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Patent Searching and Data


Title:
COMPOSITION AND TREATING LIQUID FOR TREATING SURFACE OF METALLIC MATERIAL, SURFACE-TREATED METALLIC MATERIAL, COATED METALLIC MATERIAL, AND PROCESSES FOR PRODUCING THESE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/105052
Kind Code:
A1
Abstract:
A coated metallic material which comprises a metallic material having a bag structure part and an indium-containing coating film formed on at least part of the surface thereof, the outermost surface having a proportion by number of indium atoms of 10 at.% or higher. The surface-treated metallic material having a bag structure part can be produced with an environmental burden as light as in a chemical treatment with zirconium. It has corrosion resistance and adhesion to coatings. It has high throwing power in cationic electrodeposition.

Inventors:
ISHII HITOSHI (JP)
NAGASHIMA YASUHIKO (JP)
TOYOSHIMA MIKITO (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/053525
Publication Date:
September 04, 2008
Filing Date:
February 26, 2007
Export Citation:
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Assignee:
NIHON PARKERIZING (JP)
ISHII HITOSHI (JP)
NAGASHIMA YASUHIKO (JP)
TOYOSHIMA MIKITO (JP)
International Classes:
C23C22/34; C23C28/00; C25D13/06; C25D13/20
Foreign References:
JP2006283160A2006-10-19
JP2006265578A2006-10-05
Attorney, Agent or Firm:
WATANABE, Mochitoshi et al. (12-5 Iwamoto-cho 2-chome,Chiyoda-k, Tokyo 32, JP)
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Claims:
 袋構造部を有する金属材料の表面の少なくとも一部に、Inを含む皮膜であるIn皮膜を有し、最表面におけるIn原子の原子数比率が10at%以上である、皮膜付き金属材料。
 前記金属材料の表面の全面に前記In皮膜を有する、請求項1に記載の皮膜付き金属材料。
 前記In皮膜が、前記金属材料を化成処理して形成した皮膜である、請求項1または2に記載の皮膜付き金属材料。
 前記In皮膜が、酸化物および水酸化物からなる群から選択される少なくとも1つを主成分とする、請求項1~3のいずれかに記載の皮膜付き金属材料。
 前記In皮膜中にZr、Ti、HfおよびSiからなる群から選ばれる少なくとも1つを含有する、請求項1~4のいずれかに記載の皮膜付き金属材料。
 前記In皮膜中のInと、Zr、Ti、HfおよびSiからなる群から選ばれる少なくとも1つの合計含有量が20~200mg/m 2 の金属材料。
 袋構造部を有する金属材料の表面を、カチオン電着塗装の前処理として化成処理する場合に用いる表面処理用組成物であって、
 Inと、Zr、Ti、HfおよびSiからなる群から選ばれる少なくとも1つとを含有し、
 In原子の重量濃度(A)と、Zr、Ti、HfおよびSiからなる群から選ばれる少なくとも1つの重量濃度(B)との比であるK=A/Bが0.05以上である、表面処理用組成物。
 袋構造部を有する金属材料の表面を、カチオン電着塗装の前処理として化成処理する場合に用いる表面処理用処理液であって、
 InとZr、Ti、HfおよびSiからなる群から選ばれる少なくとも1つとを含有し、Inの重量濃度(a)と、Zr、Ti、HfおよびSiからなる群から選ばれる少なくとも1つの重量濃度(b)との比であるk=a/bが0.05以上であり、pHが3.0~4.4である、表面処理用処理液。
 Inの重量濃度(a)が5~100ppmである、請求項8に記載の表面処理用処理液。
 Zr、Ti、HfおよびSiからなる群から選ばれる少なくとも1つの重量濃度(b)が50~1000ppmである、請求項8または9に記載の表面処理用処理液。
 さらに、Mgを含有し、Mgの重量濃度(c)が100~3000ppmである、請求項8~10のいずれかに記載の表面処理用処理液。
 さらに、フッ素を含有し、この重量濃度(d)とZr、Ti、HfおよびSiからなる群から選ばれる少なくとも1つの重量濃度(b)との比(d/b)が1.25~6.25である、請求項8~11に記載の表面処理用処理液。
 請求項7~12のいずれかに記載の表面処理用処理液を用いて、袋構造部を有する金属材料を表面処理し、請求項1~6のいずれかに記載の皮膜付き金属材料を得る工程を具備する、皮膜付き金属材料の製造方法。
 請求項13に記載の皮膜付き金属材料の製造方法に、さらに前記皮膜付き金属材料の表面をカチオン電着塗装する工程を具備する、塗装金属材料の製造方法。
Description:
金属材料の表面処理用組成物お び処理液ならびに表面処理金属材料、塗装 属材料およびそれらの製造方法

 本発明は、金属材料の表面処理用組成物 よび処理液ならびに表面処理金属材料、塗 金属材料およびそれらの製造方法に関する

 従来、金属材料に対して耐食性および塗 密着性を付与する手法としてはクロメート 理、リン酸亜鉛処理、ジルコニウム系化成 理等が周知である。

 これらの中でクロメート処理は、処理液 や形成される化成皮膜中に6価クロムを含有 することから、従来、環境上の理由で使用が 制限されている。また、亜鉛系めっき材やア ルミニウム合金材には有効であるものの、鉄 系材料に対しては充分な皮膜量が得られない ので、鉄鋼材料を部分的に有する構成体等に 対しては適用が困難であった。

 また、リン酸亜鉛処理については亜鉛系 っき材やアルミニウム合金材のみならず、 鋼材料にも有効であり、各種塗装特にカチ ン電着塗装を施す場合の下地処理として好 である。しかし、富栄養化元素のリンや発 性の恐れのあるニッケルを必須成分として り、さらに処理に際して相当量のスラッジ 発生してしまうことから、やはり環境上の 由により敬遠されつつある。

 これに対してジルコニウム系化成処理は 各種材料に必要量の皮膜を形成することが き、耐食性および塗膜密着性等を向上させ ことができ、さらに環境に対する負荷も少 くすることができる。

 このようなジルコニウム系化成処理として 例えば次に示す特許文献1、2に記載のもの 挙げられる。
 特許文献1には、ジルコニウム、チタン及び ハフニウムからなる群から選ばれる少なくと も一種、フッ素、並びに、密着性及び耐食性 付与剤からなる化成処理であって、前記密着 性付与剤及び耐食性付与剤は、亜鉛等の金属 イオン、アルカリ土類金属イオン、周期律表 第三属金属イオン、銅イオン、及びケイ素含 有化合物からなる群から選ばれる少なくとも 一種であることを特徴とする化成処理剤が記 載されている。

 また、特許文献2には、ジルコニウム、チ タン及びハフニウムからなる群から選ばれる 少なくとも一種、フッ素、密着性付与剤、並 びに、化成反応促進剤からなる化成処理剤で あって、前記密着性付与剤は、亜鉛等の金属 イオン、アルカリ土類金属イオン、周期律表 第三属金属イオン、銅イオン、ケイ素含有化 合物、水溶性樹脂、水溶性エポキシ化合物、 並びに、シランカップリング剤、及び/又は その加水分解物からなる群から選ばれる少 くとも一種であり、前記化成反応促進剤に 徴がある化成処理が記載されている。

 そして特許文献1、2の各々には、さらに 上記のような化成処理剤により形成された 成皮膜を表面に有することを特徴とする表 処理金属が記載されている。そして、この 面処理金属の金属基材としては、鉄系基材 アルミニウム系基材、亜鉛系基材が記載さ ており、これら金属基材の具体的な形状と ては、板状のもののみが記載されている。 らに、化成処理剤により形成された化成皮 を有する金属基材に対して行うことができ 塗装は特に限定されず、カチオン電着塗装 粉体塗装等を挙げることができると記載さ ている。

 このようなジルコニウム系化成処理によれ 、低環境負荷で、各種金属材料に必要量の 成皮膜を形成し得る。また、金属材料に耐 性を付与し得る。そして、さらにカチオン 着塗装を施した場合の塗膜密着性を向上さ 得る。

特開2004-218073号公報

特開2004-218075号公報

 しかしながら、ジルコニウム系化成処理 施した後にカチオン電着塗装を施す金属材 が、上記の特許文献1、2に記載のような平 板状の金属材料とは異なり、自動車ボディ ような袋構造部を有する金属材料であると カチオン電着塗装において高い塗装付き廻 性を得ることが困難である。ここで「高い 装付き廻り性」とは、後に詳細に説明する うに、電流が流れ難く電流密度が低下する めに電着塗膜が形成され難い袋構造内部で っても、必要量の塗膜を形成することがで 、かつ、金属材料の表面の全体に比較的均 に塗膜を形成できる性質である。

 例えば、特許文献1、2に記載の化成処理 を、単に袋構造部を有する金属材料に適用 ただけでは、高い塗装付き廻り性を得るこ はできない。

 これに対して、袋構造部を有する金属材 にリン酸亜鉛処理を適用した場合は、ジル ニウム系化成処理を適用した場合よりも比 的高い塗装付き廻り性となり易い。しかし 上記のような環境面等の問題がある。

 本発明は上記のような課題を解決すること 目的とする。
 すなわち、本発明は、従来のジルコニウム 化成処理と同様に低環境負荷で、袋構造部 有する各種金属材料に必要量の化成皮膜を 成することができ、前記金属材料に耐食性 よび塗膜密着性を付与することができ、さ に、カチオン電着塗装において高い塗装付 廻り性を得ることができる前記金属材料が られる、袋構造部を有する金属材料の表面 理用組成物および処理液ならびに表面処理 属材料、塗装金属材料およびその製造方法 提供することである。

 また、本発明は、ジルコニウム系化成処 と同程度に低環境負荷で製造することがで 、耐食性および塗膜密着性を有し、さらに カチオン電着塗装において高い塗装付き廻 性を得ることができる、袋構造部を有する 面処理金属材料を提供することである。ま 、さらにカチオン電着塗装した塗装金属材 を提供することである。また、このような 面処理金属材料および塗装金属材料の製造 法を提供することである。

 本発明者は上記の課題を解決することを目 に鋭意検討し、その解決手段を見出した。
 すなわち、本発明は次に示す(1)~(14)である

(1)袋構造部を有する金属材料の表面の少なく とも一部に、Inを含む皮膜であるIn皮膜を有 、最表面におけるIn原子の原子数比率が10at% 上である、皮膜付き金属材料。
(2)前記金属材料の表面の全面に前記In皮膜を する、上記(1)に記載の皮膜付き金属材料。
(3)前記In皮膜が、前記金属材料を化成処理し 形成した皮膜である、上記(1)または(2)に記 の皮膜付き金属材料。
(4)前記In皮膜が、酸化物および水酸化物から る群から選択される少なくとも1つを主成分 とする、上記(1)~(3)のいずれかに記載の皮膜 き金属材料。
(5)前記In皮膜中にZr、Ti、HfおよびSiからなる から選ばれる少なくとも1つを含有する、上 (1)~(4)のいずれかに記載の皮膜付き金属材料 。
(6)前記In皮膜中のInと、Zr、Ti、HfおよびSiから なる群から選ばれる少なくとも1つの合計含 量が20~200mg/m 2 の金属材料。
(7)袋構造部を有する金属材料の表面を、カチ オン電着塗装の前処理として化成処理する場 合に用いる表面処理用組成物であって、Inと Zr、Ti、HfおよびSiからなる群から選ばれる なくとも1つとを含有し、In原子の重量濃度(A )と、Zr、Ti、HfおよびSiからなる群から選ばれ る少なくとも1つの重量濃度(B)との比であるK= A/Bが0.05以上である、表面処理用組成物。
(8)袋構造部を有する金属材料の表面を、カチ オン電着塗装の前処理として化成処理する場 合に用いる表面処理用処理液であって、InとZ r、Ti、HfおよびSiからなる群から選ばれる少 くとも1つとを含有し、Inの重量濃度(a)と、Zr 、Ti、HfおよびSiからなる群から選ばれる少な くとも1つの重量濃度(b)との比であるk=a/bが0.0 5以上であり、pHが3.0~4.4である、表面処理用 理液。
(9)Inの重量濃度(a)が5~100ppmである、上記(8)に 載の表面処理用処理液。
(10)Zr、Ti、HfおよびSiからなる群から選ばれる 少なくとも1つの重量濃度(b)が50~1000ppmである 上記(8)または(9)に記載の表面処理用処理液
(11)さらに、Mgを含有し、Mgの重量濃度(c)が100~ 3000ppmである、上記(8)~(10)のいずれかに記載の 表面処理用処理液。
(12)さらに、フッ素を含有し、この重量濃度(d )とZr、Ti、HfおよびSiからなる群から選ばれる 少なくとも1つの重量濃度(b)との比(d/b)が1.25~6 .25である、上記(8)~(11)に記載の表面処理用処 液。
(13)上記(7)~(12)のいずれかに記載の表面処理用 処理液を用いて、袋構造部を有する金属材料 を表面処理し、上記(1)~(6)のいずれかに記載 皮膜付き金属材料を得る工程を具備する、 膜付き金属材料の製造方法。
(14)上記(13)に記載の皮膜付き金属材料の製造 法に、さらに前記皮膜付き金属材料の表面 カチオン電着塗装する工程を具備する、塗 金属材料の製造方法。

 本発明によれば、ジルコニウム系化成処 と同様に低環境負荷で、袋構造部を有する 種金属材料に必要量の化成皮膜を形成する とができ、前記金属材料に耐食性および塗 密着性を付与することができ、さらに、カ オン電着塗装において高い塗装付き廻り性 得ることができる前記金属材料が得られる 袋構造部を有する金属材料の表面処理用組 物および処理液を提供することができる。

 また、本発明は、ジルコニウム系化成処 と同程度に低環境負荷で製造することがで 、耐食性および塗膜密着性を有し、さらに カチオン電着塗装において高い塗装付き廻 性を得ることができる、袋構造部を有する 面処理金属材料を提供することができる。 た、さらにカチオン電着塗装した塗装金属 料を提供することができる。また、このよ な表面処理金属材料および塗装金属材料の 造方法を提供することができる。

塗装付き廻り性を評価する際に用いる4 枚ボックスを示す斜視図である。 塗装付き廻り性の評価方法を示す説明 である。 塗装付き廻り性の評価方法を示す別の 明図である。

符号の説明

   1  4枚ボックス
   2  対極
  10  穴
  12、13、14、15  金属板
  21、22、23  塩化ビニル板

 本発明の皮膜付き金属材料について説明す 。
 本発明の皮膜付き金属材料は、袋構造部を する金属材料の表面の少なくとも一部に、I nを含む皮膜であるIn皮膜を有し、最表面にお けるIn原子の原子数比率が10at%以上である、 膜付き金属材料である。

 本発明の皮膜付き金属材料は、袋構造部 有する金属材料の表面の少なくとも一部にI n皮膜を有すれば、Inを含まない皮膜をさらに 有してもよい。例えば前記金属材料の表面に Inを含まない皮膜を有し、その表面上の少な とも一部に、さらに前記In皮膜を有しても い。そのような場合であっても本発明の範 内である。

 このような中でも、本発明の皮膜付き金 材料は、前記金属材料の表面の全てにIn皮 を有するものであることが好ましい。すな ち、本発明の皮膜付き金属材料は、袋構造 を有する金属材料の全表面にIn皮膜を有し、 最表面、すなわち前記In皮膜の表面におけるI n原子の原子数比率が10at%以上であることが好 ましい。10at%を下回ると袋構造部へのカチオ 電着塗装の付き廻り性が低下し、電着塗膜 が低下し、結果として袋構造部に充分な耐 性を付与させることができなくなる。

 前記金属材料を後述する本発明の表面処 用処理液に浸漬させる方法等によって前記 属材料の表面の全てに前記In皮膜を形成す と、本発明の皮膜付き金属材料の塗装付き り性がより高まるので好ましい。また、耐 性および塗膜密着性がより高まるので好ま い。また、比較的製造が容易であるので好 しい。

 また、本発明の皮膜付き金属材料におい 「最表面」とは、本発明の皮膜付き金属材 の表面を意味する。すなわち、本発明の皮 付き金属材料における他のもの(例えば空気 )との境界面を意味する。したがって、本発 の皮膜付き金属材料が、その表面の全てに 記In皮膜を有している(前記金属材料の表面 全てがIn皮膜に覆われている)場合は、前記In 皮膜の表面を意味する。また、本発明の皮膜 付き金属材料が、その表面の一部に前記In皮 を有し、残部において金属材料や他のInを まない皮膜などが露出している場合は、前 In皮膜の表面および露出している部分の金属 材料等の表面を意味する。

 また、本発明の皮膜付き金属材料の最表 におけるIn原子の原子数比率(以下、この比 を「In比率」ともいう。)とは、最表面に存 する水素とヘリウム以外の全原子(In原子を む)の原子数に対する、最表面に存在するIn 子の原子数の比率(個数百分率)を意味する そして、本発明においては、X線光電子分光 析(XPS)によって最表面のワイドスペクトル 測定して水素とヘリウム以外の全ての原子 を求め、それにより算出される値を意味す ものとする。なおXPSでは、最表面から数nm( えば1~2nm)までの深さに存在する原子の定量 析をすることができる。逆にいえば、本発 でいう「最表面」とは、最表面からXPSで測 できる深さ(例えば1~2nm)の部分のことをいう

 このようなIn皮膜の厚さは特に限定され いが、平均厚さで2~200nmであることが好まし 、10~150nmであることがよりましく、20~100nmで あることがさらに好ましい。耐食性および塗 料密着性がより向上するからである。

 なお蛍光X線分光分析(XRF)を用いるとでは 最表面から数十μm(例えば20~30μm)の深さまで に存在する原子を測定することができる。通 常、本発明のIn皮膜はこれより充分薄いので( 例えば50nm程度)、皮膜全体に含まれる元素量 定量する場合にはXRFを用いることが好まし 。

 本発明の皮膜付き金属材料は、最表面に けるIn比率が10at%以上であるので、カチオン 電着塗装をした場合に高い塗装付き廻り性が 得られる。In比率は高いほど好ましく、15at% 上であることがより好ましく、20at%以上であ ることがさらに好ましい。

 次に、本発明の皮膜付き金属材料におけるI n皮膜について説明する。
 上記のように本発明の皮膜付き金属材料の 表面におけるIn比率は高いほうが好ましい また、本発明においては最表面に存在するIn 原子が塗装付き廻り性の向上に寄与している と考えられるので、In皮膜中においてIn原子 極力表面に存在することが好ましい。ただ 表面以外の部分(内部)に存在してもよい。

 したがって、In皮膜に含有されるIn原子の 含有率をαとすると、αは特に限定されない αが低くてもIn原子が最表面に存在すれば塗 付き廻り性が高まるので好ましい。逆にα 高くても最表面での存在率(In比率)が低いと 装付き廻り性が高くならない。最表面にお るIn比率が同程度でIn皮膜の厚さが異なる2 の場合を比較した場合、塗装付き廻り性は 程度になるが、αは異なることとなる。

 本発明の皮膜付き金属材料におけるIn皮 はIn原子を含む皮膜であるが、In皮膜を構成 るIn以外の物質は特に限定されない。例え Zr、Ti、Si、Ag、Al、Cu、Fe、Mn、Mg、Ni、Co、Zn Ca、Sn、Bi、N、H、O、Nなどが挙げられる。

 本発明の皮膜付き金属材料におけるIn皮 は、金属または酸化物を代表とする化合物 形で、カチオン電着塗装後の耐食性、塗膜 着性、電着塗装付き廻り性の全ての性能を たすことができる。しかし、電着塗装付き り性をのぞいた性能に付いてはZrにて代替す ることも可能であり、経済的には最表面以外 の部分をZr、Ti、HfおよびSiからなる群から選 れる少なくとも1つに代替した方が有利であ る。

 In皮膜中のInの形態としては酸化物および /または水酸化物を主体とする化合物である とが好ましい。In皮膜中のZr、Ti、HfおよびSi らなる群から選ばれる少なくとも1つの形態 も同様に酸化物および/または水酸化物を主 とする化合物であることが好ましい。

 In皮膜中のInと、Zr、Ti、HfおよびSiからなる から選ばれる少なくとも1つの合計含有量は 20~200mg/m 2 であることが好ましい。20mg/m 2 を下回ると耐食性が低下し、200mg/m 2 を上回ると塗膜密着性を低下させる。合計含 有量としては40~150mg/m 2 であることが更に好ましい。In皮膜中のIn含 量とZr付着量については特に制限されるもの ではないが、In皮膜最表面におけるIn原子の 子数比率を10at%以上にするためには通常5mg/m 2 以上のIn含有量が必要である。

 本発明の皮膜付き金属材料はこのようなIn 膜を表面の少なくとも一部に有するが、In皮 膜は複数の種類であってもよい。例えば最表 面のIn比率が異なる2種類のIn皮膜を、前記金 材料の表面に有するものであってもよい。
 また、In皮膜は重なっていてもよい(積層し いてもよい)が、本発明の皮膜付き金属材料 の最表面を形成しないIn皮膜は、耐食性の向 には寄与するものの、塗装付き廻り性の向 には寄与しないと考えられる。

 次に、本発明の皮膜付き金属材料における 構造部を有する金属材料について説明する
 本発明の皮膜付き金属材料において、袋構 部を有する金属材料とは、自動車車体に代 される複雑な形状の金属材料であって、カ オン電着塗装を施しても電流が流れ難く電 塗膜が形成され難い部分(袋構造部)を有す 金属材料を意味する。袋構造部を有する金 材料を例示すると、自動車車体、自動車部 、建築材料、建設機械部品、運搬機械部品 スチール家具等が挙げられる。

 また、袋構造部を有する金属材料の種類( 材質)は特に限定されず、複数種類の金属材 を溶接、接着、リベット止め等の接合方法 よって接合させたものであってもよく、金 材料の表面にめっきのような層を有するも であってもよい。例えば鉄系材料(鋼材、鋼 、亜鉛系めっき鋼板等)、アルミニウム系材 料(アルミニウムダイカスト、アルミニウム 金板)、亜鉛系材料、マグネシウム系材料等 どが挙げられる。

 このような中でも前記金属材料は鋼材、 板のような鉄系材料が含まれることが好ま い。本発明のIn皮膜は、鉄系材料に対する 着付き廻り性に対して特に効果的であるか である。

 本発明の皮膜付き金属材料は、このような 構造部を有する金属材料の表面の少なくと 一部に前記In皮膜を有し、最表面におけるIn 比率が10%以上のものである。
 そして、このような本発明の皮膜付き金属 料は耐食性および塗膜密着性が良好であり さらに、カチオン電着塗装において高い塗 付き廻り性を得ることができる。

 本発明の皮膜付き金属材料をカチオン電 塗装した場合に塗装の付き廻り性が良好に る理由は明確でないが、本発明者は次のよ に考えている。

 カチオン電着塗装における塗膜析出は、 塗物を陰極電解することにより、被塗物表 で水素イオンを還元し、水素ガスが発生す ことにより被塗物表面のpHを上昇させ、ア ン化したエポキシエマルジョン樹脂がそのpH 上昇によりゲル化、析出するものである。水 素ガスの発生は電解時に絶えず行われており 、塗膜にはガスの抜け穴が開いている。

 析出した樹脂の抵抗は充分大きいため、同 塗料を用いた場合は、実質的な塗膜抵抗は 理的な塗膜形状、つまり水素ガスの抜け穴 大小および数によって決定される。
 ガスの発生起点がまばらな場合、そこに電 が集中し、巨大なガス穴ができることによ 、塗膜抵抗はなかなか増加していかない。 方、ガスの発生起点が細かく分散している 合、ガス穴の発生数こそ増加するものの、 際にはそこに水素ガスが充填されて新たな 抗を生むため、塗膜抵抗は速やかに増加す こととなる。塗膜抵抗が増加すれば速やか 電流が袋構造部に廻されることとなり、袋 造部にも充分な塗膜厚を確保できるように るのである。

 一般的に鉄系材料をそのまま陰極電解し 場合の水素ガス発生はまばらであり、上記 論により塗膜抵抗は増加しにくい。よって 良好な塗装付き廻り性は期待できない。こ に対して本発明のIn皮膜の場合、つまりカ オン電着塗装を施す際の最表面にInを10at%以 存在せしめた場合、緻密で微細な水素ガス 生を誘発し、塗膜抵抗の速やかな増加によ 良好な塗装付き廻り性が得られるようにな のである。まばらにガス発生する理由は、 鋼材料の表面がもともと電気化学的に均一 あり、ガス発生起点を作りにくい性状であ ためと考えられる。

 なお、リン酸亜鉛処理を施した鉄鋼材料 陰極電解した場合は、水素ガスがリン酸亜 結晶同士の狭間で発生する。リン酸亜鉛結 が半導体であり、電気を通しにくい性質で ること、および皮膜が不連続な結晶の集合 によって構成されているためと理解される リン酸亜鉛結晶の粒子径は大きくても10μm 度であるので、必然的に緻密で微細な水素 ス発生となり、塗膜抵抗の速やかな増加に り良好な塗装付き廻り性が得られる。

 また、従来のジルコニウム系化成処理を施 た鉄鋼材料の場合は、無処理の鉄鋼材料よ も更に水素ガス発生起点がまばらになり、 大なガス穴が発生してしまうため、塗膜抵 がなかなか増加せず、付き廻り性は劣悪と る。ジルコニウム系化成処理皮膜はアモル ァス状の連続薄膜皮膜であり、かつ電気伝 性が極めて低いため、もともとまばらだっ 基材のガス発生起点を更に均一化してしま たものと推察される。
 本発明のIn皮膜は連続膜であるにもかかわ ず、陰極電解時の水素ガス発生は緻密で微 となる。詳細なメカニズムは不明であるが 皮膜表面の水素結合力等の特性が寄与して るものと考えられる。

 本発明における皮膜の最大の特徴は、カ オン電着塗装における最大の利点の一つで る、塗装付き廻り性を損なうことなく、塗 後の耐食性、塗膜密着性を付与させること ある。しかし、カチオン電着塗装付き廻り を絶対評価することは非常に困難である。 ぜならば、カチオン電着塗装の付き廻り性 、電解のかけ方、対極と被塗物との極間距 、塗料の温度、塗料の攪拌条件、被塗物の 成等に影響を受けることはもちろん、塗料 の樹脂の種類、樹脂へのアミン基導入率、 料のpHといった、いわば塗料そのものによ ても大きく左右される性能であるからであ 。

 よってここでは、カチオン電着塗装の前 理として従来広く使用されてきたリン酸亜 と、近年開発が進んできているジルコニウ 系化成処理との比較において、同一条件、 一塗料でカチオン電着塗装した場合の電着 装付き廻り性が、リン酸亜鉛の場合と同等 たはそれ以上の付き廻り性が良好な付き廻 性、ジルコニウム系化成処理と同等であれ 不充分な付き廻り性と定義する。

 次に、従来のジルコニウム系化成処理皮膜 付いた袋構造部を有する金属材料に対して カチオン電着塗装を施した場合に不充分な き廻り性を示す具体的な例について説明す 。
 例えば上記の特許文献1、2に記載の化成処 剤を、単に袋構造部を有する金属材料に適 しただけのものは、高い塗装付き廻り性を ることはできない。

 具体的には、特許文献1には、ジルコニウ ム、チタン及びハフニウムからなる群から選 ばれる少なくとも一種の含有量は、金属換算 で下限20ppm、上限10000ppmであることが好まし 、下限50ppm、上限2000ppmであることがより好 しいと記載されており、周期律表第三属金 イオンとして、アルミニウムイオン、ガリ ムイオン、インジウムイオンが挙げられ、 の周期律表第三属金属イオンの含有量は下 1ppm、上限5000ppmの範囲内であり、下限は5ppm 好ましく、上限は2000ppmが好ましいと記載さ ているが、このような範囲に含まれる化成 理剤を、単に袋構造部を有する金属材料に 用しただけでは高い塗装付き廻り性を得る とはできない。また、特許文献1の実施例で は、Zr:1000ppm、Ti:100ppm、Zn:1000ppm、Mg:500ppm、In:3 ppmを含む処理剤を用いて冷間圧延鋼板を処理 する例が記載されているが、この場合でも同 様である。また、特許文献2に記載のもので 同様に高い塗装付き廻り性を得ることはで ない。

 なお、発明者は、特許文献1の上記実施例 の処理剤を用いて鋼板の表面に皮膜を形成し た。実施例1の場合は処理液中にInを含んでい ないので、当然のことながら皮膜最表面のIn 子数比率は0at%となり、カチオン電着塗装の 付き廻り性は不充分であった。また、実施例 14にはInが3ppm添加されているが、pHが4.5に調 されており、Inは全て加水分解してしまい、 イオンとしては存在し得ない。よって、やは り皮膜最表面のIn原子数比率は0at%となり、塗 装付き廻り性は不充分であった。

 次に上記のような本発明の皮膜付き金属材 の製造方法について説明する。
 本発明の皮膜付き金属材料の製造方法は特 限定されない。
 例えば、スパッタリング、PVD、CVD等の蒸着 、ゾルゲル法、電気鍍金法、化成処理法等 より製造することができる。例えば従来公 の蒸着法により前記金属材料の表面にIn皮 を形成することができる。具体的には、タ ゲットにInやその酸化物を用い、減圧された 気体内でこれに電子ビームを照射する方法で 前記金属材料の表面にIn原子を蒸着させ、In らなるIn皮膜やIn酸化物(In 2 O 3 など)からなる皮膜を形成する方法を適用す ことができる。

 このような製造方法の中でも化成処理法 より製造することが好ましく、次に説明す 本発明の皮膜付き金属材料の製造方法によ ことがより好ましい。理由は、より容易に 価に本発明の皮膜付き金属材料を製造する とができるからである。また、本発明の皮 付き金属材料であって、In皮膜を前記金属 料の全表面に有するものを、比較的容易に 造することができるからである。

 次に本発明の皮膜付き金属材料の製造方 について説明する。この製造方法を以下で 単に「本発明の製造方法」ともいう。なお 単に「本発明の製造方法」と記した場合は 発明の皮膜付き金属材料の製造方法を意味 、後述する本発明の塗装金属材料の製造方 は含まれない。

 本発明の製造方法は、次に説明する本発明 表面処理用処理液を用いて前記袋構造部を する金属材料を表面処理し、本発明の皮膜 き金属材料を得る工程を具備する、皮膜付 金属材料の製造方法である。
 本発明の表面処理用処理液(以下、単に「本 発明の処理液」ともいう。)は、本発明の表 処理用組成物(以下、単に「本発明の組成物 ともいう。)を使用時に水で希釈し、または 水に溶解して得られる。

 本発明の組成物および本発明の処理液につ て説明する。
 本発明の組成物および処理液は、前記袋構 部を有する金属材料の表面を、カチオン電 塗装の前処理として化成処理する場合に用 る表面処理用組成物および処理液であって Inと、Zr、Ti、HfおよびSiからなる群から選ば れる少なくとも1つとを含有する表面処理用 成物および処理液である。

 本発明の組成物および処理液中においてIn 子の存在形態は特に限定されないが、概ね イオン状態で存在している。
 In原子の供給源は特に限定されないが、例 ば硝酸インジウム、硫酸インジウム、スル ァミン酸インジウム、フッ化インジウム、 化インジウム、水酸化インジウムが挙げら る。また、2種以上のものを併用してもよい

 また、In原子の本発明の組成物および処 液中における含有率は特に限定されないが In原子の本発明の組成物中における含有率で ある重量濃度(A)は50~5000ppmであることが好ま く、100~2000ppmであることがより好ましく、200 ~1000ppmであることがさらに好ましい。重量濃 が低すぎると処理によって失われる有効成 を補給するための補給量が多大となり、逆 過剰な場合は組成物としての安定性を損ね しまう。

 また、In原子の本発明の処理液中におけ 含有率である重量濃度(a)は5~100ppmであること が好ましく、10~50ppmであることがより好まし 。重量濃度が低すぎるとIn皮膜最表面のIn原 子数比率を10at%以上にすることが困難になり 過剰な場合はもはやその効果が飽和し、経 的に不利である。

 また、本発明の組成物および処理液中に いてZr、Ti、HfおよびSiからなる群から選ば る少なくとも1つの存在形態も特に限定され いが、概ね、イオン状態で存在している。

 本発明の組成物および処理液が含有するZr Ti、HfおよびSiの原子の供給源は特に限定さ ないが、例えば、塩化ジルコニウム、水酸 ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、硝酸ジ コニウム、ジルコニウムフッ化水素酸、フ 化ジルコニウム、チタンフッ化水素酸、硝 チタン、硝酸ハフニウム等が挙げられる。
 また、2種以上のものを併用してもよい。

 Zr、Ti、HfおよびSiからなる群から選ばれ 少なくとも1つの、本発明の組成物および処 液中における合計の含有率(重量濃度)も特 限定されないが、これらの本発明の組成物 における合計含有率である重量濃度(B)は100pp m~2000ppmであることが好ましく、200~1000ppmであ ことがより好ましい。重量濃度が低すぎる 処理によって失われる有効成分を補給する めの補給量が多大となり、逆に過剰な場合 組成物としての安定性を損ねてしまう。

 また、これらZr、Ti、HfおよびSiからなる から選ばれる少なくとも1つの本発明の処理 中における含有率である重量濃度(b)は30~1000 ppmであることが好ましく、50~200ppmであること がより好ましい。耐食性に優れた厚さのIn皮 を比較的容易に、かつ安価に形成すること できるからである。

 また、中でも本発明の処理液がMgを含有 ることが好ましい。この場合、Mgの重量濃度 (c)は100~3000ppmであることが好ましく、500~1500pp mであることがより好ましい。In皮膜を効率よ く均一の厚さに形成できる傾向があるからで ある。また、In皮膜を比較的短時間で形成す ことができるので好ましい。

 また、本発明の組成物および処理液は、フ 化物を含むことが好ましい。このような化 物の供給源は特に限定されないが、例えば フッ化水素酸酸、フッ化アンモニウム、フ 化水素アンモニウム、フッ化ナトリウム、 ッ化インジウム、ジルコニウムフッ化水素 、フッ化アルミニウム等が挙げられる。フ 素は水溶液中でInおよびZrを安定化させる作 用を有する。
 また、2種以上を併用してもよい

 前記フッ化物の本発明の組成物および処 液中における含有率は特に限定されないが フッ素イオンの本発明の組成物中における 有率である重量濃度(D)は300~10000ppmであるこ が好ましく、500~5000ppmであることがより好 しく、1000~3000ppmであることがさらに好まし 。

 また、フッ素イオンの本発明の処理液中 おける含有率である重量濃度(d)は100~5000ppm あることが好ましく、150~2000であることがよ り好ましく、200~1000ppmであることがさらに好 しい。

 また、重量濃度(d)は重量濃度(b)の1.25~6.25倍 あることが好ましい。Fは処理液中で特にZr ZrF 6 2- 錯体の形で安定化するため、その時の比率を 重量換算すると1.25となる。その比率を超え フッ素イオン分は素材のエッチングに使わ 、Zrの6.25倍を超える過剰なフッ素はエッチ グ過多を招き、皮膜の均一性が損なわれる

 また、本発明の処理液のpHは2.5~4.4である とが好ましく、3.4~4.0であることがより好ま しい。このような範囲であるとIn皮膜の析出 率が高い。またインジウムイオンの加水分 が発生し難く、処理液の安定性の観点から 好ましい。

 処理液のpHを調整する必要がある場合、 いられる薬剤は、特に限定されない。例え 、塩酸、硫酸、硝酸、フッ化水素酸、ホウ 、有機酸等の酸、水酸化リチウム、水酸化 リウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシ ム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム アルカリ金属塩、アンモニア、アンモニウ 塩、アミン類等のアルカリが挙げられる。

 また、本発明の処理液においては、フッ素 オンメーターで測定される遊離フッ素イオ 濃度が100ppm以下であるのが好ましく、20ppm 下であるのがより好ましい。本発明におい 、遊離フッ素イオン濃度は、市販のイオン 極を用いたフッ素イオンメーターにより測 される。
 遊離フッ素イオン濃度が高すぎると、耐食 を得るのに十分な皮膜を析出させることが しくなる。また、遊離フッ素イオン濃度の 限は特にない。
 遊離フッ素イオン濃度が高くなると、耐食 を得るに充分な量の皮膜を得ることができ ためである。遊離フッ素イオン濃度は、上 のAl等の含有量(添加量)を調節することで調 整することができる。

 さらに、本発明の処理液はキレート剤、酸 剤、界面活性剤などを含有することもでき 。
 しかし、本発明者の研究により、これらを 有するとIn皮膜の最表面のIn比率が低下する 傾向にあることがわかった。すなわち、本発 明の処理液に中のIn原子を一定にした場合、 れらキレート剤などを添加すると、添加し い場合と比較してIn比率が低下する傾向に る。したがって、In比率を高めることを目的 とするならば、使用量が少ないほうが好まし い。使用する場合でも低含有率とすることが 好ましい。

 また、本発明の処理液に用いることのでき 界面活性剤は、ノニオン系界面活性剤、ア オン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤 よび両性界面活性剤からなる群から選ばれ 少なくとも1種の界面活性剤を含有すること ができる。
 ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活 剤、カチオン系界面活性剤および両性界面 性剤としては、それぞれ従来公知のものを いることができる。
 本発明の処理液がこれらの界面活性剤を含 する場合は、金属材料をあらかじめ脱脂処 し、清浄化しておかなくても、良好な皮膜 形成させることができる。すなわち、界面 性剤を含有する本発明の処理液は、脱脂化 兼用表面処理剤として用いることができる
 界面活性剤の濃度は、特に限定されないが 1000ppm以下であることが好ましく、100ppm以下 であることがより好ましい。

 本発明の処理液の好ましい態様を再度示す
 本発明の処理液は、袋構造部を有する金属 料の表面を、カチオン電着塗装の前処理と て化成処理する場合に用いる表面処理用処 液であって、
 InとZr、Ti、HfおよびSiからなる群から選ばれ る少なくとも1つとを含有し、
 Inの重量濃度(a)が5~100ppmであり、
 Zr、Ti、HfおよびSiからなる群から選ばれる なくとも1つの重量濃度(b)が50~1000ppmであり、
 Mgを含有し、Mgのモル濃度(c)が200~2000ppmであ 、
 pHが2.5~4.4である表面処理用処理液である。

 本発明の組成物および処理液は上記のご くである。

 本発明の製造方法は、上記のような本発 の処理液を用いて、前記袋構造部を有する 属材料を表面処理し、本発明の皮膜付き金 材料を得る工程を具備する、皮膜付き金属 料の製造方法である。

 本発明の製造方法において表面処理は、前 金属材料に本発明の処理液を接触させて行 。
 前記金属材料に本発明の処理液を接触させ ことにより、その表面にInまたはInとZr、Ti HfおよびSiからなる群から選ばれる少なくと 1つとを含むIn皮膜が析出する。
 本発明の製造方法により形成されたIn皮膜 水酸化物、酸化物または水和水が付いた形 (水和物)の形態であると考えられる。しかし 、その後、熱を加えることによって、最終的 には酸化物となる。したがって、本発明にお けるIn皮膜の構造は、表面処理を施した後に 温または低温で乾燥させた場合は、酸化物 水酸化物および水和物が混在した状態とな 、In皮膜形成後にさらに高温で乾燥させた 合は、酸化物のみの状態または酸化物が多 状態になっていると考えられる。

 前記金属材料は、脱脂処理により予め清浄 されているのが好ましい。脱脂処理の方法 、特に限定されず、従来公知の方法を用い ことができる。
 なお、上述したように、本発明の処理液が 記界面活性剤を含有する場合は、前記金属 料を予め脱脂処理し、清浄化しておかなく も、良好な皮膜を形成させることができる

 前記金属材料に本発明の処理液を接触させ 方法は、特に限定されず、通常の化成処理 において適用される方法であってよく、例 ば、スプレー処理法、浸漬処理法、流しか 処理法、電解処理法が挙げられる。
 中でも浸漬処理法が好ましい。比較的容易 、前記金属材料の表面の全面にIn皮膜を形 することができるからである。

 また表面処理時において、本発明の処理 の温度は25~55℃であることが好ましく、30~50 ℃であることがより好ましく、35~45℃である とがさらに好ましい。好ましい範囲の皮膜 が得られやすく、In皮膜の前記金属材料に する密着性も高まるからである。

 また、表面処理時間は特に限定されない 、2~600秒であることが好ましく、30~300秒で ることがより好ましく、30~120秒であること さらに好ましい。好ましい範囲の皮膜量が られやすいからである。また、袋構造部の 部の液置換が必要程度に行われるからであ 。処理時間が長すぎても、皮膜の析出に寄 しない傾向がある。

 このような表面処理をした後は、水洗する とが好ましい。また、脱イオン水で水洗す ことが好ましい。水洗した後、さらに脱イ ン水で水洗することが好ましい。水洗の方 は特に限定されず、浸漬法、スプレー法な の例えば従来公知の方法を適用することが きる。
 水洗の後は、乾燥させてもよいし、乾燥し くてもよい。

 本発明の製造方法では、このような方法で 記金属材料を表面処理し、本発明の皮膜付 金属材料を得る。
 このような本発明の製造方法により、耐食 および塗膜密着性を有し、さらに、カチオ 電着塗装において高い塗装付き廻り性を得 ことができる本発明の金属材料を得ること できる。

 本発明の製造方法は、上記のような袋構 部を有する金属材料に適用することが好ま い。

 次に本発明の塗装金属材料の製造方法につ て説明する。
 本発明の塗装金属材料の製造方法は、上記 ような本発明の製造方法に、さらに前記皮 付き金属材料の表面をカチオン電着塗装す 工程を具備する、塗装金属材料の製造方法 ある。

 カチオン電着塗装は例えば従来公知の方法 適用できる。
 例えば、塗料として、アミン付加エポキシ 脂と、硬化成分としてブロック化ポリイソ アネート硬化剤とを含有するカチオン電着 料組成物を用い、この中に本発明の皮膜付 金属材料を浸漬する。なお、浸漬前に本発 の皮膜付き金属材料を乾燥してもよいし、 燥せずに塗料に浸漬してもよい。

 そして、塗料の温度を例えば26~30℃程度に 持し、所望により塗料をスターラーで撹拌 た状態で、例えば整流器を用いて本発明の 膜付き金属材料に電圧を印加する。電解条 も例えば通常の条件であってよい。例えば めに30秒かけて0Vから200Vまで直線的に電圧を 陰極方向に印加し、その後200Vで150秒間保持 る。
 このようにして本発明の皮膜付き金属材料 表面を塗装した後、水洗し、その後塗膜を き付ける。例えば170℃で20分間焼き付けて 塗膜を形成させる。

 本発明の塗装金属材料の製造方法は、上記 ような本発明の製造方法に、さらにこのよ なカチオン電着塗装する工程を具備する塗 金属材料の製造方法である。
 得られた塗装金属材料の塗膜は平均厚さで1 ~50μmの厚さであることが好ましく、5~40μmで ることがより好ましく、7~25μmであることが らに好ましい。また、最も薄い箇所の厚さ 7μm以上であることが好ましい。最低膜厚が 薄いと腐食防止効果が充分に発揮されない。 さらに、最も厚い箇所の厚さは40μm以下であ ことが好ましく、25μm以下であることがよ 好ましい。最高膜厚が厚いと、塗膜表面の フネスが増加し、概観上問題になると共に 経済的にも不利である。

 ここで塗膜の厚さは、電磁式膜厚計または 電流式膜厚計を用いて測定する。塗膜が磁 体の金属材料(鉄、鉄系合金など)の表面の に形成されている場合は、電磁式膜厚計を いて測定する。また、塗膜が非磁性体の金 材料(アルミニウム、アルミ系合金など)の表 面の上に形成されている場合は、渦電流式膜 厚計を用いて測定する。
 これらによって塗膜の任意の箇所を数箇所 定して、平均厚さを求める。

 以下に実施例および比較例を挙げて本発 の内容を具体的に説明する。

<金属板>
 次の金属板を用意した(全て株式会社パルテ ック社製)。
・冷延鋼板:SPCC(JIS3141)、70×150×0.8mm(以下、「S PC」と略す。)
・合金化溶融亜鉛めっき鋼板:SGCC F06 MO(JISG33 02)、70×150×0.8mm(以下、「GA」と略す。)
・アルミニウム合金板:A5052P(JIS4000)、70×150×1. 0mm(以下、「AL」と略す。)

<In皮膜の形成>
 それぞれの金属板の表面を脱脂処理し防錆 を除去した。脱脂剤として日本パーカライ ング社製、「FC-E2001」を使用し、これを40℃ に加温した後、120秒間スプレー処理すること により脱脂処理した。脱脂処理後は表面を30 間スプレー水洗した。
 その後、後述する各々の実施例および比較 の処理液を用いて、金属板の表面の全面にI n皮膜を形成した。

<塗装性能試験のためのカチオン電着塗装 法>
 電着塗料として関西ペイント社製「エレク ン9400」を用いた。そして、180秒間定電圧陰 極電解して塗膜を金属板の全表面に析出させ た後、水洗し、170℃で20分間加熱焼き付けす ことにより塗膜を形成した。電圧の制御に り塗膜厚を20μmに調整した。なお、本塗料 前述のアミン付加エポキシ樹脂と、硬化成 としてブロック化ポリイソシアネート硬化 とを含有するカチオン電着塗料である。
 結果を第1表に示す。

<耐食性試験方法および評価方法>
 電着塗装した塗装板にクロスカットを施し 塩水噴霧試験(JIS-Z2371)を実施し、1000時間後 クロスカット部の片側膨れ幅を評価した。 般に、冷延鋼板であれば、3mm以下が良好、2 mm以下が極めて良好なレベル、合金化亜鉛め き鋼板では、3mm以下が良好なレベル、アル ニウム合金板では2mm以下が良好なレベルと る。
 結果を第1表に示す。

<塗膜密着性試験方法および評価方法>
 電着塗装した塗装板を沸騰水に1時間浸漬後 、水をワイピングし、1mm間隔にカッターナイ フで切り込みを入れ、100個の碁盤目状カット 傷を入れた。その後、テープ剥離を行い、剥 離した碁盤目の個数を測定した。従って、0 最も優れ、100が最も劣ることになる。
 結果を第1表に示す。

<塗装付き廻り性試験方法および評価方法&g t;
 同種類の金属板を4枚用意し、その内3枚に 径8mmの円形の穴を形成した。穴の位置は金 板の短辺方向では中心で、長辺方向では一 の短辺から垂直方向に50mm(穴の中心と一方の 短辺との最短距離が50mm)、他方の短辺から垂 方向に100mmである位置とした。そして、こ らの4枚の金属板と3枚の塩化ビニル板とを用 いて、図1に示す4枚ボックスを形成した。図1 において4枚の金属板12、13、14、15は平行であ り、これらの間のクリアランスは全て20mmで り、金属板12、13、14は穴10を有するものであ り、金属板15は穴を有さないものである。こ で、金属板12の金属板13と逆の面をA面とし 。また、金属板15の金属板14の側の面をG面と した。

 そして、図1に示すように4枚の金属板の全 の長辺に接するように2枚の塩化ビニル板(21 22)の各々を粘着テープで接着し、さらに一 の短辺の全てに接するように1枚の塩化ビニ ル板(23)を粘着テープで接着した。このよう して4枚ボックス1を形成した。
 この4枚ボックスは、本発明における「袋構 造部を有する金属材料」に相当する。

 次に4枚ボックス1と対極2とを図2、図3に示 ように配置した。すなわち、対極2に近い側 穴10を形成した金属板12がくるように4枚ボ クスを配置した。そして、4枚の金属板全て 短絡するように配線した。図2は金属板の短 辺方向の中心おける断面を示しており、図3 斜視図である。なお、図3では塩化ビニル板( 21、22、23)を示していない。また、対極2とし は、片面(4枚ボックス側と逆の面)を絶縁テ プでシールした70×150×0.5mmのステンレス板(S US304)を用いた。
 そして、塗料(関西ペイント社製「エレクロ ン9400」)の液面を金属板および対極が90mm浸漬 される位置に制御した。塗料の温度は28℃に 持し、塗料はスターラーにて撹拌した。

 このような状態で、対極を陽極とした陰極 解法により、4枚ボックスの金属板の表面に 塗膜を電解析出させた。
 具体的な電解条件は、整流器を用い、所定 電圧にて180秒間陰極電解した。電圧は4枚ボ ックスのA面が20μmになるように調整した。そ して電解後それぞれの金属板を水洗した後、 170℃で20分間焼き付け、塗膜を形成させた。

 そして、G面に形成された塗膜の膜厚を電 磁式膜厚計(金属板がSPCまたはGAの場合)また 渦電流式膜厚計(金属板がALの場合)を用いて 定した。G面上の塗膜厚は無作為に選んだ10 所の測定結果の平均とした。

 G面塗膜膜厚は7μm以上であることが好まし 。
 結果を第1表に示す。

<In皮膜中のInとZrの定量方法>
 蛍光X線分光分析装置(XRF:RIGAKU製ZSX PrimusII) よりIn皮膜(塗装前)中のIn付着量とZr付着量を 定量した。
 結果を第1表に示す。

<In皮膜最表面のIn濃度測定方法>
 X線光電子分光分析(XPS:SHIMAZU製ESCA-850M)によ て最表面のワイドスペクトルを測定して各 子の原子数を求め、それにより最表面のIn比 率を測定した。また、InおよびOのナロースペ クトルを解析することにより、皮膜の状態分 析を合わせて行った。
 結果を第1表に示す。

<実施例1>
 インジウムイオン濃度で7ppmとなる硝酸イン ジウムと、フッ素イオン濃度で500ppmとなる珪 フッ化水素酸とを水に溶解した。
 そして得られた処理液のpHを、アンモニア 用いて3.9に調整し、35℃とした後、複数のSPC の金属板を120秒間浸漬した。そして、処理液 から取り出した後、水洗し、常温乾燥して、 In皮膜を有する金属板を得た。Inは概ね水酸 物の形態であり、付着量は8mg/m 2 、最表面のIn原子数比率は20at%であった。そ て、得られたものの数枚を用いて耐食性試 、塗膜密着性試験および塗装付き廻り性試 を行った結果、耐食性:2.7mm、塗膜密着性:0個 、塗装付き廻り性:11μmとの評価結果を得た。

<実施例2>
 In濃度で95ppmとなる硫酸インジウムと、F濃 で100ppmとなるフッ化水素酸と、Mg濃度で300ppm となる硝酸マグネシウムとを水に溶解した。
 そして得られた処理液のpHを重炭酸アンモ ウムを用いて3.7に調整し、40℃とした後、複 数のSPCの金属板を90秒間浸漬した。そして、 理液から取り出した後、水洗し、常温乾燥 て、In皮膜を有する金属板を得た。Inは概ね 水酸化物の形態であり、付着量は45mg/m 2 、最表面のIn原子数比率は22at%であった。そ て、得られたものの数枚を用いて耐食性試 、塗膜密着性試験および塗装付き廻り性試 を行った結果、耐食性:1.8mm、塗膜密着性:0個 、塗装付き廻り性:12μmとの評価結果を得た。

<実施例3>
 実施例2と同様の処理液、処理方法にてGA板 処理し、複数の金属板を得た。Inは概ね水 化物の形態であり、付着量は23mg/m 2 、最表面のIn原子数比率は19at%であった。そ て、得られたものの数枚を用いて耐食性試 、塗膜密着性試験および塗装付き廻り性試 を行った結果、耐食性:2.5mm、塗膜密着性:0個 、塗装付き廻り性:12μmとの評価結果を得た。

<実施例4>
 In濃度で50ppmとなる硝酸インジウムと、F濃 で1000ppmとなるフッ化水素酸と、Al濃度で150pp mとなる硝酸アルミニウムとを水に溶解した
 そして得られた処理液のpHを重炭酸アンモ ウムを用いて3.5に調整し、40℃とした後、複 数のSPCの金属板を90秒間浸漬した。そして、 理液から取り出した後、水洗し、常温乾燥 て、In皮膜を有する金属板を得た。Inは概ね 水酸化物の形態であり、付着量は33mg/m 2 、最表面のIn原子数比率は21at%であった。そ て、得られたものの数枚を用いて耐食性試 、塗膜密着性試験および塗装付き廻り性試 を行った結果、耐食性:1.9mm、塗膜密着性:0個 、塗装付き廻り性:11μmとの評価結果を得た。

<実施例5>
 In濃度で30ppmとなる硝酸インジウムと、Zr濃 で100ppmおよびF濃度で130ppmとなるジルコニウ ムフッ化水素酸と、Mg濃度で1000ppmとなる硝酸 マグネシウムとを水に溶解した。
 そして得られた処理液のpHを重炭酸アンモ ウムを用いて3.8に調整し、40℃とした後、複 数のSPCの金属板を90秒間浸漬した。Inは概ね 酸化物の形態であり、付着量は25mg/m 2 、Zr付着量は45mg/m 2 、最表面のIn原子数比率は15at%であった。そ て、処理液から取り出した後、水洗し、常 乾燥して、In皮膜を有する金属板を得た。そ して、得られたものの数枚を用いて耐食性試 験、塗膜密着性試験および塗装付き廻り性試 験を行った結果、耐食性:1.9mm、塗膜密着性:0 、塗装付き廻り性:11μmとの評価結果を得た

<実施例6>
 実施例2と同様の処理液、処理方法にてAL板 処理し、複数の金属板を得た。Inは概ね水 化物の形態であり、付着量は8mg/m 2 、Zr付着量は18mg/m 2 、最表面のIn原子数比率は21at%であった。そ て、得られたものの数枚を用いて耐食性試 、塗膜密着性試験および塗装付き廻り性試 を行った結果、耐食性:0.7mm、塗膜密着性:0個 、塗装付き廻り性:12μmとの評価結果を得た。

<実施例7>
 In濃度で10ppmとなる硫酸インジウムと、Zr濃 で150ppmおよびF濃度で190ppmとなるジルコニウ ムフッ化水素酸と、Mg濃度で1500ppmとなる硝酸 マグネシウムと、Al濃度で100ppmとなる硝酸ア ミニウムを水に溶解した。
 そして得られた処理液のpHをアンモニアを いて4.0に調整し、40℃とした後、複数のSPCの 金属板を90秒間浸漬した。Inは概ね水酸化物 形態であり、付着量は12mg/m 2 、Zr付着量は39mg/m 2 、最表面のIn原子数比率は11at%であった。そ て、処理液から取り出した後、水洗し、常 乾燥して、In皮膜を有する金属板を得た。そ して、得られたものの数枚を用いて耐食性試 験、塗膜密着性試験および塗装付き廻り性試 験を行った結果、耐食性:1.8mm、塗膜密着性:0 、塗装付き廻り性:9μmとの評価結果を得た

<実施例8>
 In濃度で90ppmとなる硝酸インジウムと、Zr濃 で100ppmとなる硝酸ジルコニウム、F濃度で600 ppmとなるフッ化水素酸、Mg濃度で500ppmなる硝 マグネシウムと、Al濃度で220ppmとなる硝酸 ルミニウムとを水に溶解した。
 そして得られた処理液のpHをアンモニア水 用いて3.3に調整し、45℃とした後、複数のSPC の金属板を120秒間浸漬した。Inは概ね水酸化 の形態であり、付着量は18mg/m 2 、Zr付着量は5mg/m 2 、最表面のIn原子数比率は17at%であった。そ て、処理液から取り出した後、水洗し、常 乾燥して、In皮膜を有する金属板を得た。そ して、得られたものの数枚を用いて耐食性試 験、塗膜密着性試験および塗装付き廻り性試 験を行った結果、耐食性:1.9mm、塗膜密着性:0 、塗装付き廻り性:11μmとの評価結果を得た

<実施例9>
 In濃度で20ppmとなる酸化インジウムと、Zr濃 で500ppmとなる硝酸ジルコニウム、F濃度で650 ppmとなるフッ化水素酸と、Mg濃度で1800ppmとな る硝酸マグネシウムとを水に溶解した。
 そして得られた処理液のpHを、アンモニア を用いて3.9に調整し、40℃とした後、複数の SPCの金属板を90秒間浸漬した。Inは概ね水酸 物の形態であり、付着量は26mg/m 2 、Zr付着量は112mg/m 2 、最表面のIn原子数比率は14at%であった。そ て、処理液から取り出した後、水洗し、常 乾燥して、In皮膜を有する金属板を得た。そ して、得られたものの数枚を用いて耐食性試 験、塗膜密着性試験および塗装付き廻り性試 験を行った結果、耐食性:1.5mm、塗膜密着性:0 、塗装付き廻り性:9μmとの評価結果を得た

<実施例10>
 In濃度で50ppmとなる酸化インジウムと、Zr濃 で60ppmとなる硝酸ジルコニウム、F濃度で100p pmとなるフッ化水素アンモニウムと、Mg濃度 300ppmとなる硝酸マグネシウムとを水に溶解 た。
 そして得られた処理液のpHを、アンモニア を用いて3.7に調整し、40℃とした後、複数の SPCの金属板を90秒間浸漬した。Inは概ね水酸 物の形態であり、付着量は32mg/m 2 、Zr付着量は10mg/m 2 、最表面のIn原子数比率は22at%であった。そ て、処理液から取り出した後、水洗し、常 乾燥して、In皮膜を有する金属板を得た。そ して、得られたものの数枚を用いて耐食性試 験、塗膜密着性試験および塗装付き廻り性試 験を行った結果、耐食性:1.7mm、塗膜密着性:0 、塗装付き廻り性:12μmとの評価結果を得た

<実施例11>
 実施例10と同様の処理液、処理方法にてGA板 を処理し、複数の金属板を得た。Inは概ね水 化物の形態であり、付着量は24mg/m 2 、Zr付着量は13mg/m 2 、最表面のIn原子数比率は13at%であった。そ て、得られたものの数枚を用いて耐食性試 、塗膜密着性試験および塗装付き廻り性試 を行った結果、耐食性:2.0mm、塗膜密着性:0個 、塗装付き廻り性:10μmとの評価結果を得た。

<実施例12>
 蒸着法によってSPCの表面にIn皮膜を形成し 。
 具体的には、酸素圧力2.0×10 -4 Torrの雰囲気で酸化インジウムに電子ビーム 照射して加熱することで、SPCの表面にIn皮膜 を形成した。Inは概ね酸化物の形態であり、 着量は50mg/m 2 、最表面のIn原子数比率は35at%であった。

<実施例13>
 電気鍍金法によりSPCの表面にIn皮膜を形成 た。
 具体的には、In濃度で10000ppmとなるスルファ ミン酸インジウム、ホウ酸を30000ppm、塩化ア モニウムを40000ppmとを水に溶解した。そし 得られた処理液のpHを、アンモニア水を用い て3.0に調整し、40℃とした後、複数のSPCの金 板を電流密度1.0A/dm 2 で14秒間陰極電解した。そして、処理液から り出した後、水洗し、常温乾燥して、In皮 を有する金属板を得た。Inは概ね金属の形態 であり、付着量は500mg/m 2 、最表面のIn原子数比率は80at%であった。そ て、得られたものの数枚を用いて耐食性試 、塗膜密着性試験および塗装付き廻り性試 を行った結果、耐食性:1.7mm、塗膜密着性:0個 、塗装付き廻り性:12μmとの評価結果を得た。

<比較例1>
 In濃度で30ppmとなる硝酸インジウムと、Zr濃 で100ppmおよびF濃度で130ppmとなるジルコニウ ムフッ化水素酸と、Mg濃度で1000ppmとなる硝酸 マグネシウムとを水に溶解した。
 そして得られた処理液のpHを重炭酸アンモ ウムを用いて2.8に調整し、40℃とした後、複 数のSPCの金属板を90秒間浸漬した。Inは概ね 酸化物の形態であり、付着量は15mg/m 2 、Zr付着量は25mg/m 2 、最表面のIn原子数比率は7at%であった。そし て、処理液から取り出した後、水洗し、常温 乾燥して、In皮膜を有する金属板を得た。そ て、得られたものの数枚を用いて耐食性試 、塗膜密着性試験および塗装付き廻り性試 を行った結果、耐食性:4.2mm、塗膜密着性:5 、塗装付き廻り性:4μmとの評価結果を得た。
 化成処理液のpHが低く、In皮膜最表面の原子 数比率が低下したため、充分な塗装付き廻り 性が得られていない。

<比較例2>
 特許文献1の実施例1をトレースする実験を った。
 Zr濃度で250ppmとなるジルコニウムフッ化水 酸とZn濃度で500ppmとなる硝酸亜鉛とを水に溶 解した。そして得られた処理液のpHを、水酸 ナトリウムを用いて4.0に調整し、40℃とし 後、複数のSPCの金属板を60秒間浸漬した。そ して、処理液から取り出した後、水洗し、常 温乾燥して、化成処理皮膜を有する金属板を 得た。Zr付着量は20mg/m 2 であったがInの析出は認められなかった。そ て、得られたものの数枚を用いて耐食性試 、塗膜密着性試験および塗装付き廻り性試 を行った結果、耐食性:5.3mm、塗膜密着性:0 、塗装付き廻り性:3μmとの評価結果を得た。
 従来のジルコニウム系化成処理皮膜であり 充分な塗装付き廻り性は得られていない。

<比較例3>
 特許文献1の実施例14をトレースする実験を った。
 In濃度で3ppmとなる硝酸インジウムと、Zr濃 で1000ppmとなるジルコニウムフッ化水素酸と Ti濃度で100ppmとなるチタンフッ化水素酸と Zn濃度で1000ppmとなる硝酸亜鉛と、Mg濃度で500 ppmとなる硝酸マグネシウムとを水に溶解した 。そして得られた処理液のpHを水酸化ナトリ ムを用いて4.5に調整し、40℃とした後、複 のSPCの金属板を60秒間浸漬した。そして、処 理液から取り出した後、水洗し、常温乾燥し て、化成処理皮膜を有する金属板を得た。Zr 着量は32mg/m 2 であったがInの析出は認められなかった。そ て、得られたものの数枚を用いて耐食性試 、塗膜密着性試験および塗装付き廻り性試 を行った結果、耐食性:4.3mm、塗膜密着性:0 、塗装付き廻り性:2μmとの評価結果を得た。
 処理液中にTiとInを添加したが、pHを4.5に調 した段階で双方とも加水分解を起こして固 化した。皮膜中に取り込まれなかったのは のためと考えられる。

<比較例4>
 In濃度で10ppmとなる酸化インジウムと、Zr濃 で40ppmとなる硝酸ジルコニウム、F濃度で60pp mとなるフッ化水素アンモニウムと、Mg濃度で 150ppmとなる硝酸マグネシウムとを水に溶解し た。
 そして得られた処理液のpHを、アンモニア を用いて3.2に調整し、40℃とした後、複数の SPCの金属板を90秒間浸漬した。Inは概ね水酸 物の形態であり、付着量は2mg/m 2 、Zr付着量は16mg/m 2 、最表面のIn原子数比率は4at%であった。そし て、処理液から取り出した後、水洗し、常温 乾燥して、In皮膜を有する金属板を得た。そ て、得られたものの数枚を用いて耐食性試 、塗膜密着性試験および塗装付き廻り性試 を行った結果、耐食性:6.2mm、塗膜密着性:0 、塗装付き廻り性:3μmとの評価結果を得た。
 処理液中のZr濃度とMg濃度が不充分で、充分 なInとZrの合計付着量が得られず、耐食性も 装付き廻り性も満足しなかった。

<比較例5>
 In濃度で10ppmとなる硝酸インジウムと、Zr濃 で250ppmおよびF濃度で320ppmとなるジルコニウ ムフッ化水素酸、F濃度で1280ppmとなるフッ化 素酸と、Mg濃度で500ppmとなる硝酸マグネシ ムと、Al濃度で400ppmとなる硝酸アルミニウム とを水に溶解した。(F濃度は最終的に1600ppm)
 そして得られた処理液のpHを、アンモニア を用いて3.5に調整し、40℃とした後、複数の SPCの金属板を90秒間浸漬した。Inは概ね水酸 物の形態であり、付着量は5mg/m 2 、Zr付着量は30mg/m 2 、最表面のIn原子数比率は6at%であった。そし て、処理液から取り出した後、水洗し、常温 乾燥して、In皮膜を有する金属板を得た。そ て、得られたものの数枚を用いて耐食性試 、塗膜密着性試験および塗装付き廻り性試 を行った結果、耐食性:3.0mm、塗膜密着性:0 、塗装付き廻り性:4μmとの評価結果を得た。
 a/bが低過ぎ、d/bが高過ぎる水準であり、主 してエッチング過多により、In皮膜最表面 In原子数比率が低下し、充分な塗装付き廻り 性が得られなかった。

<比較例6>
 In濃度で10ppmとなる硝酸インジウムと、Zr濃 で250ppmおよびF濃度で320ppmとなるジルコニウ ムフッ化水素酸、Mg濃度で2200ppmとなる硝酸マ グネシウムとを水に溶解した。
 そして得られた処理液のpHを、アンモニア を用いて3.9に調整し、40℃とした後、複数の SPCの金属板を180秒間浸漬した。Inは概ね水酸 物の形態であり、付着量は5mg/m 2 、Zr付着量は211mg/m 2 、最表面のIn原子数比率は3at%であった。そし て、処理液から取り出した後、水洗し、常温 乾燥して、In皮膜を有する金属板を得た。そ て、得られたものの数枚を用いて耐食性試 、塗膜密着性試験および塗装付き廻り性試 を行った結果、耐食性:3.2mm、塗膜密着性:35 、塗装付き廻り性:1μmとの評価結果を得た
 a/bが低過ぎ、cが高過ぎる水準であり、皮膜 析出過多およびIn皮膜最表面のIn原子数比率 足により、充分な塗膜密着性と塗装付き廻 性が得られなかった。

<比較例7>
 SPCに対し、表面調整剤:プレパレンX(日本パ カライジング社製)の3.0g/L水溶液中に30秒間 温にて浸漬処理し、次いでリン酸亜鉛系化 処理剤:パルボンドSX35(日本パーカライジン 社製)の50g/L水溶液中に90秒間35℃にて浸漬処 理を行い、処理液から取り出した後、水洗し 、常温乾燥して、2.2g/m 2 のリン酸亜鉛系化成処理皮膜を有する金属板 を得た。そして、得られたものの数枚を用い て耐食性試験、塗膜密着性試験および塗装付 き廻り性試験を行った結果、耐食性:3.0mm、塗 膜密着性:0個、塗装付き廻り性:10μmとの評価 果を得た。
 塗装性能も塗装付き廻り性も良好であるが 前述の如く多量の重金属やリン酸を含有し スラッジも大量に発生するなどの問題を有 る。