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Patent Searching and Data


Title:
CONJUGATED COMPOUND, NITROGENATED CONDENSED-RING COMPOUND, NITROGENATED CONDENSED-RING POLYMER, ORGANIC THIN FILM, AND ORGANIC THIN FILM ELEMENT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/069687
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a conjugated compound having two or more groups each represented by the general formula (I) or (II). (I) (II) wherein one of Ar and Ar' represents a bivalent aromatic hydrocarbon group having 6 or more carbon atoms, and the other represents a bivalent heterocyclic group having 4 or more carbon atoms (each of these groups may have a substituent; provided that each of the groups contains no fluorine atom in its whole structure); R1 and R2 independently represent a hydrogen atom, a halogen atom or a univalent group; and Ar'' represents a trivalent aromatic hydrocarbon group or a trivalent heterocyclic group; provided that, when the conjugated compound has two or more groups both represented by the general formula (I), a moiety of the conjugated compound other than the groups contains no fluorine atom. Also disclosed is a nitrogenated condensed-ring compound represented by the general formula (α-I). (α-I) wherein R21 and R22 independently represent a hydrogen atom, a halogen atom or a univalent group which may be substituted by a substituent; Z21 and Z22 independently represent a group represented by any one formula selected from the formulae (α-i) to (α-ix). (α-i) (α-ii) (α-iii) (α-iv) (α-v) (α-vi) (α-vii) (α-viii) (α-ix) wherein R23, R24, R25 and R26 independently represent a hydrogen atom, a halogen atom or a univalent group, and R23 and R24 may together form a ring; and the group represented by the formula (α-viii) may be reversed left to right.

Inventors:
ASO YOSHIO (JP)
IE YUTAKA (JP)
OKABE MAKOTO (JP)
NITANI MASASHI (JP)
UEDA MASATO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/071520
Publication Date:
June 04, 2009
Filing Date:
November 27, 2008
Export Citation:
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Assignee:
UNIV OSAKA (JP)
SUMITOMO CHEMICAL CO (JP)
ASO YOSHIO (JP)
IE YUTAKA (JP)
OKABE MAKOTO (JP)
NITANI MASASHI (JP)
UEDA MASATO (JP)
International Classes:
C07D333/22; C07D277/60; C07D333/78; C07D409/14; C07D417/14; H01L29/786; H01L29/80; H01L51/05; H01L51/30; H01L51/42; H01M14/00
Domestic Patent References:
WO2007050049A12007-05-03
WO2007029547A12007-03-15
WO2006098121A12006-09-21
WO2005122278A12005-12-22
WO2008108405A12008-09-12
WO2003010778A12003-02-06
Foreign References:
JP2007116115A2007-05-10
JP2006013483A2006-01-12
JP2007197359A2007-08-09
US20040186266A12004-09-23
US20040183068A12004-09-23
EP1279689A22003-01-29
JP2004339516A2004-12-02
JPH05110069A1993-04-30
JP2004006476A2004-01-08
Other References:
GAN WENJUN ET AL.: "Effect of molecular weight on reaction-induced phase separation of epoxy resin modified with fluorocarbon chain terminated polyetherimide", SCIENCE IN CHINA, SERIES B: CHEMISTRY, vol. 48, no. 6, 2005, pages 560 - 566, XP008136838
IRIKAWA HAJIME ET AL.: "Formation and structures of dimeric compounds from an (E)-5, 5'-diphenyl -2, 2', 3, 3'-tetrahydro-3, 3'-bipyrrolylidene- 2, 2'-dione", BULLETIN OF THE CHEMICAL SOCIETY OF JAPAN, vol. 74, no. 3, 2001, pages 555 - 559, XP008136846
NAKANO YOSHIAKI ET AL.: "Synthesis and intramolecular magnetic interaction of triphenylamine derivatives with nitronyl nitroxide radicals", POLYHEDRON, vol. 24, no. 16-17, 2005, pages 2141 - 2147, XP027353110
CHEM. REV., vol. 95, 1995, pages 2457
J. CHEM. SOC. PERKIN TRANS 1. ORGANIC AND BIO-ORGANIC CHEMISTRY, vol. 21, 1992, pages 2985 - 2988
See also references of EP 2223918A4
Attorney, Agent or Firm:
HASEGAWA, Yoshiki et al. (Ginza First Bldg.10-6 Ginza 1-chome,Chuo-ku, Tokyo 61, JP)
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Claims:
 下記一般式(I)又は下記一般式(II)で表される基を2以上有する共役系化合物。
[式中、Ar及びAr’のいずれか一方は炭素数6以上の2価の芳香族炭化水素基、他方は炭素数4以上の2価の複素環基(これらの基は置換基を有してもよい。但し、これらの基全体としてフッ素原子を含有しない)を示し、R 1 及びR 2 はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は1価の基、Ar’’は3価の芳香族炭化水素基又は3価の複素環基(これらの基は置換基を有していてもよい)をそれぞれ示す。但し、前記共役系化合物が、前記一般式(I)で表される基を2以上有する場合は、当該基以外の部分はフッ素原子を含有しない。]
 前記一般式(I)で表される基が、下記一般式(III)で表される基である、請求項1記載の共役系化合物。
[式中、R 1 及びR 2 は前記と同義であり、R 0 は水素原子、炭素数1~20のアルキル基又は炭素数1~20のアルコキシ基を示し、Z 1 及びZ 1 ’のいずれか一方は下記式(i)で表される基、他方は下記式(ii)~(ix)で表される基のいずれかを示し、R 3 、R 4 、R 5 及びR 6 はそれぞれ独立に、水素原子又は1価の基をそれぞれ示し、R 3 とR 4 とは互いに結合して環を形成していてもよい。複数存在するR 0 は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
 前記一般式(III)で表される基を2以上有する、請求項2記載の共役系化合物。
 前記一般式(III)で表される基を2以上有する共役系化合物が、下記一般式(V)で表される共役系化合物である、請求項3記載の共役系化合物。
[式中、R 0 、R 1 、R 2 、Z 1 及びZ 1 ’は前記と同義であり、Ar 1 、Ar 2 及びAr 3 は、それぞれ独立に、炭素数6以上の2価の芳香族炭化水素基又は炭素数4以上の2価の複素環基(これらの基は置換基を有してもよい。但し、これらの基全体としてフッ素原子を含有しない)を示し、m、n及びpは、それぞれ独立に0~6の整数を示す。複数存在するR 0 、R 1 、R 2 、Z 1 及びZ 1 ’は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
 前記Ar 1 、Ar 2 及びAr 3 のうち少なくとも1つが、置換基を有してもよいチエニレン基である(但し、基全体としてフッ素原子を含有しない)、請求項4記載の共役系化合物。
 前記一般式(II)で表される基が、下記一般式(IV)で表される基である、請求項1記載の共役系化合物。
[式中、R 10 は、水素原子、フッ素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のフルオロアルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基又は炭素数1~20のフルオロアルコキシ基を示し、Z 2 は、下記式(xi)~(xix)で表される基のいずれかを示し、R 13 、R 14 、R 15 及びR 16 はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は1価の基を示し、R 13 とR 14 とは互いに結合して環を形成していてもよい。]
 前記一般式(IV)で表される基を2以上有する、請求項6記載の共役系化合物。
 前記一般式(IV)で表される基を2以上有する共役系化合物が、下記一般式(VI)で表される共役系化合物である、請求項7記載の共役系化合物。
[式中、R 10 及びZ 2 は前記と同義であり、Ar 4 、Ar 5 及びAr 6 は、それぞれ独立に、炭素数6以上の2価の芳香族炭化水素基又は炭素数4以上の2価の複素環基(これらの基は置換基を有していてもよい)を示し、q、r及びsは、それぞれ独立に0~6の整数を示す。複数存在するR 10 及びZ 2 は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
 前記Z 2 が、前記式(xii)で表される基である、請求項6~8のいずれか一項に記載の共役系化合物。
 請求項1~9のいずれか一項に記載の共役系化合物を含む、有機薄膜。
 請求項10記載の有機薄膜を備える、有機薄膜素子。
 ソース電極及びドレイン電極と、これら電極の間の電流経路となる有機半導体層と、前記電流経路を通る電流量を制御するゲート電極と、を備える有機薄膜トランジスタであって、前記有機半導体層が請求項10記載の有機薄膜を備える有機薄膜トランジスタ。
 請求項10記載の有機薄膜を備える、有機太陽電池。
 請求項10記載の有機薄膜を備える、光センサ。
 下記一般式(α-I)で表される含窒素縮合環化合物。
[式(α-I)中、R 21 及びR 22 は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子又は置換基で置換されていてもよい1価の基を示し、Z 21 及びZ 22 は各々独立に、下記式(α-i)~(α-ix)で表される基のいずれかを示す。
式中、R 23 、R 24 、R 25 及びR 26 は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子又は1価の基を示し、R 23 とR 24 とは互いに結合して環を形成していてもよい。なお、式(α-viii)で表される基は左右反転していてもよい。]
 前記Z 21 及び前記Z 22 が、前記式(α-ii)で表される基である、請求項15記載の含窒素縮合環化合物。
 下記一般式(α-I-I)で表される、請求項15記載の含窒素縮合環化合物。
[式(α-I-I)中、Z 21 、Z 22 及びZ 1’ はそれぞれ独立に、前記式(α-i)~(α-ix)で表される基のいずれかを示し、R 1 及びR 2 はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は1価の基を示し、R 0 は水素原子、炭素数1~20のアルキル基又は炭素数1~20のアルコキシ基を示す。複数存在するR 0 は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
 前記R 21 及びR 22 の少なくとも一方が、下記一般式(IV)で表される基である、請求項15記載の含窒素縮合環化合物。
[式中、R 10 は、水素原子、フッ素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のフルオロアルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基又は炭素数1~20のフルオロアルコキシ基を示し、Z 2 は、下記式(xi)~(xix)で表される基のいずれかを示し、R 13 、R 14 、R 15 及びR 16 はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は1価の基を示し、R 13 とR 14 とは互いに結合して環を形成していてもよい。]
 下記一般式(α-II)で表される繰り返し単位を有する含窒素縮合環重合体。
[式(α-II)中、Z 21 及びZ 22 は各々独立に、下記式(α-i)~(α-ix)で表される基のいずれかを示す。
式中、R 23 、R 24 、R 25 及びR 26 は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子又は1価の基を示し、R 23 とR 24 とは互いに結合して環を形成していてもよい。なお、式(α-viii)で表される基は左右反転していてもよい。]
 前記Z 21 及び前記Z 22 が、前記式(α-ii)で表される基である、請求項19記載の含窒素縮合環重合体。
 前記一般式(α-II)で表される繰り返し単位の少なくとも1つと、下記一般式(α-III)で表される繰り返し単位の少なくとも1つとを有する、請求項19又は20記載の含窒素縮合環重合体。
[式(α-III)中、Ar 21 は、2価の芳香族炭化水素基又は2価の複素環基(但し、これらの基は置換基で置換されていてもよい。)を示す。]
 前記Ar 21 が、下記一般式(α-IV)で表される基である、請求項21記載の含窒素縮合環重合体。
[式(α-IV)中、R 27 及びR 28 は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子又は1価の基を示し、Z 23 は、下記式(α-i)~(α-ix)で表される基のいずれかを示す。但し、R 27 とR 28 とは互いに結合して環を形成していてもよい。
式中、R 23 、R 24 、R 25 及びR 26 は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子又は1価の基を示し、R 23 とR 24 とは互いに結合して環を形成していてもよい。なお、式(α-viii)で表される基は左右反転していてもよい。]
 前記Z 23 が、前記式(α-ii)で表される基である、請求項22記載の含窒素縮合環重合体。
 請求項15~18のいずれか一項に記載の含窒素縮合環化合物、及び/又は、請求項19~23のいずれか一項に記載の含窒素縮合環重合体を含む、有機薄膜。
 請求項24に記載の有機薄膜を備える有機薄膜素子。
 請求項24に記載の有機薄膜を備える有機薄膜トランジスタ。
 請求項24に記載の有機薄膜を備える有機太陽電池。
 請求項24に記載の有機薄膜を備える光センサ。
Description:
共役系化合物、含窒素縮合環化 物、含窒素縮合環重合体、有機薄膜及び有 薄膜素子

 本発明は、共役系化合物、含窒素縮合環 合物、含窒素縮合環重合体、有機薄膜及び 機薄膜素子に関する。

 有機トランジスタ、有機太陽電池、光セ サ等の有機薄膜素子の材料として、有機n型 半導体である共役系化合物が種々開発されて いる。その具体例としては、オリゴチオフェ ンにフルオロアルキル基を導入した化合物が 提案されている(特許文献1~4)。

 電子輸送性又はホール輸送性を有する有 材料を含む薄膜は、有機薄膜トランジスタ 有機太陽電池、光センサ等の有機薄膜素子 の応用が期待されているが、有機p型半導体 (ホール輸送性を示す)に比べ、有機n型半導体 (電子輸送性を示す)が得難いことから、有機n 型半導体の開発が種々検討されている。

 近年、有機n型半導体等の電子輸送性材料 として、π共役化合物の電子受容性を増加さ た、チオフェン環にフルオロアルキル基を 入した化合物の研究が盛んに行われている( 特許文献1)。

 一方、分子構造の平面性を向上させるため 架橋した構造を有するポリチオフェンが種 検討されている(特許文献5)。

米国特許出願公開第2004/186266号明細書

米国特許出願公開第2004/183068号明細書

国際公開第2003/010778号パンフレット

欧州特許出願公開第1279689号明細書

特開2004-339516号公報

 しかし、上記特許文献1~4に記載された化 物は、電子輸送性が十分な有機n型半導体と して利用可能なものではない。

 また、上記特許文献1及び5に記載された 知の材料であっても、有機n型半導体として 性能が十分であるとは言い難く、さらに電 輸送性が向上した有機n型半導体が求められ ている。

 そこで、本発明の目的は、電子輸送性の れた有機n型半導体として利用可能な新規化 合物及び新規重合体を提供することにある。 本発明の目的はまた、この新規化合物及び/ は新規重合体を含む有機薄膜、及びこの有 薄膜を備える有機薄膜素子を提供すること ある。

 まず、第一の発明群について説明する。

 上記目的を達成するために、本発明は、下 一般式(I)又は下記一般式(II)で表される基を 2以上有する共役系化合物を提供する。

 ここで、Ar及びAr’のいずれか一方は炭素数 6以上の2価の芳香族炭化水素基、他方は炭素 4以上の2価の複素環基(これらの基は置換基 有してもよい。但し、これらの基全体とし フッ素原子を含有しない)を示し、R 1 及びR 2 はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子 又は1価の基、Ar’’は3価の芳香族炭化水素 又は3価の複素環基(これらの基は置換基を有 していてもよい)をそれぞれ示す。但し、上 共役系化合物が、一般式(I)で表される基を2 上有する場合は、当該基以外の部分はフッ 原子を含有しない。

 このような骨格を備えた共役系化合物は 分子同士のパッキング性に優れており、α- ルオロケトン構造(-C(=O)-C(F)<)の導入によ 十分に低いLUMOを示すことができる。そのた 、上記共役系化合物は、電子注入及び電子 送性に優れたn型半導体として十分に好適な ものとなる。また、このような化合物は、化 学的に安定で、溶剤への溶解性にも優れてい るため、上記共役系化合物を用いて薄膜を形 成させることで、性能の優れた有機薄膜素子 が製造可能となる。

 本発明は、上述の共役系化合物を含む有 薄膜を提供する。本発明は、更に、上記有 薄膜を備える有機薄膜素子、有機薄膜トラ ジスタ、有機太陽電池及び光センサを提供 る。

 このような有機薄膜、有機薄膜素子、有 薄膜トランジスタ、有機太陽電池及び光セ サは、上述のように十分に低いLUMOを有し、 優れた電荷輸送性を示す本発明の共役系化合 物を用いて形成されているため、優れた性能 を得ることができる。

 次に、第二の発明群について説明する。

 上記目的を達成するために、本発明は、下 一般式(α-I)で表される含窒素縮合環化合物 提供する。
式(α-I)中、R 21 及びR 22 は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子又は 置換基で置換されていてもよい1価の基を示 、Z 21 及びZ 22 は各々独立に、下記式(α-i)~(α-ix)で表される のいずれかを示す。
式中、R 23 、R 23 、R 25 及びR 26 は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子又は 1価の基を示し、R 23 とR 24 とは互いに結合して環を形成していてもよい 。なお、式(α-viii)で表される基は左右反転し ていてもよい。

 本発明はまた、下記一般式(α-II)で表される 繰り返し単位を有する含窒素縮合環重合体を 提供する。
式(α-II)中、Z 21 及びZ 22 は各々独立に、下記式(α-i)~(α-ix)で表される のいずれかを示す。
式中、R 23 、R 24 、R 25 及びR 26 は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子又は 1価の基を示し、R 23 とR 24 とは互いに結合して環を形成していてもよい 。なお、式(α-viii)で表される基は左右反転し ていてもよい。

 このような骨格を備えた含窒素縮合環化 物及び含窒素縮合環重合体は、環同士のπ 役平面性が良好であるとともに、含窒素縮 環の導入により十分に低いLUMOを示すことが き、電子輸送性に優れた有機n型半導体とし て利用可能である。また、これらの含窒素縮 合環化合物及び含窒素縮合環重合体は、化学 的に安定で、有機溶剤への溶解性が優れてい るため、これらを用いて薄膜を形成すること で、性能の優れた有機薄膜素子が製造可能と なる。

 また、本発明の含窒素縮合環化合物及び 窒素縮合環重合体は、環境安定性に優れて るため、これらを用いて薄膜を形成するこ で、通常の大気中においても性能が安定し いる有機薄膜素子が製造可能となる。

 本発明は更に、上記含窒素縮合環化合物 び/又は含窒素縮合環重合体を含む有機薄膜 、並びに、当該有機薄膜を備える有機薄膜素 子を提供する。

 かかる有機薄膜及び有機薄膜素子は、本 明の含窒素縮合環化合物や含窒素縮合環重 体を含有するため、十分に低いLUMOを有し、 優れた電子輸送性を示す。

 第一の発明群によれば、電子輸送性の優 た有機n型半導体として利用可能な新規共役 系化合物を提供することができる。また、こ の新規共役系化合物を含む有機薄膜、及びこ の有機薄膜を備える有機薄膜素子を提供する ことができる。

 第二の発明群によれば、電子輸送性の優 た有機n型半導体として利用可能な新規の含 窒素縮合環化合物及び新規の含窒素縮合環重 合体を提供することができる。また、この含 窒素縮合環化合物や含窒素縮合環重合体を含 む有機薄膜、並びに、この有機薄膜を備える 有機薄膜素子を提供することができる。

第1実施形態に係る有機薄膜トランジス タの模式断面図である。 第2実施形態に係る有機薄膜トランジス タの模式断面図である。 第3実施形態に係る有機薄膜トランジス タの模式断面図である。 第4実施形態に係る有機薄膜トランジス タの模式断面図である。 第5実施形態に係る有機薄膜トランジス タの模式断面図である。 第6実施形態に係る有機薄膜トランジス タの模式断面図である。 第7実施形態に係る有機薄膜トランジス タの模式断面図である。 実施形態に係る太陽電池の模式断面図 ある。 第1実施形態に係る光センサの模式断面 図である。 第2実施形態に係る光センサの模式断 図である。 第3実施形態に係る光センサの模式断 図である。 一般式(α-II)で表される繰り返し単位 環と一般式(α-IV)で表される繰り返し単位の とがなす二面角を表す図である。 化合物α-Iの結合した隣り合う分子環 士の二面角を表す図である。 化合物α-Iの結晶構造を表す図である

符号の説明

 1…基板、2…活性層、2a…活性層、3…絶 層、4…ゲート電極、5…ソース電極、6…ド イン電極、7a…第1の電極、7b…第2の電極、8 電荷発生層、100…第1実施形態に係る有機薄 膜トランジスタ、110…第2実施形態に係る有 薄膜トランジスタ、120…第3実施形態に係る 機薄膜トランジスタ、130…第4実施形態に係 る有機薄膜トランジスタ、140…第5実施形態 係る有機薄膜トランジスタ、150…第6実施形 に係る有機薄膜トランジスタ、160…第7実施 形態に係る有機薄膜トランジスタ、200…実施 形態に係る太陽電池、300…第1実施形態に係 光センサ、310…第2実施形態に係る光センサ 320…第3実施形態に係る光センサ。

 以下、場合により図面を参照しつつ、本 明の好適な実施形態について詳細に説明す 。なお、図面中、同一要素には同一符号を すこととし、重複する説明は省略する。ま 、上下左右等の位置関係は、特に断らない り、図面に示す位置関係に基づくものとす 。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限 れるものではない。

 まず、第一の発明群について詳細に説明 る。

 本発明の共役系化合物は、上記一般式(I) は(II)で表される基を2以上有するものであ 。ここで、本発明における共役系化合物と 、化合物の主骨格において、単結合と、不 和結合、孤立電子対、ラジカル又は非結合 軌道が交互に連なる構造を含み、π軌道又は 非結合性軌道の相互作用による電子の非局在 化が主骨格の一部又は全域に起こっているも のをいう。共役系化合物の中でもπ軌道の相 作用によるπ共役系化合物が好ましい。

 上記共役系化合物が、一般式(I)で表され 基を2以上有する場合は、当該基以外の部分 はフッ素原子を含有しない。このような共役 系化合物は、分子同士のパッキング性が十分 に高く、電子注入及び電子輸送性に優れたn 半導体として十分に好適なものとなる。

 共役系化合物において、複数ある一般式( I)又は(II)で表される基は、同一でも異なって いてもよいが、同一であることがより好まし い。

 一般式(I)において、Ar及びAr’のいずれか一 方は炭素数6以上の2価の芳香族炭化水素基、 方は炭素数4以上の2価の複素環基を示す。 れらの基は置換基を有してもよいが、基全 としてフッ素原子を含有しない。Arは炭素数 4以上の2価の複素環基であり、Ar’は炭素数6 上の2価の芳香族炭化水素基であることが好 ましい。R 1 及びR 2 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原 子又は1価の基を示す。

 ここで、2価の芳香族炭化水素基とは、ベ ンゼン環又は縮合環から水素原子2個を除い 残りの原子団をいう。2価の芳香族炭化水素 の炭素数は、6~60であることが好ましく、6~2 0であることがより好ましい。縮合環として 、例えば、ナフタレン、アントラセン、テ ラセン、ペンタセン、ピレン、ペリレン、 ルオレンが挙げられる。これらの中でもベ ゼン環、ペンタセン又はピレンから水素原 2個を除いた残りの原子団が特に好ましい。 お、芳香族炭化水素基上に置換基を有して てもよい。ここで、2価の芳香族炭化水素基 の炭素数には、置換基の炭素数は含まれない 。なお、置換基としては、ハロゲン原子、飽 和又は不飽和炭化水素基、アリール基、アル コキシ基、アリールアルキル基、アリールオ キシ基、1価の複素環基、アミノ基、ニトロ 、シアノ基が挙げられる。

 また、2価の複素環基とは、複素環式化合 物から水素原子2個を除いた残りの原子団を う。2価の複素環基の炭素数は、4~60であるこ とが好ましく、4~20であることがより好まし 。なお、2価の複素環基上に置換基を有して てもよく、2価の複素環基の炭素数には、置 換基の炭素数は含まれない。なお、置換基と しては、ハロゲン原子、飽和又は不飽和炭化 水素基、アリール基、アルコキシ基、アリー ルアルキル基、アリールオキシ基、1価の複 環基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基が挙 られる。2価の複素環基としては、チオフェ 環、チエノチオフェン環、フラン環、ピロ ル環及びピリジン環から水素原子2個を除い た残りの原子団が例示され、特にチオフェン 環、チエノチオフェン環から水素原子2個を いた残りの原子団は、特徴的な電気的性質 示し、従来にない新たな電気的特性の発現 期待できる。なお、2価の複素環基としては 2価の芳香族複素環基が好ましい。

 複素環式化合物とは、環式構造をもつ有 化合物のうち、環を構成する元素が炭素原 だけでなく、酸素、硫黄、窒素、リン、ホ 素、ケイ素等のヘテロ原子を環内に含むも をいう。

 なお、ハロゲン原子としては、例えば、フ 素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原 が挙げられる。LUMOをより低くできる観点か ら、R 1 及びR 2 はフッ素原子であることが好ましい。

 上記一般式(I)で表される基は、下記一般式( III)で表される基であることが好ましい。

 式(III)中、R 1 及びR 2 はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子 又は1価の基を示し、R 0 は水素原子、炭素数1~20のアルキル基又は炭 数1~20のアルコキシ基を示し、複数存在するR 0 は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。 Z 1 及びZ 1 ’のいずれか一方は下記式(i)で表される基を 示し、他方は下記式(ii)~(ix)で表される基のい ずれかを示す。Z 1 ’は下記式(i)で表される基であり、Z 1 は下記式(ii)~(ix)で表される基のいずれかであ ることが好ましい。また、R 3 、R 4 、R 5 及びR 6 はそれぞれ独立に、水素原子又は1価の基を し、R 3 とR 4 とは互いに結合して環を形成していてもよい 。

 共役系化合物が一般式(I)又は(III)で表され 基を2以上有する場合、下記一般式(V)で表さ る化合物であることが好ましい。

 式(V)中、R 0 、R 1 、R 2 、Z 1 及びZ 1 ’は上記と同義である。Ar 1 、Ar 2 及びAr 3 は、それぞれ独立に、炭素数6以上の2価の芳 族炭化水素基又は炭素数4以上の2価の複素 基を示す。これらの基は置換基を有しても いが、基全体としてフッ素原子を含有しな 。なお、2価の芳香族炭化水素基及び炭素数4 以上の2価の複素環基としては、Ar及びAr’で 示した基と同様の基を挙げることができる Ar 1 、Ar 2 及びAr 3 のうち少なくとも1つは、置換基を有しても いチエニレン基であることが好ましい。但 、基全体としてフッ素原子を含有しない。m n及びpは、それぞれ独立に0~6の整数を示す 複数存在するR 0 、R 1 、R 2 、Z 1 及びZ 1 ’はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。 本発明の効果をより有効に発揮できる観点か ら、R 1 及びR 2 は、フッ素原子、Z 1 ’は、式(i)で表される基、Z 1 は、式(ii)で表される基であることがより好 しい。また、Ar 1 、Ar 2 及びAr 3 のうち少なくとも1つは、チエニレン基であ ことがさらに好ましい。

 また、上記一般式(II)において、Ar’’は3 価の芳香族炭化水素基又は3価の複素環基(こ らの基は置換基を有していてもよい)を示す 。

 3価の芳香族炭化水素基とは、ベンゼン環 又は縮合環から水素原子3個を除いた残りの 子団をいう。3価の芳香族炭化水素基の炭素 は、6~60であることが好ましく、6~20である とがより好ましい。縮合環としては、例え 、ナフタレン、アントラセン、テトラセン ペンタセン、ピレン、ペリレン、フルオレ が挙げられる。これらの中でもベンゼン環 ら水素原子3個を除いた残りの原子団が特に ましい。なお、芳香族炭化水素基上に置換 を有していてもよい。3価の芳香族炭化水素 基の炭素数には、置換基の炭素数は含まれな い。

 また、3価の複素環基とは、複素環式化合 物から水素原子3個を除いた残りの原子団を う。3価の複素環基の炭素数は、4~60であるこ とが好ましく、4~20であることがより好まし 。なお、3価の複素環基上に置換基を有して てもよく、3価の複素環基の炭素数には、置 換基の炭素数は含まれない。3価の複素環基 しては、チオフェン環、チエノチオフェン 、フラン環、ピロール環及びピリジン環か 水素原子3個を除いた残りの原子団が例示さ 、特にチオフェン環、チエノチオフェン環 ら水素原子3個を除いた残りの原子団は、特 徴的な電気的性質を示し、従来にない新たな 電気的特性の発現も期待できる。なお、3価 複素環基としては、3価の芳香族複素環基が ましい。

 上記一般式(II)で表される基は、下記一般式 (IV)で表される基であることが好ましい。

 式(IV)中、R 10 は、水素原子、フッ素原子、炭素数1~20のア キル基、炭素数1~20のフルオロアルキル基、 素数1~20のアルコキシ基又は炭素数1~20のフ オロアルコキシ基を示し、Z 2 は、下記式(xi)~(xix)で表される基のいずれか 示す。Z 2 は、下記式(xii)で表される基であることが好 しい。また、R 13 、R 14 、R 15 及びR 16 はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子 又は1価の基を示し、R 13 とR 14 とは互いに結合して環を形成していてもよい 。

 共役系化合物が一般式(II)又は(IV)で表され 基を2以上有する場合、下記一般式(VI)で表さ れる化合物であることが好ましい。

 式(VI)中、R 10 及びZ 2 は上記と同義であり、複数存在するR 10 及びZ 2 は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。 Ar 4 、Ar 5 及びAr 6 は、それぞれ独立に、炭素数6以上の2価の芳 族炭化水素基又は炭素数4以上の2価の複素 基(これらの基は置換基を有していてもよい) を示す。なお、2価の芳香族炭化水素基及び 素数4以上の2価の複素環基としては、Ar及びA r’で例示した基と同様の基を挙げることが きる。また、Ar 4 、Ar 5 及びAr 6 のうち少なくとも1つは置換基を有してもよ チエニレン基であることがより好ましい。q r及びsは、それぞれ独立に0~6の整数を示す 本発明の効果をより有効に発揮できる観点 ら、Z 2 は、式(xii)で表される基であることが好まし 。

 R 0 及びR 10 におけるアルキル基としては、炭素数1~20の 鎖状、分岐状又は環状のアルキル基が挙げ れ、炭素数1~12の直鎖状、分岐状又は環状の ルキル基が好ましい。上記アルキル基とし 、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピ 基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル 、tert-ブチル基、3-メチルブチル基、ペンチ ル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、ヘ チル基、オクチル基、ノニル基、デシル基 ラウリル基、シクロプロピル基、シクロブ ル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル 、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、 クロノニル基、シクロドデシル基が挙げら る。アルコキシ基としては、上記アルキル をその構造中に含む炭素数1~20のアルコキシ 基が挙げられる。アルコキシ基としては、上 記アルキル基をその構造中に含む炭素数1~20 直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基が げられ、炭素数1~12の直鎖状、分岐状又は環 のアルキル基を含むものが好ましい。R 10 におけるフルオロアルキル基としては、上記 アルキル基の水素原子を一部又は全部をフッ 素原子に置き換えた基が挙げられ、炭素数1~1 2の直鎖状、分岐状又は環状のフルオロアル ル基が好ましい。フルオロアルコキシ基と ては、上記フルオロアルキル基をその構造 に含む炭素数1~20のフルオロアルコキシ基が げられ、炭素数1~12の直鎖状、分岐状又は環 状のフルオロアルキル基を含むものが好まし い。

 また、R 1 、R 2 、R 3 、R 4 、R 5 、R 6 、R 13 、R 14 、R 15 及びR 16 における1価の基としては、例えば、直鎖状 は分岐状の低分子鎖、炭素数3~60の1価の環状 基(単環でも縮合環でも、炭素環でも複素環 も、飽和でも不飽和でもよく、置換基を有 ていてもよい)、飽和又は不飽和炭化水素基 ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルカノ ルオキシ基、アミノ基、オキシアミノ基、 ルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ア カノイルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、 ルホ基、ハロゲン原子で置換されたアルキ 基、アルコキシスルホニル基(但し、そのア ルコキシ基はハロゲン原子で置換されてもよ い。)、アルキルスルホニル基(但し、そのア キル基はハロゲン原子で置換されてもよい )、スルファモイル基、アルキルスルファモ イル基、カルボキシル基、カルバモイル基、 アルキルカルバモイル基、アルカノイル基及 びアルコキシカルボニル基が挙げられる。

 アルキル基としては、炭素数1~20の直鎖状 、分岐状又は環状のアルキル基が挙げられ、 炭素数1~12の直鎖状、分岐状又は環状のアル ル基が好ましい。アルキル基として、例え 、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso- ロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、tert-ブ チル基、3-メチルブチル基、ペンチル基、ヘ シル基、2-エチルヘキシル基、ヘプチル基 オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリ 基、シクロプロピル基、シクロブチル基、 クロペンチル基、シクロヘキシル基、シク ヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノ ル基、シクロドデシル基が挙げられる。ア キル基をその構造中に含む基(例えば、アル キシ基、アルキルアミノ基、アルコキシカ ボニル基)についても同様である。

 不飽和炭化水素基としては、特に限定さ ないが、例えば、ビニル基、1-プロペニル 、アリル基、プロパルギル基、イソプロペ ル基、1-ブテニル基及び2-ブテニル基が挙げ れる。

 アルカノイル基としては、特に限定され いが、例えば、ホルミル基、アセチル基、 ロピオニル基、イソブチリル基、バレリル 及びイソバレリル基等が挙げられる。アル ノイル基をその構造中に含む基(例えば、ア ルカノイルオキシ基、アルカノイルアミノ基 )についても同様である。また、炭素数1のア カノイル基とはホルミル基を指すものとし アルカノイル基をその構造中に含む基につ ても同様である。

 本発明の共役系化合物は、有機n型半導体と しての電子輸送性が高いことが期待される。 この効果を高めるためには、一般式(I)又は(II )で表される基以外のπ共役した構造の平面性 を高め、π-πスタック構造をとりやすくする とが好ましい。そのような観点から、一般 (V)におけるAr 1 、Ar 2 及びAr 3 、並びに(VI)におけるAr 4 、Ar 5 及びAr 6 は、縮合環又はチオフェン環を含む構造であ ることが好ましい。チオフェン骨格を含む構 造は、π-πスタック構造の面間隔が小さくす ことができるため、特に好ましい。また、 機溶剤に対する溶解度の向上、π共役平面 の保持等の観点から、Ar 1 、Ar 2 、Ar 3 、Ar 4 、Ar 5 及びAr 6 は、置換基を有していることが好ましい。但 し、基全体としてフッ素原子を含有しないこ とが好ましい。

 本発明の共役系化合物は、一般式(I)、(II)、 (III)又は(IV)で表される基を2以上有している 電子輸送性を高めるという観点から、共役 化合物は、上記一般式(V)又は(VI)で表される 合物であることが好ましい。上記式(V)又は( VI)で表される化合物として、具体的には、下 記一般式(1)~(20)で表される化合物を挙げるこ ができる。

 ここで、Rは、水素原子、炭素数1~20のアル ル基又は炭素数1~20のアルコキシ基を示す。R * 、R’及びR’’は、水素原子、フッ素原子、 素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のフルオ アルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基又は 素数1~20のフルオロアルコキシ基を示す。複 数あるR、R * 、R’及びR’’は、それぞれ同一でも異なっ いてもよい。中でも、R、R * 及びR’は、水素原子又は炭素数1~20のアルキ 基であることが好ましく、R’’は、フッ素 原子又は炭素数1~20のフルオロアルキル基で ることが好ましい。

 本発明の共役系化合物は、電気化学測定( サイクリックボルタンメトリー)法によって 定されるフェロセンを基準とした還元電位 -2.0V~+0.5Vであるものが好ましく、-1.8V~+0.2Vで ることがより好ましい。還元電位が上述の 値範囲を有することで、共役系化合物は電 注入に優れ、電子輸送性に優れるn型半導体 として十分に好適なものとなる。還元電位は 、以下に述べる方法によって測定することが できる。尚、測定に用いられる支持電解質、 溶剤及び電極については、以下に示す例示物 に限定されるわけではなく、同程度の測定が 可能なものであれば任意のものを用いること ができる。

 支持電解質として、例えば、過塩素酸テ ラブチルアンモニウム、テトラブチルアン ニウムヘキサフルオロフォスファートを0.1m ol/L程度含有する有機溶剤に、測定対象材料 0.1~2mM程度溶解させる。こうして得られた溶 を、乾燥窒素バブリング、減圧脱気、超音 照射などの手法により、酸素を除去した後 作用電極として例えば白金電極やグラッシ カーボン電極を用い、対電極として例えば 金電極を用い、掃引速度100mV/secにて電気的 性状態から電解還元する。電解還元時に検 される最初のピーク値の電位を、例えばフ ロセン等の基準物質の酸化還元電位と比較 ることにより、測定対象材料の酸化(又は還 元)電位を得る。こうして得られた酸化(又は 元)電位を、更にフェロセンを基準として換 算した値が、本発明における還元電位である 。

 次に、本発明の共役系化合物の製造方法に いて説明する。共役系化合物は、例えば、 記一般式(VIIa)、(VIIb)、(VIIIa)(VIIIb)、(IX)、(IX )、(X)、(X’)、(XIa)、(XIb)、(XIIa)及び(XIIb)(以 、「(VIIa)~(XIIb)」と略記する)で表される化 物を原料として、これらを反応させること より製造することができる。

 式(VIIa)~(XIIb)中、Ar、Ar’、Ar’’、Ar 1 、Ar 2 、Ar 3 、Ar 4 、Ar 5 、Ar 6 、Z 1 、Z 1 ’、Z 2 、R 0 、R 10 、R 1 、R 2 、m、n、p、q、r及びsは上記と同義である。W 1 及びW 2 は、それぞれ独立にハロゲン原子、アルキル スルホネート基、アリールスルホネート基、 アリールアルキルスルホネート基、ホウ酸エ ステル残基、スルホニウムメチル基、ホスホ ニウムメチル基、ホスホネートメチル基、モ ノハロゲン化メチル基、ホウ酸残基(-B(OH) 2 )、ホルミル基、トリアルキルスタニル基又 ビニル基を示す。ホウ酸エステル残基の具 例としては、ジメチルホウ酸、ジイソプロ ルホウ酸、1,3,2-ジオキサボロラン、4,4,5,5-テ トラエチル-1,3,2-ジオキサボロラン、1,3,2-ジ キサボロアンが挙げられる。

 一般式(VIIa)~(XIIb)で表される化合物の合成上 及び反応のし易さの観点から、W 1 及びW 2 は、それぞれ独立にハロゲン原子、アルキル スルホネート基、アリールスルホネート基、 アリールアルキルスルホネート基、ホウ酸エ ステル残基、ホウ酸残基又はトリアルキルス タニル基であることが好ましい。原料として 、一般式(IX)又は(X)で表される化合物を用い 場合、強い電子吸引性のため反応し難いと は、カルボニル基をアルキレンジオキシ基 した一般式(IX’)又は(X’)で表される化合物 中間体として用いて反応させ、反応後アル レンジオキシ基をカルボニル基に変換して よい。

 例えば、一般式(X’)で表される化合物と一 式(XIIb)で表される化合物とを反応させるこ により下記一般式(XIII)で表される化合物を 間体として製造し、反応後アルキレンジオ シ基をカルボニル基に変換することにより 記一般式(VI)の化合物が製造できる。

 式(XIII)中、Ar 4 、Ar 5 、Ar 6 、Z 2 、R 10 、q、r及びsは上記と同義である。

 上記共役系化合物を製造するための方法と ては、例えば、Suzukiカップリング反応を用 る方法、Grignard反応を用いる方法、Stille反 を用いる方法、Ni(0)触媒を用いる方法、FeCl 3 等の酸化剤を用いる方法、アニオンの酸化反 応を用いる方法、酢酸パラジウムと有機塩基 を用いる方法、α無置換又はハロゲン体から チオ体を調製して酸化カップリングする方 、電気化学的な酸化反応を用いる方法及び 当な脱離基を有する中間体化合物の分解に る方法を挙げることができる。

 これらのうち、Suzukiカップリング反応を いる方法、Grignard反応を用いる方法、Stille 応を用いる方法、Ni(0)触媒を用いる方法、ア ニオンの酸化反応を用いる方法、酢酸パラジ ウムと有機塩基を用いる方法が、構造制御が し易く、また、原料の入手し易さ及び反応操 作の簡便さから好ましい。

 Suzukiカップリング反応の場合は、触媒と て、例えば、テトラキス(トリフェニルホス フィン)パラジウム、パラジウムアセテート を用い、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、 酸化バリウム等の無機塩基、トリエチルア ン等の有機塩基、フッ化セシウム等の無機 をモノマーに対して当量以上、好ましくは1~ 10当量加えて反応させる。また、無機塩を水 液として、2相系で反応させてもよい。この 反応に用いる溶媒としては、N,N-ジメチルホ ムアミド、トルエン、ジメトキシエタン、 トラヒドロフランが例示される。反応温度 、使用する溶媒にもよるが50~160℃程度が好 しい。溶媒の沸点近くまで昇温し、還流さ てもよい。反応時間は1時間~200時間程度であ る。Suzukiカップリング反応については、例え ば、ケミカル・レビュー(Chem.Rev.),第95巻,2457 (1995年)に記載されている。

 Ni(0)触媒を用いる反応の場合、Ni(0)触媒と して、ゼロ価ニッケル錯体を使う方法と、ニ ッケル塩を還元剤の存在下で反応させ、系内 でゼロ価ニッケルを生成させる方法とがある 。ゼロ価ニッケル錯体としては、ビス(1,5-シ ロオクタジエン)ニッケル(0)、(エチレン)ビ (トリフェニルホスフィン)ニッケル(0)、テ ラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケルな どが例示され、中でも、ビス(1,5-シクロオク ジエン)ニッケル(0)が、汎用性で安価という 観点で好ましい。

 また、上記反応に中性配位子を添加する とが、収率向上の観点から好ましい。ここ 、中性配位子とは、アニオンやカチオンを していない配位子であり、2,2’-ビピリジル 、1,10-フェナントロリン、メチレンビスオキ ゾリン、N,N’-テトラメチルエチレンジアミ ン等の含窒素配位子;トリフェニルホスフィ 、トリトリルホスフィン、トリブチルホス ィン、トリフェノキシホスフィン等の第三 スフィン配位子などが例示される。この中 も、汎用性、安価の点で含窒素配位子が好 しく、2,2’-ビピリジルが高反応性、高収率 点で特に好ましい。特に、共役系化合物の 率向上の点から、ビス(1,5-シクロオクタジ ン)ニッケル(0)を含む系に、中性配位子とし 2,2’-ビピリジルを加えた系が好ましい。系 内でゼロ価ニッケルを生成させる方法におい ては、ニッケル塩として塩化ニッケル、酢酸 ニッケルを用いることができる。還元剤とし ては、亜鉛、水素化ナトリウム、ヒドラジン 及びその誘導体、リチウムアルミニウムハイ ドライドが挙げられる。また、必要に応じて 添加物として、ヨウ化アンモニウム、ヨウ化 リチウム、ヨウ化カリウム等を併用してもよ い。

 Stille反応の場合は、触媒として、例えば テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラ ウム、パラジウムアセテート類を用い、有 スズ化合物をモノマーとして反応させる。 の反応に用いる溶媒として、N,N-ジメチルホ ムアミド、トルエン、ジメトキシエタン、 トラヒドロフランを挙げることができる。 応温度は、使用する溶媒によるが、50~160℃ 度が好ましい。溶媒の沸点近くまで昇温し 還流させてもよい。反応時間は1時間~200時 程度である。

 アニオンの酸化反応を用いる方法の場合 、ハロゲン又は水素置換体をモノマーとし 、n-ブチルリチウムと反応させてリチオ体 調製し、臭化銅(II)、塩化銅(II)、アセチルア セトナト鉄(III)等の酸化剤で処理する。この 応に用いる溶媒としては、トルエン、ジメ キシエタン、テトラヒドロフラン、ヘキサ 、ヘプタン、オクタンが例示される。反応 度は、使用する溶媒にもよるが、50~160℃程 が好ましい。溶媒の沸点近くまで昇温し、 流させてもよい。反応時間は5分~200時間程 である。

 酢酸パラジウムと有機塩基を用いる方法 場合は、ハロゲン置換体をモノマーとして 酸パラジウム(II)及びジイソプロピルアミン 、トリエチルアミンなどの有機塩基を加えて 反応させる。この反応に用いる溶媒としては 、N,N-ジメチルホルムアミド、トルエン、ジ トキシエタン、テトラヒドロフランが例示 れる。反応温度は、使用する溶媒にもよる 、50~160℃程度が好ましい。溶媒の沸点近く で昇温し、還流させてもよい。反応時間は5 ~200時間程度である。

 本発明の共役系化合物を有機薄膜素子用 材料として用いる場合、その純度が素子特 に影響を与えるため、昇華精製、再結晶等 方法で純化処理をすることが好ましい。

 次に、本発明の有機薄膜について説明す 。本発明の有機薄膜は、上記共役系化合物 含むものである。

 有機薄膜は、上記共役系化合物の1種類を 単独で含むものであってもよく、また上記共 役系化合物の2種類以上を含むものであって よい。また、有機薄膜の電子輸送性又はホ ル輸送性を高めるため、上記共役系化合物 外に電子輸送性又はホール輸送性を有した 分子化合物又は高分子化合物(電子輸送性材 、ホール輸送性材料)を混合して用いること もできる。

 ホール輸送性材料としては、公知のもの 使用でき、例えば、ピラゾリン、アリール ミン、スチルベン、トリアリールジアミン オリゴチオフェン、ポリビニルカルバゾー 、ポリシラン、側鎖又は主鎖に芳香族アミ を有するポリシロキサン、ポリアニリン、 リチオフェン、ポリピロール、ポリアリー ンビニレン、ポリチエニレンビニレン、及 これらの誘導体が挙げられる。

 電子輸送性材料としては、公知のものが使 でき、例えば、オキサジアゾール、アント キノジメタン、ベンゾキノン、ナフトキノ 、アントラキノン、テトラシアノアンスラ ノジメタン、フルオレノン、ジフェニルジ アノエチレン、ジフェノキノン、8-ヒドロ シキノリンの金属錯体、ポリキノリン、ポ キノキサリン、ポリフルオレン、C 60 等のフラーレン類、及びこれらの誘導体が挙 げられる。

 また、本発明の有機薄膜は、有機薄膜中で 収した光により電荷を発生させるために、 荷発生材料を含んでいてもよい。電荷発生 料としては、公知のものが使用でき、例え 、アゾ化合物、ジアゾ化合物、無金属フタ シアニン化合物、金属フタロシアニン化合 、ペリレン化合物、多環キノン系化合物、 クアリリウム化合物、アズレニウム化合物 チアピリリウム化合物及びC 60 等のフラーレン類が挙げられる。

 さらに、本発明の有機薄膜は、種々の機 を発現させるために必要な材料を含んでい もよい。このような材料としては、例えば 吸収した光により電荷を発生させる機能を 感するためのため増感剤、安定性を増すた の安定化剤、UV光を吸収するためのUV吸収剤 が挙げられる。

 また、本発明の有機薄膜は、機械的特性 高めるため、上記化合物以外の高分子化合 材料を高分子バインダーとして含んでいて よい。高分子バインダーとしては、電子輸 性又はホール輸送性を極度に阻害しないも が好ましく、また可視光に対する吸収が強 ないものが好ましい。

 このような高分子バインダーとして、例 ば、ポリ(N-ビニルカルバゾール)、ポリアニ リン、ポリチオフェン、ポリ(p-フェニレンビ ニレン)、ポリ(2,5-チエニレンビニレン)、ポ カーボネート、ポリアクリレート、ポリメ ルアクリレート、ポリメチルメタクリレー 、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシ キサン、及びこれらの誘導体が挙げられる

 本発明の有機薄膜の製造方法は、特に限 されないが、例えば、上記共役系化合物、 要に応じて混合する電子輸送性材料又はホ ル輸送性材料、高分子バインダー及び溶媒 含む溶液からの成膜による方法を用いるこ ができる。また、共役系化合物が昇華性を する場合は、真空蒸着法により薄膜に形成 ることもできる。

 溶媒は、共役系化合物及び混合する電子 送性材料又はホール輸送性材料、高分子バ ンダーを溶解させるものであれば特に制限 ない。

 上記溶媒として、例えば、トルエン、キ レン、メシチレン、テトラリン、デカリン ビシクロヘキシル、n-ブチルベンゼン、sec- チルベンゼン、tert-ブチルベンゼン等の不 和炭化水素系溶媒、四塩化炭素、クロロホ ム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ク ロブタン、ブロモブタン、クロロペンタン ブロモペンタン、クロロヘキサン、ブロモ キサン、クロロシクロヘキサン、ブロモシ ロヘキサン等のハロゲン化飽和炭化水素系 媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、 リクロロベンゼン等のハロゲン化不飽和炭 水素系溶媒、テトラヒドロフラン、テトラ ドロピラン等のエーテル系溶媒を用いるこ ができる。本発明の共役系化合物は、化合 の構造や分子量にもよるが、これらの溶媒 通常0.1質量%以上溶解させることができる。

 成膜方法としては、スピンコート法、キ スティング法、マイクログラビアコート法 グラビアコート法、バーコート法、ロール ート法、ワイアーバーコート法、ディップ ート法、スプレーコート法、スクリーン印 法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、 ンクジェット印刷法、ディスペンサー印刷 、ノズルコート法及びキャピラリーコート 等の塗布法を用いることができる。中でも スピンコート法、フレキソ印刷法、インク ェット印刷法、ディスペンサー印刷法、ノ ルコート法及びキャピラリーコート法が好 しい。

 有機薄膜の膜厚は、1nm~100μmであることが 好ましく、2nm~1000nmであることがより好まし 、5nm~500nmであることがさらに好ましく、20nm~ 200nmであることが特に好ましい。

 本発明の有機薄膜を製造する工程には、 役系化合物を配向させる工程が含まれてい もよい。この工程により共役系化合物を配 させた有機薄膜は、主鎖分子又は側鎖分子 一方向に並ぶので、電子移動度又はホール 動度が向上する。

 共役系化合物を配向させる方法としては 液晶の配向手法として知られている方法を いることができる。中でもラビング法、光 向法、シェアリング法(ずり応力印加法)や き上げ塗布法が配向手法として簡便かつ有 で利用しやすく、ラビング法、シェアリン 法が好ましい。

 本発明の有機薄膜は、電子輸送性又はホ ル輸送性を有することから、電極から注入 れた電子又はホール、あるいは光吸収によ 発生した電荷を輸送制御することにより、 機薄膜トランジスタ、有機光電変換素子(有 機太陽電池、光センサ等)等の有機薄膜素子 用いることができる。本発明の有機薄膜を れらの有機薄膜素子に用いる場合は、配向 理により配向させて用いることがより電子 送性又はホール輸送性が向上するため好ま い。

 次に、本発明の有機薄膜の有機薄膜トラ ジスタへの応用について説明する。有機薄 トランジスタは、ソース電極及びドレイン 極、これらの間の電流経路となり本発明の 役系化合物を含む有機薄膜層(活性層)、電 経路を通る電流量を制御するゲート電極を えた構造であればよく、電界効果型、静電 導型などが例示される。

 電界効果型有機薄膜トランジスタは、ソ ス電極及びドレイン電極、これらの間の電 経路となり本発明の共役系化合物を含む有 薄膜層(活性層)、電流経路を通る電流量を 御するゲート電極、並びに、活性層とゲー 電極との間に配置される絶縁層を備えるこ が好ましい。特に、ソース電極及びドレイ 電極が、本発明の共役系化合物を含む有機 膜層(活性層)に接して設けられており、さら に有機薄膜層に接した絶縁層を挟んでゲート 電極が設けられていることが好ましい。

 静電誘導型有機薄膜トランジスタは、ソ ス電極及びドレイン電極、これらの間の電 経路となり本発明の共役系化合物を含有す 有機薄膜層、並びに電流経路を通る電流量 制御するゲート電極を有し、該ゲート電極 有機薄膜層中に設けられていることが好ま い。特に、ソース電極、ドレイン電極及び 機薄膜層中に設けられたゲート電極が、本 明の共役系化合物を含有する有機薄膜層に して設けられていることが好ましい。ゲー 電極の構造としては、ソース電極からドレ ン電極へ流れる電流経路が形成され、かつ ート電極に印加した電圧で電流経路を流れ 電流量が制御できる構造であればよく、例 ば、くし形電極が挙げられる。

 図1は、第1実施形態に係る有機薄膜トラ ジスタ(電界効果型有機薄膜トランジスタ)の 模式断面図である。図1に示す有機薄膜トラ ジスタ100は、基板1と、基板1上に所定の間隔 を持って形成されたソース電極5及びドレイ 電極6と、ソース電極5及びドレイン電極6を うようにして基板1上に形成された活性層2と 、活性層2上に形成された絶縁層3と、ソース 極5とドレイン電極6との間の絶縁層3の領域 覆うように絶縁層3上に形成されたゲート電 極4と、を備えるものである。

 図2は、第2実施形態に係る有機薄膜トラ ジスタ(電界効果型有機薄膜トランジスタ)の 模式断面図である。図2に示す有機薄膜トラ ジスタ110は、基板1と、基板1上に形成された ソース電極5と、ソース電極5を覆うようにし 基板1上に形成された活性層2と、ソース電 5と所定の間隔を持って活性層2上に形成され たドレイン電極6と、活性層2及びドレイン電 6上に形成された絶縁層3と、ソース電極5と レイン電極6との間の絶縁層3の領域を覆う うに絶縁層3上に形成されたゲート電極4と、 を備えるものである。

 図3は、第3実施形態に係る有機薄膜トラ ジスタ(電界効果型有機薄膜トランジスタ)の 模式断面図である。図3に示す有機薄膜トラ ジスタ120は、基板1と、基板1上に形成された 活性層2と、活性層2上に所定の間隔を持って 成されたソース電極5及びドレイン電極6と ソース電極5及びドレイン電極6を一部覆うよ うにして活性層2上に形成された絶縁層3と、 ース電極5が下部に形成されている絶縁層3 領域とドレイン電極6が下部に形成されてい 絶縁層3の領域とをそれぞれ一部覆うように 、絶縁層3上に形成されたゲート電極4と、を えるものである。

 図4は、第4実施形態に係る有機薄膜トラ ジスタ(電界効果型有機薄膜トランジスタ)の 模式断面図である。図4に示す有機薄膜トラ ジスタ130は、基板1と、基板1上に形成された ゲート電極4と、ゲート電極4を覆うようにし 基板1上に形成された絶縁層3と、ゲート電 4が下部に形成されている絶縁層3の領域を一 部覆うように絶縁層3上に所定の間隔を持っ 形成されたソース電極5及びドレイン電極6と 、ソース電極5及びドレイン電極6を一部覆う うに絶縁層3上に形成された活性層2と、を えるものである。

 図5は、第5実施形態に係る有機薄膜トラ ジスタ(電界効果型有機薄膜トランジスタ)の 模式断面図である。図5に示す有機薄膜トラ ジスタ140は、基板1と、基板1上に形成された ゲート電極4と、ゲート電極4を覆うようにし 基板1上に形成された絶縁層3と、ゲート電 4が下部に形成されている絶縁層3の領域を一 部覆うように絶縁層3上に形成されたソース 極5と、ソース電極5を一部覆うようにして絶 縁層3上に形成された活性層2と、ゲート電極4 が下部に形成されている活性層2の領域を一 覆うように、ソース電極5と所定の間隔を持 て絶縁層3上に形成されたドレイン電極6と を備えるものである。

 図6は、第6実施形態に係る有機薄膜トラ ジスタ(電界効果型有機薄膜トランジスタ)の 模式断面図である。図6に示す有機薄膜トラ ジスタ150は、基板1と、基板1上に形成された ゲート電極4と、ゲート電極4を覆うようにし 基板1上に形成された絶縁層3と、ゲート電 4が下部に形成されている絶縁層3の領域を覆 うように形成された活性層2と、ゲート電極4 下部に形成されている活性層2の領域を一部 覆うように絶縁層3上に形成されたソース電 5と、ゲート電極4が下部に形成されている活 性層2の領域を一部覆うように、ソース電極5 所定の間隔を持って絶縁層3上に形成された ドレイン電極6と、を備えるものである。

 図7は、第7実施形態に係る有機薄膜トラ ジスタ(静電誘導型有機薄膜トランジスタ)の 模式断面図である。図7に示す有機薄膜トラ ジスタ160は、基板1と、基板1上に形成された ソース電極5と、ソース電極5上に形成された 性層2と、活性層2上に所定の間隔を持って 数形成されたゲート電極4と、ゲート電極4の 全てを覆うようにして活性層2上に形成され 活性層2a(活性層2aを構成する材料は、活性層 2と同一でも異なっていてもよい)と、活性層2 a上に形成されたドレイン電極6と、を備える のである。

 第1~第7実施形態に係る有機薄膜トランジ タにおいては、活性層2及び/又は活性層2aは 、本発明の共役系化合物を含有しており、ソ ース電極5とドレイン電極6の間の電流通路(チ ャネル)となる。また、ゲート電極4は、電圧 印加することにより活性層2及び/又は活性 2aにおける電流通路(チャネル)を通る電流量 制御する。

 このような電界効果型有機薄膜トランジ タは、公知の方法、例えば、特開平5-110069 公報記載の方法により製造することができ 。また、静電誘導型有機薄膜トランジスタ 、公知の方法、例えば、特開2004-006476号公報 記載の方法により製造することができる。

 基板1の材質としては有機薄膜トランジス タとしての特性を阻害しなければ特に制限さ れない。基板1としては、ガラス基板、フレ シブルなフィルム基板及びプラスチック基 を用いることができる。

 活性層2を形成する際に、有機溶媒可溶性 の共役系化合物を用いることが製造上非常に 有利であり好ましいことから、上記で説明し た本発明の有機薄膜の製造方法を用いて、活 性層2となる有機薄膜を形成することができ 。

 活性層2に接した絶縁層3としては、電気の 縁性が高い材料で有れば特に制限はなく、 知のものを用いることができる。例えば、Si Ox、SiNx、Ta 2 O 5 、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリ ビニルフェノール、有機ガラス及びフォトレ ジストが挙げられる。低電圧化の観点から、 絶縁層3は、誘電率の高い材料であることが ましい。

 絶縁層3の上に活性層2を形成する場合は、 縁層3と活性層2の界面特性を改善するため、 シランカップリング剤等の表面処理剤で絶縁 層3の表面を処理して表面改質した後に活性 2を形成することも可能である。表面処理剤 しては、例えば、長鎖アルキルクロロシラ 類、長鎖アルキルアルコキシシラン類、フ 素化アルキルクロロシラン類、フッ素化ア キルアルコキシシラン類、ヘキサメチルジ ラザン等のシリルアミン化合物が挙げられ 。表面処理剤で処理する前に、絶縁層表面 オゾンUV、O 2 プラズマで処理しておくことも可能である。

 また、有機薄膜トランジスタを作製後、 子を保護するために有機薄膜トランジスタ に保護膜を形成することが好ましい。これ より、有機薄膜トランジスタが、大気から 断され、有機薄膜トランジスタの特性の低 を抑えることができる。また、保護膜によ 有機薄膜トランジスタの上に駆動する表示 バイスを形成する工程からの影響を低減す ことができる。

 保護膜を形成する方法としては、例えば UV硬化樹脂、熱硬化樹脂又は無機のSiONx膜で カバーする方法が挙げられる。大気との遮断 を効果的に行うため、有機薄膜トランジスタ を作製後、保護膜を形成するまでの工程を大 気に曝すことなく(例えば、乾燥した窒素雰 気中、真空中)行うことが好ましい。

 次に、本発明の有機薄膜の光電変換素子 の応用について説明する。光電変換素子の 表的なものとしては、太陽電池や光センサ ある。図8は、実施形態に係る太陽電池の模 式断面図である。図8に示す太陽電池200は、 板1と、基板1上に形成された第1の電極7aと、 第1の電極7a上に形成された本発明の共役系化 合物を含有する有機薄膜からなる活性層2と 活性層2上に形成された第2の電極7bと、を備 るものである。

 太陽電池200においては、第1の電極7a及び 2の電極7bの一方に透明又は半透明の電極を いる。電極材料としては、アルミニウム、 、銀、銅、アルカリ金属、アルカリ土類金 等の金属又はそれらの半透明膜、透明導電 を用いることができる。高い開放電圧を得 ためには、それぞれの電極として、仕事関 の差が大きくなるように選ばれることが好 しい。活性層2(有機薄膜)中には光感度を高 るために電荷発生剤、増感剤等を添加して いることができる。基材1としては、シリコ ン基板、ガラス基板、プラスチック基板等を 用いることができる。

 図9は、第1実施形態に係る光センサの模 断面図である。図9に示す光センサ300は、基 1と、基板1上に形成された第1の電極7aと、 1の電極7a上に形成された本発明の共役系化 物を含有する有機薄膜からなる活性層2と、 性層2上に形成された電荷発生層8と、電荷 生層8上に形成された第2の電極7bと、を備え ものである。

 図10は、第2実施形態に係る光センサの模 断面図である。図10に示す光センサ310は、 板1と、基板1上に形成された第1の電極7aと、 第1の電極7a上に形成された電荷発生層8と、 荷発生層8上に形成された本発明の共役系化 物を含有する有機薄膜からなる活性層2と、 活性層2上に形成された第2の電極7bと、を備 るものである。

 図11は、第3実施形態に係る光センサの模 断面図である。図11に示す光センサ320は、 板1と、基板1上に形成された第1の電極7aと、 第1の電極7a上に形成された本発明の共役系化 合物を含有する有機薄膜からなる活性層2と 活性層2上に形成された第2の電極7bと、を備 るものである。

 第1~第3実施形態に係る光センサにおいて 、第1の電極7a及び第2の電極7bの一方に透明 は半透明の電極を用いる。電荷発生層8は光 を吸収して電荷を発生する層である。電極材 料としては、アルミニウム、金、銀、銅、ア ルカリ金属、アルカリ土類金属等の金属又は それらの半透明膜、透明導電膜を用いること ができる。活性層2(有機薄膜)中には光感度を 高めるためにキャリア発生剤、増感剤等を添 加して用いることができる。また基材1とし は、シリコン基板、ガラス基板、プラスチ ク基板等を用いることができる。

 以上、本発明をその実施形態に基づいて 細に説明した。しかし、本発明は上記実施 態に限定されるものではない。本発明は、 の要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可 である。

 次に、第二の発明群について詳細に説明 る。

 本発明の含窒素縮合環化合物は、上記一 式(α-I)で表される構造を有している。

 上記一般式(α-I)において、R 21 及びR 22 は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子又は 置換基で置換されていてもよい1価の基を示 、Z 21 及びZ 22 は各々独立に、上記式(α-i)~(α-ix)で表される のいずれかを示す。また、R 23 、R 24 、R 25 及びR 26 は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子又は 1価の基を示し、R 23 とR 24 とは互いに結合して環を形成していてもよい 。更に、上記式(α-viii)で表される基は左右反 転していてもよい。製造の容易さの観点から 、Z 21 及びZ 22 は同じ構造であることが好ましい。

 また、上記一般式(α-I)で表される本発明の 窒素縮合環化合物は、下記一般式(α-I-I)で されるものであることが好ましい。

 上記一般式(α-I-I)中、Z 21 、Z 22 及びZ 1’ はそれぞれ独立に、上記式(α-i)~(α-ix)で表さ る基のいずれかを示す。また、R 1 及びR 2 は上記一般式(I)中のR 1 及びR 2 と同義であり、それぞれ独立に水素原子、ハ ロゲン原子又は1価の基を示す。なお、ハロ ン原子及び1価の基の具体例としては、上記 般式(I)中のR 1 及びR 2 と同様のものが挙げられる。また、R 0 は上記一般式(III)中のR 0 と同義であり、水素原子、炭素数1~20のアル ル基又は炭素数1~20のアルコキシ基を示す。 数存在するR 0 は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。 なお、炭素数1~20のアルキル基及び炭素数1~20 アルコキシ基の具体例としては、上記一般 (III)中のR 0 と同様のものが挙げられる。

 また、本発明の含窒素縮合環化合物におい 、上記一般式(α-I)中のR 21 及びR 22 の少なくとも一方が、下記一般式(IV)で表さ る基であることが好ましく、R 21 及びR 22 の両方が、下記一般式(IV)で表される基であ ことがより好ましい。

 上記一般式(IV)で表される基は、第一発明群 において先に説明した一般式(IV)で表される と同義の基であり、R 10 は水素原子、フッ素原子、炭素数1~20のアル ル基、炭素数1~20のフルオロアルキル基、炭 数1~20のアルコキシ基又は炭素数1~20のフル ロアルコキシ基を示し、Z 2 は、下記式(xi)~(xix)で表される基のいずれか 示し、R 13 、R 14 、R 15 及びR 16 はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子 又は1価の基を示し、R 13 とR 14 とは互いに結合して環を形成していてもよい 。なお、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20 フルオロアルキル基、炭素数1~20のアルコキ シ基及び炭素数1~20のフルオロアルコキシ基 具体例は、第一発明群において先に説明し ものと同様のものが挙げられる。

 また、本発明の含窒素縮合環重合体は、 記一般式(α-II)で表される繰り返し単位を有 している。すなわち、本発明の含窒素縮合環 重合体は、上記一般式(α-II)で表される繰り し単位を1以上、好ましくは2以上有しており 、他の繰り返し単位を有するものであっても よい。

 上記一般式(α-II)において、Z 21 及びZ 22 は各々独立に、上記式(α-i)~(α-ix)で表される のいずれかを示す。R 23 、R 24 、R 25 及びR 26 は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子又は 1価の基を示し、R 23 とR 24 とは互いに結合して環を形成していてもよい 。なお、上記式(α-viii)で表される基は左右反 転していてもよい。このような繰り返し単位 を有することで、電子輸送性に特に優れた有 機n型半導体として利用可能となる。

 本発明の含窒素縮合環重合体は、上記一般 (α-II)で表される繰り返し単位の少なくとも 1つと、上記一般式(α-II)で表される繰り返し 位とは異なる下記一般式(α-III)で表される り返し単位の少なくとも1つとを有すること 好ましい。上記一般式(α-II)で表される繰り 返し単位の少なくとも1つと、下記一般式(α-I V)で表される繰り返し単位の少なくとも一つ を有することが更に好ましい。このような 成にすることにより、溶解性、機械的、熱 又は電子的特性を変化させ得る範囲が広く る。なお、下記一般式(α-III)中、Ar 21 は、2価の芳香族炭化水素基又は2価の複素環 (これらの基は置換基で置換されていてもよ い)を示す。一般式(α-II)で表される繰り返し 位と、一般式(α-III)で表される繰り返し単 (好ましくは下記一般式(α-IV)で表される繰り 返し単位)との比率は、好ましくは、前者100 ルに対して後者10~1000モルであり、より好ま くは、前者100モルに対して後者25~400モルで り、さらに好ましくは、前者100モルに対し 後者50~200モルである。

 この場合において、Ar 21 は、下記一般式(α-IV)で表される繰り返し単 であると好適である。式中、Z 23 は、Z 21 又はZ 22 と同一又は異なり、上記式(α-i)~(α-ix)で表さ る基のいずれかである。また、R 27 及びR 28 は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子又は 1価の基を示し、R 27 とR 28 とは互いに結合して環を形成していてもよい 。但し、R 23 、R 24 、R 25 及びR 26 は、上記と同義である。

 Ar 21 で表される2価の芳香族炭化水素基とは、ベ ゼン環又は縮合環から水素原子2個を除いた りの原子団をいい、通常、炭素数6~60、好ま しくは6~20である。縮合環としては、例えば ナフタレン環、アントラセン環、テトラセ 環、ペンタセン環、ピレン環、ペリレン環 フルオレン環が挙げられる。2価の芳香族炭 水素基としては、ベンゼン環、ペンタセン 、ピレン環又はフルオレン環から水素原子2 個を除いた残りの原子団が好ましい。なお、 2価の芳香族炭化水素基上に置換基を有して てもよい。ここで、2価の芳香族炭化水素基 炭素数には、置換基の炭素数は含まれない なお、置換基としては、ハロゲン原子、飽 若しくは不飽和炭化水素基、アリール基、 ルコキシ基、アリールオキシ基、1価の複素 環基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基が挙げ られる。

 また、Ar 21 で表される2価の複素環基とは、複素環式化 物から水素原子2個を除いた残りの原子団を い、炭素数は、通常3~60、好ましくは3~20で る。2価の複素環基としては、例えば、チオ ェン、チエノチオフェン、ジチエノチオフ ン、チアゾール、ピロール、ピリジン、ピ ミジンから水素原子2個を除いた残りの原子 団が挙げられ、好ましくは、チオフェン、チ エノチオフェン、チアゾールから水素原子2 を除いた残りの原子団である。なお、2価の 素環基上に置換基を有していてもよく、2価 の複素環基の炭素数には、置換基の炭素数は 含まれない。なお、置換基としては、ハロゲ ン原子、飽和若しくは不飽和炭化水素基、ア リール基、アルコキシ基、アリールオキシ基 、1価の複素環基、アミノ基、ニトロ基、シ ノ基が挙げられる。

 ここで、複素環式化合物とは、環式構造 もつ有機化合物のうち、環を構成する元素 炭素原子だけでなく、酸素、硫黄、窒素、 ン、ホウ素、ケイ素等のヘテロ原子を環内 含むものをいう。

 一般式(α-I)中のZ 21 及びZ 22 としては、例えば、上記式(α-i)、(α-ii)、(α-i ii)、(α-vii)、(α-viii)、(α-ix)のいずれかで表さ れる基が好ましく、式(α-ii)、(α-vii)のいずれ かで表される基がより好ましく、式(α-ii)で される基が特に好ましい。一般式(α-IV)中のZ 23 としては、例えば、上記式(α-i)、(α-ii)、(α-i ii)、(α-vii)、(α-viii)、(α-ix)のいずれかで表さ れる基が好ましく、式(α-ii)、(α-iii)、(α-vii) (α-ix)のいずれかで表される基がより好まし く、式(α-ii)で表される基が特に好ましい。 アゾール環、オキサゾール環及びイミダゾ ル環、特にチアゾール環は、特徴的な電気 性質を示し、種々の電気的特性が発揮され 。

 式(α-vii)、(α-viii)及び(α-ix)、並びに、一般 (α-I)、(α-II)及び(α-IV)中、R 21 ~R 28 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原 子又は1価の基を表し、R 23 とR 24 との間、及び、R 27 とR 28 との間に環を形成していてもよい。

 R 21 ~R 28 で表される1価の基としては、直鎖状若しく 分岐状の低分子鎖、1価の環状基(この環状基 は、単環でも縮合環でも、炭化水素環でも複 素環でも、飽和でも不飽和でもよく、置換基 を有していてもいなくてもよい)が好ましい 1価の基は電子供与基であっても電子吸引基 あってもよい。

 また、R 21 ~R 28 で表される1価の基としては、直鎖状若しく 分岐状の低分子鎖(炭素数が1~20のものをいう )、環構成原子数が3~60である1価の環状基(こ 環状基は、単環でも縮合環でも、炭化水素 でも複素環でも、飽和でも不飽和でもよく 置換基を有していてもいなくてもよい)、飽 若しくは不飽和炭化水素基、ヒドロキシ基 アルコキシ基、アルカノイルオキシ基、ア ノ基、オキシアミノ基、アルキルアミノ基 ジアルキルアミノ基、アルカノイルアミノ 、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、1個以上 のハロゲン原子で置換されたアルキル基、ア ルコキシスルホニル基(ただし、そのアルコ シ基における水素原子の一部又は全部は1個 上のハロゲン原子で置換されてもよい。)、 アルキルスルホニル基(ただし、そのアルキ 基における水素原子の一部又は全部は1個以 のハロゲン原子で置換されてもよい。)、ス ルファモイル基、アルキルスルファモイル基 、カルボキシル基、カルバモイル基、アルキ ルカルバモイル基、アルカノイル基(そのア カノイル基における水素原子の一部又は全 は1個以上のハロゲン原子で置換されてもよ 。)、又はアルコキシカルボニル基であるこ とがより好ましい。環構成原子数が3~60であ 1価の環状基としては、例えば、下記式で示 れる基が挙げられる。

 なお、本明細書においてハロゲン原子と ては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及 ヨウ素原子が挙げられる。

 また、アルキル基としては、例えば、メ ル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロ ル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチ 基及びtert-ブチル基等が挙げられ、アルキル 基をその構造中に含む基(例えば、アルコキ 基、アルキルアミノ基、アルコキシカルボ ル基等)についても同様である。アルキル基 しては、炭素数1~12のアルキル基がより好ま しく、炭素数1~10のアルキル基がさらに好ま い。

 不飽和炭化水素基としては、例えば、ビ ル基、1-プロペニル基、アリル基、プロパ ギル基、イソプロペニル基、1-ブテニル基及 び2-ブテニル基等が挙げられる。好ましい不 和炭化水素基としては、ビニル基が挙げら る。

 アルカノイル基としては、例えば、ホル ル基、アセチル基、プロピオニル基、イソ チリル基、バレリル基及びイソバレリル基 が挙げられ、アルカノイル基をその構造中 含む基(アルカノイルオキシ基、アルカノイ ルアミノ基等)についても同様である。また 炭素数1のアルカノイル基とはホルミル基を すものとし、アルカノイル基をその構造中 含む基についても同様とする。好ましいア カノイル基としては、ホルミル基、アセチ 基が挙げられる。

 一般式(α-I)、(α-II)、(α-IV)で引用する式(α-v ii)中の、R 23 及びR 24 としては、水素原子、フッ素原子、アルキル 基又はアルコキシ基が好ましく、各々独立に 水素原子またはフッ素原子がより好ましい。

 上記一般式(α-I)中のR 21 及びR 22 としては、少なくとも一つは置換基を含めた 基の一つ以上の水素原子がフッ素原子で置換 されていることが好ましく、少なくとも一つ はカルボニル構造を有していることが好まし い。さらに好ましくは、R 21 及びR 22 として、カルボニル構造を有し、かつ一つ以 上の水素原子がフッ素原子で置換された基を 有していることである。このような基を有す ることで、LUMOレベルの低下及び有機溶剤に する溶解度が向上する。電子輸送性を高め という観点からは、R 21 及びR 22 のうち少なくとも一つは、フルオロアルキル 基、フルオロアルコキシ基、フルオロアリー ル基、α-フルオロケトン構造を有した基、フ ルオロアルキル基で置換されたアリール基、 フルオロアルコキシ基で置換されたアリール 基、α-フルオロケトン構造を有した基で置換 されたアリール基、フルオロアルキル基で置 換された1価の複素環基、フルオロアルコキ 基で置換された1価の複素環基またはα-フル ロケトン構造を有した基で置換された1価の 複素環基がより好ましく、R 21 及びR 22 の両方がフルオロアルキル基、フルオロアル コキシ基、フルオロアリール基、α-フルオロ ケトン構造を有した基、フルオロアルキル基 で置換されたアリール基、フルオロアルコキ シ基で置換されたアリール基、フルオロアル キル基で置換された1価の複素環基、フルオ アルコキシ基で置換された1価の複素環基ま はα-フルオロケトン構造を有した基で置換 れた1価の複素環基であることが特に好まし い。

 本発明の含窒素縮合環重合体は、上記一 式(α-II)で表される繰り返し単位を含んでい ればよく、一般式(α-II)で表される繰り返し 位を2種類以上含んでいてもよい。また、一 式(α-II)で表される繰り返し単位に加えて、 上記一般式(α-III)で表される単位を含んでい もよく、一般式(α-III)で表される単位を2種 以上含んでいてもよい。

 本発明の含窒素縮合環重合体は、上記一 式(α-II)で表される繰り返し単位と、上記一 般式(α-III)で表される繰り返し単位(好ましく は上記一般式(α-IV)で表される繰り返し単位) が隣り合う構造を有することが好ましい。 般式(α-II)で表される繰り返し単位と、上記 一般式(α-III)で表される繰り返し単位(好まし くは上記一般式(α-IV)で表される繰り返し単 )とが隣り合う場合、隣接する芳香環又は複 環同士の二面角を小さくすることができ、 子内の平面性が向上しやすく、分子内での 共役が広くなり、また、LUMOレベルも低くな ことから、電子輸送性が向上する。ここで 二面角とは、一般式(α-II)で表される繰り返 し単位に含まれている複素環を含む平面と、 その隣に結合した芳香環又は複素環を含む平 面とのなす角度のうち、0度以上90度以下の角 度で定義される。上記一般式(α-II)で表され 繰り返し単位と、上記一般式(α-III)で表され る繰り返し単位(好ましくは上記一般式(α-IV) 表される繰り返し単位)とが隣り合う場合、 二面角は通常0~45度、典型的には0~40度、より 型的には0~30度である。

 図12は、一般式(α-II)で表される繰り返し単 の環と一般式(α-IV)で表される繰り返し単位 の環とがなす二面角を表す図である。二面角 は図12において、N-C 1 -C 4 で形成される面と、C 1 -C 4 -C 5 で形成される面とがなす角を意味する。

 また、本発明の含窒素縮合環重合体は、電 輸送性を高めるという観点から、下記一般 (α-V)又は(α-VI)で表されるものが好ましい。

 ここで、Z 21 、Z 22 及びAr 21 は、上記と同義である。なお、複数存在する 場合には、Z 21 、Z 22 及びAr 21 は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。 k2は1~10の整数を表し、1~6の整数が好ましく、 1~3の整数がより好ましい。m2は2~500の整数を し、2~100の整数が好ましく、3~20の整数がよ 好ましい。n2は1~500の整数を表し、1~100の整 が好ましく、2~20の整数がより好ましい。こ らの中で、Z 21 及びZ 22 がすべて式(α-ii)であるものが特に好ましい

 また、含窒素縮合環重合体の末端基として 合活性基を有している場合、それらは含窒 縮合環重合体の前駆体として用いることも きる。その場合、含窒素縮合環重合体は分 内に2つの重合活性基を有していることが好 ましい。重合活性基としては、ハロゲン原子 、アルキルスルホネート基、アリールスルホ ネート基、アリールアルキルスルホネート基 、アルキルスタニル基、アリールスタニル基 、アリールアルキルスタニル基、ホウ酸エス テル残基、スルホニウムメチル基、ホスホニ ウムメチル基、ホスホネートメチル基、モノ ハロゲン化メチル基、ホウ酸残基(-B(OH) 2 )、ホルミル基、又はビニル基が例示され、 ロゲン原子、アルキルスタニル基、ホウ酸 ステル残基が好ましい。ホウ酸エステル残 としては、例えば、下記式で示される基が げられる。

 また、本発明の含窒素縮合環重合体を有 薄膜として用いる場合、末端基に重合活性 がそのまま残っていると、素子にしたとき 特性や耐久性が低下する可能性があるため 安定な基で保護するようにしてもよい。

 末端基としては、水素原子、フッ素原子 アルキル基、アルコキシ基、アシル基、ア ノケト基、アリール基、複素環基(これらの 基に結合している水素原子の一部又は全部は フッ素原子と置換されていてもよい)、α-フ オロケトン構造を有した基及び電子供与基 は電子吸引基が挙げられ、電子輸送性を高 るという観点からフルオロアルキル基、フ オロアルコキシ基、フルオロアリール基、α -フルオロケトン構造を有した基又は電子吸 基が好ましく、水素原子がすべてフッ素原 で置換された基、例えばパーフルオロアル ル基、パーフルオロアルコキシ基、パーフ オロフェニル基がより好ましい。また、主 の共役構造と連続した共役結合を有してい ものも好ましく、例えば、炭素-炭素結合を してアリール基又は複素環基と結合してい 構造が挙げられる。

 本発明の含窒素縮合環重合体の中で、特に ましいのは、例えば、下記一般式(α-1)~(α-5) で表されるものである。

 ここで、R 29 及びR 30 は末端基を表し、同一でも異なっていてもよ く、上述した末端基が例示され、フルオロア ルキル基、α-フルオロケトン構造を有した基 が好ましく、パーフルオロアルキル基、α-フ ルオロケトン構造を有した基がより好ましい 。R 31 、R 32 、R 33 及びR 34 はそれぞれ独立に、水素原子又は任意の置換 基を示し、アルキル基、アルコキシ基又はア リール基が好ましく、アルキル基がさらに好 ましい。含窒素縮合環重合体中にR 31 、R 32 、R 33 及びR 34 が複数存在する場合、それらは同一であって も異なっていてもよい。なお、製造の容易さ からは、複数存在するR 31 、R 32 、R 33 及びR 34 はそれぞれ同一であることが好ましい。q2は 含窒素縮合環重合体を用いた有機薄膜の形 方法に応じて適宜選ぶことができる。含窒 縮合環重合体が昇華性を有していれば真空 着法等の気相成長法を用いて有機薄膜にす ことができ、この場合、q2は1~10の整数が好 しく、2~10の整数がより好ましく、2~5の整数 がさらに好ましい。一方、含窒素縮合環重合 体を有機溶剤に溶解した溶液を塗布する方法 を用いて有機薄膜にする場合、q2は3~500の整 が好ましく、6~300の整数がより好ましく、20~ 200の整数がさらに好ましい。塗布で成膜した ときの膜の均一性の観点から含窒素縮合環重 合体のポリスチレン換算の数平均分子量は、 1×10 3 ~1×10 7 が好ましく、1×10 4 ~1×10 6 がより好ましい。

 本発明の含窒素縮合環化合物及び含窒素縮 環重合体の具体例としては、以下のものが げられる。
(式中、n2は重合度を表す。)

 本発明の含窒素縮合環化合物又は含窒素 合環重合体は、どのような方法により製造 てもよいが、以下に説明する製造方法によ 製造することが好ましい。

 まず、本発明の含窒素縮合環化合物の製造 法について説明する。上記一般式(α-I)で表 れる含窒素縮合環化合物(α-d)は、一例とし 下記スキームにより下記一般式(α-a)又は(α- a’)で表される出発原料を用い、前駆体(α-b) 製造し、この前駆体(α-b)をカルボニル架橋 と反応させる工程により製造することが可 である。さらに、化合物(α-f)を経由する工 を含む製造方法により、種々の置換基が導 できる。そして、最後に化合物(α-j)の保護 を外してカルボニル化合物とすればよい。

 ここで、Z 21 、Z 22 は上記と同義であり、R 20 は上記R 21 と同義であり、複数あるR 20 は同一でも異なっていてもよい。V 20 、V 20 ’およびV 20 ”は反応活性基を表し、それぞれ同一でも異 なっていてもよく、ハロゲン原子、アルキル スルホネート基、アリールスルホネート基、 アリールアルキルスルホネート基、アルキル スタニル基、アリールスタニル基、アリール アルキルスタニル基、ホウ酸エステル残基、 スルホニウムメチル基、ホスホニウムメチル 基、ホスホネートメチル基、モノハロゲン化 メチル基、ホウ酸残基、ホルミル基、又はビ ニル基を示す。

 合成上の反応のしやすさの観点から、V 20 、V 20 ’およびV 20 ”はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキ ルスルホネート基、アリールスルホネート基 、アリールアルキルスルホネート基、アルキ ルスタニル基、ホウ酸エステル残基又はホウ 酸残基であることが好ましい。

 X 20 、X 20 ’はハロゲン原子を表し、Y 20 、Y 20 ’、Y 20 ”は、それぞれ独立に脱離基を表し、アミノ 基、アルコキシ基などが例示される。

 上記反応工程において、必要に応じて反 性の高い官能基を保護するため、その後の 応に於いて不活性な官能基(保護基)に変換 ておく工程及び、目的の反応終了後に保護 を外す工程を含んでいてもよい。保護基は 護する官能基、用いる反応に応じて適宜選 することができ、例えば、活性水素の保護 はトリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル (TES)、tert-ブチルジメチルシリル(TBS又はTBDMS) トリイソプロピルシリル(TIPS)、tert-ブチル フェニルシリル(TBDPS)などを用いることが好 しい。

 上記反応工程において、必要に応じて溶 を適宜用いてもよい。用いられる溶媒とし は、なるべく目的の反応を阻害しないもの あることが好ましく、例えば、ヘキサン等 脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン等の 香族炭化水素、アセトニトリル等のニトリ 、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン 1,2-ジメトキシエタン等のエーテル、ジクロ ロメタン、1,2-ジクロロエタン、四塩化炭素 のハロゲン化溶媒等が挙げられる。これら 、単独で用いてもよいし2種類以上併用して よい。好適な溶媒としては、例えばジクロ メタンが挙げられる。

 本発明の含窒素縮合環化合物を有機薄膜 子用の材料として用いる場合、その純度が 子特性に影響を与えるため、製造した化合 を蒸留、昇華精製、再結晶等の方法で純化 理することが好ましい。

 上記製造方法における反応条件、反応試 等は、上記の例示以外にも適宜選択可能で る。また、上記一般式(α-I)で表される本発 の含窒素縮合環化合物は、上述の通り、上 製造方法により製造することが好ましいが これに限定されず、どのような方法により 造してもよい。

 次に、本発明の含窒素縮合環重合体の製造 法について説明する。本発明の含窒素縮合 重合体は、例えば、下記一般式(α-VII)~(α-IX) で表される化合物を原料として、これらを反 応させることにより製造することができる。

 上記一般式(α-VII)~(α-IX)中、Z 21 、Z 22 、Z 23 、R 27 及びR 28 は、上記と同義である。W 21 及びW 22 はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル スルホネート基、アリールスルホネート基、 アリールアルキルスルホネート基、アルキル スタニル基、アリールスタニル基、アリール アルキルスタニル基、ホウ酸エステル残基、 スルホニウムメチル基、ホスホニウムメチル 基、ホスホネートメチル基、モノハロゲン化 メチル基、ホウ酸残基、ホルミル基、又はビ ニル基を示す。

 一般式(α-VII)~(α-IX)で表される化合物の合成 上の反応のしやすさの観点から、W 21 及びW 22 はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル スルホネート基、アリールスルホネート基、 アリールアルキルスルホネート基、アルキル スタニル基、ホウ酸エステル残基又はホウ酸 残基であることが好ましい。

 また、本発明の含窒素縮合環重合体の製造 用いる反応方法としては、例えば、Wittig反 を用いる方法、Heck反応を用いる方法、Horner -Wadsworth-Emmons反応を用いる方法、Knoevenagel反 を用いる方法、Suzukiカップリング反応を用 る方法、Grignard反応を用いる方法、Stille反応 を用いる方法、Ni(0)触媒を用いる方法、FeCl 3 等の酸化剤を用いる方法、電気化学的な酸化 反応を用いる方法、あるいは適当な脱離基を 有する中間体化合物の分解による方法等が例 示される。

 これらのうち、Wittig反応を用いる方法、H eck反応を用いる方法、Horner-Wadsworth-Emmons反応 用いる方法、Knoevenagel反応を用いる方法、Su zukiカップリング反応を用いる方法、Grignard反 応を用いる方法、Stille反応を用いる方法、及 びNi(0)触媒を用いる方法が、構造制御のしや さから好ましい。さらに、Suzukiカップリン 反応を用いる方法、Grignard反応を用いる方 、Stille反応を用いる方法、Ni(0)触媒を用いる 方法が、原料の入手しやすさと反応操作の簡 便さから好ましい。

 モノマー(上記一般式(α-VII)~(α-IX)で表さ る化合物)は、必要に応じ、有機溶媒に溶解 、例えばアルカリや適当な触媒を用い、有 溶媒の融点以上沸点以下で、反応させるこ ができる。

 有機溶媒としては、用いる化合物や反応 よっても異なるが、一般に副反応を抑制す ために、用いる溶媒は十分に脱酸素処理を し、不活性雰囲気下で反応を進行させるこ が好ましい。また、同様に、脱水処理を行 ことが好ましい(但し、Suzukiカップリング反 応のような水との2相系での反応の場合には の限りではない)。

 反応させるために、適宜アルカリや適当 触媒を添加する。これらは用いる反応に応 て選択すればよい。このアルカリ又は触媒 、反応に用いる溶媒に十分に溶解するもの 好ましい。

 本発明の含窒素縮合環重合体を有機薄膜 子用の材料として用いる場合、その純度が 子特性に影響を与えるため、反応前のモノ ーを蒸留、昇華精製、再結晶等の方法で精 したのちに重合することが好ましい。また 窒素縮合環重合体を合成後、再沈精製、ク マトグラフィーによる分別等の純化処理を ることが好ましい。

 反応に用いられる溶媒としては、ペンタ 、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロ キサン等の飽和炭化水素、ベンゼン、トル ン、エチルベンゼン、キシレン等の不飽和 化水素、四塩化炭素、クロロホルム、ジク ロメタン、クロロブタン、ブロモブタン、 ロロペンタン、ブロモペンタン、クロロヘ サン、ブロモヘキサン、クロロシクロヘキ ン、ブロモシクロヘキサン等のハロゲン化 和炭化水素、クロロベンゼン、ジクロロベ ゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化 飽和炭化水素、メタノール、エタノール、 ロパノール、イソプロパノール、ブタノー 、t-ブチルアルコール等のアルコール類、 酸、酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸類 ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メ ル-t-ブチルエーテル、テトラヒドロフラン テトラヒドロピラン、ジオキサン等のエー ル類、塩酸、臭素酸、フッ化水素酸、硫酸 硝酸等の無機酸等が挙げられる。上記溶媒 1種を単独で用いても2種以上を併用してもよ い。

 反応後は、例えば水でクエンチした後に 機溶媒で抽出し、溶媒を留去する等の通常 後処理で得ることができる。生成物の単離 及び精製は、クロマトグラフィーによる分 や再結晶等の方法により行うことができる

 次に本発明の有機薄膜について説明する 本発明の有機薄膜は、本発明の含窒素縮合 化合物及び/又は含窒素縮合環重合体(以下 れらをあわせて「本発明の含窒素化合物」 いう)を含むものである。

 有機薄膜の膜厚としては、通常1nm~100μm程 度であり、好ましくは2nm~1000nmであり、さら 好ましくは5nm~500nmであり、特に好ましくは20 nm~200nmである。

 有機薄膜は、本発明の含窒素化合物の1種 類を単独で含むものであってもよく、また本 発明の含窒素化合物の2種類以上を含むもの あってもよい。また、有機薄膜の電子輸送 又はホール輸送性を高めるため、本発明の 窒素化合物以外に電子輸送性又はホール輸 性を有した低分子化合物又は高分子化合物 混合して用いることもできる。

 ホール輸送性材料としては、公知のものが 用でき、例えばピラゾリン誘導体、アリー アミン誘導体、スチルベン誘導体、トリア ールジアミン誘導体、オリゴチオフェン及 その誘導体、ポリビニルカルバゾール及び の誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側 若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリ ロキサン誘導体、ポリアニリン及びその誘 体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリ ロール及びその誘導体、ポリアリーレンビ レン及びその誘導体、ポリチエニレンビニ ン及びその誘導体等が挙げられ、電子輸送 材料としては公知のものが使用でき、例え オキサジアゾール誘導体、アントラキノジ タン及びその誘導体、ベンゾキノン及びそ 誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、ア トラキノン及びその誘導体、テトラシアノ ンスラキノジメタン及びその誘導体、フル レノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレ 及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、 は8-ヒドロキシキノリン及びその誘導体の 属錯体、ポリキノリン及びその誘導体、ポ キノキサリン及びその誘導体、ポリフルオ ン及びその誘導体、C 60 等のフラーレン類及びその誘導体等が挙げら れる。

 また、本発明の有機薄膜は、有機薄膜中で 収した光により電荷を発生させるために、 荷発生材料を含んでいてもよい。電荷発生 料としては公知のものが使用でき、アゾ化 物及びその誘導体、ジアゾ化合物及びその 導体、無金属フタロシアニン化合物及びそ 誘導体、金属フタロシアニン化合物及びそ 誘導体、ペリレン化合物及びその誘導体、 環キノン系化合物及びその誘導体、スクア リウム化合物及びその誘導体、アズレニウ 化合物及びその誘導体、チアピリリウム化 物及びその誘導体、C 60 等のフラーレン類及びその誘導体が例示され る。

 さらに、本発明の有機薄膜は、種々の機 を発現させるために必要な材料を含んでい もよい。例えば、吸収した光により電荷を 生させる機能を増感するためのため増感剤 安定性を増すための安定化剤、UV光を吸収 るためのUV吸収剤等が挙げられる。

 また、本発明の有機薄膜は、機械的特性 高めるため、本発明の含窒素化合物以外の 分子化合物材料を高分子バインダーとして んでいてもよい。高分子バインダーとして 、電子輸送性又はホール輸送性を極度に阻 しないものが好ましく、また可視光に対す 吸収が強くないものが好ましく用いられる

 このような高分子バインダーとして、ポ (N-ビニルカルバゾール)、ポリアニリン及び その誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体 、ポリ(p-フェニレンビニレン)及びその誘導 、ポリ(2,5-チエニレンビニレン)及びその誘 体、ポリカーボネート、ポリアクリレート ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタ リレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル ポリシロキサン等が例示される。

 本発明の有機薄膜の製造方法としては、 えば、本発明の含窒素化合物、必要に応じ 混合する電子輸送性材料又はホール輸送性 料、高分子バインダーを含む溶液からの成 による方法が挙げられる。また、本発明の 窒素化合物が昇華性を有する場合は真空蒸 法により薄膜に形成することもできる。

 溶液からの成膜に用いる溶媒としては、 発明の含窒素化合物及び混合する電子輸送 材料又はホール輸送性材料、高分子バイン ーを溶解させるものであればよい。

 本発明の有機薄膜を溶液から成膜する場 に用いる溶媒としては、トルエン、キシレ 、メシチレン、テトラリン、デカリン、ビ クロヘキシル、n-ブチルベンゼン、sec-ブチ ベンゼン、tert-ブチルベンゼン等の不飽和 化水素系溶媒、四塩化炭素、クロロホルム ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロ タン、ブロモブタン、クロロペンタン、ブ モペンタン、クロロヘキサン、ブロモヘキ ン、クロロシクロヘキサン、ブロモシクロ キサン等のハロゲン化飽和炭化水素系溶媒 クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリ ロロベンゼン等のハロゲン化不飽和炭化水 系溶媒、テトラヒドロフラン、テトラヒド ピラン等のエーテル類系溶媒等が例示され 。本発明の含窒素化合物の構造や分子量に よるが、通常はこれらの溶媒に0.1質量%以上 解させることができる。

 溶液からの成膜方法としては、スピンコ ト法、キャスティング法、マイクログラビ コート法、グラビアコート法、バーコート 、ロールコート法、ワイアーバーコート法 ディップコート法、スプレーコート法、ス リーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセッ 印刷法、インクジェット印刷法、ディスペ サー印刷法、ノズルコート法及びキャピラ ーコート法等の塗布法を用いることができ スピンコート法、フレキソ印刷法、インク ェット印刷法、ディスペンサー印刷法、ノ ルコート法及びキャピラリーコート法が好 しい。

 本発明の有機薄膜を製造する工程には、 発明の含窒素化合物を配向させる工程が含 れていてもよい。この工程により含窒素化 物を配向させた有機薄膜は、主鎖分子又は 鎖分子が一方向に並ぶので、電子移動度又 ホール移動度が向上する。

 含窒素化合物を配向させる方法としては 液晶の配向手法として知られている方法を いることができる。中でもラビング法、光 向法、シェアリング法(ずり応力印加法)や き上げ塗布法が配向手法として簡便かつ有 で利用しやすく、ラビング法、シェアリン 法が好ましい。

 また、本発明の有機薄膜を製造する工程 は、成膜後にアニール処理をする工程が含 れていてもよい。この工程により、含窒素 合物間の相互作用が促進される等、有機薄 の膜質が改善され、電子移動度又はホール 動度が向上する。アニール処理の処理温度 しては、50℃から含窒素化合物のガラス転 温度(Tg)付近の間の温度が好ましく、(Tg-30℃) からTgの間の温度がより好ましい。アニール 理する時間としては、1分から10時間が好ま く、10分から1時間がより好ましい。アニー 処理する雰囲気としては、真空中又は不活 ガス雰囲気中が好ましい。

 本発明の有機薄膜は、電子輸送性又はホ ル輸送性を有することから、電極から注入 れた電子又はホール、あるいは光吸収によ 発生した電荷を輸送制御することにより、 機薄膜トランジスタ、有機太陽電池、光セ サ等、種々の有機薄膜素子に用いることが きる。本発明の有機薄膜をこれらの有機薄 素子に用いる場合は、配向処理により配向 せて用いることが電子輸送性又はホール輸 性がより向上するため好ましい。

[有機薄膜素子]
 上述した実施形態の有機薄膜は、上記実施 態の含窒素化合物を含むことから、優れた 荷(電子又はホール)輸送性を有するものと る。したがって、この有機薄膜は、電極等 ら注入された電子又はホール、或いは、光 収により発生した電荷等を効率よく輸送で るものであり、有機薄膜を用いた各種の電 素子(有機薄膜素子)に応用することができる 。また、上記実施形態の含窒素化合物は、環 境安定性に優れているため、これらを用いて 薄膜を形成することで、通常の大気中におい ても性能が安定している有機薄膜素子が製造 可能となる。以下、有機薄膜素子の例につい てそれぞれ説明する。

(有機薄膜トランジスタ)
 まず、好適な実施形態に係る有機薄膜トラ ジスタについて説明する。有機薄膜トラン スタは、ソース電極及びドレイン電極、こ らの間の電流経路となり本発明の含窒素化 物を含む有機薄膜層(活性層)、電流経路を る電流量を制御するゲート電極を備えた構 であればよく、電界効果型、静電誘導型な が例示される。

 電界効果型有機薄膜トランジスタは、ソ ス電極及びドレイン電極、これらの間の電 経路となり本発明の含窒素化合物を含む有 薄膜層(活性層)、電流経路を通る電流量を 御するゲート電極、並びに、活性層とゲー 電極との間に配置される絶縁層を備えるこ が好ましい。特に、ソース電極及びドレイ 電極が、本発明の含窒素化合物を含む有機 膜層(活性層)に接して設けられており、さら に有機薄膜層に接した絶縁層を挟んでゲート 電極が設けられていることが好ましい。

 静電誘導型有機薄膜トランジスタは、ソ ス電極及びドレイン電極、これらの間の電 経路となり本発明の含窒素化合物を含有す 有機薄膜層、並びに電流経路を通る電流量 制御するゲート電極を有し、該ゲート電極 有機薄膜層中に設けられていることが好ま い。特に、ソース電極、ドレイン電極及び 機薄膜層中に設けられたゲート電極が、本 明の含窒素化合物を含有する有機薄膜層に して設けられていることが好ましい。ゲー 電極の構造としては、ソース電極からドレ ン電極へ流れる電流経路が形成され、かつ ート電極に印加した電圧で電流経路を流れ 電流量が制御できる構造であればよく、例 ば、くし形電極が挙げられる。

 図1は第1実施形態に係る有機薄膜トラン スタ(電界効果型有機薄膜トランジスタ)の模 式断面図である。図1に示す有機薄膜トラン スタ100は、基板1と、基板1上に所定の間隔を 持って形成されたソース電極5及びドレイン 極6と、ソース電極5及びドレイン電極6を覆 ようにして基板1上に形成された活性層2と、 活性層2上に形成された絶縁層3と、ソース電 5とドレイン電極6との間の絶縁層3の領域を うように絶縁層3上に形成されたゲート電極 4と、を備えるものである。

 図2は第2実施形態に係る有機薄膜トラン スタ(電界効果型有機薄膜トランジスタ)の模 式断面図である。図2に示す有機薄膜トラン スタ110は、基板1と、基板1上に形成されたソ ース電極5と、ソース電極5を覆うようにして 板1上に形成された活性層2と、ソース電極5 所定の間隔を持って活性層2上に形成された ドレイン電極6と、活性層2及びドレイン電極6 上に形成された絶縁層3と、ソース電極5とド イン電極6との間の絶縁層3の領域を覆うよ に絶縁層3上に形成されたゲート電極4と、を 備えるものである。

 図3は、第3の実施形態に係る有機薄膜ト ンジスタ(電界効果型有機薄膜トランジスタ) の模式断面図である。図3に示す有機薄膜ト ンジスタ120は、基板1と、基板1上に形成され た活性層2と、活性層2上に所定の間隔を持っ 形成されたソース電極5及びドレイン電極6 、ソース電極5及びドレイン電極6を一部覆う ようにして活性層2上に形成された絶縁層3と ソース電極5が下部に形成されている絶縁層 3の領域とドレイン電極6が下部に形成されて る絶縁層3の領域とをそれぞれ一部覆うよう に、絶縁層3上に形成されたゲート電極4と、 備えるものである。

 図4は第4実施形態に係る有機薄膜トラン スタ(電界効果型有機薄膜トランジスタ)の模 式断面図である。図4に示す有機薄膜トラン スタ130は、基板1と、基板1上に形成されたゲ ート電極4と、ゲート電極4を覆うようにして 板1上に形成された絶縁層3と、ゲート電極4 下部に形成されている絶縁層3の領域を一部 覆うように、絶縁層3上に所定の間隔を持っ 形成されたソース電極5及びドレイン電極6と 、ソース電極5及びドレイン電極6を一部覆う うに絶縁層3上に形成された活性層2と、を えるものである。

 図5は第5実施形態に係る有機薄膜トラン スタ(電界効果型有機薄膜トランジスタ)の模 式断面図である。図5に示す有機薄膜トラン スタ140は、基板1と、基板1上に形成されたゲ ート電極4と、ゲート電極4を覆うようにして 板1上に形成された絶縁層3と、ゲート電極4 下部に形成されている絶縁層3の領域を一部 覆うように絶縁層3上に形成されたソース電 5と、ソース電極5を一部覆うようにして絶縁 層3上に形成された活性層2と、ゲート電極4が 下部に形成されている活性層2の領域を一部 うように、ソース電極5と所定の間隔を持っ 絶縁層3上に形成されたドレイン電極6と、 備えるものである。

 図6は第6実施形態に係る有機薄膜トラン スタ(電界効果型有機薄膜トランジスタ)の模 式断面図である。図6に示す有機薄膜トラン スタ150は、基板1と、基板1上に形成されたゲ ート電極4と、ゲート電極4を覆うようにして 板1上に形成された絶縁層3と、ゲート電極4 下部に形成されている絶縁層3の領域を覆う ように形成された活性層2と、ゲート電極4が 部に形成されている活性層2の領域を一部覆 うように絶縁層3上に形成されたソース電極5 、ゲート電極4が下部に形成されている活性 層2の領域を一部覆うように、ソース電極5と 定の間隔を持って絶縁層3上に形成されたド レイン電極6と、を備えるものである。

 図7は第7実施形態に係る有機薄膜トラン スタ(静電誘導型有機薄膜トランジスタ)の模 式断面図である。図7に示す有機薄膜トラン スタ160は、基板1と、基板1上に形成されたソ ース電極5と、ソース電極5上に形成された活 層2と、活性層2上に所定の間隔を持って複 形成されたゲート電極4と、ゲート電極4の全 てを覆うようにして活性層2上に形成された 性層2a(活性層2aを構成する材料は、活性層2 同一でも異なっていてもよい)と、活性層2a に形成されたドレイン電極6と、を備えるも である。

 第1~第7実施形態に係る有機薄膜トランジ タにおいては、活性層2及び/又は活性層2aは 、本発明の含窒素化合物を含有しており、ソ ース電極5とドレイン電極6の間の電流通路(チ ャネル)となる。また、ゲート電極4は、電圧 印加することにより活性層2及び/又は活性 2aにおける電流通路(チャネル)を通る電流量 制御する。

 このような電界効果型有機薄膜トランジ タは、公知の方法、例えば特開平5-110069号 報記載の方法により製造することができる また、静電誘導型有機薄膜トランジスタは 公知の方法、例えば特開2004-006476号公報記載 の方法により製造することができる。

 基板1としては有機薄膜トランジスタとし ての特性を阻害しなければ特に制限されない が、ガラス基板やフレキシブルなフィルム基 板やプラスチック基板を用いることができる 。

 活性層2を形成する際に、有機溶媒可溶性 の化合物を用いることが製造上非常に有利で あり好ましいことから、上記で説明した本発 明の有機薄膜の製造方法を用いて、活性層2 なる有機薄膜を形成することができる。

 活性層2に接した絶縁層3としては、電気の 縁性が高い材料であれば特に制限はなく、 知のものを用いることができる。例えば、Si Ox,SiNx、Ta 2 O 5 、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリ ビニルフェノール、有機ガラス及びフォトレ ジストが挙げられる。低電圧化の観点から、 誘電率の高い材料の方が好ましい。

 絶縁層3の上に活性層2を形成する場合は、 縁層3と活性層2の界面特性を改善するため、 シランカップリング剤等の表面処理剤で絶縁 層3の表面を処理して表面改質した後に活性 2を形成することも可能である。表面処理剤 しては、例えば、長鎖アルキルクロロシラ 類、長鎖アルキルアルコキシシラン類、フ 素化アルキルクロロシラン類、フッ素化ア キルアルコキシシラン類、ヘキサメチルジ ラザン等のシリルアミン化合物が挙げられ 。表面処理剤で処理する前に、絶縁層表面 オゾンUV、O 2 プラズマで処理をしておくことも可能である 。

 また、有機薄膜トランジスタを作製後、 子を保護するために有機薄膜トランジスタ に保護膜を形成することが好ましい。これ より、有機薄膜トランジスタが、大気から 断され、有機薄膜トランジスタの特性の低 を抑えることができる。また、保護膜によ 有機薄膜トランジスタの上に駆動する表示 バイスを形成する工程からの影響を低減す ことができる。

 保護膜を形成する方法としては、例えば UV硬化樹脂、熱硬化樹脂又は無機のSiONx膜で カバーする方法が挙げられる。大気との遮断 を効果的に行うため、有機薄膜トランジスタ を作製後、保護膜を形成するまでの工程を大 気に曝すことなく(例えば、乾燥した窒素雰 気中、真空中)行うことが好ましい。

 次に、本発明の有機薄膜の太陽電池への 用を説明する。図8は、実施形態に係る太陽 電池の模式断面図である。図8に示す太陽電 200は、基板1と、基板1上に形成された第1の 極7aと、第1の電極7a上に形成された本発明の 含窒素化合物を含有する有機薄膜からなる活 性層2と、活性層2上に形成された第2の電極7b 、を備えるものである。

 本実施形態に係る太陽電池においては、 1の電極7a及び第2の電極7bの一方に透明又は 透明の電極を用いる。電極材料としては、 ルミニウム、金、銀、銅、アルカリ金属、 ルカリ土類金属等の金属又はそれらの半透 膜、透明導電膜を用いることができる。高 開放電圧を得るためには、それぞれの電極 して、仕事関数の差が大きくなるように選 れることが好ましい。活性層2(有機薄膜)中 は光感度を高めるために電荷発生剤、増感 等を添加して用いることができる。基材1と しては、シリコン基板、ガラス基板、プラス チック基板等を用いることができる。

 次に、本発明の有機薄膜の光センサへの 用を説明する。図9は、第1実施形態に係る センサの模式断面図である。図9に示す光セ サ300は、基板1と、基板1上に形成された第1 電極7aと、第1の電極7a上に形成された本発 の含窒素化合物を含有する有機薄膜からな 活性層2と、活性層2上に形成された電荷発生 層8と、電荷発生層8上に形成された第2の電極 7bと、を備えるものである。

 図10は、第2実施形態に係る光センサの模 断面図である。図10に示す光センサ310は、 板1と、基板1上に形成された第1の電極7aと、 第1の電極7a上に形成された電荷発生層8と、 荷発生層8上に形成された本発明の含窒素化 物を含有する有機薄膜からなる活性層2と、 活性層2上に形成された第2の電極7bと、を備 るものである。

 図11は、第3実施形態に係る光センサの模 断面図である。図11に示す光センサ320は、 板1と、基板1上に形成された第1の電極7aと、 第1の電極7a上に形成された本発明の含窒素化 合物を含有する有機薄膜からなる活性層2と 活性層2上に形成された第2の電極7bと、を備 るものである。

 第1~第3実施形態に係る光センサにおいて 、第1の電極7a及び第2の電極7bの一方に透明 は半透明の電極を用いる。電荷発生層8は光 を吸収して電荷を発生する層である。電極材 料としては、アルミニウム、金、銀、銅、ア ルカリ金属、アルカリ土類金属等の金属又は それらの半透明膜、透明導電膜を用いること ができる。活性層2(有機薄膜)中には光感度を 高めるためにキャリア発生剤、増感剤等を添 加して用いることができる。また基材1とし は、シリコン基板、ガラス基板、プラスチ ク基板等を用いることができる。

 以上、本発明をその実施形態に基づいて 細に説明した。しかし、本発明は上記実施 態に限定されるものではない。本発明は、 の要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可 である。

 以下に、本発明を実施例に基づいて具体 に説明するが、本発明はこれに限定される のではない。

 まず、第一の発明群の実施例について説 する。

(測定条件等)
 核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、JEOL(日本電子 株式会社)製の商品名「JMN-270」( 1 H測定時270MHz)、又は同社製の商品名「JMNLA-600 ( 19 F測定時600MHz)を用いて測定した。ケミカルシ トは百万分率(ppm)で表している。内部標準0p pmには、テトラメチルシラン(TMS)を用いた。 合定数(J)は、ヘルツで示しており、略号s、d 、t、q、m及びbrは、それぞれ、一重線(singlet) 二重線(doublet)、三重線(triplet)、四重線(quarte t)、多重線(multiplet)及び広幅線(broad)を表す。 量分析(MS)は、株式会社島津製作所製の商品 名「GCMS-QP5050A」を用い、電子イオン化(EI)法 直接試料導入(DI)法により測定した。カラム ロマトグラフィー分離におけるシリカゲル 、関東化学株式会社製の商品名「シリカゲ  60N」(40~50μm)を用いた。全ての化学物質は 試薬級であり、和光純薬工業株式会社、東 化成工業株式会社、関東化学株式会社、ナ ライテスク株式会社、シグマアルドリッチ ャパン株式会社、又はダイキン化成品株式 社より購入した。

 サイクリックボルタンメトリーは、測定装 としてビー・エー・エス株式会社(BAS社)製 商品名「CV-50W」を使用し、作用電極としてBA S社製Pt電極、対電極としてPt線、参照電極と てAg線を用いて測定した。この測定時の掃 速度は100mV/sec、走査電位領域は-2.0V~1.6Vであ た。還元電位、酸化電位は、共役系化合物 1×10 -3 mol/L、支持電解質としてテトラブチルアンモ ウムヘキサフルオロフォスファート(TBAPF6)0. 1mol/Lをモノフルオロベンゼン溶媒に完全に溶 解し測定した。

(実施例1)
<化合物Aの合成>
 加熱乾燥した蓋付き試験管に5,5’-ジトリブ チルスタニル-2,2’-ビチオフェン(1.49g,2.00mmol) 、4’-ブロモ-2,2,2-トリフルオロアセトフェノ ン(1.27g,5.00mmol)、テトラキス(トリフェニルホ フィン)パラジウム(0)(100mg,0.087mmol)、トルエ (20mL)を加え、窒素置換し120℃で反応させた 19時間後、水を加えクロロホルムで抽出し 有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ減 濃縮した。得られた濃縮物をメタノール、 ーテルで洗浄し、真空中で昇華精製を行な 、下記式(21)で表される化合物A(863mg、収率85% )を赤色固体として得た。化合物Aの還元電位 、-1.70Vであった。
 
TLC R f =0.2(ヘキサン); 1 H-NMR(400MHz,CDCl 3 )δ8.10(m,2H),7.77(m,2H),7.47(d,2H,J=3.9Hz),7.30(d,2H,J=3.9H z);GC-MS(DI)m/z=510(M + )

(比較例1)
<化合物Bの合成>
 加熱乾燥した蓋付き試験管に5,5’-ジブロモ -2,2’-ビチオフェン(242mg,0.75mmol)、4-アセチル ェニルボロン酸(366mg,2.23mmol)、テトラキス( リフェニルホスフィン)パラジウム(0)(40mg,0.03 5mmol)、炭酸水素ナトリウム(438mg,5.21mmol)、ジ トキシエタン(DME)/水混合溶媒(7mL)を加え、窒 素置換し100℃で反応させた。14時間後、減圧 縮し濃縮物を得た。得られた濃縮物をメタ ール、エーテルで洗浄した後、真空中で昇 精製を行ない、下記式(22)で表される化合物 B(205mg、収率83%)を淡黄色固体として得た。化 物Bの還元電位は、モノフルオロベンゼンに 不溶のため測定できなかった。
 
TLC R f =0.0(クロロホルム); 1 H-NMR(400MHz,CDCl 3 );δ7.96(m,2H),7.68(m,2H),7.36(m,2H),7.23(m,2H),2.60(s,3H);G C-MS(DI)m/z=402(M + )

(実施例2)
 目的とする化合物の原料となる中間体を、 記のスキーム1に従って、化合物(23a)を出発 料に用いて合成した。以下に詳細について 明する。

<化合物Dの合成>
 上記式(23a)で表される化合物C-1を、文献(J.Ch em.Soc.Perkin Trans 1.Organic and Bio-Organic Chemistry  1992,21,2985-2988)に記載の方法で合成した。次 で、300mLの三口フラスコに化合物C-1(1.00g,6.58 mol)、フッ素化剤「Selectfluor TM (登録商標)」(5.60g,15.8mol)を入れ、THF(65mL)を加 て溶かした。そこへテトラブチルアンモニ ムハイドロオキサイド(TBAH)(10%メタノール溶 液)(3.76g,14.5mol)を加え、0℃で12時間撹拌した 溶媒を減圧留去して、次に水を加え、水相 酢酸エチルで抽出し、有機相を硫酸マグネ ウムで乾燥させ、減圧濃縮した。得られた 縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ (ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製し、上記式( 23b)で表される化合物C-2(0.934g,75%)を淡黄色固 として得た。
 
mp 156-158℃;TLC R f =0.29(2:1=ヘキサン/酢酸エチル); 1 H-NMR(400MHz,CDCl 3 )δ7.60(d,1H,J=4.8Hz),8.28(d,1H,J=4.8Hz);MS(EI)m/z=188(M+)

 200mLの三口フラスコに化合物C-2(1.97g,10.48mmol) を入れ、N,N’-ジメチルホルムアミド(DMF)(50mL) を加えて溶かし、さらに2-クロロメタノール( 3.37g,41.91mmol)を加えた。そこへDMF(50mL)に溶か たカリウムtert-ブトキシドを-60℃で滴下した 。滴下終了後、室温で4時間撹拌し、水を加 て反応を停止した。次に、水相を酢酸エチ で抽出し、水で洗ってから有機相を硫酸マ ネシウムで乾燥させ、ろ別し、減圧濃縮し 。得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロ トグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精 し、上記式(24)で表される化合物D(1.58g、収 55%)を白色固体として得た。
 
mp 117-122℃;TLC R f =0.34(2:1=ヘキサン/酢酸エチル); 1 H-NMR(400MHz,CDCl 3 )δ4.26(s,8H),7.02(d,1H,J=4.8Hz),7.51(d,1H,J=5.1Hz);MS(EI)m/ z=276(M + )

<化合物Eの合成>
 50mLの三口フラスコに化合物D(500mg,1.81mmol)を れ、THF(18mL)を加えて溶かした。そこへn-ブ ルリチウム(1.58M,2.29mL,3.62mmol)を-78℃で加えた 。0.5時間撹拌した後、塩化トリブチルスズ(1. 09mL,3.98mmol)を加え、徐々に室温まで昇温した 1時間後、水を加えて反応を停止した。水相 を酢酸エチルで抽出し、水で洗ってから有機 相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ別し、 減圧濃縮した。得られた濃縮物をアルミナカ ラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチ =10:1)で精製し、上記式(25)で表される化合物 E(1.02g、収率99%)を無色液体として得た。
 
TLC R f =0.30(ヘキサン); 1 H-NMR(400MHz,CDCl 3 )δ0.89(t,9H,J=7.2Hz),1.08-1.13(m,6H),1.24-1.38(m,6H),1.49-1 .60(m,6H),4.23-4.28(m,8H),7.03(s,1H);MS(EI)m/z=566(M + )

<化合物Fの合成>
 100mLの三口フラスコに化合物D(1.00g,3.62mmol)を 入れ、THF(30mL)を加えて溶かした。そこへn-ブ ルリチウム(1.58M,2.75mL,4.34mmol)を-78℃で加え 。0.5時間撹拌した後、臭素(0.29mL,5.43mmol)を加 え、徐々に室温まで昇温した。1時間後、水 加えて反応を停止した。水相を酢酸エチル 抽出し、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液で い、水で洗ってから有機相を硫酸マグネシ ムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、粗生 物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー( キサン/酢酸エチル=3:1)に通し、上記式(26a) 表される中間化合物の粗生成物を得た。こ を100mLナスフラスコに入れ、THF(30mL)に溶かし た。そこに濃硫酸(30mL)を加え、室温で12時間 拌した。反応混合物を氷に注ぎ、水で抽出 た。有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶 、水の順で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾 後、ろ別し、減圧濃縮した。得られた濃縮 をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢 酸エチル)で精製し、上記式(26b)で表される化 合物F(877mg、91% in 2steps)を茶色固体として得 。
 
TLC R f =0.21(3:1=ヘキサン/酢酸エチル); 1 H-NMR(400MHz,CDCl 3 )δ7.60(s,1H);MS(EI)m/z=266(M + )

<化合物Gの合成>
 2,5-ジブロモチオフェン(18mg,0.0738mmol)、化合 E(100mg,0.177mmol)、テトラキス(トリフェニルホ スフィン)パラジウム(0)(17mg、0.0148mmol)を試験 に入れ、トルエン(1mL)を加えて溶かした。 れを120℃で12時間撹拌した後、室温で放冷し た。次に、溶媒を減圧留去し、粗生成物をア ルミナカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/ 酸エチル=3:1)に通してからGPC(クロロホルム) で精製し、下記式(27)で表される化合物G(35mg,7 4%)を淡黄色固体として得た。
 
mp 273-275℃;TLC R f =0.68(1:2=ヘキサン/酢酸エチル); 1 H-NMR(400MHz,CDCl 3 )δ4.25-4.29(m,16H),7.06(s,2H),7.11(s,2H);MS(EI)m/z=632(M + )

<化合物Hの合成>
 化合物G(35mg,0.0550mmol)を試験管に入れ、THF(3mL )に溶かした。そこに濃硫酸(3mL)を加え、室温 で12時間撹拌した。反応混合物を氷に注ぎ、 で抽出した。有機相を飽和炭酸水素ナトリ ム水溶液、水の順で洗浄し、硫酸マグネシ ムで乾燥後、ろ別し、減圧濃縮した。得ら た濃縮物をジエチルエーテルで洗浄し、下 式(28)で表される化合物H(18mg,72%)を赤色固体 して得た。化合物Hの還元電位は、-1.24Vであ った。
 
TLC R f =0.62(1:2=ヘキサン/酢酸エチル); 1 H-NMR(400MHz,CDCl 3 )δ7.56(s,2H),7.63(s,2H);MS(EI)m/z=456(M + )

(実施例3)
<化合物Iの合成>
 1,3-ジブロモ-5,5-ジフルオロ-4H-シクロペンタ [c]チオフェン-4,6(5H)-ジオン(26mg,0.0738mmol)、化 物E(100mg,0.177mmol)、テトラキス(トリフェニル ホスフィン)パラジウム(0)(17mg,0.0148mmol)を試験 管に入れ、トルエン(1mL)を加えて溶かした。 れを120℃で12時間撹拌した後、室温で放冷 た。次に溶媒を減圧留去し、粗生成物をア ミナカラムクロマトグラフィー(クロロホル )に通してからGPC(クロロホルム)で精製し、 記式(29)で表される化合物I(33mg,61%)を黄色固 として得た。
 
TLC R f =0.59(1:2=ヘキサン/酢酸エチル); 1 H-NMR(400MHz,CDCl 3 )δ4.28-4.31(m,16H),8.00(s,2H);MS(EI)m/z=736(M + )

<化合物Jの合成>
 化合物I(72mg,0.0978mmol)を試験管に入れ、THF(7mL )を加えて溶かした。そこへ濃硫酸(7mL)を加え 、室温で12時間撹拌した。反応混合物を氷に ぎ、水で抽出し、有機相を飽和炭酸水素ナ リウム水溶液、水の順で洗浄し、硫酸マグ シウムで乾燥後、ろ別し、減圧濃縮した。 られた濃縮物をヘキサン/クロロホルムで再 結晶し、下記式(30)で表される化合物J(21mg、38 %)を濃黄色固体として得た。化合物Jの還元電 位は、-0.66Vであった。
 
TLC R f =0.32(1:2=ヘキサン/酢酸エチル); 1 H-NMR(400MHz,CDCl 3 )δ8.40(s,2H);MS(EI)m/z=560(M + )

(比較例2)
<化合物Kの合成>
 加熱乾燥した蓋付き試験管に1,3-ジブロモ-5, 5-ジフルオロ-4H-シクロペンタ[c]チオフェン-4, 6(5H)-ジオン(589mg,1.70mmol)、2-トリブチルスタニ ルチオフェン(1.32g,5.10mmol)及びテトラキス(ト フェニルホスフィン)パラジウム(0)(196mg,0.17m mol)を入れた。
ここへトルエン(10mL)を加え、120℃で反応させ た。12時間後放冷し、酢酸エチルで抽出し、 機相を無水硫酸ナトリウム上で乾燥後、ろ し、減圧濃縮した。得られた濃縮物をカラ クロマトグラフィー(シリカゲル、クロロホ ルムチャージ)で展開溶媒としてヘキサン/酢 エチル(4/1)を用い精製することにより、下 式(31)で表される化合物K(186mg,31%)を赤色固体 して得た。化合物Kの還元電位は、-1.34Vであ った。
 
TLC R f =0.44(4:1=ヘキサン/酢酸エチル); 1 H-NMR(270MHz,CDCl 3 )δ8.17-8.19(m,2H),7.55-7.57(m,2H),7.18-7.22(m,2H);MS(EI)m/z =352(M + )

(実施例4)
<化合物Lの合成>
 5,5’-ビス(トリブチルスタニル)-2,2’-ビチ フェン(413mg,0.555mmol)、化合物F(326mg,1.22mmol)、 トラキス(トリフェニルホスフィン)パラジ ム(0)(64mg,0.056mmol)を試験管に入れ、トルエン( 6mL)を加えて溶かした。これを120℃で12時間撹 拌した後、室温で放冷した。反応溶液をセラ イトろ過し溶媒を減圧留去した後、得られた 固体をヘキサンで洗い、下記式(32)で表され 化合物L(35mg,74%)を暗紫色固体として得た。
mp >300℃;MS(EI)m/z=538(M + )

(実施例5)
<有機薄膜素子1の作製及びトランジスタ特 の評価>
 ゲート電極となる高濃度にドープされたp型 シリコン基板の表面に、熱酸化により絶縁層 となるシリコン酸化膜を、300nm形成したもの 準備した。この基板の上に、リフトオフ法 よりチャネル幅38mm、チャネル長5μmの櫛形 ース電極及びドレイン電極を形成した。電 付き基板をアセトンで10分間、次いでイソプ ロピルアルコールで10分間超音波洗浄した後 オゾンUVを30分間照射し表面を洗浄した。上 記洗浄した基板に、真空蒸着法により実施例 1で合成した化合物Aの有機薄膜を成膜し、有 薄膜素子1を作製した。有機薄膜素子1に、 空中でゲート電圧Vgを0~100V、ソース-ドレイ 間電圧Vsdを0~100Vの範囲で変化させ、有機ト ンジスタ特性を測定したところ、良好なn型 導体のId-Vg特性が得られた。このときの移 度は3.4×10 -3 cm 2 /Vs、オン/オフ比10 4 ~10 5 と良好であった。

(比較例3)
<有機薄膜素子2の作製及びトランジスタ特 の評価>
 上記実施例5と同様にして、比較例1で合成 た化合物Bの有機薄膜を成膜し、有機薄膜素 2を作製した。得られた有機薄膜素子2に、 空中でゲート電圧Vgを0~100V、ソース-ドレイ 間電圧Vsdを0~100Vの範囲で変化させ、有機ト ンジスタ特性を測定することによりp型半導 のId-Vg特性が得られた。このときの移動度 1.8×10 -5 cm 2 /Vs、オン/オフ比10 2 と低かった。

(実施例6)
<有機薄膜素子3の作製及びトランジスタ特 の評価>
 上記実施例5と同様にして、実施例4で合成 た化合物Lの有機薄膜を成膜し、有機薄膜素 3を作製した。得られた有機薄膜素子3に、 空中でゲート電圧Vgを0~100V、ソース-ドレイ 間電圧Vsdを0~100Vの範囲で変化させ、有機ト ンジスタ特性を測定することにより良好なn 半導体のId-Vg特性が得られた。このときの 動度は1.5×10 -3 cm 2 /Vs、オン/オフ比10 4 と良好であった。

(実施例7)
<有機薄膜素子4の作製及びトランジスタ特 の評価>
 ゲート電極となる高濃度にドープされたp型 シリコン基板の表面上に、熱酸化により絶縁 層となるシリコン酸化膜を300nm形成した基板 準備した。この基板を、ヘキサメチルジシ ザン(HMDS、Aldrich社製)に50℃で7時間浸漬し、 表面処理した。次に、この表面処理した基板 上に、真空蒸着法により、室温で、化合物A 有機薄膜を30nmの膜厚で堆積させた。この有 薄膜の上に、シャドウマスクを通してAuを30 nmの厚さで蒸着し、チャネル幅5.5mm、チャネ 長50μmのソース電極及びドレイン電極を形成 して、有機薄膜素子4を作製した。得られた 機薄膜素子4について、窒素中でゲート電圧V g、ソース-ドレイン間電圧Vsdを変化させてト ンジスタ特性を測定したところ、良好なId-V g特性が得られ、Vg=100V、Vd=100Vにおいてドレイ ン電流Id=1.1×10 -4 Aの電流が流れた。また、このときの移動度 0.12cm 2 /Vsであり、電流がオンするしきい値電圧はVth =60Vであった。このことから、化合物Aを用い 有機薄膜素子4は、n型有機トランジスタと て有効に機能することが確認された。

(実施例8)
<有機薄膜素子5の作製及びトランジスタ特 の評価>
 実施例7と同様にして、化合物Aの有機薄膜 代わりに化合物Lの有機薄膜を用いて有機薄 素子5を作製した。得られた有機薄膜素子5 ついて、窒素中でゲート電圧Vg、ソース-ド イン間電圧Vsdを変化させてトランジスタ特 を測定したところ、良好なId-Vg特性が得られ 、Vg=80V、Vd=100Vにおいてドレイン電流Id=1.5×10 -5 Aの電流が流れた。また、このときの移動度 0.013cm 2 /Vs、オン/オフ比10 5 であり、電流がオンするしきい値電圧はVth=38 Vであった。このことから、化合物Lを用いた 機薄膜素子5は、n型有機トランジスタとし 有効に機能することが確認された。

(実施例9)
<化合物Mの合成>
 加熱乾燥した蓋付き試験管に2-ブロモ-3-ヘ シルチオフェン(600mg,2.43mmol)、実施例2で合成 した化合物E(1.51g,2.67mmol)及びテトラキス(トリ フェニルホスフィン)パラジウム(0)(281mg,0.243mm ol)を入れ、トルエン(25mL)を加えて溶かした。 これを120℃で12時間撹拌した後、室温で放冷 た。次に溶媒を減圧留去し、得られた粗生 物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー( ヘキサン/酢酸エチル=10:1)で精製し、下記式(3 3)で表される化合物M(960mg,収率81%)を黄色液体 して得た。
TLC R f =0.46(5:1=ヘキサン/酢酸エチル); 1 H-NMR(400 MHz,CDCl 3 )δ0.89(t,3H,J=3.6Hz),1.23-1.43(m,4H),1.53-1.69(m,4H),2.72(t ,2H,J=8.0Hz),4.27(s,8H),6.94(d,1H,J=5.4Hz),6.97(s,1H),7.22(d ,1H,J=5.4Hz);MS(EI)m/z 442(M + ).

<化合物Nの合成>
 加熱乾燥した20mLの三口フラスコに化合物M(3 00mg,0.679mmol)を入れ、THF(7mL)を加えて溶かした そこにn-ブチルリチウム(1.58M,0.88mL,1.39mmol)を -78℃で加えた。1時間撹拌した後、塩化トリ チルスズ(0.221ml,0.814mmol)を加え、徐々に室温 で昇温した。0.5時間後、水を加えて反応を 止した。水相を酢酸エチルで抽出し、水で ってから有機相を硫酸マグネシウムで乾燥 せた。溶媒を減圧留去し、粗生成物をアル ナカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢 エチル=10:1)で精製し、下記式(34)で表される 合物N(440mg,収率89%)を黄色液体として得た。
TLC R f =0.67(5:1=ヘキサン/酢酸エチル); 1 H-NMR(400MHz,CDCl 3 )δ0.85-0.93(m,12H),1.07-1.13(m,6H),1.26-1.40(m,10H),1.51-1. 67(m,10H),2.74(t,2H,8.0Hz),4.27(s,8H),6.95(s,1H),6.96(s,1H); MS(EI)m/z=732(M + ).

<化合物Oの合成>
 1,3-ジブロモ-5,5-ジフルオロ-4H-シクロペンタ [c]チオフェン-4,6(5H)-ジオン(93mg,0.27mmol)、化合 物N(435mg,0.594mmol)及びテトラキス(トリフェニ ホスフィン)パラジウム(0)(31mg,0.027mmol)を試験 管に入れ、トルエン(3mL)を加えて溶かした。 れを120℃で12時間撹拌した後、室温で放冷 た。次に溶媒を減圧留去し、得られた粗生 物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(C HCl 3 )に通してからGPC(CHCl 3 )で精製し、下記式(35)で表される化合物O(230mg ,収率80%)を赤色固体として得た。
TLC R f =0.39(2:1=ヘキサン/酢酸エチル); 1 H-NMR(400MHz,CDCl 3 )δ0.90(t,6H,J=7.1Hz),1.29-1.46(m,12H),1.65-1.75(m,4H),2.79( t,4H,J=7.9 Hz),4.30(s,16H),7.13(s,2H),8.03(s,2H).

<化合物Pの合成>
 化合物O(250mg,0.234mmol)をナスフラスコ(30mL)に れ、THF(3mL)を加えて溶かした。そこに濃硫 (10mL)を加え、室温で12時間撹拌した。得られ た反応混合物を氷に注ぎ、酢酸エチルで抽出 した。有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶 液で洗い、次に水で洗ってから硫酸マグネシ ウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、得ら れた固体をGPC(CHCl 3 )で精製し、下記式(36)で表される化合物P(99mg, 収率47%)を赤色固体として得た。
TLC R f =0.57(2:1=ヘキサン/酢酸エチル); 1 H-NMR(400MHz,CDCl 3 )δ0.92(t,6H,J=7.1Hz),1.23-1.52(m,12H),1.73-1.83(m,4H),2.91( t,4H,J=7.9Hz),7.63(s,2H),8.12(s,2H);MS(EI)m/z=892(M + ).

(実施例10)
<化合物Qの合成>
 20mLの三口フラスコに5,5’-ジブロモ-4,4’-ジ ヘキシル-2,2’-ビチオフェン(492mg,1.00mmol)を入 れ、THF(10mL)を加えて溶かした。そこにn-ブチ リチウム(1.58M,1.39mL,2.20mmol)を-78℃で加えた 1時間撹拌した後、塩化トリブチルスズ(0.543m l,2.00mmol)を加え、徐々に室温まで昇温した。2 時間後、水と微量の塩酸を加えて反応を停止 した。水相をジエチルエーテルで抽出し、水 で洗ってから有機相を硫酸マグネシウムで乾 燥させた。溶媒を減圧留去した後、得られた 液体をGPC(CHCl 3 )で精製することにより、下記式(37)で表され 化合物Q(630mg,収率69%)を黄色液体として得た
TLC R f =1.0(ヘキサン); 1 H-NMR(400MHz,CDCl 3 )δ0.84-0.94(m,24H),1.02-1.20(m,12H),1.26-1.39(m,24H),1.46-1 .61(m,16-H),2.51(t,4H,8.0 Hz),7.13(s,2H);MS(EI)m/z=912(M + ).

<化合物Rの合成>
 化合物Q(50mg,0.055mmol)、実施例2で合成した化 物F(32mg,0.12mmol)及びテトラキス(トリフェニ ホスフィン)パラジウム(0)(6mg,0.005mmol)を蓋付 試験管に入れ、トルエン(1mL)を加えて溶か た。これを120℃で12時間撹拌した後、室温で 放冷した。次に溶媒を減圧留去し、粗生成物 をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl 3 )に通してからGPC(CHCl 3 )で精製し、下記式(38)で表される化合物R(19mg, 収率49%)を橙色固体として得た。化合物Rの酸 電位は0.48V、還元電位は-1.87Vであった。更 吸収スペクトルのピーク波長は472nmであった 。
TLC R f =0.43(5:1=ヘキサン/酢酸エチル); 1 H-NMR(400MHz,CDCl 3 )δ0.88-0.96(m,6H),1.28-1.49(m,12H),1.65-1.76(m,4H),2.85(t,4 H,J=7.9Hz),7.19(s,2H),7.51(s,2H);MS(EI)m/z=706(M + ).

(実施例11)
<化合物Sの合成>
 加熱乾燥した蓋付き試験管に2,7-ビス(1,3,2- オキサボロラン-2-イル)-9,9-ジ(n-オクチル)フ オレン、化合物F、テトラキス(トリフェニ ホスフィン)パラジウム(0)、炭酸カリウム及 テトラヒドロフラン(THF)/水混合溶媒を入れ 窒素置換し100℃で反応させる。12時間後、 媒を減圧留去して、得られた粗生成物をシ カゲルカラムクロマトグラフィーに通して らGPC(CHCl 3 )で精製することで、下記式(39)で表される目 化合物Sを得ることができる。

(実施例12)
<化合物Tの合成>
 2,7-ジブロモ-9,9-ジ(n-オクチル)フルオレン、 化合物N及びテトラキス(トリフェニルホスフ ン)パラジウム(0)を蓋付き試験管に入れ、ト ルエンを加えて溶かす。これを120℃で12時間 拌した後、室温で放冷する。溶媒を減圧留 し、得られた粗生成物をシリカゲルカラム ロマトグラフィーに通してからGPC(CHCl 3 )で精製する。得られた化合物をナスフラス に入れ、THFに溶かし、そこに濃硫酸を加え 室温で12時間撹拌する。続いて反応混合物を 氷に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽 和炭酸水素ナトリウム水溶液、水で洗ってか ら硫酸マグネシウムで乾燥させる。溶媒を減 圧留去し、得られた固体をGPC(CHCl 3 )で精製し、下記式(40)で表される化合物Tを得 ることができる。

(実施例13)
<化合物Uaの合成>
 加熱乾燥した蓋付き試験管に2,5-ジブロモチ オフェン(48mg,0.199mmol)、5-トリブチル-3-ヘキシ ルチオフェン(200mg,0.437mmol)及びテトラキス(ト リフェニルホスフィン)パラジウム(0)(11mg,0.019 9mmol)を入れ、トルエン(2mL)を加えて溶かした これを120℃で12時間撹拌した後、室温で放 した。次に溶媒を減圧留去し、得られた粗 成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ (ヘキサン)で精製し、下記式(41a)で表される 合物Ua(48mg,収率58%)を黄色液体として得た。
TLC R f =0.75(ヘキサン); 1 HNMR(400MHz,CDCl 3 )δ0.89(m,6H),1.22-1.44(m,12H),1.50-1.72(m,4H),2.58(t,4H,J=7 .8Hz),6.80(s,2H),7.00(s,2H),7.03(s,2H);MS(EI)m/z=416(M + ).

<化合物Ubの合成>
 加熱乾燥した30mLの二口フラスコに化合物Ua( 100mg,0.240mmol)及びテトラメチルエチレンジア ン(58mg,0.504mmol)を入れ、ジエチルエーテル(3mL )を加えて溶かした。そこにn-ブチルリチウム (1.58M,0.319mL,0.504mmol)を0oCでゆっくり加えた。2 間撹拌した後、塩化トリブチルスズ(0.221ml,0 .814mmol)を-78℃でゆっくり加え、徐々に室温ま で昇温した。水を加えて反応を停止させ、水 相をジエチルエーテルを用いて抽出し、有機 相を飽和硫酸銅水溶液で洗ってから硫酸マグ ネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して 、得られた粗生成物をアルミナカラムクロマ トグラフィー(ヘキサン)で精製し、下記式(41b )で表される化合物Ub(165mg,収率69%)を黄色液体 して得た。
TLC R f =1.0(ヘキサン); 1 HNMR(400MHz,CDCl 3 )δ0.84-0.96(m,24H),1.05-1.20(m,12H),1.25-1.45(m,24H),1.50-1 .70(m,16H),2.51(t,4H,J=8.0Hz),7.02(s,2H),7.14(s,2H).

<化合物Ucの合成>
 化合物Ub(50mg,0.050mmol)、実施例2で合成した化 合物F(29mg,0.11mmol)及びテトラキス(トリフェニ ホスフィン)パラジウム(0)(6mg,0.0050mmol)を試 管に入れ、トルエン(1mL)を加えて溶かした。 これを120℃で12時間撹拌した後、室温で放冷 た。溶媒を減圧留去し、得られた粗生成物 シリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl 3 )に通してからGPC(CHCl 3 )で精製し、下記式(41c)で表される化合物Uc(16m g,収率49%)を赤色固体として得た。
TLC R f =0.48(3:1=ヘキサン/酢酸エチル); 1 HNMR(400MHz,CDCl 3 )δ0.92(t,6H,J=7.1Hz),1.29-1.50(m,12H),1.69-1.75(m,4H),2.84( t,4H,J=7.8Hz),7.14(s,2H),7.23(s,2H),7.48(s,2H);MS(EI)m/z=788 (M + ).

(実施例14)
<化合物Vの合成>
 1,3-ジブロモ-5,5-ジフルオロ-4H-シクロペンタ [c]チオフェン-4,6(5H)-ジオン(400mg,1.16mmol)、2-ブ ロモ-3-ヘキシルチオフェン(1.33g,2.90mmol)及び トラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウ ム(0)(134mg,0.116mmol)を試験管に入れ、トルエン( 12mL)を加えて溶かした。これを120℃で12時間 拌した後、室温で放冷した。次に溶媒を減 留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカ ムクロマトグラフィー(CHCl 3 )に通してからGPC(CHCl 3 )で精製し、下記式(42)で表される化合物V(247mg ,収率41%)を赤色固体として得た。
TLC R f =0.39(3:1=ヘキサン/酢酸エチル); 1 HNMR(400MHz,CDCl 3 )δ0.84-0.93(m,6H),1.23-1.41(m,12H),1.61-1.72(m,4H),2.75(t,4 H,J=7.9Hz),7.09(d,2H,J=5.1Hz),7.52(d,2H,J=5.1Hz);MS(EI)m/z=5 20(M + ).

<化合物Wの合成>
 氷冷下、化合物V(103mg,0.198mmol)を加熱乾燥し 20mLのナスフラスコに入れ、DMF(2mL)を加えて かした。ここにN-ブロモスクシンイミド(NBS) (74mg,0.416mmol)を加え、80℃まで徐々に昇温した 。12時間撹拌後、水を加え、反応を停止した 水相を酢酸エチルで抽出し、水で洗ってか 有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させた。 媒を減圧留去した後、得られた粗生成物を リカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エ チル)で精製し、下記式(43)で表される化合物W (125mg,収率91%)を赤色固体として得た。
TLC R f =0.42(3:1=ヘキサン/酢酸エチル); 1 HNMR(400MHz,CDCl 3 )δ0.88(t,6H,J=7.1Hz),1.20-1.42(m,12H),1.60-1.71(m,4H),2.70( t,4H,J=7.9Hz),7.22(s,2H);MS(EI)m/z=678(M + ).

<化合物Xの合成>
 化合物W(125mg,0.184mmol)、化合物E(240mg,0.424mmol) テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラ ウム(0)(21mg,0.018mmol)を試験管に入れ、トルエ (2mL)を加えて溶かした。これを120℃で12時間 撹拌した後、室温で放冷した。次に溶媒を減 圧留去し、得られた粗生成物をアルミナカラ ムクロマトグラフィー(CHCl 3 )に通してからGPC(CHCl 3 )で精製した。これをナスフラスコ(50mL)に入 、THF(1mL)に溶かした。そこに濃硫酸(20mL)を加 え、室温で12時間撹拌した。反応混合物を氷 注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機相を飽 炭酸水素ナトリウム水溶液で洗い、水で洗 てから硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶 を減圧留去し、得られた固体をGPC(CHCl 3 )で精製し、下記式(44)で表される化合物X(23mg, 2steps収率14%)を赤色固体として得た。
TLC R f =0.51(2:1=ヘキサン/酢酸エチル); 1 HNMR(400MHz,CDCl 3 )δ0.86(t,6H,J=7.0Hz),1.17-1.41(m,12H),1.69-1.78(m,4H),2.81( t,4H,J=8.0Hz),7.47(s,2H),7.63(s,2H);MS(EI)m/z=892(M + ).

 以上より、実施例5、6、7及び8で作製した 本発明のπ共役系化合物を含む有機薄膜を備 る有機薄膜素子は、比較例3で作製した有機 薄膜素子に比べ、電子の移動度が良好である ことがわかった。このことから、本発明のπ 役系化合物は、電子輸送性の優れたn型有機 半導体として利用可能であることが確認され た。

 次に、第二の発明群の実施例について説 する。

(測定条件等)
 核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、JEOL(日本電子 株式会社)製の商品名JMN-270( 1 H測定時270MHz)、又は同社製の商品名JMNLA-600( 19 F測定時600MHz)を用いて測定した。ケミカルシ トは百万分率(ppm)で表している。内部標準0p pmには、テトラメチルシラン(TMS)を用いた。 合定数(J)は、ヘルツで示しており、略号s、d 、t、q、m及びbrは、それぞれ、一重線(singlet) 二重線(doublet)、三重線(triplet)、四重線(quarte t)、多重線(multiplet)及び広幅線(broad)を表す。 た、質量分析(MS)は、株式会社島津製作所製 のGCMS-QP5050A(商品名)を用い、電子イオン化(EI) 法、直接試料導入(DI)法により測定した。カ ムクロマトグラフィー分離におけるシリカ ルは、関東化学株式会社製の商品名Silicagel  60N(40~50μm)を用いた。全ての化学物質は、試 級であり、和光純薬工業株式会社、東京化 工業株式会社、関東化学株式会社、ナカラ テスク株式会社、シグマアルドリッチジャ ン株式会社、又はダイキン化成品株式会社 り購入した。

(実施例α-1)
<化合物α-Aの合成>
 加熱乾燥したナスフラスコにチアゾール(8.5 0g,100mmol)、及びテトラヒドロフラン(150mL)を入 れた。これを、窒素置換し、-78℃に冷却した 後、n-ブチルリチウム(2.66M,41.0mL,110mmol)を加え 反応させた。1時間後、-78℃で塩化トリイソ ロピルシリル(23.5mL,110mmol)を加え室温まで昇 させた。1時間後、水を加え酢酸エチルで抽 出した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥 させ減圧濃縮した。減圧蒸留で精製を行い、 目的物である下記式(α-A)で表される化合物α- Aを淡黄色液体として得た(17.6g,収率73%)。
TLC R f =0.5(ヘキサン): 1 H-NMR(400MHz,CDCl 3 ):δ 8.17(d,1H,J=3.0Hz),7.55(d,1H,J=3.0Hz),1.45(m,3H),1.14( d,21H,J=3.0Hz):GC-MS(EI):m/z=241(M + ).

<化合物α-Bの合成>
 加熱乾燥したナスフラスコに化合物α-A(9.57g ,39.6mmol)、及びテトラヒドロフラン(135mL)を入 た。これを、窒素置換し、-78℃に冷却した 、n-ブチルリチウム(2.66M,15mL,39.9mmol)を加え 応させた。1時間後、-78℃で塩化トリブチル ズ(13.0g,39.9mmol)を加え室温まで昇温させた。 1時間後、水を加え酢酸エチルで抽出した。 機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ減圧 縮した。アルミナカラム(ヘキサン)で精製を 行い、目的物である下記式(α-B)で表される化 合物α-Bを黄色液体として得た(20.9g,収率99%)。
TLC R f =0.3(ヘキサン): 1 H-NMR(400MHz,CDCl 3 ):δ 8.11(s,1H),1.57(m),1.47(m),1.33(m),1.14(m),0.88(m):GC- MS(DI):m/z=530(M + ).

<化合物α-Cの合成>
 加熱乾燥したナスフラスコに化合物α-A(8.00g ,33.1mmol)、及びテトラヒドロフラン(60mL)を入 た。これを、窒素置換し、-78℃に冷却した 、n-ブチルリチウム(2.66M,19mL,49.4mmol)を加え反 応させた。1時間後、-78℃で臭素(2.6mL,49.4mmol) 加え室温まで昇温させた。1時間後、水を加 え酢酸エチルで抽出した。有機相を硫酸マグ ネシウム上で乾燥させ減圧濃縮した。シリカ ゲルカラム(ヘキサン)で精製を行い、目的物 ある下記式(α-C)で表される化合物α-Cを橙色 液体として得た(9.11g,収率86%)。
TLC R f =0.1(ヘキサン): 1 H-NMR(400MHz,CDCl 3 ):δ 7.97(s,1H),1.42(m,3H),1.13(d,21H,J=7.5Hz):GC-MS(EI):m/ z=320(M + ).

<化合物α-Dの合成>
 加熱乾燥した蓋付き試験管に化合物α-B(5.39g ,10.2mmol)、化合物α-C(3.10mg,9.68mmol)、テトラキ (トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(500mg ,0.433mmol)、及びトルエン(30mL)を入れた後、窒 置換し、4日間還流させた。セライト濾過後 、減圧濃縮した。アルミナカラム(ヘキサン/ 酸エチル=20:1)で精製を行い、目的物である 記式(α-D)で表される化合物α-Dを白色固体と して得た(3.77g,収率81%)。
TLC R f =0.5(ヘキサン/酢酸エチル=20:1): 1 H-NMR(400MHz,CDCl 3 ):δ 8.19(s,2H),1.46(m,6H),1.16(d,42H,J=7.5Hz):GC-MS(DI):m/ z=480(M + ).

<化合物α-Eの合成>
 加熱乾燥したナスフラスコを窒素置換し-40 に冷却した後、テトラヒドロフラン(1mL)、 イソプロピルアミン(0.8mL)、n-ブチルリチウ (1.6M,3.2mL,5.3mmol)を入れた。その後、化合物α- D(385mg,0.801mmol)を加え反応させた。1時間後、-4 0℃でエチル-1-ピペリジンカルボキシラート(2 00mg,1.27mmol)を加え反応させた。1時間後、水を 加え酢酸エチルで抽出した。有機相を硫酸マ グネシウム上で乾燥させ減圧濃縮した。シリ カゲルカラム(ヘキサン/酢酸エチル=20:1)で精 を行い、目的物である下記式(α-E)で表され 化合物α-Eを赤色固体として得た(401mg,収率99 %)。
TLC R f =0.6(ヘキサン/酢酸エチル=20:1): 1 H-NMR(400MHz,CDCl 3 ):δ 1.45(m,6H),1.14(d,42H,J=7.5Hz):GC-MS(DI):m/z=506(M + ).

<化合物α-Fの合成>
 加熱乾燥したナスフラスコに化合物α-E(100mg ,0.197mmol)、及びテトラヒドロフラン(2mL)を入 た。これを、窒素置換した後、0℃に冷却し フッ化テトラブチルアンモニウム(1.0M,0.45mL, 0.45mmol)を加え反応させた。4時間後、室温ま 昇温し、水を加え酢酸エチル、クロロホル で抽出した。有機相を水で洗い硫酸マグネ ウム上で乾燥させ減圧濃縮した。シリカゲ カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)で精 製を行い、目的物である下記式(α-F)で表され る化合物α-Fを紫色固体として得た(30mg,収率78 %)。
TLC R f =0.1(酢酸エチル):GC-MS(DI):m/z=194(M + ).

(実施例α-2)
<化合物α-Gの合成>
 加熱乾燥したナスフラスコに化合物α-E(3.00g ,5.91mmol)、2-塩化エタノール(1.90g,23.6mmol)、DMF(1 60mL)、及びテトラヒドロフラン(80mL)を入れた これを、窒素置換した後、-78℃に冷却し、t -ブトキシカリウム(1.33g,11.9mmol)を加え反応さ た。7時間後、10wt%塩化アンモニウム水溶液 加え酢酸エチルで抽出した。有機相を硫酸 グネシウム上で乾燥させ減圧濃縮した。シ カゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン /酢酸エチル=10:1)で精製を行い、淡橙色固体 得た。加熱乾燥したナスフラスコに得られ 淡橙色固体、テトラヒドロフラン(50mL)を入 た。これを、窒素置換した後、0℃に冷却し フッ化テトラブチルアンモニウム(1.0M,12.5mL, 12.5mmol)を加え反応させた。1時間後、室温ま 昇温し、水を加え酢酸エチルで抽出し有機 を水で洗い硫酸マグネシウム上で乾燥させ 圧濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグ フィー(ヘキサン/酢酸エチル=1:1)で精製を行 、目的物である下記式(α-G)で表される化合 α-Gを淡褐色固体として得た(677mg,収率48%)。
TLC R f =0.6(ヘキサン/酢酸エチル=2:1): 1 H-NMR(400MHz,CDCl 3 ):δ 8.65(s,2H),4.52(s,4H):GC-MS(DI):m/z=238(M + ).

<化合物α-Hの合成>
 加熱乾燥したナスフラスコに化合物α-G(49mg, 0.21mmol)、及びテトラヒドロフラン(2mL)を入れ 。これを、窒素置換し、-78℃に冷却した後 n-ブチルリチウム(1.6M,0.30mL,0.48mmol)を加え反 させた。30分後、-78℃で塩化トリブチルス (160mg,0.49mmol)を加え室温まで昇温させた。1時 間後、水を加え酢酸エチルで抽出した。有機 相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ減圧濃縮 した。アルミナカラム(ヘキサン)で精製を行 、目的物である下記式(α-H)で表される化合 α-Hを黄色液体として得た(126mg,収率75%)。
TLC R f =0.9(ヘキサン/酢酸エチル=20:1): 1 H-NMR(400MHz,CDCl 3 ):δ 4.55(s,4H),1.58(m),1.35(m),1.21(m),0.90(m):GC-MS(DI):m /z=816(M + ).

<化合物α-Iの合成>
 加熱乾燥した蓋付き試験管に化合物α-H(240mg ,0.294mmol)、4’-ブロモ-2,2,2-トリフルオロアセ フェノン(223mg,0.881mmol)、テトラキス(トリフ ニルホスフィン)パラジウム(0)(34mg,0.029mmol) 及びトルエン(6mL)を入れた後、窒素置換し、 13時間還流させた。セライト濾過後減圧濃縮 、得られた赤色固体をメタノール、ジエチ エーテルで洗浄した。ナスフラスコに得ら た赤色固体、酢酸(50mL)、濃塩酸(3mL)を入れ 後、100℃に加熱した。2時間後、室温まで降 し、水を加え生じた固体を水、メタノール ジエチルエーテルで洗浄した。減圧下で昇 精製を行い、目的物である下記式(α-I)で表 れる化合物α-Iを緑色固体として得た(33mg,収 率21%)。
1 H-NMR(400MHz,CDCl 3 ):δ 8.08(d,4H,J=8.8Hz),8.05(d,4H,J=8.8Hz):GC-MS(DI):m/z=53 8(M + ).

 化合物α-IについてX線構造解析を行い、 合した隣り合う分子環同士の二面角を測定 たところ11~12度と平面性が高いことが確認で きた(図13)。また、分子結晶は隣り合う分子 のπ平面が向き合った、π-πスタック構造を し、面間隔0.34nmであることが確認できた(図 14)。

(実施例α-3)
<化合物α-Jの合成>
 加熱乾燥した蓋付き試験管に化合物α-H、2- ロモ-5,5-ジフルオロ-4H-シクロペンタ[b]チオ ェン-4,6(5H)-ジオン、テトラキス(トリフェニ ルホスフィン)パラジウム(0)、及びトルエン 入れた後、窒素置換し還流させた。生成物 、酢酸及び濃塩酸と100℃で反応させて、目 物である下記式(α-J)で表される化合物α-Jを た。

(実施例α-4)
<化合物α-Kの合成>
 加熱乾燥した蓋付き試験管に化合物α-H、下 記式(α-L)で表される化合物α-L、テトラキス( リフェニルホスフィン)パラジウム(0)、及び トルエンを入れた後、窒素置換し還流させた 。生成物を、酢酸及び濃塩酸と100℃で反応さ せることで、目的物である下記式(α-K)で表さ れる化合物α-Kを得た。

(実施例α-5)
<有機薄膜素子1の作製及びトランジスタ特 の評価>
 ゲート電極となる高濃度にドープされたp型 シリコン基板の表面に、絶縁層となるシリコ ン酸化膜を熱酸化により、300nm形成したもの 準備した。この基板の上に、リフトオフ法 よりチャネル幅38mm、チャネル長5μmの櫛形 ース電極及びドレイン電極を形成した。電 付き基板をアセトンで10分間、次いでイソプ ロピルアルコールで10分間超音波洗浄した後 オゾンUVを30分間照射し表面を洗浄した。洗 浄した基板上に、実施例α-2で合成した化合 α-Iを用い、真空蒸着法により基板温度110℃ 堆積速度0.2nm/minで、化合物α-Iの有機薄膜を 10mmの膜厚で堆積させ、有機薄膜素子1を作製 た。有機薄膜素子1に、真空中でゲート電圧 Vgを0~120V、ソース-ドレイン間電圧Vsdを0~100Vの 範囲で変化させ、有機トランジスタ特性を測 定したところ、良好なn型半導体のId-Vg特性が 得られた。このときの移動度は5.6×10 -2 cm 2 /Vs、しきい値電圧20V、オン/オフ比10 6 と良好であった。このことから、化合物α-I 用いた有機薄膜素子1は、n型有機トランジス タとして有効に機能することが確認され、ま た化合物α-Iは電子輸送性に優れた有機n型半 体として利用可能であることが確認された

 また、有機トランジスタ素子1を大気中(約20 ℃)で駆動させても、良好なトランジスタ特 を示し、このときの移動度は1.6×10 -3 cm 2 /Vsであった。

(実施例α-6)
<有機薄膜素子2の作製及びトランジスタ特 の評価>
 ゲート電極となる高濃度にドープされたp型 シリコン基板の表面に、絶縁層となるシリコ ン酸化膜を熱酸化により、300nm形成したもの 準備した。この基板をアセトンで10分間、 いでイソプロピルアルコールで10分間超音波 洗浄した後、オゾンUVを30分間照射し表面を 浄した。洗浄した基板上に、真空蒸着法に り、基板温度110℃、堆積速度0.2Å/secの条件 、化合物α-Iの有機薄膜を10nmの膜厚で堆積 せた。この有機薄膜の上に、シャドウマス を通してAuを20nmの厚さで蒸着し、チャネル 5.0mm、チャネル長50μmのソース電極及びドレ ン電極を形成して有機薄膜素子2を作製した 。得られた有機薄膜素子2について真空中で ート電圧Vg、ソースードレイン間電圧Vsdを変 化させてトランジスタ特性を測定したところ 、良好なId-Vg特性が得られた。このときの移 度は1.6×10 -2 cm 2 /Vs、しきい値電圧41V、オン/オフ比10 4 であった。このことから、化合物α-Iを用い 有機薄膜素子2は、n型有機トランジスタとし て有効に機能することが確認され、また実施 例α-5と同様に化合物α-Iは電子輸送性に優れ 有機n型半導体として利用可能であることが 確認された。

 また、有機トランジスタ素子2を真空中、130 ℃で30分間アニールしたところ、トランジス 特性が向上し、このときの移動度は2.6×10 -2 cm 2 /Vsであった。

 また、有機トランジスタ素子2を大気中(約28 ℃)で駆動させても、良好なトランジスタ特 を示し、このときの移動度は2.1×10 -2 cm 2 /Vsであった。さらに有機トランジスタ素子2 24時間、大気中(約28℃)で放置した後も、移 度は1.3×10 -2 cm 2 /Vsであり、大気中で安定であることが確認さ れた。

(比較例α-1)
<化合物α-Mの合成>
 加熱乾燥した蓋付き試験管に5,5’-ジブロモ -ビチオフェン(242mg,0.75mmol)、4-アセチルフェ ルボロン酸(366mg,2.23mmol)、テトラキス(トリフ ェニルホスフィン)パラジウム(0)(40mg,0.05mmol) NaHCO 3 (438mg,521mmol)及びDME/水混合溶媒(7mL)を入れた後 、窒素置換し、100℃で反応させた。14時間後 減圧濃縮し固体を得た。得られた固体をメ ノール、エーテルで洗浄した後、真空中で 華精製を行い、目的物である下記式(α-M)で される化合物α-Mを淡黄色固体として得た(20 5mg,収率83%)。化合物α-Mの還元電位は、化合物 が不溶のため測定不可であった。
TLC R f =0.0(クロロホルム): 1 H-NMR(400MHz,CDCl 3 ):δ 7.96(m,2H),7.68(m,2H),7.36(m,2H),7.23(m,2H),2.60(s,3H) :GC-MS(DI):m/z=402(M + ).

(比較例α-2)
<有機薄膜素子3の作製及びトランジスタ特 の評価>
 実施例α-2で合成した化合物α-Iに代えて、 較例α-1で合成した化合物α-Mの有機薄膜を成 膜した以外は、実施例α-5と同様にして、有 薄膜素子3を作製した。有機薄膜素子3に、真 空中でゲート電圧Vgを0~100V、ソース-ドレイン 間電圧Vsdを0~100Vの範囲で変化させ、有機トラ ンジスタ特性を測定したところ、n型半導体 Id-Vg特性が得られた。このときの移動度は1.8 ×10 -5 cm 2 /Vs、オン/オフ比10 2 と低かった。

 以上説明したように、第一の発明群によ ば、電子輸送性の優れた有機n型半導体とし て利用可能な新規共役系化合物を提供するこ とができる。また、この新規共役系化合物を 含む有機薄膜、及びこの有機薄膜を備える有 機薄膜素子を提供することができる。

 また、第二の発明群によれば、電子輸送 の優れた有機n型半導体として利用可能な新 規の含窒素縮合環化合物及び新規の含窒素縮 合環重合体を提供することができる。また、 この含窒素縮合環化合物や含窒素縮合環重合 体を含む有機薄膜、並びに、この有機薄膜を 備える有機薄膜素子を提供することができる 。