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Title:
COPPER FOIL FOR PRINTED CIRCUIT BOARD AND COPPER CLAD LAMINATE PLATE FOR PRINTED CIRCUIT BOARD
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/154066
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a copper foil for a printed circuit board comprising a roughened surface of a copper foil, a layer containing nickel and zinc or compounds of nickel and zinc (hereinafter referred to as a “nickel zinc layer”), and a chromate film layer on the nickel zinc layer.  The copper foil is characterized in that the weight of zinc deposited per unit area of the copper foil in the nikel zinc layer is not less than 180 μg/dm2 and not more than 3500 μg/dm2, and the proportion of the weight of nickel in the plating film, i.e., {weight of nickel deposited/(weight of nickel deposited + weight of zinc deposited)} is not less than 0.38 and not more than 0.7.  The above constitution can establish a surface treatment technique of a copper foil, which can effectively prevent a circuit erosion phenomenon when a copper foil is stacked on a resin base material and a circuit is subjected to soft etching with a sulfuric acid/hydrogen peroxide etching solution.

Inventors:
MORIYAMA TERUMASA (JP)
KAMINAGA KENGO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/059839
Publication Date:
December 23, 2009
Filing Date:
May 29, 2009
Export Citation:
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Assignee:
NIPPON MINING CO (JP)
MORIYAMA TERUMASA (JP)
KAMINAGA KENGO (JP)
International Classes:
C23C28/00; B32B15/01; C25D7/06; H05K3/38
Foreign References:
JP2006142514A2006-06-08
JP2003051673A2003-02-21
JP2008118163A2008-05-22
JPH02213495A1990-08-24
JP2005048269A2005-02-24
JPS5135711B11976-10-04
JPS546701B11979-03-30
Attorney, Agent or Firm:
OGOSHI ISAMU (JP)
Isamu Ogoshi (JP)
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Claims:
 銅箔の粗化面に、ニッケルと亜鉛又はこれらの化合物を含む層(以下、「ニッケル亜鉛層」という。)、及び同層の上に、クロメート皮膜層を備える印刷回路基板用銅箔であって、前記ニッケル亜鉛層の、単位面積当りの亜鉛付着重量が、180μg/dm 2 以上、3500μg/dm 2 以下であり、ニッケル亜鉛層中のニッケル重量比率{ニッケル付着重量/(ニッケル付着重量+亜鉛付着重量)}が0.38以上、0.7以下であることを特徴とする印刷回路基板用銅箔。
 前記{ニッケル付着重量/(ニッケル付着重量+亜鉛付着重量)}が0.4以上、0.55以下であることを特徴とする請求項1記載の印刷回路基板用銅箔。
 前記クロメート皮膜層の、銅箔の単位面積あたりのクロム付着重量が、30μg/dm 2 以上、100μg/dm 2 以下であることを特徴とする請求項1~請求項2のいずれか一項に記載の印刷回路基板用銅箔。
 前記ニッケル亜鉛層に含まれる全亜鉛のうち、亜鉛酸化物又は亜鉛水酸化物として存在する亜鉛が45~90%含まれることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の印刷回路基板用銅箔。
 前記ニッケル亜鉛層に含まれる全ニッケルのうち、ニッケル酸化物又はニッケル水酸化物として存在するニッケルが60~80%含まれることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の印刷回路基板用銅箔。
 前記クロメート層の上に、さらにシランカップリング剤層を備えることを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の印刷回路基板用銅箔。
 銅箔が電解銅箔であり、粗化面が電解めっき時の粗面若しくはこの粗面にさらに粗化処理を施した面又は電解銅箔の光沢面に粗化処理を施した面であることを特徴とする請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の印刷回路基板用銅箔。
 銅箔が圧延銅箔であり、粗化面が当該圧延銅箔に粗化処理を施した面であることを特徴とする請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の印刷回路基板用銅箔。
 請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の印刷回路基板用銅箔と印刷回路基板用樹脂とを、張り合わせて作製した印刷回路基板用銅張積層板。
 
Description:
印刷回路基板用銅箔及び印刷回 基板用銅張積層板

 本発明は、耐薬品性及び接着性に優れた 刷回路基板用銅箔及び印刷回路基板用銅張 層板、特に銅箔の少なくとも樹脂との接着 に、ニッケルと亜鉛又はこれらの化合物を む層(以下、「ニッケル亜鉛層」という。) 同層上にクロメート皮膜層、さらには必要 応じてシランカップリング剤層を有してい 印刷回路基板用銅箔及び該銅箔を使用して 製した印刷回路基板用銅張積層板に関する

 半導体パッケージ基板は、印刷回路基板の 種であり、半導体ICチップやその他の半導 素子を実装するために使用される印刷回路 板である。半導体パッケージ基板に形成さ る回路は通常の印刷回路基板よりも微細で るため、基板材料には一般的な印刷回路基 とは異なる樹脂基材が使用される。
 半導体パッケージ基板は、通常次のような 程により作製される。まず、合成樹脂等の 材に、銅箔を高温高圧下で積層接着する。 れを銅張積層板あるいは単に積層板と呼ぶ 次に、積層板上に目的とする導電性の回路 形成するために、銅箔上に耐エッチング性 脂等の材料により、回路と同等のパターン 印刷する。そして、露出している銅箔の不 部をエッチング処理により除去する。
 エッチング後、印刷部を除去して、基板上 導電性の回路を形成する。形成された導電 の回路には、最終的に所定の素子を半田付 して、エレクトロニクスデバイス用の種々 印刷回路基板を形成する。最終的には、レ スト又はビルドアップ樹脂基板と接合する
 一般に、印刷回路基板用銅箔に対する品質 求は、樹脂基材と接着される接着面(所謂、 粗化面)と、非接着面(所謂光沢面)とで異なり 、両者を同時に満足させることが必要である 。

 光沢面に対する要求としては、(1)外観が良 なこと及び保存時における酸化変色のない と、(2)半田濡れ性が良好なこと、(3)高温加 時に酸化変色がないこと、(4)レジストとの 着性が良好なこと等が要求される。
 他方、粗化面に対しては、主として、(1)保 時における酸化変色のないこと、(2)基材と 剥離強度が、高温加熱、湿式処理、半田付 、薬品処理等の後でも十分なこと、(3)基材 の積層、エッチング後に生じる、所謂積層 点のないこと等が挙げられる。
 また、近年回路印刷パターンの微細化に伴 、銅箔表面の低粗度化が要求されてきてい 。

 更に、パソコンや移動体通信等の電子機器 は、通信の高速化、大容量化に伴い、電気 号の高周波化が進んでおり、これに対応可 な印刷回路基板及び銅箔が求められている 電気信号の周波数が1GHz以上になると、電流 が導体の表面にだけ流れる表皮効果の影響が 顕著になり、表面の凹凸で電流伝送経路が変 化してインピーダンスが増大する影響が無視 できなくなる。この点からも銅箔の表面粗さ が小さいことが望まれる。
 こうした要求に答えるべく、印刷回路基板 銅箔に対して多くの表面処理方法が提唱さ てきた。

 表面処理方法は、圧延銅箔と電解銅箔とで なるが、電解銅箔の表面処理方法の一例を すと、以下に記載する方法がある。
 すなわち、まず銅と樹脂基材との接着力(ピ ール強度)を高めるため、一般には銅及び酸 銅からなる微粒子を銅箔表面に付与した後( 化処理)、耐熱特性を持たせるため黄銅又は 亜鉛等の耐熱層(障壁層)を形成する。
 そして、最後に運搬中又は保管中の表面酸 等を防止するため、浸漬又は電解によるク メート処理あるいは電解亜鉛クロメート処 等の防錆処理を施すことにより製品とする

 この中で、特に耐熱層を形成する表面処理 法は、銅箔の表面性状を決定するものとし 、大きな鍵を握っている。このため、耐熱 を形成する金属又は合金として、Zn、Cu-Ni合 金、Cu-Co合金及びCu-Zn合金等の被覆層を形成 た多数の銅箔が実用化されている(例えば、 許文献1参照)。
 これらの中で、Cu-Zn合金(黄銅)から成る耐熱 層を形成した銅箔は、エポキシ樹脂等から成 る印刷回路基板に使用した場合に樹脂層のし みがないこと、また印刷回路基板を高温で保 持した後の銅箔のピール強度の劣化が少ない 等の優れた特性を有しているため、工業的に 広く使用されている。この黄銅から成る耐熱 層を形成する方法については、特許文献2に 述されている。

 近年、印刷回路基板、特にパッケージ基板 製造工程の中で、レジスト又はビルドアッ 樹脂基板と回路面である銅箔の光沢面との 着性を向上させるために、硫酸・過酸化水 混合液によりソフトエッチングを行って銅 光沢面を粗面化する処理が使用されるよう なっている。
 ところが、黄銅から成る耐熱層を形成した 箔を用いた印刷回路基板の銅箔回路光沢面 、上記の硫酸・過酸化水素混合液によりソ トエッチングを行うと、先に形成した回路 ターン両側端部(エッジ部)の浸食(回路浸食) 現象が起り、樹脂基材との剥離強度が劣化す るという問題がある。

 この回路浸食現象とは、銅箔回路と樹脂基 との接着境界層、即ち黄銅からなる耐熱層 露出した回路側面が、前記硫酸・過酸化水 混合液より浸食され、これにより通常黄色( 黄銅よりなるため)を呈しているべき回路の 部付近の粗化面側が赤色を呈し、その部分 銅箔のピール強度が著しく劣化する現象を う。そして、この現象が回路パターン全面 発生すれば、回路パターンが基材から剥離 ることになり、重大な問題となる。

特公昭51-35711号公報

特公昭54-6701号公報

 本発明の課題は、他の諸特性を劣化する となく、銅箔と樹脂基材を積層して作製し 印刷回路基板の銅箔の常態ピール強度、お び印刷回路板を高温で所定時間保持した後 ピール強度(以下、耐熱ピール強度という) 高めると共に、上記の回路浸食現象を低減 せた半導体パッケージ基板用として好適な 箔を開発することである。特に、樹脂基材 銅箔を積層し、耐熱ピール強度を大きく向 させると共に、硫酸・過酸化水素系エッチ グ液を使用して回路をソフトエッチングす 場合において、回路浸食現象を効果的に防 出来る銅箔の表面処理技術を確立すること ある。

 上記課題を解決するために、本発明者が銅 上に表面処理を行う条件等について鋭意検 した結果、以下の銅箔の耐熱ピール強度向 及び耐硫酸・過酸化水素性、すなわち硫酸 過酸化水素混合液による銅箔光沢面のソフ エッチング時において、銅箔の逆側にあた 粗化面の耐浸食性(耐回路浸食性)に有効で ることが分かった。
 以上から、本願発明は、
1)銅箔の粗化面に、ニッケルと亜鉛又はこれ の化合物を含む層(以下、「ニッケル亜鉛層 」という。)、及び同層の上に、クロメート 膜層を備える印刷回路基板用銅箔であって 前記ニッケル亜鉛層の、銅箔の単位面積当 の亜鉛付着重量が、180μg/dm 2 以上、3500μg/dm 2 以下であり、めっき皮膜中のニッケル重量比 率{ニッケル付着重量/(ニッケル付着重量+亜 付着重量)}が0.38以上、0.7以下であることを 徴とする印刷回路基板用銅箔。
2)前記{ニッケル付着重量/(ニッケル付着重量+ 亜鉛付着重量)}が0.4以上、0.55以下であること を特徴とする1)記載の印刷回路基板用銅箔
3)前記クロメート皮膜層の、銅箔の単位面積 たりのクロム付着重量が、30μg/dm 2 以上、100μg/dm 2 以下であることを特徴とする1)または2)のい れか一項に記載の印刷回路基板用銅箔、
4)前記ニッケル亜鉛層に含まれる全亜鉛のう 、亜鉛酸化物又は亜鉛水酸化物として存在 る亜鉛が45~90%含まれることを特徴とする1)~3 )のいずれか一項に記載の印刷回路基板用銅 。
5)前記ニッケル亜鉛層に含まれる全ニッケル うち、ニッケル酸化物又はニッケル水酸化 として存在するニッケルが60~80%含まれるこ を特徴とする1)~3)のいずれか一項に記載の 刷回路基板用銅箔、
6)前記クロメート層の上に、さらにシランカ プリング剤層を備える1)~5)のいずれか一項 記載の印刷回路基板用銅箔、
7)銅箔が電解銅箔であり、粗化面が電解めっ 時の粗面若しくはこの粗面にさらに粗化処 を施した面又は電解銅箔の光沢面に粗化処 を施した面であることを特徴とする1)~6)の ずれか一項に記載の印刷回路基板用銅箔、
8)銅箔が圧延銅箔であり、粗化面が当該圧延 箔に粗化処理を施した面であることを特徴 する1)~6)のいずれか一項に記載の印刷回路 板用銅箔
9)上記1)~8)のいずれか一項に記載の印刷回路 板用銅箔と印刷回路基板用樹脂基材とを張 合わせて作製した印刷回路基板用銅張積層 、を提供する。

 以上示したように、本発明の印刷回路基板 銅箔は、印刷回路基板を高温保持した後の 箔のピール強度を劣化させないためにニッ ル亜鉛層を使用するものであり、従来必須 要件と考えられてきた黄銅から成る耐熱層 使用しない。
 これによって、銅箔の耐熱ピール強度を飛 的に向上させることができる。また、これ よって薬品による回路浸食現象を効果的に 止でき、特に耐硫酸・過酸化水素性を向上 ることができるという新しい特性が付与さ たものであり、印刷回路基板用銅箔(特に、 半導体パッケージ基板用銅箔)及び銅箔と樹 基材を張り合わせて作製した銅張積層板(特 、半導体パッケージ基板用銅張積層板)とし て極めて有効である。当然のことであるが、 一般的な印刷回路基板用銅箔としても使用で きることは言うまでもない。

 次に、本発明の理解を容易にするため、本 明を具体的かつ詳細に説明する。
 本願発明の銅箔は、電解銅箔及び圧延銅箔 いずれも使用できるが、電解銅箔の場合は 電解めっき時の粗面に適用することができ 。また、さらにこの粗面にさらに粗化処理 施しても良い。例えば、樹脂基材と積層後 銅箔の剥離(ピール)強度を向上させること 目的として、脱脂後の銅箔の表面に、例え 銅の「ふしこぶ」状の電着を行う粗化処理 施した電解銅箔であり、これをそのまま使 することができる。
 一般に、ドラム型の電解銅箔の製造装置に いては、片側(ドラム側)が光沢面で、反対 が粗面となる。圧延銅箔においては、いず も光沢のある圧延面となる。本発明におい は、電解銅箔に粗面と光沢面があるが、粗 の場合は、そのまま使用することができる 電解銅箔の光沢面については、さらにピー 強度を高めるために粗化処理を施し粗化面 する。
 圧延銅箔においても同様に粗化処理を施す 粗化処理は、いずれの場合にも、すでに公 の粗化処理を用いることができ、特に制限 ない。
 本発明の粗化面は、電解銅箔の電解めっき の粗面、および粗化処理を施した電解銅箔 たは圧延銅箔の粗化処理面を意味するもの あり、いずれの銅箔にも適用できる。

 まず、半導体パッケージ基板用銅箔に対し 、従来必須と考えられてきた黄銅被覆層は けない。従来は、黄銅被覆層がなければ、 刷回路基板を高温で一定時間保持した後の 箔のピール強度(耐熱ピール強度)の低下が じる等の特性低下が懸念されると考えられ が、これの代替としてニッケル亜鉛層を形 して、耐熱ピール強度を向上させたもので る。したがって、本願発明においては、従 常識と考えられてきた銅箔上に黄銅被覆層 形成しないことが大きな特徴の一つである
 ニッケル亜鉛層は、均一なニッケル-亜鉛合 金ではなく、ニッケルおよび亜鉛の一部が、 酸化物又は水酸化物になったものを含み、例 えば、表面酸化膜又は水酸化膜を含むニッケ ル亜鉛層を包含するものである。

 上記の通り、本願発明の半導体パッケー 基板用銅箔は、樹脂との接着面となる銅箔 粗化面に形成されたニッケル亜鉛層、クロ ート皮膜層及び必要に応じてシランカップ ング剤層からなる。銅箔としては、上記の 延銅箔又は電解銅箔を使用することができ 。またクロメート皮膜層は、電解クロメー 皮膜層又は浸漬クロメート皮膜層を用いる とができる。

 本願発明は、上記の通り、例えば銅箔の粗 面に、ニッケルと亜鉛又はこれらの化合物 含む層(以下、「ニッケル亜鉛層」という。 )を形成するものであるが、前記ニッケル亜 層の、銅箔の単位面積当りの亜鉛付着重量 180μg/dm 2 以上、3500μg/dm 2 以下とすることが必要である。亜鉛付着重量 が180μg/dm 2 未満であると、高温加熱後のピール強度の劣 化が大きくなる。また、亜鉛付着重量が3500μ g/dm 2 以上であると、硫酸・過酸化水素系エッチン グ液による回路端部の浸食が顕著となる。
 {ニッケル付着重量/(ニッケル付着重量+亜鉛 付着重量)}を0.38以上、0.7以下とすることが必 要である。0.38未満であると、回路浸食現象 効果的に防止出来ない。また、0.7以上とな と耐熱ピール強度が低下する。

 ニッケル亜鉛層は、通常下記の条件で形成 る。しかし、ニッケル亜鉛層の、単位面積 りの亜鉛付着重量が、180μg/dm 2 以上、3500μg/dm 2 以下であり、{ニッケル付着重量/(ニッケル付 着重量+亜鉛付着重量)}が0.38以上、0.7以下で ることを達成できる電気めっき条件であれ 、特に制限されるものではなく、他の電気 っき条件を使用することもできる。
 (めっき液組成)
 Ni:10g/L~30g/L、 Zn:1g/L~15g/L、 硫酸(H 2 SO 4 ):1g/L~12g/L、を基本浴とする。
 必要に応じて、塩化物イオン:1g/L~5g/Lを添加 する。
 (電流密度) 3~40A/dm 2

 次に、クロメート処理であるが、このクロ ート皮膜層の作製には、電解クロメート処 、浸漬クロメート処理およびクロメート浴 に亜鉛を含んだ亜鉛クロメート処理のいず も適用することが可能である。
 いずれの場合においても、クロム付着重量 30μg/dm 2 未満では、耐酸性と耐熱性を増す効果が少な いので、クロム付着重量は30μg/dm 2 以上とする。また、クロム付着重量が100μg/dm 2 を超えるとクロメート処理の効果が飽和して これ以上クロム付着重量が増えなくなる。こ れらを総合すると、クロメート処理層中単位 面積あたりのクロム付着重量は30~100μg/dm 2 であることが望ましいと言える。

 前記クロメート皮膜層を形成するための条 の例を、以下に記載する。しかし、上記の り、この条件に限定される必要はなく、す に公知のクロメート処理はいずれも使用で る。
 一般に、浸漬クロメート処理の場合は、単 面積あたりのクロム付着重量30~40μg/dm 2 を達成できる。また電解クロメート処理の場 合は、単位面積あたりのクロム付着重量30~100 μg/dm 2 を達成できる。
 この防錆処理は、銅箔の耐酸性と耐熱性に 響を与える因子の一つであり、クロメート 理により、銅箔の耐薬品性と耐熱性はより 上するので有効である。

(a) 浸漬クロメート処理の一例
 CrO 3 またはK 2 Cr 2 O 7 :1~12g/L、Zn(OH) 2 またはZnSO 4 ・7H 2 O :0~10g/L、Na 2 SO 4  :0~20g/L、pH 2.5~12.5、温 度:20~60°C、時間:0.5~2 0秒
(b) 電解クロメート処理の一例
 CrO 3 またはK 2 Cr 2 O 7 :1~12g/L、Zn(OH) 2 またはZnSO 4 ・7H 2 O :0~10g/L、Na 2 SO 4  :0~20g/L、pH 2.5~12.5、温 度:20~60°C、電流密度 0.5~5A/dm2、時間:0.5~20秒

 本発明の印刷回路基板用銅箔に使用するシ ンカップリング剤としては、少なくともテ ラアルコキシシランと、樹脂との反応性を する官能基を備えたアルコキシシランを1種 以上含んでいることが望ましい。このシラン カップリング剤の選択も任意ではあるが、樹 脂との接着性を考慮した選択が望ましい。
 さらに、本願発明は、上記1)~8)のいずれか 項に記載の印刷回路基板用銅箔、および9)に 記載の印刷回路基板用銅箔と樹脂基材を張り 合わせて作製した銅張積層板を提供する。

 次に、この防錆層の上に、シランカップリ グ剤処理(塗布後、乾燥)を施した。
 シランカップリング剤処理の条件は、次の りである。
 エポキシシランを0.2体積%とTEOS(テトラエト シシラン)を0.4体積%とを含む水溶液をpH5に 整して塗布し、その後乾燥
[試験方法]

 このようにして作製した銅箔を、次の樹脂 材と積層接着した印刷回路基板を用いて、 試験を実施し、銅箔と樹脂基材の密着性の 価と、単位面積あたりのニッケルおよび亜 のめっき付着重量の測定を行った。また、X PS(X線光電子分光法)によりニッケル亜鉛層中 含まれるニッケルおよび亜鉛の、価数0の金 属状態と価数2の酸化状態の存在比を測定し 。
 銅箔と積層する樹脂基材には以下の2種類の ものを使用した。
 FR-4樹脂(ガラスクロス基材エポキシ樹脂)
 BT樹脂(トリアジン-ビスマレイミド系樹脂、 商標名:三菱ガス化学製GHPL-802)
 なお、BT樹脂は、耐熱性が高く、半導体パ ケージ用印刷回路基板に使用されている材 である。

 (1) FR-4基板を用いた常態ピール強度と耐熱 ール強度の測定
  銅箔のニッケル亜鉛層を形成した面とFR-4 脂基材を積層して作製した積層板上の銅箔 エッチングして、積層板上に10mm幅の銅箔回 路を形成する。この回路を剥離して常態ピー ル強度を測定する。次に、前記の10mm幅の銅 回路を形成した積層板を大気中にて180°Cで2 間加熱した後のピール強度(以下耐熱ピール 強度という)とその常態ピール強度からの相 劣化率(ロス%)を測定した。FR-4基板はBT基板 比較すると耐熱性が劣る。そのため、FR-4基 を用いた時に良好な耐熱ピール強度と低い 化率を有すれば、BT基板を用いた時も十分 耐熱ピール強度と劣化率を有する。

 (2) BT基板を用いた常態ピール強度と耐硫酸 過酸化水素性の測定
 銅箔のニッケル亜鉛層を形成した面とBT樹 基材を積層して作製した積層板上の銅箔を ッチングして、積層板上に0.4mm幅の銅箔回路 を形成する。この回路を剥離して常態ピール 強度を測定する。次に、前記の0.4mm幅の銅箔 路を形成した積層板を用いて耐硫酸・過酸 水素性試験を行った。
 この試験では積層板上の銅箔回路を、硫酸1 00~400g/L、過酸化水素10~60g/Lを含むエッチング に浸漬して銅箔回路厚みを2μmエッチングし た後、ピール強度とその常態ピール強度から の相対劣化率(ロス%)を測定する。
 この場合のピール強度の測定は、過酷な環 下にあると言え、FR-4基板を用いた時に、一 般に行われている耐薬品性の評価よりも過酷 な条件である。したがって、BT基板を用いた に良好な耐硫酸・過酸化水素性を有すれば FR-4基板でも十分な耐薬品性(特に耐硫酸・ 酸化水素性)を有する。

 (3) 単位面積あたりのニッケルおよび亜鉛 めっき付着重量の測定
 銅箔にニッケル亜鉛層を形成した面が表面 露出するようにFR-4樹脂基材と積層し、積層 板を作製する。次に、積層板表面に露出した ニッケル亜鉛層とその母層の銅を塩酸または 硝酸で溶解し、溶解液中のニッケルおよび亜 鉛濃度の化学分析を行うことで単位面積あた りのニッケルおよび亜鉛の付着重量を測定し た。

 (4) 亜鉛及びニッケルの金属/酸化状態の解
 XPS(X線光電子分光法)を用いて、ニッケル亜 層中に含まれるニッケル及び亜鉛の、価数0 の金属状態と価数2の酸化状態の存在比を測 した。測定はアルゴンイオンスパッタによ 銅箔厚みをエッチングしながら、最表面か ニッケル亜鉛層の下地である銅層に至るま 断続的に行い、各深さにおいて得られた酸 状態のニッケルおよび亜鉛の存在比を最表 からの深さで積分することにより、酸化ニ ケルおよび酸化亜鉛(いずれも水酸化物を含 )のニッケル亜鉛層全体での平均的な存在比 を計算した。
 測定に使用した機器はKRATOS社製AXIS-HSで、ア ルゴンイオンスパッタの出力は52.5Wである。 の条件において、銅箔厚みは1分間で約20Å ッチングされる。スパッタ時間は15~100分間 条件で行った。

 次に、実施例及び比較例について説明する その結果を、以下の各表に示す。なお、本 施例は好適な一例を示すもので、本発明は れらの実施例に限定されるものではない。 たがって、本発明の技術思想に含まれる変 、他の実施例又は態様は、全て本発明に含 れる。
 なお、本発明との対比のために、比較例を 載した。

(実施例1-7、比較例1-2)
 厚さ12μmの電解銅箔を用い、この銅箔の粗 面(表面平均粗さ:3.8μm)に、下記に示す条件 、ニッケル亜鉛層を電気めっきによって形 した。単位面積あたりのニッケルおよび亜 のめっき付着重量とめっき皮膜中のニッケ 重量比率を、表1に示す。
 (電気めっき液組成)Ni:13g/L, Zn: 5g/L, 硫酸(H 2 SO 4 ): 8.5g/L
 (電流密度)20 A/dm 2
 (めっき時間)0.5~10秒
 さらに、このニッケル亜鉛層上に、クロメ ト処理を行い、防錆層を形成させた。以下 、処理条件を示す。
 CrO 3 :4.0g/L、ZnSO 4 ・7H 2 O :2.0g/L、Na 2 SO 4  :15g/L、pH :4.2、温 度:45℃、電流密度3.0A/dm 2 、時間:1.5秒

 めっき付着重量は、電流密度一定(20A/dm 2 )のため、めっき時間により変化する。めっ 時間は0.5~10秒の範囲で処理を行った。単位 積あたりの亜鉛の付着重量は194~3381μg/dm 2 となり、めっき皮膜中のニッケル重量比率は 37~52重量%となった。これらの条件は、いずれ も本願発明の範囲に入るものである。
 FR-4基板での常態ピール強度は1.53~1.68kN/m、 熱ピール強度は1.45~1.65kN/m、劣化率は5%以下 範囲であり、いずれも良好な常態ピール強 と耐熱ピール強度を示した。一方、BT基板で の常態ピール強度は、1.04~1.24kN/mの範囲とな た。硫酸・過酸化水素混合液での処理後の ール強度は0.91~1.09kN/m、劣化率は10~13%であり 良好な性質を示した。

 しかし、比較例1においては、亜鉛の単位面 積あたりの付着重量は159μg/dm 2 となり、本願発明から逸脱している。この比 較例1では、FR-4基板での常態ピール強度が1.51 kN/m、耐熱ピール強度は0.69kN/m、劣化率は54%と なり、耐熱ピール強度が大きく低下した。
 一方、比較例2においては、亜鉛の付着量は 3909μg/dm 2 となり、本願発明から逸脱している。この比 較例2では、BT基板(過酷な環境下)での常態ピ ル強度は1.10kN/m、硫酸・過酸化水素混合液 の処理後のピール強度は0.93kN/m、劣化率は16% となり、必要十分な特性を有している。しか し、Niの付着重量が多くなるため、銅箔回路 形成する際に、Niがエッチングされずに残 て回路不良の原因となる。このため、印刷 路基板用銅箔の表面処理としては不適切で り、比較例2は本願発明から逸脱する。

 以上から、本実施例1~7では、FR-4基板では良 好なピール強度と耐熱ピール強度を有し、BT 板での耐硫酸・過水性試験では良好な耐薬 性を示した。したがって、本実施例では、 温加熱後の剥離強度の劣化が少なく、かつ 路浸食現象を大きく改善できる有効な特性 保有していることが理解できる。
 特に、樹脂基材と銅箔を積層し、硫酸・過 化水素系エッチング液を使用して回路をソ トエッチングする場合において、回路浸食 象を効果的に防止出来る銅箔の表面処理技 を得ることができる。 

(実施例8-13)
 下記に示す条件で、電流密度を変化させて ッケル亜鉛層を形成した。単位面積あたり ニッケルおよび亜鉛のめっき付着重量とめ き皮膜中のニッケル重量比率を、表2に示す 。
 (電流密度)3~40 A/dm 2
 (めっき時間) 0.5~10秒
 上記電流密度以外の製造条件は、実施例1~7 同様の条件とした。基板の種類及びピール 度の測定も実施例1~7と同様の条件とした。 の結果を、同様に、表2に示す。

 めっき付着重量は表2に示す通り、単位面積 あたりの亜鉛の付着重量は330~724μg/dm 2 となり、めっき皮膜中のニッケル重量比率は 43~52重量%となった。これらの条件は、いずれ も本願発明の範囲に入るものである。
 電流密度が3A/dm 2 を下回ると、ニッケル亜鉛層が生成しないた め、本願のニッケル亜鉛層のめっき条件とし ては不適切である。また、電流密度が40A/dm 2 を上回ると、陰極(銅箔)では水素の発生が多 なって電流効率が極端に低下するため、ニ ケル亜鉛層の処理条件としては適さない。 たがって、本願のニッケル亜鉛層を作成す 際の電流密度としては3~40A/dm 2 とするのが好ましい。

 FR-4基板での常態ピール強度は、1.48~1.56kN/m 耐熱ピール強度は1.40~1.52kN/m、劣化率7%以下 範囲であり、いずれも良好な常態ピール強 と耐熱ピール強度を示した。
 一方、BT基板での常態ピール強度は、0.92~1.0 4kN/m、硫酸・過酸化水素混合液での処理後の ール強度は0.88~0.98kN/m、劣化率は3~11%であり 良好な性質を示した。
 以上から、本実施例8~13では、FR-4基板では 好なピール強度と耐熱ピール強度を有し、BT 基板においては良好な耐硫酸・過酸化水素性 を示した。したがって、本実施例では、高温 加熱後の剥離強度の劣化が少なく、回路浸食 現象を大きく改善できる有効な特性を保有し ていることが理解できる。

(実施例1、7、14、比較例3、4)
 次に、めっき皮膜中のNi重量比率の範囲に いて説明する。一例として、実施例1、7、14 よび比較例3、4を表3に示す。また、単位面 あたりのニッケルおよび亜鉛のめっき付着 量とめっき皮膜中のニッケル重量比率を、 3に示す。
 上記以外の製造条件は、実施例1~13と同様の 条件とした。基板の種類及びピール強度の測 定も実施例1~13と同様の条件とした。この結 を、同様に、表3に示す。めっき皮膜中のNi 量比率は0.38~0.54となった。
 FR-4基板での常態ピール強度は、1.54~1.64kN/m 耐熱ピール強度は1.42~1.65kN/m、劣化率8%以下 範囲であり、いずれも良好な常態ピール強 と耐熱ピール強度を示した。

 一方、BT基板での常態ピール強度は、1.04~1.2 0kN/m、硫酸・過酸化水素混合液での処理後の ール強度は0.91~1.08gN/m、劣化率は13~15%であり 、良好な性質を示した。
 しかし、比較例3においては、Ni重量比率が0 .37となり、本願発明から逸脱している。この 比較例3では、FR-4基板での常態ピール強度が1 .39kN/m、耐熱ピール強度は0.97kN/m、劣化率は30% となり、耐熱ピール強度が大きく低下した。
 一方、比較例4においては、Ni重量比率が0.76 となり、本願発明から逸脱している。この比 較例4では、FR-4基板での常態ピール強度が1.50 kN/m、耐熱ピール強度は1.02kN/m、劣化率は32%と なり、比較例3と同様に耐熱ピール強度が大 く低下した。
 したがって、めっき皮膜中のNi重量比率の 囲としては0.38~0.70、より好ましくは0.40~0.54 望ましい。

(実施例15~19)
 下記に示す条件でめっき浴組成を変化させ ニッケル亜鉛層を形成した。単位面積あた のニッケルおよび亜鉛のめっき付着重量と っき皮膜中のニッケル重量比率を、表4に示 す。ここで、実施例1~14と異なる点はめっき の成分組成を変化させたことにある。
 実施例15~19のめっき浴の成分組成を以下に す。
 (実施例15のめっき液組成)Ni:10g/L, Zn: 1g/L,  酸(H 2 SO 4 ): 8.5g/L
 (実施例16のめっき液組成)Ni:20g/L, Zn: 8g/L,  酸(H 2 SO 4 ): 1g/L
 (実施例17のめっき液組成)Ni:25g/L, Zn: 12g/L,  硫酸(H 2 SO 4 ): 12g/L
 (実施例18のめっき液組成)Ni:30g/L, Zn: 15g/L,  硫酸(H 2 SO 4 ): 8.5g/L
 (実施例19のめっき液組成)Ni:10g/L, Zn: 1g/L,  酸(H 2 SO 4 ): 6g/L, 塩化物イオン:5g/L
 (電流密度)20~25 A/dm 2
 (めっき時間)1~8秒
 上記以外の製造条件は、実施例1~7と同様の 件とした。基板の種類及びピール強度の測 も実施例1~7と同様の条件とした。この結果 、同様に、表4に示す。

 単位面積あたりの亜鉛の付着重量は320~817μg /dm 2 となり、めっき皮膜中のニッケル重量比率は 44~50重量%となった。これらの条件は、いずれ も本願発明の範囲に入るものである。
 FR-4基板での常態ピール強度は、1.52~1.62kN/m 耐熱ピール強度は1.47~1.59kN/m、劣化率7%以下 範囲であり、いずれも良好なピール強度と 熱ピール強度を示した。

 一方、BT基板での常態ピール強度は、0.98~1.0 9gN/m、硫酸・過酸化水素混合液での処理後の ール強度は0.89~0.97gN/m、劣化率は8~17%であり 良好な性質を示した。
 以上から、本実施例15~19では、FR-4基板では 好なピール強度と耐熱ピール強度を有し、B T基板においては良好な耐硫酸過水性を示し 。したがって、本実施例では、高温加熱後 剥離強度の劣化が少なく、回路浸食現象を きく改善できる有効な特性を保有している とが理解できる。

 以上から、本願発明のニッケル亜鉛層を 製する上でのめっき浴の条件は、ニッケル 度10~30g/L、亜鉛濃度1~15g/L、硫酸濃度1~12g/L、 塩化物イオン0~5g/Lであることが好ましい。こ れらの濃度の範囲を外れ、ニッケルあるいは 亜鉛濃度が濃くなると、廃水処理に支障をき たすようになるため、めっき浴の条件として は好ましくない。また、成分濃度が低く外れ ると、めっきによる濃度変化等の要因により めっき浴の管理が難しくなるほか、電流効率 が極端に低下するため、めっき浴の条件とし ては好ましくない。

(実施例20~22)
 ここでは、クロメート処理の方法を変えた きの実施例について説明する。
 本実施例については、実施例1-7と同様な示 条件で、ニッケル亜鉛層を形成した。電流 度とめっき時間は比較のために同一の条件( 電流密度20A/dm2、めっき時間1.8秒)としてある 単位面積あたりのニッケルおよび亜鉛のめ き付着重量とめっき皮膜中のニッケル及び 鉛の重量比率を、同様に、表5に示す。

 ここで、実施例1~7と異なる点は、クロメー 処理の条件を変更した点である。実施例1~7 は電解亜鉛クロメート処理を行っていた。 施例20~22におけるクロメート処理の条件は 次の通りである。
(実施例20のクロメート処理)これは、クロメ ト浴中に亜鉛を含まない電解クロメート処 である。
 CrO 3 :6.0g/L、pH 10.0、温 度:25C、電流密度2A/dm 2 、時間:2秒
(実施例21のクロメート処理)これは、電解亜 クロメート処理である。
 CrO 3 :1.5g/L、ZnSO 4 ・7H 2 O :1.0g/L、Na 2 SO 4  :10g/L、pH 4.5、温 度:50°C、電流密度1.5A/dm 2 、時間:2秒
(実施例22のクロメート処理)これは、浸漬亜 クロメート処理である。
 CrO 3 :3.5g/L、ZnSO 4 ・7H 2 O :2.4g/L、Na 2 SO 4  :15g/L、pH :4.2、温 度:40°C、時間:10秒
 基板の種類及びピール強度の測定は、実施 1~7と同様の条件とした。この結果を、同様 表5に示す。

 表1に示す通り、実施例20~22については、亜 の付着量は347~552μg/dm 2 となり、Ni比率は43~47重量%となった。これら 条件は、いずれも本願発明の範囲に入るも である。FR-4基板での常態ピール強度は、1.4 8~1.54kN/m、耐熱ピール強度は1.43~1.50kN/m、劣化 は3%以下の範囲であり、いずれも良好なピ ル強度を示した。

 一方、BT基板での常態ピール強度は、1.01~1.0 8kN/m、硫酸・過酸化水素混合液での処理後の ール強度は0.83~0.98kN/m、劣化率は8~17%であり 良好な性質を示した。
 以上から、本実施例20~22では、FR-4基板では 好なピール強度と耐熱性を有し、BT基板で 良好な耐硫酸・過酸化水素性を示した。し がって、本実施例では、高温加熱後の剥離 度の劣化が少なく、基板の選択とエッチン 液の選択により、回路浸食現象を大きく改 できる有効な特性を保有していることが理 できる。

 実施例20~22から分かるように、本願のニッ ル亜鉛層を形成した銅箔の耐熱性と耐薬品 は、クロメート処理の種類の影響を受けな ため、防錆処理として種々のクロメート処 を適用することができる。
 以上の実施例及び比較例から、本願発明は 硫酸・過酸化水素液による粗化面の侵食を とんど生じないこと、高温加熱後の剥離強 の劣化が少ないこと等、従来の黄銅から成 耐熱処理層の特性を低下させることなく、 路浸食現象を大きく改善できることが分か 。

 次に、本願のニッケル亜鉛層に含まれるニ ケルおよび亜鉛の化学状態について説明す 。
一般的な合金めっき皮膜においては、皮膜を 構成する金属元素は合金化しており、最表層 に存在するごく一部の金属元素のみが大気と 接触して酸化状態となっている。
 しかし、XPSの測定結果によれば、本願のニ ケル亜鉛層はニッケル亜鉛合金そのもので なく、皮膜中のニッケルおよび亜鉛は0価の 金属状態と2価の酸化状態(酸化物又は水酸化 )が最表層のみならず銅の下地に至るまで共 存した構造を持っている。例えば実施例14に いては、皮膜中の全ニッケルのうち酸化物 は水酸化物の化学形をとるものが55%、皮膜 の全亜鉛のうち2価の酸化状態となっている ものが72%である。
 本願の表面処理によって得られるニッケル 鉛層は、被膜中の全亜鉛のうち酸化物又は 酸化物の化学形をとるものの比率の範囲は4 5~90%、同じく皮膜中の全ニッケルのうち酸化 又は水酸化物の化学形をとるものの比率の 囲は60~80%となっていることを確認した。実 例に示したとおり、このような構成におい 、所望の特性と効果を発揮することを確認 た。本願発明は、これらの条件を全て包含 るものである。

 上記においては、電解銅箔の粗化面に適用 た場合について説明したが、光沢面に粗化 理を施した電解銅箔においても同様である とは云うまでもない。さらに粗化処理を施 た圧延銅箔においても同様である。電解銅 及び圧延銅箔の粗化面を使用していれば、 化処理の形状や表面粗さの違いにより常態 ール強度の絶対値に違いが出ることはある のの、耐熱ピール強度および硫酸・過酸化 素水処理後のピール強度の常態ピールから 相対劣化率を小さくすることができる。
 本願発明の印刷回路基板用銅箔においては 特にニッケル亜鉛層の最適な条件を選択す ことを発明の中心的課題とするものである これによって、銅箔の耐熱ピール強度を飛 的に向上させると共に、回路浸食現象を効 的に防止し、耐硫酸・過酸化水素性を恒常 に安定して効力を発揮させるものである。
 したがって、電解銅箔及び圧延銅箔の選択 は粗化面の選択は、目的に応じて任意に選 できることは、容易に理解されるべきこと ある。

 以上に示したように、本発明の印刷回路 板用銅箔は、高温加熱後の樹脂との剥離強 を劣化させないためにニッケル亜鉛層を使 するものであり、銅箔の耐熱ピール強度を 躍的に向上させることができる。また、こ によって回路浸食現象を効果的に防止でき 耐硫酸・過酸化水素性を恒常的に安定して 力を発揮できるという新しい特性が付与さ たものであり、近年印刷回路のファインパ ーン化及び高周波化が進む中で印刷回路基 用銅箔(特に半導体パッケージ基板用銅箔) び銅箔と樹脂基材を張り合わせて作製した 刷回路基板(特に半導体パッケージ基板)用銅 張積層板として有用である。




 
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