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Patent Searching and Data


Title:
CONDUCTIVE BONDING MATERIAL AND ELECTRONIC DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/026517
Kind Code:
A1
Abstract:
A conductive bonding material which comprises: a thermosetting resin (7); low-melting metal particles (8) which melt at a temperature not higher than the thermosetting temperature of the thermosetting resin (7); high-melting metal particles (9) which do not melt at temperatures not higher than the thermosetting temperature of the thermosetting resin (7) and which react with the low-melting metal particles (8) during the thermal curing of the thermosetting resin (7) to yield a reaction product having a high melting point of 300°C or higher; and a reducing substance which removes the oxide formed on the surface of the high-melting metal particles (9). The total content of the low-melting metal particles (8) and the high-melting metal particles (9) is 75-88 wt.% and the ratio of the average particle diameter (D1) of the low-melting metal particles (8) to the average particle diameter (D2) of the high-melting metal particles (9), D1/D2, is 0.5-6.0. This conductive bonding material attains satisfactory conduction and high connecting strength even when reflow heating is repeated or thermal impact accompanied by an abrupt temperature change is imposed. Also realized is an electronic device produced with this conductive bonding material.

Inventors:
NOMURA AKIHIRO (JP)
TAKAOKA HIDEKIYO (JP)
NAKANO KOSUKE (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/066475
Publication Date:
March 06, 2008
Filing Date:
August 24, 2007
Export Citation:
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Assignee:
MURATA MANUFACTURING CO (JP)
NOMURA AKIHIRO (JP)
TAKAOKA HIDEKIYO (JP)
NAKANO KOSUKE (JP)
International Classes:
H01B1/22; C09J9/02; C09J11/04; C09J201/00; H01B1/00; H05K3/32
Domestic Patent References:
WO1998008362A11998-02-26
Foreign References:
JP2004363052A2004-12-24
JP2000517092A2000-12-19
JPH04345701A1992-12-01
JP2004010828A2004-01-15
JP2001044590A2001-02-16
US5853622A1998-12-29
US5376403A1994-12-27
Other References:
See also references of EP 2058822A4
Attorney, Agent or Firm:
KUNIHIRO, Yasutoshi (14-10 Nishinakajima 5-chome, Yodogawaku, Osaka-sh, Osaka 11, JP)
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Claims:
 熱硬化性樹脂と、該熱硬化性樹脂の熱硬化温度以下の温度で溶融する第1の金属粉末と、前記熱硬化性樹脂の熱硬化温度以下の温度で溶融せず、かつ前記熱硬化性樹脂の加熱硬化時に前記第1の金属粉末と反応して300℃以上の高融点を有する反応物を生成する第2の金属粉末と、該第2の金属粉末の表面に形成される酸化物を除去する還元性物質とを含有し、
 前記第1の金属粉末及び前記第2の金属粉末の含有量が、総計で75~88重量%であり、
 かつ、前記第1の金属粉末の平均粒径D1と前記第2の金属粉末の平均粒径D2との粒径比D1/D2が、0.5~6.0であることを特徴とする導電性接合材料。
 前記第1の金属粉末及び前記第2の金属粉末の総量に対する前記第1の金属粉末の体積比率は、25~75体積%であることを特徴とする請求項1記載の導電性接合材料。
 前記第2の金属粉末は、前記第2の金属粉末よりも前記第1の金属粉末に対して濡れ性が高く、かつ、前記熱硬化性樹脂の熱硬化温度以下の温度で溶融する低融点金属で被覆されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の導電性接合材料。
 前記第2の金属粉末はCuを主成分とした金属粉末であり、前記低融点金属はSnを含有した金属であることを特徴とする請求項3記載の導電性接合材料。
 前記第2の金属粉末は、該第2の金属粉末よりも前記第1の金属粉末に対して濡れ性の高い金属で被覆されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の導電性接合材料。
 前記第2の金属粉末はCuを主成分とした金属粉末であり、前記濡れ性が高い金属は貴金属であることを特徴とする請求項5記載の導電性接合材料。
 前記第1の金属粉末は、Sn-Bi合金粉末であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の導電性接合材料。
 第1の電極を有する第1の電気構造物と、第2の電極を有する第2の電気構造物とを備えた電子装置であって、
 前記第1の電極と前記第2の電極とが、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の導電性接合材料を介して電気的に接続されると共に、
 前記第1の金属粉末と前記第2の金属粉末との界面、前記第1の金属粉末と前記第1の電極との界面、及び前記第1の金属粉末と前記第2の電極との界面のうちの少なくとも1つの界面は、300℃以上の高融点を有する反応物で結合されていることを特徴とする電子装置。
Description:
導電性接合材料、及び電子装置

 本発明は導電性接合材料、及び電子装置 関し、より詳しくはチップ型電子部品やプ ント配線基板等の電気構造物同士を接合す 導電性接合材料、及び複数の電気構造物が 記導電性接合材料を介して接合された電子 置に関する。

 従来より、熱硬化性樹脂と金属粉末とを 有した導電性接着剤を使用し、複数の電気 造物同士を接合した電子装置が知られてい 。

 例えば、特許文献1には、図6に示すよう 、基板101に第1の電極102が形成されると共に 電子デバイス103に第2の電極104が形成され、 第1の電極102及び第2の電極104は金属微粒子の 着により導通が確保された電極接続部105に 続されると共に、電極接続部105間には導電 接着剤からなる中間接続部106が介在され、 つ前記金属微粒子は、前記導電性接着剤の 硬化温度以下で融着し、前記導電性接着剤 、該導電性接着剤の熱硬化温度以下では融 しない粒径の導電性フィラーを含有した接 構造体が提案されている。

 この特許文献1では、電極接続部105が、導 電性接着剤の熱硬化温度以下で融着が起こる Ag等の金属微粒子と、導電性接着剤の熱硬化 度以下では融着が起こらない粒径の導電性 ィラーと、接着剤とからなる導電性接着剤 構成されている。

 そして、特許文献1では、加熱硬化処理に より電極接続部105に含有される金属微粒子を 介して第1及び第2の電極102、104と導電性フィ ーとを融着させ、さらに前記金属微粒子を して導電性フィラー同士を融着させ、これ より界面での接着力を向上させている。

 また、特許文献2には、図7に示すように 第1の基板107と第2の基板108とが熱伝導性材料 109で接合された熱伝導性接合体が提案されて いる。

 特許文献2の熱伝導性材料109は、有機酸を 含有した熱硬化性樹脂110と熱伝導性フィラー とを含み、前記熱伝導性フィラーが熱硬化性 樹脂110の熱硬化温度より高い融点を有する第 1のフィラー111と、熱硬化性樹脂110の熱硬化 度より低い融点を有する第2のフィラー112と らなる熱伝導性材料が提案されている。

 また、特許文献2では、熱硬化性樹脂110及 び熱伝導性フィラー111、112の総量に対する熱 伝導性フィラー(第1及び第2のフィラー)の体 比率が、50体積%(89重量%に相当)となるように 調製された実施例が開示されている。

 特許文献2では、熱伝導性フィラーが、熱 硬化性樹脂110の熱硬化温度より低い融点を有 する第2のフィラー112を含むことから、熱硬 性樹脂110が硬化する前に第2のフィラー112が 融し、第1のフィラー111と第2のフィラー112 が融着する。また、熱伝導性フィラーが、 硬化性樹脂の熱硬化温度より高い融点を有 る第1のフィラー111を含むことから、熱硬化 樹脂110の硬化後も第1のフィラー111がその形 態を維持し、これにより熱抵抗の増加を抑制 できる。しかも、熱伝導性材料が、熱硬化性 樹脂110と熱伝導性フィラーとを含むため、接 合温度を低くでき、かつ樹脂系材料をベース とするために弾性率が低くなり、熱応力の低 減が可能となる。そしてこれにより、高い熱 伝導性を有し、接続信頼性をも良好な熱伝導 性材料を得ようとしている。

特開2005-93826号公報(請求項1、請求項6)

特開2004-335872号公報(請求項1、段落番号 0040〕等)。

 しかしながら、特許文献1では、電極接続 部105は、導電性接着剤の熱硬化温度以下で溶 融する金属微粒子が融着されて導通性が確保 されるものの、中間接続部106は、導電性フィ ラー同士の接触のみで導通性が確保されてい るため、該中間接続部106においては導通性が 劣るという問題があった。

 この問題を回避するために、導電性接着 の熱硬化温度で溶融する低融点の金属粉末 導電性接着剤に含有させる方法が考えられ 。

 ところが、複数の電気構造物同士が接合 れた接合構造体をマザーボードなどに実装 る場合、リフロー加熱処理が繰り返し行わ たり急激な温度変化を伴う熱衝撃が負荷さ 、接続構造体が長時間高温雰囲気下に晒さ るおそれがある。このため前記低融点金属 末が再溶融してしまい、十分な固着強度を ることができないという問題が生じる。し も、この場合、熱衝撃等によって溶融と硬 とが繰り返されると、電極接続部105と中間 続部106との接合界面が剥離するおそれがあ 。

 特に、リフロー加熱処理では、環境面へ 配慮等からPbフリーはんだを使用すること 一般的となってきているが、このPbフリーは んだは溶融温度が270℃~280℃と高温であり、 たがって硬化した金属が再溶融し、接合界 での剥離がより起こり易くなる。

 また、特許文献2では、熱伝導性フィラー の含有量や、第1のフィラー及び第2のフィラ の粒径については何ら考慮されていない。 なわち、これら熱伝導性フィラーの含有量 、第1のフィラー及び第2のフィラーの粒径 よっては、加熱硬化後の接合面に対する固 強度が低下するおそれがあり、また高温多 下に長時間晒されると接続抵抗が高くなっ 導電性の低下を招くおそれがある。

 本発明はこのような事情に鑑みなされた のであって、リフロー加熱処理が繰り返さ り急激な温度変化を伴う熱衝撃が負荷され 場合であっても、良好な導通性と高い接続 度を有する導電性接合材料及びこれを用い 電子装置を提供することを目的とする。

 上記目的を達成するために本発明に係る 電性接合材料は、熱硬化性樹脂と、該熱硬 性樹脂の熱硬化温度以下の温度で溶融する 1の金属粉末と、前記熱硬化性樹脂の熱硬化 温度以下の温度で溶融せず、かつ前記熱硬化 性樹脂の加熱硬化時に前記第1の金属粉末と 応して300℃以上の高融点を有する反応物を 成する第2の金属粉末と、該第2の金属粉末の 表面に形成される酸化物を除去する還元性物 質とを含有し、前記第1の金属粉末及び前記 2の金属粉末の含有量が、総計で75~88重量%で り、かつ、前記第1の金属粉末の平均粒径D1 前記第2の金属粉末の平均粒径D2との粒径比D 1/D2が、0.5~6.0であることを特徴としている。

 また、本発明の導電性接合材料は、前記 1の金属粉末及び前記第2の金属粉末の総量 対する前記第1の金属粉末の体積比率は、25~7 5体積%であることを特徴としている。

 また、本発明の導電性接合材料は、前記 2の金属粉末は、前記第2の金属粉末よりも 記第1の金属粉末に対して濡れ性が高く、か 、前記熱硬化性樹脂の熱硬化温度以下の温 で溶融する低融点金属で被覆されているこ を特徴とし、また、前記低融点金属は、Sn 含有した金属であることを特徴としている

 さらに、本発明の導電性接合材料は、前 第2の金属粉末は、該第2の金属粉末よりも 記第1の金属粉末に対して濡れ性の高い金属 被覆されていることを特徴とするのも好ま く、また、前記濡れ性が高い金属は、貴金 であることを特徴とするのも好ましい。

 また、本発明の導電性接合材料は、前記 1の金属粉末が、Sn-Bi合金粉末であることを 徴としている。

 また、本発明に係る電子装置は、第1の電 極を有する第1の電気構造物と、第2の電極を する第2の電気構造物とを備えた電子装置で あって、前記第1の電極と前記第2の電極とが 上述した導電性接合材料を介して電気的に 続されると共に、前記第1の金属粉末と前記 第2の金属粉末との界面、前記第1の金属粉末 前記第1の電極との界面、及び前記第1の金 粉末と前記第2の電極との界面のうちの少な とも1つの界面は、300℃以上の高融点を有す る反応物で結合されていることを特徴として いる。

 本発明の導電性接合材料によれば、熱硬 性樹脂と、該熱硬化性樹脂の熱硬化温度以 の温度で溶融する第1の金属粉末(例えば、Sn -Bi合金粉末)と、前記熱硬化性樹脂の熱硬化 度以下の温度で溶融せず、かつ前記熱硬化 樹脂の加熱硬化時に前記第1の金属粉末と反 して300℃以上の高融点を有する反応物を生 する第2の金属粉末(例えば、Cu粉末)と、該 2の金属粉末の表面に形成される酸化物を除 する還元性物質とを含有し、前記第1の金属 粉末及び前記第2の金属粉末の含有量が、総 で75~88重量%であり、かつ、前記第1の金属粉 の平均粒径D1と前記第2の金属粉末の平均粒 D2との粒径比D1/D2が、0.5~6.0であるので、加 硬化時には第1の金属粉末が濡れ拡がって第2 の金属粉末と電気的に接続され、導電パスが 形成される。そして、第1の金属粉末は第2の 属粉末と反応して300℃では溶融しない高融 反応物を生成する。このように導通性に優 、かつ強固な固着力を有する接続信頼性の れた導電性接合材料を得ることができる。

 特に、第1の金属粉末が、Sn-Bi合金粉末の うに、溶融時の体積膨張が小さいBiを含有 ている場合は、たとえ第1の金属粉末の第2の 金属粉末への濡れ拡がりが不足し、高融点反 応物が十分に生成されない場合であっても、 溶融時の体積膨張に伴う接合界面の破損が生 じ難く、良好な固着強度を確保することがで きる。

 また、前記第1の金属粉末及び前記第2の 属粉末の総量に対する前記第1の金属粉末の 積比率は、25~75体積%であるので、第1の金属 粉末の占める体積比率が適正範囲に維持され 、多数の導電パスを容易に形成することがで きる。すなわち、第1の金属粉末が不足した 、或いは第2の金属粉末と反応しなかった未 応の第1の金属粉末が残留するのが抑制され 、所望の導通性と接続信頼性を確保すること ができる導電性接合材料を得ることができる 。

 また、前記第2の金属粉末は、前記第2の 属粉末よりも前記第1の金属粉末に対して濡 性が高く、かつ、前記熱硬化性樹脂の熱硬 温度以下の温度で溶融する低融点金属(例え ば、Sn)で被覆されているので、熱硬化性樹脂 の加熱硬化時には第1の金属粉末が第2の金属 末の表面に濡れ拡がりやすくなる。そして の結果、融点が300℃以上の高融点反応物の 成を促進させることができ、より良好な導 性を有する導電パスを形成することができ また接合界面の固着強度をより一層向上さ ることができる。

 さらに、前記第2の金属粉末は、該第2の 属粉末よりも前記第1の金属粉末に対して濡 性の高い金属(例えば、Au等の貴金属)で被覆 された場合も、上述と同様の作用効果を奏す ることができる。

 また、本発明の電子装置によれば、上述 た導電性接合材料を介して第1の電気構造物 の第1の電極と第2の電気構造物の第2の電極と が電気的に接続されると共に、前記第1の金 粉末と前記第2の金属粉末との界面、前記第1 の金属粉末と前記第1の電極との界面、及び 記第1の金属粉末と前記第2の電極との界面の うちの少なくとも1つの界面は、300℃以上の 融点を有する高融点反応物で結合されてい ので、良好な導通性を有する導電パスが形 され、これらの接合界面は高融点反応物で 着される。

 したがって、第1の電気構造物と第2の電 構造物が接合された後に、リフロー加熱処 や熱衝撃が負荷され、高温雰囲気に長時間 された場合であっても、金属の再溶融が生 るのを回避することができ、接合界面が剥 することもなく、良好な導通性と強固な界 固着力を有する機械的強度の優れた電子装 を得ることができる。

本発明に係る導電性接合材料を使用し 製造された電子装置の一実施の形態を示す 略断面図である。 図1の加熱硬化前におけるA部拡大図で る。 図1の加熱硬化後におけるA部拡大図で る。 低融点金属の平均粒径が高融点金属の 均粒径に対して過度に小さい場合の導電性 合材料の硬化状態を模式的に示す断面図で る。 低融点金属の平均粒径が高融点金属の 均粒径に対して過度に大きい場合の導電性 合材料の硬化状態を模式的に示す断面図で る。 特許文献1に記載された接続構造体の模 式図である。 特許文献2に記載された熱伝導性接合体 の硬化前の状態を示す模式図である。

符号の説明

1a、1b ランド電極(第1の電極)
2 基板(第1の電気構造体)
3 チップ型電子部品(第2の電気構造体)
5a、5b 外部電極(第2の電極)
6a、6b 導電性接合材料
7 熱硬化性樹脂
8 低融点金属粉末(第1の金属粉末)
9 高融点金属粉末(第2の金属粉末)

 次に、本発明の実施の形態を詳述する。

 図1は本発明の導電性接合材料を使用して 製造される電子装置の一実施の形態を模式的 に示した断面図である。

 すなわち、本電子装置は、ランド電極(第 1の電極)1a、1bが形成されたプリント配線基板 等の基板(第1の電気構造物)2上にセラミック ンデンサ等のチップ型電子部品(第2の電気構 造物)3が搭載されている。

 このチップ型電子部品3は、セラミック材 料を主成分とする電子部品本体4の両端に外 電極(第2の電極)5a、5bが形成されており、該 部電極5a、5bとランド電極1a、1bとが導電性 合材料6a、6bで電気的に接続されている。

 図2は、図1の加熱硬化前におけるA部拡大 である。

 導電性接合材料6aは、熱硬化温度が例え 200℃程度の熱硬化性樹脂7と、該熱硬化性樹 7の熱硬化温度以下の温度で溶融する低融点 金属粉末(第1の金属粉末)8と、前記熱硬化性 脂7の熱硬化温度以下の温度で溶融せず、か 前記熱硬化性樹脂7の加熱硬化時に前記低融 点金属粉末8と反応して融点が300℃以上の高 点反応物を生成する高融点金属粉末(第2の金 属粉末)9と、該高融点金属粉末9の表面に形成 される酸化物を除去する還元性物質(不図示) を含有している。

 すなわち、この導電性接合材料6aは、熱 化性樹脂7中に低融点金属粉末8、高融点金属 粉末9、及び還元性物質(不図示)が分散されて いる。

 尚、上記反応物は、上述したように低融 金属粉末と高融点金属粉末とが反応して生 する融点が300℃以上の高融点反応物をいう 、具体的には金属間化合物又は固溶体を意 する。

 図3は、図1の加熱硬化後におけるA部拡大 である。

 導電性接合材料6aを外部電極5a及びランド 電極1aに塗布し、熱硬化温度以上の温度で加 処理すると、低融点金属粉末8が溶融して濡 れ拡がる。そして、高融点金属粉末9、9間が 融点金属粉末8を介して接続され、多数の導 電パス11が生成される。

 すなわち、上記高融点金属粉末9は熱硬化 性樹脂7の熱硬化温度では溶融しないため、 融点金属粉末9のみを熱硬化性樹脂7中に分散 させても、導電パス11を生成するのは困難で る。

 そこで、本実施の形態では、熱硬化性樹 7中に該熱硬化樹脂7の熱硬化温度以下の温 で溶融する低融点金属粉末8を分散させ、加 硬化時に熱硬化温度以上の温度で加熱する とにより、低融点金属粉末8を溶融させて濡 れ拡がらしている。そしてこれにより、高融 点金属粉末9、9間が低融点金属粉末8で接続さ れ、良好な導電性を有する多数の導電パス11 生成される。

 この低融点金属粉末8は高融点金属粉末9 反応して融点が300℃以上の高融点反応物を 成することから、Pbフリーはんだを使用して リフロー加熱処理を行ったり熱衝撃などが繰 り返し負荷される等、高温多湿下で長時間晒 された場合であっても、接合界面の金属が再 溶融することはなく、良好な固着強度を有す る電子装置を得ることができる。

 また、溶融した低融点金属粉末はランド 極1a、1bや外部電極5a、5bにも濡れ拡がるこ から、これらランド電極1a、1bや外部電極5a 5bに含まれるAg-PdやSn等の金属との間でも高 点反応物が生成され、導電パス11が形成され る。したがって、これによってもランド電極 1a、1b及び外部電極5a、5bと間の固着力がより 固で機械的強度の優れた電子装置を得るこ ができる。

 また、本導電性接合材料には、還元性物 が含有されており、これにより高融点金属 末9の表面に生成される酸化物を除去するこ とができる。すなわち、表面に生成している 酸化物を除去することにより、熱硬化性樹脂 7の加熱硬化時には低融点金属粉末8が高融点 属粉末9の表面に濡れ拡がりやすくなり、よ り導通性の高い導電パス11が形成されると共 、高融点反応物の生成を促進することがで る。したがって、これによってもランド電 1a、1b及び外部電極5a、5bとの間がより一層 固な固着力を有する電子装置を得ることが きる。

 そして、このような還元性物質としては 還元性を有する物質、例えば、こはく酸、 酸などの有機酸、塩酸、臭酸等を好んで使 することができるが、還元性を有するので れば、酸以外の物質も使用することができ 。

 このように本実施の形態によれば、良好 導通性を確保しつつ、ランド電極1a、1b及び 外部電極5a、5bとの接合界面が強固な固着力 もって接合された電子装置を得ることがで る。

 さらに、本実施の形態では、導電性接合 料6a、6b中の低融点金属粉末8及び高融点金 粉末9の含有量、すなわち金属粉末の総含有 が、75~88重量%に設定されている。

 すなわち、導電性接合材料6a、6b中の金属 粉末の総含有量が、75重量%未満に低下すると 、導電性接合材料6a、6b中の金属粉末が過少 あるため、加熱硬化時に低融点金属粉末8が れ拡がっても高融点金属粉末9と接続されず 、導電パス11を生成するのが困難となり、融 が300℃以上の高融点反応物を十分に生成す ことができなくなる。そしてその結果、導 性の低下を招き、特に高温多湿下で長時間 置された場合は導通性低下を助長する。

 一方、導電性接合材料6a、6b中の金属粉末 の総含有量が、88重量%を超えると、導電性接 合材料6a、6b中の熱硬化樹脂7の含有量が過少 なるため、ランド電極1a、1bや外部電極5a、5 bとの間の固着強度が低下するおそれがある

 そこで、本実施の形態では、導電性接合 料6a、6b中の金属粉末の総含有量は、75~88重 %に設定されている。

 また、低融点金属粉末8の平均粒径D1と高 点金属粉末9の平均粒径D2との粒径比D1/D2は 0.5~6.0に設定されている。

 すなわち、粒径比D1/D2が0.5未満の場合は 高融点金属粉末9の平均粒径D2に対する低融 金属粉末8の平均粒径D1が小さ過ぎるため、 融点金属粉末8の平均粒径D1に対し高融点金 粉末9間の間隔が広くなり、図4に示すように 、加熱硬化処理を行っても低融点金属粉末8 高融点金属粉末9同士を接続することができ に導電パス11を生成することができない部 が生じる。 このため、ランド電極1a、1b及 外部電極5a、5bを高融点反応物で強固に接続 きない部分が生じ、高温多湿下で長時間晒 れると接続抵抗が劣化するおそれがある。

 一方、粒径比D1/D2が6.0を超えた場合は、 融点金属粉末9の平均粒径D2に対する低融点 属粉末8の平均粒径D1が大きすぎ、導電性接 材料中の低融点金属粉末8と高融点金属粉末9 との分散状態が悪化し、図5に示すように、 熱硬化時には低融点金属粉末8同士が融着し くなる。このため、高融点金属粉末9間を接 続する導電パス11の形成が不十分となる。ま 、高融点反応物を十分に得ることができな なり、ランド電極1a、1b及び外部電極6a、6b の固着力が劣化し、またリフロ-加熱処理に り低融点金属粉末8が再溶融し、導通性の低 下を招くおそれがある。

 そこで、本実施の形態では、低融点金属 末8の平均粒径D1と高融点金属粉末9の平均粒 径D2との粒径比D1/D2を、0.5~6.0に設定している

 また、熱硬化性樹脂7としては、加熱硬化 処理により良好な接着性を有し、ランド電極 1a、1b及び外部電極5a、5bとの間で十分な固着 度を有するものであれば、特に限定される のではなく、エポキシ系、フェノール系、 クリル系の熱硬化性樹脂やポリイミド系、 リウレタン系、メラミン系や、ウレア系の 硬化性樹脂を使用することができるが、エ キシ系の熱硬化性樹脂が特に好んで使用さ る。例えば、ビスフェノールF型、ビスフェ ノールA型、水添ビスフェノール型、フェノ ルノボラック型、グリシジルアミン型、ナ タレン型、シクロペンタジエン型、シクロ キサン型、ヘキサンテトラヒドロキシフェ ールエタン型、ヒダントイン型、ポリグリ ール型、エーテル型のエポキシ樹脂や、こ らのエポキシ樹脂をシリコーン、ゴム、ウ タン、キレートなどで変性した変性エポキ 樹脂を好んで使用することができる。特に エポキシ系の熱硬化性樹脂の中でもビスフ ノールF型エポキシ樹脂やビスフェノールA型 エポキシ樹脂等の液状タイプのものは、作業 性を保つための有機溶剤を必要としないこと から、環境面や作業面から好ましく、また、 熱硬化性樹脂を加熱硬化する際に、有機溶剤 が揮発して接合界面にボイド(空隙)を形成す こともなく、より好ましい。

 また、低融点金属粉末8としては、熱硬化 性樹脂7の熱硬化温度で溶融しないものであ ば特に限定されるものではなく、Sn、In、Sn-B i、Sn-In、Sn-In-Bi、Sn-Pb等を使用することがで るが、溶融時の体積膨張が小さいBi系の合金 、例えばSn-Biを使用するのが好ましい。溶融 の体積膨張が少ないBiを含有した低融点金 粉末8を使用することにより、体積膨張に伴 接合界面の破損が生じ難く、優れた固着強 を得ることができる。

 すなわち、マザーボード等に搭載される の電子部品への影響を考慮して低温で加熱 理を行わざるを得ない場合、低融点金属粉 8の高融点金属粉末9への濡れ拡がりが不足 、高融点反応物を十分に生成できなくなる それがある。

 しかしながら、このような場合であって 溶融時の体積膨張が少ないBiを含有した低 点金属粉末8を使用することにより、体積膨 に伴う接合界面の破損を生じ難くし、ラン 電極1a、1bや外部電極5a、5bとの間の固着力 確保することができる。

 また、高融点金属粉末9としては、熱硬化 性樹脂7の熱硬化温度以下の温度で溶融せず かつ熱硬化性樹脂7の加熱硬化時に低融点金 粉末8と反応して融点が300℃以上の高融点反 応物を生成するものであれば特に限定される ものではなく、Ti、Cr、Au、Ag、Cu、Ni、Pt、Bi Zn、Pd、Pb、Mo、Snやこれらの合金を使用する とができるが、コスト面、導電性、腐食性 上記低融点金属粉末8との反応性を考慮する と、Cuを使用するのが好ましい。

 そして、低融点金属粉末8として、Sn-Bi等のS n合金を使用し、高融点金属粉末9としてCuを 用した場合、加熱硬化時には低融点金属粉 8に含有されるSn成分がCuとが反応し、Cu 6 Sn 5 やCu 3 Sn等の金属間化合物が生成される。また、低 点金属粉末8にSn-Bi等のSn合金を使用し、高 点金属粉末9としてAuを使用した場合は、AuSn 4 からなる金属間化合物が生成され、Agを使用 た場合は、AgSn 3 からなる金属間化合物が生成され、Niを使用 た場合は、Ni 3 Snからなる金属間化合物が生成される。そし 、これらの金属間化合物は、融点が300℃以 の高融点反応物であるので、リフロー加熱 理を繰り返したり、急激な温度変化を伴う 衝撃などが繰り返し負荷されても、接合界 が再溶融することもなく、強固な固着力を 保することができる。

 尚、本発明は上記実施の形態に限定され ものではなく、種々の変形が可能である。

 例えば、金属粉末(低融点金属粉末8及び 融点金属粉末9)の総量に対する低融点金属粉 末8の体積比率は、25~75体積%が好ましい。

 これは、低融点金属粉末8の体積比率が金 属粉末の総量に対し25体積%未満になると、低 融点金属粉末8の占める体積比率が少なくな て導電パス11の形成が妨げられ、導通性の低 下を招く傾向があり、一方で低融点金属粉末 8の体積比率が金属粉末の総量に対し75体積% 超えると、高融点金属粉末9と反応しない未 応の低融点金属粉末8が残留し、導通性の低 下を招いたり、高温での接続信頼性が低下傾 向となるからである。

 また、高融点金属粉末9を、該高融点金属 粉末9よりも低融点金属粉末8に対して濡れ性 高い金属で被覆するのも好ましい。このよ に高融点金属粉末9よりも低融点金属粉末8 対して濡れ性が高い金属で高融点金属粉末9 被覆することにより、熱硬化性樹脂7の加熱 硬化時には低融点金属粉末8が高融点金属粉 9の表面に濡れ拡がりやすくなる。そしてそ 結果、融点が300℃以上の高融点反応物の生 を促進させることができ、より導通性の高 導電パス11を形成でき、より強固な界面固 力を得ることができる。

 そして、このような濡れ性の高い金属と ては、Sn、Sn-Bi、Sn-In、Sn-Bi-Inなどの熱硬化 樹脂の熱硬化温度以下で溶融する金属やAu、 Ag、Pt、Pd等の貴金属を使用することができる が、コスト面や高融点反応物の強度、耐久性 を考慮すると、Sn、Sn-Inを使用するのが好ま い。

 また、濡れ性の高い金属としては、熱硬 性樹脂の熱硬化温度では溶融せずに低融点 属粉末8と反応することで熱硬化性樹脂の熱 硬化温度で溶融する金属種を使用することも できる。

 次に、本発明の実施例を具体的に説明す 。

 〔導電性接合材料の調製〕
 熱硬化性樹脂としてビスフェノールF型液状 エポキシ樹脂、反応性稀釈材としてターシャ ルブチルグリシジルエーテル、硬化剤として アミン化合物、前記硬化剤の反応抑制剤とし てホウ素化合物とエポキシ樹脂との混合物、 還元性物質としてこはく酸を用意した。

 また、平均粒径D1が10μmで融点が139℃のSn- 58Bi粉末(比重:8.93)(低融点金属粉末)を用意し さらに平均粒径D2が5μmで融点が約1080℃のCu 末(比重:8.75)(高融点金属粉末)を用意した。 、Sn-58Bi粉末の平均粒径D1とCu粉末の平均粒径 D2との粒径比D1/D2は2.0である。

 次に、ビスフェノールF型液状エポキシ樹 脂100重量部に対し、ターシャルブチルグリシ ジルエーテル及びアミン化合物をそれぞれ25 量部、ホウ素化合物とエポキシ樹脂の混合 を12.5重量部、こはく酸を15重量部秤量し、 らに、金属粉末(Sn-58Bi粉末及びCu粉末)の総 有量が70~93重量%となり、かつ前記金属粉末 総量に対するSn-58Bi粉末の体積比率が50体積% なるように秤量し、これら秤量物を乳鉢に 入し、乳棒で約15分間撹拌して混合し、試 番号1~6の導電性接合材料を作製した。

〔評価試料の作製〕
 厚さ0.7mmのアルミナ基板上の所定位置にAg-Pd ペーストを塗布し、焼付け処理を施し、アル ミナ基板上に間隔が0.8mmの一対のランド電極 形成した。

 次いで、厚さ50μmのメタルマスクを使用 てランド電極上に上記導電性接合材料を塗 した。

 次に、外部電極がSnからなる縦:1,6mm、横:0 .8mm、厚さ:0.8mmのチップ型抵抗部品を前記導 性接合材料上に載置し、温度200℃の下、30分 間、エアーオーブン中で加熱処理を行い、試 料番号1~6の試料を得た。

〔特性評価〕
 試料番号1~6の各試料について、ミリオーム イテスタ(HIOKI社製:3224型)を使用してランド 極間の接続抵抗の初期値R 0 を測定し、またボンドテスタ(DAGE社製:シリー ズ4000)を使用して固着強度の初期値S 0 を測定した。

 次いで、温度105℃、湿度100%の高温多湿下、 48時間PCT(プレッシャークッカーテスト)を行 、PCT後の抵抗値R 1 及び固着強度S 1 を測定し、さらに、下記数式(1)に基づいてPCT 後の抵抗変化率δR 1 を算出した。

 δR 1 =(R 1 -R 0 )/R 0 ×100…(1)
 さらに、試料番号1~6の各試料について、最 温度が270℃に調整されたリフロー炉に5回通 過させてリフロー加熱処理を行った。そして 、リフロー加熱処理後の抵抗値R 2 及び固着強度S 2 を測定し、リフロー後の抵抗変化率δR 2 を数式(2)に基づいて算出した。

 δR 2 =(R 2 -R 0 )/R 0 ×100…(2)
 表1は試料番号1~6の導電性接合材料の仕様と 実験結果を示している。

 評価基準として、接続抵抗の初期値R 0 が200mω以下、抵抗変化率δR 1 、δR 2  ±が200%以下、及び各固着強度が10N/mm 2 以上の全てを満足する試料を良品と判定し、 これらの評価基準のうち、いずれか一つでも 満足しなかった試料を不良品とした。さらに 、良品のうち、接続抵抗の初期値R 0 が100mω以下、抵抗変化率δR 1 、δR 2  が±100%以下、各固着強度が20N/mm 2 以上の全てを満足する試料を優秀品とした。 表1中、判定の欄には、優秀品を◎印、良品 〇印、不良品を×印で示している。

 この表1から明らかなように、試料番号1は 属粉末(Sn-58Bi粉末及びCu粉末)の総含有量が70 量%と75重量%を下回っているため、接続抵抗 の初期値R 0 が470mωとなって200mωを超え、またPCT後の抵抗 変化率δR 1 も390%となって200%を超え、さらにPCT後の固着 度も14N/mm 2 となって20N/mm 2 以下に低下した。これは導電性接合材料中の 金属粉末の含有量が少ないため、加熱硬化時 にSn-58Bi粉末の濡れ拡がりが不足し、このた 十分な導電パスの生成がなされず、融点が30 0℃以上の高融点反応物を十分に得ることが きないため、PCT後の導通性や固着強度が低 し、耐湿性劣化を招いたものと思われる。

 また、試料番号6は、金属粉末(Sn-58Bi粉末及 Cu粉末)の総含有量が93重量%と88重量%を超え いるため、固着強度が初期値S 0 でも7N/mm 2 と低く、PCT後やリフロー処理後はそれぞれ4N/ mm 2 、2N/mm 2 と更に低くなった。これは接合界面における 機械的な接着性を確保するための樹脂成分が 相対的に少ないため、固着強度の低下を招い たものと思われる。

 これに対し試料番号2~5は、金属粉末の総含 量が75~88重量%であり、しかも、Sn-58Bi粉末の 平均粒径D1とCu粉末の平均粒径D2との粒径比D1/ D2が2.0と本発明範囲内であり、Sn-58Bi粉末の金 属粉末の総量に対する体積比率が50体積%と好 ましい範囲であるので、接続抵抗の初期値R 0 が21~130mω、PCT後の抵抗変化率δR 1 が2~16%、リフロー後の抵抗変化率δR 2  が5~-25%、固着強度が初期値で15~31N/mm 2 、PCT後で10~25N/mm 2 、リフロー後で16~22N/mm 2 といずれも良好な結果を得た。特に、金属粉 末の総含有量が83~86重量%の試料番号3、4は、 続抵抗の初期値R 0 が21~58mω、PCT後の抵抗変化率δR 1 が3~8%、リフロー後の抵抗変化率δR 2  が5~-25%、固着強度が初期値で29~31N/mm 2 、PCT後で21~25N/mm 2 、リフロー後で20N/mm 2 と極めて良好な結果が得られた。

 尚、試料番号2の試料を、樹脂に埋め込ん だ後、研磨し、ランド電極と外部電極との界 面の断面を観察しところ、導電性接合材料中 に分散させたSn-58Bi粉末は、外部電極を形成 るSnやランド電極を形成するAg-Pd、さらにはC u粉末との間で高融点反応物を形成しており これにより良好な接続信頼性の得られてい ことが確認された。

 高融点金属粉末として、実施例1のCu粉末 代えて、膜厚0.05μmのSnで被覆されたCu粉末( 重:8.86)(以下、「SnコートCu粉末」という。) 使用した以外は、〔実施例1〕と同様の方法 で試料番号11~16の導電性接合材料を作製した

 そして、〔実施例1〕と同様の方法・手順で 接続抵抗の初期値R 0 及び固着強度の初期値S 0 を測定し、さらにPCT後及びリフロー処理後の 各抵抗変化率δR 1 、δR 2 、及び固着強度S 1 、S 2 を算出した。

 表2は試料番号11~16の導電性接合材料の仕 と実験結果を示している。

 この表2から明らかなように、試料番号11~ 16は、試料番号1~6と略同様の傾向が得られた

 すなわち、試料番号11は、金属粉末(Sn-58Bi粉 末及びSnコートCu粉末)の総含有量が70重量%と7 5重量%を下回っているため、試料番号1と略同 様の理由から、接続抵抗の初期値R 0 が330mωとなって200mωを超え、またPCT後の抵抗 変化率δR 1 が260%となって200%を超え、さらにPCT後の固着 度も15N/mm 2 となって20N/mm 2 以下に低下した。

 また、試料番号16は、金属粉末の総含有量 93重量%と88重量%を超えているため、試料番 6と略同様の理由から、固着強度が初期値S 0 でも16N/mm 2 と低く、PCT後やリフロー処理後はそれぞれ3N/ mm 2 、8N/mm 2 と更に低くなった。

 これに対し試料番号12~15は、金属粉末の含 量が75~88重量%であり、しかも、Sn-58Bi粉末の 均粒径D1とSnコートCu粉末の平均粒径D2との 径比D1/D2が2.0と本発明範囲内であり、Sn-58Bi 末の全金属粉末に対する体積比率が50体積% 好ましい範囲であるので、接続抵抗の初期 R 0 が33~102mω、PCT後の抵抗変化率δR 1 が2~14%、リフロー後の抵抗変化率δR 2  が4~-18%、固着強度は初期値で17~33N/mm 2 、PCT後で14~28N/mm 2 、リフロー後で15~21N/mm 2 といずれも良好な結果を得た。特に、金属粉 末の総含有量が83~86重量%の試料番号13、14は 接続抵抗の初期値R 0 が33~36mω、PCT後の抵抗変化率δR 1 が2~4%、リフロー後の抵抗変化率δR 2  が4~-18%、固着強度が初期値で30~31N/mm 2 、PCT後で21~28N/mm 2 、リフロー後で20~21N/mm 2 と極めて良好な結果を得た。

 尚、〔実施例1〕との比較では、総体的に 接続抵抗及び固着強度の双方で向上すること が分かった。これはCu粉末がSn-58Bi粉末に対し て濡れ性の高いSnで被覆されているため、導 パスの形成や、高融点反応物の生成が促進 れたものと思われる。

 低融点金属粉末としてSn-58Bi粉末(比重:8.93 )を使用し、高融点金属粉末としてSnコートCu 末(比重:8.86)を使用し、〔実施例1〕と同様 方法により、粒径比D1/D2が0.2~10.0の範囲で異 る試料番号21~25の導電性接合材料を作製し 。

 そして、〔実施例1〕と同様の方法・手順で 接続抵抗の初期値R 0 及び固着強度の初期値S 0 を測定し、さらにPCT後及びリフロー処理後の 各抵抗変化率δR 1 、δR 2 、及び固着強度S 1 、S 2 を算出した。

 表3は試料番号21~25の導電性接合材料の仕 と実験結果を示している。

 この表3から明らかなように、試料番号21は 粒径比D1/D2が0.2とと0.5未満であるため、PCT の抵抗変化率δR 1 が210%となって200%を超えている。これはSnコ トCu粉末同士の間隔に対しSn-58Bi粉末の平均 径D1が小さすぎるため、加熱硬化時にSn-58Bi 末が濡れ拡がってもSnコートCu粉末同士をSn-5 8Bi粉末で巧く接続することができない箇所が 生じ、このため導電性の良好な導電パスを十 分に形成することができず、その結果高温多 湿下で長時間晒されると接続抵抗が上昇し、 導通性が低下するものと考えられる。

 また、試料番号25は、粒径比D1/D2が10.0と6.0 超えているため、リフロー後の抵抗変化率δ R 2 が1070%となって200%を大幅に超えることが分か った。また、固着強度が初期値S 0 でも19N/mm 2 と低く、PCT後やリフロー処理後はそれぞれ18N /mm 2 、9N/mm 2 と更に低くなった。これはSnコートCu粉末の 均粒径D2に対するSn-58Bi粉末の平均粒径D1が大 きすぎるため、加熱硬化時にSn-58Bi粉末同士 融着し、又はSn-58Bi粉末がランド電極や外部 極に濡れ拡がり、SnコートCu粉末間をつなぐ 導電パスの形成が不足し、このため、Snコー Cu粉末とランド電極及び外部電極との接合 度を十分に得ることができず、固着力が劣 し、さらには耐熱性も劣化したものと思わ る。

 これに対し試料番号21~24は、粒径比D1/D2が0.5 ~6.0であり、しかも金属粉末(Sn-58Bi粉末及びSn ートCu粉末)の総含有量が86重量%と本発明範 内であり、Sn-58Bi粉末の金属粉末の総量に対 する体積比率が50体積%と好ましい範囲である ので、接続抵抗の初期値R 0 が36~71mω、PCT後の抵抗変化率δR 1 が4~18%、リフロー後の抵抗変化率δR 2  が-5~-22%、固着強度が初期値で30~39N/mm 2 、PCT後で17~25N/mm 2 、リフロー後で21~35N/mm 2 といずれも良好な結果を得た。特に、粒径比 D1/D2が0.5~2.0の試料番号22、23は、接続抵抗の 期値R 0 が36~48mω、PCT後の抵抗変化率δR 1 が4~18%、リフロー後の抵抗変化率δR 2  が-5~-18%、固着強度が初期値で30~39N/mm 2 、PCT後で23~25N/mm 2 、リフロー後で21~33N/mm 2 と極めて良好な結果が得られた。

 Sn-58Bi粉末とSnコートCu粉末を用意し、〔 施例1〕と同様の方法により、金属粉末(Sn-58B i粉末及びSnコートCu粉末)の総量に対するSn-58B i粉末の体積比率が、20~80体積%の範囲で異な 試料番号31~36の導電性接合材料を〔実施例1 と同様の方法で作製した。

 次いで、〔実施例1〕と同様の方法・手順で 接続抵抗の初期値R 0 及び固着強度の初期値S 0 を測定し、さらにPCT後及びリフロー処理後の 各抵抗変化率δR 1 、δR 2 、及び固着強度S 1 、S 2 を算出した。

 表4は試料番号31~36の導電性接合材料の仕 と実験結果を示している。

 この表4から明らかなように、接続抵抗の初 期値R 0 が46~200mω、PCT後の抵抗変化率δR 1 が4~180%、リフロー後の抵抗変化率δR 2  が-65~150%、固着強度が初期値で21~36N/mm 2 、PCT後で10~28N/mm 2 、リフロー後で10~42N/mm 2 といずれも良好な結果が得られた。

 しかしながら、試料番号31は、金属粉末の 量に対するSn-58Bi粉末の体積比率が20体積%で り、25体積%以下と低いため、Sn-58Bi粉末の占 める体積比率が少なくなって導電パスの形成 が妨げられ、このため接続抵抗の初期値R 0 が110mω、PCT後の抵抗変化率δR 1 が110%となり、またPCT後の固着強度が10N/mm 2 となり、試料番号32~35に比べて実用上問題の いレベルであるが、電気的及び機械的強度 比較的劣ることが分かった。

 また、試料番号36は、金属粉末の総量に対 るSn-58Bi粉末の体積比率が80体積%であり、75 積%を超えているため、SnコートCu粉末と反応 しないSn-58Bi粉末が未反応状態のまま残留し このため接続抵抗の初期値R 0 が200mω、PCT後の抵抗変化率δR 1 が180%、リフロー後の抵抗変化率δR 2  が150%、固着強度がPCT後で17N/mm 2 、リフロー後で10N/mm 2 となり、この場合も試料番号32~35に比べて実 上問題の無いレベルであるが、導通性の低 を招いたり、高温での接続信頼性が低下し 電気的及び機械的強度が比較的劣ることが かった。

 以上より、金属粉末の総量に対するSn-58Bi 粉末の体積比率は、25~75体積%が好ましい範囲 であることが確認された。

 平均粒径D1が10μmのSn-58Bi粉末と、平均粒 D2が5μmのCu粉末に膜厚0.02μmのAuが被覆された AuコートCu粉末を使用した以外は、〔実施例1 と同様の方法・手順で試料番号41の導電性 合材料を作製した。

 また、上記AuコートCu粉末に代えて、平均 粒径D2が5μmのCu粉末に膜厚0.01μmのInが被覆さ たInコートCu粉末を使用した以外は、試料番 号41と同様の方法・手順で試料番号42の導電 接合材料を作製した。

 さらに、導電性接合材料の調製過程で還 性物質を添加しなかった以外は試料番号42 同様の方法・手順で試料番号43の導電性接合 材料を作製した。

 次いで、〔実施例1〕と同様の方法・手順で 接続抵抗の初期値R 0 及び初期固着強度S 0 を測定し、さらにPCT後及びリフロー処理後の 各抵抗変化率δR 1 、δR 2 、及び固着強度S 1 、S 2 を算出した。

 表5は試料番号41~43の導電性接合材料の仕 と実験結果を示している。

 この表5から明らかなように、試料番号43は 接続抵抗の初期値R 0 は7300mωとなって導通性が低下し、またPCT後 抵抗変化率δR1も790%と高くなり、PCT後の固着 強度も9N/mm 2 に低下した。これは導電性接合材料中に還元 剤が含有されていないため、InコートCu粉末 表面には酸化物が除去されずに残存し、こ ため熱硬化性樹脂の加熱硬化時にはSn-58Bi粉 がInコートCu粉末の表面に濡れ拡がりにくく 、高融点反応物の生成が促進されなくなるた めと思われる。

 これに対し試料番号41及び42は導電性接合材 料中に還元性物質としてのこはく酸が含有さ れており、しかも金属粉末の総含有量が86重 %、粒径比D1/D2が2.0といずれも本発明範囲内 あり、さらにSn-58Bi粉末の金属粉末の総量に 対する体積比率が50体積%と好ましい範囲であ るので、接続抵抗の初期値R 0 が21~28mω、PCT後の抵抗変化率δR 1 が4~6%、リフロー後の抵抗変化率δR 2  が35~-10%、固着強度が初期値で28~33N/mm 2 、PCT後で20~25N/mm 2 、リフロー後で27~30N/mm 2 といずれも極めて良好な結果が得られること が分かった。