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Patent Searching and Data


Title:
COMPOSITION FOR FEED, AND FEED COMPRISING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/151048
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a particulate composition for a feed.  The composition is characterized by comprising a cashew nut shell oil and/or an anacardic acid component and an oil sorbent, wherein the cashew nut shell oil and/or the anacardic acid component is contained at a ratio of 25 to 65 mass% relative to the total amount of the composition.

Inventors:
NAGASHIMA KYO (JP)
MOCHIZUKI MASAMI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/060519
Publication Date:
December 17, 2009
Filing Date:
June 09, 2009
Export Citation:
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Assignee:
IDEMITSU KOSAN CO (JP)
NAGASHIMA KYO (JP)
MOCHIZUKI MASAMI (JP)
International Classes:
A23K1/18; A23K1/16; A23K1/175
Domestic Patent References:
WO2006137289A12006-12-28
WO2001028551A12001-04-26
Foreign References:
JP2001151675A2001-06-05
JPH08231410A1996-09-10
JP2007209224A2007-08-23
JPH08231410A1996-09-10
JPH03240721A1991-10-28
JPH03240716A1991-10-28
Other References:
BENCHAAR ET AL., CAN. J. ANIM. SCI., vol. 86, 2006, pages 91 - 96
SHU ET AL., FEMS IMMUNOLOGY & MEDICAL MICROBIOLOGY, vol. 26, no. 2, 1999, pages 153 - 158
DILORENZO ET AL., J. ANIM. SCI., vol. 84, 2006, pages 2178 - 2185
MUROI, H. ET AL., BIOORGANIC & MEDICINAL CHEMISTRY, vol. 12, 2004, pages 583 - 587
HIMEJIMA M.; KUBO I., J. AGRIC. FOOD CHEM., vol. 39, 1991, pages 418 - 421
VAN NEVEL C. J. ET AL., APPLIED MICROBIOLOGY, vol. 21, 1971, pages 365 - 366
Attorney, Agent or Firm:
KAWAGUCHI, Yoshiyuki et al. (JP)
Yoshiyuki Kawaguchi (JP)
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Claims:
カシューナッツ殻油及び/又はアナカルド酸類と吸油剤からなり、前記カシューナッツ殻油及び/又はアナカルド酸類を飼料用組成物全量基準で25質量%~65質量%含有することを特徴とする、粉粒状の飼料用組成物。
カシューナッツの殻粉砕物と吸油剤からなり、前記カシューナッツ殻粉砕物を飼料用組成物全量基準で10質量%~90質量%含有することを特徴とする、粉粒状の飼料用組成物。
前記吸油剤が酸化マグネシウム、ステアリン酸塩、タルクおよびシリカの群から選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項1又は2記載の粉粒状の飼料用組成物。
前記吸油剤が100g当たり50~300gの油を吸着する吸油剤である、請求項3記載の粉粒状の飼料用組成物。
前記吸油剤が粒径2~200μmの粒子であることを特徴とする、請求項4に記載の粉粒状の飼料用組成物。
さらに硬化油を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の粉粒状の飼料用組成物。
請求項1~6のいずれか1項に記載の飼料用組成物を含むことを特徴とする、飼料。
前記カシューナッツ殻油を飼料全量基準で0.02~4.0質量%含有することを特徴とする請求項7記載の飼料。
反芻動物用である、請求項7又は8記載の飼料。
請求項7~9のいずれか1項記載の飼料を摂取させることを特徴とする家畜の飼育方法。
粉粒状の飼料用組成物を製造するための、カシューナッツ殻油及び/又はアナカルド酸類と吸油剤の使用。
カシューナッツ殻油及び/又はアナカルド酸類と吸油剤を投与することを特徴とする家畜の治療方法。
Description:
飼料用組成物およびそれを含有 る飼料

 本発明は、カシューナッツ殻油(CNSL)及び/ 又はアナカルド酸類と吸油剤を含有する飼料 用組成物、飼料及びこれらを用いた反芻動物 などの飼育方法に関する。本発明はまた、カ シューナッツ殻粉砕物と吸油剤を含有する飼 料用組成物、飼料及びこれらを用いた反芻動 物などの飼育方法に関する。

 牛や羊などの反芻動物はルーメン内で微生 によって飼料を消化・発酵させ、その発酵 産物を利用して生きている。そのため、ル メンからのメタン発生は、飼料のエネルギ 効率の損失となる。更には、メタンは地球 暖化に影響を及ぼす温暖化ガスであること ら、反芻動物のルーメンにおけるメタン生 を減らすことは重要である。
 ルーメン内のメタン生成菌は水素を利用し 二酸化炭素を還元してメタンを生成してい 。メタンの温暖化に対する寄与率は二酸化 素に次いで高く、総メタン放出量のうち、 芻動物から放出されるメタンは15~20%を占め とされる。

 抗生物質を家畜飼料に少量添加することに り、家畜の成長が促進することが1940年代に 発見された。それ以来、家畜の成長を促進し て飼料効率を上げる手段として、家畜の飼料 に抗生物質を添加することが広く行われてき た。
 抗生物質は、(1)家畜の病原菌感染の予防、( 2)代謝の改善、(3)腸内の有害菌の増殖抑制な の効果により成長促進作用を表すとされて るが、詳細は依然不明である。その一方、 料に抗生物質を混ぜることにより結果とし 抗生物質を広く環境にばら撒くこととなり そのため発生する抗生物質耐性菌の出現が 会問題となっている。近年、抗生物質の飼 への添加が厳しく規制されるようになって ており、欧州では2006年1月までに成長促進 目的とした抗生物質の使用が禁止されてい 。また、生産者からも抗生物質を使用しな 畜産物に対する要望は強く、抗生物質の代 物のニーズは大きくなってきている。

 抗生物質であるモネンシン等のイオノフ ア類は、反芻動物用の飼料に広く使用され いる。モネンシンは、ルーメン微生物に対 て選択的な抑制効果を示し、結果としてメ ン生成を低減させ、プロピオン酸生成を促 する働きがある。プロピオン酸は他の揮発 脂肪酸に比べてATP生成効率が高いことから プロピオン酸の生成促進により飼料効率が 善される。

 反芻動物用飼料に添加するモネンシン等 代替物の開発も望まれている。代替物とし は、植物抽出油(非特許文献1)、抗乳酸生成 ワクチン(非特許文献2)、抗乳酸生成菌鶏卵 体(非特許文献3)などが研究されている。し しながら、これらの技術は効果が一定しな 、飼料としての登録が認められないなどの 題が残されており実用化には至っていない また、グルコン酸(特許文献1)が研究されて るがプロピオン酸生成量は実証されておら 、メタン生成抑制効果は知られていない。

 家畜の感染症は、家畜の体重を減少させた 、様々な病状を引き起したりするなど、そ 商品価値を著しく低下させる。例えば、ス フィロコッカス・アウレウス( Staphylococcus   aureus )は、ウシ、ヒツジ、ヤギの乳房炎、皮下腫 、膿血症、馬の発疹、豚、鶏の関節炎、皮 炎、敗血症の原因菌である。また、ストレ トコッカス・スイス( Streptococcus   suis )は、豚の髄膜炎、敗血症、心内膜炎、関節 の原因菌であり、ストレプトコッカス・ボ ス( Streptococcus   bovis )はウシの鼓脹症の原因菌である。
 鼓脹症は第一胃内容液が泡沫状になること ガスと液が分離しなくなり、たまったガス あい気で外に出せなくなった状態であり、 臓と肺を圧迫し、そのままだと死んでしま 。粗飼料が少なく、トウモロコシなどのデ プン質の多く含まれるエサを与えると、ル メン内で Streptococcus   bovis が増え、産生された粘性物質のためルーメン 液が泡沫状になる。

 カシューナッツ殻油には、抗菌作用(非特許 文献4)、コクシジウム症軽減作用(特許文献2) 知られている。また、反芻動物のルーメン 能改善効果に関しては、アナカルド酸を用 た試験管試験結果(非特許文献6)が報告され いるものの、実際の動物での再現性、適用 および最適含有量に関しては開示がない。
 また、カシューナッツ殻油が Staphylococcos   aureus Streptococcus   mutans Bacillus   subtilis Bacillus   ammoniagenes のようなグラム陽性菌に抗菌作用があり、 Escherichia   coli Enterobacter   aerogenes Pseudomonas   aeruginosa のようなグラム陰性菌および Saccharomyces   cerevisiae Candida   utilis Penichillium   chrysogenum のような真菌に抗菌作用が無いことが報告さ れているが(非特許文献5)、カシューナッツ殻 油の S.   bovis に対する抗菌作用は知られておらず、鼓脹症 予防効果に関しては報告が全く無い。
 前記カシューナッツ殻油は室温で液体から 体のため、飼料に均一に混和する事は困難 あり製剤化する必要性がある。また、カシ ーナッツ殻粉砕物もゼリー状であり、飼料 均一に混和できる製剤化が必要である。

WO01/028551号公報

特開平8-231410号公報

Benchaar et al., Can.J.Anim.Sci. 86, 91-96 (2006 ) Shu et al., FEMS Immunology & Medical Micro biology, 26(2), 153-158 (1999) DiLorenzo et al., J.Anim.Sci., 84,2178-2185 (2006 ) Muroi, H. et al. Bioorganic & Medicinal Che mistry 12,583-587(2004) Himejima M. and Kubo I., J.Agric.Food Chem., 39 , 418-421 (1991) Van Nevel C.J., et al, Applied Microbiology 21,  365-366 (1971)

 本発明は、反芻動物などのルーメン発酵 改善し、地球温暖化ガスの発生抑制に貢献 、更には反芻動物で問題になっている鼓脹 を抑制できる、カシューナッツ殻油(CNSL)及 /もしくはアナカルド酸類又はカシューナッ ツ殻粉砕物を取り扱いやすい粉粒状に製剤化 する事を課題とする。さらにカシューナッツ 殻油によるかぶれを防止することを課題とす る。

 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意 究を行った結果、カシューナッツ殻油及び/ 又はアナカルド酸類と吸油剤からなり、前記 カシューナッツ殻油及び/又はアナカルド酸 を飼料用組成物全量基準で25質量%~65質量%含 することを特徴とする、飼料用組成物が、 り扱いやすい粉粒状に製剤化できることを 出した。
 本発明者らはまた、カシューナッツの殻粉 物と吸油剤からなり、前記カシューナッツ 粉砕物を飼料用組成物全量基準で10質量%~90 量%含有することを特徴とする、飼料用組成 物が、取り扱いやすい粉粒状に製剤化できる ことを見出した。
 本発明者らは、カシューナッツ殻油及び/又 はアナカルド酸類と吸油剤と硬化油からなり 、前記カシューナッツ殻油及び/又はアナカ ド酸類を飼料用組成物全量基準で25質量%~65 量%含有することを特徴とする、飼料用組成 が、取り扱いやすい粉粒状に製剤化できる とを見出した。
 本発明者らはまた、カシューナッツの殻粉 物と吸油剤と硬化油からなり、前記カシュ ナッツ殻粉砕物を飼料用組成物全量基準で1 0質量%~90質量%含有することを特徴とする、飼 料用組成物が、取り扱いやすい粉粒状に製剤 化できることを見出した。
 本発明者らは、このようにして、本発明を 成するに至った。

 すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)カシューナッツ殻油及び/又はアナカルド 類と吸油剤からなり、前記カシューナッツ 油及び/又はアナカルド酸類を飼料用組成物 量基準で25質量%~65質量%含有することを特徴 とする、粉粒状の飼料用組成物。
(2)カシューナッツの殻粉砕物と吸油剤からな り、前記カシューナッツ殻粉砕物を飼料用組 成物全量基準で10質量%~90質量%含有すること 特徴とする、粉粒状の飼料用組成物。
(3)前記吸油剤が酸化マグネシウム、ステアリ ン酸塩、タルクおよびシリカの群から選ばれ る1種以上であることを特徴とする、(1)又は(2 )記載の粉粒状の飼料用組成物。
(4)前記吸油剤が100g当たり50~300gの油を吸着す 吸油剤である、(3)記載の粉粒状の飼料用組 物。
(5)前記吸油剤が粒径2~200μmの粒子であること 特徴とする、(4)に記載の粉粒状の飼料用組 物。
(6)さらに硬化油を含む、(1)~(5)のいずれか1項 記載の粉粒状の飼料用組成物。
(7)(1)~(6)のいずれか1項に記載の飼料用組成物 含むことを特徴とする、飼料。
(8)前記カシューナッツ殻油を飼料全量基準で 0.02~4.0質量%含有することを特徴とする(7)記載 の飼料。
(9)反芻動物用である、(7)又は(8)記載の飼料。
(10)(7)~(9)のいずれか1項記載の飼料を摂取させ ることを特徴とする家畜の飼育方法。
(11)粉粒状の飼料用組成物を製造するための カシューナッツ殻油及び/又はアナカルド酸 と吸油剤の使用。
(12)カシューナッツ殻油及び/又はアナカルド 類と吸油剤を投与することを特徴とする家 の治療方法。

 カシューナッツ殻油及び/もしくはアナカ ルド酸類又はカシューナッツ殻粉砕物を吸油 剤と混合し、ハンドリング性が良く、作業上 、手がかぶれない粉剤に加工することにより 、また、必要によりペレット等の粒剤に加工 することにより、飼料用組成物として、飼料 への混和が容易になるとともに使用者にとっ て安全な製剤になる。

図1は、被毛の剪毛および脱毛の前処理 が施され、塗布部位が4箇所設けられたウサ の背部を示す。

 本発明の飼料用組成物は、カシューナッツ 油及び/又はアナカルド酸類と吸油剤からな り、前記カシューナッツ殻油及び/又はアナ ルド酸類を飼料用組成物全量基準で25質量%~6 5質量%含有することを特徴とする。
 本発明の飼料用組成物はまた、カシューナ ツの殻粉砕物と吸油剤からなり、前記カシ ーナッツ殻粉砕物を飼料用組成物全量基準 10質量%~90質量%含有することを特徴とする。

 本発明に用いるカシューナッツ殻油は、カ ューナッツ ツリー( Anacardium   occidentale  L.)の実の殻に含まれる油状の液体である。 シューナッツ殻油は、その成分として、ア カルド酸、カルダノール、カルドールを含 ものである。

 本発明において使用されるカシューナッツ 油は、カシューナッツの殻を圧搾すること より抽出した植物油として得ることができ 。上記のようにして得られた非加熱カシュ ナッツ殻油を、70℃以上、好ましくは130℃ 上に加熱することによって得ることができ 加熱カシューナッツ殻油でも良い。
 また、本発明において使用されるカシュー ッツ殻油は、加熱または抽出により、例え 、カシューナッツ殻を乾留又は溶剤抽出し 得ることもできる。さらに、本発明におい 使用されるカシューナッツ殻油は、特開平8 -231410号公報に記載されている方法によって 詳細には、200~240℃に加熱した加熱カシュー ッツ殻油にカシューナッツの殻を投入し、 熱カシューナッツ殻油を抽出することによ て得ることができる。また、加熱カシュー ッツ殻油は、加熱済の市販品を用いること できる。
 本発明において使用されるカシューナッツ 油は、カシューナッツの殻を粉砕・破砕し 得られたものであってもよい。
 本発明において使用されるカシューナッツ 油は、市販品を用いることもできる。

 本発明の飼料用組成物におけるカシューナ ツ殻油の含有量は、飼料用組成物の全量基 で、好ましくは25質量%~65質量%である。25質 %以上であればルーメン発酵改善効果を効率 的に奏することができ、65質量%以下であれば 作業上、手のかぶれが解消され、改善剤の取 扱性を維持することができるので好ましい。
 また、カシューナッツの殻粉砕物と吸油剤 粉剤を用いる場合には、本発明の飼料用組 物におけるカシューナッツ殻粉砕物の含有 は、好ましくは10質量%~90質量%である。10質 %以上であればルーメン発酵改善効果を効率 的に奏することができ、90質量%以下であれば 作業上、手のかぶれが解消され、改善剤の取 扱性を維持することができるので好ましい。

 本発明の飼料中のカシューナッツ殻油及び/ 又はアナカルド酸類の含有量は、好ましくは 0.02質量%~4.0質量%、より好ましくは0.04質量%~2. 0質量%、さらに好ましくは0.06質量%~1.0質量%で ある。0.02質量%以上であればルーメン発酵改 効果を効率的に奏することができ、4.0質量% 以下であれば取扱性を維持することができる ため好ましい。
 本発明において使用されるカシューナッツ 油は、これを粉砕・破砕して用いてもよい 、含有しているカシューナッツ殻油(CNSL)に 算して(カシューナッツ殻にはCNSLが30%含ま ている)、飼料用組成物、飼料中の含有量を 記範囲内とすればよい。

 本発明において使用されるアナカルド酸 としては、天然物アナカルド酸、合成アナ ルド酸、それらの誘導体が挙げられる。ま 、市販のアナカルド酸を用いてもよい。ア カルド酸類は、特開平8-231410号公報に記載 れるように、カシューナッツの殻を有機溶 で抽出処理して得られたカシューナッツ油 、例えば、シリカゲルカラムクロマトグラ ィーを用いてn-ヘキサン、酢酸エチルおよび 酢酸の混合溶媒の比率を変えて溶出すること によって得ることができる(特開平3-240721号公 報、特開平3-240716号公報など)。このようなア ナカルド酸類は、カシューナッツ殻油と同様 の含有量で、飼料用組成物、飼料に含めるこ とができる。

 本発明の飼料用組成物に含まれる吸油剤と ては、酸化マグネシウム、ステアリン酸塩 タルク、ゼオライト、珪藻土及びシリカな が挙げられ、粒子状のものが好ましい。本 明の吸油剤としては、100g当たり50~300gの油 吸着する吸油剤であることが好ましい。ま 、粒径が200μmを超えると粒子が粗くなり分 してくるため、粒径が2~200μmであるものが好 ましい。
 本発明の飼料用組成物において、吸油剤と シューナッツ油の好ましい質量比は、100:20~ 100:180である。また、吸油剤とカシューナッ 殻粉砕物の場合の好ましい質量比は、15:100~6 0:100である。

 本発明の飼料用組成物の剤形は、シリカ どの吸油剤を含有することにより、粉剤と て製剤化することができる。すなわち、本 明の飼料用組成物は、カシューナッツ殻油 吸油剤、および必要に応じて任意成分を混 し、粉剤に製剤化することにより製造する とができる。このような本発明の粉末状の 料用組成物は、他の任意成分と混合させず 飼料用組成物、さらには飼料とすることが きる。

 本発明の飼料用組成物は、粉剤以外にもペ ット剤などの粒剤にすることができる。こ 場合、CNSLに吸油剤を加えるほかに硬化油を 加える。硬化油としては、パーム油、ダイズ 油、ナタネ油などを硬化した油が用いられる 。硬化油の融点は45~65℃となっているのが好 しい。なお、ペレット化とするには、通常 押し出し造粒機を用いて製造することがで る。
 本発明の飼料用組成物において、吸油剤と カシューナッツ油と、硬化油との好ましい 量比は、80~120:60~100:80~120であり、吸油剤と カシューナッツ殻粉砕物と、硬化油との好 しい質量比は、15~45:60~100:80~120である。
 本明細書中において、飼料用組成物の剤形 ついて、「粉状」、「粒状(ペレット状)」 「粉粒状」とは、手で強く握った状態でも まらない、サラサラの状態をいう。この状 では、ほとんどのCNSLはシリカなどの吸油剤 部に吸着されており、担体表面にはほとん 露出していない。

 また、カシューナッツ殻油は、鼓脹症に対 る防除能を示すことから、本発明の飼料用 成物は、鼓脹症を防除するために用いるこ が出来る。特に、 Streptococcus   bovis に対して抗菌活性を示すことから、 Streptococcus   bovis によって引き起こされる鼓脹症を防除するた めに用いることができる。なお、本発明にお いて、防除は予防および治療を含むものであ る。

 また、本発明の飼料用組成物は、カシュ ナッツ殻油及び/又はアナカルド酸類と吸油 剤の他に、反芻動物の成長促進に有効な成分 、栄養補助成分、保存安定性を高める成分等 の任意成分をさらに含むものであってもよい 。このような任意成分としては、例えば、エ ンテロコッカス属細菌、バチルス属細菌、ビ フィズス菌等の生菌剤;アミラーゼ、リパー 等の酵素;L-アスコルビン酸、塩化コリン、 ノシトール、葉酸等のビタミン;塩化カリウ 、クエン酸鉄、酸化マグネシウム、リン酸 類等のミネラル、DL-アラニン、DL-メチオニ 、L-リジン等のアミノ酸;フマル酸、酪酸、 酸、酢酸等の有機酸及びそれらの塩;エトキ シキン、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチ ルヒドロキシアニソール、フェルラ酸、ビタ ミンC、ビタミンE等の抗酸化剤;プロピオン酸 カルシウム等の防カビ剤;CMC、カゼインナト ウム、ポリアクリル酸ナトリウム等の粘結 ;レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ソ ビタン脂肪酸エステル等の乳化剤;アスタキ サンチン、カンタキサンチン等の色素;各種 ステル、エーテル、ケトン類等の着香料が げられる。

 本発明の飼料用組成物は、反芻動物用の ーメン発酵改善剤としても、鼓脹症の防除 としても好適に用いられる。ここで、防除 は予防および/または治療のことをいう。ま た、本発明の飼料用組成物は、通常の飼料に 用いられる他の飼料成分と混合して、飼料と することができる。飼料の種類や、カシュー ナッツ殻油以外の成分は、特に制限されない 。飼料は、好ましくは反芻動物用である。

 なお、本発明の飼料におけるカシューナ ツ殻油及び/又はアナカルド酸類の含有量は 、飼料の乾物質量当たり、効果やコストの面 から、0.5~50,000質量ppm、好ましくは5~10,000質量 ppm、さらに好ましくは50~5,000質量ppmである。

 本発明の飼料は、飼料用組成物をそのま 飼料成分に添加し、混合して製造すること できる。この際、粉末状、固形状の飼料用 成物を用いる場合は、混合を容易にするた に飼料用組成物を液状又はゲル状の形態に てもよい。この場合は、水、大豆油、菜種 、コーン油などの植物油、液体動物油、ポ ビニルアルコールやポリビニルピロリドン ポリアクリル酸などの水溶性高分子化合物 液体担体として用いることができる。また 飼料中におけるカシューナッツ殻油の均一 を保つために、アルギン酸、アルギン酸ナ リウム、キサンタンガム、カゼインナトリ ム、アラビアゴム、グアーガム、タマリン 種子多糖類などの水溶性多糖類を配合する とも好ましい。

 本発明の飼料は、牛、ヤギ、羊などの反芻 物の飼育に好適である。摂取させる飼料の は、動物の種類、体重、年齢、性別、健康 態、飼料の成分などにより適宜調節するこ ができ、このとき飼料に含まれるカシュー ッツナッツ殻油及び/又はアナカルド酸類が 好ましくは0.005~500g/頭・日、より好ましくは0 .05~100g/頭・日、さらに好ましくは0.5~50g/頭・ である。
 飼料を摂取させる方法及び飼育する方法は 動物の種類に応じて、通常用いられる方法 とることができる。

 実施例1. CNSLと吸油剤からなる粉状の飼料 組成物
(1)製剤試作
 カシュー・トレーディング(株)より、カシ ーナッツの殻を入手し、圧搾でカシューナ ツ殻油(CNSL)を搾油し、以下の試験に使用し 。
 CNSLの組成は以下の方法で測定した。すなわ ち、HPLC(Waters600、日本ウォーターズ株式会社) 、検出機(Waters490E、日本ウォーターズ株式会 )、プリンタ(クロマトパックC-R6A、(株)島津 作所)、カラム(SUPELCOSIL LC18、SUPELCO社)を用 た。アセトニトリル:水:酢酸が80:20:1(用量比) の溶媒を用い、流速は2ml/分とした。280nmの吸 光度で検出した。
 カシューナッツ殻油には、アナカルド酸が6 1.8質量%、カルダノールが8.2質量%、カルドー が19.9質量%含まれていた。
 CNSLは室温で液体又は固体であり、ヒトの皮 膚に付着すると取れづらく、かぶれを引き起 こす。このため、CNSLを担体内部に吸着させ 体の表面にCNSLが露出していない製剤を作成 るため、CNSLと平均粒径100μmのシリカ(商品 Siprnat22、degussa社製品)を混合し粉状の飼料用 組成物を作成した。
 結果を表1に示す。

  表1よりシリカ100gはCNSLを180gまで加えて サラサラの粉末状で強く握っても固まらな ことから、ほとんどのCNSLはシリカ内部に吸 着されており、担体表面にはほとんど露出し ていないと考えられる。

 (2)皮膚刺激性
  12週齢のウサギ(Jla:JW)雌40匹を、馴化飼育 、異常の認められない健康と思われる動物 試験に供した。
  室温22±4℃、湿度55±15%、明暗各12時間(照 時間:午前8時~午後8時)に設定された飼育室で 、金属製ブラケットケージを用いて個別に飼 育し、飼料はCR-3(日本クレア株式会社製)及び 飲料水を自由摂取させた。

  図1に示されるように、背部に被毛の剪毛 よび脱毛の前処理を施し、塗布部位を4箇所 設けた。このうち2箇所の角質層を剥離して 過部位とした。非擦過および擦過部位の各 1箇所(合計2箇所)に、表1の供試剤を、局方精 製水で湿潤させ、シリカおよびCNSLの混合物 0.5 gとなる様にリント布(1×1 inch)に均等に 布して背部に貼付した。残りの各々1箇所(合 計2箇所)には、対照となる局方精製水0.5 mlを 同様に貼付した。貼付時間は4時間とした。
  4時間後にリント布を除去し、貼付部位に 存する被験物質を局方精製水で清拭し、除 後1, 24, 48, 72時間後に皮膚の状態を観察し た。72時間以降に障害が残存する場合は24時 毎に7日まで観察を継続した。

  判定:以下の基準に基づき皮膚反応を評価 た。
  紅斑および痂皮の形成
 紅斑なし                          0
 非常に軽度の紅斑(かろうじて識別できる)          1
 はっきりした紅斑                      2
 中程度ないし高度紅斑                    3
 高度紅斑(Beet redness)から僅かな痂皮の形成
 (深部損傷)まで                      4
  浮腫の形成
 浮腫なし                          0
 非常に軽度の浮腫                      1
 軽度浮腫(はっきりとした膨隆による明確な 縁が識別できる) 2
 中程度浮腫(約1 mmの膨隆)                 3
 高度浮腫(1 mmの膨隆と暴露範囲を越えた広 り)      4
                          最高  4

  なお、一次刺激率は被験物質除去後24お よび72時間後の非擦過および擦過部位におけ 評点の和を4で除し算出する。皮膚一次刺激 指数が0の場合「刺激なし」、0より大きく2未 満の場合「軽度」、2以上5未満の場合「中程 」、5以上の場合「強度」とした。1群6匹で 験し、結果を表2に示す。

 

  表2より比較例1-1および1-2の供試剤が軽 ~強度の刺激性を示したのに対し、対照例1-1 および実験例1-1~3の供試剤は刺激性が無かっ 。CNSLがシリカ内部に吸着されており、さら さらな粉末の状態では刺激性が抑えられるが 、CNSLがシリカ内部に吸着しきれない比較例1- 1の供試剤では刺激性を示した。

 実施例2. カシューナッツの殻粉砕物と吸油 剤からなる粉状の飼料用組成物
 (1)製剤試作
  カシュー・トレーディング(株)より、カシ ューナッツの殻を入手し、以下の試験に供し た。
  カシューナッツ殻とシリカ(商品名Siprnat22 degussa社製品)を、粉砕機(オスターブレンダ 、アズワン社製品)で均一に粉砕し、粉状の 飼料用組成物を作成した。
  結果を表3に示す。

(2)皮膚刺激性
 実施例1と同様に皮膚刺激性を評価した。
 結果を表4に示す。

 表4より比較例1-3および1-4の供試剤は軽度 ~強度の刺激性を示した。実験例1-4および1-5 供試剤は刺激性が無かった。CNSLがシリカ内 に吸着されており、さらさらな粉末の状態 は刺激性が抑えられるが、CNSLが吸着されて いない比較例1-3および1-4の供試剤では刺激性 を示した。

実施例3. CNSLの S.   bovis に対する抗菌作用
 CNSLの S.   bovis に対する抗菌作用を調べるため、 Staphylococcos   aureus 牛分離菌株、 S.   bovis  DSM20065株、 Bacillus   subtilis  NBRC3009株、 Escherichia   coli  ATCC11303株、 Pseudomonas   aeruginosa  NBRC12689株、および Saccharomyces   cerevisiae  NBRC10217株をブレインハートインフュージョ 培地(日水製薬(株)製品)で37℃で1日培養した 。CNSLを添加したブレインハートインフュー ョン培地に10μL植菌し、37℃で2日間培養し最 小生育阻止濃度(MIC)を算出した。
 結果を表5に示す。

 CNSLは、グラム陽性菌の Staphylococcos   aureus および Bacillus   subtilis と同様に、 S.   bovis に対しても高い抗菌作用を有する。従って、 CNSLを含有する粉剤は鼓脹症を防ぐ効果があ ことがわかる。

実施例4. 粉状の飼料用組成物投与の経時的 影響
(1)試料
 ルーメンカニューレを装着しためん羊4頭に 、体重の1.4質量%相当の餌(濃厚飼料:乾草=3:7( 積))を給与した。
 実験例1-1の供試剤の投与開始前に一回目の ーメン内容物のサンプリングを行った。初 の2週間は餌に実験例1-1の供試剤を0.4(質量)% 給与し、1週間毎2回ルーメン内容物のサンプ ングを行った。次の2週間は餌に実験例1-5の 供試剤を1.0(質量)%給与し、1週間毎2回ルーメ 内容物のサンプリングを行った。次の2週間 は無投与で餌のみ給与し、1週間毎2回ルーメ 内容物のサンプリングを行った。

(2)結果
 ルーメン液のpHを表6に示す。

 ルーメン液のpHは、実験例1-1および1-5の供 剤の投与中低下しなかったが、実験例1-5の 試剤の投与を中止すると低下した。実験例1- 1および1-5の供試剤にはルーメン液のpH低下を 防ぐ効果が有ることが分かる。すなわち実験 例1-1および1-5の供試剤にはルーメン液が酸性 化し、ルーメン機能を悪化させるルーメンア シドーシスを防ぐ効果が有ることが分かる。
 ルーメン液の粘度(CP)、ルーメン液の起泡性 (IVI(%))および泡沫安定性(sIVI(%))を表7に示す。

 牛の鼓脹症はルーメン液が泡状になりあい を出せなくなりルーメンにガスがたまって 部が鼓脹する病気で、重症になると心臓や を圧迫し死に至る。ルーメン液の粘度、起 性、および泡沫安定性はともに実験例1-1お び1-5の供試剤の投与により低下し、投与を 止すると増加した。すなわち実験例1-1およ 1-5の供試剤には鼓脹症を防ぐ効果が有るこ が分かる。
 採取したルーメン液を試験管内に密閉し37 で24時間培養したときに生成したガス量(ml/ /tube)を表8に示す。

 実験例1-1および1-5の供試剤の添加によりメ ンは有意に減少した。メタン低下にともな 水素の集積が見られないことから嫌気発酵 生じる水素は代替水素消費系へ円滑に移行 ていると思われる。
 採取したルーメン液中の総VFA濃度(mmol/dl)、 酸モル比(%)、プロピオン酸モル比(%)および 酸モル比(%)を表9に示す。

 総VFA濃度は実験例1-1および1-5の供試剤を添 しても変化しなかった(発酵そのものの抑制 はない)。さらに、実験例1-1および1-5の供試 を添加する事により発酵パターンは顕著に 化し、酢酸生成が有意に減り、プロピオン 生成が有意に増えた。すなわちルーメン機 改善効果が認められた。
 採取したルーメン液中のアンモニア濃度(mgN /dl)を表10に示す。

 実験例1-1および1-5の供試剤の投与によりア モニア濃度が下がる傾向が認められた。こ は、タンパク分解や脱アミノ酸が抑制され いる事を示しており、飼料タンパク質を節 していることがわかる。
 実際のルーメンの中で、二酸化炭素および タンが実験例1-1および1-5の供試剤添加で有 に減少し、この時メタン低下にともなう水 の集積が見られないことから嫌気発酵で生 る水素は代替水素消費系へ円滑に移行して ると思われる。また、総VFA濃度は実験例1-1 よび1-5の供試剤を添加しても変化しなかっ (発酵そのものの抑制はない)。しかし発酵 ターンは顕著に変化し、酢酸生成が有意に り、プロピオン酸生成が有意に増えた。す わちルーメン機能が改善された。
 この結果は、メタン生成の低下とよくリン しており、水素の代替消費系としてプロピ ン酸生成が円滑に発達したと考えられる。 上のことが、実際に羊を用いたルーメン内 実証された事から、カシューナッツ殻油は 家畜のエネルギーおよび蛋白質利用効率を めると考えられる。

実施例5. CNSLと吸油剤と硬化油からなる粒状( ペレット状)の飼料用組成物
(1)製剤試作
 パーム極度硬化油(商品名:PW-50、横関油脂工 業(株)製品、融点50℃)を60℃のウォーターバ で溶かし、50℃に加温しておいたCNSLと均一 混合後、シリカ(商品名Siprnat22、degussa社製品 )を加え、よく混合し、ディスクペレッターF- 5型((株)テクノパウダルトン製品)を用い造粒 た。

 硬化油が18質量%以上含まれていれば、シリ :CNSL+硬化油とシリカが質量比で1:1.8の時、 分硬いペレットが得られた。充分硬いペレ トでなければ、輸送時にペレットが崩壊し しまい実用に適さないが、実験例2-1~3の供試 剤では崩壊しない剤型ができた。
 CNSL、200gにシリカ(商品名Siprnat22、degussa社製 品)200gを加え、よく混合し、さらにPVA(商品名 :ゴーセノールNH26、日本合成化学製品)200gを えディスクペレッターF-5型((株)テクノパウ ルトン製品)を用い造粒した。70℃で40分乾燥 する事により充分硬いペレットを得る事がで き、比較例2-5の供試剤とした。

(2)皮膚刺激性
 12週齢のウサギ(Jla:JW)雌45匹を、馴化飼育し 異常の認められない健康と思われる動物を 験に供した。
 室温22±4℃、湿度55±15%、明暗各12時間(照明 間:午前8時~午後8時)に設定された飼育室で 金属製ブラケットケージを用いて個別に飼 し、飼料はCR-3(日本クレア株式会社製)及び 料水を自由摂取させた。

 図1に示されるように、背部に被毛の剪毛お よび脱毛の前処理を施し、塗布部位を4箇所 けた。このうち2箇所の角質層を剥離して擦 部位とした。非擦過および擦過部位の各々1 箇所(合計2箇所)に、局方精製水で湿潤させ崩 壊させたペレットに含まれるシリカおよびCNS Lの混合物が0.5 gとなる様にリント布(1×1 inch )に均等に塗布して背部に貼付した。残りの 々1箇所(合計2箇所)には、対照となる局方精 水0.5 mlを同様に貼付した。貼付時間は4時 とした。
 4時間後にリント布を除去し、貼付部位に残 存する被験物質を局方精製水で清拭し、除去 後1, 24, 48, 72時間後に皮膚の状態を観察し 。72時間以降に障害が残存する場合は24時間 に7日まで観察を継続した。

 判定:以下の基準に基づき皮膚反応を評価し た。
紅斑および痂皮の形成
紅斑なし                          0
非常に軽度の紅斑(かろうじて識別できる)          1
はっきりした紅斑                      2
中程度ないし高度紅斑                    3
高度紅斑(Beet redness)から僅かな痂皮の形成
(深部損傷)まで                      4
浮腫の形成
浮腫なし                          0
非常に軽度の浮腫                      1
軽度浮腫(はっきりとした膨隆による明確な が識別できる) 2
中程度浮腫(約1 mmの膨隆)                 3
高度浮腫(1 mmの膨隆と暴露範囲を越えた広が り)      4
                         最高点 4

 なお、一次刺激率は被験物質除去後24お び72時間後の非擦過および擦過部位における 評点の和を4で除し算出する。皮膚一次刺激 数が0の場合「刺激なし」、0より大きく2未 の場合「軽度」、2以上5未満の場合「中程度 」、5以上の場合「強度」とした。1群6匹で試 験し、結果を表13に示す。

  比較例2-4の供試剤ではCNSLが直接肌に触 るので強い刺激を示したのに対し、比較例2 -2および2-3の供試剤では軽度の刺激を示した これに対し、実験例2-1~3の供試剤は刺激性 無かった。硬いペレットではCNSLがペレット 部のシリカに吸着されており、刺激性が抑 られるが、CNSLがシリカ内部に吸着しきれな い比較例2-2および2-3の供試剤では刺激性を示 した。また比較例2-5の供試剤でも刺激性が抑 えられた。

 実施例6. カシューナッツ殻粉砕物と吸油剤 と硬化油からなる粒状(ペレット状)の飼料用 成物
 (1)製剤試作
  カシューナッツの殻とシリカ(商品名Siprnat 22、degussa社製品)を、粉砕機(オスターブレン ー、アズワン社製品)で均一に粉砕した。粉 砕物に、あらかじめ溶かしておいたパーム極 度硬化油を加え、よく混合し、ディスクペレ ッターF-5型((株)テクノパウダルトン製品)を い造粒した。
  結果を表15に示す。

 

  実験例2-4および2-5の供試剤では、充分硬 ペレットが得られた。充分硬いペレットで ければ、輸送時にペレットが崩壊してしま 実用に適さないが、実験例2-4および2-5の供 剤では崩壊しない剤型ができた。
 (2)皮膚刺激性
  実施例1と同様に皮膚刺激性を評価した。 果を表16に示す。

 表16より比較例2-6および2-7の供試剤は軽 ~強度の刺激性を示した。実験例2-4および2-5 供試剤は刺激性が無かった。CNSLがシリカ内 部に吸着されており、硬いペレットの状態で は刺激性が抑えられるが、CNSLが吸着されて ない比較例2-6の供試剤では刺激性を示した

実施例7. ペレット状の飼料用組成物投与の 時的な影響
(1)試料
 ルーメンカニューレを装着しためん羊4頭に 、体重の1.4質量%相当の餌(濃厚飼料:乾草=3:7( 積))を給与した。
 比較例2-5の供試剤の投与開始前に一回目の ーメン内容物のサンプリングを行った。初 の2週間は餌に比較例2-5の供試剤を0.75質量% 与し、1週間毎2回ルーメン内容物のサンプ ングを行った。次の2週間は餌に実験例2-2の 試剤を0.75質量%給与し、1週間毎2回ルーメン 内容物のサンプリングを行った。次の2週間 無投与で餌のみ給与し、1週間毎2回ルーメン 内容物のサンプリングを行った。

(2)結果
 ルーメン液のpHを表17に示す。

 ルーメン液のpHは、比較例2-5の供試剤の投 中低下したが、実験例2-2の供試剤を投与す 事により回復した。しかしながら実験例2-2 供試剤の投与を中止すると低下した。実験 2-2の供試剤にはルーメン液のpH低下を防ぐ効 果が有るが、製造時に加熱処理した比較例2-5 の供試剤にはルーメン液のpH低下を防ぐ効果 無い事が分かる。すなわち実験例2-2の供試 にはルーメン液が酸性化し、ルーメン機能 悪化させるルーメンアシドーシスを防ぐ効 が有る事が分かる。
 ルーメン液の粘度(CP)、ルーメン液の起泡性 (IVI(%))および泡沫安定性(sIVI(%))を表18に示す

 牛の鼓脹症はルーメン液が泡状になりあい を出せなくなりルーメンにガスがたまって 部が鼓脹する病気で、重症になると心臓や を圧迫し死に至る。ルーメン液の粘度、起 性、および泡沫安定性はともに実験例2-2の 試剤の投与により低下し、投与を中止する 増加した。すなわち実験例2-2の供試剤には 脹症を防ぐ効果が有る事が分かる。製造時 加熱処理した比較例2-5の供試剤には鼓脹症 防ぐ効果は認められなかった。
 採取したルーメン液を試験管内に密閉し37 で24時間培養したときに生成したガス量(ml/ /tube)を表19に示す。

 実験例2-2の供試剤の添加によりメタンは有 に減少した。メタン低下にともなう水素の 積が見られないことから嫌気発酵で生じる 素は代替水素消費系へ円滑に移行している 思われる。製造時に加熱処理した比較例2-5 供試剤にはメタン発生を防ぐ効果は認めら なかった。
 採取したルーメン液中の総VFA濃度(mmol/dl)、 酸モル比(%)、プロピオン酸モル比(%)および 酸モル比(%)を表20に示す。

 総VFA濃度は実験例2-2の供試剤を添加しても 化しなかった(発酵そのものの抑制はない) さらに、実験例2-2の供試剤を添加する事に り発酵パターンは顕著に変化し、酢酸生成 有意に減り、プロピオン酸生成が有意に増 た。すなわちルーメン機能改善効果が認め れた。製造時に加熱処理した比較例2-5の供 剤にはルーメン機能改善効果は認められな った。
 採取したルーメン液中のアンモニア濃度(mgN /dl)を表21に示す。

 実験例2-2の供試剤の投与によりアンモニア 度が下がる傾向が認められた。これは、タ パク分解や脱アミノ酸が抑制されている事 示しており、飼料タンパク質を節約してい ことがわかる。
 実際のルーメンの中で、二酸化炭素および タンが実験例2-2の供試剤添加で有意に減少 、この時メタン低下にともなう水素の集積 見られないことから嫌気発酵で生じる水素 代替水素消費系へ円滑に移行していると思 れる。また、総VFA濃度は実験例2-2の供試剤 添加しても変化しなかった(発酵そのものの 抑制はない)。しかし発酵パターンは顕著に 化し、酢酸生成が有意に減り、プロピオン 生成が有意に増えた。すなわちルーメン機 が改善された。しかしながら、製造時に加 処理した比較例2-5の供試剤にはルーメン機 改善効果は認められなかった。アナカルド は70℃以上に加熱するとカルダノールに変化 するが、カルダノールにはルーメン機能改善 効果が無いと考えられる。
 この結果は、メタン生成の低下とよくリン しており、水素の代替消費系としてプロピ ン酸生成が円滑に発達したと考えられる。 上のことが、実際に羊を用いたルーメン内 実証された事から、カシューナッツ殻油は 家畜のエネルギーおよび蛋白質利用効率を めると考えられる。

 メタンは飼料エネルギーの損失でありかつ 暖化ガスでもあるので、ウシからのメタン 減は畜産学的にも環境学的にも緊急課題で るが、カシューナッツ殻油を反芻動物に摂 させて飼育することにより、メタン生成を 制することができる。一方、プロピオン酸 揮発性脂肪酸の中で飼料ヘキソースエネル ーの転換効率が最も高く、吸収後ブドウ糖 かわる糖原生物質であるため、プロピオン 生成を促進することにより、他の糖原生物 (アミノ酸など)の節約につながる。このよ に、カシューナッツ殻油を含む飼料は、家 のエネルギーおよび蛋白質利用効率を高め ことができる。また、カシューナッツ殻油 反芻動物に摂取させて飼育することにより 鼓脹症を防除することができる。
 本発明の飼料用組成物は、粉剤または粒剤 加工する事により、CNSLが粘稠な液体でべた べたして餌に混合するのが難しいという欠点 を解消し、ハンドリング性を向上させること ができる。また、CNSL原液は皮膚に付着する 取れずかぶれるが、シリカに吸着させる事 より皮膚に油が接触しなくなりかぶれを防 ことができる。