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Patent Searching and Data


Title:
CONSTANT VELOCITY JOINT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/102587
Kind Code:
A1
Abstract:
A constant velocity joint in which gas can flow between the outside and inside of a boot with liquid prevented from flowing between them. The constant velocity joint has an outer ring (4), an inner ring (6) placed so as to be rockable relative to the outer ring (4), a shaft connected at one end to the inner ring (6), torque transmission members (7) placed between the inner and outer rings, allowing the inner ring (6) to rock, and engaging with the inner and outer rings for transmission of torque between them, and a seal structure for air tightly sealing both left and right openings of the outer ring (4). The seal structure around the shaft is constructed as a rubber or resin boot (2) allowing the shaft to rock. A portion of the seal structure is constructed from an air permeable film (26) having craze allowing air to pass but preventing liquid from passing.

Inventors:
TAKABE SHINICHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/050694
Publication Date:
August 28, 2008
Filing Date:
January 21, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NTN TOYO BEARING CO LTD (JP)
TAKABE SHINICHI (JP)
International Classes:
F16D3/84; F16J3/04; F16J15/52
Foreign References:
JP2005127442A2005-05-19
JPH11320670A1999-11-24
JP2006032006A2006-02-02
JP2001182237A2001-07-03
JPH0285024U1990-07-03
JP2001090801A2001-04-03
Attorney, Agent or Firm:
TANAKA, Hideyoshi et al. (15-26 Edobori 1-chome, Nishi-k, Osaka-shi Osaka 02, JP)
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Claims:
 外輪と、前記外輪に対して相対的に揺動自在に配設した内輪と、前記内輪に一端を連結したシャフトと、前記内外輪間にあって内輪の揺動を許容すると共に内外輪に係合して内外輪間のトルク伝達を行う複数のトルク伝達部材と、前記外輪の左右両側開口を気密にシールするシール構体とを有し、少なくとも前記シャフトの周囲の前記シール構体をシャフトの揺動を許容するゴム製又は樹脂製のブーツで構成した等速ジョイントにおいて、
 前記シール構体の一部を、空気の通過を許容するが液体の通過は阻止するクレイズを生成してなる通気性フィルムで構成したことを特徴とする等速ジョイント。
 前記シャフトと反対側の前記外輪の開口を気密にシールする前記シール構体の中心部分に通気口を形成し、前記通気口を、空気の通過を許容するが液体の通過は阻止するクレイズを生成してなる通気性フィルムで閉塞したことを特徴とする請求項1に記載の等速ジョイント。
 前記シャフトと反対側の前記外輪の開口を気密にシールする前記シール構体の回転中心から1~20mm偏心した位置に通気口を形成し、前記通気口を、空気の通過は許容するが液体の通過は阻止するクレイズを生成してなる通気性フィルムで閉塞したことを特徴とする請求項1に記載の等速ジョイント。
 前記シャフトと反対側の前記外輪の開口を気密にシールする前記シール構体の少なくとも中心部分を、外壁と内壁の二重壁で構成すると共に、前記二重壁の内部に半径方向に延在した気液分離空間を形成し、前記外壁の中心部に第1通気口を形成すると共に、前記第1通気口を、空気の通過を許容するが液体の通過を阻止するクレイズを生成してなる通気性フィルムで閉塞し、前記内壁の中心部に第2通気口を形成すると共に、内壁の前記第2通気口の半径方向外方に前記気液分離空間に連通した戻し口を形成したことを特徴とする請求項2又は3に記載の等速ジョイント。
 前記外輪が車両の取付フランジ部に取付可能な車両取付面を有し、当該車両取付面と前記取付フランジ部との間に部分的に隙間を設け、この隙間を前記通気口又は第1通気口の外側に連通させたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の等速ジョイント。
 前記シャフトの外周面に接する前記ブーツの取付部に軸線方向に延びる第3通気口を形成し、前記第3通気口を、空気の通過を許容するが液体の通過は阻止するクレイズを生成してなる通気性フィルムで閉塞したことを特徴とする請求項1に記載の等速ジョイント。
 前記第3通気口が、前記ブーツと前記シャフトとの取付部内に軸線方向に沿って形成した単一又は複数の細孔であることを特徴とする請求項6に記載の等速ジョイント。
 前記シャフトの周囲の前記シール構体であるゴム製又は樹脂製のブーツにおいて、前記シャフトの外周面に接する前記ブーツの取付部に隣接したブーツ斜辺部に、単一又は複数の第4通気口を形成し、前記第4通気口を、空気の通過を許容するが液体の通過は阻止するクレイズを生成してなる通気性フィルムで閉塞したことを特徴とする請求項1に記載の等速ジョイント。
 前記通気性フィルムを、高分子樹脂フィルムにその分子配向方向と略平行な縞状のクレイズを生成して構成したことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の等速ジョイント。
 前記クレイズに添加剤層を形成したことを特徴とする請求項9に記載の等速ジョイント。
 前記高分子樹脂フィルムをその分子配向方向と略平行に折り曲げて折曲げ線を形成すると共に、折り曲げた高分子樹脂フィルムの両面を押え部材で押えつつ前記折曲げ線に対し直交方向に引っ張って前記分子配向方向と略平行に縞状の前記クレイズを生成したことを特徴とする請求項9又は10に記載の等速ジョイント。
 前記高分子樹脂フィルムの一面に、押圧体の鋭角の角部を高分子樹脂フィルムの分子配向方向と略平行に押し付けて折曲げ線を形成すると共に、前記高分子樹脂フィルムに前記押圧体の角部を押し付けたまま高分子樹脂フィルムを前記折曲げ線に対して直交方向に引っ張って前記分子配向方向と略平行に縞状の前記クレイズを生成したことを特徴とする請求項9又は10に記載の等速ジョイント。
Description:
等速ジョイント

 本発明は、自動車のプロペラシャフト及 ドライブシャフトや各種産業機械に用いら る等速ジョイントに係り、特にブーツの内 で無理の無い通気作用を可能にしてブーツ 極端な変形を防止した等速ジョイントに関 る。

 自動車等に使用される等速ジョイントは 外部からジョイント内部に砂塵等が侵入す のを防止すると共に、ジョイント内部のグ ース等が外部に漏洩するのを防止するため 図1(A)のようにシャフト1側にブーツ2が装着 れる。図1(A)は本発明の実施形態を示すもの であるが、従来の等速ジョイントの説明用と して便宜的に援用する。このブーツ2は一般 にゴム材あるいは可撓性樹脂材で構成され 。自動車のプロペラシャフトのように作動 が小さく高速回転するシャフト1に取付けら る等速ジョイントでは、高速回転時の遠心 によるブーツ2の膨張を抑制するために、剛 性のある円筒状の金属環3をブーツ2に一体化 ることが多い。この金属環3は外輪4の外径 に加締固定又はボルト固定される。なお、 ーツ2の形状は図1(A)のようなものに限られな い。

 ブーツ2は金属環3の開口端部に加締結合 れる大径取付部2aと、シャフト1に圧入され ブーツバンド5で締付固定される小径取付部2 bと、大径取付部2aと小径取付部2bとを連結す 湾曲断面の屈曲部2cで構成される。ブーツ2 に延びたシャフト1の端部には内輪6が固定 れ、外輪4と内輪6との間にシャフト1ないし 輪6の揺動を許容し、かつ、内外輪間でトル 伝達を可能にする複数のボール7と、各ボー ル7を保持するケージ8が配設される。外輪4は ボルト等により車両側の取付フランジ部24aに 固定される。

 このような等速ジョイント用ブーツ2にお いては、とりわけ自動車の動力伝達用等速ジ ョイント用においては、自動車の運転状態に 応じて、ジョイントの内部温度が上昇したり 、あるいはジョイントの周辺部分の温度が上 昇することでジョイント自体も温度が上昇し てブーツ2内部の圧力が上昇したり、逆にそ 後に冷却されて負圧になるなどして圧力が きく変動する。このためブーツ2が過大に変 し、ブーツ2の耐久性が極端に低下すること がある。なお、この種の等速ジョイントは内 輪と外輪が軸方向に相対移動(プランジング) 能なスライド式と、プランジングをしない 定式があるが、圧力によるブーツ2の変形は 共通した現象である。

 ブーツ2の圧力による変形の問題を解決する ため、図7~図9のように、ブーツ2のシャフト1 取付け部に通気孔13とリップ部14を設け、か つ、このリップ部14の先端にシャフト1側の突 出した突起15を不連続的に複数形成すること より、内圧上昇時にはリップ部14を外側に 放し、負圧時にはリップ部14を閉じた状態で 突起15間の狭い隙間から外気を導入する構造 することにより、ブーツ2にかかる圧力を極 力低減して、ブーツ2の寿命を高めるように ている(特許文献1参照)。

特開平8-28704号公報

 特許文献1の場合、ブーツ2の過大変形は る程度緩和されるものの、シャフト1外周面 の間に隙間がある以上、この隙間を通じて 部からの砂塵や泥水の浸入、あるいは内部 封入されたグリースの漏れ等を確実に防ぐ とはできない。

 本発明は斯かる実情に鑑み、液体の流通 阻止した状態でブーツ内外の気体の流通を 能とした等速ジョイントを提供することを 的とする。

 請求項1の発明は、外輪と、前記外輪に対 して相対的に揺動自在に配設した内輪と、前 記内輪に一端を連結したシャフトと、前記内 外輪間にあって内輪の揺動を許容すると共に 内外輪に係合して内外輪間のトルク伝達を行 う複数のトルク伝達部材と、前記外輪の左右 両側開口を気密にシールするシール構体とを 有し、少なくとも前記シャフトの周囲の前記 シール構体をシャフトの揺動を許容するゴム 製又は樹脂製のブーツで構成した等速ジョイ ントにおいて、前記シール構体の一部を、空 気の通過を許容するが液体の通過は阻止する クレイズを生成してなる通気性フィルムで構 成したものである。

 クレイズを生成してなる通気性フィルム 、等速ジョイントの内外の空気の通過を許 するので、ブーツ内外で圧力差が生じるの 防止することができる。これにより、ブー の過大変形によるブーツ寿命の低下を阻止 ることができる。また、前記通気性フィル は液体の通過を阻止するので、等速ジョイ ト内部への砂塵や泥水等の浸入と、等速ジ イント内部のグリースの外部への漏洩を防 することができる。また、クレイズを生成 てなる通気性フィルムを容易に製造するこ ができるので、製造コストの低減に繋がる

 請求項2の発明は、請求項1に記載の等速 ョイントにおいて、前記シャフトと反対側 前記外輪の開口を気密にシールする前記シ ル構体の中心部分に通気口を形成し、前記 気口を、空気の通過を許容するが液体の通 は阻止するクレイズを生成してなる通気性 ィルムで閉塞したものである。

 このようにシール構体の中心部に通気口 形成しておくことにより、等速ジョイント 転時にジョイント内部に封入したグリース どの潤滑剤が遠心力でジョイント内部の外 側に偏在した状態になるから、通気口付近 はグリース付着が非常に少ない状態にする とができる。従って、通気口に配設した通 性フィルムがグリースで覆われることを回 でき、通気性フィルムの通気性を良好に維 することができる。

 請求項3の発明は、請求項1に記載の等速 ョイントにおいて、前記シャフトと反対側 前記外輪の開口を気密にシールする前記シ ル構体の回転中心から1~20mm偏心した位置に 気口を形成し、前記通気口を、空気の通過 許容するが液体の通過は阻止するクレイズ 生成してなる通気性フィルムで閉塞したも である。

 これにより、等速ジョイント内部に封入 たグリースが通気性フィルムに付着しても 等速ジョイントの回転による遠心力で、そ 付着したグリースを通気性フィルムから自 除去することができる。また、通気口の形 位置の偏心量が大き過ぎず、通気性フィル が遠心力により移動したグリースに浸され 虞もない。

 請求項4の発明は、請求項2又は3に記載の 速ジョイントにおいて、前記シャフトと反 側の前記外輪の開口を気密にシールする前 シール構体の少なくとも中心部分を、外壁 内壁の二重壁で構成すると共に、前記二重 の内部に半径方向に延在した気液分離空間 形成し、前記外壁の中心部に第1通気口を形 成すると共に、前記第1通気口を、空気の通 を許容するが液体の通過を阻止するクレイ を生成してなる通気性フィルムで閉塞し、 記内壁の中心部に第2通気口を形成すると共 、内壁の前記第2通気口の半径方向外方に前 記気液分離空間に連通した戻し口を形成した ものである。

 等速ジョイント内部のグリースが内壁の 2通気口から気液分離空間内に侵入しても、 等速ジョイントの回転による遠心力で、グリ ースを半径方向外方に振り飛ばし、戻し口か ら等速ジョイント内部に戻すことができる。 このようにすることで、通気性フィルムへの グリースの付着をより効果的に防止すること ができると共に、通気口からのグリースの漏 洩を確実に防止することが可能となる。

 請求項5の発明は、請求項1から4のいずれ 1項に記載の等速ジョイントにおいて、前記 外輪が車両の取付フランジ部に取付可能な車 両取付面を有し、当該車両取付面と前記取付 フランジ部との間に部分的に隙間を設け、こ の隙間を前記通気口又は第1通気口の外側に 通させたものである。

 これにより、隙間を通じて等速ジョイン 内外の空気の出入りを確実にする。

 請求項6の発明は、請求項1に記載の等速 ョイントにおいて、前記シャフトの外周面 接する前記ブーツの取付部に軸線方向に延 る第3通気口を形成し、前記第3通気口を、空 気の通過を許容するが液体の通過は阻止する クレイズを生成してなる通気性フィルムで閉 塞したものである。

 第3通気口を取付部に形成したので、第3 気口に配設した前記通気性フィルムが、等 ジョイントの回転による遠心力で移動した リースに浸される虞がない。また、取付部 、第3通気口を形成したことによるブーツの 久性に及ぼす影響を受けにくい箇所である

 請求項7の発明は、請求項6に記載の等速 ョイントにおいて、前記第3通気口が、前記 ーツと前記シャフトとの取付部内に軸線方 に沿って形成した単一又は複数の細孔であ 。

 第3通気口の個数を変更することにより、 等速ジョイント内外の空気の出入り量を調整 することができる。

 請求項8の発明は、請求項1に記載の等速 ョイントにおいて、前記シャフトの周囲の 記シール構体であるゴム製又は樹脂製のブ ツにおいて、前記シャフトの外周面に接す 前記ブーツの取付部に隣接したブーツ斜辺 に、単一又は複数の第4通気口を形成し、前 第4通気口を、空気の通過を許容するが液体 の通過は阻止するクレイズを生成してなる通 気性フィルムで閉塞したものである。

 第4通気口を、前記シャフトの外周面に接 する前記ブーツの取付部に隣接したブーツ斜 辺部に形成したので、第4通気口に配設した 記通気性フィルムが、等速ジョイントの回 による遠心力で移動したグリースに浸され 虞がない。また、前記斜辺部は、第4通気口 形成したことによるブーツの耐久性に及ぼ 影響を受けにくい箇所である。

 請求項9の発明は、請求項1から8のいずれ 1項に記載の等速ジョイントにおいて、前記 通気性フィルムを、高分子樹脂フィルムにそ の分子配向方向と略平行な縞状のクレイズを 生成して構成したものである。

 クレイズは分子配向方向に生じ易いので 高分子樹脂フィルムに縞状のクレイズを容 に生成することができる。

 請求項10の発明は、請求項9に記載の等速 ョイントにおいて、前記クレイズに添加剤 を形成した等速ジョイントである。

 添加剤の種類に応じて通気性フィルムに 々の機能を発揮させることができる。例え 、添加剤層に安定剤を含有させて、通気性 ィルムの耐久性を向上したり、添加剤層に 塑剤を含有させて、通気性フィルムの柔軟 を向上することが可能となる。

 請求項11の発明は、請求項9又は10に記載 等速ジョイントにおいて、前記高分子樹脂 ィルムをその分子配向方向と略平行に折り げて折曲げ線を形成すると共に、折り曲げ 高分子樹脂フィルムの両面を押え部材で押 つつ前記折曲げ線に対し直交方向に引っ張 て前記分子配向方向と略平行に縞状の前記 レイズを生成したものである。

 このように高分子樹脂フィルムにクレイ を容易に生成することができ、製造コスト 低減させ得る。

 請求項12の発明は、請求項9又は10に記載 等速ジョイントにおいて、前記高分子樹脂 ィルムの一面に、押圧体の鋭角の角部を高 子樹脂フィルムの分子配向方向と略平行に し付けて折曲げ線を形成すると共に、前記 分子樹脂フィルムに前記押圧体の角部を押 付けたまま高分子樹脂フィルムを前記折曲 線に対して直交方向に引っ張って前記分子 向方向と略平行に縞状の前記クレイズを生 したものである。

 このように高分子樹脂フィルムにクレイ を容易に生成することができ、製造コスト 低減させ得る。

 本発明の等速ジョイントによれば、クレ ズを生成してなる通気性フィルムにより液 の通過を阻止した状態で通気性を確保した で、ブーツ内外で圧力差が発生しない。こ によりブーツの過大変形による寿命低下を 止することができる。しかも、この通気性 ィルムは液体の通過を阻止するので、外部 砂塵や泥水がブーツ内に侵入したり、逆に ーツ内のグリースが外部に漏洩することも い。また、クレイズを生成してなる通気性 ィルムを容易に製造することができるので 製造コストの低減に繋がる。

 以下、本発明を自動車のプロペラシャフ 用等速ジョイントに適用した第1~第4実施形 を添付図面を参照して説明する。ただし、 途はこれに限定されるものではなく、自動 のドライブシャフトや各種産業機械に用い れる等速ジョイントにも適用できる。ここ いう等速ジョイントには、角度変位のみを 容する固定式等速ジョイントや、角度変位 軸方向変位を許容するクロスグルーブ型,ダ ブルオフセット型,トリポード型等速ジョイ トなどの摺動式等速ジョイントがある。

 本発明の第1実施形態について説明する。

 図1(A)に示すように、等速ジョイントの内 輪6に接続している第1シャフト1(図面右側)の 周面にブーツ2の一端が装着され、このブー ツ2はゴムあるいは可撓性樹脂材で構成され いる。等速ジョイントの高速回転時の遠心 によるブーツ2の膨張を抑制するために、ブ ツ2の他端は剛性のある円筒状の金属環3に 体化され、金属環3を外輪4の外径面に密着嵌 合させて複数本のボルト9で固定している。

 ブーツ2は金属環3の開口端部に加締結合 れる大径取付部2aと、シャフト1の外周の僅 に小径に形成した環状凹段部に圧入される 共に、ブーツバンド5で締付固定された小径 付部2bと、大径取付部2aと小径取付部2bとを 結する湾曲断面の屈曲部2cで構成される。

 ブーツ2内に延びたシャフト1の端部は、 輪6の内径面にセレーション係合されており 内輪6から突出したシャフト1の先端部外径 に内輪6の抜止め用リテーナリング19が嵌合 れている。外輪4と内輪6との間に、シャフト 1ないし内輪6の揺動を許容し、かつ、内外輪6 ,4間でトルク伝達を可能にする複数のボール7 (トルク伝達部材)と、各ボール7を保持するケ ージ8が配設される。内輪6の外径面にはボー 7を受け入れる第1の溝20が軸線方向又は軸線 方向に対して傾斜角をもって形成されている 。この第1の溝20によってボール7と内輪6が周 向に互いに係合し、かつ、ボール7が第1の 20に沿って移動可能とされている。

 ケージ8は内輪6の外周に位置する薄肉環 体であって、その断面は半径方向外側に向 て凸状(外周面は球状面)を成している。ケー ジ8の内周面は内輪6の外径面に対して遊嵌し いるが、ケージ8の球状外周面は外輪4の内 面に対して線接触にて摺動自在に嵌合して る。ケージ8には、ボール7の赤道部分で接す るポケット21が形成されており、シャフト1の 揺動時にボール7はポケット21の内周面と摺動 するようになっている。

 外輪4の内径面には、ケージ8のポケット21 から半径方向外側に出たボール7の頭(高緯度 部分)に嵌合する第2の溝22が形成されている 。この第2の溝22によってボール7と外輪4が周 向に互いに係合し、かつ、ボール7が第2の 22に沿って移動可能とされている。

 外輪4のシャフト1の先端側の開口は、シ ルプレート23により全面的に覆われている。 このシールプレート23は板金で深皿状に形成 れ、その底を第2シャフト24に向けた状態で シールプレート23の周縁部が外輪4の外径面 密着固定される。等速ジョイントの外輪4は 第2シャフト24の取付フランジ部24aに複数本の ボルト9で締結される。

 以上の説明からわかるように、外輪4の左 右両側開口は、ブーツ2、金属環3及びシール レート23で気密にシールされている。すな ち、ブーツ2、金属環3及びシールプレート23 よって「シール構体」が構成される。

 シールプレート23の中央部、すなわち作 角0°の状態の第1シャフト1の軸線の延長線上 、ないしは第2シャフト24の軸線の延長線上に 、小さな通気口25が形成されている。通気口2 5の大きさや形状は特に問わないが、僅かな 気の出入りに必要な大きさ・形状(例えば直 5mm以下の円形穴)であれば十分であり、あま り大きくする必要はない。この通気口25の外 に円板状など任意の形状の通気性フィルム2 6aが接着又は加締め等任意の手段で固定され いる。この通気性フィルム26aは、高分子樹 フィルムにクレイズを生成してなるもので り、空気の通過は許容するが液体の通過は 止する特性を持つ。

 ここで言うクレイズとは、高分子樹脂フ ルムの表面に現れる表面クレイズとその内 に発生する内部クレイズの両方を含むもの あって、微細なひび状の模様を有する領域 言う。クレイズは分子束(フィブリル)とミ ロボイドから構成されており、全体として ポンジの構造に似たものとなっている。こ クレイズを構成するミクロボイドは、通常 状態では空気も通過しにくい微細な貫通孔 あるが、加圧されることにより拡張して通 性をもたせるものである。

 このようにシールプレート23の中心部に 気口25を形成しておくことにより、等速ジョ イント回転時にジョイント内部に封入したグ リースなどの潤滑剤が遠心力でジョイント内 部の外径側に偏在した状態になるから、通気 口25付近ではグリース付着が非常に少ない状 にすることができる。従って、通気性フィ ム26aがグリースで覆われることを回避でき 通気性フィルム26aを通して等速ジョイント の空気が支障なく出入りすることができ、 ーツ2が圧力により変形するのを防止するこ とができる。さらには、通気性フィルム26aの 位置を、回転中心から1~20mm偏心させることに よって、万一グリースが通気性フィルム26aに 付着しても、グリースが遠心力によって通気 性フィルム26aから容易に自然除去されること になる。

 通気口25からのグリースの漏洩をより完 に防止するには、図1(B)及び図1(C)のように、 通気口25の部分のシールプレート23を、内壁 外壁の二重壁23aで構成する。すなわち、二 壁23aの内部に、半径方向に薄く延在した円 ないし放射状の気液分離空間27を形成し、外 壁の中心部に第1通気口25aを形成している。 して、この第1通気口25aの内側(又は外側)に 、空気の通過を許容するが液体の通過は阻 するクレイズを生成した通気性フィルム26a 接着又は加締め等の任意の方法で固定する また、内壁の中心部には第2通気口25bが形成 れ、内壁の第2通気口25bの半径方向外方の所 定位置に、気液分離空間27に連通した戻り口2 8を形成している。戻り口28は周方向に複数形 成してもよいし、1つだけ形成してもよい。 重壁23aは図1(B)及び図1(C)のようにシールプレ ート23よりも小径の一体形の穴明き皿状部材2 9を任意の方法でシールプレート23に固定すれ ば簡単に構成できる。また、図1(D)のように 明き皿状部材30の中に、上記通気性フィルム 26aを包持し、通気性フィルム26aの周縁部を皿 状部材30の中央の複数の爪30aで固定する構成 すれば、通気性フィルム26aの取付けを省略 きて一層都合がよい。

 このように、シールプレート23の少なく も中央部を二重壁23aにして、第2通気口25bの 囲に戻り口28を形成しておけば、グリース 気液分離空間27まで漏れてきても遠心力によ り気液分離空間27の周縁部分に振り飛ばされ 戻り口28から等速ジョイント内に戻される

 また、図1(B)の等速ジョイントは、第2シ フト24の取付けフランジ部24aと、それに取付 可能な外輪4の取付け部分との間に、半径方 に延びた隙間31を1つ又は円周方向等間隔に2 以上形成している。この隙間31は取付けフ ンジ部24aの内部空間と外部とを連通してお 、隙間31を通じた空気の出入りを確実にする 。隙間31は半径方向に延びているため、外部 砂塵や泥水は遠心力により侵入しにくい反 、空気の出入りには全く支障がない構造と っている。

 以上の第1実施形態は、いずれも通気口25( 25a,25b)及び通気性フィルム26aが等速ジョイン の回転中心位置又は中心付近に配置されて るため、ジョイント内部のグリースが遠心 の作用で通気口25(25a,25b)まで到達しにくい あるいは、偏心位置に配置した場合は、万 グリースが通気性フィルム26aに付着しても 遠心力によって通気性フィルム26aから容易 自然除去することができる。このため通気 フィルム26aの通気性能がグリースで阻害さ ることがなく、またグリースの漏洩も効果 に防止することができる。また、ジョイン 外部の砂塵や泥水は、通気性フィルム26aに って侵入が阻止される。

 次に、本発明の第2実施形態について説明 する。

 図2に示すように、第2実施形態は第2シャ ト24に外輪部24bを一体形成したもので、図1( A)又は図1(B)のようなシールプレート23は廃止 ている。外輪部24bが第2シャフト24に一体形 されているため、外輪取付用のボルトが不 である。また、ブーツ2の補強用金属環3aの 状も異なっている。金属環3aは図1(A)または 1(B)の場合のように外輪4に対して嵌合ない ボルト固定ではなく、ブーツ2と一体化され 構造となっている。ブーツ2の大径取付部2a 直接外輪部24bに嵌合されブーツバンド10で 付固定されている。

 この場合、外輪部24b(外輪)の左端には、 や厚肉の隔壁部24cが一体形成されている。 壁部24cによって、外輪部24bの開口が閉塞さ た構造となっているため、図1(A)や図1(B)の構 造に比べると気密性は高い。つまり、この隔 壁部24cと前記ブーツ2とでシール構体を構成 る。そして、隔壁部24cの軸心付近又は軸心 ら1~20mm偏心させた位置に、通気口32が形成さ れている。通気口32の大きさ・形状は、図1(A) 又は図1(B)と同様に特に問わない。僅かな空 の出入りに必要な大きさ(例えば直径5mm以下 円形穴)があれば十分である。通気口32の外 に、空気の通過を許容するが液体の通過は 止するクレイズを生成してなる通気性フィ ム26aが接着又は加締め等の任意の手段で固 されている。必要により、接着に代えて又 接着と併用して固定用穴明きプレート36な で上記通気性フィルム26aの周縁部を隔壁部24 cに固定する。隔壁部24cが比較的厚く通気口32 の軸線方向距離が長くなっているので、グリ ースがより通気性フィルム26aに届きにくい構 造となっている。その他の構造は図1(A)(B)と 様である。

 本発明の第3実施形態は、図3(A)(B)に示す うに、ブーツ2の小径取付部2bの一部に、軸 方向に内外を貫通した第3通気口33を形成し この第3通気口33のブーツ内面又は外面の入 部に、空気の通過を許容するが液体の通過 阻止するクレイズを生成してなる通気性フ ルム26bを嵌合したものである。第3通気口33 大きさは特に限定されない。適当な貫通細 を一箇所ないし円周方向等間隔に複数箇所 成する。その他の構造は図1(A)などで説明し 等速ジョイントと同じである。

 本発明の第4実施形態は、図4(A)(B)(C)に示 ように、ブーツ2の小径取付部2bに隣接した ーツ斜辺部38に第4通気口37を設け、この第4 気口37に、空気の通過を許容するが液体の通 過は阻止するクレイズを生成してなる通気性 フィルム26eを接着等の任意の手段で嵌合固定 したものである。第4通気口37の大きさ、形状 は前述のものと同様に特に問わない。例えば 、直径1mm程度の円形穴を一箇所ないし複数箇 所形成する。ただし、ブーツ2が異常な変形 起こさない常識的な個数とする。なお、図4( A)は一般的なプロペラシャフト用ゴムブーツ 見られるブーツ形状例である。図4(B)はドラ イブシャフト又はプロペラシャフト用ゴムブ ーツに見られる形状例であり、図4(C)はドラ ブシャフト又はプロペラシャフト用樹脂ブ ツに見られるブーツ形状例である。

 前述の第3実施形態では、第3通気口33及び 通気性フィルム26bが、等速ジョイントの回転 中心位置から第1シャフト1の半径分だけ離間 て配置されるが、第1シャフト1の外周領域 グリースには図3から分かるように半径方向 方に遠心力が作用する。このため少量のグ ースが通気性フィルム26bの内側面に付着す ことはあっても、前記遠心力と通気性フィ ム26bによる通過阻止機能とが相俟ってグリ スの漏洩が確実に阻止される。また、通気 や砂塵等の侵入防止性は、第1実施形態及び 第2実施形態と同等である。

 また、第4実施形態では、第4通気口37及び 通気性フィルム26eが、等速ジョイントの回転 中心から離間して配置されるが、第3実施形 と同様に遠心力の作用によって少量のグリ スが通気性フィルム26eの内面に付着するこ はあっても自然除去される。また、通気性 砂塵等の侵入防止性は第1~3実施形態と同様 ある。

 上述の通気性フィルムについて、以下詳 く説明する。

 通気性フィルムは、高分子樹脂フィルム その分子配向方向と略平行な縞状のクレイ を生成したものである。高分子樹脂フィル の素材としては、例えば、ポリフッ化ビニ デン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリ ロピレン、ポリエステル、ポリアミド等を 用することができる。

 この通気性フィルムの製造方法としては 図5に示すように、高分子樹脂フィルム40を の分子配向方向と略平行に折り曲げて局部 な折曲げ線41を形成する。そして、折り曲 た高分子樹脂フィルム40の上下面を、一対の 押え部材42,42にて押え、各押え部材42,42を折 げ線41に対し直交方向に互いに反対方向に移 動させて高分子樹脂フィルム40を引っ張る。 のようにすることで、高分子樹脂フィルム4 0にその分子配向方向と略平行に縞状のクレ ズが生成される。

 また、通気性フィルムの別の製造方法を 図6に示す。同図に示すように、緊張状態に 保持した高分子樹脂フィルム40の一面に、押 体43(ブレード)の鋭角の角部43aを高分子樹脂 フィルム40の分子配向方向と略平行に押し付 て局部的な折曲げ線41を形成する。そして 高分子樹脂フィルム40に押圧体43の角部43aを し付けたまま、高分子樹脂フィルム40を折 げ線41に対して直交方向に引っ張る。これに より、高分子樹脂フィルム40に分子配向方向 略平行に縞状のクレイズが生成される。

 なお、クレイズを形成するときの高分子 脂フィルムの温度、緊張度、あるいは折曲 角度等を変えることにより、クレイズ相互 の間隔、クレイズの幅、貫通したクレイズ 割合を変更することができ、簡単に通気性 調整することが可能である。

 また、クレイズに添加剤層を形成しても い。例えば、添加剤層に安定剤を含有させ 、通気性フィルムの耐久性を向上したり、 加剤層に可塑剤を含有させて、通気性フィ ムの柔軟性を向上することが可能となる。 加剤の種類は、ここで挙げたものに限らず 使用目的に応じて種々の添加剤を適用する とができる。

 以上、本発明の一実施形態について説明 たが、本発明は上述の実施形態に限定され ものではなく、本発明の要旨を逸脱しない 囲で種々の変更を加え得ることは勿論であ 。例えば、通気性フィルムの配設位置は、 述の実施形態の配設位置に限らず、シール 体の任意の位置でもよい。

(A)は本発明の第1実施形態に係る等速ジ ョイントの断面図、(B)は本発明の第1実施形 に係る等速ジョイントの変形例の断面図、(C )は(B)の通気口部分の拡大断面図、(D)は(B)の 気口部分の変形例の拡大断面図である。 本発明の第2実施形態に係る等速ジョイ ントの断面図である。 (A)は本発明の第3実施形態に係る等速ジ ョイントのブーツの断面図、(B)は(A)のB-B線矢 視断面図である。 (A)は本発明の第4実施形態に係る等速ジ ョイントのブーツの部分横断面図(プロペラ ャフトのゴムブーツの例)、(B)は本発明の第4 実施形態に係る等速ジョイントのブーツの部 分横断面図(ドライブシャフト又はプロペラ ャフトのゴムブーツの例)、(C)は本発明の第4 実施形態に係る等速ジョイントのブーツの部 分横断面図(ドライブシャフト又はプロペラ ャフトの樹脂ブーツの例)である。 本発明に使用する通気性フィルムの製 方法の一実施例を示す正面図である。 本発明に使用する通気性フィルムの製 方法の他の実施例を示す拡大正面図である 従来のブーツの通気構造を示すブーツ 小径取付部の断面図である。 図7のVII-VII線矢視断面図である。 図7のブーツのリップ部の拡大断面図で ある。