中尾 祥一郎 (〒12 神奈川県川崎市高津区坂戸3丁目2番1号 財団法人神奈川科学技術アカデミー内 Kanagawa, 21300, JP)
YAMADA, Naoomi (2-1 Sakado 3-chome, Takatsu-ku, Kawasaki-sh, Kanagawa 12, 21300, JP)
山田 直臣 (〒12 神奈川県川崎市高津区坂戸3丁目2番1号 財団法人神奈川科学技術アカデミー内 Kanagawa, 21300, JP)
旭硝子株式会社 (〒05 東京都千代田区有楽町一丁目12番1号 Tokyo, 10084, JP)
NAKAO, Shoichiro (2-1 Sakado 3-chome, Takatsu-ku, Kawasaki-sh, Kanagawa 12, 21300, JP)
中尾 祥一郎 (〒12 神奈川県川崎市高津区坂戸3丁目2番1号 財団法人神奈川科学技術アカデミー内 Kanagawa, 21300, JP)
YAMADA, Naoomi (2-1 Sakado 3-chome, Takatsu-ku, Kawasaki-sh, Kanagawa 12, 21300, JP)
| 基板上に、Nb、Ta、Mo、As、Sb、W、N、F、S、Se、Te、Cr、Ni、Tc、Re、P及びBiからなる群から選ばれる1又は2以上のドーパントが添加された酸化チタンからなる層(Z)が2層以上設けられており、 該2層以上のうち少なくとも1層は、チタンとドーパントの原子数合計に対するドーパントの原子数の割合が0.01~4原子%である第2層(Z2)であり、 該第2層(Z2)と基板との間に、該第2層(Z2)よりも、前記チタンとドーパントの原子数合計に対するドーパントの原子数の割合が多い第1層(Z1)が設けられていることを特徴とする導電体。 |
| 前記第1層(Z1)における、チタンとドーパントの原子数合計に対するドーパントの原子数の割合が2~7原子%である、請求項1に記載の導電体。 |
| 前記第2層(Z2)の厚さが3nm以上である、請求項1または2に記載の導電体。 |
| 前記基板がガラスからなる、請求項1~3のいずれか一項に記載の導電体。 |
| 前記ドーパントは、NbまたはTaである、請求項1~4のいずれか一項に記載の導電体。 |
| Nb、Ta、Mo、As、Sb、W、N、F、S、Se、Te、Cr、Ni、Tc、Re、P及びBiからなる群から選ばれる1又は2以上のドーパントが添加された酸化チタンからなり、チタンとドーパントの原子数合計に対するドーパントの原子数の割合が0.01~4原子%である前駆体層を、基板上に形成する前駆体層形成工程と、 前記前駆体層を、大気中にて、該前駆体層の結晶化温度以上、導電性劣化温度未満の温度範囲で熱処理する大気アニール工程とを備えることを特徴とする導電体の製造方法。 |
| Nb、Ta、Mo、As、Sb、W、N、F、S、Se、Te、Cr、Ni、Tc、Re、P及びBiからなる群から選ばれる1又は2以上のドーパントが添加された酸化チタンからなる前駆体層の2層以上を基板上に形成する前駆体層形成工程と、 該前駆体層を大気中で熱処理する大気アニール工程とを備え、 該2層以上の前駆体層のうち少なくとも1層は、チタンとドーパントの原子数合計に対するドーパントの原子数の割合が0.01~4原子%である第2前駆体層であり、 該第2前駆体層と基板との間に、該第2前駆体層よりも、前記チタンとドーパントの原子数合計に対するドーパントの原子数の割合が多い第1前駆体層が存在しており、 前記大気アニール工程における熱処理温度が、前記基板上に設けられた前駆体層の各結晶化温度のうち最も高い温度以上、かつ前記第2前駆体層の導電性劣化温度未満であることを特徴とする導電体の製造方法。 |
| 該2層以上の前駆体層のうち少なくとも1層は、単層アニール試験を行ったときに、多結晶を含みかつ該多結晶がルチル型結晶を含まない層となる、請求項7に記載の導電体の製造方法。 |
| 前記前駆体層の形成を、パルスレーザ堆積法またはスパッタリング法で行う、請求項6~8のいずれか一項に記載の導電体の製造方法。 |
| 前記基板がガラスからなる、請求項6~9のいずれか一項に記載の導電体の製造方法。 |
| 基板と、 前記基板上に形成され、周期表の5、6、7、10、15、16及び17族のいずれか一つに属する少なくとも一つの第1の元素が添加された第1の酸化チタン層と、 前記第1の酸化チタン層上に形成され、周期表の5、6、7、10、15、16及び17族のいずれか一つに属する少なくとも一つの第2の元素が添加された第2の酸化チタン層とを備え、 前記第1の酸化チタン層におけるチタンと前記第1の元素との原子数の合計に対する前記第1の元素の原子数の割合は、前記第2の酸化チタン層におけるチタンと前記第2の元素との原子数の合計に対する前記第2の元素の原子数の割合よりも多いことを特徴とする導電体。 |
| 前記第1及び前記第2の元素は、Nb、Ta、Mo、As、Sb、W、N、F、S、Se、Te、Cr、Ni、Tc、Re、P及びBiのいずれか一つである、請求項11に記載の導電体。 |
| 前記第1及び第2の元素は、NbまたはTaである、請求項12に記載の導電体。 |
本発明は導電体および該導電体の製造方 に関する。
近年、液晶表示パネルの大型化および小 携帯化へのニーズが高くなっている。これ 実現するためには、表示素子の低消費電力 が必要となり、可視光線透過率が高く、か 抵抗値が低い透明電極の適用が不可欠にな 。
特に、最近開発されつつある有機エレク ロルミネッセンス素子は、自発光タイプで り、小型携帯端末への適用においては有効 あるが、電流駆動で消費電力が大きいとい 問題点がある。また、現在、市場に広まり つあるプラズマディスプレイパネル(PDP)、 よび次世代のディスプレイとして開発され つあるフィールドエミッションディスプレ (FED)は、高消費電力な構造であるという問題 点がある。これらの点から、透明導電性薄膜 の低抵抗化への期待は大きい。
透明導電性薄膜の代表例は、スズをドープ
た酸化インジウムからなるインジウム・テ
ン・オキサイド膜(以下、ITO膜という)であ
。ITO膜は透明性に優れ、高い導電性を有す
ものの、Inの地殻含有率が50ppbと少なく、資
の枯渇とともに原料のコストが上昇してし
うという欠点がある。
近年、透明導電体の材料として、耐薬品性
よび耐久性を兼ね備えた二酸化チタン(TiO 2
)が注目されている(例えば非特許文献1参照)
下記特許文献1には、基板上に、アナターゼ 型結晶構造を有するM:TiO 2 (MはNb、Taなど)からなる金属酸化物層を成膜 て透明導電体を得る方法が提案されている ここでは、エピタキシャル成長により成膜 た、アナターゼ型結晶構造を有するM:TiO 2 の単結晶薄膜(固溶体)が、透明性を維持しつ 電気伝導度を著しく向上させることが示さ ている。
下記特許文献2には、透明基体上に、水素を
含有する透明高屈折率薄膜層と、金属薄膜層
とが交互に積層された積層体を形成して透明
導電性薄膜積層体を得る方法が提案されてい
る。透明高屈折率薄膜層は、例えば酸化チタ
ンからなる。
いずれの文献にも金属酸化物層を形成した
にアニールすることについては記載されて
ない。
特許文献1に記載されているアナターゼ型結
晶構造を有するM:TiO 2
の単結晶薄膜は、製造が難しく、生産性が良
くないため、実現性が低い。
特許文献2における透明屈折率薄膜層は、成
膜時に水素を含有させるため、透明性が不充
分となりやすい。
このように、電気的抵抗が小さく、かつ透
性に優れた導電体を実現することは容易で
なかった。
また導電体の用途によっては、大気中で3 00℃以上に加熱されても導電性が劣化しない 度の優れた耐熱性が要求される。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたも で、導電性および透明性が良好であるとと に、耐熱性に優れた導電体およびその製造 法を提供することを目的とする。
本発明者等は、前記課題を解決すべく、N b等のドーパントが添加された酸化チタンか なる層を形成した後、還元雰囲気下でアニ ルすることにより透明導電膜を形成する方 を開発し、既に特許出願している(特開2008-08 4824、米国公開番号2007/0218648、米国出願番号11 /688,013)。
そして、この方法で得られる導電膜の耐 性について鋭意研究を重ねた結果、後述の 施例に示されるように、導電膜中のドーパ ト濃度が特定の範囲にあるときに耐熱性が 著に向上する特性があることを見出した。 たかかる特性に基づいて、アニール工程を 気中で行って透明導電膜を形成できる方法 見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明の導電体は、基板上に、N b、Ta、Mo、As、Sb、W、N、F、S、Se、Te、Cr、Ni、 Tc、Re、P及びBiからなる群から選ばれる1又は2 以上のドーパントが添加された酸化チタンか らなる層(Z)が2層以上設けられており、該2層 上のうち少なくとも1層は、チタンとドーパ ントの原子数合計に対するドーパントの原子 数の割合が0.01~4原子%である第2層(Z2)であり、 該第2層(Z2)と基板との間に、該第2層(Z2)より 、前記チタンとドーパントの原子数合計に するドーパントの原子数の割合が多い第1層( Z1)が設けられていることを特徴とする。
前記第1層(Z1)における、チタンとドーパン
の原子数合計に対するドーパントの原子数
割合が2~7原子%であることが好ましい。
前記第2層(Z2)の厚さが3nm以上であることが
ましい。
前記基板がガラスからなることが好ましい
本発明の導電体の製造方法は、Nb、Ta、Mo As、Sb、W、N、F、S、Se、Te、Cr、Ni、Tc、Re、P びBiからなる群から選ばれる1又は2以上のド ーパントが添加された酸化チタンからなり、 チタンとドーパントの原子数合計に対するド ーパントの原子数の割合が0.01~4原子%である 駆体層を、基板上に形成する前駆体層形成 程と、前記前駆体層を、大気中にて、該前 体層の結晶化温度以上、導電性劣化温度未 の温度範囲で熱処理する大気アニール工程 を備えることを特徴とする。
また本発明は、Nb、Ta、Mo、As、Sb、W、N、F、
S、Se、Te、Cr、Ni、Tc、Re、P及びBiからなる群
ら選ばれる1又は2以上のドーパントが添加さ
れた酸化チタンからなる前駆体層の2層以上
基板上に形成する前駆体層形成工程と、該
駆体層を大気中で熱処理する大気アニール
程とを備え、該2層以上のうち少なくとも1層
は、チタンとドーパントの原子数合計に対す
るドーパントの原子数の割合が0.01~4原子%で
る第2前駆体層であり、該第2前駆体層と基板
との間に、該第2前駆体層よりも、前記チタ
とドーパントの原子数合計に対するドーパ
トの原子数の割合が多い第1前駆体層が存在
ている。
さらに、前記大気アニール工程における熱
理温度が、前記基板上に設けられた前駆体
の各結晶化温度のうち最も高い温度以上、
つ前記第2前駆体層の導電性劣化温度未満で
あることを特徴とする導電体の製造方法を提
供する。
前記2層以上の前駆体層のうち少なくとも1
は、単層アニール試験を行ったときに、多
晶を含みかつ該多結晶がルチル型結晶を含
ない層となることが好ましい。
前記前駆体層の形成を、パルスレーザ堆積
またはスパッタリング法で行うことが好ま
い。
本発明の導電体の製造方法で用いられる前
基板は、ガラスからなることが好ましい。
また、本発明の他の導電体は、基板と、 板上に形成され、周期表の5、6、7、10、15、 16及び17族のいずれか一つに属する少なくと 一つの第1の元素が添加された第1の酸化チタ ン層と、第1の酸化チタン層上に形成され、 期表の5、6、7、10、15、16及び17族のいずれか 一つに属する少なくとも一つの第2の元素が 加された第2の酸化チタン層とを備え、第1の 酸化チタン層におけるチタンと前記第1の元 との原子数の合計に対する第1の元素の原子 の割合は、第2の酸化チタン層におけるチタ ンと前記第2の元素との原子数の合計に対す 第2の元素の原子数の割合よりも多いことを 徴とする。
本発明によれば、導電性および透明性が良
であるとともに、耐熱性に優れた導電体が
られる。
また本発明によれば、導電性および透明性
良好であるとともに、耐熱性に優れた導電
を、アニール工程を大気中で行う方法で製
することができる。
10 基板
11 メイン層(第1層)
11a シード層
11b 中間層
12 保護層(第2層)
32 導電層
以下、本発明の実施の形態について詳細 説明する。
図1は本発明の導電体の第1の実施形態を す断面図である。本実施形態の導電体は、 板10上に、ドーパントが添加された酸化チタ ンからなる第1層(Z1)11が設けられ、その上に ーパントが添加された酸化チタンからなる 2層(Z2)12が設けられている。
本実施形態において、第1層11は主に導電性
担う層であり、以下メイン層という。
第2層12は耐熱性を有する層であり、該第2層
以下保護層という。
図2は本発明の導電体の第2の実施形態を す断面図である。本実施形態の導電体が上 第1の実施形態と異なる点は、メイン層11に 当する部分が、基板10上に設けられたシード 層11aとその上に設けられた中間層11bとからな っている点である。保護層12は中間層11b上に けられている。中間層11bは本発明における 1層(Z1)に該当する。
[基板]
基板10の材質は特に限定されない。例えば
結晶材料、多結晶材料、またはアモルファ
材料でもよく、これらの結晶状態が混在す
材料でもよい。
基板10は透明であることが好ましい。本明
書において「透明」とは、波長が400~700nmで
る可視領域の光に対する透過率が50%以上で
ることをいう。
基材10の具体例としては、チタン酸ストロ
チウム(SrTiO 3
)の単結晶または多結晶からなる基板;ペロブ
カイト型結晶構造またはそれと類似構造を
する岩塩型結晶からなる単結晶基板または
結晶基板;窒化ガリウムの単結晶または多結
晶からなる基板;ウルツ鉱型結晶構造または
れと類似構造を有する閃亜鉛鉱型結晶の窒
物あるいは酸化物の単結晶基板または多結
基板;水晶基板;ノンアルカリガラス(例えば
硝子社製、製品名:AN100)、ソーダライムガラ
(ソーダ石灰ガラス)等のガラス材料からな
ガラス基板;ポリイミド、ポリエチレンテレ
タラート、ポリエチレンナフタレート、ト
アセチルアセトナート、ポリエーテルスル
ォン、ポリカーボネート、ポリエチレン、
リ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリメタ
リレート等のプラスチック材料からなるプ
スチック基板;表面に熱酸化膜が形成された
シリコン基板(熱酸化Si基板)等の半導体基板
が挙げられる。基板10は、本発明の効果を損
なわない範囲でドーパント、不純物などが含
まれていてもよい。
基板10としてSrTiO 3
の単結晶基板を用いる場合は、基板表面が(10
0)面となるように仕上げられた基板が好まし
。
特に、透明で表面が平滑なものが得られや
く、安価であり、さらに実用上要求される
種耐久性を備えるという点からガラス基板
好ましい。
基板10の形状は特に限定されない。例えば
状であってもよく、プラスチックフィルム
のフィルム状であってもよい。
基板10の厚さは特に限定されない。基板10の
透明性が要求される場合には1mm以下が好まし
い。板状の基板10において機械的強度が求め
れ、透過率を多少犠牲にしてもよい場合で
れば、1mmより厚くてもよい。基板10の厚さ
、例えば0.2~1mmが好ましい。
基板10は、必要に応じて研磨したものを用
ることができる。SrTiO 3
基板等の結晶性を有する基板は、研磨して用
いることが好ましい。例えば研磨材としてダ
イヤモンドスラリーを使用して機械研磨する
。該機械研磨では、使用するダイヤモンドス
ラリーの粒径を徐々に微細化してゆき、最後
に粒径約0.5μmのダイヤモンドスラリーで鏡面
研磨することが好ましい。その後、更にコロ
イダルシリカを用いて研磨することにより、
表面粗さの二乗平均粗さ(rms)が10Å(1nm)以下と
なるまで平坦化させてもよい。
基板10を予め前処理して用いてもよい。 前処理は例えば以下の手順で行うことがで る。まずアセトン、エタノール等により洗 する。次に、高純度塩酸(例えば、ELグレー 、濃度36質量%、関東化学社製)中に2分間浸す 。次に、純水中に移して塩酸等をすすぐ。次 に、新たな純水中に移し、ここで超音波洗浄 を5分間行う。次に、純水中から取り出し、 素ガスを表面に吹き付けて水分を表面から 去する。これらの処理は、例えば室温で行 。これらの処理により、基板表面から酸化 、有機物等が除去されると考えられる。上 では塩酸を例に挙げたが、これに代えて王 、フッ酸等の酸を使用してもよい。また、 による処理は室温下で行ってもよいし、加 した酸を使用してもよい。
[ドーパント]
メイン層11、保護層12、シード層11a、中間層
11bはいずれも、Nb、Ta、Mo、As、Sb、W、N、F、S
Se、Te、Cr、Ni、Tc、Re、P及びBiからなる群か
選ばれる1又は2以上のドーパントが添加さ
た酸化チタンからなる。
本発明における酸化チタンはTiO 2 のTiサイトが金属原子M(ドーパント)で置換さ たものであり、本明細書では「M:TiO 2 」と表すことがある。なお本明細書における 「酸化チタン」および「TiO 2 」には、特に断りのない限り、「TiO 2-δ 」(δは酸素欠損量。)も含まれるものとする
メイン層11、保護層12、シード層11a、及び中
間層11bにおいて、ドーパントの金属原子(M)、
酸素原子(O)、およびチタン原子(Ti)以外の不
物の含有量は0.1原子%以下であることが好ま
い。
特に、ドーパントとしてNb、Ta、Mo、As、Sb、
又はW用いると、透明度を維持しつつ電気伝
度の向上が期待できる。また、ドーパント
してCr、Ni、Tc、Re、P又はBiを用いると、磁気
光学効果や強磁性も期待できる。
上記に挙げたドーパントのうちで、Nb、Ta 、Mo、As、Sb又はWを用いることが好ましく、 にNbおよび/又はTaを用いることが、導電性を 良好とする点で好ましい。
第1の実施形態において、メイン層11に添 されるドーパントと、保護層12に添加され ドーパントとは、同じであってもよく、異 っていてもよい。
第2の実施形態において、シード層11aに添 加されるドーパントと、中間層11bに添加され るドーパントと、保護層12に添加されるドー ントは、同じであってもよく、異なってい もよい。
[メイン層]
メイン層11におけるドーパント含有量は、
中のチタン原子(Ti)とドーパントの金属原子(
M)との合計量を100原子%とすると(以下、同様
)、2原子%以上かつ7原子%以下が好ましい。2
子%以上であると高透明性と低抵抗が同時に
られやすい。7原子%より多いと透明性およ
導電性が劣るおそれがある。より好ましい
囲は3~6原子%である。
メイン層11の膜厚T1は特に限定されず、用途
等に応じて、所望の厚さに設定できる。例え
ば20~1000nmが好ましく、100~200nmがより好ましい
。
[シード層・中間層]
シード層11aと中間層11bにおけるドーパント
有量の好ましい範囲はメイン層と同様であ
。シード層11aと中間層11bとのドーパント含
量は同じであってもよく、異なっていても
い。
シード層11aの膜厚T1aは、5nm以上、50nm以下が
好ましく、10nm以上、40nm以下がより好ましい
該膜厚が上記範囲であれば、電気的抵抗が
さく、かつ透明性に優れた導電体が得られ
すい。
中間層11bの膜厚T1bは特に限定されず、用途
に応じて、所望の厚さに設定できる。例え
シード層11aと中間層11bの膜厚の合計(T1a+T1b)
20~1000nmとなることが好ましく、100~200nmがよ
好ましい。
[保護層]
保護層12におけるドーパントの含有量は、0.
01原子%以上かつ4原子%以下である。0.01原子%
上であると保護層12において導電性が得られ
る。4原子%以下であると良好な耐熱性が得ら
る。より好ましい範囲は0.01~3原子%であり、
0.5~1.5原子%がさらに好ましい。
保護層12の膜厚T2は3nm以上が好ましい。3nm以
上であると良好な耐熱性が得られる。より好
ましくは10nm以上である。上限は特に限定さ
ないが、厚すぎると透明性が低下し、製造
要する時間が長くなる。好ましくは100nm以下
であり、70nm以下がより好ましい。
保護層12と基板10との間には、保護層12より
ドーパント含有量が多い層が存在する。特
導電性を主に担う層のドーパント量は、保
層12のドーパント含有量より多いことが好
しい。本実施形態におけるメイン層11および
中間層11bは、ドーパント含有量が保護層12よ
も多いことが好ましい。
スパッタ法およびパルスレーザ堆積(Pulsed L
aser Deposition:PLD)法のいずれにおいても、膜中
におけるドーパント組成は、成膜時に使用す
るターゲットにおけるドーパント組成とほぼ
同等となる。
したがって、膜中のドーパント含有量は、
膜時に使用するターゲットにおけるドーパ
ト含有量によって制御できる。
<第1の製造方法>
本発明の導電体は本発明の導電体の製造方
(第1の製造方法)を用いて好適に製造するこ
ができる。
第1の実施形態の導電体を製造するには、ま
ず基板10上に、メイン層11の前駆体層(第1前駆
体層)を形成し、その上に保護層12の前駆体層
(第2前駆体層)を形成する(前駆体層形成工程)
次いで、これらの前駆体層を大気中にて熱
理する(大気アニール工程)。
第2の実施形態の導電体を製造するには、ま
ず基板10上に、シード層11aの前駆体層を形成
、その上に中間層11bの前駆体層(第1前駆体
)を形成し、その上に保護層12の前駆体層(第2
前駆体層)を形成する(前駆体層形成工程)。そ
して、これらの前駆体層を大気中にて熱処理
する(大気アニール工程)。
[前駆体層]
前駆体層におけるドーパントの含有量はア
ール後も維持される。したがって、前駆体
におけるドーパントの含有量は、アニール
に得ようとする層のドーパント含有量と同
に設定する。
前駆体層の性状は、アニール後の結晶状態
影響を与える。したがって、アニール後に
望の結晶状態が得られるように、前駆体層
性状を設定する。
大気アニール工程では、前駆体層の結晶 温度以上に加熱されるため、前駆体層の結 状態がアモルファスであるとアニールによ 多結晶化される。低抵抗を達成するために アニール後の多結晶層を構成する結晶がア ターゼ型であることが好ましく、ルチル型 晶を含まないことが好ましい。アニール後 結晶状態は、アニール前のアモルファス層( 前駆体層)における酸素含有量によって制御 きる。
前駆体層に多結晶が存在する場合、該多結
を構成する結晶がアナターゼ型であると、
ニール後の多結晶はアナターゼ型となる。
駆体層において多結晶にルチル型が含まれ
いると、アニール後の多結晶はルチル型を
む。
前駆体層における結晶状態は、XRDプロファ
ルによって確認できる。すなわちX線回折(XR
D)装置によりXRDプロファイルを測定し、アナ
ーゼ型多結晶に特徴的に観察される(101)お
び(004)のピーク、ならびにルチル型多結晶に
特徴的に観察される(110)のピークの有無を観
する。いずれのピークも観察されない場合
アモルファス層であると判定し、いずれか
ピークが有れば多結晶を含む層であると判
する。また、(110)ピークが有れば該多結晶
ルチル型を含むと判定し、(110)ピークが無け
れば該多結晶はルチル型を含まないと判定す
る。
[メイン層の前駆体層]
メイン層11の前駆体層は、アニール後に透
導電膜となればよい。メイン層11の電気抵抗
を低くするうえで、該前駆体層はアモルファ
ス層、または多結晶を含みかつ該多結晶がル
チル型結晶を含まない層であることが好まし
い。後述する条件(Y1)および/または(Y2)を満た
すことがより好ましい。
[保護層の前駆体層]
保護層12の前駆体層は、アニール後に透明
電膜となればよい。該前駆体層はアモルフ
ス層、または多結晶を含みかつ該多結晶が
チル型結晶を含まない層であることが好ま
い。より低抵抗を達成するうえでアモルフ
ス層であることが好ましい。保護層12の電気
抵抗が低くなるように、前駆体層中の酸素含
有量を制御することが好ましい。
[シード層・中間層の前駆体層]
シード層11aの前駆体層は、下記(X1)、及び(X2
)の少なくとも一方の条件を満たすように形
する。両方を同時に満たしてもよい。
(X1)下記の方法により単層アニール試験を行
たときに、多結晶を含みかつ該多結晶がル
ル型を含まない層となる。
(X2)波長800nmにおける吸収係数が0cm -1
より大きく、2×10 4
cm -1
未満となる。
中間層11bの前駆体層はアモルファス層であ
ばよいが、さらに下記(Y1)、及び(Y2)の少な
とも一方の条件を満たすことが、低抵抗の
電体を得るうえで好ましい。両方を同時に
たしてもよい。
(Y1)下記の方法により単層アニール試験を行
たときに、多結晶を含みかつ該多結晶がル
ル型を含む層となる。
(Y2)波長800nmにおける吸収係数が2×10 4
cm -1
以上、5×10 4
cm -1
未満となる。
[単層アニール試験]
シード層11aまたは中間層11bの前駆体層に対
る単層アニール試験は、ノンアルカリガラ
基板上に厚さ100nmで形成されたサンプル膜
用いて、以下の手順で行われる。
まず、ノンアルカリガラス(旭硝子社製、製
品名:AN100)からなる基板の表面上に、実際の
程において基板上にシード層11aまたは中間
11bの前駆体層を形成する時と、同じ組成の
ーゲットおよび同じ成膜条件を用いてサン
ル膜を形成する。ただしサンプル膜の膜厚
、実際の前駆体層の膜厚にかかわらず100nmと
する。
次いで該サンプル膜に対して単層アニール
験を行う。すなわちアニール雰囲気を一旦1
0 -1
Paの真空にした後、水素(H 2
)を導入してH 2
100%の雰囲気とする。このときの雰囲気圧力
1.013×10 5
Pa(1気圧)とする。続いて、該H 2
雰囲気中で、基板の裏面に加熱体を接触させ
、基板温度が5分間で室温(約25℃)から500℃に
するように加熱する。そして500℃で1時間保
持した後、室温まで放冷する。
こうして単層アニール試験を行った後のサ
プル膜について、X線回折(XRD)装置によりXRD
ロファイルを測定し、上述の前駆体層おけ
結晶状態の判定方法と同様にして判定する
[吸収係数]
本発明における「波長800nmにおける吸収係
」の値は、以下の方法で求められる値であ
。
まず、波長800nmにおける透過率と反射率を
定する。該透過率の測定値がT(%)、反射率の
定値がR(%)、膜厚がd(nm)であるとき、吸収係
αは、以下の数式(1)によって算出される。
α=〔ln{(100-R)/T}〕/d×10 7
・・・(1)
上記(X1)の条件に関しては、単層アニール試
験における加熱温度が500℃であるため、アニ
ール前のサンプル膜がアモルファスであって
も、アニール後のサンプル膜は多結晶を含む
。前駆体層の成膜条件を、膜中の酸素含有量
が少なくなるような条件とすると、単層アニ
ール試験後の膜にルチル型結晶が含まれやす
くなる傾向がある。
なお、アニール前の膜が多結晶を含んでお
、該多結晶がルチル型結晶を含まない場合
、アニール後のサンプル膜における多結晶
はルチル型結晶は含まれない。
上記(X2)の条件に関しては、成膜条件を、膜
中の酸素含有量が少なくなるような条件とす
ると、波長800nmにおける吸収係数が大きくな
傾向がある。
前駆体層が、上記(X2)の条件を満たすよう に成膜されたアモルファス層である場合、該 アモルファス層が結晶化温度以上に加熱され たときにアナターゼ型結晶が生成され易く、 ルチル型結晶は生成され難い。
中間層11bの条件(Y1)、及び(Y2)に関しては 中間層11bの前駆体層の成膜条件を、アモル ァス膜が得られ、かつ膜中の酸素含有量が くなるような条件とすることにより、上記(Y 1)および/または(Y2)を満たすアモルファス層 らなる前駆体層が得られる。
中間層11bの前駆体は、上記(Y1)の条件を満た
すように形成されるため、単層でアニールし
た場合にはルチル型結晶を含む多結晶となる
にもかかわらず、シード層11a上に中間層11bを
積層した状態でアニールすると、ルチル型結
晶の生成が大幅に抑えられる。特にアニール
時に基板10側から加熱するとルチル型結晶を
まない多結晶となる。これは驚くべき現象
ある。
そしてシード層11aと中間層11bからなる導電
は、メイン層11のみからなる導電層に比べ
、ルチル型結晶を含まない多結晶という点
は同じであるにもかかわらず、比抵抗が小
くなり、キャリア濃度およびホール移動度
顕著に向上する。
各前駆体層は公知の成膜方法を適宜用いて
成することができる。具体的には、パルス
ーザ堆積(PLD)法、スパッタ法等の物理気相
着(PVD)法;MOCVD法等の化学気相蒸着(CVD)法;ゾル
ゲル法、化学溶液法等の溶液からの合成プロ
セスによる成膜法:などが挙げられる。
特にPLD法は良好な膜状態が得られ易い点で
ましく、スパッタ法は、基板の結晶性にか
わらず成膜しやすい点で好ましい。
[スパッタ法]
スパッタ法は、酸化性スパッタガスを含む
囲気ガス中で、反応性スパッタ法により前
体層を形成するのが好ましい。スパッタ装
は公知のものを適宜使用できる。例えば反
性DCマグネトロンスパッタ装置を使用でき
。
具体的には、まずスパッタ装置の真空チャ
バ内に、ターゲットおよび基板10をセット
、真空チャンバ内をポンプで排気して真空
態とした後、スパッタガスを導入して所定
スパッタ圧力に調整する。
続いて、スパッタ圧力を維持しつつ、ター
ット裏面の磁石により所定強度の磁場を発
させるとともに、ターゲットに所定の電圧
印加して、基板上に前駆体層を成膜する。
成膜時のスパッタ圧力は、例えば0.1~5.0Pa程
が好ましく、0.3~3.0Pa程度がより好ましい。
(ターゲット)
スパッタ法による成膜で使用するターゲッ
は、金属ターゲットでもよく、金属酸化物
ーゲットでもよく、両者を併用してもよい
金属ターゲットとしては、例えば所定量の
ーパントを含むチタン合金等が用いられる
金属酸化物ターゲットとしては、例えば所
量のドーパントを含むTiO 2
焼結体等が用いられる。例えばNb:TiO 2
焼結体は、所望の原子比となるように秤量さ
れたTiO 2
とNb 2
O 5
の各粉末を混合し、該混合した粉末を加熱成
形することにより作製できる。1種のターゲ
トに複数種類のドーパントが含まれていて
よい。
ターゲットにおけるドーパントの含有率は
該ターゲットを用いて成膜される膜におけ
ドーパントの含有率とほぼ同等となる。し
がって、得ようとする前駆体層におけるド
パント含有量に応じて、ターゲットのドー
ント含有量を設定することが好ましい。
金属酸化物ターゲットの組成において、Ti
原子数に対するOの原子数の比(O/Ti比)が0.5~2.0
の範囲であることが好ましい。すなわち、M:T
iO 2―δ
において、0≦δ≦1.5であることが好ましい。
この範囲よりもO/Ti比が少ないと膜が着色し
すく、透明性と導電性を両立することが困
になる。この範囲よりもO/Ti比が多い酸化物
製造が難しい。該O/Ti比が1.0~2.0の範囲であ
と膜の透明性と導電性が両立しやすい。さ
に該O/Ti比が1.5~2.0の範囲であるとより透明性
が高い膜が得られる。
金属酸化物ターゲットの結晶構造は、ルチ
型、アナターゼ型、ブルッカイト型、マグ
リ相のいずれでもよく、これらの混合物で
よい。
(スパッタガス)
スパッタガスとしては、少なくとも酸化性
パッタガスが用いられ、好ましくは酸化性
パッタガスと不活性ガスの混合ガスが用い
れる。
不活性ガスとしては、Ar、He、Ne、Kr、及びXe
からなる群から選ばれる1種または2種以上を
用できる。酸化性スパッタガスとしては、O
2
、O 3
、H 2
O、及びCO 2
からなる群から選ばれる1種または2種以上を
用できる。安全性と成膜装置の保守の点か
は酸化性スパッタガスとしてO 2
を用いることが好ましい。
成膜時の雰囲気ガス中における酸化性スパ
タガスの濃度は、真空チャンバに導入され
スパッタガスの合計の流量に対する酸化性
パッタガスの流量の割合(以下、酸化性スパ
ッタガス流量比ということもある。)によっ
調整できる。例えばスパッタガスとして酸
性スパッタガスと不活性ガスの混合ガスを
いる場合、前記スパッタガスの合計の流量
、酸化性スパッタガスの流量と不活性ガス
流量の合計である。
(基板温度:シード層)
シード層11aの前駆体層は、アモルファス層
または多結晶を含みかつ該多結晶がルチル
結晶を含まない層となるように形成される
そのためには、該前駆体層を成膜する際の
板温度は600℃以下が好ましい。600℃を超え
とルチル型結晶が生成されやすくなる。該
膜時の基板温度の下限値は、成膜可能な温
であればよく特に限定されない。例えば、
板温度は77K(約-196℃)以上が好ましい。
より低抵抗を達成するうえでは、シード層1
1aの前駆体層がアモルファス層であることが
ましく、そのためには成膜時の基板温度が
温以下であることが好ましい。本明細書に
いて、成膜時の基板温度における「室温」
は、基板を非加熱で成膜する際に基板温度
とり得る温度範囲であり、スパッタ法では2
5~80℃程度である。したがって、シード層11a
前駆体層をアモルファス状とするには、基
を非加熱とした状態で成膜を行うことが好
しい。さらには成膜時の基板温度を例えば25
~50℃程度に保つことがより好ましく、必要に
応じて冷却することが好ましい。
またシード層11aの前駆体層が多結晶を含む
である場合は、アニール後に該多結晶がル
ル型を含んでいなければよい。したがって
例えば室温以下の基板温度でアモルファス
を形成し、該アモルファス層を、ルチル型
晶が生成しないように結晶化温度以上でア
ール(以下、中間アニールという。)した、
結晶を含む層もシード層11aの前駆体層とし
用いることができる。
(基板温度:中間層)
中間層11bの前駆体層はアモルファス層とな
ように形成される。そのためには、該前駆
層を成膜する際の基板温度は室温以下が好
しい。すなわち、中間層11bの前駆体層は、
板を非加熱とした状態で成膜することが好
しい。さらには成膜時の基板温度を例えば2
5~50℃程度に保つことがより好ましく、必要
応じて冷却することが好ましい。該成膜時
基板温度の下限値は、成膜可能な温度であ
ばよく特に限定されない。
例えば、基板温度は77K(約-196℃)以上が好ま
い。
(基板温度:メイン層・保護層)
メイン層11および保護層12の前駆体層は、ア
モルファス層、または多結晶を含みかつ該多
結晶がルチル型結晶を含まない層となるよう
に形成される。シード層11aの前駆体層を成膜
する際の基板温度と、好ましい態様も含めて
同様である。
膜中の酸素含有量は成膜時の製造条件によ
て制御できる。例えばスパッタ法の場合は
(A)成膜時の雰囲気ガス中における酸化性ス
ッタガスの濃度を制御する方法、および(B)
膜時に使用するターゲットにおける酸素原
の含有量を制御する方法がある。
該(A)の方法と(B)の方法を組み合わせてもよ
。
(A)酸化性スパッタガス流量比
前駆体層を成膜する際の雰囲気ガス中にお
る酸化性スパッタガスの濃度は、具体的に
、成膜時の酸化性スパッタガス流量比によ
て制御できる。ターゲットにおける酸素原
の含有量が一定である場合、該酸化性スパ
タガス流量比が少なくなるほど、膜中の酸
含有量は少なくなる。
(ターゲットが金属酸化物である場合)
シード層11aの前駆体層を成膜する際、例え
ターゲットが金属酸化物(M:TiO 2―δ1
:0≦δ1≦1.5)からなる場合は、用いるスパッタ
ガスは、不活性ガスに対してわずかでも酸化
性ガスが添加されていればよい。酸化性スパ
ッタガス流量比は0.1体積%以上が好ましく、0.
25体積%以上がより好ましい。該酸化性スパッ
タガス流量比の上限は100体積%である。
中間層11bの前駆体層を成膜する際の酸化性
パッタガス流量比は、0.1体積%未満が好まし
く、0.05体積%以下がより好ましい。0(ゼロ)体
%すなわちスパッタガスとして不活性ガスに
対して酸化性スパッタガスを含有させなくて
もよい。また酸化性スパッタガスに加えて、
さらに水素(H 2
)ガスを含有させてもよい。この場合のスパ
タガスの全流量100体積部に対する水素ガス
流量比は0.01体積部以上50体積部以下が好ま
い。該水素ガスの流量比が上記範囲より少
いと水素ガスの添加効果が不充分であり、
記範囲より多いと過剰な還元によって金属
タンが生成する可能性がある。
メイン層11の前駆体層を成膜する際の酸化
スパッタガス流量比は、好ましい態様も含
て中間層11bと同様である。
保護層12の前駆体層を成膜する際のスパッ
ガスは、低抵抗を達成するうえで、好まし
態様も含めて中間層11bと同様である。
各層を成膜するときのスパッタガスの組成
よびガス流量比は、上記範囲からターゲッ
の性状等を勘案して最適な条件を選んで決
られる。
(ターゲットが金属である場合)
シード層11aの前駆体層を成膜する際の酸化
スパッタガス流量比は、7.5体積%以上が好ま
しく、10体積%以上がより好ましい。100体積%
もよい。
中間層11bの前駆体層を成膜する際の酸化性
パッタガス流量比は、3体積%以上、7.5体積%
下の範囲が好ましく、5体積%以上、7体積%以
下がより好ましい。該酸化性スパッタガス流
量比が上記範囲より少ないと、酸化不足が原
因で、金属チタンが生成する可能性がある。
中間層11bの前駆体層を形成する際の雰囲気
ス中における酸化性スパッタガスの濃度は
シード層11aの前駆体層を形成する際の雰囲
ガス中における酸化性スパッタガスの濃度
りも低いことが、透明性が高く導電性が高
層が形成できる点で好ましい。さらに、こ
場合、おのおのの酸化性ガスの種類は同じ
あることが好ましい。
メイン層11の前駆体層を成膜する際の酸化
スパッタガス流量比は、好ましい態様も含
て中間層11bと同様である。
保護層12の前駆体層を成膜する際の酸化性
パッタガス流量比は、低抵抗を達成するう
で、5体積%以上が好ましく、7.5体積%以上が
り好ましい。該酸化性スパッタガス流量比
上限は100体積%である。
各層を成膜するときのスパッタガスの組成
よびガス流量比は、上記範囲からターゲッ
の性状等を勘案して最適な条件を選んで決
られる。
(B)ターゲットにおける酸素原子含有量
またスパッタ法において、膜中の酸素含有
を制御する方法として(B)成膜時に使用する
ーゲットにおける酸素原子の含有量を制御
る方法を用いることができる。
ターゲットにおける酸素原子の含有量は、
えば図3に示すように、金属ターゲット21と
属酸化物ターゲット22を同時に用いて成膜
ることにより、金属酸化物ターゲットのみ
用いて成膜する場合よりも、成膜に使用す
ターゲットにおける酸素原子の含有量を少
くすることができる。
具体的には、予め真空チャンバ内に、金属
ーゲット21と金属酸化物ターゲット22の両方
を、基板10と対向する側にセットしておく。
して、金属ターゲット21および/または金属
化物ターゲット22に電圧を印加し、基板10を
回転させつつ該基板10上に成膜を行う。金属
ーゲット21および金属酸化物ターゲット22に
おけるドーパント含有量は同じであることが
好ましい。
この方法において、雰囲気ガス中における
化性スパッタガスの濃度が一定であり、金
ターゲット21と金属酸化物ターゲット22の大
きさが同じである場合、「金属ターゲットへ
の投入電力/金属酸化物ターゲットへの投入
力」の割合が大きくなるほど、膜中の酸素
有量は少なくなる。
中間層11bの前駆体層を形成する際に使用 るターゲットにおける酸素原子の含有量は シード層11aの前駆体層を形成する際に使用 るターゲットにおける酸素原子の含有量よ も低いことが、透明性が高く導電性が高い が形成できる点で好ましい。さらに、この 合、おのおののターゲットにおけるドーパ ト含有量は同じであることが好ましい。
例えば、金属酸化物(M:TiO 2―δ2
:0≦δ2≦1.5)からなる金属酸化物ターゲット22
、MとTiの合金からなる金属ターゲット21を
い、シード層11aの前駆体層を成膜する際、
よび中間層11bの前駆体層を成膜する際の酸
性スパッタガス流量比を0.1体積%以上の範囲
で一定とする場合、シード層11aの前駆体層
成膜する際は、図3(a)に示すように、金属酸
化物ターゲット22にのみ電圧を印加し、金属
ーゲット21への印加電圧はゼロとすること
好ましい。
続いて、中間層11bの前駆体層を成膜する際
、図3(b)に示すように、金属ターゲット21と
属酸化物ターゲット22の両方に電圧を印加
る。例えば金属酸化物ターゲットの放電方
がRF放電(高周波放電)であり、金属ターゲッ
の放電方式がDC放電であり、ターゲットの
積が同じである場合、上記(1)および/または(
2)の条件を満たすうえで、金属酸化物ターゲ
トへの投入電力(単位:W)を100%とするときの
属ターゲットへの投入電力(単位:W)の割合は5
~40%が好ましい。
[PLD法]
各前駆体層はPLD法で形成してもよい。
PLD法では、例えば、適切な減圧状態を維持
きるチャンバ内に、基板とターゲットとを
向して配置し、チャンバ内に酸素ガスを注
するとともに、該チャンバ内における酸素
圧を所定の値に保持し、基板温度を所定の
度に設定して、基板およびターゲットを回
駆動させつつ、パルスレーザ光をターゲッ
に断続的に照射して、ターゲット表面の温
を急激に上昇させ、アブレーションプラズ
を発生させる。このアブレーションプラズ
中に含まれるTi原子、O原子、およびM(ドー
ント)原子は、チャンバ中の酸素ガスとの衝
反応等を繰り返しながら状態を徐々に変化
せて基板へ移動し、基板へ到達したTi原子
M原子、およびO原子を含む粒子は、そのまま
基板の表面に拡散し、薄膜化される。こうし
て基板上に膜が形成される。
上記パルスレーザ光として、例えばパルス 波数が1~10Hzであり、レーザフルエンス(レー ザパワー)が1~2J/cm 2 であり、波長が248nmであるKrFエキシマレーザ 用いられる。
チャンバの排気側の圧力は常に10 -3 Torr(1.33×10 -1 Pa)以下に保たれることが好ましい。
ターゲットは、例えば金属酸化物ターゲ トが用いられる。金属酸化物ターゲットに いてはスパッタ法と同様である。ターゲッ におけるドーパントの含有率は、該ターゲ トを用いて成膜される膜におけるドーパン の含有率とほぼ同等となる。
[基板温度]
各前駆体層の成膜時の基板温度はスパッタ
と同様である。
なお、PLD法において、基板を非加熱で成膜
る際に基板温度がとり得る温度範囲、すな
ち成膜時の基板温度における「室温」の範
は、25~100℃程度である。
PLD法で前駆体層を形成する場合の、上記(X1)
、(X2)、(Y1)および(Y2)の各条件については、ス
パッタ法と同様である。単層アニール試験も
成膜法が異なる他は同様である。
[(C)酸素分圧]
PLD法の場合、膜中の酸素含有量を制御する
法としては(C)成膜時の酸素分圧を制御する
法が好ましい。
ターゲットにおける酸素原子の含有量が一
である場合、成膜時の酸素分圧が低くなる
ど、膜中の酸素含有量は少なくなる。
例えばターゲットが金属酸化物(M:TiO 2―δ3
:0≦δ3≦1.5)からなる場合、シード層11aの前駆
体層を成膜する際の酸素分圧は、5×10 -1
Pa以上が好ましく、1×10 0
Pa以上がより好ましい。また生産性の点で該
素分圧の上限値は、好ましくは1×10 5
Paである。
一方、中間層11bの前駆体層を成膜する際の
素分圧は、5×10 -1
Pa未満が好ましく、3×10 -1
Pa以下がより好ましい。また透明性を確保す
点で該酸素分圧の下限値は、好ましくは1×1
0 -8
Paである。
メイン層11の前駆体層を成膜する際の酸素
圧は、好ましい態様も含めてシード層と同
である。
保護層12の前駆体層を成膜する際の酸素分 は、低抵抗を達成するうえで、10 -3 Pa以上が好ましく、10 -2 Pa以上がより好ましい。
[大気アニール工程]
本発明におけるアニールとは、加熱により
定の温度(アニール温度)まで上昇させた後
温度を下げる操作をいう。本実施形態のよ
に基板10上に前駆体層が2層以上形成されて
る場合は、アニール温度として基板温度を
用することができる。
大気アニール工程における熱処理温度は、
板10上に設けられた複数の前駆体層の各結
化温度のうち最も高い温度以上、かつ保護
12の前駆体層(第2前駆体層)の導電性劣化温度
未満とされる。
[結晶化温度の定義]
本発明における前駆体層の結晶化温度は、
下の方法で得られる値である。
すなわち、基板上に前駆体層を単層で形成
、基板温度が室温から600℃になるまで200分
けて真空中で加熱昇温した後、1時間保持し
、その後直ちに200分かけて室温まで冷却した
ときの、基板温度と比抵抗との関係を調べる
。その結果より、加熱途中に比抵抗の値が最
も大きく低下する温度T’(℃)を求め、該T’
りも30℃だけ低い温度(T’-30)を結晶化温度Tcr
(℃)と定義する。加熱途中に比抵抗の値が大
く低下する温度は、比抵抗の一次微分値と
板温度との関係から求める。
ここで、本発明における結晶化温度は、加
により非晶質が多結晶に変化する過程にお
て、完全な多結晶体となる温度ではなく、
結晶と非晶質が混在していても低抵抗が得
れる温度を意味している。したがって、加
途中に比抵抗の値が最も大きく低下する温
T’よりも30℃低い値を結晶化温度Tcrとする
[導電性劣化温度の定義]
本発明における保護層12の前駆体層の導電
劣化温度は、以下の方法で得られる値であ
。
すなわち、基板上に保護層12の前駆体層を
層で形成し、1気圧の水素雰囲気中で、室温
ら600℃まで6分かけて加熱した後、1時間600
で保持したのち直ちに30分かけて室温まで冷
却する条件でアニールを行って多結晶化した
ものをサンプル膜とする。
こうして得られたサンプル膜について、大
中にて室温から600℃まで200分かけて加熱し
後、直ちに放冷する方法で加熱試験を行っ
ときの、基板温度と比抵抗との関係を調べ
。加熱途中に比抵抗の値が最も大きく上昇
る温度、すなわち一次微分のグラフが折れ
がる(傾きが最も大きく変化する)点の温度
導電性劣化温度Td(℃)と定義する。
ここで本発明における前駆体層の導電性 化温度は、前駆体層をアニールして多結晶 したサンプル膜の導電性劣化温度である。 たがって、該導電性劣化温度は、実質的に アニール後の保護層12の導電性劣化温度で る。
大気アニール温度は、このようにして求 られる最も高い結晶化温度以上であって、 護層12の前駆体層の導電性劣化温度未満の 囲内とされる。例えば300~400℃程度が好まし 。
所定のアニール温度に保持する時間(アニー
ル時間)は特に制限されず、アニール後に所
の特性が得られるように適宜設定できる。
ニール温度が低いとアニール時間が長く必
になる傾向がある。アニール時間は、アニ
ル温度以外の条件にもよるが。例えば1~120分
の範囲内が好ましく、1~60分が好ましい。
大気アニール工程においては、いずれの前
体層も、自身の結晶化温度よりも高い温度
加熱されるため、多結晶化されて導電層と
る。
また最外層として保護層12の前駆体層を設
、該保護層12の前駆体層の導電性劣化温度よ
りも低い温度で加熱するため、大気中でアニ
ールしても保護層12の導電性は劣化しない。
護層12はドーパント濃度が特定の低い範囲
あるため、加熱時に膜中に酸素原子が取り
まれ難く、このことが保護層12の高耐熱性に
寄与していると考えられる。
そして、かかる保護層12の前駆体層が最外
に設けられているため、保護層12と基板10と
間に存在するメイン層11、またはシード層11
aおよび中間層11bの前駆体層は、大気中でア
ールが行われるにもかかわらず、酸素との
触がない状態で加熱される。したがって、
とえ大気アニール温度が、これらの層自身
大気中における導電性劣化温度より高くて
、これらの層に酸素が取り込まれ難く、導
性の劣化が防止される。すなわち耐熱性が
上する。
本発明の製造方法によれば、最外層をなす
駆体層として保護層12の前駆体層を設ける
とにより、大気アニールにより導電体を形
することが可能となる。大気アニールは、
元雰囲気下でのアニールに比べて、設備お
び所要時間の点で有利である。
また、得られる導電体は透明性も良好であ
、保護層12の導電性劣化温度未満であれば
気中で加熱されても導電性が損なわれない
め、耐熱性が良好な透明導電膜として用い
ことができる。
<第2の製造方法>
第1の製造方法と同様にして、各前駆体層を
形成した後、大気アニール工程に変えて、還
元雰囲気下で加熱してアニール(還元アニー
工程)する方法でも、本発明の導電体を製造
きる。
本発明における還元雰囲気とは、アニール
囲気中における酸化性ガスの分圧が0.2×10 5
Pa以下であることをいう。該酸化性ガスとは
アニール工程において前駆体層に酸素を与
得る気体を意味し、具体例としてはO 2
、O 3
、NO、NO 2
、H 2
O等が挙げられる。雰囲気中に酸化性ガスが2
以上含まれる場合は、それらの分圧の合計
上記の範囲内であればよい。還元雰囲気中
おける酸化性ガスの分圧は、1×10 4
Pa以下が好ましく、10Pa以下がより好ましい。
1×10 -8
Pa程度が最も好ましい。酸化性ガスの分圧の
が小さいほど、より低抵抗の導電体を得る
とができる。
また、より低抵抗化するうえで、還元雰囲
中にH 2
および/またはCOを存在させることが好ましく
、プラズマ状態のH 2
を存在させることがより好ましい。したがっ
て、アニール雰囲気を一旦真空状態にした後
、水素(H 2
)を導入してアニールを行うことが好ましい
または、アニールを行う還元雰囲気を真空
態とすることも好ましい。
本明細書おいて、真空状態の雰囲気圧力は1 0 3 ~10 -8 Paの範囲であり、10 0 ~10 -8 Paの範囲が好ましく、10 -2 ~10 -8 Paの範囲がより好ましい。
還元アニールにおける熱処理温度は、基板1
0上に設けられた複数の前駆体層の各結晶化
度のうち最も高い温度以上とされる点では
1の製造方法と同じである。
一方、還元アニールは大気アニールよりも
膜中に酸素が取り込まれ難い状態で熱処理
行われるため、加熱温度が高くても導電性
劣化が生じ難い。すなわち導電性劣化温度
高く、したがって大気アニールよりも還元
ニールの方がアニール温度の上限が高い。
還元アニールにおけるアニール温度の上限
、アニール工程においてアナターゼ型の結
構造がこわれる温度であり、例えば900℃以
が好ましい。基板10の耐熱性、エネルギー
減、昇温時間の短縮等の点からは、アニー
温度は低い方が望ましい。還元アニールに
けるアニール温度のより好ましい範囲は200~6
50℃であり、300~600℃がさらに好ましい。
所定のアニール温度に保持する時間(アニー
ル時間)は特に制限されず、アニール後に所
の特性が得られるように適宜設定できる。
ニール温度が低いとアニール時間が長くな
傾向がある。アニール時間は、アニール温
以外の条件にもよるが。例えば1~120分の範囲
内が好ましく、1~60分が好ましい。
<本発明の製造方法>
本発明の製造方法は、図4に示すように、基
板10上に直接、高耐熱性を有する導電層32を
成するのにも好適である。
すなわち、Nb、Ta、Mo、As、Sb、W、N、F、S、Se
、Te、Cr、Ni、Tc、Re、P及びBiからなる群から
ばれる1又は2以上のドーパントが添加された
酸化チタンからなり、チタンとドーパントの
原子数合計に対するドーパントの原子数の割
合が0.01~4原子%である前駆体層を、基板10上に
形成し(前駆体層形成工程)、該前駆体層を、
気中にて、該前駆体層の結晶化温度以上、
電性劣化温度未満の温度範囲で熱処理(大気
アニール工程)することにより、基板10上に導
電層32が設けられた導電体が得られる。
基板10は、上記導電体の第1の実施形態と 様である。ドーパントの好ましい種類も上 導電体の第1の実施形態と同様である。
導電層32におけるドーパントの含有量は、0.
01原子%以上かつ4原子%以下である。0.01原子%
上であると導電性が得られ、4原子%以下であ
ると良好な耐熱性が得られる。より好ましい
範囲は0.2~4原子%であり、0.5~3原子%がさらに好
ましい。
導電層32の膜厚T32は3nm以上が好ましい。3nm
り薄いと耐熱性が維持される時間が短くな
。好ましくは10nm以上である。上限は特に限
されないが、厚すぎると透明性が低下し、
造に要する時間が長くなる。好ましくは100n
m以下であり、30nm以下がより好ましい。
具体的には、まず基板10上に導電層32の前駆
体層を形成する。前駆体層はアモルファス層
とする。前駆体層は導電体の第1の実施形態
同様に、公知の成膜方法を適宜用いて形成
ることができる。
特にPLD法は良好な膜状態が得られ易い点 好ましく、スパッタ法は、基板の結晶性に かわらず成膜しやすい点で好ましい。
PLD法で導電層32の前駆体層を成膜する場合
ターゲットは上記第1の製造方法と同様であ
。前駆体層はアモルファス層であるため、
板温度は室温以下であることが好ましい。
膜時の酸素分圧は、低抵抗を達成するうえ
、10 -3
Pa以上が好ましく、10 -2
Pa以上がより好ましい。
その他は、上記第1の製造方法における、保
護層12の前駆体層の成膜と同様に行うことが
きる。
スパッタ法で導電層32の前駆体層を成膜 る場合、ターゲットは上記第1の製造方法と 様である。基板温度は室温以下であること 好ましい。スパッタ圧力は0.1~10Pa程度が好 しい。
不活性ガスは第1の製造方法と同様である。
スパッタリングガスにおけるO 2
/(不活性ガス+O 2
)の割合(体積基準)は0~1体積%程度が好ましい
その他は、上記第1の製造方法における、保
護層12の前駆体層の成膜と同様に行うことが
きる。
こうして形成した前駆体層に対して大気ア
ールを行う。アニール温度は、前駆体層の
晶化温度以上、導電性劣化温度未満の温度
囲とされる。
その他は第1の製造方法における大気アニー
ル工程と同様に行うことができる。
このようにして基板10上に、高耐熱性を有
る導電層32が設けられた導電体が得られる。
該導電体は透明性も良好であり、導電性劣化
温度が高くて耐熱性が良好な透明導電膜とし
て用いることができる。
<用途>
本発明の導電体は適用範囲が広く、例えば
フラットパネルディスプレイ、太陽電池、
ッチパネルなどの透明電極に好適である。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳し
説明するが、本発明はこれら実施例に限定
れるものではない。
[例1:結晶化温度の測定]
PLD装置を用い、下記の条件で基板上にアモ
ファス層(前駆体層)を形成した。
基板:ノンアルカリガラス(旭硝子社製、製品
:AN100)からなる厚さ0.5mmのガラス基板。
成膜法:PLD法。
成膜時の酸素分圧:1.33×10 -1
Pa(1×10 -3
Torr)。
ターゲット:TiO 2
焼結体。
基板温度:室温(基板の加熱なし)。
得られたアモルファス層の厚さは130nm、Nb含
有量は0原子%である。このアモルファス層を
空中で、室温から600℃まで200分かけて加熱
た後、1時間保持し、その後200分かけて室温
まで冷却したときの、基板温度と比抵抗との
関係を調べた。
その結果を図5に示す。
図5において、縦軸は比抵抗ρ(単位:ωcm)、横
軸は基板温度T(単位:℃)を示す。
図6は、図5の縦軸で示す比抵抗ρの一次微分
(dρ/dT)の絶対値と基板温度Tとの関係を示した
ものである。
図5において、加熱途中に比抵抗の値が最も
大きく低下する温度、すなわち図6において
次微分値のピークPが得られる温度をT’(℃)
するとき、T’-30(℃)が結晶化温度Tcr(℃)で
る。
[例2:結晶化温度とドーパント量との関係]
上記例1におけるアモルファス層の製造条件
のうち、ターゲット組成を変化させた他は同
様にして、Nb含有量が0~15原子%のアモルファ
層を成膜し、同様にして結晶化温度Tcrを測
した。ターゲットは、Nb:TiO 2-δ
(Nb/(Ti+Nb)=0,1,3,4,6,10,15原子%)からなるTiO 2
焼結体を用いた。
Nb含有量(原子%)と結晶化温度Tcr(℃)との関係
を図7に実線で示す。
[例3:導電性劣化温度の測定およびドーパント
量との関係]
上記例1におけるアモルファス層の製造条件
のうち、ターゲット組成を変化させた他は同
様にして、Nb含有量が0~15原子%のアモルファ
層を成膜した。ターゲットは、Nb:TiO 2-δ
(Nb/(Ti+Nb)=0,1,3,4,6,10,15原子%)からなるTiO 2
焼結体を用いた。
次いで、1気圧の水素雰囲気中にて、室温か
ら600℃まで6分かけて加熱した後、1時間保持
、その後15分かけて室温まで冷却する条件
アニールを行ったものをサンプル膜とした
こうして得られたサンプル膜を、大気中に
室温から600℃まで200分かけて加熱した後、1
時間保持し、その後放冷する方法で加熱試験
を行った。このときの基板温度と比抵抗との
関係を調べた。その結果を図8に示す。
図8において、縦軸は比抵抗ρ(単位:ωcm)、横
軸は基板温度T(単位:℃)を示す。
図9は、図8の縦軸で示す昇温時の比抵抗ρの
、一次微分(dρ/dT)と、基板温度Tとの関係を示
したグラフである。
図8において、加熱途中に比抵抗の値が最も
大きく上昇する温度(図中矢印で示す。)、す
わち図9において一次微分のグラフが折れ曲
がる(傾きが最も大きく変化する)点の温度が
電性劣化温度Td(℃)である。
Nb含有量(原子%)と導電性劣化温度Td(℃)との
係を図7に破線で示す。
図8において、加熱試験開始時のサンプル膜
の比抵抗は、Nb含有量0%のものを除いていず
も低く、アニールされたことにより多結晶
して低抵抗化されたことがわかる。
Nb含有量0%のサンプル膜は多結晶化されたも
のの、Nbを含有していないため比抵抗が充分
低くならなかったと考えられる。
そして図8の結果より、アニールによって 低抵抗化されたサンプル膜が、さらに大気中 で加熱されると300~400℃付近で比抵抗が急激 上昇し、導電性が劣化することがわかる。 して図7に示されるように、該導電性が劣化 る温度(導電性劣化温度Td)はNb含有量に依存 る。
図7において、Nb含有量が0.01~4原子%の範囲 では、結晶化温度Tcrよりも導電性劣化温度Td 方が充分に高い。したがって、例えばNb含 量が1原子%のアモルファス層を大気中で加熱 するとき、基板温度が結晶化温度Tcrである290 ℃以上になると多結晶化して低抵抗化される 。そして基板温度が導電性劣化温度Tdである4 00℃に達すると導電性が劣化して比抵抗が急 に上昇する。したがって、Nb含有量が1原子% のアモルファス層を、大気中で基板温度が290 ℃以上、400℃未満となる範囲で加熱すると、 低抵抗の多結晶膜が得られることがわかる。
[例4:導電性劣化温度とドーパント量との関係
]
例3において、アモルファス層を成膜する際
の酸素分圧を1.33×10 -2
Pa(1×10 -4
Torr)に変更した他は同様にしてサンプル膜を
成し、該サンプル膜について加熱試験を行
たときの基板温度と比抵抗との関係を調べ
。その結果を図10に示す。なお、ターゲッ
組成はNb:TiO 2-δ
(Nb/(Ti+Nb)=0,3,6,10,15,20原子%)。
図10と図8は、導電性劣化温度については同
の傾向を示しており、アモルファス層の成
時の酸素分圧は、導電性劣化温度にほとん
影響しないことがわかる。
[例5:成膜時の酸素分圧の影響]
図11は、例3と例4(図8と図10)における加熱試
開始時のサンプル膜、すなわちアニールに
って低抵抗化された膜の比抵抗を縦軸にと
、Nb含有量を横軸にとったグラフである。
線はアモルファス層の成膜時の酸素分圧が1.
33×10 -1
Pa(1×10 -3
Torr)、破線は1.33×10 -2
Pa(1×10 -4
Torr)の場合を示す。この図の結果より、アモ
ファス層の成膜時の酸素分圧はアニール後
膜の比抵抗に影響し、Nb含有量が10原子%未
の範囲では、1×10 -3
Torrの方がより低い比抵抗が得られることが
かる。
また、特にNb含有量4原子%のアモルファス層
(前駆体層)を形成する場合に、酸素分圧を1×1
0 -3
Torrとすると、より低い比抵抗が得られ、比
抗4×10 -4
ωcm程度を達成できることがわかる。
[例6:光吸収特性]
図12は、例3(図8)における加熱試験開始時の
ンプル膜、すなわちアニールによって低抵
化された膜について光吸収特性を測定した
果を示したものである。図12において、横
は波長(nm)、縦軸は吸収率(%)を示す。
この図の結果より、Nb含有量が低い方が光
吸収率が低く、透明性が高いことがわかる
図11および図12より、Nb含有量が0.01~4原子% の範囲のアモルファス層を、アニールによっ て低抵抗化すると、比抵抗が低く、透明性に も優れた透明導電膜が得られることがわかる 。また図7の破線が示すように、Nb含有量がこ の範囲であると、大気中で加熱されたときの 導電性劣化温度Tdが高く、基板温度が該導電 劣化温度Td(例えば330~400℃)に達しなければ の導電性は劣化しない。すなわちNb含有量が 0.01~4原子%の範囲のアモルファス層をアニー して得られる透明導電膜は、大気中で良好 耐熱性を示すことがわかる。
[実施例1]
図1に示す構成の導電体を製造した。
例3と同様にして、基板上に、メイン層11の
駆体層としてNb含有量が4原子%のアモルファ
ス層(厚さ:100nmを成膜し、続いてターゲット
変えて、その上に保護層12の前駆体層として
Nb含有量が1原子%のアモルファス層(厚さ:30nm)
成膜した。成膜時の酸素分圧はいずれも1.33
×10 -1
Pa(1×10 -3
Torr)とした。
こうして得られた積層体を真空中にて、室
から600℃まで6分かけて加熱した後、1時間
持し、その後15分かけて室温まで冷却する条
件でアニールを行ってサンプル膜(積層体)を
た。
得られたサンプル膜(積層体)について、例3
同様にして大気中で加熱試験したときの基
温度と比抵抗との関係を調べた。その結果
図13に実線で示す。この図中に、図8におけ
Nb含有量4原子%および1原子%の結果を破線で
す。
Nb含有量4原子%の単層からなるサンプル膜に
比べて、本例のサンプル膜(積層体)は、導電
劣化温度Tdが高く、Nb含有量が1原子%の層を
外層として積層したことにより、耐熱性が
上したことがわかる。
図14は、本例のサンプル膜(積層体)について
光吸収特性を測定した結果を示したものであ
る。図12に示した、Nb含有量4原子%の結果と比
べても、光の吸収率において遜色はなく、Nb
有量が1原子%の層を積層したことによって
明性が損なわれないことがわかる。
[実施例2]
図2に示す構成の導電体を製造した。
例3と同様にして基板上に、シード層11aの前
駆体層として、Nb含有量が1原子%のアモルフ
ス層(厚さ:25nm)を成膜し、続いてターゲット
変えて、その上に中間層11bの前駆体層とし
Nb含有量が4原子%のアモルファス層(厚さ:120n
m)を成膜し、さらにターゲットを変えて、そ
上に保護層12の前駆体層としてNb含有量が1
子%のアモルファス層(厚さ:25nm)を成膜した。
成膜時の酸素分圧はシード層:2.66×10 -1
Pa(2×10 -3
Torr)、中間層:1.33×10 -2
Pa(1×10 -4
Torr)、保護層:1.33×10 -1
Pa(1×10 -3
Torr)とした。
こうして得られた積層体を大気中にて、室
から350℃まで3分かけて加熱し、350℃に60分
保持した後、15分かけて室温まで冷却する
件で大気中アニールを行ってサンプル膜(積
体)を得た。
図15はアニール工程中における基板温度と ンプル膜の比抵抗の関係を示したものであ 。アニール後に比抵抗=8.51×10 -4 ωcm、シート抵抗Rs=48ω/□、キャリア濃度=7.04 10 20 cm -3 、μ=10.4cm 2 /Vsの導電膜が得られた。
図7の結果に示されるように、Nb含有量が4 原子%のアモルファス層は350℃で大気アニー されると導電性が劣化する。これに対して 本例の積層体では、Nb含有量が4原子%のアモ ファス層の上に、Nb含有量が1原子%のアモル ファス層を積層した状態で大気アニールした ため、350℃で加熱されても導電性は劣化せず 、低抵抗の導電膜が得られた。
[実施例3]
本例は、前駆体層をスパッタリング法で製
した例である。
以下のスパッタリング法の例において、基
温度の「室温」とは、25℃以上80℃以下の範
囲である。本実施例では、基板を加熱しない
条件でスパッタリング法による成膜を行い、
その際の基板温度は70℃以上80℃以下の範囲
あったことが確認できている。
反応性DCマグネトロンスパッタリング装置
用い、下記の成膜条件で基板上にアモルフ
ス層を形成した。基板としては厚さ1mmのノ
アルカリガラス(旭硝子社製、製品名:AN100)を
使用した。
すなわち、反応性DCマグネトロンスパッタ
ング装置の真空槽内に、ターゲットとして
Ti-Nb合金をセットするとともに、基板をセッ
トした。
ターゲットと基板との距離(T/S)は70mmとした 次いで、真空槽をポンプで5×10 -4 Pa以下まで排気した後、ArガスとO 2 ガスとをO 2 /(Ar+O 2 )の割合が7.5体積%となるように真空系内に導 し、真空槽内の圧力が1.0Paとなるように調 した。
そして、マグネトロン磁場強度1000Gの状 で、Ti-Nb合金ターゲットに150Wで電圧を印加 、基板上にNbがドープされた酸化チタン膜( 駆体層)を形成した。基板の加熱は行わず、 板温度は室温とした。得られたアモルファ 層(前駆体層)の膜厚は150nmであった。
ターゲット組成を変化させることにより、N
b含有量が0~15原子%のアモルファス層を成膜し
、例2と同様にして結晶化温度Tcrとドーパン
量との関係を測定したところ、図7とほぼ同
の結果が得られた。
これとは別に、例3と同様にしてNb含有量(原
子%)と導電性劣化温度Td(℃)との関係を測定し
たところ、図7とほぼ同等の結果が得られた
次いで、図4に示す構成の導電体を形成した
。
すなわち、上記のスパッタリング条件にお
て、ターゲットとして、Nbを0.01~4原子%含有
るTi-Nb合金を用い、膜厚を150nmとした他は同
様にしてアモルファス層(前駆体層)を形成し
後、大気中でアニールして透明導電膜を形
した。アニール温度は350℃とした。室温か
基板温度がアニール温度に達するまで3分間
かかった。所定のアニール温度で1時間保持
た後、室温まで放冷した。得られた透明導
膜の膜厚は150nm、比抵抗は1.1×10 -3
ωcmであった。
[実施例4]
図2に示す構成の導電体をスパッタ法で形成
する。
(成膜条件1)
反応性DCマグネトロンスパッタ装置を用い
基板上にNbが添加された酸化チタン膜を形成
する。基板としては厚さ1mmのノンアルカリガ
ラス(旭硝子社製、製品名:AN100)を使用する。
パッタガスとしてArガスとO 2
ガスの混合ガスを用いる。
すなわち、反応性DCマグネトロンスパッタ
置の真空槽内に、金属酸化物ターゲットと
て、Nbを1原子%含有する酸化チタン焼結体を
ットするとともに、基板をセットする。
次いで、真空槽をポンプで5×10 -4
Pa以下まで排気した後、ArガスとO 2
ガスとをO 2
/(Ar+O 2
)で表されるO 2
流量比(酸化性スパッタガス流量比)が1.0体積%
となるように真空系内に導入し、真空槽内の
圧力(スパッタ圧力)が1.0Paとなるように調整
る。
そして、ターゲットに所定の磁場を印加し
状態で、金属酸化物ターゲットに150Wの電力
を印加し、基板上にNbがドープされた酸化チ
ン膜を形成する。基板の加熱は行わず、基
温度は室温とする。膜厚は100nmとする。
次いで、単層アニール試験を行って、基板
に導電層が形成されたサンプルを得る。得
れる導電層のNb含有量は1原子%となる。
アニール前はアモルファス状態であること
XRDプロファイルにより確認する。
アニール後の導電層について、X線回折を行
うと、アナターゼ型結晶に見られる(101)ピー
および(004)ピークが観察され、ルチル型結
に見られる(110)ピークは認められない。
したがって、アニール前はアモルファス層
あり、単層アニール試験後に、多結晶を含
かつ該多結晶がルチル型結晶を含まない層
なっていることが認められる。すなわち上
条件(X1)を満たす。
(成膜条件2)
上記成膜条件1において、O 2
流量比(酸化性スパッタガス流量比)を0体積%
変更し、金属酸化物ターゲットを、Nbを4原
%含有する酸化チタン焼結体に変更するほか
同様にして、基板上にNbがドープされた酸
チタン膜を形成する。
次いで、単層アニール試験を行って、基板
に導電層が形成されたサンプルを得る。得
れる導電層のNb含有量は4原子%となる。
アニール前はアモルファス状態であること
XRDプロファイルにより確認する。
アニール後の導電層について、X線回折を行
うと、(101)および(004)ピークは無く、(110)ピー
クが観察される。
したがって、アニール前はアモルファス層
あり、単層アニール試験後に、多結晶を含
かつ該多結晶がルチル型結晶を含む層とな
ていることが認められる。すなわち上記条
(Y1)を満たす。
上記成膜条件1において、膜厚を30nmに変更
たほかは同様にして、基板上にシード層の
駆体層を形成する。
次いでその上に、上記成膜条件2において、
膜厚を120nmに変更したほかは同様にして、中
層の前駆体層を形成する。
次いでその上に、成膜条件1において、膜厚
を30nmに変更したほかは同様にして、基板上
保護層の前駆体層を形成する。
こうして得られる積層物を、大気中でアニ
ルして導電体を得る。アニール温度は、図7
のグラフに基づいて各前駆体層の結晶化温度
Tcrおよび導電性劣化温度Tdを予測し、325℃に
定する。室温から基板温度がアニール温度
達するまで3分間かかる。所定のアニール温
度で1時間保持した後、室温まで放冷する。
られる透明導電膜の膜厚は180nm、比抵抗は9.5
x10 -4
ωcmである。
本発明の導電体は、導電性および透明性が
好であるとともに、耐熱性に優れ、可視光
透過率が高く、かつ抵抗値が低い透明導電
薄膜として用いることができ、フラットパ
ルディスプレイ、太陽電池、タッチパネル
どの透明電極として有用である。
なお、2008年3月25日に出願された日本特許出
願2008-078042号の明細書、特許請求の範囲、図
及び要約書の全内容をここに引用し、本発
の明細書の開示として、取り入れるもので
る。
