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Title:
COMPOSITION COMPRISING SESAMIN COMPONENT AND QUERCETIN GLYCOSIDE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/084482
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a means for promoting the absorption of a sesamin component in the body. The absorption of a sesamin component in the body can be promoted by using the sesamin component in combination with a quercetin glycoside.

Inventors:
TOMIMORI NAMINO (JP)
ONO YOSHIKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/073206
Publication Date:
July 09, 2009
Filing Date:
December 19, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SUNTORY HOLDINGS LTD (JP)
TOMIMORI NAMINO (JP)
ONO YOSHIKO (JP)
International Classes:
A61K31/36; A61K31/352; A61K47/26; A61P1/16; A61P3/06; A61P9/12; A61P35/00; A61P39/06; A61P43/00; C07D493/04; C07H17/07
Domestic Patent References:
WO2006014028A12006-02-09
WO2006070856A12006-07-06
Foreign References:
JP2006320341A2006-11-30
JP2008201763A2008-09-04
JP2008174553A2008-07-31
Attorney, Agent or Firm:
ONO, Shinjiro et al. (Section 206 New Ohtemachi Bldg.,2-1, Ohtemachi 2-chom, Chiyoda-ku Tokyo 04, JP)
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Claims:
少なくとも一種のセサミン類と少なくとも一種のケルセチン配糖体とを含有する組成物。
前記セサミン類の総重量を1とした場合の前記ケルセチン配糖体の総重量が、ケルセチン換算値で0.3以上である、請求項1記載の組成物。
セサミン類が、セサミンおよび/またはエピセサミンである、請求項1または2に記載の組成物。
前記ケルセチン配糖体が、式(II):
(式中、mは0又は1以上の整数である)で表される、ケルセチンの3位にグルコース1つがβ結合したイソクエルシトリン、及びイソクエルシトリンのグルコース残基に、さらに1つ以上のグルコースがα-1,4結合で付加したα-グリコシルイソクエルシトリンから選択される少なくとも一種の化合物である、請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
飲食品である請求項1~4に記載の組成物。
少なくとも一種のケルセチン配糖体を有効成分として含む、セサミン類の体内吸収促進剤。
セサミン類の体内吸収促進剤を製造するための、少なくとも一種のケルセチン配糖体の使用。
少なくとも一種のセサミン類と少なくとも一種のケルセチン配糖体を投与することを含む、セサミン類の体内吸収を促進する方法。
Description:
セサミン類及びケルセチン配糖 を含有する組成物

 本発明は、セサミン類の体内吸収性を促 するための組成物、セサミン類の体内吸収 進剤、及びそれらを利用する飲食品又は医 組成物に関する。

 セサミン類はゴマに含有されるリグナン 合物の一種である。なかでもセサミンとそ 立体異性体であるエピセサミンに関しては 血中コレステロール低下作用及び血中中性 質低下作用、肝機能改善作用、活性酸素消 作用、δ5不飽和化酵素阻害作用、過酸化脂 生成抑制作用、抗高血圧作用、悪酔防止作 、乳癌抑制作用等の種々の生理活性が報告 れている(特許文献1)。

 しかしながら、セサミン類を包含するリ ナン類化合物は、水に殆ど溶解しない上、 薬用又は食用に使用可能な有機溶媒に対し もある程度しか溶解しない。このような難 性のため、リグナン類化合物は生体内で吸 されにくいという問題を有する。

 脂溶性物質の体内吸収性を向上させる方 としては、例えば、脂溶性物質であるユビ カレノンを食用天然油脂や中鎖脂肪酸のト グリセリドに溶解させて液状にすることに り、ユビデカレノンの体内吸収を高める方 が開示されている(特許文献2)。

 また、脂溶性物質の体内吸収性を向上させ 別の方法として、脂溶性物質のミセルを微 化(微粒子化)する方法も提案されている。 えば、コエンザイムQ10と、特定のポリグリ リン、脂肪酸モノエステル等とからなる組 物で、平均粒子系を110nm以下とすることによ り、生体内吸収性が顕著に改善されたコエン ザイムQ10含有水溶性組成物が開示されている (特許文献3)。しかしながら、他の化合物との 組合せによりセサミン類の体内吸収性を向上 させた例は報告されていない。

WO2006/070856号パンフレット

特開昭54-92616号公報

特開2004-196781号公報

 脂溶性物質の体内吸収を促進し得る上記 手段を用いる場合には、脂溶性物質を油脂 に溶解させて液状にするか、又は脂溶性物 のミセルを含む液体とする必要がある。し しながら、セサミン類は油脂に対する溶解 が低く、一度に摂取するセサミン類の量を くする場合は、溶剤である油脂の量も多く ざるをえない。したがって、製剤化した場 、製剤が大きくなりすぎ、特にカプセル等 製剤化した場合には摂取粒数が多くなりす るといった問題があった。また、油脂摂取 の増加による余剰カロリーの摂取も懸念さ ていた。一方、吸収性向上を目的として、 セル形成させるためには、脂溶性物質を均 に乳化させる必要があり、また複雑な工程 必要とすることからコスト高に繋がるとい た問題もあった。

 そこで本発明の課題は、このような問題 を解決することのできる、セサミン類の体 吸収を促進するための新たな手段を提供す ことである。

 本発明者は、上記課題を解決するために 意検討した結果、セサミン類をケルセチン 糖体と組み合わせて用いることにより、セ ミン類の体内吸収を促進することが可能と ることを見出した。

 即ち、本発明は、以下のものに関する:
1.少なくとも一種のセサミン類と少なくとも 種のケルセチン配糖体とを含有する組成物;
2.セサミン類の総重量を1とした場合のケルセ チン配糖体の総重量が、ケルセチン換算値で 0.3以上である、1に記載の組成物;
3.セサミン類が、セサミンおよび/またはエピ セサミンである、1または2に記載の組成物;
4.ケルセチン配糖体が、式(I):

(式中、(X) n は糖鎖を、nは1以上の整数を意味する)で表さ れる化合物から選択される少なくとも一種で ある、1~3のいずれかに記載の組成物;
5.ケルセチン配糖体が、式(II):

(式中、mは0又は1以上の整数である)で表され 、ケルセチンの3位にグルコース1つがβ結合 したイソクエルシトリン、及びイソクエルシ トリンのグルコース残基に、さらに1つ以上 グルコースがα-1,4結合で付加したα-グリコ ルイソクエルシトリンから選択される少な とも一種の化合物である、4に記載の組成物;
6.飲食品である1~5のいずれかに記載の組成物;
7.医薬組成物である1~5のいずれかに記載の組 物;
8.少なくとも一種のケルセチン配糖体を有効 分として含む、セサミン類の体内吸収促進 。
9.セサミン類の体内吸収促進剤を製造するた の、少なくとも一種のケルセチン配糖体の 用。
10.少なくとも一種のセサミン類と少なくとも 一種のケルセチン配糖体を投与することを含 む、セサミン類の体内吸収を促進する方法。
11.少なくとも一種のセサミン類と少なくとも 一種のケルセチン配糖体を、ほぼ同時に、ま たは、一方を服用後に他方を投与することを 含む、セサミン類の体内吸収を促進する方法 。

 本発明によると、セサミン類とケルセチ 配糖体とを組合せて用いることにより、セ ミン類の体内吸収性を向上させることがで る。従って、セサミン類の投与量を増加さ ることなく、その生理活性を効率よく発揮 せることが可能となる。

 また、ケルセチン配糖体はポリフェノー 化合物の一種であり、強力な抗酸化活性や 血流改善等の様々な生理活性を有している その上、セサミン類及びケルセチン配糖体 、植物由来であるため極めて安全性が高い 従って、本発明は、セサミン類の吸収性を 上させるだけでなく、ケルセチン配糖体の 用な生理作用も期待でき、かつ安全で継続 取可能な飲食品、医薬用組成物を提供する とができる。

図1は、セサミン類混合物単独またはセ サミン類混合物とケルセチン配糖体を同時に 投与した場合のラットの血中セサミン濃度お よび血中エピセサミン濃度の総和(セサミン+ ピセサミン濃度)の経時変化を示す。 図2は、セサミン類の体内吸収量(AUC)に ぼすケルセチン配糖体45mg/kg及び150mg/kg(ケル セチン換算量としてそれぞれ18.3mg/kg及び61.1mg /kg)の効果を示す。 図3は、セサミン類の体内吸収量(AUC)に ぼすケルセチン配糖体5mg/kg及び15mg/kg(ケル チン換算量としてそれぞれ2.0mg/kg及び6.1mg/kg) の効果を示す。 図4は、セサミン類混合物単独およびセ サミン類とフラボノイド配糖体を同時に投与 した場合のラットの血中セサミン濃度および 血中エピセサミン濃度の総和(セサミン+エピ サミン濃度)の経時変化を示す。 図5は、セサミン類の体内吸収量(AUC)に ぼす各種フラボノイド配糖体の影響を示す 図6は、セサミン類混合物単独およびセ サミン類とビタミンCを同時に投与した場合 ラットの血中セサミン濃度および血中エピ サミン濃度の総和(セサミン+エピセサミン濃 度)の経時変化を示す。 図7は、セサミン類の体内吸収量(AUC)に タミンCが影響を及ぼさないことを示す。

 本発明は、セサミン類とケルセチン配糖 とを含有する組成物、及びセサミン類の体 吸収促進剤に関する。

  セサミン類
 本発明のセサミン類とは、セサミン、エピ サミン及びその類縁体を含む一連の化合物 総称である。前記のセサミン類縁体として 、例えば特開平4-9331号公報に記載されたジ キサビシクロ[3.3.0]オクタン誘導体がある。 セサミン類の具体例としては、セサミン、エ ピセサミン、セサミノール、エピセサミノー ル、セサモリン等を例示でき、これらの立体 異性体又はラセミ体を単独で、またはそれら の混合物を用いることができるが、本発明に おいては、セサミン及び/又はエピセサミン 好適に用いることができる。また、セサミ 類の代謝物(例えば、特開2001-139579号公報に 載)も、本発明の効果を示す限り、セサミン に含まれるセサミン類縁体であり、本発明 使用することができる。

 本発明に用いるセサミン類は、その形態 製造方法等によって、何ら制限されるもの はない。例えば、セサミン類としてセサミ を選択した場合には、通常、ゴマ油から公 の方法(例えば、特開平4-9331号公報に記載さ れた方法)によって抽出したセサミン(セサミ 抽出物または濃縮物という)を用いることも できるが、市販のゴマ油(液状)をそのまま用 ることもできる。しかしながら、ゴマ油を いた場合には、セサミン含量が低い(通常、 1%未満)ため、セサミンの生理作用を得るのに 必要なセサミンを配合しようとすると、処方 される組成物の単位投与当りの体積が大きく なり過ぎるため、摂取に不都合を生じること がある。特に、経口投与用に製剤化した場合 は、製剤(錠剤、カプセルなど)が大きくなり ぎて摂取に支障が生じる。したがって、摂 量が少なくてよいという観点からもゴマ油 らのセサミン抽出物(又はセサミン濃縮物) 用いることが好ましい。なお、ゴマ油特有 風味が官能的に好ましくないと評価される ともあることから、セサミン抽出物(又はセ ミン濃縮物)を公知の手段、例えば活性白土 処理等により無味無臭としてもよい。

 このように、セサミン類としては、ゴマ 等の食品由来の素材から抽出及び/又は精製 によりセサミン類の含有濃度を向上させて得 られるセサミン類濃縮物を用いるのが好まし い。濃縮の度合いは、用いるセサミン類の種 類や配合する組成物の形態により適宜設定す ればよいが、通常、セサミン類が総量で1重 %以上となるように濃縮されたセサミン類濃 物を用いるのが好ましい。セサミン類濃縮 中のセサミン類総含量は、20重量%以上がよ 好ましく、さらに50重量%以上が好ましく、 らにまた70重量%以上が好ましく、90重量%以 まで濃縮(精製)されたものが最適である。

  ケルセチン配糖体
 本発明のケルセチン配糖体とは、下記の式( I):

(式中、(X) n は糖鎖を、nは1以上の整数を意味する)で示さ れるケルセチンの3位のヒドロキシ基に1以上 糖鎖がグリコシド結合した一連の化合物の 称である。ここで、ケルセチンにグリコシ 結合するXで表される糖は、例えば、グルコ ース、ラムノース、ガラクトース、グルクロ ン酸等であり、好ましくはグルコース、ラム ノースである。また、nは1以上であれば特に 限されないが、好ましくは1~16程度、さらに 好ましくは1~8程度である。本発明においては 、これらケルセチン配糖体に含まれる化合物 を単独で用いてもよいし、複数の化合物の混 合物を用いてもよい。

 本発明の好ましい式(I)のケルセチン配糖 は、式(II):

(式中、Glcはグルコース残基を、mは0又は1以 の整数を意味する)で示される、ケルセチン 3位にグルコース1つがβ結合したイソクエル シトリン(以下、単に「IQC」ともいう)、及び 該IQCのグルコース残基に、さらに1~15程度の グルコースがα-1,4結合で付加した個々のα-グ リコシルイソクエルシトリンである。特に、 本発明においては、IQCのグルコース残基に、 0~7つのグルコースがα-1,4結合したケルセチン 配糖体が好適に用いられる。

 本発明に用いるケルセチン配糖体は、そ 形態や製造方法等によって何等制限される のではなく、例えばケルセチン配糖体を多 含むことが知られているタマネギなどから 知の方法により抽出したものをそのまま用 ることもできるし、合成品を用いることも きる。飲食品や医薬組成物とする場合、有 量を配合するためには、濃縮、精製等の操 によって含有量を高めたもの(ケルセチン配 糖体濃縮物または精製物)を用いることが好 しい。この場合の濃縮方法、精製方法は公 のものを利用することができる。また、必 に応じて酵素処理等により、所望の糖鎖を 合させたケルセチン配糖体を用いることも きる。例えば、イソクエルシトリンは、WO200 5/030975号パンフレットに記載されている方法 即ち、ルチンを、特定の可食性成分の存在 でナリンギナーゼで処理する方法によって 造することができる。さらに、WO2005/030975号 によると、イソクエルシトリンを糖転移酵素 で処理することにより、前記式(II)の化合物(m は1以上の整数)に相当するα-グリコシルイソ エルシトリンを得ることができる。

 また、本発明において用いられるケルセ ン配糖体は、商品名サンメリン(登録商標)AO -1007またはサンメリン(登録商標)C-10として三 源エフ・エフ・アイ株式会社から商業的に 手可能である。

  セサミン類とケルセチン配糖体と を含有する組成物及びセサミン類の体内吸収 促進剤
 本発明は、セサミン類とケルセチン配糖体 組み合わせることにより、セサミン類の体 吸収性を高め、その生理活性を効率的に発 させることができるとともに、健康食品等 して利用することで、それぞれの成分の生 作用により、健康増進を図ることができる

 本発明のセサミン類とケルセチン配糖体 を含有する組成物(飲食品、医薬組成物等) におけるセサミン類とケルセチン配糖体の 合量及び配合比率は、セサミン類の体内吸 が促進され、生理活性が効率的に発揮され 範囲であれば特に制限されず、組成物の形 や対象となる病態等の条件によって適宜選 すればよい。なお、本明細書においてケル チン配糖体の量を示す場合には、ケルセチ 配糖体の量をアグリコンであるケルセチン 量に換算した値を用いる。換算値は、具体 には、ケルセチン配糖体の量を分子量で除 ことで得られたケルセチン配糖体のモル数 、ケルセチンの分子量302.24をかけることで 出できる。従って、この値を測定する場合 は、ケルセチン配糖体に例えばβ-グルクロ ダーゼ(セルラーゼオノヅカRSヤクルト)やα- ルコシダーゼ(ライス由来)などのグリコシ ーゼで公知の手段により加水分解を行い、 ロマトグラフィー等の公知の手段を用いて 有されるケルセチンのモル数を測定し、そ モル数にケルセチンの分子量をかければよ 。本願明細書においては、このようにして ルセチン配糖体の量がケルセチンの量に換 された値を、「ケルセチン量に換算された 値又は「ケルセチン換算値」等とも表す。

 特にヒト(成人)を対象に投与する場合、 サミン類の総配合量としては、好ましくは 成人1日当り1~200mgを摂取できるような量であ り、より好ましくは5~100mg程度を摂取できる にするとよい。また、ケルセチン配糖体の 配合量としては、ケルセチン換算値として5m g~200mg、好ましくは5mg~100mg程度を摂取できる うな量にするとよい。

 本発明の組成物には、組成物の全重量に よるが、例えばセサミン類を1~100mg、好まし くは1~60mg、より好ましくは3~60mg程度の量で配 合することができる。また、ケルセチン配糖 体をケルセチン換算値として、5~200mg、好ま くは5~100mg、より好ましくは5~60mg程度の量を 合することができる。

 本発明の組成物(飲食品、医薬組成物等) における、セサミン類の総配合割合は、組 物全重量に対し、好ましくは1重量%以上であ り、より好ましくは1~50重量%であり、さらに ましくは1~10重量%であるのがよいが、本発 の組成物の形態が液剤である場合、組成物 重量に対するセサミン類の総配合割合は0.000 2~0.4重量%程度、好ましくは0.001~0.04重量%、さ に好ましくは0.002~0.02重量%であることがで る。一方、組成物中におけるケルセチン配 体の総配合割合は、組成物全重量に対し、 ルセチン換算値として好ましくは0.5~40重量% あり、より好ましくは0.5~35重量%、さらに好 ましくは1~25重量%であるのがよいが、本発明 組成物の形態が液剤である場合、組成物全 量に対するケルセチン配糖体の総配合割合 、ケルセチン換算値として0.001~10重量%、好 しくは0.001~1重量%、さらに好ましくは0.001~0. 5重量%とすることができる。ここで言う液剤 は、水溶性の液体で容器詰の飲料形態で提 されるものをいい、例えば後述するような リンク剤、清涼飲料、茶飲料、溶液剤、懸 液剤、シロップ剤等が挙げられる。

 本発明のセサミン類とケルセチン配糖体 を含有する組成物においては、その配合比 に制限はないが、セサミン類の体内吸収促 効果を期待するのであれば、セサミン類の 量とケルセチン量に換算されたケルセチン 糖体の総量との比率は、重量で1:0.2又は0.3 上、好ましくは重量で1:0.3~1:50、より好まし は重量で1:0.6~1:20、さらに好ましくは重量で 1:0.6~1:10である。

 このようにして、本発明は、セサミン類 体内吸収を促進することができる。この効 は、例えば、実施例1~4に示されているよう 、セサミン類の血中濃度を測定することに り確認することができる。

 以下の実施例に詳細に説明するが、発明 らは、セサミン類10mg/kg(動物の体重1kg当り セサミン類の量(mg))に加えてケルセチン配糖 体を15~150mg/kg(ケルセチン換算値として6.1~61.1m g/kg)投与することにより、セサミン類10mg/kgの みの投与の場合に比べて、セサミン類の体内 吸収性が顕著に増強されることを確認してい る。

 上記の通り、セサミン類とケルセチン配 体を組合せることにより、セサミン類の体 吸収性が顕著に増強される。従って、本発 は、ケルセチン配糖体を有効成分として含 するセサミン類の体内吸収促進剤としても 用できる。

 ケルセチン配糖体を含有するセサミン類 体内吸収促進剤におけるケルセチン配糖体 配合率、配合量及びケルセチン配糖体の摂 量は、セサミン類及びケルセチン配糖体を 有する組成物におけるケルセチン配糖体の 合率、配合量等に関して上記した数値に基 いて適宜決定することができる。また、セ ミン類とそれと共に投与される体内吸収促 剤との比率も、セサミン類及びケルセチン 糖体を含有する組成物に関して上記した通 である。

  飲食品及び医薬品
 本発明の組成物及び体内吸収促進剤は、飲 品(機能性食品、健康補助食品、栄養機能食 品、特別用途食品、特定保健用食品、栄養補 助食品、食事療法用食品、健康食品、サプリ メント等)及び医薬品の形態で提供すること 好適である。そのような飲食品及び医薬品 は、セサミン類とケルセチン配糖体とを含 飲食組成物及び医薬組成物、及び当該組成 を含むか又は添加した飲食品及び医薬品が まれる。また、ケルセチン配糖体を有効成 として含有するセサミン類の体内吸収促進 を含むか又は添加した飲食品及び医薬品も まれる。

 また、飲食品及び医薬品は、ペットの餌 して加工したペットフードや動物飼料等、 びに動物用医薬でもよい。

 セサミン類とケルセチン配糖体とを含む 食品及び医薬品は、血中コレステロール低 作用及び血中中性脂質低下作用、肝機能改 作用、活性酸素消去作用、δ5不飽和化酵素 害作用、過酸化脂質生成抑制作用、抗高血 作用、悪酔防止作用、乳癌抑制作用等など 、セサミン類が有効であると考えられる種 の生理作用を得るために使用することがで る。また、ケルセチン配糖体を含有するセ ミン類の体内吸収促進剤である飲食品及び 薬品は、セサミン類に上記のような種々の 理作用を効率的に発揮させるために使用さ 得る。

 本発明の組成物を飲食品として提供する 合、その形態は、錠剤、カプセル剤、粉末 、顆粒剤、ドリンク剤(溶液剤及び懸濁液剤 が含まれる)等の健康食品の形態で提供する とも、清涼飲料、茶飲料、ヨーグルトや乳 菌飲料等の乳製品、調味料、加工食品、デ ート類、菓子(例えば、ガム、キャンディ、 リー)等の形態で提供することも可能である が、これらに限定されない。

 また、本発明の組成物を医薬品として用 る場合、その投与形態は経口投与でもよい 、注射剤等の形態で投与してもよく、各々 投与に適した製剤として公知のものを適宜 いればよい。例えば、経口投与に適した製 には、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、 液剤、懸濁液剤、シロップ剤などが含まれ が、これらに限定されない。

 本発明の組成物は、必要に応じて、セサ ン類とケルセチン配糖体の他に、任意の添 剤、通常の飲食品や医薬品に用いられる任 の成分を含有することができる。これらの 加剤及び/又は成分の例としては、ビタミン E、ビタミンC等のビタミン類、ミネラル類、 養成分、香料などの生理活性成分のほか、 剤化において配合される賦形剤、結合剤、 化剤、緊張化剤(等張化剤)、緩衝剤、溶解 助剤、防腐剤、安定化剤、抗酸化剤、着色 、凝固剤、コーティング剤等が挙げられる

 なお、セサミン類とケルセチン配糖体を 別に製剤化して、それらをほぼ同時に、ま は、一方の製剤を服用後、その効き目が持 している間に他方の製剤を服用すれば、本 明の意図するセサミン類の体内吸収促進作 が得られる。よって、ケルセチン配糖体を 有するセサミン類の体内吸収促進剤とセサ ン類含有組成物とを含むキット等も、本発 の意図するものである。キット中に別々に まれる各成分は、同時に摂取しても良いし 逐次的又は別々に摂取してもよい。

 当該キットは、それら組成物又は製剤を 容するための1又は複数の容器を有すること ができ、それら2種類の組成物又は製剤は同 の容器に収容されてもよいし、別々に異な 容器に収容されてもよい。或いは、それら 成物又は製剤は、仕切りなどで分けられた 一容器内の異なる区画中に別々に収容され もよい。容器としては、公知のいずれのも を用いてもよく、それには、ボトル、バッ 、PTPシート等が含まれる。例えば、キット 、上記2種類の組成物又は製剤を別々に収容 た2つのボトルやバッグを含有するパッケー ジであることができる。また、キットは、異 なる区画に上記の2種類の組成物又は製剤(例 ば錠剤)を別々に収容するPTPシートを含むこ ともできる。

 本発明を以下の実施例によりさらに詳し 説明するが、これにより本発明の範囲を限 するものではない。当業者は、本発明の方 を種々変更、修飾して使用することが可能 あり、これらも本発明の範囲に含まれる。

  実施例1
 SD(IGS)系雄性ラット(7週齢)を日本チャールス リバー社より購入し、1週間試験環境下で馴 させた後、順調な発育を示した動物を選択 て試験に供した。一晩絶食したラットを各 6匹からなる3群に分け、第1群(コントロール) には蒸留水を5ml/kgおよびセサミン及びエピセ サミンの1:1混合物(竹本油脂株式会社より購 :以下、「セサミン類混合物」とも称する)の オリーブ油溶液(10mg/3ml)を3ml/kg、第2群にはケ セチン配糖体蒸留水溶液(45mg/5ml)を5ml/kgおよ びセサミン類混合物のオリーブ油溶液(10mg/3ml )を3ml/kg、第3群にはケルセチン配糖体蒸留水 液(150mg/5ml)を5ml/kgおよびセサミン類混合物 オリーブ油溶液(10mg/3ml)を3ml/kg、ゾンデを用 て経口投与した。投与前に、そして投与開 後1, 2, 4, 6, 8, 10, 24時間後に尾静脈より パリン採血管にて血液を採取し、遠心分離 作(8000rpm、10min)により血漿サンプルを得た 当該サンプルに内部標準物質(ユーデスミン: フナコシ株式会社)を添加した後にOasis HLBで 相抽出を行い、得られた溶液を減圧濃縮し メタノール中に濁懸し、これをフィルター 過して得られた溶液をLC-MS/MSに付してセサ ンの定量を行った。セサミン類の量は、そ らのピーク面積と、内部標準として用いた ーデスミンのピーク面積との比により決定 た。LC-MS/MS分析条件を以下に示す。なお、本 実施例ではケルセチン配糖体として、イソク エルシトリンのグルコースに、更にグルコー スが0-7つα結合したものの混合物(平均分子量 740.9)を用いた(三栄源エフ・エフ・アイ株式 社より入手)。なお、上記のケルセチン配糖 45mg、150mgは、ケルセチン量に換算すると、 れぞれ18.3mg、61.1mgである。

 (HPLC)
カラム:Develosil C30-UG-5(5μm、2.0φ×50mm、野村化 学社製)
移動相:A;蒸留水、B;メタノール、D;100mM酢酸ア ンモニウム水溶液
流速:0.25ml/min
グラジェントプログラム:B液55%、D液10%のアイ ソクラクティック(0~2分);B液55%→60%、D液10%→1 0%(2~5分);B液60%→85%、D液10%→10%(5~7分)
 (MS/MS)
  測定モード:選択反応モニタリング
  検出 :セサミン(保持時間約5.1分);前駆イ ンm/z=372([M+NH4] + )、生成イオンm/z=233
     :エピセサミン(保持時間約5.4分);前駆 オンm/z=372([M+NH4] + )、生成イオンm/z=233
     :ユーデスミン(保持時間約2.9分);前駆 オンm/z=369([M-H2O] + )、生成イオンm/z=298
  イオン化法:ESI法
 結果を図1及び2に示す。セサミン類混合物 単独で投与した際のセサミン類(セサミン及 エピセサミン)の合計最大血中濃度(Cmax)は18. 0ng/mlであるのに対して、セサミン類混合物と ケルセチン配糖体45mg/kg(ケルセチン換算18.3mg/ kg)を同時に摂取するとセサミン類の合計最大 血中濃度(Cmax)は29.1ng/mlに、ケルセチン配糖体 150mg/kg(ケルセチン換算61.1mg/kg)を同時に摂取 るとセサミン類の合計最大血中濃度(Cmax)は33 .0ng/mlに上昇した(図1)。セサミン類の体内吸 量(AUC)も、セサミン類混合物単独で投与した 場合に比べて、ケルセチン配糖体45mg/kg(ケル チン換算18.3mg/kg)を同時に摂取すると1.25倍 ケルセチン配糖体150mg/kg(ケルセチン換算61.1m g/kg)を同時に摂取すると1.74倍と顕著な上昇が 認められた(図2)。

 以上の結果より、セサミン類とケルセチ 配糖体を同時に摂取することにより、ケル チン配糖体の用量依存的にセサミン類の体 吸収量が増加し、セサミン類が有するさま まな生理活性を増強することが可能である とが示唆された。

  実施例2
 セサミン類の吸収量を増加させるために必 なケルセチン配糖体の最小必要量を見出す めに、さらにケルセチン配糖体の用量を下 てその効果を検証した。

 ケルセチン配糖体の投与量を変える以外 実施例1に準じて実験を行った。つまり、一 晩絶食したラットを各群6匹からなる3群に分 、第1群(コントロール)には蒸留水を5ml/kgお びセサミン類混合物のオリーブ油溶液(10mg/3 ml)を3ml/kg、第2群にはケルセチン配糖体蒸留 溶液(5mg/5ml)を5ml/kgおよびセサミン類混合物 オリーブ油溶液(10mg/3ml)を3ml/kg、第3群にはケ ルセチン配糖体蒸留水溶液(15mg/5ml)を5ml/kgお びセサミン類混合物のオリーブ油溶液(10mg/3m l)を3ml/kg、ゾンデを用いて経口投与し、実施 1と同様に経時的に血中濃度を測定した。な お、上記のケルセチン配糖体5mg、15mgは、ケ セチン量に換算すると、それぞれ2.0mg、6.1mg ある。

 セサミンのAUCの測定結果を図3に示す。セ サミンの体内吸収量(AUC)は、ケルセチン配糖 5mg/kg(ケルセチン換算2.0mg/kg)を同時に摂取す るとセサミン類混合物を単独で摂取したコン トロール群の1.04倍であり、特にケルセチン 糖体15mg/kg(ケルセチン換算6.1mg/kg)を同時に摂 取するとコントロール群の1.13倍と顕著な上 が認められた。

 なお、データは示さないが、上記のよう 吸収促進効果はセサミンとエピセサミンに して同程度に発揮されることが確認された

 以上の結果より、セサミン類の血中濃度 上昇させるためには、セサミン類10mgに対し ケルセチン配糖体が5mg(ケルセチン換算で2.0mg )以上必要であり、特に15mg(ケルセチン換算で 6.1mg)以上を併用すると顕著な吸収促進効果が 得られることが明らかとなった。

  実施例3
 セサミン類の体内吸収性を改善する作用が ルセチン配糖体に特有の作用であるか否か べる目的で、グルコース以外の糖を有する ルセチン配糖体であるルチンとセサミン類 の相互作用、及び他のフラボノイド配糖体 セサミン類との相互作用について評価した ルチン(フナコシ株式会社)、他のフラボノ ド配糖体としてαG-ヘスペリジン(林原商事) ナリンジン(シグマ社)を用い、ケルセチン配 糖体で最も効果が高かった用量(150mg/kg=200μmol /kg)に相当する濃度でセサミン類の吸収に及 す影響を検証した。実験は被検物質を変え 以外は実施例1に準じて行った。つまり、一 絶食したラットを各群4匹からなる4群に分 、第1群(コントロール)には0.5% CMC濁懸水を5m l/kgおよびセサミン類混合物のオリーブ油溶 (10mg/3ml)を3ml/kg、第2群にはαG-ヘスペリジン 0.5% CMC濁懸水(200μmol/5ml)を5ml/kgおよびセサミ ン類混合物のオリーブ油溶液(10mg/3ml)を3ml/kg 第3群にはルチンの0.5% CMC濁懸水(200μmol/5ml) 5ml/kgおよびセサミン類混合物のオリーブ油 液(10mg/3ml)を3ml/kg、第4群にはナリンジンの0.5 %CMC濁懸水(200μmol/5ml)を5ml/kgおよびセサミン類 混合物のオリーブ油溶液(10mg/3ml)を3ml/kg、ゾ デを用いて経口投与し、経時的にセサミン びエピセサミンの血中濃度を測定した。

 結果を図4及び5に示す。セサミンとαG-ヘ ペリジンとの併用及びナリンジンとの併用 場合には、セサミン及びエピセサミンのCmax の低下が認められた(図4)。また、セサミンの 体内吸収量(AUC)を比較すると、ルチンを併用 た場合の体内吸収量はコントロールと比較 て増加した(1.04倍)が、セサミン類混合物と G-ヘスペリジンを同時に摂取するとセサミン 体内吸収量はコントロールの0.71倍に、セサ ン類混合物とナリンジンを同時に摂取する セサミン体内吸収量はコントロールの0.59倍 減少した(図5)。

 本実施例の結果より、セサミン類の体内 収量を増加させる作用はフラボノイド全般 見られる作用ではなく、ケルセチン配糖体 特有の作用であることが示唆された。

  実施例4
 ケルセチン配糖体は、抗酸化作用を有する とが知られている(例えば、特開平1-213293号 報を参照されたい)。本実施例では、セサミ ンの体内吸収性を向上させる作用が抗酸化剤 全般に認められるものであるか否か調べる目 的で、代表的な抗酸化剤であるビタミンCと サミン類との相互作用について評価した。

 ナカライテスク株式会社のビタミンCを用 いて、ケルセチン配糖体で最も効果が高かっ た用量(150mg/kg=200μmol/kg)に相当する濃度でセ ミンの吸収に及ぼす影響を検証した。実験 被検物質を変える以外は実施例1に準じて行 た。つまり、一晩絶食したラットを各群4匹 からなる2群に分け、第1群(コントロール)に 蒸留水5ml/kgおよびセサミン類混合物のオリ ブ油溶液(10mg/3ml)を3ml/kg、第2群にはビタミン Cの蒸留水溶液(200μmol/5ml)を5ml/kgおよびセサミ ン類混合物のオリーブ油溶液(10mg/3ml)を3ml/kg ゾンデを用いて経口投与し、経時的にセサ ン類の血中濃度を測定した。

 結果を図6、7に示す。セサミン類混合物 ビタミンCを同時に摂取してもセサミン類の 収・消失になんら影響は認められず、セサ ン類混合物単独で投与した場合と同様の血 濃度推移を示した(図6)。またセサミンの体 吸収量(AUC)は、ビタミンCを併用してもコン ロールの1.00倍にとどまり、なんら影響は認 められなかった(図7)。

 本実施例の結果より、セサミン類の体内 収量を増加させる作用は水溶性抗酸化剤全 に見られる作用ではなく、ケルセチン配糖 に特有の作用であることが示唆された。

 実施例3及び4に示した通り、構造及び作 の面でケルセチン配糖体に類似した化合物 関してセサミン類吸収向上作用を検証した 、当該作用はケルセチン配糖体に特有のも であることが示された。

  実施例5:処方例
(製剤例1)顆粒剤
    セサミン           10g
    ケルセチン配糖体       50g(ケルセ ン換算値20g)
    酢酸トコフェロール     0.5g
    無水ケイ酸          41g
    トウモロコシデンプン   98.5g
 以上の粉体を均一に混合した後に10%のハイ ロキシプロピルセルロース・エタノール溶 100mlを加え、常法通り練和し、押し出し、 燥して顆粒剤を得た。
(製剤例2)カプセル剤
    ゼラチン           60.0%
    グリセリン          30.0%
    パラオキシ安息香酸メチル   0.15%
    パラオキシ安息香酸プロピル  0.51%
    水              適量
 上記成分からなるソフトカプセル剤皮の中 、以下に示す組成物を常法により充填し、1 粒360mgのソフトカプセルを得た。

    セサミン         3.5mg
    ケルセチン配糖体     10mg(ケルセチ 換算値4.1mg)
    ビタミンE        35mg
    グリセリン脂肪酸エステル 15.0mg
    ミツロウ          15.0mg
    小麦胚芽油        219.4mg
(製剤例3)錠剤
    セサミン          10g
    ケルセチン配糖体      90g(ケルセチ ン換算値36.7g)
    ビタミンE         50g
    デンプン         142g
    ショ糖脂肪酸エステル   9.0g
    酸化ケイ素        9.0g
 これらを混合し、単発式打錠機にて打錠し 径9mm、質量300mgの錠剤を製造した。
(製剤例4)ドリンク剤
    呈味: DL-酒石酸ナトリウム 0.1g         
    コハク酸          0.009g
    甘味:液糖           800g
    酸味:クエン酸          12g
    ビタミンC            10g
    セサミン              1g
    ケルセチン配糖体      24.5g(ケルセ ン換算値10g)
    ビタミンE            20g
    シクロデキストリン         5g
    乳化剤               5g
    香料              15ml
    塩化カリウム            1g
    硫酸マグネシウム        0.5g
 上記成分を配合し、水を加えて10リットル した。このドリンク剤は、1回あたり約100ml 飲用する。