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Patent Searching and Data


Title:
COMPOUND, α1 ADRENALINE RECEPTOR ANTAGONIST, AND COMPOSITION
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/090857
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a novel compound having effective curative effects not only on hypertension but also on prostatomegaly and the like. Also disclosed are an α1 adrenaline receptor antagonist, and a composition. The compound is represented by the following structural formula (1).

Inventors:
WAKIMOTO TOSHIYUKI (JP)
NUKAYA HARUO (JP)
SUWA YOSHIHIDE (JP)
YOKOO YOSHIAKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/050747
Publication Date:
July 31, 2008
Filing Date:
January 22, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SUNTORY LTD (JP)
WAKIMOTO TOSHIYUKI (JP)
NUKAYA HARUO (JP)
SUWA YOSHIHIDE (JP)
YOKOO YOSHIAKI (JP)
International Classes:
C07D307/84; A23L2/52; A61K31/343; A61P7/10; A61P9/12; A61P13/02; A61P13/08; A61P43/00
Domestic Patent References:
WO2004002978A12004-01-08
WO2006057406A12006-06-01
WO2006092893A12006-09-08
Foreign References:
JP2006273842A2006-10-12
Other References:
KUO Y.-H. ET AL.: "Synthesis of 5-(3-Hydroxypropyl)-7-methoxy-2-(3'-methoxy-4'-hydroxyphenyl)-3-benzo[b]furancarbaldehyde, a Novel Adenosine A1 Receptor Ligand from the Root of Salvia miltiorrhiza", JOURNAL OF NATURAL PRODUCTS, vol. 59, no. 6, 1996, pages 625 - 628, XP008108907
See also references of EP 2128148A4
SHUUJI TAKAORI; HIDEOMI FUKUDA; AKINORI AKAIKE: "Goodman & Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics 10th cdition", vol. 1, HIROKAWA BOOK CO., pages: 308 - 316
B.DRAKE, SYNTHESIS, vol. 579, 1994
A.GRAHAM ET AL., SYNTHESIS, vol. 1032, 1984
H.SAITO, ORG.LETT., vol. 4, 2002, pages 3887 - 3890
W.K UROSAWA, TETRAHEDRON, vol. 60, 2004, pages 9615 - 9628
MITCHEL, A.D. ET AL., BRT.J.PHARMACOL., vol. 98, 1989, pages 883 - 889
DOCHERTY, J.R. ET AL., NAUNYN SCHEMIEDEBERG'S ARCH.PHARMACOL., vol. 317, 1981, pages 5 - 7
Attorney, Agent or Firm:
KITAMURA, Shuichiro (Nakanoshima 2-chomeKita-ku, Osaka-shi, Osaka 05, JP)
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Claims:
 以下の構造式(1):
 
で示される化合物。
 以下の構造式(2):
 
で示される化合物。
 以下の構造式(1):
 
で示される化合物を有効成分として含むα 1 アドレナリン受容体拮抗剤。
 以下の構造式(2):
 
で示される化合物を有効成分として含むα 1 アドレナリン受容体拮抗剤。
 高血圧治療薬、前立腺肥大治療薬、及び排尿促進剤のいずれかである請求項3又は4に記載のα 1 アドレナリン受容体拮抗剤。
 以下の構造式(1):
 
で示される化合物を含有し、α 1 アドレナリン受容体を介した作用を有する組成物。
 以下の構造式(2):
 
で示される化合物を含有し、α 1 アドレナリン受容体を介した作用を有する組成物。
 飲食品、飲食物添加剤、及び動物用飼料のいずれかである請求項6又は7に記載の組成物。
 α 1 アドレナリン受容体を介した作用に基づく機能に関する表示を付したことを特徴とする請求項6又は7に記載の組成物。
Description:
化合物、α 1 アドレナリン受容体拮抗剤、及び組成物

 本発明は、α 1 アドレナリン受容体に作用する化合物に関す る。

 自律神経は、交感神経と副交感神経とから 成されており、内臓や血管等の働きを不随 にコントロールする神経である。
 例えば、交感神経を介して循環器(心臓や血 管等)に刺激が伝達されると、心拍数を増加 せたり、血管を収縮させたりするなどして 血圧や脈拍等が調節される。このとき、交 神経においては、その神経細胞の末端(シナ ス)からアドレナリン又はノルアドレナリン という物質(神経伝達物質)が分泌され、これ の神経伝達物質が、心臓や血管平滑筋に存 する特定の受容体に作用することによって 心臓や血管に刺激が伝達されてその働きが ントロールされる。

 ここで、アドレナリンやノルアドレナリン 作用し得る前記受容体は、アドレナリン受 体と呼ばれており、α受容体とβ受容体とい う2種類の受容体に分類される。また、α受容 体は、さらにα 1 受容体とα 2 受容体とに細分され、β受容体は、β 1 受容体とβ 2 受容体とに細分される。

 大まかな機能を説明すれば、α受容体は、 管収縮等の機能に関与しており、β受容体は 、心拍数増加等の機能に関与している。尚、 α 1 アドレナリン受容体は、血管平滑筋や前立腺 平滑筋等に存在し、その収縮に関与すること が知られている。

 アドレナリン受容体のアンタゴニストは 神経伝達物質(アドレナリン、ノルアドレナ リン等)と競合的又は非競合的に、上述のα受 容体やβ受容体に作用して、交感神経におけ 神経伝達物質による刺激の伝達を遮断する とができる。

 従って例えば、α 1 アドレナリン受容体に作用し得るアンタゴニ スト(以下、α 1 アドレナリン受容体アンタゴニストと称する )が、血管平滑筋に存在するα 1 アドレナリン受容体に作用した場合、血管平 滑筋が弛緩して血管が拡張し得る。その結果 、血管抵抗が減少し、血圧が低下する(即ち 降圧剤として機能し得る)。

 このような機能を有する従来のα 1 アドレナリン受容体アンタゴニストとしては 、例えば、フェントラミン(phentolamine)、フェ キシベンザミン(phenoxybenzamine)、プラゾシン( prazosin)等が挙げられ、これらのα 1 アドレナリン受容体アンタゴニストを含有す るα 1 アドレナリン受容体拮抗剤は、主として高血 圧治療薬として、あるいはまた、前立腺肥大 症等の治療薬としても使用されている(非特 文献1参照)。尚、前立腺肥大症とは、前立腺 の良性腫瘍であり、高齢男性における有病率 が高く、排尿障害の原因となることが多い。 α 1 アドレナリン受容体アンタゴニストは、前立 腺平滑筋に存在するα 1 アドレナリン受容体に作用して、前立腺肥大 による尿道の締めつけを解除し、排尿状態を 改善し得る。

 しかしながら、従来のα 1 アドレナリン受容体拮抗剤には、種々の副作 用(例えば、起立性低血圧や、めまいなど)が められる場合も多く、さらなる新規のα 1 アドレナリン受容体拮抗剤の開発が望まれて いる。

 本発明は、上記実情に鑑みてなされたもの あって、高血圧治療だけでなく、前立腺肥 症治療等に対しても有効な治療効果を発揮 得る新規の化合物、α 1 アドレナリン受容体拮抗剤、及び組成物を提 供するものである。
監訳 高折秀二・福田英臣・赤池昭紀「 ッドマン・ギルマン 薬理書 第10版」薬物 療の基礎と臨床(上巻)株式会社 廣川書店 p 308~316

 本発明に係る化合物の第1特徴構成は、以下 の構造式(1):
 
で示される点にある。

〔作用及び効果〕
 後述する実験例1及び2に示されるように、 記構造式(1)に記載される化合物は、α 1 アドレナリン受容体に対して高い結合活性を 有すると共に、血管収縮抑制作用を有するこ とが本発明者らの鋭意研究によって初めて見 出されている。
 即ち、上記構造式(1)に記載される化合物は 血管平滑筋や、前立腺平滑筋等に存在する 1 アドレナリン受容体に作用して、交感神経に おける神経伝達物質(アドレナリン、ノルア レナリン等)による刺激の伝達を遮断し得る 1 アドレナリン受容体アンタゴニストとしての 機能を有する。

 本発明に係る化合物の第2特徴構成は、以下 の構造式(2):
 
で示される点にある。

〔作用及び効果〕
 後述する実験例1及び2に示されるように、 記構造式(2)に記載される化合物は、α 1 アドレナリン受容体に対して高い結合活性を 有すると共に、血管収縮抑制作用を有するこ とが本発明者らの鋭意研究によって初めて見 出されている。
 即ち、上記構造式(2)に記載される化合物は 血管平滑筋や、前立腺平滑筋等に存在する 1 アドレナリン受容体に作用して、交感神経に おける神経伝達物質(アドレナリン、ノルア レナリン等)による刺激の伝達を遮断し得る 1 アドレナリン受容体アンタゴニストとしての 機能を有する。

 本発明に係るα 1 アドレナリン受容体拮抗剤の第1特徴構成は 以下の構造式(1):
 
で示される化合物を有効成分として含む点に ある。

〔作用及び効果〕
 後述する実験例1及び2に示されるように、 記構造式(1)に記載される化合物は、α 1 アドレナリン受容体に対して高い結合活性を 有すると共に、血管収縮抑制作用を有するこ とが本発明者らの鋭意研究によって初めて見 出されている。
 即ち、上記構造式(1)に記載される化合物は 血管平滑筋や、前立腺平滑筋等に存在する 1 アドレナリン受容体に作用して、交感神経に おける神経伝達物質(アドレナリン、ノルア レナリン等)による刺激の伝達を遮断し得る 1 アドレナリン受容体アンタゴニストとしての 機能を有する。

 従って、上記構造式(1)に記載される化合物 有効成分として含む本発明のα 1 アドレナリン受容体拮抗剤は、高血圧症や、 前立腺肥大症等に対して優れた治療効果を発 揮し得る。

 本発明に係るα 1 アドレナリン受容体拮抗剤の第2特徴構成は 以下の構造式(2):
 
で示される化合物を有効成分として含む点に ある。

〔作用及び効果〕
 後述する実験例1及び2に示されるように、 記構造式(2)に記載される化合物は、α 1 アドレナリン受容体に対して高い結合活性を 有すると共に、血管収縮抑制作用を有するこ とが本発明者らの鋭意研究によって初めて見 出されている。
 即ち、上記構造式(2)に記載される化合物は 血管平滑筋や、前立腺平滑筋等に存在する 1 アドレナリン受容体に作用して、交感神経に おける神経伝達物質(アドレナリン、ノルア レナリン等)による刺激の伝達を遮断し得る 1 アドレナリン受容体アンタゴニストとしての 機能を有する。

 従って、上記構造式(2)に記載される化合物 有効成分として含む本発明のα 1 アドレナリン受容体拮抗剤は、高血圧症や、 前立腺肥大症等に対して優れた治療効果を発 揮し得る。

 本発明に係るα 1 アドレナリン受容体拮抗剤の第3特徴構成は 高血圧治療薬、前立腺肥大治療薬、及び排 促進剤のいずれかである点にある。

〔作用及び効果〕
 本発明のα 1 アドレナリン受容体拮抗剤は、高血圧症、前 立腺肥大症、排尿障害等に対して優れた治療 効果を発揮し得る。

 本発明に係る組成物の第1特徴構成は、以下 の構造式(1):
 
で示される化合物を含有し、α 1 アドレナリン受容体を介した作用を有する点 にある。

〔作用及び効果〕
 後述する実験例1及び2に示されるように、 記構造式(1)に記載される化合物は、α 1 アドレナリン受容体に対して高い結合活性を 有すると共に、血管収縮抑制作用を有するこ とが本発明者らの鋭意研究によって初めて見 出されている。
 即ち、上記構造式(1)に記載される化合物は 血管平滑筋や、前立腺平滑筋等に存在する 1 アドレナリン受容体に作用して、交感神経に おける神経伝達物質(アドレナリン、ノルア レナリン等)による刺激の伝達を遮断し得る 1 アドレナリン受容体アンタゴニストとしての 機能を有する。

 従って、上記構造式(1)に記載される化合物 含む本発明の組成物は、α 1 アドレナリン受容体を介した作用を通じて、 高血圧症や、前立腺肥大症等に対して優れた 治療効果を発揮し得る。

 本発明に係る組成物の第2特徴構成は、以下 の構造式(2):
 
で示される化合物を含有し、α 1 アドレナリン受容体を介した作用を有する点 にある。

〔作用及び効果〕
 後述する実験例1及び2に示されるように、 記構造式(2)に記載される化合物は、α 1 アドレナリン受容体に対して高い結合活性を 有すると共に、血管収縮抑制作用を有するこ とが本発明者らの鋭意研究によって初めて見 出されている。
 即ち、上記構造式(2)に記載される化合物は 血管平滑筋や、前立腺平滑筋等に存在する 1 アドレナリン受容体に作用して、交感神経に おける神経伝達物質(アドレナリン、ノルア レナリン等)による刺激の伝達を遮断し得る 1 アドレナリン受容体アンタゴニストとしての 機能を有する。

 従って、上記構造式(2)に記載される化合物 含む本発明の組成物は、α 1 アドレナリン受容体を介した作用を通じて、 高血圧症や、前立腺肥大症等に対して優れた 治療効果を発揮し得る。

 本発明に係る組成物の第3特徴構成は、飲 食品、飲食物添加剤、及び動物用飼料のいず れかである点にある。

〔作用及び効果〕
 本発明の組成物を飲食品として摂取するこ によって、上記の構造式(1)で示される化合 及び構造式(2)で示される化合物のいずれか 容易に摂取することが可能である。
 さらに飲食品は、一般的な製造法により加 製造した飲食品(例えば、一般食品(健康食 を含む)や保険機能食品(特定保険用食品又は 栄養機能食品)として提供することも可能で り、医薬品等と比べて市場流通性が高く、 費者が入手し易い。

 本発明の組成物を飲食物添加剤として使用 る場合、種々の用途の飲食物添加剤(例えば 、調味料、調味液、香料、ふりかけ、食用油 、出し汁、栄養強化剤)として提供すること 可能であるため、種々の飲食物に添加する とができる。
 そのため、上記の構造式(1)で示される化合 及び構造式(2)で示される化合物のいずれか 含む特定の飲食品を購入しなければならな ような場合と比べて、飲食によるこれらの 合物の摂取が、より一層容易となり得る。

 また、本発明の組成物を動物用飼料とし 使用して、所定の動物に与えることによっ 、その動物に上記の構造式(1)で示される化 物及び構造式(2)で示される化合物のいずれ を容易に摂取させることができる。

 本発明に係る組成物の第4特徴構成は、α 1 アドレナリン受容体を介した作用に基づく機 能に関する表示を付した点にある。

〔作用及び効果〕
 本発明の組成物は、α 1 アドレナリン受容体を介した作用に基づく機 能に関する機能を表示してあるため、消費者 にとって分かり易く、安全である。

は、本発明の化合物の全合成スキーム 示す図であり、 は、本発明の化合物のα 1 アドレナリン受容体結合性試験結果を示す図 であり、 は、本発明の化合物のラット尾部動脈 縮試験結果を示す図である。

 以下に本発明の実施の形態を図面に基づい 説明する。
〔実施形態〕
1.本発明の化合物の合成方法
 図1は、本発明の化合物の全合成スキームを 示しており、各符号(1~20a)は化合物を示す。 、以下に記載される各種試薬及び反応条件 ついては、必ずしもこれらの条件に限定さ るものではなく、本合成スキームに従って 成することが可能であるならば、使用され 試薬の種類や反応条件等については、任意 採用することができる。

 図1に示されるように、本発明の化合物19a 及び化合物20aは、塩基部分(化合物17)とアシ 部分(化合物11a)とを、それぞれを別個に合成 した後、両者を縮合させて合成する。同様に 、本発明の化合物19b及び化合物20bは、塩基部 分(化合物17)とアシル部分(化合物11b)とを、そ れぞれを別個に合成した後、両者を縮合させ て合成する。

(1)塩基部分の合成
 塩基部分の合成については、まず1H-ピラゾ ル-1-カルボキシアミジン-ヒドロクロリド(1H -pyrazole-1-carboxyamidine hydrochloride)(化合物12)か 文献(B.Drake et al.,Synthesis,579,1994)に記載され 方法に従ってN,N’-ジ-ボック-1H-ピラゾール- 1-カルボキシアミジン(N,N’-di-Boc-1H-pyrazole-1-ca rboxyamidine)(化合物13)を合成する。ここで、ボ ク(Boc)とは、t-ブトキシカルボニル基(-COOC(CH 3 ) 3 基)を示す。

 また、市販もされている1,4-ジアミノブタ ン(1,4-diaminobutane)(化合物14)の1個のアミノ基を カルボベンゾキシ(carbobenzoxy)基(Cbz基)で保護 て4-カルボベンゾキシ-アミノブチル-アミン- ヒドロクロリド(4-Cbz-aminobutyl-amine hydrochloride) (化合物15)を得る(A.Graham et al.,Synthesis,1032,1984 )。先に調製した化合物13と化合物15とを、ト エチルアミンの存在下で反応させると、4- ルボベンゾキシアミノ-N,N’-ジ-ボック-アグ チン(4-carbobenzoxyamino-N,N’-di-Boc-agmatine)(化合 16)が得られる。

 化合物16を水素気流中、5%パラジウム炭素 存在下に水素添加分解(hydrogenolysis)反応に付 と、N,N’-ジ-ボック-アグマチン(N,N’-di-Boc-ag matine)(化合物17)が得られる。尚、化合物17に いては、その塩酸塩が市販されているので 市販品を使用しても良い。

(2)アシル部分の合成
 アシル部分の合成については、まずp-ブロ フェノール(p-Bromophenol)(化合物1)と、炭酸カ ウム(K 2 CO 3 )とをジメチルホルムアミド(DMF)中で撹拌し、 臭化アリル(Allyl bromide)を加え室温にて撹拌 る。反応液を水、ジエチルエーテル(Et 2 O)にて抽出し、水層をジエチルエーテルにて らに抽出し、有機層を合わせ硫酸マグネシ ム(MgSO 4 )にて乾燥後濾過し、濾液をエバポレーター て減圧下濃縮して淡黄色の油状物質を得る 得られた油状物質をシリカゲルクロマトグ フィーにて精製し、無色透明の油状物質と て1-アリルオキシ-4-ブロモベンゼン(1-Allyloxy- 4-bromobenzene)(化合物2)を得る。

 次いで、化合物2を、200℃の油浴中で加熱し 、反応液を水、ジエチルエーテルにて抽出し 、水層をジエチルエーテルによってさらに抽 出し、有機層を合わせて硫酸マグネシウム(Mg SO 4 )によって乾燥後濾過し、濾液をエバポレー ーにて減圧下濃縮して黒色油状物質を得る 得られた黒色油状物質をシリカゲルクロマ グラフィーで精製し、淡黄色の油状物質と て2-アリル-4-ブロモフェノール(2-Allyl-4-bromoph enol)(化合物3)を得る。

 次いで、化合物3、炭酸カリウム(K 2 CO 3 )、ベンジルオキシ-ベンジルクロリド(Benzyloxy -benzylchloride)(BnBr)をジメチルホルムアミド(DMF) 中に溶解し、室温にて撹拌する。反応液を水 、酢酸エチル(AcOEt)にて抽出する。有機層を で洗浄し、硫酸マグネシウム(MgSO 4 )によって乾燥後濾過し、濾液をエバポレー ーにて減圧下濃縮する。得られた残渣をシ カゲルクロマトグラフィーにて精製し、2-ア リル-1-(4-ベンジルオキシ-ベンジルオキシ)-4- ロモベンゼン(2-Allyl-1-(4-benzyloxy-benzyloxy)-4-bro mobenzene)(化合物4)を得る。

 次いで、化合物4、過ヨウ素酸ナトリウム(Na IO 4 )、塩化ルテウム(III)3水和物(RuCl 3 ・3H 2 O)を、四塩化炭素(CCl 4 )-アセトニトリル(MeCN)-水の混合液中にて所定 時間撹拌し、過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO 4 )を追加しさらに数時間撹拌する。反応液を 水、クロロホルム(CHCl 3 )にて抽出し、水層をさらにクロロホルム(CHCl 3 )によって洗浄する。有機層を合わせて硫酸 グネシウム(MgSO 4 )で乾燥し、エバポレーターにて減圧下濃縮 る。得られた油状物質をシリカゲルクロマ グラフィーにて精製し、白色の固体として2- (4-ベンジルオキシ-ベンジルオキシ)-5-ブロモ ェニル酢酸(2-(4-benzyloxy-benzyloxy)-5-bromophenylace tic acid)(化合物5)を得る。

 次いで、化合物5と、エーテル溶液に調製し たジアゾメタン(CH 2 N 2 )とを、室温下にて撹拌し、所定時間経過後 溶媒を揮発させる。シリカゲルクロマトグ フィーにより精製し、白色粉末として2-(4-ベ ンジルオキシ-ベンジルオキシ)-5-ブロモフェ ル酢酸メチルエステル(2-(4-benzyloxy-benzyloxy)-5 -bromophenylacetic acid methyl ester)(化合物6)を得 。

 次いで、化合物6、p-アセトアミドベンゼン ルホニルアジド(p-Acetamidebenzenesulfonyl azide) アセトニトリル(MeCN)中にて撹拌しながら1,8- アザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)を加 る。所定時間経過後、飽和塩化アンモニウ 水溶液を加え、ジエチルエーテル、及び飽 塩化アンモニウム水溶液を加えて抽出する 有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネ ウム(MgSO 4 )によって乾燥後濾過し、濾液をエバポレー ーにて減圧下濃縮し、油状物質を得る。得 れた油状物質をシリカゲルクロマトグラフ ーにて精製して濃縮した後、球状中性シリ ゲルクロマトグラフィーによって再精製し 黄色油状物質として2-(4-ベンジルオキシ-ベ ジルオキシ)-5-ブロモフェニル-ジアゾ-酢酸 チルエステル(2-(4-Benzyloxy-benzyloxy)-5-bromophenyl- diazo-acetic acid methyl ester)(化合物7)を得る。

 次いで、化合物7、光学活性二核ロジウム (II)錯体(参考文献;H.Saito,et.al. ; Org.Lett.,4,3887- 3890(2002)W.Kurosawa,et.al. ; Tetrahedron,60,9615-9628(200 4))、及びモルキュラーシーブを、蒸留したジ クロロメタン中に入れ、-78℃で所定時間撹拌 する。反応液をエバポレーターにて減圧下濃 縮し、その残渣をシリカゲルクロマトグラフ ィーにて精製し、白色粉末状物質として5-ブ モ-2-(4-ベンジルオキシ)フェニル-3-メトキシ カルボニル-2,3-ジ-ヒドロベンゾフラン(5-Bromo- 2-(4-benzyloxy)phenyl-3-methoxycarbonyl-2,3-di-hydrobenzofur an)(化合物8a又は8b)を得る。

 このとき、光学活性二核ロジウム(II)錯体と して、テトラキス[N-フタロイル-(R)-tert-ロシ ト]ジロジウム,ビス(酢酸エチル)アダクツ(Tet rakis[N-phthaloyl-(R)-tert-leucinato]dirhodium,Bis(ethyl Ac etate)Adduct)(以下、Rh 2 (R-PTTL) 4 と称する)を使用した場合には、以下の化合 8aが得られる。
 

 また、光学活性二核ロジウム(II)錯体として 、テトラキス[N-フタロイル-(S)-tert-ロシナト] ロジウム,ビス(酢酸エチル)アダクツ(Tetrakis[ N-phthaloyl-(S)-tert-leucinato]dirhodium,Bis(ethyl Acetate) Adduct)(以下、Rh 2 (S-PTTL) 4 と称する)を使用した場合には、以下の化合 8bが得られる。
 尚、図1においては、便宜上、化合物8aのみ 記載する。

 次いで、密閉容器において、化合物8a又は8b 、アクリル酸メチル(methyl acrylate)、トリ(o-ト リル)ホスフィン(tri(o-tolyl)phosphine)、酢酸パラ ジウム(Pd(OAc) 2 )、及び蒸留したトリエチルアミン(NEt 3 )を脱水ジメチルホルムアミド(DMF)中、油浴100 ℃にて所定時間反応させる。反応容器を冷ま した後、0℃にした所定量の飽和塩化アンモ ウム水溶液、及び酢酸エチルに反応液を加 る。飽和塩化アンモニウム水溶液、酢酸エ ルにて抽出を行い、有機層を飽和塩化アン ニウム水溶液で洗浄する。有機層を硫酸マ ネシウム(MgSO 4 )にて乾燥後濾過し、濾液をエバポレーター て減圧下濃縮し、油状物質を得る。得られ 油状物質をシリカゲルクロマトグラフィー て精製し、黄色油状物質として2-(4-ベンジル オキシ)フェニル-5-トランス(2-メトキシカル ニル)エテニル-3-メトキシカルボニル-2,3-ジ- ドロベンゾフラン(2-(4-benzyloxy)phenyl-5-trans(2-m ethoxycarbonyl)ethenyl-3-methoxycarbonyl-2,3-di-hydrobenzofu ran)(化合物9a又は9b)を得る。

 このとき、上記化合物8a及び化合物8bに対応 して、以下の2種類の化合物9a及び化合物9bが られる。
 
 
 尚、図1においては、便宜上、化合物9aのみ 記載する。

 次いで、化合物9a又は9bを所定量のメタノー ル(MeOH)、テトラヒドロフラン(THF)、蒸留水に 解する。反応溶液に、所定量の水酸化リチ ム・1水和物(LiOH・H 2 O)を加え、室温下で所定時間撹拌する。反応 を10%クエン酸水溶液に注ぎ、酢酸エチルで 出する。得られた有機層を飽和食塩水で洗 し、硫酸マグネシウム(MgSO 4 )で乾燥後濾過し、濾液をエバポレーターに 減圧下濃縮し、油状物質を得る。得られた 状物質を脱水ジクロロメタンに溶解し、三 化ホウ素(BCl 3 )を加え、-78℃で所定時間撹拌した後、0℃と 所定時間撹拌する。反応液に飽和炭酸水素 トリウム水溶液又は1M塩酸を所定量加え、 定量の酢酸エチルと、飽和炭酸水素ナトリ ム水溶液又は1M塩酸とを加え抽出する。得ら れた有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグ ネシウム(MgSO 4 )で乾燥後濾過し、濾液をエバポレーターに 減圧下濃縮し、油状物質を得る。得られた 状物質をシリカゲルカラムクロマトグラフ ーにて精製し、油状物質として5-(2-カルボキ シルエテニル)-2,3-ジヒドロ-2-(4-ヒドロキシフ ェニル)-3-ベンゾフランカルボン酸(5-(2-carboxyl ethenyl)-2,3-dihydro-2-(4-hydroxyphenyl)-3-benzofurancarboxy lic acid)(化合物10a又は10b)を得る。

 このとき、上記化合物9a(シス体)からは、以 下の化合物10a(トランス体)が得られる。
 また、上記化合物9b(シス体)からは、以下の 化合物10b(トランス体)が得られる。
 
 即ち、本反応においては、シス体がトラン 体に変換される。尚、図1においては、便宜 上、化合物10aのみを記載する。

 次いで、化合物10a又は10bをメタノール溶液 溶解し、これに濃硫酸を少量加え撹拌した 所定時間撹拌後、反応液に炭酸水素ナトリ ムを過剰量加え反応を止めた後、所定量の 酸エチル(AcOEt)、飽和食塩水にて抽出した。 水層を所定量の酢酸エチルにてさらに数回抽 出し、得られた有機層を硫酸マグネシウム(Mg SO 4 )にて乾燥後濾過し、濾液をエバポレーター て減圧下濃縮、デシケーターにて乾燥し、 状物質としてメチル-5-(2-カルボキシエテニ )-2,3-ジヒドロ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-3-ベ ゾフランカルボキシレート(Methyl-5-(2-carboxyet henyl)-2,3-dihydro-2-(4-hydroxyphenyl)-3-Benzofurancarboxyla te)(化合物11a又は11b)を得る。

 このとき、上記化合物10aからは、以下の化 物11aが得られる。
 
 また、上記化合物10bからは、以下の化合物1 1bが得られる。
 
 尚、図1においては、便宜上、化合物11aのみ を記載する。

(3)塩基部分(化合物17)とアシル部分(化合物11a は11b)との縮合
 化合物11a又は11bに化合物17、N-エチル-N’-3- メチルアミノプロピルカルボジイミド(WSCI) 1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)を加 、ジメチルホルムアミド(DMF)中にて室温下撹 拌する。反応液に飽和食塩水を加え酢酸エチ ルで抽出を行う。有機層を飽和食塩水で洗浄 し、硫酸マグネシウム(MgSO 4 )にて乾燥後濾過し、濾液をエバポレーター て減圧下濃縮し油状物質を得る。これをシ カゲルクロマトグラフィーにて精製を行い 減圧下濃縮してデシケーターにて乾燥して メチル-5-(1E)-[[ビス[[(1,1-ジメチルエトキシ) ルボニル]アミノ]メチレン]アミノ]-3-オキソ- 1-プロペニル]-2,3-ジヒドロ-2-(4-ヒドロキシフ ニル)-3-ベンゾフランカルボキシレート(Methy l-5-(1E)-[[bis[[(1,1-dimethylethoxy)carbonyl]amino]methylene ]amino]-3-oxo-1-propenyl]-2,3-dihydro-2-(4-hydroxyphenyl)-3- benzofurancarboxylate)(化合物18a又は18b)を得る。

 このとき、上記化合物11aからは、以下の化 物18aが得られる。
 
 また、上記化合物11bからは、以下の化合物1 8bが得られる。
 
 尚、図1においては、便宜上、化合物18aのみ を記載する。

(4)本発明のメチル-5-(1E)-[[4-(アミノイミノメ ル)アミノ]ブチルアミノ]-3-オキソ-1-プロペ ル]-2,3-ジヒドロ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-3- ンゾフランカルボキシレート(Methyl-5-(1E)-[[4- (aminoiminomethyl)amino]butylamino]-3-oxo-1-propenyl]-2,3-di hydro-2-(4-hydroxyphenyl)-3-benzofurancarboxylate)(化合物 19a又は19b)の合成
 化合物18a又は18bにトリフルオロ酢酸(TFA)を え、室温下撹拌する。所定時間経過後、反 液に水を加え凍結乾燥する。高速液体クロ トグラフィー(HPLC)により精製を行い、分取 た溶液を減圧下エバポレーターにより溶媒 除き凍結乾燥する。その後、生成物に塩酸 加え、5℃にて所定時間放置し凍結乾燥し、 黄色油状物質として本発明の化合物19a又は1 9bを得る。

 このとき、上記化合物18aからは、以下の化 物19aが得られる。
 
 また、上記化合物18bからは、以下の化合物1 9bが得られる。
 
 尚、図1においては、便宜上、化合物19aのみ を記載する。

(5)本発明の5-(1E)-[[4-(アミノイミノメチル)ア ノ]ブチルアミノ]-3-オキソ-1-プロペニル]-2,3- ジヒドロ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-3-ベンゾ ランカルボン酸(5-(1E)-[[4-(aminoiminomethyl)amino]bu tylamino]-3-oxo-1-propenyl]-2,3-dihydro-2-(4-hydroxyphenyl)- 3-benzofurancarboxylic acid)(化合物20a又は20b)の合
 化合物18a又は18bにトリフルオロ酢酸(TFA)を え、室温下撹拌し、その後、精製水を加え 結乾燥する。これに、トリフルオロ酢酸(TFA) 及び1N塩酸(トリフルオロ酢酸:1N塩酸=1:2)を加 室温下撹拌し、所定時間経過後、精製水を え凍結乾燥する。これに0.01N塩酸を加えて 速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分 を行い、分取した溶液を減圧下エバポレー ーにより溶媒を除き、凍結乾燥し、本発明 化合物20a又は20bを得る。

 このとき、上記化合物18aからは、以下の化 物20aが得られる。
 
 また、上記化合物18bからは、以下の化合物2 0bが得られる。
 
 尚、図1においては、便宜上、化合物20aのみ を記載する。

 以上より、本発明の化合物の合成方法にお ては、光学活性二核ロジウム(II)錯体として Rh 2 (R-PTTL) 4 を用いた場合には、化合物19a又は化合物20aが 合成され得、また、光学活性二核ロジウム(II )錯体としてRh 2 (S-PTTL) 4 を用いた場合には、化合物19b又は化合物20bが 合成され得る。

2.α 1 アドレナリン受容体拮抗剤
 本発明のα 1 アドレナリン受容体拮抗剤は、原料(有効成 )として、上述のようにして合成した化合物1 9(化合物19a及び化合物19bの少なくともいずれ 一方)又は化合物20(化合物20a及び化合物20bの 少なくともいずれか一方)を含むものであり 以下に記載されるような医薬品として使用 ることが可能である。

(医薬品)
 本発明のα 1 アドレナリン受容体拮抗剤は、α 1 アドレナリン受容体を介して発症し得る種々 の疾患を治療することが可能であり、医薬品 (例えば、高血圧治療薬、前立腺肥大治療薬 排尿促進剤等)として利用することができる

 治療し得る疾患としては、例えば、褐色 胞腫(褐色細胞腫患者の高血圧コントロール 、腸偽閉塞の寛解)、高血圧症、原発性全身 高血圧、新生児の持続性肺高血圧症、動脈 化症の危険性の軽減、うっ血性心不全、肺 っ血の減少、血管攣縮性疾患、僧帽弁ある は大動脈弁閉鎖不完全患者の治療、良性前 腺肥大症(BPH)による尿閉症状、夜間排尿度の 改善、前立腺性閉塞あるいは脊髄損傷に起因 する副交感神経の中枢からの隔離により生じ る膀胱排泄障害を有する患者の尿の流出抵抗 の減弱、男性性機能不全、脊髄横断損傷患者 の自律神経反射亢進症状出現の抑制、分娩直 後の子宮収縮促進や偏頭痛の軽減、子宮弛緩 による分娩後の出血予防等が挙げられる。

 特に、本発明のα 1 アドレナリン受容体拮抗剤は、高血圧治療薬 として有効であり、また、排尿促進効果を有 し得ることから、前立腺肥大治療薬としても 有効である。

 さらに、本発明のα 1 アドレナリン受容体拮抗剤は、排尿促進剤と して使用することが可能であり、健常者の排 尿促進を高める目的以外にも、術後、加齢、 疲労、疾病、傷害等における排尿能力の低下 を回復させる目的で使用することもできる。

 また、適宜、使用者(摂取者)における効 や利便性等を考慮して、医薬品中の化合物19 又は化合物20の含有量を調整して製剤化する とが可能であるが、化合物19又は化合物20の 一日あたりの用量は、0.01mg~1000mgであること 好ましい。化合物19又は化合物20の含有量と ては、最終製品当たり0.01mg/kg~10g/kg程度であ ることが好ましい。

 また、医薬品の形態としては、慣用の製 技術を用いて、例えば、カプセル剤、錠剤 粉末剤、顆粒剤、ドリンク剤、シロップ剤 注射剤、点滴剤等の形態に製剤化すること できる。これらの製造に当たっては、使用 能な添加剤としては、結晶セルロース、乳 、コーンスターチ、ステアリン酸マグネシ ム等が挙げられる。

3.組成物
 本発明の組成物は、上述のようにして合成 た化合物19又は化合物20を含有し、且つα 1 アドレナリン受容体を介した作用を有するも のであり、以下に記載されるような飲食品、 飲食物添加剤、動物用飼料として使用するこ とが可能である。

 本発明の組成物について、化合物19又は 合物20の含有量としては、最終製品当たり0.0 1mg/kg~10g/kg程度であることが好ましい。また 使用者(摂取者)の利便性を考慮して、化合物 19又は化合物20を一日あたりの用量0.01mg~1000mg 範囲で含有するように調製した組成物を個 装した形態で提供しても良い。

(飲食品)
 本発明の飲食品(飲食物、健康食品、特別用 途食品等)は、上記化合物19又は化合物20を、 々の食品原料や添加剤と共に、一般の製造 によって加工して製造することができる。 用可能な食品原料としては、例えば、カラ ル、ゼラチン、グラニュー糖、ガムベース 各種調味料、動物用飼料、果汁、液糖、コ ヒーエキス、発酵乳、脱脂粉乳、アルコー 飲料、精製水等が挙げられ、また、使用可 な添加剤としては、例えば、クエン酸、L- ルコルビン酸、食塩、ポリグリセリン脂肪 エステル、各種香料、粉末ソルビトール、 酸カルシウム、乳糖等が挙げられる。

 飲食物の種類、形態は特に限定されず、 えば固形、あるいは液状の食品ないしは嗜 品、例えばパン、麺類、ごはん、菓子類(ビ スケット、ケーキ、キャンデー、チョコレー ト、和菓子、グミ、チュウインガム)、豆腐 よびその加工品などの農産食品、みりん、 酢、醤油、味噌、ドレッシングなどの調味 、ヨーグルト、ハム、ベーコン、ソーセー 、マヨネーズなどの畜農食品、かまぼこや ンペン等の水産練り製品、果汁飲料、清涼 料、スポーツ飲料、コーヒー飲料、茶飲料 炭酸飲料などの飲料、さらにはベビーミル 、コーヒー用ミルク等の粉乳や乳製品等の 態にすることができる。

 またその他の飲食物としては、ビール、 泡酒、低アルコール麦芽発酵飲料等の麦芽 酵飲料、ワイン、清酒、薬用酒などの醸造 に化合物19又は化合物20を添加して排尿促進 作用が増強されたアルコール飲料や、また、 ウイスキー、ブランデー、焼酎などの蒸溜酒 に化合物19又は化合物20を添加して排尿促進 用が付与された食前・食中酒として摂取で る形態にあるアルコール飲料等が挙げられ 。

 健康食品の種類、形態も特に限定されず 例えば、錠剤、カプセル品、固形、あるい 液状などが挙げられる。

 特別用途食品としては、病弱者用食品、 産婦/授乳婦用粉乳、乳児用調整粉乳、高齢 者用食品、保健機能食品(栄養機能食品、特 保健用食品)を挙げることができる。

(飲食物添加剤)
 本発明の飲食物添加剤は、市販の調味料、 味液、香料、ふりかけ、食用油、出し汁等 化合物19又は化合物20を添加混合して製造す ることができる。

 本発明の飲食物添加剤の形態には、種々 用途の飲食物用製品、例えば、調味料、調 液、香料、ふりかけ、食用油、出し汁等が げられる。また、栄養強化剤の一成分とし 化合物19又は化合物20を含有する排尿促進性 の飲食物添加剤も包含される。

(動物用飼料)
 本発明の動物用飼料は、例えば市販の動物 飼料に化合物19又は化合物20を添加混合する ことで製造することができる。

(その他の組成物)
 その他の組成物としては、化合物19又は化 物20を含む麦加工品(好ましくは、大麦加工 、麦芽加工品、麦芽根加工品、麦芽根抽出 など)を含有する組成物等が挙げられる。

 また、上記組成物に対して、α 1 アドレナリン受容体を介した作用に基づく機 能に関する表示を付すことも可能である。尚 、本発明でいう機能に関する表示とは、例え ば、特定の保健の目的が期待できる旨の表示 、保健の用途の表示、あるいは用途、効果ま たは効能に関する表示をいう。

 以下に記載する実施例及び実験例によっ 、本発明の化合物をさらに詳細に説明する 尚、本発明の化合物19a、19b、20a及び20bは、 下の実施例に記載される種々の中間体を経 合成されるものであるが、使用される各種 薬とその使用量、及び反応条件は、必ずし 以下に記載される条件に限定されるもので く、各合成反応を進行させることが可能で るならば、それらの条件については任意に 用することができる。

〔実施例1〕1-アリルオキシ-4-ブロモベンゼン (化合物2)の合成
 
 アルゴン置換下、p-ブロモフェノール(化合 1)(5.00g,28.9mmoL)、炭酸カリウム(5.00g,36.18mmoL,1. 252eq)をジメチルホルムアミド(10mL)中で撹拌し 、臭化アリル(2.8mL,31.8mmoL,1.100eq)を加え室温に て一晩撹拌した。反応液を水100mL、ジエチル ーテル100mLにて抽出し、水層をジエチルエ テル50mLにてさらに抽出し、有機層を合わせ 硫酸マグネシウムにて乾燥後濾過し、濾液 エバポレーターにて減圧下濃縮して淡黄色 油状物質(6.27g)を得た。得られた油状物質を シリカゲルクロマトグラフィー(n-ヘキサン: 酸エチル=100:1の展開液)にて精製し、無色透 の油状物質として1-アリルオキシ-4-ブロモ ンゼン(化合物2)(6.04g,28.5mmoL,98%)を得た。

 得られた1-アリルオキシ-4-ブロモベンゼン( 合物2)について、核磁気共鳴スペクトル解 ( 1 H-NMR)を行った。その結果を以下に示す。
  1 H-NMR(500MHz,CDCl3)δH:7.36(2H,dt,J=10Hz and 2.5Hz,Ar-H),6 .79(2H,dt,J=10Hz and 2.5Hz,Ar-H),6.02(1H,m,CH 2 -CH=CH 2 ),5.40(1H,dq,J=20Hz and 3Hz,CH=CH-H),5.29(1H,dq,J=10Hz an d 3Hz,CH=CH-H),4.50(2H,dt,J=5Hz and 1.6Hz,O-CH 2 -CH)

〔実施例2〕2-アリル-4-ブロモフェノール(化 物3)の合成
 アルゴン置換下、1-アリルオキシ-4-ブロモ ンゼン(化合物2)(6.04g,28.5mmoL)を、200℃の油浴 で3時間加熱した。反応液を水100mL、ジエチ エーテル100mLにて抽出、水層をジエチルエ テル50mLにてさらに抽出し、有機層を合わせ 酸マグネシウムにて乾燥後濾過し、濾液を バポレーターにて減圧下濃縮して黒色油状 質を得た。得られた油状物質をシリカゲル ロマトグラフィー(n-ヘキサン:酢酸エチル=95 :5の展開液)で精製し、淡黄色の油状物質とし て2-アリル-4-ブロモフェノール(化合物3)(5.20g, 24.43mmoL,86%)を得た。

 得られた2-アリル-4-ブロモフェノール(化合 3)について、核磁気共鳴スペクトル解析( 1 H-NMR)を行った。その結果を以下に示す。
  1 H-NMR(500MHz,CDCl 3 )δH:7.25-7.23(2H,m,Ar-H),6.69(1H,m,Ar-H),5.97(1H,m,CH 2 -CH=CH2),5.19(1H,m,CH=CH-H),5.17(1H,m,CH=CH-H),5.02(s,Ar-OH) ,3.36(2H,d,J=5Hz,Ar-CH 2 -CH)

〔実施例3〕2-アリル-1-(4-ベンジルオキシ-ベ ジルオキシ)-4-ブロモベンゼン(化合物4)の合
 
 アルゴン置換下、2-アリル-4-ブロモフェノ ル(化合物3)、炭酸カリウム、及びベンジル キシ-ベンジルクロリド(BnBr)をジメチルホル アミド(DMF)中に溶解し、室温にて3時間撹拌 た。薄層クロマトグラフィー(TLC)(n-ヘキサ :酢酸エチル=4:1の展開液)にて原料の消失を 認したので反応液を水20mL,酢酸エチル20mLに 抽出した。有機層を水20mLにて2回洗浄し、硫 酸マグネシウムにて乾燥後濾過し、濾液をエ バポレーターにて減圧下濃縮した。得られた 残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフ ィー(silica gel flash c.c.)(n-ヘキサン:酢酸エチ ル=4:1の展開液)にて精製し、薄い茶色の固体 して2-アリル-1-(4-ベンジルオキシ-ベンジル キシ)-4-ブロモベンゼン(化合物4)を得た。

〔実施例4〕2-(4-ベンジルオキシ-ベンジルオ シ)-5-ブロモフェニル酢酸(化合物5)の合成
 2-アリル-1-(4-ベンジルオキシ-ベンジルオキ )-4-ブロモベンゼン(化合物4)(200mg,0.489mmoL)、 ヨウ素酸ナトリウム(633mg、2.95mmoL、6.023eq)、 塩化ルテウム(III)3水和物(4.4mg、0.0168mmoL、0.034 eq)を四塩化炭素(CCl 4 )-アセトニトリル(MeCN)-水(2:2:3,3.5mL)中にて15時 間撹拌し、過ヨウ素酸ナトリウム(209.2mg、0.97 8mmoL、2.00eq)を追加しさらに3時間撹拌した。 応液を水30mL、クロロホルム30mLにて抽出し、 水層をさらにクロロホルム30mLにて2回洗浄し 。有機層を合わせて硫酸マグネシウムで乾 し、エバポレーターにて減圧下濃縮した。 られた油状物質をシリカゲルクロマトグラ ィー(n-ヘキサン:酢酸エチル=9:1→4:1→3:1の 開液)にて精製し、白色の固体として2-(4-ベ ジルオキシ-ベンジルオキシ)-5-ブロモフェニ ル酢酸(化合物5)(83mg、0.194mmoL、40%)を得た。

 得られた2-(4-ベンジルオキシ-ベンジルオキ )-5-ブロモフェニル酢酸(化合物5)について、 核磁気共鳴スペクトル解析( 1 H-NMR)を行った。その結果を以下に示す。
  1 H-NMR(500MHz,CDCl 3 H :7.28-7.42(10H,m,Ar-H),6.94(1H,d,Ar-H),6.79(1H,d,Ar-H),5.04( 2H,s,O-CH2-Ar),4.96(2H,s,O-CH2-Ar),3.64(2H,s,Ar-CH-COO)

〔実施例5〕2-(4-ベンジルオキシ-ベンジルオ シ)-5-ブロモフェニル酢酸メチルエステル(化 合物6)の合成
 2-(4-ベンジルオキシ-ベンジルオキシ)-5-ブロ モフェニル酢酸(化合物5)(40mg、0.0937mmoL)をエ テル溶液に調整したジアゾメタン(CH 2 N 2 )を加え、室温下にて撹拌し、40分後溶媒を揮 発させた。シリカゲルクロマトグラフィー(n- ヘキサン:酢酸エチル=99:1→98:2→96:4の展開液) により精製し、白色粉末として2-(4-ベンジル キシ-ベンジルオキシ)-5-ブロモフェニル酢 メチルエステル(化合物6)(31.1mg、0.0704mmoL、75% )を得た。

 得られた2-(4-ベンジルオキシ-ベンジルオキ )-5-ブロモフェニル酢酸メチルエステル(化 物6)について、核磁気共鳴スペクトル解析( 1 H-NMR)を行った。その結果を以下に示す。
  1 H-NMR(500MHz,CDCl 3 H :7.28-7.44(10H,m,Ar-H),6.97(1H,d,Ar-H),6.79(1H,d,Ar-H),5.07( 2H,s,O-CH 2 -Ar),4.97(2H,s,O-CH 2 -Ar),3.61(3H,s,O-CH 3 ),3.60(2H,s,Ar-CH 2 -CO)

〔実施例6〕2-(4-ベンジルオキシ-ベンジルオ シ)-5-ブロモフェニル-ジアゾ-酢酸メチルエ テル(化合物7)の合成
 2-(4-ベンジルオキシ-ベンジルオキシ)-5-ブロ モフェニル酢酸メチルエステル(化合物6)(200mg 、0.453mmoL)、p-アセトアミドベンゼンスルホニ ルアジド(化合物21)(157mg、0.654mmoL、1.443eq)をア セトニトリル(MeCN)6mL中にて撹拌しながら1,8- アザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)(200μl 1.34mmoL、2.952eq)を加えた。2時間後、飽和塩 アンモニウム水溶液6mLを加え、ジエチルエ テル20mL、飽和塩化アンモニウム水溶液16mLを 加え抽出した。有機層を飽和食塩水10mLで洗 し、硫酸マグネシウムにて乾燥後濾過し、 液をエバポレーターにて減圧下濃縮し、油 物質を得た。得られた油状物質をシリカゲ クロマトグラフィー(n-ヘキサン:酢酸エチル= 94:6の展開液)にて精製し、球状中性シリカゲ クロマトグラフィー(n-ヘキサン:酢酸エチル =94:6の展開液)にて再精製し、黄色油状物質と して2-(4-ベンジルオキシ-ベンジルオキシ)-5- ロモフェニル-ジアゾ-酢酸メチルエステル( 合物7)(90mg、0.193mmoL、42.5%)を得た。

 得られた2-(4-ベンジルオキシ-ベンジルオキ )-5-ブロモフェニル-ジアゾ-酢酸メチルエス ル(化合物7)について、核磁気共鳴スペクト 解析( 1 H-NMR)を行った。その結果を以下に示す。
  1 H-NMR(500MHz,CDCl 3 H :7.73(1H,s,Ar-H),7.28-7.44(8H,m,Ar-H),6.99(2H,d,Ar-H),6.83(1 H,d,Ar-H),5.07(2H,s,O-CH 2 -Ar),4.99(2H,s,O-CH 2 -Ar),3.82(3H,s,O-CH 3 )

〔実施例7〕5-ブロモ-2-(4-ベンジルオキシ)フ ニル-3-メトキシカルボニル-2,3-ジ-ヒドロベ ゾフラン(化合物8a又は8b)の合成
 
 アルゴン置換下、2-(4-ベンジルオキシ-ベン ルオキシ)-5-ブロモフェニル-ジアゾ-酢酸メ ルエステル(化合物7)(25mg、0.0535mmoL)、Rh 2 (R-PTTL) 4 (6mg、0.00422mmoL、0.0788eq)、モルキュラーシーブ 4Å(20mg)を蒸留したジクロロメタン(1.3mL)中-78 で30分間撹拌した。反応液をエバポレータ にて減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルク マトグラフィー(n-ヘキサン:酢酸エチル=1:1の 展開液)にて精製し、白色粉末状物質として5- ブロモ-2-(4-ベンジルオキシ)フェニル-3-メト シカルボニル-2,3-ジ-ヒドロベンゾフラン(化 物8a又は8b)(8.7mg、0.0186mmoL、37%)を得た。

 得られた5-ブロモ-2-(4-ベンジルオキシ)フェ ル-3-メトキシカルボニル-2,3-ジ-ヒドロベン フラン(化合物8a及び8b)について、核磁気共 スペクトル解析( 1 H-NMR)を行った。その結果を以下に示す。
  1 H-NMR(500MHz,CDCl 3 H :7.22-7.40(9H,m,Ar-H),6.92(2H,d,Ar-H),6.81(1H,d,Ar-H),5.95(1 H,d,O-CH-Ar),5.05(2H,s,O-CH 2 -Ar),4.56(1H,d,CH-CO 2 -Me),3.24(3H,s,CO 2 CH 3 )

〔実施例8〕2-(4-ベンジルオキシ)フェニル-5- ランス(2-メトキシカルボニル)エテニル-3-メ キシカルボニル-2,3-ジ-ヒドロベンゾフラン( 化合物9a又は9b)の合成
 アルゴン置換下、密閉容器にて5-ブロモ-2-(4 -ベンジルオキシ)フェニル-3-メトキシカルボ ル-2,3-ジ-ヒドロベンゾフラン(化合物8a又は8 b)(20mg、0.0457mmoL)、アクリル酸メチル(化合物22 )(25mL、0.276mmoL、6.037eq)、トリ(o-トリル)ホスフ ィン(tri(o-tolyl)phosphine)(2.8mg、0.00920mmoL、0.201eq) 、酢酸パラジウム(Pd(OAc) 2 )(0.6mg、0.00267mmoL、0.0585eq)、蒸留したトリエチ ルアミン(NEt 3 )(4.5μL、0.0456mmoL、0.998eq)を脱水ジメチルホル アミド(DMF)中、油浴100℃にて24時間反応させ た。反応容器を冷ました後、50mLナス型フラ コ中0℃にした飽和塩化アンモニウム水溶液1 mL、酢酸エチル1mLに反応液を加えた。飽和塩 アンモニウム水溶液30mL、酢酸エチル30mLに 抽出を行い、有機層を飽和塩化アンモニウ 水溶液30mLで3回洗浄した。有機層を硫酸マグ ネシウムにて乾燥後濾過し、濾液をエバポレ ーターにて減圧下濃縮し、油状物質を得た。 得られた油状物質をシリカゲルクロマトグラ フィー(n-ヘキサン:酢酸エチル=95:5,9:1,4:1の展 液)にて精製し、黄色油状物質として2-(4-ベ ジルオキシ)フェニル-5-トランス(2-メトキシ カルボニル)エテニル-3-メトキシカルボニル-2 ,3-ジ-ヒドロベンゾフラン(化合物9a又は9b)(8mg 0.0180mmoL、39.4%)を得た。

 得られた2-(4-ベンジルオキシ)フェニル-5-ト ンス(2-メトキシカルボニル)エテニル-3-メト キシカルボニル-2,3-ジ-ヒドロベンゾフラン( 合物9a及び9b)について、核磁気共鳴スペクト ル解析( 1 H-NMR)を行った。その結果を以下に示す。
  1 H-NMR(500MHz,CDCl 3 H :7.65(1H,d,Ar-olefin-H),7.55(1H,s,Ar-H),7.42-7.30(8H,m,Ar-H) ,6.97(2H,d,Ar-H),6.88(1H,d,Ar-H),6.32(1H,d,CO-olefin-H),6.10 (1H,d,O-CH-Ar),5.06(2H,s,O-CH 2 -Ar),4.28(1H,d,CH-CO 2 -Me),3.83(3H,s,CO 2 CH 3 ),3.79(3H,s,CO 2 CH 3 )

〔実施例9〕5-(2-カルボキシルエテニル)-2,3-ジ ヒドロ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-3-ベンゾフ ンカルボン酸(化合物10a又は10b)の合成
 2-(4-ベンジルオキシ)フェニル-5-トランス(2- トキシカルボニル)エテニル-3-メトキシカル ボニル-2,3-ジ-ヒドロベンゾフラン(化合物9a又 は9b)(12mg、0.027mmoL)をメタノール(MeOH)1mL、テト ラヒドロフラン(THF)200mL、蒸留水20mLに溶解し 。反応溶液に、所定量の水酸化リチウム・1 水和物(LiOH・H 2 O)を加え、室温下で2時間撹拌した。反応液を 10%クエン酸水溶液に注ぎ、酢酸エチルで抽出 した。得られた有機層を飽和食塩水で2回洗 し、硫酸マグネシウム(MgSO 4 )で乾燥後濾過し、濾液をエバポレーターに 減圧下濃縮し、油状物質を得た。得られた 状物質を脱水ジクロロメタン1mLに溶解し、 塩化ホウ素(BCl 3 )を加え、-78℃で30分間撹拌した後、0℃とし90 分間撹拌した。反応液に1M塩酸を10mL加え、酢 酸エチル20mL、1M塩酸10mLを加え抽出した。得 れた有機層を飽和食塩水20mLで2回洗浄し、硫 酸マグネシウム(MgSO 4 )で乾燥後濾過し、濾液をエバポレーターに 減圧下濃縮し、油状物質を得た。得られた 状物質をシリカゲルカラムクロマトグラフ ー(溶媒;CHCl 3 :MeOH:AcOH=9:1:0.2)にて精製し、油状物質として5- (2-カルボキシルエテニル)-2,3-ジヒドロ-2-(4-ヒ ドロキシフェニル)-3-ベンゾフランカルボン (化合物10a又は10b)を4.8mg(0.0147mmoL、54.4%)を得 。

 得られた5-(2-カルボキシルエテニル)-2,3-ジ ドロ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-3-ベンゾフラ カルボン酸(化合物10a及び10b)について、核 気共鳴スペクトル解析( 1 H-NMR及び 13 C-NMR)を行った。その結果を以下に示す。
  1 H-NMR(CD 3 OD)δ 4.25(1H,d,7.5Hz),5.96(1H,d,7.5Hz),6.32(1H,d,15.8Hz),6 .77(2H,d,8.3Hz),6.86(1H,d,8.3Hz),7.19(2H,d,8.3Hz),7.48(1H,d, 8.3Hz),7.63(1H,d,15.8Hz),7.64(1H,s)
  13 C-NMR(CD 3 OD)δ 54.95,87.08,109.65,115.13,115.19,115.50,124.89,126.14 ,126.97,127.12,127.74,130.53,131.18,145.05,157.57,161.36,169 .51,172.53

〔実施例10〕メチル-5-(2-カルボキシエテニル) -2,3-ジヒドロ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-3-ベン ゾフランカルボキシレート(化合物11a又は11b) 合成
 5-(2-カルボキシルエテニル)-2,3-ジヒドロ-2-(4 -ヒドロキシフェニル)-3-ベンゾフランカルボ 酸(化合物10a又は10b)(32.8mg、0.106mmoL)を蒸留直 後のメタノール溶液2mLに溶解し、これに濃硫 酸を2滴加え撹拌した。90分間撹拌後、反応液 に炭酸水素ナトリウムを過剰量加え反応を止 めた後、酢酸エチル(AcOEt)30mL、飽和食塩水30mL にて抽出した。水層を酢酸エチル30mLにてさ に3回抽出し、得られた有機層を硫酸マグネ ウム(MgSO 4 )にて乾燥後濾過し、濾液をエバポレーター て減圧下濃縮、デシケーターにて乾燥し、 色油状物質としてメチル-5-(2-カルボキシエ ニル)-2,3-ジヒドロ-2-(4-ヒドロキシフェニル)- 3-ベンゾフランカルボキシレート(化合物11a又 は11b)を40.7mg得た。得られた油状物質は精製 ずに次の反応へと進行する。

〔実施例11〕メチル-5-(1E)-[[ビス[[(1,1-ジメチ エトキシ)カルボニル]アミノ]メチレン]アミ ]-3-オキソ-1-プロペニル]-2,3-ジヒドロ-2-(4-ヒ ドロキシフェニル)-3-ベンゾフランカルボキ レート(化合物18a又は18b)の合成
 メチル-5-(2-カルボキシエテニル)-2,3-ジヒド -2-(4-ヒドロキシフェニル)-3-ベンゾフランカ ルボキシレート(化合物11a又は11b)(36.4mg)にN,N -ジ-ボック-アグマチン(化合物17)(70.7mg,0.214mmo L,2.00eq)、N-エチル-N’-3-ジメチルアミノプロ ルカルボジイミド(WSCI)(41.0mg,0.214mmoL,2.00eq)、1 -ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)(28.9mg、0 .214mmoL、2.00eq)を加え、ジメチルホルムアミド 3mL中にて室温下撹拌した。反応の進行を高速 液体クロマトグラフィー(カラム:J’sphere ODS- H80、4.5mm(内径)×250mm(長さ)、測定波長:280nm、 速:0.5mL/min、溶出液:メタノール:水:トリフル ロ酢酸=80:20:0.1)にて確認し、一晩撹拌した 、反応液に飽和食塩水30mLを加え酢酸エチル3 0mLで抽出を行った。有機層を飽和食塩水30mL 3回洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥後濾 し、濾液をエバポレーターにて減圧下濃縮 油状物質を得た。これをシリカゲルクロマ グラフィー[シリカゲル60N(球状、中性)63μm~2 10μm、1.4cm(内径)×20cm(長さ)、溶出液(ヘキサン :酢酸エチル=1:4)]にて精製を行い、薄層クロ トグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:4の展 液)にて各フラクションを分析した。目的物 画分を減圧下濃縮しデシケーターにて乾燥 た。その結果、35.4mg(53.9%,2steps)のメチル-5-(1 E)-[[ビス[[(1,1-ジメチルエトキシ)カルボニル] ミノ]メチレン]アミノ]-3-オキソ-1-プロペニ ]-2,3-ジヒドロ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-3-ベ ンゾフランカルボキシレート(化合物18a又は18 b)を得た。

 得られた化合物18a及び18bについて、核磁気 鳴スペクトル解析( 1 H-NMR及び 13 C-NMR)、並びに質量分析スペクトル解析(FAB-MS) 行った。その結果を以下に示す。
  1 H-NMR(500MHz,DMSO-d 6 H :11.48(1H,s),9.57(1H,s),8.28(1H,t,J=5.73Hz),8.01(1H,t,J=5.73 Hz),7.51(1H,s),7.40(1H,d,J=6.87Hz),7.38(1H,d,J=16.04Hz),7.18 (2H,d,J=8.59Hz),6.87(1H,d,J=8.59Hz),6.73(2H,d,J=8.59),6.45(1 H,d,J=16.04Hz),5.88(1H,d,J=7.45Hz),4.43(1H,d,J=7.45Hz),3.71( 3H,s),3.26(2H,m),3.14(2H,m),1.48-1.34(22H,m)
  13 C-NMR(500MHz,DMSO-d 6 )δ:171.4,165.6,163.7,160.3,158.3,155.8,152.6,138.7,130.7,13 0.3,128.7,128.3,126.1,124.5,120.4,115.9,110.3,86.9,83.4,78.7 ,54.4,53.2,28.5,28.1,27.0,26.7
 FAB-MS:653(MH + ),HRMS(FAB):653.3181(MH + ),Exact MS 653.3187(C 34 H 45 O 9 N 4 ,MH + )

〔実施例12〕メチル-5-(1E)-[[4-(アミノイミノメ チル)アミノ]ブチルアミノ]-3-オキソ-1-プロペ ニル]-2,3-ジヒドロ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-3 -ベンゾフランカルボキシレート(化合物19a又 19b)の合成
 化合物18a又は18b(35.4mg)に100%トリフルオロ酢 (TFA)(2mL)を加え、室温下撹拌した。30分後、 応液に水を加え凍結乾燥した。高速液体ク マトグラフィー(カラム:COSMOSIL 5C 18 -AR-II、10mm(内径)×250mm(長さ)、測定波長:280nm、 流速:3.0mL/min、溶出液:アセトニトリル:水:ト フルオロ酢酸=30:70:0.1)により精製を行い、分 取した溶液を減圧下エバポレーターによりア セトニトリルを除き凍結乾燥した。その後、 生成物に0.01N塩酸を4mL加え、5℃にて30分間放 し凍結乾燥した。その結果、淡黄色油状物 としてメチル-5-(1E)-[[4-(アミノイミノメチル )アミノ]ブチルアミノ]-3-オキソ-1-プロペニル ]-2,3-ジヒドロ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-3-ベ ゾフランカルボキシレート(化合物19a又は19b) (22.3mg:90.9%)を得た。化合物11a又は11bから化合 19a又は19bの収率は49.0%であった。

 得られたメチル-5-(1E)-[[4-(アミノイミノメチ ル)アミノ]ブチルアミノ]-3-オキソ-1-プロペニ ル]-2,3-ジヒドロ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-3- ンゾフランカルボキシレート(化合物19a及び1 9b)について、核磁気共鳴スペクトル解析( 1 H-NMR及び 13 C-NMR)、並びに質量分析スペクトル解析(FAB-MS) 行った。その結果を以下に示す。
  1 H-NMR(500MHz,DMSO-d 6 H :9.64(1H,s),8.16(1H,t,J=5.73Hz),7.75(1H,t,J=5.73Hz),7.51(1H, s),7.41(1H,d,J=8.02Hz),7.34(1H,d,J=15.46Hz),7.18(2H,d,J=8.59 Hz),6.87(1H,d,J=8.02Hz),6.75(2H,d,J=8.02),6.50(1H,d,J=16.04H z),5.88(1H,d,J=7.45Hz),4.44(1H,d,J=7.45Hz),3.71(3H,s),3.14(2 H,m),3.09(2H,m),1.45(4H,br-s)
  13 C-NMR(500MHz,DMSO-d 6 )δ:171.4,165.8,160.3,158.3,157.4,138.7,130.7,130.2,128.7,12 8.3,126.1,124.5,120.3,115.9,110.4,86.9,54.4,53.2,41.0,38.8,2 6.9,26.6
 FAB-MS:453(MH + ),HRMS(FAB):453.2135(MH + ),Exact MS 453.2138(C 24 H 29 O 5 N 4 ,MH + )

〔実施例13〕5-(1E)-[[4-(アミノイミノメチル)ア ミノ]ブチルアミノ]-3-オキソ-1-プロペニル]-2, 3-ジヒドロ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-3-ベンゾ フランカルボン酸(化合物20a又は20b)の合成
 化合物18a又は18b(12.6mg、0.0193mmoL)にトリフル ロ酢酸(TFA)(1mL)を加え、室温下30分間撹拌し 。その後、精製水を加え凍結乾燥した。こ に、トリフルオロ酢酸(0.5mL)、1N塩酸(1mL)を え室温下撹拌した。反応の進行を高速液体 ロマトグラフィー(カラム:J’sphere ODS-H80、4. 6mm(内径)×250mm(長さ)、測定波長:280nm、流速:0.5 mL/min、溶出液:アセトニトリル:水:トリフルオ ロ酢酸=30:70:0.1)にて確認した。24時間後、精 水を加え凍結乾燥した。これに0.01N塩酸を1.3 mL加え高速液体クロマトグラフィー(カラム:YM C-Pack ODS-A、20mm(内径)×250mm(長さ)、測定波長:2 80nm、流速:6.0mL/min、溶出液:アセトニトリル: :トリフルオロ酢酸=30:70:0.1)にて分取を行っ 。分取した溶液を減圧下エバポレーターに りアセトニトリルを除き、凍結乾燥した。 の結果、最も大きいピーク(溶出時間(Rt)=22分 )として5-(1E)-[[4-(アミノイミノメチル)アミノ] ブチルアミノ]-3-オキソ-1-プロペニル]-2,3-ジ ドロ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-3-ベンゾフラ カルボン酸(化合物20a又は20b)を3.2mg(0.00730mmoL 、37.8%)得た。

〔実験例1〕α 1 アドレナリン受容体結合性試験
 上記実施例において合成された化合物19aを 量し、100%ジメチルスルホキシド(DMSO)を添加 して10倍濃度の溶液を調製した。その溶液を ッセイバッファーで希釈し、濃度の異なる4 種類の試料(0.02μM、0.2μM、2μM、20μM)を調製し た。尚、化合物19b、化合物19a及び19bのラセミ 体、化合物20a及び20bのラセミ体についても上 述と同様に4種類の試料を調製した。(参考文 :Mitchel,A.D.et al.(1989)Brt.J.Pharmacol.,98:883-889)

 次いで、α 1 アドレナリン受容体として、α 1A 受容体(α 1 アドレナリン受容体のサブタイプの1つ)を使 し、α 1A 受容体への結合能を評価した。
 ラット唾液腺の膜には、α 1A 受容体が存在することが知られている。ラッ ト唾液腺の膜ホモジネート(タンパク量とし 150μg)を含むアッセイバッファー(250μL)に、 記試料と、リガンドとして[ 3 H]プラゾシン(prazosin)(0.06nM)を添加して反応液 調製し、22℃で60分間インキュベートした。 インキュベーション後、前記反応液を、0.3%PE I(Polyethyleneimine)にて洗浄済みのガラス繊維フ ルター(GF/B:Packard社製)にて吸引濾過して反 を停止させ、氷冷した50mMTris-HClで数回洗浄 た。ガラス繊維フィルターを乾燥させ、シ チレーションカクテル(Microscint 0:Packard社製) を加え、フィルター上に残存する放射活性を 液体シンチレーションカウンター(Topcount:Packa rd社製)で計測した。[ 3 H]プラゾシン(prazosin)の特異的結合量は、[ 3 H]プラゾシン(prazosin)の全結合量からフェント ラミン(phentolamine)(10μM)存在下の非特異的結合 量を差し引くことにより算出した。

 α 1 アドレナリン受容体結合性試験の結果を図2 示した。図中に示した結果から明らかなよ に、化合物19及び化合物20には、用量依存性 確認され、そのIC50値はそれぞれ、化合物19a では2.03μM、化合物19bでは0.61μM、化合物19a及 19bのラセミ体では2.39μM、化合物20a及び20bの ラセミ体では1.99μMであった。
 以上より、化合物19a、化合物19b、化合物19a び19bのラセミ体、化合物20a及び20bのラセミ は、α 1A 受容体への強い結合能を有することが分かっ た。

〔実験例2〕ラット尾部動脈収縮抑制試験
 上記実施例において合成された、化合物19a 化合物19b、化合物19a及び19bのラセミ体、化 物20a及び20bのラセミ体について、α 1 アドレナリン受容体アンタゴニストとしての 機能を評価した。
 α 1 アドレナリン受容体アンタゴニストは、血管 の収縮抑制作用があることが知られているこ とから、ラット尾部動脈を用いて、その収縮 抑制作用を評価した。

1.試料溶液の調製
 上記実施例において合成された化合物19aを 量し、100%ジメチルスルホキシド(DMSO)を添加 して試料溶液(ストックソリューション)を調 した(化合物19aの濃度は100mM)。尚、化合物19b 、化合物19a及び19bのラセミ体、化合物20a及び 20bのラセミ体についても同様に調製した。

2.ラット尾部動脈収縮抑制試験
 内被を露出させた組織(ラット尾部動脈)を 95%酸素/5%二酸化炭素を送りこんだ37℃の生理 的食塩水(NaCl:118.0mM、KCl:4.7mM、MgSO 4 :1.2mM、CaCl 2 :2.5mM、NaHCO 3 :25mM、グルコース11.0mM)20mL(pH7.4)に満たされた ーガンバス中に懸垂した。ラット尾部動脈 織中にα 1 アドレナリン受容体と同様に発現しているα 2 アドレナリン受容体、βアドレナリン受容体 ヒスタミンH 1 受容体、ムスカリン受容体、5-HT 2 受容体の作用を遮断する為、各受容体拮抗剤 (アンタゴニスト)であるヨヒンビン(yohimbine)(1 μM)、プロプラノル(propranol)(1μM)、ピリラミン (pyrilamine)(1μM)、アトロピン(atropine)(1μM)、メ セルジド(methysergide)(1μM)を各々添加した。

 α 1 アドレナリン受容体作用による組織の収縮を 測定する為、組織のテンションをデータとし て出力する力変換器に組織を接続した。静止 状態でのテンションを1gになるように調整し 、60分間維持(その間、生理食塩水で繰り返 洗い、テンションを再調整する)した。組織 にリファレンスアゴニスト(フェニレフリン(p henylephrine)1.0E-05M)を10μM添加し、組織のレスポ ンスが正常であることを確認した。このとき のリファレンスアゴニストによる組織の収縮 により得られたテンション(g)を記録した。組 織が正常に反応していることが確認できたら 、リファレンスアゴニストを一度ウォッシュ アウトし、レスポンスが静止状態(テンショ :1g)に戻るまで組織を最大15分間静置した。
 レスポンスが静止状態(テンション:1g)に戻 た後、リファレンスアゴニストを添加して 組織の収縮率を100%にした。

 次いで、前記試料溶液又はその希釈液を添 して、オーガンバス中の化合物19a、化合物1 9b、化合物19a及び19bのラセミ体、化合物20a及 20bのラセミ体の濃度を3段階(1μM、10μM、100μ M)に上げていき、そのたびにテンションを測 し、収縮率を下式により算出した。尚、試 溶液を添加する毎に、レスポンスが安定す まで最大15分間組織を静置した。
 収縮率(%)=(試料溶液添加時のテンション(g)-1 )/(リファレンスアゴニスト添加時のテンショ ン(g)-1)×100
 収縮率(%)が濃度依存的に低下した場合、化 物19a、化合物19b、化合物19a及び19bのラセミ 、化合物20a及び20bのラセミ体がα 1 アドレナリン受容体拮抗剤(アンタゴニスト) 用を有するものと考えた。(参考文献:Docherty ,J.R.et al.(1981)Naunyn Schemiedeberg’s Arch.Pharmacol. ,317:5~7)
 ラット尾部動脈収縮試験の結果を図3に示し た。化合物19a、化合物19b、化合物19a及び19bの ラセミ体、化合物20a及び20bのラセミ体は、リ ファレンスアゴニスト(フェニレフリン(phenyle phrine))でのレスポンスを、用量依存的に抑制 た(ラット尾部動脈を弛緩させた)。
 以上より、化合物19a、化合物19b、化合物19a び19bのラセミ体、化合物20a及び20bのラセミ は、強い拮抗(アンタゴニスト)作用が確認 れ、例えば血管拡張作用やそれに伴う排尿 進作用を有することが示された。

 本発明は、医薬品(例えば、高血圧治療薬 、前立腺肥大治療薬、排尿促進剤等)、飲食 、飲食物添加剤、動物用飼料等として使用 ることができる。