村田 靖 (〒11 東京都西東京市田無町六丁目1番12号 シチズンホールディングス株式会社内 Tokyo, 1888511, JP)
シチズンホールディングス株式会社 (〒11 東京都西東京市田無町六丁目1番12号 Tokyo, 1888511, JP)
MURATA, Yasushi (1-12, Tanashicho 6-chome, Nishitokyo-sh, Tokyo 11, 1888511, JP)
| おもて面と裏面とを有する透明基材の少なくとも片方の面に、SiO 2 およびSi 3 N 4 の混成膜とSi 3 N 4 膜とが交互に4層または5層以上積層され、かつ最表層がSiO 2 およびSi 3 N 4 の混成膜である反射防止膜を備えることを特徴とする時計用カバーガラス。 |
| 前記反射防止膜が、前記基材から最表層に向けて前記混成膜と前記Si 3 N 4 膜とがこの順で交互に積層されてなることを特徴とする請求項1に記載の時計用カバーガラス。 |
| 前記反射防止膜が、前記基材から最表層に向けて前記Si 3 N 4 膜と前記混成膜とがこの順で交互に積層されてなることを特徴とする請求項1に記載の時計用カバーガラス。 |
| 前記混成膜中において、酸素および窒素の合計に対する窒素の含有率が、5~90原子%であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の時計用カバーガラス。 |
| 前記反射防止膜において、前記交互に積層される層数が、4~12層であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の時計用カバーガラス。 |
| 前記混成膜の厚さが1層当たり、0.01~1.0μmであり、前記Si 3 N 4 膜の厚さが1層当たり、0.01~1.2μmであることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の時計用カバーガラス。 |
| 前記反射防止膜の厚さが、0.1~4.0μmであることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の時計用カバーガラス。 |
| 前記反射防止膜が、前記おもて面と裏面との両方の面に積層されていることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の時計用カバーガラス。 |
| 前記反射防止膜が、反応性スパッタリング法によって形成されていることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の時計用カバーガラス。 |
| おもて面と裏面とを有する透明基材の少なくとも片方の面に反射防止膜を備える時計用カバーガラスの製造方法であって、 反応性スパッタリング法によって、SiO 2 およびSi 3 N 4 の混成膜とSi 3 N 4 膜とが交互に4層または5層以上積層され、かつ最表層がSiO 2 およびSi 3 N 4 の混成膜である前記反射防止膜を形成する反射防止膜形成工程を含むことを特徴とする時計用カバーガラスの製造方法。 |
| 前記反射防止膜が、前記基材から最表層に向けて前記混成膜と前記Si 3 N 4 膜とがこの順で交互に積層されてなることを特徴とする請求項10に記載の時計用カバーガラスの製造方法。 |
| 前記反射防止膜が、前記基材から最表層に向けて前記Si 3 N 4 膜と前記混成膜とがこの順で交互に積層されてなることを特徴とする請求項10に記載の時計用カバーガラスの製造方法。 |
| 前記反応性スパッタリング法が、少なくとも窒素含有ガスおよび不活性ガスを含む混合ガスの存在下、Siターゲットを原料として、DCパルス放電式で行われることを特徴とする請求項10~12のいずれかに記載の時計用カバーガラスの製造方法。 |
| 前記混成膜中において、酸素および窒素の合計に対する窒素の含有率が、5~90原子%であることを特徴とする請求項10~13のいずれかに記載の時計用カバーガラスの製造方法。 |
| 前記反射防止膜において、前記交互に積層される層数が、4~12層であることを特徴とする請求項10~14のいずれかに記載の時計用カバーガラスの製造方法。 |
| 前記混成膜の厚さが1層当たり、0.01~1.0μmであり、前記Si 3 N 4 膜の厚さが1層当たり、0.01~1.2μmであることを特徴とする請求項11~15のいずれかに記載の時計用カバーガラスの製造方法。 |
| 前記反射防止膜の厚さが、0.1~4.0μmであることを特徴とする請求項11~16のいずれかに記載の時計用カバーガラスの製造方法。 |
| 前記反射防止膜が、前記おもて面と裏面との両方の面に積層されていることを特徴とする請求項11~17のいずれかに記載の時計用カバーガラスの製造方法。 |
| 請求項1~9のいずれかに記載の時計用カバーガラスを有する時計。 |
本発明は、時計用カバーガラスに関し、 に、長期間にわたる反射防止機能維持と耐 性に優れた時計用カバーガラスに関する。
時計のカバーガラスには、青板ガラス(ソ ーダガラス)、白板ガラス、サファイアガラ などが使用されている。これらのカバーガ スはいずれも可視光領域における反射率が きく、指針や文字板の視認性という観点で 問題があった。すなわち、屋内、屋外、昼 など様々な環境下で時刻を確認する時計で 外光や照明が変化するため、これらの外光 カバーガラスの表面で反射し、時刻表示が えにくくなる問題があった。
上記問題点に対する解決方法としてカバ ガラスの両面あるいは少なくとも片面に反 防止膜をコーティングすることは良く知ら ている。(たとえば特許文献1参照)。
一般に反射防止膜は、適当な屈折率を有 る金属あるいは無機物の酸化物膜、窒化物 、フッ化物膜、硫化物膜を、限定した波長 域において所望の反射率となるように設計 、組み合わせることにより構成される。
しかしながら、特許文献1で開示される反射 防止膜は耐傷性等に劣る。特許文献1には、 えばフッ化マグネシウムを最表層とする反 防止膜をコーティングしたカバーガラスを 備した腕時計が開示されている。上記腕時 を長期間携帯していると反射防止膜の表面 細かい傷が入ったり、剥離したりして、表 がくもってしまい、指針や文字板が見えに くなってしまう問題があった。またフッ化 グネシウムより膜硬度が高いとされるSiO 2 を用いても上記の問題を解決することができ なかった。
特許文献1に開示された従来技術のこのよ うな問題点を解決しようとした従来技術とし て、特許文献2に示す技術がある。
特許文献2は、カバーガラス上の反射防止膜 を構成するSiO 2 材料に微量の窒素を含有させることで膜硬度 を向上させようとするものである。
しかし、特許文献2に開示されている反射防
止膜は、実際の硬度および耐傷性の点で改善
の余地があった。
本発明の目的は、上記課題を解決して、 硬度で耐摩耗性に優れ、長期間携帯しても の入りにくい反射防止機能を有した時計用 バーガラスを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の時 用カバーガラスは、下記に記載の構成を採 する。
本発明の時計用カバーガラスは、おもて面 裏面とを有する透明基材の少なくとも片方 面に、SiO 2 およびSi 3 N 4 の混成膜(本明細書においてSiON膜または混成 とも呼ぶ。)とSi 3 N 4 膜とが交互に4層または5層以上積層され、か 最表層がSiO 2 およびSi 3 N 4 の混成膜である反射防止膜を備えることを特 徴とする。
上記反射防止膜は、上記基材から最表層に けて上記混成膜と上記Si 3 N 4 膜とがこの順で交互に積層されてなるか、あ るいは、上記基材から最表層に向けて上記Si 3 N 4 膜と上記混成膜とがこの順で交互に積層され てなることが好ましい。
上記混成膜中において、酸素および窒素 合計に対する窒素の含有率は、5~90原子%で ることが好ましい。
上記反射防止膜において、上記交互に積 される層数は、4~12層であることが好ましい 。
上記混成膜の厚さは、0.01~1.0μmであり、上 Si 3 N 4 膜の厚さは、0.01~1.2μmであることが好ましい
上記反射防止膜の厚さは、0.1~4.0μmである ことが好ましい。
上記反射防止膜は、上記おもて面と裏面 の両方の面に積層されていることが好まし 。
上記反射防止膜が、反応性スパッタリン 法によって形成されていることが好ましい
本発明に係る時計用カバーガラスの製造方 は、おもて面と裏面とを有する透明基材の なくとも片方の面に反射防止膜を備える時 用カバーガラスの製造方法であって、反応 スパッタリング法によって、SiO 2 およびSi 3 N 4 の混成膜とSi 3 N 4 膜とが交互に4層または5層以上積層され、か 最表層がSiO 2 およびSi 3 N 4 の混成膜である上記反射防止膜を形成する反 射防止膜形成工程を含むことを特徴とする。
上記反射防止膜は、上記基材から最表層に けて上記混成膜と上記Si 3 N 4 膜とがこの順で交互に積層されてなるか、あ るいは、上記基材から最表層に向けて上記Si 3 N 4 膜と上記混成膜とがこの順で交互に積層され てなることが好ましい。
上記反応性スパッタリング法は、少なく も窒素含有ガスおよび不活性ガスを含む混 ガスの存在下、Siターゲットを原料として DCパルス放電式で行われることが好ましい。
上記混成膜中において、酸素および窒素 合計に対する窒素の含有率は、5~90原子%で ることが好ましい。
上記反射防止膜において、上記交互に積 される層数は、4~12層であることが好ましい 。
上記混成膜の厚さは、0.01~1.0μmであり、上 Si 3 N 4 膜の厚さは、0.01~1.2μmであることが好ましい
上記反射防止膜の厚さは、0.1~4.0μmである ことが好ましい。
上記反射防止膜は、上記おもて面と裏面 の両方の面に積層されていることが好まし 。
本発明に係る時計は、上記時計用カバー ラスを有することを特徴とする。
(作用)
発明者らは、時計用カバーガラスにおける
射防止膜について検討を進めた結果、おも
面と裏面を有する透明基材の少なくとも片
の面にSiON膜とSi 3
N 4
膜との積層膜を有する反射防止膜を備えると
ともに、反射防止膜の最表層をSiON膜とする
とで、耐摩耗性に優れ、長期間携帯しても
の入りにくい反射防止機能を有した時計用
バーガラスを提供することを可能にした。
こでおもて面とは時計のカバーガラスにお
て外気に曝されている面を言う。SiON膜を形
するにはSiをターゲットとして反応ガスの
換だけでSiO 2
とSi 3
N 4
を形成できる反応性スパッタリング法が適し
ており、成膜時にO 2
ガスやArガスと共にNを含むガス(例えばN 2
)を導入する方法が好ましい。このことより
膜されたSiON膜はSiO 2
とSi 3
N 4
との混成状態からなる内部応力の大きい膜と
なり、膜の耐摩耗性、硬度が向上している。
このようにして膜内部での光吸収がほとんど
なく、高硬度で耐摩耗性に優れたSiON膜が形
できる。
発明者らの分析によると、SiON膜の膜硬度を 向上させる膜中N含有量は、XRD(X線回折)およ XPS(X線光電子分光分析)分析によって確認さ ており、成膜時の反応性ガスの流量比とSiON 中のN含有比((酸素+窒素):窒素)とはほとんど 同じであり、流量比(体積比)で酸素100:窒素11 ときに膜中の酸素:窒素原子比は60:6(窒素9原 子%)、流量比で酸素100:窒素41のときに膜中の 素:窒素原子比は36:23(窒素33原子%)であった また、成膜されたSiON膜の屈折率は、成膜時 反応性ガス流量比N 2 /(N 2 +O 2 )の値が増加するに従って増大した。流量比 5体積%ではSiO 2 膜の屈折率の値である1.47からの変化は殆ど く、流量比11体積%では1.52、流量比41体積%で 1.64、流量比が90体積%を越えるとSi 3 N 4 の屈折率である2.0付近に到達することが分か った。
図6に本発明によるSiON膜のXPSによるO1sおよ N1s軌道光電子スペクトルを示す。この図か 明らかなように、本発明のSiON膜はSiO 2 中に窒素原子を取り込んだだけの膜ではなく 、SiO 2 とSi 3 N 4 との混合状態にある混成膜であることが確認 された。
このような膜硬化は、SiON膜を形成する際の スパッタリングターゲットにSiO 2 を用いた場合にはN 2 を含むガスを導入しても効果が無く、Siター ットを用いた反応性スパッタ特有の現象で ることも確認できた。これはSiターゲット スパッタする方がSiO 2 ターゲットを用いてスパッタするよりもプラ ズマ空間や堆積する膜表面がより活性化した 状態となって反応が促進されるためと考えら れる。また、成膜速度もSiターゲットを用い 方がDCモードを使えるので格段に早く、生 性の向上が期待できる。
このように、SiON膜とSi 3 N 4 膜とは硬度が高く、耐摩耗性に優れており、 透明性を保持し、反射防止機能を有した時計 用カバーガラスを提供することが可能となる 。
なお、特許文献2には、SiO 2 膜に窒素を含有させても屈折率が変化しない 旨が開示されている。また、追試験の結果、 屈折率がほとんど変化しないことは実証でき 、硬度および耐傷性にも改善の余地があった 。
以上、説明したように、本発明の時計用カ ーガラスはおもて面と裏面を有する透明基 の少なくとも片方の面にSiON膜とSi 3 N 4 膜との積層膜を有する反射防止膜を備えるた め、反射防止膜表面の硬度が上昇し耐摩耗性 が向上する。その結果、長期間携帯しても反 射防止膜が表面に細かい傷が入ったり、剥離 したりして、表面が曇って指針や文字板が見 えにくくなる問題が発生せず、反射防止機能 が維持できる。また、本発明によれば反射防 止機能の劣化がないために文字板の装飾性が 経時変化によって損なわれることがない。ま た、文字板に太陽電池が装着されており、カ バーガラスを通過した光を受光して時計を駆 動させるための起電力を発生させる時計の場 合、本発明では反射防止機能が劣化すること がないため太陽電池の発電効率を高水準で維 持できる。
10 サファイアガラ
(基板)
11、13、15、21,23、25 SiON膜
12、14、22、24 Si 3
N 4
膜
110、210 反射防止膜
30 Siターゲット
31 真空チャンバー
32 ガス導入口
34 DC電源
以下、本発明の実施の形態について図面 参照して説明する。
<時計用カバーガラス>
図1は本発明に係る時計用カバーガラスの構
造の一例を示す断面模式図である。透明基材
としてサファイアガラス10のおもて面と裏面
、SiONとSi 3
N 4
との積層からなる反射防止膜110と210が被覆さ
れて構成されている。図2は反射防止膜を積
するためのスパッタリング装置の断面模式
である。本発明での反射防止膜形成にはDC反
応性スパッタリング法を用いた。ターゲット
はSiであり、ガス導入口32よりAr、HeあるいはN
e等の不活性ガスとO 2
ガス、N 2
ガスを導入してSiターゲットに直流電圧をパ
ス状に印加することによりスパッタリング
行い、サファイアガラス10に膜を積層する
この時、Siターゲットに導電性を持たせ、安
定なスパッタリングを行うためにホウ素や燐
を微量ドーピングしたSiターゲットを用いて
良い。Siターゲットのスパッタリング法に
って作製される膜はSiON膜あるいはSi 3
N 4
膜であり、これは反応性ガスであるO 2
ガスとN 2
ガスを切り換え混合することにより形成が可
能である。
反射防止膜の特性は積層する膜の層数、 配置順序、各層膜の屈折率と膜厚に依存し おり、仕様に沿った反射率・透過率スペク ルを計算設計し、最適化することができる また、SiON膜の屈折率は成膜条件によって変 えることも可能である。
また、時計用のカバーガラスとしては波 400nmから700nmまでの可視光領域での反射率が 概ね5%以下であると非常に良好な性能と言え のであるが、透明基材がサファイアガラス ある場合には、通常そのおもて面と裏面に 射防止膜を形成することでこの要求を実現 きる。
上述のように、本発明に係る時計用カバー ラスは、おもて面と裏面とを有する透明基 の少なくとも片方の面に、SiO 2 およびSi 3 N 4 の混成膜とSi 3 N 4 膜とが交互に4層または5層以上、好ましくは4 層~12層積層され、かつ最表層がSiO 2 およびSi 3 N 4 の混成膜である反射防止膜を備えることを特 徴とし、該時計用カバーガラスは、たとえば 反応性スパッタリング法によって、該反射防 止膜を形成する反射防止膜形成工程を含む製 造方法によって得られる。以下、本発明に係 る時計用カバーガラスについてより詳細に説 明する。
[実施形態1]
本発明の実施形態1に係る時計用カバーガラ
スは、おもて面と裏面とを有する透明基材と
、該おもて面と裏面との両方の面に積層され
た反射防止膜とを有する。
(透明基材)
上記基材としては、たとえば青板ガラス(ソ
ーダガラス)、白板ガラス、合成石英、サフ
イアガラス、透明プラスチックが挙げられ
。透明プラスチックとしては、たとえばポ
カーボネート、メタクリル酸メチル樹脂、
リスチレン、ポリエチレンテレフタレート
どが挙げられる。
基材の厚さは、通常200~4000μmである。
なお、本明細書において、基材のおもて とは、実施形態1の時計用カバーガラスを時 計に用いたときに、外気に曝される面をいい 、基材の裏面とは、実施形態1の時計用カバ ガラスを時計に用いたときに、文字板に対 する面をいう。
(反射防止膜)
実施形態1に用いられる反射防止膜は、基材
から最表層に向けて混成膜とSi 3
N 4
膜とがこの順で交互に5層積層されてなり、
つ最表層が混成膜である。すなわち、図1に
すように、おもて面および裏面の反射防止
は、基材側から混成膜11(21)/Si 3
N 4
膜12(22)/混成膜13(23)/Si 3
N 4
膜14(24)/混成膜15(25)の構成を有する。また、
もて面の反射防止膜は、混成膜とSi 3
N 4
膜とが合計で7層、9層または11層積層されて
てもよい。上記積層数よりも多すぎると、
層時間がかかるだけでなく、膜内部の応力
よって剥離しやすくなることがある。裏面
反射防止膜の層数についても、おもて面の
射防止膜と同様であり、おもて面および裏
の反射防止膜の層数は同じであっても異な
ていてもよい。また、いずれの場合も最表
は混成膜である。
交互に積層されていると、反射防止機能が 揮できるとともに、透明性が維持でき、上 の層数積層されていると、優れた反射防止 能および硬度が得られる。また、最表層が 成膜であると、耐摩耗性および耐候性(光、 熱、湿度などに対する耐性)に優れ、良好な 射防止機能を備えた時計用カバーガラスが られる(最表面がSi 3 N 4 膜であると、空気~Si 3 N 4 界面での光反射が増えて反射防止効果が低下 する。このため、Si 3 N 4 より屈折率が低く、全体の反射防止効果を大 きく取れる混成膜を最表層に設置している。 )。すなわち、基材から最表層に向けて混成 とSi 3 N 4 膜とがこの順で交互に上記の層数積層されて おり、かつ最表層が混成膜である構成によれ ば、より高い硬度および耐摩耗性が得られる とともに、より優れた耐候性が発揮できる。
混成膜は、SiO 2 とSi 3 N 4 とが混在している膜である。これは、XPS分析 により確認できる。具体的には、後述する実 施例における条件で測定し解析を行うと、SiO 2 に由来するSi-O結合(O-1s軌道)のピークとSi 3 N 4 に由来するSi-N結合(N-1s軌道)のピークとに分 されることから確認できる。
混成膜中において、酸素および窒素の合計 対して、窒素の含有率は、通常5~90原子%、 ましくは10~80原子%であり、酸素の含有率は 通常95~10原子%、好ましくは90~20原子%である 窒素および酸素の含有率が上記範囲にある 、SiO 2 およびSi 3 N 4 と異なった屈折率を有し、かつ高硬度で耐摩 耗性に優れた混成膜が得られる。なお、上記 含有率は、後述するようにXPS分析により求め られる。
混成膜の厚さは、通常0.01~1.0μmであり、好 しくは0.02~0.8μmである。また、Si 3 N 4 膜の厚さは、通常0.01~1.2μmであり、好ましく 0.02~0.8μmである。混成膜の厚さが上記範囲 あると、反射防止膜の低屈折率層としての 能を発揮でき、かつ硬度および耐摩耗性が くなる。また、Si 3 N 4 膜の厚さが上記範囲にあると、反射防止膜の 高屈折率層としての機能を発揮でき、かつ硬 度および耐摩耗性が高くなる。
また、反射防止膜の厚さは、通常0.1~4.0μm であり、好ましくは0.3~2.0μmである。反射防 膜全体の厚さが上記下限値より小さいと、 摩耗性および耐傷性が低下する場合がある また、上記上限値より大きいと、膜内部の 力によって剥離しやすくなったり、生産性 低下したりする場合がある。
なお、上記膜厚は、後述するように触針 膜厚計(表面粗さ計とも呼ぶ)により求めら る。
上記混成膜の屈折率は、通常1.52~1.96であり 上記Si 3 N 4 膜の屈折率は、通常2.00~2.04である。このため 、両者を交互に適切な厚みで積層すると、反 射防止機能が発揮でき、透明性も維持できる 。なお、屈折率は、後述するようにエリプソ メーターにより求められる。
(時計用カバーガラス)
上述したような反射防止膜を有する時計用
バーガラスでは、可視光領域の光、すなわ
波長380~780nmの光に対して、各波長での反射
は、通常0.1~25%であり、好ましくは0.1~15%で
る。また、平均反射率は、通常0.8~4.0%であり
、好ましくは0.8~3.0%である。このように、上
の構成を有する反射防止膜を用いると、優
た反射防止機能が発揮できる。なお、反射
および平均反射率は、後述するように可視
分光光度計と積分球を組み合わせた分光反
測定により求められる。
また、上記時計用カバーガラス(おもて面 側)のマイクロビッカース硬度は、通常1000~250 0であり、好ましくは1200~1800である。実施例 て詳述する耐摩耗性評価試験(おもて面側)で は、通常評価「合格」が得られる。このよう に、上述の構成を有する反射防止膜を用いる と、硬度および耐摩耗性が高まる。
さらに、実施例にて詳述するサンシャイ ウェザー試験およびプレッシャークッカー 験においても、反射防止機能は劣化せず、 記反射防止膜を有する時計用カバーガラス 耐候性にも優れる。具体的には、サンシャ ンウェザー試験またはプレッシャークッカ 試験による平均反射率の増加は、通常0~0.4% 範囲に抑えられる。
(製造方法)
実施形態1に係る時計用カバーガラスは、た
とえば反応性スパッタリング法によって、上
記反射防止膜を形成する反射防止膜形成工程
を含む製造方法によって製造される。混成膜
中の窒素の含有率をコントロールするため、
この工程は、好ましくは、少なくともN 2
ガスおよび不活性ガスを含む混合ガスの存在
下、ターゲットに対して直流電圧をパルス状
に印加することにより行われる(DCパルス放電
式スパッタリング法)。なお、DCパルス放電式
ではないDCスパッタリング法の場合は、窒素
含有率のコントロールが難しい場合がある
具体的には、図2に示すようなスパッタリ ング装置が用いられる。まず、装置の真空チ ャンバー31内に、基板10およびSiターゲット30 配置する。ここで、基板10のおもて面がSiタ ーゲット30に対向するように配置する。
次いで、真空ポンプにより排気を行った後 ガス導入口32より、O 2 ガス、N 2 ガスおよび不活性ガスを導入する。不活性ガ スとしては、Ar、HeあるいはNeガスが挙げられ る。
次に、O 2 ガス、N 2 ガスおよび不活性ガスからなる混合ガスの存 在下、DC電源34を用いて、Siターゲットに対し て直流電圧をパルス状に印加してスパッタリ ングを行う。このようにして、基板10上に混 膜を形成する。O 2 ガスおよびN 2 ガスの流量比(O 2 ガス:N 2 ガス(体積比))は通常90:10~10:90である。このと 、流量比を上記範囲内で適宜変化させれば 混成膜中の窒素の含有率を上記範囲に制御 ることができる。また、プラズマ電力およ 成膜時間を適宜変化させれば、混成膜の厚 を上記範囲に制御することができる。積層 膜を実施する前に混成膜単層での成膜試験 行い、プラズマ電力および成膜時間と混成 膜厚との関係を把握した上で、積層成膜を うことが好ましい。
次いで、O 2 ガス、N 2 ガスおよび不活性ガスからなる混合ガスをN 2 ガスおよび不活性ガスからなる混合ガスに切 り換える。この混合ガスの存在下、Siターゲ トに直流電圧をパルス状に印加してスパッ リングを行い、混成膜が積層された基板にS i 3 N 4 膜を形成する。このとき、プラズマ電力およ び成膜時間を適宜変化させれば、Si 3 N 4 膜の厚さを上記範囲に制御することができる 。積層成膜を実施する前にSi 3 N 4 単層での成膜試験を行い、プラズマ電力およ び成膜時間とSi 3 N 4 膜厚との関係を把握した上で、積層成膜を行 うことが好ましい。
次に、混合ガス(反応性ガス)を適宜切り替 、上記と同様にして、さらに混成膜およびSi 3 N 4 膜を繰り返し形成する。このように、基材10 ら最表層に向けて混成膜とSi 3 N 4 膜とをこの順で交互に5層積層し、最表層が 成膜である反射防止膜110を製造する。得ら た反射防止膜110の厚さは、0.1~4.0μmであるこ が好ましい。
次に、基材10の裏面にも、上記と同様に て反射防止膜210を製造する。
なお、上記工程において、Siターゲットと ては、導電性を持たせ、安定なスパッタリ グを行うために、ホウ素や燐を微量ドーピ グしたSiターゲットを用いてもよい。また、 N 2 ガスの変わりに、NH 3 ガスなどの窒素含有ガスを用いてもよいが、 H基、NH基などの不純物の混入がない点からN 2 ガスが好適に用いられる。また、反射防止膜 110、210において、混成膜およびSi 3 N 4 膜はこの順で交互に7層、9層または11層積層 てもよい。さらに、反射防止膜210を反射防 膜110よりも先に製造してもよい。
以上の製造方法によれば、上述したよう 特性を有する時計用カバーガラスが得られ 。
[実施形態2]
本発明の実施形態2に係る時計用カバーガラ
スは、おもて面と裏面とを有する透明基材と
、該おもて面と裏面との両方の面に積層され
た反射防止膜とを有する。
(透明基材)
本発明の実施形態2に用いる基材については
、実施形態1と同様である。
(反射防止膜)
実施形態2に用いられる反射防止膜は、基材
から最表層に向けてSi 3
N 4
膜と混成膜とがこの順で交互に4層積層され
なり、かつ最表層が混成膜である。すなわ
、おもて面および裏面の反射防止膜は、基
側からSi 3
N 4
膜/混成膜/Si 3
N 4
膜/混成膜の構成を有する。また、おもて面
反射防止膜は、混成膜とSi 3
N 4
膜とが合計で6層、8層、10層または12層積層さ
れていてもよい。上記積層数よりも多すぎる
と、積層時間がかかるだけでなく、膜内部の
応力によって剥離しやすくなることがある。
裏面の反射防止膜の層数についても、おもて
面の反射防止膜と同様であり、おもて面およ
び裏面の反射防止膜の層数は同じであっても
異なっていてもよい。また、いずれの場合も
最表層は混成膜である。
交互に積層されていると、反射防止機能が 揮できるとともに、透明性が維持でき、上 の層数積層されていると、優れた反射防止 能および硬度が得られる。また、最表層が 成膜であると、耐摩耗性および耐候性に優 、良好な反射防止機能を備えた時計用カバ ガラスが得られる(最表面がSi 3 N 4 膜であると、空気~Si 3 N 4 界面での光反射が増えて反射防止効果が低下 する。このため、Si 3 N 4 より屈折率が低く、全体の反射防止効果を大 きく取れる混成膜を最表層に設置している。 )。すなわち、基材から最表層に向けてSi 3 N 4 膜と混成膜とがこの順で交互に上記の層数積 層されており、かつ最表層が混成膜である構 成によれば、より高い硬度および耐摩耗性が 得られるとともに、より優れた耐候性が発揮 できる。
混成膜の意味、混成膜中の窒素の含有率、 成膜の厚さ、Si 3 N 4 膜の厚さ、反射防止膜の厚さ、混成膜の屈折 率およびSi 3 N 4 膜の屈折率については、具体的には実施形態 1と同様である。
(時計用カバーガラス)
上述したような反射防止膜を有する時計用
バーガラスでは、可視光領域の光、すなわ
波長380~780nmの光に対して、反射率は、通常0
.1~25%であり、好ましくは0.1~15%である。また
平均反射率は、通常0.8~4.0%であり、好ましく
は0.8~3.0%である。このように、上述の構成を
する反射防止膜を用いると、優れた反射防
機能が発揮できる。
また、上記時計用カバーガラス(おもて面 側)のマイクロビッカース硬度は、通常1000~250 0であり、好ましくは1200~1800である。実施例 て詳述する耐摩耗性評価試験(おもて面側)で は、通常評価「合格」が得られる。このよう に、上述の構成を有する反射防止膜を用いる と、硬度および耐摩耗性が高まる。
さらに、実施例にて詳述するサンシャイ ウェザー試験およびプレッシャークッカー 験においても、反射防止機能は劣化せず、 記反射防止膜を有する時計用カバーガラス 耐候性にも優れる。具体的には、サンシャ ンウェザー試験またはプレッシャークッカ 試験による平均反射率の増加は、通常0~0.4% 範囲に抑えられる。
なお、実施形態1と実施形態2とを比較す と、反射防止特性の設計の面では実施形態1 より優れる。実施形態1は、実施形態2より 反射強度と反射色とのバランスがより取り すい、反射色の視覚依存性(見る角度によっ 反射光の色が変化する現象)を減らす(緩和 る)設計を行いやすいという利点を有する。
(製造方法)
実施形態2に係る時計用カバーガラスは、た
とえば反応性スパッタリング法によって、上
記反射防止膜を形成する反射防止膜形成工程
を含む製造方法によって製造される。混成膜
中の窒素の含有率をコントロールするため、
この工程は、実施形態1と同様に、好ましく
、少なくともN 2
ガスおよび不活性ガスを含む混合ガスの存在
下、ターゲットに対して直流電圧をパルス状
に印加することにより行われる(DCパルス放電
式スパッタリング法)。
実施形態2に係る時計用カバーガラスは、具 体的には、混成膜とSi 3 N 4 膜との形成順序および層数が異なる他は、実 施形態1と同様に製造される。製造された時 用カバーガラスは上述したような特性を有 る。
[実施形態3]
本発明の実施形態3に係る時計用カバーガラ
スは、おもて面と裏面とを有する透明基材と
、該裏面に積層された反射防止膜とを有する
。
(透明基材)
本発明の実施形態3に用いる基材については
、実施形態1と同様である。
(反射防止膜)
実施形態3に用いられる反射防止膜は、基材
から最表層に向けて混成膜とSi 3
N 4
膜とがこの順で交互に5層積層されてなり、
つ最表層が混成膜である。すなわち、図8に
すように、裏面の反射防止膜は、基材側か
混成膜21/Si 3
N 4
膜22/混成膜23/Si 3
N 4
膜24/混成膜25の構成を有する。また、裏面の
射防止膜は、混成膜とSi 3
N 4
膜とが合計で7層、9層または11層積層されて
てもよい。上記積層数よりも多すぎると、
層時間がかかるだけでなく、膜内部の応力
よって剥離しやすくなることがある。また
いずれの場合も最表層は混成膜である。
交互に積層されていると、反射防止機能が 揮できるとともに、透明性が維持できる。 射防止機能の観点から、上記の層数積層さ ていることが好ましい。裏面のみに反射防 膜を設ければ、基材の方が反射防止膜より 硬度および耐摩耗性に優れる場合に、硬度 よび耐摩耗性を高く維持できる利点がある 反射防止機能がそれほど高く要求されない 合には、コストを抑えられるため、裏面の に反射防止膜を設ける実施形態3が好ましい 。さらに、基材から最表層に向けて混成膜と Si 3 N 4 膜とがこの順で交互に上記の層数積層されて おり、かつ最表層が混成膜である構成によれ ば、優れた耐候性(光、熱、湿度などに対す 耐性)が発揮できる。
混成膜の意味、混成膜中の窒素の含有率、 成膜の厚さ、Si 3 N 4 膜の厚さ、反射防止膜の厚さ、混成膜の屈折 率およびSi 3 N 4 膜の屈折率については、具体的には実施形態 1と同様である。
(時計用カバーガラス)
上述したような裏面のみに反射防止膜を有
る時計用カバーガラスでは、可視光領域の
、すなわち波長380~780nmの光に対して、反射
は、通常6.8~32%であり、好ましくは6.8~25%で
る。また、平均反射率は、通常7.1~11.0%であ
、好ましくは7.1~10.0%である。このように、
述の構成を有する反射防止膜を用いると、
れた反射防止機能が発揮できる。
また、上記時計用カバーガラスのマイク ビッカース硬度および耐摩耗性評価試験は 基材の特性に左右される。いいかえると、 材の方が反射防止膜よりも硬度および耐摩 性に優れる場合に、硬度および耐摩耗性を く維持できる。
さらに、実施例にて詳述するサンシャイ ウェザー試験およびプレッシャークッカー 験においても、反射防止機能は劣化せず、 記反射防止膜を有する時計用カバーガラス 耐候性にも優れる。具体的には、サンシャ ンウェザー試験またはプレッシャークッカ 試験による平均反射率の増加は、通常0~0.2% 範囲に抑えられる。
(製造方法)
実施形態3に係る時計用カバーガラスは、た
とえば反応性スパッタリング法によって、上
記反射防止膜を形成する反射防止膜形成工程
を含む製造方法によって製造される。混成膜
中の窒素の含有率をコントロールするため、
この工程は、実施形態1と同様に、好ましく
、少なくともN 2
ガスおよび不活性ガスを含む混合ガスの存在
下、ターゲットに対して直流電圧をパルス状
に印加することにより行われる(DCパルス放電
式スパッタリング法)。
実施形態3に係る時計用カバーガラスは、 具体的には、反射防止膜が裏面のみに設けら れる他は、実施形態1と同様に製造される。 造された時計用カバーガラスは上述したよ な特性を有する。
[実施形態4]
本発明の実施形態4に係る時計用カバーガラ
スは、おもて面と裏面とを有する透明基材と
、該裏面に積層された反射防止膜とを有する
。
(透明基材)
本発明の実施形態4に用いる基材については
、実施形態1と同様である。
(反射防止膜)
実施形態4に用いられる反射防止膜は、基材
から最表層に向けてSi 3
N 4
膜と混成膜とがこの順で交互に4層積層され
なり、かつ最表層が混成膜である。すなわ
、裏面の反射防止膜は、基材側からSi 3
N 4
膜/混成膜/Si 3
N 4
膜/混成膜の構成を有する。また、裏面の反
防止膜は、混成膜とSi 3
N 4
膜とが合計で6層、8層、10層または12層積層さ
れていてもよい。上記積層数よりも多すぎる
と、積層時間がかかるだけでなく、膜内部の
応力によって剥離しやすくなることがある。
また、いずれの場合も最表層は混成膜である
。
交互に積層されていると、反射防止機能が 揮できるとともに、透明性が維持できる。 射防止機能の観点から、上記の層数積層さ ていることが好ましい。裏面のみに反射防 膜を設ければ、基材の方が反射防止膜より 硬度および耐摩耗性に優れる場合に、硬度 よび耐摩耗性を高く維持できる利点がある 反射防止機能がそれほど高く要求されない 合には、コストを抑えられるため、裏面の に反射防止膜を設ける実施形態4が好ましい 。さらに、基材から最表層に向けてSi 3 N 4 膜と混成膜とがこの順で交互に上記の層数積 層されており、かつ最表層が混成膜である構 成によれば、優れた耐候性(光、熱、湿度な に対する耐性)が発揮できる。
混成膜の意味、混成膜中の窒素の含有率、 成膜の厚さ、Si 3 N 4 膜の厚さ、反射防止膜の厚さ、混成膜の屈折 率およびSi 3 N 4 膜の屈折率については、具体的には実施形態 1と同様である。
(時計用カバーガラス)
上述したような裏面のみに反射防止膜を有
る時計用カバーガラスでは、可視光領域の
、すなわち波長380~780nmの光に対して、反射
は、通常6.8~32%であり、好ましくは6.8~25%で
る。また、平均反射率は、通常7.2~11.0%であ
、好ましくは7.2~10.0%である。このように、
述の構成を有する反射防止膜を用いると、
れた反射防止機能が発揮できる。
また、上記時計用カバーガラスのマイク ビッカース硬度および耐摩耗性評価試験は 基材の特性に左右される。いいかえると、 材の方が反射防止膜よりも硬度および耐摩 性に優れる場合に、硬度および耐摩耗性を く維持できる。
さらに、実施例にて詳述するサンシャイ ウェザー試験およびプレッシャークッカー 験においても、反射防止機能は劣化せず、 記反射防止膜を有する時計用カバーガラス 耐候性にも優れる。具体的には、サンシャ ンウェザー試験またはプレッシャークッカ 試験による平均反射率の増加は、通常0~0.2% 範囲に抑えられる。
(製造方法)
実施形態4に係る時計用カバーガラスは、た
とえば反応性スパッタリング法によって、上
記反射防止膜を形成する反射防止膜形成工程
を含む製造方法によって製造される。混成膜
中の窒素の含有率をコントロールするため、
この工程は、実施形態1と同様に、好ましく
、少なくともN 2
ガスおよび不活性ガスを含む混合ガスの存在
下、ターゲットに対して直流電圧をパルス状
に印加することにより行われる(DCパルス放電
式スパッタリング法)。
実施形態4に係る時計用カバーガラスは、 具体的には、反射防止膜が裏面のみに設けら れる他は、実施形態2と同様に製造される。 造された時計用カバーガラスは上述したよ な特性を有する。
[その他の実施形態]
実施形態1において、おもて面または裏面の
反射防止膜を、実施形態2に用いる反射防止
に変更してもよい。
また、実施形態3において、裏面のみに上 記反射防止膜を設けたが、おもて面のみに該 反射防止膜を設けてもよい。同様に、実施形 態4においても、裏面のみに上記反射防止膜 設けたが、おもて面のみに該反射防止膜を けてもよい。
<時計>
本発明に係る時計は、上述した時計用カバ
ガラスを有することを特徴とする。時計は
光発電時計、熱発電時計、標準時電波受信
自己修正時計、機械式時計、一般の電子式
計のいずれであってもよい。このような時
は、上記時計用カバーガラスを用いて公知
方法により製造される。
[実施例]
以下に本発明の具体的な実施例について、
1~図3を参照しながら説明する。
[実施例1]
本実施例における時計用カバーガラスは、
1に示すようにサファイアガラス10のおもて
には反射防止膜110が、裏面には反射防止膜2
10が被覆されていた。反射防止膜110と反射防
膜210の膜構成は同じであり、本実施例では
中の(窒素/(酸素+窒素))比が33原子%であるSiON
、Si 3
N 4
および膜中の(窒素/(酸素+窒素))比が9原子%で
るSiONを用い、サファイアガラス上にSiON(窒
33原子%)、Si 3
N 4
、SiON(窒素33原子%)、Si 3
N 4
、SiON(窒素9原子%)の順に積層した(窒素の含有
率の測定方法については下記の通りである。
)。各層の膜厚は積層順に145nm、155nm、20nm、100
nm、80nmであった(測定方法については下記の
りである。)。また、Si 3
N 4
の屈折率は2.00であった。また、SiON膜の屈折
はスパッタリング条件によって微調整する
とが可能であるが、本実施例では、SiON(窒
33原子%)では1.67、SiON(窒素9原子%)では1.52であ
った。これら屈折率の値は、波長550nmの光に
してエリプソメーターで測定した値である(
測定方法については下記の通りである。)。Si
3
N 4
およびSiO 2
は完全な化学量論的組成にはなっていないが
、これは真空成膜によって膜形成している以
上必ず発生する微小組成ずれであって問題で
はない。
(混成膜中の窒素の含有率)
膜中の窒素含有率の測定方法について説明
る。各層の窒素含有率の測定方法において
、まず、当該膜の単層分の膜を、基材上に
定のガス流量比および所定のスパッタ電力
て形成した。次いで、その単層膜についてX
PS測定等を行い、膜中の窒素含有率等を求め
。全ての層を積層した時計用カバーガラス
おいても、膜形成条件(特定のガス流量比、
特定のスパッタ時間)が上記単層膜と同じ層
は、上記単層膜について求めた窒素含有率
と同じ値のはずであるので、この含有率測
方法を用いた。多層積層時における各層の
素含有率は、このようにして測定した。
(膜厚)
膜厚の測定方法について説明する。各層の
厚の測定方法においては、まず、当該膜の
層分の膜を、基材上に所定のガス流量比お
び所定のスパッタ成膜時間にてマスク付き
形成した。次いで、形成した単層膜につい
マスク部の段差を触針式表面粗さ計(テンコ
ール社製 P-11型)で測定した。スパッタリン
時のDC投入電力が同じで、成膜時ガス流量比
およびスパッタ成膜時間が一定であれば化合
物層の生成速度(基板上堆積速度)は常時ほぼ
定していることが、経験則で判明している
でこの膜厚測定方法を用いた。多層積層時
おける各層の膜厚は、このようにして測定
た各種単層膜の膜厚データと多層積層時の
膜時間から換算した値である。
(屈折率)
屈折率の測定方法について説明する。各層
屈折率の測定方法は、まず上記膜厚の測定
同様にして、Siウェハ基板上に形成した当
膜の単層分の膜厚を測定した。この測定サ
プルをエリプソメーター(堀場製作所製)で多
波長測定することにより、単層の屈折率を算
出した。エリプソメーターで単層膜厚が既知
の場合の屈折率算出法は公知なので、ここで
は省略する。この作業を多数の測定サンプル
に対して繰り返すことで、混成膜およびSi 3
N 4
の屈折率を測定した。この測定手法は、等方
性透明光学材料薄膜の屈折率測定では一般的
に用いられる方法である。多層積層時におけ
る各層の屈折率は、このようにして測定した
各種単層膜の屈折率データを適用した。
本実施例での反射防止膜の製造方法であ DC反応性スパッタリング装置の概念図を図2 示す。
真空槽31の中にSiターゲット30を配置し、S iターゲット30に直流電圧を印加する。サファ イアガラス10は、Siターゲット30に対向するよ うに設置した。Siターゲット30にはDC電源34が 続されていた。
図示していない真空ポンプにより、真空槽3 1内を7×10 -4 Pa程度の残留ガス圧になるまで排気し、ガス 入口32よりAr、O 2 、N 2 の混合ガスまたはAr、N 2 の混合ガスを導入し、以下の条件でDC反応性 パッタリングを行い、反射防止膜110を積層 せた。SiONとSi 3 N 4 の膜形成はガス種およびガス流量比を切り換 えることにより可能であった。以下に各層の 成膜条件を下記に示す。なお、成膜時のター ゲット~基板間距離は60mmであった。また、反 性スパッタリングの反応性を高めるために DC電圧印加はデューティ1:1のパルス電圧印 を採用した。
(1)サファイアガラス面から第1層(SiON膜11,21)
Ar流量20sccm(1atm、25℃のときの流量を意味する
。)
N2流量11.5sccm
O2流量8sccm
DC出力2500W
スパッタ時ガス圧力1.6E-1Pa
(2)サファイアガラス面から第2層(Si 3
N 4
膜12,22)
Ar流量30sccm
N2流量33sccm
DC出力3500W
スパッタ時ガス圧力2.1E-1Pa
(3)サファイアガラス面から第3層(SiON膜13,23)
Ar流量20sccm
N2流量11.5sccm
O2流量8sccm
DC出力2500W
スパッタ時ガス圧力1.6E-1Pa
(4)サファイアガラス面から第4層(Si 3
N 4
膜14,24)
Ar流量30sccm
N2流量33sccm
DC出力3500W
スパッタ時ガス圧力2.1E-1Pa
(5)サファイアガラス面から第5層(最表層膜)(
SiON膜15,25)
Ar流量20sccm
O2流量16.2sccm
N2流量2sccm
DC出力2500W
スパッタ時ガス圧力1.6E-1Pa
以上のようにしてサファイアガラス10のお
て面に反射防止膜110を積層させた。その後
サファイアガラス10を裏返し、サファイアガ
ラス10の裏面にもおもて面と同様の操作を行
、反射防止膜210を積層させた。裏面の反射
止膜210もおもて面の反射防止膜110と同じ成
条件であり、その膜構成も同じであった。
以上のようにして、本発明の実施例1によっ て、図1に示すようなサファイアガラス10のお もて面と裏面とにSiONとSi 3 N 4 膜の積層によって構成される反射防止膜を有 する時計用カバーガラスが完成した。
〔反射防止機能〕
完成したカバーガラスの分光反射特性を測
した結果を図3に示す。可視光範囲380nm~780nm
波長範囲での反射率が低く、特に視感度の
い450nm~650nmの波長範囲では2%以下の反射率で
あった。反射防止膜の光吸収に伴う外観上の
黒ずみもなく、このカバーガラスを腕時計に
組み込んだところ、文字板視認性が非常に良
好であった。反射防止膜を全く設けないサフ
ァイアガラスの反射率が、可視光波長範囲全
域でほぼ13%であるのに比べて、非常に良好な
反射防止効果を得られることが確認できた。
また、実施例1の時計用カバーガラスの平 均反射率は、1.6%であり、サファイアガラス 体の平均反射率は、13.1%であった。ここで、 反射率および平均反射率は以下のようにして 求めた。
(反射率および平均反射率)
時計用カバーガラスの反射率測定は、下記
手順で実施した。
まず、分光光度計(日立製U-3300型)のリフ レンス測定光学系側およびサンプル測定光 系側の両方に、一切の被測定物を設置せず 測定全波長帯域での100%透過キャリブレーシ ンを行った。続いて、透明基材であるサフ イアガラス10単体(反射防止膜を形成してい いもの)を分光光度計のサンプル測定光学系 の光軸に垂直にセットした。リファレンス光 学系に何もセットせずに、この状態で測定波 長帯域での透過率測定を行うと、空気に対す るサファイアガラス10単体(反射防止膜を形成 していないもの)の分光透過率(分光エネルギ 透過率)が得られた。サファイアガラス10単 には可視光吸収性がないので、得られた分 透過率を1.0(100%)から引き去るとサファイア ラス10単体の分光反射率が得られた。この うにして、サファイアガラス10単体での正確 な分光反射率を測定した。
次に、分光光度計の片方の光学系に積分 を設置し、測定サンプル設置位置にφ20穴の 開いた頂角10°のくさび形サンプルホールド 具を取り付けた。この治具を用いる理由は 測定時にサンプルからの反射光が入射光側 漏れずに積分球内部で捕捉できるようにす ためであった。このようにして構成した測 系のくさび形サンプルホールド治具に、CIE 奨の標準白色板(硫酸バリウム白色板)を取り 付けて、可視光帯域の波長光を照射し、反射 光の強度を各波長にて取り込み、その値を反 射率100%として記録した。実際にはコンピュ タのメモリ内にデータを記憶させた。続い 、サファイアガラス10単体(反射防止膜を形 していないもの)をくさび形サンプルホール 治具に取り付けて、測定光入射側とは反対 面に粗面黒板を取り付けた。粗面黒板を取 付けるのは、サンプルホールド治具表面か の反射光の影響を排除するためであった。 の状態で可視光帯域の波長光を照射し、反 光の強度を各波長にて取り込み、各波長で 標準白色板の反射率を100%としたときのサフ ァイアガラス10の反射率を得た。このとき、 る波長でのサファイアガラス10の反射率は その波長でのサファイアガラス10の反射光強 度íその波長での標準白色板の反射光強度、 て計算できた。この計算値によるサファイ ガラス10の反射率は、前述したサファイア ラス10単体での正確な分光反射率とは値が異 なっていた。その理由は、計算値による値が 標準白色板の反射率を100%としているからで って、正確な分光反射率よりもわずかに高 値を示した。
そこで、積分球を用いた測定系で正しい 光反射率を得るためには、各波長での分光 射率計算値に補正値を乗ずる必要があった この補正値は、各波長におけるサファイア ラスの正確な反射率í各波長におけるサフ イアガラスの反射率計算値、で得られた。
引き続いて、反射防止膜形成済みサンプ の反射率測定を行った。測定は、分光光度 の片方の光学系に積分球を設置し、測定サ プル設置位置に所定直径(例えば20mmφ)の穴 開いた頂角10°のくさび形サンプルホールド 具を取り付けた系で行った。測定の概要は 述したとおりである。反射防止膜形成済み バーガラスの分光反射率は、測定で得られ 反射率データに上記補正値を乗じて求めた
また、本明細書で言う平均反射率とは、 れまでに述べた方法で得られた波長ごとの 光反射率を、特に視感度の高い可視光範囲( 450nm~650nm)において重み付けなしで平均した値 を言う。
〔混成膜の形成〕
基材10に第1層の形成条件で膜を積層したサ
プルについてXPS分析を行った結果を図10-1(a1
)に示す。ピーク分離を行うと、SiO 2
に由来するSi-O結合(O1s軌道)のピークとSi 3
N 4
に由来するSi-N結合(N1s軌道)のピークとに分離
された(図10-1(a2))。なお、基材10に直接第5層
形成条件で膜を積層したサンプル(図10-2(b1))
場合も、ピーク分離を行うと、SiO 2
に由来するSi-O結合(O1s軌道)のピークとSi 3
N 4
に由来するSi-N結合(N1s軌道)のピークとに分離
された(図10-2(b2))。このように、Ar、O 2
、N 2
の混合ガスの存在下、Siターゲットを原料と
て、DCパルス放電式で反応スパッタリング
を行うことにより、混成膜が形成していた
第1層~第5層が積層されている実施例1の反射
止膜においても、第1層、第3層および第5層
混成膜であると考えられる。ここで、XPS分
およびピーク分離は以下のように行った。
(XPS分析およびピーク分離)
XPSは試料に軟X線を照射し試料から放出され
る光電子を測定することにより、試料を構成
する元素の定量分析、結合状態を得る分析技
術である。本試料の場合、図10-1(a1)および図1
0-2(b1)に示されるスペクトルが測定されたSi2p
電子の実測データであり、図10-1(a2)および
10-2(b2)に示されるスペクトルがSi 3
N 4
(101.79eV)、SiO 2
(103.12eV)をフィッテングパラメータとしてピ
ク分離フィッティングシミュレーションを
った結果である。シミュレーション結果と
測データが非常によく合致していること、
よび導入N 2
流量比率を増やした場合にSi 3
N 4
に起因するピークが明らかに増えていること
から、本試料の膜はSiO 2
とSi 3
N 4
とが混在した混成膜構造になっていることが
分かる。
なお、上述のように、分離されたピーク 合成したスペクトル(図10-1(a2)および図10-2(b2 )における実線のスペクトル)は、上記サンプ の実測のスペクトルとほぼ一致した。した って、上記ピーク分離方法が妥当であるこ がわかる。
[比較例1]
比較例として、特許文献2に開示された従来
技術によるカバーガラスを試作して表面硬度
等の比較対象とした。具体的には、特許文献
2の実施例1について、特許文献2の記載どおり
の手順でカバーガラスを作成した。
また、特許文献2の時計用カバーガラスの 平均反射率は、2.9%であった。
〔硬度〕
本発明の最適な実施例によるカバーガラス
表面硬度(おもて面側)は、マイクロビッカ
ス硬度で1200以上であった。従来技術による
バーガラスの表面硬度(おもて面側)は、マ
クロビッカース硬度で850以下であったから
本発明による表面硬度向上効果は歴然とし
いる。ここで、マイクロビッカース硬度は
下のようにして求めた。
(マイクロビッカース硬度)
マイクロビッカース硬度においては、Siウ
ハ基板上に形成した反射防止膜を被測定物
した。硬度測定器(フィッシャー・インスト
メンツ社製H100VP-HCU)を用いて、下記条件に
り圧痕深さと押し込み~引き戻し間ヒステリ
スから求めた。
圧子:ISO 14577準拠 面角136°のダイヤモンド
角錐
押し込み力:5mN
このときに得られるのは押し込み硬さHIVであ
るが、この値をISO 14577-1に従ってビッカース
硬さHVに変換した。
実施例1のカバーガラスのマイクロビッカ ース硬度は、詳細には以下のように求めた。 基材をSiウェハとした他は、実施例1と同様の 条件で反射防止膜を形成した。このサンプル について上述の測定を行い、マイクロビッカ ース硬度を求めた。この値を実施例1のカバ ガラスの硬度とした。他の実施例について 、実施例1と同様にしてカバーガラスの硬度 求めた。
本発明によってカバーガラスの硬度向上 得られる理由を、反射防止膜各層の単層膜 析によって解析した。
図4は、ナノインデンターによるSi 3
N 4
、SiON(膜中窒素比33%)、SiON(膜中窒素比9%)、SiO 2
の各同一厚み単層膜表面の硬度測定結果であ
る。図の左から順にSi 3
N 4
、SiON(膜中窒素比33%)、SiON(膜中窒素比9%)、SiO 2
の押し込み~戻りループである。この結果か
、各単層膜は上記の順に硬度が低下してい
ことがわかる。なお、Si 3
N 4
膜、SiON膜(膜中窒素比33%)、SiON膜(膜中窒素比9
%)、およびSiO 2
膜のサンプルは、以下のように製造した。当
該膜の単層分の膜を、Siウェハ基材上に所定
ガス流量比および所定のスパッタ成膜時間
て約0.5μm厚で形成した。次いで、形成した
層膜についてナノインデンター装置で測定
た。(なお、スパッタリング時のDC投入電力
同じで、成膜時ガス流量比およびスパッタ
膜時間が一定であれば同一化合物層の生成
度(基板上堆積速度)は常時ほぼ一定してい
ことが、経験則で判明しているのでこの方
を用いている。)
この結果をグラフ化したのが図5である。各
単層膜の膜硬度自体がSi 3
N 4
>SiON(膜中窒素比33%)>SiON(膜中窒素比9%)>S
iO 2
であることが明確である。
単層膜の硬度が、このようになることの構 的分析として、XRD(X線反射分析)による膜密 測定を行った。その結果、膜密度は、Si 3 N 4 で3.04g/cm 3 、SiON(膜中窒素比33%)で2.81g/cm 3 、SiON(膜中窒素比9%)で2.56g/cm 3 、SiO 2 で2.51g/cm 3 、Siで2.33g/cm 3 となっており、膜中窒素比、言い換えれば成 膜時の窒素流量比が高いほど膜密度も高くな っている。
そこで、SiON(膜中窒素比9%)およびSiON(膜中 窒素比33%)の単層膜について、実際の膜中の 素占有率をXPSで深さ方向を含めて解析した その結果を図6および図7の(a)、(b)に示す。
図6は本発明によるSiON膜(膜中窒素比33%)のXPS によるO1sおよびN1s軌道光電子スペクトルであ る。既に述べたように、本発明のSiON膜はSiO 2 中に窒素原子を取り込んだだけの膜ではなく 、SiO 2 とSi 3 N 4 との混合状態にある混成膜であることが確認 された。
図7の(a)は、XPSによるSiON(膜中窒素比9%)の み(深さ)方向における膜中原子組成比であ 。成膜した単層膜中の珪素、酸素、窒素の 子比は35:60:6であった。測定誤差が多少ある め総和は100になっていない。この結果から 成膜時の酸素:窒素流量比が89:11のときには 膜中の酸素:窒素の原子比は60:6であること わかった。成膜時窒素流量比11%に対して膜 窒素比9%である。
図7の(b)は、XPSによるSiON(膜中窒素比33%)の 厚み(深さ)方向における膜中原子組成比であ 。成膜した単層膜中の珪素、酸素、窒素の 子比は36:40:23であった。測定誤差が多少あ ため総和は100になっていない。この結果か 、成膜時の酸素:窒素流量比が59:41のときに 、膜中の酸素:窒素の原子比は40:23であるこ がわかった。成膜時窒素流量比41%に対して 中窒素比36%である。
さらに、エリプソメーターで波長550nmの光 対する各単層膜の屈折率を測定したところ Si 3 N 4 は2.0、SiON(膜中窒素比33%)は1.67、SiON(膜中窒素 比9%)は1.52、SiO 2 は1.48という結果が得られた。この結果から 膜中の窒素含有率が高いほど膜の屈折率が い、という結果も得られた。この結果は、 論的に考えても妥当である。
以上のように、SiON膜中の窒素原子比が高 い膜のほうが原子比の低い膜よりも、膜硬度 も屈折率も高い。このため、特許文献2に示 れている窒素含有量の範囲では良好な膜硬 向上を得ることができない。
このように、本実施例のような反射防止膜 構成(基材から最表層に向けて混成膜とSi 3 N 4 膜とがこの順で交互に5層積層されてなり、 つ最表層が混成膜である構成)によれば、高 硬度が得られる。
屈折率測定結果から、特許文献2に示され ている窒素含有量の範囲では、多層膜による 反射防止膜を構成するための膜層総数が非常 に多く(概ね20層以上)必要となる。このこと 、反射防止膜形成時の厚み誤差をきわめて なくしなければならないことを意味してお 、コスト問題と併せて製造上の極めて大き 問題である。しかし、本発明のカバーガラ にはこれらの問題点が全く無い。
〔耐摩耗性〕
従来技術によるカバーガラスの一つの問題
であった耐摩耗性(耐摺動性)についても評
試験(おもて面側)を行った。粒径10μmのアル
ナ粒を分散させたラッピングフィルムと反
防止膜をコートした本発明の最適な実施例
カバーガラスを接触荷重500gにて接触させ、
カバーガラスの表面を複数回往復運動させて
、カバーガラスに傷が入り始める往復回数を
評価する摺動摩耗試験をおこなった。この試
験において、100回以上摺動して傷が発生しな
いときを合格とする。100回未満の摺動で傷が
発生するときを不合格とする。100回以上摺動
して傷が発生しなければ、その硬度、耐摩耗
性は実用上充分であり、長期間使用しても傷
や剥離はほとんど発生しない。このことは、
発明者らの長期に亘る経験で確認されている
。
本発明の最適な実施例によるカバーガラ に前記耐摩耗性試験を行ったところ、合格 あり、100回の摺動後も全く傷や曇りの発生 なかった。これは、40倍の双眼顕微鏡によ て確認した結果である。
一方、従来技術によるカバーガラスでは 不合格であり、60回摺動後に傷が発生し始 た。これは、40倍の双眼顕微鏡によって確認 した結果である。90回摺動後には目視でも曇 が認められた。なお、特許文献2の摺動摩耗 試験では目視によって傷の発生を観察してい た。
このように、本発明によるカバーガラス 耐摩耗性の点でも従来技術より優れている とが確認できた。
〔耐候性〕
光に対する耐性を調べるため、サンシャイ
ウェザー試験を行い、熱および湿度に対す
耐性を調べるため、プレッシャークッカー
験を行った。
(サンシャインウェザー試験)
JIS B 7753に従って、カーボンアーク灯式サ
シャインウェザー試験を行った。具体的に
、実施例1の時計用カバーガラスを100時間光
に曝露した。試験後の時計用カバーガラスに
ついて、反射率測定を行った。試験前後の時
計用カバーガラスについて、反射率測定結果
を図11に示す(図11において、試験前の結果を(
a)、試験後の結果を(b)に示す)。
反射率測定結果より、実施例1の時計用カ バーガラスは耐光性に優れることが分かる。
なお、試験後の時計用カバーガラスの平 反射率は1.6%であり、試験による変動はほと んど見られなかった。
(プレッシャークッカー試験)
エスペック社試験機により、下記条件でICE-
68-2-66規格に準じた試験を行った。すなわち
実施例1の時計用カバーガラスを試験機に入
、昇温させ、昇温時に試験ワークに結露が
生しないように不飽和制御法を採った。+110
℃、0.12MPa(約1.2kgf/cm 2
)にて60分保持した。同試験終了後、試験機か
らワークをすぐ取り出して(5分以内に)反射率
測定を行った。試験前後の時計用カバーガラ
スについて、反射率測定結果を図12に示す。
試験後では、反射スペクトル全体が長波 側に少しシフトしていた。これは、多層の 射防止膜内にわずかに存在する微小な欠陥 水分子が吸着されたことによると考えられ 。また、試験後の時計用カバーガラスの平 反射率は1.7%であり、試験による変動は極め て小さかった。
なお、試験後の時計用カバーガラスを100 で60分暖めた後に反射率測定を行ったとこ 、試験前の時計用カバーガラスの測定結果 一致した。これは、加熱により、多層膜に 着した水蒸気分子が除去されたためと考え れる。
なお、本発明の最適な実施例ではカバー ラスの反射・透過性能を非常に優れた水準 設定した設計を行ったために、透明基材の もて面と裏面とに反射防止膜を形成した。 の結果、図3に示したような優秀な反射・透 過性能を得ることができたのである。しかし 、カバーガラスの反射・透過性能がそれほど 厳しく要求されない場合には、透明基材のお もて面もしくは裏面だけに反射防止膜を形成 すれば良いこともある。次に、そのような実 施例を示す。
[実施例2]
以下に本発明の第2の実施例について、図8
参照しながら説明する。実施例2における時
用カバーガラスは、図8に示すようにサファ
イアガラス10の裏面に反射防止膜210が被覆さ
ていた。反射防止膜210の膜構成は本発明の
適な実施例と同じであり、実施例2では膜中
窒素比33原子%のSiON、Si 3
N 4
および膜中窒素比9原子%のSiONを用い、サファ
イアガラス上にSiON(膜中窒素比33原子%)、Si 3
N 4
、SiON(膜中窒素比33原子%)、Si 3
N 4
、SiON(膜中窒素比9原子%)の順に積層した。各
の膜厚は積層順に145nm、155nm、20nm、100nm、80n
mである。また、Si 3
N 4
の屈折率は2.00であった。また、SiON膜の屈折
はスパッタリング条件によって微調整する
とも可能であるが、実施例2では、SiON(膜中
素比33原子%)では1.67、SiON(膜中窒素比9原子%)
では1.52であった。これら屈折率の値は、波
550nmの光に対してエリプソメーターで測定し
た値である。
窒素の含有率、膜厚および屈折率の測定 法は実施例1と同様に行った。
実施例2での反射防止膜の製造方法である DC反応性スパッタリング装置は、実施例1と同 じであった。成膜条件も実施例1と同じであ た。
以上のように、本発明の実施例2によって、 図8に示すようなサファイアガラス10の裏面に SiONとSi 3 N 4 膜の積層によって構成される反射防止膜を有 する時計用カバーガラスが完成した。
〔反射防止機能〕
完成したカバーガラスの分光反射特性を測
した結果を図9に示す。可視光範囲380nm~780nm
波長範囲での反射率が低く、特に視感度の
い450nm~650nmの波長範囲では8%以下の反射率で
あった。反射防止膜の光吸収に伴う外観上の
黒ずみもなく、このカバーガラスを腕時計に
組み込んだところ、文字板視認性が良好であ
った。反射防止膜を全く設けないサファイア
ガラスの反射率が、可視光波長範囲全域でほ
ぼ13%であるのに比べて、明確な反射防止効果
を得られることが確認できた。
また、実施例2の時計用カバーガラスの平 均反射率は、7.4%であった。
〔硬度〕
本発明の実施例2によるカバーガラスのおも
て面の表面硬度は、サファイアガラス面その
ものなのでマイクロビッカース硬度で2600以
であった。非常に固い面であることは言う
でもない。
〔耐摩耗性〕
また、本発明の実施例2によるカバーガラス
のおもて面の耐摩耗性は、耐摩耗性試験の結
果非常に優秀であった。これも、おもて面表
面がサファイアガラス面であることから当然
の結果と言える。
[実施例3]
以下に本発明の第3の実施例について、図を
用いずに説明する。実施例3における時計用
バーガラスは、実施例1と同様にサファイア
ラスのおもて面と裏面に各々6層の反射防止
膜を被覆する。反射防止膜の膜構成は本発明
の最適な実施例と同じであり、実施例3ではSi
3
N 4
、膜中窒素比33原子%のSiON、および膜中窒素
9原子%のSiONを用い、サファイアガラス上にSi
3
N 4
、SiON(膜中窒素比33原子%)、Si 3
N 4
、SiON(膜中窒素比33原子%)、Si 3
N 4
、SiON(膜中窒素比9原子%)の順に積層した。各
の膜厚は積層順に135nm、72nm、20nm、40nm、60nm
85nmである。また、Si 3
N 4
の屈折率は2.00であった。また、SiON膜の屈折
はスパッタリング条件によって微調整する
とも可能であるが、実施例3では、SiON(膜中
素比33原子%)では1.67、SiON(膜中窒素比9原子%)
では1.52であった。これら屈折率の値は、エ
プソメーターで測定した値である。
窒素の含有率、膜厚および屈折率の測定 法は実施例1と同様に行った。
実施例3での反射防止膜の製造方法である DC反応性スパッタリング装置は、実施例1と同 じであった。成膜条件も実施例1と同じであ た。
以上のように、本発明の実施例3によって、 サファイアガラスのおもて面と裏面にSi 3 N 4 膜とSiONとの積層によって構成される反射防 膜を有する時計用カバーガラスが完成した
〔反射防止機能〕
完成したカバーガラスの分光反射特性を測
したところ、可視光範囲380nm~780nmの波長範
での反射率が低く、特に視感度の高い450nm~65
0nmの波長範囲では9%以下の反射率であった。
射防止膜の光吸収に伴う外観上の黒ずみも
く、このカバーガラスを腕時計に組み込ん
ところ、文字板視認性が良好であった。反
防止膜を全く設けないサファイアガラスの
射率が、可視光波長範囲全域でほぼ13%であ
のに比べて、明確な反射防止効果を得られ
ことが確認できた。
また、実施例3の時計用カバーガラスの平 均反射率は、1.9%であった。
〔硬度〕
本発明の実施例3によるカバーガラスのおも
て面の表面硬度は、マイクロビッカース硬度
で1200以上であった。従来技術によるカバー
ラスの表面硬度(おもて面側)は、マイクロビ
ッカース硬度で850以下であったから、本発明
による表面硬度向上効果は歴然としている。
〔耐摩耗性〕
また、本発明の実施例3によるカバーガラス
のおもて面の耐摩耗性は、実施例1と同等な
験結果で非常に優秀であった。
このように本発明によって、表面の硬度 高く、耐摩耗性に優れ、長期間携帯しても の入りにくい反射防止機能を有した時計用 バーガラスを提供することが可能となる。
上記実施例では、窒素原子を含む反応性ガ にN 2 ガスを用いたが、NH 3 ガスでも同様の効果を得ることができること が発明者らによって確認されている。また、 本発明の実施例では片面に反射防止膜が5層 層されている例を示したが、反射防止膜の 数、組合せは数多くあり、これに限定する のではない。また、本発明の最適な実施例 はおもて面と裏面の反射防止膜は全く同じ 構成であったが、これら両面の膜構成は異 っていて良い。膜構成の問題は設計上の課 に過ぎない。透明基材も本発明の実施例で サファイアガラスの例を示したが、これに 定されるものではなく、ソーダガラス、青 ガラス、白板ガラスあるいは透明プラスチ クでも良い。
