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Patent Searching and Data


Title:
CONTACT LENS AND PROCESS FOR PRODUCING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/087859
Kind Code:
A1
Abstract:
A contact lens of novel structure that can be produced with enhanced production efficiency and that has an enhanced water retentivity on the lens surface so as to realize a superior wear feeling. At least one of convex lens anterior-surface (12) and concave lens posterior-surface (14) is provided with treated face (26,28) having a periodic structure of projections and depressions being minute to a size having no tactile and visual influences at the time of wearing.

Inventors:
SUZUKI HIROAKI (JP)
KOBAYASHI ATSUSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/000028
Publication Date:
July 24, 2008
Filing Date:
January 16, 2008
Export Citation:
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Assignee:
MENICON CO LTD (JP)
SUZUKI HIROAKI (JP)
KOBAYASHI ATSUSHI (JP)
International Classes:
G02C7/04; B29C33/40; B29D11/00; B29L11/00
Domestic Patent References:
WO2002027389A12002-04-04
WO2004063773A22004-07-29
Foreign References:
JPH07186290A1995-07-25
JP2002192500A2002-07-10
JP2846343B21999-01-13
JP2934965B21999-08-16
JPH04316013A1992-11-06
Other References:
See also references of EP 2116888A4
Attorney, Agent or Firm:
KASAI, Yoshitaka et al. (Sanyoku-Bldg. 345-5, Kohmei-ch, Tsu-shi Mie 06, JP)
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Claims:
 凸状のレンズ前面と凹状のレンズ後面を備えたコンタクトレンズにおいて、
 前記レンズ前面と前記レンズ後面の少なくとも一方に、装用時において触覚上および視覚上で影響を及ぼさない大きさの微細な凹凸状の周期構造を有する処理面が形成されていることを特徴とするコンタクトレンズ。
 レンズ中央部分に光学部が設けられていると共に、該光学部の周囲に周辺部が設けられており、且つ該周辺部に前記処理面が形成されている請求項1に記載のコンタクトレンズ。
 レンズ中央部分に光学部が設けられていると共に、該光学部の周囲に周辺部が設けられており、且つ該光学部に前記処理面が形成されている請求項1又は2に記載のコンタクトレンズ。
 前記微細な凹凸状の周期構造がレンズ光軸方向での正面視において、レンズ中心から放射状に形成されている請求項1乃至3の何れか一項に記載のコンタクトレンズ。
 前記微細な凹凸状の周期構造がレンズ光軸方向での正面視において、レンズ中心回りで同心円状に形成されている請求項1乃至4の何れか一項に記載のコンタクトレンズ。
 前記微細な凹凸状の周期構造がレンズ光軸方向での正面視において、格子状に形成されている請求項1乃至5の何れか一項に記載のコンタクトレンズ。
 前記微細な凹凸状の周期構造の深さが0.01μm~30μmとされている請求項1乃至6の何れか一項に記載のコンタクトレンズ。
 前記微細な凹凸状の周期構造のピッチが0.01μm~10.0μmとされている請求項1乃至7の何れか一項に記載のコンタクトレンズ。
 前記微細な凹凸状の周期構造において深さ/幅で表されるアスペクト比が0.1~5とされている請求項1乃至8の何れか一項に記載のコンタクトレンズ。
 微細周期構造が成形面に形成された樹脂型を用いて前記レンズ前面及び前記レンズ後面の少なくとも一方が形成されて、該樹脂型における該微細周期構造が転写されることによって該レンズ前面及び該レンズ後面の少なくとも一方における前記微細な凹凸状の周期構造が形成されている請求項1乃至9の何れか一項に記載のコンタクトレンズ。
 微細周期構造が成形面に形成された金型によって成形された前記樹脂型を用いて前記レンズ前面及び前記レンズ後面の少なくとも一方が形成されて、該金型における該微細周期構造が該樹脂型における前記微細周期構造として転写されることによって該レンズ前面及び該レンズ後面の少なくとも一方における前記微細な凹凸状の周期構造が形成されている請求項10に記載のコンタクトレンズ。
 微細周期構造が成形面に形成された金型を用いて前記レンズ前面及び前記レンズ後面の少なくとも一方が形成されて、該金型における該微細周期構造が転写されることによって該レンズ前面及び該レンズ後面の少なくとも一方における前記微細な凹凸状の周期構造が形成されている請求項1乃至9の何れか一項に記載のコンタクトレンズ。
 凸状のレンズ前面及び凹状のレンズ後面を有するコンタクトレンズの製造方法であって、
 放射線及びレーザー光の少なくとも一方を利用して、前記コンタクトレンズにおける前記レンズ前面及び前記レンズ後面の少なくとも一方に対して微細な凹凸状の周期構造を形成することを特徴とするコンタクトレンズの製造方法。
 前記レンズ前面及び前記レンズ後面の少なくとも一方に放射線及びレーザー光の少なくとも一方を照射せしめることによって微細周期構造を形成して、該微細周期構造によって前記微細な凹凸状の周期構造を構成する請求項13に記載のコンタクトレンズの製造方法。
 前記レンズ前面及び前記レンズ後面の少なくとも一方を樹脂型を用いて形成すると共に、該樹脂型のレンズ成形面に対して放射線及びレーザー光の少なくとも一方を照射することによって微細周期構造を形成して、該樹脂型に形成された該微細周期構造を該レンズ前面及び該レンズ後面の少なくとも一方に転写して前記微細な凹凸状の周期構造を形成する請求項13に記載のコンタクトレンズの製造方法。
 金型によって成形した樹脂型を用いて前記レンズ前面及び前記レンズ後面の少なくとも一方を形成すると共に、該金型における樹脂型成形面に対して放射線及びレーザー光の少なくとも一方を照射することによって微細周期構造を形成して、該金型に形成された該微細周期構造を該樹脂型のレンズ成形面に転写し、この樹脂型に転写形成された該微細周期構造を該レンズ前面及び該レンズ後面の少なくとも一方に再転写して前記微細な凹凸状の周期構造を形成する請求項13に記載のコンタクトレンズの製造方法。
 前記レンズ前面及び前記レンズ後面の少なくとも一方を金型を用いて形成すると共に、該金型のレンズ成形面に対して放射線及びレーザー光の少なくとも一方を照射することによって微細周期構造を形成して、該金型に形成された該微細周期構造を該レンズ前面及び該レンズ後面の少なくとも一方に転写して前記微細な凹凸状の周期構造を形成する請求項13に記載のコンタクトレンズの製造方法。
 前記放射線として電子線を用いる請求項13乃至17の何れか一項に記載のコンタクトレンズの製造方法。
 前記レーザー光としてパルス幅が1×10 -16  秒~1×10 -7 秒とされるレーザー光を用いる請求項13乃至18の何れか一項に記載のコンタクトレンズの製造方法。
Description:
コンタクトレンズおよびコンタ トレンズの製造方法

 本発明は、ソフトタイプやハードタイプ、 よびこれらの要素を組み合わせたタイプの ンタクトレンズに係り、特に、優れた装用 を実現し得る、新規な構造のコンタクトレ ズおよびコンタクトレンズの製造方法に関 るものである。

 ソフトタイプやハードタイプ、およびこ らの要素を組み合わせたタイプのコンタク レンズ(以下、「コンタクトレンズ」と総称 する)においては、レンズ表面に優れた保水 を有することが潤い感を向上せしめ、装用 を向上せしめるのに有効であることが良く られている。即ち、コンタクトレンズ前面 涙液は、瞬目に際してレンズと眼瞼との接 を滑らかにして異物感を軽減せしめると共 、レンズ表面を一様に濡らすことによって ものを鮮明に見ることにも役立つ。また、 ンズ後面の涙液は、角結膜に対する機械的 激を緩和して異物感を軽減せしめると共に 瞬目や眼球運動に伴うレンズの動きに対す 潤滑材とされて、レンズのセンタリングや 定性の向上に資する。このように、コンタ トレンズの装用感を向上せしめるためには レンズ表面の保水性を向上せしめることが 要となっている。

 かかるレンズの保水性を向上せしめるた に、例えば特許文献1(特許2846343号公報)には 、レンズ表面にプラズマ処理を施して親水基 を生成することによって、親水性が向上せし められたコンタクトレンズが開示されている 。

 しかし、特許文献1に記載の如きコンタク トレンズにおいては、経時により表面の親水 基が分子内で回転してレンズ樹脂中に隠れて しまい、短期間で親水性が失われるという問 題を内包しており、長期間に亘って良好な保 水性を維持することは困難であった。また、 各コンタクトレンズに対してプラズマ処理を 施す必要があって、生産効率が低下してしま うという問題もあった。

 そこで、例えば特許文献2(特許2934965号公 )や特許文献3(特開平4-316013号公報)には、特 文献1と同様にしてコンタクトレンズ表面を プラズマ処理した後に、更に、かかるレンズ を親水性モノマー溶液中に浸漬せしめて、レ ンズ表面に親水性モノマーを重合せしめたコ ンタクトレンズが開示されている。このよう にすれば、特許文献1に記載のコンタクトレ ズに比して、保水性の向上が図られ得る。

 しかし、これらのコンタクトレンズにお ては、繰り返しの擦り洗いなどによって、 面の親水性皮膜が剥がれ落ちて、保水性が 下してしまうという問題があった。また、 れらのコンタクトレンズを製造する際には 前述の特許文献1と同様のプラズマ処理に加 えて、更にレンズを親水性モノマー溶液中に 浸漬せしめて重合する工程や、その後の未反 応モノマーや副生ポリマーなどの不要物を除 去する工程も必要となって、製造効率が更に 低下してしまうという問題があった。そして 、そのような工数の増加に見合う程の保水力 の向上も認められなかった。更に、表面に形 成される親水性皮膜の厚さを充分にコントロ ールすることが困難であって、レンズ表面に おいて局所的な保水性のばらつきを生じたり 、各レンズ間でも保水性のばらつきを生じて 、品質を高度に管理することが困難であった 。

特許2846343号公報

特許2934965号公報

特開平4-316013号公報

 ここにおいて、本発明は上述の如き事情 背景として為されたものであって、その解 課題とするところは、より優れた製造効率 もって製造することが出来ると共に、レン 表面における保水性を向上せしめて、より れた装用感を得ることの出来る、新規な構 のコンタクトレンズを提供することにある

 さらに、本発明は、そのようなコンタク レンズを有利に製造することの出来る、コ タクトレンズの新規な製造方法を提供する とをも、目的とする。

 以下、前述の如き課題を解決するために された本発明の態様を記載する。なお、以 に記載の各態様において採用される構成要 は、可能な限り任意の組み合わせで採用可 である。

 すなわち、コンタクトレンズに関する本 明の第一の態様は、凸状のレンズ前面と凹 のレンズ後面を備えたコンタクトレンズに いて、前記レンズ前面と前記レンズ後面の なくとも一方に、装用時において触覚上お び視覚上で影響を及ぼさない大きさの微細 凹凸状の周期構造を有する処理面が形成さ ていることを、特徴とする。

 本態様に従う構造とされたコンタクトレ ズにおいては、レンズ表面に形成された微 な凹凸状の周期構造で涙液を保持せしめる とによって、レンズ表面の保水性を向上す ことが出来る。これにより、長時間に亘っ 、装用時の潤い感を持続せしめることが出 て、優れた装用感を得ることが出来る。そ て、レンズに形成された凹凸形状によって 液を保持することから、レンズ表面に親水 モノマーを重合せしめたような従来構造の うに、経時によって保水性が劣化するよう ことも無く、優れた保水性を長期間に亘っ 維持することが出来る。

 さらに、かかる微細な凹凸状の周期構造 、その構造表面が接する媒体の屈折率等、 定の条件を満たす場合には、分光によって 色に発色することから、レンズを落とした に容易に発見することも出来る。且つ、水 においては、そのような分光は殆ど発生す ことがなく、装用時において視覚上の影響 及ぼすことも無い。

 加えて、本態様に従う構造とされたコン クトレンズは、微細な凹凸状の周期構造を 成するという簡易な加工で得られることか 、優れた製造効率を得ることが出来る。そ と共に、従来構造の如き親水性モノマー溶 などの余分な材料も不要とされることから 製造コストを低減することも出来る。ここ おいて、微細な凹凸状の周期構造を形成す 際には、レンズに直接形成しても良いが、 述するように、レンズを成形する樹脂型や かかる樹脂型を成形する金型、或いはレン を直接成形する金型等に周期構造を形成し レンズに転写することがより好ましい。こ ようにすれば、より優れた製造効率を得る とが出来る。

 なお、本発明における微細な凹凸状の周 構造としては、微細な凹形状乃至は凸形状 適当な間隔を隔てて複数形成されていれば いのであって、その間隔は必ずしも一定と れている必要は無く、変化せしめられても い。また、かかる凹凸状の周期構造は、直 、曲線、又は屈曲して延びる畝状又は溝状 造が、幅方向で所定のピッチで連続して略 行に並んで形成されたものであればよく、 ずしも直線として形成されている必要はな 。

 コンタクトレンズに関する本発明の第二 態様は、前記第一の態様に係るコンタクト ンズにおいて、レンズ中央部分に光学部が けられていると共に、該光学部の周囲に周 部が設けられており、且つ該周辺部に前記 理面が形成されていることを、特徴とする このようにすれば、微細な凹凸状の周期構 が視覚上で影響を及ぼすことをより有利に 避することが出来る。具体的には、例えば レンズ幾何中心を中心とするφ8mm以上の範 で処理面が形成される態様が、好適に採用 れる。なお、本態様における処理面は、周 部の全体に形成されていても良いし、周辺 の一部に形成されていても良い。

 コンタクトレンズに関する本発明の第三 態様は、前記第一又は二の態様に係るコン クトレンズにおいて、レンズ中央部分に光 部が設けられていると共に、該光学部の周 に周辺部が設けられており、且つ該光学部 前記処理面が形成されていることを、特徴 する。ここにおいて、処理面は、光学部の 体に形成されていても良いし、一部に形成 れていても良い。より好適には、光学部に 成される処理面は、装用状態で瞳孔と重な 合うことの無い部位に形成される。具体的 は、例えば、レンズ幾何中心を中心とする 5mm以上の範囲で処理面が形成される態様が 好適に採用される。なお、本態様から明ら なように、本発明における処理面は、光学 に形成されていても良いし、周辺部に形成 れていても良い。また、光学部および周辺 の両方に形成することも、勿論可能であっ 、このようにすれば、処理面をより大きく 成することが出来て、より優れた保水性を ることが出来る。

 なお、微細な凹凸状の周期構造の具体的 形状としては、様々な形状が適宜に採用可 である。例えば、コンタクトレンズに関す 本発明の第四の態様として、前記第一乃至 三の何れか一つの態様に係るコンタクトレ ズにおいて、前記微細な凹凸状の周期構造 レンズ光軸方向での正面視において、レン 中心から放射状に形成されている態様が、 適に採用され得る。また、コンタクトレン に関する本発明の第五の態様として、前記 一乃至第四の何れか一つの態様に係るコン クトレンズにおいて、前記微細な凹凸状の 期構造がレンズ光軸方向での正面視におい 、レンズ中心回りで同心円状に形成されて る態様なども、好適に採用される。更に、 ンタクトレンズに関する本発明の第六の態 として、前記第一乃至第五の何れか一つの 様に係るコンタクトレンズにおいて、前記 細な凹凸状の周期構造がレンズ光軸方向で 正面視において、格子状に形成されている 様なども、好適に採用される。

 コンタクトレンズに関する本発明の第七 態様は、前記第一乃至第六の何れか一つの 様に係るコンタクトレンズにおいて、前記 細な凹凸状の周期構造の深さが0.01μm~30μmと されていることを、特徴とする。本態様に従 う構造とされたコンタクトレンズにおいては 、レンズの形状安定性を損なうことなく、良 好な保水性を得ることが出来る。即ち、深さ が小さすぎると、保水量が少なくなる一方、 深さが大きすぎると、レンズの形状安定性に 悪影響を及ぼすからである。

 コンタクトレンズに関する本発明の第八 態様は、前記第一乃至第七の何れか一つの 様に係るコンタクトレンズにおいて、前記 細な凹凸状の周期構造のピッチが0.01μm~10.0 mとされていることを、特徴とする。本態様 従う構造とされたコンタクトレンズにおい は、優れた製造効率を得ることが出来ると に、レンズの形状安定性を損なうことなく 良好な保水性を得ることが出来る。即ち、 ッチが小さ過ぎると、該ピッチを形成する めの高度な工程制御が必要とされて、製造 率が低下せしめられるおそれが生じる一方 ピッチが大き過ぎると、保水性が低下し易 なるからである。なお、本発明におけるピ チとは、周期的に形成される微細な周期構 の1周期分の大きさを示す。また、周期構造 のピッチは、より好ましくは、0.01μm~2μmとさ れる。

 コンタクトレンズに関する本発明の第九 態様は、前記第一乃至第八の何れか一つの 様に係るコンタクトレンズにおいて、前記 細な凹凸状の周期構造において深さ/幅で表 されるアスペクト比が0.1~5とされていること 、特徴とする。本態様に従う構造とされた ンタクトレンズにおいては、良好な保水性 、レンズの形状安定性を得ることが出来る 蓋し、アスペクト比が小さすぎる、即ち、 期構造が浅過ぎると、周期構造の保水効果 実質的に機能しなくなって、良好な保水力 発揮することが出来ない。一方、アスペク 比が大き過ぎる、即ち、周期構造が深すぎ と、レンズ形状の安定性を損なうおそれも る。

 コンタクトレンズに関する本発明の第十 態様は、前記第一乃至第九の何れか一つの 様に係るコンタクトレンズにおいて、微細 期構造が成形面に形成された樹脂型を用い 前記レンズ前面及び前記レンズ後面の少な とも一方が形成されて、該樹脂型における 微細周期構造が転写されることによって該 ンズ前面及び該レンズ後面の少なくとも一 における前記微細な凹凸状の周期構造が形 されていることを、特徴とする。

 本態様に従う構造とされたコンタクトレ ズにおいては、樹脂型に形成された微細周 構造をレンズに転写することから、優れた 造効率を得ることが出来ると共に、レンズ 対して安定して周期構造を形成することが 来る。また、予め周期構造が形成された樹 型を用いることによって、従来の樹脂型を め合わせるモールド成形用の製造装置をそ まま用いて、微細な凹凸状の周期構造をレ ズに形成することが出来る。

 コンタクトレンズに関する本発明の第十 の態様は、前記第十の態様に係るコンタク レンズにおいて、微細周期構造が成形面に 成された金型によって成形された前記樹脂 を用いて前記レンズ前面及び前記レンズ後 の少なくとも一方が形成されて、該金型に ける該微細周期構造が該樹脂型における前 微細周期構造として転写されることによっ 該レンズ前面及び該レンズ後面の少なくと 一方における前記微細な凹凸状の周期構造 形成されていることを、特徴とする。

 本態様に従う構造とされたコンタクトレ ズにおいては、金型に形成された周期構造 樹脂型に転写して、かかる樹脂型でレンズ 成形することによって、金型に形成された 期構造を樹脂型を介してレンズに転写する うにされている。このようにすれば、金型 周期構造を形成するのみで、後の工程は従 のモールド成形と同様の工程で済むことか 、レンズの製造ライン上での実質的な工数 増加を招くことなく、効率的に且つ安定し 微細な凹凸状の周期構造を形成することが 来る。そして、従来の樹脂型を形成する金 として、周期構造を備えた金型を用いるの であることから、従来の樹脂型の成形装置 およびレンズを成形するモールド成形用の 造装置をそのまま用いて、微細な凹凸状の 期構造をレンズに形成することが出来る。

 コンタクトレンズに関する本発明の第十 の態様は、前記第一乃至第九の何れか一つ 態様に係るコンタクトレンズにおいて、微 周期構造が成形面に形成された金型を用い 前記レンズ前面及び前記レンズ後面の少な とも一方が形成されて、該金型における該 細周期構造が転写されることによって該レ ズ前面及び該レンズ後面の少なくとも一方 おける前記微細な凹凸状の周期構造が形成 れていることを、特徴とする。

 本態様に従う構造とされたコンタクトレ ズにおいては、金型に形成された微細周期 造を、レンズに直接に転写して微細な凹凸 の周期構造を形成することが出来る。これ より、微細周期構造を安定してレンズ面に 成することが出来る。また、本態様におけ コンタクトレンズは、樹脂型などを用いる となく、金型から直接に形成されることか 、優れた製造効率を得ることも出来る。

 コンタクトレンズの製造方法に関する本 明の第一の態様は、凸状のレンズ前面及び 状のレンズ後面を有するコンタクトレンズ 製造方法であって、放射線及びレーザー光 少なくとも一方を利用して、前記コンタク レンズにおける前記レンズ前面及び前記レ ズ後面の少なくとも一方に対して微細な凹 状の周期構造を形成することを、特徴とす 。

 本態様に従う製造方法によれば、切削加 等に比して、より微細な周期構造をより安 して且つ高精度に形成することが出来る。 に、本態様においては、放射線やレーザー を用いることによって、加工面を加熱する となく加工することがより好ましい。この うにすれば、加工面の熱変形も抑えられて 微細な周期構造をより高精度に形成するこ が出来る。なお、放射線としては、加工面 加工し得るものであれば何等限定されるも ではなく、例えば、電子線や粒子線、X線、 γ線等が好適に採用され得る。

 また、本態様および以下に例示する各態 における放射線やレーザー光による加工工 の前後に、従来公知の工程を適宜に組み合 せて用いることも、勿論可能である。例え 、レーザー加工工程の後に、緩和な研磨工 などの機械的な工程を組み入れたり、プラ マ処理、表面グラフト処理、その他従来公 の主としてレンズ表面の化学組成を改質す 表面処理等の工程を組み合わせて用いるこ が出来る。なお、本態様に従う製造方法は 必ずしも放射線やレーザー光をレンズ面に 接に照射する態様に限定されるものではな 、以下に例示するように、例えば金型や樹 型などに対して放射線やレーザー光を照射 て、間接的に微細な凹凸状の周期構造を形 する態様をも、含むものである。

 例えば、コンタクトレンズの製造方法に する本発明の第二の態様として、前記第一 態様に係るコンタクトレンズの製造方法に いて、前記レンズ前面及び前記レンズ後面 少なくとも一方に放射線及びレーザー光の なくとも一方を照射せしめることによって 細周期構造を形成して、該微細周期構造に って前記微細な凹凸状の周期構造を構成す 態様が、好適に採用される。

 本態様に従う製造方法によれば、レンズ 対して直接に微細な凹凸状の周期構造を形 することから、周期構造を安定して形成す ことが出来る。また、各レンズそれぞれに して直接に加工することから、レンズ毎に 期構造の形状を異ならせることも可能であ し、周期構造の形状の変更に柔軟に対応す ことも出来る。

 また、コンタクトレンズの製造方法に関 る本発明の第三の態様として、前記第一の 様に係るコンタクトレンズの製造方法にお て、前記レンズ前面及び前記レンズ後面の なくとも一方を樹脂型を用いて形成すると に、該樹脂型のレンズ成形面に対して放射 及びレーザー光の少なくとも一方を照射す ことによって微細周期構造を形成して、該 脂型に形成された該微細周期構造を該レン 前面及び該レンズ後面の少なくとも一方に 写して前記微細な凹凸状の周期構造を形成 る態様も、好適に採用され得る。

 本態様に従う製造方法においては、樹脂 に周期構造を形成すれば、以降は従来のモ ルド成形方法と同様の方法で周期構造を形 出来ることから、優れた加工効率をもって レンズに微細な凹凸状の周期構造を形成す ことが出来る。

 更にまた、コンタクトレンズの製造方法 関する本発明の第四の態様として、前記第 の態様に係るコンタクトレンズの製造方法 おいて、金型によって成形した樹脂型を用 て前記レンズ前面及び前記レンズ後面の少 くとも一方を形成すると共に、該金型にお る樹脂型成形面に対して放射線及びレーザ 光の少なくとも一方を照射することによっ 微細周期構造を形成して、該金型に形成さ た該微細周期構造を該樹脂型のレンズ成形 に転写し、この樹脂型に転写形成された該 細周期構造を該レンズ前面及び該レンズ後 の少なくとも一方に再転写して前記微細な 凸状の周期構造を形成する態様も、好適に 用され得る。

 本態様に従う製造方法においては、周期 造を金型に形成すれば、かかる金型の周期 造が樹脂型に転写されて、更に、樹脂型に 写された周期構造が、レンズに転写される ととなる。これにより、金型に周期構造を 成する工程が増加するのみで、以降のかか 金型を用いて樹脂型を形成する工程や、か る樹脂型を用いてレンズを形成するモール 成形の工程は、従来と同様の工程のままで 微細な凹凸状の周期構造を有するレンズを ることが出来る。従って、レンズの製造ラ ン上での実質的な工数の増加を招くことも く、より優れた製造効率を得ることが出来 。更に、金型に形成された周期構造が樹脂 を介して各レンズに転写されることから、 レンズに形成される微細な凹凸状の周期構 の形状のばらつきも抑えられる。

 また、コンタクトレンズの製造方法に関 る本発明の第五の態様として、前記第一の 様に係るコンタクトレンズの製造方法にお て、前記レンズ前面及び前記レンズ後面の なくとも一方を金型を用いて形成すると共 、該金型のレンズ成形面に対して放射線及 レーザー光の少なくとも一方を照射するこ によって微細周期構造を形成して、該金型 形成された該微細周期構造を該レンズ前面 び該レンズ後面の少なくとも一方に転写し 前記微細な凹凸状の周期構造を形成する態 も、好適に採用され得る。

 本態様に従う製造方法においては、金型 微細周期構造を直接にレンズ面に転写する とから、微細な凹凸状の周期構造をより安 して形成することが出来る。そして、樹脂 なども不要とされることから、製造効率の なる向上も図られ得る。   

 コンタクトレンズの製造方法に関する本 明の第六の態様は、前記第一乃至第五の何 か一つの態様に係るコンタクトレンズの製 方法において、前記放射線として電子線を いることを、特徴とする。本態様に従う製 方法によれば、電子線の出力を調節するこ によって、微細周期構造を高精度に且つ安 して形成することが出来る。

 コンタクトレンズの製造方法に関する本発 の第七の態様は、前記第一乃至第六の何れ 一つの態様に係るコンタクトレンズの製造 法において、前記レーザー光としてパルス が1×10 -16  秒~1×10 -7 秒とされるレーザー光を用いることを、特徴 とする。

 本態様に従う製造方法によれば、有利に微 周期構造を形成することが出来る。蓋し、 ルス幅が1×10 -16  秒よりも小さいレーザー光の生成には高精度 な発振制御が必要とされる一方、パルス幅が 1×10 -7 秒よりも大きいと、微細周期構造が明瞭に形 成されなくなるからである。ここにおいて、 より好適には、パルス幅が1×10 -14  秒~1×10 -9 秒とされたレーザー光が採用される。このよ うにすれば、従来公知の汎用的なレーザー加 工装置を用いることが出来て、製造コストの 低減が図られると共に、微細周期構造を効率 良く形成することが出来る。なお、パルス幅 が1×10 -16  秒~1×10 -7 秒とされるレーザー光を用いることによって 、微細周期構造が有利に形成される科学的根 拠は必ずしも明らかではないし、これらの科 学的根拠を明らかにすることが本発明の目的 ではないが、加工面に照射されたパルス幅が 1×10 -16  ~1×10 -7 とされるレーザー光が加工面の表面で散乱さ れると、表面散乱光が生じる。そして、かか る表面散乱光と入射するレーザー光の干渉部 分がアブレーションされることによって、干 渉部分における加工面の表面粗さが増加せし められる。これにより、次のレーザー照射時 には表面散乱光の強度が大きくされて、更に アブレーションが進むと共に、1波長離れた 置でも干渉が起こる。このようにして、パ ス幅が1×10 -16  秒~1×10 -7 秒とされるレーザー光の照射を繰り返すこと によってアブレーションをより有効に生ぜし めて、微細周期構造を有利に形成することが 出来ると共に、熱による変形を抑えることも 出来て、優れた加工精度を得ることが出来る ものと推考される。

本発明の一実施形態としてのコンタク レンズを示す正面説明図。 同コンタクトレンズの断面説明図。 同コンタクトレンズの要部拡大断面説 図。 同コンタクトレンズの製造に用いられ 金型を示す縦断面説明図。 同コンタクトレンズの製造に用いられ 樹脂型を示す縦断面説明図。 本発明の異なる態様としてのコンタク レンズを示す正面説明図。 本発明の異なる態様としてのコンタク レンズを示す正面説明図。 本発明の異なる態様としてのコンタク レンズを示す正面説明図。 本発明の異なる態様としてのコンタク レンズを示す正面説明図。 本発明の異なる態様としてのコンタク トレンズを示す正面説明図。 本発明の異なる態様としてのコンタク トレンズを示す正面説明図。 本発明の異なる態様としてのコンタク トレンズを示す正面説明図。 本発明の異なる態様の製造方法を説明 するための説明図。 実施例としての金型プレートおよびレ ンズプレートの表面形状の観察画像。 保水力測定に用いた機器構成を概略的 に示す説明図。 実施例および比較例としてのレンズプ レート表面の各経過時間毎の撮影画像。 実施例および比較例としてのレンズプ レート表面の各経過時間における液の面積を 示すグラフ。 実施例および比較例としてのレンズ成 形用雄型表面における前進接触角を示す写真 。 実施例および比較例としてのレンズ成 形用雄型表面における後退接触角を示す写真 。 比較例としてのレンズプレート表面に おける前進および後退接触角を示す写真。 実施例としてのレンズプレート表面に おける前進および後退接触角を示す写真。 実施例および比較例としての各コンタ クトレンズ表面における生理食塩水の後退境 界部を示す写真。 実施例および比較例としての各コンタ クトレンズ装用時におけるレンズ表面の涙液 膜の切れ始めた時間を示すグラフ。

符号の説明

10:コンタクトレンズ、12:レンズ前面、14:レ ンズ後面、16:前面光学部、18:後面光学部、22: 前面周辺部、24:後面周辺部、26:処理面、28:処 理面、30:環状凹溝

 以下、本発明を更に具体的に明らかにす ために、本発明の実施形態について、図面 参照しつつ、詳細に説明する。

 先ず、図1に、本発明の一実施形態として のコンタクトレンズ10を示すと共に、図2に、 コンタクトレンズ10の断面をモデル的に示す コンタクトレンズ10は、全体として薄肉の 球殻形状を有しており、眼球の角膜の表面 重ね合わされて装用されるようになってい 。なお、装用とは、人体に装着して使用す ことをいう。また、図1は、コンタクトレン 10をモデル的に示したものであり、後述す 環状凹溝30の大きさを誇張して図示するもの である。

 より詳細には、本実施形態に係るコンタ トレンズ10は、ソフトコンタクトレンズや ードコンタクトレンズ、ディスポーザブル イプのコンタクトレンズ等の各種のコンタ トレンズに対して適用可能である。また、 ンタクトレンズ10には、光透過性等の光学特 性を備えた各種の重合性モノマーからなる樹 脂材料等が採用され、具体的には、例えば、 ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)やポリ メチルメタクリレート(PMMA)、酢酸酪酸セルロ ース(CAB),シリコーン共重合体、フルオロシリ コーンアクリレート、フルオロカーボン重合 体、シリコーンゴム等が挙げられる。

 コンタクトレンズ10は、レンズ中心軸が 軸とされており、該中心軸回りの回転対称 状とされている。そして、装用状態におい 角膜と反対側に位置せしめられるレンズ外 が凸状のレンズ前面12で構成されていると共 に、角膜側に位置せしめられるレンズ内面が 凹状のレンズ後面14で構成されている。また レンズ前後面12,14それぞれの中央部分には 円形状の前面光学部16と後面光学部18が形成 れている。

 後面光学部18は、装着される角膜の表面 対して装用状態下で略相似形となるように レンズ中心軸上でレンズ後方に曲率中心が 定されて、適当な曲率半径をもった凹形の 断面形状を有するベースカーブ面を構成し いる。ベースカーブ面の縦断面形状には、 膜の形状やその他の装用条件或いは要求さ る光学特性等を考慮して、例えば曲率半径 一定であったり、曲率半径が周方向で変化 たりする等の各種の略球状の湾曲凹面形状 採用される。

 一方、前面光学部16は、上述の如く設定 れたベースカーブ面と協働して目的とする ンズ度数などの光学特性を与える湾曲凸面 状を有している。

 これら前面光学部16および後面光学部18に よって、視力矯正のための適当なレンズ度数 等の光学特性が与えられた光学部(optical zone) が形成されている。なお、光学部は、装用者 の眼に対する光学的効果が期待される領域で あって、その外周縁部、換言すると後述する 周辺部(peripheral zone)との境界は、一般にレン ズ前面およびレンズ後面においてそれぞれ縦 断面上での曲率の変化点としてとらえること が出来るが、例えば、光学部のレンズ面が半 径方向で漸変するような縦断面形状で設計さ れる場合や、境界が径方向に所定幅をもって 形成されてレンズ前後面間で光学部と周辺部 を滑らかに繋ぐ接続領域等によって形成され る場合等において、レンズ前後面における光 学部と周辺部の境界19は、形状的に線(line)と て必ずしも明確である必要はない。

 コンタクトレンズ10の光学部の周りを囲 外周部分には、周辺部と端部(edge zone)20が形 成されている。端部20は、コンタクトレンズ1 0の最外周縁部において円環形状を有してい と共に、レンズ縦断面において、略半円形 の外周端面から内方に延び出した面取り状 レンズ前後面を備えている。更に、端部20の レンズ前後面が、前後面周辺部22,24に接続さ ている。

 前面周辺部22と後面周辺部24は、それぞれ 、レンズ中心軸を中心として所定の径方向幅 寸法をもって周方向に連続して延びる円環形 状とされており、コンタクトレンズ10の前後 光学部16,18と端部20の間に跨って設けられて 、前後面周辺部22,24の内周縁部分が、前後面 学部16,18に接続されている。即ち、前面周 部22と後面周辺部24が協働して、コンタクト ンズ10の光学部の外周側に位置せしめられ 周辺部を構成している。また、前面光学部16 と前面周辺部22によってレンズ前面12が構成 れていると共に、後面光学部18と後面周辺部 24によってレンズ後面14が構成されている。

 さらに、コンタクトレンズ10のレンズ前 12およびレンズ後面14には、それぞれ、処理 26、28が形成されており、かかる処理面26、2 8に、微細な凹凸状の周期構造が形成されて る。ここにおいて、処理面26、28の形成位置 特に限定されるものではないが、具体的に 、例えば、レンズ幾何中心からφ5mm以上離 て、瞳孔と重なり合うことのない位置や、 ンズ幾何中心からφ8mm以上離れて、光学部に 入らない周辺部上に形成されることが好まし い。本実施形態においては、処理面26、28は それぞれ、前後面周辺部22、24の全体と、前 面光学部16、18における中心から外れた位置 に形成されており、コンタクトレンズ10の装 状態において、瞳孔と重なり合うことのな 位置に形成されている。なお、処理面26お び処理面28は、何れも同様の構造とされてい ることから、以下の説明においては、処理面 26を例に説明する。

 本実施形態における処理面26には、レン 光軸方向での正面視において、レンズ幾何 心を中心とする同心円状の環状凹溝30が所定 間隔毎に複数形成されている。図3(a)に、処 面26の縦断面をモデル的に示す。なお、図3(a )および後述する図3(b)は、レンズ径方向の断 であり、複数の環状凹溝30によって形成さ る周期構造の周期方向の断面である。図3(a) 示すように、環状凹溝30は、レンズ外方に 口する凹溝とされており、レンズ径方向で 定のピッチ:Pをもって周期的に形成されてい る。これにより、複数の環状凹溝30、30およ その間によって形成される凹部と凸部が、 心円状で互いに平行に形成されており、こ ら凹部と凸部によって、処理面26に、レンズ 径方向で周期的な凹凸形状を有する微細な凹 凸状の周期構造が形成されている。なお、本 明細書中におけるピッチ:Pとは、図3(a)に示す ように、周期的に形成される微細周期構造の 1周期分の大きさを示すものであり、例えば 図3(b)に示すように、環状凹溝30の断面が矩 断面とされる場合には、ピッチ:Pは、山幅:W1 と溝幅:W2の和とされる。ここにおいて、環状 凹溝30の具体的な大きさは特に限定されるも ではないが、深さ:Dとしては、0.01μm≦D≦30 mの範囲内で設定されることが好ましい。ま 、ピッチ:Pとしては、0.01μm≦P≦2μmの範囲 で設定されることが好ましく、且つ、環状 溝30の深さ/幅(D/W)で表されるアスペクト比と しては、0.1~5の範囲内で設定されていること 好ましい。蓋し、環状凹溝30の深さが小さ ぎると、充分な保水量が得られない一方、 状凹溝30の深さが大き過ぎると、レンズの肉 厚が小さくなって、レンズ形状の安定性に悪 影響を与えるからである。ここにおいて、環 状凹溝30,30の大きさは非常に微細であること ら、装用時において触覚上および視覚上で 響を及ぼすことはない。なお、図3(a)から明 らかなように、特に本実施形態においては、 環状凹溝30、30の凹形状とその間の凸形状に って形成される微細な凹凸状の周期構造の ンズ径方向での断面形状は、正弦波状の湾 形状とされている。従って、特に本実施形 における環状凹溝30の幅:Wと、環状凹溝30,30 ピッチ:Pは略同じ寸法とされており、これに より、本実施形態における微細な凹凸状の周 期構造は、凹部と凸部の幅が略等しくされて いる。

 このような構造とされたコンタクトレン 10においては、処理面26,28に形成された環状 凹溝30内に涙液が入り込んだり、これら環状 溝30との表面張力等の作用によって、涙液 レンズ表面で保持される。これにより、レ ズ表面の保水性を向上せしめることが可能 されており、潤い感を向上せしめて、眼瞼 角結膜に対する機械的刺激を緩和したり、 ンズの動きを滑らかにする等、装用感を向 せしめることが出来る。そして、そのよう 保水効果を、化学的反応ではなく、処理面26 ,28に形成された周期的な凹凸形状によって実 現したことによって、経時による劣化の問題 も少なく、長期に亘って安定した保水力が発 揮され得るのである。また、処理面26,28に形 された微細な凹凸形状は、分光によって虹 に発色することから、落としたコンタクト ンズ10を発見する際にも役立つ。なお、か る分光は装用時においては殆ど発生するこ はなく、視覚上で影響を与えることはない

 次に、上述の如き構造とされたコンタク レンズ10について、その有利な製造方法の 具体例を、以下に説明する。

 先ず、図4(a),(b)に示すように、金型とし の雌型成形用金型32と雄型成形用金型34を準 する。これら雌雄型の成形用金型は、目的 するコンタクトレンズ10をモールド成形(重 )により得るための樹脂型としてのレンズ成 形用雌型36とレンズ成形用雄型38(図5参照)を それぞれ独立して公知の樹脂成形法により 造するものである。特に、成形用金型には 後述の如きレーザー加工に適当なブリハー ン鋼等が好適に採用されるが、その他任意 金属材が採用可能である。また、レンズ成 用の雌型36および雄型38に用いられる熱可塑 樹脂材料としては、例えば、ポリプロピレ やポリエチレン、ポリエチレンテレフタレ ト、ポリスチレン、ポリカーボネート、塩 ビニル、ナイロン、ポリアセタール、フッ 樹脂等が、何れも採用可能である。

 雌型成形用金型32は、中央部分に凹状球 の樹脂型成形面40を備えた第一の金型42と、 央部分に凸状球形の樹脂型成形面44を備え 第二の金型46を含んで構成されている。特に 、第二の金型46の凸状の樹脂型成形面44は、 ンタクトレンズ10の略球状凸面形状とされた レンズ前面12に対応した形状を呈している。

 そして、図示しない型締装置によって第 および第二の金型42,46を軸方向で型閉じし 、両金型42,46の型合わせ面間に成形キャビテ ィ48を形成する。この成形キャビティ48に対 て、例えば図示しない射出装置等によって 可塑性樹脂材料をスプルやランナ50を通じて 射出充填して冷却固化した後に、樹脂材料か らなる成形品を両金型42,46の型開きにより取 出す。これにより、レンズ成形用雌型36を る。そして、レンズ成形用雌型36の凹状球形 のレンズ成形面52が、第二の金型46の凸状の 脂型成形面44により形成されることによって 、かかるレンズ成形面52が、コンタクトレン 10のレンズ前面12に対応した形状とされる。

 ここにおいて、本実施形態における第二 金型46の樹脂型成形面44には、コンタクトレ ンズ10のレンズ前面12に形成される処理面26に 対応する位置に、凹凸状の微細周期構造を有 する周期構造転写面54が形成されている。こ において、周期構造転写面54を形成する具 的な方法は特に限定されるものではなく、 えば切削バイトによる切削加工等によって 成しても良いが、好適には、樹脂型成形面44 に放射線やレーザー光を照射して、非接触状 態で加工する態様やリソグラフィ等が採用さ れる。そして、更に好適には、レーザー光と して、フェムト秒レーザー光やピコ秒レーザ ー光のような極短いパルス幅を有するレーザ ー光を樹脂型成形面44に照射することによっ 、樹脂型成形面44にアブレーションを生ぜ めて周期構造を形成する態様が採用される

 本実施形態においては、レーザー光とし 、波長=800nm,パルス幅=120fs、繰り返し周波数 =1KHzのフェムト秒レーザーが用いられており かかるレーザー光が樹脂型成形面44に照射 れる。これにより、樹脂型成形面44上に、微 細な凹凸状の周期構造がレーザー光の偏光の 電場振動方向と平行に形成されて、周期構造 転写面54が形成される。即ち、凹形状および 形状の延び出し方向はレンズ周方向(図3の 面に略垂直方向)とされて、これら凹形状お び凸形状によって形成される周期構造はレ ズ径方向(図3中の左右方向)に形成される。 お、かかるフェムト秒レーザー光の照射に って微細周期構造が形成される科学的根拠 必ずしも明らかではないが、レーザー光が 脂型成形面44の表面で散乱されて生じる表 散乱光と、入射するレーザー光との干渉に って、樹脂型成形面44上のかかる干渉部分が アブレーションされる。これにより、樹脂型 成形面44の表面粗さが増加せしめられる。そ て、次のレーザー照射時にはより強い表面 乱光が生ぜしめられて、更にアブレーショ が進むと共に、1波長離れた位置でも干渉が 起こる。このようにして、レーザー光の照射 を繰り返すことによって、微細周期構造が形 成されるものと推考される。

 これにより、雌型成形用金型32を用いて ンズ成形用雌型36を樹脂成形する際に、雌型 成形用金型32の樹脂型成形面44に形成された 期構造転写面54の周期構造が、レンズ成形用 雌型36のレンズ成形面52に転写される。その 果、レンズ成形用雌型36のレンズ成形面52に 、コンタクトレンズ10において目的とする 理面26の形成位置に対応する部分に、微細な 凹凸状の周期構造を有する周期構造成形面56 形成される。

 一方、雄型成形用金型34は、雌型成形用 型32と同様に、第一の金型58および第二の金 60から構成されており、それら両金型58,60の 型合わせ面間に、レンズ成形用雄型38に対応 た成形キャビティ62を形成するものである そして、雌型成形用金型32と同様に、熱可塑 性樹脂材料がランナ50を通じて成形キャビテ 62内に射出充填されて冷却固化されること よって、レンズ成形用雄型38を成形する。こ れにより、レンズ成形用雄型38の凸状球形の ンズ成形面64が、第一の金型58の凹状の樹脂 型成形面66で形成されることで、コンタクト ンズ10のレンズ後面14に対応した形状とされ る。

 ここにおいて、雄型成形用金型34におけ 第一の金型58の樹脂型成形面66には、雌型成 用金型32と略同様にして、コンタクトレン 10のレンズ後面14に形成される処理面28に対 する位置に、凹凸状の微細周期構造を有す 周期構造転写面68が形成されている。周期構 造転写面68は、雌型成形用金型32の周期構造 写面54と同様の方法を用いて形成されており 、本実施形態においては、前述の如きフェム ト秒レーザー光によるアブレーションを用い て形成されている。これにより、雄型成形用 金型34に形成された周期構造転写面54の周期 造が、レンズ成形用雄型38のレンズ成形面64 転写される。その結果、レンズ成形用雄型3 8のレンズ成形面64には、コンタクトレンズ10 おいて目的とする処理面28の形成位置に対 する部分に、微細な凹凸状の周期構造を有 る周期構造成形面70が形成される。

 次に、このようにして周期構造成形面56 形成されたレンズ成形用雌型36と、周期構造 成形面70が形成されたレンズ成形用雄型38を いて、目的とするコンタクトレンズ10をモー ルド成形する。

 先ず、レンズ成形用雌型36を鉛直上方に けて開口するように支持せしめて、その凹 のレンズ成形面52によって形成された受け皿 状の領域に、コンタクトレンズ10の材料とな 重合性モノマー72を入れる。この重合性モ マー72には、ソフトコンタクトレンズやハー ドコンタクトレンズ等の原料となる各種の液 状のモノマー組成物が適宜に採用される。例 えば、ラジカル重合可能な化合物の一種又は 二種以上が配合されてなるものの他、マクロ マーやプレポリマから構成されるもの等が用 いられても良い。また、そのような化合物に は、必要に応じて、適当な架橋剤や増感剤、 熱重合開始剤、光重合開始剤等が配合される 。

 次に、図5に示すように、レンズ成形用雌 型36の鉛直上方からレンズ成形用雄型38を軸 向(図5中、上下方向)に重ね合わせて嵌め入 ることにより型合わせして、重合性モノマ 72が充填されて密閉された成形キャビティ74 形成する。その後、両型36,38の型合わせ状 を保持して、重合性モノマー72の重合処理を 行う。なお、重合処理は、採用する重合性モ ノマー72に応じて、光重合や熱重合などが適 に採用される。

 重合性モノマー72の重合の後、レンズ成 用雌型36とレンズ成形用雄型38を型開きして 重合処理された成形品からなるコンタクト ンズ10を脱型することによって、目的とす コンタクトレンズ10を得る。なお、コンタク トレンズ10の脱型は、例えば、型開きによっ レンズ成形用雄型38のレンズ成形面64に付着 せしめたコンタクトレンズ10を、該レンズ成 用雄型38の筒状部を軸直角方向に押し潰し レンズ成形面64を湾曲せしめて、該レンズ成 形面64から剥離させることによって、或いは 当な薬品を用いて剥離させることによって 行うことが出来る。

 このようにして重合成形されて脱型され コンタクトレンズ10においては、レンズ成 用雌型36のレンズ成形面52によって、レンズ 面12が形作られると共に、レンズ成形用雄 38のレンズ成形面64によって、レンズ後面14 形作られる。そして、雌型成形用金型32の樹 脂型成形面44に形成された周期構造転写面54 、レンズ成形用雌型36のレンズ成形面52に周 構造成形面56として転写され、更に周期構 成形面56が、コンタクトレンズ10のレンズ前 12に転写される。それと共に、雄型成形用 型34の樹脂型成形面66に形成された周期構造 写面68が、レンズ成形用雄型38のレンズ成形 面64に周期構造成形面70として転写され、更 周期構造成形面70が、コンタクトレンズ10の ンズ後面14に転写される。これにより、コ タクトレンズ10の前後面12,14それぞれの目的 する位置に、微細な凹凸状の周期構造を有 る処理面26,28が形成されるのである。

 そして、本製造方法によれば、両金型32,3 4に形成した微細周期構造を、樹脂型36,38を介 してコンタクトレンズ10に転写することから 両金型32,34に対して周期構造転写面54,68を形 成する工程が増加するのみであって、一旦、 両金型32,34を作成すれば、それ以降は従来の ールド成形法と同様の工程で製造すること 出来る。従って、実質的にコンタクトレン の製造ライン上での工数を増加せしめるこ がなく、優れた製造効率をもって、微細な 凸状の周期構造を有するコンタクトレンズ1 0を得ることが出来る。また、両金型32,34の周 期構造転写面54,68の微細な凹凸状の周期構造 転写されることから、該金型32,34によって 造されることとなる各レンズにおける微細 期構造の形状を安定せしめて、各レンズ間 品質のばらつきを抑えることも出来る。

 さらに、本製造方法においては、両金型3 2,34における周期構造転写面54、68を、フェム 秒レーザー光によるアブレーションを用い 、非接触状態で形成している。これにより 加工面を殆ど加熱せしめることがないこと ら、熱による変形も抑えられて、微細な凹 状の周期構造を、高精度に且つ安定して形 することが出来るのである。

 なお、上述の製造方法においては、両金 32,34に周期構造転写面54,68を形成するための レーザー光として、フェムト秒レーザー光を 用いていたが、ピコ秒レーザー光等も同様に 好適に採用され得る。また、レーザー光のみ ならず、放射線を採用することも可能であっ て、例えば電子線などが好適に採用され得る 。かかる電子線によっても、照射エネルギー 量を調節することによって、加工面を加熱せ しめることなく加工することが出来る。

 以上、本発明の一実施形態について詳述 てきたが、これはあくまでも例示であって 本発明は、かかる実施形態における具体的 記載によって、何等、限定的に解釈される のではない。なお、以下の説明において、 述の実施形態と実質的に同様の部材および 位については、前述の実施形態と同様の符 を付することによって、詳細な説明を省略 る。

 例えば、コンタクトレンズに形成される 細な凹凸状の周期構造の具体的な形状は、 に限定されるものではない。以下に、周期 造のその他の好適な態様を幾つか例示する 、周期構造の具体的な形状が以下の形状に 定されることを示すものではないことが理 されるべきである。なお、以下に示す各図 は、コンタクトレンズの前面を示すものと 、周期構造の大きさを誇張して示すもので る。但し、以下に示す各態様において、周 構造をレンズ後面に形成することも、勿論 能である。

 図6に、異なる態様の周期構造を有するコ ンタクトレンズ80を示す。かかるコンタクト ンズ80においては、直線状に延びてレンズ 方に開口する複数の線状凹溝82、82が、レン 光軸方向での正面視において所定のピッチ: Pをもって格子状に形成されることによって 周期構造が形成されている。ここにおいて 線状凹溝82の大きさは、前述の実施形態にお ける環状凹溝30と略同様の大きさとされてい ことが好ましく、深さ:Dが0.01μm~30μm、ピッ :Pが0.01μm~2μmの範囲内で設定されて、且つ 深さ/幅(D/W)で表されるアスペクト比が、0.1~5 の範囲内で設定されていることが好ましい。

 また、特に本態様におけるコンタクトレ ズ80においては、線状凹溝82がレンズ面の全 体に亘って形成されていることによって、レ ンズ面の全体が周期構造を有する処理面84と れている。このように、本発明における処 面は、必ずしも光学部の中央部分を外れて 成されている必要はないのであって、本態 のように、レンズ全体に形成されていても い。或いは、図7に示すコンタクトレンズ86 ように、処理面84を周辺部22のみに形成した り、図8に示すコンタクトレンズ88のように、 処理面84を光学部16のみに形成する等しても い。更には、周期構造をレンズ前面および ンズ後面の何れか一方のみに形成すること 、勿論可能である。一々図示はしないが、 学部および周辺部の何れか一方に周期構造 形成したり、レンズ前面およびレンズ後面 何れか一方に周期構造を形成する構成は、 発明に従う構造とされたコンタクトレンズ 全てに対して適用可能なのであって、前述 如きコンタクトレンズ10や、以下に説明する 各コンタクトレンズについても同様に適用す ることが可能である。また、図6乃至図8に示 たコンタクトレンズ80,86,88においては、二 向(図6乃至図8における上下方向と左右方向) 延びる線状凹溝82が形成されて、互いに直 せしめられていたが、例えば、何れか一方 (図6乃至図8における上下方向および左右方 の何れか一方向)に延びる線状凹溝82のみを 数形成する等しても良い。更にまた、線状 溝82の交差する角度は、前述のような直交の みならず、適宜に変更可能であって、斜めに 交差せしめる等しても良い。

 また、図9に、更に異なる態様のコンタク トレンズ90を示す。コンタクトレンズ90にお ては、レンズ幾何中心から径方向に直線状 延びてレンズ外方に開口する複数の線状凹 92、92が、レンズ周方向で所定の角度毎に形 されている。これにより、レンズ光軸方向 の正面視において、レンズ中心から放射状 延びる周期構造を有する処理面94が、レン 面の全体に亘って形成されている。また、 態様における線状凹溝92の深さや幅、および アスペクト比についても、前述の線状凹溝82 同様の範囲内で設定されていることが好ま い。

 なお、特に本態様においては、線状凹溝1 02は、レンズ径方向で連続することなく、光 部16と周辺部22の間で断続せしめられている 。このように、放射状に延びる周期構造は、 必ずしもレンズの径方向で連続している必要 はない。また、放射状に延びる周期構造とし ては、必ずしもレンズの径方向に沿って延び る必要もないのであって、例えば、図10に示 コンタクトレンズ100のように、レンズ径方 からやや周方向に傾いて直線状に延びる線 凹溝102を形成しても良いし、或いは、図11 示すコンタクトレンズ104のように、レンズ 心から外方に向けて、レンズ周方向に沿っ 曲線状に延びる曲線状凹溝106を形成するな しても良い。これらの態様においても、線 凹溝102や曲線状凹溝106のピッチ:P、深さ:D、 :W、アスペクト比などの大きさ寸法は、前 の線状凹溝92と同様の範囲内で設定されるこ とが好ましい。なお、図10および図11に示し コンタクトレンズ100、104においては、線状 溝102、曲線状凹溝106が放射状に形成されて ることから、そのピッチ:Pが、レンズ径方向 で変化せしめられている。このように、本発 明における微細な凹凸状の周期構造のピッチ は、必ずしも一定とされる必要は無い。また 、特に、図10に示すコンタクトレンズ100にお ては、光学部16の中央部分に、レンズ中心 ら径方向に沿って直線状に延びる複数の線 凹溝103,103が形成されている。このように、 学部や周辺部における周期構造の形状は、 ずしも単一形状とされる必要はなく、異な 形状の周期構造を組み合わせる等しても良 。

 また、上述の如き各形状を組み合わせて いることも勿論可能である。例えば、図12 示すコンタクトレンズ120のように、レンズ 何中心を中心として同心円状に延びる複数 環状凹溝122、122と、レンズ幾何中心から径 向に放射状に延びる複数の線状凹溝124、124 組み合わせて微細周期構造を構成する等し も良い。

 更にまた、前述の図10および図11における コンタクトレンズ100、104に示したように、本 発明における微細な凹凸状の周期構造のピッ チ:Pは、必ずしも一定とされる必要は無い。 って、例えば、前述のコンタクトレンズ10 おける環状凹溝30,30のピッチ:P(図3参照)を、 ンズ径方向で次第に変化せしめる等しても い。

 また、前述のコンタクトレンズの製造方 においては、樹脂型36,38を形成する金型32,34 に対してレーザー加工を施して、微細周期構 造を形成していたが、例えば、金型32,34にレ ザー加工を施すことなく、樹脂型36,38にレ ザー加工を施して、微細周期構造を形成す 等しても良い。具体的には、先ず、前述の 型成形用金型32にレーザー加工を施すことな く、周期構造転写面54が形成されていない雌 成形用金型32を用いて、レンズ成形用雌型36 を形成する。そして、得られたレンズ成形用 雌型36におけるレンズ成形面52において処理 26と対応する目的とする位置に対して、例え ばフェムト秒レーザー光やピコ秒レーザー光 を照射せしめることによって、アブレーショ ンを生ぜしめて周期構造を形成する。これに より、レンズ成形面52上に、前述の周期構造 形面56と同様の微細周期構造を形成するこ が出来る。一方、レンズ成形用雄型38につい てもレンズ成形用雌型36と同様に、周期構造 写面68が形成されていない雄型成形用金型34 を用いてレンズ成形用雄型38を形成する。そ て、レンズ成形用雄型38のレンズ成形面64に おいて処理面28と対応する目的とする位置に して、フェムト秒レーザー光やピコ秒レー ー光を照射せしめることによって周期構造 形成する。これにより、レンズ成形面64上 、前述の周期構造成形面70と同様の微細周期 構造を形成することが出来る。

 そして、周期構造成形面56が形成された ンズ成形用雌型36と、周期構造成形面70が形 されたレンズ成形用雄型38を前述の製造方 と同様に嵌め合わせて、レンズ成形面52,64間 に重合性モノマー72を充填せしめて重合処理 ることによって、コンタクトレンズ10を得 。これにより、周期構造成形面56、70の微細 期構造がレンズ前後面12,14に転写されて、 ンタクトレンズ10のレンズ前後面12,14にそれ れ、微細な凹凸状の周期構造を有する処理 26,28が形成されることとなる。

 このような製造方法によれば、金型32,34 して従来の金型をそのまま用いることが出 る。更に、樹脂型36,38に周期構造を形成する ことから、周期構造の形状の変更にも柔軟に 対応することが出来る。

 更にまた、金型を用いて目的とするコン クトレンズ10を直接にモールド成形するこ なども可能である。例えば、図13にモデル的 に示すように、金型としての雌金型130と雄金 型132を用意する。雌金型130の中央部分には、 目的とするコンタクトレンズ10のレンズ前面1 2に対応した略球状凹面形状のレンズ成形面13 4が形成されている。そして、レンズ成形面13 4においてコンタクトレンズ10のレンズ前面12 形成される処理面26に対応する位置に、微 な凹凸状の周期構造を有する周期構造成形 136が形成されている。かかる周期構造成形 136は、前述の雌型成形用金型32や雄型成形用 金型34と同様に、例えば前述の如きフェムト レーザー光をレンズ成形面134に照射して、 ブレーションを生ぜしめることによって、 削や大きな熱変形を伴うレーザー加工等に して有利に形成することが出来る。

 一方、雄金型132の中央部分には、目的と るコンタクトレンズ10のレンズ後面14に対応 した略球状凸面形状のレンズ成形面138が形成 されている。そして、レンズ成形面138におい てコンタクトレンズ10のレンズ後面14に形成 れる処理面28に対応する位置に、雌金型130と 同様に、例えばフェムト秒レーザー光を照射 してアブレーションを生ぜしめることによっ て、微細な凹凸状の周期構造を有する周期構 造成形面140が形成されている。

 そして、雌金型130のレンズ成形面134に、 ンタクトレンズ10の材料となる重合性モノ ー72を入れる。なお、本製造方法においては 、例えば熱重合開始剤が配合されたモノマー 組成物が採用される。次に、雌金型130の鉛直 上方から雄金型132を軸方向(図13中、上下方向 )に重ね合わせて嵌め合わせることにより型 わせして、重合性モノマー72が充填されて密 閉された成形キャビティ142を形成する。その 後、両型130,132の型合わせ状態を保持して、 えば金型ごと加熱することによって、熱重 による重合性モノマー72の重合処理を行う。

 その後、両型130,132を型開きして、重合処 理された成形品からなるコンタクトレンズ10 脱型することによって、目的とするコンタ トレンズ10を得ることが出来る。このよう 重合成形されたコンタクトレンズ10において は、雌金型130のレンズ成形面134によって、レ ンズ前面12が形作られると共に、雄金型132の ンズ成形面138によって、レンズ後面14が形 られる。そして、雌金型130に形成された周 構造成形面136が、コンタクトレンズ10のレン ズ前面12に転写される。これにより、コンタ トレンズ10のレンズ前面12の目的とする位置 に、微細な凹凸状の周期構造を有する処理面 26が形成される。それと共に、雄金型132に形 された周期構造成形面140がコンタクトレン 10のレンズ後面14に転写されることによって 、レンズ後面14の目的とする位置に、微細な 凸状の周期構造を有する処理面28が形成さ ることとなる。

 このような製造方法によれば、両金型130, 132に形成された周期構造成形面136,140がコン クトレンズ10に直接に転写されることから、 微細な凹凸状の周期構造を有する処理面26,28 より安定して形成することが出来る。更に 樹脂型が不要とされることから、樹脂型を 形する工程も不要とされて、より優れた製 効率を得ることも出来る。

 更にまた、従来公知の製造方法に従って 造されたレンズ成形品のレンズ前面やレン 後面に対して、直接に放射線やレーザー光 照射することによって、微細な凹凸状の周 構造を形成する等しても良い。このような 造方法によれば、レンズ成形品の製造方法 関わらず、微細な凹凸状の周期構造を形成 ることが可能となる。従って、モールド成 法で製造されたレンズ成形品のみならず、 ースカット法やスピンキャスト法、その他 来公知の方法に従って製造された各種のレ ズ成形品に対して、微細な凹凸状の周期構 を形成することが出来る。

 その他、一々列挙はしないが、本発明は 当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正 ,改良等を加えた態様において実施され得る のであり、また、そのような実施態様が、 発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本 明の範囲内に含まれるものであることは、 うまでもない。

 本発明に従うコンタクトレンズおよびそ 製造方法の技術的効果について確認するた に行った試験を、以下に実施例として記載 る。

 先ず、前記実施形態に係るコンタクトレ ズ10の製造に用いられる雌型成形用金型32( 二の金型46)と同等な材質の金型プレートを 意する。金型プレートの材質は、ニッケル ッキを施したSTAVAX(商標)である。

 そして、金型プレートの表面にレーザー を照射することにより、微細周期構造を形 する。かかるレーザー光としては、フェム 秒レーザーを採用し、波長を800nm、パルス を120fs、繰り返し周波数を1kHzとした。また フェムト秒レーザー加工装置として、キヤ ンマシナリー社製のフェムト秒レーザー加 装置を使用した。

 そして、前記実施形態におけるレンズ成 用雌型36と同等な材質の樹脂型に相当する 脂プレートを用意する。樹脂プレートの材 は、ポリプロピレンである。前記微細周期 造が形成された金型プレートをホットプレ トを用いて約170°Cに加熱して、かかる樹脂 レートを押し付けることによって、金型プ ートに形成された微細周期構造を樹脂プレ トに転写した。

 次に、上記微細周期構造が転写された樹 プレートを用いてシリコン含有のソフトコ タクトレンズ材を重合成形することによっ 、実施例としてのコンタクトレンズに相当 るレンズプレートを得た。

 先ず、得られた金型プレートとレンズプ ートについて、AFMによる形状測定および任 断面形状解析を行った。AFM測定評価系とし は、セイコーインスツルメンツ株式会社製 走査型プローブ顕微鏡:SPI3800N/SPA300を用いた 。測定条件としては、カンチレバーとしてバ ネ定数=0.2N/m,共振周波数=14kHzの品名:SI-AF01を い、スキャナーとしてはスキャンレンジ100μ m、X/Y感度=300nm/V,Z感度=27.2nm/Vのものを用いた

 かかるAFM測定による観察結果を、図14に す。なお、図14(a1)~(a3)は、順に、金型プレー トについて走査エリア30×30μm、10×10μm、3×3μ mとしたものであり、図14(b1)~(b3)は、順に、レ ンズプレートについて走査エリア30×30μm、10 10μm、3×3μmとしたものである。図14から、金 型プレートに形成された微細周期構造が、レ ンズプレートに転写されていることが認めら れる。

 表1に、任意断面形状解析の結果を示す。 金型プレートについて、波長800nmよりも小さ ピッチで周期構造が形成されていることが 認された。レンズプレートについては、金 プレートよりもピッチが大きいが、これは レンズプレートが含水することによってピ チが大きくなったものと推考される。

 次に、得られたレンズプレートと、比較 としての微細周期構造を有さない比較例プ ートについて、保水力を測定した。かかる 水力の測定に用いた機器構成を図15に概略 に示す。ここにおいて、CCDカメラ150として 、ソニー株式会社製の3CCDカラービデオカメ :DXC-390、カメラレンズ152として、株式会社 コン製のカメラレンズ:MicroNIKKOR105mmF2.8S、接 リング154として、株式会社ニコン製の接写 ング:PN-11およびPK-13にFCマウントを組み合わ せて使用した。そして、実施例としてのレン ズプレート156および比較例プレート160を液中 に浸漬せしめて、空気中に出してからの経時 に伴うプレート表面の乾燥の様子を、黒色ゴ ム付プレート158上に載置した状態でCCDカメラ 150で観察すると共に、かかるCCDカメラ150で撮 影した画像に基づいて、プレート表面上の液 の面積(単位:Pixel)を測定した。なお、画像解 ソフトウェアとしては、株式会社プラネト ン製のIPPWIN-V4.5Jを使用した。また、レンズ レート156乃至は160の表面と、黒色ゴム付プ ート158の厚さ方向中間部分との距離:5mm、黒 色ゴム付プレート158の厚さ方向中間部分と、 CCDカメラ150における固定用マウントとの距離 :365mmとすると共に、カメラレンズ152のレンズ 絞り開度は2.8、撮影距離は0.34mとした。

 図16に、実施例としてのレンズプレート15 6および比較例プレート160における、液中か 空気中に出した後の表面の変化の様子を示 。なお、図16(a1)~(a3)は、それぞれ、微細周期 構造を有さない比較例プレート160の空気中に 出してからの0秒後、30秒後、60秒後のプレー 表面の様子を示し、図16(b1)~(b3)は、それぞ 、微細周期構造を有する実施例としてのレ ズプレート156の空気中に出してからの0秒後 30秒後、60秒後のプレート表面の様子を示す ものである。図16から、本発明に従う構造と れたレンズプレート156においては、比較例 レート160に比して、プレート表面の液の面 がより大きく、優れた保水力を有すること 確認される。

 次に、図17に、実施例としてのレンズプ ートおよび比較例としてのレンズプレート 、プレート表面上の液の面積の変化を示す なお、図17においては、実施例および比較例 として各々3枚のレンズプレートを用意した これら3枚のレンズプレートは、実施例、比 例の中でそれぞれ同一のものであり、再現 を確認するために複数(3回)の試験を実施し ものである。図17には、各試験の試験結果 それぞれ実施例1~3、比較例1~3として示す。 17から明らかなように、比較例の各レンズプ レートは、何れの試験においても、空気中に 出して略30秒で略完全に液を弾いてしまうの 対して、本発明に従う構造とされた各レン プレートは、何れの試験においても、1分経 過後も、表面に液を保持していることが確認 される。更に、比較例のレンズプレートは、 保水力の低下が急峻で、空気中に出した直後 から急激に保水力が低下するのに比べて、実 施例のレンズプレートは、保水力の低下が緩 やかで、この点からも、より優れた保水力を 有することが確認される。

 これらの実施例の結果に基づき、本発明 コンタクトレンズの製造方法によれば、微 周期構造を安定してコンタクトレンズに形 出来ることが確認された。また、本発明の ンタクトレンズによれば、従来構造のコン クトレンズに比して、保水力が向上せしめ れることが確認された。

 さらに、本発明に従うコンタクトレンズ よびその製造方法の技術的効果について確 するために行った別の試験を、以下に記載 る。

 先ず、前記実施形態に係るコンタクトレ ズの製造に用いられるレンズ成形用雄型を る雌金型(第一の金型)を用意する。金型の 質は、STAVAX(商標)である。

 そして、前記金型の表面にレーザー光を 射することにより、微細周期構造を形成す 。かかるレーザー光としては、フェムト秒 ーザーを採用し、波長を800nm、パルス幅を18 0fs、繰り返し周波数を1kHzとした。また、フ ムト秒レーザー加工装置として、キヤノン シナリー社製のフェムト秒レーザー加工装 を使用した。

 なお、レーザー加工に際しては、前記金 の最低点を中心に円周方向に回転させつつ シンドリカルレンズにて縦長にしたレーザ 光を長さ約6mmのスリット光としたものを照 した。また、前記金型の形成面の周辺部に しては、表面に垂直となるようにR8.00mmを基 準とした角度(固定)にて斜め方向からレーザ を照射した。そして、レーザー光の偏光方 を90°回転させてレーザー照射を行うことに より、同心円状パターンと放射状パターンと の2種類の周期構造が形成された前記金型を た。

 そして、かかる2種類の周期構造が付され た前記金型を用いてそれぞれモールド成形を 行い、ポリプロピレン製のレンズ成形用雄型 を作成した。

 こうして得られた同心円状及び放射状の 期構造が形成された2種類のレンズ成形用雄 型と、周期構造が形成されていないレンズ成 形用雄型とに対して、接触角計を用いた表面 分析を行った。接触角計としては協和界面科 学株式会社製のDropmaster500を使用し、測定す 接触角としては、前進接触角及び後退接触 の2種の動的接触角を測定した。なお、前進 触角及び後退接触角の測定方法は次のとお である。先ず、型表面に液滴を接触させ、 の液滴を膨らませたり吸引したりすること 、液滴の境界を前進又は後退させる。この き、液滴の状態を側面から観察し、左右そ ぞれの液滴の端点における液滴表面と型表 とが接する角度を計測する。なお、試験に 用した液滴は蒸留水である。

 表2に各試料の前進接触角の測定結果を、 表3に各試料の後退接触角の測定結果をそれ れ示す。また、図18及び図19に、実際の液滴 状態を撮影した写真を示す。なお、図18及 図19における(a)は周期構造のない比較例、(b) は同心円状の周期構造を形成した実施例、(c) は放射状の周期構造を形成した実施例である 。

 表2,3及び図18,19に示される結果から、特 、液滴の後退時においては、何れの種類の 期構造を付した実施例でも、比較例に比べ 接触角が極めて小さくなることが確認され 。即ち、レンズ成形用雄型に周期構造を形 したことにより、レンズ成形用雄型の表面 水分が止まりやすくなっていることがわか 。

 次に、上述のレンズ成形用雄型を用いた 面試験に代えて、コンタクトレンズに相当 るレンズプレートを用いた表面試験を行う 先ず、上述の試験で用いたレンズ成形用雄 を作る雌金型(第一の金型)と同等な材質か なるプレート用金型を用意し、これに上述 試験と同様のレーザー加工条件において、 心円状の微細周期構造を形成する。そして プレート用金型を用いてモールド成形を行 、ポリプロピレン製のプレート成形用型を 成した。

 さらに、上記微細周期構造が転写された レート成形用型を用いて、酸素透過性(RGP) 材からなるレンズプレートを得た。

 こうして得られた同心円状の周期構造が 成された実施例としてのレンズプレートと 周期構造が形成されていない比較例として レンズプレートとに対して、先の試験と同 に接触角計を用いて前進接触角及び後退接 角を測定した。

 表4に実施例,比較例それぞれの前進接触 及び後退接触角の測定結果を示す。また、 20には比較例における前進時及び後退時の液 滴の状態が示されており、図20の(a)-1~(a)-3が 較例の前進時、図20の(b)-1~(b)-3が比較例の後 時のものである。そして、図21には実施例 おける前進時及び後退時の液滴の状態が示 れており、図21の(a)-1~(a)-3が実施例の前進時 図21の(b)-1~(b)-3が実施例の後退時のものであ る。

 これら表4及び図20,21に示される結果から 先のレンズ成形用雄型を用いた試験と同様 、レンズプレートの試験においても、特に 液滴の後退時において、周期構造を付した 施例では周期構造のない比較例に比して接 角が小さくなることが確認された。即ち、 ンズプレート上に周期構造が形成されてい ことにより、レンズプレートの表面に水分 止まりやすくなっていることがわかる。

 さらに、上述のレンズ成形用雄型とレン プレートとを用いた2種類の試験の結果から 、各測定結果の平均値を用いて、それぞれの 前進接触角と後退接触角との差、ヒステリシ スの値を求めると、次のようになる。

 表5に、各試験における比較例及び実施例 それぞれのヒステリシスの値を示す。レンズ 成形用雄型及びレンズプレートの何れを用い た試験においても、ヒステリシスは比較例よ りも周期構造を形成した実施例の方が大きい ことがわかる。即ち、周期構造が形成されて いることにより、レンズ成形用雄型及びレン ズプレート表面は水が移動しづらい状態とな っており、その結果、優れた保水性を有する ことがわかる。なお、表5から明らかなよう 、ヒステリシスはレンズ成形用雄型におい 特に大きくなっており、極めて高い保水性 示していることがわかる。

 また、次に、周期構造を形成したコンタ トレンズ上において、レンズ表面上におい 生理食塩水がレンズ表面を移動する様子を 分干渉顕微鏡を用いて観察した試験結果を す。

 先ず、本試験においては、上述の各試験 同様に、STAVAX(商標)製の金型を用意し、こ に上記試験と同様のレーザー加工条件で同 円状の周期構造を形成する。かかる金型を いてポリプロピレン製の樹脂型を作成し、 らに、この樹脂型を用いて、シリコン含有 ソフトコンタクトレンズ材からなるコンタ トレンズを得た。

 このようにして得られた周期構造を有す 実施例としてのコンタクトレンズと、周期 造のない比較例としてのコンタクトレンズ を用いて、それぞれを生理食塩水に接触さ た後、表面張力等によってレンズ表面から 理食塩水が引いていく経過の状況を、微分 渉顕微鏡を用いて観察した。図22(a)として されるものが周期構造のない比較例の顕微 写真、図22(b)が周期構造を形成した実施例の 顕微鏡写真であり、各画像内に矢印で示され ているのが各画像中における生理食塩水の後 退方向である。

 先ず、図22(a)に示される比較例において 、生理食塩水が後退していく水際が境界線16 2として明瞭に観察される。そして、この境 線162付近の生理食塩水には、ある程度幅広 干渉パターンが観察され、この部分の生理 塩水が比較的薄い厚みで広がっていること わかる。一方、図22(b)に示される実施例にお いては、写真上では観察しにくいが、肉眼で の観察では、生理食塩水の境界部分に薄く黒 ずんだ帯状部分164が広がっているのが観察さ れる(図22(b)中に斜線部分にて示す)。これは 生理食塩水が、干渉パターンが全く観察さ ないほどに極めて薄く広がった領域と考え れる。なお、図22(b)においては、帯状部分164 と隣接して、比較的幅の狭い干渉パターンが 見られ、帯状部分164の以降の生理食塩水は比 較的厚い液厚で広がっていることがわかる。 また、本試験においては、比較例のコンタク トレンズでは生理食塩水の後退速度が速いの に対して、実施例のコンタクトレンズでは、 生理食塩水の後退速度は非常に緩やかであっ た。これらの結果から、周期構造を形成した 実施例のコンタクトレンズにおいては、後退 接触角が極めて小さく、レンズ表面の保水性 が向上していることが確認された。

 次に、先ほどの試験と同じ工程により製 した同心円状の周期構造を有するシリコン 有ソフトコンタクトレンズを用いて、その ンズを実際に被験者に装用してもらい、各 着者の開眼直後からレンズ表面の涙液膜が れ始めるまでの時間を測定した結果を記す

 表6に、レンズ装用から0分後、15分後、30 後における、比較例としての周期構造のな 通常のコンタクトレンズを装用した場合と 実施例としての同心円状の周期構造を有す コンタクトレンズを装用した場合とのそれ れの測定結果を、併せて示す。また、かか 表6の試験結果をグラフに表したものを図23 示す。これら表6及び図23から明らかなよう 、周期構造を有するコンタクトレンズの方 、涙液膜が切れ始めるまでの時間が明らか 長く、比較例よりも長時間レンズ表面に涙 を保持していることが観察された。また、 の効果は装用開始時だけでなく、装用から3 0分が経過しても観察されている。即ち、装 開始から長時間が経過し、レンズの乾燥が んだ後も、瞬目によりレンズ表面に補充さ る涙液を高度に保持し得て、乾燥感の低減 高い効果を発揮し得ることがわかる。

 次に、一般には回路基板用として市場に 供されているナノインプリント用モールド 対して、本発明における周期構造と同様の ターンを形成し、接触角測定試験を行った 果を、以下に示す。

 先ず、本試験においては、上述の実施形 で用いられる樹脂型成形用金型等に代えて シリコン製のナノインプリント用モールド 試料として用意する。ナノインプリント用 ールドに形成するパターンはライン&ス ースパターンとし、パターンの形成深さは5 m、ピッチは1μm,5μm,10μm,50μmのものをそれぞ 用意した。

 そして、このようなナノインプリント用 ールドにおける、周期構造部分とフラット との各部分での静的接触角を測定した。な 、接触角の測定には、上述のレンズ成形用 型及びレンズプレートを用いた接触角測定 験と同様に、協和界面科学株式会社製のDrop Master500を用いた。

 表7に、各試料の静的接触角の測定結果を 示す。ピッチが50μmのものを除いて、形成ラ ンの長軸方向と直交して観察した場合には 周期構造部分の接触角はフラット部よりも さな角度を示した。また、1~50μmのどのピッ チにおいても、溝に沿って(長軸方向に)水が がる傾向が観察された。また、なお、乾燥 程においては長軸方向と直交する方向(短軸 方向)の幅を保ったまま、水滴の厚みが徐々 減少していく傾向にあった。また、周期構 部における水滴と試料の界面には、上述の 分干渉顕微鏡による観察試験における実施 の観察時に見られたような薄膜が観察され 。このような観察結果からも、特に、ピッ が1~10μmの範囲で形成された試料において、 期構造の形成により、水濡れ性及び保水性 能が向上しているものと考察される。

 また、かかる試験結果から、本発明に従 周期構造を付与したことによる保水性の向 効果が、先述のコンタクトレンズやその樹 型だけでなく、シリコン製のナノインプリ ト用モールドという異なる材質の試料にお ても同様に発揮され得ることが確認された これにより、本発明の効果が、素材の材質 関わらず、物理的な形状の効果として有効 発揮されることが明らかとなった。それ故 現在及び将来的に提供され得るコンタクト ンズ用の各種の素材に対しても、本発明が 応可能であり、それによって本発明が目的 する保水性や装用感の向上効果が何れも有 に発揮され得るものであることであること 確認され得たのである。