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Patent Searching and Data


Title:
COPPER ALLOY SHEET MATERIAL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/060873
Kind Code:
A1
Abstract:
A copper alloy sheet material which has a tensile strength of 730-820 MPa and contains at least nickel and silicon besides copper and incidental impurities. When the sheet material has a shape capable of 180° tight bending and the width and thickness of this sheet material are expressed by W (unit: mm) and T (unit: mm), respectively, then the product of W and T is 0.16 or less. Preferably, the sheet material is constituted of an alloy containing 1.8-3.3 mass% nickel, 0.4-1.1 mass% silicon, and 0.01-0.5 mass% chromium, with the remainder being copper and incidental impurities. The sheet material may further contain one or more of: at least one member selected among tin, magnesium, silver, manganese, titanium, iron, and phosphorus in a total amount of 0.01-1 mass%; 0.01-10 mass% zinc, and 0.01-1.5 mass% cobalt.

Inventors:
KANEKO HIROSHI (JP)
HIROSE KIYOSHIGE (JP)
MIHARA KUNITERU (JP)
EGUCHI TATSUHIKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/070139
Publication Date:
May 14, 2009
Filing Date:
November 05, 2008
Export Citation:
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Assignee:
FURUKAWA ELECTRIC CO LTD (JP)
KANEKO HIROSHI (JP)
HIROSE KIYOSHIGE (JP)
MIHARA KUNITERU (JP)
EGUCHI TATSUHIKO (JP)
International Classes:
C22C9/06; B21B3/00; C22C9/04; C22F1/08; C22F1/00
Foreign References:
JP2006265731A2006-10-05
JP2006161148A2006-06-22
JP2002180165A2002-06-26
JP2002266042A2002-09-18
JP2006152392A2006-06-15
JP2006283059A2006-10-19
JPH05156392A1993-06-22
JPH03236432A1991-10-22
JPH1143731A1999-02-16
JP2005532477A2005-10-27
JP2007287066A2007-11-01
Other References:
See also references of EP 2221391A4
Attorney, Agent or Firm:
IIDA, Toshizo (1-10 Shimbashi 3-chome, Minato-k, Tokyo 04, JP)
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Claims:
 引張強度が730~820MPaであり、銅と不可避的不純物のほかに少なくともNiとSiを含む銅合金板材であって、180°密着曲げ可能な材料板幅をW(単位:mm)、材料板厚をT(単位:mm)としたときに、WとTとの積(単位:mm 2 )が0.16以下であることを特徴とする銅合金板材。
 結晶粒界上に存在する第二相粒子が、10 4 ~10 8 個/mm 2 の密度で存在し、平均結晶粒径が10μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の銅合金板材。
 結晶粒内と結晶粒界上を含めた全第二相粒子の粒子径r(単位:μm)と、粒子の体積分率fの比であるr/fの値が1以上100以下であり、平均結晶粒径が10μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の銅合金板材。
 前記第二相粒子のうち、構成元素にCrを含む粒子の割合が50%以上であることを特徴とする、請求項2または請求項3の銅合金板材。
 Niを1.8~3.3mass%、Siを0.4~1.1mass%、Crを0.01~0.5mass%含有し、残部がCuと不可避不純物からなる合金成分であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の銅合金板材。
 Sn、Mg、Ag、Mn、Ti、Fe、Pの少なくとも1種を合計で0.01~1mass%、Znを0.01~10mass%、Coを0.01~1.5mass%の中から、1種または2種以上の元素を含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の銅合金板材。
 165℃で3000時間保持した場合の応力緩和率が30%以下であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の銅合金板材。
Description:
銅合金板材

 本発明は、銅合金板材に関する。

 電気・電子機器用途に使用される銅合金 材に要求される特性項目には、例えばそれ れ一定の、導電率、引張強度、曲げ加工性 耐応力緩和特性等が挙げられる。近年、電 ・電子機器の小型化、軽量化、高機能化、 密度実装化や、使用環境の高温化に伴って これらの要求特性の水準が高まっている。

 従来、一般的に電気・電子機器用材料とし は、鉄系材料の他、リン青銅、丹銅、黄銅 の銅系材料も広く用いられている。これら 合金はSnやZnの固溶強化と、圧延や線引きな どの冷間加工による加工硬化の組み合わせに より強度を向上させている。この強化方法で 得られる合金は、近年の要求水準に対しては 、導電率が不十分であり、また、高い冷間加 工率を加えることによって高強度を得ている ために、曲げ加工性や耐応力緩和特性が不十 分である。
 これに替わる強化法として材料中にナノメ トルオーダーの微細な第二相(粒子)を析出 せる析出強化がある。この強化方法は強度 高くなることに加えて、導電率を同時に向 させるメリットがあるため、多くの合金系 行われている。その中で、Cu中にNiとSiの化 物を微細に析出させて強化させたCu-Ni-Si系合 金(例えば、CDA[Copper Development Association]登録 金であるCDA70250:特許文献1~2参照)は、その市 場で使用される量が増えている。

特開平11-43731号公報

特表2005-532477号公報

 一般的に析出硬化型合金では微細な析出状 を得る時効析出熱処理の前に、溶質原子を 溶させるための溶体化熱処理が中間工程で 入される。この温度は合金系や溶質濃度に って異なるものの例えば750℃程度と高温で る。この溶体化処理温度が高温のために、 料の結晶粒径が粗大になる問題がある。結 粒径が粗大な場合、曲げ加工時の局所変形 助長してクラックが発生する不具合や、曲 部表面のシワが大きくなるために、曲げ部 接点として使用する場合は電流の集中や、 料表面に施されたメッキが割れたりなどの 具合が発生する。また、結晶粒径の粗大化 防止するために、溶体化熱処理の温度を低 すると、固溶する原子の量が少なくなって まい、時効処理において微細な析出物の密 が低くなり、時効硬化量が少なくなってし い、材料強度が低下する問題が発生する。
 このように、充分に溶質原子のNiとSiを固溶 できる高温での溶体化熱処理下において結晶 粒径を小さく制御し、高強度で高曲げ加工性 の材料を得る技術が求められている。

 上記のような問題点に鑑み、本発明の目 は、曲げ加工性に優れ、優れた強度を有す 電気・電子機器材料用の銅合金板材を提供 ることにある。

 本発明者らは、電気・電子部品用途に適 た銅合金について研究を行い、Cu-Ni-Si系銅 金において、曲げ加工性、強度を大きく向 させるために、第二相粒子を分散させる方 に着眼し、鋭意検討の末に本発明に至った また、本合金系において、導電性を損なう となく、強度や耐応力緩和特性を向上させ 働きのある添加元素を見出し、本発明の好 しい態様に至ったものである。ここで、第 相粒子とは、析出物および晶出物のことを す。

 本発明によれば、以下の手段が提供される:
(1)引張強度が730~820MPaであり、銅と不可避的 純物のほかに少なくともNiとSiを含む銅合金 材であって、180°密着曲げ可能な材料板幅 W(単位:mm)、材料板厚をT(単位:mm)としたとき 、WとTとの積(単位:mm 2 )が0.16以下であることを特徴とする銅合金板 、
(2)結晶粒界上に存在する第二相粒子が、10 4 ~10 8 個/mm 2 の密度で存在し、平均結晶粒径が10μm以下で ることを特徴とする、(1)に記載の銅合金板 、
(3)結晶粒内と結晶粒界上を含めた全第二相粒 子の粒子径r(単位:μm)と、粒子の体積分率fの であるr/fの値が1以上100以下であり、平均結 晶粒径が10μm以下であることを特徴とする(1) 記載の銅合金板材、
(4)前記第二相粒子のうち、構成元素にCrを含 粒子の割合が50%以上であることを特徴とす 、(2)または(3)に記載の銅合金板材、
(5)Niを1.8~3.3mass%、Siを0.4~1.1mass%、Crを0.01~0.5mass %含有し、残部がCuと不可避不純物からなる合 金成分であることを特徴とする、(1)~(4)のい れか1項に記載の銅合金板材、
(6)Sn、Mg、Ag、Mn、Ti、Fe、Pの少なくとも1種を 計で0.01~1mass%、Znを0.01~10mass%、Coを0.01~1.5mass% の中から、1種または2種以上を含むことを特 とする、(1)~(5)のいずれか1項に記載の銅合 板材、および
(7)165℃で3000時間保持した場合の応力緩和率 30%以下であることを特徴とする、(1)~(6)のい れか1項に記載の銅合金板材。

 本発明の上記及び他の特徴及び利点は、 宜添付の図面を参照して、下記の記載から り明らかになるであろう。

図1は、耐応力緩和特性の試験方法の説 明図であり、図1(a)は熱処理前、図1(b)は熱処 後の状態を示す。 図2は、各実施例及び比較例における試 験片の板幅W(mm)と板厚T(mm)を変更した時のク ック発生の有無に関する結果を示すグラフ ある。

 本発明の銅合金板材の好ましい実施の態 について、詳細に説明する。

 本発明の銅合金板材の引張強度は730~820MPaの 強度である。好ましくは、740~800MPaである。
 曲げ加工性は材料板幅W(mm)と材料板厚T(mm)の 積が0.16(mm 2 )以下のような厳しい条件での180°密着曲げが 可能であることである。このWとTの積は、好 しくは0.14以下である。また、WとTの積の下 値には特に制限はないが、通常、0.01以上で ある。
 また、導電率は30%IACS以上が好ましく、耐応 力緩和特性は165℃で3000時間以上保持した場 の応力緩和率が30%以下であることが好まし 。
 曲げ加工性を悪化させる、溶体化時の結晶 粗大化に対し、第二相を適切に分散させる とが有効である。これは、結晶粒の粒成長 時に、結晶粒界が第二相粒子を通過する際 分散粒子と結晶粒界の界面においてエネル ーの利得が生まれ、粒界移動を抑制するか と考えられる。
 得られる結晶粒径は10μm以下が好ましく、 り好ましくは8μm以下、更に好ましくは6μm以 下である。結晶粒径の下限値には特に制限は ないが、通常、2μm以上である。なお、結晶 径は、JIS H 0501(切断法)に基づき測定した。

 この制御された結晶粒径を得る効果を充分 発揮するための、本発明における好ましい 散状態の規定は以下の2種類の方法による。
 第一は、結晶粒界上に存在する第二相粒子 、10 4 ~10 8 個/mm 2 の密度で存在することである。この場合、更 に好ましくは、5×10 5 ~5×10 7 個/mm 2 である。
 第二は、結晶粒内と結晶粒界上を含めた全 二相粒子の粒子径r(単位はμm)と、粒子の体 分率fの比、r/fの値が1~100であることである 第二相粒子の粒子径rは、測定した全粒子の 粒子径の算術平均値とした。なお、体積分率 fの表示は、f=0.005が0.5vol%を表すということで ある。

 本発明者らは、このような第二相粒子は耐 力緩和特性を向上させる好ましい働きを持 ことを見い出した。応力緩和現象は、結晶 内の転位が粒界に移動することや、粒界の 部において粒界滑りを起こすことが原因で 弾性限界内の歪みが永久歪みに変化すると えられる。本発明における前記の好ましい 二相粒子は、粒内に存在する粒子は転位の 動を、また、粒界に存在する粒子は粒界の り運動を抑制する働きがあると考えられる
 これら全ての第二相粒子の中で、構成元素 Crを含む粒子の割合が50%以上である場合が に好ましい。これはCrを含む場合に、より高 温でもCu中に固溶しない安定な化合物として 存在できるためである。第二相粒子の高密 に寄与し、結晶粒の成長抑制の効果を高め 。この割合は、より好ましくは70%以上であ 。この割合の上限値には特に制限はないが 通常、90%以下である。

 主溶質成分であるNiとSiについては、下記 のように配合量を制御することにより良好な 特性が得られる。Niの含有量は好ましくは1.8~ 3.3mass%、より好ましくは2.0~3.0mass%、Siの含有 は好ましくは0.4~1.1mass%、より好ましくは0.5~1 .0mass%である。これらの元素は添加量が多す ると導電率を低下させ、また、粒界への析 などによって曲げ加工時の粒界割れを引き こす。また、これらの元素の含有量が少な ぎると強度が不足する。

 Crは、NiやSiとの第二相粒子として析出し 結晶粒径の制御に有効である。また、Cr単 としての析出硬化の効果もある。含有量は ましくは0.01~0.5mass%、より好ましくは0.03~0.4ma ss%である。少なすぎる場合は効果が得られず 、多すぎる場合は凝固時に粗大な晶出物とし て晶出し、メッキ性を悪化させ、塑性加工時 のクラックの基点やクラックの伝播を助長す る悪影響がある。

 その他、(1)Sn、Mg、Ag、Mn、Ti、Fe、Pの少なく とも1種を合計で0.01~1mass%、(2)Znを0.01~10mass%、( 3)Coを0.01~1.5mass%から選ばれる少なくとも1種の 元素は、合金特性を向上させるため、添加し ても良い。
 これらの元素は強度や耐応力緩和特性を向 させ、特にSnとMgにはその効果が高い。ZnやS nは半田接合性を、Coは導電率を、Mnは熱間加 性を、向上させる働きがある。添付する場 の含有量が少なすぎる場合はその効果が不 分であり、多すぎる場合は導電率の低下を く。

 耐応力緩和特性は、165℃で3000時間保持し た場合の応力緩和率が30%以下であることが好 ましい。より好ましくは、25%以下である。

 以下に、本発明の銅合金板材の好ましい製 方法について説明する。本発明の銅合金板 は、例えば、鋳造-(均質化)熱処理-熱間加工 (例えば、熱間圧延)-冷間加工(例えば、冷間 延)(1)-溶体化熱処理-冷間加工(例えば、冷間 延)(2)-(時効析出)熱処理-冷間加工(例えば、 間圧延)(3)-(歪み取り)焼鈍、の各工程からな る方法によって製造することができる。ここ で、熱間加工後で冷間加工(1)前には、急冷- 削を行うことが好ましい。次に、各工程の ましい条件について説明する。
 まず、前記所定の合金成分組成になるよう 各元素を配合し、残部がCuと不可避不純物 ら成る銅合金材料を準備して、これを例え 高周波溶解炉により溶解する。鋳造は、好 しくは0.1~100℃/秒(より好ましくは0.5~50℃/秒) の冷却速度で行い、鋳塊を得る。(均質化)熱 理は、鋳塊を、好ましくは900~1050℃で0.5~10 間(より好ましくは0.8~8時間)保持することに り行う。熱間加工(熱間圧延)は、好ましく 、断面減少率(圧下率)が50%以上(より好まし は60~98%)で処理温度が600℃以上(より好ましく は620~1000℃)にて行い、板を作製する。急冷( えば、水冷)は、この板を、好ましくは10℃/ 以上(より好ましくは15~300℃/秒)の冷却速度 て冷却することにより行う。この熱間圧延 は常法により面削してもよい。冷間加工(冷 間圧延)(1)は、断面減少率が好ましくは90%以 (より好ましくは92~99%)で行う。溶体化熱処理 は、好ましくは720~860℃に3秒~2時間(より好ま くは5秒~0.5時間)保持することにより行う。 記溶体化熱処理において、昇温中の400℃~700 ℃における昇温速度を好ましくは0.1℃/秒~200 /秒(より好ましくは0.5~100℃/秒)の範囲で行 ことが好ましい。冷間加工(冷間圧延)(2)は、 断面減少率が好ましくは5~50%(より好ましくは 7~45%)にて行う。時効析出熱処理は、好ましく は400℃~540℃において5分間~10時間(より好まし くは、410~520℃において10分間~8時間)保持する ことにより行う。冷間加工(冷間圧延)(3)は、 ましくは断面減少率が10%以下(0%を超え10%以 の意味である)で行う。歪み取り焼鈍は、好 ましくは200℃~600℃において15秒間~10時間(よ 好ましくは、250~570℃において20秒~8時間)保 することにより行う。
 なお、時効析出熱処理の時点で強度が充分 場合は、その後の冷間加工(3)と歪み取り焼 は行わないで省略することができる。

 上記各工程の少なくとも1つの工程を上記 の好ましい条件で行うことによって、特に好 ましくは各工程を全て上記の好ましい条件で 行うことによって、本発明の銅合金板材にお いて所定の好ましい金属組織の状態を得るこ とができる。例えば、鋳造速度(鋳造時の冷 速度)を調整することによって、Cr系の化合 の晶出が過度に起こることを防止すること できる。また例えば、熱間圧延の温度範囲 該温度に保持する時間を調整することで、 間圧延中の粗大析出を抑制し、後の工程に 充分な析出を行わせることができる。また えば、結晶粒の粗大化を抑制する第二相粒 は、主に溶体化熱処理の昇温中で析出する 、その析出を効果的に引き起こすためには その前加工である冷間加工(1)の加工率と、 体化熱処理の昇温速度とが上記の好ましい 件内となるようにしてそれぞれ行うことが ましい。また例えば、時効析出熱処理の前 、冷間加工(2)を導入することで、析出硬化 寄与する微細な析出物の高密化を促し、ま 、時効析出熱処理の間に溶体化時に残って る第二相粒子が粗大化することを抑制する とができる。

 本発明の銅合金板材は、強度、曲げ加工性 優れ、電気・電子機器用途に適する。本発 の好ましい銅合金板材は、さらに、導電率 耐応力緩和特性にも優れる。本発明の銅合 板材は、上記のような特性により、電気・ 子機器用のリードフレーム、コネクタ、端 材等、特に自動車車載用などのコネクタや 子材、リレー、スイッチ、ソケットなどに に好適に用いることができる。
 本発明のような、高強度かつ高曲げ加工性 持つ材料はこれまでになく、今後の最先端 用途に対して部品設計の自由度を向上させ 電子機器の高機能化に対して大きな効果を つ。また、高強度化によって銅合金材料の 肉化を可能にし、地球資源使用量の低減に 寄与する。

 以下に、本発明を実施例に基づきさらに 細に説明するが、本発明はそれらに限定さ るものではない。

(実施例1)
 表中に示す成分になるように元素を配合し 残部がCuと不可避不純物から成る合金を高 波溶解炉により溶解し、これを0.1~100℃/秒の 冷却速度で鋳造して鋳塊を得た。これを900~10 50℃で0.5~10hrの保持後、断面減少率が50%以上 処理温度が600℃以上の熱間加工により板を 製し、10℃/秒以上の冷却速度にて水冷を行 た。この熱間圧延板を面削し、断面減少率 90%以上の冷間加工(1)を行った。その後、720~8 60℃に3秒~2時間保持する溶体化熱処理を行っ 。溶体化熱処理において、昇温中の400℃~700 ℃における昇温速度を0.1℃/秒~200℃/秒の範囲 で行った。その後に、断面減少率が5~50%の冷 加工(2)、400℃~540℃において5分~10時間の保 を行う時効析出熱処理、断面減少率が10%以 の冷間加工(3)、200℃~600℃において15秒~10時 保持する歪み取り焼鈍を行って供試材とし 。時効析出熱処理の時点で強度が充分な場 は、その後の冷間加工(3)と歪み取り焼鈍は わなかった。

 下記の実施例と併記した比較例は、これら 製造条件の範囲外で製造し、本発明の実施 の範囲から外れるようにしたものである。
 その詳細は、以下の通りである:
 比較例1-1は、鋳造工程の冷却速度が低すぎ 例である。
 比較例1-2は、均質化工程の温度が低すぎた である。
 比較例1-3は、時効析出熱処理工程の温度が すぎた例である。
 比較例1-4は、均質化工程の温度が低すぎた である。
 なお、各表中で、例えば、表1の識別番号と して本発明例1-1とある試験結果には、曲げ加 工性に評価に関し、W×T>0.16である本発明の 範囲外の曲げ加工条件の判定結果も、本発明 の範囲内の曲げ加工条件の判定結果と同じ行 に示しているが、これは識別番号の記載の便 宜のためである。以下、各表の各試験例の記 載においても同様である。

 これらの供試材について下記の特性調査を った。
a.導電率[EC]:
 20℃(±0.5℃)に保たれた恒温漕中で四端子法 より比抵抗を計測して導電率(%IACS)を算出し た。なお、端子間距離は100mmとした。
b.引張強度[TS]:
 圧延平行方向から切り出したJIS Z2201-13B号 試験片をJIS Z2241に準じて3本測定しその平均 値(MPa)を示した。
c.180°密着曲げ加工性:
 JIS Z 2248に準じて曲げ加工を行った。0.4mmR 90°曲げ金型を使用して予備曲げを行った後 に、圧縮試験機によって密着曲げを行った。 曲げ部外側における割れの有無を50倍の光学 微鏡で目視観察によりその曲げ加工部位を 察し、割れの有無を調査した。試験片の条 は、Wは板幅を、Tは板厚をそれぞれmmで示す 。表中、「GW(Good way)」とは曲げ軸が圧延方 に直角であった場合の試験であることを、 BW(Bad way)」とは曲げ軸が圧延方向に平行で った場合の試験であることを、それぞれ意 する。表中には、観察結果を、クラックが じなかった場合を「○(良)」と、クラックが 生じた場合を「×(不良)」として、それぞれ す。
d.第二相粒子の粒子径[r]と分布密度[ρ]と体積 分率[f]:
 供試材を直径3mmへ打ち抜き、ツインジェッ 研磨法を用いて薄膜研磨を行って観察試験 を作製した。加速電圧300kVの透過型電子顕 鏡で5000倍の写真を任意で10視野ずつ撮影し 、その写真上で第二相粒子の粒子径r(μm)と 布密度ρ(個/mm 2 )を測定した。第二相粒子の粒子径rは、まず 粒子の粒子径を粒子ごとに求め、次に測定 た全粒子に関して、各粒子の粒子径の算術 均値をとって求めた。なお、各粒子の粒子 は、その粒子の長径と短径の算術平均値と た。また、等厚干渉縞から観察試験片の厚 を測定して、観察視野内の全体積のうちの 二相粒子の体積が占める割合を体積分率fと した。
e.第二相の構成原子の同定[C]
 TEM付属のEDX分析装置を使用した。20個の第 相について分析し、測定した全数に対してCr を含有するものの割合を算出した。
f.耐応力緩和特性[SR]:
 日本電子材料工業会標準規格 EMAS-3003に準 て165℃×3000hの条件で測定した。片持ち梁法 より耐力の80%の初期応力を負荷した。
 図1は応力緩和特性の試験方法の説明図であ り、(a)は熱処理前、(b)は熱処理後の状態であ る。応力緩和率(%)は(H t -H 1 )/δ 0 ×100と算出した。
g.平均結晶粒径[GS]:
 JIS H 0501(切断法)に基づき測定した。圧延 向に対して平行の断面と、垂直の断面にお て測定し、その両者の平均をとった。金属 織の観察は、鏡面研磨した材料面を化学エ ジングし、SEMの反射電子像撮影により行っ 。

 表1で明らかなように、本発明例1-1~1-8は 度、導電性、曲げ加工性、耐応力緩和特性 も優れた特性を有する。しかし、本発明の ずれかの要件を満たさない場合は、いずれ の特性が劣ることがある。例えば、比較例1- 1~1-4は、いずれも曲げ加工性が劣った例であ 。これらの比較例1-1、1-2、1-4では、粒界上 析出物の密度が低く、結晶粒径が粗大化し いた。また、比較例1-3では、粒界上の析出 の密度が高く、結晶粒界にて割れが発生し ことが観察された。

(実施例2)
 表2に示す組成で、残部がCuと不可避不純物 ら成る銅合金について実施例1と同様の調査 を行った。製造方法、測定方法についても実 施例1と同様とした。
 なお、下記の実施例と併記した比較例は、 れらの製造条件の範囲外で製造し、本発明 実施例の範囲から外れるようにしたもので る。その詳細は、以下の通りである:
 比較例2-1は、冷間加工(冷間圧延)工程の加 率が低すぎた例である。
 比較例2-2は、均質化工程の温度が低すぎた である。
 比較例2-3は、鋳造工程の冷却速度が低すぎ 例である。
 比較例2-4は、均質化工程の温度が低すぎた である。

 表2で明らかなように、本発明例2-1~2-8は 度、導電性、曲げ加工性、耐応力緩和特性 も優れた特性を有する。しかし、本発明の ずれかの要件を満たさない場合は、いずれ の特性が劣ることがある。例えば、比較例2- 1は、引張強度が劣った例である。この比較 2-1では、溶体化温度を下げて結晶粒径を小 くしたが、析出硬化が不十分で強度が不足 たものと考えられる。比較例2-2、2-4は曲げ 工性が劣った例である。この比較例2-2、2-4 は、析出分率が小さいためにr/fの値が大き 、結晶粒径が粗大化していたことが分かる 比較例2-3は曲げ加工性が劣った例である。 の比較例2-3では、第二相粒子径が小さいた にr/fの値が小さく、有効に結晶粒の制御が きずに結晶粒径が粗大化していたことが分 る。

(実施例3)
 表3に示す組成で、残部がCuと不可避不純物 ら成る銅合金について実施例1と同様の調査 を行った。製造方法、測定方法についても実 施例1と同様とした。
 なお、表3において下記の実施例と併記した 比較例は、NiとSiの含有量が本発明の好まし 範囲から外れているものである。

 表3で明らかなように、NiとSiの含有量が に好ましい範囲内にある、本発明例3-1~3-4は 度、導電性、曲げ加工性、耐応力緩和特性 も優れた特性を有する。しかし、NiとSiの添 加量が特に好ましい範囲内にない場合は、い ずれかの特性が劣ることがある。例えば、比 較例3-1はNiとSiの量が不足しているために、 度が不足した例を示す。比較例3-2は、NiとSi 量が多いために、粒界への析出が起こり、 げ加工性がやや劣化した例を示す。もちろ 、NiとSiの含有量は、特に好ましい範囲内と する必要はないが、この範囲外となることで 特性が劣る例が見られるため、できる限りNi 1.8~3.3mass%、Siを0.4~1.1mass%の範囲内とするこ が好ましいといえる。

(実施例4)
 表4に示す組成で、残部がCuと不可避不純物 ら成る銅合金について実施例1と同様の調査 を行った。製造方法、測定方法についても実 施例1と同様とした。
 なお、表4において下記の実施例と併記した 比較例は、その他の添加元素の含有量が本発 明の好ましい範囲から外れているものである 。

 表4で明らかなように、NiとSi以外のその の添加元素(副添加元素ともいう)の含有量が 特に好ましい範囲内にある、本発明例4-1~4-4 強度、導電性、曲げ加工性、耐応力緩和特 とも優れた特性を有する。しかし、その他 添加元素の含有量が特に好ましい範囲内に い場合は、いずれかの特性が劣ることがあ 。例えば、比較例4-1は曲げ加工性が劣った を示す。この比較例4-1では、副添加元素の 加量が多すぎたために、粒界が脆弱になっ ものと考えられる。比較例4-2は機械強度が った例を示す。この比較例4-2では、副添加 素の添加量が多すぎたために、析出硬化に 与するNi-Si系以外の化合物が多く形成された ものと考えられる。もちろん、その他の添加 元素の含有量は、特に好ましい範囲内とする 必要はないが、この範囲外となることで特性 が劣る例が見られるため、その他の添加元素 を添加する場合には、できる限りSn、Mg、Ag、 Mn、Ti、Fe、Pの少なくとも1種を合計で0.01~1mass %、Znを0.01~10mass%、Coを0.01~1.5mass%の中から、1 または2種以上の元素を含むようにすること 好ましいといえる。

 以上の実施例1~4の結果を図2に示す。本発 明例は、180°密着曲げにおける材料寸法の試 片厚さTと試験片幅Wの積が0.16以下の条件に いて、クラックなく加工ができたのに対し 比較例では加工ができなかったことが分か 。

 本発明の銅合金板材は、電気・電子機器 のリードフレーム、コネクタ、端子材等、 えば、自動車車載用などのコネクタや端子 、リレー、スイッチ、ソケットなどに好適 適用されるものである。

 本発明をその実施態様とともに説明した 、我々は特に指定しない限り我々の発明を 明のどの細部においても限定しようとする のではなく、添付の請求の範囲に示した発 の精神と範囲に反することなく幅広く解釈 れるべきであると考える。

 本願は、2007年11月5日に日本国で特許出願 された特願2007-287066に基づく優先権を主張す ものであり、これはここに参照してその内 を本明細書の記載の一部として取り込む。