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Patent Searching and Data


Title:
CONTINUOUSLY VARIABLE TRANSMISSION
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/119380
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a continuously variable transmission that transmits the rotational driving force of one pulley to another pulley by means of a driving force transmission means wrapped around the two pulleys, both of which have an adjustable pulley groove width. The continuously variable transmission comprises: parts to be meshed with, provided on the side of the driving force transmission means that is wrapped around one pulley; and movable meshing parts provided on the axial part of one pulley so as to be able to move forward and backward in the radial direction of the axial part, and, when the gear ratio is at the maximum and/or when the gear ratio is at the minimum, capable of moving forward and meshing with the parts to be meshed with.

Inventors:
MIURA YOSHITAKA
YOSHINO MASASHI
MINETA YOSHIKO
IWASAKI AKIHIKO
MATSUSHITA YUKI
Application Number:
PCT/JP2009/055147
Publication Date:
October 01, 2009
Filing Date:
March 17, 2009
Export Citation:
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Assignee:
NISSAN MOTOR (JP)
MIURA YOSHITAKA
YOSHINO MASASHI
MINETA YOSHIKO
IWASAKI AKIHIKO
MATSUSHITA YUKI
International Classes:
F16H9/24; F16H55/38; F16H55/56
Foreign References:
JPS6182061A1986-04-25
JP2001041300A2001-02-13
US4515576A1985-05-07
JPS63120950A1988-05-25
Other References:
See also references of EP 2256370A4
Attorney, Agent or Firm:
HASHIMOTO, Takeshi et al. (JP)
Hashimoto 剛 (JP)
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Claims:
 共にプーリ溝幅を変更可能な二つのプーリの間に掛け回された駆動力伝達手段により、一方のプーリの回転駆動力を他方のプーリに伝達する無段変速装置において、
 前記駆動力伝達手段のプーリ巻き付き側に設けた被噛合部と、
 前記プーリの軸部に、前記軸部に対し進出退避自在に軸部半径方向に移動可能に設置され、変速領域が最Hi時及び最Lo時の少なくとも一方の時、進出状態になって前記被噛合部に噛合することができる可動噛合部と
 を有することを特徴とする無段変速装置。
 前記駆動力伝達手段がプーリ溝底に位置してプーリ巻き付き径が小さいとき、前記駆動力伝達手段と前記プーリの軸部とが接触状態になって前記可動噛合部が前記被噛合部に噛合することを特徴とする請求項1に記載の無段変速装置。
 前記可動噛合部は、
 前記二つのプーリのプーリ比が最Hi時より小さい場合、前記軸部の半径方向に可動し前記駆動力伝達手段との間に斜面摩擦力を発生させて、前記プーリと前記駆動力伝達手段のスリップ率を低減させ、
 前記プーリ比が最Hi時、前記駆動力伝達手段が十分に噛み合った状態となって、前記プーリと前記駆動力伝達手段がスリップしない状態或いは殆どスリップしない状態にすることを特徴とする請求項1または2に記載の無段変速装置。
 前記可動噛合部は、
 前記被噛合部と噛み合った状態で、前記軸部に形成された前記可動噛合部の突出を規制する突出規制部との間に間隙を有するように設置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の無段変速装置。
 前記軸部に形成された前記可動噛合部の突出を規制する突出規制部に係止する前記可動噛合部の係止部を、前記プーリの軸方向のみに設置したことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の無段変速装置。
 前記係止部の係止面を凸状或いは凹状の傾斜面により形成したことを特徴とする請求項5に記載の無段変速装置。
 前記駆動力伝達手段は、
 ピンを用いて円環状に連結された複数のチェーンリンクのそれぞれが前記ピンを軸として前記ピンの周りに自在に回動するチェーンからなることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の無段変速装置。
 前記被噛合部は、
 前記チェーンリンクに形成された、前記可動噛合部側に開口する凹部であることを特徴とする請求項7に記載の無段変速装置。
 前記二つのプーリは、
 駆動力が入力するドライブプーリと、前記駆動力伝達手段を介して前記ドライブプーリから回転駆動力が伝達されるドリブンプーリであることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の無段変速装置。
 前記可動噛合部は、
 付勢部材により前記プーリの軸部の半径方向外側に突出するように付勢されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の無段変速装置。
 前記付勢部材は、
 前記可動噛合部毎に装着されて前記プーリの軸部の半径方向に伸縮動作し、伸縮時、前記可動噛合部を突出させるコイルスプリングであることを特徴とする請求項10に記載の無段変速装置。
 前記付勢部材は、
 前記プーリの軸部外周に装着されて前記軸部外周で縮径或いは拡径動作し、拡径時、前記軸部外周に配置された複数の前記可動噛合部を一体的に突出させるリング状スプリングであることを特徴とする請求項10に記載の無段変速装置。
 前記リング状スプリングは、前記可動噛合部のそれぞれの内部に配置される突部を有し、前記突部と前記可動噛合部の間に、前記リング状スプリングの付勢変形を許容する隙間を設けて、配置されていることを特徴とする請求項12に記載の無段変速装置。
 前記リング状スプリングは、前記リング状スプリングのスプリング周方向への移動を阻止する移動阻止部を有することを特徴とする請求項12に記載の無段変速装置。
 前記リング状スプリングは、リング周方向に切り離す非連結部を有し、前記非連結部を、前記可動噛合部に装着された複数の前記リング状スプリング間でずらして配置したことを特徴とする請求項12から14のいずれか一項に記載の無段変速装置。 
Description:
無段変速装置

 この発明は、無段変速装置(CVT)に関し、 に、プーリに付属する歯と駆動力を伝達す 駆動力伝達手段が噛み合って動作する無段 速装置に関する。

 従来、Vベルトにより回転駆動力の伝達を行 なう無段変速装置として、例えば、「無段変 速機構」(特許文献1参照)が知られている。
 従来の「無段変速機構」は、Vベルトを用い て回転力の伝達を確実に行うために、駆動回 転軸に付されたプーリと従動回転軸に付され たプーリとの間でVベルトにより回転駆動力 伝達を行い、且つ上記2つのプーリの内の少 くとも一方が可変ピッチプーリであるVベル ト式無段変速機構において、Vベルトが歯付 Vベルトであり、且つ少なくとも一方の可変 ッチプーリがV溝底に上記Vベルトの歯と噛 合う歯車を有することを特徴とている。

特開昭63-120950号公報

発明の概要

 しかしながら、従来の「無段変速機構」に いては、可変ピッチプーリがV溝底に有する 、Vベルトの歯と噛み合う歯車が、V溝底の軸 固定されていることから、このV溝底の軸に 付属する歯とVベルトの歯が十分噛み合って ない場合、両方の歯のピッチが一致しない め、軸に付属する歯がVベルトを攻撃してし うことが避けられなかった。
 つまり、可変ピッチプーリのV溝底の軸に設 置した歯(即ち、噛合手段)と、この歯に噛み って駆動力を伝達する駆動力伝達手段(Vベ トやチェーン等)との協調した動きが阻害さ てしまうことになり、駆動力の伝達ができ くなると共に駆動力伝達手段が傷付くこと 起こり得る。

この発明の目的は、プーリのV溝底の軸に 置した噛合手段が、この噛合手段と噛み合 て駆動力を伝達する駆動力伝達手段を攻撃 ることがなく、噛合手段と駆動力伝達手段 協調した動きを阻害することがない無段変 装置を提供することである。

 この発明により、変速領域が最Hi時及び Lo時、即ち、プーリ比が最も高い変速領域の 時及びプーリ比が最も低い変速領域の時、の 少なくとも一方のとき、可動噛合部がプーリ の軸部に対し進出状態になって駆動力伝達手 段の被噛合部に噛合することを特徴とする無 段変速機が提供される。

 この発明によれば、無段変速装置の変速 域が最Hi時及び最Lo時の少なくとも一方のと き、可動噛合部がプーリの軸部に対し進出状 態になって駆動力伝達手段の被噛合部に噛合 するので、プーリのV溝底の軸に設置した噛 手段が、この噛合手段と噛み合って駆動力 伝達する駆動力伝達手段を攻撃することが く、噛合手段と駆動力伝達手段の協調した きを阻害することがない。

この発明の一実施の形態に係る無段変 装置の概略説明図である。 図1のドリブンプーリの軸部にチェーン が巻き付いていない状態を示す説明図である 。 図1のドリブンプーリの軸部にチェーン が巻き付いている状態を示す説明図である。 可動歯が取り付けられる可動歯固定部 の斜視図である。 可動歯の可動歯固定部品への組み込み 態を示す断面説明図である。 最Hi時、ドリブンプーリの軸部に可動 固定部品を装着した状態を示す断面説明図 最Lo時、ドリブンプーリの軸部に可動 固定部品を装着した状態を示す断面説明図 ある。 チェーンと可動歯の対応関係に基づく 種状態を表で示す説明図である。 プーリ比に対するプーリ軸のスリップ と可動歯のばね力の関係をグラフで示す説 図である。 駆動状態のチェーンに対し可動歯が可 歯組込孔から突出している状態の断面説明 である。 駆動状態のチェーンに対し可動歯が可 動歯組込孔に沈み込んでいる状態の断面説明 図である。 チェーンが可動歯の突起状段部に接触 している状態の力の関係を示す断面説明図で ある。 この発明におけるスリップレス状態と 従来のスリップ状態をプーリ比とスリップ率 の関係において示す説明図である。 チェーンリンクの凹部と可動歯が噛合 した状態における可動歯固定部品内部の可動 歯を示す断面説明図である。 可動歯の他の例を示す断面説明図であ る。 この発明の第2実施の形態に係る可動 構造におけるプーリの軸部にチェーンが巻 付いている状態を示す説明図である。 図15の可動歯が組み込まれた可動歯ガ ドの一部を裏面側から等角投影法で示した 明図である。 可動歯を等角投影法で示した説明図で ある。 可動歯ガイドの一部裏面側を等角投影 法で示した説明図である。 図15のスプリングを等角投影法で示し 説明図である。 可動歯ガイド内の可動歯保持状態を部 分的に示す説明図である。 この発明の第3実施の形態に係る可動 構造におけるプーリの軸部にチェーンが巻 付いている状態を示す説明図である。 図21のスプリングを等角投影法で示し 説明図である。 この発明の第4実施の形態に係る可動 構造におけるプーリの軸部にチェーンが巻 付いている状態を示す説明図である。 図23の可動歯ガイド内の可動歯保持状 を部分的に示す説明図である。 この発明の第5実施の形態に係る可動 構造の可動歯部分を軸部方向に沿う断面で す説明図である。 図25のA-A線に沿う断面図である。 図25の可動歯が組み込まれる可動歯固 部品を示す斜視説明図である。 図27の可動歯固定部品と可動歯をプー 軸に組み込んだ状態を示す斜視説明図であ 。 図26の可動歯装着部を拡大して示す部 説明図である。 この発明の第6実施の形態に係る可動 構造の可動歯部分をプーリ軸方向に沿う断 で示す説明図である。 図30の可動歯が組み込まれる可動歯固 部品を示す斜視説明図である。 図31の可動歯固定部品と可動歯をプー 軸に組み込んだ状態を示す斜視説明図であ 。 この発明の第7実施の形態に係る可動 構造(その1)を説明する、図25のB-B線に沿う断 面図である。 図33の可動歯装着部を拡大して示す部 説明図である。 この発明の第7実施の形態に係る可動 構造(その2)を説明する、図25のB-B線に沿う断 面図である。 図35の可動歯装着部を拡大して示す部 説明図である。

詳細な説明

 以下、この発明を実施するための最良の形 について図面を参照して説明する。
(第1実施の形態) 
 図1は、この発明の第1実施の形態に係る無 変速装置の概略説明図である。図1に示すよ に、無段変速装置(CVT)10は、ドライブプーリ (プライマリプーリ)11とドリブンプーリ(セカ ダリプーリ)12と共に、ドライブプーリ11と リブンプーリ12の間に掛け回された駆動力伝 達手段13を有しており、ドリブンプーリ12の 部( プーリ軸部)14には、可動歯固定部品15を 介して可動歯(可動噛合部)16が装着されてい 。

 このCVT10は、例えば、車両に備えられて 車両の走行速度を無段階に変化させること できる。なお、駆動力伝達手段13としては、 ベルトやチェーン等が用いられるが、ここで は、駆動力伝達手段13としてチェーンを用い 例について説明する。

 ドライブプーリ11には、エンジン(図示し い)からの駆動力が入力し、ドリブンプーリ 12から出力された駆動力は、駆動軸(図示しな い)に伝達される。ドライブプーリ11とドリブ ンプーリ12は、共に、固定プーリに対し可動 ーリを移動させて、固定プーリと可動プー の間にV字状断面溝(V溝)を形成すると共にV 幅を変更することができる。そして、駆動 る側であるドライブプーリ11と駆動される側 であるドリブンプーリ12のV溝幅を連続的に変 えることで、駆動する側と駆動される側のチ ェーン13の伝達ピッチを変化させ、これによ 滑らかな無段階変速を行なうことができる

 図2は、図1のドリブンプーリの軸部にチェ ンが巻き付いていない状態を示す説明図で る。図3は、図1のドリブンプーリの軸部にチ ェーンが巻き付いている状態を示す説明図で ある。
 図2及び図3に示すように、ドリブンプーリ12 の軸部14の外周面に装着された可動歯固定部 15には、可動歯固定部品15の外表面に対し退 避自在に突出して、つまり、可動歯固定部品 15の半径方向に移動自在に、可動歯固定部品1 5の全周に渡って可動歯16が組み込まれている 。この可動歯16は、CVT10の最Hi(例えば、オー ドライブ:OD)時、可動歯固定部品15の外表面 ら突出し、チェーン13と噛み合った状態にな る。

 なお、可動歯16は、ドリブンプーリ12の軸部 14に設けられている場合に限らず、ドライブ ーリ11に設けられていても良く、この場合 CVT10の最Lo時、可動歯固定部品15の外表面か 突出し、チェーン13と噛み合った状態になる 。
 つまり、CVT10の最Hi時及び最Lo時の少なくと 一方のとき、即ち、駆動力伝達手段(チェー ン)13がプーリのV溝底に存在するとき、可動 固定部品15の外表面から突出し、チェーン13 噛み合った状態になる。

 チェーン13は、薄板リング状のチェーン ンク17を、2個一組のピン18を用いて、重ね合 わせた状態で円環状に連結することにより形 成されており、ピン18を連結軸として連結さ た各チェーンリンク17は、ピン18を軸として ピン18周りに自在に回動(揺動)する。各チェ ンリンク17は、可動歯16に巻き付く側の可動 16当接部分に、凹部(被噛合部)17aを有してい る。凹部17aは、可動歯16の軸部14外表面から 突出形状に対応して切り欠かれていると共 、可動歯16のピッチと一致したピッチで配置 されている。

 図4は、可動歯が取り付けられる可動歯固 定部品の斜視図である。図4に示すように、 動歯固定部品15は、円筒状に形成されており 、その周面に、可動歯16を組み込み固定する めの複数の可動歯組込孔19を有している。 の可動歯固定部品15は、ドリブンプーリ12の 部14の外表面に埋設状態に組み付けられる め、円筒中心軸方向に沿う分割線15aにより 分割されていると共に、軸部14に組み付けた 後の固定のため、周面の両端部近傍に固定用 のスナップリング(図示しない)を取り付ける 15bを有している。

 可動歯組込孔19は、可動歯固定部品15の周 壁内外面を貫通して、一端に拡幅部19aを有す る円筒中心軸に沿う長孔状、即ち、平面視T 状に形成され、可動歯固定部品15の周方向に 略等間隔離間して並設されている。可動歯固 定部品15内部の隣接する可動歯組込孔19の境 部分には、円筒中心軸側に突出する隔壁部20 が形成されている。この隔壁部20により、可 歯固定部品15の周壁が可動歯組込孔19側にフ ランジ状に突出した状態になり、周壁内面が 可動歯組込孔19の両側に位置する段差面(突出 規制部)20b(図5参照)を形成する。

 図5は、可動歯の可動歯固定部品への組み 込み状態を示す断面説明図である。図5に示 ように、可動歯16は、可動歯固定部品15への 込時に可動歯組込孔19から突出する、可動 固定部品15の中心軸方向に延びる突起状段部 16aと、突起状段部16aの底面両側に外向きフラ ンジ(鍔)状に突出する係止部16bを有している この可動歯16は、下端面側のみが開口する 形、或いは下端面側及び長手方向両端側が 口する逆向きU字状断面形の何れの形状に形 されていても良い。

 突起状段部16aの上端面の可動歯固定部品15 方向両側角部及び可動歯固定部品15中心軸方 向両側角部は、可動歯組込孔19からの突出時 可動歯固定部品15の外表面となだらかな傾 で連続する傾斜面16cによって形成されてい (図5参照)。つまり突起状段部16aの上端面の 周(長方形の四辺)は、角が落とされた傾斜面 16cにより形成されている。
 また、可動歯16は、可動歯組込孔19から突出 した状態で、ドリブンプーリ12のV 溝底に位 するチェーン13の凹部17aに噛み合うために 分な、可動歯固定部品15 の中心軸方向長さ び突出量を有している。

 この可動歯16は、ドリブンプーリ12の軸部 14の外表面との間に、例えば、コイルスプリ グ等の付勢部材21を介して、圧縮付勢状態 可動歯固定部品15に組み込まれており、可動 歯固定部品15への組込時、付勢部材21により 勢された可動歯16は、突起状段部16aを可動歯 固定部品15の外表面から突出させる(図5参照) このとき、可動歯16は、係止部16bが可動歯 定部品15の段差面20bに内側から当接し係止す ることにより移動が規制され、突起状段部16a の傾斜面16cのみが可動歯固定部品15の外表面 ら突出した状態に保持される。

 この可動歯16を可動歯固定部品15へ組み込 む場合、可動歯16を、中心軸方向に沿って二 した可動歯固定部品15の一方の外表面側か 拡幅部19aを通して、可動歯固定部品15内部に 入り込ませ、内側から可動歯組込孔19に突起 段部16aを挿入した後、突起状段部16a内側に 勢部材21を配置した状態で、可動歯固定部 15を軸部14の外表面に埋設状態に組み付ける 可動歯固定部品15の他方についても、同様 、可動歯組込孔19に突起状段部16aを挿入した 後、付勢部材21を配置した状態で、可動歯固 部品15の一方と円筒状に組み合わせて、軸 14の外表面に埋設状態に組み付ける。

 可動歯組込孔19に突起状段部16aを挿入し 状態の可動歯16は、可動歯固定部品15内部の 壁部20に形成された係止部20a(図5参照。なお 、図5以外の図面においては図示を省略する) より、可動歯組込孔19から可動歯固定部品15 内部へと抜け落ちることなく保持される。こ の係止部20aは、可動歯固定部品15の段差面20b の間に、突起状段部16aの傾斜面16cが可動歯 込孔19の内部に完全に退避状態になる空間 確保することができる位置に形成されてい 。

 その後、溝15bにスナップリングLを取り付 けて、ドリブンプーリ12の軸部14の周囲に円 状に可動歯固定部品15を固定し(図6参照)、可 動歯16を組み込んだ可動歯固定部品15と軸部14 を一体化する。軸部14の周囲に固定された可 歯固定部品15は、軸部14の周囲に埋設されて おり、可動歯固定部品15の外表面と軸部14の 表面は面一状態となる。

 図6A及び図6Bは、ドリブンプーリの軸部に 可動歯固定部品を装着した状態を示し、図6A 最Hi時の断面説明図、図6Bは最Lo時の断面説 図である。図6A及び図6Bに示すように、ドリ ブンプーリ12は、CVT10の最Hi時、固定プーリ12a に対し可動プーリ12bを離反させてチェーン13 V溝底部に位置させ(図6A参照)、一方、CVT10の 最Lo時、固定プーリ12aに対し可動プーリ12bを 近させてチェーン13をV溝上部に位置させる( 図6B参照)。CVT10の最Hi時、即ち、ドリブンプ リ12のV溝幅が広がってチェーン13がV溝底に 置する、チェーン13がドリブンプーリ12に巻 付く巻き付き径が小さいとき、チェーン13 ドリブンプーリ12の軸部とが接触状態になっ て、チェーン13の凹部17aは、可動歯固定部品1 5の可動歯組込孔19から突出する可動歯16に噛 合うことになる。

 なお、軸部14の外表面に沿って摺動する可 プーリ12bは、そのまま可動歯固定部品15の外 表面を摺動し、その際、傾斜面からなる突起 状段部16aを付勢部材21の付勢力に抗して押し げつつ移動する。従って、可動歯組込孔19 ら突出する可動歯16は、可動歯組込孔19内に 避した状態になり、可動プーリ12bの移動を げない。
 次に、上記構成を有するCVT10の作動につい 説明する。

 図7は、チェーンと可動歯の対応関係に基 づく各種状態を表で示す説明図である。図7 示すように、チェーン13と可動歯16が接触(C-T 接触)している状態を○、接触していない状 を×、チェーン13が乗り上げ可動歯16が沈み み(C乗-T沈)の状態を○、乗り上げ沈み込みで ない状態を×、チェーン13と可動歯16が噛合(C- T噛合)している状態を○、噛合していない状 を×として、チェーン13の滑りが抑制(C滑り 制)されている状態を○、抑制されていない 状態を×とする。なお、△は、○と× の中間 状態とする。

 そして、状態(A)は、(C-T接触)×、(C乗-T沈) 、(C-T噛合)×、(C滑り抑制)×とし、状態(B)は (C-T接触)○、(C乗-T沈)○、(C-T噛合)×、(C滑り 制)×とし、状態(C)は、(C-T接触)○、(C乗-T沈) ○、(C-T噛合)×、(C滑り抑制)△とし、状態(D) 、(C-T接触)○、(C乗-T沈)△、(C-T噛合)○、(C滑 り抑制)○とする。

 図8は、プーリ比に対するプーリ軸のスリ ップ率と可動歯のばね力の関係をグラフで示 す説明図である。図8に示すように、ドリブ プーリ12の軸14のスリップ率(SEC軸スリップ率 )Sは、ドリブンプーリ12のプーリ比が0.4のと 略1%であったのが、プーリ比が0.5のとき略4.5 %、プーリ比が0.6のとき略4%となり、可動歯16 ばね力(SEC軸歯ばね力)Fは、ドリブンプーリ1 2のプーリ比が0.4のとき略2であったのが、プ リ比が0.5のとき略1.5、プーリ比が0.6のとき 1となる。

 なお、プーリ比が0.4のとき、チェーン13と 動歯16の噛合代は2.0mm、ばね力は2.0Kgfであり プーリ比が0.5のとき、噛合代は1.0mm、ばね は1.5Kgfであり、プーリ比が0.6のとき、噛合 は0.0mm、ばね力は1.0Kgfである。
そして、プーリ比が0.6前後のときが状態(A)、 プーリ比が略0.5~0.6のときが状態(B)、プーリ が略0.4~0.5のときが状態(C)、プーリ比が0.4前 のときが状態(D)となる。

 CVT10の作動状態として、先ず、最Hi時よりも 変速比が大きい状態(図7及び図8の(A)参照)で 、ドリブンプーリ12のシーブ面とチェーン13 ピン18の端面が接触して滑りを伴いながら 力を伝達しており、チェーンリンク17の凹部 17aと軸14の可動歯16は接触していない(図2参照 )。
 次に、徐々に変速比を最Hi時に近づけて凹 17aと可動歯16が接触するような状態(図7及び 8の(B)参照)では、凹部17aと可動歯16は接触す るが、それによって発生する摩擦力は小さく 、チェーン滑りを抑制することができない。

 更に、変速比を最Hi時に近づけて凹部17aと 動歯16が接触するような状態(図7及び図8の(C) 参照)では、凹部17aと可動歯16の接触が強くな ってチェーン13は滑るため、凹部17aと可動歯1 6の位相が合っていると可動歯16の突出量が大 きいが、凹部17aと可動歯16の位相がずれてい と可動歯16は軸14内部に沈み込んだ退避状態 となる。
 図9は、駆動状態のチェーンに対し可動歯が 可動歯組込孔から突出している状態の断面説 明図である。図10は、駆動状態のチェーンに し可動歯が可動歯組込孔に沈み込んでいる 態の断面説明図である。図11は、チェーン 可動歯の突起状段部に接触している状態の の関係を示す断面説明図である。

 図9及び図10に示すように、可動歯16は、 動状態(駆動方向を矢印で示す)のチェーン13 対し、可動歯組込孔19から突出している状 (図9参照)、或いは可動歯組込孔19に沈み込ん でいる状態(図10参照)となり、両状態の間、 に、図11に示すように、チェーンリンク17の 部17aが突起状段部16aの傾斜面16cに接触して る間は、可動歯16に、チェーン13を滑ろうと する力(=滑り力a)と斜面摩擦力bとばね力cの3 の力が働く。

 この斜面摩擦力bとばね力cの合力である「 り反力d」と「滑り力a」の巻付き部の総和の 大小によって、次式のように滑りの有無が決 まる。
  σ滑り反力d<σ滑り力aの場合→チェーン1 3が滑る………(1) 
  σ滑り反力d>σ滑り力aの場合→チェーン1 3の滑りが少ないか無い………(2) 
 最終的に、CVT10の変速比が最Hi時になった( 3参照)場合は、可動歯16とチェーンリンク17 凹部17aのピッチが一致するため、チェーン 付き部の可動歯1 6が全て噛み合う。この結 、滑り反力dの総和が最大となって(図7及び 8の(D)参照)、式(2)のような状態、即ち、滑 が少ない状態或いは滑りが無い状態となり 最Hi時における燃費が向上する。

 このように、CVT10の最Hi時において、ドリ ブンプーリ12のV溝底に位置するチェーン13が ピン18の端部をドリブンプーリ12に接触させ るだけでなく、チェーンリンク17に噛み合う 動歯16を介して、ドリブンプーリ12の軸部14 噛合状態に接触することとする。つまり、 Hi時におけるチェーン13の巻き付き径が小さ いドリブンプーリ12の軸部14に、チェーン13を 噛み合わせる機構(可動歯16)を軸部14の半径方 向に移動可能に設けている。

 このため、従来のプーリV溝底にVベルト 歯と噛み合う歯車を有する構成においては 歯車が固定されていたため、Vベルトの歯と 車が確実に噛み合わない場合、歯車がVベル トを攻撃してしまうことが避けられなかった が、この発明に係るCVT10にあっては、プーリV 溝底の軸14に設けた可動歯16とチェーン13が確 実に噛み合わない場合が生じたとしても、可 動歯16が可動構造により軸14半径方向に移動 るため、可動歯16がチェーン13を攻撃するこ がない。

 また、ドリブンプーリ12の軸部14にチェー ン13を噛み合わせる機構を設けたことにより チェーン13によるドリブンプーリ12の駆動時 、チェーン13がドリブンプーリ12との間でス ップしてしまうのを抑制することができる で、CVT10において無段変速時の燃費性能の向 上と有段変速時の高効率を併せ持つことが可 能になる。即ち、CVTの駆動力伝達手段として ベルト・チェーンを用いた場合、一般的に、 プーリ巻き付き半径の小さい側のプーリで約 3~5%滑りながら動力を伝達することになるの 、最Lo時と最Hi時の燃費の悪化、特に最Hi時 燃費が悪化してしまうが、このような状況 効果的に対処することができる。

 また、プーリ比が最Hi時より小さい(図8の(C) 参照)場合、ドリブンプーリ12とチェーン13の リップ率を低減させることができ、プーリ が最Hi時(図8の(D)参照)の場合、ドリブンプ リ12とチェーン13がスリップしない状態又は どスリップしない状態になる。
 図12は、この発明におけるスリップレス状 と従来のスリップ状態をプーリ比とスリッ 率の関係において示す説明図である。図12に は、この発明に係るCVT10における最Hi時での リップレス状態S1と従来のスリップ状態S2、 びドリブンプーリの軸の滑り(SEC軸すべり) 態S3とドライブプーリの軸の滑り(PRI軸すべ )状態S4を、それぞれ示している。

 図12に示すように、プーリ比が最Hi時より小 さい(図8の(C)参照)場合は、ドリブンプーリ12 軸部14に設けた可動歯16が軸部14半径方向に 動して、可動歯16とチェーン13との間に斜面 摩擦力bを発生させ、ドリブンプーリ12とチェ ーン13のスリップ率を低減させる。一方、プ リ比が最Hi時(図8の(D)参照)の場合は、可動 16とチェーン13が十分に噛み合った状態とな 、ドリブンプーリ12とチェーン13がスリップ しない状態又は殆どスリップしない状態にな る。
 この結果、プーリ比が最Hi時の場合と最Hi時 より小さい場合(図8(D)参照)で、ドリブンプー リ12とチェーン13がスリップ状態になるのを 制することができるので、無段変速におけ 燃費性能の向上と有段変速における高効率 併せ持つことが可能に
なる。

 更に、チェーンリンク17の凹部17aと可動歯16 が噛合した状態において、可動歯16の可動歯 込孔19からの突出部である突起状段部16aの 斜面16cの有効な接触範囲が最大となるよう する。
 図13は、チェーンリンクの凹部と可動歯が 合した状態における可動歯固定部品内部の 動歯を示す断面説明図である。図13に示すよ うに、チェーンリンク17の凹部17aと可動歯16 噛合した状態で、可動歯16の係止部16bと可動 歯固定部品15の段差面20bとの間に間隙sを有す るように、即ち、可動歯16の係止部16bと可動 固定部品15の段差面20bが当接しないように る。ここで、段差面20bは、可動歯16の突出を 規制する突出規制部として機能する。

 これにより、凹部17aの凹部17a以外の部分と 境界部分を形成する境界傾斜面と、可動歯1 6の傾斜面16cの間における、有効接触範囲が 大となり、摩擦力が大きくなる。この結果 チェーン13が、ドリブンプーリ12のV溝底の軸 14に設置した可動歯16との間で滑ってしまう を、より効果的に抑制することができる。
 なお、可動歯16は、付勢部材21を介して、可 動歯組込孔19から突出可能に軸部14半径方向 可動するが、別部材としての付勢部材21を用 いることなく、同様の機能を持たせるように 構成しても良い。

 図14は、可動歯の他の例を示す断面説明図 ある。図14に示すように、可動歯22は、可動 固定部品15への組込時に可動歯組込孔19から 突出する、可動歯固定部品15の中心軸方向に びる突起状段部22aの下部に、圧縮付勢力を えた脚部22bを有するように形成しても良い つまり、例えば、付勢部材により、突起状 部22aと脚部22bを一体的に形成して、可動歯1 6と同様の機能を有する可動歯22としても良い 。
 また、可動歯22を安定的に保持すると共に 動歯16と同様に機能させるため、可動歯22に 係止部16bと同様に機能する係止部22c,22dを設 けても良い。

(第2実施の形態) 
 図15は、この発明の第2実施の形態に係る可 歯構造におけるプーリの軸部にチェーンが き付いている状態を示す説明図である。図1 5に示すように、可動歯30は、プーリの軸部14 表面に、円筒状の可動歯ガイド31を介して 複数個(例えば、12個を図示)装着されている つまり、可動歯ガイド31は、可動歯30が取り 付けられる可動歯固定部品として機能する。 各可動歯30は、円環(リング)状のスプリング32 の付勢力に付勢された状態で、可動歯ガイド 31に組み込まれており、その上端側を、可動 ガイド31外表面側に突出させている。

 可動歯30は、突出する上端側が、駆動力伝 手段としてのチェーン(ロックアップチェー )13のチェーンリンク17に形成された凹部17a 係止することで、チェーン13と噛み合った状 態になる。
 つまり、可動歯30は、第1実施の形態に係る 動歯構造における、コイルスプリング等の 勢部材21(図5参照)を、コイルスプリングに えてリング状のスプリング32としている。こ のスプリング32により、可動歯30はプーリの 部14の半径方向外側に突出するように付勢さ れている。リング状のスプリング32により付 力を得るための構成及びそれに関連する構 以外の、その他の構成及び作用は、第1実施 の形態に係る可動歯構造におけるものと同様 である。

 図16は、図15の可動歯が組み込まれた可動 歯ガイドの一部を裏面側から等角投影法で示 した説明図である。図16に示すように、各可 歯30は、可動歯ガイド31に埋設された状態で 、可動歯ガイド31周方向に略等間隔離間して 置されており、可動歯ガイド31の内面(裏面) 側には、スプリング32が装着されている。ス リング32は、可動歯ガイド31中心軸方向に沿 って略平行に複数本(例えば、4本を図示)配置 されており、可動歯30を可動歯ガイド31に付 保持している。

 図17は、可動歯を等角投影法で示した説 図である。図17に示すように、可動歯30は、 端面側と両横端面側が開口する、ω字状縦 面を有する長方形略箱形状に形成されてお 、両下側長辺部が外向きフランジ状に突設 れて係止面30aを有すると共に、係止面30aの 面側に、スプリング32を装着するための複数 の可動歯スプリング装着溝33を有している。 動歯スプリング装着溝33は、スプリング32が 埋設状態に収納することができる形状を有し 、可動歯30の長辺の伸長する方向に略等間隔 間して複数列(例えば、3列を図示)配置され いる。

 図18は、可動歯ガイドの一部裏面側を等角 影法で示した説明図である。図18に示すよう に、可動歯ガイド31は、円筒状に形成されて り(図15参照)、その周面に、可動歯30を組み むための可動歯組込孔34が略等間隔で複数 所開けられていると共に、周面内側に、ス リング32を装着するためのガイドスプリング 装着溝35を有している。
 この可動歯ガイド31は、円筒中心軸方向に う分割線で二分割されており、プーリ(例え 、ドリブンプーリ12)の軸部14外表面に、軸 14と一体的に組み付けた後、周面の両端部近 傍に設けた溝31aに固定用のスナップリング( 示しない)を取り付けることにより、組み付 状態で固定される。

 可動歯組込孔34は、可動歯ガイド31の周壁 内外面を貫通して円筒中心軸方向に伸長する 辺を長辺とする長孔状に形成され、可動歯ガ イド31の周方向に略等間隔離間して配置され いる。可動歯ガイド31の可動歯組込孔34境界 部分の周壁内面には、円筒中心軸側(内側)に 出する隔壁部36が形成されており、各隔壁 36の円筒周方向幅を、隔壁部36が突設された 壁の円筒周方向幅より狭くしている。これ より、各隔壁部36の円筒周方向両側には、 動歯組込孔34の両側に位置する段差面(突出 制部)31bが形成される。

 ガイドスプリング装着溝35は、各隔壁部36 を円筒中心軸側から切り欠いて、スプリング 32が埋設状態に収納することができる形状を し、全隔壁部36を円筒周方向に直線的に連 して形成されている。このガイドスプリン 装着溝35は、円筒中心軸方向に略等間隔離間 して複数列(例えば、3列を図示、図17参照)配 されており、可動歯組込孔34に可動歯30が組 み込まれた状態で、可動歯スプリング装着溝 33と直線的に連通し一体化する。

 また、隔壁部36の少なくとも一つには、 筒中心軸方向全域に渡って円筒中心側に突 する係止突部37(例えば、2個を図示、図18参 )が形成されており、この係止突部37が、可 歯ガイド31を軸部14に装着した際、軸部14に 成された受け部(図示しない)に係止すること で、軸部14と可動歯ガイド31を一体化させる とができる。

 図19は、図15のスプリングを等角投影法で 示した説明図である。図19に示すように、ス リング32は、可動歯スプリング装着溝33及び ガイドスプリング装着溝35に収納することが きる横幅を有する、一箇所を切断した円環( リング)状に形成されており、可動歯ガイド31 に装着された可動歯30の数に対応する数(例え ば、12個を図示)の突部32aが設けられている。

 各突部32aは、可動歯ガイド31の内側から 動歯30の上端側内部空間に入り込み、その状 態で空間内に位置するように、外側に向かっ て逆向きU字状に突出して形成されており、 プリング32の全周に渡って略等間隔離間して 配置されている。これらの突部32aの一箇所が 、リング周方向に切り離されて非連結部32bと されている。このスプリング32は、縮径状態 なると原状復元力によって拡径方向に付勢 が作用する。

 上述した構成を有することにより、可動 30は、可動歯ガイド31の内側から可動歯組込 孔34に入り込ませ、その上端側を可動歯組込 34から突出させた状態で、可動歯組込孔34に 取り付けられ、可動歯30を取り付けた可動歯 イド31を二つ組み合わせて円筒状にするこ で、可動歯ガイド31内面側に、可動歯スプリ ング装着溝33とガイドスプリング装着溝35が 通し、スプリング32が装着される複数列(例 ば、3列) の円環状溝が形成される(図16参照) 。

 可動歯30及びスプリング32が組み込まれた 可動歯ガイド31は、プーリ(例えば、ドリブン プーリ12)の軸部14外表面に、軸部14と一体的 組み付けた後、周面の両端部近傍に設けた 31aに固定用のスナップリング(図示しない)を 取り付けることにより、組み付け状態で固定 される。

 可動歯30が取り付けられた可動歯ガイド31 の可動歯スプリング装着溝33とガイドスプリ グ装着溝35にスプリング32を装着すると、ス プリング32は、縮径状態で各突部32aをそれぞ 可動歯30の上端側内面(裏面)に位置させるこ とになる。このとき、可動歯30は、スプリン 32の付勢力によって可動歯ガイド31の外側へ と押し出されるが、可動歯30の係止面30aが可 歯ガイド31の段差面31bに当接することによ 可動歯30の移動が規制され、可動歯組込孔34 の可動歯30の上端側を、可動歯ガイド31の外 表面から突出させた状態に保持される。

 なお、可動歯30の上端側は、可動歯組込孔34 から突出した状態で、ドリブンプーリ12のV溝 底に位置するチェーン13の凹部17aに噛み合う めに十分な、可動歯ガイド31中心軸方向長 及び突出量を有している。
 図20は、可動歯ガイド内の可動歯保持状態 部分的に示す説明図である。図20に示すよう に、可動歯30は、チェーン13と噛み合った状 で、スプリング32の付勢力により、その上端 側をチェーン13の凹部17aに位置させているが このとき、スプリング32の突部32aのスプリ グ32周方向側には、可動歯30の上端側内面(裏 面)との間に隙間Dが形成される。スプリング3 2は、可動歯30の上端側内面(裏面)との間で、 の隙間Dを設けることができるように、その 形状や付勢力等の構造及び機能を備えている 。

 つまり、スプリング32は、縮径すること よって必要な付勢力を発生させるが、この 間Dを設けることにより、突部32aのスプリン 32周方向への付勢変形が許容されてスプリ グ32の縮径が可能になり、スプリング32が必 な付勢力を発生させることができる。

 上述した、第2実施の形態に係る可動歯構 造において、可動歯30は、プーリ比が最Hi時 場合以外では、固定プーリ12aに接近した状 にある可動プーリ(スライドプーリ)12bの下に 潜り込んでいる(図6B参照)。このとき、可動 30は、プーリ径方向(軸部14の半径方向)に対 最大のストローク(伸縮動作)量を有している 。これに対し、プーリ比が最Hi時の場合では 可動プーリ12bは固定プーリ12aに対し離反す 方向に移動するため、可動歯30は、スプリ グ32の付勢力によりプーリ径方向に飛び出た 状態になる(図6A参照)。

 プーリ比が最Hi時の場合となる変速動作後 可動歯30とチェーン13が噛み合って可動歯30 トルクが作用すると、作用したトルクに比 して、可動歯30にはプーリ径方向に押し込ま れる力が発生する。このとき、スプリング32 は、可動歯30が押し込まれる力に抗するた の付勢力が必要になる。
 ここで、リング状のスプリング32は、プー の軸部14外周に装着されて軸部14外周で縮径 いは拡径動作し、拡径時、軸部14外周に配 された複数の可動波30を一体的に突出させる 。つまり、スプリング32は、各可動波30毎に 着されてプーリの軸部14の半径方向に伸縮動 作し、伸縮時、可動波30を突出させる付勢部 として機能する。

 そして、可動歯30に付勢力を付与する手段 して、リング状のスプリング32を用いること により、縮径することで付勢力を発生させる ことができるため、付勢力を発生させるため にプーリ径方向のストロークを必要としない 。なお、付勢力を付与する手段として皿バネ を使用した場合、十分なストローク量を得る ことができず、複数枚を重ねて使用すること になるため、組み付け性が悪化したり、安定 して付勢力を付与することができなくなって しまう。 
 このように、リング状のスプリング32を用 ることで、プーリ径方向のストロークを必 としないので、可動歯30への付勢力付与手段 を備えても、プーリの軸部14の構造に影響を えず軸部14の強度を十分確保することがで る。

 また、スプリング32は、リング状の一体構 を有することにより、可動歯ガイド31 に取 付けられた可動歯30へのスプリング32の組み 付けが容易になり、可動歯構造における組み 付け性が向上する。
 また、リング状のスプリング32は、付勢力 与の安定性を保つため、可動歯30に組み付け る突部32aを設けている。これにより、スプリ ング32は、スプリング周方向に移動すること く、非連結部32bが移動しないので、可動歯 イド31への組み付け時の位置を保持するこ ができる。

 また、スプリング32は、複数の可動歯30それ ぞれに付勢力を作用させるが、各可動歯30に 止して付勢力を作用させる突部32aを一体的 配置したリング状に形成されている。この め、スプリング32は、各可動歯30毎に個別に 対応した付勢手段の組み付けを必要としない ので、組み付け性が容易になる。
 更に、スプリング32は、大きな付勢力が必 な場合、スプリング板厚やリング径を変更 ることで対応することができる。

(第3実施の形態) 
 図21は、この発明の第3実施の形態に係る可 歯構造におけるプーリの軸部にチェーンが き付いている状態を示す説明図である。図2 1に示すように、この可動歯構造においては 可動歯30への付勢力付与手段として、複数の 突部を有するスプリング32の代わりに突部が つしかないスプリング40が用いられる。そ 他の構成及び作用は、第2実施の形態に係る 動歯構造と同様である。

 図22は、図21のスプリングを等角投影法で示 した説明図である。図22に示すように、スプ ング40は、スプリング32に設けられていた、 可動歯30に組み付ける突部32aを設けておらず スプリング周方向への移動を阻止するため 、突起状の移動阻止部40aを一個設けている は、スプリング32と同様の構成及び作用を している。この移動阻止部40aは、非連結部32 bに対しリング平面直径位置に配置されてい 。
 そして、スプリング40を、可動歯ガイド31に 取り付けられた可動歯30に組み付ける際、組 付けられる複数(例えば、3個)のスプリング4 0の非連結部32bが、プーリ軸方向に一列にな ず、それぞれスプリング周方向にずらして 置されている。

 このように、スプリング40は、一つの突部 か設けられておらず、スプリング形状が複 にならないので、スプリングの生産性を向 させることができる。
 また、移動阻止部40aにより、スプリング40 周方向への移動を阻止することができるの 、スプリング40が移動することにより、プー リ軸方向に複数箇所設けたスプリングの切断 箇所(非連結部32b)が一つの可動歯30に集中し しまうのを防止することができる。このた 、スプリングの付勢力をより安定して作用 せることができる。
 また、複数のスプリング40は、非連結部32b それぞれ周方向にずれて配置されるので、 勢力の発生が不安定な箇所である非連結部32 bを、一つの可動歯30に集中させることがない ので、付勢力をより安定して発生させること ができる。

(第4実施の形態) 
 図23は、この発明の第4実施の形態に係る可 歯構造におけるプーリの軸部にチェーンが き付いている状態を示す説明図である。図2 3に示すように、この可動歯構造においては 可動歯30への付勢力付与手段として、1個の プリング32の代わりに複数個のスプリング45 用いている。その他の構成及び作用は、第2 実施の形態に係る可動歯構造と同様である。

 図24は、図23の可動歯ガイド内の可動歯保 持状態を部分的に示す説明図である。図24に すように、スプリング45は、中央部に、可 歯30に組み付ける突部45aを1個有し、両端部 、突部32aの突出方向とは逆方向に屈曲させ 脚部45bを有する、細板状に形成されており 概略、リング状のスプリング32を突部32a毎に 分離した形状を有している。つまり、スプリ ング45は、各可動歯30に個別に付勢力を付与 る手段として、可動歯30一個ずつに対応する 複数個(例えば、12個、図23参照)が装着されて いる。

(第5実施の形態) 
 この発明の第5実施の形態に係る可動歯構造 における可動歯は、軸部(プーリ軸)14の周方 (プーリ軸周方向)に突出する係止部(第1実施 形態、図5の16b参照)に代えて、プーリ軸14の 軸方向(プーリ軸方向)に突出する係止部を有 ており、この係止部に対応する可動歯固定 品に組み込まれて構成されている。その他 構成及び作用は、第1実施の形態に係る可動 歯構造と同様である。

 図25は、この発明の第5実施の形態に係る 動歯構造の可動歯部分を軸部方向に沿う断 で示す説明図である。図25に示すように、 動歯50は、横に長い山形の突条凸部50aのプー リ軸方向に、外向きフランジ(鍔)状に突出す 係止部50bを有すると共に、突条凸部50aの上 面全周(長方形の四辺)に、角を切り落とし 状態の傾斜面50cを有している。

 この可動歯50は、ドリブンプーリ12の軸外 表面14aとの間に、例えば、コイルスプリング 等の付勢部材21を介して可動歯固定部品51に み込まれており、可動歯固定部品51に組み込 まれた可動歯50は、両係止部50b,50bが、可動歯 固定部品51 の後述する円環(リング)部51aに下 面側から係止した状態になる。付勢部材21は プーリ軸方向に沿う離間した2箇所に配置さ れている。

 図26は、図25のA-A線に沿う断面図である。 図26に示すように、可動歯固定部品51に組み まれた可動歯50は、傾斜面50cを含む突条凸部 50aの上部を可動歯固定部品51の外表面から突 させる。このとき、可動歯50は、両係止部50 b,50bが円環部(突出規制部)51aに係止すること 上方移動が規制され、傾斜面50cを含む突条 部50aの上部が、可動歯固定部品51の外表面か ら突出した状態に保持される。

 つまり、可動歯50は、突条凸部50aのプーリ 周方向を除く、プーリ軸方向のみに設置さ た両係止部50b,50bが円環部51aに係止すること より、可動歯固定部品51からの突出が規制 れる。
 なお、可動歯50は、可動歯固定部品51に組み 込まれた際に、可動歯固定部品51の外表面か 突出した状態で、ドリブンプーリ12のV溝底 位置するチェーン13の凹部17aに噛み合うた に十分な、可動歯固定部品51の中心軸方向長 さ及び突出量を有している。

 可動歯50は、可動歯50を付勢保持する付勢 部材21と共に、プーリ軸14を貫通させて一体 した状態にプーリ軸14の外周面を覆ってプー リ軸14に装着された、円筒状のスペーサ52の 部53に配置されている。つまり、可動歯50は 突条凸部50aの下部を溝部53内に入り込ませ 係合させており、溝部53が形成されているス ペーサ52を介して、スペーサ52と一体化して るプーリ軸14に係合した状態になる。

 溝部53は、可動歯50が自在に進出退避する ことができるように、スペーサ52外表面のプ リ軸方向に沿う幅全域に開口しており、ス ーサ52の周方向全域に亘って、略等間隔離 して形成されている。つまり、この溝部53は 、プーリ軸14の外表面に配置される可動歯50 プーリ軸周方向における位置規制を行って る。なお、溝部53は、スペーサ52の外表面側 形成する他、スペーサ52を設けずに、直接 プーリ軸14の外表面側に形成しても良い。

 図27は、図25の可動歯が組み込まれる可動 歯固定部品を示す斜視説明図である。図27に すように、可動歯固定部品51は、横に並べ 2個の円環(リング)部51aの間に複数の横桟部51 bを略平行に配置した、恰も、梯子の両端を び円環状にした形状を有している。この可 歯固定部品51の隣接する横桟部51b,51bの間に それぞれ可動歯50を組み込むことにより、可 動歯50を、略等間隔離間して一列に並んだ状 で位置決め配置することができる。

 図28は、図27の可動歯固定部品と可動歯を プーリ軸に組み込んだ状態を示す斜視説明図 である。図28に示すように、各可動歯(エレメ ント)50を、それぞれ略等間隔離間して一列に 円環状に並んだ状態で、可動歯固定部品(ロ クガイド)51の両円環部51a,51aと横桟部51bの間 配置する。そして、配置した状態で付勢部 21によって付勢保持されるように、プーリ 14を貫通させたスペーサ52を、溝部53に付勢 材21を装着した状態(図示しない)で、可動歯 定部品51内に組み込む。なお、溝部53をプー リ軸14に直接形成した場合は、溝部53に付勢 材21を装着した状態のプーリ軸14を可動歯固 部品51内に組み込む。

 上記構成を有することにより、CVT10の最Hi 時、即ち、ドリブンプーリ12のV溝幅が広がっ てチェーン13がV溝底に位置する、チェーン13 ドリブンプーリ12に巻き付く巻き付き径が さいとき、チェーン13とドリブンプーリ12の 部とが接触状態になって、チェーン13の凹 17aは、可動歯固定部品51の円環部51a及び横桟 部51bの間から突出する可動歯50の上部に噛み うことになる。

 なお、プーリ軸14の外表面に沿って摺動 る可動プーリ12bは、そのまま可動歯固定部 51の外表面を摺動し、その際、可動歯50の上 の傾斜面50cを付勢部材21の付勢力に抗して し下げつつ移動する。従って、円環部51a及 横桟部51bの間から突出する可動歯50は、円環 部51a及び横桟部51b下方に退避した状態になり 、可動プーリ12bの移動を妨げない。

 上述したように、可動歯50は、突出規制部 ある円環部51aに係止する係止部50bを、突条 部50aのプーリ軸周方向を除いた、プーリ軸 向のみに形成したので、突条凸部50aのプー 軸周方向に突出するフランジ状のリブが無 なる。
 このように、係止部50bをプーリ軸方向のみ 形成したことにより、第1実施の形態のよう に係止部(図5の16b)がプーリ軸周方向に形成さ れる場合に比して、可動歯50の歯数が同じ条 なら歯幅をプーリ軸周方向へ拡大すること できるため、複数の可動歯50のそれぞれの 度を向上させることができる。また、可動 50の歯幅が同じ条件なら歯数を増大すること ができるため、複数の可動歯50の一歯当たり トルク分担率を低減することができ、可動 50の耐久性を向上させることができる。

 図29は、図26の可動歯装着部を拡大して示 す部分説明図である。図29に示すように、可 歯50の歯幅eは、突条凸部50aのプーリ軸周方 に突出するフランジ状のリブを設けた場合 比べ、溝部53内でプーリ軸周方向全域迄、 大することができるので、歯幅eを拡大した 、可動歯50の強度をより高めることができ 。

 また、可動歯50を、溝部53が形成されてい るスペーサ52を介して(或いは直接)プーリ軸14 に係合させることで、可動歯50に作用する駆 力をプーリ軸14で受けることができる。こ ため、可動歯50に作用する駆動力を、可動歯 50を固定するための可動歯固定部品のみで受 る場合に比べ、ロックアップ性能を満足し つ可動歯固定部品の剛性を低減することが きる。

 つまり、可動歯50に作用する駆動力を、 動歯50を固定するための可動歯固定部品のみ で受ける場合、ロックアップ性能を満足させ るために可動歯固定部品の剛性を高くする必 要がある。一方、可動歯固定部品の剛性が低 い場合、例えば、可動歯固定部品の変形等が 発生することも想定され、場合によっては、 ピッチずれが発生してロックアップ性能を満 足することができなくなる虞もある。

(第6実施の形態) 
 この発明の第6実施の形態に係る可動歯構造 においては、可動歯の上方移動を規制する係 止部が、2箇所ではなく3箇所設けられている その他の構成及び作用は、第5実施の形態に 係る可動歯構造と同様である。
 図30は、この発明の第6実施の形態に係る可 歯構造の可動歯部分をプーリ軸方向に沿う 面で示す説明図である。図31は、図30の可動 歯が組み込まれる可動歯固定部品を示す斜視 説明図である。

 図30に示すように、可動歯55は、突条凸部 55aのプーリ軸方向に設けた係止部55b,55bに加 て、プーリ軸方向略中央部にも、係止部55b 有しており、可動歯55の上方移動を規制する 係止部55bを、プーリ軸方向両側と略中央の3 所に設けている。このプーリ軸方向略中央 に設けた係止部55bは、プーリ軸方向両側に けた係止部55bと同様に、後述する可動歯固 部品56の円環部56aに係止させることができる ように、プーリ軸方向両側に設けた係止部55b と同様の上面高さ及び上面形状からなる底面 を有する溝状に形成されている。その他の構 成及び作用は、可動歯50と同様である。

 これら3箇所の係止部55bを有することによ り、図31に示すように、可動歯固定部品56は 3箇所の係止部55bに対応する3個の円環部56aを 有すると共に、3個の円環部56aの間に複数の 桟部(リブ)56bを略平行に配置して、形成され ている。その他の構成及び作用は、可動歯固 定部品51と同様である。

 図32は、図31の可動歯固定部品と可動歯を プーリ軸に組み込んだ状態を示す斜視説明図 である。図32に示すように、各可動歯(エレメ ント)55を、それぞれ略等間隔離間して一列に 円環状に並んだ状態で、可動歯固定部品(ロ クガイド)56の3個の円環部56a,56a,56aが両側と 中央に位置するように、横桟部56bの間に配 する。そして、配置した状態で付勢部材21に よって付勢保持されるように、プーリ軸14  貫通させたスペーサ52を、溝部53に付勢部材2 1を装着した状態(図示しない)で、可動歯固定 部品56内に組み込む。なお、溝部53をプーリ 14に直接形成した場合は、溝部53に付勢部材2 1を装着した状態のプーリ軸14を可動歯固定部 品56内に組み込む。

 このように、可動歯55の上方移動による突 を規制する係止部55bを、プーリ軸方向のみ 複数箇所(ここでは、プーリ軸方向の両側と 中央の3箇所)に設けており、プーリ軸方向 中央にも係止部55bを有することにより、可 歯55のプーリ軸方向略中央も円環部56aが位置 することになるので、例えば、可動歯55のプ リ軸方向の傾きやトルク伝達時の変形等に り、喩え、両側の円環部56aの内の一方が可 歯55から外れたとしても、可動歯55の突出を 確実に防止することができる。
 また、係止部55bを複数箇所(ここでは、3箇 を例示)設けたことにより、可動歯55を付勢 る付勢部材21による負荷を分散させて平均化 することができるため、可動歯55が組み込ま る可動歯固定部品56の強度を確保すること できる。

(第7実施の形態) 
 この発明の第7実施の形態に係る可動歯構造 においては、可動歯の突出を規制する係止部 が可動歯固定部品の円環部と係止する係止面 の形状を、凸状或いは凹状としている。その 他の構成及び作用は、第5実施の形態に係る 動歯構造と同様である。

 図33は、この発明の第7実施の形態に係る 動歯構造(その1)を説明する、図25 のB-B線に 沿う断面図である。図34は、図33の可動歯装 部を拡大して示す部分説明図である。図33に 示すように、可動歯60の突出を規制する係止 60bは、可動歯固定部品61の円環部61aの下方 ら円環部61aの下面に係止した状態になるが 円環部61aに係止する係止部60bの上面(係止面) を、プーリ軸14の外表面周方向において山形 面形状となる凸状の傾斜面により形成して る。また、円環部61aの下面を、係止部60bの 面に対応した受け部となるように、プーリ 14の外表面周方向において皿形断面形状と る凹状の傾斜面に形成している。

 上記構成を有することにより、図34に示 ように、可動歯60に付勢部材21の付勢力が作 し、可動歯60の突出を規制する係止部60bの 面(係止面)に荷重F0が付加されると、係止部6 0bの凸状の傾斜面からなる上面を介して、可 歯60を可動歯固定部材61の円環部61aに押付け ようとする垂直分力F1が発生する。このため 可動歯60のプーリ軸14の外表面周方向への傾 きを防止することができる。

 図35は、この発明の第7実施の形態に係る 動歯構造(その2)を説明する、図25 のB-B線に 沿う断面図である。図36は、図35の可動歯装 部を拡大して示す部分説明図である。図35に 示すように、可動歯60の突出を規制する係止 60bは、可動歯固定部品61の円環部61aの下方 ら円環部61aの下面に係止した状態になるが 円環部61aに係止する係止部60bの上面(係止面) を、プーリ軸14の外表面周方向において皿形 面形状となる凹状の傾斜面により形成して る。また、円環部61aの下面を、係止部60bの 面に対応した受け部となるように、プーリ 14の外表面周方向において山形断面形状と る凸状の傾斜面に形成している。

 上記構成を有することにより、図36に示 ように、可動歯60に付勢部材21の付勢力が作 し、可動歯60の突出を規制する係止部60bの 面(係止面)に荷重F0が付加されると、係止部6 0bの凹状の傾斜面からなる上面を介して、可 歯60を可動歯固定部材61の円環部61aに押付け ようとする垂直分力F1が発生する。このため 可動歯60のプーリ軸14の外表面周方向への傾 きを防止することができる。

 上述したように、この発明に係る無段変 装置は、共にプーリ溝幅を変更可能な二つ プーリの間に掛け回された駆動力伝達手段 より、一方のプーリの回転駆動力を他方の ーリに伝達する無段変速装置において、前 駆動力伝達手段のプーリ巻き付き側に設け 被噛合部と、前記プーリの軸部に、前記軸 に対し進出退避自在に軸部半径方向に移動 能に設置され、変速領域が最Hi時及び最Lo時 の少なくとも一方のとき、進出状態になって 前記被噛合部に噛合することができる可動噛 合部とを有することを特徴としている。

 また、この発明において、前記駆動力伝達 段がプーリ溝底に位置してプーリ巻き付き が小さいとき、前記駆動力伝達手段と前記 ーリの軸部とが接触状態になって前記可動 合部が前記被噛合部に噛合することが好ま い。
 また、この発明において、前記可動噛合部 、前記二つのプーリのプーリ比が最Hi時よ 小さい場合、前記軸部の半径方向に可動し 記駆動力伝達手段との間に斜面摩擦力を発 させて、前記プーリと前記駆動力伝達手段 スリップ率を低減させ、前記プーリ比が最Hi 時、前記駆動力伝達手段が十分に噛み合った 状態となって、前記プーリと前記駆動力伝達 手段がスリップしない状態或いは殆どスリッ プしない状態にすることが好ましい。

 また、この発明において、前記可動噛合部 、前記被噛合部と噛み合った状態で、前記 部に形成された前記可動噛合部の突出を規 する突出規制部との間に間隙を有するよう 設置されていることが好ましい。
 また、この発明において、前記軸部に形成 れた前記可動噛合部の突出を規制する突出 制部に係止する前記可動噛合部の係止部を 前記プーリの軸方向のみに設置されている とが好ましい。
 また、この発明において、前記係止部の係 面を凸状或いは凹状の傾斜面により形成さ ていることが好ましい。

 また、この発明において、前記駆動力伝達 段は、ピンを用いて円環状に連結された複 のチェーンリンクのそれぞれが前記ピンを として前記ピンの周りに自在に回動するチ ーンからなることが好ましい。
 また、この発明において、前記被噛合部は 前記チェーンリンクに形成された、前記可 噛合部側に開口する凹部であることが好ま い。

 また、この発明において、前記二つのプー は、駆動力が入力するドライブプーリと、 記駆動力伝達手段を介して前記ドライブプ リから回転駆動力が伝達されるドリブンプ リであることが好ましい。
 また、この発明において、前記可動噛合部 、付勢部材により前記プーリの軸部の半径 向外側に突出するように付勢されているこ が好ましい。

 また、この発明において、前記付勢部材は 前記可動噛合部毎に装着されて前記プーリ 軸部の半径方向に伸縮動作し、伸縮時、前 可動噛合部を突出させるコイルスプリング あることが好ましい。
 また、この発明において、前記付勢部材は 前記プーリの軸部外周に装着されて前記軸 外周で縮径或いは拡径動作し、拡径時、前 軸部外周に配置された複数の前記可動噛合 を一体的に突出させるリング状スプリング あることが好ましい。

 また、この発明において、前記リング状ス リングは、前記可動噛合部のそれぞれの内 に配置される突部を有し、前記突部と前記 動噛合部の間に、前記リング状スプリング 付勢変形を許容する隙間を設けて、配置さ ていることが好ましい。
 また、この発明において、前記リング状ス リングは、前記リング状スプリングのスプ ング周方向への移動を阻止する移動阻止部 有することが好ましい。

 また、この発明において、前記リング状ス リングは、リング周方向に切り離す非連結
部を有し、前記非連結部を、前記可動噛合部 に装着された複数の前記リング状スプリング 間でずらして配置したことが好ましい。
 なお、上述した各実施の形態1~7においては 説明したそれぞれの構成に限るものではな 、他の実施の形態において説明した対応す 構成について適宜組み合わせても良く、そ 組み合わせた構成も、当然、この発明に係 無段変速装置に含まれるものである。