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Patent Searching and Data


Title:
CONTROLLER OF AUTOMATIC SHIFT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/084294
Kind Code:
A1
Abstract:
A normal hydraulic pressure setting means (72) calculates transmission torque on two frictional engagement elements engaged on each shift stage based on input torque and torque share and sets engagement pressure supplied to their hydraulic servos respectively. The engagement pressure is specified such that no slide takes place on the two frictional engagement elements and that one of three frictional engagement elements slides by inertial force of a vehicle as the torque share is changed even if line pressure is supplied to the hydraulic servo of another frictional engagement element being released and the three elements concurrently engage. Even if the three frictional engagement elements concurrently engage, one of them slides, so that a traveling state can be kept without using a cutoff valve, thereby reducing a size, weight and cost.

Inventors:
SHIMIZU TETSUYA (JP)
YAMAGUCHI MASAMICHI (JP)
NISHIO SATOSHI (JP)
TSUCHIDA KENICHI (JP)
SUZUKI AKITOMO (JP)
ISHIKAWA KAZUNORI (JP)
MURAKAMI SIN-ICHIROU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/067722
Publication Date:
July 09, 2009
Filing Date:
September 30, 2008
Export Citation:
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Assignee:
AISIN AW CO (JP)
SHIMIZU TETSUYA (JP)
YAMAGUCHI MASAMICHI (JP)
NISHIO SATOSHI (JP)
TSUCHIDA KENICHI (JP)
SUZUKI AKITOMO (JP)
ISHIKAWA KAZUNORI (JP)
MURAKAMI SIN-ICHIROU (JP)
International Classes:
F16H61/12; F16H59/14; F16H61/686
Foreign References:
JP2003336731A2003-11-28
JPH0842681A1996-02-16
JP2001248723A2001-09-14
JP2003336731A2003-11-28
Other References:
See also references of EP 2166255A4
Attorney, Agent or Firm:
CHIKASHIMA, Kazuo (9-7 Shibaura 1-chome,Minato-k, Tokyo 23, JP)
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Claims:
 各油圧サーボにそれぞれ供給される係合圧に基づき係合される複数の摩擦係合要素と、
 駆動源に接続される入力軸と、駆動車輪に接続される出力軸と、を有し、前記複数の摩擦係合要素のうちの2つの係合状態に基づき前記入力軸と前記出力軸との間の伝達経路を変更して複数の変速段を形成する自動変速機構と、
 ライン圧を自在に調圧し、前記係合圧として前記各油圧サーボに個別に供給し得る調圧供給部と、を備え、
 前記変速段に応じて前記摩擦係合要素を選択的に係合させる自動変速機の制御装置において、
 前記入力軸に入力される入力トルクを検出する入力トルク検出手段と、
 前記変速段を形成する2つの摩擦係合要素におけるトルク分担を判定するトルク分担判定手段と、
 前記入力トルクと前記トルク分担とに基づき前記2つの摩擦係合要素における伝達トルクを算出し、該伝達トルクを伝達し得るトルク容量となるように前記係合圧をそれぞれ設定する正常時油圧設定手段と、を備え、
 前記正常時油圧設定手段は、
 前記2つの摩擦係合要素の係合により前記変速段を形成している状態で、前記2つの摩擦係合要素に滑りが生じないように、かつ前記2つの摩擦係合要素の係合中に別の摩擦係合要素が前記ライン圧に基づき係合したとしても、それら3つの摩擦係合要素のうちの1つに滑りが生じるように、前記係合圧を設定する、
 ことを特徴とする自動変速機の制御装置。
 前記正常時油圧設定手段は、前記2つの摩擦係合要素のトルク容量が、前記算出された2つの摩擦係合要素の伝達トルクに安全率を加味したトルク容量となるように前記係合圧をそれぞれ設定する、
 ことを特徴とする請求項1記載の自動変速機の制御装置。
 前記3つの摩擦係合要素のうちの1つは、車輌の慣性力により滑らされる、
 ことを特徴とする請求項1または2記載の自動変速機の制御装置。
 前記2つの摩擦係合要素の係合中に別の摩擦係合要素が係合した際に、3つの摩擦係合要素におけるトルク分担が変わり、3つの摩擦係合要素のうちの1つが前記駆動車輪がスリップする限界トルク未満となることで、該1つの摩擦係合要素に滑りが生じる、
 ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか記載の自動変速機の制御装置。
 前記自動変速機構は、前記2つの摩擦係合要素の係合中に別の摩擦係合要素が係合し、それら3つの摩擦係合要素のうちの1つに滑りが生じた際、前記複数の変速段のいずれかの状態となる、
 ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか記載の自動変速機の制御装置。
 前記自動変速機は、
 前記入力軸の回転を減速する減速プラネタリギヤと、
 第1、第2、第3、及び第4の回転要素を有し、該第4の回転要素が前記駆動車輪に接続されるプラネタリギヤセットと、
 前記減速プラネタリギヤの減速回転を前記第1の回転要素に伝達自在にする第1クラッチと、
 前記入力軸の回転を前記第2の回転要素に伝達自在にする第2クラッチと、
 前記減速プラネタリギヤの減速回転を前記第3の回転要素に伝達自在にする第3クラッチと、
 前記第3の回転要素の回転を固定自在にする第1ブレーキと、
 前記第2の回転要素の一方向回転を固定し得るワンウェイクラッチと、を備え、
 前進1速段にて、前記第1クラッチと前記ワンウェイクラッチとが係合され、
 前進2速段にて、前記第1クラッチと前記第1ブレーキとが係合され、
 前進3速段にて、前記第1クラッチと前記第3クラッチとが係合され、
 前進4速段にて、前記第1クラッチと前記第2クラッチとが係合され、
 前進5速段にて、前記第2クラッチと前記第3クラッチとが係合され、
 前進6速段にて、前記第2クラッチと前記第1ブレーキとが係合される、
 ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか記載の自動変速機の制御装置。
 前記第1ブレーキは、一端がケースに固定され、他端が前記油圧サーボに駆動連結され、該油圧サーボの駆動により前記第3の回転要素に連結されたドラム状部材に巻付けられるブレーキバンドを有するバンドブレーキからなり、
 前記バンドブレーキは、前記前進2速段から前記前進6速段における前記ドラム状部材の回転方向が、前記ブレーキバンドの巻付き方向と逆方向になるように配設されてなる、
 ことを特徴とする請求項6記載の自動変速機の制御装置。
 前記調圧供給部は、第1、第2、第3、及び第4ソレノイドバルブの4つのソレノイドバルブを有し、
 前記第1ソレノイドバルブが調圧した係合圧を、前記第1クラッチの油圧サーボに供給してなり、
 前記第2ソレノイドバルブが調圧した係合圧を、前記第2クラッチの油圧サーボに供給してなり、
 前記第3ソレノイドバルブが調圧した係合圧を、前記第3クラッチの油圧サーボに供給してなり、
 前記第4ソレノイドバルブが調圧した係合圧を、前記第1ブレーキの油圧サーボに供給してなる、
 ことを特徴とする請求項6または7記載の自動変速機の制御装置。
 前記ワンウェイクラッチと並列配置され、前記前進1速段のコースト時に前記第2の回転要素の回転を固定する第2ブレーキと、
 前記第2ソレノイドバルブが調圧した係合圧を、前記第2クラッチの油圧サーボと前記第2ブレーキの油圧サーボとに切換えて供給する切換え部と、を備えてなる、
 ことを特徴とする請求項8記載の自動変速機の制御装置。
Description:
自動変速機の制御装置

 本発明は、車輌等に搭載される自動変速 の制御装置に係り、詳しくは、例えば変速 を形成する2つの摩擦係合要素の係合中に、 さらに別の摩擦係合要素が係合された際にお ける3つの摩擦係合要素の同時係合を防止す 自動変速機の制御装置に関する。

 例えば車輌等に搭載される多段式の自動 速機においては、変速歯車機構の伝達経路 形成するため、変速段に応じて複数(例えば 2つ)の摩擦係合要素(クラッチやブレーキ)が 合されるように油圧制御されている。しか ながら、例えばリニアソレノイドバルブの 障(断線やバルブスティック等)により、解放 されているはずの摩擦係合要素の油圧サーボ に油圧が出力されてしまうと、正常時に係合 している摩擦係合要素に加え解放されている はずの摩擦係合要素も同時に係合されてしま う虞がある。

 そこで、このような同時係合を防止する め、正常時に係合している摩擦係合要素の 合圧を入力した際に、他の摩擦係合要素の 圧(その元圧)を遮断する、いわゆるカット フバルブを、各変速段において係合する摩 係合要素の組み合わせに応じて複数本設け それによって、何れの変速段にあっても同 係合を防止するように構成されたものが提 されている(例えば日本国特開2003-336731号公 参照)。

 ところで、近年、環境問題等に起因して 輌の燃費向上が求められ、例えば小型車輌 においても自動変速機の多段化が求められ おり、それによって小型化が求められる自 変速機にあっても、変速段を形成するため 摩擦係合要素の数が多数必要となっている しかしながら、上述のようなカットオフバ ブによって同時係合を防止するものを用い と、変速段の増加に応じて該カットオフバ ブの本数も多く必要となり、油圧制御装置 コンパクト化を妨げるばかりか、軽量化、 ストダウンの妨げにもなってしまうという 題があった。

 そこで本発明は、カットオフバルブを用 ることなく、同時係合を防止することを可 とし、もってコンパクト化、軽量化、コス ダウンを可能とする自動変速機の制御装置 提供することを目的とするものである。

 本発明は(例えば図1乃至図8参照)、各油圧サ ーボ(41,42,43,44,45)にそれぞれ供給される係合 (P C1 ,P C2 ,P C3 ,P B1 ,P B2 )に基づき係合される複数の摩擦係合要素(C-1, C-2,C-3,B-1,B-2)と、
 駆動源(2)に接続される入力軸(10)と、駆動車 輪に接続される出力軸(11)と、を有し、前記 数の摩擦係合要素(C-1,C-2,C-3,B-1,B-2)のうちの2 の係合状態に基づき前記入力軸(10)と前記出 力軸(11)との間の伝達経路を変更して複数の 速段を形成する自動変速機構(5)と、
 ライン圧(P L )を自在に調圧し、前記係合圧(P C1 ,P C2 ,P C3 ,P B1 ,P B2 )として前記各油圧サーボ(41,42,43,44,45)に個別 供給し得る調圧供給部(SLC1,SLC2,SLC3,SLB1)と、 備え、
 前記変速段に応じて前記摩擦係合要素(C-1,C- 2,C-3,B-1,B-2)を選択的に係合させる自動変速機( 3)の制御装置(1)において、
 前記入力軸(10)に入力される入力トルクを検 出する入力トルク検出手段(73)と、
 前記変速段を形成する2つの摩擦係合要素( えば前進4速段ではC-1,C-2)におけるトルク分 を判定するトルク分担判定手段(74)と、
 前記入力トルクと前記トルク分担とに基づ 前記2つの摩擦係合要素(例えば前進4速段で C-1,C-2)における伝達トルクを算出し、該伝 トルクを伝達し得るトルク容量となるよう 前記係合圧(例えばP C1 ,P C2 )をそれぞれ設定する正常時油圧設定手段(72) 、を備え、
 前記正常時油圧設定手段(72)は、
 前記2つの摩擦係合要素(例えば前進4速段で C-1,C-2)の係合により前記変速段を形成して る状態で、前記2つの摩擦係合要素(例えば前 進4速段ではC-1,C-2)に滑りが生じないように、 かつ前記2つの摩擦係合要素(例えば前進4速段 ではC-1,C-2)の係合中に別の摩擦係合要素(例え ばC-3)が前記ライン圧(P L )に基づき係合したとしても、それら3つの摩 係合要素(例えばC-1,C-2,C-3)のうちの1つ(例え C-1)に滑りが生じるように、前記係合圧(例 ばP C1 ,P C2 )を設定することを特徴とする。

 これにより、正常時油圧設定手段により 2つの摩擦係合要素の係合により変速段を形 成している状態で、2つの摩擦係合要素に滑 が生じないように、かつ2つの摩擦係合要素 係合中に別の摩擦係合要素がライン圧に基 き係合したとしても、それら3つの摩擦係合 要素のうちの1つに滑りが生じるように、2つ 摩擦係合要素における係合圧が設定される で、2つの摩擦係合要素の係合による変速段 で走行している状態では、摩擦係合要素に滑 りを生じることなく、駆動源と駆動車輪との 間のトルク伝達を行うことができるものであ りながら、別の摩擦係合要素が係合された際 には、3つのうちの1つの摩擦係合要素が滑ら れることで、走行状態を確保することがで る。これにより、カットオフバルブを設け ことを不要とすることができ、油圧制御装 のコンパクト化、軽量化、コストダウンを ることができる。

 また、本発明は(例えば図1乃至図8参照)、前 記正常時油圧設定手段(72)は、前記2つの摩擦 合要素(例えば前進4速段ではC-1,C-2)のトルク 容量が、前記算出された2つの摩擦係合要素( えば前進4速段ではC-1,C-2)の伝達トルクに安 率を加味したトルク容量となるように前記 合圧(例えばP C1 ,P C2 )をそれぞれ設定することを特徴とする。

 これにより、正常時油圧設定手段が、2つ の摩擦係合要素のトルク容量が、算出された 2つの摩擦係合要素の伝達トルクに安全率を 味したトルク容量となるように係合圧をそ ぞれ設定するので、2つの摩擦係合要素の係 による変速段で走行している状態でトルク 動があったとしても、2つの摩擦係合要素に 確実に滑りが生じないようにすることができ る。

 さらに、本発明は(例えば図1乃至図8参照) 、前記3つの摩擦係合要素(例えばC-1,C-2,C-3)の ちの1つ(例えばC-1)は、車輌の慣性力により らされることを特徴とする。

 これにより、3つの摩擦係合要素のうちの 1つは車輌の慣性力により滑らされるので、 に駆動源等を特別に制御することなく、そ ら3つの摩擦係合要素のうちの1つを確実に滑 らせることができる。

 具体的には、本発明は(例えば図1乃至図8 照)、前記2つの摩擦係合要素(例えば前進4速 段ではC-1,C-2)の係合中に別の摩擦係合要素(例 えばC-3)が係合した際に、3つの摩擦係合要素( 例えばC-1,C-2,C-3)におけるトルク分担が変わり 、3つの摩擦係合要素(例えばC-1,C-2,C-3)のうち 1つ(例えばC-1)が前記駆動車輪がスリップす 限界トルク(Ttire)未満となることで、該1つ 摩擦係合要素(例えばC-1)に滑りが生じること を特徴とする。

 これにより、2つの摩擦係合要素の係合中 に別の摩擦係合要素が係合した際に、3つの 擦係合要素におけるトルク分担が変わり、3 の摩擦係合要素のうちの1つが駆動車輪がス リップする限界トルク未満となることで、該 1つの摩擦係合要素に滑りが生じるので、そ ら3つの摩擦係合要素のうちの1つを確実に滑 らせることができる。

 また、本発明は(例えば図1乃至図8参照)、 前記自動変速機構(5)は、前記2つの摩擦係合 素(例えば前進4速段ではC-1,C-2)の係合中に別 摩擦係合要素(例えばC-1)が係合し、それら3 の摩擦係合要素(例えばC-1,C-2,C-3)のうちの1 (例えばC-1)に滑りが生じた際、前記複数の変 速段のいずれかの状態(例えば前進5速段の状 )となることを特徴とする。

 これにより、自動変速機構は、2つの摩擦 係合要素の係合中に別の摩擦係合要素が係合 し、それら3つの摩擦係合要素のうちの1つに りが生じた際、いずれかの変速段となるの 、走行状態を確保することができる。

 具体的には、本発明(例えば図2乃至図4参照) に係る前記自動変速機(3)は、
 前記入力軸(10)の回転を減速する減速プラネ タリギヤ(SP)と、
 第1、第2、第3、及び第4の回転要素(S3,CR2,S2,R 2)を有し、該第4の回転要素(R2)が前記駆動車 に接続されるプラネタリギヤセット(PU)と、
 前記減速プラネタリギヤ(SP)の減速回転を前 記第1の回転要素(S3)に伝達自在にする第1クラ ッチ(C-1)と、
 前記入力軸(10)の回転を前記第2の回転要素(C R2)に伝達自在にする第2クラッチ(C-2)と、
 前記減速プラネタリギヤ(SP)の減速回転を前 記第3の回転要素(S2)に伝達自在にする第3クラ ッチ(C-3)と、
 前記第3の回転要素(S2)の回転を固定自在に る第1ブレーキ(B-1)と、
 前記第2の回転要素(CR2)の一方向回転を固定 得るワンウェイクラッチ(F-1)と、を備え、
 前進1速段にて、前記第1クラッチ(C-1)と前記 ワンウェイクラッチ(F-1)とが係合され、
 前進2速段にて、前記第1クラッチ(C-1)と前記 第1ブレーキ(B-1)とが係合され、
 前進3速段にて、前記第1クラッチ(C-1)と前記 第3クラッチ(C-3)とが係合され、
 前進4速段にて、前記第1クラッチ(C-1)と前記 第2クラッチ(C-2)とが係合され、
 前進5速段にて、前記第2クラッチ(C-2)と前記 第3クラッチ(C-3)とが係合され、
 前進6速段にて、前記第2クラッチ(C-2)と前記 第1ブレーキ(B-1)とが係合されることを特徴と する。

 これにより、特に前進2速段から前進6速 までにおいて、2つの摩擦係合要素(クラッチ やブレーキ)が係合されている状態から、別 摩擦係合要素が、油圧サーボにライン圧が 給される状態となっても、3つの摩擦係合要 の同時係合によって、それら3つの摩擦係合 要素におけるトルク分担が変わることで、出 力軸トルクに換算してトルク分担が最も小さ くなる(最も駆動車輪から受けるトルクが大 くなる)摩擦係合要素が、駆動車輪に対する ルク容量として車輌の慣性力未満となって( 駆動車輪から受けるトルクが正常時の油圧設 定によるトルク容量を上回って)、滑るよう 構成することができ、それにより、走行状 を確保することができる。また、前進1速段 、第1クラッチの係合とワンウェイクラッチ の係止とにより達成されるので、別の摩擦係 合要素が係合されても、いずれかの変速段に 移行するだけであり、走行状態を確保するこ とができる。

 また特に、本発明は(例えば図2及び図5参照) 、前記第1ブレーキ(B-1)は、一端がケース(9)に 固定され、他端が前記油圧サーボ(44)に駆動 結され、該油圧サーボ(44)の駆動により前記 3の回転要素(S2)に連結されたドラム状部材(1 8)に巻付けられるブレーキバンド(19)を有する バンドブレーキからなり、
 前記バンドブレーキは、前記前進2速段から 前記前進6速段における前記ドラム状部材(18) 回転方向が、前記ブレーキバンド(19)の巻付 き方向と逆方向になるように配設されてなる ことを特徴とする。

 これにより、第1ブレーキがバンドブレー キからなり、該バンドブレーキが、前進2速 から前進6速段におけるドラム状部材の回転 向が、ブレーキバンドの巻付き方向と逆方 になるように配設されているので、第1ブレ ーキの油圧サーボにライン圧が供給されたと しても、該第1ブレーキは車輌の慣性力によ て滑り易いように構成することができ、そ によって、特に本自動変速機構の構成にあ ては、何れの変速段の状態から別の摩擦係 要素が係合されたとしても、必ず1つの摩擦 合要素に滑りが生じるように構成すること 可能とすることができる。

 また、本発明は(例えば図5参照)、前記調圧 給部は、第1、第2、第3、及び第4ソレノイド バルブ(SLC1,SLC2,SLC3,SLB1)の4つのソレノイドバ ブを有し、
 前記第1ソレノイドバルブ(SLC1)が調圧した係 合圧(P SLC1 )を、前記第1クラッチ(C-1)の油圧サーボ(41)に 給してなり、
 前記第2ソレノイドバルブ(SLC2)が調圧した係 合圧(P SLC2 )を、前記第2クラッチ(C-2)の油圧サーボ(42)に 給してなり、
 前記第3ソレノイドバルブ(SLC3)が調圧した係 合圧(P SLC3 )を、前記第3クラッチ(C-3)の油圧サーボ(43)に 給してなり、
 前記第4ソレノイドバルブ(SLB1)が調圧した係 合圧(P SLB1 )を、前記第1ブレーキ(B-1)の油圧サーボ(44)に 給してなることを特徴とする。

 これにより、第1、第2、第3、及び第4ソレ ノイドバルブが、それぞれの油圧サーボに対 応する形で係合圧を供給する構成であるので 、各摩擦係合要素のトルク容量(油圧設定)を 別に設定することができ、それぞれの摩擦 合要素のトルク容量を、2つの摩擦係合要素 により変速段を形成している際には滑らず、 かつ別の摩擦係合要素が係合された際には何 れか1つが滑るように設定することを可能と ることができる。

 さらに、本発明は(例えば図2乃至図5参照)、 前記ワンウェイクラッチ(F-1)と並列配置され 前記前進1速段のコースト時に前記第2の回 要素(CR2)の回転を固定する第2ブレーキ(B-2)と 、
 前記第2ソレノイドバルブ(SLC2)が調圧した係 合圧(P SLC2 )を、前記第2クラッチ(C-2)の油圧サーボ(42)と 記第2ブレーキ(B-2)の油圧サーボ(45)とに切換 えて供給する切換え部(23)と、を備えてなる とを特徴とする。

 これにより、第2ブレーキが、ワンウェイ クラッチと並列配置され、前進1速段のコー ト時に第2の回転要素の回転を固定するブレ キからなり、第2ソレノイドバルブが調圧し た係合圧を、切換え部により第2クラッチの 圧サーボと第2ブレーキの油圧サーボとに切 えて供給するので、特に前進1速段のコース ト時における第2ブレーキのトルク容量は小 くて足り、また、前進1速段のコースト以外 変速段にあっては第2ソレノイドバルブが係 合圧を出力したとしても第2ブレーキが係合 ることがないため、何れの変速段の状態か 別の摩擦係合要素が係合されたとしても、 ず1つの摩擦係合要素に滑りが生じるように 成することを可能とすることができる。

 なお、上記カッコ内の符号は、図面と対 するためのものであるが、これは、発明の 解を容易にするための便宜的なものであり 特許請求の範囲の構成に何等影響を及ぼす のではない。

本発明に係る自動変速機の制御装置を すブロック図。 本発明を適用し得る自動変速機を示す ケルトン図。 本自動変速機構の係合表。 本自動変速機構の速度線図。 本自動変速機の油圧制御装置を示す回 図。 正常時の係合圧の算出手法を示すフロ チャート。 故障時における各摩擦係合要素の駆動 輪に対するトルク容量を示す図。 正常時と故障時とのトルク作用の一例 示す説明図で、(a)は正常時の前進4速段にお けるトルク作用を示す図、(b)は前進4速段の 態からクラッチC-3が係合された故障時にお るトルク作用を示す図。

 以下、本発明に係る実施の形態を図1乃至 図8に沿って説明する。

 [自動変速機の概略構成]
 まず、本発明を適用し得る自動変速機3の概 略構成について図2に沿って説明する。図2に すように、例えばFFタイプ(フロントエンジ 、フロントドライブ)の車輌に用いて好適な 自動変速機3は、エンジン(駆動源)2(図1参照) 接続し得る自動変速機の入力軸8を有してお 、該入力軸8の軸方向を中心としてトルクコ ンバータ4と、自動変速機構5とを備えている

 上記トルクコンバータ4は、自動変速機3 入力軸8に接続されたポンプインペラ4aと、 動流体を介して該ポンプインペラ4aの回転が 伝達されるタービンランナ4bとを有しており 該タービンランナ4bは、上記入力軸8と同軸 に配設された上記自動変速機構5の入力軸10 接続されている。また、該トルクコンバー 4には、ロックアップクラッチ7が備えられ おり、該ロックアップクラッチ7が係合され と、上記自動変速機3の入力軸8の回転が自 変速機構5の入力軸10に直接伝達される。

 上記自動変速機構5には、入力軸10上にお て、プラネタリギヤ(減速プラネタリギヤ)SP と、プラネタリギヤユニット(プラネタリギ セット)PUとが備えられている。上記プラネ リギヤSPは、サンギヤS1、キャリヤCR1、及び ングギヤR1を備えており、該キャリヤCR1に サンギヤS1及びリングギヤR1に噛合するピニ ンP1を有している、いわゆるシングルピニ ンプラネタリギヤである。

 また、該プラネタリギヤユニットPUは、4 の回転要素としてサンギヤ(第3の回転要素)S 2、サンギヤ(第1の回転要素)S3、キャリヤ(第2 回転要素)CR2、及びリングギヤ(第4の回転要 )R2を有し、該キャリヤCR2に、サンギヤS2及 リングギヤR2に噛合するロングピニオンPLと サンギヤS3に噛合するショートピニオンPSと を互いに噛合する形で有している、いわゆる ラビニヨ型プラネタリギヤである。

 上記プラネタリギヤSPのサンギヤS1は、ミ ッションケース9に一体的に固定されている ス部に接続されて回転が固定されている。 た、上記リングギヤR1は、上記入力軸10の回 と同回転(以下「入力回転」という。)にな ている。更に上記キャリヤCR1は、該固定さ たサンギヤS1と該入力回転するリングギヤR1 により、入力回転が減速された減速回転に ると共に、クラッチ(摩擦係合要素、第1ク ッチ)C-1及びクラッチ(摩擦係合要素、第3ク ッチ)C-3に接続されている。

 上記プラネタリギヤユニットPUのサンギ S2は、バンドブレーキからなるブレーキ(摩 係合要素、第1ブレーキ)B-1に接続されてミッ ションケースに対して固定自在となっている と共に、上記クラッチC-3に接続され、該クラ ッチC-3を介して上記キャリヤCR1の減速回転が 入力自在となっている。また、上記サンギヤ S3は、クラッチC-1に接続されており、上記キ リヤCR1の減速回転が入力自在となっている なお、該ブレーキB-1は、クラッチC-3及びサ ギヤS2に連結されたドラム状部材18に周設さ れたブレーキバンド19を有してなり、該ブレ キバンド19は、一端がケース9に固定され、 端が後述する油圧サーボ44(図5参照)に駆動 結されて、該油圧サーボ44の駆動により該ド ラム状部材18に巻付けられるように構成され いる。このブレーキバンド19の巻付け方向 、前進2速段から前進6速段におけるドラム状 部材18の回転方向と逆方向になるように配設 れ、つまり油圧サーボ44によってドラム状 材18の前進2速段から前進6速段における回転 向に対して逆方向に引っ張って巻付けを行 ように構成されている。

 更に、上記キャリヤCR2は、入力軸10の回 が入力されるクラッチ(摩擦係合要素、第2ク ラッチ)C-2に接続され、該クラッチC-2を介し 入力回転が入力自在となっており、また、 ンウェイクラッチF-1及びブレーキ(摩擦係合 素、第2ブレーキ)B-2に接続されて、該ワン ェイクラッチF-1を介してミッションケース 対して一方向の回転が規制されると共に、 ブレーキB-2を介して回転が固定自在となっ いる。そして、上記リングギヤR2は、カウン タギヤ(出力軸)11に接続されており、該カウ タギヤ11は、不図示のカウンタシャフト、デ ィファレンシャル装置を介して駆動車輪に接 続されている。

 [自動変速機における各変速段の動作]
 つづいて、上記構成に基づき、自動変速機 5の作用について図2、図3及び図4に沿って説 明する。なお、図4に示す速度線図において 縦軸方向はそれぞれの回転要素(各ギヤ)の回 転数を示しており、横軸方向はそれら回転要 素のギヤ比に対応して示している。また、該 速度線図のプラネタリギヤSPの部分において 縦軸は、図4中左方側から順に、サンギヤS1 キャリヤCR1、リングギヤR1に対応している 更に、該速度線図のプラネタリギヤユニッ PUの部分において、縦軸は、図4中右方側か 順に、サンギヤS3、リングギヤR2、キャリヤC R2、サンギヤS2に対応している。

 例えばD(ドライブ)レンジであって、前進1 速段(1ST)では、図3に示すように、クラッチC-1 及びワンウェイクラッチF-1が係合される。す ると、図2及び図4に示すように、固定された ンギヤS1と入力回転であるリングギヤR1によ って減速回転するキャリヤCR1の回転が、クラ ッチC-1を介してサンギヤS3に入力される。ま 、キャリヤCR2の回転が一方向(正転回転方向 )に規制されて、つまりキャリヤCR2の逆転回 が防止されて固定された状態になる。する 、サンギヤS3に入力された減速回転が、固定 されたキャリヤCR2を介してリングギヤR2に出 され、前進1速段としての正転回転がカウン タギヤ11から出力される。

 なお、エンジンブレーキ時(コースト時) は、ブレーキB-2を係止してキャリヤCR2を固 し、該キャリヤCR2の正転回転を防止する形 、上記前進1速段の状態を維持する。また、 前進1速段では、ワンウェイクラッチF-1によ りキャリヤCR2の逆転回転を防止し、かつ正転 回転を可能にするので、例えば非走行レンジ から走行レンジに切換えた際の前進1速段の 成を、ワンウェイクラッチF-1の自動係合に り滑らかに行うことができる。

 前進2速段(2ND)では、図3に示すように、ク ラッチC-1が係合され、ブレーキB-1が係止され る。すると、図2及び図4に示すように、固定 れたサンギヤS1と入力回転であるリングギ R1によって減速回転するキャリヤCR1の回転が 、クラッチC-1を介してサンギヤS3に入力され 。また、ブレーキB-1の係止によりサンギヤS 2の回転が固定される。すると、キャリヤCR2 サンギヤS3よりも低回転の減速回転となり、 該サンギヤS3に入力された減速回転が該キャ ヤCR2を介してリングギヤR2に出力され、前 2速段としての正転回転がカウンタギヤ11か 出力される。

 前進3速段(3RD)では、図3に示すように、ク ラッチC-1及びクラッチC-3が係合される。する と、図2及び図4に示すように、固定されたサ ギヤS1と入力回転であるリングギヤR1によっ て減速回転するキャリヤCR1の回転が、クラッ チC-1を介してサンギヤS3に入力される。また クラッチC-3の係合によりキャリヤCR1の減速 転がサンギヤS2に入力される。つまり、サ ギヤS2及びサンギヤS3にキャリヤCR1の減速回 が入力されるため、プラネタリギヤユニッ PUが減速回転の直結状態となり、そのまま 速回転がリングギヤR2に出力され、前進3速 としての正転回転がカウンタギヤ11から出力 される。

 前進4速段(4TH)では、図3に示すように、ク ラッチC-1及びクラッチC-2が係合される。する と、図2及び図4に示すように、固定されたサ ギヤS1と入力回転であるリングギヤR1によっ て減速回転するキャリヤCR1の回転が、クラッ チC-1を介してサンギヤS3に入力される。また クラッチC-2に係合によりキャリヤCR2に入力 転が入力される。すると、該サンギヤS3に 力された減速回転とキャリヤCR2に入力され 入力回転とにより、上記前進3速段より高い 速回転となってリングギヤR2に出力され、 進4速段としての正転回転がカウンタギヤ11 ら出力される。

 前進5速段(5TH)では、図3に示すように、ク ラッチC-2及びクラッチC-3が係合される。する と、図2及び図4に示すように、固定されたサ ギヤS1と入力回転であるリングギヤR1によっ て減速回転するキャリヤCR1の回転が、クラッ チC-3を介してサンギヤS2に入力される。また クラッチC-2の係合によりキャリヤCR2に入力 転が入力される。すると、該サンギヤS2に 力された減速回転とキャリヤCR2に入力され 入力回転とにより、入力回転より僅かに高 増速回転となってリングギヤR2に出力され、 前進5速段としての正転回転がカウンタギヤ11 から出力される。

 前進6速段(6TH)では、図3に示すように、ク ラッチC-2が係合され、ブレーキB-1が係止され る。すると、図2及び図4に示すように、クラ チC-2の係合によりキャリヤCR2に入力回転が 力される。また、ブレーキB-1の係止により ンギヤS2の回転が固定される。すると、固 されたサンギヤS2によりキャリヤCR2の入力回 転が上記前進5速段より高い増速回転となっ リングギヤR2に出力され、前進6速段として 正転回転がカウンタギヤ11から出力される。

 後進1速段(REV)では、図3に示すように、ク ラッチC-3が係合され、ブレーキB-2が係止され る。すると、図2及び図4に示すように、固定 れたサンギヤS1と入力回転であるリングギ R1によって減速回転するキャリヤCR1の回転が 、クラッチC-3を介してサンギヤS2に入力され 。また、ブレーキB-2の係止によりキャリヤC R2の回転が固定される。すると、サンギヤS2 入力された減速回転が、固定されたキャリ CR2を介してリングギヤR2に出力され、後進1 段としての逆転回転がカウンタギヤ11から出 力される。

 なお、例えばP(パーキング)レンジ及びN( ュートラル)レンジでは、クラッチC-1、クラ チC-2、及びクラッチC-3、が解放される。す と、キャリヤCR1とサンギヤS2及びサンギヤS3 との間、即ちプラネタリギヤSPとプラネタリ ヤユニットPUとの間が切断状態となり、か 、入力軸10とキャリヤCR2との間が切断状態と なる。これにより、入力軸10とプラネタリギ ユニットPUとの間の動力伝達が切断状態と り、つまり入力軸10とカウンタギヤ11との動 伝達が切断状態となる。

 [油圧制御装置の概略構成]
 つづいて、本発明に係る自動変速機の油圧 御装置6について説明する。まず、油圧制御 装置6における図示を省略した、ライン圧、 カンダリ圧、モジュレータ圧、レンジ圧等 生成部分について、大まかに説明する。な 、これらライン圧、セカンダリ圧、モジュ ータ圧、レンジ圧の生成部分は、一般的な 動変速機の油圧制御装置と同様なものであ 、周知のものであるので、簡単に説明する

 本油圧制御装置6は、例えば図示を省略し たオイルポンプ、マニュアルシフトバルブ、 プライマリレギュレータバルブ、セカンダリ レギュレータバルブ、ソレノイドモジュレー タバルブ及びリニアソレノイドバルブSLT等を 備えており、例えばエンジンが始動されると 、上記トルクコンバータ4のポンプインペラ4a に回転駆動連結されたオイルポンプがエンジ ンの回転に連動して駆動されることにより、 不図示のオイルパンからストレーナを介して オイルを吸上げる形で油圧を発生させる。

 上記オイルポンプにより発生された油圧は スロットル開度に応じて調圧出力されるリ アソレノイドバルブSLTの信号圧P SLT に基づき、プライマリレギュレータバルブに よって排出調整されつつライン圧P L に調圧される。このライン圧P L は、マニュアルシフトバルブ、ソレノイドモ ジュレータバルブ、及び詳しくは後述するリ ニアソレノイドバルブSLC3等に供給される。 のうちのソレノイドモジュレータバルブに 給されたライン圧P L は、該バルブによって略々一定圧となるモジ ュレータ圧P MOD に調圧され、このモジュレータ圧P MOD は、上記リニアソレノイドバルブSLTや、詳し くは後述するソレノイドバルブS1,S2等の元圧 して供給される。

 なお、上記プライマリレギュレータバルブ ら排出された圧は、例えばセカンダリレギ レータバルブにより更に排出調整されつつ カンダリ圧P SEC に調圧され、このセカンダリ圧P SEC が、例えば潤滑油路やオイルクーラ等に供給 されると共にトルクコンバータ4にも供給さ 、かつロックアップクラッチ7の制御にも用 られる。

 一方、マニュアルシフトバルブ(不図示)は 運転席(不図示)に設けられたシフトレバーに 機械的(或いは電気的)に駆動されるスプール 有しており、該スプールの位置がシフトレ ーにより選択されたシフトレンジ(例えばP,R ,N,D)に応じて切換えられることにより、上記 力されたライン圧P L の出力状態や非出力状態(ドレーン)を設定す 。

 詳細には、シフトレバーの操作に基づきDレ ンジにされると、該スプールの位置に基づき 上記ライン圧P L が入力される入力ポートと前進レンジ圧出力 ポートとが連通し、該前進レンジ圧出力ポー トよりライン圧P L が前進レンジ圧(Dレンジ圧)P D として出力される。シフトレバーの操作に基 づきR(リバース)レンジにされると、該スプー ルの位置に基づき上記入力ポートと後進レン ジ圧出力ポートとが連通し、該後進レンジ圧 出力ポートよりライン圧P L が後進レンジ圧(Rレンジ圧)P REV として出力される。また、シフトレバーの操 作に基づきPレンジ及びNレンジにされた際は 上記入力ポートと前進レンジ圧出力ポート び後進レンジ圧出力ポートとの間がスプー によって遮断されると共に、それら前進レ ジ圧出力ポート及び後進レンジ圧出力ポー がドレーンポートに連通され、つまりDレン ジ圧P D 及びRレンジ圧P REV がドレーン(排出)された非出力状態となる。

 [油圧制御装置における変速制御部分の詳細 な構成]
 ついで、本発明に係る油圧制御装置6におけ る主に変速制御を行う部分について図5に沿 て説明する。なお、本実施の形態において 、スプール位置を説明するため、図5中に示 右半分の位置を「右半位置」、左半分の位 を「左半位置」という。

 本油圧制御装置6は、上述のクラッチC-1の 油圧サーボ41、クラッチC-2の油圧サーボ42、 ラッチC-3の油圧サーボ43、ブレーキB-1の油圧 サーボ44、ブレーキB-2の油圧サーボ45の、計5 の油圧サーボのそれぞれに係合圧として調 した出力圧を直接的に供給するための4本の リニアソレノイドバルブSLC1,SLC2,SLC3,SLB1を備 ており、また、リンプホーム機能を達成す と共に、リニアソレノイドバルブSLC2の出力 をクラッチC-2の油圧サーボ42又はブレーキB- 2の油圧サーボ45に切換える部分として、ソレ ノイドバルブS1、ソレノイドバルブS2、第1ク ッチアプライリレーバルブ21、第2クラッチ プライリレーバルブ22、C-2リレーバルブ(切 え部)23、B-2リレーバルブ24等を備えて構成 れている。

 図5に示す油路a1、油路a4、油路a5には、上述 したマニュアルシフトバルブの前進レンジ圧 出力ポート(不図示)が接続されて前進レンジ P D が入力し得るように構成されており、また、 油路lには、該マニュアルシフトバルブの後 レンジ圧出力ポート(不図示)が接続されて後 進レンジ圧P REV を入力し得るように構成されている。また、 油路dには、プライマリレギュレータバルブ( 図示)からのライン圧P L が入力されており、さらに油路g1には、モジ レータバルブ(不図示)からのモジュレータ P MOD が入力されて構成されている。

 このうちの油路a1は、油路a2を介して詳し くは後述する第1クラッチアプライリレーバ ブ21の入力ポート21eに接続されていると共に 、チェックバルブ50とオリフィス60とが配設 れている。また、該油路a1は、油路a3を介し アキュムレータ30に接続されていると共に 上記リニアソレノイドバルブSLC1に接続され いる。該アキュムレータ30は、ケース30cと 該ケース30cの内部に配設されたピストン30b 、該ピストン30bを付勢するスプリング30sと 該ケース30c及びピストン30bの間に形成され 油室30aとを有して構成されている。

 上記リニアソレノイドバルブ(調圧供給部、 第1ソレノイドバルブ)SLC1は、非通電時に非出 力状態となるノーマルクローズタイプからな り、油路a1を介して上記前進レンジ圧P D を入力する入力ポートSLC1aと、該前進レンジ P D を調圧して油圧サーボ41に制御圧P SLC1 を係合圧P C1 として出力する出力ポートSLC1bとを有してい 。即ち、該リニアソレノイドバルブSLC1は、 非通電時に入力ポートSLC1aと出力ポートSLC1b を遮断して非出力状態となり、詳しくは後 する制御部(ECU)70の油圧指令手段71(図1参照) らの指令値に基づく通電時には、入力ポー SLC1aと出力ポートSLC1bとの連通する量(開口量 )を該指令値に応じて大きくし、つまり指令 に応じた係合圧P C1 を出力し得るように構成されている。そして 、該リニアソレノイドバルブSLC1の出力ポー SLC1bは、油路b1を介して後述の第2クラッチア プライリレーバルブ22の入力ポート22cに接続 れている。

 一方、リニアソレノイドバルブ(調圧供給部 、第2ソレノイドバルブ)SLC2は、非通電時に出 力状態となるノーマルオープンタイプからな り、油路a4などを介して上記前進レンジ圧P D を入力する入力ポートSLC2aと、該前進レンジ P D を調圧して油圧サーボ42に制御圧P SLC2 を係合圧P C2 (又は係合圧P B2 )として出力する出力ポートSLC2bとを有してい る。即ち、該リニアソレノイドバルブSLC2は 非通電時に入力ポートSLC2aと出力ポートSLC2b を連通した出力状態となり、詳しくは後述 る制御部(ECU)70の油圧指令手段71からの指令 に基づく通電時には、入力ポートSLC2aと出 ポートSLC2bとの連通する量を該指令値に応じ て小さくし(即ち開口量を絞り)、つまり指令 に応じた係合圧P C2 (又はP B2 )を出力し得るように構成されている。そし 、該リニアソレノイドバルブSLC2の出力ポー SLC2bは、油路c1を介して後述の第2クラッチ プライリレーバルブ22の入力ポート22fに接続 されている。

 リニアソレノイドバルブ(調圧供給部、第3 レノイドバルブ)SLC3は、非通電時に出力状態 となるノーマルオープンタイプからなり、油 路dなどを介して上記ライン圧P L を入力する入力ポートSLC3aと、該ライン圧P L を調圧して油圧サーボ43に制御圧P SLC3 を係合圧P C3 として出力する出力ポートSLC3bとを有してい 。即ち、該リニアソレノイドバルブSLC3は、 非通電時に入力ポートSLC3aと出力ポートSLC3b を連通した出力状態となり、詳しくは後述 る制御部(ECU)70の油圧指令手段71からの指令 に基づく通電時には、入力ポートSLC3aと出力 ポートSLC3bとの連通する量を該指令値に応じ 小さくし(即ち開口量を絞り)、つまり指令 に応じた係合圧P C3 を出力し得るように構成されている。そして 、該リニアソレノイドバルブSLC3の出力ポー SLC3bは、油路e1を介してクラッチC-3の油圧サ ボ43に接続されている。また、該油路e1には 、チェックバルブ53とオリフィス63とが配設 れていると共に、油路e2を介してC-3ダンパ33 油室33aが接続されている。なお、該C-3ダン 33は、上述したアキュムレータ30と同様の構 成であって、一般的なダンパ装置であるので 、その詳細説明は省略する。

 リニアソレノイドバルブ(調圧供給部、第4 レノイドバルブ)SLB1は、非通電時に非出力状 態となるノーマルクローズタイプからなり、 油路a5などを介して上記前進レンジ圧P D を入力する入力ポートSLB1aと、該前進レンジ P D を調圧して油圧サーボ44に制御圧P SLB1 を係合圧P B1 として出力する出力ポートSLB1bとを有してい 。即ち、該リニアソレノイドバルブSLB1は、 非通電時に入力ポートSLB1aと出力ポートSLB1b を遮断して非出力状態となり、詳しくは後 する制御部(ECU)70の油圧指令手段71からの指 値に基づく通電時には、入力ポートSLB1aと出 力ポートSLB1bとの連通する量(開口量)を該指 値に応じて大きくし、つまり指令値に応じ 係合圧P B1 を出力し得るように構成されている。そして 、該リニアソレノイドバルブSLB1の出力ポー SLB1bは、油路f1を介してブレーキB-1の油圧サ ボ44に接続されている。また、該油路f1には 、チェックバルブ54とオリフィス64とが配設 れていると共に、油路f2を介してB-1ダンパ34 油室34aが接続されている。

 ソレノイドバルブS1は、非通電時に出力状 となるノーマルオープンタイプからなり、 路g1,g2を介して上記モジュレータ圧P MOD を入力する入力ポートS1aと、非通電時(即ちOF F時)に該モジュレータ圧P MOD を略々そのまま信号圧P S1 として出力する出力ポートS1bとを有している 。該出力ポートS1bは、油路h1,h2を介して第1ク ラッチアプライリレーバルブ21の油室21aに接 されており、また、油路h1,h3を介して第2ク ッチアプライリレーバルブ22の油室22aに接 されていると共に、油路h4を介してB-2リレー バルブ24の入力ポート24cに接続されている。

 ソレノイドバルブS2は、非通電時に非出力 態となるノーマルクローズタイプからなり 油路g1,g3を介して上記モジュレータ圧P MOD を入力する入力ポートS2aと、通電時(即ちON時 )に該モジュレータ圧P MOD を略々そのまま信号圧P S2 として出力する出力ポートS2bとを有している 。該出力ポートS2bは、油路iを介してB-2リレ バルブの油室24aに接続されている。

 第1クラッチアプライリレーバルブ21は、2 つのスプール21p,21qと、該スプール21pを図中 方に付勢するスプリング21sと、該スプール21 p,21qを離間する方向に付勢するスプリング21t を有していると共に、該スプール21qの図中 方に油室21aと、スプール21pの図中下方に油 21dと、両スプール21p,21qの間に油室21cと、ス プール21qのランド部の径の差違(受圧面積の 違)により形成された油室21bとを有しており さらに、入力ポート21eと、入力ポート21fと 入力ポート21gと、入力ポート21hと、出力ポ ト21iと、出力ポート21jと、ドレーンポートE Xとを有して構成されている。

 該第1クラッチアプライリレーバルブ21は スプール21p,21qが左半位置にされた際に、入 力ポート21eと出力ポート21jとが連通されると 共に、入力ポート21eと出力ポート21iとが遮断 され、右半位置にされた際には、入力ポート 21eと出力ポート21iとが連通されると共に出力 ポート21jとドレーンポートEXとが連通される うに構成されている。また、スプール21pが 半位置にされた際には、入力ポート21hが遮 され、スプール21qが右半位置にされた際に 、入力ポート21gが遮断されるように構成さ ている。

 上述のように油室21aは、油路h1,h2を介して 記ソレノイドバルブS1の出力ポートS1bに接続 されており、上記油室21bは、入力ポート21fよ り油路b4を介して後述する第2クラッチアプラ イリレーバルブ22の出力ポート22iに接続され いる。上記入力ポート21eには、油路a1,a2を して前進レンジ圧P D が入力されており、スプール21pが左半位置の 際に該入力ポート21eに連通する出力ポート21j は、油路jを介して第2クラッチアプライリレ バルブ22の入力ポート22hに接続されている また、スプール21pが右半位置の際に該入力 ート21eに連通する出力ポート21iは、油路k1,k2 を介して入力ポート21gと、油路k1,k2,k3を介し 入力ポート21hとにそれぞれ接続され、つま 該出力ポート21iは、スプール21p,21qの位置に 拘らず、油室21cに接続されている。さらに、 該出力ポート21iは、油路k1を介して後述の第2 クラッチアプライリレーバルブ22の入力ポー 22eに接続されている。そして、上記油室21d は、油路c5を介してC-2リレーバルブ23の出力 ポート23cが接続されており、該油路c5には、 ェックバルブ55とオリフィス65とが配設され ている。

 第2クラッチアプライリレーバルブ22は、 プール22pと、該スプール22pを図中上方に付 するスプリング22sとを有していると共に、 スプール22pの図中上方に油室22aと、該スプ ル22pの図中下方に油室22bとを有しており、 らに、入力ポート22cと、出力ポート22dと、 力ポート22eと、入力ポート22fと、出力ポー 22gと、入力ポート22hと、出力ポート22iとを して構成されている。

 該第2クラッチアプライリレーバルブ22は スプール22pが左半位置にされた際に、入力 ート22cと出力ポート22d及び出力ポート22iと 連通され、かつ入力ポート22fと出力ポート2 2gとが連通されると共に、入力ポート22eと入 ポート22hとがそれぞれ遮断され、右半位置 された際には、入力ポート22eと出力ポート2 2dとが連通され、かつ入力ポート22hと出力ポ ト22gとが連通されると共に、入力ポート22c 出力ポート22iと入力ポート22fとが遮断され ように構成されている。

 上述のように油室22aは、油路h1,h3を介し 上記ソレノイドバルブS1の出力ポートS1bに接 続されていると共に、油路h4を介して後述す B-2リレーバルブ24の入力ポート24cに接続さ ている。上記入力ポート22cは、油路b1を介し て上記リニアソレノイドバルブSLC1の出力ポ トSLC1bに接続されており、スプール22pが左半 位置の際に該入力ポート22cに連通する出力ポ ート22dは、油路b2を介してクラッチC-1の油圧 ーボ41に接続されている。該油路b2には、チ ェックバルブ51とオリフィス61とが配設され と共に、油路b3を介してC-1ダンパ31の油室31a 接続されている。また同様にスプール22pが 半位置の際に該入力ポート22cに連通する出 ポート22iは、油路b4を介して上記第1クラッ アプライリレーバルブ21の入力ポート21fに 続されると共に、油路b4,b5を介して油室22bに 接続されている。一方、入力ポート22fは、油 路c1を介して上記リニアソレノイドバルブSLC2 の出力ポートSLC2bに接続されており、また、 力ポート22hは、油路jを介して上記第1クラ チアプライリレーバルブ21の出力ポート21jに 接続されている。スプール22pが左半位置の際 に該入力ポート22fに連通し、かつスプール22p が右半位置の際に該入力ポート22hに連通する 出力ポート22gは、油路c2を介して後述するC-2 レーバルブ23の入力ポート23bに接続されて る。該油路c2には、チェックバルブ52とオリ ィス62とが配設されていると共に、油路c4を 介してC2-B2ダンパ32の油室32aが接続されてい 。

 C-2リレーバルブ23は、スプール23pと、該 プール23pを図中上方に付勢するスプリング23 sとを有していると共に、該スプール23pの図 上方に油室23aを有しており、さらに、入力 ート23bと、出力ポート23cと、出力ポート23d 、出力ポート23eと、ドレーンポートEXとを有 して構成されている。

 該C-2リレーバルブ23は、スプール23pが左 位置にされた際に、入力ポート23bと出力ポ ト23c及び出力ポート23eとが連通され、かつ 力ポート23dとドレーンポートEXとが連通され 、右半位置にされた際には、入力ポート23bと 出力ポート23dとが連通され、かつ出力ポート 23c及び出力ポート23eとドレーンポートEXとが 通されるように構成されている。

 上記油室23aは、油路h5を介して後述するB- 2リレーバルブ24の出力ポート24bに接続されて いる。入力ポート23bは、油路c2を介して上記 2クラッチアプライリレーバルブ22の出力ポ ト22gに接続されており、該入力ポート23bに プール23pが左半位置の際に連通する出力ポ ト23eが油路c3を介してクラッチC-2の油圧サ ボ42に接続されている。また、同様に該入力 ポート23bにスプール23pが左半位置の際に連通 する出力ポート23cは、油路c5を介して上記第1 クラッチアプライリレーバルブ21の油室21dに 続されており、また、該油路c5には、チェ クバルブ55とオリフィス65とが配設されてい 。そして、該入力ポート23bにスプール23pが 半位置の際に連通する出力ポート23dは、油 mを介してB-2リレーバルブ24の入力ポート24e 接続されている。

 B-2リレーバルブ24は、スプール24pと、該 プール24pを図中上方に付勢するスプリング24 sとを有していると共に、該スプール24pの図 上方に油室24aを有しており、出力ポート24b 、入力ポート24cと、入力ポート24dと、入力 ート24eと、出力ポート24fと、出力ポート24g 、ドレーンポートEXとを有して構成されてい る。

 該B-2リレーバルブ24は、スプール24pが左 位置にされた際に、入力ポート24dと出力ポ ト24f及び出力ポート24gとが連通され、かつ 力ポート24bとドレーンポートEXとが連通され ると共に、入力ポート24cが遮断され、右半位 置にされた際には、入力ポート24cと出力ポー ト24bとが連通され、かつ入力ポート24eと出力 ポート24gとが連通されると共に、入力ポート 24d、ドレーンポートEXとが遮断されるように 成されている。

 上記油室24aは、油路iを介して上記ソレノイ ドバルブS2の出力ポートS2bに接続されている 上記入力ポート24dは、油路lを介して後進レ ンジ圧P REV が出力されるマニュアルシフトバルブの後進 レンジ圧出力ポート(不図示)に接続されてお 、また、上記入力ポート24eは、油路mを介し て上記C-2リレーバルブ23の出力ポート23dに接 されており、該入力ポート24dにスプール24p 左半位置の際に連通し、該入力ポート24eに プール24pが右半位置の際に連通する上記出 ポート24gは、油路nを介してブレーキB-2の油 圧サーボ45に接続され、つまり該ブレーキB-2 油圧サーボ45は、マニュアルシフトバルブ 後進レンジ圧出力ポート(不図示)、又はリニ アソレノイドバルブSLC2の出力ポートSLC2bに接 続されている。また、上述のように入力ポー ト24cは、油路h4、上記第2クラッチアプライリ レーバルブ22の油室22a、油路h1,h3を介してソ ノイドバルブS1の出力ポートS1bに接続されて おり、該入力ポート24cにスプール24pが右半位 置の際に連通する出力ポート24bは、油路h5を して上記C-2リレーバルブ23の油室23aに接続 れている。なお、上記入力ポート24dにスプ ル24pが左半位置の際に連通する出力ポート24 fは、不図示の油路を介してプライマリレギ レータバルブの油室に接続されており、プ イマリレギュレータバルブに後進レンジ圧P REV を作用させて後進時にライン圧P L を上昇させるように構成されている。

 [油圧制御装置の動作]
 次に、本実施の形態に係る油圧制御装置6の 作用について説明する。

 例えば運転手によりイグニッションがONさ ると、本油圧制御装置6の油圧制御が開始さ る。まず、シフトレバーの選択位置が、例 ばPレンジ又はNレンジである際は、制御部70 の油圧指令手段71の電気指令によってノーマ オープンタイプであるリニアソレノイドバ ブSLC2、リニアソレノイドバルブSLC3、及び レノイドバルブS1に通電され、それぞれの入 力ポートと出力ポートとを遮断する。ついで 、例えばエンジンが始動されると、エンジン 回転に基づくオイルポンプ(不図示)の回転に り油圧が発生し、該油圧は、上述のように ライマリレギュレータバルブやソレノイド ジュレータバルブによって、ライン圧P L やモジュレータ圧P MOD にそれぞれ調圧出力され、不図示のマニュア ルシフトバルブの入力ポートと油路dを介し リニアソレノイドバルブSLC3の入力ポートSLC3 aとにライン圧P L が入力されると共に、油路g1,g2,g3を介してソ ノイドバルブS1,S2の入力ポートS1a,S2aにモジ レータ圧P MOD が入力される。

 [N-D時(前進1速段)における動作]
 続いて、例えば運転手がシフトレバーをNレ ンジ位置からDレンジ位置にすると、マニュ ルシフトバルブの前進レンジ圧出力ポート ら油路a1,a4,a5に前進レンジ圧P D が出力され、該前進レンジ圧P D は、油路a1を介してリニアソレノイドバルブS LC1に、油路a4を介してリニアソレノイドバル SLC2に、油路a5を介してリニアソレノイドバ ブSLB1、油路a1,a2を介して第1クラッチアプラ イリレーバルブ21にそれぞれ入力される。

 上記油路a1には、チェックバルブ50とオリフ ィス60とが配設されており、前進レンジ圧P D によりチェックバルブ50が開かれるため、リ アソレノイドバルブSLC1に対する前進レンジ 圧P D の供給は、排出時に比して急速となる。また 、油路a1に供給された前進レンジ圧P D は、油路a3を介してアキュムレータ30の油室30 aに入力され、該アキュムレータ30によって、 リニアソレノイドバルブSLC1に供給される前 レンジ圧P D の蓄圧を行う。

 また、油路a2より前進レンジ圧P D が入力ポート21eに入力される第1クラッチア ライリレーバルブ21は、ソレノイドバルブS1 ONされて信号圧P S1 が出力されていないため、Dレンジに切換え 当初(N-Dシフトの当初)は、スプリング21sの付 勢力により左半位置にされており、出力ポー ト21jから油路jに前進レンジ圧P D を出力するが、同様にソレノイドバルブS1がO Nされて信号圧P S1 が出力されていないため、スプリング22sの付 勢力により左半位置にされている第2クラッ アプライリレーバルブ22にあって、入力ポー ト22hが遮断された状態となる。

 ついで、例えば後述する制御部70の変速判 手段75(図1参照)により前進1速段が判断され と、該制御部70の電気制御によりリニアソレ ノイドバルブSLC1がONされ、入力ポートSLC1aに 力されている前進レンジ圧P D を調圧制御して、制御圧P SLC1 を係合圧P C1 として徐々に大きくなるように出力ポートSLC 1bから出力し、該制御圧P SLC1 (係合圧P C1 )が油路b1を介して第2クラッチアプライリレ バルブ22の入力ポート22cに入力される。

 すると、左半位置にされている第2クラッチ アプライリレーバルブ22は、入力ポート22cに 力された制御圧P SLC1 を、出力ポート22iより出力すると共に、出力 ポート22dからも出力する。該出力ポート22iよ り出力した制御圧P SLC1 は、油路b4,b5を介して油室22bに入力され、第2 クラッチアプライリレーバルブ22を左半位置 ロックすると共に、油路b4を介して第1クラ チアプライリレーバルブ21の油室21bに入力 れ、スプール21p,21qをスプリング21sの付勢力 反して図中下方へ押圧して、該第1クラッチ アプライリレーバルブ21を右半位置に切換え 。

 スプール21p,21qが右半位置に切換えられた第 1クラッチアプライリレーバルブ21は、第2ク ッチアプライリレーバルブ22の出力ポート22i より出力された制御圧P SLC1 により、スプール21qをスプリング21tの付勢力 に反して図中下方へ押圧しているが、入力ポ ート21eより入力された前進レンジ圧P D が、出力ポート21iより出力され、油路k1,k2,k3 び入力ポート21hを介して油室21cに入力され ため、該スプール21qは、該油室21cに作用す 油圧とスプリング21tの付勢力とにより、図 上方に切換えられ、つまりスプール21pとス ール21qとが離間した状態でロックされる。 お、油路k1から第2クラッチアプライリレー ルブ22の入力ポート22eに入力される前進レ ジ圧P D は、該入力ポート22eにおいて遮断される。

 そして、上述のようにリニアソレノイドバ ブSLC1から第2クラッチアプライリレーバル 22の入力ポート22cに入力された制御圧P SLC1 は、出力ポート22dから油路b2を介して油圧サ ボ41に係合圧P C1 として出力され、上記クラッチC-1が係合され る。これにより、上記ワンウェイクラッチF-1 の係止と相俟って、前進1速段が達成される

 また、上記油路b2には、チェックバルブ51及 びオリフィス61が配設されており、係合圧P C1 (制御圧P SLC1 )を油圧サーボ41に供給する際はチェックバル ブ51を閉じて、該オリフィス61だけを介して やかに油圧を供給し、かつ油圧サーボ41から 係合圧P C1 を排出する際はチェックバルブ51を開いて供 する場合に比して急速に排出するようにな ている。さらに、油路b2に供給された係合 P C1 は、油路b3を介してC-1ダンパ31の油室31aに入 され、該C-1ダンパ31によって、油圧サーボ41 給排される係合圧P C1 の脈動の防止、サージ圧(急激な変動圧)の吸 などが行われる。

 [前進1速段のエンジンブレーキにおける動 ]
 また、例えば制御部70の変速判定手段75によ り前進1速段のエンジンブレーキが判断され と、該制御部70からの電気指令により、ソレ ノイドバルブS2がONされ、かつソレノイドバ ブS1がOFFされ、さらに、リニアソレノイドバ ルブSLC2が調圧制御される。該ソレノイドバ ブS2がONされると、油路g1,g3を介して入力ポ トS2aに入力されているモジュレータ圧P MOD が、信号圧P S2 として出力ポートS2bより出力されて、油路i 介してB-2リレーバルブ24の油室24aに入力され 、スプール24pがスプリング24sの付勢力に反し て図中下方に切換えられ、該B-2リレーバルブ 24が右半位置にされる。

 また、ソレノイドバルブS1がOFFされると、 路g1,g2を介して入力ポートS1aに入力されてい るモジュレータ圧P MOD が、信号圧P S1 として出力ポートS1bより出力されて、油路h1, h2を介して第1クラッチアプライリレーバルブ 21の油室21aと、油路h1,h3を介して第2クラッチ プライリレーバルブ22の油室22aと、油路h4を 介してB-2リレーバルブ24の入力ポート24cとに 力され、さらに、右半位置にされたB-2リレ バルブ24の出力ポート24bから油路h5を介して C-2リレーバルブ23の油室23aにも入力される。

 すると、該C-2リレーバルブ23は、油室23aに 力された信号圧P S1 によりスプール23pがスプリング23sの付勢力に 反して図中下方に切換えられ、右半位置にさ れる。なお、第1クラッチアプライリレーバ ブ21は、該信号圧P S1 が油室21aに入力されるため、該スプール21qが 図中下方に切換えられ、右半位置にされるが 、スプール21pは、上記前進1速段の際と同じ 半位置のままであって、特に影響はない。 た、第2クラッチアプライリレーバルブ22は 油室22aに該信号圧P S1 が入力されるが、上述した油室22bの係合圧P C1 とスプリング22sの付勢力とが打勝つため、ス プール22pは左半位置にロックされたままであ る。

 そして、リニアソレノイドバルブSLC2が調圧 制御され、制御圧P SLC2 が出力ポートSLC2bから出力されると、該制御 P SLC2 は、油路c1を介して左半位置にロックされた 2クラッチアプライリレーバルブ22の入力ポ ト22fに入力され、係合圧P B2 として出力ポート22gより油路c2に出力される

 該油路c2に出力された係合圧P B2 は、右半位置にされているC-2リレーバルブ23 入力ポート23bに入力され、出力ポート23dよ 出力される。さらに、該係合圧P B2 は、油路mを介して右半位置にされているB-2 レーバルブ24の入力ポート24eに入力され、出 力ポート24gから出力されて、油路nを介して 圧サーボ45に入力され、上記ブレーキB-2が係 止される。これにより、上記クラッチC-1の係 合と相俟って、前進1速段のエンジンブレー が達成される。

 なお、上記油路c2には、チェックバルブ52及 びオリフィス62が配設されており、係合圧P B2 をブレーキB-2の油圧サーボ45に供給する際は ェックバルブ52を閉じて、該オリフィス62だ けを介して緩やかに油圧を供給し、かつ後述 する排出時にあっては、チェックバルブ52を いて油路c2内の油圧を急速に排出するよう なっている。さらに、油路c2に供給された係 合圧P B2 は、油路c4を介してC2-B2ダンパ32の油室32aに入 力され、該C2-B2ダンパ32によって、油圧サー 45に給排される係合圧P B2 の脈動の防止、サージ圧(急激な変動圧)の吸 などが行われる。

 また、例えば制御部70の変速判定手段75によ り前進1速段の正駆動が判断され、つまりエ ジンブレーキ状態の解除が判断されると、 レノイドバルブS2がOFFされると共にソレノイ ドバルブS1がONされ、さらに、リニアソレノ ドバルブSLC2がON(通電)される形で閉じられて 、係合圧P B2 としての制御圧P SLC2 が0にされてドレーンされる。また、ブレー B-2の油圧サーボ45の係合圧P B2 は、ソレノイドバルブS2のOFFによりB-2リレー ルブ24が左半位置に切換えられるため、入 ポート24d、油路l、マニュアルシフトバルブ 後進レンジ圧出力ポート(不図示)を介して マニュアルシフトバルブのドレーンポート り排出され、これにより、リニアソレノイ バルブSLC2を介してドレーンするよりも早い イックドレーンが行われて、該ブレーキB-2 素早く解放される。なお、油路m内の油圧は 、左半位置に切換えられたC-2リレーバルブ23 ドレーンポートEXより排出され、油路c1,c2内 の油圧は、リニアソレノイドバルブSLC2のド ーンポートEXより排出される。

 [前進2速段における動作]
 ついで、例えば上記前進1速段の状態から制 御部70の変速判定手段75により前進2速段が判 されると、該制御部70からの電気指令によ 、上記前進1速段の際と同様に(エンジンブレ ーキ時は除く)、ソレノイドバルブS1がONされ かつソレノイドバルブS2がOFFされた状態で 上記リニアソレノイドバルブSLC1の調圧状態 維持されつつ、リニアソレノイドバルブSLB1 の調圧制御が行われる。

 即ち、リニアソレノイドバルブSLB1が調圧制 御されると、制御圧P SLB1 が係合圧P B1 として出力ポートSLB1bから出力されて、油路f 1を介して油圧サーボ44に入力され、ブレーキ B-1が係止される。これにより、上記クラッチ C-1の係合と相俟って、前進2速段が達成され 。

 また、上記油路f1には、チェックバルブ54及 びオリフィス64が配設されており、係合圧P B1 をブレーキB-1の油圧サーボ44に供給する際は ェックバルブ54を閉じて、該オリフィス64だ けを介して緩やかに油圧を供給し、かつ該油 圧サーボ44から係合圧P B1 を排出する際はチェックバルブ54を開いて供 する場合に比して急速に油圧を排出するよ になっている。さらに、油路f1に供給され 係合圧P B1 は、油路f2を介してB-1ダンパ34の油室34aに入 され、該B-1ダンパ34によって、油圧サーボ44 給排される係合圧P B1 の脈動の防止、サージ圧(急激な変動圧)の吸 などが行われる。

 [前進3速段における動作]
 続いて、例えば上記前進2速段の状態から制 御部70の変速判定手段75により前進3速段が判 されると、該制御部70からの電気指令によ 、同様にソレノイドバルブS1がONされ、かつ レノイドバルブS2がOFFされた状態で、上記 ニアソレノイドバルブSLC1の調圧状態が維持 れつつ、リニアソレノイドバルブSLB1がOFFさ れる形で閉じられると共に、リニアソレノイ ドバルブSLC3の調圧制御が行われる。

 即ち、まず、リニアソレノイドバルブSLB1の 調圧制御によりブレーキB-1の解放制御が行わ れ、つまりブレーキB-1の油圧サーボ44の係合 P B1 (制御圧P SLB1 )が油路f1を介してリニアソレノイドバルブSLB 1のドレーンポートEXより排出制御され、該ブ レーキB-1が解放される。また、一方のリニア ソレノイドバルブSLC3は、ON(通電)されて制御 P SLC3 が0圧となるように閉じられていた状態から 圧制御が行われ、制御圧P SLC3 が係合圧P C3 として出力ポートSLC3bから出力されて、油路e 1を介して油圧サーボ43に入力され、クラッチ C-3が係合される。これにより、上記クラッチ C-1の係合と相俟って、前進3速段が達成され 。

 また、上記油路e1には、チェックバルブ53及 びオリフィス63が配設されており、係合圧P C3 をクラッチC-3の油圧サーボ43に供給する際は ェックバルブ53を閉じて、該オリフィス63だ けを介して緩やかに油圧を供給し、かつ該油 圧サーボ43から係合圧P C3 を排出する際はチェックバルブ53を開いて供 する場合に比して急速に油圧を排出するよ になっている。さらに、油路e1に供給され 係合圧P C3 は、油路e2を介してC-3ダンパ33の油室33aに入 され、該C-3ダンパ33によって、油圧サーボ43 給排される係合圧P C3 の脈動の防止、サージ圧(急激な変動圧)の吸 などが行われる。

 [前進4速段における動作]
 次に、例えば上記前進3速段の状態から制御 部70の変速判定手段75により前進4速段が判断 れると、該制御部70からの電気指令により 同様にソレノイドバルブS1がONされ、かつソ ノイドバルブS2がOFFされた状態で、上記リ アソレノイドバルブSLC1の調圧状態が維持さ つつ、リニアソレノイドバルブSLC3がOFFされ る形で閉じられると共に、リニアソレノイド バルブSLC2の調圧制御が行われる。

 即ち、まず、リニアソレノイドバルブSLC3の 調圧制御によりクラッチC-3の解放制御が行わ れ、つまりクラッチC-3の油圧サーボ43の係合 P C3 (制御圧P SLC3 )が油路e1を介してリニアソレノイドバルブSLC 3のドレーンポートEXより排出制御され、該ク ラッチC-3が解放される。また、一方のリニア ソレノイドバルブSLC2は、ON(通電)されて制御 P SLC2 が0圧となるように閉じられていた状態から 圧制御が行われ、制御圧P SLC2 が係合圧P C2 として出力ポートSLC2bから出力されて、油路c 1を介して第2クラッチアプライリレーバルブ2 2の入力ポート22fに入力される。

 上述したように第2クラッチアプライリレー バルブ22は、ソレノイドバルブS1がONされて信 号圧P S1 が油室22aに入力されておらず、かつ油室22bに 入力されている係合圧P C1 により左半位置にロックされているため、入 力ポート22fに入力された制御圧P SLC2 (係合圧P C2 )は、出力ポート22gより係合圧P C2 として出力される。該出力ポート22gより出力 した係合圧P C2 は、油路c2を介してC-2リレーバルブ23の入力 ート23bに入力される。

 さらに、C-2リレーバルブ23は、ソレノイド ルブS2がOFFされてB-2リレーバルブ24が左半位 にされ、油室23a及び油路h5がドレーン状態 されており、スプリング23sの付勢力により 半位置にされているため、入力ポート23bに 力された係合圧P C2 は、出力ポート23cから出力されると共に、出 力ポート23eからも出力される。該出力ポート 23cから出力された係合圧P C2 は、油路c5を介して第1クラッチアプライリレ ーバルブ21の油室21dに入力され、該第1クラッ チアプライリレーバルブ21のスプール21pを該 合圧P C2 によりスプリング21sの付勢力と相俟って左半 位置に切換えてロックする。この際、油路k1 介して入力ポート22eに入力されている前進 ンジ圧P D は、出力ポート21iから出力ポート21jに切換え られ、油路jに出力されるが、第2クラッチア ライリレーバルブ22の入力ポート22hにより 断される。また、油路k1に供給されていた前 進レンジ圧P D が遮断されるので、油路k2,k3を介した油室21c 対するロック圧としての前進レンジ圧P D の供給は解除される。

 なお、油路c5には、チェックバルブ55及びオ リフィス65が配設されており、係合圧P C2 を第1クラッチアプライリレーバルブ21の油室 21dに供給する際はチェックバルブ55を閉じて 該オリフィス65だけを介して緩やかに油圧 供給し、かつ該油室21dから係合圧P C2 を排出する際はチェックバルブ55を開いて供 する場合に比して急速に油圧を排出するよ になっている。

 そして、上記C-2リレーバルブ23の出力ポー 23eから出力された係合圧P C2 は、油路c3を介して油圧サーボ42に入力され クラッチC-2が係合される。これにより、上 クラッチC-1の係合と相俟って、前進4速段が 成される。

 また、上述したように、油路c2には、チェ クバルブ52及びオリフィス62が配設されてお 、上記前進1速段のエンジンブレーキ時と同 様に、係合圧P C2 をクラッチC-2の油圧サーボ42に供給する際は ェックバルブ52を閉じて、該オリフィス62だ けを介して緩やかに油圧を供給し、かつ該油 圧サーボ42から係合圧P C2 を排出する際はチェックバルブ52を開いて供 する場合に比して急速に油圧を排出するよ になっている。さらに、油路c2に供給され 係合圧P C2 は、油路c4を介してC2-B2ダンパ32の油室32aに入 力され、該C2-B2ダンパ32によって、油圧サー 42に給排される係合圧P C2 の脈動の防止、サージ圧(急激な変動圧)の吸 などが行われる。

 [前進5速段における動作]
 次に、例えば上記前進4速段の状態から制御 部70の変速判定手段75により前進5速段が判断 れると、該制御部70からの電気指令により 同様にソレノイドバルブS1がONされ、かつソ ノイドバルブS2がOFFされた状態で、上記リ アソレノイドバルブSLC2の調圧状態が維持さ つつ、リニアソレノイドバルブSLC1がOFFされ る形で閉じられると共に、リニアソレノイド バルブSLC3の調圧制御が行われる。

 即ち、まず、リニアソレノイドバルブSLC1の 調圧制御によりクラッチC-1の解放制御が行わ れ、つまりクラッチC-1の油圧サーボ41の係合 P C1 (制御圧P SLC1 )が油路b1,b2を介してリニアソレノイドバルブ SLC1のドレーンポートEXより排出制御され、該 クラッチC-1が解放される。また、一方のリニ アソレノイドバルブSLC3は、上記前進3速段の と同様に、ON(通電)されて制御圧P SLC3 が0圧となるように閉じられていた状態から 圧制御が行われ、制御圧P SLC3 が係合圧P C3 として出力ポートSLC3bから出力されて、油路e 1を介して油圧サーボ43に入力され、クラッチ C-3が係合される。これにより、上記クラッチ C-2の係合と相俟って、前進5速段が達成され 。

 [前進6速段における動作]
 そして、例えば上記前進5速段の状態から制 御部70の変速判定手段75により前進6速段が判 されると、該制御部70からの電気指令によ 、同様にソレノイドバルブS1がONされ、かつ レノイドバルブS2がOFFされた状態で、上記 ニアソレノイドバルブSLC2の調圧状態が維持 れつつ、リニアソレノイドバルブSLC3がON(通 電)される形で閉じられると共に、リニアソ ノイドバルブSLB1の調圧制御が行われる。

 即ち、まず、リニアソレノイドバルブSLC3の 調圧制御によりクラッチC-3の解放制御が行わ れ、つまりクラッチC-3の油圧サーボ43の係合 P C3 (制御圧P SLC3 )が油路e1を介してリニアソレノイドバルブSLC 3のドレーンポートEXより排出制御され、該ク ラッチC-3が解放される。また、一方のリニア ソレノイドバルブSLB1は、上記前進2速段の際 同様に、OFFされて制御圧P SLB1 が0圧となるように閉じられていた状態からON (通電)されて調圧制御が行われ、制御圧P SLB1 が係合圧P B1 として出力ポートSLB1bから出力されて、油路f 1を介して油圧サーボ44に入力され、ブレーキ B-1が係合される。これにより、上記クラッチ C-2の係合と相俟って、前進6速段が達成され 。

 [D-N時における動作]
 その後、例えば運転手が車輌を減速してい 、車速に応じてダウンシフトされて前進1速 段の状態で停車した後、シフトレバーをDレ ジ位置からNレンジ位置にすると、上記マニ アルシフトバルブの前進レンジ圧出力ポー が入力ポートとの間が遮断されると共にド ーンポートに連通され、つまり前進レンジ P D がドレーンされる。

 また同時に、シフトレバーセンサ(不図示) よりシフトレバーがNレンジ位置であること 検出され、制御部70により該シフトレバー 置に基づきNレンジが判定されると、まず、 ニアソレノイドバルブSLC2及びリニアソレノ イドバルブSLC3がON(通電)されると共に、リニ ソレノイドバルブSLB1がOFFされ、これらの制 御圧P SLC2 ,P SLC3 ,P SLB1 が0圧(非出力状態)にドレーンされて、つまり 各油圧サーボ42,43,44,45の油圧がドレーンされ 、クラッチC-2、クラッチC-3、ブレーキB-1、 レーキB-2が解放される。なお、ソレノイド ルブS1はON(通電)された状態で維持され、ソ ノイドバルブS2もOFFされた状態に維持され 、つまり両ソレノイドバルブS1,S2から信号圧 P S1 ,P S2 は出力されない。

 一方、リニアソレノイドバルブSLC1は、例え ばクラッチC-1が急解放されると解放ショック が生じるため、徐々に制御圧P SLC1 を減圧していくように調圧制御を行いつつ、 最終的に制御圧P SLC1 を0圧(非出力状態)にドレーンすることで、ク ラッチC-1を緩やかに解放する。そして、この クラッチC-1も解放されると、自動変速機3は てのクラッチ・ブレーキが解放されて、ニ ートラル状態とされる。

 このリニアソレノイドバルブSLC1による解 放制御の間は、該リニアソレノイドバルブSLC 1の入力ポートSLC1aに油路a3などを介して接続 れているアキュムレータ30が、オリフィス60 よりもリニアソレノイドバルブSLC1側の油路a1 ,a3に対して、Dレンジの間に蓄圧した油圧を 出して圧力維持を行うので、該リニアソレ イドバルブSLC1によるクラッチC-1の緩やかな 放制御を可能にしており、これにより、前 1速段の状態からのD-Nシフト操作時において 解放ショックが生じることが防止される。

 [後進1速段における動作]
 また、例えば運転手のシフトレバーの操作 よってシフトレバーがRレンジ位置にされる と、上述のようにマニュアルシフトバルブの 後進レンジ圧出力ポートから後進レンジ圧P REV が出力され、該後進レンジ圧P REV は、油路lなどを介してB-2リレーバルブ24の入 力ポート24dに入力される。

 また同時に、シフトレバーセンサ(不図示) よりシフトレバーがRレンジ位置であること 検出され、制御部70により該シフトレバー 置としてRレンジが判定されると、ソレノイ バルブS1はON(通電)された状態で維持され、 つソレノイドバルブS2もOFFされた状態に維 されて、つまり信号圧P S2 は出力されないので、上記B-2リレーバルブ24 スプリング24sの付勢力によって左半位置に 持される。これにより、入力ポート24dに入 された後進レンジ圧P REV は、出力ポート24g、油路nを介してブレーキB- 2の油圧サーボ45に供給され、ブレーキB-2が係 合される。

 さらに、制御部70によりリニアソレノイド ルブSLC3が徐々に制御圧P SLC3 を出力するように調圧制御され、係合圧P C3 として出力ポートSLC3bから出力されて、油路e 1を介して油圧サーボ43に入力され、つまりク ラッチC-3が緩やかに係合される。これにより 、上記ブレーキB-2の係止と相俟って、後進1 段が達成される。

 なお、RレンジよりNレンジに切換えられた は、上記Nレンジの状態と同様にされ、つま ブレーキB-2の油圧サーボ45の係合圧P B2 は油路n、B-2リレーバルブ24、油路l、マニュ ルシフトバルブを介してドレーンされ、ク ッチC-3の油圧サーボ43の係合圧P C3 は、リニアソレノイドバルブSLC3よりドレー される。

 また、例えば例えば運転手によりシフトレ ーがRレンジ位置に操作された際に、車速が 前進方向に所定速度以上であることを検出す ると、制御部70によりソレノイドバルブS2がON され、かつリニアソレノイドバルブSLC3のON( 電状態)が維持され、つまりRレンジ圧P REV がブレーキB-2の油圧サーボ45に供給されない うにB-2リレーバルブ24により遮断すると共 、クラッチC-3の油圧サーボ43に係合圧P C3 (制御圧P SLC3 )を供給せず、これによって後進1速段の達成 防止する、いわゆるリバースインヒビット 能が行われる。

 [ソレノイド・オールオフフェール時におけ る動作]
 続いて、本油圧制御装置6におけるソレノイ ド・オールオフフェール時における動作を説 明する。シフトレバー位置がDレンジにされ 状態における通常走行時に、例えばバッテ ーのショートや断線等に起因して、全ての レノイドバルブ(リニアソレノイドバルブSLC1 、リニアソレノイドバルブSLC2、リニアソレ イドバルブSLC3、リニアソレノイドバルブSLB1 、ソレノイドバルブS1、ソレノイドバルブS2) OFFフェール(以下、「オールオフフェール」 という。)した場合、リニアソレノイドバル SLC1、リニアソレノイドバルブSLB1、及びソレ ノイドバルブS2は、ノーマルクローズタイプ あるため油圧の出力をせず、リニアソレノ ドバルブSLC2、リニアソレノイドバルブSLC3 及びソレノイドバルブS1は、ノーマルオープ ンタイプであるため、それぞれの油圧を出力 する。

 正常時の前進1速段から前進3速段での走行 において、上記第1クラッチアプライリレー ルブ21は、上述のように油室21cに入力され 前進レンジ圧P D によってスプール21pが右半位置にロックされ ており、このため出力ポート21iより出力した 前進レンジ圧P D は、油路k1を介して、第2クラッチアプライリ レーバルブ22の入力ポート22eに入力され、左 位置にされた第2クラッチアプライリレーバ ルブ22により遮断された状態とされている。

 この状態からオールオフフェールとなると 第2クラッチアプライリレーバルブ22は、ソ ノイドバルブS1から出力された信号圧P S1 が油路h1,h3を介して油室22aに入力されること より右半位置に切換えられ、該入力ポート2 2eに入力された前進レンジ圧P D は、出力ポート22dより出力され、油路b2を介 て油圧サーボ41に入力されて、クラッチC-1 係合される。また、ノーマルオープンであ リニアソレノイドバルブSLC2から出力されたP SLC2 (係合圧P C2 )は、右半位置に切換えられた第2クラッチア ライリレーバルブ22の入力ポート22fによっ 遮断される。さらに、ノーマルオープンで るリニアソレノイドバルブSLC3は、入力ポー SLC3aに入力されたライン圧P L が略々そのまま係合圧P C3 として、出力ポートSLC3bより出力され、油路e 1を介して油圧サーボ43に入力されて、クラッ チC-3が係合される。これにより、上記クラッ チC-1と上記クラッチC-3とが係合されて前進3 段が達成され(図3参照)、つまり前進1速段か 前進3速段での走行時にオールオフフェール となった際は、前進3速段による走行状態が 保される。

 また、正常時の前進4速段から前進6速段で 走行時において、上述のようにクラッチC-2 係合圧P C2 が油路c1、第2クラッチアプライリレーバルブ 22、油路c2、C-2リレーバルブ23、油路c5を介し 第1クラッチアプライリレーバルブ21の油室2 1dに入力されており、スプール21p,21qが左半位 置にロックされているため、出力ポート21jよ り出力した前進レンジ圧P D は、油路jを介して、第2クラッチアプライリ ーバルブ22の入力ポート22hに入力され、左 位置にされた第2クラッチアプライリレーバ ブ22により遮断された状態とされている。

 この状態からオールオフフェールとなると 第2クラッチアプライリレーバルブ22は、ソ ノイドバルブS1から出力された信号圧P S1 が油路h1,h3を介して油室22aに入力されること より右半位置に切換えられ、また、ソレノ ドバルブS2がOFFとなってB-2リレーバルブ24は 切換えられずに左半位置に維持されることで 、油路h4が遮断されて油路h5にソレノイドバ ブS1の信号圧P S1 が出力されないため、C-2リレーバルブ23も切 えられずに左半位置に維持される。このた 、第2クラッチアプライリレーバルブ22の入 ポート22hに入力された前進レンジ圧P D は、出力ポート22gより出力され、油路c2、C-2 レーバルブ23、油路c3を介して油圧サーボ42 入力されて、クラッチC-2が係合される。ま 、ノーマルオープンであるリニアソレノイ バルブSLC2から出力されたP SLC2 (係合圧P C2 )は、右半位置に切換えられた第2クラッチア ライリレーバルブ22の入力ポート22fによっ 遮断されるが、上記油路c2に出力された前進 レンジ圧P D がC-2リレーバルブ23を介して油路c5にも出力 れ、第1クラッチアプライリレーバルブ21の 室21dに入力されるので、該第1クラッチアプ イリレーバルブ21は、引き続き左半位置に ックされる。そして、ノーマルオープンで るリニアソレノイドバルブSLC3は、入力ポー SLC3aに入力されたライン圧P L が略々そのまま係合圧P C3 として、出力ポートSLC3bより出力され、油路e 1を介して油圧サーボ43に入力されて、クラッ チC-3が係合される。これにより、上記クラッ チC-2と上記クラッチC-3とが係合されて前進5 段が達成され(図3参照)、つまり前進4速段か 前進6速段での走行時にオールオフフェール となった際は、前進5速段による走行状態が 保される。

 また、上記前進4速段から前進6速段での正 走行時にオールオフフェールとなった場合 おいて、車輌を停止させ、一旦、シフトレ ーをNレンジ位置にすると、不図示のマニュ ルシフトバルブは、前進レンジ圧P D を出力停止すると共にドレーンし、特にノー マルオープンであるリニアソレノイドバルブ SLC2と第1クラッチアプライリレーバルブ21の 力ポート21eとに対する前進レンジ圧P D がドレーンされる。すると、油路j,c2,c5を介 て入力されていた油室21dへの前進レンジ圧P D がドレーンされ、該前進レンジ圧P D によるロックが解除される。また、ノーマル オープンであるソレノイドバルブS1からは信 圧P S1 が引き続き出力されるため、第1クラッチア ライリレーバルブ21は、油室21aに入力される 信号圧P S1 によってスプール21p,21qが右半位置に切換え れる。

 なお、このオールオフフェール時におけるN レンジの状態では、ライン圧P L を元圧とし、かつノーマルオープンであるリ ニアソレノイドバルブSLC3から略々ライン圧P L と同圧の制御圧P SLC3 (係合圧P C3 )が出力されるので、クラッチC-3は係合状態 ある。また、クラッチC-3が係合されていて 、クラッチC-1,C-2及びブレーキB-1,B-2は解放状 態にあり、サンギヤS2に減速回転が入力され も、サンギヤS3及びキャリヤCR2が空転され ため、入力軸10とカウンタギヤ11との間は略 ニュートラル状態である(図2参照)。

 そして、例えば運転手により再びシフトレ ーがDレンジ位置にされると、マニュアルシ フトバルブから前進レンジ圧P D が出力され、該前進レンジ圧P D は、右半位置に切換えられた第1クラッチア ライリレーバルブ21の入力ポート21eに入力さ れると共に、出力ポート21iから油路k1に出力 れ、右半位置にある第2クラッチアプライリ レーバルブ22の入力ポート22e、出力ポート22d 油路b2を介してクラッチC-1の油圧サーボ41に 入力されて、該クラッチC-1が係合し、つまり 上記前進1速段から前進3速段での走行時にお るオールオフフェール時と同様の状態とな 、前進3速段が確保される。これにより、オ ールオフフェール後にあって一旦車輌を停車 した後でも車輌の再発進が可能となり、リン プホーム機能が確保される。

 [本発明の説明]
 つづいて、本発明に係る自動変速機の制御 置1について、主に図1、図6乃至図8に沿って 説明する。

 図1に示すように、本自動変速機の制御装 置1は、制御部(ECU)70を有しており、該制御部7 0は、アクセル開度センサ81、出力軸回転数( 速)センサ82などが接続されていると共に、 述した油圧制御装置6の各リニアソレノイド ルブSLC1,SLC2,SLC3,SLB1や、ソレノイドバルブS1, S2などに接続されている。該制御部70には、 常時油圧設定手段72を有する油圧指令手段71 入力トルク検出手段73、トルク分担判定手 74、変速判定手段75、変速マップmapが備えら ている。

 上記変速判定手段75は、アクセル開度セ サ81により検出されるアクセル開度と、出力 軸回転数センサ82により検出される車速とに づき変速マップmapを参照しつつ、上述の前 1速段~前進6速段を判定する。即ち、変速マ プmapには、アクセル開度と車速とに対応し アップシフト変速線及びダウンシフト変速 (変速点)が記録されており、その時点のア セル開度及び車速がそれら変速線を越える 、変速判定手段75が変速を判断する(図6のS2) そして、該変速判定手段75が判定した変速 は、油圧指令手段71及びトルク分担判定手段 74に出力される。

 一方、入力トルク検出手段73は、エンジン2 らのエンジントルク信号を入力することで エンジントルクを計測し(図6のS3)、現在自 変速機構5の入力軸10に入力されている入力 ルクを検出する。また、上記トルク分担判 手段74は、上記変速判定手段75により判定さ た変速段に基づき、自動変速機構5において 係合されているクラッチやブレーキ(図3参照) におけるトルク分担、即ち各ギヤ比(後述す 図8のλ 1 2 3 4 5 )に基づきクラッチやブレーキにおいて必要 される上記入力トルクに対する比率を判定( 出)する(図6のS4)。

 ついで、正常時油圧設定手段72は、上記 ルク分担判定手段74により判定された、変速 段に応じて係合中のクラッチやブレーキにお けるトルク分担に安全率(例えば1.1~1.3倍で、 部品のバラつき等に応じて設定される。)を 掛け(図6のS5)、さらに、その安全率を掛けた ルク分担の値と入力トルク検出手段73によ 検出された入力トルクとを掛けて係合中の ラッチやブレーキのトルク容量(伝達トルク) を算出し、各クラッチやブレーキの摩擦板の 枚数、面積、油圧サーボの受圧面積などから 、それら係合中のクラッチやブレーキの油圧 サーボに供給する係合圧(制御圧)を算出する( 図6のS6)。

 そして、油圧指令手段71は、上記正常時 圧設定手段72により設定された係合圧に基づ き、係合中のクラッチやブレーキの油圧サー ボに、その係合圧が供給されるように、上記 リニアソレノイドバルブSLC1,SLC2,SLC3,SLB1に電 指令を与え、つまり正常時における走行中 、入力トルクに安全率を加味したトルク容 となるようにクラッチやブレーキが係合さ 、特にエンジン2のエンジントルクが変動し り、道路状況などにより駆動車輪からトル 変動を受けたりしたとしても、クラッチや レーキに滑りが生じないように係合される

 つづいて、正常時の走行中に、解放中のク ッチやブレーキの油圧サーボに係合圧を供 するリニアソレノイドバルブSLC1,SLC2,SLC3,SLB1 の何れか1つが最高圧を出力する状態、つま ライン圧P L と同圧を出力する状態で故障した場合に、3 の摩擦係合要素が同時係合することで生じ トルク分担の変化について、例えば前進4速 の状態からクラッチC-3が係合してしまった 合(図7の第5フェールケースFa5)を一例として 説明する。

 例えば正常時の前進4速段における走行中は 、図3に示すように、クラッチC-1とクラッチC- 2とが係合されており、自動変速機構5におけ トルク作用の状態は、図8(a)に示すような状 態となる。
即ち、プラネタリギヤユニットPUにおける力 つり合い関係式は、
Tout=T C1 +T C2 ・・・(1)
であり、
プラネタリギヤユニットPUにおけるモーメン のつり合い関係式は、
T C2 ・λ3+T C1 ・(λ3+λ4+λ5)=Tout・(λ3+λ4)・・・(2)
である。

 なお、図8に示すように、λ1はサンギヤS1 キャリヤCR1との歯数比、λ2はキャリヤCR1と ングギヤR1との歯数比、λ3はサンギヤS2とキ ャリヤCR2との歯数比、λ4はキャリヤCR2とリン グギヤR2との歯数比、λ5はリングギヤR2とサ ギヤS3との歯数比である。

 ここで、例えばリニアソレノイドバルブSLC3 が制御圧P SLC3 をライン圧P L で出力する状態で故障したとすると、クラッ チC-1、クラッチC-2、クラッチC-3の同時係合が 生じる。この際、自動変速機構5においては トールしようとする力が生じ、その自動変 機構5を、エンジン2の駆動力で回そうとする 力と、駆動車輪のグリップ力(車輌の慣性力) 回そうとする力とが生じる。そこで、最悪 条件として、エンジン2の駆動力(即ち入力 ルク)が0であり、駆動車輪からのグリップ力 だけで自動変速機構5を回そうとする際のト ク作用の状態は、図8(b)に示すような状態と る。
即ち、力のつり合い関係式は、
Tout+T C2 =T C1 +T C3 ・・・(3)
であり、
プラネタリギヤSPにおけるモーメントのつり い関係式は、
(T C1 +T C3 )・λ1=T C2 ・(λ1+λ2)・・・(4)
であり、
プラネタリギヤユニットPUにおけるモーメン のつり合い関係式は、
T C3 ・λ3=Tout・λ4-T C1 ・(λ4+λ5)・・・(5)
である。

 なお、入力トルクが0であると仮定してい るため、クラッチC-2のトルク作用は、駆動車 輪から回される力に対する反作用として、そ の方向が逆となる。

 上記数式(3)、(4)、(5)からクラッチC-1のトル 容量T C1 を出力軸トルクToutに換算した値、クラッチC- 2のトルク容量T C2 を出力軸トルクToutに換算した値、クラッチC- 3のトルク容量T C3 を出力軸トルクToutに換算した値、をそれぞ 求めることができる。
即ち、数式(4)に数式(3)を代入することにより 、
(Tout+T C2 )・λ1=T C2 ・(λ1+λ2)
となり、
T C2 =(λ1/λ2)・Tout・・・(6)
となる。
また、数式(5)は、
T C1 ・(λ4+λ5)=Tout・λ4-T C3 ・λ3
T C1 =(Tout・λ4-T C3 ・λ3)/(λ4+λ5)・・・(5’)
であり、
数式(3)に数式(5’)と数式(6)とを代入すること により、
Tout+(λ1/λ2)・Tout=(Tout・λ4-T C3 ・λ3)/(λ4+λ5)+T C3
T C3 =[(λ1・λ5+λ2・λ5+λ1・λ4)/{λ2・(λ4+λ5-λ3)}]・T out・・・(7)
となる。
そして、数式(3)に数式(6)と数式(7)とを代入す ることにより、
T C1 =Tout+(λ1/λ2)・Tout-[(λ1・λ5+λ2・λ5+λ1・λ4)/{λ2 ・(λ4+λ5-λ3)}]・Tout
T C1 =[1+(λ1/λ2)-(λ1・λ5+λ2・λ5+λ1・λ4)/{λ2・(λ4+λ 5-λ3)}]・Tout・・・(8)
となる。

 ここで、例えば前進4速段にあってエンジン トルクが最高値であったとして(入力トルク 最高値であったとして)、クラッチC-1の正常 のトルク容量に安全率を掛けた値をT C1 、クラッチC-2の正常時のトルク容量に安全率 を掛けた値をT C2 、クラッチC-3の油圧サーボ43にライン圧P L が供給された場合のトルク容量の値をT C3 、として上記数式(6)、(7)、(8)に上記歯数比λ1 ,λ2,λ3,λ4,λ5と共に代入すると、最悪の条件 故障が生じた際における各クラッチC-1,C-2,C-3 のトルク容量を出力軸トルクに換算した値が 算出できる。

 この算出結果は図7に示す第5フェールケー Fa5であり、つまり前進4速段のエンジン2のス ロットル全開で走行中に、リニアソレノイド バルブSLC3が故障してクラッチC-3がライン圧P L にて係合してしまい、かつアクセルが解放さ れてエンジントルク(入力トルク)が0となった 最悪条件であっても、クラッチC-1の出力軸ト ルクに対する換算値と、クラッチC-2の出力軸 トルクに対する換算値とが、駆動車輪がスリ ップする限界トルクTtire未満となる。

 このため、最も出力軸トルクに対する換 値が小さくなるクラッチC-1(言い換えると、 出力軸(駆動車輪)から受けるトルクが最も大 くなるクラッチC-1)は、駆動車輪がスリップ することなく、駆動車輪から受ける車輌の慣 性力に基づき滑らされることになり、3つの ラッチC-1,C-2,C-3が同時係合することなく、ク ラッチC-2,C-3が係合した状態、つまり前進5速 の状態となって、ストール状態になること く、走行状態が確保される。

 即ち、正常時の前進4速段において、クラッ チC-1,C-2をライン圧P L で係合してしまうのではなく、正常時油圧設 定手段72よって、入力トルクによって滑らな ように安全率を加味した、できるだけ低い 圧である係合圧P C1 ,P C2 で係合しておくようにすることで、故障時に クラッチC-3が係合されてトルク分担が変更さ れたことに基づき、故障時にあってもクラッ チC-1が滑るように設定されていることになり 、これにより、故障が生じてもストール状態 の防止が可能とされている。

 以上の説明においては、前進4速段におい て故障によりクラッチC-3が係合されたケース である第5フェールケースFa5を一例に説明し が、考えられる全ての故障のケースである 1フェールケースFa1~第4フェールケースFa4、 6フェールケースFa6~第10フェールケースFa10に おいても、同様にトルク分担を計算すること で、図7に示す状態となる。

 即ち、前進2速段において上記最悪の条件 におけるリニアソレノイドバルブSLC2の故障 よりクラッチC-2が係合されたケースである 1フェールケースFa1では、故障によってトル 分担が変更されることに基づき、ブレーキB -1の出力軸トルクに対する換算値が駆動車輪 スリップする限界トルクTtire未満となり、 ラッチC-1,C-2が係合した状態、つまり前進4速 段の状態となって、ストール状態になること なく、走行状態が確保される。

 また、前進2速段において上記最悪の条件 におけるリニアソレノイドバルブSLC3の故障 よりクラッチC-3が係合されたケースである 2フェールケースFa2では、故障によってトル 分担が変更されることに基づき、ブレーキB -1の出力軸トルクに対する換算値が駆動車輪 スリップする限界トルクTtire未満となり、 ラッチC-1,C-3が係合した状態、つまり前進3速 段の状態となって、ストール状態になること なく、走行状態が確保される。

 また、前進3速段において上記最悪の条件 におけるリニアソレノイドバルブSLC2の故障 よりクラッチC-2が係合されたケースである 3フェールケースFa3では、故障によってトル 分担が変更されることに基づき、クラッチC -3の出力軸トルクに対する換算値が駆動車輪 スリップする限界トルクTtire未満となり、 ラッチC-1,C-2が係合した状態、つまり前進4速 段の状態となって、ストール状態になること なく、走行状態が確保される。

 また、前進3速段において上記最悪の条件に おけるリニアソレノイドバルブSLB1の故障に りブレーキB-1が係合されたケースである第4 ェールケースFa4では、故障によってトルク 担が変更されることに基づき、ブレーキB-1 出力軸トルクに対する換算値が駆動車輪が リップする限界トルクTtire未満となり、ク ッチC-1,C-3が係合した状態、つまり前進3速段 の状態となって、ストール状態になることな く、走行状態が確保される。なお、この第4 ェールケースFa4では、ブレーキB-1の油圧サ ボ44にライン圧P L が供給されることになるが、上述したように ブレーキB-1のブレーキバンドの巻付き方向が ドラム状部材18の回転方向とは逆であって、 まり駆動車輪の回転によってブレーキB-1が む方向に回されることが相俟って、ブレー B-1の出力軸トルクに対する換算値が特に小 くなる。

 また、前進4速段において上記最悪の条件 におけるリニアソレノイドバルブSLB1の故障 よりブレーキB-1が係合されたケースである 6フェールケースFa6では、故障によってトル 分担が変更されることに基づき、クラッチC -1の出力軸トルクに対する換算値が駆動車輪 スリップする限界トルクTtire未満となり、 ラッチC-2,ブレーキB-1が係合した状態、つま 前進6速段の状態となって、ストール状態に なることなく、走行状態が確保される。

 また、前進5速段において上記最悪の条件 におけるリニアソレノイドバルブSLC1の故障 よりクラッチC-1が係合されたケースである 7フェールケースFa7では、故障によってトル 分担が変更されることに基づき、クラッチC -3の出力軸トルクに対する換算値が駆動車輪 スリップする限界トルクTtire未満となり、 ラッチC-1,C-2が係合した状態、つまり前進4速 段の状態となって、ストール状態になること なく、走行状態が確保される。

 また、前進5速段において上記最悪の条件 におけるリニアソレノイドバルブSLB1の故障 よりブレーキB-1が係合されたケースである 8フェールケースFa8では、故障によってトル 分担が変更されることに基づき、クラッチC -3の出力軸トルクに対する換算値が駆動車輪 スリップする限界トルクTtire未満となり、 ラッチC-2,ブレーキB-1が係合した状態、つま 前進6速段の状態となって、ストール状態に なることなく、走行状態が確保される。

 また、前進6速段において上記最悪の条件 におけるリニアソレノイドバルブSLC1の故障 よりクラッチC-1が係合されたケースである 9フェールケースFa9では、故障によってトル 分担が変更されることに基づき、ブレーキB -1の出力軸トルクに対する換算値が駆動車輪 スリップする限界トルクTtire未満となり、 ラッチC-1,C-2が係合した状態、つまり前進4速 段の状態となって、ストール状態になること なく、走行状態が確保される。

 そして、前進6速段において上記最悪の条 件におけるリニアソレノイドバルブSLC3の故 によりクラッチC-3が係合されたケースであ 第10フェールケースFa10では、故障によって ルク分担が変更されることに基づき、ブレ キB-1の出力軸トルクに対する換算値が駆動 輪がスリップする限界トルクTtire未満となり 、クラッチC-2,C-3が係合した状態、つまり前 5速段の状態となって、ストール状態になる となく、走行状態が確保される。

 なお、上述したようにブレーキB-2に供給す 係合圧P B2 は、リニアソレノイドバルブSLC2の制御圧P SLC2 であり、C-2リレーバルブ23により切換えて油 サーボ45に供給するため、リニアソレノイ バルブSLC2が故障した場合は油圧サーボ42に 御圧P SLC2 が供給されるので、つまり故障によりブレー キB2が係合してしまうことはありえない。ま 、前進1速段において、他のクラッチC-2,C-3 ブレーキB-1が係合されても、変速段が変わ だけで、3つの摩擦係合要素の同時係合は生 ない。このため、上述した第1~第10フェール ケースFa1~Fa10が、1本のリニアソレノイドバル ブが故障するシングルフェールとして起こり 得る全ての状態である。

 また、以上説明したように第1~第10フェー ルケースFa1~Fa10が生じたとしても、第9フェー ルケースFa9にて前進6速段から前進4速段とな 2段のダウンシフトが生じるだけであって、 他のフェールケースでは、アップシフト、或 いは1段のダウンシフトが生じるだけである め、特に故障によって車輌の走行安定性に きな影響を与える虞もない。

 以上説明したように、本発明によると、正 時油圧設定手段72により、2つの摩擦係合要 (クラッチ、ブレーキ)の係合により変速段 形成している状態で、それら2つの摩擦係合 素に滑りが生じないように、かつそれら2つ の摩擦係合要素の係合中に別の摩擦係合要素 がライン圧P L に基づき係合したとしても、それら3つの摩 係合要素のうちの1つに滑りが生じるように 2つの摩擦係合要素における係合圧が設定さ れるので、2つの摩擦係合要素の係合による 速段で走行している状態では、摩擦係合要 に滑りを生じることなく、駆動源と駆動車 との間のトルク伝達を行うことができるも でありながら、別の摩擦係合要素が係合さ た際には、3つのうちの1つの摩擦係合要素が 滑らされることで、走行状態を確保すること ができる。これにより、カットオフバルブを 設けることを不要とすることができ、油圧制 御装置のコンパクト化、軽量化、コストダウ ンを図ることができる。

 また、正常時油圧設定手段72が、変速段 形成する2つの摩擦係合要素のトルク容量が 算出された2つの摩擦係合要素の伝達トルク に安全率を加味したトルク容量となるように 係合圧をそれぞれ設定するので、それら2つ 摩擦係合要素の係合による変速段で走行し いる状態でトルク変動があったとしても、2 の摩擦係合要素に確実に滑りが生じないよ にすることができる。

 更に、3つの摩擦係合要素のうちの1つは 輌の慣性力により滑らされるので、特にエ ジン等を特別に制御することなく、それら3 の摩擦係合要素のうちの1つを確実に滑らせ ることができる。

 具体的には、2つの摩擦係合要素の係合中 に別の摩擦係合要素が係合した際に、3つの 擦係合要素におけるトルク分担が変わり、3 の摩擦係合要素のうちの1つが駆動車輪がス リップする限界トルクTtire未満となることで 該1つの摩擦係合要素に滑りが生じるので、 それら3つの摩擦係合要素のうちの1つを確実 滑らせることができる。

 また、自動変速機構は、2つの摩擦係合要 素の係合中に別の摩擦係合要素が係合し、そ れら3つの摩擦係合要素のうちの1つに滑りが じた際、いずれかの変速段となるので、走 状態を確保することができる。

 特に本自動変速機構5の構成にあっては、前 進2速段から前進6速段までにおいて、2つの摩 擦係合要素(クラッチやブレーキ)が係合され いる状態から、別の摩擦係合要素が、油圧 ーボにライン圧P L が供給される状態となっても、3つの摩擦係 要素の同時係合によって、それら3つの摩擦 合要素におけるトルク分担が変わることで 出力軸トルクに換算してトルク分担が最も さくなる(最も駆動車輪から受けるトルクが 大きくなる)摩擦係合要素が、駆動車輪に対 るトルク容量として車輌の慣性力未満とな て(駆動車輪から受けるトルクが正常時の油 設定によるトルク容量を上回って)、滑るよ うに構成することができ、それにより、走行 状態を確保することができる。また、前進1 段は、クラッチC-1の係合とワンウェイクラ チF-1の係止とにより達成されるので、別の 擦係合要素が係合されても、いずれかの変 段に移行するだけであって、走行状態を確 することができる。

 また、ブレーキB-1がバンドブレーキからな 、該バンドブレーキが、前進2速段から前進 6速段におけるドラム状部材18の回転方向が、 ブレーキバンド19の巻付き方向と逆方向にな ように配設されているので、ブレーキB-1の 圧サーボ44にライン圧P L が供給されたとしても、該ブレーキB-1は車輌 の慣性力によって滑り易いように構成するこ とができ、それによって、特に本自動変速機 構5の構成にあっては、何れの変速段の状態 ら別の摩擦係合要素が係合されたとしても 必ず1つの摩擦係合要素に滑りが生じるよう 構成することを可能とすることができる。

 さらに本油圧制御装置6のように、リニアソ レノイドバルブSLC1,SLC2,SLC3,SLB1が、それぞれ 油圧サーボ41,42,43,44に対応する形で係合圧P C1 ,P C2 ,P C3 ,P B1 として制御圧P SLC1 ,P SLC2 ,P SLC3 ,P SLB1 を供給する構成にすることで、各摩擦係合要 素のトルク容量(油圧設定)を個別に設定する とができ、それぞれの摩擦係合要素のトル 容量を、2つの摩擦係合要素により変速段を 形成している際には滑らず、かつ別の摩擦係 合要素が係合された際には何れか1つが滑る うに設定することを可能とすることができ 。

 また、ブレーキB-2が、ワンウェイクラッチF -1と並列配置され、前進1速段のコースト時に キャリヤCR2の回転を固定するブレーキからな り、リニアソレノイドバルブSLC2が調圧した 御圧P SLC2 を、C-2リレーバルブ23によりクラッチC-2の油 サーボ42とブレーキB-2の油圧サーボ45とに切 換えて供給する構成であるので、特に前進1 段のコースト時におけるブレーキB-2のトル 容量は小さくて足り、また、前進1速段のコ スト以外の変速段にあってはリニアソレノ ドバルブSLC2が制御圧P SLC2 を出力したとしてもブレーキB-2が係合するこ とがないため、何れの変速段の状態から別の 摩擦係合要素が係合されたとしても、必ず1 の摩擦係合要素に滑りが生じるように構成 ることを可能とすることができる。

 なお、以上説明した本実施の形態にあっ は、正常時に係合する摩擦係合要素の油圧 設定する際、トルク分担及び入力トルクに づくトルク容量に安全率を掛けた値のトル 容量となるように設定しているが、この安 率は駆動源(エンジン)の出力性能や駆動車 のグリップ性能等を考慮して、適宜な値に 定されるべきものであり、つまり、変速段 形成する2つの摩擦係合要素に滑りが生じな ように、かつ別の摩擦係合要素が係合され 際にいずれかの摩擦係合要素が滑るように 正常時の油圧設定が行われるのであれば、 全率はどのような値であってもよく、さら は、正常時の油圧設定の算出手法としても どのような手法を用いてもよい。

 また、以上説明した本実施の形態の自動 速機3は、前進6速段を達成し得るものを一 として説明したが、勿論、これに限るもの はなく、上述のような正常時の油圧設定に って、2つの摩擦係合要素により変速段を形 している際にはそれら2つの摩擦係合要素が 滑らずに、別の摩擦係合要素が係合された際 には3つのうちの1つの摩擦係合要素が滑って 時係合が防止できるような自動変速機であ ば、どのような自動変速機であっても本発 を適用し得る。

 本発明に係る自動変速機の制御装置は、 用車、トラック、バス、農機等に搭載され 自動変速機に用いることが可能であり、特 3つの摩擦係合要素が同時係合しても走行状 態を確保することができ、かつコンパクト化 、軽量化、コストダウンが要求されるものに 用いて好適である。