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Title:
CONTROL METHOD AND CONTROLLER FOR FLOW RATE CONTROLLING ELECTROMAGNETIC PROPORTIONAL CONTROL VALVE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/016864
Kind Code:
A1
Abstract:
A control method of a flow rate controlling electromagnetic proportional control valve capable of quickly solving a failure in slide without causing a hunting phenomenon when the failure in slide of a moving member occurs to stably increase a flow rate, and a controller capable of performing the control method. The control method controls the flow rate controlling electromagnetic proportional control valve which includes the moving member axially moving by electromagnetic force of a driving electromagnetic solenoid and spring force working in the reverse direction to the electromagnetic force, adjusts an aperture of the valve by changing a travel distance of the moving member by controlling electric energy supplied to a coil of the driving electromagnetic solenoid and proportionally controls the flow rate of a fluid. When the moving member is moved in the direction for reducing an electric energy value, the energy value is temporarily reduced to be smaller than a target value corresponding to a target position of the moving member and then restored to the target value.

Inventors:
TAKAHASHI SATOSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/057146
Publication Date:
February 05, 2009
Filing Date:
April 11, 2008
Export Citation:
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Assignee:
BOSCH CORP (JP)
TAKAHASHI SATOSHI (JP)
International Classes:
F16K31/06; F02M51/02; F02M69/00
Foreign References:
JPH1047138A1998-02-17
JP2003139263A2003-05-14
JPH07293355A1995-11-07
JPH09132140A1997-05-20
JPH0754992A1995-02-28
Attorney, Agent or Firm:
EMORI, Kenji et al. (11-3 Shinjuku 1-chome,Shinjuku-k, Tokyo 22, JP)
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Claims:
 駆動用電磁ソレノイドの電磁力と、前記電磁力とは反対の方向に作用するバネ力と、によって軸方向に移動する可動子を備え、前記駆動用電磁ソレノイドのコイルに供給される電気的エネルギを制御することにより前記可動子の移動量を変化させて弁の開度を調節し、流体の流量を比例制御する流量制御用電磁比例制御弁の制御方法において、
 前記電気的エネルギの値を減少させる方向に前記可動子を移動させる際に、前記電気的エネルギの値を前記可動子の目標位置に対応する目標値よりも一時的に小さくした後、前記目標値に戻すことを特徴とする流量制御用電磁比例制御弁の制御方法。
 前記電磁力と前記バネ力との差が、前記可動子の摺動摩擦抵抗よりも大きくなるように前記電気的エネルギの値を一時的に小さくすることを特徴とする請求の範囲の第1項に記載の流量制御用電磁比例制御弁の制御方法。
 前記流量制御用電磁比例制御弁はコモンレールシステムのポンプの流量を制御し、コモンレールのレール圧を制御するための弁であり、前記コモンレールの目標レール圧と実レール圧との偏差が所定のしきい値を越えたときに、前記電気的エネルギの値を前記目標値よりも一時的に小さくする制御を行うことを特徴とする請求の範囲の第1項又は第2項に記載の流量制御用電磁比例制御弁の制御方法。
 前記電気エネルギの値を所定時間一時的に小さくすることを特徴とする請求の範囲の第3項に記載の流量制御用電磁比例制御弁の制御方法。
 前記目標レール圧と前記実レール圧との偏差が所定値未満となるまで、複数回繰返し、前記電気的エネルギの値を一時的に小さくすることを特徴とする請求の範囲の第3項又は第4項に記載の流量制御用電磁比例制御弁の制御方法。
 前記目標レール圧と前記実レール圧との偏差が所定値未満となるまでの間、前記電気的エネルギの値を一時的に小さくすることを特徴とする請求の範囲の第3項に記載の流量制御用電磁比例制御弁の制御方法。
 前記実レール圧が前記目標レール圧に到達する以前に前記電気的エネルギの値を前記目標値に戻すことを特徴とする請求の範囲の第5項又は第6項に記載の流量制御用電磁比例制御弁の制御方法。
 駆動用電磁ソレノイドの電磁力と、前記電磁力とは反対の方向に作用するバネ力と、によって軸方向に移動する可動子を備え、前記駆動用電磁ソレノイドのコイルに流れる電気的エネルギを制御することにより前記可動子の移動量を変化させて弁の開度を調節し、流体の流量を比例制御する流量制御用電磁比例制御弁の制御装置において、
 前記可動子を目標位置に移動させるために、前記駆動用電磁ソレノイドに対して供給すべき前記目標位置に対応する値の電気的エネルギを演算するための電気的エネルギ演算手段と、
 前記電気的エネルギの値を減少させる方向に前記可動子を移動させる際に、前記電気的エネルギの値を前記可動子の目標位置に対応する目標値よりも一時的に小さくした後、前記目標値に戻すための制御手段と、
 を備えることを特徴とする流量制御用電磁比例制御弁の制御装置。
 駆動用電磁ソレノイドの電磁力と、前記電磁力とは反対の方向に作用するバネ力と、によって軸方向に移動する可動子を備え、前記駆動用電磁ソレノイドのコイルに流れる電気的エネルギを制御することにより前記可動子の移動量を変化させて弁の開度を調節し、流体の流量を比例制御するようにしたコモンレールシステムのポンプの流量制御用電磁比例制御弁の制御装置において、
 前記可動子を目標位置に移動させるために、前記駆動用電磁ソレノイドに対して供給される前記目標位置に対応する値の電気的エネルギを演算するための電気的エネルギ演算手段と、
 コモンレールの目標レール圧と実レール圧との偏差を所定のしきい値と比較するためのレール圧偏差比較手段と、
 前記レール圧偏差が前記しきい値以上である状態で前記電気的エネルギの値を減少させる方向に前記可動子を移動させる際に、前記電気的エネルギの値を前記可動子の目標位置に対応する目標値よりも一時的に小さくした後、前記目標値に戻すための制御手段と、
 を備えることを特徴とするコモンレールシステムのポンプの流量制御用電磁比例制御弁の制御装置。
Description:
流量制御用電磁比例制御弁の制 方法及び制御装置

 本発明は、流量制御用電磁比例制御弁の 御方法及び制御装置に関する。特に、軸方 に移動する可動子の移動量を制御すること より流体の流量を比例制御する電磁比例制 弁の制御方法及び制御装置に関する。

 従来、燃料その他の流体の流量を制御する めの流量制御用電磁比例制御弁が種々の装 に用いられている。そのような装置の一態 として、コモンレール内に高圧燃料を蓄積 、この高圧燃料を、インジェクタを介して 燃機関の複数の気筒に噴射供給する蓄圧式 料噴射システム(コモンレールシステム)が られている。
 かかるコモンレールシステムは、コモンレ ルに高圧燃料を圧送するための燃料供給用 ンプを備えており、この燃料供給用ポンプ 加圧室内に送られる燃料は、電磁比例制御 によって、コモンレールの目標レール圧に 合った最適な流量に制御されるようになっ いる。

 このような目的で用いられる電磁比例制 弁の構成例の概略を、図2を参照して説明す る。この電磁比例制御弁は、外部ケーシング 55の内周に円筒状のソレノイド60がはまり合 とともに、当該ソレノイド60の内周に可動子 70がはまり合い、さらに、外部ケーシング55 開口部分にマグネティックコア80がはまり合 って開口が閉じられている。可動子70はアン ー72とプッシュロッド74とからなり、マグネ ティックコア80側のガイド部83と、他端側の イド部としてのブッシュ78によって支持され るとともに、ガイドされている。また、マグ ネティックコア80のピストンシリンダ部82の 82hには、ピストンからなる弁部材90が移動可 能にはまり合い、弁部材90は、コイルばね94 付勢力とソレノイド60の電磁力とによって移 動し、通過する燃料流量の制御が可能となっ ている。

 かかる構成の電磁比例制御弁において、 動子の軸受け部の劣化や一時的な異物の介 等が発生すると軸受け部の摩擦抵抗が増大 、その結果、可動子の摺動不良が引き起こ れる場合がある。このような可動子の摺動 良が生じると、流量制御を正確に行えなく ってしまう。そこで、このような電磁比例 御弁の故障を判定する方法として、コモン ールの目標レール圧と実レール圧との偏差 大きさに基づいて故障判定する方法がある ただし、レール圧の偏差に基づく故障判定 行う場合、誤判定を避けるために、故障し いると判定するレール圧偏差のしきい値が 較的大きな値に設定されることが多く、ア ドル運転からの緩加速時のように、現在の ール圧と目標レール圧との差が小さい場合 は、レール圧偏差が生じているとしても故 とは認識されないことになる。

 また、可動子の摺動不良が生じるおそれ ある場合においても、流量制御を安定的に えることを目的とした電磁比例制御弁の駆 方法が提案されている。より具体的には、 磁ソレノイドのソレノイドコイルに印加す パルス電圧のデューティ比を調節すること よって流量調節を行うようにしたコモンレ ルシステムのポンプの流量制御用の電磁比 制御弁において、電磁比例制御弁が動作に ステリシスを生じさせるおそれのある運転 件にある場合に、パルス電圧の波高値又は ルス幅を一時的に大きくし、電磁ソレノイ の駆動力を瞬時的に高め、これによりピス ンの円滑な作動を確保するようにした駆動 法が開示されている(特許文献1参照)。

特開2003-139263号 (特許請求の範囲、段落[ 0039])

 ところで、可動子の摺動摩擦抵抗による 動不良は、電磁力が弱められ、コイルばね 付勢力によって可動子を移動させる際、す わち、流量を増大させるときに生じやすく っている。具体的には、流量を減少させる きには、電磁力によってコイルばねを圧縮 せる方向に可動子を移動させる状態となり 理論的には電磁力がコイルばねの付勢力と 動摩擦抵抗との和よりも大きくなる限り可 子が移動することになる。これに対して、 量を増大させるときには、電磁力が弱めら 、コイルばねの付勢力によって可動子を移 させる状態となり、コイルばねの付勢力と 磁力との差が摺動摩擦抵抗よりも大きくな ない限り可動子が移動しないことになる。

 このことは、図3に示されるように、可動 子の摺動不良が生じている場合と生じていな い場合の電磁比例制御弁の電流値(I)と流量(Q) との特性(I-Q特性)を見ると明らかである。図3 (a)は、可動子の摺動不良を生じていない場合 のI-Q特性を示しており、ソレノイドに与える 電流値を大きくしていく場合及び小さくして いく場合それぞれにおいて、電流値の変化に 伴い流量がほぼリニアに増減しており、可動 子のスムーズな摺動状態が理解される。一方 、図3(b)では、可動子の摺動不良を生じてい 場合のI-Q特性を示しており、ソレノイドに える電流値を大きくしていく場合には流量 ほぼリニアに減少している一方、ソレノイ に与える電流値を小さくしていく場合には 初期段階では可動子が移動しないため流量 変化せず、ある時点で突然可動子が移動し 流量が急激に増加している(以下、このよう 現象を「スリップスティック現象」と称す 。)ことが理解できる。

 このようなスリップスティック現象が発生 る状態では、電流値を小さくし始めてから き出すまでの間、継続的に燃料の供給量が 足し、実レール圧と目標レール圧との偏差 次第に大きくなる結果、電磁比例制御弁が 障しているものと判定されるおそれがある 上述の故障判定方法においては故障判定の きい値を超えて故障と判定されるに至るこ になる。あるいは、故障と判定される以前 可動子が動き出すとしても、その時点では 来必要な要求量に対して過大な要求量とな ており、可動子が突如として大きく動き出 ことになる。そして、可動子が動き出した は、過大な流量の燃料がコモンレールに供 され、レール圧が目標レール圧を大きく上 ってオーバーシュートするとともに、今度 、目標レール圧に戻すために本来必要な要 量よりも減少させるように働き、アンダー ュートすることになって、いわゆるハンチ グ現象を生じるおそれがある。
 したがって、燃料流量を増大させる際には 速やかに摺動不良状態から脱出させること 求められる。

 また、特許文献1に記載された駆動方法は 、適宜のタイミングでパルス電圧を一時的に 大きくしてピストンの円滑な作動を確保しよ うとするものであるが、流量を増大させる際 の可動子の移動方向とは逆方向に移動させる ような制御になるため、レール圧が不安定に なるおそれがある。さらに、電磁比例制御弁 は、供給する電流値が大きくなるにしたがい サイドフォースが大きくなる特性、すなわち 、可動子がソレノイドコイル側に引き付けら れやすくなる特性があるため、より大きなパ ルス電圧を与える必要が生じ、非効率となる おそれがある。

 そこで、本発明の発明者らは鋭意検討した 果、流体の流量を増大させる際に、電気的 ネルギの値を目標値よりも一時的に小さく ることによりこのような問題を解決できる とを見出し、本発明を完成させたものであ 。
 すなわち、本発明は、可動子の摺動不良が 生した場合に、ハンチング現象を生じるこ なく摺動不良を速やかに解消し、流量を安 的に増大させることができる流量制御用電 比例制御弁の制御方法及びそのような制御 法を実施可能な制御装置を提供することを 的とする。

 本発明によれば、駆動用電磁ソレノイド 電磁力と、電磁力とは反対の方向に作用す バネ力と、によって軸方向に移動する可動 を備え、駆動用電磁ソレノイドのコイルに 給される電気的エネルギを制御することに り可動子の移動量を変化させて弁の開度を 節し、流体の流量を比例制御する流量制御 電磁比例制御弁の制御方法であって、電気 エネルギの値を減少させる方向に可動子を 動させる際に、電気的エネルギの値を可動 の目標位置に対応する目標値よりも一時的 小さくした後、目標値に戻すことを特徴と る流量制御用電磁比例制御弁の制御方法が 供され、上述した問題を解決することがで る。

 また、本発明の流量制御用電磁比例制御 の制御方法を実施するにあたり、電磁力と ネ力との差が、可動子の摺動摩擦抵抗より 大きくなるように電気的エネルギの値を一 的に小さくすることが好ましい。

 また、本発明の流量制御用電磁比例制御 の制御方法を実施するにあたり、流量制御 電磁比例制御弁はコモンレールシステムの ンプの流量を制御し、コモンレールのレー 圧を制御するための弁であり、コモンレー の目標レール圧と実レール圧との偏差が所 のしきい値を越えたときに、電気的エネル の値を目標値よりも一時的に小さくする制 を行うことが好ましい。

 また、本発明の流量制御用電磁比例制御 の制御方法を実施するにあたり、電気エネ ギの値を所定時間一時的に小さくすること 好ましい。

 また、本発明の流量制御用電磁比例制御 の制御方法を実施するにあたり、目標レー 圧と実レール圧との偏差が所定値未満とな まで、複数回繰返し、電気的エネルギの値 一時的に小さくすることが好ましい。

 また、本発明の流量制御用電磁比例制御 の制御方法を実施するにあたり、目標レー 圧と実レール圧との偏差が所定値未満とな までの間、電気的エネルギの値を一時的に さくすることが好ましい。

 また、本発明の流量制御用電磁比例制御 の制御方法を実施するにあたり、実レール が目標レール圧に到達する以前に電気的エ ルギの値を目標値に戻すことが好ましい。

 また、本発明の別の態様は、駆動用電磁 レノイドの電磁力と、電磁力とは反対の方 に作用するバネ力と、によって軸方向に移 する可動子を備え、駆動用電磁ソレノイド コイルに流れる電気的エネルギを制御する とにより可動子の移動量を変化させて弁の 度を調節し、流体の流量を比例制御する流 制御用電磁比例制御弁の制御装置であって 可動子を目標位置に移動させるために、駆 用電磁ソレノイドに対して供給すべき目標 置に対応する値の電気的エネルギを演算す ための電気的エネルギ演算手段と、電気的 ネルギの値を減少させる方向に可動子を移 させる際に、電気的エネルギの値を可動子 目標位置に対応する目標値よりも一時的に さくした後、目標値に戻すための制御手段 、を備えることを特徴とする流量制御用電 比例制御弁の制御装置である。

 また、本発明のさらに別の態様は、駆動 電磁ソレノイドの電磁力と、電磁力とは反 の方向に作用するバネ力と、によって軸方 に移動する可動子を備え、駆動用電磁ソレ イドのコイルに流れる電気的エネルギを制 することにより可動子の移動量を変化させ 弁の開度を調節し、流体の流量を比例制御 るようにしたコモンレールシステムのポン の流量制御用電磁比例制御弁の制御装置で って、可動子を目標位置に移動させるため 、駆動用電磁ソレノイドに対して供給され 目標位置に対応する値の電気的エネルギを 算するための電気的エネルギ演算手段と、 モンレールの目標レール圧と実レール圧と 偏差を所定のしきい値と比較するためのレ ル圧偏差比較手段と、レール圧偏差がしき 値以上である状態で電気的エネルギの値を 少させる方向に可動子を移動させる際に、 気的エネルギの値を可動子の目標位置に対 する目標値よりも一時的に小さくした後、 標値に戻すための制御手段と、を備えるこ を特徴とするポンプの流量制御用電磁比例 御弁の制御装置である。

 本発明の流量制御用電磁比例制御弁の制 方法によれば、可動子の摺動不良が生じや い状態となる、電気的エネルギの値を減少 せる方向に可動子を移動させる際に、電気 エネルギの値を目標値よりも一時的に小さ することにより、電磁力が一旦弱められて ネ力と電磁力との差が摺動摩擦抵抗を確実 越え、摺動不良状態を速やかに解消させる とができる。また、電気的エネルギの値を 時的に小さくした後、速やかに目標値に戻 れるため、流量を大幅に増大させることな 、摺動不良状態を解消させることができる さらに、目標値よりも小さくする時間が極 て短時間であるため、仮に、摺動不良を生 ていなかったとしても、流量制御に大きく 響することがない。

 また、本発明の流量制御用電磁比例制御 の制御方法において、電気的エネルギの値 一時的に目標値よりも小さくする際に、電 力とバネ力との差及び摺動摩擦抵抗の関係 考慮して電気的エネルギの値を小さくする とにより、可動子の摺動不良状態を速やか 解消させることができる。

 また、本発明の流量制御用電磁比例制御 の制御方法を、コモンレールシステムのポ プの流量制御として実施することにより、 モンレール圧のハンチング現象を抑えると もに、レール圧制御を精度よく行うことが きるようになる。

 また、本発明の流量制御用電磁比例制御 の制御方法において、電気エネルギの値を 定の時間だけ一時的に小さくするように制 することにより、電磁力が一時的に弱めら 、可動子を移動させる起動力となって、可 子の摺動不良状態を解消させることができ 。

 また、本発明の流量制御用電磁比例制御 の制御方法において、目標レール圧と実レ ル圧との偏差が所定値未満となるまで繰返 電気的エネルギの値を小さくすることによ 、電気的エネルギの値が著しく小さくなる とによるコモンレールへの過大な流量の燃 の供給が防がれ、ハンチング現象を低減す ことができる。

 また、本発明の流量制御用電磁比例制御 の制御方法において、目標レール圧と実レ ル圧との偏差が所定値未満となるまでの間 すなわち、レール圧偏差の縮小が確認され までの間、電気的エネルギの値を小さくす ことにより、コモンレールへの燃料の流量 過大になることが防がれ、ハンチング現象 より低減することができる。

 また、本発明の流量制御用電磁比例制御 の制御方法において、電磁比例制御弁での 量制御がレール圧となって現れるタイムラ を考慮して、実レール圧が目標レール圧に 達する前に電気的エネルギの値を目標値に すことにより、ハンチング現象を低減する とができる。

 また、本発明の流量制御用電磁比例制御 の制御装置によれば、所定の制御手段を備 ているために、可動子の摺動不良が生じや い状態となる、電気的エネルギの値を減少 せる方向に可動子を移動させる際に、電気 エネルギの値が目標値よりも一時的に小さ され、摺動不良状態を速やかに解消させる とができる。また、電気的エネルギの値を 時的に小さくした後、速やかに目標値に戻 れるために、ハンチング現象を生じさせる となく、摺動不良状態を解消させることが きる。

 また、本発明のコモンレールシステムの ンプの流量制御用電磁比例制御弁の制御装 によれば、レール圧偏差をもとに電気的エ ルギの値を制御する所定の制御手段を備え いるために、電気的エネルギの値を減少さ る方向に可動子を移動させる際に、電気的 ネルギの値が目標値よりも一時的に小さく れ、摺動不良状態を速やかに解消させるこ ができる。また、電気的エネルギの値を一 的に小さくした後、速やかに目標値に戻さ るために、コモンレール圧にハンチング現 を生じさせることなく、摺動不良状態を解 させることができる。

本発明の実施の形態にかかるコモンレ ルシステムの構成を示す図である。 本発明の実施の形態にかかる電磁比例 御弁の断面図である。 電磁比例制御弁のI-Q特性について説明 るための図である。 本発明の実施の形態にかかる電磁比例 御弁の制御装置の構成を示す図である。 本発明の実施の形態にかかる電磁比例 御弁の制御コントロールユニットの構成を す図である。 本発明の実施の形態にかかる電磁比例 御弁の制御方法のフローを示す図である。 スリップスティック脱出モード移行時 の判定方法の一例を説明するための図であ 。 本発明の実施の形態にかかる電磁比例 御弁の制御方法を実施した場合の流量変化 説明するための概念図である。 本発明の実施の形態にかかる電磁比例 御弁の制御方法の別のフローを示す図であ 。 本発明の実施例としての電磁比例制御 弁の制御方法を説明するための図である。 本発明の別の実施例としての電磁比例 制御弁の制御方法を説明するための図である 。 本発明の比較例としての電磁比例制御 弁の制御方法を説明するための図である。 本発明の別の比較例としての電磁比例 制御弁の制御方法を説明するための図である 。

 以下、適宜図面を参照しながら、本発明の 量制御用電磁比例制御弁の制御方法及び制 装置に関する実施の形態として、内燃機関 の燃料噴射システムとしてのコモンレール ステムに用いられる流量制御用電磁比例制 弁(以下、単に「電磁比例制御弁」と称する 。)の制御装置及びその制御方法を例にとっ 具体的に説明する。ただし、この実施形態 本発明の一態様であり、この発明を限定す ものではなく、本発明の範囲内で任意に変 することが可能である。
 なお、各図中、同一の符号を付してあるも は同一の部材を示しており、適宜説明が省 されている。

1.コモンレールシステム
 図1は、コモンレールシステムの構成の一例 を示す概要図である。
 このコモンレールシステムは、コモンレー 2内に蓄積された高圧燃料を複数のインジェ クタ3により内燃機関の各気筒に直接噴射供 する燃料噴射システムであり、コモンレー 2には、ポンプユニット4から高圧燃料が供給 されるようになっている。

 ポンプユニット4は、フィードポンプ41及び 圧ポンプ部32、33によって構成されており、 基本的には従来公知のものを用いることがで きる。
 フィードポンプ41は、燃料タンク5内の燃料 、フィルタ7を介して、図示しない駆動部に よって駆動される高圧ポンプ部32、33の高圧 ランジャ37、38によって加圧される二つの加 室42、43に送るようになっている。このポン プユニット4におけるフィルタ7と加圧室42、43 との間には電磁比例制御弁44が備えられてお 、加圧室42、43に送られる燃料の流量を調節 できるようになっている。

 電磁比例制御弁44によって流量を調節さ た燃料は、逆止弁45、46を介して対応する加 室42、43に送られ、高圧プランジャ37、38に って高圧化された後、逆止弁47、48を介して モンレール2に供給される。本実施形態のコ モンレールシステムに用いられるポンプユニ ット4は、電磁比例制御弁44の上流側にオーバ ーフローバルブ49が備えられ、フィードポン 41から送られる余剰燃料が燃料タンク5内に されるようになっている。

2.電磁比例制御弁
 図2は、電磁比例制御弁44の構成例を示す断 図である。この図2は、可動子70の動きの理 を容易にするため、可動子70の2つの状態を 断面によって示している。
 この電磁比例制御弁44は、入力ソケット部51 eを含む樹脂部分51と、樹脂部分51と一体化し 磁性材料からなるケース52とによって構成 れ、軸線方向の一端が閉じ、他端が開口し ケーシング55を備えている。また、ケーシン グ55を構成するケース52の一端側にシリンダ 分52bが設けられ、さらにケーシング55の内周 にソレノイドコイル64を含むソレノイド60が 設され、これらのシリンダ部分52b及びソレ イド60の内周に磁性材料からなる可動子70が シリンダ部分52b及びマグネティックコア80 可動子シリンダ部81に対して適切なクリアラ ンスをもって配設されている。ソレノイドコ イル64は、入力ソケット部51eに電気的に接続 れ、外部から通電される。

 ケーシング55の開口部分には、フランジ 80fを含むシリンダ体からなるマグネティッ コア80が嵌め合わせされ開口を閉じている。 すなわち、マグネティックコア80は、ケーシ グ55と相俟って、電磁比例制御弁44のハウジ ングを構成する。このマグネティックコア80 うちのソレノイド60の内周に配置された可 子シリンダ部81は、可動子70と適正なクリア ンスをもって配設されるとともに、シリン 部分52bとは可動子70を介さず直接磁束が透 しない十分なクリアランスをもって配設さ ている。また、マグネティックコア80のフラ ンジ部80fの外周は磁性材料からなるケース52 嵌め合わせられ、電磁サーキットを構成し いる。

 この図2に示す電磁比例制御弁44では、可 子シリンダ部81が一体化されたマグネティ クコア80を使用しているが、非磁性材料から なるバレルと磁性材料からなる可動子シリン ダ部とを別体化して構成したものであっても 構わない。

 また、マグネティックコア80のピストン リンダ部82の孔82hには、ピストンからなる弁 部材90が移動可能に収容されている。この弁 材90は、例えば三角形状のスリット92を有し 、そのスリット92がフィードポンプ(図示せず )側に連絡するポート84、及びサプライポンプ (図示せず)側に連絡する通路85にそれぞれ連 可能となっている。このスリット92の形状は 三角形状に限られるものではなく、弁部材90 リフト量に応じて開口面積が変化すればよ 、適宜変更が可能である。

 また、図2に示すように、弁部材90は、一 が可動子70側の非磁性材料からなるプッシ ロッド74の先端に当接しているとともに、ピ ストンシリンダ部82の開口部分に圧入したス リングシート96との間にコイルばね94を挟持 しており、このコイルばね94によって常時可 子70側に付勢されている。コイルばね94によ るばね力は、ソレノイド60の励磁に伴う電磁 と釣り合っているが、電磁力が生じないと に、弁部材90を通して可動子70を軸方向移動 できるように構成されている。

 また、マグネティックコア80の可動子シ ンダ部81内の可動子70に対向する面には、リ グ状のスペーサ88が配設されている。この ペーサ88によって、可動子70の軸方向移動距 を調整することができる。ただし、このス ーサ88は省略されていても構わない。

 かかる構成の電磁比例制御弁44では、ソ ノイド60の励磁に伴う電磁力によって、可動 子70が軸方向に移動するとき、プッシュロッ 74は、可動子シリンダ部81内をピストンシリ ンダ部82の孔82h側に進入する。そして、コイ ばね94をたわめ、可動子70の端面がスペーサ 88に近づく方向が、内燃機関のアイドリング 態であり、コイルばね94が弁部材90を押し、 可動子70をスペーサ88から遠ざけるとき、内 機関は高速運転状態にある。

 ここで、図3(a)には、図2に示す構成の電 比例制御弁44における、正常な状態でのソレ ノイドコイル64に通電する電流値と電磁比例 御弁44を通過する流体の流量との関係が示 れている。この図3(a)に示すように、本実施 態の電磁比例制御弁では、ソレノイドコイ に通電する電流値が大きくなるにしたがっ ポート84の開口面積が小さくなり、流量が 少するようになっている。ただし、言うま もなく、この特性とは逆に、電流が増大す に伴って流量を増やすような制御特性にす こともできる。このように構成される電磁 例制御弁において、高精度な制御特性およ 迅速なレスポンスを得るためには、可動子 できるだけスムーズに移動させることが必 とされる。

3.電磁比例制御弁の制御装置
 図1に示すように、本実施形態のコモンレー ルシステムは、電磁比例制御弁44を駆動制御 るための駆動制御ユニット8を備えている。 この駆動制御ユニット8は、公知のマイクロ ンピュータを中心に構成されており、コモ レール2内の燃料圧力であるレール圧を検出 るための圧力センサ9からの実レール圧値を 示す実レール圧信号S1、キースイッチがON位 にあることを示すキースイッチON信号S2、内 機関の回転数を検出する回転数センサから 回転数を示す回転数信号S3、ポンプユニッ 内の燃料温度を検出する温度センサからの 料温度を示す温度信号S4、及び図示しないア クセルペダルの操作量を検出するアクセルセ ンサからのアクセル開度を示すアクセル信号 S5が入力されるようになっている。駆動制御 ニット8では、これらの各センサからの信号 S1~S5に応じて、各運転状態に見合った燃料流 を得るために必要な電磁比例制御弁44の駆 制御が行われる。

 図4は、図1に示す駆動制御ユニット8の構 を示す概略図である。駆動制御ユニット8は マイクロコンピュータ8Aを備え、上述の各入 信号S1~S5が制御コントロールユニット(図4で は「CPU」と表記)8Bにおいて制御プログラムに 従って処理され、電磁比例制御弁を駆動させ るための電圧信号である制御出力信号CSが出 される。また、駆動制御ユニット8は、フラ イホイールダイオード8Cとスイッチングトラ ジスタ8Dとからなる駆動回路を備えており フライホイールダイオード8Cとスイッチング トランジスタ8Dとの接続点は、検出抵抗器8E 介して電磁比例制御弁44のソレノイドコイル 64の一端に接続され、ソレノイドコイル64の 端は直流電源+Bに接続されている。

 制御出力信号CSは、具体的には、スイッ ングトランジスタのオン、オフをパルス信 によるデューティ比制御によって行うため 所定の周波数のパルス電圧信号である。ま 、スイッチングトランジスタ8Dは制御出力信 号CSに応答してオン、オフし、ソレノイドコ ル64には制御出力信号CSに従うパルス電圧が 印加される。その結果、パルス電圧信号のデ ューティ比に従う駆動電流が駆動信号として ソレノイドコイル64に流れる構成となってい 。このとき検出抵抗器8Eに流れる電流によ て生じる電圧信号Vdに応答して、電圧増幅器 からはソレノイドコイル64に流れている駆動 流の大きさを示す検出信号S6が出力され、 イクロコンピュータ8Aに入力されるようにな っている。

 図5は、CPU8Bのうち、電磁比例制御弁の駆動 御に関する部分について機能的なブロック 表した構成例を示したものである。
 このCPU8Bは、目標レール圧演算部(図5では「 Pt演算」と表記)と、レール圧偏差演算部(図5 は「dP演算」と表記)と、電磁比例制御弁の 標流量演算部(図5では「Ft演算」と表記)と 電気的エネルギ演算部(図5では「Vd演算」と 記)と、所定のタイミングでソレノイドに供 給される電気的エネルギが一時的に小さくな るように制御する機能を有する電気的エネル ギ制御部(図5では「Vd制御」と表記)等を主要 要素として構成されている。

 本実施形態のCPU8Bの目標レール圧演算部 は、上述の回転数信号S3やアクセル信号S5を とに、コモンレール内の圧力の目標値であ 目標レール圧Ptが演算されるようになって る。また、レール圧偏差演算部では、算出 れた目標レール圧Ptと実レール圧信号S1とを 較してレール圧偏差(目標レール圧と実レー ル圧との差の絶対値)dPが算出されるようにな っている。さらに、目標流量演算部では、レ ール圧偏差dPをもとにして、電磁比例制御弁 おける燃料の目標流量Ftが演算されるよう なっている。

 また、電気的エネルギ演算部では、算出 れたレール圧偏差dPや電磁比例制御弁にお る燃料の目標流量Ft、上述の駆動電流の大き さを示す検出信号S6等をもとにして、目標流 Ftを得るために必要な制御出力信号CSの通電 デューティ比DTaが演算され、この通電デュー ティ比DTaに従ってデューティ比が制御されて いる所定の周波数のパルス電圧Vdが演算され ようになっている。

 また、電気的エネルギ制御部では、燃料 量を増大させる際に、電磁比例制御弁の可 子の摺動摩擦不良が生じているおそれのあ 場合に、ソレノイドに与えられる電気的エ ルギを一時的に小さくするように補正を行 ようになっている。具体的には、本実施形 の制御コントロールユニットでは、燃料流 を増大させる際にレール圧偏差dPが所定の きい値以上となっている状態が所定時間以 継続したときに、上記補正を行うようにな ている。

4.電磁比例制御弁の制御方法
 上述の各センサ信号S1~S5に基づいて実行さ る電磁比例制御弁の制御方法の一例につい 説明する。図6は、電磁比例制御弁の駆動制 のためにマイクロコンピュータにセットさ 、実行される制御プログラムを示すフロー ャートである。

 この制御プラグラムが起動されて実行が 始されると、まず、ステップS11ではコモン ール内に備えられた圧力センサからの実レ ル圧信号S1を記録する。次いで、ステップS1 2では、アクセル信号S5と回転数信号S3とに基 いて目標レール圧Ptが演算される。

 次いで、ステップS13では、算出された目 レール圧Ptとレール圧信号S1とに基づいて電 磁比例制御弁44における燃料の目標流量Ftが 算される。そして、ステップS14では、この 標流量Ftと検出信号S6とに基づいて、目標流 Ftを得るのに必要な制御出力信号Vdの通電デ ューティ比DTaが演算される。基本的には、こ の通電デューティ比DTaに従ってデューティ比 が制御されている所定の周波数のパルス電圧 が制御出力信号Vdとして出力される。

 ここで、出力するパルス電圧Vdの値を減 させる際に、電磁比例制御弁44の可動子の摺 動部分における摺動摩擦のために摺動不良が 発生している場合にはスリップスティック現 象が現れるおそれがある。これを解消するた めに、本実施形態の電磁比例制御弁の制御方 法では、ソレノイドに対して与えられる電流 値を一時的に目標値よりも小さくする制御を 行うか否かが判別される。

 まず、ステップS15で、ステップS14で算出 れる通電デューティ比DTaに従って出力され パルス電圧Vdnの値が、前回算出されたパル 電圧Vdn-1の値よりも小さい値であるか否か 判別される。パルス電圧Vdnの値が直前のパ ス電圧Vdn-1の値以上となっている場合には、 ステップS15の判定結果はNOとなり、ステップS 23に進む。ステップS23以降では、ステップS14 得られた通電デューティ比DTaに従うデュー ィ比に制御された所定の周波数のパルス電 Vdnが制御出力信号CSsとして出力される通常 流出力処理が実行される。すなわち、ステ プS23で通電デューティ比DTaに従う駆動電流( 目標電流値)I_sollが演算された後、ステップS2 4でこの目標電流値I_sollに従う制御出力信号CS sが出力される。スイッチングトランジスタ 、この制御出力信号CSsに応答してオン、オ され、この結果得られるパルス電圧がソレ イドに印加されるので、電磁比例制御弁の レノイドには、通電デューティ比DTaに従う 動電流(目標電流値)I_sollが駆動信号としてパ ルス的に流れ、これにより電磁比例制御弁に おける燃料の流量が目標流量Ftとなるように 御される。

 一方、パルス電圧Vdnの値が直前のパルス 圧Vdn-1の値未満となっている場合には、ス ップS15の判定結果はYESとなり、ステップS16 進む。ステップS16では、可動子に摺動不良 生じているおそれがある状態か否かが判別 れる。ステップS16におけるこの判別は、基 的には、目標レール圧Ptと実レール圧信号S1 の偏差(Pt-S1)dPが所定のしきい値thp2以上とな っている状態が所定時間Th_t2以上継続してい か否かを判別することによって行われる。 実施形態では、ソレノイドに供給されてい 電流値I_istが規定値I_ist0以上となっている 態でレール圧偏差dPが所定のしきい値thp2以 となっている状態が所定時間Th_t2以上継続し ているか否かについて判別するようになって いる。これは、ソレノイドに供給されている 電流値I_istの値が小さすぎる場合には、サイ フォースが小さくスリップスティックが発 しにくいと考えられるとともに、この領域 はすでに実レール圧が高いために、電気的 ネルギの値を一時的にとはいえ小さくする とによって、コモンレールへの過大な流量 燃料供給を引き起こすおそれがあるためで る。ただし、電流値I_istが規定値以上にな ているか否かの条件は省略されていても構 ない。

 このレール圧偏差dPのしきい値thp2は、電磁 例制御弁の故障判定を行う際の故障判定の きい値thp1よりも小さい値に設定されている 。
 ただし、可動子の摺動不良が生じている状 でのレール圧偏差dPの変化は、運転状態に ってばらつきがある。したがって、運転状 をも考慮して、可動子が摺動不良状態とな ているおそれがあるか否かを判別するため は、図7に示すように、複数のしきい値を設 するとともに、それぞれのしきい値の大き に反比例させてタイマ終了時間Th_t2を設定 、いずれかのタイマ終了時間を最も早く経 した時点でスリップスティック脱出モード 移行されるように設定することもできる。

 この図7では、4段階のしきい値thp2_1~thp2_4 設定され、しきい値の大きさに反比例させ ように対応するタイマ終了時間th_t2_1~th_t2_4 設定されている。それぞれのタイマは、レ ル圧偏差dPが推移し、それぞれのしきい値th p2_nに到達したときにタイマカウントが開始 れる一方、再びしきい値thp2_nまで減少する タイマがリセットされるようになっている そして、図7の例では、しきい値thp2_2に対応 るタイマ終了時間が最も早く経過している めに、このときにスリップスティック脱出 ードに移行されることになる。

 可動子に摺動不良が生じているおそれが小 い場合には、ステップS16の判定結果はNOと り、ステップS23に進み、上述したような通 電流出力処理が実行される。一方、可動子 摺動不良が生じているおそれがある場合に ステップS16の判別結果はYESとなり、スリッ スティック脱出モードがOnにされてステップ S17に進む。ステップS17では、可動子を摺動不 良状態から脱出させるために十分に低い値の 脱出電流値I_escapeの演算が行われる。ここで 、あらかじめ用意されたレール圧偏差dPと 出電流値I_escapeとの関係を示すマップに基づ いて脱出電流値I_escapeが決定されるようにな ている。
 ただし、脱出電流値I_escapeは演算によって めるものでなくても、一定の値を用いるこ もできる。また、一度可動子の脱出制御に 敗しているような場合には、前回よりもさ に小さい脱出電流値に設定されるようにす こともできる。

 なお、可動子の摺動不良を速やかに解消 るためには、発生する電磁力とコイルばね よる付勢力との差が、可動子の摺動摩擦抵 よりも大きくなるような値に脱出電流値I_es capeの値を設定する必要があるが、脱出電流 I_escapeを必要以上に小さくすると、コモンレ ールへの過大な流量の燃料供給を引き起こす おそれがある。したがって、レール圧偏差dP 摺動摩擦抵抗との関係を考慮して規定され 脱出電流値I_escapeの値をマップから読み取 て決定することが好ましい。

 次いで、ステップS18では、ステップS17で 出された脱出電流値I_escapeを与えた後、本 の目標レール圧Ptに戻すためのスタンドオフ 電流値I_offを演算する。このスタンドオフ電 値I_offは、目標レール圧Pt、回転数信号S3、 度信号S4、アクセル信号S5等の運転条件をも とに算出される見込み値である。このスタン ドオフ電流値I_offについては、あらかじめ用 したマップを用いて求めることもできる。 るいは、システムの個体差や経時変化を吸 するために、アイドル運転時及びフル回転 に算出されたスタンドオフ電流値I_offと実 流値との偏差を学習させ、この偏差に基づ て補正を加えて算出することもできる。さ には、レール圧偏差dPがしきい値thp2を超え ときの目標レール圧Ptを記憶しておき、この 値をスタンドオフ電流値I_offを計算する際の 標レール圧Ptとすることもできる。

 次いで、ステップS19では、スリップスティ ク脱出モードを解除し通常の制御に戻すた の条件が設定される。例えば、レール圧偏 の所定のしきい値thp3を設定し、レール圧偏 差dPがしきい値thp3に到達するまでの間、スタ ンドオフ電流値I_offを与えるようにすること できる。なお、レール圧のハンチング現象 防ぐためには、しきい値thp3の値をなるべく 小さい値に設定することが好ましい。あるい は、このしきい値thp3を一定の値とせずに、 動子を移動させる制御を行う直前のレール 偏差dP0に対応する変数とすることもできる
 次いで、ステップS20では、スリップスティ ク脱出モードに入ってもレール圧偏差dPが きい値thp3に到達しない場合が考えられるた 、スタンドオフ電流値I_offのまま保持され 最大時間(スリップスティック脱出モードOn 大時間)Th_t3が設定されるようになっている

 次いで、ステップS21では、ステップS17で 演算結果に従って、ステップS14で算出され 目標電流値I_sollよりも小さい脱出電流値I_es capeを流す脱出処理が実行され、この処理に う制御出力信号CSeが出力される。脱出電流 I_escapeを流す時間は、電磁比例制御弁を作動 させてコモンレールの実レール圧信号S1が上 して目標レール圧Ptとなるときまでに、す にスタンドオフ電流値I_offとなっていること が好ましいことから、十分に短い時間に設定 される必要がある。通常は一定の時間に設定 されているが、一度可動子の脱出制御に失敗 しているような場合には、可動子の応答遅れ を考慮して、前回よりも長めの時間に設定さ れるようにすることもできる。

 そして、ステップS22では、ステップS18で 演算結果に従って、スタンドオフ電流値I_of fが供給されるように制御出力信号CSoが速や に出力される。その結果、コモンレール圧 ハンチング現象を生じさせることなく目標 ール圧にすることができる。

 次に、図6で説明したフローチャートに基 づく電磁比例制御弁の駆動制御を概念的に説 明する。図8(a)及び(b)は、一点鎖線に示され IQ特性を有する、可動子の摺動不良を生じて いる電磁比例制御弁において、流量を少量増 加させるための制御を行った場合の流量の変 化を表した概念図である。図8(a)は本発明の 磁比例制御弁の駆動制御を実施しない場合 流量変化を示し、図8(b)は本発明の電磁比例 御弁の駆動制御を実施した場合の流量変化 示している。

 まず、図8(a)に示される、本発明の駆動制御 を実施しない例では、流量をF1からF2に増大 せるために電流値をI1からI2に減少させた場 であっても、可動子が摺動不良を生じてい ため移動することができず、流量はF1のま で留まる状態となっている。
 一方、図8(b)では、流量をF1からF2に増大さ る際に、電流値を一時的に目標値I2よりも小 さいI3にした後、速やかにI2に戻されるため 目標流量F2を達成することができる。なお、 図8(b)では理解を容易にするために、流量がF1 から一旦F3になった後F2に変化するように示 れているが、実際には、可動子が摺動摩擦 打ち勝って動き出してから目標流量F2となる 以前に電流値はI2に戻されるため、実際の流 はF2を大幅に上回ることなくF2に移行される ようになる。

 なお、図6のフローチャートのステップS16 において、レール圧偏差dPがしきい値thp2を上 回っており、可動子の摺動不良が生じている おそれがあると判定された場合に、実際には 可動子の摺動不良が発生していない場合も想 定される。しかしながら、本発明の制御方法 であれば、可動子が本来移動すべき方向に向 けて一時的に大きく移動させて、速やかに本 来の目標位置に戻されるものであるため、目 標位置からの乖離幅を比較的小さく済ませら れ、レール圧に与える悪影響が大きくならな いようになっている。

 また、図6に示すフローの例では、タイマカ ウンタがスリップスティック脱出モードOn最 時間Th_t3を経過する以前にレール圧偏差(F) しきい値thp3に到達し、スリップスティック 出モードがOffにされているが、所定時間Th_t 3経過時においてもレール圧偏差(F)がしきい thp3に到達しない場合にスリップスティック らの脱出が不成功に終わったものと認識し レール圧偏差(F)がしきい値thp3を越えるまで スリップスティック脱出モードのOn、Offを繰 し行うようにすることもできる。
 例えば、レール圧偏差(F)がしきい値thp3に到 達しないまま所定時間Th_t3を経過した場合に 旦スリップスティック脱出モードを終了さ 、今度は、前回よりもさらに小さい脱出電 値I_escape’に設定した上でスリップスティ ク脱出モードが行われるようにすることが きる。

 図9は、そのような制御の実施の形態の要部 を示すフローチャートであり、図6のステッ S22の後に行われるものである。
 まず、ステップS25で、レール圧偏差dPの値 しきい値thp3を超えているか否かが判別され 。レール圧偏差dPがしきい値thp3以下となっ いればNOと判定され処理が終了される一方 しきい値thp3を超えている場合にはYESと判定 れステップS26に進む。

 ステップS26では、脱出電流値I_escapeが供 されたスリップスティック脱出モードとな てから所定時間Th_t3が経過したか否かが判別 される。経過していない場合にはNOと判定さ ステップS25に戻される一方、経過している 合にはYESと判定されステップS27に進む。そ て、ステップS27で、ステップS17で算出され 前回の脱出電流値I_escapeの値よりも小さい 出電流値I_escape’が演算された後、ステップ S28で、脱出電流値I_escape’を供給した後、目 電流値I_sollに戻すために供給されるスタン オフ電流値I_off’が演算され、さらに、ス ップS29で、スタンドオフ電流値I_off’のまま 保持される最大時間(スリップスティック脱 モードOn最大時間)Th_t4が演算される。それぞ れの値の算出の仕方については、上述したス テップS17~S20までと同様である。

 次いで、ステップS30では、ステップS27で 演算結果に従って脱出電流値I_escape’を流 脱出処理が実行され、この処理に従う制御 力信号CSe’が出力される。次いで、ステッ S31では、ステップS28での演算結果に従って スタンドオフ電流値I_off’が供給されるよう に制御出力信号CSo’が速やかに出力される。 その後、再びステップS25に戻され、ステップ S25でレール圧偏差dPの値がしきい値thp3以下と なるまで以上のステップが繰り返されるよう になっている。その結果、コモンレール圧に ハンチング現象を生じさせることなく目標レ ール圧にすることができる。

[実施例1]
 図10には、本実施形態の電磁比例制御弁の 動制御を実施した場合の、可動子のリフト 、電流値、コモンレール圧、及びレール圧 差それぞれの推移が示されている。それぞ 、破線Aは可動子の目標リフト量、実線Bは可 動子の実リフト量、実線Cはソレノイドに与 られる電流値、破線Dはコモンレールの目標 ール圧、実線Eはコモンレールの実レール圧 、実線Fはレール圧偏差の推移を示している

 t0~t1の間は実レール圧(E)が一定値P1である ために、いずれの値も変化しないで推移して いる。この後、t1の時点でアクセルがOnにさ て、t1~t2の間は、目標レール圧(D)がP2まで上 したため、これに対応して燃料流量を増加 せるためにソレノイドに与えられる電流値( C)は低下している。また、これに伴い、可動 の目標リフト量(A)も減少している。ただし 可動子の摺動不良が生じているために、可 子の実際のリフト量(B)は変化せず、これに ってコモンレールの実レール圧(E)も変化し いない。その結果、レール圧偏差(F)は次第 大きくなっている。

 この状態でt2になると、目標レール圧(D) P2で定常に維持されるようになるが、t1の時 から可動子の実リフト量(B)に変化がないた に、コモンレールに供給される燃料流量が に不足する状態となり、コモンレールの実 ール圧(E)は継続的に低下し、レール圧偏差( F)は次第に大きくなる。その後、レール圧偏 (F)の値がthp2となったt3の時点でスリップス ィックのおそれが認識されるとともにタイ カウントをスタートする。

 そして、所定時間Th_t2が経過したt4の時点 で完全にスリップスティックが発生している と認識され、スリップスティック脱出モード がOnにされる。t4では、電流値(C)を一時的に の時点での目標値A2よりも小さいA4にし、脱 電流(I_escape)保持時間が経過した時点で速や かにスタンドオフ電流値I_offを与えA6まで戻 。また、t4の時点から、スリップスティック 脱出モードのタイムアウト時間が規定される タイマカウンタをスタートする。

 そうすると、可動子の目標リフト量(A)はL 4となった後L6とへ移行し、L1となっていた実 のリフト量(B)は一旦L2を超えるものの速や にL6に戻されるようになる。これに伴って、 実レール圧(E)は上昇し始めるとともに、レー ル圧偏差(F)は小さくなっていく。そして、t5 時点でレール圧偏差(F)の値がしきい値thp3に 到達するとスリップスティック脱出モードが Offにされる。この時点では、実レール圧(E)は 未だ目標レール圧P2よりも低い値である。た し、脱出電流値I_escape及びスタンドオフ電 値I_offの設定や、可動子の状態によっては実 レール圧(E)の回復が早く、t5の時点で目標レ ル圧P2以上となる場合も考えられる。

 その後、可動子のリフト量が一旦L2を越 たことに対応して、t5の時点でスリップステ ィック脱出モードがOffにされるが、このとき 目標レール圧P2を得るための目標電流値A2とA6 との間には多少の乖離が生じている可能性が 高く、この時点では、A6がA2よりも小さい値 あることが一般的である。この乖離を修正 るために、目標電流値A2よりも大きな電流値 がソレノイドに対して極めて短い時間供給さ れるが、この時点での乖離量は十分小さく、 可動子もすでに適切な位置に近づいているた めに、可動子のリフト量も極めて短い時間目 標位置を上回るようになる。これに応じて、 コモンレール圧及びレール圧偏差が極めて短 い時間目標値を上回るが、その後は安定的に 目標値に維持される。

[実施例2]
 図11には、本実施形態の電磁比例制御弁の 動制御を実施した場合の、可動子のリフト 、電流値、コモンレール圧、及びレール圧 差それぞれの推移が示されている。基本的 は実施例1と同様であるが、スリップスティ ク脱出モードが繰返しOn-Offされる点で異な ている例である。

 t0~t4までの間は実施例1と同様に推移する そして、実施例2では、レール圧偏差(F)がし きい値thp3に到達しないまま所定時間Th_t3経過 したt5の時点で、スリップスティックからの 出が不成功に終わったものと認識される。 して、今度は、前回の脱出電流値I_escapeA4よ りも小さい値の脱出電流値I_escape’A5を一時 に供給した後、再び速やかにスタンドオフ 流値I_off’に戻す。

 この結果、スリップスティックが解除され と可動子が動き始め、依然L1のままであっ 実際のリフト量は小さくされ、これに伴っ 実レール圧(E)は上昇し始めるとともに、レ ル圧偏差(F)は次第に小さくなっていく。そ て、t6の時点でレール圧偏差(F)の値がしきい 値thp3に到達するとスリップスティック脱出 ードがOffにされる。この時点では、実レー 圧(E)は未だ目標レール圧P2よりも低い値であ る。このよ
うに、レール圧偏差(F)の値がしきい値thp3に 達するまで、脱出電流値I_escapeの値を変えな がらスリップスティック脱出モードの実行が 繰返し行われ、その後は実施例1と同様に安 的に目標値に維持される。

[比較例1]
 図12には、本実施形態の電磁比例制御弁の 御方法を実施しないで駆動制御を行った場 の可動子のリフト量、電流値、コモンレー 圧、及びレール圧偏差それぞれの推移が示 れている。それぞれ、破線A´は可動子の目 リフト量、実線B´は可動子の実リフト量、 線C´はソレノイドに与えられる電流値、破 D´はコモンレールの目標レール圧、実線E´ コモンレールの実レール圧、実線F´はレー 圧偏差の推移を示している。

 t0~t1の間は実レール圧(E´)が一定値P1であ ために、いずれの値も変化しない状態で推 している。この後、t1の時点でアクセルがOn にされて、t1~t2にかけて目標レール圧(D´)がP2 まで上昇したため、これに対応して燃料流量 を増加させるためにソレノイドに与えられる 電流値(C´)は低下している。また、これに伴 、可動子の目標リフト量(A´)も減少してい 。ただし、可動子の摺動不良が生じている めに、可動子の実際のリフト量(B´)は変化せ ず、これに伴ってコモンレールの実レール圧 (E´)も変化していない。その結果、レール圧 差(F´)は次第に大きくなっている。

 この状態でt2になると、目標レール圧(D´) はP2で定常に維持されるようになるが、t1の 点から可動子の実リフト量(B´)は変化しない ために、コモンレールに供給される燃料流量 が常に不足する状態となり、コモンレールの 実レール圧(E´)は継続的に低下し、レール圧 差(F´)は次第に大きくなる。そして、t3の時 点でレール圧偏差(F´)が電磁比例制御弁に故 が生じたおそれがあると判定されるthp1を上 回ったときにタイマカウンタがスタートされ 、その後所定時間Th_t1経過したt4の時点で故 判定されることになる。

[比較例2]
 図13には、本実施形態の電磁比例制御弁の 御方法を実施しないで駆動制御を行った場 の可動子のリフト量、電流値、コモンレー 圧、及びレール圧偏差それぞれの推移が示 れている。それぞれ、破線A´´は可動子の目 標リフト量、実線B´´は可動子の実リフト量 実線C´´はソレノイドに与えられる電流値 破線D´´はコモンレールの目標レール圧、実 線E´´はコモンレールの実レール圧、実線F´ はレール圧偏差の推移を示している。

 t0~t1の間は実レール圧(E´´)が一定値P1で るために、いずれの値も変化しない状態で 移している。この後、t1の時点でアクセルが Onにされて、t1~t2にかけて目標レール圧(D´´) P2まで上昇したため、これに対応して燃料 量を増加させるためにソレノイドに与えら る電流値(C´´)は低下している。また、これ 伴い、可動子の目標リフト量(A´´)も減少し ている。ただし、可動子の摺動不良が生じて いるために、可動子の実際のリフト量(B´´) 変化せず、これに伴ってコモンレールの実 ール圧(E´´)も変化していない。その結果、 ール圧偏差(F´´)は次第に大きくなっている 。

 この状態でt2になると、目標レール圧(D´ )はP2で定常に維持されるようになるが、t1の 時点から可動子の実リフト量(B´´)に変化が いために、コモンレールに供給される燃料 量が常に不足する状態となり、コモンレー の実レール圧(E´´)は継続的に低下し、レー 圧偏差(F´´)は次第に大きくなる。その後、 コイルばねによる付勢力と電磁力との差が摺 動摩擦抵抗を上回るt3の時点で、可動子が突 として移動し始める。そうすると、t4の時 以降、コモンレールに供給される燃料流量 急激に増大する結果、実レール圧(E´´)も急 に上昇しオーバーシュートを生じている。 れに伴って、レール圧偏差(F´´)は急激に減 少し、実レール圧(E´´)が目標レール圧P2を超 えると、今度は、レール圧偏差(F´´)が大き なるために、実レール圧(E´´)を小さくする 向に制御されアンダーシュートを生じてい 。この動作が繰り返されて、レール圧にハ チング現象が生じている。

 以上説明したように、本発明の流量制御用 磁比例制御弁によれば、可動子のスムーズ 軸方向移動を可能にできるとともに、偏荷 による偏磨耗の発生を低減させて、安定的 流量制御を行うことができる流量制御用電 比例制御弁を提供することができるように った。
 したがって、上述の実施形態では、内燃機 に供給する燃料の流量を制御するための電 比例制御弁を例にとって説明したが、これ 外にも、主として液体の流量制御を目的と て、種々の分野において用いることができ 。