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Patent Searching and Data


Title:
COMPOUND, POLYMERIZABLE LIQUID CRYSTALLINE COMPOSITION, OPTICAL ELEMENT, AND OPTICAL INFORMATION RECORDING/REPRODUCTION DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/145321
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed are: a compound which has good light resistance and can be polymerized into a product having desired liquid crystallinity; a polymerizable liquid crystalline composition containing the compound; an optical element having good light resistance; and an optical information recording/reproduction device comprising the optical element. The compound is represented by the formula: CH2=CR1-COO-R2-Cy-Ph-R3-OCO-CR4=CH2.  In the formula, each of R1 and R4 is preferably a hydrogen atom, and R3 is preferably an alkylene group which has 1 to 15 carbon atoms and has or does not have an oxygen atom at the terminal that binds to the ring group, and in which a part or all of the hydrogen atoms bound to the carbon atoms in the group may be substituted by fluorine atoms.  Alternatively, R3 is preferably an alkylene group having an oxygen atom at the terminal that binds to the ring group.  A diffraction grating (2) produced by using the liquid crystalline compound has good light resistance, and therefore can be used in an optical information recording/reproduction device that utilizes a blue laser as a light source (1) and is suitable for increasing a capacity.

Inventors:
TAKESHITA NOBUHIKO (JP)
KONISHI TEPPEI (JP)
KUMAI HIROSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/059905
Publication Date:
December 03, 2009
Filing Date:
May 29, 2009
Export Citation:
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Assignee:
ASAHI GLASS CO LTD (JP)
TAKESHITA NOBUHIKO (JP)
KONISHI TEPPEI (JP)
KUMAI HIROSHI (JP)
International Classes:
C07C67/08; C07C69/54; C07C67/14; C08F20/20; C09K19/38; G02B5/18; G02B5/30; G11B7/135
Domestic Patent References:
WO2006001096A12006-01-05
Foreign References:
JP2004263037A2004-09-24
JP2006219533A2006-08-24
JP2004263037A2004-09-24
JP2001220583A2001-08-14
JP2008142147A2008-06-26
Attorney, Agent or Firm:
SENMYO, Kenji et al. (JP)
Spring name Kenji (JP)
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Claims:
 下記式(1)で表される化合物であって、
CH 2 =CR 1 -COO-R 2 -Cy-Ph-R 3 -OCO-CR 4 =CH 2   (1)
R 1 およびR 4 は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基を表し、
R 2 は、単結合、または、環基と結合する末端に酸素原子を有する炭素数が1~15のアルキレン基を表し、
R 3 は、環基と結合する末端に酸素原子を有するまたは有しない炭素数が1~15のアルキレン基を表し、
R 2 が単結合の場合を除いて、R 2 および/またはR 3 は、それぞれ独立してアルキレン基の炭素-炭素結合間にエーテル結合性の酸素原子を有していてもよく、さらに該基中の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部がフッ素原子に置換されていてもよく、
Cyは、トランス-1,4-シクロヘキシレン基を表し、該基中の炭素原子に結合した水素原子がそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子またはメチル基に置換されていてもよく、Phは、1,4-フェニレン基を表し、該基中の炭素原子に結合した水素原子がそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子またはメチル基に置換されていてもよいことを特徴とする化合物。
 R 2 が単結合であることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
 R 1 およびR 4 は水素原子であり、
R 3 は、前記アルキレン基中の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部がフッ素原子に置換されていてもよいアルキレン基、または、環基と結合する末端に酸素原子を有するアルキレン基であることを特徴とする請求項1または2に記載の化合物。
 請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物と、該化合物以外の重合性液晶性化合物とを含むことを特徴とする重合性液晶性組成物。
 請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物を1質量%~30質量%、かつ他の架橋性化合物も合わせて架橋性化合物を合計で1質量%~30質量%と、
 下記式(2)で表される非架橋性化合物を70質量%~99質量%含み、
CH 2 =CR 5 -COO-R 6 -A 1 -Y 1 -A 2 -A 3 -A 4 -R 7   (2)
R 5 は、水素原子またはメチル基を表し、
R 6 は、単結合または炭素数が1~15のアルキレン基を表し、アルキレン基の場合には、それぞれ独立してアルキレン基の炭素-炭素結合間または環基と結合する末端にエーテル結合性の酸素原子を有していてもよく、さらに該基中の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部がフッ素原子に置換されていてもよく、
R 7 は、炭素数が1~12のアルキル基、炭素数が1~12のアルコキシ基、炭素数が1~12のアルキルカルボニルオキシ基またはフッ素原子であり、アルキル基、アルコキシ基またはアルキルカルボニルオキシ基の場合には該基中の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部がフッ素原子に置換されていてもよく、
Y 1 は、単結合または-COO-を表し、
A 1 、A 2 、A 3 およびA 4 は、それぞれ独立して、単結合、トランス-1,4-シクロヘキシレン基または1,4-フェニレン基を表し、A 1 、A 2 、A 3 およびA 4 の内、単結合は2個以下であり、且つ、少なくとも1つはトランス-1,4-シクロヘキシレン基であり、且つ、1,4-フェニレン基が3個連続していることはなく、トランス-1,4-シクロヘキシレン基または1,4-フェニレン基の水素原子の一部または全部がフッ素原子に置換されていてもよいことを特徴とする請求項4に記載の重合性液晶性組成物。
 請求項4または5に記載の重合性液晶性組成物を重合して得られる高分子液晶を有することを特徴とする光学素子。
 光記録媒体に情報を記録する、および/または、光記録媒体に記録された情報を再生する光情報記録再生装置であって、
 請求項6に記載の光学素子を有することを特徴とする光情報記録再生装置。
 青色レーザを光源として使用することを特徴とする請求項7に記載の光情報記録再生装置。
Description:
化合物、重合性液晶性組成物、 学素子および光情報記録再生装置

 本発明は、化合物、重合性液晶性組成物 光学素子および光情報記録再生装置に関す 。

 CD(Compact Disk)およびDVD(Digital Versatile Disk) などの光ディスクの表面には、ピットと呼ば れる凹凸が設けられている。光ヘッド装置は 、光ディスクにレーザ光を照射し、その反射 光を検出することによって、ピットに記録さ れた情報を読み取ることのできる装置である 。

 例えば、光源から出射された直線偏光は ビームスプリッタ、コリメータレンズ、位 差板および対物レンズを経由して、光ディ クの情報記録面に到達する。ここで、往路 直線偏光は、ビームスプリッタをそのまま 過した後、位相差板で円偏光に変換される この円偏光は、光ディスクの情報記録面で 射されて逆回りの円偏光となった後、往路 は逆に対物レンズ、位相差板およびコリメ タレンズの順で復路を辿る。そして、復路 位相差板によって、入射前と直交する直線 光に変換される。これにより、復路の光は 直線偏光の方向が往路の光とは90度ずれ、 ームスプリッタを通過する際に、進行方向 90度曲げられて光検出器に到達する仕組みと なっている。

 光ヘッド装置では、情報の読み出しや書 込みの際に光ディスクに面ぶれなどが発生 ると、ビームスポットのフォーカス位置が 録面からずれるので、これを検出し補正し ビームスポットを記録面上の凹凸ピットに 従させるサーボ機構が必要になる。こうし 機構は、レーザ光源によって照射されたビ ムスポットの焦点を記録面上に合わせてト ック位置を検出し、目的とするトラックを 従するよう構成される。また、光ヘッド装 では、記録面上でピットに当らずに反射さ たレーザ光が、そのまま光源まで戻らない うにする必要もある。

 こうしたことから、光ヘッド装置には、 源からのレーザ光を変調(偏光、回折、位相 調整など)させる光学素子が必要となる。例 ば、上記の位相差板は、位相差板の光軸と 射光の位相面とのなす角度により、入射光 異なる屈折率を与え、さらに複屈折により じる2成分の光の位相をずらす効果を有して る。位相のずれた2つの光は、位相差板から 出射されるときに合成される。位相のずれの 大きさは、位相差板の厚みによって決まるの で、厚みを調節することにより、位相をπ/2 けずらす1/4波長板、πずらす1/2波長板などが 作製される。例えば、1/4波長板を通過した直 線偏光は円偏光となるが、1/2波長板を通過し た直線偏光は、偏光面が90度傾いた直線偏光 なる。このような性質を利用し、複数の光 素子を組み合わせることで、上記のサーボ 構が構成される。また、記録面上でピット 当らずに反射されたレーザ光が、そのまま 源まで戻らないようにする際にも、上記光 素子が利用されている。

 上記の光学素子は、液晶材料を用いて作製 きる。例えば、重合性官能基を有する液晶 子は、重合性モノマーとしての性質と液晶 しての性質とを併せ持つ。したがって、重 性官能基を有する液晶分子を配向させた後 重合を行うと、液晶分子の配向が固定され 光学異方性材料が得られる。光学異方性材 は、メソゲン骨格に由来する屈折率異方性 どの光学異方性を有するので、この性質を 用して回折素子や位相差板などが作製され 。光学異方性材料としては、例えば、特許 献1に、CH 2 =CH-COO-Ph-OCO-Cy-Zで表される化合物(Z:アルキル )を含む液晶性組成物を重合してなる高分子 晶が開示されている。また、特許文献2にも 、重合性官能基とメソゲン骨格を有するモノ マーを含む液晶性組成物が開示されている。

 ところで、上述した光学素子には、一般に のような特性が求められる。
 1)使用波長や用途に応じて適正なリタデー ョン値(Rd値)を持っていること。
 2)面内の光学特性(Rd値、透過率など)が均一 あること。
 3)使用波長において、散乱や吸収がほとん 無いこと。
 4)素子を構成する他の材料と光学特性を合 せやすいこと。
 5)使用波長において、屈折率や屈折率異方 の波長分散が小さいこと。

 特に、1)の適正なRd値を有することは重要 である。ここで、Rd値は、屈折率異方性(δn) 光の伝播方向の厚さ(d)を用いて、Rd=δn×dの 係によって定まる値である。所望のRd値を得 ようとした場合、光学素子を形成する液晶材 料のδnが小さいと、厚さdを大きくする必要 生じる。しかし、厚さdが大きくなると液晶 配向し難くなるため、所望の光学特性を得 ことが困難となる。一方、δnが大きいと、 さdを小さくする必要が生じるが、その場合 には精密な厚さ制御が困難となる。したがっ て、液晶材料では、適正なδn値を有すること が非常に重要となる。

 近年、光学ディスクの大容量化を図るた 、情報の書き込みや読み取りに使用するレ ザ光を短波長化して、光学ディスク上の凹 ピットサイズをより小さくすることが進め れている。例えば、CDでは波長780nm、DVDでは 波長650nm、BD(Blu-ray Disk)やHDDVD(High-Definition Dig ital Versatile Disk)では波長405nmのレーザ光が使 用されている。次世代光記録メディアではさ らに短波長化されることも考えられ、波長300 ~450nmのレーザ光(以下、青色レーザ光とも記 。)の使用は、今後益々増加する傾向にある しかしながら、特許文献1や特許文献2に記 された高分子液晶では、青色レーザ光に対 る耐性が十分でなかった。

 例えば、青色レーザ光を光源とする光ヘ ド装置に、液晶を用いて作製された位相差 を配置すると、時間の経過に伴って収差が 生することがある。これは、青色レーザ光 曝露されたことにより、位相差板の構成材 にダメージが発生したためと考えられる。 差が発生すると、光源から出射してコリメ タレンズや位相差板を通過した光(光束)が 対物レンズを通過して記録媒体の表面に到 したときに、1点に結像できなくなる。する 、光の利用効率が低下してしまい、情報の み出しや書き込みの効率が低下する。

 ところで、通常、光学素子を小型化、高 率化するには、高い屈折率異方性を有する 料が必要とされる。一般に、高い屈折率異 性を有する材料は、高い屈折率を有するが 高屈折率材料は、屈折率の波長分散が大き ため、短波長の光に対する吸収が大きい(す なわち、材料のモル吸光係数が大きい)とい 傾向を持つ。それ故、従来の高屈折率材料 は、青色レーザ光のような短波長の光に対 る耐性が低いという問題があった。

 耐光性の向上を図るには、材料のモル吸 係数を小さくするのがよく、例えば、全脂 構造などの芳香環を含まない構造の化合物 することが考えられる。しかしながら、全 環型液晶モノマーは、一般にδnが小さく、 リマーにすることでδnがさらに小さくなっ り、あるいは、等方性となったりして、所 の液晶性が得られ難くなるという問題があ た。

 例えば、下記の2つの全脂環型液晶モノマー は、光学的異方性(複屈折性)を発現するもの 、重合により等方性のポリマーとなる。
 CH 2 =CH-COO-Cy-Cy-C 3 H 7
 CH 2 =CH-COO-Cy-Cy-C 5 H 11

特開2004-263037号公報

特開2001-220583号公報

 本発明は、上記点に鑑みてなされたもの ある。すなわち、波長300nm~450nmのレーザ光 変調する光学素子には、この波長帯の光に されても劣化が少なく耐久性に優れ、且つ 液晶性にも優れた光学異方性材料が求めら ている。そして、こうした異方性材料には 液晶組成物に用いる化合物の構造が極めて 要となる。そこで、本発明は、青色レーザ に対する耐光性が良好であって、液晶組成 として用いて重合後に所望の液晶性が得ら る液晶組成物に用いるのに好適な架橋性を する化合物と、この化合物を含む重合性液 性組成物とを提供することを目的とする。

 また、本発明は、青色レーザに対する耐 性の良好な光学素子と、これを用いた光情 記録再生装置とを提供することを目的とす 。

 本発明の他の目的および利点は、以下の 載から明らかとなるであろう。

  本発明の第1の態様は、下記式(1)で表さ る化合物に関する。

 CH 2 =CR 1 -COO-R 2 -Cy-Ph-R 3 -OCO-CR 4 =CH 2   (1)

 式(1)において、R 1 およびR 4 は、それぞれ独立して水素原子またはメチル 基を表す。R 2 は、単結合、または、環基と結合する末端に 酸素原子を有する炭素数が1~15の炭化水素基 表す。R 3 は、環基と結合する末端に酸素原子を有する または有しない炭素数が1~15のアルキレン基 表す。R 2 が単結合の場合を除いて、R 2 および/またはR 3 は、それぞれ独立してアルキレン基の炭素- 素結合間にエーテル結合性の酸素原子を有 ていてもよく、さらにこのアルキレン基中 炭素原子に結合した水素原子の一部または 部がフッ素原子に置換されていてもよい。Cy は、トランス-1,4-シクロヘキシレン基を表し この基中の炭素原子に結合した水素原子が れぞれ独立にフッ素原子、塩素原子または チル基に置換されていてもよい。Phは、1,4- ェニレン基を表し、この基中の炭素原子に 合した水素原子がそれぞれ独立にフッ素原 、塩素原子またはメチル基に置換されてい もよい。

 本発明の第1の態様において、R 2 が単結合であることが好ましい。
 本発明の第1の態様において、R 1 およびR 4 は水素原子であり、R 3 は、前記アルキレン基中の炭素原子に結合し た水素原子の一部または全部がフッ素原子に 置換されていてもよいアルキレン基、または 、環基と結合する末端に酸素原子を有するア ルキレン基であることが好ましい。

 本発明の第2の態様は、本発明の第1の態 の化合物と、この化合物以外の重合性液晶 化合物とを含むことを特徴とする重合性液 性組成物に関する。

 本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様 化合物を1質量%~30質量%、かつ他の架橋性化 物も合わせて架橋性化合物を合計で1質量%~30 質量%と、
 下記式(2)で表される非架橋性化合物を70質 %~99質量%含むことができる。

 CH 2 =CR 5 -COO-R 6 -A 1 -Y 1 -A 2 -A 3 -A 4 -R 7   (2)

 式(2)において、R 5 は、水素原子またはメチル基を表す。R 6 は、単結合または炭素数が1~15のアルキレン を表し、アルキレン基の場合には、それぞ 独立してアルキレン基の炭素-炭素結合間ま は環基と結合する末端にエーテル結合性の 素原子を有していてもよく、さらにこのア キレン基中の炭素原子に結合した水素原子 一部または全部がフッ素原子に置換されて てもよい。R 7 は、炭素数が1~12のアルキル基、炭素数が1~12 アルコキシ基、炭素数が1~12のアルキルカル ボニルオキシ基またはフッ素原子であり、ア ルキル基、アルコキシ基またはアルキルカル ボニルオキシ基の場合には、これらの基中の 炭素原子に結合した水素原子の一部または全 部がフッ素原子に置換されていてもよい。Y 1 は、単結合または-COO-を表す。A 1 、A 2 、A 3 およびA 4 は、それぞれ独立して、単結合、トランス-1, 4-シクロヘキシレン基または1,4-フェニレン基 を表し、A 1 、A 2 、A 3 およびA 4 の内、単結合は2個以下であり、且つ、少な とも1つはトランス-1,4-シクロヘキシレン基 あり、且つ、1,4-フェニレン基が3個連続して いることはなく、トランス-1,4-シクロヘキシ ン基または1,4-フェニレン基の水素原子の一 部または全部がフッ素原子に置換されていて もよい。

 本発明の第3の態様は、本発明の第2の態 の重合性液晶性組成物を重合して得られる 分子液晶を有することを特徴とする光学素 に関する。

 本発明の第4の態様は、光記録媒体に情報 を記録する、および/または、光記録媒体に 録された情報を再生する光情報記録再生装 であって、本発明の第3の態様の光学素子を することを特徴とする光情報記録再生装置 関する。

 本発明の第1の態様によれば、青色レーザ 光に対する耐光性が良好であって、相溶性が よく、重合性液晶組成物として適正なRd値が られる化合物とすることができる。

 本発明の第2の態様によれば、重合によっ て所望の液晶性を得ることのできる重合性液 晶性組成物とすることができる。

 本発明の第3の態様によれば、青色レーザ に対する耐光性の良好な光学素子とすること ができる。

 本発明の第4の態様によれば、大容量化に 適した光情報記録再生装置とすることができ る。

本発明の光情報記録再生装置の構成図 一例である。

 本発明者は、鋭意研究した結果、式(1)に す多官能の化合物を用いることにより、青 レーザ光に対する耐光性を良好にするとと に、相溶性がよく、重合性液晶組成物の重 後にも所望の液晶性が得られることを見出 た。

 CH 2 =CR 1 -COO-R 2 -Cy-Ph-R 3 -OCO-CR 4 =CH 2   (1)

 式(1)において、R 1 およびR 4 は、それぞれ独立して水素原子またはメチル 基を表す。R 2 は、単結合、または、環基と結合する末端に 酸素原子を有するアルキレン基を表す。この アルキレン基の炭素数は、重合後の分子の剛 直性を考慮して1~15の範囲内とするのがよい 特に、重合を容易にする点から、3~10の炭素 とするのがよい。

 R 3 は、環基と結合する末端に酸素原子を有する または有しない炭素数が1~15のアルキレン基 表す。R 2 が単結合の場合を除いて、R 2 および/またはR 3 は、それぞれ独立してアルキレン基の炭素- 素結合間にエーテル結合性の酸素原子を有 ていてもよく、さらにこのアルキレン基中 炭素原子に結合した水素原子の一部または 部がフッ素原子に置換されていてもよい。

 Cyは、トランス-1,4-シクロヘキシレン基を 表し、この基中の炭素原子に結合した水素原 子がそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子ま たはメチル基に置換されていてもよい。Phは 1,4-フェニレン基を表し、この基中の炭素原 子に結合した水素原子がそれぞれ独立にフッ 素原子、塩素原子またはメチル基に置換され ていてもよい。

 式(1)に示すように、本発明の化合物では ベンゼン環にシクロヘキシレン環が直結し いる。これは、一般に、多官能の架橋性化 物が重合後に液晶性を発現し難くなること 考慮したものである。すなわち、フェニル やシクロヘキシレン基は液晶性を担う基で るので、これらを直結することにより、剛 性を保持しつつ液晶性の発現しやすいまた 液晶性化合物と相溶性が高くなる骨格とし ものである。

 また、本発明の化合物は、共鳴構造をと ないように設計されている。例えば、-COO-Ph -、-OCO-Ph-および-Ph-Ph-などは共鳴構造となる め、これらの構造が分子中にあると、吸収 が長波長側にシフトして耐光性が低下する こうした共鳴構造を持たないように分子設 することにより、耐光性を向上させて、青 レーザに対しても良好な耐光性を有するよ にすることができる。

 本発明の化合物においては、R 1 およびR 4 を水素原子とすることが好ましい。官能基近 傍に嵩高い分子があると重合し難くなるため である。また、R 3 は、アルキレン基中の炭素原子に結合した水 素原子の一部または全部がフッ素原子に置換 されていてもよいアルキレン基、または、環 基と結合する末端に酸素原子を有するアルキ レン基であることが好ましい。これにより、 融点、相転移温度(T c )および相溶性などを制御しやすくなる。ま 、アルキレン基の数を変えることにより、 子長を変えることができる。本発明の化合 を用いて重合性液晶性組成物を調製する場 、その分子長を、混合する他の重合性液晶 化合物の分子長にマッチングさせることで 架橋密度を高めて耐光性を一層向上させる とができる。

 本発明の化合物としては、例えば、下記式 化合物が挙げられる。

CH 2 =CH-COO-Cy-Ph-C m H 2m -OCO-CH=CH 2
CH 2 =CH-COO-Cy-Ph-O-C m H 2m -OCO-CH=CH 2
CH 2 =CH-COO-C n H 2n -O-Cy-Ph-C m H 2m -OCO-CH=CH 2
CH 2 =CH-COO-C n H 2n -O-Cy-Ph-O-C m H 2m -OCO-CH=CH 2

 上記の化合物では、いずれもトランス-1,4- クロヘキシレン基にエーテル結合またはエ テル結合の酸素原子が結合している。こう た構造は、屈曲性を向上させるので、例え 、下記式の化合物に比較すると、重合の際 架橋が起こりやすくなる。尚、1,4-フェニレ 基にエーテル結合が結合した構造も同様で る。

CH 2 =CH-COO-C n H 2n -Cy-Ph-C m H 2m -OCO-CH=CH 2

 本発明の化合物は、他の重合性化合物と 合し、重合性液晶性組成物として用いられ 。重合性液晶性組成物は、本発明の化合物 1質量%~30質量%、かつ他の架橋性化合物も合 せて架橋性化合物を合計で1質量%~30質量%と 下記式(2)で表される非架橋性化合物を70質 %~99質量%含むことが好ましい。尚、本発明の 効果をより高く生じるためには、架橋性化合 物の内、質量%で半分以上が本発明の化合物 あることが好ましい。また、重合性液晶性 成物は、本発明の化合物を5質量%~30質量%含 のがより好ましく、10質量%~30質量%含むのが に好ましい。

 CH 2 =CR 5 -COO-R 6 -A 1 -Y 1 -A 2 -A 3 -A 4 -R 7   (2)

 式(2)において、R 5 は、水素原子またはメチル基を表す。

 R 6 は、単結合または炭素数が1~15のアルキレン を表し、アルキレン基の場合には、それぞ 独立してアルキレン基の炭素-炭素結合間ま は環基と結合する末端にエーテル結合性の 素原子を有していてもよく、さらにこのア キレン基中の炭素原子に結合した水素原子 一部または全部がフッ素原子に置換されて てもよい。

 R 7 は、炭素数が1~12のアルキル基、炭素数が1~12 アルコキシ基、炭素数が1~12のアルキルカル ボニルオキシ基またはフッ素原子であり、ア ルキル基、アルコキシ基またはアルキルカル ボニルオキシ基の場合には、これらの基中の 炭素原子に結合した水素原子の一部または全 部がフッ素原子に置換されていてもよい。

 Y 1 は、単結合または-COO-を表す。

 A 1 、A 2 、A 3 およびA 4 は、それぞれ独立して、単結合、トランス-1, 4-シクロヘキシレン基または1,4-フェニレン基 を表し、A 1 、A 2 、A 3 およびA 4 の内、単結合は2個以下であり、且つ、少な とも1つはトランス-1,4-シクロヘキシレン基 あり、且つ、1,4-フェニレン基が3個連続して いることはなく、トランス-1,4-シクロヘキシ ン基または1,4-フェニレン基の水素原子の一 部または全部がフッ素原子に置換されていて もよい。

 本発明の化合物以外の架橋性化合物とし は、本発明の化合物と類似構造を有する液 性示すか液晶との相溶性に優れた化合物で2 官能以上の重合性基を有する化合物であって 、本発明の特性を損しない化合物が使用可能 である。具体的には下記式(3)で表される化合 物がある。

 CH 2 =CR 8 -COO-R 9 -A 5 -Y 2 -A 6 -Y 3 -A 7 -Y 4 -A 8 -R 10 -OCO-CR 11 =CH 2   (3)

 式(3)において、R 8 およびR 11 は、それぞれ独立して水素原子またはメチル 基を表す。

 R 9 およびR 10 は、それぞれ独立して単結合または炭素数が 1~15のアルキレン基を表し、アルキレン基の 合には、それぞれ独立してアルキレン基の 素-炭素結合間または環基と結合する末端に ーテル結合性の酸素原子を有していてもよ 、さらにこのアルキレン基中の炭素原子に 合した水素原子の一部または全部がフッ素 子に置換されていてもよい。

 Y 2 は、単結合または-COO-を表し、Y 4 は、単結合または-OCO-を表す。
 Y 3 は、単結合または-CH 2 -CH 2 -を表す。

 A 5 、A 6 、A 7 およびA 8 は、それぞれ独立して、単結合、トランス-1, 4-シクロヘキシレン基または1,4-フェニレン基 を表し、A 1 、A 2 、A 3 およびA 4 の内、単結合は2個以下であり、且つ、少な とも1つはトランス-1,4-シクロヘキシレン基 あり、且つ、1,4-フェニレン基が3個連続して いることはなく、トランス-1,4-シクロヘキシ ン基または1,4-フェニレン基の水素原子の一 部または全部がフッ素原子に置換されていて もよい。

 上記重合性液晶性組成物において、架橋 化合物の分子長と非架橋性化合物の分子長 、同程度とすることが好ましい。これによ 、重合後のδnを高くして、液晶性を保ちや くすることができる。

 尚、本発明の重合性液晶性組成物には、 重合開始剤、酸化防止剤および色素などの 加剤が含まれていてもよい。

 次に、本発明の重合性液晶性組成物を重 して高分子液晶を得る例について述べる。

 高分子液晶は、上述の重合性液晶性組成 を、この液晶性組成物が液晶相を示す状態 あって、且つ、液晶が配向した状態で重合 ることにより得られる。

 液晶性組成物が液晶相を示す状態に保つに 、雰囲気温度を、ネマチック相-等方相相転 移温度(T c )以下にすればよい。但し、T c に近い温度では、液晶性組成物のδnが極めて 小さいことから、雰囲気温度の上限は(T c -10)以下とすることが好ましい。

 重合方法としては、光重合や熱重合など 挙げられるが、液晶性を保持したまま硬化 せやすい点から、光重合が好ましく用いら る。光重合に用いる光としては、紫外線ま は可視光線が好ましい。光重合を行う場合 、光重合開始剤を用いることが好ましく、 に、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類 ベンゾイン類、ベンジル類、ミヒラーケト 類、ベンゾインアルキルエーテル類、ベン ルジメチルケタール類およびチオキサント 類などから適宜選択される光重合開始剤が ましい。光重合開始剤は、1種または2種以 を組み合わせて使用できる。光重合開始剤 量は、重合性液晶性組成物の全体量に対し 0.01質量%~5質量%とすることが好ましく、0.01 量%~2質量%とすることが特に好ましい。

 高分子液晶は、上記の重合性液晶性組成 を、表面に配向処理を施した一対の基板間 挟持した状態で重合することにより得られ 。以下に、具体例を述べる。

 まず、透明基板を準備する。透明基板と ては、例えば、可視光に対する透過率が高 材料からなる基板を用いることができる。 体的には、アルカリガラス、無アルカリガ スおよび石英ガラスなどの無機ガラスの他 、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ ーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスル ン、ポリビニルアルコール、および、ポリ ッ化ビニルなどのフッ素含有ポリマーなど 透明樹脂からなる基板が挙げられる。剛性 高い点で、無機ガラスからなる基板を用い ことが好ましい。透明基板の厚みは、特に 定は無いが、通常は0.2mm~1.5mmとすることが き、好ましくは0.3mm~1.1mmである。この透明基 板には、必要に応じて、アルカリ溶出防止、 接着性向上、反射防止またはハードコートな どを目的とした、無機物または有機物などか らなる表面処理層が設けられていてもよい。

 次に、透明基板の表面に配向処理を施す。 えば、透明基板の上に配向膜を形成し、配 膜に対して配向処理を行う。配向膜は、液 を配向させる機能を有するものであればよ 、例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリ ニルアルコール、ポリビニルシンナメート よびポリスチレンなどの有機材料、または SiO 2 およびAl 2 O 3 などの無機材料を用いることができる。配向 処理は、具体的には、ラビング法などを用い て行うことができる。例えば、ナイロンやレ ーヨンなどのラビング布で、配向膜の表面を 一方向に擦ることによって、その方向に液晶 分子が配向するようにする。また、ラビング 法以外にも、SiOの斜め蒸着、イオンビーム法 または光配向膜などによって、液晶分子の配 向を揃えることもできる。

 次に、配向膜の上に高分子液晶を形成す 。上記の透明基板(以下、第1の基板と称す )とは別に、表面に配向膜が形成された第2の 基板を新たに準備する。この配向膜について は、第1の基板と同様にして形成すればよい 次いで、配向膜が形成された側の第2の基板 表面に離型処理を行う。離型剤としては、 えば、フルオロシラン系または含フッ素脂 族環構造を有する含フッ素重合体などを使 することができる。次に、この第2の基板に 第1の基板を重ね合わせて間隔をおいて仮接 する。このとき、第2の基板の離型処理され 面と、第1の基板の配向膜が形成された面と が互いに内側を向くようにする。また、外部 から重合性液晶性組成物を充填可能な開口部 を設けておく。次いで、この開口部を通じて 、基板間に本発明の重合性液晶性組成物を注 入する。注入には、真空注入法を用いてもよ いし、大気中で毛細管現象を利用した方法を 用いてもよい。重合性液晶性組成物を注入し た後は、所定の波長の光を照射して重合性液 晶性組成物を重合させる。必要に応じて、光 照射の後でさらに加熱処理を行ってもよい。 その後、仮接着していた第2の基板を取り除 ことによって、第1の基板の上に、配向膜と 分子液晶とが形成された構造を得ることが きる。本実施の形態では、重合性液晶性組 物は、第1の基板の表面と略平行な方向に配 向し、高分子液晶は、この配向が固定された 状態で得られる。

 また、高分子液晶の形成は、例えば、次 ようにして行うこともできる。

 まず、配向膜が形成された第1の基板と、 配向膜が形成された上に離型剤が施された第 2の基板とを準備する。次いで、第1の基板に 成された配向膜の上に、本発明の重合性液 性組成物を滴下する。その後、第2の基板を 、離型剤の塗布面が重合性液晶性組成物の側 になるようにして、第1の基板と重ね合わせ 。次いで、所定の波長の光を照射して重合 液晶性組成物を重合させる。その後、第2の 板を除去すると、上記と同様に、第1の基板 の上に、配向膜と高分子液晶とが形成された 構造を得ることができる。

 本発明の重合性液晶性組成物より得られ 高分子液晶は、光学素子用の材料として用 ることができる。上記の説明では、説明を 単にするため配向膜にしか触れなかったが 光学特性制御の目的で電極を設けたり、反 型素子として使用する目的で反射膜を設け りすることにより、光学素子とすることが きる。さらに、目的に応じて、基板の表面 、フレネルレンズ構成、回折格子用の格子 色調調整用の着色層または迷光抑制用の低 射層などを設けることが可能である。

 上記の高分子液晶を用いて、回折格子、 相差板または波面補正素子などを作製する とができる。例えば、本発明の重合性液晶 組成物より得られた高分子液晶を含む第1の 材料からなる第1の部材と、等方性の屈折率 有する第2の材料からなる第2の部材とが、交 互に配置されて格子状を形成している回折格 子とすることができる。第1の部材と第2の部 とを交互に配置することにより、これらを 過する光は、互いに干渉し合って回折を起 す。本発明では、第1の部材が高分子液晶で あるので、等方性の第2の部材とを交互に配 することにより、これらを透過する光は、 射光の偏光方向により異なる回折を生じ、 光依存性の回折格子となる。

 上記の例において、第1の材料を格子状に 加工して第1の部材とする際には、一般に、 ラズマエッチングによる加工方法が採られ 。ここで、本発明の重合性液晶性組成物は 液晶性を保持しつつ架橋密度を高くするこ ができるので、得られる高分子液晶は耐光 に優れた材料となる。したがって、第1の材 をプラズマエッチングする際に高分子液晶 受けるダメージは、本発明の重合性液晶性 成物を用いない材料に比べて小さなものと る。

 尚、本発明における光学素子は光ヘッド 置に限られるものではなく、例えば、プロ ェクタ用途などにおけるイメージング素子 、波長可変フィルタ用途などにおける通信 デバイスなどに利用されるものであっても い。

 本発明の重合性液晶性組成物を重合して られる高分子液晶を備えた光学素子は、光 録媒体に情報を記録する、および/または、 光記録媒体に記録された情報を再生する光情 報記録再生装置に用いるのに適している。具 体的には、本発明による光学素子は、光情報 記録再生装置のレーザ光の光路中に好ましく 配置される。特に、BDやHDDVDのような青色レ ザ光を用いた光情報記録再生装置用の光ヘ ドに好適である。

 例えば、上記の回折格子を備えた光情報 録再生装置では、光記録媒体から反射され 光は、回折格子によって回折される。尚、 の光情報記録再生装置は、回折格子の他に 回折格子に入射する光を発生させる光源、 源から出射された光を光記録媒体に集光す 対物レンズ、光記録媒体で反射された光を 出する検出器などを有することができる。

 図1に、本発明による光情報記録再生装置 の一例を示す。図1において、光源1から出射 れた光は、回折格子2を透過し、対物レンズ 3によって光ディスク4に集光される。次いで 光ディスク4で反射した光は、再び対物レン ズ3を透過した後に、回折格子2によって回折 れて、光検出器5に到達する。光源1には、 常の光情報記録再生装置に使用される通常 レーザ光源が使用される。具体的には、半 体レーザが好適であるが、他のレーザであ てもよい。本発明の回折格子は、青色レー に対する耐光性が良好であるので、青色レ ザを光源として使用することにより、光情 記録再生装置の大容量化を図ることができ 。図1において、回折格子2は、ホログラムビ ームスプリッタとして機能する。そして、回 折格子2と光ディスク4との間に、1/4波長板6を 挿入することにより、光源1から出射された 線偏光の偏光方向を、往路と復路とで90度回 転させることができる。これにより、往路の 偏光方向の光に対しては透過率を高めること ができ、復路の偏光方向の光に対しては回折 効率を高めることができるので、光情報記録 再生装置全体の光の利用効率をさらに向上さ せることができる。

 尚、本発明は上記実施の形態に限定され ものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない 囲内において、種々変形して実施すること できる。

 以下、本発明の実施例と比較例を述べる

実施例1.
<化合物(1A)の合成>
 まず、下記の反応式にしたがって、トラン -4-(4-(6-ヒドロキシヘキシロキシ)フェニル) クロヘキサノール(化合物1A-1)を合成した。

 300mlのナス型フラスコに、5g(0.026mol)のト ンス-(4-ヒドロキシシクロヘキシル)フェノー ル、20g(0.13mol)の炭酸カリウム、0.86g(0.0052mol) ヨウ化カリウム、100mlのアセトンおよび7.06g( 0.039mol)の6-ブロモヘキサノールを加え、混合 を加熱還流下で24時間攪拌した。反応終了 、固体をろ過して得られた反応溶媒をロー リーエバポレータで留去した。さらに、析 した固体を50mlのジエチルエーテルエーテル 2回洗浄し、白色固体の化合物(1A-1)を4.51g得 。収率は59%であった。

 次に、化合物(1A-1)を用い、下記反応式に たがって化合物(1A)を合成した。

 窒素雰囲気下にて、300mlの三口フラスコ 、還流管、滴下ロートおよびモレキュラー ーブ4Åを詰めたシリンダーを取り付け、4.51 g(0.0154mol)の化合物(1A-1)、0.76g(0.004mol)のパラト ルエンスルホン酸一水和物、0.63g(0.0057mol)の ドロキノンおよび100mlのクロロホルムを加え 、5.56g(0.771mol)のアクリル酸を室温で滴下した 。その後、加熱還流下で34時間攪拌した。攪 後の混合物に200mlの飽和食塩水を加え、100ml のジクロロメタンで抽出した。得られた有機 層を無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、ロ ータリーエバポレータで溶媒を留去した後、 シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開 媒:ヘキサン/酢酸エチル=8:1)で精製した。そ 結果、2.91gの液晶性化合物(1A)を47%の収率で た。さらにこの化合物を、ジクロロメタン ヘキサンを用いて再結晶したところ、1.7gの 白色固体を得た。収率は27%であった。化合物 (1A)の融点は、53.4℃~57℃の範囲にあった。

 化合物(1A)の同定は、1H-NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz、CDCl 3 ):δ=1.40-1.60(m,8H,-CH 2 -)、1.69-1.80(m,4H,-CH 2 -)、1.90-2.0(m,2H,-CH 2 -)、2.10-2.20(m,2H,-CH 2 ―)、2.49(m,1H,Ar-CH)、3.93(t,2H,J=6.6Hz,-O-CH 2 -)、4.17(t,2H,J=6.6Hz,-O-CH 2 -)、4.80-4.90(m,1H,-O-CH-)、5.79-5.82(d,2H,J=12Hz,アク ル)、6.08―6.38(dd,2H,アクリル)、6.37-6.44(d,2H,ア クリル)、6.82(d,2H,J=8.8Hz芳香族H)、7.10
(d,2H,J=8.8Hz、芳香族H)

実施例2.
<化合物(1B)の合成>
 まず、下記の反応式にしたがって、2-(6-ブ モヘキシロキシ)-テトラヒドロ-2H-ピラン(化 物(1B-1))を合成した。

 500mlのナス型フラスコに、25g(0.139mol)の6- ロモヘキサノール、12.83g(0.152mol)のジヒドロ ラン、1.74g(0.007mol)のピリジニウムパラトル ンスルホナートおよび300mlのジクロロメタ を加えて、混合物を室温で1時間攪拌した。 応終了後、ロータリーエバポレータで反応 媒を留去した後、蒸留によって2-(6-ブロモ キシロキシ)-テトラヒドロ-2H-ピラン(1B-1)の 明液体を30g得た。収率は82%であった。

 次に、化合物(1B-1)を用い、下記反応式に たがって、トランス-4-(4-(6-(テトラヒドロ-2H -ピラン-2-イロキシ)ヘキシロキシ)フェニル) クロヘキサノール(1B-2)を合成した。

 300mlのナス型フラスコに還流管を取り付 、3g(0.015mol)のトランス-(4-ヒドロキシシクロ キシル)フェノール、10.8g(0.078mol)の炭酸カリ ウム、0.26g(0.0016mol)のヨウ化カリウム、50mlの セトンおよび4.97g(0.016mol)の化合物(1B-1)を加 、混合物を加熱還流下で24時間攪拌した。 応終了後、固体をろ過して得られた反応溶 をロータリーエバポレータを用いて留去し シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開 媒:ヘキサン/酢酸エチル=3:1)で精製した。そ の結果、5.6gの化合物(1B-2)を白色固体として た。収率は95%であった。

 次に、化合物(1B-1)と化合物(1B-2)を用い、 記反応式にしたがって、トランス-2-(6-(4-(4-( 6-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イロキシ)ヘキシ キシ)フェニル)シクロヘキシロキシ)ヘキシ キシ)テトラヒドロ-2H-ピラン(1B-3)を合成し 。

 100mlのナス型フラスコに還流管を取り付 、窒素雰囲気下で、2g(0.0053mol)の化合物(1B-2) 20mlのテトラヒドロフランおよび2mlのヘキサ メチルリン酸トリアミドを加え、さらに0.85g( 0.021mol)の水素化ナトリウム(60%assay)を静かに えた後、混合物を加熱還流下で30分間攪拌し た。その後、5.07g(0.019mol)の化合物(1B-1)を加え 、さらに加熱還流下で24時間攪拌した。反応 了後、得られた混合物に10mlの飽和塩化アン モニウム水溶液を加えた後、50mlの飽和食塩 を加えてから、200mlの酢酸エチルで抽出を行 った。得られた有機層を無水硫酸ナトリウム を用いて乾燥し、ロータリーエバポレータで 溶媒を留去した後、シリカゲルカラムクロマ トグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル /ジクロロメタン=4:1:0.5)で精製した。その結 、2.31gの化合物(1B-3)を78%の収率で得た。

 次に、化合物(1B-3)を用い、下記反応式に たがって、トランス-6-(4-(4-(6-ヒドロキシヘ シロキシ)フェニル)シクロヘキシロキシ)ヘ サン-1-オール(1B-4)を合成した。

 100mlのナス型フラスコに、2.31g(0.0041mol)の 合物(1B-3)、20mlのメタノールおよび0.08g(0.0004 mol)のパラトルエンスルホン酸1水和物を加え 混合物を室温で2時間攪拌した。反応終了後 、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を数滴滴下 し、さらにロータリーエバポレータで反応溶 媒を留去した後、シリカゲルカラムクロマト グラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=1: 1)にて精製を行った。その結果、1.19gの化合 (1B-4)を74%の収率で得た。

 次に、化合物B4を用い、下記反応式にし がって化合物(1B)を合成した。

 1.19g(0.00303mol)の化合物(1B-4)、0.04g(0.0003mol) 4-ジメチルアミノピリジン、20mlのジクロロ タンおよび0.67g(0.0067mol)のトリエチルアミン を加え、0.6g(0.0067mol)のアクリル酸クロライド を0℃でゆっくり滴下した後、室温で1時間攪 した。攪拌後の混合物に50mlの飽和食塩水を 加え、100mlのジクロロメタンで抽出した。得 れた有機層を無水硫酸ナトリウムを用いて 燥し、ロータリーエバポレータで溶媒を留 した後、シリカゲルカラムクロマトグラフ ー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=4:1)にて 製を行った。その結果、透明油状の化合物(1 B)を1.3g得た。収率は86%であった。

 化合物(1B)の同定は、1H-NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz、CDCl 3 ):δ=1.19-1.82(m,20H,-CH 2 -)、1.90(m,2H,-CH 2 -)、2.13(m,2H,-CH 2 -)、2.45(m,1H,Ar-CH)、3.25(m,1H,O-CH-)3.49(t,2H,-O-CH 2 -)、3.93(t,2H,-O-CH 2 -)、4.10-4.20(m,4H,-O-CH 2 -)、5.79-5.82(d,2H,アクリル)、6.08―6.16(dd,2H,アク リル)、6.37-6.44(d,2H,アクリル)、6.82(d,2H,芳香族 H)、7.10(d,2H,芳香族H)

実施例3.
<重合性液晶性組成物(S1)の調製>
 下記式で表される化合物(4-1)、(4-2)、(4-3)お び(4-4)と、実施例1で合成した化合物(1A)とを 、13:13:33.4:33.4:7.2のモル比で混合した後、重 開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ社 、商品名:イルガキュア754)を0.1質量%、下記 化合物(5-1)(ヒンダードアミン系の光安定化 (旭電化工業社製、商品名:LA62))を0.3質量%、 合物(5-2)(ヒンダードフェノール系の重合禁 剤(旭電化工業社製、商品名:AO50))を0.4質量% えた。これにより、重合性液晶性組成物(S1) を得た。化合物(1A):化合物(4-1)、(4-2)、(4-3)お び(4-4)の合計は、9.1質量%:90.9質量%である。

実施例4.
<回折格子(K1)の作製>
 まず、縦5cm、横5cm、厚さ0.5mmのガラス基板 2枚準備し、それぞれのガラス基板にポリイ ド溶液をスピンコータで塗布して乾燥した そして、得られたポリイミド膜の各々に対 て、ナイロンクロスで一定方向にラビング 理を行い、配向膜とした。次に、一方のガ ス基板の配向膜の上に離型剤を塗布してか 、この基板をエポキシ系のシール剤を介し 他方のガラス基板に貼り合わせてセルとし 。このとき、配向膜を形成した面が互いに 側を向くようにするとともに、それぞれの ラス基板に対して行った配向処理の方向が じとなるようにした。また、ガラス基板の には、直径3.5μmのガラスビーズを散布して これらの間隔が3.5μmとなるようにした。

 上記で得たセルに、実施例3の重合性液晶性 組成物(S1)を60℃の温度で注入した。次いで、 60℃の温度で、強度45mW/cm 2 の紫外線を積算光量が11,000mJ/cm 2 となるように照射して、重合性液晶性組成物 (S1)の光重合を行った。その後、ホットプレ トを用いて、145℃で60分間の加熱処理を行っ た。これにより、高分子液晶膜(P1)が得られ 。この高分子液晶膜(P1)の波長404nmの光に対 る常光屈折率n o は1.546、異常光屈折率n e は1.578であった。

 次に、離型剤が設けられた方のガラス基 をセルから取り外し、露出した高分子液晶 (P1)の上に、スパッタ法でクロム膜を形成し た。その後、クロム膜の上にレジスト膜を設 け、フォトリソグラフィ法によって、レジス ト膜を所定の形状に加工した。次いで、レジ スト膜をマスクとして、クロム膜を硝酸セリ ウムアンモニウム溶液を用いてウェットエッ チングし、その後、高分子液晶膜(P1)に対し 反応性イオンエッチングを行って、断面が 形格子形状となるように加工した。尚、格 のピッチは6μmとした。

 次に、高分子液晶膜(P1)の上に硬化後に高分 子液晶膜の常光屈折率n o とほぼ等しくなるように2種類の光重合性ア リル系モノマーを用いて屈折率調整をした 方性充填剤を載せ、格子の隙間がこの媒質 充填されるようにした。そして、縦5cm、横5c m、厚さ0.5mmのガラス基板をさらに1枚用意し このガラス基板を前記の高分子液晶膜(P1)の の等方性充填剤の上に載せて、高分子液晶 (P1)と等方性充填剤が2つのガラス基板によ て挟み込まれるようにした。その後、強度3, 000mW/cm 2 の紫外線を積算光量が3,500mJ/cm 2 となるように照射し、等方性充填剤を光重合 によって固化させてから、ダイサーを用いて 、大きさが縦2cm×横2cmになるように切り出し 。以上の工程によって、回折格子(K1)を得た 。

比較例1.
<重合性液晶性組成物(S2)の調製>
 実施例3で述べた化合物(4-1)、(4-2)、(4-3)およ び(4-4)を、14:14:36:36のモル比で混合した後、 合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ 製、商品名:イルガキュア754)を0.1質量%、下 の化合物(5-3)(ヒンダードアミン系の光安定 剤(旭電化工業社製、商品名:Tinuvin123))を0.3 量%、実施例3で述べた化合物(5-2)(ヒンダード フェノール系の重合禁止剤(旭電化工業社製 商品名:AO50))を0.4質量%加えた。これにより、 重合性液晶性組成物(S2)を得た。

比較例2.
<回折格子(K2)の作製>
 実施例4と同様にして作製したセルに、比較 例1で合成した重合性液晶性組成物(S2)を70℃ 温度で注入した。次いで、温度66℃において 、強度45mW/cm 2 の紫外線を積算光量が8,100mJ/cm 2 となるように照射し、重合性液晶性組成物(S2 )の光重合を行った。その後、ホットプレー を用いて、145℃で15分間の加熱処理を行った 。これにより、高分子液晶膜(P2)が得られた

 次に、実施例4と同様にして、高分子液晶 膜(P2)の反応性イオンエッチングを行い、断 が矩形格子形状となるように加工した。尚 格子のピッチは6μmとした。

 次に、高分子液晶膜(P2)の上に等方性充填剤 を載せ、格子の隙間がこの媒質で充填される ようにした。そして、縦5cm、横5cm、厚さ0.5mm ガラス基板をさらに1枚用意し、このガラス 基板を等方性充填剤の上に載せて、高分子液 晶膜と等方性充填剤が2つのガラス基板によ て挟み込まれるようにした。その後、強度3, 000mW/cm 2 の紫外線を積算光量が3,500mJ/cm 2 となるように照射し、等方性充填剤を光重合 によって固化させてから、ダイサーを用いて 、大きさが縦1cm×横1cmになるように切り出し 。以上の工程によって、回折格子(K2)を得た 。

<回折格子(K1)および(K2)の評価>
 実施例4で作製した回折格子(K1)と、比較例2 作製した回折格子(K2)に対し、Krレーザ装置( コヒーレント社製、商品名:イノーバ302)を用 て、Krレーザ光(波長407、413nmのマルチモー )を最大回折する方位角に設定して垂直入射 せた。尚、試験温度は80℃とし、積算光量 10Wh/mm 2 ~60Wh/mm 2 とした。

 表1は、回折格子(K1)および(K2)について、積 光量を10Wh/mm 2 ~60Wh/mm 2 まで曝露したときの単位位相差当たりの総合 光量の変化量を示したものである。尚、総合 光量は、0次光(透過光)と1次光(回折光)の和で ある。

 表1から分かるように、本発明による回折格 子(K1)では、積算光量50Wh/mm 2 まで総合光量に殆ど変化がなく、積算光量60W h/mm 2 前後から総合光量が低下し始める。これに対 して、比較例の回折格子(K2)では、積算光量10 Wh/mm 2 までは積算光量に大きな変化はないものの、 積算光量20Wh/mm 2 前後から総合光量が低下し始める。以上より 、本発明によれば、耐光性に優れた回折格子 が得られることが分かった。実施例3で用い 化合物(1A)を化合物(1B)に代えた重合性液晶性 組成物を調製し、それを用いて実施例4と同 にして回折格子を得ることができる。

 本発明の化合物は青色光に対して高い耐光 を有し、重合性液晶組成物としたときに所 の液晶特性が得られ易いので、各種光学素 、特に、強い青色光を用いる光ディスク、 学素子等の高屈折率材料が必要とされる用 に好適に用いることができる。さらに、こ 光学素子は、回折格子、ホログラム素子、 ンズ素子、収差補正素子、位相差板等に使 可能であり、特に、青色レーザ光を用いる ヘッド装置に好適である。

 なお、2008年5月30日に出願された日本特許出 願2008-142147号の明細書、特許請求の範囲、図 及び要約書の全内容をここに引用し、本発 の明細書の開示として、取り入れるもので る。

  1 光源
  2 回折格子
  3 対物レンズ
  4 光ディスク
  5 光検出器
  6 1/4波長板