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Title:
CONTROLLER FOR LIMITED SLIP DIFFERENTIAL DEVICES FOR VEHICLES
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/093535
Kind Code:
A1
Abstract:
A limited slip differential device for preferably limiting the deflection of the vehicle when differential slip limiting torques to the left and right driven wheels are given when the vehicle is started to travel and during the traveling. A controller for limited slip differential devices comprises differential slip limiting torque computing means (60) for computing a differential slip limiting torque ΔT from an amount of state of the vehicle, differential slip limiting torque upper limit guard value computing means (62) for computing a differential slip limiting torque upper limit guard value ΔTL from the predetermined deflection allowable yaw rate and the actual yaw rate of the vehicle, and upper limit guard processing means (72) for limiting the computed differential slip limiting torque ΔT by using the computed differential slip limiting torque upper limit guard value ΔTL so as to obtain the differential slip limiting torques ΔT given to the left and right driven wheels. Therefore, since an optimum differential slip limiting torque upper limit guard value ΔTL depending on the differential slip state is thus obtained, differential slip limiting torques ΔT corresponding to the road surface state are given, and the deflection of the vehicle is preferably suppressed.

Inventors:
OKAMOTO DAISUKE (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/050388
Publication Date:
August 07, 2008
Filing Date:
January 16, 2008
Export Citation:
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Assignee:
TOYOTA MOTOR CO LTD (JP)
OKAMOTO DAISUKE (JP)
International Classes:
F16H48/30; B60K23/04
Foreign References:
JPH06206458A1994-07-26
JPH05262156A1993-10-12
JPH01156139A1989-06-19
JP2002211379A2002-07-31
JP2001287561A2001-10-16
JPH082277A1996-01-09
US5685386A1997-11-11
US20040163856A12004-08-26
Other References:
See also references of EP 2116410A4
Attorney, Agent or Firm:
IKEDA, Haruyuki (Nagoya-Dia. Bldg. No.215-1, Meieki 3-chome, Nakamura-k, Nagoya-shi Aichi 02, JP)
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Claims:
 車両の差動歯車装置によって許容される左右の駆動輪の差動作用を制限するための差動制限トルクを該左右の駆動輪に付与する車両用差動制限装置の制御装置であって、
 車両の状態量に基づいて前記差動制限トルクを算出する差動制限トルク算出手段と、
 予め設定された偏向許容ヨーレイトと車両の実ヨーレイトとに基づいて差動制限トルク上限ガード値を算出する差動制限トルク上限ガード値算出手段と、
 前記左右の駆動輪に付与される差動制限トルクを得るために、該差動制限トルク上限ガード値算出手段により算出された差動制限トルク上限ガード値を用いて前記差動制限トルク算出手段により算出された差動制限トルクを制限する上限ガード処理手段と
 を、含むことを特徴とする車両用差動制限装置の制御装置。
 前記差動制限トルク上限ガード値算出手段は、前記車両の実ヨーレイトと前記予め設定された偏向許容ヨーレイトとの差が小さくなるように前記差動制限トルク上限ガード値を算出することを特徴とする請求項1に記載の車両用差動制限装置の制御装置。
 前記差動制限トルク上限ガード値算出手段は、前記車両の実ヨーレイトが前記偏向許容ヨーレイトよりも低い場合は前記差動制限トルク上限ガード値を増加させることを特徴とする請求項2に記載の車両用差動制限装置の制御装置。
 前記差動制限トルク上限ガード値算出手段は、前記車両の実ヨーレイトが前記偏向許容ヨーレイトよりも高い場合は前記差動制限トルク上限ガード値を減少させることを特徴とする請求項2または3に記載の車両用差動制限装置の制御装置。
 前記差動制限トルク上限ガード値算出手段は、前記車両の舵角に応じて前記偏向許容ヨーレイトを変更することを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の車両用差動制限装置の制御装置。
 前記差動制限トルク上限ガード値算出手段は、前記車両に入力される入力モーメントと該車両の操舵角とを入力とし且つ計算ヨーレイトを出力とする車両の運動方程式を解いて得られた数式モデルに、オブサーバが実際のヨーレイトと前記計算ヨーレイトとの偏差に基づく状態量の推定値を付与して得られる逆モデルを用い、前記計算ヨーレイトとしての前記変更許容ヨーレイトを実現するために必要なモーメントを算出し、該必要なモーメントに基づいて該必要なモーメントを発生するために必要な前記左右の駆動輪のトルク差を前記差動制限トルク上限ガード値として算出することを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の車両用差動制限装置の制御装置。
 前記左右の駆動輪に前記差動制限トルクを付与すると前記駆動輪がスリップ傾向となることを判定するスリップ傾向判定手段と、
 該スリップ傾向判定手段により前記差動制限トルクを付与すると前記駆動輪がスリップ傾向となることが判定されると、前記左右の駆動輪に付与される差動制限トルクを、前記スリップ傾向を抑制するために予め設定された最小差動制限トルクとするスリップ抑制手段と
 を、含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかの車両用差動制限装置の制御装置。
Description:
車両用差動制限装置の制御装置

 本発明は、車両の差動歯車装置により差 が許容される左右の駆動輪の差動を制限す ための差動制限トルクをその左右の駆動輪 付与する車両用差動制限装置の制御装置に するものである。

 駆動源により発生させられる駆動力を左右 駆動輪に分配するとともにそれら左右の駆 輪の差動を許容する車両の差動歯車装置に いて、その差動作用を制限するための差動 限トルクを左右の駆動輪に付与する差動制 装置が知られている。例えば特許文献1の車 両用差動制限装置がそれである。この差動制 限装置によれば、駆動源から伝達された駆動 力を差動歯車装置によって左右の駆動輪の差 動を許容しつつそれら左右の駆動輪へ配分す るとき、それら左右の駆動輪の回転差やアク セル開度に基づいて差動制限トルクがそれぞ れ決定され、車速等の車両状態に応じてその 差動制限トルクが左右の駆動輪に付与される ようになっている。このようにすれば、低μ 側の駆動輪の空転が抑制され、駆動源の出 が効率よく駆動輪に伝達されるとともに、 い発進、加速応答性能が得られる。

特開平8-002277号公報

 ところで、上記差動制限装置によって差 制限トルクが左右の駆動輪に付与されると それら左右の駆動輪に発生するトルク差に づいて車両の重心まわりのモーメントが発 し、車両が過剰に偏向する可能性があった 特に、左右の駆動輪が接地する路面の摩擦 数μが相互に異なる異μ路或いはまたぎ路で ある車両の発進走行の場合には、左右の駆動 輪のタイヤ摩擦円(タイヤの接地中心点から 方向に限界摩擦力の大きさを示す円)が相違 るため、上記差動制限トルクに基づいて発 する左右の駆動輪のトルク差に起因して車 が偏向し易くなるという不都合があった。

 本発明は、以上の事情を背景として為さ たものであり、その目的とするところは、 両の発進時や走行時において、左右の駆動 に差動制限トルクを付与するとき車両の偏 の発生を好適に抑制することが可能な車両 差動制限装置を提供することにある。

 かかる目的を達成するための請求項1に係 る発明の要旨とするところは、(a) 車両の差 歯車装置によって許容される左右の駆動輪 差動作用を制限するための差動制限トルク その左右の駆動輪に付与する車両用差動制 装置の制御装置であって、(b) 車両の状態 に基づいて前記差動制限トルクを算出する 動制限トルク算出手段と、(c) 予め設定され た偏向許容ヨーレイトと車両の実ヨーレイト とに基づいて差動制限トルク上限ガード値を 算出する差動制限トルク上限ガード値算出手 段と、(d) 前記左右の駆動輪に付与される差 制限トルクを得るために、その差動制限ト ク上限ガード値算出手段により算出された 動制限トルク上限ガード値を用いて前記差 制限トルク算出手段により算出された差動 限トルクを制限する上限ガード処理手段と 、含むことを特徴とする。

 また、請求項2にかかる発明は、請求項1 かかる発明において、前記差動制限トルク 限ガード値算出手段は、前記車両の実ヨー イトと前記予め設定された偏向許容ヨーレ トとの差が小さくなるように前記差動制限 ルク上限ガード値を算出することを特徴と る。

 また、請求項3にかかる発明は、請求項2 かかる発明において、前記差動制限トルク 限ガード値算出手段は、前記車両の実ヨー イトが前記偏向許容ヨーレイトよりも低い 合は前記差動制限トルク上限ガード値を増 させることを特徴とする。

 また、請求項4にかかる発明は、請求項2 たは3にかかる発明において、前記差動制限 ルク上限ガード値算出手段は、前記車両の ヨーレイトが前記偏向許容ヨーレイトより 高い場合は前記差動制限トルク上限ガード を減少させることを特徴とする。

 また、請求項5にかかる発明は、請求項2 至4のいずれかにかかる発明において、前記 動制限トルク上限ガード値算出手段は、前 車両の舵角に応じて前記偏向許容ヨーレイ を変更することを特徴とする。

 また、請求項6にかかる発明は、請求項2 至5のいずれかにかかる発明において、前記 動制限トルク上限ガード値算出手段は、前 車両に入力される入力モーメントとその車 の操舵角とを入力とし且つ計算ヨーレイト 出力とする車両の運動方程式を解いて得ら た数式モデルに、オブサーバが実際のヨー イトと前記計算ヨーレイトとの偏差に基づ 状態量の推定値を付与して得られる逆モデ を用い、前記計算ヨーレイトとしての前記 更許容ヨーレイトを実現するために必要な ーメントを算出し、その必要なモーメント 基づいてその必要なモーメントを発生する めに必要な前記左右の駆動輪のトルク差を 記差動制限トルク上限ガード値として算出 ることを特徴とする。

 また、請求項7にかかる発明は、請求項1 至6のいずれかにかかる発明において、(a)  記左右の駆動輪に前記差動制限トルクを付 するとその駆動輪がスリップ傾向となるこ を判定するスリップ傾向判定手段と、(b) そ のスリップ傾向判定手段により前記差動制限 トルクを付与すると前記駆動輪がスリップ傾 向となることが判定されると、前記左右の駆 動輪に付与される差動制限トルクを、前記ス リップ傾向を抑制するために予め設定された 最小差動制限トルクとするスリップ抑制手段 とを、含むことを特徴とする。

 請求項1にかかる発明の車両用差動制限装 置の制御装置によれば、(a) 車両の差動歯車 置によって許容される左右の駆動輪の差動 用を制限するための差動制限トルクをそれ 左右の駆動輪に付与する車両用差動制限装 の制御装置であって、(b) 車両の状態量に づいて前記差動制限トルクを算出する差動 限トルク算出手段と、(c) 予め設定された偏 向許容ヨーレイトと車両の実ヨーレイトとに 基づいて差動制限トルク上限ガード値を算出 する差動制限トルク上限ガード値算出手段と 、(d) 前記左右の駆動輪に付与される差動制 トルクを得るために、その差動制限トルク 限ガード値算出手段により算出された差動 限トルク上限ガード値を用いて前記差動制 トルク算出手段により算出された差動制限 ルクを制限する上限ガード処理手段とを、 むことから、差動状態に応じた最適な差動 限トルク上限ガード値が得られるので、路 状況に応じた差動制限トルクが付与され、 両の偏向が好適に抑制される。

 また、請求項2にかかる発明の車両用差動 制限装置の制御装置によれば、前記差動制限 トルク上限ガード値算出手段は、前記車両の 実ヨーレイトと前記予め設定された偏向許容 ヨーレイトとの差が小さくなるように前記差 動制限トルク上限ガード値を算出することか ら、車両の偏向が抑制されかつ駆動力を得る ように、差動制限トルク上限ガード値が必要 かつ十分な適切な値に算出される。

 また、請求項3にかかる発明の車両用差動 制限装置の制御装置によれば、前記差動制限 トルク上限ガード値算出手段は、前記車両の 実ヨーレイトが前記偏向許容ヨーレイトより も低い場合は前記差動制限トルク上限ガード 値を増加させることから、左右の駆動輪に付 与される差動制限トルクの制限が緩和される ので、車両の実際のヨーレイトが偏向許容ヨ ーレイトに近接させられ、路面状態に拘わら ず、偏向を生じさせない走行が可能となる。

 また、請求項4にかかる発明の車両用差動 制限装置の制御装置によれば、前記差動制限 トルク上限ガード値算出手段は、前記車両の 実ヨーレイトが前記偏向許容ヨーレイトより も高い場合は前記差動制限トルク上限ガード 値を減少させることから、左右の駆動輪に付 与される差動制限トルクの制限が強化される ので、車両の実際のヨーレイトが偏向許容ヨ ーレイトを超えることが防止され、路面状態 に拘わらず、偏向を生じさせない走行が可能 となる。

 また、請求項5にかかる発明の車両用差動 制限装置の制御装置によれば、前記差動制限 トルク上限ガード値算出手段は、前記車両の 舵角に応じて前記偏向許容ヨーレイトを変更 することから、差動制限トルク上限ガード値 が一定値に設定される場合に比較して、搭乗 者が車両の偏向を感じないように、車両の舵 角すなわち旋回程度に応じて必要かつ十分な 適切な値に設定される。

 また、請求項6にかかる発明の車両用差動 制限装置の制御装置によれば、前記差動制限 トルク上限ガード値算出手段は、前記車両に 入力される入力モーメントとその車両の操舵 角とを入力とし且つ計算ヨーレイトを出力と する車両の運動方程式を解いて得られた数式 モデルに、オブサーバが実際のヨーレイトと 前記計算ヨーレイトとの偏差に基づく状態量 の推定値を付与して得られる逆モデルを用い 、前記計算ヨーレイトとしての前記変更許容 ヨーレイトを実現するために必要なモーメン トを算出し、その必要なモーメントに基づい てその必要なモーメントを発生するために必 要な前記左右の駆動輪のトルク差を前記差動 制限トルク上限ガード値として算出するもの であることから、逐次、実際のヨーレイトと 前記計算ヨーレイトとの偏差に基づく状態量 で逆モデルが補正されるので、路面状況によ る車両走行状態に応じた最適な差動制限トル ク上限ガード値が得られ、たとえば車両発進 時のトラクションと車両の偏向防止との両立 が可能となる。

 また、請求項7にかかる発明の車両用差動 制限装置の制御装置によれば、(a) 前記左右 駆動輪に前記差動制限トルクを付与すると の駆動輪がスリップ傾向となることを判定 るスリップ傾向判定手段と、(b) そのスリ プ傾向判定手段により前記差動制限トルク 付与すると前記駆動輪がスリップ傾向とな ことが判定されると、前記左右の駆動輪に 与される差動制限トルクを前記スリップ傾 を抑制するために予め設定された最小差動 限トルクとするスリップ抑制手段とを、含 ので、差動制限トルクの付与によってスリ プ傾向が発生するためにかえって逆効果と る場合には、その差動制限トルクが予め設 された最小差動制限トルクとされて、その リップ傾向が抑制される。

本発明の差動制限装置の制御装置が適 される車両の駆動力伝達装置の構成を説明 る図である。 本発明の一実施例である差動制限装置 含む後輪用差動歯車装置の構成を説明する 子図である。 図1の電子制御装置の制御機能の要部を 説明する機能ブロック線図である。 図3の差動制限トルク上限値算出手段の 構成例を説明する図である。 図4の車両モーメント算出手段を構成す る車両モデルを説明する図である。 左駆動輪が低μ路面に接地し右駆動輪 高μ路面に接地した状態で発進走行する状態 で差動制限トルクが左右の駆動輪に付与され たときに車両に発生するモーメントを説明す る図である。 左駆動輪が低μ路面に接地し右駆動輪 高μ路面に接地した状態で発進走行する状態 で差動制限トルクが左右の駆動輪に付与され たときであって、実ヨーレイトが偏向許容ヨ ーレイト以下の場合を示す図である。 左駆動輪が低μ路面に接地し右駆動輪 高μ路面に接地した状態で発進走行する状態 で差動制限トルクが左右の駆動輪に付与され たときであって、実ヨーレイトが偏向許容ヨ ーレイト以上の場合を示す図である。 図1の電子制御装置の制御作動の要部を 説明するフローチャートである。

符号の説明

26:後輪用差動歯車装置( 差動歯車装置)  
30l、30r:後輪( 駆動輪) 
36: 電子制御装置(制御装置)
60:差動制限トルク算出手段
62:差動制限トルク上限ガード値算出手段
64:車両モーメント算出手段
66:上限ガード値算出手段
72:上限ガード処理手段
76:スリップ傾向判定手段
78:スリップ抑制手段
C1:第1クラッチ( 差動制限装置) 
C2:第2クラッチ( 差動制限装置) 

 以下、本発明の実施例を図面を参照しつ 詳細に説明する。

 図1は、本発明が好適に適用される駆動力 伝達装置10を有する前後輪駆動車両の構成を 明する骨子図である。この図1において、駆 動力源であるエンジン12により発生させられ 駆動力(駆動トルク)は、自動変速機14、前輪 用差動歯車装置16、及び左右1対の前輪車軸18l 、18rを介して左右1対の前輪20l、20rへ伝達さ る一方、中央差動歯車装置(センターデフ)22 駆動力伝達軸であるプロペラシャフト24、 輪用差動歯車装置26、及び左右1対の後輪車 28l、28rを介して、左右1対の後輪30l、30rへ伝 される。ここで、図1に示すように、本実施 例の駆動力伝達装置10では、上記後輪用差動 車装置26による駆動力の配分に係る駆動輪 しての後輪30の回転軸と上記プロペラシャフ ト24の回転軸とが相互に直交するように配設 れている。

 上記駆動力伝達装置10には、後輪用差動 車装置26を制御するために供給される油圧等 を制御する油圧回路34と、その油圧回路34に えられた図示しない電磁制御弁等を介して の油圧回路34から後輪用差動歯車装置26内に 給される油圧等を制御する電子制御装置36 が、設けられている。

 上記エンジン12は、例えば、吸気管内或 は気筒内へ供給或いは噴射される燃料の燃 によって駆動力を発生させるガソリンエン ン或いはディーゼルエンジン等の内燃機関 ある。また、上記自動変速機14は、例えば、 上記エンジン12から入力される回転を所定の 速比γで減速或いは増速して出力する有段 の自動変速機(オートマチックトランスミッ ョン)であり、前進変速段、後進変速段、及 びニュートラルのうち何れかが選択的に成立 させられ、それぞれの変速比γに応じた速度 換が成される。なお、この自動変速機14の 力軸は、図示しないトルクコンバータ等を して上記エンジン12の出力軸に連結されてい る。

 前記電子制御装置36は、CPU、ROM、RAM、及び 出力インターフェイス等を含んで構成され RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記 されたプログラムに従って信号処理を実行 る所謂マイクロコンピュータを含み、例え 、前記油圧回路34に備えられた電磁制御弁に 供給される電流の指令値を制御することによ り後輪用差動歯車装置26に備えられた後述す クラッチC1およびC2へ供給されるその油圧を 制御することで、後述する左右輪トルク差制 御や差動制限制御等を実行する。また、前記 動力伝達装置10には、車速に対応する前記後 30の実際の回転速度を検出する車輪速セン 、前記自動変速機14の変速段を検出するシフ ト段センサ、アクセルペダルの操作量である アクセル開度θ ACC  を検出するアクセルセンサ、前記エンジン12 給排気管内に設けられた図示しないスロッ ル弁の実際の開度を検出するスロットルセ サ、そのエンジン12の実際の回転速度を検 するエンジン回転速度センサ、左右の前輪20 l、20r、左右の後輪30l、30rの実際の回転速度 それぞれ検出する車輪回転速度センサ、ス アリングホイールによる舵角θ SW を検出する舵角センサ、および前後Gを検出 る前後Gセンサ等が設けられており、それぞ のセンサから車速を表す信号、シフト段を す信号、スロットル開度を表す信号、エン ン回転速度を表す信号、各車輪の回転速度 表す信号、ステアリングホイールによる舵 θ SW を表す信号、及び前後加速度を表す信号等が 前記電子制御装置36へ供給されるようになっ いる。

 図2は、後輪用差動歯車装置26の構成を説 する骨子図である。図2に示されるように、 後輪用差動歯車装置26には、エンジン12より 央差動歯車装置22を介して回転駆動されるプ ロペラシャフト24の端部に接続された傘歯車3 8、およびその傘歯車38と噛み合う傘歯車40を して駆動力が入力され、その駆動力を左右 後輪30l、30rへ配分する駆動力配分装置とし も機能する。この後輪用差動歯車装置26は 駆動力を前記左右の後輪30l、30rに配分する めの差動装置本体42と、その差動装置本体42 隣接して後輪車軸28l、28rと同軸に配設され 遊星歯車式の変速装置44と、その変速装置44 の動力伝達を選択的に成立させる切換ブレー キBと、その変速装置44の出力を1対の後輪車 28l、28rに選択的に伝達する第1クラッチC1お び第2クラッチC2とを、備えている。

 差動装置本体42は、リングギヤR1、互いに 噛み合う複数対のピニオンギアP1およびP2、 れらピニオンギヤP1およびP2を自転および公 可能に支持するキャリヤCA1、および上記複 対のピニオンギヤP1およびP2を介してリング ギヤR1と噛み合うサンギヤS1を備えたダブル ニオン型の遊星歯車装置であり、そのギヤ ρは(=サンギヤS1の歯数/リングギヤR1の歯数) たとえば0.5程度に設定されている。上記リ グギヤR1は、差動装置42のケース46内にその ース46と一体的に設けられており、プロペ シャフト24の回転が傘歯車38および40によっ 減速されて伝達される。キャリヤCA1は、左 輪車軸28lを介して左後輪30lに接続されてい 。サンギヤS1は、右後輪車軸28rを介して右後 輪30rに連結されている。

 変速装置44は、サンギヤS2、ピニオンギヤ P3、そのピニオンギヤP3を自転および公転可 に支持するキャリヤCA2、および上記ピニオ ギヤP3を介してサンギヤS2と噛み合うリング ヤR2を備えたシングルピニオン型の遊星歯 装置で構成される。上記サンギヤS2は、ケー ス46と一体的に連結されており、変速装置44 入力部材として機能する。上記キャリヤCA2 、切換ブレーキBを介して非回転部材45に選 的に連結される。上記リングギヤR2は、変速 装置44の出力部材として機能し、第1クラッチ C1を介して差動装置本体42のキャリヤCA1およ 左後輪車軸28lに選択的にスリップ係合され と共に、第2クラッチC2を介して差動装置本 42のサンギヤS1および右後輪車軸28rに選択的 スリップ係合されるようになっている。な 、切換ブレーキB、第1クラッチC1、および第 2クラッチC2は、それぞれスリップ係合可能な 多板式の摩擦係合装置で、電子制御装置36に って油圧回路34の制御弁が切り換えられる とにより係合或いは解放されると共に、必 に応じてスリップ係合時の伝達トルク容量 制御される。

 以上のように構成された後輪用差動歯車 置26において、切換ブレーキB、第1クラッチ C1、および第2クラッチC2が共に解放状態とさ る非制御時では、変速装置44は空転状態と るので差動装置本体42のみが機能し、左右の 後輪30l、30rの差動が許容されつつ、左右の後 輪30l、30rへ均等に駆動力が配分される。これ により、直進時においては、差動装置本体42 一体的に回転され、左右の後輪30l、30rの回 数は略同回転となる。このとき、トルク移 および差動制限は行われず、後輪用差動歯 装置26は通常のオープンデフとして機能す 。

 発進走行時において切換ブレーキBが解放 されると、変速装置44のキャリヤCA2が解放さ 、サンギヤS2とリングギヤR2との間の動力伝 達が遮断された状態で、第1クラッチC1および 第2クラッチC2が完全係合されると、後輪用差 動歯車装置26はノンスリップデフとして機能 、左右の後輪30l、30rが同回転および同駆動 となるが、第1クラッチC1および第2クラッチ C2の部分係合が行われると、右側の後輪車軸2 8rおよび右後輪30rと左側の後輪車軸28lおよび 後輪30lとの間の差動回転が拘束されるので その第1クラッチC1および第2クラッチC2の係 容量に対応した差動制限トルクδTが左右の 輪30l、30rに付与され、左右の後輪30l、30rの 動制限制御が行われるようになっている。 の差動制限制御において、上記第1クラッチ C1および第2クラッチC2は差動制限クラッチ或 は差動制限装置として機能している。また この差動制限制御は、後述のように、左右 後輪30l、30rが接地する路面の摩擦係数μが 互に異なる異μ路或いはまたぎ路である車両 の発進走行時に、車両の偏向を防止するため にも用いられる。

 また、旋回走行中において切換ブレーキB が係合されると変速装置44のキャリヤCA2がロ クされ、リングギヤR2は入力回転( サンギ S2の回転) に対して逆回転で減速されて出力 される。この状態で、第1クラッチC1がスリッ プ係合されると、リングギヤR2の出力がキャ ヤCA1、左側の後輪車軸28l、および左後輪30l 伝達され、左後輪30lの駆動力が減少させら 、右後輪30rの駆動力が相対的に増大させら る。同時に、左後輪30lの回転数がスリップ 合により減速されるため、差動装置本体42 よって、右後輪30rは増速させられる。この 動力制御は、たとえば左旋回中等にアンダ ステアを抑制するとき、或いは右旋回中に ーバステアを抑制するときに実行される。 対に、第2クラッチC2がスリップ係合される 、リングギヤR2の出力が右側の後輪車軸28rお よび右後輪30rに伝達され、右後輪30rの駆動力 が減少させられ、左後輪30lの駆動力が相対的 に増大させられる。同時に、右後輪30rの回転 数がスリップ係合により減速されるため、差 動装置本体42によって、左後輪30lは増速させ れる。この制御は、たとえば右旋回中等に ンダーステアを抑制するとき、或いは左旋 中にオーバステアを抑制するときに実行さ る。

 図3は、電子制御装置36の制御機能の要部を 明する機能ブロック線図である。図3におい て、差動制限トルク算出手段60は、予め設定 れた関係から、左後輪30lおよび右後輪30rの 転速度差( 駆動輪車速差)δV RD 、アクセル開度θ ACC  等の車両の状態量に基づいて前記差動制限ト ルクδTを算出する。たとえば、予め記憶され た関係( δT =C×δV RD ) から、実際の回転速度差δV RW に基づいて回転速度差由来の差動制限トルク δT を算出するとともに、予め記憶された関係(  δT =K×θ ACC  ・δV RD ) から、実際の回転速度差δV RW に基づいてアクセル開度由来の差動制限トル クδT を算出する。上記定数Cは、一定値であって よいが、車速の増加に伴って小さい値とな 車速Vの関数であってもよい。また、上記定 Kは、一定値であってもよいが、横G(横方向 速度)が大きくなるほど大きい値となる横G 関数であってもよい。そして、上記差動制 トルク算出手段60は、所定値よりも高い高車 速である場合は上記アクセル開度由来の差動 制限トルクδT を上記差動制限トルクδTとして決定し、所定 値よりも低い低車速であるとき、δT >δT である場合はまたぎ路でないと推定されて差 動制限トルクδT を上記差動制限トルクδTとして決定するが、 反対にδT >δT である場合は異μ路或いはまたぎ発進路であ と推定されて差動制限トルクδT を上記差動制限トルクδTとして決定する。

 差動制限トルク上限ガード値算出手段62は 予め記憶された関係から、実際の車両のヨ レイトYR、予め設定された偏向許容ヨーレイ トYR 、およびステアリングホイールによる舵角θ SW に基づいて、差動制限トルク上限ガード値δT を算出する。すなわち、差動制限トルク上限 ガード値算出手段62は、車両の実ヨーレイトY Rと偏向許容ヨーレイトYR とを比較し、それら車両の実ヨーレイトYRと め設定された偏向許容ヨーレイトYR との差が小さくなるように差動制限トルク上 限ガード値δT を算出し、車両状態(路面状況)に最適な差動 限トルク上限ガード値δT を出力する。上記差動制限トルク上限ガード 値算出手段62は、実際の車両のヨーレイトYR 予め設定された偏向許容ヨーレイトYR よりも低い場合は差動制限トルク上限ガード 値δT を増加させるが、実際の車両のヨーレイトYR 予め設定された偏向許容ヨーレイトYR よりも高い場合は差動制限トルク上限ガード 値δT を減少させる。上記予め記憶された関係はこ のように設定されている。上記車両のヨーレ イトYRは、車両の重心を通る鉛直線PLまわり 回転角( ヨー角) の変化速度である。また 上記偏向許容ヨーレイトYR は、車両の偏向を搭乗者が感じない予め実験 的に求められた最大のヨーレイトYRであって 一定値であってもよいが、舵角θ SW の増加に応じて変化( 減少) する舵角θ SW の関数であってもよい。   

 上記差動制限トルク上限ガード値算出手段6 2は、たとえば、図4に示すように、予め設定 れた関係すなわち車両モデル( 微分方程式)  FMから実際の車両のヨーレイトYR、偏向許容 ヨーレイトYR 、およびステアリングホイールによる舵角θ SW に基づいて車両の重心を通る鉛直線PLまわり 車両モーメントMを算出する車両モーメント 算出手段64と、その車両モーメントMに基づい て前記上限ガード値δT を算出する上限ガード値算出手段66とを備え いる。

 図5は、上記車両モーメント算出手段64にお て用いられる車両モデルFMを説明する図で る。図5において、実際の車両68に対して舵 θ SW および車両モーメントMが入力されたときに ヨーレイトYRが発生させられる系において、 車両の運動方程式から解いた数式モデル( 微 分方程式)70により上記舵角θ SW および車両の実モーメントMに基づいて計算 ーレイトYRe が算出されたとき、オブザーバ 72がそれら実ヨーレイトYRと計算ヨーレイトYR e との偏差( YR-YRe ) として定義された目標 ーレイトYRm ( =YR-YRe ) に基づき、その目 ヨーレイトYRm に所定のゲインGを掛けた値 状態量の推定値として上記モデル70に供給す る。そのモデル70では、上記状態量の推定値 基づいて上記目標ヨーレイトYRm が小さく るように係数等が補正されて、逐次更新さ る。図5の1点鎖線で示されるそれらモデル70 よびオブザーバ72の逆モデルを前記車両モ ルFMとして使用し、且つ、上記計算ヨーレイ トYRe を偏向許容ヨーレイトYR と置換することで、偏向許容ヨーレイトYR を実現するために必要な車両モーメントMが 出される。

 図4に戻って、上限ガード値算出手段66は、 記のようにして算出された偏向許容ヨーレ トYR を実現するために必要な車両モーメントMに づいて、その車両モーメントMを発生させる めに必要な前記左右の後輪30lおよび30rのト ク差すなわち差動制限トルクを算出し、そ 差動制限トルクを差動制限トルク上限ガー 値δT としてを算出する。

 図3に戻って、上限ガード処理手段72は、左 の後輪30lおよび30rに付与される差動制限ト クδTを得るために、差動制限トルク上限ガ ド値算出手段62により算出された差動制限 ルク上限ガード値δT を用いて前記差動制限トルク算出手段60によ 算出された差動制限トルクδTを制限する。 なわち、差動制限トルクδTが差動制限トル 上限ガード値δT を超えない場合は制限しないが、差動制限ト ルク上限ガード値δT を超える場合はその差動制限トルク上限ガー ド値δT とする。差動制限トルク出力手段74は、上記 限ガード処理手段72を経て供給された差動 限トルクδTを、油圧回路34へ出力する。

 また、スリップ傾向判定手段76は、上記差 制限トルク出力手段74から左右の後輪30lおよ び30rへ上記差動制限トルクδTが付与されると 、却ってそれら後輪30lおよび30rにスリップが 発生することになるか否かを、左右の後輪30l および30rのうち旋回走行の内側となる車輪回 転速度が外側となる車輪回転速度よりも高い ことに基づいて、或いは、差動制限トルクδT と差動制限トルク上限ガード値δT とが同符号となったか否かに基づいて判定す る。左右の後輪30lおよび30rのうち旋回走行の 内側となる車輪回転速度が外側となる車輪回 転速度よりも高いときに差動制限トルクδTが 付与されると、回転速度の高い内側駆動輪か らそれよりも相対的に低回転の外側駆動輪へ トルク移動が行われてしまい、却ってスリッ プ傾向が助長されるのである。スリップ抑制 手段78は、上記スリップ傾向判定手段76によ 、差動制限トルクδTを付与すると左右の後 30lおよび30rがスリップ傾向となることが判 されると、上限ガード処理手段74で用いられ る差動制限トルク上限ガード値δT を最小差動制限トルクδT1に設定して差動制 トルク出力手段74から左右の後輪30lおよび30r に付与される差動制限トルクδTを可及的に小 さくし、左右駆動輪のスリップ傾向を抑制す る。この最小差動制限トルクδT1は、零又は に近い値に設定される。

 図6、図7、図8は、たとえば左右の後輪30lお び30rが低μ路面および高μ路面にそれぞれ接 地した状態で発進或いは走行する車両の異μ 発進或いは加速走行において、上記差動制 トルク制御と車両の挙動との関係を説明す 図である。図6は、左後輪30lの回転速度V RL が右後輪30rの回転速度V RR よりも高回転( V RL >V RR ) であるときに車両の重心を通る鉛直線PLま りに発生する車両モーメントMに基づく偏向 方向Hを示している。このとき、図7に示すよ に、偏向許容ヨーレイトYR が実ヨーレイトYRを上まわっているとき( YR >YR) は、未だ搭乗者が車両の偏向を感じな い状態であることから、前記差動制限トルク 上限ガード値算出手段62によって算出された 動制限トルク上限ガード値δT が前記差動制限トルク算出手段60によって算 された差動制限トルクδTよりも高い( δT> δT ) ので、その差動制限トルクδTはガード処理 手段72による制限を受けないで左右の後輪30l よび30rに付与される。この結果、相対的に 転速度が高い左後輪30lから相対的に回転速 の低い右後輪30rへトルク移動が発生して左 輪30lの回転が抑制され、車両の駆動力や発 加速性が確保される。この場合においても 両モーメントMが発生しているが、搭乗者が 車両の偏向を感じない状態であるので、図7 は示されていない。

 しかし、図8に示すように、偏向許容ヨーレ イトYR が実ヨーレイトYR以下となるとき( YR ≦YR) は、搭乗者が車両の偏向を感じる状態 あることから、前記差動制限トルク上限ガ ド値算出手段62によって算出された差動制 トルク上限ガード値δT が前記差動制限トルク算出手段60によって算 された差動制限トルクδT以下となる( δT ≦δT) ので、その差動制限トルクδTはガード 処理手段72による制限を受けてから左右の後 30lおよび30rに付与される。この結果、相対 に回転速度が高い左後輪30lから相対的に回 速度の低い右後輪30rへトルク移動が制限さ ることにより、車両の偏向を搭乗者に感じ せない範囲で車両の駆動力が確保される。

 なお、たとえば左旋回走行中において後 30lが回転速度の高い旋回内側輪とされ、後 30rが回転速度の低い旋回外側輪とされると 、図7或いは図8に示すように差動制限トル 算出手段60によって算出された差動制限トル クδTを左右の後輪30lおよび30rに付与すること により左後輪30lから右後輪30rへトルク移動を 発生させることにより、ますますスリップ傾 向を助長していまう場合がある。このような 場合には、スリップ抑制手段78により、左右 後輪30lおよび30rに付与される差動制限トル δT1が零又は零に近い値に設定されることに より、上記スリップ傾向の進行が回避される 。

 図9は、電子制御装置36の制御作動の要部を 明するフローチャートである。図9において 、前記差動制限トルク算出手段60に対応する テップ(以下、単にSという)S1では、予め設 された関係( δT =C×δV RD 、δT =K×θ ACC  ・δV RD ) から、左後輪30lおよび右後輪30rの回転速度 差( 駆動輪車速差)δV RD 、アクセル開度θ ACC  等の車両の状態量に基づいて、回転速度差由 来の差動制限トルクδT やアクセル開度由来の差動制限トルクδT が算出される。次いで、前記差動制限トルク 上限ガード値算出手段62に対応するS2では、 向許容ヨーレイトYR は、車両の偏向を搭乗者が感じない予め実験 的に求められた最大のヨーレイトYRであって 一定値であってもよいが、舵角θ SW に応じて偏向許容ヨーレイトYR が変化( 増加) する予め記憶された関係から 実際の舵角θ SW に基づいて偏向許容ヨーレイトYR が決定される。また、このS2では、実際の車 のヨーレイトYRが予め設定された偏向許容 ーレイトYR よりも低い場合は差動制限トルク上限ガード 値δT を増加させるが、実際の車両のヨーレイトYR 予め設定された偏向許容ヨーレイトYR よりも高い場合は差動制限トルク上限ガード 値δT を減少させるように予め設定された関係から 、実際の車両のヨーレイトYR、予め設定され 偏向許容ヨーレイトYR 、およびステアリングホイールによる舵角θ SW に基づいて差動制限トルク上限ガード値δT が算出される。

 次いで、前記スリップ傾向判定手段76に対 するS3では、差動制限トルクδTの付与によっ てスリップ傾向が助長される状態であるか否 かが、差動制限トルクδTと差動制限トルク上 限ガード値δT とが同符号となったか否かすなわち差動制限 トルクδTと差動制限トルク上限ガード値δT との乗算値が正の値( δT×δT >0) となったか否かに基づいて判断される このS3の判断が肯定される場合は、前記ス ップ抑制手段78に対応するS4において、差動 限トルク上限ガード値δT が最小差動制限トルクδT1に設定されて左右 後輪30lおよび30rに付与される差動制限トル δTが可及的に小さくされ、左右駆動輪のス ップ傾向が抑制される。

 しかし、上記S3の判断が否定される場合は S5において、差動制限トルク上限ガード値の 絶対値|δT |が差動制限トルクの絶対値|δT|以下であるか 否かが判断される。このS5の判断が否定され 場合は、上限ガード処理が不要であるのでS 6の実行が回避されるが、S5の判断が肯定され る場合は、ガード処理手段72に対応するS6に いて、差動制限トルクδTが差動制限トルク 限ガード値δT を超えないようにその差動制限トルク上限ガ ード値δT とされる。そして、差動制限トルク出力手段 74に対応するS7において、上記S6の上限ガード 処理を経た差動制限トルクδTが出力される。

 上述のように、本実施例の差動制限装置の 御装置によれば、車両の状態量に基づいて 動制限トルクδTを算出する差動制限トルク 出手段60と、予め設定された偏向許容ヨー イトと車両の実ヨーレイトとに基づいて差 制限トルク上限ガード値δTを算出する差動 限トルク上限ガード値算出手段62と、左右の 駆動輪に付与される差動制限トルクδTを得る ために、差動制限トルク上限ガード値算出手 段62により算出された差動制限トルク上限ガ ド値δT を用いて差動制限トルク算出手段62により算 された差動制限トルクδTを制限する上限ガ ド処理手段72とを、含むことから、差動状 に応じた最適な差動制限トルク上限ガード δT が得られるので、路面状況に応じた差動制限 トルクδTが付与され、車両の偏向が好適に抑 制される。

 また、本実施例の車両用差動制限装置の制 装置によれば、前記差動制限トルク上限ガ ド値算出手段62は、車両の実ヨーレイトYRと 予め設定された偏向許容ヨーレイトYR との差が小さくなるように差動制限トルク上 限ガード値δT を算出することから、車両の偏向を抑制しか つ駆動力が得られるように、差動制限トルク 上限ガード値δT が適切な値に算出される。

 また、本実施例の車両用差動制限装置の制 装置によれば、前記差動制限トルク上限ガ ド値算出手段62は、車両の実ヨーレイトYRが 偏向許容ヨーレイトYR よりも低い場合は差動制限トルク上限ガード 値δT を増加させることから、左右の駆動輪に付与 される差動制限トルクδTの制限が緩和される ので、車両の実際のヨーレイトYRが偏向許容 ーレイトYR に近接させられ、路面状態に拘わらず、偏向 を生じさせない走行が可能となる。

 また、本実施例の車両用差動制限装置の制 装置によれば、前記差動制限トルク上限ガ ド値算出手段62は、車両の実ヨーレイトYRが 偏向許容ヨーレイトYR よりも高い場合は差動制限トルク上限ガード 値δT を減少させることから、左右の駆動輪に付与 される差動制限トルクδTの制限が強化される ので、車両の実際のヨーレイトYRが偏向許容 ーレイトYR を超えることが防止され、路面状態に拘わら ず、偏向を生じさせない走行が可能となる。

 また、本実施例の車両用差動制限装置の制 装置によれば、前記差動制限トルク上限ガ ド値算出手段62は、車両の舵角に応じて偏 許容ヨーレイトYR を変更することから、差動制限トルク上限ガ ード値δT が一定値に設定される場合に比較して、搭乗 者が車両の偏向を感じないように、車両の舵 角θ SW すなわち旋回程度に応じてδT が必要かつ十分な適切な値に設定される。

 また、本実施例の車両用差動制限装置の制 装置によれば、前記差動制限トルク上限ガ ド値算出手段62は、車両に入力される入力 ーメントと車両の操舵角とを入力とし且つ 算ヨーレイトYRe を出力とする車両の運動方 程式を解いて得られた数式モデルに、オブサ ーバ72が実際のヨーレイトYRと計算ヨーレイ YRe との偏差(YR-YRe )に基づく状態量の推定 を付与して得られる逆モデルFMを用い、計算 ヨーレイトYRe としての偏向許容ヨーレイトY R を実現するために必要なモーメントMを算出 、その必要なモーメントMに基づいてその必 なモーメントを発生するために必要な左右 駆動輪のトルク差を前記差動制限トルク上 ガード値δT として算出するものであることから、逐次、 実際のヨーレイトYRと計算ヨーレイトYRe と 偏差(YR-YRe )に基づく状態量で逆モデルFMが 正されるので、路面状況による車両走行状 に応じた最適な差動制限トルク上限ガード δT が得られ、たとえば車両発進時のトラクショ ンと車両の偏向防止との両立が可能となる。

 また、本実施例の車両用差動制限装置の 御装置によれば、(a) 左右の駆動輪に前記 動制限トルクを付与するとその駆動輪がス ップ傾向となることを判定するスリップ傾 判定手段76と、(b) そのスリップ傾向判定手 により前記差動制限トルクδTを付与すると 右の駆動輪がスリップ傾向となることが判 されると、左右の駆動輪に付与される差動 限トルクδTを前記スリップ傾向を抑制する めに予め設定された最小差動制限トルクδT1 とするスリップ抑制手段78とを、含むので、 動制限トルクδTの付与によってスリップ傾 が発生するためにかえって逆効果となる場 には、その差動制限トルクδTが予め設定さ た最小差動制限トルクδT1とされて、そのス リップ傾向が抑制される。

 以上、本発明の実施例を図面に基づいて 細に説明したが、本発明はその他の態様に いても適用される。

 たとえば、前述の実施例の動力伝達装置1 0は、4輪駆動車両であったが、前輪用差動歯 装置16および中央差動歯車装置22が省略され 、後輪用差動歯車装置26を介して左右の後輪3 0l、30rが専ら駆動される所謂FR形式の後輪駆 車両であってもよいし、中央差動歯車装置22 および後輪用差動歯車装置26が省略され、後 用差動歯車装置26と同様に構成された前輪 差動歯車装置16を介して左右の前輪20l、20rが 専ら駆動される所謂FF形式の前輪駆動車両で ってもよいし、所謂RR形式の後輪駆動車両 あってもよい。要するに、後輪用差動歯車 置26と同様に構成された差動歯車装置を介し てエンジン12の駆動力により左右の駆動輪が 動される車両であればよい。

 また、前述の実施例において、駆動源は ガソリンエンジン或いは、ディーゼルエン ン等の内燃機関であったが、特にそれらに 定されるものではなく、電動モータ等の他 駆動源から成るものであっても構わない。

 また、前述の実施例において、後輪車軸2 8の左後輪車軸28l、右後輪車軸28r、および後 30の左後輪30l、右後輪30rの左右関係は特に限 定されるものではなく、左右を逆にして実施 することもできる。

 また、前述の実施例において、第1クラッ チC1、第2クラッチC2、およびトルク移動切換 レーキBは、油圧によって駆動するものであ るが、電磁式クラッチ等、他の型式のクラッ チ装置およびブレーキ装置を用いて実施する こともできる。

 また、前述の実施例においては、後輪用 動歯車装置26は、1つの遊星歯車装置から構 されていたが、2つ以上の遊星歯車装置で構 成される等、様々な他の型式の装置であって も構わない。また、遊星歯車装置のサンギヤ 、キャリヤ、およびリングギヤの連結関係も 矛盾のない範囲で自由に変更することができ 、切換ブレーキBの位置も矛盾のない範囲で 由に変更したり、廃止することができる。 た、差動制限装置として第1クラッチC1およ 第2クラッチC2が用いられていたが、1個のク ッチから構成されてもよいし、設けられる 置も変更されてもよい。

 また、差動制限トルク算出手段60は、左後 30lおよび右後輪30rの回転速度差( 駆動輪車 差)δV RD 、アクセル開度θ ACC  に基づいて差動制限トルクδTを算出するもの であったが、他の車両の状態量に基づいて差 動制限トルクδTを算出するものであってもよ い。

 また、前述の実施例において、差動制限 ルク上限ガード値算出手段62は、オブザー 72を含む車両モデルが用いられていたが、必 ずしもオブザーバ72を含まなくてもよい。

 なお、上述したのはあくまでも一実施形 であり、本発明は当業者の知識に基づいて 々の変更、改良を加えた態様で実施するこ ができる。