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Title:
CURABLE COMPOSITION
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/133265
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a two-component or multi-component curable composition characterized by having good workability, particularly long working life without deteriorating good adhesion to general-purpose bases. Specifically disclosed is a curable composition obtained by mixing a base material (I) containing a polyether polymer (A) having a crosslinkable hydrolyzable silyl group with a curing agent (II) containing a silanol condensation catalyst (B) and a silane coupling agent (C). This curable composition is characterized in that the base material (I) contains an equivalent or excessive molar amount of water with respect to the hydrolyzable silyl group, and the hydrolysis rate of the silane coupling agent (C) in the curing agent (II) is lower than the hydrolysis rate of a primary amine compound having a trimethyoxysilyl group.

Inventors:
IKARI YOSHIHIRO (JP)
OKAMOTO TOSHIHIKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/057828
Publication Date:
November 06, 2008
Filing Date:
April 23, 2008
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Assignee:
KANEKA CORP (JP)
IKARI YOSHIHIRO (JP)
OKAMOTO TOSHIHIKO (JP)
International Classes:
C08L71/02; C08K5/54; C09J11/06; C09J171/00; C09J171/02; C09J183/06; C09K3/10
Domestic Patent References:
WO2006075482A12006-07-20
Foreign References:
JPH07316538A1995-12-05
JP2003342547A2003-12-03
Attorney, Agent or Firm:
KANEKA CORPORATION (Kita-ku Osaka-sh, Osaka 88, JP)
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Claims:
(I)架橋可能な加水分解性シリル基を有するポリエーテル系重合体(A)を含む主剤と、
(II)シラノール縮合触媒(B)およびシランカップリング剤(C)を含む硬化剤、を混合してなる硬化性組成物であって、主剤(I)中に前記加水分解性シリル基と等モル以上の水を含み、且つ、硬化剤(II)中のシランカップリング剤(C)の加水分解速度がN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランの加水分解速度よりも小さいことを特徴とする硬化性組成物。
(I)架橋可能な加水分解性シリル基を有するポリエーテル系重合体(A)を含む主剤、
(II)シラノール縮合触媒(B)およびシランカップリング剤(C)を含むことを特徴とする硬化剤、の少なくとも2液からなる2液型もしくは多液型の硬化性組成物であって、主剤(I)中の含水分量が、主剤(I)中に含まれる架橋可能な加水分解性シリル基を構成するケイ素原子と同一モル数かそれ以上であり、かつ、硬化剤(II)中のシランカップリング剤(C)が、トリメトキシシリル基を有する1級アミン化合物以外のシランカップリング剤であることを特徴とする硬化性組成物。
シランカップリング剤(C)の数平均分子量が500以下であることを特徴とする請求項1~2のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
主剤(I)中に含まれるポリエーテル系重合体(A)の主鎖骨格がポリプロピレンオキシドからなることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
硬化剤(II)中に含まれるシランカップリング剤(C)が、2級アミノ基、3級アミノ基、エポキシ基、ケチミノ基、アクリロイル基、ハロゲン化アルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1つの官能基と、加水分解性シリル基を有する化合物であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
硬化剤(II)中に含まれるシランカップリング剤(C)が、トリエトキシシリル基を有する1級アミン化合物および/またはメチルジメトキシシリル基を有する1級アミン化合物であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
硬化剤(II)中に含まれるシランカップリング剤(C)が、加水分解性シリル基を有するケチミン化合物であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
主剤(I)中に含まれるポリエーテル系重合体(A)100重量部に対して、硬化剤(II)中に含まれるシランカップリング剤(C)の量が0.1~20重量部であることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
主剤(I)中に含まれるポリエーテル系重合体(A)100重量部に対して、硬化剤(II)中に含まれる加水分解性シリル基を有するケチミン化合物の量が0.1~20重量部であることを特徴とする請求項5または7に記載の硬化性組成物。
請求項1~9のいずれか1項に記載の硬化性組成物からなる接着剤。
請求項1~9のいずれか1項に記載の硬化性組成物からなるシーリング材。
Description:
硬化性組成物

 本発明は2液型もしくは多液型の硬化性組 成物に関する。

 大気中の湿気と反応してゴム状に硬化す 硬化性組成物は、機械部材、建材等の分野 おいて、シーリング材、弾性接着剤として く用いられている。例えば、架橋可能な加 分解性シリル基(以下、「反応性ケイ素基」 ともいう。)を末端部分に少なくとも1個有し 主鎖が本質的にプロピレンオキシドの重合 を含む室温硬化性組成物が開示されている( 特許文献1)。

 この反応性ケイ素基を有するポリエーテ 系重合体は、硬化触媒であるシラノール縮 触媒や、充填材、可塑剤などが添加された 化性組成物として、一般に使用される。

 硬化性組成物は、1液型硬化性組成物と2 型硬化性組成物に分類され、1液型硬化性組 物は上記のような添加物を全て配合した1成 分の組成物であり、使用時に混合する必要が 無いため簡便であるが、使用前に硬化しない ように完全に脱水した状態で保存する必要が あること、施工後空気中の湿気により表面か ら硬化するため、一般に深部硬化性が悪いな どの課題がある。

 一方、2液型硬化性組成物は、反応性ケイ 素基を有するポリエーテル系重合体を主成分 として含む主剤と、硬化触媒であるシラノー ル縮合触媒を含む硬化剤からなり、各々別々 の容器で保管される。このため、配合剤中に 水分が含有されていてもゲル化の可能性は低 く、水を含んでいても長期間の貯蔵安定性を 確保することができる。

 2液型室温硬化性組成物をシーリング材や 弾性接着剤として使用する場合、実用特性と して、接着性、深部硬化性、作業性に適した 可使時間などが求められる。

 なお、深部硬化性は、たとえば硬化性組 物を工業用接着剤用途に使用する際に問題 なる。つまり、深部硬化性に劣る硬化性組 物を接着剤として用いた場合、接着剤内部 固っていない状態で搬送などを行なうと、 着体がずれた状態で接着されたり、接着不 を引き起こす原因となる。このため、長時 被着体を固定する必要があるという問題で る。これは、すなわち作業効率の低下、被 体保持に必要なスペースの確保などに繋が 実用上回避しなければならない課題である

 また、可使時間とは、2液型、もしくは多 液型硬化性組成物の主剤と硬化剤、その他の 成分を混合してからの使用可能時間を示す。 可使時間が短いと、主剤と硬化剤の混合の直 後から組成物の粘度が著しく上昇し、ひいて は組成物表面が皮張り状態となることで混合 不良を引き起こしたり、施工後の仕上げ処理 が不可能になるなどにより、実用に供し得な いものになることをいう。

 接着性を改善する技術として最も一般的 ものは、硬化性組成物中にシランカップリ グ剤を添加するものであり(例えば特許文献 2、特許文献3)、接着性改善効果が顕著である ことから、従来よりN-(2-アミノエチル)-3-アミ ノプロピルトリメトキシシランや3―アミノ ロピルトリメトキシシランなどの1級アミノ とトリメトキシシリル基を有するシランカ プリング剤が多用されてきた。

 また、特定のシラノール縮合触媒と、シラ カップリング剤と、特定の可塑剤を含む2液 型硬化剤組成物から得られる硬化物が非常に 良好な接着性を有することが開示されている (特許文献4)
 さらに、シランカップリング剤の1種である 加水分解性シリル基を有するケチミン化合物 に着目した検討も盛んに行われている。(特 文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8)
 深部硬化性を改善する技術としては、例え 、特許文献9などが挙げられる。特許文献9 、反応性ケイ素基を有する有機重合体、エ キシ基を有する化合物、および水を含む主 と、硬化触媒とアミン化合物を含む硬化剤 らなるもので、取扱性、深部硬化性、貯蔵 定性に優れた硬化性組成物を提供するもの ある。

 しかしながら、実用上の重要特性にもか わらず、作業性に適した可使時間を有する2 液型硬化性組成物に関する技術の開示は殆ど ない。また、たとえば、特許文献4や特許文 9の実施例で具体的に開示されている1級アミ ノ基とトリメトキシシリル基を有するシラン カップリング剤を添加した硬化剤を使用して なる2液型もしくは多液型の硬化性組成物は 十分な接着性または深部硬化性を確保でき ものの、作業性に適した可使時間の確保の では未だ改善の余地が残るものであった。

 このように、良好な深部硬化性、良好な接 性および作業性に適した可使時間のすべて 満たす2液型もしくは多液型の硬化性組成物 は得られていないのが現状であり、その開発 が求められている。

特公昭61-18582号公報

特公昭62-35421号公報

特開昭62-209164号公報

WO00/56817号公報

特開平7-102167号公報

特開2003-342547号公報

特開平7-316538号公報

特開2004-124092号公報

WO2006/075482号公報

 本発明は、良好な深部硬化性を有し、多 な材質からなる被着体に対して良好な接着 と、作業性に適した可使時間を両立しうる2 液型もしくは多液型の硬化性組成物を提供す ることを目的とする。

 本発明者らは、上記課題を解決するために 2液型もしくは多液型硬化性組成物の混合後 の可使時間および深部硬化性に影響を及ぼす 因子について鋭意検討した結果、
・深部硬化性に及ぼす因子として、主剤中の 含水量が重要なこと、更に、主剤中に含まれ る含水量が反応性ケイ素基を構成するケイ素 原子と等モル以上である場合、硬化性組成物 は深部硬化性が顕著に改善されること。
・硬化剤(II)中に含まれるシランカップリン 剤が、加水分解性シリル基を有するポリエ テル系重合体の硬化反応に影響を及ぼし、 の影響はシランカップリング剤の活性度の 標である加水分解速度と密接に関係するこ 。
・接着性改善効果が顕著なため従来から多用 されてきたシランカップリング剤であるトリ メトキシシリル基を有する1級アミン化合物 対して加水分解速度の遅いシランカップリ グ剤、とりわけ加水分解性シリル基を有す ケチミン化合物を選定することにより、優 た接着性を維持しながら良好な可使時間を 持しうる硬化性組成物が得られること。
などを見出し、本発明を完成させた。

 すなわち本発明は、
(i).(I)架橋可能な加水分解性シリル基を有す ポリエーテル系重合体(A)を含む主剤と、
(II)シラノール縮合触媒(B)およびシランカッ リング剤(C)を含む硬化剤、を混合してなる 化性組成物であって、主剤(I)中に前記加水 解性シリル基と等モル以上の水を含み、且 、硬化剤(II)中のシランカップリング剤(C)の 水分解速度がN-(2-アミノエチル)-3-アミノプ ピルトリメトキシシランの加水分解速度よ も小さいことを特徴とする硬化性組成物、
(ii).(I)架橋可能な加水分解性シリル基を有す ポリエーテル系重合体(A)を含む主剤、(II)シ ラノール縮合触媒(B)およびシランカップリン グ剤(C)を含むことを特徴とする硬化剤、の少 なくとも2液からなる2液型もしくは多液型の 化性組成物であって、主剤(I)中の含水分量 、主剤(I)中に含まれる架橋可能な加水分解 シリル基を構成するケイ素原子と同一モル かそれ以上であり、かつ、硬化剤(II)中のシ ランカップリング剤(C)が、トリメトキシシリ ル基を有する1級アミン化合物以外のシラン ップリング剤であることを特徴とする硬化 組成物、
(iii).シランカップリング剤(C)の数平均分子量 が500以下であることを特徴とする(i)~(ii)のい れか1項に記載の硬化性組成物、
(iv).主剤(I)中に含まれるポリエーテル系重合 (A)の主鎖骨格がポリプロピレンオキシドか なることを特徴とする(i)~(iii)のいずれか1項 に記載の硬化性組成物、
(v).硬化剤(II)中に含まれるシランカップリン 剤(C)が、2級アミノ基、3級アミノ基、エポ シ基、ケチミノ基、アクリロイル基、ハロ ン化アルキル基からなる群から選ばれる少 くとも1つの官能基と、加水分解性シリル基 有する化合物であることを特徴とする(i)~(iv )のいずれか1項に記載の硬化性組成物、
(vi).硬化剤(II)中に含まれるシランカップリン グ剤(C)が、トリエトキシシリル基を有する1 アミン化合物および/またはメチルジメトキ シリル基を有する1級アミン化合物であるこ とを特徴とする(i)~(iv)のいずれか1項に記載の 硬化性組成物、
(vii).硬化剤(II)中に含まれるシランカップリ グ剤(C)が、加水分解性シリル基を有するケ ミン化合物であることを特徴とする(i)~(v)の ずれか1項に記載の硬化性組成物、
(viii).主剤(I)中に含まれるポリエーテル系重 体(A)100重量部に対して、硬化剤(II)中に含ま るシランカップリング剤(C)の量が0.1~20重量 であることを特徴とする(i)~(vii)のいずれか1 項に記載の硬化性組成物、
(ix).主剤(I)中に含まれるポリエーテル系重合 (A)100重量部に対して、硬化剤(II)中に含まれ る加水分解性シリル基を有するケチミン化合 物の量が0.1~20重量部であることを特徴とする (v)または(vii)に記載の硬化性組成物、
(x).(i)~(ix)のいずれか1項に記載の硬化性組成 からなる接着剤、
(xi).(i)~(ix)のいずれか1項に記載の硬化性組成 からなるシーリング材、
に関する。

 本発明の2液型もしくは多液型の硬化性組 成物は、上記の構成よりなるので、汎用基材 に対して良好な接着性を有するとともに、作 業性に適した可使時間をとることができる。

シランカップリング剤の加水分解速度 示す図である。 主剤と硬化剤を混合した後の経過時間 針入度の変化を示す図である。

 本発明の硬化性組成物は、反応性ケイ素 を有するポリエーテル系重合体(A)を含む主 (I)と、シラノール縮合触媒(B)およびシラン ップリング剤(C)を含む硬化剤(II)とを必須成 分として含み、更には、必要に応じてカラー トナーなど、その他の成分を、使用直前に混 合して用いる2液型もしくは多液型の硬化性 成物である。

 主剤(I)中には、主成分である反応性ケイ 基を有するポリエーテル系重合体(A)に由来 る架橋可能な加水分解性シリル基の総モル と同等以上の水が含まれることが必要であ 。

 主剤(I)中の含水量を前記の範囲にするこ により、硬化性組成物の深部硬化性を顕著 高めることができる。なお、前記含水量は 加水分解性シリル基の総モル数と同等以上 あれば、特に制限はないが、含水量が多い ど、より良好な深部硬化性を示す傾向があ ため、主剤(I)中に含まれる加水分解性シリ 基の総モル数の2倍以上であることが好まし く、3倍以上であることがより好ましく、5倍 上であることが特に好ましい。なお、前記 水量が、加水分解性シリル基の総モル数よ も少ない場合には、深部硬化性が顕著に低 する傾向がある。

 ここで、主剤(I)中の含水量の測定方法と ては、従来から知られる測定方法が挙げら るが、本発明において含水量とは、カール ィッシャー試薬を用いた水分定量方法で得 れる測定値と定義する。

 カールフィッシャー試薬を用いた水分定量 法とは、例えば、以下の方法によって測定 きる。カールフィッシャー水分計(京都電子 工業製:MK-AII)の滴定フラスコに、クロロホル とメタノールとの混合脱水溶媒(三菱化学製 :脱水溶剤CM)約50mlを入れ、カールフィッシャ 試薬(三菱化学製:カールフィッシャー試薬SS )を滴下して終点とし、滴定フラスコ中の水 をゼロにする。次に、主剤(I)を約0.5g加えて 記の脱水溶媒に溶解させ、よくかき混ぜな ら、予め力価(0.5~4.0mgH 2 O/ml)測定済みの上記のカールフィッシャー試 で滴定する。滴定値:B(ml)、試薬の力価:F(mgH 2 O/ml)、主剤(I)の採取量:A(mg)から、主剤(I)中の 水量:W(ppm)は下記式により算出される。
W(ppm)=B×FíA×10 6
 主剤(I)中の含水量の調整方法としては、増 したい場合には、適切な量の水を主剤(I)に 加することによって容易に達成できる。ま 、減量したい場合には、水分を含む配合成 を予め脱水乾燥してから使用するか、また 合混練中に減圧などにより脱水するのが好 しい。

 配合成分の脱水、乾燥方法としては粉状 どの固状物の場合は加熱乾燥法または減圧 水法、液状物の場合は減圧脱水法または合 ゼオライト、活性アルミナ、シリカゲル、 石灰、酸化マグネシウムなどを使用した脱 法が好適である。かかる脱水乾燥法に加え 、n-プロピルトリメトキシシラン、ビニル リメトキシシラン、ビニルメチルジメトキ シラン、メチルシリケート、エチルシリケ ト、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキ シラン、γ-メルカプトプロピルメチルジエ キシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリ トキシシランなどのアルコキシシラン化合 を添加し、水と反応させて脱水してもよい また、3-エチル-2-メチル-2-(3-メチルブチル)-1 ,3-オキサゾリジンなどのオキサゾリジン化合 物を配合して水と反応させて脱水してもよい 。また、イソシアネート化合物を少量配合し てイソシアネート基と水とを反応させて脱水 してもよい。

 ポリエーテル系重合体(A)は、重合体1分子 中に反応性ケイ素基を少なくとも1個以上有 ることが好ましい。1分子中に含まれる反応 ケイ素基の数が1個以上存在すると、硬化性 組成物の硬化性が良好で、得られる硬化物は 優れた機械物性を有するものとなる。なお、 重合体1分子中に存在する反応性ケイ素基の は1.1~5個が好ましい。

 ポリエーテル系重合体(A)の主鎖骨格は、下 一般式(1)で表される繰り返し単位を有する のである。
-R 1 -O-      (1)
(式中、R 1 は2価の有機基を表す。)
 一般式(1)中に記載のR 1 は2価の有機基であれば特に限定されないが 炭素数1~14の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基 好ましく、炭素数2~4の直鎖又は分岐鎖のア キレン基がより好ましい。

 一般式(1)記載の繰り返し単位としては特に 定されないが、例えば、-CH 2 O-、-CH 2 CH 2 O-、-CH 2 CH(CH 3 )O-、-CH 2 CH(C 2 H 5 )O-、-CH 2 C(CH 3 ) 2 O-、-CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 O-などが挙げられる。

 ポリエーテル系重合体(A)の主鎖骨格は、 般式(1)記載の繰り返し単位のうち1種類から なってもよいし、2種類以上の繰り返し単位 らなってもよい。シーリング材用途などに 用される場合には、特にプロピレンオキシ を主成分とする重合体が好ましい。

 上記ポリエーテル系重合体の主鎖骨格中 は、ポリエーテル系重合体の特徴を大きく なわない範囲でウレタン結合などの他の結 成分を有してもよい。このような結合成分 しては他に、エステル結合、ウレア結合、 ーバメート結合、スルフィド結合、ジスル ィド結合などが挙げられる。

 ポリエーテル系重合体(A)中の反応性ケイ素 としては、下記一般式(2)で表されるものが げられる。
-[Si(R 2 ) 2-a (X) a O] p -Si(R 3 ) 3-b (X) b    (2)
(式中、R 2 、R 3 は、それぞれ独立に炭素数1~20のアルキル基 炭素数6~20のアリール基、炭素数7~20のアラル キル基、および(R 4 ) 3 SiO-(R 4 はそれぞれ独立に炭素数1~20の1価の炭化水素 である。)で表されるトリオルガノシロキシ 基からなる群より選択される少なくとも1つ ある。R 2 又はR 3 がそれぞれ2個以上存在するとき、それらは 一であってもよく、異なっていてもよい。X 水酸基又は加水分解性基を示す。Xが2個以 存在するとき、それらは同一であってもよ 、異なっていてもよい。aは0~2の整数を表す bは0~3の整数を表す。pは0~19の整数を示す。p が2以上である場合、p個の-[Si(R 2 ) 2-a (X) a O] p -基におけるaは、同一の値であってもよく、 なっていてもよい。なお、上記一般式(2)記 の反応性ケイ素基において、Xで表される加 水分解性基又は水酸基は少なくとも1個存在 るものとする。)
 上記炭素数1~20のアルキル基としては、特に 限定されず、例えば、メチル基、エチル基、 プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t- チル基、シクロヘキシル基などが挙げられ 。

 上記炭素数6~20のアリール基としては、特 に限定されず、例えば、フェニル基、ナフチ ル基、アントリル基、ピレニル基などが挙げ られる。

 上記炭素数7~20のアラルキル基としては、 特に限定されず、例えば、ベンジル基、フェ ネチル基などが挙げられる。

 上記炭素数1~20の1価の炭化水素基として 、特に限定されず、例えば、メチル基、エ ル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチ 基、t-ブチル基、ペンチル基、エチニル基、 1-プロペニル基、ビニル基、アリル基、1-メ ルブチル基、2-エチルブチル基、シクロヘキ シル基、フェニル基などが挙げられる。

 一般式(2)中Xで表される加水分解性基とし ては、特に限定されず、従来公知のものを用 いることができる。例えば、水素原子、ハロ ゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基 、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミ ノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ 基、メルカプト基、アルケニルオキシ基、イ ソシアニド基、イソシアネ-ト基、イソチオ アネート基などが挙げられる。これらのな でも水素原子、アルコキシ基、アシルオキ 基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド 、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケ ルオキシ基が好ましく、加水分解性が穏や で取り扱いやすいという点から、アルコキ 基が特に好ましい。

 一般式(2)中Xで表される水酸基や加水分解 性基は、1個のケイ素原子に1~3個の範囲で結 することができる。また、上記一般式(2)記 の反応性ケイ素基中の水酸基や加水分解性 の総和は、1~5個の範囲が好ましい。上記反 性ケイ素基を形成するケイ素原子は1個でも く、2個以上であってもよいが、シロキサン 結合などにより連結されたケイ素原子の場合 は20個までであってもよい。

 一般式(2)記載の反応性ケイ素基のなかでも 下記一般式(3)
-Si(R 3 ) 3-b (X) b    (3)
(式中、R 3 、X、bは一般式(2)中の表記と同じ。)で表され る反応性ケイ素基が、入手が容易であること から好ましい。

 ポリエーテル系重合体(A)中への反応性ケイ 基の導入方法としては特に限定されず、従 公知の方法を用いることができる。例えば 以下の方法が挙げられる。
(イ)分子中に水酸基などの官能基を有するポ エーテル系重合体に、この官能基に対して 応性を示す活性基及び不飽和基を有する有 化合物を反応させ、不飽和基を有するポリ ーテル系重合体を得るか、又は、不飽和基 有するエポキシ化合物との共重合により不 和基を有するポリエーテル系重合体を得、 いで、得られた不飽和基を有するポリエー ル系重合体に反応性ケイ素基を有するヒド シランを作用させてヒドロシリル化する方 。
(ロ)(イ)法と同様にして得られた不飽和基を むポリエーテル系重合体にメルカプト基及 反応性ケイ素基を有する化合物を反応させ 方法。
(ハ)分子中に水酸基、エポキシ基やイソシア ート基などの官能基を有するポリエーテル 重合体に、この官能基に対して反応性を示 官能基及び反応性ケイ素基を有する化合物 反応させる方法。

 以上の方法のなかで、(イ)の方法、又は (ハ)のうち末端に水酸基を有する重合体とイ ソシアネート基及び反応性ケイ素基を有する 化合物を反応させる方法が好ましい。

 ポリエーテル系重合体(A)は直鎖状であっ も、分岐を有してもよく、その分子量は500~ 50,000程度が好ましい。より好ましくは、1,000~ 30,000である。

 ポリエーテル系重合体(A)の具体例として 特に限定されず、例えば、特公昭45-36319号 報、特公昭46-12154号公報、特開昭50-156599号公 報、特開昭54-6096号公報、特開昭55-13767号公報 、特開昭55-13468号公報、特開昭57-164123号公報 特公平3-2450号公報、米国特許第3632557、米国 特許第4345053、米国特許第4366307、米国特許第4 960844などの各公報に開示されているもの、ま た、特開昭61-197631号公報、特開昭61-215622号公 報、特開昭61-215623号公報、特開昭61-218632号公 報などの各公報に開示されている数平均分子 量6000以上、Mw/Mnが1.6以下であるような高分子 量で且つ分子量分布が狭いポリエーテル系重 合体などを挙げることができる。

 上記反応性ケイ素基を含有するポリエー ル系重合体は、単独で使用してもよいし2種 以上併用してもよい。また、反応性ケイ素基 を有するビニル系重合体を併用してなるポリ エーテル系重合体も用いることができる。

 上記反応性ケイ素基を含有するビニル系 合体をブレンドしてなるポリエーテル系重 体の製造方法としては特に限定されず、例 ば、特開昭59-122541号公報、特開昭63-112642号 報、特開平6-172631号公報などに開示されて るものなどを挙げることができる。

 また、上記反応性ケイ素基を有するオキ アルキレン系重合体の存在下で(メタ)アク ル酸エステル系単量体の重合を行なう方法 用いることもできる。この製造方法は、特 昭59-78223号公報、特開昭59-168014号公報、特開 昭60-228516号公報、特開昭60-228517号公報などの 各公報に具体的に開示されているが、これら に限定されるものではない。

 さらに、ポリエーテル系重合体(A)を含む 化性組成物の耐候性や耐熱性を改善する目 で、(メタ)アクリル酸エステル系重合体を 合することができる。

 (メタ)アクリル酸エステル系重合体とは 繰り返し単位として(メタ)アクリル酸エステ ル系化合物からなる重合体である。なお、前 記の記載方法((メタ)アクリル酸エステル)は アクリル酸エステルおよび/または、メタク ル酸エステルを示すものであり、以後の記 方法においても同様の意味を示す。

 繰り返し単位として使用される(メタ)ア リル酸エステル系化合物としては、特に限 されず、たとえば、(メタ)アクリル酸、(メ )アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチ 、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アク ル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチ 、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アク リル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチ ル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アク リル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸n- プチル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ )アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリ 酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ) アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェ ル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アク リル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2-メトキ エチル、(メタ)アクリル酸3-メトキシブチル (メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メ )アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)ア クリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリ ジル、γ-(メタクリロイルオキシプロピル) リメトキシシラン、γ-(メタクリロイルオキ プロピル)ジメトキシメチルシラン、(メタ) クリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メ タ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、( タ)アクリル酸2-トリフルオロメチルエチル (メタ)アクリル酸2-パーフルオロエチルエチ ル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロエチル-2 -パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル 酸パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸ト フルオロメチル、(メタ)アクリル酸ビス(ト フルオロメチル)メチル、(メタ)アクリル酸2 -トリフルオロメチル-2-パーフルオロエチル チル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロヘキ ルエチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロ デシルエチル、(メタ)アクリル酸2-パーフル ロヘキサデシルエチルなどの(メタ)アクリル 酸化合物が挙げられる。

 (メタ)アクリル酸エステル系重合体には (メタ)アクリル酸エステル化合物と、これと 共重合可能なビニル化合物の共重合体を含む 。

 (メタ)アクリル酸エステル化合物と共重 可能なビニル化合物としては、特に限定さ ず、たとえば、スチレン、ビニルトルエン α-メチルスチレン、クロルスチレン、スチ ンスルホン酸及びその塩などのスチレン系 合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルト エトキシシランなどのケイ素を有するビニ 系化合物;無水マレイン酸、マレイン酸、マ レイン酸のモノアルキルエステル類及びジア ルキルエステル類;フマル酸、フマル酸のモ アルキルエステル類及びジアルキルエステ 類;マレイミド、メチルマレイミド、エチル レイミド、プロピルマレイミド、ブチルマ イミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマ イミド、ドデシルマレイミド、ステアリル レイミド、フェニルマレイミド、シクロヘ シルマレイミドなどのマレイミド系化合物; アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど のニトリル基を有するビニル系化合物;アク ルアミド、メタクリルアミドなどのアミド を有するビニル系化合物;酢酸ビニル、プロ オン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香 ビニル、桂皮酸ビニルなどのビニルエステ 類;エチレン、プロピレンなどのアルケン類 ;ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン ;塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル アリルアルコールなどが挙げられ、これら 、複数を共重合成分として使用することも 能である。

 前記化合物から得られる(メタ)アクリル エステル系の重合体のなかでも、スチレン 化合物と(メタ)アクリル酸系化合物からなる 共重合体を主鎖骨格に持つ重合体が、得られ る硬化物が物性に優れることから好ましく、 アクリル酸エステル系化合物とメタクリル酸 エステル系化合物からなる共重合体を主鎖骨 格に持つ重合体がより好ましく、アクリル酸 エステル系化合物からなる重合体を主鎖骨格 に持つ重合体が特に好ましい。

 一般建築用途などに使用される場合、硬 性組成物としては低粘度であること、得ら る硬化物としては低モジュラス、高伸び、 候、耐熱性であることなどが要求される。 これらの要求を満たすものとして重合体の 鎖骨格がアクリル酸ブチル系化合物からな ものがより好ましい。

 一方、自動車用途などに使用される場合 得られる硬化物としては耐油性に優れるこ などが要求される。

 得られる硬化物が耐油性に優れる硬化性 成物としては、重合体の主鎖骨格がアクリ 酸エチルを主とした共重合体からなるもの より好ましい。

 このアクリル酸エチルを主とした共重合 を主鎖骨格とする重合体を含む硬化性組成 は、得られる硬化物が耐油性に優れるが低 特性(耐寒性)にやや劣る傾向があり、低温 性を向上させる目的で、アクリル酸エチル 一部をアクリル酸ブチルに置き換えること 行われる。ただし、アクリル酸ブチルの比 を増やすに伴いその良好な耐油性が損なわ る傾向があるため、耐油性を要求される用 に使用する際は、その比率は40%以下にする が好ましく、更には30%以下にするのがより ましい。

 また、耐油性を損なわずに低温特性など 改善するために側鎖のアルキル基に酸素が 入されたアクリル酸2-メトキシエチルやア リル酸2-エトキシエチルなどを共重合体成分 に用いるのも好ましい。

 ただし、側鎖にエーテル結合を持つアル キシ基の導入により、得られる硬化物は耐 性が劣る傾向にあるため、耐熱性が要求さ る用途に使用する際は、その比率を40%以下 するのが好ましい。

 以上のように、アクリル酸エチルを主と た共重合体を主鎖骨格とする重合体は、各 用途や要求される目的に応じて、得られる 化物の必要とされる耐油性や耐熱性、低温 性などの物性を考慮し、共重合体成分の種 や比率を変化させ、適した重合体を得るこ が可能である。例えば、特に限定されない 、耐油性や耐熱性、低温特性などの物性バ ンスに優れている例としては、アクリル酸 チル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2-メトキ シエチル(重量比で40~50/20~30/30~20)の共重合体 挙げられる。

 本発明においては、これらの好ましい化 物を他の化合物と共重合、更にはブロック 重合させることが可能であり、その際は、 れらの好ましい化合物が重量比で40%以上含 れていることが好ましい。

 (メタ)アクリル酸エステル系重合体の製 方法としては、特に限定されず、公知の方 が挙げられる。このなかでも、高い割合で 子鎖末端に架橋性官能基を導入しやすいこ 、分子量分布が狭く、低粘度の重合体が得 れることなどから、リビングラジカル重合 を用いることが好ましい。なお、重合開始 としてアゾ系化合物、過酸化物などを用い 通常のフリーラジカル重合法で得られる重 体は、分子量分布の値が一般に2以上と大き 、粘度が高くなる傾向がある。

 前記「リビングラジカル重合法」を用い (メタ)アクリル酸エステル系重合体の製造 法の中でも、開始剤として有機ハロゲン化 あるいはハロゲン化スルホニル化合物など 使用し、触媒として遷移金属錯体を使用し 「原子移動ラジカル重合法」は、分子量分 が狭く、低粘度の重合体が得られるという リビングラジカル重合法」の特徴に加え、 始剤や触媒の選定の自由度が大きいこと、 能基変換反応に比較的有利なハロゲンなど 末端に有することなどから、特定の官能基 有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体の 製造方法としてより好ましい。

 原子移動ラジカル重合法としては、たと ば、Matyjaszewskiら、ジャーナル・オブ・アメ リカン・ケミカルソサエティー(J.Am.Chem.Soc.)19 95年、117巻、5614頁などが挙げられる。

 反応性ケイ素基を有する(メタ)アクリル エステル系重合体の製造方法としては、特 限定されず、たとえば、特公平3-14068号、特 平4-55444号、特開平6-211922号などに開示され いる連鎖移動剤を用いたフリーラジカル重 法、特開平9-272714号などに開示されている 子移動ラジカル重合法などが挙げられる。

 上記の反応性ケイ素基を有する(メタ)ア リル酸エステル系重合体は、単独で使用し もよいし2種以上併用してもよい。

 さらに、本発明の硬化性組成物は飽和炭 水素系重合体を配合することもできる。飽 炭化水素系重合体とは、分子中に芳香環以 の炭素-炭素不飽和結合を実質的に有しない 重合体をいい、耐熱性、耐候性、耐久性、及 び、湿気遮断性に優れる特徴を有する。

 飽和炭化水素系重合体としては、特に限 されず、(i)繰り返し単位としてエチレン、 ロピレン、1-ブテン、イソブチレンなどの 素原子数2から6のオレフィン系化合物からな る重合体、(ii)繰り返し単位としてブタジエ 、イソプレンなどのジエン系化合物からな 重合体、(iii)前記ジエン系化合物と前記オレ フィン系化合物を共重合させた後、水素添加 するなどの方法により得られる重合体などが 挙げられる。このなかでも、イソブチレン系 重合体や水添ポリブタジエン系重合体は、末 端に官能基を導入しやすこと、分子量を制御 しやすいこと、末端官能基の数を調整できる ことなどから好ましく、イソブチレン系重合 体がより好ましい。

 イソブチレン系重合体は、繰り返し単位 すべてがイソブチレンから形成されていて よく、他の化合物との共重合体でもよい。 鎖骨格としてイソブチレン系の共重合体を 用する際は、得られる硬化物のゴム特性が れることからイソブチレンに由来する繰り し単位を1分子中に50重量%以上有するものが 好ましく、80重量%以上有するものがより好ま しく、90~99重量%有する重合体が特に好ましい 。

 飽和炭化水素系重合体の製造方法として 、特に限定されず、従来から公知の各種重 方法が挙げられる。このなかでも、近年開 が顕著であるリビング重合法が好ましく、 とえば、リビング重合法を用いたイソブチ ン系重合体の製造方法としては、Kennedyらに よって見出されたイニファー重合(J.P.Kennedyら 、J.Polymer Sci.,Polymer Chem. Ed. 1997年、15巻、28 43頁)が挙げられる。この重合方法は、分子末 端に各種官能基の導入が可能であり、得られ たイソブチレン系重合体は分子量分布1.5以下 で分子量500~100,000程度であることが知られて る。

 反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系 合体の製造方法としては、特に限定されず 知の方法が挙げられ、たとえば、特公平4-69 659号、特公平7-108928号、特開昭63-254149号、特 昭64-22904号、特開平1-197509号、特許2539445号 特許2873395号、特開平7-53882号などに開示され ている方法が挙げられる。

 前記の反応性ケイ素基を有する飽和炭化 素系重合体は、硬化性組成物に配合する際 1種類のみを配合してもよく、複数種を組み 合わせて配合してもよい。

 本発明の硬化性組成物は、硬化剤(II)中に シラノール縮合触媒(B)を必須成分として含む 。

 ここで、シラノール縮合触媒(B)は、反応 ケイ素基を有するポリエーテル系重合体(A) 硬化反応を促進する働きを担う。シラノー 縮合触媒(B)としては、特に限定されず、従 から公知の縮合触媒を用いることができる より具体的には、例えば、テトラブチルチ ネート、テトラプロピルチタネートなどの タン酸エステル類;ジブチル錫ジラウレート 、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫ジアセ テート、ジブチル錫オキサイドとフタル酸エ ステルとの反応物、ジブチル錫ジアセチルア セトナートなどの有機錫化合物類;オクチル 錫、ナフテン酸錫、バーサチック酸錫など 錫カルボン酸塩類;2-エチルヘキサン酸、オ チル酸、バーサチック酸などの脂肪族カル ン酸類;アルミニウムトリスアセチルアセト ート、アルミニウムトリスエチルアセトア テート、ジイソプロポキシアルミニウムエ ルアセトアセテートなどの有機アルミニウ 化合物類;ビスマス-トリス(2-エチルヘキソ ート)、ビスマス-トリス(ネオデカノエート) どのビスマス塩と有機カルボン酸との反応 など;ジルコニウムテトラアセチルアセトナ ート、チタンテトラアセチルアセトナートな どのキレート化合物類;オクチル酸鉛などの 機鉛化合物;有機バナジウム化合物;ブチルア ミン、オクチルアミン、ジブチルアミン、モ ノエタノールアミン、ジエタノールアミン、 トリエタノールアミン、ジエチレントリアミ ン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミ ン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン 、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレ ンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニ ジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6-トリス( メチルアミノメチル)フェノール、モルホリ 、N-メチルモルホリン、2-エチル-4-メチルイ ミダゾール、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデ ン-7(DBU)などのアミン系化合物;又はそれら カルボン酸などとの塩;過剰のポリアミンと 塩基酸とから得られる低分子量ポリアミド 脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物との 反応生成物などが挙げられる。

 これらの中でも、有機錫化合物類は、シ ンカップリング剤(C)と組み合わせることで 得られる硬化物が特に良好な接着性を示す に好ましい。また、錫カルボン酸塩類と脂 族カルボン酸類は、助触媒として上記アミ 系化合物を用い、更にシランカップリング (C)と組み合わせることにより、硬化性組成 は良好な硬化性を示し、得られる硬化物は に高い復元性を発現することから好ましく このなかでも錫カルボン酸塩類が特に好ま い。

 シラノール縮合触媒(B)は単独でも2種以上 併用して用いてもよい。上記シラノール縮合 触媒のうち、有機金属化合物類、有機金属化 合物類とアミン系化合物との併用系が、硬化 性組成物が優れた硬化性を有することから好 ましい。

 シラノール縮合触媒(B)の使用量は、ポリ ーテル系重合体(A)100重量部に対して0.01~20重 量部が好ましく、0.1~10重量部がより好ましい 。0.01~20重量部では、実用上適度な硬化速度 なり、局部的な発熱や発泡の発生が抑えら る。また、十分な可使時間が確保されるた 作業性の良好な硬化性組成物となる。さら 、得られる硬化物はボイドなどがなく均質 良好なものとなる。

 本発明の硬化性組成物は、硬化剤(II)中に 接着性の改善効果が良好であることより従来 から多用されてきたトリメトキシシリル基を 有する1級アミン化合物(例えば、N-(2-アミノ チル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン) より加水分解速度が小さいシランカップリン グ剤(C)を必須成分として含む。

 なお、本発明では、シランカップリング を接着性の改善効果を有する化合物と定義 、ビニルシラン等の接着性付与効果を有さ い化合物はシランカップリング剤には含め い。また、同様に数平均分子量が500以下の 合物と定義する。

 本発明の硬化性組成物は、トリメトキシ リル基を有する1級アミン化合物より加水分 解速度が小さいシランカップリング剤(C)を含 むことにより、従来使用のトリメトキシシリ ル基を有する1級アミン化合物を使用した際 問題点であった作業性に適した可使時間の 保が可能となる。

 ここで、前記加水分解速度は、シランカ プリング剤の活性度の指標と考えられ、1級 アミノ基とトリメトキシシリル基を同一分子 内に併せ持つN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロ ピルトリメトキシシランや3-アミノプロピル リメトキシシランのようなシランカップリ グ剤は、高活性で、速い加水分解速度を有 るものである。なお、高活性で高い加水分 速度を有する1級アミノ基とトリメトキシシ リル基を同一分子内に併せ持つシランカップ リング剤を使用した場合可使時間が顕著に短 くなる原因としては、1級アミノ基が縮合触 として機能し、分子内に存在する高活性な リメトキシシリル基が、ポリエーテル系重 体(A)の反応性ケイ素基との縮合反応により 架橋を促進し、比較的短時間での粘度上昇 繋がり、可使時間が顕著に短くなったもの 推定する。

 また、前記加水分解速度の測定方法とし は、従来から知られる測定方法が挙げられ が、本発明において、各種シランカップリ グ剤の加水分解速度は、以下の測定方法で られた測定値と定義する。すなわち、各種 ランカップリング剤5重量部、蒸留水20重量 、および脱水テトラヒドロフラン75重量部 混合溶液を60℃で攪拌し、一定時間経過後に ガスクロマトグラフィーを用いてシランカッ プリング剤の残存率(%)を分析する。この時、 より多くのシランカップリング剤が残存して いれば、そのシランカップリング剤は加水分 解を受けにくく、加水分解速度が遅いことを 意味する。

 シランカップリング剤(C)が持つ加水分解 シリル基以外の官能基としては、1級アミノ 基と比較して、加水分解性ケイ素基に対して 低い活性を示すものならば、特に限定されず 、たとえば、2級アミノ基、3級アミノ基、エ キシ基、ケチミノ基、アクリロイル基、ハ ゲン化アルキル基などが挙げられ、シラン ップリング剤(C)としては、2級アミノ基、3 アミノ基、エポキシ基、ケチミノ基、アク ロイル基、ハロゲン化アルキル基からなる から選ばれる少なくとも1つの官能基と加水 解性シリル基を有する化合物が挙げられる これらの官能基を有するシランカップリン 剤を使用することにより、硬化性組成物は 業性に適した可使時間を有するものとなり 得られる硬化物は良好な復元特性や引張特 を有するものとなる。

 また、前記の官能基を有するシランカッ リング剤のなかでも、得られる硬化物が優 た接着性を有する事から、2級アミノ基、エ ポキシ基、ケチミノ基、アクリロイル基を有 する化合物が好ましく、2級アミノ基、エポ シ基、ケチミノ基を有する化合物がより好 しく、エポキシ基、ケチミノ基を有する化 物が更に好ましく、ケチミノ基を有する化 物が特に好ましい。

 好ましいシランカップリング剤(C)として 示した加水分解性シリル基を有するエポキ 化合物は、分子内のエポキシ基が1級アミノ 基程には加水分解性シリル基の縮合反応を促 進しないことから、これを用いた硬化性組成 物は作業性に適した可使時間を有するものと なる。

 加水分解性シリル基を有するエポキシ化 物としては、たとえば、2-(3,4-エポキシシク ロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2-(3, 4-エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメ トキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシ )エチルジメチルメトキシシラン、2-(3,4-エポ キシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシ ン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルメ チルジエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシク ヘキシル)エチルジメチルエトキシシラン、3 -グリシドキシプロピルトリメトキシシラン 3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシ ラン、3-グリシドキシプロピルジメチルメト シシラン、3-グリシドキシプロピルトリエ キシシラン、3-グリシドキシプロピルメチル ジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピル メチルエトキシシランなどが挙げられる。

 好ましいシランカップリング剤(C)として 示した加水分解性シリル基を有するケチミ 化合物とは、下記の一般式(4)で示される化 物であり、窒素と炭素の2重結合を有する化 合物である。このように1級アミノ基がケチ ンとして保護されていると、保護されてい い1級アミノ基程には加水分解性シリル基の 合反応を促進しないことから、これを用い 硬化性組成物は作業性に適した可使時間を するものとなる。

(式中、R 1 、R 2 、R 4 、R 5 、は炭素数1~10のアルキル基、R 3 は炭素数1~10のアルキレン基である。Lは1~3の 数である。)
 加水分解性シリル基を有するケチミン化合 としては、特に限定されず、例えば、N-(1,3- ジメチルブチリデン)-3-アミノプロピルトリ トキシシラン、N-(1,3-ジメチルブチリデン)-3- アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(1,3- メチルブチリデン)-3-アミノプロピルメチル エトキシシラン、N-(1,3-ジメチルブチリデン )-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン どが挙げられる。

 前記のようシランカップリング剤が持つ 水分解性シリル基以外の官能基について述 てきたが、一方、加水分解性シリル基が、 リメトキシシリル基よりも活性の低い加水 解性シリル基を有するシランカップリング の場合には、1級アミノ基を有していても、 これを用いた硬化性組成物は作業性に適した 可使時間を有するものとなる。

 活性の低い加水分解性シリル基としては 特に限定されず、トリエトキシシリル基、 リイソプロポキシシリル基、メチルジメト シシリル基、メチルジエトキシシリル基、 メチルメトキシシリル基、ジメチルエトキ シリル基などが挙げられる。これらの中で 、入手性の点から、トリエトキシシリル基 メチルジメトキシシリル基が好ましい。ま 、好ましいシランカップリング剤としては トリエトキシシリル基有する1級アミン化合 物および/またはメチルジメトキシシリル基 有する1級アミン化合物が挙げられる。これ のシランカップリング剤は、1級アミノ基を 有するため、良好な接着性と長い可使時間を 両立することができる。

 トリエトキシシリル基を有する1級アミン 化合物の具体例としては、N-(2-アミノエチル) -3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-ア ノプロピルトリエトキシシランなどが挙げ れる。メチルジメトキシシリル基含有1級ア ミン化合物の具体例としては、N-(2-アミノエ ル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラ ン、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラ などが挙げられる。

 シランカップリング剤(C)の使用量は、反 性ケイ素基を有するポリエーテル系重合体( A)100重量部に対して0.01~20重量部が好ましく、 0.1~10重量部がより好ましい。シランカップリ ング剤(C)の使用量が0.01~10重量部の場合、硬 性組成物は優れた硬化性を有し、得られる 化物は優れた接着性と引張特性を有するも となる。

 本発明の硬化性組成物には、必要に応じ 種々の充填剤が添加される。種々の充填剤 添加することにより所望の物性を発現させ ことができる。充填剤としては特に限定さ ず、例えば、木粉、クルミ殻粉、もみ殻粉 パルプ、木綿チップ、マイカ、グラファイ 、けいそう土、白土、カオリン、クレー、 ルク、ベントナイト、ヒュームドシリカ、 降性シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸、石 粉末、ガラスビーズ、炭酸カルシウム、炭 マグネシウム、酸化チタン、カーボンブラ ク、ガラスバルーン、アルミニウム粉末、 鉛粉末、アスベスト、ガラス繊維、炭素繊 などを挙げることができる。これらは単独 も2種以上併用して用いてもよい。

 充填剤を添加する場合、その添加量は主 (I)中のポリエーテル系重合体(A)成分100重量 に対して1~300重量部の範囲で使用すれば良 な機械物性を発現する。

 また、本発明の硬化性組成物には、必要 応じて種々の可塑剤が添加される。種々の 塑剤を添加することにより、得られる硬化 は、所望の機械物性が得られるよう調整が 能である。可塑剤としては特に限定されず 例えば、ジメチルフタレート、ジエチルフ レート、ジブチルフタレート、ジヘプチル タレート、ジオクチルフタレート、ジイソ ニルフタレート、ジイソデシルフタレート ジイソウンデシルフタレート、ブチルベン ルフタレート、ジラウリルフタレート、ジ クロヘキシルフタレートなどのフタル酸エ テル系可塑剤;エポキシ化大豆油、エポキシ 化アマニ油、エポキシステアリン酸ベンジル などのエポキシ可塑剤類;2塩基酸と2価アルコ ールとのポリエステル類などのポリエステル 系可塑剤;ポリプロピレングリコールやその 導体などのポリエーテル類;ポリ-α-メチルス チレン、ポリスチレンなどのポリスチレン類 ;ポリブタジエン、ブタジエン-アクリロニト ル共重合体、ポリクロロプレン、ポリイソ レン、ポリブテン、塩素化パラフィン類な が挙げられる。これらは単独でも2種以上併 用して用いてもよい。

 可塑剤を添加する場合、その添加量は、 剤(I)中の(A)成分であるポリエーテル系重合 100重量部に対して、0.1~200重量部が好ましい 。200重量部を超えると液状成分が多くなり硬 化物の物性が低下する傾向がある。

 また、本発明の硬化性組成物には、更に 要に応じて、脱水剤、相溶化剤、接着性改 剤、物性調整剤、貯蔵安定性改良剤、チク 性付与剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、金 不活性化剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤 ラジカル連鎖禁止剤、リン系過酸化物分解 、滑剤、顔料、発泡剤、難燃剤、帯電防止 などの各種添加剤を適宜添加することがで る。また、上記の各種添加剤は適宜組み合 せて用いることができる。

 本発明の硬化性組成物は、粘着剤、建造 ・船舶・自動車・道路などのシーリング材 接着剤、型取剤、防振材、制振材、防音材 発泡材料、塗料、吹付材などに使用できる 本発明の硬化性組成物を硬化して得られる 化物は、柔軟性および接着性に優れること ら、これらの中でも、シーリング材または 着剤として用いることがより好ましい。

 また、太陽電池裏面封止材などの電気・ 子部品材料、電線・ケーブル用絶縁被覆材 どの電気絶縁材料、弾性接着剤、コンタク 型接着剤、スプレー型シール材、クラック 修材、タイル張り用接着剤、粉体塗料、注 材料、医療用ゴム材料、医療用粘着剤、医 機器シール材、食品包装材、サイディグボ ドなどの外装材の目地用シーリング材、コ ティング材、プライマー、電磁波遮蔽用導 性材料、熱伝導性材料、ホットメルト材料 電気電子用ポッティング剤、フィルム、ガ ケット、各種成形材料、および、網入りガ スや合わせガラス端面(切断部)の防錆・防 用封止材、自動車部品、電機部品、各種機 部品などにおいて使用される液状シール剤 どの様々な用途に利用可能である。更に、 独あるいはプライマーの助けをかりてガラ 、磁器、木材、金属、樹脂成形物などの如 広範囲の基質に密着しうるので、種々のタ プの密封組成物および接着組成物としても 用可能である。

 以下に実施例を挙げて本発明について詳 するが、本発明はこれらの実施例のみに限 されるものではない。

 なお、下記合成例、実施例及び比較例中 「部」及び「%」は、それぞれ「重量部」及 び「重量%」を表す。

 また、下記合成例中、「数平均分子量」 び「分子量分布(重量平均分子量と数平均分 子量の比)」は、ゲルパーミエーションクロ トグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン 換算法により算出した。ただし、GPCカラムと してポリスチレン架橋ゲルを充填したもの( ソー製TSK-GEL Hタイプ)、GPC溶媒としてテトラ ヒドロフラン(THF)を用いた。

 (シランカップリング剤の加水分解速度)
 実施例、比較例中で使用したシランカップ ング剤の加水分解速度の測定結果を図1に示 す。なお、シランカップリング剤の加水分解 速度は以下に示す測定方法を用いて測定した 。

 各種シランカップリング剤5重量部、蒸留 水20重量部、および脱水テトラヒドロフラン7 5重量部の混合溶液を60℃で攪拌し、一定時間 経過後にガスクロマトグラフィーを用いてシ ランカップリング剤の残存率(%)を分析する。 この時、より多くのシランカップリング剤が 残存していれば、そのシランカップリング剤 は加水分解を受けにくく、加水分解速度が遅 いことを意味する。

 (合成例1)架橋性シリル基を有するポリエー ル系重合体(A-1)の合成例
 分子量約2,000のポリオキシプロピレンジオ ルを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバル ートグライム錯体触媒にてプロピレンオキ ドの重合を行い、数平均分子量約25,500のポ プロピレンオキシドを得た。続いて、この 酸基末端ポリプロピレンオキシドの水酸基 対して1.2倍当量のNaOMeのメタノール溶液を添 加してメタノールを留去し、更に塩化アリル を添加して末端の水酸基をアリル基に変換し た。未反応の塩化アリルを減圧脱揮により除 去した。

 得られた未精製のアリル基末端ポリプロ レンオキシド100重量部に対し、n-ヘキサン30 0重量部と、水300重量部を混合攪拌した後、 心分離により水を除去し、得られたヘキサ 溶液に更に水300重量部を混合攪拌し、再度 心分離により水を除去した後、ヘキサンを 圧脱揮により除去した。以上により、末端 アリル基である数平均分子量約25,500の2官能 リプロピレンオキシド(P-1)を得た。

 得られたアリル基末端ポリプロピレンオキ ド(P-1)100重量部に対し、触媒として白金含 3wt%の白金ビニルシロキサン錯体イソプロパ ール溶液150ppmを添加し、メチルジメトキシ ラン0.80重量部と90℃で5時間反応させ、メチ ルジメトキシシリル基末端ポリプロピレンオ キシド(A-1)を得た。 1 H-NMRによる測定の結果、末端のメチルジメト シシリル基は1分子あたり平均して約1.1個で あった。

 (合成例2)架橋性シリル基を有するポリ(アク リル酸n-ブチル)重合体(A-2)の合成例
 窒素雰囲気下、250L反応機に、CuBr(1.09kg)、ア セトニトリル(11.4kg)、アクリル酸n-ブチル(26.0 kg)及び2,5-ジブロモアジピン酸ジエチル(2.28kg) を加え、70~80℃で30分程度撹拌した。これに ンタメチルジエチレントリアミンを加え、 応を開始した。反応開始30分後から2時間か て、アクリル酸n-ブチル(104kg)を連続的に追 した。反応途中、ペンタメチルジエチレン リアミンを適宜添加し、内温70℃~90℃となる ようにした。ここまでで使用したペンタメチ ルジエチレントリアミン総量は220gであった 反応開始から4時間後、80℃で減圧下、加熱 拌することにより揮発分を除去した。これ アセトニトリル(45.7kg)、1,7-オクタジエン(14.0 kg)、ペンタメチルジエチレントリアミン(439g) を添加して、8時間撹拌を続けた。混合物を80 ℃で減圧下、加熱攪拌して揮発分を除去した 。

 この濃縮物にトルエンを加え、重合体を 解させた後、ろ過助剤として珪藻土、吸着 として珪酸アルミ、ハイドロタルサイトを え、酸素窒素混合ガス雰囲気下(酸素濃度6%) 、内温100℃で加熱攪拌した。混合液中の固形 分をろ過で除去し、ろ液を内温100℃で減圧下 、加熱攪拌して揮発分を除去した。さらにこ の濃縮物に吸着剤として珪酸アルミ、ハイド ロタルサイト、熱劣化防止剤を加え、減圧下 、加熱攪拌した(平均温度約175℃、減圧度10Tor r以下)。さらに吸着剤として珪酸アルミ、ハ ドロタルサイトを追加し、酸化防止剤を加 、酸素窒素混合ガス雰囲気下(酸素濃度6%)、 内温150℃で加熱攪拌した。

 この濃縮物にトルエンを加え、重合体を 解させた後、混合液中の固形分をろ過で除 し、ろ液を減圧下で加熱攪拌して揮発分を 去し、アルケニル基を有する重合体を得た

 このアルケニル基を有する重合体、ジメト シメチルシラン(アルケニル基に対して2.0モ ル当量)、オルトギ酸メチル(アルケニル基に して1.0モル当量)、白金含量3wt%の白金ビニ シロキサン錯体イソプロパノール溶液150ppm 混合し、窒素雰囲気下100℃で加熱攪拌した アルケニル基が消失したことを 1 H-NMRによって確認し、反応混合物を濃縮して 末端にジメトキシシリル基を有するポリ(ア クリル酸-n-ブチル)重合体(A-2)を得た。得られ た重合体(A-2)の数平均分子量は約26000、分子 分布は1.3であった。重合体1分子当たりに導 された平均のシリル基の数を 1 H-NMR分析により求めたところ、約1.8個であっ 。

 (実施例1)
 (主剤の作製)
 合成例1で得られたメチルジメトキシシリル 末端ポリプロピレンオキシド(A-1)、合成例2で 得られたメチルジメトキシシリル末端ポリ( クリル酸n-ブチル)(A-2)、充填材:UltraPflex(膠質 炭酸カルシウム、Specialty Minerals Inc.製)、Q3T( 重質炭酸カルシウム、J.M.Huber Corporation製)、 塑剤:DIDP(フタル酸ジイソデシル、協和発酵 )、表面改質剤(Aronix M-309、東亞合成製)、チ クソ性付与剤:ディスパロン#305(脂肪酸アマイ ドワックス、楠本化成製)、光安定剤:LA63P(旭 化工業製)、シランカップリング剤:A-187(3-グ リシドキシプロピルトリメトキシシラン、GE 芝シリコーン製)、エポキシ樹脂(エピコー -828、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂、 ジャパンエポキシレジン製)を表1の配合表に 載する添加部数に従って計り取り、手混ぜ 大まかに撹拌混合した後に、3本ペイントロ ールに3回通して十分に攪拌混合された混合 を主剤として得た。

 (硬化剤の作製)
 充填材:UltraPflex(膠質炭酸カルシウム、Special ty Minerals Inc.製)とQ3T(重質炭酸カルシウム、J .M.Huber Corporation製)とを予め120度で2時間、真 乾燥させた。この後、可塑剤:DIDP(フタル酸 イソデシル、協和発酵製)を添加し、15分攪 した。次にこの混合物を3本ペイントロール に1回通して十分に混合させた。 

 この後、再び120度で1時間、真空乾燥させ たあと、室温になるまで放冷した。ここにシ ランカップリング剤:KBE-9103(N-(1,3-ジメチルブ リデン)-3-アミノプロピルトリエトキシシラ ン、信越化学製)と脱水剤:A-171(ビニルトリメ キシシラン、GE東芝シリコーン製)を添加し 、15分攪拌した。

 次いで、硬化触媒:ネオデカン酸(バーサ ック10、ジャパンエポキシレジン製)とラウ ルアミン(和光純薬製)を添加して15分攪拌し 後、室温のまま真空脱揮を5分間行なった。 こうして得られた混合物を水分が入らないよ うに密封できる容器に詰めることで、硬化剤 を作製した。

 (硬化性組成物の作成)
 上記のようにして得られた主剤と硬化剤を れぞれ、表1の配合表に記載されている量だ け計り取り、スパチュラを用いて5分間良く 合させることで硬化性組成物を得た。

  針入度
 上述の方法で主剤と硬化剤を混合して得た 化性組成物を直径70mm、高さ30mmの円筒状容 に詰め、表面を平滑になるように整えた。 の時間を針入度測定の開始時間とした。針 値計((株)吉田製作所製、PENETRO METER J.I.S.)の 針先を円筒状容器に詰めた硬化性組成物の表 面に合わせ、留金具を5秒間押さえることで 自重により落下可能になった針入値計の針 硬化性組成物にどれだけ入ったかを測定し 。この測定を経時的に行い、針入度の変化 調べた。針入度の経時変化を図2に示す。ま 、各処方において、針入度の値が初期の50% まで低下するのに要した時間を表2に示す。 この時間が長い程、可使時間が長いことを示 す。

  接着性
 硬化性組成物を各種被着体(陽極酸化アルミ 、ガラス、塩ビ鋼板、FRP)に密着させ、23℃下 7日間養生させた。この後、90°方向に硬化物 破断するまで引張り、その時の破壊状態を 察した。凝集破壊率(CF率)が90%以上の場合を ◎、50%以上90%未満の場合を○、50%未満の場合 を×として判定した。結果を表2に示す。

  深部硬化性
 直径16.5mm、長さ40mmの円筒状容器に硬化性組 成物を気泡が入らないように注意して詰め、 容器の端をスパチュラで平滑になるように仕 上げた。次いで、23℃50%RH下に24時間静置した 。24時間後、ミクロスパチュラを用いて容器 の硬化している部分を取り出し、取り出し 硬化物に付着している未硬化部分を拭き取 、ノギスを用いて硬化した厚さを3箇所測定 した。測定した3箇所の平均値を深部硬化性 指標とした。結果を表2に示す。

 (実施例2)
 実施例1で使用したシランカップリング剤:KB E-9103からA-1100(3-アミノプロピルトリエトキシ シラン、GE東芝シリコーン製)に変更し、その 配合量を3.89重量部から2.84重量部に変更した 以外は実施例1と同様にして主剤と硬化剤を 作成した。さらに、実施例1と同様にして硬 性組成物を作製し、針入度および深部硬化 を測定した。また、得られた硬化物の接着 を測定した。結果を表2に示す。

 (実施例3)
 実施例1で使用したシランカップリング剤:KB E-9103からKBM-602(N-(2-アミノエチル)-3-アミノプ ピルメチルジメトキシシラン、信越化学製) に変更し、その配合量を3.89重量部から2.64重 部に変更した事以外は実施例1と同様にして 主剤と硬化剤を作成した。さらに、実施例1 同様にして硬化性組成物を作製し、針入度 よび深部硬化性を測定した。また、得られ 硬化物の接着性を測定した。結果を表2に示 。

 (実施例4)
 実施例1で使用したシランカップリング剤:KB E-9103からA-187に変更し、その配合量を3.89重量 部から3重量部に変更した。また、実施例1で 用したシラノール縮合触媒:バーサチック10( 2.5重量部)とラウリルアミン(0.75重量部)とか なる混合物からジオクチル酸錫(日東化成製 3重量部)とN,N-ジエチル-1,3-プロパンジアミ (和光純薬製、0.5重量部)からなる混合物に変 更した事以外は実施例1と同様にして主剤と 化剤を作製した。さらに、実施例1と同様に て硬化性組成物を作製し、針入度および深 硬化性を測定した。また、得られた硬化物 接着性を測定した。結果を表2に示す。

 (実施例5)
 実施例1で使用したシラノール縮合触媒:バ サチック10(2.5重量部)とラウリルアミン(0.75 量部)とからなる混合物から、U-220H(ジブチル 錫ジアセチルアセトネート、日東化成製0.7重 量部)に変更した事以外は実施例1と同様にし 主剤と硬化剤を作成した。さらに、実施例1 と同様にして硬化性組成物を作製し、針入度 および深部硬化性を測定した。また、得られ た硬化物の接着性を測定した。結果を表2に す。

 (比較例1)
 実施例1で使用したシランカップリング剤:KB E-9103からA-1120(N-(2-アミノエチル)-3-アミノプ ピルトリメトキシシラン、GE東芝シリコーン 製)に変更し、その配合量を3.89重量部から2.85 重量部に変更した事以外は実施例1と同様に て主剤と硬化剤を作成した。さらに、実施 1と同様にして硬化性組成物を作製し、針入 および深部硬化性を測定した。また、得ら た硬化物の接着性を測定した。結果を表2に 示す。

 (比較例2)
 実施例1で使用したシランカップリング剤:KB E-9103を硬化剤中に添加しなかった事以外は実 施例1と同様にして主剤と硬化剤を作成した さらに、実施例1と同様にして硬化性組成物 作製し、針入度および深部硬化性を測定し 。また、得られた硬化物の接着性を測定し 。結果を表2に示す。

 (比較例3)
 比較例3における主剤の作製は、実施例1と 様にして表1に示す添加部数を計り取り、手 ぜで大まかに撹拌混合した後に、3本ペイン トロールに3回通して十分に攪拌混合された 合物を主剤として得た後、プラネタリーミ サーを用いて120度下で2時間攪拌しながら、 圧下に加熱脱水を行なった。この混合物の 度が室温まで下がるのを待って、水分が入 ないように密閉できる容器に詰めることで 水処理が施された主剤を作製した。また、 較例3における硬化剤は実施例2と同様にし 作製した。さらに、実施例1と同様にして硬 性組成物を作製し、針入度および深部硬化 を測定した。また、得られた硬化物の接着 を測定した。結果を表2に示す。

 実施例1~5および比較例1~3の配合処方を示 。

 シランカップリング剤としてA-1120を使用 た比較例1と実施例1~5の針入度(針入度の値 初期の50%まで低下するのに要する時間)の結 から、A-1120を使用した場合、主剤と硬化剤 混合直後から急激な粘度の上昇が起こって ることがわかる。これに対して、KBE-9103を 用した実施例1および5、A-1100を使用した実施 例2、KBM-602を使用した実施例3、A-187を使用し 実施例4の結果から、いずれのシランカップ リング剤を用いても、粘度上昇の度合いがA-1 120を用いた場合よりも非常に穏やかであるこ とがわかる。

 また、実施例2と比較例3との比較より、 剤中に(A)成分の加水分解性シリル基を構成 るケイ素原子のモル数以上の水分を含むよ な場合には深部硬化性が著しく改善される とがわかる。

 さらに、実施例1~4と比較例1との比較から 、いずれのシランカップリング剤を用いた場 合においても接着性が良好であることがわか る。

 図1より1級アミノ基とトリメトキシシリ 基を同一分子内に併せ持つA-1120は上記水溶 中におけるシランカップリング剤の残存率 低下が著しく、非常に速く加水分解される とがわかる。一方、1級アミノ基を分子内に つものの、メチルジメトキシシリル基を有 るKBM-602、トリエトキシシリル基を有するA-1 100はA-1120に比べて水溶液中での残存率の低下 が穏やかであり、加水分解速度が小さいこと がわかる。

 さらに、分子内にエポキシ基を持つA-187 どの水溶液中における残存率の低下は非常 穏やかで、加水分解速度はA-1120に比べると しく小さいことがわかる。

 実施例1~5の針入度の変化は、比較例1に比 べて極めて穏やかであることがわかる。つま り、実施例1~5で用いたシランカップリング剤 を使用した場合には比較例1で用いたシラン ップリング剤(A-1120)に比べて可使時間が長く 取れることがわかる。