KISHIDA ATSUSHI (JP)
YANAGITANI AKIHIKO (JP)
SAWADA TOSHIYUKI (JP)
KISHIDA ATSUSHI (JP)
YANAGITANI AKIHIKO (JP)
JP2006085888A | 2006-03-30 | |||
JP2006089776A | 2006-04-06 | |||
JP2004234718A | 2004-08-19 | |||
JP2003338027A | 2003-11-28 |
at%で、Mn:5~35%、B:0.1~10%、ならびに残部Crおよび不可避的不純物からなる、磁気記録媒体における下地膜製造用Cr-Mn-B系スパッタリングターゲット材。 |
磁気記録媒体における下地膜製造用Cr-Mn-B系スパッタリングターゲット材の製造方法であって、該方法が、 at%で、Mn:5~35%、B:0.1~10%、ならびに残部Crおよび不可避的不純物からなる原料粉末を用意し、 該原料粉末を熱間で固化成形して、at%で、Mn:5~35%、B:0.1~10%、ならびに残部Crおよび不可避的不純物からなるスパッタリングターゲット材を形成する 工程を含んでなる、製造方法。 |
請求項1に記載のスパッタリングターゲット材を用いたスパッタリングにより製造されたCr-Mn-B系薄膜。 |
請求項2に記載の方法により製造されたスパッタリングターゲット材を用いたスパッタリングにより製造されたCr-Mn-B系薄膜。 |
本発明は、磁気記録媒体における下地膜 して用いる下地膜製造用Cr-Mn-B系スパッタリ ングターゲット材およびこれを用いて製造し た薄膜に関するものである。
近年、磁気ディスクの小型化、高記録密 化に伴い、磁気記録媒体の研究、開発が行 れ、特にCo系磁性層や下地層の改良が種々 われてきた。最近では、Cr-Mn合金をCo系磁性 の下地層として用いることにより、磁気記 媒体の磁気特性が改善できることが報告さ ている。
特開2006-89776号公報に開示されているよう に、Mnを5~35at%含む、Cr-Mnターゲット材を用い 薄膜が磁気記録媒体の下地膜として良好な 性を有することが提案されている。一方、 録密度の向上のためには、このCr-Mn系下地 の結晶粒微細化が効果的である。下地膜の 晶粒微細化の効果は、その上に成膜される 録膜の結晶粒を微細化することによる保磁 の向上であると考えられる。
また、富士時報、Vol.77,No.2,2004,第121頁に「 直磁気記録膜の構造制御」と題して開示さ ているように、媒体特性は下地層の結晶粒 や表面形状の影響を強く受ける。その下地 にRuを用いたCoPtCr-SiO 2 媒体において、Ruの結晶粒径や表面構造を制 することにより磁性結晶粒の粒径や磁気的 分離構造を制御した例が開示されている。
上述した特開2006-89776号公報は、確かにCr- Mnターゲット材を用いた薄膜が磁気記録媒体 下地膜として良好な特性について得られる とは分かるが、しかしながら、さらに高い 録密度を実現するためには、Cr-Mn系薄膜の 晶粒微細化が必要となることが考えられる しかし、より高い記録密度を得るためのCr-Mn 系薄膜の結晶粒径微細化に寄与する添加元素 などの具体的な提案が未だなされていないの が実状である。
本発明者らは、今般、Cr-Mn系合金にBを添 することで、薄膜の結晶粒を劇的に微細化 きることを知見した。そして、こうして結 粒が微細化されたCr-Mn-B系薄膜を下地膜とし て磁気記録媒体を作製すると、極めて良好な 記録特性が得られる。
したがって、本発明の目的は、磁気記録 体として、極めて良好な記録特性が得られ 、Cr-Mn-B系下地膜用合金および微細粒薄膜製 造用スパッタリングターゲット材を提供する ことにある。
本発明の一態様によれば、at%で、Mn:5~35% B:0.1~10%、ならびに残部Crおよび不可避的不純 物からなる、磁気記録媒体における下地膜製 造用Cr-Mn-B系スパッタリングターゲット材が 供される。
本発明の他の態様によれば、磁気記録媒体
おける下地膜製造用Cr-Mn-B系スパッタリング
ターゲット材の製造方法であって、該方法が
、
at%で、Mn:5~35%、B:0.1~10%、ならびに残部Crおよ
び不可避的不純物からなる原料粉末を用意し
、
該原料粉末を熱間で固化成形して、at%で、M
n:5~35%、B:0.1~10%、ならびに残部Crおよび不可避
的不純物からなるスパッタリングターゲット
材を形成する
工程を含んでなる、製造方法が提供される。
本発明の他の態様によれば、上記スパッ リングターゲット材を用いたスパッタリン により製造されたCr-Mn-B系薄膜が提供される 。
本発明の他の態様によれば、上記方法に り製造されたスパッタリングターゲット材 用いたスパッタリングにより製造されたCr-M n-B系薄膜が提供される。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明によるCr-Mn-B系スパッタリングターゲ
ット材およびその製造に用いられる原料粉末
は、at%で、Mn:5~35%、B:0.1~10%、ならびに残部Cr
よび不可避的不純物からなる。
本発明のターゲット材および原料粉末に いて、Mnの含有量は5~35at%、好ましくは5~25% さらに好ましくは5~15%とする。磁気記録媒体 の下地膜として使用する際の磁気記録媒体の 磁気特性を改善するためには、5%以上のMnが 要である。しかし、35%を超えるとその効果 飽和する。
本発明のターゲット材および原料粉末に いて、Bの含有量は0.1~10.0%、好ましくは0.3~5% 、さらに好ましくは0.4~4%とする。Cr-Mn系合金 Bを添加することにより、薄膜の結晶粒を微 細化することができるが、0.1%未満では添加 効果が十分でなく、10%を超えると効果が飽 し、記録密度向上を阻害するCr系硼化物が多 量に発生する。
本発明によるターゲット材は、原料粉末 熱間で固化成形することにより製造するこ ができる。固化成形はHIP(熱間静水圧プレス )法により行われるのが好ましく、また、そ 固化成形温度は1000~1250℃が好ましく、より ましくは1100~1200℃である。1000℃未満での固 成形では、スパッタリングターゲット材の 対密度が低くなってしまうことがある。一 、固化成形温度が1250℃を超えるとその効果 は飽和し、経済的にコストが高くなる。この ときの加圧条件としては、140~150MPaとするこ が望ましい。
以下、本発明について実施例によって具体
に説明する。
表1に示す組成に、純Cr,純Mn、純B粉末をV型
合機にて混合し、これを原料粉末とし、SC缶
に脱気封入した粉末充填ビレットを、1200℃
HIP(熱間静水圧プレス)法にて固化成形し、機
械加工によりCr-Mn-B系合金およびCr-Mn系合金の
スパッタリングターゲット材を作製した。各
工程の詳細は以下の通りである。
先ず、混合したCr-Mn-B系およびCr-Mn系粉末を 外径205mm、内径190mm、長さ300mmのSC缶に脱気 入した。脱気時の真空到達度は約1.3×10 -2 Pa(約1×10 -4 Torr)とした。上記の粉末充填ビレットを、1200 ℃、147MPaにてHIP成形した。上記の方法で作製 した固化成形体を、ワイヤーカット、旋盤加 工、平面研磨により、直径76.2mm、厚さ3mmに加 工し、銅製のバッキングプレートをろう付け し、スパッタリングターゲット材とした。
表1に示す評価項目である、Cr系硼化物の生
については、作製したスパッタリングター
ット材を、直径76.2mmのSi基板にスパッタし
。スパッタ条件は、Ar圧:0.5Pa、DC電力:500W、
膜厚さ:500nmとした。このスパッタ膜をX線回
し、その回折ピークよりCr系硼化物の生成
確認し、下記の基準で評価した。
○:Cr系硼化物生成なし
△:少量生成
×:多量生成
また、スパッタ膜の結晶粒径は、上記の パッタ膜の断面をTEM観察し、画像解析によ 相当面積円の径を結晶粒径とした。なお、 1中の結晶粒径はNo.1の結晶粒径を100とした 対値で表しており、数値の小さい方が結晶 径が微細である。
表1に示すように、比較例No.9はMn含有量が 低く、特にB含有量が低いために、結晶粒が 大化している。比較例No.10および12はB含有量 が多いために、Cr系硼化物が多量に生成して る。比較例No.11はBを含有しないために、結 粒が粗大化している。比較例No.13はNo.9と同 に、B含有量が低いために、結晶粒が粗大化 している。
比較例No.14はMn含有量が多く、特にB含有 が多いために、Cr系硼化物が多量に生成して いる。比較例No.15~17については、No.17はMn含有 量が多く、特にBをいずれも含有しないため 、結晶粒が粗大化していることがそれぞれ かる。これに対し、本発明例であるNo.1~8は ずれも本発明の条件を満たしていることか 、薄膜製造用スパッタリングターゲット材 しての特性に優れていることが分かる。
以上のように、磁気記録媒体における薄 製造用スパッタリングターゲット材におい 、Cr-Mn系合金にBを添加することで、薄膜の 晶粒を劇的に微細化することが可能となり 安定した高密度のCr-Mn-B系薄膜用合金および 薄膜製造用スパッタリングターゲット材を提 供することが可能となる極めて優れた効果を 奏するものである。