルアンモニウム、ス アリルアンモニウム等が挙げられるが、こ らに限定されない。

一般式(4)
 X 8 は直接結合、-NH-、-O-、-CONH-、-SO 2 NH-、-CH 2 NH-、-CH 2 NHCOCH 2 NH-または-X 9 -Y-または-X 9 -Y-X 10 -を表し、X 9 は-CONH-、-SO 2 NH-、-CH 2 NH-、-NHCO-または-NHSO 2 -を表し、X 10 は-NH-または-O-を表し、Yは炭素数1~20で構成さ れた、置換基を有してもよいアルキレン基、 置換基を有してもよいアルケニレン基または 置換基を有してもよいアリーレン基を表し、
 Zは-SO 3 Mまたは-COOM、または-P(O)(-OM) 2 を表し、Mは1~3価のカチオンの一当量を表し
 R 9 は有機色素残基を表し、nは1~4の整数を表す

 一般式(4)のR 9 で表させる有機色素残基としては、例えばジ ケトピロロピロール系色素、アゾ、ジスアゾ 、ポリアゾ等のアゾ系色素、フタロシアニン 系色素、ジアミノジアントラキノン、アント ラピリミジン、フラバントロン、アントアン トロン、インダントロン、ピラントロン、ビ オラントロン等のアントラキノン系色素、キ ナクリドン系色素、ジオキサジン系色素、ぺ リノン系色素、ぺリレン系色素、チオインジ ゴ系色素、イソインドリン系色素、イソイン ドリノン系色素、キノフタロン系色素、スレ ン系色素、金属錯体系色素等が挙げられる。 R 9 で表させる有機色素残基には、一般的には色 素と呼ばれていない淡黄色のアントラキノン 残基を含む。とりわけ、金属による電池の短 絡を抑制する効果を高めるためには、金属錯 体系色素ではない有機色素残基の使用が好ま しく、中でもアゾ系色素、ジケトピロロピロ ール系色素、無金属フタロシアニン系色素、 キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素の 使用が分散性に優れるため好ましい。

 一般式(4)の式中のMは、1~3価のカチオンの一 当量を表し、例えば、水素原子(プロトン)、 属カチオン、4級アンモニウムカチオンのい ずれかを表す。また、分散剤構造中にMを2つ 上有する場合、Mはプロトン、金属カチオン 、4級アンモニウムカチオンのいずれかひと のみでも良いし、これらの組み合わせでも い。
 金属としては、リチウム、ナトリウム、カ ウム、カルシウム、バリウム、マグネシウ 、アルミニウム、ニッケル、コバルト等が げられる。
 4級アンモニウムカチオンとしては、一般式 (3)で示される構造を有する単一化合物または 、混合物である。

一般式(3)
 R 5 、R 6 、R 7 、R 8 は、水素、置換基を有してもよいアルキル基 、置換基を有してもよいアルケニル基、また は置換基を有してもよいアリール基のいずれ かを表す。

 一般式(3)のR 5 、R 6 、R 7 、R 8 は、それぞれ同一でもよいし、異なっていて もよい。また、R 5 、R 6 、R 7 、R 8 が炭素原子を有する場合、炭素数は1~40、好 しくは1~30、更に好ましくは1~20である。炭素 数が40を超えると電極の導電性が低下する場 がある。)

 4級アンモニウムの具体例としては、ジメ チルアンモニウム、トリメチルアンモニウム 、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモ ニウム、ヒドロキシエチルアンモニウム、ジ ヒドロキシエチルアンモニウム、2-エチルヘ シルアンモニウム、ジメチルアミノプロピ アンモニウム、ラウリルアンモニウム、ス アリルアンモニウム等が挙げられるが、こ らに限定されない。

 上記分散剤の合成方法としては、特に限 されるものではないが、例えば、特公昭39-2 8884号公報、特公昭45-11026号公報、特公昭45-297 55号公報、特公昭64-5070号公報、特開2004-217842 公報等に記載されている方法で合成するこ ができる。

 上記の分散剤は、添加した分散剤が炭素 料表面に作用(例えば吸着)することにより 分散効果を発揮するものと思われる。酸性 能基を有する有機色素誘導体、または酸性 能基を有するトリアジン誘導体を溶剤中に 全ないしは一部溶解させ、その溶液中に炭 材料を添加、混合することで、これら分散 の炭素材料への作用が進むものと思われる そして、炭素材表面に作用した分散剤が有 る酸性官能基が分極ないしは解離すること より、電気的な相互作用(反発作用)が誘起さ れ、炭素材料の解凝集が起こるものと思われ る。よって本発明では、(1)炭素材料表面に直 接、官能基を導入(共有結合)せず、さらに(2) 散樹脂を使用することなく、良好な分散を ることができる。これらのことから、炭素 料の導電性を落とすことなく良好な分散を ることができる。そして炭素材料が良好に 散した本発明の電池用組成物を用いること より、炭素材料が均一に分散した電極を作 することができる。

 また、本発明の電池用組成物を使用した電 では、炭素材料表面に極性官能基を有する 散剤が存在しているため炭素材料の電解液 対する濡れ性が向上するとともに、上述の 一分散効果とあいまって電極の電解液に対 る濡れ性が向上する。
 本発明の分散剤は、いずれも良好な分散効 および濡れ性改善効果を有するが、中でも 般式(1)または一般式(4)の式中のMが4級アン ニウムカチオンの場合、炭素材料の電解液 対する濡れ性の向上効果が特に大きいため ましい。
 また、Mがプロトンの場合、酸性官能基によ り電解液中の金属イオンを捕捉し、金属の析 出による電池性能の低下や短絡を抑制する効 果が大きいため好ましい。
 また分散剤が使用される溶剤系について、 述するドナー数が20を下回る有機溶剤系で 用される場合は、非水溶性の分散剤を使用 るのが良好な分散を得るために好ましい。 れは、分散剤の溶解性が高くなるためであ と思われる。

<溶剤>
 本発明に使用する溶剤としては、例えば、 ルコール類、グリコール類、セロソルブ類 アミノアルコール類、アミン類、ケトン類 カルボン酸アミド類、リン酸アミド類、ス ホキシド類、カルボン酸エステル類、リン エステル類、エーテル類、ニトリル類、水 が挙げられる。

 これらの中でも、比誘電率が15以上の極性 剤を使用することが好ましい。比誘電率は 溶剤の極性の強さを表す指標のひとつであ 、浅原ほか編「溶剤ハンドブック」((株)講 社サイエンティフィク、1990年)等に記載され ている。
 例えば、メチルアルコール(比誘電率:33.1)、 エチルアルコール(23.8)、2-プロパノール(18.3) 1-ブタノール(17.1)、1,2-エタンジオール(38.66) 、1,2-プロパンジオール(32.0)、1,3-プロパンジ ール(35.0)、1,4-ブタンジオール(31.1)、ジエチ レングリコール(31.69)、2-メトキシエタノール (16.93)、2-エトキシエタノール(29.6)、2-アミノ タノール(37.7)、アセトン(20.7)、メチルエチ ケトン(18.51)、ホルムアミド(111.0)、N-メチル ホルムアミド(182.4)、N,N-ジメチルホルムアミ (36.71)、N-メチルアセトアミド(191.3)、N,N-ジ チルアセトアミド(37.78)、N-メチルプロピオ アミド(172.2)、N-メチルピロリドン(32.0)、ヘ サメチル燐酸トリアミド(29.6)、ジメチルス ホキシド(48.9)、スルホラン(43.3)、アセトニ リル(37.5)、プロピオニトリル(29.7)、水(80.1) が挙げられるが、これらに限定されない。

 とりわけ、比誘電率が15以上、200以下、好 しくは15以上、100以下、更に好ましくは、20 上、100以下の極性溶剤を使用することが、 素材料の良好な分散安定性を得るのに好ま い。
 比誘電率が15を下回る溶剤では分散剤の溶 性が著しく低下し良好な分散が得られない とが多く、また、比誘電率が200を超える溶 を使用しても、顕著な分散向上効果が得ら ないことが多い。

 また、炭素材料の分散安定性は、溶剤の 子供与性にも影響される傾向が見いだされ 。電子供与効果の大きな溶剤の使用が好ま く、とりわけ溶剤のドナー数が15Kcal/mol以上 の溶剤が好ましいが、20Kcal/mol以上、60Kcal/mol 下の溶剤が更に好ましい。

 ドナー数は、各種溶剤の電子供与性の強さ 測る尺度であり、基準のアクセプターとし 、ジクロロエタン中10 -3 M SbCl 5 を選び、ドナーとの反応モルエンタルピー値 として定義される値であって、値が大きいほ どその溶剤の電子供与性が強いことを示す。 また、いくつかの溶剤については、ドナー数 はその溶剤中におけるNaClO 4 23 Na-NMRの化学シフトから間接的に推定されてい る。このドナー数については、V.グートマン( 大瀧、岡田訳)「ドナーとアクセプター」(学 出版センター(株)1983年)に記載されている。 溶剤が有する誘電率の大きさにもよるが、ド ナー数が15Kcal/molを下回る溶剤を用いると、 分な分散安定化効果が得られない場合があ 。また、ドナー数が60Kcal/molを超えた溶剤を いても、顕著な分散向上効果はないものと われる。

 ドナー数が15Kcal/mol以上の溶剤としては、 例えば、メチルアルコール(ドナー数:19)、エ ルアルコール(20)、エチルアミン(55)、t-ブチ ルアミン(57)、エチレンジアミン(55)、ピリジ (33.1)、アセトン(17)、ホルムアミド(24)、N,N- メチルホルムアミド(26.6)、N,N-ジエチルホル ムアミド(30.9)、N,N-ジメチルアセトアミド(27.8 )、N,N-ジエチルアセトアミド(32.2)、N-メチル ロリドン(27.3)、ヘキサメチル燐酸トリアミ (38.8)、ジメチルスルホキシド(29.8)、酢酸エ ル(17.1)リン酸トリメチル(23)、リン酸トリブ ル(23.7)、テトラヒドロフラン(20.0)、イソブ ロニトリル(15.4)、イソプロピオノニトリル( 16.1)、水(18.0)等が挙げられるが、これらに限 されない。

 分散剤の酸性官能基が分極ないしは解離 るのを促す効果が大きい溶剤の使用が、炭 材料の良好な分散安定性を得るのには重要 思われる。酸性官能基の分極ないし解離の やすさは、酸性官能基が結合している有機 素誘導体またはトリアジン誘導体の分子構 にも左右されるが、電子供与性の大きな溶 は、これらの誘導体に対する溶媒和力が強 ため、分散剤酸性官能基の分極を促し、そ て比誘電率の大きな溶剤が分極した酸性官 基の解離を促すものと思われる。よって、 素材料の良好な分散安定性を得るためには 比誘電率の大きな溶剤と、ドナー数の大き 溶剤とを組み合わせて使用するか、比誘電 およびドナー数がともに大きな溶剤を使用 ることが好ましい。

 また、使用する溶剤としては、非プロト 性の極性溶剤であることが好ましい。非プ トン性の極性溶剤とは、溶剤自身にプロト を放出する能力がなく、また自己解離もし い極性溶剤であり、非プロトン性の極性溶 は水素結合による自己会合を生じず、溶剤 身の凝集性が弱い。そのため炭素材料の凝 体への浸透力が強く、分散促進効果が期待 れる。また、非プロトン性の極性溶剤は、 剤自身の凝集性が弱いために溶解力が強く 種々の分散剤や樹脂を溶解することができ ため、汎用性に優れる。更に、酸性官能基 有する有機色素誘導体、または酸性官能基 有するトリアジン誘導体から選ばれる分散 を溶剤に溶解することを考えた場合、非プ トン性の極性溶剤は、カチオン種のみを溶 和するため、酸性官能基におけるプロトン しくはカウンターカチオンのみを溶媒和す こととなる。このとき、有機色素誘導体ま はトリアジン誘導体骨格を含むアニオン側 溶媒和されることなく裸のままであるため 有機色素誘導体またはトリアジン誘導体骨 部分の炭素材料表面への作用(例えば吸着) 阻害されにくい等の効果も期待される。

 また、本発明における溶剤の選択は、酸 官能基を有する有機色素誘導体、または酸 官能基を有するトリアジン誘導体から選ば る分散剤と、導電助剤としての炭素材料、 よび溶剤以外に後述する電極活物質もしく バインダー成分等を更に添加する場合は、 述の分散性に与える溶剤の影響に加え、活 質との反応性、およびバインダー成分に対 る溶解性等を鑑みつつ行う。分散性が高く 活物質との反応性が低く、バインダー成分 溶解性の高い溶剤を選択することが好まし 。

 更に、環境負荷軽減や経済的有利性等か 、電極製造工程において排出される溶剤を 収・再利用する場合は、混合溶剤ではなく 単一溶剤での使用が好ましい。

 以上、炭素材料の分散安定性促進効果、 物質との反応性、およびバインダー成分の 解性を満たし、単一使用での汎用性を有す 溶剤としては、アミド系溶剤が好ましく、 に、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチ ホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N ,N-ジエチルアセトアミド、N-メチルピロリド 、ヘキサメチル燐酸トリアミド等のアミド 非プロトン性溶剤の使用が好ましい。

<正極活物質及び負極活物質>
 本発明の組成物を正極合材もしくは負極合 に用いる場合は、上記分散剤、導電助剤と ての炭素材料、および溶剤以外に、少なく も正極活物質または負極活物質を含有させ 。

 使用する正極活物質としては特に限定はさ ないが、リチウムイオンをドーピングまた インターカレーション可能な金属酸化物、 属硫化物等の金属化合物、および導電性高 子等を使用することができる。例えば、Fe Co、Ni、Mn等の遷移金属の酸化物、リチウム の複合酸化物、遷移金属硫化物等の無機化 物等が挙げられる。具体的には、MnO、V 2 O 5 、V 6 O 13 、TiO 2 等の遷移金属酸化物粉末、層状構造のニッケ ル酸リチウム、コバルト酸リチウム、マンガ ン酸リチウム、スピネル構造のマンガン酸リ チウムなどのリチウムと遷移金属との複合酸 化物粉末、オリビン構造のリン酸化合物であ るリン酸鉄リチウム系材料、TiS 2 、FeSなどの遷移金属硫化物粉末等が挙げられ る。また、ポリアニリン、ポリアセチレン、 ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性ポ リマーを使用することもできる。また、上記 の無機化合物や有機化合物を混合して用いて もよい。

 使用する負極活物質としては特に限定はさ ないが、リチウムイオンをドーピングまた インターカレーション可能な金属Li、また その合金、スズ合金、シリコン合金負極、Li X Fe 2 O 3 、Li X Fe 3 O 4 、Li X WO 2 等の金属酸化物系、ポリアセチレン、ポリ-p- フェニレン等の導電性高分子、ソフトカーボ ンやハードカーボンといった、アモルファス 系炭素質材料や、高黒鉛化炭素材料等の人造 黒鉛、あるいは天然黒鉛等の炭素質粉末、カ ーボンブラック、メソフェーズカーボンブラ ック、樹脂焼成炭素材料、気層成長炭素繊維 、炭素繊維などの炭素系材料が用いられる。

<バインダー>
 本発明の組成物には、更に、バインダー成 を含有させることが好ましい。使用するバ ンダーとしては、エチレン、プロピレン、 化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エス ル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル アクリロニトリル、スチレン、ビニルブチ ール、ビニルアセタール、ビニルピロリド 等を構成単位として含む重合体または共重 体;ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、 フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ 樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド 樹脂、アクリル樹脂、ホルムアルデヒド樹脂 、シリコン樹脂、フッ素樹脂;カルボキシメ ルセルロースのようなセルロース樹脂;スチ ン-ブタジエンゴム、フッ素ゴムのようなゴ ム類;ポリアニリン、ポリアセチレンのよう 導電性樹脂等が挙げられる。また、これら 樹脂の変性体や混合物、および共重合体で 良い。特に、耐性面から分子内にフッ素原 を含む高分子化合物、例えば、ポリフッ化 ニリデン、ポリフッ化ビニル、テトラフル ロエチレン等の使用が好ましい。

 また、バインダーとしてのこれらの樹脂 の重量平均分子量は、10,000~1,000,000が好まし い。分子量が小さいとバインダーの耐性が低 下することがある。分子量が大きくなるとバ インダーの耐性は向上するものの、バインダ ー自体の粘度が高くなり作業性が低下すると ともに、凝集剤として働き、合材成分が著し く凝集してしまうことがある。

<本発明の組成物の用途>
 本発明の組成物は、正極合材または負極合 に用いることができる。正極合材または負 合材に用いる場合は、上記分散剤、導電助 としての炭素材料、溶剤を含む組成物に、 極活物質または負極活物質、好ましくは更 バインダー成分を含有させた正・負極合材 ーストとして使用することが好ましい。
 電極合材ペースト中の総固形分に占める活 質の割合は、80重量%以上、98.5重量%以下が ましい。また、電極合材ペースト中の総固 分に占める、酸性官能基を有する有機色素 導体または酸性官能基を有するトリアジン 導体から選ばれる1種以上の分散剤と、導電 剤としての炭素材料とを合わせた固形分の 合は、0.5重量%以上、19重量%以下が好ましい 。そして、電極合材ペースト中の総固形分に 占める、バインダー成分の割合は、1重量%以 、10重量%以下が好ましい。また、電極合材 ーストの適正粘度は、電極合材ペーストの 工方法によるが、一般には、100mPa・s以上、 30,000mPa・s以下とするのが好ましい。

 正・負極合材ペーストは、導電助剤として 炭素材料粒子の分散性に優れるだけでなく 正・負極活物質の凝集を緩和する効果もあ 。導電助剤である炭素材粒子の分散性が優 るため、導電助剤としての炭素材料および ・負極活物質を溶剤に混合・分散する際の ネルギーが、炭素材料(導電助剤)の凝集物 阻害されることなく効率よく活物質に伝わ 、結果的に正・負極活物質の分散性も向上 せることができるものと思われる。
 そして、正極合材ペーストでは、正極活物 の周りに導電助剤である炭素材料粒子を均 に配位・付着することができ、正極合材層 優れた導電性および密着性を付与できる。 た、導電性が向上することにより、導電助 としての炭素材料の添加量を減らすことが きるため、正極活物質の添加量を相対的に やすことができ、電池の大きな特性である 量を大きくすることができる。

 さらに、本発明の正極合材ペーストは、 極活物質、炭素材料(導電助剤)の凝集が極 て少ないため、集電体に塗布した際に平滑 の高い均一な塗膜を得ることができ、集電 と正極合材との密着性が改善される。また 酸性官能基を有する分散剤が炭素材料(導電 剤)表面に作用(例えば吸着)しているため、 チウム遷移金属複合酸化物のような正極活 質の表面と炭素材料(導電助剤)表面との相 作用が強まり、酸性官能基を有する分散剤 使用しない場合と比較して正極活物質と炭 材料(導電助剤)との密着性が向上する。

 また、負極合材ペーストでは、負極活物 として炭素材料系の活物質を使用した場合 分散剤として添加している酸性官能基を有 る有機色素誘導体、または酸性官能基を有 るトリアジン誘導体の効果により、炭素材 系活物質の凝集が緩和される。そして、負 活物質の周りに炭素材料粒子(導電助剤)を 一に配位・付着することができ、負極合材 に優れた導電性、密着性および濡れ性を付 できる。

 本発明の組成物は、電極下地層にも用い ことができる。電極下地層に用いる場合は 酸性官能基を有する有機色素誘導体、また 酸性官能基を有するトリアジン誘導体から ばれる1種以上の分散剤と、導電助剤として の炭素材料および溶剤とからなる分散体をそ のまま使用しても良いが、上記バインダー成 分を添加し、電極下地ペーストとして使用す ることが好ましい。電極下地層に用いる組成 物の総固形分に占める導電助剤としての炭素 材料の割合は、5重量%以上、95重量%以下が好 しく、10重量%以上、90重量%以下が更に好ま い。導電助剤としての炭素材料が少ないと 下地層の導電性が保てない場合があり、一 、導電助剤としての炭素材料が多すぎると 塗膜の耐性が低下する場合がある。また、 極下地ペーストの適正粘度は、電極下地ペ ストの塗工方法によるが、一般には、100mPa s以上、30,000mPa・s以下とするのが好ましい

<本発明の組成物の製造方法>
 次に、本発明の組成物の製造方法について 明する。
 本発明の組成物は、例えば、酸性官能基を する有機色素誘導体、または酸性官能基を するトリアジン誘導体から選ばれる1種以上 の分散剤の存在下、導電助剤としての炭素材 料を溶剤に分散し、該分散体に、必要に応じ て正極活物質、負極活物質、またはバインダ ー成分を混合することにより、製造すること ができる。各成分の添加順序などについては 、これに限定されるわけではない。また、必 要に応じて更に溶剤を追加しても良い。

 上記製造方法は、酸性官能基を有する有 色素誘導体、または酸性官能基を有するト アジン誘導体から選ばれる1種以上の分散剤 を、溶剤中に完全ないしは一部溶解させ、そ の溶液中に導電助剤としての炭素材料を添加 、混合することで、これら分散剤を炭素材料 に作用(例えば吸着)させつつ、溶剤に分散す ものである。このときの分散体中における 素材料の濃度は、使用する炭素材料の比表 積や表面官能基量などの炭素材料固有の特 値等にもよるが、1重量%以上、50重量%以下 好ましく、更に好ましくは5重量%以上、35重 %以下である。炭素材料の濃度が低すぎると 生産効率が悪くなり、炭素材料の濃度が高す ぎると分散体の粘度が著しく高くなり、分散 効率や、後述するコンタミ除去工程の効率お よび、分散体のハンドリング性が低下する場 合がある。とりわけ、コンタミを除く工程を 入れる場合は、このときの分散体の粘度を好 ましくは10,000mPa・s以下、より好ましくは5,000 mPa・s以下、更に好ましくは3,000mPa・s以下と る。

 酸性官能基を有する有機色素誘導体、ま は酸性官能基を有するトリアジン誘導体か 選ばれる1種以上の分散剤の添加量は、用い る導電助剤としての炭素材料の比表面積等に より決定される。一般には、炭素材料100重量 部に対して、分散剤を0.5重量部以上、40重量 以下、好ましくは1重量部以上、35重量部以 、さらに好ましくは、2重量部以上、30重量 以下である。分散剤の量が少ないと十分な 散効果が得られないとともに、電解液への れ性向上効果や、金属析出を抑制する効果 十分に得られない。また、過剰に添加して 顕著な分散向上効果は得られない。

 導電助剤としての炭素材料の分散粒径は 0.03μm以上、2μm以下、好ましくは、0.05μm以 、1μm以下、更に好ましくは0.05μm以上、0.5μ m以下に微細化することが望ましい。導電助 としての炭素材料の分散粒径が0.03μm未満の 成物は、その作製が難しい場合がある。ま 、導電助剤としての炭素材料の分散粒径が2 μmを超える組成物を用いた場合には、電極の 抵抗分布のバラつきや、低抵抗化のために導 電助剤の添加量を増やさなければならなくな るなどの不具合が生じる場合がある。ここで いう分散粒径とは、体積粒度分布において、 粒子径の細かいものからその粒子の体積割合 を積算していったときに、50%となるところの 粒子径(D50)であり、一般的な粒度分布計、例 ば、動的光散乱方式の粒度分布計(日機装社 製「マイクロトラックUPA」)等で測定される

 また、上記分散剤を炭素材料に作用(例え ば吸着)させつつ、炭素材料を溶剤に分散す ための装置としては、顔料分散等に通常用 られている分散機が使用できる。例えば、 ィスパー、ホモミキサー、プラネタリーミ サー等のミキサー類、ホモジナイザー(エム テクニック社製「クレアミックス」、PRIMIX 「フィルミックス」等)類、ペイントコンデ ィショナー(レッドデビル社製)、ボールミル サンドミル(シンマルエンタープライゼス社 製「ダイノミル」等)、アトライター、パー ミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、コボー ルミル等のメディア型分散機、湿式ジェット ミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、スギノマ シン社製「スターバースト」、ナノマイザー 社製「ナノマイザー」等)、エム・テクニッ 社製「クレアSS-5」、奈良機械社製「MICROS」 のメディアレス分散機、その他ロールミル が挙げられるが、これらに限定されるもの はない。また、分散機としては、分散機か の金属混入防止処理を施したものを用いる とが好ましい。

 例えば、メディア型分散機を使用する場 は、アジテーターおよびベッセルがセラミ ク製または樹脂製の分散機を使用する方法 、金属製アジテーターおよびベッセル表面 タングステンカーバイド溶射や樹脂コーテ ング等の処理をした分散機を用いることが ましい。そして、メディアとしては、ガラ ビーズや、ジルコニアビーズ、アルミナビ ズ等のセラミックビーズを用いることが好 しく、中でもジルコニアビーズの使用が好 しい。また、ロールミルを使用する場合に いても、セラミック製ロールを用いること 好ましい。分散装置は、1種のみを使用して も良いし、複数種の装置を組み合わせて使用 しても良い。

 また、炭素材料分散時に金属異物等のコ タミを除く工程を入れることが好ましい。 ーボンブラック、グラファイトおよび、炭 繊維等の炭素材料には、それらの製造工程 来(ラインコンタミや触媒として)の金属異 が含まれている場合が多く、これら金属異 を除去することは、電池の短絡を防ぐため 非常に重要となる。本発明では、酸性官能 を有する有機色素誘導体、または酸性官能 を有するトリアジン誘導体から選ばれる分 剤の効果により、炭素材料の凝集がよくほ れること、および分散体の粘度が低くなる め、分散剤が未添加の場合に比して、分散 中の炭素材料濃度が高い場合でも、効率良 金属異物を取り除くことができる。金属異 を除く方法としては、磁石による除鉄や、 過、遠心分離等の方法が挙げられる。

 バインダー成分の添加方法としては、上記 散剤の存在下、導電助剤としての炭素材料 溶剤に分散してなる分散体を攪拌しつつ、 形のバインダー成分を添加し、溶解させる 法が挙げられる。また、バインダー成分を 剤に溶解したものを事前に作製しておき、 記分散体と混合する方法が挙げられる。ま 、バインダー成分を上記分散体に添加した に、上記分散装置で再度分散処理を行って 良い。
 また、酸性官能基を有する有機色素誘導体 または酸性官能基を有するトリアジン誘導 から選ばれる1種以上の分散剤の存在下、導 電助剤としての炭素材料を溶剤に分散すると きに、バインダー成分の一部ないしは全量を 、同時に添加して分散処理を行うこともでき る。

 正極活物質または負極活物質の添加方法 しては、上記分散剤の存在下、導電助剤と ての炭素材料を溶剤に分散してなる分散体 攪拌しつつ、正極活物質または負極活物質 添加し、分散させる方法が挙げられる。ま 、酸性官能基を有する有機色素誘導体、ま は酸性官能基を有するトリアジン誘導体か 選ばれる1種以上の分散剤の存在下、導電助 剤としての炭素材料を溶剤に分散するときに 、正極活物質または負極活物質の一部ないし は全量を、同時に添加して分散処理を行うこ ともできる。また、このときの混合、分散を 行うための装置としては、通常の顔料分散等 に用いられている上述の分散機が使用できる 。

 本発明の電池用組成物は、上述するように 通常は溶剤を含む分散体(液)、ペーストな として、製造、流通、使用される。これは 導電助剤や活物質と分散剤を乾燥粉体の状 で混合しても、導電助剤や活物質に均一に 散剤を作用させることはできず、液相法で 分散剤の存在下、導電助剤や活物質を溶剤 分散することにより、導電助剤や活物質に 一に分散剤を作用させることができるから ある。また、以下に説明するように、集電 に電極合材層を形成する場合には、液状の 散体をできるだけ均一に塗布してこれを乾 させることが好ましいからである。
 しかしながら、例えば、液相法で作製した 散体を、運搬コストなどの理由から、一度 剤を除去して乾燥粉体とすることも考えら る。そして、この乾燥粉体を適当な溶剤で 分散させて、電極合材層の形成に用いるこ も考えられる。したがって、本発明の組成 は、液状の分散体に限られず、このような 乾燥粉体の状態の組成物であってもよい。

<リチウム二次電池>
 次に、本発明の組成物を用いたリチウム二 電池について説明する。
 リチウム二次電池は、集電体上に正極合材 を有する正極と、集電体上に負極合材層を する負極と、リチウムを含む電解質とを具 する。前記正極合材層と前記集電体との間 、前記負極合材層と前記集電体との間には 電極下地層が形成されていてもよい。
 電極について、使用する集電体の材質や形 は特に限定されず、材質としては、アルミ ウム、銅、ニッケル、チタン、ステンレス の金属や合金が用いられるが、特に正極材 としてはアルミニウムが、負極材料として 銅の使用が好ましい。また、形状としては 一般的には平板上の箔が用いられるが、表 を粗面化したものや、穴あき箔状のもの、 よびメッシュ状のものも使用できる。

 集電体上に電極下地層を形成する方法と ては、前述の電極下地ペーストを電極集電 に塗布、乾燥する方法が挙げられる。電極 地層の膜厚としては、導電性および密着性 保たれる範囲であれば特に制限されないが 一般的には0.05μm以上、20μm以下であり、好 しくは0.1μm以上、10μm以下である。

 集電体上に電極合材層を形成する方法と ては、集電体上に上述の電極合材ペースト 直接塗布し乾燥する方法、および集電体上 電極下地層を形成した後に電極合材ペース を塗布し乾燥する方法などが挙げられる。 た、電極下地層の上に電極合材層を形成す 場合、集電体上に電極下地ペーストを塗布 た後、湿潤状態のうちに電極合材ペースト 重ねて塗布し、乾燥を行っても良い。電極 材層の厚みとしては、一般的には1μm以上、 500μm以下であり、好ましくは10μm以上、300μm 下である。

 塗布方法については、特に制限はなく公 の方法を用いることができる。具体的には ダイコーティング法、ディップコーティン 法、ロールコーティング法、ドクターコー ィング法、スプレーコティング法、グラビ コーティング法、スクリーン印刷法、静電 装法等が挙げられる。また、塗布後に平版 レスやカレンダーロール等による圧延処理 行っても良い。

<電解液>
 本発明のリチウム二次電池を構成する電解 としては、リチウムを含んだ電解質を非水 の溶剤に溶解したものを用いる。電解質と ては、LiBF 4 、LiClO 4 、LiPF 6 、LiAsF 6 、LiSbF 6 、LiCF 3 SO 3 、Li(CF 3 SO 2 ) 2 N、LiC 4 F 9 SO 3 、Li(CF 3 SO 2 ) 3 C、LiI、LiBr、LiCl、LiAlCl、LiHF 2 、LiSCN、LiBPh 4 等が挙げられるがこれらに限定されない。

 非水系の溶剤としては特に限定はされな が、エチレンカーボネート、プロピレンカ ボネート、ブチレンカーボネート、ジメチ カーボネート、エチルメチルカーボネート ジエチルカーボネート等のカーボネート類 γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、γ- クタノイックラクトン等のラクトン類、テ ラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフ ン、1,3-ジオキソラン、4-メチル-1,3-ジオキソ ラン、1,2-メトキシエタン、1,2-エトキシエタ 、1,2-ジブトキシエタン等のグライム類、メ チルフォルメート、メチルアセテート、メチ ルプロピオネート等のエステル類、ジメチル スルホキシド、スルホラン等のスルホキシド 類、アセトニトリル等のニトリル類、が挙げ られる。またこれらの溶剤は、それぞれ単独 で使用しても良いが、2種以上を混合して使 しても良い。

 更に上記電解液を、ポリマーマトリクス 保持しゲル状とした高分子電解質とするこ もできる。ポリマーマトリクスとしては、 リアルキレンオキシドセグメントを有する クリレート系樹脂、ポリアルキレンオキシ セグメントを有するポリホスファゼン系樹 、ポリアルキレンオキシドセグメントを有 るポリシロキサン等が挙げられるがこれら 限定されない。

 本発明の組成物を用いたリチウム二次電 の構造については特に限定されないが、通 、正極および負極と、必要に応じて設けら るセパレーターとから構成され、ペーパー 、円筒型、ボタン型、積層型など、使用す 目的に応じた種々の形状とすることができ 。

 以下、実施例に基づき本発明を更に詳し 説明するが、本発明は、実施例に限定され ものではない。実施例中、部は重量部を、% は重量%をそれぞれ表す。カーボン分散体の 度分布測定には、動的光散乱方式の粒度分 計(日機装社製「マイクロトラックUPA」)を用 い、体積粒度分布において、粒子径の細かい ものからその粒子の体積割合を積算していっ たときに、50%となるところの粒子径(D50)を求 た。但し、導電助剤としてカーボンナノフ イバーを用いたカーボン分散体の分散粒度 、グラインドゲージによる判定(JIS K5600-2-5 準ず)より求めた。また、電極合材ペースト の分散粒度については、グラインドゲージに よる判定(JIS K5600-2-5に準ず)より求めた。

<分散剤の構造と溶解性>
 実施例で使用した分散剤について構造およ 、該分散剤の水に対する溶解性を表1~表4に した。溶解性に関する評価について、精製 に対する溶解度が0.02重量%以上のものを「 」(水溶性)、0.02重量%未満のものを「×」(非 溶性)とした。

分散剤E:表記化合物の混合物(全スルホン酸基 量に対して、0.5当量のオクチルアンモニウム を含有する)

<導電助剤用カーボン分散体の 製>
[カーボン分散体1-21、23-27、29]
 表5及び表6に示す組成に従い、ガラス瓶に 種溶剤89.5部、分散剤として表1~表4に示す分 剤A~分散剤Qのいずれか0.5部を仕込み、混合 拌して分散剤を完全ないしは一部溶解させ 。次に、導電助剤となるカーボン10部を加 、さらにメディアとしてジルコニアビーズ 添加した後に、ペイントシェーカーで分散 、カーボン分散体を得た。
 カーボンとしては、市販のアセチレンブラ ク(デンカブラックHS-100、一次粒径48nm、比 面積48m 2 /g、電気化学工業社製)、ファーネスブラック (トーカブラック#5400、一次粒径21nm、比表面 170m 2 /g、東海カーボン社製)もしくは、カーボンナ ノファイバーCNF(carbon nano fiber)(製品名「VGCF 、繊維長10~20μm、繊維径150nm、比表面積13m 2 /g、昭和電工社製)のいずれかを使用した。

[カーボン分散体22]
 ガラス瓶に、エチレンジアミン9部、メタノ ール80.5部、分散剤として表1に示す分散剤Aを 0.5部仕込み、混合攪拌して分散剤を完全ない しは一部溶解させた。次に、アセチレンブラ ック(デンカブラックHS-100、一次粒径48nm、比 面積48m 2 /g、電気化学工業社製)10部を加え、さらにメ ィアとしてジルコニアビーズを添加した後 、ペイントシェーカーで分散し、カーボン 散体を得た。

[カーボン分散体28]
 表6に示す組成に従い、ガラス瓶に、N-メチ -2-ピロリドン88.0部、分散剤として表1に示 分散剤Aを2.0部仕込み、混合攪拌して分散剤 完全ないしは一部溶解させた。次に、導電 剤となるカーボンブラックとしてケッチェ ブラック(EC-300J、比表面積800m 2 /g、アクゾ社製)を10部加え、さらにメディア してジルコニアビーズを添加した後に、ペ ントシェーカーで分散し、カーボン分散体 得た。

[カーボン分散体30-34](分散剤を未使用)
 表6に示す組成に従い、ガラス瓶に、N-メチ -2-ピロリドン89.5部または精製水89.5部、導 助剤となるカーボン10.5部を加え、さらにメ ィアとしてジルコニアビーズを添加した後 、ペイントシェーカーで分散し、カーボン 散体を得た。
 カーボンとしては、市販のアセチレンブラ ク(デンカブラックHS-100、一次粒径48nm、比 面積48m 2 /g、電気化学工業社製)、ファーネスブラック (トーカブラック#5400、一次粒径21nm、比表面 170m 2 /g、東海カーボン社製)、ケッチェンブラック (EC-300J、比表面積800m 2 /g、アクゾ社製)、もしくは、カーボンナノフ ァイバーCNF(製品名「VGCF」、繊維長10~20μm、 維径150nm、比表面積13m 2 /g、昭和電工社製)のいずれかを使用した。

[カーボン分散体35、36]
 表6に示す組成に従い、ガラス瓶に、N-メチ -2-ピロリドン89.5部、分散剤として界面活性 剤0.5部を仕込み、混合攪拌して分散剤を溶解 させた。次に、導電助剤となるアセチレンブ ラック(デンカブラックHS-100、一次粒径48nm、 表面積48m 2 /g、電気化学工業社製)10部を加え、さらにメ ィアとしてジルコニアビーズを添加した後 、ペイントシェーカーで分散し、カーボン 散体を得た。
 界面活性剤としては、ノニオン性の界面活 剤(エマルゲンA-60、ポリオキシエチレン誘 体、花王社製)または、アニオン性の界面活 剤(デモールN、β-ナフタレンスルホン酸-ホ マリン縮合物のナトリウム塩、花王社製)の いずれかを使用した。

[カーボン分散体37]
 表6に示す組成に従い、ガラス瓶に、N-メチ -2-ピロリドン88.0部、分散剤としてアニオン 性の界面活性剤(デモールN、β-ナフタレンス ホン酸-ホルマリン縮合物のナトリウム塩、 花王社製)2.0部を仕込み、混合攪拌して分散 を溶解させた。次に、導電助剤となるアセ レンブラック(デンカブラックHS-100、一次粒 48nm、比表面積48m 2 /g、電気化学工業社製)10部を加え、さらにメ ィアとしてジルコニアビーズを添加した後 、ペイントシェーカーで分散し、カーボン 散体を得た。

[カーボン分散体38、39]
 表6に示す組成に従い、ガラス瓶に、N-メチ -2-ピロリドン89.5部、分散樹脂としてポリビ ニルピロリドン(重量平均分子量:約80000、日 触媒社製)0.5部を仕込み、混合攪拌して溶解 せた。次にカーボン10部を加え、さらにメ ィアとしてジルコニアビーズを添加した後 、ペイントシェーカーで分散し、カーボン 散体を得た。
 カーボンとしては、市販のアセチレンブラ ク(デンカブラックHS-100、一次粒径48nm、比 面積48m 2 /g、電気化学工業社製)、またはファーネスブ ラック(トーカブラック#5400、一次粒径21nm、 表面積170m 2 /g、東海カーボン社製)のいずれかを使用した 。

<分散処理カーボンの濡れ性評 >
 カーボン分散体3-19、27、28、30、32、33につ ては、分散処理後のカーボンの濡れ性評価 行った。
 各カーボン分散体の溶剤をエバポレーター て減圧留去した後、得られた残渣を80℃で10 時間減圧乾燥した。続いて乾燥物をメノウ製 の乳鉢で粉砕した後、更に80℃で12時間減圧 燥した。得られた乾燥物を再度メノウ製乳 で粉砕した後、錠剤成型器(Specac社製)にて500 kgf/cm 2 で荷重をかけ、カーボンのペレットを作製( 径10mm、厚0.5mm)した。このペレットにマイク シリンジにて、エチレンカーボネートとジ チルカーボネートを1:1混合した液滴を落と 、液滴がペレットに浸透する時間を測定し 。この測定を各サンプルとも5回行い、それ らの平均浸透時間が1秒未満であったものを ◎」、1秒以上、5秒未満であったものを「○ 」、5秒以上、10秒未満であったものを「△」 、10秒以上であったものを「×」とした。

 上記カーボン分散体の組成、分散評価結果 よび、分散処理カーボンの濡れ性評価の結 を表5及び表6に示した。なお、表中の略号 意味は以下のとおりである。
DN:溶剤のドナー数
DMSO:ジメチルスルホキシド
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
NMP:N-メチル-2-ピロリドン
CNF:カーボンナノファイバー

 分散剤A~分散剤Qを使用したカーボン分散体( 分散体1~29)は、分散剤を使用しない場合(分散 体30~34)や、一般的な界面活性剤を使用した場 合(分散体35~37)に比べて、分散性が良好で、 度が低く、分散粒度も小さいことがわかる
 また、ドナー数が特に20を下回る溶媒系で 、非水溶性分散剤での分散性が良いことが かった。更に分散体1~29は、経時分散安定性( 50℃x3日)も良好で、増粘や凝集の発生は見ら なかった。
 また、本発明の分散剤を使用した分散体で 、分散剤未が使用の場合に比してカーボン 電解液に対する濡れ性が向上した。とりわ 、分散剤の酸性官能基がアンモニウム塩タ プの分散剤を使用した場合には、濡れ性を 上させる効果が大きかった。

<リチウム二次電池用正極合材 ーストの調製>
[実施例1、2]
 正極活物質としてコバルト酸リチウムLiCoO 2 (HLC-22、平均粒径6.6μm、比表面積0.62m 2 /g、本荘ケミカル社製)90部、バインダーとし ポリフッ化ビニリデン(KFポリマー、クレハ 製)4.75部、溶剤としてジメチルスルホキシ 21.9部またはジメチルホルムアミド21.9部をプ ラネタリーミキサーにより混練した後に、先 に調製したカーボン分散体のいずれか50部(カ ーボン量として5部)を加え、更に混練し、正 合材ペーストとした。各実施例で使用した ーボン分散体は表7に示す。

[実施例3-26、29、比較例5、6、8]
 正極活物質としてコバルト酸リチウムLiCoO 2 (HLC-22、平均粒径6.6μm、比表面積0.62m 2 /g、本荘ケミカル社製)90部、バインダーとし ポリフッ化ビニリデン(KFポリマー、クレハ 製)4.75部、N-メチル-2-ピロリドン21.9部をプ ネタリーミキサーにより混練した後に、先 調製したカーボン分散体のいずれか50部(カ ボン量として5部)を加え、更に混練し、正極 合材ペーストとした。各実施例および比較例 で使用したカーボン分散体は表7~表9に示す。

[比較例1-4]
 正極活物質としてコバルト酸リチウムLiCoO 2 (HLC-22、平均粒径6.6μm、比表面積0.62m 2 /g、本荘ケミカル社製)90部、バインダーとし ポリフッ化ビニリデン(KFポリマー、クレハ 製)5部、N-メチル-2-ピロリドン24部をプラネ リーミキサーにより混練した後に、先に調 したカーボン分散体のいずれか47.6部(カー ン量として5部)を加え、更に混練し、正極合 材ペーストとした。各比較例で使用したカー ボン分散体は表9に示す。

[実施例28、比較例7]
 正極活物質としてコバルト酸リチウムLiCoO 2 (HLC-22、平均粒径6.6μm、比表面積0.62m 2 /g、本荘ケミカル社製)90部、バインダーとし ポリフッ化ビニリデン(KFポリマー、クレハ 製)4.0部、N-メチル-2-ピロリドン22.7部をプラ ネタリーミキサーにより混練した後に、先に 調製したカーボン分散体のいずれか50部(カー ボン量として5部)を加え、更に混練し、正極 材ペーストとした。各実施例および比較例 使用したカーボン分散体は表8または表9に す。

[実施例27]
 ガラス瓶に、N-メチル-2-ピロリドン81.8部、 散剤として表1に示す分散剤Aを0.25部仕込み 混合攪拌して分散剤を完全ないしは一部溶 させた。次に、導電助剤となるカーボンと てファーネスブラック(トーカブラック#5400 一次粒径21nm、比表面積170m 2 /g、東海カーボン社製)を5部、正極活物質と てコバルト酸リチウムLiCoO 2 (HLC-22、平均粒径6.6μm、比表面積0.62m 2 /g、本荘ケミカル社製)90部、バインダーとし ポリフッ化ビニリデン(KFポリマー、クレハ 製)4.75部を加え、さらにメディアとしてジ コニアビーズを添加した後に、ペイントシ ーカーで分散し、正極合材ペーストを得た( 8を参照)。

[実施例30、31、比較例9]
 正極活物質としてマンガン酸リチウムLiMn 2 O 4 (CELLSEED S-LM、平均粒径12μm、比表面積0.48m 2 /g、日本化学工業社製)85部、バインダーとし ポリフッ化ビニリデン(KFポリマー、クレハ 製)5.55部、先に調製したカーボン分散体26部 (カーボン量として2.6部)をプラネタリーミキ ーにより混練した後に、先に調製したカー ン分散体64部(カーボン量として6.4部)を加え 、更に混練し、正極合材ペーストとした。各 実施例および比較例で使用したカーボン分散 体は表9に示す。

[実施例32、33]
 正極活物質91部、バインダーとしてポリフ 化ビニリデン(KFポリマー、クレハ社製)4.8部 N-メチル-2-ピロリドン30.6部をプラネタリー キサーにより混練した後に、先に調製した ーボン分散体(3)40部(カーボン量として4部) 加え、更に混練し、正極合材ペーストとし 。
 正極活物質としては、ニッケル酸リチウムL iNiO 2 (田中化学研究所社製)もしくは、リン酸鉄リ ウムLiFePO 4 (平均粒径3.6μm、比表面積15m 2 /g、 TIANJIN STL ENERGY TECHNOLOGY社製)のいずれ を用いた。各実施例で使用した正極活物質 表9に示す。

[比較例10、11]
 正極活物質91部、バインダーとしてポリフ 化ビニリデン(KFポリマー、クレハ社製)5部、 N-メチル-2-ピロリドン32.5部をプラネタリーミ キサーにより混練した後に、先に調製したカ ーボン分散体(30)部38.1(カーボン量として4部) 加え、更に混練し、正極合材ペーストとし 。
 正極活物質としては、ニッケル酸リチウムL iNiO 2 (田中化学研究所社製)もしくは、リン酸鉄リ ウムLiFePO 4 (平均粒径3.6μm、比表面積15m 2 /g、 TIANJIN STL ENERGY TECHNOLOGY社製)のいずれ を用いた。各実施例で使用した正極活物質 表9に示す。

<リチウム二次電池用負極合材 ーストの調製>
[実施例35-48、50-52、比較例16]
 負極活物質として、メソフェーズカーボンM FC(mesophase carbon)(MCMB 6-28、平均粒径5~7μm、比 面積4m 2 /g大阪ガスケミカル社製)93部、バインダーと てポリフッ化ビニリデン(KFポリマー、クレ 社製)4.9部、先に調製したカーボン分散体20 (カーボンブラック量として2部)をプラネタ ーミキサーにより混練した後に、N-メチル-2 -ピロリドン48.8部を加え、更に混練し、負極 材ペーストとした。実施例および比較例で 用したカーボン分散体は表10に示す。

[比較例14]
 負極活物質として、メソフェーズカーボンM FC(MCMB 6-28、平均粒径5~7μm、比表面積4m 2 /g大阪ガスケミカル社製)93部、バインダーと てポリフッ化ビニリデン(KFポリマー、クレ 社製)5部、先に調製したカーボン分散体(30)1 9部(カーボンブラック量として2部)をプラネ リーミキサーにより混練した後に、N-メチル -2-ピロリドン49.7部を加え、更に混練し、負 合材ペーストとした(表10を参照)。
[実施例49]
 負極活物質として、メソフェーズカーボンM FC(MCMB 6-28、平均粒径5~7μm、比表面積4m 2 /g大阪ガスケミカル社製)93部、バインダーと てカルボキシメチルセルロース(サンローズ F300MC、日本製紙ケミカル社製)1部および、ス レンブタジエンゴム(TRD2001、JSR社製)4部、先 に調製したカーボン分散体(26)20部(カーボン ラック量として2部)をプラネタリーミキサー により混練した後に、精製水48.7部を加え、 に混練し、負極合材ペーストとした(表10を 照)。
[比較例15]
 負極活物質として、メソフェーズカーボンM FC(MCMB 6-28、平均粒径5~7μm、比表面積4m 2 /g大阪ガスケミカル社製)93部、バインダーと てカルボキシメチルセルロース(サンローズ F300MC、日本製紙ケミカル社製)1部および、ス レンブタジエンゴム(TRD2001、JSR社製)4部、先 に調製したカーボン分散体(31)19部(カーボン ラック量として2部)をプラネタリーミキサー により混練した後に、精製水49.7部を加え、 に混練し、負極合材ペーストとした(表10を 照)。

[実施例53]
 ガラス瓶に、N-メチル-2-ピロリドン82部、分 散剤として表1に示す分散剤Qを0.1部仕込み、 合攪拌して分散剤を完全ないしは一部溶解 せた。次に、導電助剤となるカーボンとし アセチレンブラック(デンカブラックHS-100、 一次粒径48nm、比表面積48m 2 /g、電気化学工業社製)2部、負極活物質とし メソフェーズカーボンMFC(MCMB 6-28、平均粒径 5~7μm、比表面積4m 2 /g大阪ガスケミカル社製)を93部、バインダー してポリフッ化ビニリデン(KFポリマー、ク ハ社製)4.9部を加え、さらにメディアとして ジルコニアビーズを添加した後に、ペイント シェーカーで分散し、負極合材ペーストを得 た(表10を参照)。

<電極下地用ペーストの調製>
[実施例34、54]
 カーボン分散体(27)100部(カーボン量として10 部)に、ポリフッ化ビニリデン(KFポリマー、 レハ社製)のN-メチル-2-ピロリドン溶液(固形 10%)100部を加え、高速ディスパーにて撹拌・ 混合し、導電性下地層用ペーストとした(表11 及び表12を参照)。

[比較例12、17]
 カーボン分散体(32)95.2部(カーボン量として1 0部)に、ポリフッ化ビニリデン(KFポリマー、 レハ社製)のN-メチル-2-ピロリドン溶液(固形 分10%)100部、およびN-メチル-2-ピロリドン4.8部 を加え、高速ディスパーにて撹拌・混合し、 導電性下地層用ペーストとした(表11及び表12 参照)。

[比較例13、18]
 カーボン分散体(39)100部(カーボンブラック として10部)に、ポリフッ化ビニリデン(KFポ マー、クレハ社製)のN-メチル-2-ピロリドン 液(固形分10%)100部を加え、高速ディスパーに て撹拌・混合し、導電性下地層用ペーストと した(表11及び表12を参照)。

<リチウム二次電池用正極の作 >
[実施例1-33、比較例1-11]
 先に調製した正極合材ペーストを、集電体 なる厚さ20μmのアルミ箔上にドクターブレ ドを用いて塗布した後、減圧加熱乾燥、圧 処理して、厚さ100μmの正極合材層を作製し 。

[実施例34、比較例12、13]
 先に調製した電極下地層ペーストを、厚さ2 0μmのアルミ箔上にドクターブレードを用い 塗布した後、減圧加熱乾燥し、厚さ2μmの電 下地層を作製した。つづいて、電極下地層 に比較例1で調製した正極合材ペーストをド クターブレードで塗布した後、減圧加熱乾燥 し、厚さ100μmの正極合材層を作製した。ロー ルプレス等による圧延処理は行わなかった( 11を参照)。
[実施例55-71、比較例19]
 実施例3-19および、比較例1で使用した正極 材ペーストを、厚さ20μmのアルミ箔の両面に 塗布した後、減圧加熱乾燥し、圧延処理して 正極合材層を作製した(表13を参照)。

<リチウム二次電池用負極の作 >
[実施例35-53、比較例14-16]
 先に調製した各種負極合材ペーストを、集 体となる厚さ20μmの銅箔上にドクターブレ ドを用いて塗布した後、減圧加熱乾燥、圧 処理し、厚さ100μmの負極合材層を作製した

[実施例54、比較例17、18]
 先に調製した各種電極下地層ペーストを、 さ20μmの銅箔上にドクターブレードを用い 塗布した後、減圧加熱乾燥し、厚さ2μmの電 下地層を作製した。次に、電極下地層上に 較例14で調製した負極合材ペーストをドク ーブレードで塗布した後、減圧加熱乾燥し 厚さ100μmの負極合材層を作製した。ロール レス等による圧延処理は行わなかった(表12 参照)。
[実施例55-71、比較例19]
 実施例35-48、50-52および、比較例14で使用し 負極合材ペーストを、厚さ20μmの銅箔の両 に塗布した後、減圧加熱乾燥し、圧延処理 て負極合材層を作製した(表13を参照)。

<リチウム二次電池正極評価用 ルの組み立て>
[実施例1-34、比較例1-13]
 先に作製した正極を、直径9mmに打ち抜き作 極とし、金属リチウム箔(厚さ0.15mm)を対極 して、作用極および対極の間に多孔質ポリ ロピレンフィルムからなるセパレーター(セ ガード社製 #2400)を挿入積層し、電解液(エ レンカーボネートとジエチルカーボネート 1:1に混合した混合溶媒にLiPF 6 を1Mの濃度で溶解させた非水電解液)を満たし て二極密閉式金属セル(宝仙社製 HSフラット ル)を組み立てた。セルの組み立てはアルゴ ンガス置換したグローブボックス内で行い、 セル組み立て後、所定の電池特性評価を行っ た(表14~表16、表11を参照)。

<リチウム二次電池負極評価用 ルの組み立て>
[実施例35-54、比較例14-18]
 先に作製した負極を、直径9mmに打ち抜き作 極とし、金属リチウム箔(厚さ0.15mm)を対極 して、作用極および対極の間に多孔質ポリ ロピレンフィルムからなるセパレーター(セ ガード社製 #2400)を挿入積層し、電解液(エ レンカーボネートとジエチルカーボネート 1:1に混合した混合溶媒にLiPF 6 を1Mの濃度で溶解させた非水電解液)を満たし て二極密閉式金属セル(宝仙社製 HSフラット ル)を組み立てた。セルの組み立てはアルゴ ンガス置換したグローブボックス内で行い、 セル組み立て後、所定の電池特性評価を行っ た(表14~表16、表11を参照)。

<リチウム電池の金属コンタミ 性評価用セルの組み立て>
[実施例55-71、比較例19]
 先に作製した正極および負極を幅54mm、長さ 500mmに切り出し、ポリエチレンからなるセパ ーター(膜厚25μm、幅58mm、空孔率50%)を介在 せて巻回した。これを電池缶に納め、電解 を注液した。注液後、封口部を封止して電 を作製した(表13を参照)。
 尚、本実施例および比較例では、金属成分 入時の電池耐性を評価するために、電解液 して、エチレンカーボネートとジエチルカ ボネートを1:1に混合した溶媒にLiPF 6 を1Mの濃度で溶解させたものに、更に銅イオ 源としてCu(BF 4 ) 2 を10ppmもしくは、鉄イオン源としてFe(CF 3 SO 2 ) 2 を50ppm添加したものを使用した。

<リチウム二次電池正極特性評 >
[充放電サイクル特性 実施例1-32、34、比較例 1-10、12、13]
 作製した電池評価用セルを室温(25℃)で、充 電レート0.2C、1.0Cの定電流定電圧充電(上限電 圧4.2V)で満充電とし、充電時と同じレートの 電流で放電下限電圧3.0Vまで放電を行う充放 電を1サイクル(充放電間隔休止時間30分)とし このサイクルを合計20サイクル行い、充放 サイクル特性評価(評価装置:北斗電工社製SM- 8)を行った。また、評価後のセルを分解し、 極塗膜の外観を目視にて確認した。評価結 を表14~16、表11に示した。

[充放電サイクル特性 実施例33、比較例11]
 作製した電池評価用セルを室温(25℃)で、充 電レート0.2C、1.0Cの定電流定電圧充電(上限電 圧4.5V)で満充電とし、充電時と同じレートの 電流で放電下限電圧2.0Vまで放電を行う充放 電を1サイクル(充放電間隔休止時間30分)とし このサイクルを合計20サイクル行い、充放 サイクル特性評価(評価装置:北斗電工社製SM- 8)を行った。また、評価後のセルを分解し、 極塗膜の外観を目視にて確認した。評価結 を表16に示した。

[直流内部抵抗測定 実施例1-33、比較例1-11]
 作製した電池評価用セルを室温(25℃)、充電 レート0.2Cの定電流定電圧充電(上限電圧4.2V) 満充電とし、0.1C、0.2C、0.5C、1.0Cのレートの 電流で5秒放電後、電池電圧を測定した。電 流値に対し電圧値をプロットし、得られた直 線関係の傾きを内部抵抗とした。評価結果を 表14~表16に示すが、正極活物質としてコバル 酸リチウムを用いた場合については、実施 1の内部抵抗測定値を100としたときの相対値 として示した。正極活物質としてマンガン酸 リチウムを用いた場合については、実施例30 内部抵抗測定値を100としたときの相対値と て示した。また、正極活物質としてニッケ 酸リチウムを用いた場合については、実施 32の内部抵抗測定値を100としたときの相対 として示した。また、極活物質としてリン 鉄リチウムを用いたものについては、実施 33の内部抵抗測定値を100としたときの相対値 として示した。

 表14~表16から分かるように、実施例では、 較例に比べて、正極合材ペーストの分散性 よび経時安定性が向上した。また、比較例 比して、内部抵抗の低下傾向が見られると もに、電池容量および、20サイクル容量維持 率が向上した。また、実施例において、とり わけカーボンの濡れ性効果が大きなもので、 電池性能が良好となる傾向が大きくなった。
 また、本発明の電極下地層を設けた電極(実 施例34)では、密着性の向上が見られた。

<リチウム二次電池負極特性評 >
[充放電サイクル特性 実施例35-54、比較例14-1 8]
 作製した電池評価用セルを室温(25℃)、充電 レート0.2C、1.0Cの定電流定電圧充電(上限電圧 0.5V)で満充電とし、充電時と同じレートの定 流で電圧が1.5Vになるまで放電を行う充放電 を1サイクル(充放電間隔休止時間30分)とし、 のサイクルを合計20サイクル行い、充放電 イクル特性評価(評価装置:北斗電工製SM-8)を った。また、評価後のセルを分解し、電極 膜不良の有無を目視にて確認した。評価結 を表17、表12に示した。

 表17、表12から分かるように、実施例35~53で 、比較例14、15と比較して、負極合材ペース トの分散性および経時安定性が向上した。ま た、比較例14~16に比して、電池容量および、2 0サイクル容量維持率が向上した。また実施 において、とりわけカーボンの濡れ性効果 大きなもので、電池性能が良好となる傾向 大きくなった。
 また、本発明の電極下地層を設けた電極(実 施例54)では、密着性の向上が見られた。

<リチウム電池の金属コンタミ 性評価>
[充放電サイクル特性 実施例55-71、比較例19]
 作製した電池を室温(25℃)、充電レート1.0C 定電流定電圧充電(上限電圧4.0V)で満充電と 、充電時と同じレートの定電流で電圧が2.75V になるまで放電を行う充放電を1サイクル(充 電間隔休止時間30分)とし、このサイクルを 計20サイクル以上行った。評価としては、 期放電容量と20サイクル目の放電容量とから 、容量維持率を求め、容量維持率が95%以上の 場合を「◎」、90%以上95%未満を「○」、85%以 上90%未満を「△」、85%未満を「×」とした。 価結果を表18に示した。

 実施例55~71の電池では、20サイクル安定して 充放電サイクルを繰り返すことができた。ま た分散剤の酸性官能基が、スルホン酸基(-SO 3 H)、カルボキシル基(-COOH)、リン酸基(-P(O)(-OH) 2 )の場合に、20サイクル時の容量維持率が高く なる傾向が見られた。一方、比較例19では5サ イクルで充放電が不可能となった。評価後に セルを分解したところ、デンドライト状の金 属析出物により短絡が生じていた。

NMP:N-メチル-2-ピロリドン  PVDF:ポリフッ化ビ ニリデン

NMP:N-メチル-2-ピロリドン  PVDF:ポリフッ化ビ ニリデン