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Title:
CONTROLLER FOR VEHICLE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/078612
Kind Code:
A1
Abstract:
A controller for a vehicle in which at least both high grip performance and low fuel consumption or both silence and low fuel consumption can be satisfied. When the camber angle of a wheel (2) is regulated to negative camber, the ground contact pressure of a first tread (21) is increased and the ground contact pressure of a second tread (22) is decreased. Consequently, high grip performance or silence is exhibited. When the camber angle of the wheel (2) is regulated to positive camber, the ground contact pressure of the first tread (21) is decreased and the ground contact pressure of the second tread (22) is increased. Consequently, rolling resistance decreases and fuel consumption saving is achieved. Contradicting performances, high grip performance or silence and fuel consumption saving, can be made compatible by regulating the camber angle of the wheel (2).

Inventors:
MIZUNO AKIRA (JP)
SHIRAI HISANORI (JP)
HORIGUCHI MUNEHISA (JP)
SAKAKIBARA FUMIHIKO (JP)
ABE MINORU (JP)
NAITO TAKASHI (JP)
ANDO MASAO (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/074342
Publication Date:
July 03, 2008
Filing Date:
December 18, 2007
Export Citation:
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Assignee:
EQUOS RES CO LTD (JP)
MIZUNO AKIRA (JP)
SHIRAI HISANORI (JP)
HORIGUCHI MUNEHISA (JP)
SAKAKIBARA FUMIHIKO (JP)
ABE MINORU (JP)
NAITO TAKASHI (JP)
ANDO MASAO (JP)
International Classes:
B60G17/015; B60C5/00; B60C11/00; B60G17/016; B60G17/018
Foreign References:
JPS4744599A
JPS63500444A1988-02-18
JP2000322695A2000-11-24
JPH1134629A1999-02-09
JP2003505296A2003-02-12
JPH02185802A1990-07-20
US6347802B12002-02-19
JP2001315633A2001-11-13
JP2003118554A2003-04-23
Other References:
See also references of EP 2095979A4
Attorney, Agent or Firm:
PATENT FIRM SHINMEI CENTURY (7th Floor 92 Ote-choToyohashi-City, Aichi 05, JP)
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Claims:
 車輪と、その車輪のキャンバー角を調整するキャンバー角調整装置とを備える車両に対し、前記キャンバー角調整装置を作動させて、前記車輪のキャンバー角を制御する車両用制御装置であって、
 前記キャンバー角調整装置の作動状態を制御する作動制御手段を備え、
 前記車輪は、第1トレッドと、その第1トレッドに対して前記車輪の幅方向に並設され前記車両の内側又は外側に配置される第2トレッドと、を備えると共に、
 前記第1トレッドと第2トレッドとが互いに異なる特性に構成され、前記第1トレッドは、前記第2トレッドに比して、グリップ力の高い特性に構成されると共に、前記第2トレッドは、前記第1トレッドに比して、転がり抵抗の小さい特性に構成され、
 前記作動制御手段は、
 前記車両の周辺における周辺情報を取得する周辺情報取得手段と、
 その周辺情報取得手段により取得された周辺情報に基づいて、前記車輪に必要とされる特性を判断する特性判断手段と、
 その判断手段により判断された特性を前記車輪が発揮するように、前記キャンバー角調整装置を作動させて前記車輪のキャンバー角を変更するキャンバー角変更手段と、を備えることを特徴とする車両量制御装置。
 前記周辺情報取得手段は、
 前記車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、
 地図データを記憶する地図データ記憶手段と、
 前記地図データ記憶手段に記憶された地図データ及び前記現在位置検出手段により検出された前記車両の現在位置に基づいて、前記車両の走行経路の状況を前記周辺情報として取得する状況取得手段と、を備え、
 前記特性判断手段は、前記状況取得手段により前記周辺情報として取得された前記走行経路の状況に基づいて、前記車輪に必要とされる特性を判断することを特徴とする請求項1記載の車両制御装置。
 前記周辺情報取得手段は、
 前記車両と他車との相対位置関係を前記周辺情報として取得する相対位置取得手段を備え、
 前記特性判断手段は、前記相対位置取得手段により前記周辺情報として取得された前記他車との相対位置関係に基づいて、前記車輪に必要とされる特性を判断することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両制御装置。
 前記作動制御手段は、時刻を取得する時刻取得手段を備え、
 前記特性判断手段は、前記時刻取得手段により取得された時刻と、前記状況取得手段により取得された周辺情報とに基づいて、前記車輪に必要とされる特性を判断することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両制御装置。
Description:
車両用制御装置

 本発明は、車輪と、その車輪のキャンバ 角を調整するキャンバー角調整装置とを有 る車両に対し、前記キャンバー角調整装置 作動させて、前記車輪のキャンバー角を制 する車両用制御装置に関し、特に、高グリ プ性と低燃費との両立または静粛性と低燃 との両立を少なくとも図ることができる車 用制御装置に関するものである。

 車輪のキャンバー角(タイヤ中心と地面と がなす角度)をマイナス方向で大きくとるこ で、タイヤの能力を十分に引き出して、旋 性能の向上を図る試みが行われている。こ は、キャンバー角を例えば0°に設定してい と、直進走行時にはトレッドが幅方向の全 で地面に接地するが、旋回時には遠心力に る車両のロールにより内側のトレッドが地 から浮き上がり、十分な旋回性能を得られ いからである。従って、マイナス方向のキ ンバー角を予め付与しておくことで、旋回 にトレッドが地面へ幅広く接地でき、旋回 能の向上を図ることができる。

 しかしながら、マイナス方向に大きなキ ンバー角で車輪を車両に装着すると、タイ の旋回性能は向上されるが、直進走行時に 側のトレッド端部における接地圧が高くな 、タイヤが偏磨耗して不経済であると共に トレッド端部の温度が高温になるという問 点があった。

 そこで、特開平2-185802号公報には、マイ ス方向に大きなキャンバー角で車両に車輪 装着する場合に、タイヤの一方側のサイド を他方側のサイド部より強く補強して剛性 大ならしめると共に、トレッドゴムを2分し 、その一方側を他方側より硬度を低くする 或いはトレッド端部のトレッド厚みを厚く て、耐摩耗性、耐熱性及び高グリップ性を 保する技術が開示されている(特許文献1)。

 また、US6,347,802B1公報には、車輪のキャンバ ー角をアクチュエータの駆動力によってアク ティブ制御するサスペンションシステムが開 示されている(特許文献2)。

特開平2-185802号公報

US6,347,802B1公報

 しかしながら、前者の技術では、旋回時 高グリップ性を維持するという点では十分 性能を発揮し得るが、高グリップ性と低燃 (低転がり抵抗)との両立という点では不十 であるという問題点があった。また、上述 た従来の技術では、高グリップ性は旋回時 限られるものであり、例えば、直進走行時 急加速・急制動時における高グリップ性の 揮が不十分であるという問題点があった。 様に、後者の技術では、高グリップ性と低 費との両立という点では不十分であるとい 問題点があった。

 ところで、タイヤのトレッド表面には、 水性を考慮して、複数の溝で構成されたト ッドパターンが刻まれている。車両が走行 る際には、タイヤが回転する度に、トレッ 表面のブロック(溝で囲まれた部分)が路面 叩くことで、打撃音(タイヤノイズ)が発生す る。

 この場合、トレッドのゴム硬度を高くす ほど、低転がり抵抗を得ることができるが 路面からブロックに作用する反力が大きく り、打撃音(タイヤノイズ)の騒音レベルが 加する。そのため、走行中のタイヤノイズ 低減する上では、路面を叩く際の衝撃を緩 させるべく、トレッドのゴム硬度を低く(柔 かく)することが好ましい。

 しかしながら、トレッドのゴム硬度を低 した場合には、高グリップ性が得られるが 転がり抵抗が大きくなるため、その分、燃 の悪化を招く。即ち、従来の技術では、タ ヤノイズを抑制することによる走行中の静 性と低燃費との両立が困難であるという問 点があった。

 本発明は上述した問題点を解決するため なされたものであり、高グリップ性と低燃 との両立または静粛性と低燃費との両立を なくとも図ることができる車両用制御装置 提供することを目的としている。

 この目的を達成するために、請求項1記載 の車両用制御装置は、車輪と、その車輪のキ ャンバー角を調整するキャンバー角調整装置 とを備える車両に対し、前記キャンバー角調 整装置を作動させて、前記車輪のキャンバー 角を制御するものであり、前記キャンバー角 調整装置の作動状態を制御する作動制御手段 を備え、前記車輪は、第1トレッドと、その 1トレッドに対して前記車輪の幅方向に並設 れ前記車両の内側又は外側に配置される第2 トレッドと、を備えると共に、前記第1トレ ドと第2トレッドとが互いに異なる特性に構 され、前記第1トレッドは、前記第2トレッ に比して、グリップ力の高い特性に構成さ ると共に、前記第2トレッドは、前記第1トレ ッドに比して、転がり抵抗の小さい特性に構 成され、前記作動制御手段は、前記車両の周 辺における周辺情報を取得する周辺情報取得 手段と、その周辺情報取得手段により取得さ れた周辺情報に基づいて、前記車輪に必要と される特性を判断する特性判断手段と、その 判断手段により判断された特性を前記車輪が 発揮するように、前記キャンバー角調整装置 を作動させて前記車輪のキャンバー角を変更 するキャンバー角変更手段と、を備える。

 請求項2記載の車両用制御装置は、請求項 1記載の車両用制御装置において、前記周辺 報取得手段は、前記車両の現在位置を検出 る現在位置検出手段と、地図データを記憶 る地図データ記憶手段と、前記前記地図デ タ記憶手段に記憶された地図データ及び前 現在位置検出手段により検出された前記車 の現在位置に基づいて、前記車両の走行経 の状況を前記周辺情報として取得する状況 得手段と、を備え、前記特性判断手段は、 記状況取得手段により前記周辺情報として 得された前記走行経路の状況に基づいて、 記車輪に必要とされる特性を判断する。

 請求項3記載の車両用制御装置は、請求項 1又は2に記載の車両用制御装置において、前 周辺情報取得手段は、前記車両と他車との 対位置関係を前記周辺情報として取得する 対位置取得手段を備え、前記特性判断手段 、前記相対位置取得手段により前記周辺情 として取得された前記他車との相対位置関 に基づいて、前記車輪に必要とされる特性 判断する。

 請求項4記載の車両用制御装置は、請求項 1又は2に記載の車両用制御装置において、前 作動制御手段は、時刻を取得する時刻取得 段を備え、前記特性判断手段は、前記時刻 得手段により取得された時刻と、前記状況 得手段により取得された周辺情報とに基づ て、前記車輪に必要とされる特性を判断す 。

 請求項1記載の車両用制御装置によれば、 作動制御手段によってキャンバー角調整装置 が作動制御され、車輪のキャンバー角がマイ ナス方向(ネガティブキャンバー方向)に調整 れると、車両の内側に配置されるトレッド( 第1トレッド又は第2トレッド)の接地(接地圧 は接地面積)が増加される一方、車両の外側 配置されるトレッド(第2トレッド又は第1ト ッド)の接地(接地圧又は接地面積)が減少さ る。

 これに対し、車輪のキャンバー角がプラ 方向(ポジティブキャンバー方向)に調整さ ると、車両の内側に配置されるトレッド(第1 トレッド又は第2トレッド)の接地(接地圧又は 接地面積)が減少される一方、車両の外側に 置されるトレッド(第2トレッド又は第1トレ ド)の接地(接地圧又は接地面積)が増加され 。

 このように、本発明の車両用制御装置に れば、作動制御手段によってキャンバー角 整装置の作動状態を制御して、車輪のキャ バー角を調整することで、車輪の第1トレッ ドにおける接地と第2トレッドにおける接地 の比率(一方のトレッドのみが接地し、他方 トレッドが路面から離れている状態を含む) を任意のタイミングで変更することができる ので、第1トレッドの特性より得られる性能 第2トレッドの特性より得られる性能との2つ の性能の両立を図ることができるという効果 がある。

 ここで、本発明の車両用制御装置によれ 、第1トレッドを、第2トレッドに比して、 リップ力の高い特性(ゴム硬度の低い特性)と すると共に、第2トレッドを、第1トレッドに して、転がり抵抗の小さい特性(ゴム硬度の 高い特性)とする構成であるので、車輪のキ ンバー角を調整して、第1トレッドにおける 地と第2トレッドにおける接地との比率(一 のトレッドのみが接地し、他方のトレッド 路面から離れている状態を含む)を変更する とで、走行性能(例えば、旋回性能、加速性 能、制動性能或いは雨天時や積雪路などでの 車両安定性など)と省燃費性能との2つの性能 両立または(及び)静粛性と低燃費との2つの 能の両立を図ることができるという効果が る。

 このように互いに背反する2つの性能の両 立は、従来の車両では達成することが不可能 であり、それぞれの性能に対応する2種類の イヤを履き替える必要があったところ、本 明のように、第1及び第2トレッドを有する車 輪のキャンバー角が、作動制御手段によるキ ャンバー角調整装置の作動状態の制御により 調整される構成とすることで初めて達成可能 となったものであり、これにより、互いに背 反する2つの性能の両立を達成することがで る。

 また、本発明の車両用制御装置によれば グリップ力の高い特性に構成されるトレッ は第1トレッドとして車両の内側に配設され ているので、かかる第1トレッドを利用する 合には、車輪にネガティブキャンバーを付 した状態とすることができ、その結果、旋 性能のより一層の向上を図ることができる いう効果がある。

 ここで、グリップ力の高い特性に構成さ るトレッドを第1トレッドとして車両の内側 に配設する構成であれば、かかる第1トレッ を利用する場合に、左右の車輪にネガティ キャンバーを付与した状態とすることがで るので、その分、旋回性能のより一層の向 を図ることができるという効果がある。

 また、第2トレッドの両側(車輪の幅方向 側)に第1トレッドを配設する構成であれば、 かかる第1トレッドを利用する場合に、左右 車輪が共に旋回内側へ傾斜する方向へキャ バー角を付与した状態とすることができる で、その分、旋回性能のより一層の向上を ることができるという効果がある。

 ここで、本発明の車両用制御装置によれ 、車両の周辺における周辺情報を取得する 辺情報取得手段を備え、その周辺情報取得 段により取得された周辺情報に基づいて、 輪に必要とされる特性を特性判断手段が判 すると共に、その判断手段により判断され 特性を車輪が発揮するように、キャンバー 変更手段がキャンバー角調整装置を作動さ て車輪のキャンバー角を変更する構成であ ので、車両周辺の状況に応じた制御(車輪の キャンバー角の調整)を行うことができる。

 これにより、例えば、車両に走行性能が 要とされる状況においては、第1トレッドに よる高グリップ特性の影響を大きくして、走 行性能を確保する一方、走行性能が必要とさ れない状況においては、第2トレッドの低転 り特性の影響を大きくして、省燃費性能を 保することで、これら両トレッドの特性を れぞれ効率的に発揮させることができ、互 に背反する2つの性能(走行性能と省燃費性能 )の両立をより効率良く行うことができると う効果がある。

 或いは、例えば、走行中の静粛性が必要 される状況においては、第1トレッドによる 高グリップ特性(即ち、ゴム硬度の低いトレ ド)の影響を大きくして、静粛性を確保する 方、静粛性が必要とされない状況において 、第2トレッドの低転がり特性の影響を大き くして、省燃費性能を確保することで、これ ら両トレッドの特性をそれぞれ効率的に発揮 させることができ、互いに背反する2つの性 (静粛性能と省燃費性能)の両立をより効率良 く行うことができるという効果がある。

 また、本発明のように、車両の周辺におけ 周辺情報を取得し、その周辺情報(車両周
辺の状況)に応じた制御を行う構成であれば 車両周辺の状況に応じたキャンバー角(即ち 走行性能又は静粛性を重視するのか省燃費 能を重視するのかの車輪特性)を車輪に予め 与えておくことができるので、車輪の特性を 、制御遅延を生じさせることなく適切に制御 することができるという効果がある。

 請求項2記載の車両用制御装置によれば、 請求項1記載の車両用制御装置の奏する効果 加え、地図データ記憶手段に記憶された地 データと現在位置検出手段により検出され 車両の現在位置とに基づいて、車両の走行 路の状況が周辺情報として状況取得手段に り取得されると共に、その状況取得手段に り周辺情報として取得された走行経路の状 に基づいて、車輪に必要とされる特性が特 判断手段により判断される構成であるので 車両周辺の状況を容易かつ正確に取得する とができるという効果がある。

 その結果、車両周辺の状況に応じた制御( 車輪のキャンバー角の調整)をより適正に行 ことができ、互いに背反する2つの性能(走行 性能と省燃費性能または静粛性能と省燃費性 能)の両立をより効率良く行うことができる

 また、本発明のように、車両の周辺にお る周辺情報を、地図データ記憶手段に記憶 れた地図データと現在位置検出手段により 出された車両の現在位置とに基づいて、取 する構成であれば、かかる車両周辺の情報 より早期に取得することができるという効 がある。その結果、車両周辺の状況に応じ キャンバー角(即ち、走行性能を重視するの か省燃費性能を重視するのか、或いは、静粛 性能を重視するのか省燃費性能を重視するの か、という車輪特性)を十分な余裕を持って 輪に与えておくことができるので、車輪の 性の制御における制御遅延を確実に抑制す ことができる。

 請求項3記載の車両用制御装置によれば、 請求項1又は2に記載の車両用制御装置の奏す 効果に加え、車両と他車との相対位置関係 周辺情報として相対位置取得手段により取 されると共に、その相対位置取得手段によ 周辺情報として取得された他車との相対位 関係に基づいて、車輪に必要とされる特性 特性判断手段により判断される構成である で、他者との相対位置関係に応じた制御(車 輪のキャンバー角の調整)を行うことができ 。

 これにより、他者との相対位置関係にお て走行性能が必要とされる状況(例えば、車 間距離が短くなることに伴って運転者が制動 動作を行うと予想される場合や近接した他車 との衝突を回避するべく運転者が旋回動作を 行うと予想される場合など)においては、第1 レッドによる高グリップ特性の影響を大き して、走行性能を確保する一方、走行性能 必要とされない状況(例えば、自車から所定 範囲内に他車が存在しない場合など)におい は、第2トレッドの低転がり特性の影響を大 くして、省燃費性能を確保することで、こ ら両トレッドの特性をそれぞれ効率的に発 させることができ、互いに背反する2つの性 能(走行性能と省燃費性能)の両立をより効率 く行うことができるという効果がある。

 また、本発明のように、他車との相対位 関係を周辺情報として取得する構成であれ 、かかる他車との相対位置関係に応じた制 、即ち、制動や旋回動作等を予測して走行 能を重視する必要があるか否かに基づいた 御を行うことができるので、走行性能と省 費性能との2つの性能の両立を効率的に図り つつ、自車が他車に衝突することの抑制を図 ることができるという効果がある。

 請求項4記載の車両用制御装置によれば、 請求項1又は2に記載の車両用制御装置の奏す 効果に加え、時刻取得手段により時刻を取 すると共に、その時刻取得手段により取得 れた時刻と、状況取得手段により取得され 周辺情報とに基づいて、車輪に必要とされ 特性を判断する構成であるので、時刻に応 た制御(車輪のキャンバー角の調整)を行う とができる。

 これにより、現在の時刻では静粛性が必 とされる状況(例えば、深夜に住宅街を走行 する場合など)であれば、第1トレッドによる グリップ特性(即ち、ゴム硬度の低いトレッ ド)の影響を大きくして、静粛性能を確保す 一方、現在の時刻であれば静粛性能が必要 されない状況(例えば、住宅街を昼間に走行 る場合など)であれば、第2トレッドの低転 り特性(即ち、ゴム硬度の高いトレッド)の影 響を大きくして、省燃費性能を確保すること で、これら両トレッドの特性をそれぞれ効率 的に発揮させることができ、互いに背反する 2つの性能(静粛性能と省燃費性能)の両立をよ り効率良く行うことができるという効果があ る。

 また、本発明によれば、時刻取得手段に り取得した時刻だけに基づいて、車輪に必 とされる特性を判断するのではなく、時刻 加え、状況取得手段により取得された周辺 報も判断の材料とするので、静粛性能と省 費性能との両立をより効率的に達成するこ ができる。

 即ち、本発明のように、車輪の要求特性 時刻のみに基づいて一律に判断するのでは く、時刻と周辺状況とに基づいて判断する 成であれば、例えば、あるエリアに関して 、時刻に関わらず静粛性能のみを重視(又は 、省燃費性能のみを重視)する一方で、ある リアに関しては、時間帯に応じて重視する 能(静粛性能と省燃費性能)を変更するという ように、車輪に要求される特性を無駄なく高 精度に変更することができるので、静粛性能 と省燃費性能との両立をより効率的に達成す ることができる。

本発明の第1実施の形態における車両用 制御装置が搭載される車両を模式的に示した 模式図である。 (a)は車輪の断面図であり、(b)は車輪の 角及びキャンバー角の調整方法を模式的に 明する模式図である。 車両用制御装置の電気的構成を示した ロック図である。 車両の上面視を模式的に示した模式図 ある。 車両の正面視を模式的に図示した模式 であり、車輪にネガティブキャンバーが付 された状態である。 車両の正面視を模式的に図示した模式 であり、車輪にポジティブキャンバーが付 された状態である。 キャンバー制御処理を示すフローチャ トである。 第2実施の形態における車輪の上面図で ある。 車両の上面視を模式的に示した模式図 ある。 左旋回状態にある車両の正面視を模式 的に図示した模式図であり、左右の車輪に左 旋回用の舵角が、旋回外輪(右の前輪)にネガ ィブキャンバーが、旋回内輪(左の車輪)に ャンバー定常角が、それぞれ付与された状 である。 キャンバー制御処理を示すフローチャ ートである。 第3実施の形態における車輪の上面図 ある。 左旋回状態にある車両の正面視を模式 的に図示した模式図であり、左右の車輪に左 旋回用の舵角が、旋回外輪(右の前輪)にネガ ィブキャンバーが、旋回内輪(左の車輪)に ジティブキャンバーが、それぞれ付与され 状態である。 キャンバー制御処理を示すフローチャ ートである。 第4実施の形態におけるキャンバー制 処理を示すフローチャートである。 第5実施の形態における車両用制御装 の電気的構成を示したブロック図である。 摩擦係数マップの内容を模式的に図示 した模式図である。 キャンバー角マップの内容を模式的に 図示した模式図である。 キャンバー制御処理を示すフローチャ ートである。 第6実施の形態におけるキャンバー角 ップの内容を模式的に図示した模式図であ 。 キャンバー制御処理を示すフローチャ ートである。 第7実施の形態における車両用制御装 の電気的構成を示したブロック図である。 キャンバー制御処理を示すフローチャ ートである。 第8実施の形態における車両用制御装 の電気的構成を示したブロック図である。 キャンバー制御処理を示すフローチャ ートである。

符号の説明

100        車両用制御装置
1,201,301  車両
2,202,302  車輪
2FL        前輪(車輪、左車輪)
2FR        前輪(車輪、右車輪)
2RL        後輪(車輪、左車輪)
2RR        後輪(車輪、右車輪)
21,221     第1トレッド
22         第2トレッド
323        第3トレッド
4          キャンバー角調整装置
4FL~4RR    FL~RRアクチュエータ(キャンバー角 調整装置)
4a~4c      油圧シリンダ(キャンバー角調整 装置の一部)
4d         油圧ポンプ(キャンバー角調整 装置の一部)
758        ナビゲーション装置(現在位置 出手段、地図データ記憶手段)

 以下、本発明の好ましい実施の形態につ て添付図面を参照して説明する。図1は、本 発明の第1実施の形態における車両用制御装 100が搭載される車両1を模式的に示した模式 である。なお、図1の矢印FWDは、車両1の前 方向を示す。

 まず、車両1の概略構成について説明する 。車両1は、図1に示すように、車体フレームB Fと、その車体フレームBFに支持される複数( 実施の形態では4輪)の車輪2と、それら各車 2を独立に回転駆動する車輪駆動装置3と、各 車輪2の操舵駆動及びキャンバー角の調整等 行うキャンバー角調整装置4とを主に備え、 輪2のキャンバー角を車両用制御装置100によ り制御して、車輪2に設けられた2種類のトレ ドを使い分けることで(図5及び図6参照)、走 行性能の向上と省燃費の達成とを図ることが できるように構成されている。

 次いで、各部の詳細構成について説明す 。車輪2は、図1に示すように、車両1の進行 向前方側に位置する左右の前輪2FL,2FRと、進 行方向後方側に位置する左右の後輪2RL,2RRと 4輪を備え、これら前後輪2FL~2RRは、車輪駆動 装置3から回転駆動力を付与されて、それぞ 独立に回転可能に構成されている。

 車輪駆動装置3は、各車輪2を独立に回転 動するための回転駆動装置であり、図1に示 ように、4個の電動モータ(FL~RRモータ3FL~3RR) 各車輪2に(即ち、インホイールモータとし )配設して構成されている。運転者がアクセ ペダル52を操作した場合には、各車輪駆動 置3から回転駆動力が各車輪2に付与され、各 車輪2がアクセルペダル52の操作量に応じた回 転速度で回転される。

 また、車輪2(前後輪2FL~2RR)は、キャンバー 角調整装置4により舵角とキャンバー角とが 整可能に構成されている。キャンバー角調 装置4は、各車輪2の舵角とキャンバー角とを 調整するための駆動装置であり、図1に示す うに、各車輪2に対応する位置に合計4個(FL~RR アクチュエータ4FL~4RR)が配置されている。

 例えば、運転者がステアリング54を操作 た場合には、キャンバー角調整装置4の一部( 例えば、前輪2FL,2FR側のみ)又は全部が駆動さ 、ステアリング54の操作量に応じた舵角を 輪2に付与する。これにより、車輪2の操舵動 作が行われ、車両1が所定の方向へ旋回され 。

 また、キャンバー角調整装置4は、車両1 走行状態(例えば、定速走行時または加減速 、或いは、直進時または旋回時)や車輪2が 行する路面Gの状態(例えば、乾燥路面時と雨 天路面時)などの状態変化に応じて、車両用 御装置100により作動制御され、車輪2のキャ バー角を調整する。

 ここで、図2を参照して、車輪駆動装置3 キャンバー角調整装置4との詳細構成につい 説明する。図2(a)は、車輪2の断面図であり 図2(b)は、車輪2の舵角及びキャンバー角の調 整方法を模式的に説明する模式図である。

 なお、図2(a)では、車輪駆動装置3に駆動 圧を供給するための電源配線などの図示が 略されている。また、図2(b)中の仮想軸Xf-Xb 仮想軸Yl-Yr、及び、仮想軸Zu-Zdは、それぞれ 両1の前後方向、左右方向、及び、上下方向 にそれぞれ対応する。

 図2(a)に示すように、車輪2(前後輪2FL~2RR) 、ゴム状弾性材から構成されるタイヤ2aと、 アルミニウム合金などから構成されるホイー ル2bとを主に備えて構成され、ホイール2bの 周部には、車輪駆動装置3(FL~RRモータ3FL~3RR) インホイールモータとして配設されている

 タイヤ2aは、車両1の内側(図2(a)右側)に配 される第1トレッド21と、その第1トレッド21 特性が異なり、車両1の外側(図2(a)左側)に配 置される第2トレッド22とを備える。なお、車 輪2(タイヤ2a)の詳細構成については図4を参照 して後述する。

 車輪駆動装置3は、図2(a)に示すように、 の前面側(図2(a)左側)に突出された駆動軸3aが ホイール2bに連結固定されており、駆動軸3a 介して、回転駆動力を車輪2へ伝達可能に構 されている。また、車輪駆動装置3の背面に は、キャンバー角調整装置4(FL~RRアクチュエ タ4FL~4RR)が連結固定されている。

 キャンバー角調整装置4は、複数本(本実 の形態では3本)の油圧シリンダ4a~4cを備えて り、それら3本の油圧シリンダ4a~4cのロッド は、車輪駆動装置3の背面側(図2(a)右側)にジ ョイント部(本実施の形態ではユニバーサル ョイント)60を介して連結固定されている。 お、図2(b)に示すように、各油圧シリンダ4a~4 cは、周方向略等間隔(即ち、周方向120°間隔) 配置されると共に、1の油圧シリンダ4bは、 想軸Zu-Zd上に配置されている。

 これにより、各油圧シリンダ4a~4cが各ロ ド部をそれぞれ所定方向に所定長さだけ伸 駆動又は収縮駆動することで、車輪駆動装 3が仮想軸Xf-Xb,Zu-Xdを揺動中心として揺動駆 され、その結果、各車輪2に所定のキャンバ 角と舵角とが付与される。

 例えば、図2(b)に示すように、車輪2が中 位置(車両1の直進状態)にある状態で、油圧 リンダ4bのロッド部が収縮駆動され、かつ、 油圧シリンダ4a,4cのロッド部が伸長駆動され と、車輪駆動装置3が仮想線Xf-Xb回りに回転 れ(図2(b)矢印A)、車輪2にマイナス方向(ネガ ィブキャンバー)のキャンバー角(車輪2の中 線が仮想線Zu-Zdに対してなす角度)が付与さ る。一方、これとは逆の方向に油圧シリン 4b及び油圧シリンダ4a,4cがそれぞれ伸縮駆動 されると、車輪2にプラス方向(ポジティブキ ンバー)のキャンバー角が付与される。

 また、車輪2が中立位置(車両1の直進状態) にある状態で、油圧シリンダ4aのロッド部が 縮駆動され、かつ、油圧シリンダ4cのロッ 部が伸長駆動されると、車輪駆動装置3が仮 線Zu-Zd回りに回転され(図2(b)矢印B)、車輪2に トーイン傾向の舵角(車輪2の中心線が車両1の 基準線に対してなす角度であり、車両1の進 方向とは無関係に定まる角度)が付与される 一方、これとは逆の方向に油圧シリンダ4a び油圧シリンダ4cが伸縮駆動されると、車輪 2にトーアウト傾向の舵角が付与される。

 なお、ここで例示した各油圧シリンダ4a~4 cの駆動方法は、上述した通り、車輪2が中立 置にある状態から駆動する場合を説明する のであるが、これらの駆動方法を組み合わ て各油圧シリンダ4a~4cの伸縮駆動を制御す ことにより、車輪2に任意のキャンバー角及 舵角を付与することができる。

 図1に戻って説明する。アクセルペダル52 びブレーキペダル53は、運転者により操作 れる操作部材であり、各ペダル52,53の踏み込 み状態(踏み込み量、踏み込み速度など)に応 て、車両1の走行速度や制動力が決定され、 車輪駆動装置3の作動制御が行われる。

 ステアリング54は、運転者により操作さ る操作部材であり、その操作状態(回転角度 回転速度など)に応じて、車両1の旋回半径 どが決定され、キャンバー角調整装置4の作 制御が行われる。ワイパースイッチ55は、 転者により操作される操作部材であり、そ 操作状態(操作位置など)に応じて、ワイパー (図示せず)の作動制御が行われる。

 同様に、ウインカスイッチ56及び高グリ プスイッチ57は、運転者により操作される操 作部材であり、その操作状態(操作位置など) 応じて、前者の場合はウインカー(図示せず )の作動制御が行われ、後者の場合はキャン ー角調整装置4の作動制御が行われる。

 なお、高グリップスイッチ57がオンされ 状態は、車輪2の特性として高グリップ性が 択された状態に対応し、高グリップスイッ 57がオフされた状態は車輪2の特性として低 がり抵抗が選択された状態に対応する。

 車両用制御装置100は、上述のように構成 れた車両1の各部を制御するための車両用制 御装置であり、例えば、各ペダル52,53の操作 態を検出し、その検出結果に応じて車輪駆 装置3を作動させることで、各車輪2の回転 度を制御する。

 或いは、アクセルペダル52、ブレーキペ ル53やステアリング54の操作状態を検出し、 の検出結果に応じてキャンバー角調整装置4 を作動させ、各車輪のキャンバー角を調整す ることで、車輪2に設けられた2種類のトレッ 21,22を使い分けて(図5及び図6参照)、走行性 の向上と省燃費の達成とを図る。ここで、 3を参照して、車両用制御装置100の詳細構成 について説明する。

 図3は、車両用制御装置100の電気的構成を 示したブロック図である。車両用制御装置100 は、図3に示すように、CPU71、ROM72及びRAM73を え、これらはバスライン74を介して入出力ポ ート75に接続されている。また、入出力ポー 75には、車輪駆動装置3等の複数の装置が接 されている。

 CPU71は、バスライン74により接続された各 部を制御する演算装置である。ROM72は、CPU71 より実行される制御プログラムや固定値デ タ等を格納した書き換え不能な不揮発性の モリであり、RAM73は、制御プログラムの実行 時に各種のデータを書き換え可能に記憶する ためのメモリである。なお、ROM72内には、図7 に図示されるフローチャート(キャンバ制御 理)のプログラムが格納されている。

 車輪駆動装置3は、上述したように、各車 輪2(図1参照)を回転駆動するための装置であ 、各車輪2に回転駆動力を付与する4個のFL~RR ータ3FL~3RRと、それら各モータ3FL~3RRをCPU71か らの命令に基づいて駆動制御する駆動回路( 示せず)とを主に備えている。

 キャンバー角調整装置4は、上述したよう に、各車輪2の舵角とキャンバー角とを調整 るための駆動装置であり、各車輪2(車輪駆動 装置3)に角度調整のための駆動力を付与する4 個のFL~RRアクチュエータ4FL~4RRと、それら各ア クチュエータ4FL~4RRをCPU71からの命令に基づい て駆動制御する駆動回路(図示せず)とを主に えている。

 なお、FL~RRアクチュエータ4FL~4RRは、3本の 油圧シリンダ4a~4cと、それら各油圧シリンダ4 a~4cにオイル(油圧)を供給する油圧ポンプ4d(図 1参照)と、その油圧ポンプから各油圧シリン 4a~4cに供給されるオイルの供給方向を切り える電磁弁(図示せず)と、各油圧シリンダ4a~ 4c(ロッド部)の伸縮量を検出する伸縮センサ( 示せず)とを主に備えて構成されている。

 CPU71からの指示に基づいて、キャンバー 調整装置4の駆動回路が油圧ポンプを駆動制 すると、その油圧ポンプから供給されるオ ル(油圧)によって、各油圧シリンダ4a~4cが伸 縮駆動される。また、電磁弁がオン/オフさ ると、各油圧シリンダ4a~4cの駆動方向(伸長 は収縮)が切り換えられる。

 キャンバー角調整装置4の駆動回路は、各 油圧シリンダ4a~4cの伸縮量を伸縮センサによ 監視し、CPU71から指示された目標値(伸縮量) に達した油圧シリンダ4a~4cは、その伸縮駆動 停止される。なお、伸縮センサによる検出 果は、駆動回路からCPU71に出力され、CPU71は 、その検出結果に基づいて各車輪2の現在の 角及びキャンバー角を得ることができる。

 車両速度センサ装置32は、路面Gに対する 両1の対地速度(絶対値及び進行方向)を検出 ると共に、その検出結果をCPU71に出力する めの装置であり、前後及び左右方向加速度 ンサ32a,32bと、それら各加速度センサ32a,32bの 検出結果を処理してCPU71に出力する制御回路( 図示せず)とを主に備えている。

 前後方向加速度センサ32aは、車両1(車体 レームBF)の前後方向(図1上下方向)の加速度 検出するセンサであり、左右方向加速度セ サ32bは、車両1(車体フレームBF)の左右方向( 1左右方向)の加速度を検出するセンサである 。なお、本実施の形態では、これら各加速度 センサ32a,32bが圧電素子を利用した圧電型セ サとして構成されている。

 CPU71は、車両速度センサ装置32の制御回路 から入力された各加速度センサ32a,32bの検出 果(加速度値)を時間積分して、2方向(前後及 左右方向)の速度をそれぞれ算出すると共に 、それら2方向成分を合成することで、車両1 対地速度(絶対値及び進行方向)を得ること できる。

 接地荷重センサ装置34は、各車輪2の接地 が路面Gから受ける荷重を検出すると共に、 その検出結果をCPU71に出力するための装置で り、各車輪2が受ける荷重をそれぞれ検出す るFL~RR荷重センサ34FL~34RRと、それら各荷重セ サ34FL~34RRの検出結果を処理してCPU71に出力 る処理回路(図示せず)とを備えている。

 なお、本実施の形態では、各荷重センサ3 4FL~34RRがピエゾ抵抗型の3軸荷重センサとして 構成されている。これら各荷重センサ34FL~34RR は、各車輪2のサスペンション軸(図示せず)上 に配設され、上述した車輪2が路面Gから受け 荷重を車両1の前後方向(仮想軸Xf-Xb方向)、 右方向(仮想軸Yl-Yr方向)及び上下方向(仮想軸 Zu-Zd方向)の3方向で検出する(図2(b)参照)。

 CPU71は、接地荷重センサ装置34から入力さ れた各荷重センサ34FL~34RRの検出結果(接地荷 )より、各車輪2の接地面における路面Gの摩 係数μを次のように推定する。

 例えば、前輪2FLに着目すると、FL荷重セ サ34FLにより検出される車両1の前後方向、左 右方向および垂直方向の荷重がそれぞれFx、F y及びFzであれば、前輪2FLの接地面に対応する 部分の路面Gにおける車両1前後方向の摩擦係 μは、前輪2FLが路面Gに対してスリップして るスリップ状態ではFx/Fzとなり(μx=Fx/Fz)、前 輪2FLが路面Gに対してスリップしていない非 リップ状態ではFx/Fzよりも大きい値であると 推定される(μx>Fx/Fz)。

 なお、車両1の左右方向の摩擦係数μyにつ いても同様であり、スリップ状態ではμy=Fy/Fz となり、非スリップ状態ではFy/Fzよりも大き 値と推定される。また、摩擦係数μを他の 法により検出することは当然可能である。 の手法としては、例えば、特開2001-315633号公 報や特開2003-118554号に開示される公知の技術 例示される。

 車輪回転速度センサ装置35は、各車輪2の 転速度を検出すると共に、その検出結果をC PU71に出力するための装置であり、各車輪2の 転速度をそれぞれ検出する4個のFL~RR回転速 センサ35FL~35RRと、それら各回転速度センサ3 5FL~35RRの検出結果を処理してCPU71に出力する 理回路(図示せず)とを備えている。

 なお、本実施の形態では、各回転センサ3 5FL~35RRが各車輪2に設けられ、各車輪2の角速 を回転速度として検出する。即ち、各回転 ンサ35FL~35RRは、各車輪2に連動して回転する 転体と、その回転体の周方向に多数形成さ た歯の有無を電磁的に検出するピックアッ とを備えた電磁ピックアップ式のセンサと て構成されている。

 CPU71は、車輪回転速度センサ装置35から入 力された各車輪2の回転速度と、予めROM72に記 憶されている各車輪2の外径とから、各車輪2 実際の周速度をそれぞれ得ることができ、 の周速度と車両1の走行速度(対地速度)とを 較することで、各車輪2がスリップしている か否かを判断することができる。

 アクセルペダルセンサ装置52aは、アクセ ペダル52の操作状態を検出すると共に、そ 検出結果をCPU71に出力するための装置であり 、アクセルペダル52の踏み込み状態を検出す 角度センサ(図示せず)と、その角度センサ 検出結果を処理してCPU71に出力する制御回路 (図示せず)とを主に備えている。

 ブレーキペダルセンサ装置53aは、ブレー ペダル53の操作状態を検出すると共に、そ 検出結果をCPU71に出力するための装置であり 、ブレーキペダル53の踏み込み状態を検出す 角度センサ(図示せず)と、その角度センサ 検出結果を処理してCPU71に出力する制御回路 (図示せず)とを主に備えている。

 ステアリングセンサ装置54aは、ステアリ グ54の操作状態を検出すると共に、その検 結果をCPU71に出力するための装置であり、ス テアリング54の操作状態を検出する角度セン (図示せず)と、その角度センサの検出結果 処理してCPU71に出力する制御回路(図示せず) を主に備えている。

 ワイパスイッチセンサ装置55aは、ワイパ スイッチ55の操作状態を検出すると共に、 の検出結果をCPU71に出力するための装置であ り、ワイパースイッチ55の操作状態(操作位置 )を検出するポジショニングセンサ(図示せず) と、そのポジショニングセンサの検出結果を 処理してCPU71に出力する制御回路(図示せず) を主に備えている。

 ウィンカスイッチセンサ装置56aは、ウィ カスイッチ56の操作状態を検出すると共に その検出結果をCPU71に出力するための装置で あり、ウィンカスイッチ56の操作状態(操作位 置)を検出するポジショニングセンサ(図示せ )と、そのポジショニングセンサの検出結果 を処理してCPU71に出力する制御回路(図示せず )とを主に備えている。

 高グリップスイッチセンサ装置57aは、高 リップスイッチ57の操作状態を検出すると に、その検出結果をCPU71に出力するための装 置であり、高グリップスイッチ57の操作状態( 操作位置)を検出するポジショニングセンサ( 示せず)と、そのポジショニングセンサの検 出結果を処理してCPU71に出力する制御回路(図 示せず)とを主に備えている。

 なお、本実施の形態では、各角度センサ 電気抵抗を利用した接触型のポテンショメ タとして構成されている。CPU71は、各セン 装置52a~54aの制御回路から入力された検出結 により各ペダル52,53の踏み込み量及びステ リング54の操作角を得ると共に、その検出結 果を時間微分することにより、各ペダル52,53 踏み込み速度(操作速度)及びステアリング54 の回転速度(操作速度)を得ることができる。

 図3に示す他の入出力装置35としては、例 ば、雨量を検出するための雨量センサや路 Gの状態を非接触で検出する光学センサなど が例示される。

 次いで、図4から図6を参照して、車輪2の 細構成について説明する。図4は、車両1の 面視を模式的に示した模式図である。図5及 図6は、車両1の正面視を模式的に図示した 式図であり、図5では、車輪2にネガティブキ ャンバーが付与された状態が図示され、図6 は、車輪2にポジティブキャンバーが付与さ た状態が図示されている。

 上述したように、車輪2は、第1トレッド21 及び第2トレッド22の2種類のトレッドを備え 図4に示すように、各車輪2(前輪2FL,2FR及び後 2RL,2RR)において、第1トレッド21が車両1の内 に配置され、第2トレッド22が車両1の外側に 配置されている。

 本実施の形態では、両トレッド21,22の幅 法(図4左右方向寸法)が同一に構成されてい 。また、第1トレッド21は、第2トレッド22に して、グリップ力の高い特性(高グリップ性) に構成される。一方、第2トレッド22は、第1 レッド21に比して、転がり抵抗の小さい特性 (低転がり抵抗)に構成されている。即ち、第1 トレッド21は、第2トレッド22に比して、ゴム 度が低い値(低硬度)に設定されている。言 換えると、第2トレッド22は、第1トレッド21 比して、ゴム硬度が高い値(高硬度)に設定さ れている。

 例えば、図5に示すように、キャンバー角 調整装置4が作動制御され、車輪2のキャンバ 角θL,θRがマイナス方向(ネガティブキャン ー)に調整されると、車両1の内側に配置され る第1トレッド21の接地(接地圧又は接地面積)R inが増加されると共に、車両1の外側に配置さ れる第2トレッド22の接地(接地圧又は接地面 )Routが減少される。これにより、第1トレッ 21の高グリップ性を利用して、走行性能(例 ば、旋回性能、加速性能、制動性能或いは 天時の車両安定性など)の向上を図ることが きる。

 一方、図6に示すように、キャンバー各調 整装置4が作動制御され、車輪2のキャンバー θL,θRがプラス方向(ポジティブキャンバー 向)に調整されると、車両1の内側に配置され る第1トレッド21の接地(接地圧又は接地面積) 減少されると共に、車両1の外側に配置され る第2トレッド22の接地(接地圧又は接地面積) 増加される。これにより、第2トレッド22の 転がり抵抗を利用して、省燃費性能の向上 図ることができる。

 次いで、図7を参照して、キャンバー制御 処理について説明する。図7は、キャンバー 御処理を示すフローチャートである。この 理は、車両用制御装置100の電源が投入され いる間、CPU71によって繰り返し(例えば、0.2ms 間隔で)実行される処理であり、車輪2に付与 るキャンバー角を調整することで、上述し 走行性能と省燃費性能との2つの性能の両立 を図る。

 CPU71は、キャンバー制御処理に関し、ま 、ワイパースイッチ55がオンされているか否 か、即ち、フロントガラスのワイパーによる 拭き取り動作が運転者により指示されている か否かを判断する(S1)。その結果、ワイパー イッチ55がオンされていると判断される場合 には(S1:Yes)、現在の天候が雨天であり、路面G に水膜が形成されている可能性があると推定 されるので、車輪2にネガティブキャンバー 付与して(S6)、このキャンバー制御処理を終 する。

 これにより、第1トレッド21の接地(接地圧 又は接地面積)Rinが増加されると共に第2トレ ド22の接地(接地圧又は接地面積)Routが減少 れることで(図5参照)、第1トレッド21の高グ ップ性を利用して、雨天時の車両安定性の 上を図ることができる。

 S1の処理において、ワイパースイッチ55は オンされていないと判断される場合には(S1:No )、雨天ではなく、路面Gの状態は良好である 推定されるので、次いで、アクセルペダル5 2の踏み込み量は所定値以上であるか否か、 ち、所定以上の加速(急加速)が運転者により 指示されているか否かを判断する(S2)。

 その結果、アクセルペダル52の踏み込み が所定値以上であると判断される場合には(S 2:Yes)、急加速が運転者より指示されており、 車輪2がスリップするおそれがあるので、車 2にネガティブキャンバーを付与して(S6)、こ のキャンバー処理を終了する。

 これにより、上述した場合と同様に、第1 トレッド21の接地(接地圧又は接地面積)Rinが 加されると共に第2トレッド22の接地(接地圧 は接地面積)Routが減少されることで(図5参照 )、第1トレッド21の高グリップ性を利用して 車輪2のスリップを防止することができ、車 1の加速性能の向上を図ることができる。

 S2の処理において、アクセルペダル52の踏 み込み量が所定値に達していないと判断され る場合には(S2:No)、急加速は指示されておら 、緩やかな加速又は定速走行であると推定 れるので、次いで、ブレーキペダル53の踏み 込み量は所定値以上であるか否か、即ち、所 定以上の制動(急制動)が運転者により指示さ ているか否かを判断する(S3)。

 その結果、ブレーキペダル53の踏み込み が所定値以上であると判断される場合には(S 3:Yes)、急制動が運転者より指示されており、 車輪2がロックするおそれがあるので、車輪2 ネガティブキャンバーを付与して(S6)、この キャンバー処理を終了する。

 これにより、上述した場合と同様に、第1 トレッド21の接地(接地圧又は接地面積)Rinが 加されると共に第2トレッド22の接地(接地圧 は接地面積)Routが減少されることで(図5参照 )、第1トレッド21の高グリップ性を利用して 車輪2のロックを防止することができ、車両1 の制動性能の向上を図ることができる。

 S3の処理において、ブレーキペダル53の踏 み込み量が所定値に達していないと判断され る場合には(S3:No)、急制動は指示されておら 、緩やかな制動か加速又は定速走行である 推定されるので、次いで、車両速度(対地速 )は所定値(例えば、時速15km)以下であるか否 か、即ち、低速走行であるか否かを判断する (S17)。

 その結果、車両速度が所定値以下(即ち、 低速走行中)であると判断される場合には(S17: Yes)、車両速度が所定値を越えている場合と 較して、車両1がその後に減速し停車する可 性や加速する可能性も高いといえる。よっ 、これらの場合には車両1(車輪2)のグリップ 力や停止力を予め確保しておく必要があるの で、車輪2にネガティブキャンバーを付与し (S6)、このキャンバー処理を終了する。

 これにより、上述した場合と同様に、第1 トレッド21の接地(接地圧又は接地面積)Rinが 加されると共に第2トレッド22の接地(接地圧 は接地面積)Routが減少されることで(図5参照 )、第1トレッド21の高グリップ性を利用して 車輪2のグリップ力を増加させることで、そ ロックやスリップを防止して、車両1の制動 性能や加速性能の向上を図ることができる。

 また、車両1が停車した後は、第1トレッ 21の高グリップ性を利用して、車両1(車輪2) 停止力を確保することができるので、車両1 安定した状態で停車させておくことができ 。更に、その停車後に再発進する場合には 予め第1トレッドの接地(接地圧又は接地面 )Rinが増加されていることで、車輪2がスリッ プすることを防止して、車両1の再発進をス ーズ且つ高レスポンスで行うことができる

 S17の処理において、車両速度が所定値よ も大きいと判断される場合には(S17:No)、車 速度が低速ではなく、加減速の際の駆動力 制動力が比較的小さな値になると推定され ので、次いで、ウィンカスイッチ56はオンで あるか否か、即ち、右左折や車線変更を行う 旨が運転者により指示されているか否かを判 断する(S18)。

 その結果、ウィンカスイッチ56がオンで ると判断される場合には(S18:Yes)、右左折や 線変更に伴って、車両1の旋回動作やその準 のための減速が行われる可能性が高いので 車輪2にネガティブキャンバーを付与して(S6 )、このキャンバー処理を終了する。

 これにより、上述した場合と同様に、第1 トレッド21の接地(接地圧又は接地面積)Rinが 加されると共に第2トレッド22の接地(接地圧 は接地面積)Routが減少されることで(図5参照 )、第1トレッド21の高グリップ性を利用して 車輪2のスリップを防止することができ、車 1の旋回性能の向上を図ることができる。

 S18の処理において、ウィンカスイッチ56 オンされていないと判断される場合には(S18: No)、右左折や車線変更に伴う車両1の旋回動 は行われないと推定されるので、次いで、 グリップスイッチ57はオンであるか否か、即 ち、車輪2の特性として高グリップ性を選択 る旨が運転者により指示されているか否か 判断する(S19)。

 その結果、高グリップスイッチ57がオン あると判断される場合には(S19:Yes)、車輪2の 性として高グリップ性が選択されたという とであるので、車輪2にネガティブキャンバ ーを付与して(S6)、このキャンバー処理を終 する。

 これにより、上述した場合と同様に、第1 トレッド21の接地(接地圧又は接地面積)Rinが 加されると共に第2トレッド22の接地(接地圧 は接地面積)Routが減少されることで(図5参照 )、第1トレッド21の高グリップ性を利用して 車輪2のスリップを防止することができ、車 1の制動性能や加速性能、或いは旋回性能の 向上を図ることができる。

 S19の処理において、高グリップスイッチ5 7はオンされていないと判断される場合には(S 19:No)、次いで、ステアリング54の操作角は所 値以上であるか否か、即ち、所定以上の旋 (急旋回)が運転者により指示されているか かを判断する(S4)。

 その結果、ステアリング54の操作角が所 値以上であると判断される場合には(S4:Yes)、 急旋回が運転者より指示されており、車輪2 スリップして、車両1がスピンするおそれが るので、車輪2にネガティブキャンバーを付 与して(S6)、このキャンバー処理を終了する

 これにより、上述した場合と同様に、第1 トレッド21の接地(接地圧又は接地面積)Rinが 加されると共に第2トレッド22の接地(接地圧 は接地面積)Routが減少されることで(図5参照 )、第1トレッド21の高グリップ性を利用して 車輪2のスリップ(車両1のスピン)を防止する とができ、車両1の旋回性能の向上を図るこ とができる。

 一方、S4の処理において、ステアリング54 の操作角が所定値に達していないと判断され る場合には(S4:No)、急旋回は指示されておら 、緩やかな旋回又は直進走行であり、また S1からS3の処理より、路面状態は良好であり 急加速や急制動も指示されていないと推定 れる(S1:No、S2:No、S3:No)。

 よって、この場合には(S1:No、S2:No、S3:No、 S4:No)、車輪2の性能として高グリップ性を得 必要はなく、低転がり抵抗による省燃費性 を得ることが好ましいと判断できるので、 輪2にポジティブキャンバーを付与して(S5)、 このキャンバー処理を終了する。

 これにより、第1トレッド21の接地(接地圧 又は接地面積)Rinが減少されると共に第2トレ ド22の接地(接地圧又は接地面積)Routが増加 れることで(図6参照)、第2トレッド21の低転 り抵抗を利用して、車輪2の転がり効率を向 させることができ、車両1の省燃費性能の向 上を図ることができる。

 このように、本実施の形態によれば、キ ンバー角調整装置4により車輪2のキャンバ 角θR,θLを調整して、第1トレッド21における 地(接地圧又は接地面積)Rinと第2トレッド22 おける接地(接地圧又は接地面積)Routとの比 を変更することで、加速性能及び制動性能 省燃費性能との互いに背反する2つの性能の 立を図ることができる。

 次いで、図8から図11を参照して、第2実施 の形態について説明する。図8は、第2実施の 態における車輪202の上面図であり、図9は、 車両201の上面視を模式的に示した模式図であ る。

 また、図10は、左旋回状態にある車両201 正面視を模式的に図示した模式図であり、 右の車輪2に左旋回用の舵角が付与されると に、旋回外輪(右の前輪202FR)にネガティブキ ャンバーが付与され、旋回内輪(左の車輪202FL )にキャンバー定常角が付与された状態が図 されている。

 第1実施の形態では、車輪2の両トレッド21 ,22の外径が幅方向に一定とされる場合を説明 したが、第2実施の形態における車輪2は、第1 トレッド221の外径が漸次縮径するように構成 されている。なお、上記した第1実施の形態 同一の部分には同一の符号を付して、その 明は省略する。

 第2実施の形態における車輪202は、図8及 図9に示すように、車両201の内側(図8右側)に 置される第1トレッド221と、その第1トレッ 221と特性が異なり、車両201の外側(図8左側) 配置される第2トレッド22とを備える。

 なお、第1トレッド221は、第2トレッド22に 比して、グリップ力の高い特性(高グリップ )に構成され、第2トレッド22は、第1トレッド 221に比して、転がり抵抗の小さい特性(低転 り抵抗)に構成されている。即ち、第1トレッ ド221は、第2トレッド22に比して、ゴム硬度が 低い値(低硬度)に設定されている。言い換え と、第2トレッド22は、第1トレッド221に比し て、ゴム硬度が高い値(高硬度)に設定されて る。

 図8及び図9に示すように、車輪202は、両 レッド221,22の幅寸法(図8左右方向寸法)が同 に構成されているが、第2トレッド22におけ 外径が幅方向(図8左右方向)に略一定に構成 れる一方で、第1トレッド221における外径が 2トレッド22側(図8左側)から車両201の内側(図 8右側)に向かうに従って漸次縮径して構成さ ている。

 これにより、図10に示すように、車輪202( の前輪202FL)に大きなキャンバー角を付与し くても(即ち、キャンバー角を0°に設定して も)、第1トレッド221が路面Gから離れた状態で 、第2トレッド22のみを接地させることができ る。その結果、車輪2全体としての転がり抵 をより小さくして、省燃費性能のより一層 向上を図ることができる。同時に、第1トレ ド221が接地せず、かつ、第2トレッド22がよ 小さなキャンバー角で接地されることより これら両トレッド221,22の摩耗を抑制して、 寿命化を図ることができる。

 一方、図10に示すように、車輪202(右の前 202FR)にマイナス方向へのキャンバー角(ネガ ティブキャンバー)を付与して、第1トレッド2 21を接地させる場合には、かかる第1トレッド 221の外径が漸次縮径されていることから、第 1トレッド221における接地圧を幅方向(図8左右 方向)全域において均等化することができ、 レッド端部に接地圧が集中することを抑制 ることができる。

 よって、高グリップの第1トレッド221を効 率的に利用して、走行性能(旋回性能、加速 能、制動性能、雨天時の走行安定性など)の り一層の向上を図ることができると共に、 1トレッド221の偏摩耗を抑制して、高寿命化 を図ることができる。

 次いで、図11を参照して、第2実施の形態 おけるキャンバー制御処理について説明す 。図11は、キャンバー制御処理を示すフロ チャートである。この処理は、車両用制御 置100の電源が投入されている間、CPU71によっ て繰り返し(例えば、0.2ms間隔で)実行される 理である。

 CPU71は、キャンバー制御処理に関し、ワ パースイッチ55がオンされていると判断され る場合(S1:Yes)、アクセルペダル52の踏み込み が所定値以上であると判断される場合(S1:No S2:Yes)、ブレーキペダル53の踏み込み量が所 値以上であると判断される場合(S1:No、S2:No、 S3:Yes)、車両速度が所定値以下であると判断 れる場合(S1:No、S2:No、S3:No、S17:Yes)、ウィン スイッチ56がオンされていると判断される場 合(S1:No、S2:No、S3:No、S17:No、S18:Yes)、及び、高 グリップスイッチ57がオンされていると判断 れる場合には(S1:No、S2:No、S3:No、S17:No、S18:Ye s)、上述した第1実施の形態で説明したように 、路面Gに水膜が形成されている、急加速・ 制動が指示されている、大きな駆動力の発 や停車が予測される、右左折や車線変更に う旋回動作が予測される、或いは、高グリ プ性の選択が指示されているということで り、第1トレッド221の高グリップ性を利用す 必要がある。

 よって、この場合には、左右の車輪2にネ ガティブキャンバー(本実施の形態では、少 くとも第2トレッド22が路面Gから離接するキ ンバー角、図10に図示する右の前輪202FRを参 照)を付与して(S27)、このキャンバー処理を終 了する。

 これにより、上述した第1実施の形態の場 合と同様に、第1トレッド221の接地(接地圧又 接地面積)Rinが増加されると共に第2トレッ 22の接地(接地圧又は接地面積)Routが減少され る(本実施の形態では接地(接地圧又は接地面 )Routが0となる)ことで、第1トレッド221の高 リップ性を利用して、車輪2のスリップ・ロ クを防止することができ、車両201の走行安 性や加速・制動性能の向上を図ることがで る。

 なお、左右の車輪2に付与するキャンバー 角θR,θLは直進走行時であれは同じ角度であ ことが好ましい。また、そのキャンバー角θ R,θLは第2トレッド22が路面Gから離接する以上 の角度であることが好ましい。

 一方、S4の処理において、ステアリング54 の操作角が所定値に達していないと判断され る場合には(S4:No)、急旋回は指示されておら 、緩やかな旋回又は直進走行であり、また S1からS3の処理より、路面状態は良好であり 急加速や急制動も指示されておらず、大き 駆動力の発生や停車は予測されず、右左折 車線変更に伴う旋回動作も予測されず、更 、高グリップ性の選択は指示されていない 推定される(S1:No、S2:No、S3:No、S17:No、S18:No、 S19:No)。

 よって、この場合には(S1:No、S2:No、S3:No、 S17:No、S18:No、S19:No、S4:No)、車輪2の性能とし 高グリップ性を得る必要はなく、低転がり 抗による省燃費性能を得ることが好ましい 判断できるので、車輪2にキャンバー定常角 付与して(S25)、このキャンバー処理を終了 る。なお、本実施の形態では、キャンバー 常角が0°(図10に図示する左の前輪202FL参照) 設定される。

 これにより、第1トレッド221が路面Gから れた状態で、第2トレッド22のみを接地させ ことができるので、車輪202全体としての転 り抵抗をより小さくして、省燃費性能のよ 一層の向上を図ることができる。また、こ 場合には、第1トレッド221が接地せず、かつ キャンバー角が0°で第2トレッド22が接地さ ることで、これら両トレッド221,22の摩耗を 制して、高寿命化を図ることができる。

 また、S4の処理において、ステアリング54 の操作角が所定値以上であると判断される場 合には(S4:Yes)、急旋回が運転者より指示され おり、車輪2がスリップして、車両201がスピ ンするおそれがある。そこで、本実施の形態 では、旋回外輪(図10では右の前輪202FR)にネガ ティブキャンバーを付与すると共に、旋回内 輪(図10では左の前輪202FL)にキャンバー定常角 を付与して(S26)、このキャンバー処理を終了 る。

 これにより、旋回性能を確保しつつ、制 駆動コストの削減を図ることができる。即 、旋回外輪では、第1トレッド221の接地(接 圧又は接地面積)Rinが増加されると共に第2ト レッド22の接地(接地圧又は接地面積)Routが減 される(本実施の形態では0となる)ことで(図 10参照)、第1トレッド221の高グリップ性を利 して、車輪202のスリップ(車両201のスピン)を 防止することができ、車両201の旋回性能の向 上を図ることができる。一方、旋回内輪では 、そのキャンバー角の変化を旋回外輪よりも 少なくする(即ち、直進走行時のキャンバー をそのまま維持する)ことで、車両用制御装 100の制御コスト或いはキャンバー角調整装 4の駆動コストの削減を図ることができる。

 次いで、図12から図14を参照して、第3実 の形態について説明する。図12は、第3実施 形態における車輪302の上面図である。また 図13は、左旋回状態にある車両301の正面視を 模式的に図示した模式図であり、左右の車輪 2に左旋回用の舵角が付与されると共に、旋 外輪(右の前輪202FR)にネガティブキャンバー 付与され、旋回内輪(左の車輪202FL)にポジテ ィブキャンバーが付与された状態が図示され ている。

 第1実施の形態では、車輪2の両トレッド21 ,22の外径が幅方向に一定とされる場合を説明 したが、第3実施の形態における車輪2は、第1 トレッド221の外径と第3トレッド323の外径と 漸次縮径するように構成されている。なお 上記した各実施の形態と同一の部分には同 の符号を付して、その説明は省略する。

 第3実施の形態における車輪302は、図12に すように、第3トレッド323を備え、第1トレ ド221が車両301の内側(図12右側)に配置される 共に、第3トレッド323が車両301の外側(図12左 側)に配置され、第2トレッド22が第1トレッド2 21と第3トレッド323との間に配置されている。

 そして、第3トレッド323は、少なくとも第 2トレッド22に比して、グリップ力の高い特性 に構成されると共に、その第3トレッド323の 径は、図12に示すように、第2トレッド22側( 12右側)から車両301の外側(図12左側)に向かう 従って漸次縮径して構成されている。

 即ち、第3トレッド323は、少なくとも第2 レッド22に比して、ゴム硬度が低い値(低硬 )に設定されている。言い換えると、少なく も第2トレッド22は、第3トレッド323に比して 、ゴム硬度が高い値(高硬度)に設定されてい 。

 これにより、車輪302に大きなキャンバー を付与することなく(例えば、キャンバー角 を0°に設定しても)、第1トレッド221及び第3ト レッド323が路面Gから離れた状態で、第2トレ ド22のみを接地させることができる。これ より、車輪302全体としての転がり抵抗をよ 小さくして、省燃費性能のより一層の向上 図ることができる。

 同時に、第1トレッド221及び第3トレッド32 3が接地せず、かつ、第2トレッド22がより小 なキャンバー角で接地されることより、こ ら各トレッド221,22,323の摩耗を抑制して、高 命化を図ることができる。

 一方、車輪302にプラス方向へのキャンバ 角(ポジティブキャンバー)を付与して、第3 レッド323を接地させる場合には、かかる第3 トレッド323の外径が漸次縮径されていること から、第3トレッド323における接地圧を幅方 (図12左右方向)全域において均等化すること でき、トレッド端部に接地圧が集中するこ を抑制することができる。

 よって、高グリップ性の第3トレッド323を 効率的に利用して、走行性能(旋回性能、加 性能、制動性能、雨天時の走行安定性など) より一層の向上を図ることができると共に 偏摩耗を抑制して、高寿命化を図ることが きる。

 次いで、図14を参照して、第3実施の形態 おけるキャンバー制御処理について説明す 。図14は、キャンバー制御処理を示すフロ チャートである。この処理は、車両用制御 置100の電源が投入されている間、CPU71によっ て繰り返し(例えば、0.2ms間隔で)実行される 理である。

 CPU71は、S4の処理において、ステアリング 54の操作角が所定値に達していないと判断さ る場合には(S4:No)、急旋回は指示されておら ず、緩やかな旋回又は直進走行であり、また 、S1からS3及びS17からS19の処理より、路面状 は良好であり、急加速や急制動も指示され おらず、大きな駆動力の発生や停車は予測 れず、右左折や車線変更に伴う旋回動作も 測されず、更に、高グリップ性の選択は指 されていないと推定される(S1:No、S2:No、S3:No S17:No、S18:No、S19:No)。

 よって、この場合には(S1:No、S2:No、S3:No、 S17:No、S18:No、S19:No、S4:No)、車輪302の性能とし て高グリップ性を得る必要はなく、低転がり 抵抗による省燃費性能を得ることが好ましい と判断できるので、車輪2にキャンバー定常 を付与して(S25)、このキャンバー処理を終了 する。なお、本実施の形態では、キャンバー 定常角が0°(図10に図示する左の前輪202FL参照) に設定される。

 これにより、第1トレッド221及び第3トレ ド323が路面Gから離れた状態で、第2トレッド 22のみを接地させることができるので、車輪3 02全体としての転がり抵抗をより小さくして 省燃費性能のより一層の向上を図ることが きる。また、この場合には、第1トレッド221 及び第3トレッド323が接地せず、かつ、キャ バー角が0°で第2トレッド22が接地されるこ で、これら各トレッド221,22,323の摩耗を抑制 て、高寿命化を図ることができる。

 また、S4の処理において、ステアリング54 の操作角が所定値以上であると判断される場 合には(S4:Yes)、急旋回が運転者より指示され おり、車輪2がスリップして、車両301がスピ ンするおそれがある。そこで、本実施の形態 では、旋回外輪(図13では右の前輪202FR)にネガ ティブキャンバーを付与すると共に、旋回内 輪(図13では左の前輪202FL)にポジティブキャン バーを付与して(S36)、このキャンバー処理を 了する。

 即ち、S36の処理では、図13に示すように 左右の車輪320がいずれも旋回内方側(図13右 )に傾斜するように、キャンバー角θR,θLを付 与するので、左右両輪302にそれぞれ横力を発 生させて、それら両輪302の横力を旋回力とし て利用することができるので、旋回性能のよ り一層の向上を図ることができる。

 次いで、図15を参照して、第4実施の形態 ついて説明する。図15は、第4実施の形態に けるキャンバー制御処理を示すフローチャ トである。この処理は、車両用制御装置100 電源が投入されている間、CPU71によって繰 返し(例えば、0.2ms間隔で)実行される処理で る。

 第1実施の形態では、例えば、急加速や急 旋回などが運転者により指示された場合に車 輪2のキャンバー角を調整する場合を説明し が、第4実施の形態では、スリップした車輪2 02がある場合にその車輪202のキャンバー角を 整するように構成されている。

 なお、上記した各実施の形態と同一の部 には同一の符号を付して、その説明は省略 る。また、第4実施の形態では、第2実施の 態における車両201(車輪202)を車両用制御装置 100で制御する場合を例に説明する。

 CPU71は、キャンバー角S4の処理において、 まず、車両速度を検出すると共に(S41)、車輪2 02の回転速度(周速度)を検出し(S42)、これら車 両速度と車輪202の周速度とに基づいて、スリ ップしている車輪202が有るか否かを判断する (S43)。なお、車両速度及び車輪202の周速度は 上述したように、車両速度センサ装置32及 車輪回転速度センサ装置35により算出される 。

 その結果、S43の処理において、スリップ ている車輪202はない、即ち、全ての車輪202 路面Gにグリップして走行していると判断さ れる場合には(S43:No)、車輪202の性能として高 リップ性を得る必要はなく、低転がり抵抗 よる省燃費性能を得ることが好ましいと判 できるので、車輪202にキャンバー定常角(第 2実施の形態の場合と同様に0°)を付与して(S44 )、このキャンバー処理を終了する。

 これにより、第1トレッド221が路面Gから れた状態で、第2トレッド22のみを接地させ ことができるので、車輪202全体としての転 り抵抗をより小さくして、省燃費性能のよ 一層の向上を図ることができる。また、こ 場合には、第1トレッド221が接地せず、かつ キャンバー角が0°で第2トレッド22が接地さ ることで、これら両トレッド221,22の摩耗を 制して、高寿命化を図ることができる。

 一方、S43の処理において、スリップして る車輪202があると判断される場合には(S43:Ye s)、車両201の加速性能や走行安定性が損なわ るおそれがあるので、スリップしている車 202にネガティブキャンバーを付与して(S45) このキャンバー処理を終了する。

 これにより、上述した第1実施の形態の場 合と同様に、第1トレッド221の接地(接地圧又 接地面積)Rinが増加されると共に第2トレッ 22の接地(接地圧又は接地面積)Routが減少され る(本実施の形態では接地(接地圧又は接地面 )Routが0となる)ことで、第1トレッド221の高 リップ性を利用して、車輪202のスリップを 止することができ、車両201の加速性能や走 安定性の向上を図ることができる。

 次いで、図16から図19を参照して、第5実 の形態について説明する。第1実施の形態で 、車輪2にネガティブキャンバー又はポジテ ィブキャンバーを付与する場合に、そのキャ ンバー角が車両1の走行状態に寄らず一定値 ある場合を説明したが、第5実施の形態では 車両1の走行状態に応じて、車輪2に付与さ るキャンバー角の大きさが増減するように 成されている。

 なお、上記した各実施の形態と同一の部 には同一の符号を付して、その説明は省略 る。また、第5実施の形態では、第1実施の 態における車両1(車輪2)を車両用制御装置500 制御する場合を例に説明する。

 図16は、第5実施の形態における車両用制 装置500の電気的構成を示したブロック図で る。車両用制御装置500は、図16に示すよう 、CPU71、ROM572及びRAM73を備え、これらはバス イン74を介して入出力ポート75に接続されて いる。第5実施の形態におけるROM572には、摩 係数マップ572aとキャンバー角マップ572bとが 設けられている。なお、これら両マップ572a,5 72bの詳細については、図17及び図18を参照し 後述する。

 路面状況スイッチセンサ装置558aは、路面 状況スイッチ(図示せず)の操作状態を検出す と共に、その検出結果をCPU71に出力するた の装置であり、路面状況スイッチの操作状 (操作位置)を検出するポジショニングセンサ (図示せず)と、そのポジショニングセンサの 出結果を処理してCPU71に出力する制御回路( 示せず)とを主に備えている。

 なお、路面状況スイッチは、運転者によ 操作される操作部材であり、走行路面の状 に応じて、運転者により路面状況スイッチ 切り換えられると、その操作状態(操作位置 )に応じて、キャンバー角調整装置4の作動制 がCPU71により行われる。具体的には、路面 況スイッチは、3段式(3ポジション式)のロッ ースイッチとして構成され、第1位置は走行 路面が乾燥舗装路である状態に、第2位置は 行路面が未舗装路である状態に、第3位置は 行路面が雨天舗装路である状態に。それぞ 対応する。

 図17は、摩擦係数マップ572aの内容を模式 に図示した模式図である。摩擦係数マップ5 72aは、アクセルペダル52a及びブレーキペダル 53の踏み込み量(操作量)と必要前後摩擦係数 の関係を記憶したマップである。

 CPU71は、この摩擦係数マップ572aの内容に づいて、現在の車両1の走行状態において車 輪2が発揮すべき摩擦係数(即ち、車輪2にスリ ップやロックを生じさせないために必要な摩 擦係数)を算出する。なお、縦軸に示した必 前後摩擦係数は、車輪2にスリップ又はロッ を生じさせないために必要な車両前後方向( 図1上下方向)における摩擦係数である。

 この摩擦係数マップ572aによれば、図17に すように、アクセルペダル52及びブレーキ ダル53が操作されていない状態(アクセル及 ブレーキ操作量=0)では、必要前後摩擦係数 最小値μfminに規定されると共に、アクセル ダル52又はブレーキペダル53の操作量(踏み込 み量)に比例して、必要前後摩擦係数が直線 に変化し、アクセルペダル52又はブレーキペ ダル53の操作量が最大に操作された状態(アク セル操作量=100%)において、必要前後摩擦係数 が最大値μfmaxとなるように規定されている。

 図18は、キャンバー角マップ572bの内容を 式的に図示した模式図である。キャンバー マップ572bは、車輪2の摩擦係数及び転がり 抗とキャンバー角との関係を記憶したマッ であり、車輪2を使用した予備試験で実測さ た値が記憶されている。

 CPU71は、このキャンバー角マップ572bの内 に基づいて、車輪2に付与すべきキャンバー 角を算出する。

 なお、図18において、実線501は摩擦係数 、実線502は転がり抵抗に、それぞれ対応す 。また、横軸のキャンバー角は、図18右側( 度0度よりもθa側)がネガティブキャンバー( ち、高グリップの第1トレッド21の接地(接地 又は接地面積)が増加する側、図5参照)に、 18左側(角度0度よりもθb側)がポジティブキ ンバー(即ち、低転がり抵抗の第2トレッド22 接地(接地圧又は接地面積)が増加する側、 6参照)に、それぞれ対応する。

 ここで、キャンバー角マップ572bには、上 述した路面状況スイッチの3種類の操作状態 対応して、3種類のマップが記憶されている 、図18では、図面を簡素化して理解を容易 するべく、1種類のマップ(乾燥舗装路用マッ プ)のみを代表例として図示し、他の2種類に いてはその図示を省略している。

 即ち、キャンバー角マップ572bには、乾燥 舗装路用マップ、未舗装用マップ及び雨天舗 装路用マップの3種類が記憶されており、CPU71 は、路面状況スイッチの操作状態を検出し、 乾燥舗装路が指示されている場合には乾燥舗 装路用マップを、未舗装路が指示されている 場合には未舗装路用マップを、雨天舗装路が 指示されている場合には雨天舗装路用マップ を、それぞれ読み出し、その内容に基づいて 、キャンバー角調整装置4の作動制御を行う

 このキャンバー角マップ572bによれば、図 18に示すように、キャンバー角が0度の状態( ち、第1トレッド21と第2トレッド22とが均等 接地している状態)から、キネガティブキャ バー側(θa側)へ向けて変化すると、かかる 化に伴って、高グリップ特性の第1トレッド2 1の接地(接地圧又は接地面積)が漸次増加する (低転がり抵抗の第2トレッド22の接地(接地圧 は接地面積)が漸次減少する)ことで、摩擦 数(及び転がり抵抗)が漸次増加するように規 定されている。

 そして、キャンバー角がθa(以下、「第2 ャンバー角θa」と称す。)に達すると、第2ト レッド22が走行路面から離間され、第1トレッ ド21のみが走行路面に接地した状態となるこ で、摩擦係数が最大値μaに達する。

 なお、キャンバー角が第2キャンバー角θa からネガティブキャンバー側へ向けて更に変 化しても、第2トレッド22が既に走行路面から 離間されているので、摩擦係数の変化はほと んど生じず、摩擦係数は最大値μaに維持され る。また、転がり抵抗の変化も同様であり、 第2キャンバー角θaで最大値となり、その後 ほぼ一定値を維持する。

 一方、図18に示すように、キャンバー角 0度の状態(即ち、第1トレッド21と第2トレッ 22とが均等に接地している状態)から、ポジ ィブキャンバー側(θb側)へ向けて変化すると 、かかる変化に伴って、低転がり抵抗の第2 レッド22の接地(接地圧又は接地面積)が漸次 加する(高グリップ特性の第1トレッド21の接 地(接地圧又は接地面積)が漸次減少する)こと で、摩擦係数(及び転がり抵抗)が漸次減少す ように規定されている。

 そして、キャンバー角がθb(以下、「第1 ャンバー角θb」と称す。)に達すると、第1ト レッド21が走行路面から離間され、第2トレッ ド22のみが走行路面に接地した状態となるこ で、摩擦係数が最小値μbに達する。

 なお、キャンバー角が第1キャンバー角θb からポジティブキャンバー側へ向けて更に変 化しても、第1トレッド21が既に走行路面から 離間されているので、摩擦係数の変化はほと んど生じず、摩擦係数は最小値μbに維持され る。また、転がり抵抗の変化も同様であり、 第1キャンバー角θbで最小値となり、その後 ほぼ一定値を維持する。

 ここで、図18で図示を省略した未舗装路 用マップ及び雨天舗装路面用マップについ は、乾燥路面用マップの実線を摩擦係数が さくなる方向へ平行移動した特性である。 ち、摩擦係数が最小値又は最大値となるキ ンバー角はいずれのマップにおいても第1又 第2キャンバー角θa,θbである。

 次いで、図19を参照して、第5実施の形態 おけるキャンバー制御処理について説明す 。図19は、キャンバー制御処理を示すフロ チャートである。この処理は、車両用制御 置500の電源が投入されている間、CPU71によっ て繰り返し(例えば、0.2ms間隔で)実行される 理である。

 CPU71は、キャンバー制御処理に関し、ま 、路面状況を判断する(S51)。この処理は、路 面状況スイッチセンサ装置558a(図16参照)によ 検出結果を確認し、運転者による路面状況 イッチの操作状態を取得することで行われ 。即ち、CPU71は、上述したように、路面状 スイッチの操作位置を第1位置と確認した場 には、路面状況を乾燥路面と判断し、第2位 置であれば未舗装路面と判断すると共に、第 3位置であれば雨天舗装路面と判断する。

 次いで、S52の処理では、アクセルペダル5 2及びブレーキペダル53の操作状態を検出し(S5 2)、その検出した操作状態に対応する必要前 摩擦係数を摩擦係数マップ572a(図17参照)か 読み出す(S53)。これにより、車輪2にスリッ 又はロックを生じさせないために必要な車 前後方向(図1上下方向)における摩擦係数を ることができる。

 次いで、S54の処理では、車輪2の舵角及び 車両1の対地速度(車速)を検出し(S54)、その検 した舵角及び車速から必要横摩擦係数を算 する(S55)。なお、CPU71は、上述したように、 ステアリングセンサ装置54a及び車両速度セン サ装置32の検出結果に基づいて、車輪2の舵角 及び車両1の対地速度を検出する。

 ここで、必要横摩擦係数は、旋回走行中 車両1において、その車輪2にスリップが生 させないために必要な車両左右方向(図1左右 方向)における摩擦係数であり、次に説明す ように算出される。

 即ち、まず、車輪2の舵角σ、アッカーマ 旋回半径R0及び車両1のホイールベースIの関 係は、tanσ=I/R0により表すことができる。こ 関係式は、舵角σが微小角の場合、σ=I/R0と 似することができる。これをアッカーマン 回半径R0について変形することで、R0=I/σを ることができる。

 一方、車両1の実旋回半径R及び車両1の対 速度(車速)vの関係は、車両1について実測し たスタビリティファクターKを使用すること 、車両1のステア特性より、R/R0=1+K・v2により 表すことができる。これを実旋回半径Rにつ て変形すると共に、先に求めたアッカーマ 旋回半径R0を代入することで、R=I(1+K・v2)/σ 得ることができる。

 ここで、旋回走行中に車両1に作用する遠 心力Fは、車両1の重量をmとすれば、F=m・v2/R なり、これに先に求めた実旋回半径Rを代入 ることで、F=m・v2・σ/(I(1+K・v2))を得ること できる。車輪2が横方向(車両1の左右方向)に スリップすることを回避するための摩擦力は 、この遠心力Fよりも大きな値であれば良い で、必要横摩擦係数μwは、遠心力Fを重量mで 割ることで、μw=F/m=v2・σ/(I(1+K・v2))により表 ことができる。

 S53及びS55の処理において必要前後摩擦係 及び必要横摩擦係数を得た後は、それら必 前後摩擦係数及び必要横摩擦係数に基づい (即ち、車両1の前後方向及び左右方向を向 ベクトルの合力として)、必要摩擦係数を算 して(S56)、S57の処理へ移行する。

 S57の処理では、S56の処理において算出し 必要摩擦係数と、車輪2が発揮可能な摩擦係 数の最大値μa及び最小値μbとを比較し、必要 摩擦係数が最小値μb以上かつ最大値μa以下で あるか否かを判断する(S57)。

 なお、車輪2が発揮可能な摩擦係数の最大 値μa及び最小値μbは、上述したように、キャ ンバー角マップ572b(図18参照)から読み出され 。また、この場合には、CPU71は、S51の処理 おいて判別した路面状況に応じたマップを3 類のマップの中から選択し、その選択した ップの内容に基づいて、最大値μa及び最小 μbを読み出す。

 S57において判断した結果、必要摩擦係数 最小値μb以上かつ最大値μa以下であると判 される場合には(S57:Yes)、必要摩擦係数に対 する(即ち、必要摩擦係数と同等の摩擦係数 となる)キャンバー角をキャンバー角マップ57 2bから読み出し(S58)、その読み出したキャン ー角を車輪2に付与して(S59)、このキャンバ 制御処理を終了する。

 具体的には、この場合は、例えば、S56の 理において算出された必要摩擦係数がμxで って、μb≦μx≦μaの関係が成り立つという とであるので(S57:Yes)、この必要摩擦係数μx 対応するキャンバー角を図18に示すキャン ー角マップ572bからθxと読み出し(S58)、この み出したキャンバー角θxを車輪2に付与する( S59)。

 これにより、車輪2の発揮する摩擦係数の 変更を必要最低限の摩擦係数に制御すること ができるので、加速制動性能や旋回性能を必 要な分だけ確保しつつも、転がり抵抗をより 小さな値に抑制して、より一層の省燃費を達 成することができる。

 一方、S57の処理において、必要摩擦係数 最小値μb以上かつ最大値μa以下ではないと 断される場合には(S57:No)、次いで、必要摩 係数が最小値μbよりも小さいか否かを判断 る(S60)。その結果、必要摩擦係数が最小値μb よりも小さいと判断される場合には(S60:Yes)、 第1キャンバー角を車輪2に付与して(S61)、こ キャンバー制御処理を終了する。

 具体的には、この場合は、S56の処理にお て算出された必要摩擦係数μyが最小値μbよ も小さい(μy<μb)ということであるが(S60:Ye s)、上述の場合のように、必要摩擦係数μyに 応するキャンバー角を図18に示すキャンバ 角マップ572bから例えばθyと読み出すのでは く、この場合は、車輪2に付与するキャンバ ー角を第1キャンバー角θbと決定し、これを 輪2に付与する(S61)。

 このように、本実施の形態では、図18に すように、S56の処理において算出された必 摩擦係数μyが車輪2の発揮できる摩擦係数の 小値μbを下回っている場合、車輪2に第1キ ンバー角θbよりも絶対値が大きなキャンバ 角を付与しても、それ以上の転がり抵抗の 減(省燃費走行の達成)を見込めないと判断し 、車輪2には、最小値μbを発揮可能な範囲内 最も小さい角度(0度に近い角度)、即ち、第1 ャンバー角θbを付与する。これにより、キ ンバー角が不必要に大きくなることを回避 て、車両1の走行安定性を確保することがで きる。

 一方、S60の処理において、必要摩擦係数 最小値μbよりも小さいと判断されない場合 は(S60:No)、必要摩擦係数が最大値μaよりも きいということであるので、この場合には(S 60:No)、第2キャンバー角を車輪2に付与すると に(S62)、報知処理(S63)を実行して、このキャ ンバー制御処理を終了する。

 具体的には、この場合は、S56の処理にお て算出された必要摩擦係数μzが最大値μaよ も大きい(μb<μz)ということであるが(S60:No )、上述の場合のように、必要摩擦係数μzに 応するキャンバー角を図18に示すキャンバー 角マップ572bから例えばθzと読み出すのでは く、この場合は、車輪2に付与するキャンバ 角を第2キャンバー角θaと決定し、これを車 輪2に付与する(S62)。

 このように、本実施の形態では、図18に すように、S56の処理において算出された必 摩擦係数μzが車輪2の発揮できる摩擦係数の 大値μaを越えている場合、車輪2に第2キャ バー角θaよりも絶対値が大きなキャンバー を付与しても、それ以上の摩擦係数の増加( リップ性能の向上)を見込めないと判断し、 車輪2には、最大値μaを発揮可能な範囲内で も小さい角度(0度に近い角度)、即ち、第2キ ンバー角θaを付与する。これにより、キャ バー角が不必要に大きくなることを回避し 、車両1の走行安定性を確保することができ る。

 ここで、報知処理(S63)では、急加速や急 動などによって、車輪2がスリップやロック ている(又はするおそれのある)旨をスピー ーから出力すると共にモニター装置へ表示 ることで、運転者に対して報知する。なお 車両1が加速状態にある場合には、車両1の速 度を低下させる手段(例えば、制動装置の作 による車両1の制動やエンジン等の出力を低 させる)をS63の処理において実行しても良い 。これにより、車両1の速度を運転者の操作 寄らず機械的に低下させることができ、安 性の向上に寄与できる。

 次いで、図20を参照して、第6実施の形態 ついて説明する。第5実施の形態では、車輪 2に第1トレッド21及び第2トレッド22が設けら る場合を説明したが、第6実施の形態では、 述した第3実施の形態の場合と同様に、車輪 302に第1トレッド221、第2トレッド22及び第3ト ッド323が設けられている。

 なお、上記した各実施の形態と同一の部 には同一の符号を付して、その説明は省略 る。また、第6実施の形態では、第3実施の 態における車両301(車輪302、図12又は図13参照 )を第5実施の形態における車両用制御装置500 制御する場合を例に説明する。但し、第6実 施の形態では、第5実施の形態に対して、後 するように、キャンバー角マップの構成が なる。

 図20は、第6実施の形態におけるキャンバ 角マップの内容を模式的に図示した模式図 ある。キャンバー角マップは、車輪302の摩 係数及び転がり抵抗とキャンバー角との関 を記憶したマップであり、車輪302を使用し 予備試験で実測された値が記憶されている CPU71は、上述した第5実施の形態の場合と同 に、このキャンバー角マップの内容に基づ て、車輪302に付与すべきキャンバー角を算 する。

 なお、図20において、実線601は摩擦係数 、実線602は転がり抵抗に、それぞれ対応す 。また、第6実施の形態におけるキャンバー マップには、第5実施の形態の場合と同様に 、路面状況スイッチの3種類の操作状態に対 して、3種類のマップが記憶されているが、 20では、図面を簡素化して理解を容易とす べく、1種類のマップ(乾燥舗装路用マップ) みを代表例として図示し、他の2種類につい はその図示を省略している。

 第6実施の形態におけるキャンバー角マップ によれば、図20に示すように、キャンバー角 0度の状態(即ち、第2トレッド22のみが接地 、第1及び第3トレッド221,323が走行路面から 間している状態)から、ネガティブキャンバ 側(θbn側)へ向けて変化した場合、キャンバ 角がθbnまでの間は、第2トレッド22のみが接 地し、第1トレッド221(及び第3トレッド323)は 行路面から離間しているので、摩擦係数は 小値μbに維持される。なお、転がり抵抗に いても同様であり、この区間においては、 小値を維持する。

 そして、キャンバー角がθbnから、ネガテ ィブキャンバー側(θan側)へ向けて変化すると 、かかる変化に伴って、高グリップ特性の第 1トレッド221の接地(接地圧又は接地面積)が漸 次増加する(低転がり抵抗の第2トレッド22の 地(接地圧又は接地面積)が漸次減少する)こ で、摩擦係数(及び転がり抵抗)が漸次増加す る。

 その後、キャンバー角がθan(以下、「第3 ャンバー角θan」と称す。)に達すると、第2 レッド22が走行路面から離間され、第1トレ ド221のみが走行路面に接地した状態となる とで、摩擦係数が最大値μaに達する。

 この場合、キャンバー角が第3キャンバー 角θanからネガティブキャンバー側(図20右側) 向けて更に変化しても、第2トレッド22が既 走行路面から離間されており、走行路面に 地するのは第1トレッド221のみであるので、 摩擦係数の変化はほとんど生じず、摩擦係数 は最大値μaに維持される。また、転がり抵抗 の変化も同様であり、キャンバー角が第3キ ンバー角θanに達した時点で最大値となり、 の後はほぼ一定値を維持する。

 同様に、図20に示すように、キャンバー が0度の状態(即ち、第2トレッド22のみが接地 し、第1及び第3トレッド221,323が走行路面から 離間している状態)から、ポジティブキャン ー側(θbp側)へ向けて変化した場合、キャン ー角がθbpまでの間は、第2トレッド22のみが 地し、第3トレッド323(及び第1トレッド221)は 走行路面から離間しているので、摩擦係数は 最小値μbに維持される。なお、転がり抵抗に ついても同様であり、この区間においては、 最小値を維持する。

 そして、キャンバー角がθbpから、ポジテ ィブキャンバー側(θap側)へ向けて変化すると 、かかる変化に伴って、高グリップ特性の第 3トレッド323の接地(接地圧又は接地面積)が漸 次増加する(低転がり抵抗の第2トレッド22の 地(接地圧又は接地面積)が漸次減少する)こ で、摩擦係数(及び転がり抵抗)が漸次増加す る。

 その後、キャンバー角がθap(以下、「第4 ャンバー角θap」と称す。)に達すると、第2 レッド22が走行路面から離間され、第3トレ ド323のみが走行路面に接地した状態となる とで、摩擦係数が最大値μaに達する。

 この場合、キャンバー角が第4キャンバー 角θapからポジティブキャンバー側(図20左側) 向けて更に変化しても、第2トレッド22が既 走行路面から離間されており、走行路面に 地するのは第3トレッド323のみであるので、 摩擦係数の変化はほとんど生じず、摩擦係数 は最大値μaに維持される。また、転がり抵抗 の変化も同様であり、キャンバー角が第4キ ンバー角θapに達した時点で最大値となり、 の後はほぼ一定値を維持する。

 次いで、図21を参照して、第6実施の形態 おけるキャンバー制御処理について説明す 。図21は、キャンバー制御処理を示すフロ チャートである。この処理は、車両用制御 置500の電源が投入されている間、CPU71によっ て繰り返し(例えば、0.2ms間隔で)実行される 理である。

 第6実施の形態では、CPU71は、キャンバー 御処理に関し、第5実施の形態の場合と同様 に、路面状況を判断した後(S51)、アクセルペ ル52及びブレーキペダル53の操作状態を検出 し(S52)、その検出した操作状態に対応する必 前後摩擦係数を摩擦係数マップ572a(図17参照 )から読み出す(S53)。

 S53の処理を実行した後は、車輪302の舵角 び車両1の対地速度(車速)を検出し(S54)、そ 検出した舵角及び車速から必要横摩擦係数 算出した後(S55)、必要前後摩擦係数及び必要 横摩擦係数に基づいて、必要摩擦係数を算出 し(S56)、その算出した必要摩擦係数が最小値 b以上かつ最大値μa以下であるか否かを判断 る(S57)。

 その結果、必要摩擦係数が最小値μb以上 つ最大値μa以下であると判断される場合に (S57:Yes)、次いで、ステアリング54の操作角 所定値以上であるか否か、即ち、所定以上 旋回(急旋回)が運転者により指示されている か否かを判断する(S601)。

 その結果、ステアリング54の操作角が所 値以上であると判断される場合には(S601:Yes) 急旋回が運転者より指示されており、スリ プのおそれがあると判断し、本実施の形態 は、必要摩擦係数に対応する(即ち、必要摩 擦係数と同等の摩擦係数となる)キャンバー であって、旋回外輪がネガティブキャンバ となり、かつ、旋回内輪がポジティブキャ バーとなるキャンバー角を図20に示すキャン バー角マップから読み出し(S658)、その読み出 したキャンバー角を車輪302に付与して(S59)、 のキャンバー制御処理を終了する。

 これにより、第3実施の形態の場合と同様 に、左右の車輪320がいずれも旋回内方側に傾 斜するように、キャンバー角を付与すること ができる(図13参照)。その結果、左右両輪302 それぞれ横力を発生させて、それら両輪302 横力を旋回力として利用することができ、 回性能のより一層の向上を図ることができ 。

 一方、S601の処理において、ステアリング 54の操作角が所定値に達していないと判断さ る場合には(S601:No)、急旋回は指示されてお ず、比較的緩やかな旋回又は直進走行であ と判断し、本実施の形態では、必要摩擦係 に対応する(即ち、必要摩擦係数と同等の摩 擦係数となる)キャンバー角であって、左右 輪がネガティブキャンバーとなるキャンバ 角を図20に示すキャンバー角マップから読み 出し(S602)、その読み出したキャンバー角を車 輪302に付与して(S59)、このキャンバー制御処 を終了する。これにより、車両301の姿勢を 定に保つことができる。

 一方、S57の処理において、必要摩擦係数 最小値μb以上かつ最大値μa以下ではないと 断される場合には(S57:No)、次いで、必要摩 係数が最小値μbよりも小さいか否かを判断 (S60)。必要摩擦係数が最小値μbよりも小さい と判断される場合には(S60:Yes)、キャンバー定 常角を車輪302に付与して(S661)、このキャンバ ー制御処理を終了する。

 なお、本実施の形態では、キャンバー定 角が0度に設定される。これにより、第1ト ッド221及び第3トレッド323が走行路面から離 た状態で、第2トレッド22のみを接地させる とができるので、車輪302全体としての転が 抵抗をより小さくして、省燃費性能のより 層の向上を図ることができる。また、この 合には、第1トレッド221及び第3トレッド323 接地せず、かつ、キャンバー角が0度で第2ト レッド22が接地されることで、これら各トレ ド221,22,323の摩耗を抑制して、高寿命化を図 ることができる。更に、キャンバー角が不必 要に大きくなることを回避して、車両1の走 安定性を確保することができる。

 一方、S60の処理において、必要摩擦係数 最小値μbよりも小さいと判断されない場合 即ち、必要摩擦係数が最大値μaよりも大き 場合には(S60:No)、次いで、ステアリング54の 操作角は所定値以上であるか否か、即ち、所 定以上の旋回(急旋回)が運転者により指示さ ているか否かを判断する(S603)。

 その結果、ステアリング54の操作角が所 値以上であると判断される場合には(S604:Yes) 急旋回が運転者より指示されており、スリ プのおそれがあると判断し、本実施の形態 は、旋回外輪に上述した第3キャンバー角を 付与すると共に旋回内輪に上述した第4キャ バー角を付与する(S605)。

 これにより、旋回外輪がネガティブキャ バーとなり、かつ、旋回内輪がポジティブ ャンバーとなり、第3実施の形態の場合と同 様に、左右の車輪320がいずれも旋回内方側に 傾斜するように、キャンバー角を付与するこ とができる(図13参照)。その結果、左右両輪30 2にそれぞれ横力を発生させて、それら両輪30 2の横力を旋回力として利用することができ 旋回性能のより一層の向上を図ることがで る。

 一方、S603の処理において、ステアリング 54の操作角が所定値に達していないと判断さ る場合には(S603:No)、急旋回は指示されてお ず、比較的緩やかな旋回又は直進走行であ と判断し、本実施の形態では、左右両輪に 3キャンバー角を付与する(S604)。これにより 、左右両輪にネガティブキャンバーを付与し て、車両301の姿勢を安定に保つことができる 。

 なお、本実施の形態では、上述した第5実 施の形態の場合と同様に、S56の処理において 算出された必要摩擦係数が車輪2の発揮でき 摩擦係数の最大値μaを越えている場合、車 302に第3又は第4キャンバー角よりも絶対値が 大きなキャンバー角を付与しても、それ以上 の摩擦係数の増加(グリップ性能の向上)を見 めないと判断し、車輪302には、最大値μaを 揮可能な範囲内で最も小さい角度(0度に近 角度)、即ち、第3又は第4キャンバー角を付 する。これにより、キャンバー角が不必要 大きくなることを回避して、車両301の走行 定性を確保することができる。

 S604又はS605の処理を実行した後は、報知 理(S63)を実行して、このキャンバー制御処理 を終了する。

 次いで、図22及び図23を参照して、第7実 の形態について説明する。なお、上記した 実施の形態と同一の部分には同一の符号を して、その説明は省略する。また、第7実施 形態では、第1実施の形態における車両1(車 2)を車両用制御装置700で制御する場合を例 説明する。

 また、本実施の形態では、車輪2には、通 常、ポジティブキャンバーが付与され、低転 がり抵抗の第2トレッド22が使用される一方、 所定条件を満たした場合には、ネガティブキ ャンバーが付与され、高グリップ特性の第1 レッド21が使用される。これにより、省燃費 走行と加速・制動性能や旋回性能の向上との 両立が図られる。

 図22は、第7実施の形態における車両用制 装置700の電気的構成を示したブロック図で る。車両用制御装置700は、図22に示すよう 、CPU71、EEPROM772及びRAM73を備え、これらはバ ライン74を介して入出力ポート75に接続され ている。

 EEPROM772は、CPU71により実行される制御プ グラムや固定値データ等を格納した書き換 可能に記憶するための不揮発性のメモリで り、電源オフ後もデータを保持可能に構成 れている。このEEPROM772には過去メモリ772aが けられている。

 過去メモリ772aは、スリップ履歴情報およ びステア操作情報を位置情報に対応付けて記 憶するメモリであり、CPU71は、後述するよう 、この過去メモリ772aの内容に基づいて、車 両1の現在位置がスリップ頻度やステア操作 度の高い場所であるか否かを判断する(図23 S87~S90参照)。

 なお、CPU71は、車両用制御装置700の電源 オンされている間、車輪2のスリップ状態や 両1のステア操作状態を所定間隔毎に定期的 に検出し、その検出結果を位置情報に対応付 けた状態で過去メモリ772aに書き込むことで スリップ履歴情報およびステア操作情報の 容が逐次更新(蓄積)されている。

 ナビゲーション装置758は、車両1の現在位 置や目的地までの経路案内などを表示可能な 装置であり、GPS衛星から位置情報(例えば、 度情報及び経度情報)を受信するGPS受信機(図 示せず)と、VICSセンタなどの情報センタや渋 情報などの蓄積されたデータベースなどか 渋滞情報などの交通情報を受信する交通情 受信機(図示せず)と、マンマシンインター ェイス装置(操作スイッチ、LCD装置およびス ーカ装置)と、地図データなどの種々の情報 が記憶されたDVDから情報を読み取るDVD装置と 、車両1の回転角速度を検出するジャイロス ープとを主に備える。

 CPU71は、ナビゲーション装置758から入力 れる位置情報及び回転角速度と車両速度セ サ装置32から入力される移動速度(対地速度) に基づいて、車両1の現在位置を求めること ができ、また、DVD装置から入力される地図デ ータに基づいて、車両1の走行経路の状況(例 ば、所定距離先に交差点、踏切、料金所等 あるか否かなど)を取得することができる。

 車間距離センサ装置759は、対象物までの 離及び速度の計測を行い、その結果をCPU71 出力する装置であり、ミリ波(30GHzから300GHz 度の電磁波)を発信する発信部と、対象物か 反射してきた電磁波を受信する受信部と、 の受信部で受信した電磁波に基づいて、元 号との周波数差を計測する計測部とを備え (いずれも図示せず)。

 CPU71は、計測部で計測された周波数差に づいて、対象物までの距離及び速度(対象物 の間の相対速度)を取得することができる。 なお、本実施の形態では、車両1の前方に1つ ミリ波レーダー759が設けられており、車両1 の前方を走行(又は停止)する他車との間の相 的位置関係(例えば、車間距離や相対速度) 計測するように構成されている。

 次いで、図23を参照して、第7実施の形態 おけるキャンバー制御処理について説明す 。図23は、キャンバー制御処理を示すフロ チャートである。この処理は、車両用制御 置700の電源が投入されている間、CPU71によっ て繰り返し(例えば、0.2ms間隔で)実行される 理である。

 CPU71は、キャンバー制御処理に関し、ま 、車両1の現在位置を検出し、走行経路の状 を取得する(S71)。なお、現在位置及び走行 路の状況は、上述したように、ナビゲーシ ン装置758を利用して取得する。また、走行 路の状況とは、ナビゲーション装置758によ 案内される車両1の走行経路上の状況であっ 、その車両1の現在位置に対して所定距離だ け進行方向前方(本実施の形態では、50m先)の 況に対応する。

 S71の処理において走行経路の状況を取得 た後は、次いで、その取得した走行経路の 況が交差点であるか否かを判断する(S72)。 の結果、交差点であると判断される場合に (S72:Yes)、次いで、その走行経路の状況が直 であるか否か、即ち、ナビゲーション装置75 8により案内されている走行経路が交差点を 進するものであるか否かを判断する(S73)。

 その結果、直進ではないと判断される場 には(S73:No)、ナビゲーション装置758により 内されている走行経路が交差点を右折又は 折するものであり、車両1が交差点を右折又 左折するために減速(制動)動作及び旋回動 を行うと推定されるので、車輪2にネガティ キャンバーを付与して(S76)、このキャンバ 制御処理を終了する。

 これにより、第1トレッド21の接地(接地圧 又は接地面積)Rinが増加されると共に第2トレ ド22の接地(接地圧又は接地面積)Routが減少 れることで(図5参照)、第1トレッド21の高グ ップ性を利用して、車両1の制動性能及び旋 性能の向上を図ることができる。

 一方、S73の処理において、直進である判 される場合には(S73:Yes)、ナビゲーション装 758により案内されている走行経路が交差点 通過するものである。この場合には(S73:Yes) 過去メモリ772aから交差点走行情報を読み出 し(S74)、通過予定の交差点における停止頻度 所定値以上であるか否かを判断する(S75)。

 その結果、通過予定の交差点における停 頻度が所定値以上であると判断される場合 は(S75:Yes)、その交差点における停止(例えば 、信号による停止又は信号はないが左右確認 のための停止など)の頻度が高く、車両1が交 点において減速(制動)動作を行う可能性が いと推定されるので、車輪2にネガティブキ ンバーを付与して(S76)、このキャンバー制 処理を終了する。

 これにより、第1トレッド21の接地(接地圧 又は接地面積)Rinが増加されると共に第2トレ ド22の接地(接地圧又は接地面積)Routが減少 れることで(図5参照)、第1トレッド21の高グ ップ性を利用して、車両1の制動性能の向上 図ることができる。

 一方、S75の処理において、通過予定の交 点における停止頻度が所定値に満たないと 断される場合には(S75:No)、その交差点にお る停止(例えば、信号による停止又は信号は いが左右確認のための停止など)の頻度が低 く、車両1が交差点をそのままの速度で通過 ると推定されるので、次いで、S77の処理へ 行して、走行経路の状況が踏切であるか否 を判断する(S77)。

 また、S72の処理において、走行経路の状 が交差点ではないと判断される場合には(S72 :No)、上述した交差点における右左折や一時 止等のための動作は必要ないと推定される ので、次いで、S77の処理へ移行して、走行 路の状況が踏切であるか否かを判断する(S77) 。

 その結果、踏切であると判断される場合 は(S77:Yes)、車両1が踏切での一時停止のため に減速(制動)動作を行うと推定されるので、 輪2にネガティブキャンバーを付与して(S76) このキャンバー制御処理を終了する。

 これにより、第1トレッド21の接地(接地圧 又は接地面積)Rinが増加されると共に第2トレ ド22の接地(接地圧又は接地面積)Routが減少 れることで(図5参照)、第1トレッド21の高グ ップ性を利用して、車両1の制動性能の向上 図ることができる。

 一方、S77の処理において、踏切ではない 判断される場合には(S77:No)、踏切での一時 止は必要ないと推定されるので、次いで、 行経路の状況が料金所であるか否かを判断 る(S78)。

 その結果、料金所であると判断される場 には(S78:Yes)、車両1が料金所での一時停止( は、ETCレーンでの減速走行)のために減速(制 動)動作を行うと推定されるので、車輪2にネ ティブキャンバーを付与して(S76)、このキ ンバー制御処理を終了する。

 これにより、第1トレッド21の接地(接地圧 又は接地面積)Rinが増加されると共に第2トレ ド22の接地(接地圧又は接地面積)Routが減少 れることで(図5参照)、第1トレッド21の高グ ップ性を利用して、車両1の制動性能の向上 図ることができる。

 一方、S78の処理において、料金所ではな と判断される場合には(S78:No)、料金所での 時停止や減速は必要ないと推定されるので 次いで、走行経路の状況がカーブであるか かを判断する(S79)。

 その結果、カーブであると判断される場 には(S79:Yes)、車両1がカーブへの進入に際し て減速(制動)動作を行うと推定されると共に ーブ通過の際の車輪2のスリップを防止する 必要があると推定されるので、車輪2にネガ ィブキャンバーを付与して(S76)、このキャン バー制御処理を終了する。

 これにより、第1トレッド21の接地(接地圧 又は接地面積)Rinが増加されると共に第2トレ ド22の接地(接地圧又は接地面積)Routが減少 れることで(図5参照)、第1トレッド21の高グ ップ性を利用して、車両1の制動性能や旋回 能の向上を図ることができる。

 一方、S79の処理において、カーブではな と判断される場合には(S79:No)、カーブに対 る減速等の準備は必要ないと推定されるの 、次いで、走行経路の状況が傾斜路である 否かを判断する(S80)。

 その結果、傾斜路(例えば、上り坂や下り 坂)であると判断される場合には(S80:Yes)、例 ば、車両1が下り坂への進入に際して減速(制 動)動作を行うと推定されると共に上り坂で 登坂時における車輪2のスリップや下り坂で 制動時における車輪2のロックを防止する必 要があると推定されるので、車輪2にネガテ ブキャンバーを付与して(S76)、このキャンバ ー制御処理を終了する。

 これにより、第1トレッド21の接地(接地圧 又は接地面積)Rinが増加されると共に第2トレ ド22の接地(接地圧又は接地面積)Routが減少 れることで(図5参照)、第1トレッド21の高グ ップ性を利用して、車両1の加速・制動性能 旋回性能の向上を図ることができる。

 一方、S80の処理において、傾斜路ではな と判断される場合には(S80:No)、傾斜路に対 る減速等の準備は必要ないと推定されるの 、次いで、走行経路の状況が合流・分岐で るか否かを判断する(S81)。

 その結果、合流・分岐であると判断され 場合には(S81:Yes)、車両1が合流・分岐に際し て加速動作・減速(制動)動作や旋回動作を行 と推定されるので、車輪2にネガティブキャ ンバーを付与して(S76)、このキャンバー制御 理を終了する。

 これにより、第1トレッド21の接地(接地圧 又は接地面積)Rinが増加されると共に第2トレ ド22の接地(接地圧又は接地面積)Routが減少 れることで(図5参照)、第1トレッド21の高グ ップ性を利用して、車両1の加速・制動性能 旋回性能の向上を図ることができる。

 一方、S81の処理において、合流・分岐で ないと判断される場合には(S81:No)、合流・ 岐に対する加速等の準備は必要ないと推定 れるので、次いで、走行経路の状況が未舗 路であるか否かを判断する(S82)。

 その結果、未舗装路であると判断される 合には(S82:Yes)、路面の摩擦係数が低く、車 1(車輪2)がスリップするおそれがあると推定 されるので、車輪2にネガティブキャンバー 付与して(S76)、このキャンバー制御処理を終 了する。

 これにより、第1トレッド21の接地(接地圧 又は接地面積)Rinが増加されると共に第2トレ ド22の接地(接地圧又は接地面積)Routが減少 れることで(図5参照)、第1トレッド21の高グ ップ性を利用して、車両1の加速・制動性能 旋回性能の向上を図ることができる。

 一方、S82の処理において、未舗装路では いと判断される場合には(S82:No)、走行路面 状態は良好でありスリップのおそれは低い 推定されるので、次いで、走行経路の状況 渋滞であるか否かを判断する(S83)。

 なお、走行経路の状況が渋滞であるか否 は、上述したように、ナビゲーション装置7 58が備える交通情報受信機を利用し、この交 情報受信機がVICSセンタから受信した渋滞情 報に基づいて判断する。

 その結果、渋滞であると判断される場合 は(S83:Yes)、例えば、前車が渋滞により低速 行しており、その前車との衝突を回避する めに車両1が急制動動作を行うおそれがある と共に、渋滞中の低速走行時には車両1がそ 後に加速する可能性も高いと推定されるの 、車輪2にネガティブキャンバーを付与して( S76)、このキャンバー制御処理を終了する。

 これにより、第1トレッド21の接地(接地圧 又は接地面積)Rinが増加されると共に第2トレ ド22の接地(接地圧又は接地面積)Routが減少 れることで(図5参照)、第1トレッド21の高グ ップ性を利用して、車両1の加速性能や制動 能の向上を図ることができる。

 一方、S83の処理において、渋滞ではない 判断される場合には(S83:No)、渋滞に対する 速等の準備は必要ないと推定されるので、 いで、走行経路の状況が走行規制中である 否かを判断する(S84)。

 なお、走行経路の状況が走行規制中であ か否かは、上述したように、ナビゲーショ 装置758が備える交通情報受信機を利用し、 の交通情報受信機がVICSセンタから受信した 交通情報に基づいて判断する。

 その結果、走行規制中であると判断され 場合には(S84:Yes)、例えば、前車が走行規制 より低速走行しており、その前車との衝突 回避するために車両1が急制動動作を行うお それがあると共に、走行規制中の低速走行時 には車両1がその後に加速する可能性も高い 推定され、また、雨・雪情報区間の場合、 リップするおそれがあると推定されるので 車輪2にネガティブキャンバーを付与して(S76 )、このキャンバー制御処理を終了する。

 これにより、第1トレッド21の接地(接地圧 又は接地面積)Rinが増加されると共に第2トレ ド22の接地(接地圧又は接地面積)Routが減少 れることで(図5参照)、第1トレッド21の高グ ップ性を利用して、車両1の加速性能や制動 能の向上を図ることができる。

 一方、S84の処理において、走行規制中で ないと判断される場合には(S84:No)、走行規 に対する減速等の準備は必要ないと推定さ るので、次いで、車間距離センサ装置759の 出結果を確認し(S85)、前車との車間距離が所 定値以下であるか否かを判断する(S86)。

 その結果、前車との車間距離が所定値以 であると判断される場合には(S86:Yes)、前車 の間の車間距離が不十分で、前車が減速し 際などにその前車との衝突を回避するため 車両1が急制動動作を行うおそれがあると推 定されるので、車輪2にネガティブキャンバ を付与して(S76)、このキャンバー制御処理を 終了する。

 これにより、第1トレッド21の接地(接地圧 又は接地面積)Rinが増加されると共に第2トレ ド22の接地(接地圧又は接地面積)Routが減少 れることで(図5参照)、第1トレッド21の高グ ップ性を利用して、車両1の制動性能の向上 図ることができる。

 一方、S86の処理において、車間距離が所 値を越えていると判断される場合には(S86:No )、前車との間の車間距離が十分に確保され おり、減速等に対する準備は必要ないと推 されるので、次いで、過去メモリ772aからス ップ履歴情報を読み出し(S87)、走行経路に けるスリップ頻度が所定値以上であるか否 を判断する(S88)。

 その結果、走行経路におけるスリップ頻 が所定値以上であると判断される場合には( S88:Yes)、その走行経路におけるスリップの頻 が高く(例えば、ナビゲーション装置758の地 図情報では舗装路となっているが、近隣環境 の影響等により砂やオイル等が浮いている路 面である場合など)、車両1(車輪2)がスリップ るおそれが高いと推定されるので、車輪2に ネガティブキャンバーを付与して(S76)、この ャンバー制御処理を終了する。

 これにより、第1トレッド21の接地(接地圧 又は接地面積)Rinが増加されると共に第2トレ ド22の接地(接地圧又は接地面積)Routが減少 れることで(図5参照)、第1トレッド21の高グ ップ性を利用して、車両1の加速・制動性能 旋回性能の向上を図ることができる。

 一方、S88の処理において、走行経路にお るスリップ頻度が所定値よりも低いと判断 れる場合には(S88:No)、その走行経路におけ スリップの頻度が低く、車両1(車輪2)がスリ プするおそれは低いと推定されるので、次 で、過去メモリ772aからステア履歴情報を読 み出し(S89)、走行経路におけるステア頻度が 定値以上であるか否かを判断する(S90)。

 その結果、走行経路におけるステア頻度 所定値以上であると判断される場合には(S90 :Yes)、その走行経路におけるステア操作の頻 が高く(例えば、走行経路上に障害物(例え 、走行路面上の陥没穴など)が存在し、その 害物を回避するためにステア操作を行う必 がある走行経路など)、車両1(車輪2)がスリ プするおそれが高いと推定されるので、車 2にネガティブキャンバーを付与して(S76)、 のキャンバー制御処理を終了する。

 これにより、第1トレッド21の接地(接地圧 又は接地面積)Rinが増加されると共に第2トレ ド22の接地(接地圧又は接地面積)Routが減少 れることで(図5参照)、第1トレッド21の高グ ップ性を利用して、車両1の加速・制動性能 旋回性能の向上を図ることができる。

 一方、S90の処理において、走行経路にお るステア頻度が所定値よりも低いと判断さ る場合には(S90:No)、その走行経路における テア操作の頻度が低く、車両1(車輪2)がスリ プするおそれは低いと推定されるので、車 2にポジティブキャンバーを付与して(S91)、 のキャンバー制御処理を終了する。

 これにより、第1トレッド21の接地(接地圧 又は接地面積)Rinが減少されると共に第2トレ ド22の接地(接地圧又は接地面積)Routが増加 れることで(図6参照)、第2トレッド21の低転 り抵抗を利用して、車輪2の転がり効率を向 させることができ、車両1の省燃費性能の向 上を図ることができる。

 このように、本実施の形態によれば、キ ンバー角調整装置4により車輪2のキャンバ 角を調整して、第1トレッド21における接地( 地圧又は接地面積)Rinと第2トレッド22におけ る接地(接地圧又は接地面積)Routとの比率を変 更することで、加速性能及び制動性能と省燃 費性能との互いに背反する2つの性能の両立 図ることができる。

 ここで、図23に示すフローチャート(キャ バー制御処理)において、請求項1記載の作 制御手段としてはS76及びS91の処理が、周辺 報取得手段としてはS71,S74,S87及びS89の処理が 、特性判断手段としてはS72,S73,S75,S77~S84,S88及 S90の処理が、キャンバー角変更手段として S76及びS91の処理が、請求項2記載の状況取得 手段としてはS71の処理が、特性判断手段とし てはS72,S73,S75,S77~S84,S88及びS90の処理が、請求 3記載の相対位置取得手段としてはS85の処理 が、特性判断手段としてはS86の処理が、それ ぞれ該当する。

 次いで、図24及び図25を参照して、第8実 の形態について説明する。第1実施の形態で 、車輪2のキャンバー角θR,θLを調整して、 行性能(加速性能及び制動性能)と省燃費性能 との両立を図る場合を説明したが、第8実施 形態では、車輪2のキャンバー角θR,θLを調整 して、タイヤノイズの抑制による静粛性能の 向上と低燃費走行との両立を図る。

 なお、上記した各実施の形態と同一の部 には同一の符号を付して、その説明は省略 る。また、第8実施の形態では、第1実施の 態における車両1(車輪2)を車両用制御装置800 制御する場合を例に説明する。

 また、本実施の形態では、車輪2には、通 常、ポジティブキャンバーが付与され、低転 がり抵抗の第2トレッド22が使用される一方、 所定条件を満たした場合には、ネガティブキ ャンバーが付与され、高グリップ特性の第1 レッド21が使用される。これにより、省燃費 走行と静粛性能の向上との両立が図られる。

 図23は、第8実施の形態における車両用制 装置800の電気的構成を示したブロック図で る。車両用制御装置800のEEPROM772には、図23 示すように、過去メモリ772aと静粛性要求メ リ772bとが設けられている。

 静粛性要求メモリ772bは、静粛性要求レベ ル情報を位置情報に対応付けて記憶するメモ リであり、CPU71は、後述するように、この静 性要求メモリ772bの内容に基づいて、車両1 現在位置がどの程度の静粛性を要求するエ アであるか(本実施の形態では、タイヤノイ を抑制して走行する静粛走行が終日要求さ るエリア(静粛性第1要求エリア)であるのか 或いは、特定の時間帯でのみ静粛走行が要 されるエリア(静粛性第2要求エリア)である か)を判断する(図25のS803,S807参照)。

 走行モードスイッチセンサ装置860は、走 モードスイッチ(図示せず)の操作状態を検 すると共に、その検出結果をCPU71に出力する ための装置であり、走行モードスイッチの操 作状態(操作位置)を検出するポジショニング ンサ(図示せず)と、そのポジショニングセ サの検出結果を処理してCPU71に出力する制御 回路(図示せず)とを主に備えている。

 なお、走行モードスイッチとは、運転者 より操作されるスイッチ(操作部材)であり その操作状態(操作位置)に応じて、車両1の 行モードが設定される。即ち、走行モード イッチがオンされると、走行モードとして 粛走行モードが選択され、車両1の状況が所 の条件となった場合(例えば、細街路を走行 する場合や病院等の施設近傍を通過する場合 など)に、静粛走行が実行される。一方、走 モードスイッチがオフされると、静粛走行 ードが解除され、省燃費走行モードが選択 れる(図25のS801参照)。

 手動切換スイッチセンサ装置861は、手動 換スイッチ(図示せず)の操作状態を検出す と共に、その検出結果をCPU71に出力するため の装置であり、手動切換スイッチの操作状態 (操作位置)を検出するポジショニングセンサ( 図示せず)と、そのポジショニングセンサの 出結果を処理してCPU71に出力する制御回路( 示せず)とを主に備えている。

 なお、手動切換スイッチは、運転者によ 操作される操作部材であり、その操作状態( 操作位置)に応じて、キャンバー角調整装置4 作動制御が行われる。即ち、運転者は、手 切換スイッチをオンすることで、車輪2の特 性を静粛性(即ち、ゴム硬度が低いトレッド) 選択された状態に強制的に設定することが きる(図25のS808参照)。

 次いで、図25を参照して、第8実施の形態 おけるキャンバー制御処理について説明す 。図25は、キャンバー制御処理を示すフロ チャートである。この処理は、車両用制御 置800の電源が投入されている間、CPU71によっ て繰り返し(例えば、0.2ms間隔で)実行される 理である。

 CPU71は、キャンバー制御処理に関し、ま 、車両1の走行モードが静粛走行モードに設 されているか否かを判断する(S801)。なお、 の判断は、上述したように、運転者が走行 ードスイッチをオンして静粛走行モードを 択しているか否か、即ち、走行モードスイ チセンサ装置860(図24参照)による走行モード スイッチセンサの検出結果に基づいて判断す る。

 S801の処理による判断の結果、車両1の走 モードが静粛走行モードに設定されている 判断される場合には(S801:Yes)、車両1が静粛走 行を実行する状況にあるか否かを確認するべ く、まず、車両1の現在位置を取得し(S802)、 いで、車両1の現在位置が静粛性第1要求エリ ア内であるか否かを判断する(S803)。なお、現 在位置は、上述したように、ナビゲーション 装置758を利用して取得する。

 S803の処理で判断した結果、車両1の現在 置が静粛性第1要求エリア内にあると判断さ る場合には(S803:Yes)、タイヤノイズを抑制し て走行する静粛走行が終日(24時間)要求され エリア内に車両1があるということなので、 輪2にネガティブキャンバーを付与して(S804) 、このキャンバー制御処理を終了する。

 これにより、第1トレッド21の接地(接地圧 又は接地面積)Rinが増加されると共に第2トレ ド22の接地(接地圧又は接地面積)Routが減少 れることで(図5参照)、第1トレッド21の高グ ップ性(ゴム硬度の高いトレッド)を利用して 、タイヤノイズを抑制することができ、その 結果、車両1の静粛性能の向上を図ることが きる。

 なお、車両1が静粛性第1要求エリア内に るか否かは、S802の処理により取得した車両1 の現在位置(位置情報)と、静粛性要求メモリ7 72b(図24参照)に記憶される静粛性要求レベル 報とに基づいて判断する。また、静粛性第1 求エリアとしては、例えば、病院や学校等 施設から所定範囲内のエリアが例示される

 一方、S803の処理による判断の結果、車両 1が静粛性第1要求エリア内にないと判断され 場合には(S803:No)、車両1が、所定時間帯の間 でのみ静粛走行を要求するエリア内か、或い は、静粛走行が要求されていないエリア内の いずれかにあるということである。

 よって、この場合には(S803:No)、まず、現 時刻を取得し(S805)、現在時刻が深夜(本実施 の形態では、22時から6時の時間帯)であるか かを判断する(S806)。そして、現在時刻が深 であると判断される場合には(S806:Yes)、次い 、車両1の現在位置が静粛性第2要求エリア にあるか否か、即ち、所定の時間帯(即ち、 夜)の間でのみ静粛走行を要求するエリア内 に車両1があるか否かを判断する(S807)。

 S807の処理により判断した結果、車両1が 粛第2要求エリア内にあると判断される場合 は(S807:Yes)、車両1の現在位置は現在時刻に いて静粛走行を要求するエリア内にあると うことであるので、車輪2にネガティブキャ バーを付与して(S804)、このキャンバー制御 理を終了する。

 これにより、第1トレッド21の接地(接地圧 又は接地面積)Rinが増加されると共に第2トレ ド22の接地(接地圧又は接地面積)Routが減少 れることで(図5参照)、第1トレッド21の高グ ップ性(ゴム硬度の高いトレッド)を利用して 、タイヤノイズを抑制することができ、その 結果、車両1の静粛性能の向上を図ることが きる。

 なお、車両1が静粛性第2要求エリア内に るか否かは、上述した場合と同様に、S802の 理により取得した車両1の現在位置(位置情 )と、静粛性要求メモリ772b(図24参照)に記憶 れる静粛性要求レベル情報とに基づいて判 する。また、静粛性第2要求エリアとしては 例えば、住宅から所定範囲内のエリアが例 される。また、現在時刻の取得は、CPU71に 蔵される計時装置を用いても良く、或いは ナビゲーション装置758に内蔵される計時装 を用いても良い。

 一方、S806の処理により判断した結果、現 在時刻が深夜ではないと判断される場合には (S806:No)、例えば車両1が静粛性第2要求エリア にあっても時間外であるので静粛走行を行 必要はない。よって、この場合には(S806:No) S807の処理をスキップして、S808の処理へ移 する。

 S808の処理では、手動切換スイッチがオン されているか否か、即ち、静粛走行を行うこ とが運転者より指示されているか否かを判断 する(S808)。その結果、手動切換スイッチがオ ンされていると判断される場合には(S808)、車 両1は静粛走行が要求されるエリア内になく 静粛走行を行う必要はないが、運転者によ 静粛走行の指示がなされているということ あるので、車輪2にネガティブキャンバーを 与して(S804)、このキャンバー制御処理を終 する。

 これにより、第1トレッド21の接地(接地圧 又は接地面積)Rinが増加されると共に第2トレ ド22の接地(接地圧又は接地面積)Routが減少 れることで(図5参照)、第1トレッド21の高グ ップ性(ゴム硬度の高いトレッド)を利用して 、タイヤノイズを抑制することができ、その 結果、車両1の静粛性能の向上を図ることが きる。

 一方、手動切換スイッチがオンされてい い(オフである)と判断される場合には(S808) 車両1は静粛走行が要求されるエリア内にな 、静粛走行を行う必要がなく、かつ、運転 による静粛走行の指示もなされているとい ことであるので、車輪2にポジティブキャン バーを付与して(S809)、このキャンバー制御処 理を終了する。

 これにより、第1トレッド21の接地(接地圧 又は接地面積)Rinが減少されると共に第2トレ ド22の接地(接地圧又は接地面積)Routが増加 れることで(図6参照)、第2トレッド21の低転 り抵抗を利用して、車輪2の転がり効率を向 させることができ、車両1の省燃費性能の向 上を図ることができる。

 また、S801の処理による判断の結果、車両 1の走行モードが静粛走行モードに設定され いないと判断される場合には(S801:No)、走行 ードスイッチがオフされており、運転者に り省燃費走行モードが指示されているとい ことであるので、車輪2にポジティブキャン ーを付与して(S809)、このキャンバー制御処 を終了する。

 これにより、第1トレッド21の接地(接地圧 又は接地面積)Rinが減少されると共に第2トレ ド22の接地(接地圧又は接地面積)Routが増加 れることで(図6参照)、第2トレッド21の低転 り抵抗を利用して、車輪2の転がり効率を向 させることができ、車両1の省燃費性能の向 上を図ることができる。

 このように、本実施の形態によれば、キ ンバー角調整装置4により車輪2のキャンバ 角を調整して、第1トレッド21における接地( 地圧又は接地面積)Rinと第2トレッド22におけ る接地(接地圧又は接地面積)Routとの比率を変 更することで、静粛性能と省燃費性能との互 いに背反する2つの性能の両立を図ることが きる。

 ここで、図23に示すフローチャート(キャ バー制御処理)において、請求項1記載の作 制御手段としてはS76及びS91の処理が、周辺 報取得手段としてはS71,S74,S87及びS89の処理が 、特性判断手段としてはS72,S73,S75,S77~S84,S88及 S90の処理が、キャンバー角変更手段として S76及びS91の処理が、請求項2記載の状況取得 手段としてはS71の処理が、特性判断手段とし てはS72,S73,S75,S77~S84,S88及びS90の処理が、請求 3記載の相対位置取得手段としてはS85の処理 が、特性判断手段としてはS86の処理が、それ ぞれ該当する。

 また、図25に示すフローチャート(キャン ー制御処理)において、請求項1記載の作動 御手段としてはS804及びS809の処理が、周辺情 報取得手段としてはS802の処理が、特性判断 段としてはS801,S803及びS806~S808の処理が、キ ンバー角変更手段としてはS804及びS809の処理 が、請求項4記載の時刻取得手段としてはS805 処理が、それぞれ該当する。

 以上、実施の形態に基づき本発明を説明 たが、本発明は上記実施の形態に何ら限定 れるものではなく、本発明の趣旨を逸脱し い範囲内で種々の改良変形が可能であるこ は容易に推察できるものである。

 例えば、上記実施の形態で挙げた数値は 例であり、他の数値を採用することは当然 能である。また、上記各実施の形態におけ 構成の一部又は全部を他の実施の形態にお る構成の一部又は全部と組み合わせて構成 ることは当然可能である。

 上記第1から第3実施の形態では、運転者 よるアクセルペダル52又はブレーキペダル53 操作量(踏み込み量)が所定値以上の場合に 輪2にネガティブキャンバーを付与する場合 説明したが(図7S2、S3及びS6参照)、必ずしも れに限られるものではなく、他の状態量に づいて車輪2のキャンバー角を決定するよう に構成することは当然可能である。同様に、 上記第5及び第6実施の形態では、摩擦係数マ プ572aのパラメータ(横軸)がアクセルペダル5 2又はブレーキペダル53の操作量(踏み込み量) より構成される場合を説明したが、必ずし これに限られるものではなく、他の状態量 よりパラメータを構成することは当然可能 ある。

 ここで、他の状態量としては、例えば、 クセルペダル52又はブレーキペダル53の操作 速度が例示される。例えば、アクセルペダル 52又はブレーキペダル53の踏み込み量が同一 あっても、その操作速度が基準値よりも速 (遅い)場合には、ネガティブキャンバー(ポ ティブキャンバー)を付与するように構成し も良い。

 或いは、他の状態量としては、例えば、 速機のシフト操作が例示される。例えば、 速機の減速度を上げるシフト操作(シフトダ ウン操作)が行われた場合に、そのシフト操 により比較的大きな加減速が発生すると判 して、車輪2にネガティブキャンバーを付与 るように構成しても良い。これにより、車 2のスリップやロックを抑制して、車両1の 速性能や制動性能の向上を図ることができ 。

 上記第1から第3実施の形態では、運転者 よるステアリング54の操作角が所定値以上の 場合に車輪2にネガティブキャンバーを付与 る場合を説明したが(図7S4及びS6参照)、必ず もこれに限られるものではなく、他の状態 に基づいて車輪2のキャンバー角を決定する ように構成することは当然可能である。

 ここで、他の状態量としては、例えば、 テアリング54の操作速度が例示される。例 ば、ステアリング54の操作角が同一であって も、その操作速度が基準値よりも速い(遅い) 合には、ネガティブキャンバー(ポジティブ キャンバー)を付与するように構成しても良 。

 上記第1から第3実施の形態では、請求項3 載の加減速状態判断手段として、各ペダル5 2,53の操作状態に基づいて判断する処理を例 したが、必ずしもこれに限られるものでは く、例えば、車両速度センサ装置32(前後方 加速度センサ32a、左右方向加速度センサ32b) より検出された実際の加減速度に基づいて 断することは当然可能である。即ち、車両 所定値以上の加減速度が発生した場合に、 輪2にネガティブキャンバーを付与し、所定 値に達していない場合にポジティブキャンバ ーを付与するように構成しても良い。この場 合には、車両前後方向と車両左右方向との両 方向の加減速度に基づいて判断しても良く、 或いは、これら両方向のいずれか一方の加減 速度のみに基づいて判断しても良い。

 上記第1から第3実施の形態では、請求項5 載の路面判断手段として、ワイパースイッ 55の操作状態に基づいて判断する処理を例 したが、必ずしもこれに限られるものでは く、例えば、雨量センサにより降雨量を検 し、その検出値が所定値以上の場合に、車 2にネガティブキャンバーを付与するように 成しても良い。或いは、非接触の光学式セ サ等で路面の状態を検出し、その検出結果( 路面の水膜状態、路面の積雪状態、路面の凍 結状態、或いは、舗装状態など)に基づいて 車輪にネガティブキャンバー又はポジティ キャンバーを付与するように構成しても良 。

 上記第1から第3実施の形態では、ネガテ ブキャンバーを付与するか否かの判断順序 して、ワイパースイッチ55の状態、アクセル ペダル52の状態、ブレーキペダル53の状態、 両速度の状態、ウィンカスイッチ56の状態、 高グリップスイッチ57の状態、ステアリング5 4の状態の順としたが(S1からS4参照)、この順 に限られるものではなく、これらを入れ替 て他の順序とすることは当然可能である。 た、これらの判断ステップの一部を省略す ことも当然可能である。

 上記各実施の形態では、左右の車輪2に付 与するキャンバー角θR,θLが同じ角度である 合を説明したが(θR=θL)、必ずしもこれに限 れるものではなく、左右の車輪2にそれぞれ なるキャンバー角θR,θLを付与することは当 然可能である(θR<θL又はθL<θR)。

 上記第1から第3実施の形態では、第1トレ ド21,221が車両内側に、第2トレッド22が車両 側に、それぞれ配設される場合を説明した 、この位置関係に限定されるものではなく 各車輪2毎に適宜変更することは当然可能で ある。

 例えば、第1トレッド21,221が車両外側に、 第2トレッド22が車両内側に、それぞれ配設さ れていても良く、前輪では第1トレッド21,221 車両外側に、後輪では第2トレッド22を車両 側に、それぞれ配設されていても良い。或 は、各車輪2毎にこの位置関係が異なってい も良い。

 上記第2から第4実施の形態では、キャン ー定常角が0°の場合を説明したが、必ずし これに限られるものではなく、キャンバー 常角をポジティブキャンバー又はネガティ キャンバーに設定することは当然可能であ 。

 上記各実施の形態では、車輪が2種類のト レッドを有する場合と3種類のトレッドを有 る場合とを説明したが、これらの車輪を組 合わせることは当然可能である。例えば、 輪には2種類のトレッドを有する車輪2、202を 使用し、後輪には3種類のトレッドを有する 輪303を使用しても良く、この逆でも良い。

 上記各実施の形態では、第1又は第3のト ッド21,221,323が第2のトレッド22に比して高グ ップ性の特性を有し、第2のトレッド22が第1 又は第3のトレッド21,221,323に比して低転がり の特性を有する場合を説明したが、これら トレッド21,221,22,323に他の特性を持たせて構 成することは当然可能である。例えば、2種 のトレッドパターン(溝)を設けることで、一 のトレッドは排水性の高い特性とし、他のト レッドはノードノイズの小さい特性をするも のが例示される。

 上記第4実施の形態では、車輪2がスリッ しているか否かに応じて車輪2のキャンバー を制御する場合を説明したが(図15S43からS45 照)、必ずしもこれに限られるものではなく 、他の状態に基づいて車輪2のキャンバー角 制御することは当然可能である。

 他の状態としては、例えば、車輪2が走行 する路面の摩擦係数μが例示される。なお、 擦係数μは上述したように接地荷重センサ 置34により推定することができる。或いは、 車輪2がロックしているか否かに基づいて、 輪2のキャンバー角を制御する(ロック時にネ ガティブキャンバーを付与する)ようにして 良い。

 上記第5及び第6実施の形態では、摩擦係 マップ572aにおいて、アクセル操作量に対す 必要前後摩擦係数の変化と、ブレーキ操作 に対する必要前後摩擦係数の変化とが同じ 化となるように構成する場合を説明したが( 図17参照)、かかる構成は一例であり、他の構 成とすることは当然可能である。

 例えば、アクセル操作量100%における必要 前後摩擦係数の最大値とブレーキ操作量100% おける必要前後摩擦係数の最大値とが異な 値であっても良い。また、アクセル操作量 の変化に対して必要前後摩擦係数が直線的 変化する場合を説明したが、かかる変化を 線とすることは当然可能である。

 上記第5及び第6実施の形態では、車両用 御装置500が1の摩擦係数マップ572aのみを備え る場合を説明したが、必ずしもこれに限られ るものではなく、複数の摩擦係数マップを備 えることは当然可能である。

 例えば、路面の状況に対応してそれぞれ なる内容で構成される複数の摩擦係数マッ (例えば、路面状況スイッチの操作範囲に対 応する乾燥舗装路用マップ、未舗装用マップ 及び雨天舗装路用マップの3種類)を準備し、 19のS53の処理においては、路面状況スイッ の操作状態に対応するマップから必要前後 擦係数を読み出すように構成しても良い。

 上記第7実施の形態では、走行経路が交差 点である場合に、その交差点を直進し且つ停 止頻度が所定値に満たない場合には、ネガテ ィブキャンバーを付与しない構成を説明した が(図23のS72~S75参照)、必ずしもこれに限られ ものではなく、例えば、走行経路が交差点 ある場合には(S72:Yes)、交差点で停止する準 として、常に(即ち、S73~S75の処理を実行す ことなく)、車輪2にネガティブキャンバーを 付与する(S76)ように構成しても良い。

 上記第7実施の形態では、車両1の走行経 の状況を、ナビゲーション装置758により案 される車両1の走行経路に基づいて判断する 合を説明したが、必ずしもこれに限られる のではなく、他の情報に基づいて車両1の走 行経路の状況を判断するように構成すること は当然可能である。

 即ち、ナビゲーション装置758による案内 有無に関わらず、車両1の現在位置の近傍に おける状況(例えば、車両1の所定半径(例えば 、50m)以内における状況、車両1の走行経路の 定距離前方(例えば、50m)における状況、車 1の走行経路の所定距離後方(例えば、50m)に ける状況、或いは、これらの各状況の組み わせなど)に基づいて判断しても良い。

 上記各実施の形態では、第1及び第2トレ ド21,221,22の特性より得られる2つの性能とし 、高グリップ性より得られる走行性能(加速 力・制動力・旋回力)と低転がり性(低転がり 抗)より得られる省燃費性能との2つの性能 或いは、高グリップ性(即ち、低ゴム硬度の レッド)により得られる静粛性能と低転がり 性(即ち、高ゴム硬度のトレッド)により得ら る静粛性能との2つの性能を例に説明したが 、必ずしもこれに限られるものではなく、他 の2つの性能を発揮するように各トレッド21,22 1,22を構成することは当然可能である。

 例えば、他の2つの性能としては、路面に できた水膜の除去に適した溝パターンより得 られる排水性能とパターンノイズの低減に適 した溝パターンより得られる低ノイズ性能と の2つの性能、未舗装路における路面に食い むブロックパターンより得られる未舗装路 のグリップ性能と溝を有さず接地面積を確 したトレッドより得られる乾燥舗装路での リップ性能との2つの性能、或いは、積雪路 凍結路において駆動力・制動力を発揮する 能と常温における舗装路面で駆動力・制動 を発揮する性能との2つの性能などが例示さ れる。

 上記第8実施の形態では、その説明を省略 したが、車輪2の各トレッド21,221,22のトレッ パターン(溝と切り込みで構成された柄や模 )はそれぞれのトレッド21,221,22が同じパター ンであっても良く、或いは、異なるパターン であっても良い。この場合には、第1トレッ 21,221と第2トレッド22との両者のトレッドパ ーンが同じ場合には両者のゴム硬度を異な せ、第1トレッド21,221と第2トレッド22との両 のトレッドパターンが異なる場合には両者 ゴム硬度は異なっていても同じであっても い。即ち、一方のトレッドが他方のトレッ よりも静粛性能に優れ、他方のトレッドが 方のトレッドよりも省燃費性能に優れるも であれば良い。

 上記各実施の形態では、その説明を省略 たが、車輪2の各トレッド21,221,22にはトレッ ドパターン(溝と切り込みで構成された柄や 様)が設けられていても良く、或いは、省略 れていても良い。この場合には、第1トレッ ド21,221と第2トレッド22との両者にトレッドパ ターンの形成を省略する(いわゆるスリック イヤとする)場合には両者のゴム硬度を異な せ、第1トレッド21,221と第2トレッド22とのい ずれか一方のみにトレッドパターンを設ける 場合には両者のゴム硬度は異なっていても同 じであっても良い。即ち、一方のトレッドが 他方のトレッドよりも静粛性能に優れ、他方 のトレッドが一方のトレッドよりも省燃費性 能に優れるものであれば良い。

 上記第8実施の形態では、走行モードが静 粛走行モードでない場合(即ち、走行モード イッチがオンされていない場合)には、省燃 走行を行う場合を説明したが、必ずしもこ に限られるものではなく、例えば、走行モ ドスイッチがオフされている(即ち、静粛走 行モードが選択されていない)場合には、第7 施の形態におけるキャンバー制御処理を実 するように構成しても良い。

 即ち、運転者に操作される操作部材(上記 実施の形態では走行モードスイッチ)が第1の 作をされている場合(上記実施の形態ではオ ンされている場合)には、図25のキャンバー制 御処理を実行し、操作部材(上記実施の形態 は走行モードスイッチ)が第2の操作をされて いる場合(上記実施の形態ではオフされてい 場合)には、図23のキャンバー制御処理を実 するようにしても良い。この場合には、図25 においてS801の処理を省略する。

 上記第8実施の形態では、車両1の速度に わらず、所定の条件(S803:Yes、S807:Yes、S808:Yes) を満たせば一律に車輪2にネガティブキャン ーを付与する場合を説明したが、必ずしも れに限られるものではなく、例えば、車両1 速度が所定速度(例えば、時速10km)よりも低 であれば、車輪2にポジティブキャンバーを 付与するように構成しても良い。低速であれ ば、タイヤノイズによる騒音は抑制されるの で、静粛性を確保することができる。よって 、静粛性能と省燃費性能との両立を図ること ができる。

 上記第8実施の形態では、車両1が静粛性 2要求エリア内にある場合に、車輪2にネガテ ィブキャンバーを付与するか否かは、現在時 刻が深夜であるか否かに基づいて判断する場 合を説明したが、必ずしもこれに限られるも のではなく、例えば、車両1のライトがオン れているか否かに基づいて判断するように 成しても良い。




 
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