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Patent Searching and Data


Title:
CURABLE COMPOSITION, BONDING METHOD AND BONDED BODY
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/108273
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a curable composition which exhibits a temporary fixing effect extremely quickly and is completely cured in a short time at room temperature. Also disclosed are an adhesive and a bonding method. Specifically disclosed is a curable composition characterized by containing a polymerizable acrylic liquid composition as a component (A), a cumenehydroperoxide as a component (B), a metal reducing agent containing vanadium or copper or a reducing agent composed of ethylenethiourea as a component (C), and a basic compound containing a primary amine structure, a secondary amine structure or a tertiary amine structure as a component (D). Also specifically disclosed is a bonding method using such a curable composition.

Inventors:
HISHA YUKI (JP)
YODA KIMIHIKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/053542
Publication Date:
September 12, 2008
Filing Date:
February 28, 2008
Export Citation:
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Assignee:
DENKI KAGAKU KOGYO KK (JP)
HISHA YUKI (JP)
YODA KIMIHIKO (JP)
International Classes:
C08F220/28; C08F2/44; C08F220/30; C08L79/02; C09J4/02; C09J5/04; C09J11/06
Foreign References:
JPH05125331A1993-05-21
JPH0953051A1997-02-25
JP2001261723A2001-09-26
JP2001261724A2001-09-26
JP2002338610A2002-11-27
JP2003105009A2003-04-09
JP2003165806A2003-06-10
Attorney, Agent or Firm:
SENMYO, Kenji et al. (SIA Kanda Square17, Kanda-konyach, Chiyoda-ku Tokyo 35, JP)
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Claims:
 下記の(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分を含有することを特徴とする硬化性組成物。
 (A)成分は重合可能なアクリル系モノマー、
 (B)成分はクメンハイドロパーオキサイド、
 (C)成分はバナジウム若しくは銅を含有した還元剤又はエチレンチオ尿素よりなる還元剤、
 (D)成分は第一級アミン構造、第二級アミン構造又は第三級アミン構造を含有する塩基性化合物である。
 (A)成分が、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとフェノキシアルキル(メタ)アクリレートとの混合物である請求項1に記載の硬化性組成物
 (D)成分の塩基性化合物が、エチレンイミンを骨格とする主鎖を含有した化合物である請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
 (D)成分の塩基性化合物が、数平均分子量50~70000のポリエチレンイミンである請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
 (A)成分の100質量部に対して、(B)成分が0.1~10質量部、(C)成分が0.04~5質量部、(D)成分が0.5~10質量部、である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
 更に、(E)成分のエラストマーを、(A)成分と(E)成分の合計100質量部に対して、5~40質量部含有する請求項1乃至5のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
 (A)成分と(B)成分とを含有するP剤、又は(A)成分と(C)成分と(D)成分とを含有するQ剤の一方を、被着体の一方の表面に塗布し、他の被着体の表面に、P剤とQ剤の残された一方を塗布し、両塗布面を接触させて硬化させる請求項1乃至5のいずれか一項に記載の硬化性組成物を用いる接着方法。
 (A)成分と(B)成分とを含有するP剤と、(A)成分と(C)成分とを含有するR剤とを、被着体の一方の表面に塗布し、次いで、この塗布面又は他の被着体の表面に、(D)成分を含有するS剤を塗布し、両塗布面を接触させて硬化させる請求項1乃至5のいずれか一項に記載の硬化性組成物を用いる接着方法。
 被着体が鋼製の表面を有し、該被写体の鋼製表面同士を、請求項8に記載の接着方法で接着してなる接合体。
Description:
硬化性組成物、接着方法及び接 体

 本発明は、高速硬化性に優れたアクリル 硬化性組成物であり、常温で容易に高速硬 して、強固に接着する硬化性組成物、接着 、接着方法並びに接合体に関するものであ 。特に鋼板製家具や事務用品等の用途に好 な硬化性組成物、接着剤、接着方法並びに 合体に関する。

 従来、アクリル系樹脂は、耐久性が良い と、環境に優しいことなどから、成形材料 塗料、接着剤などの分野で幅広く利用され いる。

 アクリル系接着剤は、アクリル系モノマ やオリゴマーを重合開始剤として、有機過 化物と、その有機過酸化物を分解してラジ ルを発生させる還元剤とを利用して重合し 硬化することにより接着が行われる。

 有機過酸化物と還元剤との組み合わせは 一般に「硬化開始剤系」と呼ばれる。また 「二剤型アクリル系接着剤」とは、硬化開 剤系を、(A)有機過酸化物を含有する組成物 (B)還元剤を含有する組成物との二剤に分離 たアクリル系接着剤であり、大部分は(A)と( B)の二剤が液状であることから二液主剤型接 剤とも呼ばれている。

 二剤型アクリル系接着剤は、上記(A)と上 (B)の二剤を使用直前に混合して被着体に塗 して接着する方法と、一方の被着体表面に 記(A)を、他方の被着体表面に上記(B)を塗布 、互いに接合して接着する方法で用いられ 。

 (A)に使用するクメンハイドロパーオキサ ドは、ハイドロパーオキサイド基を分子中 有する有機過酸化物であるが、常温での半 時間が長いという利点より一般に使用され いる。

 (B)に使用される還元剤は、大別して、エ レンチオ尿素誘導体と金属石鹸や金属キレ ト化合物との混合物であるが、何れも接着 とした時に常温での硬化時間はエポキシ系 着剤に比べ、高速で硬化するものが開発さ ている(特許文献1~4を参照。)。

 しかしながら、これらの還元剤を用いて 、最終的に必要とされる接着特性を保持し つ、常温で秒速硬化する接着剤はなかった このために、接合してから硬化固定するま 、接着位置のズレや外れなどを防止する目 で、仮固定治具が使用されているのが現状 ある。

 現状のアクリル系接着剤を用いる場合には 接着現場において多数の仮固定治具を使用 なければならない問題があり、例えば鋼板 品製造等での生産性が改善できず、コスト 低下させる妨げとなっていた。
 前記の問題を解決した、仮固定治具を使用 なくとも定位置に接着できる接着剤が強く まれている。

特開昭52-018478号公報

英国特許第715382号公報

米国特許第3,591,438号明細書

米国特許第3,625,930号明細書

 本発明は、従来技術の前記問題を解決す くなされたもので、アクリル系接着剤の優 た特性を維持しながら、常温下で、極めて く仮止め効果を発揮し、且つ速く完全硬化 る性質を有する硬化性組成物、接着剤を提 し、さらに前記組成物や接着剤を用いた接 方法を提供することを目的とする。

 本発明は、以下の要旨を有するものである
1.下記の(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成 を含有することを特徴とする硬化性組成物
 (A)成分は重合可能なアクリル系モノマー、
 (B)成分はクメンハイドロパーオキサイド、
 (C)成分はバナジウム若しくは銅を含有した 元剤又はエチレンチオ尿素よりなる還元剤
 (D)成分は第一級アミン構造、第二級アミン 造又は第三級アミン構造を含有する塩基性 合物である。
2.(A)成分が、ヒドロキシアルキル(メタ)アク レートとフェノキシアルキル(メタ)アクリレ ートとの混合物である上記1に記載の硬化性 成物
3.(D)成分の塩基性化合物が、エチレンイミン 骨格とする主鎖を含有した化合物である上 1又は2に記載の硬化性組成物。
4.(D)成分の塩基性化合物が、数平均分子量50~7 0000のポリエチレンイミンである上記1又は2に 記載の硬化性組成物。
5.(A)成分の100質量部に対して、(B)成分が0.1~10 量部、(C)成分が0.04~5質量部、(D)成分が0.5~10 量部である上記1乃至4のいずれか一項に記 の硬化性組成物。
6.更に、(E)成分のエラストマーを、(A)成分と( E)成分の合計100質量部に対して、5~40質量部含 有する上記1乃至5のいずれか一項に記載の硬 性組成物。
7.(A)成分と(B)成分とを含有するP剤、又は(A)成 分と(C)成分と(D)成分とを含有するQ剤の一方 、被着体の一方の表面に塗布し、他の被着 の表面に、P剤とQ剤の残された一方を塗布し 、両塗布面を接触させて硬化させる上記1乃 5のいずれか一項に記載の硬化性組成物を用 る接着方法。
8.(A)成分と(B)成分とを含有するP剤と、(A)成分 と(C)成分とを含有するR剤とを、被着体の一 の表面に塗布し、次いで、この塗布面又は の被着体の表面に、(D)成分を含有するS剤を 布し、両塗布面を接触させて硬化させる上 1乃至5のいずれか一項に記載の硬化性組成 を用いる接着方法。
9.被着体が鋼製の表面を有し、該被写体の鋼 表面同士を、上記7又は8に記載の接着方法 接着してなる接合体。

 本発明の硬化性組成物は、前記組成を有 ていることから、重合可能なアクリル系液 組成物が室温下でほとんど瞬時といえる程 やかに仮止め効果を発揮するという現象が 現される。それ故、いわゆる多液型接着剤 することにより、室温下で急速に硬化する 質を有する接着剤を提供できる。

 また、本発明の硬化性組成物は、前記し 通りに、室温で急速に仮止め効果を発揮し 数分で硬化する性質を有するので、これを 着剤として用いるとき、従来使用されてき 仮固定治具の使用を不要とすることができ 。例えば鋼板製品製造等での生産性を向上 せることができ、種々の分野において生産 ストを低下させることに寄与し得る。

 本発明の接着方法は、前記硬化性組成物に いて、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成 の組み合わせ順序を選択することにより当 組成物の硬化の進み方を段階的に進ませる とができる。
 例えば、一方の被着体の表面に、後記するP 剤とR剤とからなる塗布面を形成し、穏やか 硬化を進ませておき、最終的に他方の被着 表面に塗布された後記するS剤と接触させる とで、両塗布層を急激に硬化させことによ 、接着作業におけるポットライフを生産ラ ンに適合させることができる。この接着方 で得られる接合体は、位置ズレを起こすこ なく接合されており、十分な接着強度を保 すると共に外観上も優れる。

 本発明において、(A)成分は、重合可能なア リル系モノマーを含有する。アクリル系モ マーの中では、アクリル系液状モノマーが ましい。
 ここで、アクリル系モノマーとは、メタク ル酸エステルとアクリル酸エステルの総称( 以下、(メタ)アクレートのように記す。)であ る。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エ ル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アク リレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エ ルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチ ル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)ア リレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ス テアリル(メタ)アクリアクリレート、フェニ (メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ) アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)ア リレート、ジシクロペンテニル(メタ)アク レート、イソボルニル(メタ)アクリレート、 メトキシ化シクロトリエン(メタ)アクリレー 、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ) クリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アク レート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリ レート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリ ート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレー 、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレ ト、アルキルオキシポリプロピレングリコ ル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフ リル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フ ノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノ キシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ ロピル(メタ)アクリレート、フェノキシブ ル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)ア リレート、カプロラクトン変成テトラフル リル(メタ)アクリレート、エトキシカルボ ルメチル(メタ)アクリレート、フェノールエ チレンオキシド変成アクリレート、パラクミ ルフェノールエチレンオキシ変成アクリレー ト、ノニルフェノールエチレンオキシド変成 アクリレート、ノニルフェノールポリプロピ レンオキシド変成アクリレート、2-エチルヘ シルカルビトールアクリレート、ポリグリ ロールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレ グリコールジ(メタ)アクリレート、1,4ブタン ジオール(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジ ールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチル リコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロ ールプロパントリ(メタ)アクリレート、エポ シ(メタ)アクリレート(大阪有機化学社製、 ビスコート#540」)、ポリエステル(メタ)アク リレート(東亜合成社製、「アロニックスM-610 0」、共栄化学社製、「エポキシエステル3000M 」)、ウレタンアクリレート(東亞合成社製、 アロニックスM-1100」)、ポリエチレングリコ ールウレタン変成ジ(メタ)アクリレート、ポ プロピレングリコールウレタン変成ジ(メタ )アクリレート、エポキシアクリレート(東亞 成社製、「アロニックスM-5710」)、ポリブタ ジエンジメタクリレート(日本曹達社製、「TE -2000」)、アクリルニトリルブタジェンメタク リレート(宇部興産社製、「HyCAr VTBNX」)、ア リルオリゴマー(新中村化学社製、「BPE500」 )
等が挙げられる。

 前記アクリル系モノマーは、硬化物の物 を調整する目的で、2種類以上混合して使用 するが、単独で用いても勿論構わない。更に 、(A)成分には、特性改良などの目的でゴム成 分やシクロペンタジエン樹脂、石油樹脂(日 石油社製、「ネオポリマーS」、荒川化学社 、「アルコン」)等などを混合しても良い。 更に、早期の表面乾燥性を付与する目的でパ ラフィンワックスを添加しても良い。また、 流動性などの改良を目的として、無機フィラ ーなどの充填剤を添加しても良い。更に、特 性改良の目的で、シランカップリング剤など を添加しても良い。更に保存安定性改良の目 的で、酸化防止剤などを添加しても良い。

 (A)成分としては、2-ヒドロキシエチル(メタ) アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ) クリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)ア リレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリ レート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリ ートと、フェノキシエチル(メタ)アクリレ ト、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート 、フェノキシブチル(メタ)アクリレート等の ェノキシアルキル(メタ)アクリレートとを 用することが好ましい。なかでも、ヒドロ シアルキル(メタ)アクリレートとフェノキシ アルキル(メタ)アクリレートの混合割合(質量 比)は、5~80:95~20が好ましく、10~60:90~40がさら 好ましい。
 ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと ェノキシアルキル(メタ)アクリレートの混合 物は、(A)成分中、10~90質量%含有することが好 ましく、20~85質量%含有することがより好まし く、30~60質量%含有することが最も好ましい。

 (B)成分のクメンハイドロパーオキサイド 含有量は、(A)の100質量部に対して、0.1~10質 部が好ましく、1~8質量部がより好ましい。0 .1質量部以上ならば硬化不良が発生すること ないし、10質量部以下ならば皮膚刺激性が 加したり、保存安定性が低下したりするこ もない。

 (C)成分のバナジウム若しくは銅を含有し 還元剤、又はエチレンチオ尿素よりなる還 剤は、(B)成分を分解してラジカルを発生さ る還元剤であり、例えば、バナジルアセチ アセトネート、ナフテン酸銅、エチレンチ 尿素などが挙げられる。これらの還元剤は 状から固体状までいろいろな形態のものが るが、取り扱いが容易なものを使用すれば い。

 (C)成分は、(A)成分の100質量部に対して、0 .04~5質量部が好ましく選択され、0.08~2.0質量 がより好ましい。0.04質量部以上ならば硬化 遅くなることもない。上限については技術 にこれを定める理由はないが、5質量部を超 える場合には性能向上が見られず、費用対効 果の面で得策でない。

 (D)成分の第一級アミン構造、第二級アミ 構造、又は第三級アミン構造を含有した塩 性化合物は、還元剤と反応して有機過酸化 を高速分解することにより、接着剤を速や に硬化させる機能を発揮する材料である。 えば、ポリエチレンイミン、変性ポリエチ ンイミン(日本触媒社製)、N,N,-ジメチルアニ リン、変性ジヒドロピリジン、2-メチルイミ ゾール、2-ヒドロキシエチルパラトルイジ 、エタノールアミン、ジエタノールアミン ジエチルエタノールアミン、メチルジエタ ールアミン、ブチルジエタノールアミン、 エチルアミン、トリエチルアミン、n-ブチル アミン、2,2-ビピリジン、1,10-フェナントロリ ン、アンモニア、アルキリデンマロン酸エス テル、δ-イミノマロン酸エステル、エチルア ザン、フェニルアミン、ベンジルアミン、1- ンゾフラン-2-アミン、4-キノリルアミン、 ンタン-1,2,5-トリアミン、ベンゼン-1,2,4,5-テ ラアミン、ビス(2-クロロエチル)アミン、ブ チル(エチル)メチルアミン、(2-クロロエチル) (プロピル)アミン、ヘキサン-1-イミン、イソ ロピリデンアミン、エタン-1,2-ジイミン、 ルボジイミド、o-アセチルヒドロキシルアミ ン、o-カルボキシヒドロキシルアミン、ヒド キシルアミン-o-スルホン酸、o-ヒドロキシ ニリン、塩酸フェニルプロパノールアミン カテコールアミン、インドールアミン、ポ アクリルアミンなどが挙げられる。

 前記(D)成分は高速硬化性という観点から、1 分子中に好ましくは5~25mmol/g-solidのアミン価 持つポリエチレンイミンが好ましく選択さ る。
  ポリエチレンイミンの数平均分子量は、50 ~70000が好ましく、200~800がより好ましい。

 前記(D)成分は取り扱い性や性能を向上させ 目的で複数混合使用してもよいが、(A)成分1 00質量部に対し、0.5~10質量部が好ましく選択 れ、2~8質量部がさらに好ましい。0.5質量部 上で数10秒以内に硬化するので、硬化速度 充分であるし、10質量部以下ならば最終強度 が低下してしまうこともない。
 本発明では密着性を向上させるために、更 、(E)成分のエラストマーを使用することが ましい。エラストマーとは、常温でゴム状 性を有する高分子物質をいい、重合性ビニ モノマーに溶解又は分散できるものが好ま い。  
 このようなエラストマーとしては、アクリ ニトリル-ブタジエンゴム(NBRゴム)、線状ポ ウレタン、スチレン-ブタジエンゴム、クロ ロプレンゴム及びブタジエンゴム等の各種合 成ゴム;天然ゴム;スチレン-ポリブタジエン- チレン系合成ゴムといったスチレン系熱可 性エラストマー;ポリエチレン-EPDM(エチレン- プロピレン-共役ジエンの共重合体)合成ゴム いったオレフィン系熱可塑性エラストマー が挙げられる。これらのエラストマー成分 相溶性が良ければ、1種又は2種以上を使用 てもよい。
 これらの中では、重合可能なアクリル系液 組成物に対する溶解性と接着性が良好な点 、アクリロニトリル-ブタジエンゴムが好ま しい。
 (E)成分の使用量は、(A)成分と(E)成分の合計1 00質量部中、5~40質量部が好ましく、10~35質量 がさらに好ましい。

 本発明の組成物に関して、(B)成分、(C)成 、(D)成分の三者について、全てを一剤とす 方法、或いは一者を他の二者と別の剤とす 方法等で硬化開始を制御できる。

 本発明者は種々検討した結果、次の(1)の方 や(2)の方法が極めて作業性に優れ、いろい な用途に適用可能であるとの知見を得て、 発明に至ったものである。
(1)(A)成分と(B)成分とを含有するP剤と、(A)成 とC)成分と(D)成分とを含有するQ剤とを用い 方法、
(2)(A)成分と(B)成分とを含有するP剤と、(A)成 と(C)成分とを含有するR剤と、更に(D)成分を 有するS剤と、を組み合わせて用いる方法。

 (1)に示した方法は、一般に「ハネムーン接 」と呼ばれる方法であり、一方の被着体の 面(接合面)にP剤又はQ剤の一方を塗布し、他 の被着体の表面(接合面)にP剤又はQ剤の残さ た一方を塗布し、両塗布面を接触させ、硬 反応を生じさせて接着させる方法である。
 上記(1)の「P剤とQ剤とを用いる接着方法は 両者を接触させるとほとんど瞬時に硬化し 接着できるので、接着作業を生産性高く行 場合に好適な接着剤を提供する。

 (2)に示した方法は、上記P剤とR剤とS剤と 用いる接着方法である。この方法では、ま P剤とR剤とを用いて、一方の被着体の表面( 合面)に塗布面を形成するが、この中には(D) 成分が含まれないので、その硬化速度は瞬時 に硬化しない。次いで、その表面上又は他方 の被着体の表面(接合面)上にS剤として(D)成分 を存在させることで、両液剤が合わさった時 を基点として、硬化反応が急速に進行し、短 時間での硬化が達成される。即ち、初期固着 性を与えることができるので、従来必要であ った位置固定に必要な多数の治具を不要とす ることができる。

 上記(2)の接着方法を、鋼製表面を有する 着体同士、例えば鋼板同士の接合に適用す とき、接着作業におけるポットライフを生 ラインに適合させることができる。この場 、得られる接合体は、位置ズレを起こすこ なく接合されており、十分な接着強度を保 すると共に外観上も優れる特徴があり、特 鋼板製家具や事務用品に好適である。

 なお、本発明の硬化性組成物、接着剤、 いは前記P剤、Q剤、R剤、S剤には、有機過酸 化物の保存安定性を改善する目的で酸化防止 剤を少量添加することができる。例えば、酸 化防止剤として、ハイドロキノン、ピロガロ ール、モノメチルヒドロキノンなどのフェノ ール系の酸化防止剤;p-ベンゾキノン;クエン 等を配合しても良い。

 なかでも酸化防止剤としては、p-ベンゾキ ン、ハイドロキノン、クエン酸等が好まし 。酸化防止剤の含有量は、(A)成分100質量部 対し、0.001~1.0質量部が好ましく、0.005~0.2質 部がさらに好ましい。
 また、流動性などの改良を目的として、保 安定性を阻害しない程度の充填材、例えば 高純度の超微粉末シリカ、などを添加して 良い。
 更に、特性改良の目的で、シランカップリ グ剤や燐酸(メタ)アクリレートエタノール ミン塩などを添加しても良い。
 更に、高速固定プライマーとして使用する 合は、エタノール、イソプロピルアルコー などの安全な溶剤で希釈しても差し支えな 。

 本発明の硬化性組成物には、さらに、密着 付与剤を少量添加することができる。密着 与剤としてはγ-クロロプロピルトリメトキ シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニ トリクロルシラン、ビニルトリエトキシシ ン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シ ン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキ シラン、γ-アクリロキシプロピルトリメト シシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル) チルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシ ロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプト ロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロ ルトリエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)- γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-( アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメ キシシラン、γ-ユレイドプロピルトリエト シシラン、ヒドロキシエチルメタクリレー リン酸エステル、メタクリロキシオキシエ ルアシッドフォスフェート、メタクリロキ オキシエチルアシッドフォスフェートモノ チルアミンハーフソルト2-ヒドロキシエチ メタクリル酸フォスフェート等が挙げられ 。
 密着性付与剤の含有量は、(A)成分100質量部 対し、0.05~5.0質量部が好ましく、0.2~2.5質量 がさらに好ましい。

 実施例、比較例に基づいて、本発明をさら 詳細に説明するが、本発明はこれらに限定 て解釈されるものではない。
 尚、各種物性は、以下に示す方法により測 した。

 <接着強度>
 接着試験片:鉄(テストピース社製 SPCC)、
 接着試験片の表面処理:アセトン脱脂後、150 メッシュ金剛砂サンドブラスト、
 鉄/鉄引っ張りせん断強度:JIS K-6855に準拠し て測定した。

 <仮止め効果確認試験>
 接着試験片:鉄ブロック大(200g)(縦×横×厚さ: 25×45×20mm、以下、同様の表示である。)及び ブロック小(50g)(25×25×8mm)、
 接着試験片の表面処理:アセトン脱脂後、150 メッシュ金剛砂サンドブラスト。
 接合後、自重での位置ズレを観察すること より、仮止め効果を確認した。

 <固着時間>
 平滑な表面の鉄試験片(25.4mm×100mm:縦×横)の 端を23℃雰囲気下で、ラップ長25.4mmで接合 て、接合後100gの荷重で動かなくなるまでの 間を固着時間とした。

(実施例1)
〈P剤(A成分+B成分)の製造〉
 2-ヒドロキシエチルメタクリレート(共栄社 学社製、「ライトエステルHO」)25g、2-ヒド キシプロピルメタクリレート(共栄社化学社 、「ライトエステルHOP」)17g、フェノキシエ チルメタクリレート(共栄社化学社製、「ラ トエステルPO」)35g、アクリルオリゴマー(新 村化学社製、「BPE500」)9g、及びパラフィン ックス(日本精鑞社製)1gを撹拌混合しながら 70℃まで加熱し、パラフィンワックスを溶解 てから25℃に冷却した。次いで、NBRゴム(日 ゼオン社製、「DN612P」)13gを混合溶解し、CIT (クエン酸)1g、PBQ(p-ベンゾキノン)0.05g、クメ ハイドロパーオキサイド(日本油脂社製、「 ークミルH80」)5gを添加し、混合撹拌してP剤 を得た。

〈Q剤(A成分+C成分+D成分)の製造〉
 2-ヒドロキシエチルメタクリレート(共栄社 学社製、「ライトエステルHO」)25g、2-ヒド キシプロピルメタクリレート(共栄社化学社 、「ライトエステルHOP」)17g、フェノキシエ チルメタクリレート(共栄社化学社製、「ラ トエステルPO」)35g、アクリルオリゴマー(新 村化学社製、「BPE500」)9g、及びパラフィン ックス(日本精鑞社製)1gを撹拌混合しながら 70℃まで加熱し、パラフィンワックスを溶解 てから25℃に冷却した。次いで、NBRゴム(日 ゼオン社製、「DN612P」)13gを混合溶解し、CIT (クエン酸)1g、PSN(フェノチアジン)0.2g、JPA(2- ドロキシエチルメタクリル酸フォスフェー )2g、バナジルアセチルアセトネート(新興化 社製、「VoAA」)0.2g、ポリエチレンイミン0.5g (日本触媒社製、「エポミンSP-300」、数平均 子量300、アミン価21mmol/g-solid)を添加し、混 撹拌してQ剤を得た。

〈試験片の作製と評価結果〉
 常温接着試験
 23℃、相対湿度50%雰囲気で上記のP剤とQ剤が 入れてあるスタティックミキサー付き2連式 布ガン(電気化学工業社製)から、試験片の接 合予定部に約0.5g程度平らに塗布して、直ち 他方の試験片と接合し、固着時間を測定し 結果、20秒であった。

 低温接着試験
 -30℃の低温室に上記のP剤とQ剤が入れてあ ラインミキサー付き2連式塗布ガン(電気化学 工業社製)と鉄試験片を1昼夜放置して、試験 に塗布接合した結果、約1分で固着して、1 養生後に23℃に戻し、せん断強度を測定した 結果、20MPaであった。

(実施例2)
〈P剤の製造〉
 実施例1と同様の方法でP剤を得た。

〈R剤(A成分+D成分)の製造〉
 2-ヒドロキシエチルメタクリレート(共栄社 学社製、「ライトエステルHO」)25g、2-ヒド キシプロピルメタクリレート(共栄社化学社 、「ライトエステルHOP」)17g、フェノキシエ チルメタクリレート(共栄社化学社製、「ラ トエステルPO」)35g、アクリルオリゴマー(新 村化学社製、「BPE500」)9g、及びパラフィン ックス(日本精鑞社製)1gを投入して撹拌混合 しながら70℃まで加熱し、パラフィンワック を溶解してから25℃に冷却した。次いで、NB Rゴム(日本ゼオン社製、「DN612P」)13gを混合溶 解し、CIT(クエン酸)1g、PSN(フェノチアジン)0.2 g、JPA(2-ヒドロキシエチルメタクリル酸フォ フェート)2g、バナジルアセチルアセトネー (新興化学社製、「VoAA」)0.2gを添加し、混合 拌してR剤を得た。

〈S剤(D成分)の製造〉
 S剤としてポリエチレンイミンを用いた。塗 布に際しては、ポリエチレンイミンを10mlの リプロピレン製注射器に注入して、針先か 微量塗布した。

〈試験片の作製と評価結果〉
 23℃、相対湿度50%雰囲気で一方の試験片接 予定部に約0.001g程度のプライマーを両端近 に塗布した。次いで、上記のP剤とR剤が入れ てあるスタティックミキサー付き2連式塗布 ンから、他方の試験片上に平らに塗布して 双方の試験片を接合し、固着時間を測定し 結果、15秒であった。1日養生後の鉄/鉄せん 強度は18MPaであった。さらに18MPaの最大強度 を示す最短時間は30分であった。

(実施例3)
〈仮止め効果の確認試験〉
 23℃、相対湿度50%雰囲気で、試験用鉄ブロ ク大(200g)(25×45×20mm)に約0.001g程度の上記S剤 点塗布し、ついで上記のP剤とR剤が入れてあ るスタティックミキサー付き2連式塗布ガン ら、他方の試験用鉄ブロック小(50g)(25×25×8mm )に平らに塗布した。直立させた試験用鉄ブ ック大に垂直方向に試験用鉄ブロック小を 合したところ、10秒で自重による位置ズレお こさない仮止め効果が認められた。

(比較例1)
 実施例1の組成からポリエチレンイミンを除 いた硬化性組成物では、1分後に粘度上昇を したが、5分後でも液状であり、固体化は10 以降であった。

(比較例2)
 実施例2のP剤とR剤が入れてあるスタティッ ミキサー付き2連塗布ガン(電気化学工業製) ら、鉄試験片上に平らに塗布して、2枚を接 合した結果、固着時間は12分であった。

(比較例3)
 上記のP剤とR剤が入れてあるスタティック キサー付き2連式塗布ガンから、試験用鉄ブ ック小50g(25×25×8mm)に平らに塗布し、直立さ せた未処理の試験用鉄ブロック大に垂直方向 に試験用鉄ブロック小を接合したところ、5 後でも自重による位置ズレを起した。

(実施例4、5及び比較例4、5)
 表1に示す種類の原材料を表1に示す組成で 合して、実施例3の方法に従い、仮止め効果 確認試験を行った。それらの結果を表1に示 す。

〈仮止め効果の確認試験〉
 23℃、相対湿度50%雰囲気で、試験用鉄ブロ ク大(200g)(25×45×20mm)に約0.001g程度の上記S剤 点塗布し、ついで上記のP剤とR剤が入れてあ るスタティックミキサー付き2連式塗布ガン ら、他方の試験用鉄ブロック小(50g)(25×25×8mm )に平らに塗布した。直立させた試験用鉄ブ ック大に垂直方向に試験用鉄ブロック小を 合し、自重によるズレをおこさない時間を 定した。

 

 本発明の硬化性組成物、接着剤、及びそれ 用いた接着方法は、(1)従来のアクリル系接 剤の瞬間接着性に乏しいという欠点が改善 れ、良好な初期固着性を得えられる。(2)位 固定用の治具を必要とせず、本硬化にかか 時間を従来よりも短縮できるので接合製品 出荷するまでに要する完全硬化状態に至る 間を短縮でき、ライン効率を向上させる。 のため、例えば、鋼板製の家具や事務用品 製造等を始めとするさまざまな産業に於い 、生産性を向上させることができ、産業上 用である。
 
 なお、2007年3月2日に出願された日本特許出 2007-052221号の明細書、特許請求の範囲、及 要約書の全内容をここに引用し、本発明の 細書の開示として、取り入れるものである