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Patent Searching and Data


Title:
CONNECTION METAL FITTING AND BUILDING WITH THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/093712
Kind Code:
A1
Abstract:
A building with a connection metal fitting comprises a damping member which is attached between at least a pair of structure bodies and yields in linkage with the relative displacement of the structures. The damping member comprises a yield strength suppression means for suppressing the rise of yield strength after yielding, and causes damping action in linkage with rocking or extension/retraction of at least one of the structures.

Inventors:
KAWAI YOSHIMICHI (JP)
TANAKA HIROSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/051120
Publication Date:
July 30, 2009
Filing Date:
January 23, 2009
Export Citation:
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Assignee:
NIPPON STEEL CORP (JP)
KAWAI YOSHIMICHI (JP)
TANAKA HIROSHI (JP)
International Classes:
E04H9/02; F16F15/02
Foreign References:
JP2006283408A2006-10-19
JP2006214120A2006-08-17
JP2001207679A2001-08-03
JPH0593475A1993-04-16
JPH02229367A1990-09-12
JPH0725160U1995-05-12
JPH1096337A1998-04-14
JP2007217954A2007-08-30
JPH10253004A1998-09-25
JP2003184926A2003-07-03
JPS4814144B11973-05-04
JPS62240747A1987-10-21
JP2005090188A2005-04-07
Attorney, Agent or Firm:
SHIGA, Masatake et al. (Marunouchi Chiyoda-k, Tokyo 20, JP)
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Claims:
 少なくとも一対の構造体間に取り付けられ、これら構造体間の相対変位に伴って降伏する減衰部材を有する接合金物を備えた建築物であって、
 前記減衰部材は、降伏後の耐力上昇を抑制する耐力抑制手段を備え、前記各構造体の少なくとも一方のロッキングまたは伸縮に伴って減衰作用を起こすことを特徴とする接合金物を備えた建築物。
 請求項1に記載の接合金物を備えた建築物であって、
 前記各構造体の一方が建物基礎でかつ、他方が前記建物基礎上に設置された耐力壁の壁脚部であり;
 前記減衰作用が、前記耐力壁のロッキングに伴って起こされ;
 前記接合金物が、
 前記建物基礎に固定されて鉛直方向上方に延びるアンカー部材の側に連結された第1連結部と、
 前記耐力壁の側に連結された第2連結部と、
 これら第1連結部及び第2連結部間を連結する減衰部材とを備え;
 前記耐力壁がロッキングを起こした際に、この耐力壁と共に動く前記第2連結部と、前記アンカー部材で動きが拘束された前記第1連結部との間の相対変位に伴って前記減衰部材が変形することにより、前記減衰作用を起こす。
 請求項1に記載の接合金物を備えた建築物であって、
 前記各構造体の一方が建物基礎でかつ、他方が前記建物基礎上に設置された柱であり;
 前記減衰作用が、前記柱のロッキングまたは浮き上がりに伴って起こされ;
 前記接合金物が、
 前記建物基礎に固定されて鉛直方向上方に延びるアンカー部材の側に連結された第1連結部と、
 前記柱の側に連結された第2連結部と、
 これら第1連結部及び第2連結部間を連結する前記減衰部材とを備え;
 前記柱がロッキングまたは浮き上りをした際に、この柱と共に動く前記第2連結部と、前記アンカー部材で動きが拘束された前記第1連結部との間の相対変位に伴って前記減衰部材が変形することにより、前記減衰効果を起こす。
 請求項1に記載の接合金物を備えた建築物であって、
 前記各構造体の一方が、その長さ方向に沿って延在するフランジを備えた第1の梁でかつ、他方が柱を間に挟んで前記第1の梁に対向する第2の梁であり;
 前記減衰作用が、前記第1の梁及び前記第2の梁の少なくとも一方の曲げ動作による前記フランジの伸縮動作に伴って起こされ;
 前記接合金物が、
 前記第2の梁の端部の側に固定されたアンカー部材に連結された第1連結部と、
 前記第1の梁の前記フランジの端部の側に連結された第2連結部と、
 これら第1連結部及び第2連結部間を連結する前記減衰部材とを備え;
 前記第1の梁が曲げ変形した際に、前記フランジと共に動く前記第2連結部と、前記アンカー部材で動きが拘束された前記第1連結部との相対変位に伴って前記減衰部材が変形することにより、前記減衰効果を起こす。
 請求項1に記載の接合金物を備えた建築物であって、
 前記各構造体の一方が、その長さ方向に沿って延在するフランジを備えた梁でかつ、他方が柱であり;
 前記接合金物が、
 前記柱の側に固定されたアンカー部材に連結された第1連結部と、
 前記梁の前記フランジの端部の側に連結された第2連結部と、
 これら第1連結部及び第2連結部間を連結する前記減衰部材とを備え;
 前記梁が曲げ変形した際に、前記フランジと共に動く前記第2連結部と前記第1連結部とが相対変位して前記減衰部材が変形することにより、前記減衰効果を起こす。
 請求項1に記載の接合金物を備えた建築物であって、
 前記各構造体が、ブレースを複数に分割した分割ブレースであり;
 前記接合金物が、
 前記各分割ブレースの一方の側に連結される第1連結部と、
 前記各分割ブレースの他方に固定されたアンカー部材の側に連結された第2連結部と、
 これら第1連結部及び第2連結部間を連結する前記減衰部材とを備え;
 前記ブレースが伸縮変形した際に、前記各分割ブレースの一方と共に動く前記第1連結部と、前記アンカー部材で動きが拘束された前記第2連結部との間の相対変位に伴って前記減衰部材が変形することにより、前記減衰効果を起こす。
 請求項2~6の何れか1項に記載の接合金物を備えた建築物であって、
 前記第2連結部が、前記第1連結部を間に挟んで互いに対向するように一対で設けられ;
 前記減衰部材が、前記アンカー部材の軸線に対して略線対称をなすように配置されている。
 請求項2~6の何れか1項に記載の接合金物を備えた建築物であって、
 前記第2連結部が、前記第1連結部を中心として放射状をなすように一組で配置され;
 前記減衰部材が、前記アンカー部材の軸線に対して略点対称に配置されている。
 請求項2~6の何れか1項に記載の接合金物を備えた建築物であって、
 前記第2連結部が、一対の連結用鋼板であり;
 これら連結用鋼板が、前記アンカー部材を間に挟んで対向配置され;
 前記減衰部材が、前記各連結用鋼板と前記第1連結部との間を連結するダンパー用鋼板である。
 請求項9に記載の接合金物を備えた建築物であって、
 前記第1連結部が、前記アンカー部材が挿通される筒状鋼材であり;
 前記ダンパー用鋼板が、前記筒状鋼材の周面よりその径方向に向かって延びるように接合され;
 前記各連結用鋼板と前記筒状鋼材との間のそれぞれに1枚ずつ、前記ダンパー用鋼板が配置されている。
 請求項9に記載の接合金物を備えた建築物であって、
 前記第1連結部が、前記アンカー部材が挿通される筒状鋼材であり;
 前記ダンパー用鋼板が、前記筒状鋼材の周面よりその接線方向に延びるように接合され;
 前記各連結用鋼板と前記筒状鋼材との間のそれぞれに2枚ずつ、前記ダンパー用鋼板が配置されている。
 請求項9に記載の接合金物を備えた建築物であって、
 前記ダンパー用鋼板が、前記各連結用鋼板間を連結してかつ、互いに略平行に対向する2枚のダンパー用鋼板であり;
 前記第1連結部が、前記各ダンパー用鋼板の一方の端縁同士および他方の端縁同士をそれぞれ連結する第1端縁連結部材および第2端縁連結部材からなり;
 これら第1端縁連結部材および第2端縁連結部材に、前記アンカー部材が挿通される挿通孔が形成されている。
 請求項9に記載の接合金物を備えた建築物であって、
 前記各連結用鋼板の一方の端部同士および他方の端部同士が、それぞれ第1補強用鋼材および第2補強用鋼材で連結され;
 これら第1および第2の補強用鋼材の少なくとも一方に、前記アンカー部材が挿通される挿通孔が形成されている。
 請求項2に記載の接合金物を備えた建築物であって、
 前記耐力壁が、少なくとも、この耐力壁の側端縁に位置する一対の枠組材と、これら枠組材間に固定される面材とを備え;
 前記各枠組材が、互いに対向する一対の対向面を有する中空断面を有し;
 前記各対向面に前記第2連結部が連結されている。
 請求項14に記載の接合金物を備えた建築物であって、
 前記各枠組材が薄板軽量形鋼からなる、スチールハウスである。 
 一対の構造体間に取り付けられる接合金物であって、
 前記各構造体の一方の側に連結される第1連結部と;
 前記各構造体の他方の側に連結される第2連結部と;
 これら第1連結部及び第2連結部間に連結される減衰部材と;
を備え、
 前記減衰部材は、降伏後の耐力上昇を抑制する耐力抑制手段を備え、前記各構造体間に生じる相対変位に伴って減衰作用を起こす;
ことを特徴とする接合金物。
 請求項16に記載の接合金物であって、
 前記第1連結部と前記第2連結部とが、前記各構造体間に生じる前記相対変位の方向と略直交する方向に沿ってかつ互いに対向する位置にそれぞれ配置され;
 前記相対変位の方向を第1方向とし、前記第1連結部と第2連結部とが対向する方向を第2方向とした場合に、前記減衰部材が、これら第1方向及び第2方向を含む仮想平面に対して略平行に設けられたダンパー用鋼板である。
 請求項17に記載の接合金物であって、
 前記第1方向に沿った前記ダンパー用鋼板の長さ寸法を前記第2方向に沿って見た場合に、
 このダンパー用鋼板の中央部が、その両端部よりも短く、
 なおかつこの中央部の長さ寸法で定められるせん断耐力が上昇した際に、前記両端部が曲げ降伏するように、前記各両端部の長さ寸法が設定され;
 このダンパー用鋼板の形状によって前記耐力抑制手段が構成されている。
 請求項17に記載の接合金物であって、
 前記ダンパー用鋼板の板厚寸法を、前記第2方向に沿って見た場合に、
 このダンパー用鋼板の中央部が、その両端部よりも薄く、
 なおかつこの中央部の板厚寸法で定められるせん断耐力が上昇した際に、前記両端部が曲げ降伏するように、前記両端部の板厚寸法が設定され;
 このダンパー用鋼板の形状によって前記耐力抑制手段が構成されている。
 請求項17に記載の接合金物であって、
 前記第1方向に沿った前記ダンパー用鋼板の長さ寸法を前記第2方向に沿って見た場合に、このダンパー用鋼板の中央部が、その両端部よりも短く;
 前記ダンパー用鋼板の板厚寸法を、前記第2方向に沿って見た場合に、このダンパー用鋼板の中央部が、その両端部よりも薄く;
 なおかつ、前記中央部での長さ寸法および板厚寸法で定められるせん断耐力が上昇した際に前記両端部が曲げ降伏するように、前記両端部の長さ寸法と板厚寸法とが設定され;
 このダンパー用鋼板の形状によって前記耐力抑制手段が構成されている。
 請求項17に記載の接合金物であって、
 前記ダンパー用鋼板の前記両端部に、これら両端部のそれぞれから前記中央部に向かって傾斜した傾斜部が形成されている。
 請求項17に記載の接合金物であって、
 前記ダンパー用鋼板に、略菱形状の切欠き孔が形成され;
 前記菱形形状を形成する一対の対角線の一方が前記第1方向に平行でかつ、他方が前記第2方向に平行である。
 請求項17に記載の接合金物であって、
 前記ダンパー用鋼板に、このダンパー用鋼板を貫いてかつ、前記第2方向に沿って延在する少なくとも1つのスリット孔が形成され;
 このスリット孔を境として前記ダンパー用鋼板を分割した際の各分割鋼板部の長さ寸法が、各々のせん断耐力が上昇した際に前記第2方向に沿った両端部が曲げ降伏するように設定され;
 このダンパー用鋼板の形状によって前記耐力抑制手段が構成されている。
 請求項17に記載の接合金物であって、
 前記ダンパー用鋼板は、降伏耐力が最大耐力に対して2/3以上の降伏耐力比を有する鋼材、および降伏耐力が設計用降伏耐力に対して±20%以内の降伏耐力幅を有する鋼材の、少なくとも一方から形成され;
 このダンパー用鋼板の力学特性によって前記耐力抑制手段が構成されている。
 請求項17に記載の接合金物であって、
 前記ダンパー用鋼板が、所定の降伏耐力比および所定の降伏耐力幅の少なくとも一方を満たすように、析出硬化加工されている。
 請求項17に記載の接合金物であって、
 前記ダンパー用鋼板が、予め初期位置から前記第1方向に沿って所定の変形量だけ変形させ、降伏した状態から前記初期位置に戻す塑性化加工が施された鋼板から形成され;
 この塑性化加工によって前記ダンパー用鋼板の降伏耐力比および降伏耐力幅の少なくとも一方が所定値に設定されている。
 請求項17に記載の接合金物であって、
 前記第2連結部が、前記第1連結部を間に挟む対称位置に配置された一対の連結用部材を含み;
 前記ダンパー用鋼板が、前記第1連結部を間に挟んで略線対称をなすように一対が配置されている。
 請求項17に記載の接合金物であって、
 前記第2連結部が、前記第1連結部を間に挟む略点対称位置に配置された一対の連結用部材を含み;
 前記ダンパー用鋼板が、前記第1連結部を間に挟んで略点対称をなすように一対が配置されている。
Description:
接合金物及びこれを備えた建築

 本発明は、構造体間の相対変位に伴って減 効果を発揮する接合金物と、これを備えた 築物とに関する。
 本出願は、特願2008-14022号及び特願2008-14023 を基礎出願とし、これらの内容をここに取 込む。

 従来、ツーバイフォー構造や木質壁パネル 造、薄板軽量形鋼造などの枠組壁工法建築 において、木材や形鋼からなる枠組材に面 を固定した耐力壁が一般的に用いられてい 。そして、枠組壁工法建築物では、地震や 等により建築物に作用する水平力(外力)を 耐力壁の面材が自らに作用するせん断力と て負担することで、建物全体としての水平 力が確保される。
 ところで、耐力壁を用いた建築物では、一 的に、最下層(1階)の耐力壁の壁脚部がホー ダウン金物等を介して基礎のアンカーボル に連結されている。そして、水平力を負担 た耐力壁がロッキングを起こした際に、ホ ルダウン金物やアンカーボルトが破損しな ように設計されている。ホールダウン金物 アンカーボルトが破損してしまうと、ロッ ングにより、耐力壁が回転して所定の水平 が負担できなくなる。その結果、建物全体 しての水平耐力が低下するという不具合が じてしまう。逆に、耐力壁は比較的高い水 耐力を確保できるものの、水平剛性も高い とから、地震による入力エネルギーが大き なってしまい、より高い水平耐力が必要に るというデメリットもある。

 一方、耐力壁ではなく柱の柱脚部において 、基礎(ベースプレート)と柱脚との間に曲 パネルやせん断パネルを設置し、入力エネ ギーの低減を図った柱脚部の制震構造が提 されている(例えば、特許文献1参照)。
 特許文献1に記載された制震構造では、曲げ パネルやせん断パネルの一方側が溶接等によ って柱脚部に接合され、他方側が取付プレー ト(支持プレート)を介してベースプレートに 合されている。そして、地震等により柱が き上がる方向の引張り力が作用した際に、 げパネルが曲げ降伏したりせん断パネルが ん断降伏したりすることで、引張り力を吸 する。

特開2004-92096号公報

 ところで、特許文献1に記載の制震構造で は、曲げパネルやせん断パネルを介して柱が ベースプレートに連結されている。よって、 柱とベースプレートとが接合されていないた め、柱を立設する際の施工精度が確保しにく く、施工の手間もかかる。さらに、曲げパネ ルやせん断パネルを柱脚部に直接連結してい るため、これらのパネルを地震後に取り換え たり、より高性能のものに交換したりするこ とができず、メンテナンス性が劣るという問 題もある。また、特許文献1に記載の制震構 では、柱脚部の周辺に曲げパネルやせん断 ネルを配置するための広いスペースが必要 なる。そのため、枠組壁工法建築物におけ 耐力壁の壁脚部に利用することが困難であ 。さらに、耐力壁の壁脚部に利用した場合 壁脚部の片側に、特許文献1に記載のような ネルを接合すると、壁脚部にパネルからの 力が作用してしまう。そのため、壁脚部が 損したり、壁脚部の補強が必要になったり るなど、耐震性能の低下やコスト増加を招 する虞もある。

 また、上述した特許文献1に記載の制震構造 では、せん断パネルを用いて柱とベースプレ ートとを連結した場合、せん断降伏するせん 断パネルに繰り返し荷重が作用すると、この せん断パネルのせん断耐力が徐々に上昇(加 硬化)する。この場合、せん断パネルの溶接 及びこの溶接部の周辺の部材に作用する反 が大きくなってしまう。
 すなわち、例えば図30Aに示すように、引張 (曲げ)降伏の場合には、真応力は上昇する のの、断面が縮小(体積一定)する(くびれが じる)ことにより、公称応力の耐力上昇が抑 される。これに対し、図30Bに示すように、 せん断の場合には、断面変化が生じないこ から、真応力の上昇に伴う加工硬化が全断 において生じ、塑性化後のせん断耐力が上 する。このため、設計用のせん断耐力を超 た応力が発生することになり、せん断パネ の溶接部や柱、ベースプレート等が破断す 可能性がある。さらには、せん断パネルの 性化後の剛性が高くなることから、上部の 物へのエネルギー入力が設計値を上回る可 性もある。このような場合、十分な振動抑 効果が期待できない。
 また、前述したように、従来の制震構造で 、せん断パネルを介して柱とベースプレー とが連結されているため、柱を立設する際 施工精度が確保しにくく、施工に手間がか る。さらに、曲げパネルやせん断パネルを 脚部に直接連結しているため、これらパネ を地震後に取り換えたり、より高性能のも に交換したりすることができず、メンテナ ス性が劣るという問題もある。

 本発明は、上記事情に鑑みてなされたも であって、地震等のエネルギーを効果的に 収する振動抑制効果を十分に発揮できてか 、取付性やメンテナンス性に優れた接合金 と、これを備えた建築物との提供を目的と る。

 本発明は、上記課題を解決して係る目的を 成するために以下の手段を採用した。
 すなわち、
(1)本発明の接合金物を備えた建築物は、少な くとも一対の構造体間に取り付けられ、これ ら構造体間の相対変位に伴って降伏する減衰 部材を有する接合金物を備えた建築物であっ て、前記減衰部材が、降伏後の耐力上昇を抑 制する耐力抑制手段を備え、前記各構造体の 少なくとも一方のロッキングまたは伸縮に伴 って減衰作用を起こす。
(2)上記(1)に記載の接合金物を備えた建築物で は、前記各構造体の一方が建物基礎でかつ、 他方が前記建物基礎上に設置された耐力壁の 壁脚部であり;前記減衰作用が、前記耐力壁 ロッキングに伴って起こされ;前記接合金物 、前記建物基礎に固定されて鉛直方向上方 延びるアンカー部材の側に連結された第1連 結部と、前記耐力壁の側に連結された第2連 部と、これら第1連結部及び第2連結部間を連 結する減衰部材とを備え;前記耐力壁がロッ ングを起こした際に、この耐力壁と共に動 前記第2連結部と、前記アンカー部材で動き 拘束された前記第1連結部との間の相対変位 に伴って前記減衰部材が変形することにより 、前記減衰作用を起こす;構成を採用しても い。

 上記接合金物を備えた建築物によれば、 2連結部を耐力壁の壁脚部に連結し、第1連 部をアンカー部材に連結することで、この 合金物で耐力壁と建物基礎とが連結される よって、耐力壁や建物基礎に特別な加工を したり他の部品等を設けたりしなくても、 合金物を設置することができる。そして、 合金物において、第2連結部と第1連結部との 間を連結するように減衰部材が配置されてい るので、減衰部材自体を耐力壁やアンカー部 材に接合する必要がない。そのため、耐力壁 の構成部材を改変したり補強を設けたりする 必要がない。また、耐力壁や接合金物の設置 作業が容易にできて、施工性を向上させるこ ともできる。さらに、第2連結部を壁脚部か 外し、第1連結部をアンカー部材から外せば 接合金物も取り外せるので、地震後の点検 交換などのメンテナンス性を向上させるこ ができる。

(3)上記(1)に記載の接合金物を備えた建築物で は、前記各構造体の一方が建物基礎でかつ、 他方が前記建物基礎上に設置された柱であり ;前記減衰作用が、前記柱のロッキングまた 浮き上がりに伴って起こされ;前記接合金物 、前記建物基礎に固定されて鉛直方向上方 延びるアンカー部材の側に連結された第1連 結部と、前記柱の側に連結された第2連結部 、これら第1連結部及び第2連結部間を連結す る前記減衰部材とを備え;前記柱がロッキン または浮き上り動作をした際に、この柱と に動く前記第2連結部と、前記アンカー部材 動きが拘束された前記第1連結部との間の相 対変位に伴って前記減衰部材が変形すること により、前記減衰効果を起こす;構成を採用 ても良い。
 この場合、前述の耐力壁の壁脚部に接合金 を設けた場合と同様に、柱や建物基礎に特 な加工を施したり他の部品等を設けたりし くても、接合金物を設置することができる そして、減衰部材自体を直接連結する必要 ないため、接合金物の設置作業が容易にで て、施工性を向上させることができるとと に、地震後の点検や交換などのメンテナン 性を向上させることができる。

(4)上記(1)に記載の接合金物を備えた建築物で は、前記各構造体の一方が、その長さ方向に 沿って延在するフランジを備えた第1の梁で つ、他方が柱を間に挟んで前記第1の梁に対 する第2の梁であり;前記減衰作用が、前記 1の梁及び前記第2の梁の少なくとも一方の曲 げ動作による前記フランジの伸縮動作に伴っ て起こされ;前記接合金物が、前記第2の梁の 部の側に固定されたアンカー部材に連結さ た第1連結部と、前記第1の梁の前記フラン の端部の側に連結された第2連結部と、これ 第1連結部及び第2連結部間を連結する前記 衰部材とを備え;前記第1の梁が曲げ変形した 際に、前記フランジと共に動く前記第2連結 と、前記アンカー部材で動きが拘束された 記第1連結部との相対変位に伴って前記減衰 材が変形することにより、前記減衰効果を こす;構成を採用しても良い。
(5)上記(1)に記載の接合金物を備えた建築物で は、前記各構造体の一方が、その長さ方向に 沿って延在するフランジを備えた梁でかつ、 他方が柱であり;前記接合金物が、前記柱の に固定されたアンカー部材に連結された第1 結部と、前記梁の前記フランジの端部の側 連結された第2連結部と、これら第1連結部 び第2連結部間を連結する前記減衰部材とを え;前記梁が曲げ変形した際に、前記フラン ジと共に動く前記第2連結部と前記第1連結部 が相対変位して前記減衰部材が変形するこ により、前記減衰効果を起こす;構成を採用 しても良い。
 この場合、前述の耐力壁の壁脚部に接合金 を設けた場合と同様に、梁端部に特別な加 を施したり他の部品等を設けたりしなくて 、接合金物を設置することができる。そし 、減衰部材自体を直接連結する必要がない め、接合金物の設置作業が容易にできて、 工性を向上させることができるとともに、 震後の点検や交換などのメンテナンス性を 上させることができる。

(6)上記(1)に記載の接合金物を備えた建築物で は、前記各構造体が、ブレースを複数に分割 した分割ブレースであり;前記接合金物が、 記各分割ブレースの一方の側に連結される 1連結部と、前記各分割ブレースの他方に固 されたアンカー部材の側に連結された第2連 結部と、これら第1連結部及び第2連結部間を 結する前記減衰部材とを備え;前記ブレース が伸縮変形した際に、前記各分割ブレースの 一方と共に動く前記第1連結部と、前記アン ー部材で動きが拘束された前記第2連結部と 間の相対変位に伴って前記減衰部材が変形 ることにより、前記減衰効果を起こす;構成 を採用しても良い。
 この場合、前述の耐力壁の壁脚部に接合金 を設けた場合と同様に、ブレース接合部に 別な加工を施したり他の部品等を設けたり なくても、接合金物を設置することができ 。そして、減衰部材自体を直接連結する必 がないため、接合金物の設置作業が容易に きて、施工性を向上させることができると もに、地震後の点検や交換などのメンテナ ス性を向上させることができる。

(7)上記(2)~(6)に記載の接合金物を備えた建築 では、前記第2連結部が、前記第1連結部を間 に挟んで互いに対向するように一対で設けら れ;前記減衰部材が、前記アンカー部材の軸 に対して略線対称をなすように配置されて る;構成を採用してもよい。
(8)上記(2)~(6)に記載の接合金物を備えた建築 では、前記第2連結部が、前記第1連結部を中 心として放射状をなすように一組で配置され ;前記減衰部材が、前記アンカー部材の軸線 対して略点対称に配置されている;構成を採 してもよい。
(9)上記(2)~(6)に記載の接合金物を備えた建築 では、前記第2連結部が、一対の連結用鋼板 あり;これら連結用鋼板が、前記アンカー部 材を間に挟んで対向配置され;前記減衰部材 、前記各連結用鋼板と前記第1連結部との間 連結するダンパー用鋼板である;構成を採用 してもよい。
 上記構成によれば、第2連結部(連結用鋼板) 一対または一組で配置され、減衰部材(ダン パー用鋼板)がアンカー部材の軸線に対して 点対称または略線対称に配置されることで 第2連結部と第1連結部との相対変位に伴って 減衰部材が変形した際の応力が偏心せずに左 右対称に作用する。その結果、偏心による応 力が発生しないように、あるいは偏心による 応力を極めて小さくできる。従って、耐力壁 の壁脚部や柱脚部、梁端部、ブレース接合部 などに作用する偏心曲げモーメント等の負荷 応力に対する補強等が不要、あるいは最小限 の補強とすることができ、構造体の製造コス トの増加が防止できる。さらに、負荷応力が 生じないことで、接合金物を介したアンカー 部材と耐力壁などとの間の力の伝達がスムー ズになり、減衰部材における力学的メカニズ ムが明確になって、減衰効果が確実かつ適切 に発揮され、地震等による振動エネルギーを 効果的に吸収することができる。

(10)上記(9)に記載の接合金物を備えた建築物 は、前記第1連結部が、前記アンカー部材が 通される筒状鋼材であり;前記ダンパー用鋼 板が、前記筒状鋼材の周面よりその径方向に 向かって延びるように接合され;前記各連結 鋼板と前記筒状鋼材との間のそれぞれに1枚 つ、前記ダンパー用鋼板が配置されている; 構成を採用してもよい。
(11)上記(9)に記載の接合金物を備えた建築物 は、前記第1連結部が、前記アンカー部材が 通される筒状鋼材であり;前記ダンパー用鋼 板が、前記筒状鋼材の周面よりその接線方向 に延びるように接合され;前記各連結用鋼板 前記筒状鋼材との間のそれぞれに2枚ずつ、 記ダンパー用鋼板が配置されている;構成を 採用してもよい。
(12)上記(9)に記載の接合金物を備えた建築物 は、前記ダンパー用鋼板が、前記各連結用 板間を連結してかつ、互いに略平行に対向 る2枚のダンパー用鋼板であり;前記第1連結 が、前記各ダンパー用鋼板の一方の端縁同 および他方の端縁同士をそれぞれ連結する 1端縁連結部材および第2端縁連結部材からな り;これら第1端縁連結部材および第2端縁連結 部材に、前記アンカー部材が挿通される挿通 孔が形成されている;構成を採用してもよい
 上記構成によれば、この接合金物を設置す 建物や設置対象の耐力壁などの仕様に応じ 適宜な形態のダンパー用鋼板や第1連結部を 選択することで、発揮させる減衰効果の大き さや、アンカー部材との取付形態の選択肢を 増やすことができる。

(13)上記(9)に記載の接合金物を備えた建築物 は、前記各連結用鋼板の一方の端部同士お び他方の端部同士が、それぞれ第1補強用鋼 および第2補強用鋼材で連結され;これら第1 よび第2の補強用鋼材の少なくとも一方に、 前記アンカー部材が挿通される挿通孔が形成 されている構成を採用してもよい。
 この場合、一対または一組の連結用鋼板を 1補強用鋼材および第2補強用鋼材で連結し ことで、ダンパー用鋼板からの応力が連結 鋼板に作用した際に、連結用鋼板の変形や 動、つまり一対または一組の連結用鋼板同 が初期状態から互いに傾くような変形を第1 よび第2の補強用鋼材で防止することができ る。よって、ダンパー用鋼板の減衰効果を適 切に発揮させることができる。さらに、第1 よび第2の補強用鋼材の少なくともいずれか 形成した挿通孔にアンカー部材を挿通させ ことで、アンカー部材と補強用鋼材(連結用 鋼板およびダンパー用鋼板)との偏心をなく ことができ、偏心による負荷応力の発生を 止することができる。

(14)上記(2)に記載の接合金物を備えた建築物 は、前記耐力壁が、少なくとも、この耐力 の側端縁に位置する一対の枠組材と、これ 枠組材間に固定される面材とを備え;前記各 組材が、互いに対向する一対の対向面を有 る中空断面を有し;前記各対向面に前記第2 結部が連結されている;構成を採用してもよ 。
 この場合、耐力壁を構成する枠組材の一対 対向面に第2連結部を連結する(すなわち、 組材の中空断面内部に接合金物を設置する) とで、接合金物と枠組材との偏心量も最小 にすることができる。よって、枠組材に作 する応力を一層小さくすることができる。 らに、枠組材の中空断面内部に設置するこ で、接合金物が耐力壁の外部に突出せず、 置状態において邪魔になることがないため 耐力壁の設置自由度を向上させることがで る。

(15)上記(14)に記載の接合金物を備えた建築物 、前記各枠組材が薄板軽量形鋼からなる、 チールハウスであってもよい。
 この場合、前述の接合金物を備えた建築物 略同様の効果を得ることができ、接合金物 よび耐力壁の設置自由度やメンテナンス性 向上させることができる。

(16)本発明の接合金物は、一対の構造体間 取り付けられるものであって、前記各構造 の一方の側に連結される第1連結部と;前記各 構造体の他方の側に連結される第2連結部と; れら第1連結部及び第2連結部間に連結され 減衰部材と;を備え、前記減衰部材が、降伏 の耐力上昇を抑制する耐力抑制手段を備え 前記各構造体間に生じる相対変位に伴って 衰作用を起こす。

 上記接合金物によれば、減衰部材に耐力 制手段が設けられているので、減衰部材が 伏した後に繰り返し荷重を受けても、その 力の上昇が抑制でき、設計用耐力を超えた 力が発生することがない。従って、この接 金物を構成する第1、第2連結部などに作用 る応力や、接合金物を取り付ける構造体に 用する応力が設計値を超えることがなく、 れら各部の破損が防止できる。さらに、減 部材の剛性の上昇を抑制することもできる とから、地震等の入力エネルギーが増大す ことなく、減衰部材の減衰効果(エネルギー 収効果)によって設計上期待した振動抑制効 果が得られる。

 また、接合金物において、第1および第2 連結部間に減衰部材が連結され、一組の構 体の各々に第1および第2の連結部が連結され るので、減衰部材自体を構造体に直接連結す る必要がない。そのため、減衰部材を直接に 構造体に連結する構造と比較して、接合金物 の取り付けが容易にでき、取付精度や取付作 業性が向上できる。さらに、第1および第2の 結部を一組の構造体から取り外せば、接合 物を取り外すこともでき、地震後の点検や 換などのメンテナンス性を向上させること できる。

(17)上記(16)に記載の接合金物では、前記第1連 結部と前記第2連結部とが、前記各構造体間 生じる前記相対変位の方向と略直交する方 に沿ってかつ互いに対向する位置にそれぞ 配置され;前記相対変位の方向を第1方向とし 、前記第1連結部と第2連結部とが対向する方 を第2方向とした場合に、前記減衰部材が、 これら第1方向及び第2方向を含む仮想平面に して略平行に設けられたダンパー用鋼板で る;構成を採用してもよい。
(18)上記(17)に記載の接合金物では、前記第1方 向に沿った前記ダンパー用鋼板の長さ寸法を 前記第2方向に沿って見た場合に、このダン ー用鋼板の中央部が、その両端部よりも短 、なおかつこの中央部の長さ寸法で定めら るせん断耐力が上昇した際に、前記両端部 曲げ降伏するように、前記各両端部の長さ 法が設定され;このダンパー用鋼板の形状に って前記耐力抑制手段が構成されている;構 成を採用してもよい。
 上記構成によれば、一組の構造体の相対変 に対し、減衰部材であるダンパー用鋼板が 内方向にせん断変形するように配置した接 金物において、ダンパー用鋼板の中央部の さ寸法を短くしてせん断耐力を決定し、こ 中央部のせん断耐力の上昇に応じて両端部 曲げ降伏するようにダンパー用鋼板の形状 設定したことで、ダンパー用鋼板が負担す 応力を安定化できる。すなわち、前述のよ に、曲げ(引張り)降伏の場合には、真応力 上昇するものの耐力上昇が抑制されること ら、ダンパー用鋼板の両端部が曲げ降伏し 後において、加工硬化によってせん断耐力 上昇したとしても曲げ耐力は上昇せず、こ 曲げ耐力で両端ヒンジとなった応力状態(所 の負担せん断力)で安定することとなる。

(19)上記(17)に記載の接合金物では、前記ダン ー用鋼板の板厚寸法を、前記第2方向に沿っ て見た場合に、このダンパー用鋼板の中央部 が、その両端部よりも薄く、なおかつこの中 央部の板厚寸法で定められるせん断耐力が上 昇した際に、前記両端部が曲げ降伏するよう に、前記両端部の板厚寸法が設定され;この ンパー用鋼板の形状によって前記耐力抑制 段が構成されている;構成を採用してもよい
(20)上記(17)に記載の接合金物では、前記第1方 向に沿った前記ダンパー用鋼板の長さ寸法を 前記第2方向に沿って見た場合に、このダン ー用鋼板の中央部が、その両端部よりも短 ;前記ダンパー用鋼板の板厚寸法を、前記第2 方向に沿って見た場合に、このダンパー用鋼 板の中央部が、その両端部よりも薄く;なお つ、前記中央部での長さ寸法および板厚寸 で定められるせん断耐力が上昇した際に前 両端部が曲げ降伏するように、前記両端部 長さ寸法と板厚寸法とが設定され;このダン ー用鋼板の形状によって前記耐力抑制手段 構成されている;構成を採用してもよい。
 上記構成によれば、ダンパー用鋼板中央部 せん断耐力の上昇に応じて両端部が曲げ降 でき、ダンパー用鋼板の負担する応力が安 化する。

(21)上記(17)に記載の接合金物では、前記ダン ー用鋼板の前記両端部に、これら両端部の れぞれから前記中央部に向かって傾斜した 斜部が形成されている構成を採用してもよ 。
 この場合、傾斜部によって両端部から中央 に向かってダンパー用鋼板の長さ寸法を徐 に短くしていくことで、ダンパー用鋼板内 の応力の流れがスムーズにできる。よって 降伏後の塑性化領域を広くしてエネルギー 収性能および変形性能を向上させることが きる。

(22)上記(17)に記載の接合金物では、前記ダン ー用鋼板に、略菱形状の切欠き孔が形成さ ;前記菱形形状を形成する一対の対角線の一 方が前記第1方向に平行でかつ、他方が前記 2方向に平行である;構成を採用してもよい。
 この場合、略菱形状の切欠き孔を挟んでダ パー用鋼板を分割することができる。よっ 、第1方向に沿ったダンパー用鋼板の全体長 さ寸法に対し、切欠き孔で分割されて長さ寸 法が短く形成された各部ごとに、前述のよう な応力状態が形成されることになる。従って 、1つの接合金物の中に複数の各部鋼板が並 配置されるので、各部の曲げ-せん断に関す 応力-変形関係を維持したまま、その数を適 宜に変更して、接合金物としての減衰効果を 調節することができる。さらに、各部の曲げ モーメントを小さくすることにより、第1お び第2の連結部ならびにその周辺の構造材の 形を抑制することができる。

(23)上記(17)に記載の接合金物では、前記ダン ー用鋼板に、このダンパー用鋼板を貫いて つ、前記第2方向に沿って延在する少なくと も1つのスリット孔が形成され;このスリット を境として前記ダンパー用鋼板を分割した の各分割鋼板部の長さ寸法が、各々のせん 耐力が上昇した際に前記第2方向に沿った両 端部が曲げ降伏するように設定され;このダ パー用鋼板の形状によって前記耐力抑制手 が構成されている;構成を採用してもよい。
 この場合、一組の構造体の相対変位に対し 減衰部材であるダンパー用鋼板が面内方向 せん断変形するように配置した接合金物に いて、スリット孔で分割した各分割鋼板部 長さ寸法を、そのせん断耐力が上昇した際 両端部が曲げ降伏するように設定している これにより、ダンパー用鋼板が負担する応 を安定化できる。すなわち、各分割鋼板部 両端部が曲げ降伏して両端ヒンジとなった 力状態(所定の負担せん断力)で、負担する ん断力が安定することとなる。また、1つの 合金物の中に複数の分割鋼板部が並列配置 れることで、各部の曲げ-せん断に関する応 力-変形関係を維持したまま、その数を適宜 変更することにより接合金物としての減衰 果が調節できる。さらに、各部の曲げモー ントを小さくすることにより、第1および第2 の連結部ならびにその周辺の構造材の変形を 抑制することができる。

(24)上記(17)に記載の接合金物では、前記ダン ー用鋼板が、降伏耐力が最大耐力に対して2 /3以上の降伏耐力比を有する鋼材、および降 耐力が設計用降伏耐力に対して±20%以内の 伏耐力幅を有する鋼材の、少なくとも一方 ら形成され;このダンパー用鋼板の力学特性 よって前記耐力抑制手段が構成されている; 構成を採用してもよい。
 この場合、減衰部材であるダンパー用鋼板 力学特性として、降伏耐力比を2/3以上に設 したり、降伏耐力幅を±20%以内に設定した することで、ダンパー用鋼板が負担する応 を安定化できる。

(25)上記(17)に記載の接合金物では、前記ダン ー用鋼板が、所定の降伏耐力比および所定 降伏耐力幅の少なくとも一方を満たすよう 、析出硬化加工されている構成を採用して よい。
 この場合、塑性化加工を施すことで、降伏 力比や降伏耐力幅を所定値に設定すること できる。このような鋼材をダンパー用鋼板 して用いることで、せん断降伏後の耐力上 を抑制することができる。

(26)上記(17)に記載の接合金物では、前記ダン ー用鋼板が、予め初期位置から前記第1方向 に沿って所定の変形量だけ変形させ、降伏し た状態から前記初期位置に戻す塑性化加工が 施された鋼板から形成され;この塑性化加工 よって前記ダンパー用鋼板の降伏耐力比お び降伏耐力幅の少なくとも一方が所定値に 定されている;構成を採用してもよい。
 この場合、析出硬化加工を施すことで、降 耐力比や降伏耐力幅を所定値に設定するこ ができ、このような鋼材をダンパー用鋼板 して用いることで、せん断降伏後の耐力上 を抑制することができる。
 そして、接合金物周辺に用いられる一般的 構造材の設計耐力が最大耐力の2/3以下であ ことから、接合金物の降伏耐力を最大耐力 2/3以上に設定することで、周辺の構造が最 耐力に達する前に接合金物を降伏させるこ が可能になる。また、同様に、降伏耐力幅 ±20%以内の範囲とすることで、周辺の構造 最大耐力に達する前に接合金物を降伏させ ことができる。

(27)上記(17)に記載の接合金物では、前記第2連 結部が、前記第1連結部を間に挟む対称位置 配置された一対の連結用部材を含み;前記ダ パー用鋼板が、前記第1連結部を間に挟んで 略線対称をなすように一対が配置されている ;構成を採用してもよい。
(28)上記(17)に記載の接合金物では、前記第2連 結部が、前記第1連結部を間に挟む略点対称 置に配置された一対の連結用部材を含み;前 ダンパー用鋼板が、前記第1連結部を間に挟 んで略点対称をなすように一対が配置されて いる;構成を採用してもよい。
 上記構成によれば、第2連結部である連結用 鋼板が第1連結部を挟んで一組で対称配置さ 、ダンパー用鋼板も第1連結部を挟んで一組 略線対称または略点対称に配置される。そ 結果、ダンパー用鋼板が変形した際の応力 偏心せずに左右対称に作用し、偏心による 力が発生しないか、または偏心による応力 極めて小さくできる。従って、一組の構造 に偏心曲げモーメント等の負荷応力が作用 にくくでき、負荷応力に対する補強等が不 または削減できる。さらに、負荷応力が生 ないことで、接合金物を介した一組の構造 間の力の伝達がスムーズになり、ダンパー 鋼板における力学的メカニズムが明確にな て、減衰効果が確実かつ適切に発揮され、 震等による振動エネルギーを効果的に吸収 ることができる。

 上記(1)等に記載の本発明の接合金物を備 た建築物によれば、地震等のエネルギーを 果的に吸収でき、耐震性に優れるとともに 済的な建築物が実現できるとともに、接合 物の設置自由度を向上させ、接合金物周辺 材の補強なども軽減または省略して低コス 化を図ることができる。

 また、上記(16)等に記載の本発明の接合金 物によれば、地震等のエネルギーを効果的に 吸収でき、耐震性に優れるとともに経済的な 建築物が実現できるとともに、接合金物の取 付性やメンテナンス性の向上を図ることがで きる。

図1は、本発明の第1実施形態に係る、 合金物を備えた建築物の概略構成を示す正 図である。 図2は、同建築物を構成する耐力壁の分 解斜視図である。 図3は、同耐力壁と建物基礎との連結構 造を示す斜視図である。 図4は、同連結構造の接合金物を示す斜 視図である。 図5は、同接合金物の変形状態を示す正 面図である。 図6は、同接合金物の変形例を示す斜視 図である。 図7は、同接合金物の他の変形例を示す 斜視図である。 図8は、本発明の第2実施形態に係る、 合金物を備えた建築物の一部を示す斜視図 ある。 図9は、同実施形態の変形例を示す斜視 図である。 図10は、同実施形態の他の変形例を示 斜視図である。 図11は、本発明の第3実施形態に係る、 接合金物を備えた建築物の一部を示す斜視図 である。 図12Aは、同実施形態の変形例を示す 面図である。 図12Bは、同実施形態の他の変形例を す正面図である。 図12Cは、同実施形態のさらに他の変 例を示す正面図である。 図13は、本発明の第4実施形態に係る、 接合金物を備えた建築物の一部を示す正面図 である。 図14Aは、同実施形態の変形例を示す 面図である。 図14Bは、同実施形態の他の変形例を す正面図である。 図14Cは、同実施形態のさらに他の変 例を示す正面図である。 図15は、同実施形態のさらに他の変形 を示す正面図である。 図16は、同実施形態のさらに他の変形 を示す正面図である。 図17は、同実施形態のさらに他の変形 を示す斜視図である。 図18は、本発明の第5実施形態に係る接 合金物を示す斜視図である。 図19は、同接合金物の正面図である。 図20は、同接合金物の変形状態を示す 面図である。 図21は、同接合金物の変形例を示す正 図である。 図22は、本発明の第6実施形態に係る接 合金物を示す正面図である。 図23は、同接合金物の変形例を示す正 図である。 図24は、本発明の第6実施形態に係る接 合金物を示す正面図である。 図25は、本発明の第7実施形態に係る接 合金物を示す正面図である。 図26は、同接合金物の製造手順を示す 視図である。 図27は、同接合金物の取付手順を示す 視図である。 図28は、同接合金物の詳細構造を示す 分拡大図である。 図29Aは、本発明の接合金物の載荷試 結果を示すグラフである。 図29Bは、比較例の接合金物の載荷試 結果を示すグラフである。 図30Aは、鋼材の曲げとせん断におけ 応力-ひずみ関係を示すグラフである(引張り (曲げ)降伏の場合)。 図30Bは、鋼材の曲げとせん断におけ 応力-ひずみ関係を示すグラフである(純せん 断の場合)。

符号の説明

 1  建築物
 2  建物基礎
 6  アンカーボルト(アンカー部材)
 10  耐力壁
 11  枠組材
 12  面材
 14  フランジ(対向面)
 20,30,40,50,60,70,80  接合金物
 21,31  壁連結用鋼板(第2連結部)
 22,32  上部補強用鋼材
 22A,32A  挿通孔
 23,33  下部補強用鋼材
 23A,33A  挿通孔
 26,36,52,65  筒状鋼材(第1連結部)
 27,37,47,54,67  ダンパー用鋼板(減衰部材)
 45  上端縁連結部材(第1連結部)
 46  下端縁連結部材(第1連結部)
 45A,46A  挿通孔
 45B,46B,47A,53,66  固定片部(第2連結部)
 51,61,71  柱
 62,72  梁
 63  柱梁接合部
 73  ブレース
 74  ブレース接合部
 106  アンカーボルト(アンカー部材)
 110  周辺の構造材
 120,130,140,140A,150,160  接合金物
 121,131,141,151  連結用鋼板(第2連結部)
 125,135,145,155  筒状鋼材(第1連結部)
 126,136,146,156,166  ダンパー用鋼板(減衰部材)
 126B,136B  傾斜部
 136C  切欠き孔
 146B  スリット孔
 165  U字形鋼材(第1連結部)
 166C  固定片部(第2連結部)

〔第1実施形態〕
 以下、本発明の第1実施形態を図面に基づい て説明する。
 図1は、本実施形態に係る枠組壁工法建築物 1の概略構成を示す正面図である。図2は、枠 壁工法建築物1を構成する耐力壁10を示す分 斜視図である。図3は、耐力壁10と基礎2との 連結部を示す斜視図である。
 図1~図3において、枠組壁工法建築物1は、地 盤G上に構築された鉄筋コンクリート製の基 2と、この基礎2上に固定された建物本体3と この建物本体3の上部を覆って設けられる屋 4とを備えた2階建ての住宅である。

 建物本体3は、各階に複数設けられた耐力 壁10と、各階の床位置に設けられる梁5と、図 示しない床パネル等とを有し、これらの耐力 壁10、梁5および床パネルを互いに緊結して構 成されている。1階の耐力壁10の下端部は、ア ンカーボルト6を介して建物基礎2に緊結され いる。1階の耐力壁10の上端部、および2階の 耐力壁10の上下端部は、適宜な接合部材を介 て梁5に緊結されている。各階には、耐力壁 10が複数枚ずつ配置され、耐力壁10同士の間 は、開口部7が形成されている。

 耐力壁10は、図2に示すように、薄板軽量 鋼(リップ溝形鋼)からなる枠組材11と、この 枠組材11を四周枠組みした一方の面に接合さ る鋼製折板からなる面材12とで構成されて る。つまり、枠組壁工法建築物1は、耐力壁1 0の枠組材11が薄板軽量形鋼から構成されると ともに、面材が鋼製折板から構成されたスチ ールハウスであり、耐力壁10の室外側に図示 ない断熱材や外装材(サイディング)等が設 られている。耐力壁10の室内側には、内装材 等が設けられるようになっている。

 耐力壁10の枠組材11は、ウェブ13と、この ェブ13の両端部に連続する一対の対向面で るフランジ14とを有し、断面略U字形(又はC字 形)の中空状に形成されている。枠組材11のう ち、両側端縁に設けられる縦の枠組材11は、2 つの溝形鋼がウェブ13同士で接合されて形成 れている。また、面材12は、所定の接合間 で設けられたビス(タッピングビス)によって 枠組材11に接合されている。この耐力壁10で 、ビスの接合間隔や、面材12の材質(材料強 )や厚さ寸法等を調節することで、水平方向 さ当たりの降伏せん断耐力が適宜設定され いる。

 1階の耐力壁10の下端部(壁脚部)における 右両側の縦の枠組材11には、図3に示すよう 、ウェブ13と一対のフランジ14とで囲まれた 空内部に接合金物20が設置されている。こ 接合金物20は、枠組材11のフランジ14にボル 15で固定されるとともに、基礎2から延びる ンカーボルト6にも連結されるようになって る。そして、接合金物20は、建築物1に地震 の水平力が入力した際に、耐力壁10が水平 を負担してロッキングを起こし、耐力壁10の 左右いずれかの下端部が基礎2から浮き上が 方向に力が作用することで、減衰効果を発 する。

 すなわち、耐力壁10の一方側から水平力 作用した場合には、一方側の縦の枠組材11下 端部が基礎2から浮き上がるように耐力壁10が ロッキングする。すると、一方側の枠組材11 取り付けた接合金物20がアンカーボルト6に っ張られて変形し、減衰効果を発揮する。 の際、他方側の縦の枠組材11下端部は、基 2の上面に載置されているために移動量が極 て小さく、他方側の枠組材11に取り付けた 合金物20には変形が生じない。

 次に、接合金物20について、図4および図5に 基づいて詳しく説明する。
 図4は、接合金物20およびアンカーボルト6を 示す斜視図である。図5は、接合金物20の変形 状態を示す正面図である。
 図4および図5に示すように、接合金物20は、 枠組材11のフランジ14に連結される一対の壁 結部である壁連結用鋼板21と、これら一対の 壁連結用鋼板21の上部同士に渡って接合され 上部補強用鋼材22と、一対の壁連結用鋼板21 の下部同士に渡って接合される下部補強用鋼 材23を有する。そして、接合金物20は、これ 壁連結用鋼板21、上部および下部補強用鋼材 22,23で形成された四周枠状のフレーム24を備 て構成されている。上部補強用鋼材22および 下部補強用鋼材23の略中央には、アンカーボ ト6を挿通させるための挿通孔22A,23Aが形成 れている。

 接合金物20のフレーム24内部には、一対の 壁連結用鋼板21間に渡って設けられる上下の ランジ板25と、一対の壁連結用鋼板21間の中 央位置にて上下のフランジ板25を連結する筒 鋼材26と、筒状鋼材26の左右から径方向に延 びる減衰部材であるダンパー用鋼板27とが設 られている。上下のフランジ板25は、壁連 用鋼板21に溶接接合されている。これらフラ ンジ板25の中央部には、アンカーボルト6を挿 通させるための挿通孔が形成されている。筒 状鋼材26は、アンカーボルト6に連結されるア ンカー連結部であって、その中空内部にアン カーボルト6を挿通した状態で、上下のフラ ジ板25の上下からナット28を締め付けること 、アンカーボルト6が連結される。

 一対のダンパー用鋼板27は、矩形状の鋼 から構成され、それぞれ外側の側端縁が壁 結用鋼板21の内面に溶接接合され、内側の側 端縁が筒状鋼材26の周面に溶接接合され、上 端縁が上下のフランジ板25に溶接接合され いる。一対のダンパー用鋼板27は、アンカー ボルト6の軸線に対して略線対称に配置され いる。接合金物20は、図5に示すように、耐 壁10がロッキングして枠組材11が浮き上がっ 際に、枠組材11とともにフレーム24が上方に 移動し、アンカーボルト6によって筒状鋼材26 が下方に引っ張られ、その結果、一対のダン パー用鋼板27がせん断変形する。そして、せ 断変形したダンパー用鋼板27が所定のせん 耐力でせん断降伏し、このようなせん断変 -耐力関係の所定の履歴ループを描いて繰り し変形することで、エネルギーを吸収する すなわち、ダンパー用鋼板27の履歴吸収エ ルギーに応じた減衰効果(履歴減衰)が発揮さ れる。

 なお、耐力壁10に取り付ける接合金物とし は、前述の構成に限らず、以下の図6および 7に示す接合金物30,40のような構成を採用し もよい。
 図6および図7は、それぞれ本実施形態の変 例に係る接合金物20,30を示す斜視図および分 解斜視図である。
 図6に示す接合金物30は、接合金物20と略同 の壁連結用鋼板31、上部補強用鋼材32、下部 強用鋼材33からなるフレーム34を備えている 。上部補強用鋼材32および下部補強用鋼材33 略中央には、前記アンカーボルト6を挿通さ るための挿通孔32A,33Aが形成されている。

 接合金物30のフレーム34内部には、一対の 壁連結用鋼板31間に渡って設けられる前後一 のダンパー用鋼板37と、これら一対のダン ー用鋼板37の間に位置する筒状鋼材36とが設 られている。筒状鋼材36は、アンカーボル 6に連結されるアンカー連結部であって、そ 中空内部にアンカーボルト6を挿通した状態 で、上下からナット28を締め付けることで、 ンカーボルト6が連結される。ダンパー用鋼 板37は、断面略U字形に形成され、その両端部 が壁連結用鋼板31に溶接接合(フレア溶接)さ るとともに、その中央のスリット37Aを介し 筒状鋼材36に溶接接合(スロット溶接)されて る。すなわち、ダンパー用鋼板37は、筒状 材36の周面に沿って接線方向に延びて接合さ れ、一対の壁連結用鋼板31の各々と筒状鋼材3 6との間に2枚ずつで配置されている。

 一方、図7に示す接合金物40は、前記フレ ム24,34を備えていない。この接合金物40は、 アンカー連結部として上下一対で設けられる 上端縁連結部材45および下端縁連結部材46と 前後一対で互いに対向して略平行に延びる2 のダンパー用鋼板47とを有する。上端縁連 部材45および下端縁連結部材46は、2枚のダン パー用鋼板47の上端縁同士および下端縁同士 それぞれ連結するもので、アンカーボルト6 を挿通させるための挿通孔45A,46Aが形成され いる。

 上端縁連結部材45および下端縁連結部材46 には、上下からナット48を締め付けることで アンカーボルト6が連結されるとともに、左 右両端部に折り曲げ形成された固定片部45B,46 Bを介して枠組材11のフランジ14にボルト接合 れる。ダンパー用鋼板47は、断面略U字形に 成され、その両端部に折り曲げ形成された 定片部47Aが、上端縁連結部材45および下端 連結部材46の固定片部45B,46Bとともに、枠組 11のフランジ14にボルト接合される。すなわ 、固定片部45B,46Bおよび固定片部47Aによって 、接合金物40における壁連結部が構成されて る。

 ダンパー用鋼板47の内側には、それぞれ 下に延びる一対のリブ47Bが形成され、これ リブ47Bで囲まれた内部に、アンカーボルト6 挿通できるようになっている。また、上端 連結部材45および下端縁連結部材46には、リ ブ47Bに対応した位置に各4つずつの切欠き45C,4 6Cが形成されている。これら切欠き45C,46Cは、 接合金物40が変形する際に、ダンパー用鋼板4 7のせん断変形を拘束しない。ダンパー用鋼 47は、固定片部47Aとリブ47Bとの間に位置する 板状の部分がせん断変形して、減衰効果を発 揮する。

 以上説明の本実施形態によれば、次に示す うな各種作用効果が得られる。
 すなわち、本実施形態では、枠組壁工法建 物1の耐力壁10の壁脚部に、建物基礎2と連結 される接合金物20,30,40を設置した。その結果 地震等の水平力が建築物1に作用した際に、 耐力壁10がロッキングして接合金物20,30,40の ンパー用鋼板27,37,47が変形することにより減 衰効果が発揮される。従って、接合金物20,30, 40の減衰効果に応じたエネルギー吸収を行っ 、建築物1の振動を抑制することができ、耐 震性能を向上させることができる。そして、 耐力壁10において所定のせん断力を負担した 態でのロッキングに対して、ダンパー用鋼 27,37,47がせん断降伏するような設定にして くことで、耐力壁10の負担せん断力が過大に ならない。なおかつ、ダンパー用鋼板27,37,47 降伏によって建築物1の振動周期が長周期化 することから、地震の入力エネルギー自体を 抑制することができ、経済的な建築物1の設 が可能になる。

 また、接合金物20,30,40では、壁連結部(壁 結用鋼板21,31、固定片部45B,46B,47A)が左右一 で配置され、減衰部材(ダンパー用鋼板27,37,4 7)がアンカーボルト6の軸線に対して略線対称 に配置されている。その結果、減衰効果を発 揮する際の偏心による負荷応力の発生を防止 できる。従って、耐力壁10の壁脚部(枠組材11) に作用する偏心曲げモーメント等の負荷応力 に対する補強等が不要、あるいは補強の度合 いを最小限とすることができ、耐力壁10の製 コストの増加が防止できる。さらに、負荷 力が生じないことで、接合金物20,30,40を介 たアンカーボルト6と耐力壁10との間の力の 達がスムーズになる。その結果、ダンパー 鋼板27,37,47における力学的メカニズムが明確 になり、減衰効果が確実かつ適切に発揮され 、地震等による振動エネルギーを効果的に吸 収することができる。

 さらに、壁連結部(壁連結用鋼板21,31、固 片部45B,46B,47A)を耐力壁10の枠組材11に連結し 、アンカー連結部(筒状鋼材26,36、上端縁連結 部材45および下端縁連結部材46)をアンカーボ ト6に連結することで、接合金物20,30,40を介 て耐力壁10と建物基礎2とが連結されている この構成によれば、耐力壁10や建物基礎2に 常の構造を用いることができる。そして、 合金物20,30,40内にダンパー用鋼板27,37,47が配 置されているので、ダンパー用鋼板27,37,47自 を直接的に耐力壁10に溶接する必要がない そのため、耐力壁10や接合金物20,30,40の製造 設置作業が容易にできて、施工性を向上さ ることができる。さらに、接合金物20,30,40 耐力壁10から取り外すことも容易にでき、地 震後の点検や交換などのメンテナンス性を向 上させることができる。

 接合金物20,30では、一対の壁連結用鋼板21 ,31を上部補強用鋼材22,32および下部補強用鋼 23,33で連結してフレーム24,34を形成し、その 内部にダンパー用鋼板27,37および筒状鋼材26,3 6を配置した構成を採用している。この構成 よれば、ダンパー用鋼板27,37からの減衰効果 が壁連結用鋼板21,31に作用した際に、壁連結 鋼板21,31の変形等を防止することができる さらに、上部補強用鋼材22,32および下部補強 用鋼材23,33に形成した挿通孔22A,23A,32A,33Aにア カーボルト6を挿通することで、アンカーボ ルト6とフレーム24,34との偏心をなくすことが できる。その結果、偏心による負荷応力の発 生を防止することができるので、ダンパー用 鋼板27,37の減衰効果を適切に耐力壁10および 物基礎2に伝達することができる。

〔第2実施形態〕
 以下、本発明の第2実施形態を図8~図10に基 いて説明する。
 図8~図10は、それぞれ本実施形態に係る接合 金物を有した建築物の一部を示す斜視図であ る。
 これら図8~図10において、接合金物50は、建 基礎2上に設置される柱51における柱脚部に り付けられ、柱51のロッキングまたは浮き りによって減衰効果を発揮するように構成 れている。接合金物50は、前記第1実施形態 各接合金物20,30,40と略同様の構成を備え、建 物基礎2に固定されて上方に延びるアンカー 材であるアンカーボルト6に連結される第1連 結部である筒状鋼材52と、柱51に連結される 2連結部である固定片部53と、筒状鋼材52と固 定片部53とに渡って接合される減衰部材であ 一対のダンパー用鋼板54とを備えて構成さ ている。

 図8に示す柱51は、角形鋼管から構成され その四周各面にそれぞれ一対のブラケット5 5が突出して固定されている。これら一対の ラケット55間には、接合金物50が固定されて る。図9に示す柱51は、円形鋼管から構成さ 、その外周面の4箇所にそれぞれ一対のブラ ケット55が突出して固定されている。これら 対のブラケット55間には、接合金物50が固定 されている。図10に示す柱51は、H形鋼から構 され、そのウェブ56を挟んだ2箇所において 対のフランジ57間に渡って接合金物50が固定 されている。この接合金物50では、柱51がロ キングしたり建物基礎2から浮き上ったりし 際に、柱51と一体移動する固定片部54と、ア ンカーボルト6で移動が拘束された筒状鋼材53 との相対変位に伴ってダンパー用鋼板55が変 し、このダンパー用鋼板55の変形によって 衰効果を発揮する。

〔第3実施形態〕
 以下、本発明の第3実施形態を図11および図1 2A~図12Cに基づいて説明する。
 図11は、本実施形態に係る接合金物を有し 建築物の一部を示す斜視図である。
 図11において、接合金物60は、建築物の柱61 梁62とが接合される柱梁接合部63において、 梁62の端部に取り付けられ、梁62の曲げによ 上下フランジ64の伸縮によって減衰効果を発 揮する。接合金物60は、前記第1、第2実施形 の各接合金物20,30,40,50と略同様の構成を備え 、柱61または柱61を挟んで対向した梁62端部に 固定されたアンカー部材であるアンカーボル ト6に連結される第1連結部である筒状鋼材65 、梁62端部に連結される第2連結部である固 片部66と、筒状鋼材65と固定片部66との間を 結する減衰部材である一対のダンパー用鋼 67とを備えている。

 柱61は、角形鋼管から構成され、梁62は、 H形鋼から構成され、この梁62の上下のフラン ジ64外面にそれぞれ一対のブラケット68が突 して固定され、これら一対のブラケット68間 に接合金物60が固定されている。アンカーボ ト6は、柱61を貫通して左右の接合金物60に って設けられ、左右の接合金物60の筒状鋼材 65に固定されている。この接合金物60では、 62が曲げ変形した際に、梁62の上下フランジ6 4と一体移動する固定片部66と、アンカーボル ト6で移動が拘束された筒状鋼材65との相対変 位に伴ってダンパー用鋼板67が変形し、この ンパー用鋼板67の変形によって減衰効果を 揮する。

 図12A~図12Cは、本実施形態の建築物の一部を 示す正面図であり、図12Aは、図11と同様の柱 接合部を示す正面図であり、図12B及び図12C 、本実施形態の変形例を示す正面図である
 図12Bに示すように、接合金物60は、梁62の端 部下端面(下フランジ)のみに設けられており 床スラブ62Aが設けられる梁62の上端面には 接合金物60が設けられていない。
 図12Cに示すように、接合金物60は、梁62の端 部上端面(上フランジ)のみに設けられており 柱61に連結部材62Bで接合される梁62の下端面 には、接合金物60が設けられていない。
 すなわち、本実施形態では、接合金物60は 梁62の上下端面(上フランジおよび下フラン )のうちの少なくともいずれか一方に設けら ていればよい。

〔第4実施形態〕
 以下、本発明の第4実施形態を図13および図1 4A~図14Cに基づいて説明する。
 図13は、本実施形態に係る接合金物を有し 建築物の一部を示す正面図である。
 図13に示すように、接合金物70は、建築物の 柱71と梁72とで囲まれた内部において、左右 柱71間かつ上下階の梁72間に斜めに掛け渡さ るブレース73を分割したブレース接合部74に 取り付けられ、ブレース73の伸縮によって減 効果を発揮するように構成されている。接 金物70は、前記第1~第3実施形態の各接合金 20,30,40,50,60と略同様の構成を備え、分割され たブレース接合部74の一方に連結される第2連 結部と、分割されたブレース接合部74の残る 方に固定されたアンカー部材であるアンカ ボルト6に連結される第1連結部と、これら 第1連結部と第2連結部との間を連結する減衰 部材とを備えて構成されている。

 一方および他方のブレース73は、それぞ H形鋼から構成され、一方のブレース73(図13 の右上がりに設置されたブレース)は、その ランジが柱71および梁72の構面に平行に配置 され、他方のブレース73(図13中の右下がりに 置されたブレース)は、そのウェブが柱71お び梁72の構面に平行に配置されている。そ て、ブレース73の一対のフランジ間に渡って 接合金物70が固定され、つまり一方および他 のブレース73において、互いの接合金物70が 交差する向きに取り付けられている。また、 アンカーボルト6は、分割されたブレース接 部74に渡って一対の接合金物70の第1連結部同 士を連結する。また、一方および他方のブレ ース73に設けられるアンカーボルト6同士は、 互いに干渉しない位置を通過するように配置 されている。この接合金物70では、ブレース7 3が伸縮変形した際に、分割されたブレース73 の一方と一体移動する第2連結部と、アンカ ボルト6で移動が拘束された第1連結部との相 対変位に伴って減衰部材が変形し、この減衰 部材の変形によって減衰効果を発揮するよう になっている。

 図14A~図14Cは、本実施形態の変形例を示す正 面図である。
 図14A及び図14Bに示すように、ブレースは、 71と梁72とで囲まれた内部においてV字形に 対で配置されている。これら一対のブレー の各々には、接合金物70が設けられている。 図14Aの例では、一対のブレースの交差位置が 柱71の中間部に設けられ、図14Bの例では、一 のブレースの交差位置が梁72の中間部に設 られている。
 図14Cに示すように、ブレースは、梁72より め上方に延在してかつ柱71をその下方より支 えるように、左右対称に配置されている。こ れらブレースの各々には、接合金物70が設け れている。
 すなわち、本実施形態において、ブレース 架設形態は、X字形(counterbrace、X-type brace)に 限らず、縦横のV字形(V-type brace)や/字形(standa rdbrace)、あるいはほおづえ状(anglebrace)のいず であってもよい。

 なお、本発明は、前記各実施形態のみに限 されるものではなく、本発明の目的を達成 きる他の構成等を含み、以下に示すような 形等も本発明に含まれる。
 例えば、前記第1実施形態においては、2階 ての住宅である枠組壁工法建築物1に本発明 接合金物20,30,40を設置するものとしたが、 築物としては、3階建て以上のものでもよく また建築物の用途も住宅に限定されない。 らに、枠組壁工法建築物1として、耐力壁10 枠組材11が薄板軽量形鋼から構成されたス ールハウスについて説明したが、これに限 ず、耐力壁10の枠組材11が木質材料から構成 れたツーバイフォー構造建築物であっても い。また、耐力壁10の面材12としては、鋼製 折板に限らず、構造用合板やセメント成形板 や石膏ボード等の各種板材が使用可能である 。

 また、接合金物20,30,40,50,60,70の各部材を構 する鋼材としては、任意の各種鋼材(建築構 用鋼材や機械構造用鋼材)が利用可能である 。しかしながら、降伏後の履歴減衰を発揮さ せるダンパー用鋼板27,37,47,55,67に用いる鋼材 しては、変形性能に優れた低降伏点鋼など 採用するのが好ましい。ただし、減衰部材 しては、鋼材からなるダンパー用鋼板27,37,4 7,55,67に限らず、鉛などから形成されて粘性 衰を発揮するものや、各種の樹脂材料や粘 性材料から形成されたものなど、変形によ て減衰効果を発揮するものであれば、材質 限定されない。
 なお、ダンパー用鋼板のように弾塑性変形 能を備えている減衰部材の場合は、地震の 模に応じて優れた効果を発揮する。例えば 震度の小さい地震の際は、部材にかかる応 は降伏応力以下、つまり弾性変形のみが発 し建築物および減衰部材に損傷を与えない 一方、巨大地震の際は減衰部材が十分に塑 変形し、振動エネルギーを吸収することに り、建築物の損傷を最小限に止めることが きる。
 これに対して、各種スプリングのような弾 変形材料を減衰部材として使用した場合は 巨大地震の際にエネルギーを吸収すること く、振幅が長時間継続し建築物に損傷を与 る虞がある。
 さらに、オイルダンパーのような粘性体を 衰部材として使用した場合は、減衰性能が 幅速度あるいは温度に依存するため、様々 種類の地震に対して、安定した減衰性能が られない欠点がある。
 以上の理由で、弾塑性変形性能を備えるダ パー鋼板が、減衰部材として非常に好まし 。

 また、前記第1実施形態では、耐力壁10の脚 と建物基礎2のアンカーボルト6とを連結す ように接合金物20を設けたが、これに限らず 、図15に示すように、上下階に設置される耐 壁10同士を接合金物80およびアンカーボルト 6で連結してもよい。
 さらに、上下階の耐力壁10同士を連結する 造に限らず、図16に示すように、耐力壁10と これに隣接する腰壁9Aや垂壁9Bとを接合金物 80およびアンカーボルト6で連結してもよい。
 また、耐力壁10としては、前記第1実施形態 説明したように、枠組材11と、この枠組材11 に接合される面材12とを有したものに限らず 図17に示すように、枠組材11の内部にブレー ス材16が設けられた耐力壁10Aでもよい。

 その他、本発明を実施するための最良の構 、方法などは、以上の記載で開示されてい が、本発明は、これらのみに限定されるも ではない。すなわち、本発明は、主に特定 実施形態に関して特に図示され、かつ説明 れているが、本発明の技術的思想および目 の範囲から逸脱することなく、以上述べた 施形態に対し、形状、材質、数量、その他 詳細な構成において、当業者が様々な変形 加えることができる。
 従って、上記に開示した形状、材質などを 定した記載は、本発明の理解を容易にする めに例示的に記載したものであり、本発明 限定するものではないから、それらの形状 材質などの限定の一部もしくは全部の限定 外した部材の名称での記載は、本発明に含 れる。

[第5実施形態]
 図18は、接合金物120を示す斜視図である。 19は、接合金物120の取付状態を示す正面図で ある。図20は、接合金物120の変形状態を示す 面図である。
 図18および図19に示すように、接合金物120は 、周辺の構造材110に連結される一対の第2連 部である連結用鋼板121と、これら一対の連 用鋼板121の上部同士間を連結する上部補強 鋼材122と、一対の連結用鋼板121の下部同士 を連結する下部補強用鋼材123とを有する。 って、接合金物120は、連結用鋼板121、上部 よび下部補強用鋼材122,123で形成された四周 状のフレーム124を備えている。上部補強用 材122および下部補強用鋼材123の略中央には アンカーボルト106を挿通させるための挿通 122A,123Aが形成されている。

 接合金物120のフレーム124内部には、一対の 結用鋼板121間の中央位置に設けられる筒状 材125と、一対の連結用鋼板121間に渡って筒 鋼材125を間に挟むように設けられる前後一 のダンパー用鋼板126とが設けられている。 状鋼材125は、アンカーボルト106に連結され 第1連結部であって、その中空内部にアンカ ーボルト106を挿通した状態で、上下からナッ ト127を締め付けることで、アンカーボルト106 が連結される。
 ダンパー用鋼板126は、断面略U字形に形成さ れ、その両端部が連結用鋼板121に溶接接合( レア溶接)されるとともに、その中央のスリ ト126Aを介して筒状鋼材125に溶接接合(スロ ト溶接)されている。すなわち、ダンパー用 板126は、筒状鋼材125の周面に沿って接線方 に延びて接合され、一対の連結用鋼板121の 々と筒状鋼材125との間に2枚ずつで計4枚が アンカーボルト106の軸線に対して略線対称 配置されている。

 この接合金物120において、一対の連結用 板121と筒状鋼材125とは、アンカーボルト106 軸線方向(つまり上下方向であるとともに、 一対の構造体間に生じる相対変位の方向であ る第1方向)と略直交して互いに対向配置され いる。連結用鋼板121と筒状鋼材125との間に いて、ダンパー用鋼板126の上下端縁(第2方 に沿った両端縁)には、連結用鋼板121側およ 筒状鋼材125側の両端部から中央部に向かっ 傾斜した傾斜部126Bが形成されている。すな わち、ダンパー用鋼板126における鉛直上下方 向の長さ寸法は、連結用鋼板121側および筒状 鋼材125側の両端部よりも中央部が短くなって いる。

 接合金物120は、図20に示すように、周辺 構造材110とともにフレーム124が上方に移動 、アンカーボルト106によって筒状鋼材125が 方に引っ張られることで、一対のダンパー 鋼板126がせん断変形する。その際、せん断 形したダンパー用鋼板126が所定のせん断耐 でせん断降伏するようになっている。この 、ダンパー用鋼板126のせん断耐力は、連結 鋼板121および筒状鋼材125の中央部の長さ寸 で決定され、このせん断耐力が上昇した際 は、連結用鋼板121側および筒状鋼材125側の 端部が曲げ降伏するように、両端部の長さ 法が設定されている。従って、地震のよう 繰り返し荷重を受けた場合には、ダンパー 鋼板126の中央部のせん断耐力が上昇し始め と、両端部が曲げ降伏して両端ヒンジ状態 なる。そして、この両端ヒンジ状態におけ 負担せん断力を略上限耐力とした履歴ルー を描いて変形することになる。このような 歴ループを描くことで、ダンパー用鋼板126 、履歴吸収エネルギーに応じた減衰効果(履 減衰)を発揮することができる。

 なお、本実施形態の接合金物としては、前 の構成に限らず、図21に示す接合金物130の うな構成であってもよい。
 図21は、本実施形態の変形例に係る接合金 130を示す正面図である。
 接合金物130は、接合金物120と略同様の連結 鋼板131、上部補強用鋼材132、下部補強用鋼 133からなるフレーム134と;筒状鋼材135と;ダ パー用鋼板136と;を備えている。接合金物130 、連結用鋼板131が枠組材111にボルトで固定 れるとともに、筒状鋼材135の上下からナッ 137を締め付けることでアンカーボルト106に 結される。

 この接合金物130では、ダンパー用鋼板136 上下端縁に、連結用鋼板131側および筒状鋼 135側の両端部から中央部に向かって傾斜し 傾斜部136Bが形成されるとともに、その上下 方向中間位置に、略菱形状の切欠き孔136Cが 成されている。この切欠き孔136Cは、その菱 の一方の対角線が上下方向(第1方向)に平行 かつ、他方の対角線が左右方向(第2方向)に 行に設けられるとともに、各辺の傾斜角度 傾斜部136Bと略同一角度となるように形成さ れている。すなわち、接合金物130のダンパー 用鋼板136は、切欠き孔136Cによって上下に分 されている。これらの分割された各部は、 述のダンパー用鋼板126と同様に、曲げ-せん 降伏することで減衰効果を発揮する。なお 接合金物130は、切欠き孔136Cが上下方向に1 だけ設けられたものに限らず、2つ以上の切 き孔136Cが上下方向に並べて設けられていて もよい。

 以上説明の本実施形態によれば、次に示す うな各種作用効果が得られる。
 すなわち、接合金物120,130では、ダンパー用 鋼板126,136が曲げ-せん断降伏するような形状 採用している。その結果、これらダンパー 鋼板126,136がせん断降伏した後に繰り返し荷 重を受けても、そのせん断耐力の上昇が抑制 でき、設計用のせん断耐力を超えた応力が発 生しない。従って、接合金物120,130の連結用 板121,131や周辺の構造材110に作用する応力が 計値を超えることがなく、それら各部の破 が防止できる。さらに、ダンパー用鋼板126, 136の剛性の上昇を抑制することもできること から、地震等の入力エネルギーが増大するこ となく、ダンパー用鋼板126,136の減衰効果(エ ルギー吸収)によって設計上、期待した振動 抑制効果が得られる。

 また、接合金物120,130は、連結用鋼板121,13 1が左右一対で配置され、減衰部材(ダンパー 鋼板126,136)がアンカーボルト106の軸線に対 て略線対称に配置されている。その結果、 衰効果を発揮する際の偏心による負荷応力 発生が防止できる。さらに、負荷応力が生 ないことで、ダンパー用鋼板126,136における 学的メカニズムが明確になって、減衰効果 確実かつ適切に発揮され、地震等による振 エネルギーを効果的に吸収することができ 。

 また、接合金物120,130内にダンパー用鋼板 126,136が配置されているので、ダンパー用鋼 126,136自体を直接的に周辺の構造材110に溶接 る必要がない。そのため、接合金物120,130の 設置作業が容易にできて、施工性を向上させ ることができる。さらに、接合金物120,130を 辺の構造材110から取り外すことも容易にで 、地震後の点検や交換などのメンテナンス を向上させることができる。

 また、接合金物120,130では、一対の連結用鋼 板121,131を上部補強用鋼材122,132および下部補 用鋼材123,133で連結してフレーム124,134を形 し、その内部にダンパー用鋼板126,136および 状鋼材125,135を配置している。このような構 成を採用しているので、ダンパー用鋼板126,13 6からの曲げモーメントが連結用鋼板121,131に 用した際に、連結用鋼板121,131の変形等を防 止することができる。さらに、上部補強用鋼 材122,132および下部補強用鋼材123,133に形成し 挿通孔122A,123Aにアンカーボルト106を挿通す ことで、アンカーボルト106とフレーム124,134 との偏心をなくすことができる。その結果、 偏心による負荷応力の発生を防止することが できるので、ダンパー用鋼板126,136の減衰効 を発揮することができる。
 なお、本実施形態では、ダンパー用鋼板136 傾斜部136B及び切欠き孔136Cを形成したが、 れらの代わり(またはこれら構成と共に)、ダ ンパー用鋼板136自体の板厚を、その幅方向中 央位置にて他の箇所よりも薄くする構成も採 用可能である。この場合にも、本実施形態と 同様の作用効果を得ることが出来る。

[第6実施形態]
 次に、本発明の第6実施形態の接合金物140,14 0Aについて、図22および図23に基づいて説明す る。
 図22および図23は、それぞれ本実施形態の接 合金物140,140Aを示す正面図である。
 接合金物140,140Aは、前記接合金物120と略同 の連結用鋼板141、上部補強用鋼材142、下部 強用鋼材143からなるフレーム144と;筒状鋼材1 45と;ダンパー用鋼板146と;を備えている。こ ら接合金物140,140Aは、連結用鋼板141が周辺の 構造材110にボルトで固定されるとともに、筒 状鋼材145の上下からナット147を締め付けるこ とで、アンカーボルト106に連結される。

 これら接合金物140,140Aにおいて、ダンパ 用鋼板146は、全体矩形板状に形成され、一 の連結用鋼板141に溶接接合(フレア溶接)され るとともに、その中央のスリット146Aを介し 筒状鋼材145に溶接接合(スロット溶接)されて いる。このダンパー用鋼板146には、連結用鋼 板131と筒状鋼材135との間において、左右方向 (第2方向)に延びてこのダンパー用鋼板146を貫 通する複数のスリット孔146Bが形成されてい 。これらスリット孔146Bで分割されたダンパ 用鋼板146の各分割鋼板部146Cは、上下に隣接 して設けられている。これら分割鋼板部146C 鉛直上下方向の長さ寸法は、互いに同一に 定されており、各々の分割鋼板部146Cがせん 降伏して繰り返し荷重によりせん断耐力が 昇した際に、分割鋼板部146Cにおける連結用 鋼板141側および筒状鋼材145側の両端部が曲げ 降伏するように設定されている。

 これら接合金物140,140Aでは、各分割鋼板 146Cが曲げ-せん断降伏することで減衰効果を 発揮する。その際、各分割鋼板部146Cは、両 部が曲げ降伏して両端ヒンジ状態となり、 の両端ヒンジ状態における負担せん断力を 上限耐力とした履歴ループを描いて変形す ことになる。なお、接合金物140と接合金物14 0Aとでは、ダンパー用鋼板146の高さ寸法が相 し、分割鋼板部146Cの数が異なるものの、各 分割鋼板部146Cの形態(長さ寸法と長さ寸法と 関係)は同一になっている。すなわち、接合 金物140Aの方がダンパー用鋼板146全体として 負担せん断力(減衰効果)が大きく設定されて いるが、これら接合金物140,140Aにおいて、各 割鋼板部146Cの曲げ-せん断の降伏特性は共 とされている。従って、接合金物140,140Aによ れば、前記第5実施形態と略同様の効果を得 ことができる。

[第7実施形態]
 次に、本発明の第7実施形態の接合金物150に ついて、図24に基づいて説明する。
 図24は、本実施形態の接合金物150の正面図 ある。
 接合金物150は、前記接合金物120と略同様の 結用鋼板151、上部補強用鋼材152、下部補強 鋼材153からなるフレーム154と;筒状鋼材155と ;ダンパー用鋼板156と;を備えて構成されてい 。接合金物150は、連結用鋼板151が周辺の構 材110にボルトで固定されるとともに、筒状 材155の上下からナット157を締め付けること アンカーボルト106に連結されている。

 この接合金物150において、ダンパー用鋼 156は、全体矩形板状に形成され、一対の連 用鋼板151に溶接接合(フレア溶接)されると もに、その中央のスリット156Aを介して筒状 材155に溶接接合(スロット溶接)されている ダンパー用鋼板156は、予め図24に示す初期位 置から鉛直上下方向(第1方向)に所定の変形量 だけせん断変形させ、せん断降伏した状態か ら初期位置に戻す塑性化加工が施された後に 耐力壁110に設置されるか、または、析出硬化 加工が施された鋼材(析出強化鋼)から形成さ ている。すなわち、ダンパー用鋼板156に塑 化加工を施すか析出強化鋼を用いることで ダンパー用鋼板156の降伏耐力比が2/3以上に 定されるか、または降伏耐力幅が±20%以内 設定されている。従って、ダンパー用鋼板15 6におけるせん断降伏後の耐力上昇が抑制さ 、所定のせん断耐力上限値を超えないよう 履歴ループを描いて変形する。従って、接 金物150によれば、前記第5実施形態と略同様 効果を得ることができる。

[第8実施形態]
 次に、本発明の第8実施形態の接合金物160に ついて、図25~図28に基づいて説明する。
 図25は、第8実施形態の接合金物160を示す正 図である。図26の(A)~(C)および図27の(A)及び(B )は、接合金物160の製造手順および取付手順 示す斜視図である。図28は、接合金物160の詳 細構造を示す正面図である。
 接合金物160は、アンカーボルト106に連結さ る第1連結部である一対のU字形鋼材165と、 のU字形鋼材165に溶接接合される一対のダン ー用鋼板166とを備えている。接合金物160は ダンパー用鋼板166の側端縁に形成された第1 連結部である固定片部166Cが周辺の構造材110 ドリルネジ115Aで固定され、U字形鋼材165の上 下からのナット167でアンカーボルト106に連結 されている。また、ダンパー用鋼板166には、 上下端部の第1スリット166Aと、これら第1スリ ット166A間に並んだ複数の第2スリット166Bとが 形成され、これらの第1および第2のスリット1 66A,166Bからなる列が左右対称に2列で設けられ ている。

 この接合金物160において、ダンパー用鋼 166は、図26の(A)に示すように、板状鋼板に ーザー孔開け加工によって第1スリット166Aお よび第2スリット166Bを形成する。その後、図2 6の(B)に示すように、側端縁を折り曲げて固 片部166C形成し、上下端縁の突出部を折り曲 て折曲片部166Dを形成する手順で成形される 。また、U字形鋼材165は、図26の(C)に示すよう に、断面略U字形で長尺状の鋼材であり、こ U字形鋼材165の側面長手方向に沿ってスリッ 孔165Aを形成しておき、このスリット孔165A 介してダンパー用鋼板166にU字形鋼材165をス ット溶接する。そして、図27の(A)に示すよ に、溶接接合したU字形鋼材165およびダンパ 用鋼板166を一組用意し、これらを周辺の構 材110に設置するとともに、一対のU字形鋼材 165間にアンカーボルト106を挿通させる。この ように設置してから、周辺の構造材110の外側 からドリルネジ115Aをダンパー用鋼板166の固 片部166Cに螺合する。さらに、アンカーボル 106に設けたナット167を締め付け、アンカー ルト106にU字形鋼材165を連結することで、接 合金物160の製造および取付が完了する。

 次に、ダンパー用鋼板166の詳細構造につい 、図28に基づいて説明する。
 第1スリット166Aおよび第2スリット166Bは、そ れぞれ左右方向の長さ寸法(つまり、分割鋼 部166Eの長さ寸法l)が同一に設定され、第1ス ット166Aは、両端部から中央部に向かって第 2スリット166Bに向かって高さ寸法が大きくな 傾斜を有して形成され、第2スリット166Bは 両端部から中央部に向かって上下対称に高 寸法が大きくなる傾斜を有して形成されて る。
 すなわち、第1および第2のスリット166A,166B に位置するダンパー用鋼板166の分割鋼板部16 6Eは、両端部の長さ寸法bよりも中央部の長さ 寸法bcが短く形成された略菱形状とされてい 。このような分割鋼板部166Eの形状は、以下 の式(1)、(2)で規定される寸法に設定されてい る。また、ダンパー用鋼板166における第1ス ット166Aよりも上端側または下端側のスチフ 部166Fの長さ寸法bsは、以下の式(3)で規定さ る寸法に設定されている。

 M/Z<σy …(1)
 ここで、Mは、分割鋼板部166Eの両端部に作 する曲げモーメントであり、Zは、分割鋼板 166Eの両端部における断面係数であり、Z=t・ b 2 /6である(tは、ダンパー用鋼板166の板厚寸法) また、σyは、ダンパー用鋼板166の降伏引張 力度である。
 1.5Q/A<τy …(2)
 ここで、Qは、分割鋼板部166Eに作用するせ 断力であり、Aは、分割鋼板部166Eの中央部に おける断面積であり、A=t・bcである。また、 yは、ダンパー用鋼板166の降伏せん断応力度 ある。
 P/(t・bs)<σy …(3)
 ここで、Pは、スチフナ部166Fに作用する引 り力または圧縮力であり、M/bである。
 以上の式(1)、(2)によれば、図28に示すよう 、分割鋼板部166Eに曲げモーメントMおよびせ ん断力Qが作用した状態で、分割鋼板部166Eの 央部がせん断降伏して両端部が曲げ降伏す こととなり、このような関係となる分割鋼 部166Eにおける両端部の長さ寸法bと中央部 長さ寸法bcとの寸法比が算出される。
 また、式(3)によれば、図28に示すように、 チフナ部166Fに作用する引張り力または圧縮 Pに対して引張り降伏または圧縮降伏しない ようなスチフナ部166Fの長さ寸法bsが算出され る。

 また、分割鋼板部166Eにおいて、曲げ降伏後 の変形性能を確保するとともに耐力上昇を抑 制する条件としては、以下の式(4)、(5)を満足 していることが好ましい。
 b/t<10 …(4)
 l/b>3 …(5)
 以上の式(4)を満足するように分割鋼板部166E における両端部の長さ寸法bと板厚寸法tとの (幅圧比)を設定しておくことで、分割鋼板 166Eの不安定挙動が抑制でき、曲げ降伏後の 形性能を向上させることができる。また、 (5)を満足するように分割鋼板部166Eにおける 長さ寸法100lと両端部の長さ寸法bとの比を設 しておくことで、端部のせん断降伏が抑制 き、耐力上昇を抑制することができる。
 このような接合金物160では、各分割鋼板部1 66Eが曲げ降伏することで両端ヒンジ状態とな り、この両端ヒンジ状態における負担せん断 力を略上限耐力とした履歴ループを描いて変 形することになる。従って、耐力上昇が抑制 された安定した減衰効果を発揮することがで きる。

 具体的に、前記各実施形態の接合金物120,130 ,140,140A,150,160を用いた場合の繰り返し載荷試 結果を、図29A及び図29Bに示す。
 図29Aは、本発明の接合金物による試験結果 示すグラフであり、図29Bは、比較例の接合 物による試験結果を示すグラフである。
グラフの横軸は、層間変形角θを示している 層間変形角とは、上層と下層の変位を、上 と下層の間の距離(高さ)で除した値である 単位はラジアンである。
 ここで、本発明の接合金物では、ダンパー 鋼板が曲げ降伏するように設定されており これによって耐力の上昇が抑制されるよう なっている。これに対して比較例の接合金 では、ダンパー用鋼板の上下端縁にリブを けて曲げ降伏しないように設定されている

 図29Aに示す本発明の接合金物の場合では、 力上昇が抑えられ、安定してかつ面積の大 な履歴ループが描かれており、大きな履歴 衰を得られることが確認できた。一方、図2 9Bの比較例の接合金物の場合では、耐力が徐 に上昇している。さらに、単調載荷の場合 りも繰り返し載荷を行った方が、耐力上昇 より大きくなることが分かる。
 以上のことから、本発明の接合金物によれ 、耐力の上昇を抑制し、さらにエネルギー 収性能に優れた接合金物が実現できる。よ て、建物の振動を効果的に抑制できる接合 物が実現できる。

 なお、本発明は、前記実施形態のみに限 されるものではなく、本発明の目的を達成 きる他の構成等を含み、以下に示すような 形等も本発明に含まれる。

 接合金物120,130,140,140A,150,160の各部材を構成 る鋼材としては、任意の各種鋼材(建築構造 用鋼材や機械構造用鋼材)が利用可能である しかしながら、降伏後の履歴減衰を発揮さ るダンパー用鋼板126,136,146,156に用いる鋼材 しては、変形性能に優れた鋼材が好ましい ダンパー用鋼板の変形性能としては、第1連 部と第2連結部との相対変位として10mmを超 るまで耐力低下しない性能を有することが ましい。
 また、前記第5および第8実施形態では、ダ パー用鋼板の端部よりも中央部の長さ寸法 短く形成した略菱形状としたが、これに限 ず、ダンパー用鋼板の端部よりも中央部の 厚寸法を薄く形成してもよく、さらに幅寸 および板厚寸法の両方に関し、ダンパー用 板の端部よりも中央部で小さくなるように 成してもよい。

 その他、本発明を実施するための最良の構 、方法などは、以上の記載で開示されてい が、本発明は、これらのみに限定されるも ではない。すなわち、本発明は、主に特定 実施形態に関して特に図示され、かつ説明 れているが、本発明の技術的思想および目 の範囲から逸脱することなく、以上述べた 施形態に対し、形状、材質、数量、その他 詳細な構成において、当業者が様々な変形 加えることができる。
 従って、上記に開示した形状、材質などを 定した記載は、本発明の理解を容易にする めに例示的に記載したものであり、本発明 限定するものではないから、それらの形状 材質などの限定の一部もしくは全部の限定 外した部材の名称での記載は、本発明に含 れる。

 本発明によれば、地震等のエネルギーを効 的に吸収する振動抑制効果を十分に発揮で 、かつ取付性やメンテナンス性に優れた接 金物と、これを備えた建築物とを提供する とができる。