日鉱金属株式会社 (〒01 東京都港区虎ノ門二丁目10番1号 Tokyo, 1050001, JP)
| Ni:1.0~4.5質量%、Si:0.50~1.2質量%、Cr:0.003~0.3質量%を含有し(但し、NiとSiの重量比が3≦Ni/Si≦5.5である。)、残部Cuおよび不可避的不純物から構成される電子材料用銅合金であって、材料中に分散する大きさが0.1μm~5μmのCr-Si化合物について、その分散粒子中のSiに対するCrの原子濃度比が1~5であって、その分散密度が1×10 6 個/mm 2 以下である電子材料用銅合金。 |
| 大きさが0.1μm~5μmのCr-Si化合物について、その分散密度が1×10 4 個/mm 2 より高い請求項1記載の電子材料用銅合金。 |
| 更にSn、及びZnから選択される1種又は2種以上を0.05~2.0質量%含有する請求項1又は2に記載の電子材料用銅合金。 |
| 更にMg、Mn、Ag、P、As、Sb、Be、B、Ti、Zr、Al、Co及びFeから選択される1種又は2種以上を0.001~2.0質量%含有する請求項1~3の何れか一項に記載の電子材料用銅合金。 |
| 請求項1~4の何れか一項に記載の銅合金を用いた伸銅品。 |
| 請求項1~4の何れか一項に記載の銅合金を用いた電子機器部品。 |
本発明は析出硬化型銅合金に関し、とり け各種電子機器部品に用いるのに好適なCu-N i-Si-Cr系合金に関する。
リードフレーム、コネクタ、ピン、端子 リレー、スイッチ等の各種電子機器部品に 用される電子材料用銅合金には、基本特性 して高強度及び高導電性(又は熱伝導性)を 立させることが要求される。近年、電子部 の高集積化及び小型化・薄肉化が急速に進 、これに対応して電子機器部品に使用され 銅合金に対する要求レベルはますます高度 している。
高強度及び高導電性の観点から、近年、 子材料用銅合金として従来のりん青銅、黄 等に代表される固溶強化型銅合金に替わり 析出硬化型の銅合金の使用量が増加してい 。析出硬化型銅合金では、溶体化処理され 過飽和固溶体を時効処理することにより、 細な析出物が均一に分散して、合金の強度 高くなると同時に、銅中の固溶元素量が減 し電気伝導性が向上する。このため、強度 ばね性などの機械的性質に優れ、しかも電 伝導性、熱伝導性が良好な材料が得られる
析出硬化型銅合金のうち、コルソン系合 と一般に呼ばれるCu-Ni-Si系銅合金は比較的 い導電性、強度、応力緩和特性及び曲げ加 性を兼備する代表的な銅合金であり、業界 おいて現在活発に開発が行われている合金 一つである。この銅合金では、銅マトリッ ス中に微細なNi-Si系金属間化合物粒子を析出 させることによって強度と導電率の向上が図 れる。
Ni-Si系金属間化合物粒子の析出物は化学量 組成で一般に構成されており、例えば、特 文献1では合金中のNiとSiの質量比を金属間化 合物であるNi 2 Siの質量組成比(Niの原子量×2:Siの原子量×1)に 近づけることにより、すなわちNiとSiの重量 度比をNi/Si=3~7とすることにより良好な電気 導性が得られることが記載されている。
しかし、特許文献1で記載されるようにはNi
Siの質量比を金属間化合物であるNi 2
Siの質量組成比(Niの原子量×2:Siの原子量×1)に
近づけることにより、特性改善が図れるが、
現実には、過剰なSiによって幾分かの導電率
低下が見られる。
そこで、CrなどのSiと化合物を作る元素を添
加し、過剰となったSiと化合させることで導
率を上げることが考えられる。Crはその1つ
元素であり、Cr含有Cu-Ni-Si系合金がある。
合金元素としてCrが添加されたCu-Ni-Si系合金
としては特許文献2、特許文献3に記載のもの
挙げられる。
特許文献2では、Ni:1.5~4.0重量%、Si:0.35~1.0重
%、随意的に、Zr、Cr、Snの群から選ばれる少
くとも1種の金属:0.05~1.0重量%、残部がCuおよ
び不可避的不純物から成るコルソン合金を加
熱(又は冷却)する際に、400~800℃の温度域では
、前記コルソン合金の引張熱歪が1×10 -4
以下となるように前記コルソン合金を加熱(
は冷却)することを特徴とするコルソン合金
熱処理方法が記載されている。この方法に
れば、熱処理時の鋳塊割れを防止すること
できるとされている。
特許文献3には、Ni:2~5重量%、Si:0.5~1.5重量% 、Zn:0.1~2重量%、Mn:0.01~0.1重量%、Cr:0.001~0.1重量 %、Al:0.001~0.15重量%、Co:0.05~2重量%を含有し、 純物成分のSの含有量を15ppm以下に規制し、 部がCu及び不可避的不純物からなることを特 徴とする曲げ加工性が優れた高力銅合金が記 載されている。この発明によれば、Crは鋳塊 粒界を強化して、熱間加工性を高める元素 あるとされている。また、0.1重量%を超えて Crが含有されると溶湯が酸化し、鋳造性が劣 するとされている。その他、該銅合金はク プトル炉において大気中で木炭を被覆して 解鋳造することが記載されている。
また、CrとSiの化合物という観点では特許文 献4が挙げられる。特許文献4には、Cr:0.1~0.25 量%、Si:0.005~0.1重量%、Zn:0.1~0.5重量%、Sn:0.05~0. 5重量%を含み、CrとSiの重量比が3~25で残部がCu および不可避的不純物から成る銅合金におい て、銅母相中に0.05μm~10μmの大きさを有するCr Si化合物が1×10 3 ~5×10 5 個/mm 2 の個数密度で存在し、且つ、Cr化合物(CrSi化 物以外)の大きさを10μm以下とするエッチン 加工性および打ち抜き加工性に優れた電子 器用銅合金について、鋳塊の熱間加工温度 時効熱処理温度が記載されている。この方 によれば、エッチング加工性とプレス打ち き性の双方を好適に使用することができる されている。
近年の電子部品の急速な高集積化と小型化
薄肉化における材料特性の飛躍的な向上の
求は、本発明の合金系であるCr含有Cu-Ni-Si系
合金も同様である。
しかしながら、特許文献1ではCrは添加され
おらず、現実には、過剰なNi、Siによって幾
分かの導電率の低下が見られ、飛躍的に特性
の向上に至ってはいない。特許文献2及び特
文献3ではCu-Ni-Si系合金にCrを添加しているが
、特許文献2では添加して固溶強化を図る、
許文献3では熱間加工性を高めることを目的
しており、本発明の鍵であるCr-Si化合物に
する記載は見当たらない。従って、これら
特許文献から本発明が解決しようとする課
の解決手段を容易に想定させるものではな
。
特許文献4では、CrSi化合物の個数密度と大
さを制御することでエッチング加工性およ
打ち抜き加工性を改善するとの記載はある
、Niが添加されていないことからNi-Si化合物
形成を考慮することなく、Cr-Si化合物形成
みの条件を考えればよく、本発明が解決し
うとする課題の解決手段を容易に想定させ
ものではない。
そこで、本発明の課題は、Cu-Ni-Si系合金に
いてCr添加の効果をより良く発揮させること
で飛躍的に特性の向上即ち、高強度・高導電
性のコルソン系合金を提供することである。
本発明者は上記課題を解決するために鋭 研究を行った結果、以下の発明を見出した Cu-Ni-Si系合金においてNiに対してSiが過剰と る組成とし、Ni添加分のNiシリサイドを確実 に析出させて高強度化させる一方、過剰とな ったSiを添加したCrとの化合物として生成さ 、高導電化を図る。そして本発明の重要な イントは、CrとSiとの化合が成長しすぎて、N iと化合するべきSiが不足しないようにCr-Si化 物の成長を制御することにある。具体的に 、本発明者はCr-Si化合物の組成と大きさ、 数密度に着目するに至り、熱処理工程の温 と冷却速度を制御することでその効果をよ 良く引き出すことができることを見出した
すなわち、本発明は
(1)Ni:1.0~4.5質量%、Si:0.50~1.2質量%、Cr:0.003~0.3質
%を含有し(但し、NiとSiの重量比が3≦Ni/Si≦5
.5である。)、残部Cuおよび不可避的不純物か
構成される電子材料用銅合金であって、材
中に分散する大きさが0.1μm~5μmのCr-Si化合物
について、その分散粒子中のSiに対するCrの
子濃度比が1~5であって、その分散密度が1×10
6
個/mm 2
以下である電子材料用銅合金。
(2)大きさが0.1μm~5μmのCr-Si化合物について、
の分散密度が1×10 4
個/mm 2
よりも高い請求項1記載の電子材料用銅合金
(3)更にSn、及びZnから選択される1種又は2種以
上を0.05~2.0質量%含有する(1)又は(2)に記載の電
子材料用銅合金。
(4)更にMg、Mn、Ag、P、As、Sb、Be、B、Ti、Zr、Al
Co及びFeから選択される1種又は2種以上を0.00
1~2.0質量%含有する(1)~(3)の何れか一項に記載
電子材料用銅合金。
(5)(1)~(4)の何れか一項に記載の銅合金を用い
伸銅品。
(6)(1)~(4)の何れか一項に記載の銅合金を用い
電子機器部品。
である。
本発明によれば、合金元素であるCr添加 効果がより良く発揮されるため、強度及び 電率が顕著に向上した電子材料用コルソン 銅合金が得られる。
Ni及びSiの添加量
Ni及びSiは、適当な熱処理を施すことにより
金属間化合物としてNiシリサイド(Ni 2
Si等)を形成し、導電率を劣化させずに高強度
化が図れる。SiとNiの質量比は上述したよう
量論組成に近い3≦Ni/Si≦5.5が好ましく、3.5
Ni/Si≦5.0がより好ましい。
しかしながら、Ni/Siが上記範囲の比を有 ていてもSi添加量が0.5質量%未満では所望の 度が得られず、1.2質量%を超えると高強度化 図れるが導電率が著しく低下し、更には偏 部で液相を生成して熱間加工性が低下する で好ましくない。そこで、Si:0.5~1.2質量%と ればよく、好ましくは0.5~0.8質量%である。Ni 加量はSi添加量に応じて上記の好ましい比 満足するように設定すればよく、Si添加量と バランスをとるためにNi:2.5~4.5質量%とすれば く、好ましくはNi:3.2~4.2質量%,より好ましく Ni:3.5~4.0質量%である。
Crの添加量
通常のCu-Ni-Si系合金においてはNi-Si濃度を上
昇させると、析出粒子の総数が増加するので
、析出強化による強度上昇が図れる。一方、
添加濃度上昇に伴い、析出に寄与しない固溶
量も増すので、導電率は低下し、結局時効析
出のピーク強度は上昇するが、ピーク強度と
なる導電率は低下する。しかしながら、上記
のCu-Ni-Si系合金にCrを0.003~0.3質量%、好ましく
0.01~0.1質量%添加すると最終特性において、
じのNi-Si濃度を有するCu-Ni-Si系合金と比べて
強度を損なわずに導電率を上昇でき、更に熱
間加工性が改善されて歩留が高くなる。
Cu-Ni-Si系合金にCrを添加した場合に析出する 粒子の組成はCrを主成分としたbcc構造の析出 子を単体析出しやすいが、Siとの化合物も 出しやすい。Crは、適当な熱処理を施すこと により銅母相中でSiとの化合物であるクロム リサイド(Cr 3 Si等)を容易に析出することができるため、溶 体化処理、冷延、時効処理を組み合わせて合 金特性を作り込む工程でNi 2 Si等として析出しなかった固溶Si成分をCr-Si化 合物として析出させることができる。このた め、固溶Siによる導電率の低下を抑制し、強 を損なわずに導電率の上昇を図ることがで る。
このとき、Cr粒子中のSi濃度が低いと、母 相にSiが残留するため導電率が低下し、一方C r粒子中のSi濃度が高いとNi-Si粒子を析出する めのSi濃度が減少するため強度が低下する 更に、Cr中のSi濃度が高い場合には、粗大なC r-Si化合物が増え、曲げ、疲労強度などが劣 する。更に、溶体化後の冷却速度を徐冷し り、時効熱処理時間を過度に延長したりし もCr-Si化合物が粗大化してNi-Si化合物を形成 るSi濃度が減少し、強化に寄与するNi-Si化合 物が不足する。これはCu中でのSiとCrの拡散速 度がNiよりも速いのでCr-Si化合物は粗大化し すく、Cr-Si化合物の析出速度は、Ni-Si化合物 析出速度より速くなるためである。
よって溶体化後の冷却速度を制御し、最 強度となる時効条件より高温、長時間とな 条件を回避すれば、Cr-Si化合物の組成と大 さと密度を制御できる。よってCr濃度を0.003 量%以上、0.3質量%とし、Cr-Si化合物における Siに対するCrの原子濃度比を1~5とした。
また、Crは溶解鋳造時の冷却過程におい 結晶粒界に優先析出するため粒界を強化で 、熱間加工時の割れが発生しにくくなり、 留低下を抑制できる。すなわち、溶解鋳造 に粒界析出したCrは溶体化処理などで再固溶 するが、続く時効析出時に珪化物を生成する 。通常のCu-Ni-Si系合金では添加したSi量のう 、時効析出に寄与しなかったSiは母相に固溶 したまま導電率の上昇を抑制するが、珪化物 形成元素であるCrを添加して、珪化物をさら 析出させることにより、従来のCu-Ni-Si系合 に比べて、固溶Si量を低減でき、強度を損な わずに導電率を上昇できる。
Cr-Si化合物の大きさ、分散密度
Cr-Si化合物の大きさは、曲げ加工性および
労強度等に影響を及ぼし、これが5μmを超え
か、または0.1~5μmのCr-Si化合物の分散密度が
1×10 6
個/mm 2
を超える場合には曲げ加工性や疲労強度が顕
著に劣化する。さらに個数密度は母相中のSi
度の過不足に影響するため、大きな粒子が
数個分散した状態では所望の強度特性が得
れない。よって分散密度の上限は1×10 6
個/mm 2
以下であればよく、好ましくは5×10 5
個/mm 2
以下、より好ましくは1×10 5
個/mm 2
以下であればよい。また、1×10 4
個/mm 2
以下の場合はCr添加による改善効果が小さい
め、これを超えることが望ましい。
Sn及びZn
本発明に係るCu-Ni-Si系合金にSn及びZnから選
される1種又は2種以上を総量で0.05~2.0質量%
加することで強度、導電率を大きく損なわ
に応力緩和特性等を改善できる。その添加
は、0.05質量%未満では効果が不足し、2.0質量
%を超えると鋳造性、熱間加工性などの製造
、製品の導電率を損なうので0.05~2.0質量%添
するのが好ましい。
その他の添加元素
Mg、Mn、Ag、P、As、Sb、Be、B、Ti、Zr、Al、Co及
びFe所定量を添加することで様々な効果を示
が、相互に補完し、強度、導電率だけでな
曲げ加工性、めっき性や鋳塊組織の微細化
よる熱間加工性の改善のような製造性をも
善する効果もあるので本発明に係るCu-Ni-Si
合金にこれらの1種又は2種以上を求められる
特性に応じて総量を2.0質量%以下として適宜
加することができる。その添加量は、これ
の元素の総量が0.001質量%未満だと所望の効
が得られず、2.0質量%を超えると導電率の低
や製造性の劣化が顕著になるので総量で0.00
1~2.0質量%とするのが好ましく、0.01~1.0質量%と
するのがより好ましい。
なお、本発明に係るCu-Ni-Si系合金の特性に
影響を与えない範囲で本明細書に具体的に
載されていない元素が添加されてもよい。
次に本発明の製造方法に関して説明する 本発明に係るCu-Ni-Si系合金は、Ni-Si化合物、 Cr-Si化合物を制御する溶体化処理、時効処理 条件を除いて、Cu-Ni-Si系合金の慣例の製造 法により製造可能であり、当業者であれば 成や求められる特性に応じて最適な製法を 択することができるため特別の説明を要し いと考えられるが、以下に例示目的のため 一般的な製造方法を説明する。
まず大気溶解炉を用い、電気銅、Ni、Si、 Cr等の原料を溶解し、所望の組成の溶湯を得 。そして、この溶湯をインゴットに鋳造す 。その後、熱間圧延を行い、冷間圧延と熱 理を繰り返して、所望の厚み及び特性を有 る条や箔に仕上げる。熱処理には溶体化処 と時効処理がある。溶体化処理では、700~100 0℃の高温で加熱して、Ni-Si系化合物やCr-Si系 合物をCu母地中に固溶させ、同時にCu母地を 再結晶させる。溶体化処理を、熱間圧延で兼 ねることもある。
この溶体化処理では、加熱温度とともに 却速度も重要である。従来は加熱後の冷却 度を制御していなかったため、加熱炉の出 に水槽を設けて水冷とするか、大気雰囲気 の空冷を採用していた。この場合には加熱 度の設定により冷却速度が変動しやすく、 来の冷却速度は1℃/秒以下から10℃/秒以上 範囲で変動していた。よって、本発明例の うな合金系の特性の制御が困難であった。
冷却速度は、1℃/秒から10℃/秒の範囲が ましい。時効処理では、350~550℃の温度範囲 1h以上、典型的には3~24h加熱し、溶体化処理 で固溶させたNi及びSiの化合物とCr及びSiの化 物を微細粒子として析出させる。この時効 理で強度と導電率が上昇する。より高い強 を得るために、時効前及び/又は時効後に冷 間圧延を行なうことがある。また、時効後に 冷間圧延を行なう場合には、冷間圧延後に歪 取焼鈍(低温焼鈍)を行なうことがある。
本発明に係るCu-Ni-Si系銅合金は一実施形 において、0.2%耐力が780MPa以上でかつ導電率 45%IACS以上とすることができ、更には0.2%耐 が860MPa以上でかつ導電率が43%IACS以上とする とができ、更には0.2%耐力が890MPa以上でかつ 導電率が40%IACS以上とすることもできる。
本発明に係るCu-Ni-Si系合金は種々の伸銅 、例えば板、条、管、棒及び線に加工する とができ、更に、本発明によるCu-Ni-Si系銅合 金は、高い強度及び高い電気伝導性(又は熱 導性)を両立させることが要求されるリード レーム、コネクタ、ピン、端子、リレー、 イッチ、二次電池用箔材等の電子機器部品 使用することができる。
以下に本発明の具体例を示すが、これら 施例は本発明及びその利点をよりよく理解 るために提供するものであり、発明が限定 れることを意図するものではない。
本発明の実施例に用いる銅合金は、表1に 示すようにNi、Si及びCrの含有量をいくつか変 化させた銅合金に適宜Sn、Zn、Mg、Mn、Co及びAg を添加した組成を有する。また、比較例に用 いる銅合金は、それぞれ本発明の範囲外のパ ラメータをもつCu-Ni-Si系合金である。
表1に記載の各種成分組成の銅合金を、高 周波溶解炉で1300℃で溶製し、厚さ30mmのイン ットに鋳造した。次いで、このインゴット 1000℃で加熱後、板厚10mmまで熱間圧延し、 やかに冷却を行った。表面のスケール除去 ため厚さ8mmまで面削を施した後、冷間圧延 より厚さ0.2mmの板とした。次に溶体化処理を Arガス雰囲気中でNiおよびCrの添加量に応じて 800~900℃に120秒保持した後、冷却速度を変化 せて室温まで冷却した。冷却速度は、加熱 の試料に吹き付けるガス流量を変化させて 御し、試料の最高到達温度から400℃まで冷 する時間を計測して冷却速度とした。ガス 吹き付けないときの炉冷速度は5℃/sであり 更に冷却速度を遅くした例として加熱出力 制御しながら降温した場合の冷却速度を1℃/ sとした。その後0.1mmまで冷間圧延して、最後 に添加量に応じて400~550℃で各1~12時間かけて 活性雰囲気中で時効処理を施して、試料を 造した。
このようにして得られた各合金につき強度
び導電率の特性評価を行った。強度につい
は圧延平行方向での引っ張り試験を行って0
.2%耐力(YS;MPa)を測定し、導電率(EC;%IACS)につい
てはWブリッジによる体積抵抗率測定により
めた。
曲げ性の評価は、W字型の金型を用いて試料
板厚と曲げ半径の比が1となる条件で90°曲げ
工を行なった。評価は曲げ加工部表面を光
顕微鏡で観察し、クラックが観察されない
合を実用上問題ないと判断して○とし、ク
ックが認められた場合を×とした。疲労試
は、JIS Z 2273に従って両振り応力を負荷し
破断までの繰返し数が10 7
回となる応力(MPa)を求めた。
Cr-Si化合物の観察は、材料の板面を電解研
後FE-AES観察により、多数箇所において大き
0.1μm以上の粒子を対象とし、実際にその表
の吸着元素(C、O)を除くためAr +
でスパッタリングを行い、各粒子ごとのオー
ジェスペクトルを測定し、検出された元素を
感度係数法により半定量値として重量濃度換
算した際に、CrとSiが検出された粒子を対象
した。Cr-Si化合物の「組成」「大きさ」「分
散密度」は、FE-AES観察下で多数箇所分析した
大きさ0.1~5μmのCr-Si粒子の平均組成、最小円
直径、各観察視野での平均個数とした。
表1及び表2に結果を示す。
発明例1~25では、適正な冷却速度によりCr-Si
合物の分散密度が1×10 6
以下かつ、Cr/Siが1~5の範囲であるために、良
な特性が得られている。
一方、比較例1~3は冷却速度が遅いため、Cr-S
i化合物が成長しすぎて、十分な強度が得ら
ず、また曲げ加工性も悪かった。
比較例4、5では、冷却速度が早いため、成
せず、過剰なSiが合金中に固溶し、強度と導
電率が劣った。比較例6、7は時効温度が高い
めにCr-Si化合物が成長しすぎて、十分な強
が得られず、また曲げ加工性も悪かった。
較例8、9は、Crの濃度が高すぎるため、Cr-Si
合物が成長しすぎて、十分な強度が得られ
、また曲げ加工性も悪かった。
Next Patent: ROTATING MAGNETRON SPUTTERING APPARATUS
