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Patent Searching and Data


Title:
COPPER HYDRIDE NANOPARTICLE, PROCESS FOR PRODUCING THE SAME, METALLIC PASTE, AND ARTICLE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/098985
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided are: copper hydride nanoparticles which have excellent oxidation resistance and can be easily sintered together with a metal filler; a process for producing the nanoparticles; a metallic paste capable of forming a metallic film having high conductivity; and an article having a high-conductivity metallic film. The copper hydride nanoparticles have an average particle diameter of 10-100 nm and the surface thereof has been coated with formic acid. The process comprises a step (a) in which a water-soluble copper compound is dissolved in water to prepare an aqueous solution containing copper ions, a step (b) in which formic acid is added to the aqueous solution to regulate the pH to 3 or lower, and a step (c) in which a reducing agent is added to the aqueous solution having a pH of 3 or lower while stirring the aqueous solution to thereby reduce the copper ions and generate copper hydride nanoparticles having an average particle diameter of 10-100 nm. The metallic paste comprises the copper hydride nanoparticle, a metal filler, and a resin binder. The article comprises a base and a metallic film formed thereon by applying the metallic paste and burning the coating.

Inventors:
HIRAKOSO HIDEYUKI (JP)
NAKANISHI KEI (JP)
ABE KEISUKE (JP)
KOBAYASHI KAZUSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/051381
Publication Date:
August 13, 2009
Filing Date:
January 28, 2009
Export Citation:
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Assignee:
ASAHI GLASS CO LTD (JP)
HIRAKOSO HIDEYUKI (JP)
NAKANISHI KEI (JP)
ABE KEISUKE (JP)
KOBAYASHI KAZUSHI (JP)
International Classes:
C01B6/02; B22F1/107; B22F7/04; H01B1/22; H01B5/00; B22F9/24
Domestic Patent References:
WO2006109410A12006-10-19
WO2004110925A12004-12-23
Foreign References:
JPH09227478A1997-09-02
Attorney, Agent or Firm:
SENMYO, Kenji et al. (SIA Kanda Square17, Kanda-Konyacho, Chiyoda-ku, Tokyo 35, JP)
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Claims:
 ギ酸によって表面が被覆され、かつ平均粒子径が10~100nmであることを特徴とする水素化銅ナノ粒子。
 表面を被覆している前記ギ酸が、前記水素化銅ナノ粒子の1~40質量%である請求項1に記載の水素化銅ナノ粒子。
 前記水素化銅ナノ粒子に含まれるナトリウムの量が、800ppm以下である請求項1または2に記載の水素化銅ナノ粒子。
 下記の工程(a)~(c)を有する、水素化銅ナノ粒子の製造方法。
 (a)水溶性銅化合物を水に溶解し、銅イオンを含む水溶液を調製する工程。
 (b)前記水溶液にギ酸を加えてpHを3以下に調整する工程。
 (c)前記pHが3以下の水溶液を攪拌しながら、該水溶液に還元剤を加えて銅イオンを還元し、平均粒子径が10~100nmである水素化銅ナノ粒子を生成させる工程。
 下記の工程(d)をさらに有する、請求項4に記載の水素化銅ナノ粒子の製造方法。
 (d)前記水素化銅ナノ粒子を、水とメタノールとの混合分散媒で精製する工程。
 前記還元剤が、金属水素化物または次亜リン酸である請求項4または5に記載の水素化銅ナノ粒子の製造方法。
 請求項1~3のいずれかに記載の水素化銅ナノ粒子と、
 平均粒子径が0.5~20μmである金属フィラーと、
 樹脂バインダと
 を含む、金属ペースト。
 前記水素化銅ナノ粒子の含有量が、前記金属フィラーに対して3~40質量%である請求項7に記載の金属ペースト。
 基材と、
 該基材上に、請求項7または8に記載の金属ペーストを塗布、焼成して形成された金属膜とを有する、物品。
 前記金属膜の体積抵抗率が1.0×10 -4 ωcm以下である請求項9に記載の物品。
Description:
水素化銅ナノ粒子、その製造方 、金属ペーストおよび物品

 本発明は、水素化銅ナノ粒子、その製造 法、該水素化銅ナノ粒子を含む金属ペース 、および該金属ペーストから形成される金 膜を有する物品に関する。

 基材上に金属ペーストを所望の配線パター 状に塗布、焼成して、所望の配線パターン 有するプリント基板等を製造する方法が知 れている。
 該方法に用いられる金属ペーストとしては たとえば、下記のものが提案されている。
 (1)平均粒子径が1~100nmである金属銀ナノ粒子 と、平均粒子径が5~20μmである金属フィラー 、樹脂バインダとを含む金属ペースト(特許 献1)。

 (1)の金属ペーストは、金属フィラーのみで 実現できなかった低抵抗化を、金属銀ナノ 子の有する表面融解現象を利用して金属フ ラー同士を融着することによって実現して る。
 しかし、銀はイオンマイグレーションを起 しやすい金属であるため、(1)の金属ペース を用いて製造したプリント基板等の電子部 の信頼性を考慮した場合、金属ナノ粒子の 料としては、銅が好ましい。しかし、金属 ナノ粒子は、非常に酸化しやすい。

 耐酸化性に優れた銅を含むナノ粒子として 、下記のものが提案されている。
 (2)長鎖の有機化合物によって表面が被覆さ た水素化銅ナノ粒子(特許文献2)。
 しかし、(2)の水素化銅ナノ粒子は、長鎖の 機化合物によって表面が被覆されているた 、金属フィラーと焼結しにくく、焼成後の 属膜の導電性が不充分である。

国際公開第02/35554号パンフレット

国際公開第2004/110925号パンフレット

 本発明は、耐酸化性に優れ、かつ金属フ ラーと焼結しやすい水素化銅ナノ粒子、そ 製造方法、導電性が高い金属膜を形成でき 金属ペースト、および導電性が高い金属膜 有する物品を提供する。

 本発明は、以下を特徴とする要旨を有する
(1)ギ酸によって表面が被覆され、かつ平均粒 子径が10~100nmであることを特徴とする水素化 ナノ粒子。
(2)表面を被覆している前記ギ酸が、前記水素 化銅ナノ粒子の1~40質量%である上記(1)に記載 水素化銅ナノ粒子。
(3)前記水素化銅ナノ粒子に含まれるナトリウ ムの量が、800ppm以下である上記(1)または(2)に 記載の水素化銅ナノ粒子。
(4)下記の工程(a)~(c)を有する、水素化銅ナノ 子の製造方法。
 (a)水溶性銅化合物を水に溶解し、銅イオン 含む水溶液を調製する工程。
 (b)前記水溶液にギ酸を加えてpHを3以下に調 する工程。
 (c)前記pHが3以下の水溶液を攪拌しながら、 水溶液に還元剤を加えて銅イオンを還元し 平均粒子径が10~100nmである水素化銅ナノ粒 を生成させる工程。
(5)下記の工程(d)をさらに有する、上記(4)に記 載の水素化銅ナノ粒子の製造方法。
 (d)前記水素化銅ナノ粒子を、水とメタノー との混合分散媒で精製する工程。
(6)前記還元剤が、金属水素化物または次亜リ ン酸である上記(4)または(5)に記載の水素化銅 ナノ粒子の製造方法。
(7)上記(1)に記載の水素化銅ナノ粒子と、
 平均粒子径が0.5~20μmである金属フィラーと
 樹脂バインダと
 を含む、金属ペースト。
(8)前記水素化銅ナノ粒子の含有量が、前記金 属フィラーに対して3~40質量%である上記(7)に 載の金属ペースト。
(9)基材と、
 該基材上に、上記(7)に記載の金属ペースト 塗布、焼成して形成された金属膜と
 を有する、物品。
(10)前記金属膜の体積抵抗率が1.0×10 -4 ωcm以下である上記(9)に記載の物品。

 本発明の水素化銅ナノ粒子は、耐酸化性に れ、かつ金属フィラーと焼結しやすい。
 本発明の水素化銅ナノ粒子の製造方法によ ば、耐酸化性に優れ、かつ金属フィラーと 結しやすい水素化銅ナノ粒子を製造できる
 本発明の金属ペーストによれば、導電性が い金属膜を形成できる。
 本発明の物品は、導電性が高い金属膜を有 る。

本発明の水素化銅ナノ粒子のIRスペク ルの一例を示す図である。

<水素化銅ナノ粒子>
 水素化銅ナノ粒子は、銅原子が水素原子と 合した状態で存在し、60~100℃で金属銅と水 とに分解する性質を有する。

 水素化銅ナノ粒子の平均粒子径は、10~100nm あり、50~80nmが好ましい。平均粒子径が100nm 下であれば、表面融解温度が充分に低下す ため、表面融解が起こりやすくなり、また 緻密な金属膜を形成できることから導電性 向上が期待できる。平均粒子径が10nm以上で れば、表面積の増加による酸化の促進も顕 ではなくなる。
 水素化銅ナノ粒子の平均粒子径は、透過型 子顕微鏡(以下、TEMと記す。)像の中から無 為に選ばれた100個の粒子の粒子径を測定し 平均することにより算出する。

 本発明の水素化銅ナノ粒子は、ギ酸によっ 表面が被覆されている。これにより、本発 の水素化銅ナノ粒子は、耐酸化性に優れ、 つ金属フィラーと焼結しやすいので好まし 。また、比較的低温の100~300℃程度でも、ギ 酸が表面から離脱し、気化するため、ペース トに使用した場合には、金属フィラー同士が 焼結しやすく、ペーストの焼成が可能となる ので好ましい。
 ギ酸によって表面が被覆されていることの 認は、水素化銅ナノ粒子のIRスペクトルを 定し、図1に示すように、水素化銅ナノ粒子 表面と相互作用していないギ酸に由来するC =Oの伸縮による1700cm -1 付近の吸収が存在しないもしくは小さいこと 、および水素化銅ナノ粒子の表面と相互作用 しているギ酸に由来するCOO - による1500~1600cm -1 の吸収が存在することを確認することによっ て実施できる。

 すなわち、ギ酸が水素化銅ナノ粒子の表面 相互作用している場合、ギ酸のカルボン酸 、-COO - となっている。-COO - における負電荷は、2つの酸素原子上に非局 化しているため、-COO - にはカルボニル基(C=O)が存在しない。一方、 素化銅ナノ粒子とギ酸とを単にブレンドし だけでは、前記相互作用が起こらないため 該ブレンド物においては、C=Oの伸縮による1 700cm -1 付近の吸収が存在し、COO - による1500~1600cm -1 の吸収が存在しない。

 ギ酸の被覆量は、水素化銅ナノ粒子全体(ギ 酸を含む。)100質量%中、1~40質量%が好ましく 5~20質量%がより好ましい。ギ酸の被覆量が、 1質量%以上であれば、ギ酸による環が充分で 、40質量%以下であれば、導電性が良好とな 。
 ギ酸の被覆量は、熱分析測定装置を用いて 素化銅ナノ粒子を熱分解させ、150~500℃間の 質量減少を測定し、求める。

 本発明の水素化銅ナノ粒子は、下記の工程( a)~(d)を有する方法(湿式還元法)によって製造 きる。
 (a)水溶性銅化合物を水に溶解し、銅イオン 含む水溶液を調製する工程。
 (b)前記水溶液にギ酸を加えてpHを3以下に調 する工程。
 (c)前記pHが3以下の水溶液を攪拌しながら、 水溶液に還元剤を加えて銅イオンを還元し 平均粒子径が10~100nmである水素化銅ナノ粒 を生成させる工程。
 (d)必要に応じて、前記水素化銅ナノ粒子を 水とメタノールとの混合分散媒で精製する 程。

工程(a):
 水溶性銅化合物としては、硫酸銅、硝酸銅 ギ酸銅、酢酸銅、塩化銅、臭化銅、ヨウ化 等が挙げられる。
 水溶性銅化合物の濃度は、水溶液100質量%中 、0.1~30質量%が好ましい。水溶液中の水溶性 化合物の濃度が0.1質量%以上であれば、水の が抑えられ、また、水素化銅ナノ粒子の生 効率が良好となる。水溶液中の水溶性銅化 物の濃度が30質量%以下であれば、水素化銅 ノ粒子の収率の低下が抑えられる。

工程(b):
 水溶液のpHを3以下に調整する酸として、ギ を用いる。
 水溶液のpHを3以下に調整することにより、 溶液中の銅イオンが還元剤により還元され すくなり、水素化銅ナノ粒子が生成しやす なる。水溶液のpHが3を超えると、水素化銅 ノ粒子が生成せずに、金属銅ナノ粒子が生 するおそれがある。
 水溶液のpHは、水素化銅ナノ粒子を短時間 生成できる点から、2~2.5が好ましい。
 なお、工程(a)と工程(b)は、同時に行っても い。

工程(c):
 銅イオンは酸性下で還元剤により還元され 徐々に水素化銅ナノ粒子が成長して、平均 子径が10~100nmである水素化銅ナノ粒子が生 する。該水素化銅ナノ粒子は、ただちに共 しているギ酸により表面を覆われ、安定化 る。

 還元剤としては、大きな還元作用がある とから金属水素化物または次亜リン酸が好 しい。金属水素化物としては、水素化リチ ムアルミニウム、水素化ホウ素リチウム、 素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウム、 素化カリウム、水素化カルシウム等が挙げ れ、水素化リチウムアルミニウム、水素化 ウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウムが ましい。

 還元剤の添加量は、銅イオンに対して1.5~10 当量数が好ましい。還元剤の添加量が銅イ ンに対して1.5倍当量数以上であれば、還元 用が充分となる。還元剤の添加量が銅イオ に対して10倍当量数以下であれば、水素化 ナノ粒子に含まれる不純物(ナトリウム、ホ 素、リン等。)の量が抑えられる。
 還元剤を加える際の水溶液の温度は、5~60℃ が好ましく、20~50℃がより好ましい。水溶液 温度が60℃以下であれば、水素化銅ナノ粒 の分解が抑えられ、また、5℃以上であれば 反応速度の低下による収率の低下もない。

工程(d):
 水素化銅ナノ粒子を含む懸濁液を静置する 、水素化銅ナノ粒子が凝集して沈殿する。
 該沈殿物を分散媒に再分散させた後、水素 銅ナノ粒子を再び凝集させて沈殿させる方 で精製することにより、高純度化した水素 銅ナノ粒子が得られる。

 精製に用いる分散媒としては、水とメタノ ルとの混合分散媒が好ましい。水のみでは 水の表面張力が大きいため、水素化銅ナノ 子の凝集物の細孔に水が入っていくことが きず、精製の効果が小さい。一方、メタノ ルのみでは、メタノールの誘電率が小さい め、ナトリウム等の不純物をイオンとして 散媒中に遊離できず、精製の効果が小さい
 水の割合は、混合分散媒100質量%のうち、40~ 90質量%が好ましく、50~85質量%がより好ましい 。
 水素化銅ナノ粒子に含まれるナトリウムの は、金属膜の導電性が良好であるため、800p pm以下が好ましい。

 以上説明した本発明の水素化銅ナノ粒子に っては、下記の(i)~(iii)の理由から、耐酸化 に優れ、かつ金属フィラーと焼結しやすい
 (i)水素化銅ナノ粒子は、銅原子と水素原子 が結合した状態で存在するため、空気雰囲 中において、金属銅ナノ粒子に比べて酸化 れにくく安定であり、保存安定性に優れて る。
 (ii)水素化銅ナノ粒子は、温度60~100℃におい て金属銅と水素とに分解する性質を有するた め、水素化銅ナノ粒子を基材に塗布し、焼成 する際、金属銅ナノ粒子とは異なり、粒子表 面に酸化物皮膜が形成されることがほとんど ない。したがって、表面溶融現象により銅ナ ノ粒子が融解し、銅ナノ粒子同士、または銅 ナノ粒子と金属フィラーとが焼結して、すみ やかに金属膜を形成できる。
 (iii)本発明の水素化銅ナノ粒子は、還元性( なわち-CHO基)を有するギ酸によって表面を 覆されているため、空気雰囲気中において 他の有機酸によって被覆された水素化銅ナ 粒子に比べて酸化されにくい。よって、焼 によって形成される金属膜は、導電性に優 ている。

<金属ペースト>
 本発明の金属ペーストは、本発明の水素化 ナノ粒子と、平均粒子径が0.5~20μmである金 フィラーと、樹脂バインダとを含む。これ より、本発明の金属ペーストは、導電性が い金属膜を形成できるので好ましい。得ら る金属膜の導電性の高くなる理由としては 詳細には解明できていないが、ギ酸に還元 があるため、金属フィラーの表面酸化膜を 元することができ、酸化膜がなくなるため 金属フィラー同士との間で焼結しやすくな 、また、金属フィラー同士の間に、水素化 微粒子が分解して得られる銅ナノ粒子が隙 に入り、緻密な金属膜が得られるためであ と考えられる。

 金属フィラーとしては、金属ペーストに いられる公知の金属粒子が挙げられる。金 フィラーの材料としては、金、銅、パラジ ム、ニッケル、錫、アルミニウム、ビスマ 、インジウム、鉛等が挙げられ、導電性、 マイグレーション性、価格の点から、銅が ましい。

 金属フィラーの平均粒子径は、0.5~20μmであ 、1~10μmが好ましい。金属フィラーの平均粒 子径が、0.5μm以上であることにより、得られ るペーストの流動特性が良好となるので好ま しく、平均粒子径が20μm以下であることによ 、微細配線が作製しやすくなるので好まし 。
 金属フィラーの平均粒子径は、TEM像の中か 無作為に選ばれた100個の粒子の粒子径を測 し、平均することにより算出する。

 樹脂バインダとしては、金属ペーストに用 られる公知の樹脂バインダ(熱硬化性樹脂、 熱可塑性樹脂等。)等が挙げられ、焼成時の 度において充分な硬化がなされる樹脂成分 選択して用いることが好ましい。
 熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、 ポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、ビニル ステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、オ ゴエステルアクリレート樹脂、キシレン樹 、ビスマレイドトリアジン樹脂、フラン樹 、尿素樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン 脂、シリコン樹脂、アクリル樹脂、オキセ ン樹脂、オキサジン樹脂等が挙げられ、フ ノール樹脂、エポキシ樹脂、オキサジン樹 が好ましい。
 熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、ポリ ミド、アクリル樹脂、ケトン樹脂、ポリス レン、ポリエステル等が挙げられる。

 金属ペースト中の水素化銅ナノ粒子の含 量は、金属フィラー100質量%に対して、3~40 量%が好ましく、5~20質量%がより好ましい。 素化銅ナノ粒子の量が、3質量%以上であるこ とにより、金属フィラー表面に焼結しやすく 、金属フィラー間の導電パスを増やすことが でき、得られる金属膜の導電性の向上に寄与 できるので好ましい。また、水素化銅ナノ粒 子の量が、40質量%以下であることにより、得 られるペーストの流動特性が良好となるので 好ましい。

 金属ペースト中の樹脂バインダの量は、金 フィラーおよび水素化銅ナノ粒子の全体の 積とそれらの粒子間に存在する空隙との比 に応じて適宜選択すればよく、通常、金属 ィラーおよび水素化銅ナノ粒子の合計100質 %に対して、5~50質量%が好ましく、5~20質量% より好ましい。樹脂バインダの量が、5質量% 以上であることにより、得られるペーストの 流動特性が良好となるので好ましく、樹脂バ インダの量が、50質量%以下であることにより 、得られる金属膜の導電性が良好となるので 好ましい。金属フィラーおよび水素化銅ナノ 粒子の全体の体積とそれらの粒子間に存在す る空隙との比率に応じて樹脂バインダを添加 することで、粒子間の導電パスを維持しなが ら焼成後の金属膜の構造を維持できる。
 金属ペーストは、必要に応じて、溶媒、公 の添加剤(レベリング剤、カップリング剤、 粘度調整剤、酸化防止剤等。)等を、本発明 効果を損なわない範囲で含んでいてもよい

 以上説明した本発明の金属ペーストにあ ては、本発明の水素化銅ナノ粒子を含んで るため、導電性が高い金属膜を形成できる

<物品>
 本発明の物品は、基材と、該基材上に、本 明の金属ペーストを塗布、焼成して形成さ た金属膜とを有する。
 基材としては、ガラス基板、プラスチック 材(ポリイミド基板、ポリエステル基板等。 )、繊維強化複合材料(ガラス繊維強化樹脂基 等。)等が挙げられる。

 塗布方法としては、スクリーン印刷、ロ ルコート法、エアナイフコート法、ブレー コート法、バーコート法、グラビアコート 、ダイコート法、スライドコート法等の公 の方法が挙げられる。

 焼成方法としては、温風加熱、熱輻射等の 法が挙げられる。
 焼成温度および焼成時間は、金属膜に求め れる特性に応じて適宜決定すればよい。焼 温度は、100~300℃が好ましい。焼成温度が、 100℃以上であることにより、粒子表面を被覆 しているギ酸を離脱、気化させることができ 、金属フィラーと水素化銅ナノ粒子との焼結 が進行しやすくなるので好ましく、焼成温度 が300℃以下であることにより、金属膜を形成 する基板として、樹脂フィルムを使用できる ので好ましい。
 金属膜の体積抵抗率は、1.0×10 -4 ωcm以下が好ましい。体積抵抗率が1.0×10 -4 ωcmを超えると、電子部品用の導電体として 使用が困難となる場合がある。

 以上説明した本発明の物品にあっては、 属膜を本発明の金属ペーストから形成して るため、金属膜の導電性が高い。

 以下、実施例により本発明をさらに詳しく 明するが、本発明はこれら実施例に限定さ ない。
 例1~4は実施例であり、例5~10は比較例である 。

(ナノ粒子および金属膜の同定)
 ナノ粒子および金属膜の同定は、X線回折装 置(株式会社リガク製、TTR-III)により行った。

(平均粒子径)
 ナノ粒子および金属フィラーの平均粒子径 、TEM(日本電子社製、JEM-1230)にて得られたTEM 像の中から無作為に選ばれた100個の粒子の粒 子径を測定し、平均することにより算出した 。
 また、測定サンプルは、0.1質量%の粒子をメ タノール中に分散させた分散液を、カーボン グリッド上に塗布し、自然乾燥させることに より作製した。

(ギ酸の被覆量)
 水素化銅ナノ粒子におけるギ酸の被覆量は 熱分析測定装置(島津製作所社製、型式:DTG-5 0)を用いて水素化銅ナノ粒子を熱分解させ、1 50~500℃間の質量減少を測定し、求めた。
 また、ギ酸によって水素化銅ナノ粒子の表 が被覆されていることの確認は、IRスペク ルを測定することにより行った。

(ナトリウム含有量)
 水素化銅ナノ粒子および金属膜に含まれる トリウムの量は、硝酸と過酸化水素水によ て水素化銅ナノ粒子を溶解後、ICP発光分析 置(セイコー電子工業社製、型式:SPQ9000)を用 いて測定した。

(金属膜の厚さ)
 金属膜の厚さは、DEKTAK3(Veeco metrology Group社 製)を用いて測定した。

(金属膜の体積抵抗率)
 金属膜の体積抵抗率は、四探針式抵抗計(三 菱油化社製、型式:lorestaIP MCP-T250)を用いて測 定した。

〔例1〕
 ガラス容器内にて、酢酸銅(II)水和物の5.2g 蒸留水の30gおよびギ酸の3.3gで溶解して、銅 オンを含む水溶液を調製した。該水溶液のp Hは2.6であった。
 該水溶液を激しく撹拌しながら、20℃で該 溶液に4質量%の水素化ホウ素ナトリウム水溶 液の23gをゆっくり滴下した。滴下終了後、10 間そのまま撹拌を続け、懸濁液を得た。

 遠心分離によって懸濁液中の凝集物を沈殿 せ、沈殿物を分離した。該沈殿物を蒸留水 80gおよびメタノールの20gの混合分散媒に再 散させた後、再び遠心分離によって凝集物 沈殿させ、沈殿物を分離した。精製後の沈 物をX線回折で同定を行ったところ、水素化 銅ナノ粒子であることが確認された。また、 IRスペクトルを測定して、ギ酸によって水素 銅ナノ粒子の表面が被覆されていることを 認した。IRスペクトルを図1に示す。
 水素化銅ナノ粒子の平均粒子径、ギ酸の被 量、ナトリウム含有量を測定した。結果を 1に示す。

 水素化銅ナノ粒子の0.7gと金属銅粒子(三 金属鉱業株式会社製、1400YP、平均粒子径:7μm )の6.3gをそれぞれ2-プロパノールの10gに懸濁 せ、両者を混合した。混合した懸濁液中の2- プロパノールを減圧下に置き、2-プロパノー を除去し、水素化銅と金属銅粒子の複合体 形成した。この複合体を非晶質ポリエステ 樹脂(東洋紡績社製、バイロン103)の0.9gをシ ロヘキサノン(純正化学株式会社製、特級) 1.1gに溶解させた樹脂バインダ溶液の2.0gに加 えた。該混合物を乳鉢中で混ぜ合わせた後、 室温で減圧下に置き、シクロヘキサノンを除 去し、金属ペーストを得た。

 金属ペーストをガラス基板に塗布し、窒素 囲気中、150℃で1時間焼成し、厚さ4μmの金 膜を形成した。金属膜をX線回折で同定を行 たところ、金属銅であることが確認された
 金属膜の体積抵抗率およびナトリウム含有 を測定した。結果を表2に示す。

〔例2〕
 蒸留水およびメタノールの混合分散媒の代 りに、蒸留水のみを用いた以外は、例1と同 様にして精製された沈殿物を得た。精製後の 沈殿物をX線回折で同定を行ったところ、水 化銅ナノ粒子であることが確認された。ま 、IRスペクトルを測定して、ギ酸によって水 素化銅ナノ粒子の表面が被覆されていること を確認した。
 水素化銅ナノ粒子の平均粒子径、ギ酸の被 量、ナトリウム含有量を測定した。結果を 1に示す。

 例2の水素化銅ナノ粒子を用いた以外は、例 1と同様にして金属ペーストを調製し、金属 を形成した。金属膜をX線回折で同定を行っ ところ、金属銅であることが確認された。
 金属膜の体積抵抗率およびナトリウム含有 を測定した。結果を表2に示す。

〔例3〕
 蒸留水およびメタノールの混合分散媒の代 りに、メタノールのみを用いた以外は、例1 と同様にして精製された沈殿物を得た。精製 後の沈殿物をX線回折で同定を行ったところ 水素化銅ナノ粒子であることが確認された また、IRスペクトルを測定して、ギ酸によっ て水素化銅ナノ粒子の表面が被覆されている ことを確認した。
 水素化銅ナノ粒子の平均粒子径、ギ酸の被 量、ナトリウム含有量を測定した。結果を 1に示す。

 例3の水素化銅ナノ粒子を用いた以外は、例 1と同様にして金属ペーストを調製し、金属 を形成した。金属膜をX線回折で同定を行っ ところ、金属銅であることが確認された。
 金属膜の体積抵抗率およびナトリウム含有 を測定した。結果を表2に示す。

〔例4〕
 水素化ホウ素ナトリウムの代わりに次亜リ 酸を用い、45℃で反応させた以外は、例1と 様にして精製された沈殿物を得た。精製後 沈殿物をX線回折で同定を行ったところ、水 素化銅ナノ粒子であることが確認された。ま た、IRスペクトルを測定して、ギ酸によって 素化銅ナノ粒子の表面が被覆されているこ を確認した。
 水素化銅ナノ粒子の平均粒子径、ギ酸の被 量を測定した。結果を表1に示す。

 例4の水素化銅ナノ粒子を用いた以外は、例 1と同様にして金属ペーストを調製し、金属 を形成した。金属膜をX線回折で同定を行っ ところ、金属銅であることが確認された。
 金属膜の体積抵抗率を測定した。結果を表2 に示す。

〔例5〕
 水素化ホウ素ナトリウムの代わりにジメチ アミンボランを用い、45℃で反応させた以 は、例1と同様にして精製された沈殿物を得 。精製後の沈殿物をX線回折で同定を行った ところ、水素化銅ナノ粒子であることが確認 された。また、IRスペクトルを測定して、ギ によって水素化銅ナノ粒子の表面が被覆さ ていることを確認した。
 金属銅ナノ粒子の平均粒子径、ギ酸の被覆 を測定した。結果を表1に示す。

 例5の金属銅ナノ粒子を用いた以外は、例1 同様にして金属ペーストを調製し、金属膜 形成した。金属膜をX線回折で同定を行った ころ、金属銅であることが確認された。
 金属膜の体積抵抗率を測定した。結果を表3 に示す。

〔例6〕
 水素化ホウ素ナトリウムの代わりに次亜リ 酸を用い、ギ酸を添加しないで45℃で反応 せた以外は、例1と同様にして精製された沈 物を得た。精製後の沈殿物をX線回折で同定 を行ったところ、水素化銅ナノ粒子であるこ とが確認された。
 水素化銅ナノ粒子の平均粒子径、ギ酸の被 量を測定した。結果を表1に示す。

 例6の水素化銅ナノ粒子を用いた以外は、例 1と同様にして金属ペーストを調製し、金属 を形成した。金属膜をX線回折で同定を行っ ところ、金属銅であることが確認された。
 金属膜の体積抵抗率を測定した。結果を表3 に示す。

〔例7〕
 ギ酸の代わりにクエン酸を用いた以外は、 1と同様にして精製された沈殿物を得た。
 精製後の沈殿物をX線回折で同定を行ったと ころ、水素化銅ナノ粒子であることが確認さ れた。
 水素化銅ナノ粒子の平均粒子径を測定した 結果を表1に示す。

 例7の水素化銅ナノ粒子を用いた以外は、例 1と同様にして金属ペーストを調製し、金属 を形成した。金属膜をX線回折で同定を行っ ところ、金属銅と亜酸化銅の混合物である とが確認された。
 金属膜の体積抵抗率を測定した。結果を表3 に示す。

〔例8〕
 水素化銅ナノ粒子の代わりに、市販の金属 ナノ粒子(石原産業株式会社製、MD-50、平均 子径:50nm)を用い、金属銅ナノ粒子に対して1 0質量%のギ酸を加えた以外は、例1と同様にし て金属ペーストを調製し、金属膜を形成した 。金属膜をX線回折で同定を行ったところ、 属銅と亜酸化銅の混合物であることが確認 れた。
 金属膜の体積抵抗率を測定した。結果を表3 に示す。

〔例9〕
 水素化銅ナノ粒子の代わりに、市販の金属 ナノ粒子(石原産業株式会社製、MD-50、平均 子径:50nm)を用いた以外は、例1と同様にして 金属ペーストを調製し、金属膜を形成した。 金属膜をX線回折で同定を行ったところ、金 銅と亜酸化銅の混合物であることが確認さ た。
 金属膜の体積抵抗率を測定した。結果を表3 に示す。

〔例10〕
 水素化銅ナノ粒子を用いない以外は、例1と 同様にして金属ペーストを調製し、金属膜を 形成した。金属膜をX線回折で同定を行った ころ、金属銅であることが確認された。
 金属膜の体積抵抗率を測定した。結果を表3 に示す。

 本発明の水素化銅ナノ粒子および金属ペー トは、様々な用途に利用でき、たとえば、 リント配線板等における配線パターンの形 および修復、半導体パッケージ内の層間配 、プリント配線板と電子部品との接合等の 途に利用できる。
 なお、2008年2月7日に出願された日本特許出 2008-027675号の明細書、特許請求の範囲、図 及び要約書の全内容をここに引用し、本発 の明細書の開示として、取り入れるもので る。