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Patent Searching and Data


Title:
CURABLE RESIN COMPOSITION, TRANSPARENT LAMINATE USING THE SAME, AND METHOD FOR PRODUCING THE TRANSPARENT LAMINATE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/016943
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a transparent laminate wherein a pair of transparent substrates are integrated through an adhesive layer. In this transparent laminate, the adhesive layer is good in tear resistance and adhesion to the transparent substrates, while exhibiting excellent transparency. Specifically, after forming a hermetically sealed space containing a curable resin composition (14) arranged between a pair of transparent substrates (10a, 10b) in a first atmosphere, the curable resin composition (14) is cured while setting the outside of the hermetically sealed space in a second atmosphere which is at a higher pressure than the first atmosphere. As the curable resin composition, there is used a curable resin composition containing a urethane oligomer (a) having 1.8-4 curable functional groups, which are composed of one or both of an acryloyloxy group and a methacryloyloxy group, per one molecule on average, and a hydroxyalkylmethacrylate (b) having a hydroxyalkyl group having 3-8 carbon atoms and one or two hydroxy groups.

Inventors:
NIIYAMA SATOSHI (JP)
AOKI NAOKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/062627
Publication Date:
February 05, 2009
Filing Date:
July 11, 2008
Export Citation:
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Assignee:
ASAHI GLASS CO LTD (JP)
NIIYAMA SATOSHI (JP)
AOKI NAOKO (JP)
International Classes:
C03C27/12; B32B17/10; C08F290/06
Foreign References:
JP2005041747A2005-02-17
JP2006045549A2006-02-16
JP2005001953A2005-01-06
JPH0624810A1994-02-01
JPH10287449A1998-10-27
JP2005041747A2005-02-17
JPS6051766A1985-03-23
JP2007197571A2007-08-09
Other References:
"Karenz MT BD1", SHOWA DENKO K.K.
See also references of EP 2174781A4
Attorney, Agent or Firm:
SENMYO, Kenji et al. (SIA Kanda Square17, Kanda-konyacho,Chiyoda-k, Tokyo 35, JP)
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Claims:
 一対の透明基板間に挟持された硬化性樹脂組成物を硬化させて透明積層体を製造する方法に用いられる硬化性樹脂組成物であって、
 アクリロイルオキシ基とメタクロイルオキシ基の一方または両方からなる硬化性官能基を1分子あたり平均1.8~4個有するウレタン系オリゴマー(a)と、水酸基の数が1個または2個である炭素数3~8のヒドロキシアルキル基を有するヒドロキシアルキルメタクリレート(b)を含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物。
 前記ウレタン系オリゴマー(a)がポリオキシアルキレン鎖を有している請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
 さらに、炭素数8~22のアルキル基を有するアルキルメタクリレート(c)を含有する、請求項1または2に記載の硬化性樹脂組成物。
 前記ウレタン系オリゴマー(a)の前記硬化性官能基がすべてアクリロイルオキシ基からなる、請求項1~3のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
 前記ウレタン系オリゴマー(a)が、1分子あたり平均1.8~4個の水酸基を有するポリオキシアルキレンポリオール(i)と、脂肪族または脂環式のジイソシアネート(ii)と、ヒドロキシアルキルアクリレートまたはヒドロキシアルキルメタアクリレート(iii)との反応生成物である、請求項1~4のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
 硬化性樹脂組成物中における、前記ウレタン系オリゴマー(a)の含有量が20質量%以上、前記ヒドロキシアルキルメタクリレート(b)の含有量が25質量%以上である、請求項1~5のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
 硬化性樹脂組成物中における、前記アルキルメタクリレート(c)の含有量が50質量%以下である、請求項3~6のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
 硬化性樹脂組成物が、光重合開始剤を含む、光硬化性の樹脂組成物である、請求項1~7のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
 第1の雰囲気中で、一対の透明基板間に、内部に請求項1~8のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物を収容した密閉空間を形成する第1の工程と、
 前記密閉空間の外部を、前記第1の雰囲気よりも圧力が高い第2の雰囲気とした状態で、前記硬化性樹脂組成物を硬化させる第2の工程と、を有することを特徴とする透明積層体の製造方法。
 前記第1の工程において、一方の透明基板の表面上に周縁に沿うシール部を設け、該シール部で囲まれた領域内に前記硬化性樹脂組成物を供給し、前記第1の雰囲気中で、前記一方の透明基板の表面に向かって他方の透明基板を押し当てて、前記硬化性樹脂組成物を押し広げるとともに2枚の透明基板の間隙内に該硬化性樹脂組成物が挟持された密閉空間を形成する、請求項9に記載の透明積層体の製造方法。
 前記第1の雰囲気の圧力が1kPa以下であり、前記第2の雰囲気の圧力が前記第1の雰囲気の圧力よりも100kPa以上高い圧力である、請求項9または10に記載の透明積層体の製造方法。
 前記一対の透明基板の少なくとも一方がガラス板である、請求項9~11のいずれか一項に記載の透明積層体の製造方法。
 前記一対の透明基板が、ほぼ同じ曲率を有する一対の湾曲基板である、請求項9~12のいずれか一項に記載の透明積層体の製造方法。
 一対の透明基板と該一対の透明基板間に挟持された硬化樹脂の層を有する透明積層体であって、前記硬化樹脂が請求項1~8のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物の硬化物である、透明積層体。
 透明積層体が、600mm以上の辺を少なくとも一つ有する大きさの透明積層体である、請求項14に記載の透明積層体。
 
Description:
硬化性樹脂組成物ならびにこれ 用いた透明積層体およびその製造方法

 本発明は、一対の透明基板間に挟持され 硬化性樹脂組成物を硬化させて透明積層体 製造する方法に好適な硬化性樹脂組成物、 硬化性樹脂組成物を用いた透明積層体の製 方法、および該製造方法で得られる透明積 体に関する。

 一対のガラス透明基板を接着層を介して一 化した合わせガラスは、破損したガラス破 がフィルムに付着して飛散しないことから 動車の風防ガラスとして使用され、また、 通し難く強度が優れていることから建物の ガラス(安全ガラス、防犯ガラス)として使 されている。
 合わせガラス等の積層体における接着層に 、透明性に優れるほかに、透明基板との密 性および耐引き裂き性が良好であることが 求される。

 合わせガラスの製造方法として特許文献1、 2には以下の製法が開示されている。まず、 着性のスペーサーを挟んで一対のガラス透 基板を張り合わせた平板状の容器を作製す 。このときスペーサーの一部を開口させて く。次に、スペーサーの開口部から未硬化 硬化性樹脂組成物を注入した後、該スペー ーの開口部を閉塞し、硬化性透明樹脂組成 を硬化させることにより、合わせガラスを 造する。

特開2005-41747号公報

特開昭60-51766号公報

 しかしながら、特許文献1、2に記載され いる方法では、一対の透明基板によって形 された平板容器に未硬化の硬化性樹脂組成 を注入する際に気泡が発生し、この気泡の 去に時間を要するため、生産性の点で不満 ある。

 また、一般的に知られているアクリル系 たはメタクリル系の硬化性樹脂組成物は、 膜や接着層、粘着層などの比較的薄い形状 硬化される場合は問題ないが、合わせガラ の接着層は厚みが数100ミクロン~数ミリ程度 と比較的大きいため、硬化反応の不均一に起 因して耐引き裂き性や透明基板との密着性が 不充分となる場合がある。これは硬化過程に おいて硬化反応によって組成物の粘度が急激 に増大するためと考えられ、特に、硬化速度 が速い光硬化では粘度が急増しやすく、硬化 反応がより不均一になりやすい。

 本発明は、前記事情に鑑みてなされたもの 、一対の透明基板が接着層を介して一体化 れた透明積層体であって、接着層の耐引き き性および透明基板との密着性が良好であ 、かつ透明性にも優れた透明積層体を製造 きる、硬化性樹脂組成物を提供することを 的とする。
 また、かかる透明積層体を、接着層中にお る気泡の発生を抑えて、生産性良く製造で る製造方法および透明積層体を提供するこ を目的とする。

 本発明の硬化性樹脂組成物は、一対の透明 板間に挟持された硬化性樹脂組成物を硬化 せて透明積層体を製造する方法に用いられ 硬化性樹脂組成物であって、アクリロイル キシ基とメタクロイルオキシ基の一方また 両方からなる硬化性官能基を1分子あたり平 均1.8~4個有するウレタン系オリゴマー(a)と、 酸基の数が1個または2個である炭素数3~8の ドロキシアルキル基を有するヒドロキシア キルメタクリレート(b)を含有することを特 とする。
 前記ウレタン系オリゴマー(a)がオキシアル レン鎖を有していることが好ましい。
 さらに炭素数8~22のアルキル基を有するアル キルメタクリレート(c)を含有することが好ま しい。

 前記ウレタン系オリゴマー(a)の前記硬化性 能基がすべてアクリロイルオキシ基からな ことが好ましい。
 前記ウレタン系オリゴマー(a)が、1分子あた り平均1.8~4個の水酸基を有するポリオキシア キレンポリオール(i)と、脂肪族または脂環 のジイソシアネート(ii)と、ヒドロキシアル キルアクリレートまたはヒドロキシアルキル メタアクリレート(iii)との反応生成物である とが好ましい。
 硬化性樹脂組成物中における、前記ウレタ 系オリゴマー(a)の含有量が20質量%以上、前 ヒドロキシアルキルメタクリレート(b)の含 量が25質量%以上であることが好ましい。
 硬化性樹脂組成物中における、前記アルキ メタクリレート(c)の含有量が50質量%以下で ることが好ましい。
 前記硬化性樹脂組成物が、光重合開始剤を む、光硬化性の樹脂組成物であることが好 しい。

 本発明は、第1の雰囲気中で、一対の透明基 板間に、内部に本発明の硬化性樹脂組成物を 収容した密閉空間を形成する第1の工程と、 記密閉空間の外部を、前記第1の雰囲気より 圧力が高い第2の雰囲気とした状態で、前記 硬化性樹脂組成物を硬化させる第2の工程と を有することを特徴とする透明積層体の製 方法を提供する。
 前記第1の工程において、一方の透明基板の 表面上に周縁に沿うシール部を設け、該シー ル部で囲まれた領域内に前記硬化性樹脂組成 物を供給し、前記第1の雰囲気中で、前記一 の透明基板の表面に向かって他方の透明基 を押し当てて、前記硬化性樹脂組成物を押 広げるとともに2枚の透明基板の間隙内に該 化性樹脂組成物が挟持された密閉空間を形 することが好ましい。
 前記第1の雰囲気の圧力が1kPa以下であり、 記第2の雰囲気の圧力が前記第1の雰囲気の圧 力よりも100kPa以上高い圧力であることが好ま しい。
 前記一対の透明基板の少なくとも一方がガ ス板であることが好ましい。
 前記一対の透明基板が、ほぼ同じ曲率を有 る一対の湾曲基板であってもよい。

 本発明は、さらに、一対の透明基板と該一 の透明基板間に挟持された硬化樹脂の層を する透明積層体であって、前記硬化樹脂が 記硬化性樹脂組成物の硬化物である、透明 層体を提供する。
 前記透明積層体は、600mm以上の辺を少なく も一つ有する大きさの透明積層体であるこ が好ましい。

 本発明の硬化性樹脂組成物によれば、一対 透明基板が接着層を介して一体化された透 積層体であって、接着層の耐引き裂き性お び透明基板との密着性が良好であり、かつ 明性にも優れた透明積層体が得られる。
 本発明の透明積層体の製造方法によれば、 対の透明基板が接着層を介して一体化され 透明積層体であって、接着層の耐引き裂き および透明基板との密着性が良好であり、 つ透明性にも優れた透明積層体を、接着層 の気泡を除去する作業を必要とせずに生産 良く製造できる。
 本発明の透明積層体は、接着層の耐引き裂 性および透明基板との密着性が良好であり かつ透明性にも優れも優れている。

本発明の製造方法の一実施形態におい シール材を設ける工程の説明図であり、(A) 平面図、(B)は(A)中のb-b線に沿う断面図であ 。 本発明の製造方法の一実施形態におい 塗布工程の説明図であり、(A)は平面図、(B) (A)中のb-b線に沿う断面図である。 本発明の製造方法の一実施形態におい 密閉空間を形成する工程の説明図である。 本発明の製造方法の一実施形態におい 光照射による硬化工程の説明図である。

符号の説明

 10a…一方の透明基板、
 10b…他方の透明基板、
 12…シール材、
 14…硬化性樹脂組成物、
 26…減圧チャンバー、
 28…真空ポンプ、
 36…シール用硬化性樹脂、
 40…紫外線照射装置、
 42…高圧水銀ランプ。

 本明細書におけるウレタン系オリゴマーの 平均分子量(Mn)の値は、TOSOH社製HLC-8220GPCを いたゲルパーミエーションクロマトグラム り求めた。試料は、0.45μmのPTFEフィルターで ろ過した1.0質量%のTHF溶液とし、カラムはTOSOH 社製TSKgel GMH HR を2本用いた。
 本明細書におけるポリオールの数平均分子 は、JISK1557-1(2007年版)に準拠して測定した水 酸基価A(KOH mg/g)とポリオール1分子内の水酸 の数Bより下記式(1)にて算出した。
  ポリオールの分子量=56.1×B×1000/A   …(1)
 なお、市販のウレタン系オリゴマーについ は、その原料ポリオールの水酸基価や水酸 数の測定は通常困難であるため、上記ゲル ーミエーションクロマトグラムによるウレ ン系オリゴマーの数平均分子量の値と、原 ポリイソシアネートやヒドロキシアルキル( メタ)アクリレートの種類から推定したポリ ールの分子量を示す。
 なお、本明細書において(メタ)アクリレー とは、アクリレートおよびメタクリレート 一方または両方を含む概念である。同様に (メタ)アクリロイルオキシ基とは、アクリロ イルオキシ基およびメタクリロイルオキシ基 の一方または両方を含む概念である。例えば 、前記「ヒドロキシアルキルアクリレートま たはヒドロキシアルキルメタアクリレート(ii i)」は「ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレ ト(iii)」という。

<硬化性樹脂組成物>
 本発明の硬化性樹脂組成物は、アクリロイ オキシ基およびメタクロイルオキシ基の一 または両方からなる硬化性官能基を1分子あ たり平均1.8~4個有するウレタン系オリゴマー( 以下、(a)成分ということもある。)と、水酸 の数が1個または2個である炭素数3~8のヒドロ キシアルキル基を有するヒドロキシアルキル メタクリレート(以下、(b)成分ということも る。)を含有する。(a)成分が、ポリオキシア キレン鎖を有していることが好ましい。さ に炭素数8~22のアルキル基を有するアルキル メタクリレート(c)(以下、(c)成分という)を含 することが好ましい。

[(a)成分]
 本発明にかかるウレタン系オリゴマー(a)は アクリロイルオキシ基およびメタクロイル キシ基の一方または両方からなる硬化性官 基を1分子あたり平均1.8~4個有するウレタン オリゴマーである。
 (a)成分の1分子当たりの硬化性官能基数の平 均が1.8個以上であると、硬化性樹脂組成物が 硬化後に少なくともその一部に架橋構造を有 するため、高温にさらされた場合に硬化物が 流動して変形するのを防止しやすい。一方、 4個以下であると、架橋密度が大きくなりす て硬化物が脆くなるのを防止しやすい。好 しくは1.9個以上3個以下であり、特に1.9個以 2.3個以下が好ましい。
 (a)成分は1分子あたり平均1.8~4個の水酸基を するポリオール(i)と、無黄変性のジイソシ ネート(ii)と、ヒドロキシアルキル(メタ)ア リレート(iii)との反応生成物であることが ましい。

 (a)成分の調製に用いられる、1分子あたり 平均1.8~4個の水酸基を有するポリオール(i)の としては、ポリオキシエチレングリコール ポリオキシプロピレンジオール等のポリオ シアルキレンポリオールや、ポリエステル リオール、ポリカーボネートポリオール等 挙げられる。この中で、特にポリオキシア キレンポリオールをポリオール(i)として用 ることが好ましい。(a)成分がポリオキシア キレン鎖を有することで、低温域において 柔軟性の高い硬化物が得られやすい。その リオキシアルキレン鎖を構成するオキシア キレン基としては、オキシエチレン基、オ シプロピレン基、オキシテトラメチレン基 どの炭素数2~4のオキシアルキレン基が好ま い。ポリオキシアルキレン鎖は2種以上のオ キシアルキレン基から構成されていてもよく 、その場合は特にオキシエチレン基とオキシ プロピレン基から構成されていることが好ま しい。ポリオキシアルキレンポリオールは、 1分子あたり平均1.9~3個、特に1.9~2.3個の水酸 を有することが好ましい。

 ポリオキシアルキレンポリオールの例とし は、ポリオキシエチレングリコール、ポリ キシプロピレンジオール、ポリオキシテト メチレングリコール等のポリオキシアルキ ンジオールが挙げられる。ポリオキシアル レンポリオールの水酸基1個あたりの数平均 分子量(Mn)は400~8000が好ましい。特に、水酸基 1個あたりの数平均分子量(Mn)は600~5000が好ま い。これらは、1種を単独で用いてもよく、2 種類以上を併用してもよい。
 ポリエステルポリオールとしては、エチレ グリコール、プロピレングリコール、1,4-ブ タンジオールなどの脂肪族ジオールの残基と グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸などの 脂肪族ジカルボン酸の残基とを有する脂肪族 系ポリエステルジオールが挙げられる。 ポ カーボネートポリオールとしては1,6-ヘキサ ンジオールなどのジオール残基を有する脂肪 族ポリカーボネートジオールや脂肪族環状カ ーボネートの開環重合体などの脂肪族ポリカ ーボネートジオールが挙げられる。これらの 水酸基1個あたりの数平均分子量(Mn)は400~8000 好ましく、800~6000がより好ましい。
 本発明において、(a)成分のみを硬化させて られる硬化物のガラス転移温度(Tg)は0℃以 が好ましく、-20℃以下がより好ましい。該(a )成分のみを硬化させて得られる硬化物のTgが 0℃以下であると、(b)成分との組み合わせに り、積層体の接着層における良好な耐引き き性および密着性が得られやすい。(a)成分 調製に上記ポリオキシアルキレンポリオー を用いると、かかるガラス転移温度が低い(a )成分が得られやすい。

 (a)成分の調製に用いられる、無黄変性のジ ソシアネート(ii)は、脂肪族ジイソシアネー ト、脂環式ジイソシアネートおよび無黄変性 芳香族ジイソシアネートからなる群から選ば れるジイソシアネートである。そのうち、脂 肪族ポリイソシアネートの例としては、ヘキ サメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチ ル-ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4- リメチル-ヘキサメチレンジイソシアネート が挙げられる。脂環式ポリイソシアネート 例としては、イソホロンジイソシアネート メチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネ ト)等が挙げられる。無黄変性芳香族ジイソ シアネートとしてはキシリレンジイソシアネ ート等が挙げられる。これらは、1種を単独 用いてもよく、2種類以上を併用してもよい
 特に、積層体が屋外で使用された際の接着 の黄変が抑制されやすい点で脂肪族または 環族のジイソシアネートがより好ましい。

 (a)成分の調製に用いられる、ヒドロキシア キル(メタ)アクリレート(iii)の例としては、 2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒ ドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒ ロキシブチル(メタ)アクリレート等の炭素数 2~6、好ましくは炭素数2~4のヒドロキシアルキ ル基を有する(メタ)アクリレートが挙げられ 。また、比較的低分子量のポリオキシアル レンジオールのモノ(メタ)アクリレートも 用できる。その数平均分子量は400以下、特 200以下が好ましい。これらは、1種を単独で いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
 ウレタン系オリゴマー(a)において硬化性官 基がすべてアクリロイルオキシ基であるこ が好ましく、したがって(iii)としてヒドロ シアルキルアクリレートなどを用いること 好ましい。
 (a)成分の硬化性官能基がアクリロイルオキ 基であると、積層体の接着層における良好 耐引き裂き性および密着性が得られやすい これは硬化性官能基がアクリロイルオキシ である(a)成分と、ヒドロキシアルキルメタ リレート(b)とを組み合わせることにより、 化反応の均一性が向上するためと考えられ 。(a)成分の硬化性官能基がメタクリロイル キシ基である場合は、硬化のための紫外線 射時間または加熱時間を長くすることによ 、積層体の接着層における良好な耐引き裂 性および密着性を得ることができる。ただ 、その場合でもその耐引き裂き性や密着性 硬化性官能基がアクリロイルオキシ基であ (a)成分を使用して得られる接着層の耐引き き性や密着性には及ばないことが少なくな 。

 (a)成分は公知の方法で合成できる。例えば まず前記ポリオキシアルキレンポリオール( i)と、前記ジイソシアネート(ii)とを(i)中の-OH 基と(ii)中の-NCO基のモル比(NCO/OHのモル比)が ぼ1対1.2~2(NCO/OH≒1.2~2)となる割合で混合し、 化合物等の触媒存在下で反応させてイソシ ネート末端プレポリマーを得る。NCO/OHのモ 比は1.6~2がより好ましい。次にこのイソシ ネート末端プレポリマーに、前記ヒドロキ アルキル(メタ)アクリレート(iii)を、(iii)中 -OH基とプレポリマー中の-NCO基のモル比(NCO/OH のモル比)がほぼ1対1(NCO/OH≒1)となる割合で加 えて反応させることにより(a)成分が得られる 。
 (a)成分の数平均分子量は1000以上が好ましく 、3000以上がより好ましい。
 該数平均分子量が1000以上であると硬化前後 での収縮が抑えられ、良好な機械的強度が得 られやすい。一方(b)成分の各成分等と混合し て均一な硬化性樹脂組成物を得るうえで、該 (a)成分の数平均分子量は20000以下が好ましく 15000以下がより好ましい。

[(b)成分]
 (b)成分は、水酸基の数が1個または2個であ 炭素数3~8のヒドロキシアルキル基を有する ドロキシアルキルメタクリレートである。 体的には、メタクリル酸のエステル(CH 2 =C(CH 3 )COOR)であって、Rが炭素数3~8のアルキル基で り、かつ、Rに結合している水素原子の1個ま たは2個が水酸基で置換されている化合物で る。
 (b)成分が水酸基を有することにより透明基 との良好な密着性が得られやすい。水酸基 数が1個または2個であるものは入手が容易 あるが、水酸基の数が多すぎると硬化物が 素結合により硬くなりすぎ脆くなることが る。
 Rの炭素数は3~8、好ましくは3~6である。炭素 数が2以下であると(b)成分における水酸基密 が高くなりやすく、(a)成分と組み合わせた 化性樹脂組成物を硬化させる際に、硬化反 の過程で一部相分離が生じるなどして硬化 のヘイズが大きくなるおそれがある。また 炭素数が9以上であると水酸基の密度が低下 て充分な密着性が得られない場合がある。
 特に(b)成分のヒドロキシアルキル基におけ 水酸基の数が1個でありかつ炭素数が4~6であ ると、硬化物の透明性が高く、かつ、適度な 柔軟性を保持しつつ透明基板との良好な密着 性を得ることができる点でより好ましい。

 (b)成分として使用できる化合物の例とし は、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート 2-ヒドロキシブチルメタクリレート、4-ヒド キシブチルメタクリレート、6-ヒドロキシ キシルメタクリレート等が挙げられる。こ らのうちで2-ヒドロキシブチルメタクリレー トが好ましい。

[(c)成分]
 (c)成分は炭素数8~22のアルキル基を有するア ルキルメタクリレートである。具体的には、 メタクリル酸のエステル(CH 2 =C(CH 3 )COOR’)であって、R’は炭素数が8~22のアルキ 基である。かかる(c)成分を含有させると、 化性樹脂組成物の硬化物における弾性率が 下して耐引き裂き性が向上しやすい。
 R’の炭素数が8以上であると硬化物のガラ 転移温度を低下させることができ、22以下で あると原料のアルコールを天然物経由にて容 易に入手することができる。好ましい硬化物 の弾性率を得るには炭素数12~18がより好まし 。
 (c)成分として使用できる化合物の例として 、n-ドデシルメタクリレート、n-オクタデシ ルメタクリレート、n-ベヘニルメタクリレー 等が挙げられる。これらのうちでn-ドデシ メタクリレート、n-オクタデシルメタクリレ ートが好ましい。

[(d)成分]
 本発明の硬化性樹脂組成物に、水酸基の数 1~2個である炭素数4~8のヒドロキシアルキル を有するヒドロキシアルキルアクリレート( 以下、(d)成分ということもある。)を含有さ てもよい。
 (d)成分は、具体的には、アクリル酸のエス ル(CH 2 =CHCOOR”)であって、R”が炭素数4~8のアルキル 基であり、かつ、R”に結合している水素原 の1個または2個が水酸基で置換されている化 合物である。
 かかる(d)成分を含有させると、更に透明基 との密着性を向上できると同時に硬化物の 軟性も付与することができる。しかし、(d) 分は(b)成分の代替とはならない成分である (b)成分の代わりに(d)成分を使用しても、充 な密着性や引き裂き強度は得られない。
 R”の炭素数は4~8、好ましくは4~6である。該 R”の炭素数が4以上であると硬化物のガラス 移温度を低下させることができ、8以下であ ると水酸基の密度から良好な透明基板との密 着性を得ることができる。
 R”の炭素原子に結合している水酸基の数は 1個または2個である。水酸基を有することで 明基板との密着性が改善される。水酸基の が3個以上であると硬化物が硬くなりすぎる 場合がある。
 (d)成分として使用できる化合物の例として 、4-ビドロキシブチルアクリレート、2-ヒド ロキシブチルアクリレート、6-ヒドロキシヘ シルアクリレート等が挙げられる。これら うちで4-ビドロキシブチルアクリレート、2- ヒドロキシブチルアクリレートが好ましい。

[重合開始剤]
 硬化性樹脂組成物は熱重合開始剤を含有さ て熱硬化性の樹脂組成物としてもよく、ま は光重合開始剤を含有させて光硬化性の樹 組成物としてもよい。該重合開始剤は加熱 たは光照射によって(a)~(d)成分の硬化反応を 促進する作用を生じるものであればよく、公 知の開始剤を適宜用いることができる。
 前述したように光照射によって硬化させる 合の方が硬化反応の不均一化がより生じや いのに対して、本発明はかかる硬化反応の 均一化を改善できる効果を有している。し がって、本発明は、光重合開始剤を含有す 硬化性樹脂組成物を光照射によって硬化さ る方法に特に効果が大きい。
 また光硬化の方が、生産性が良い点、省エ ルギーである点、および熱変形しやすい透 基板も使用できる点でも好ましい。

 光重合開始剤としては、可視光線または紫 線(波長300~400nm)の照射により励起され活性 して硬化反応を促進するものが好ましく用 られる。具体例としては、ベンゾインエー ル系、α-ヒドロキシアルキルフェノン系、 シルフォスフィンオキサイド系等の光重合 始剤が挙げられる。これらは1種を単独で用 てもよく、2種以上を併用してもよい。
 これらのうちで、好ましい光重合開始剤と ては、ベンゾインイソプロピルエーテル、1 -ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケト 、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒ ドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、ビス(2, 4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフ ィンオキサイド等が挙げられる。特に、ビス (2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォス フィンオキサイド等のアシルフォスフィンオ キサイド系の光重合開始剤は、微量の添加に おいても充分に硬化性樹脂組成物を硬化させ ることができ好ましい。

[その他の反応性成分]
 硬化性樹脂組成物には、(a)~(d)成分を硬化さ せる工程で、同時に硬化反応を生じるような その他の反応性成分を、本発明の効果を損な わない範囲で含有させてもよい。
 該その他の反応性成分は、後述の真空積層 の工程中で気泡の発生を防ぐうえで、常圧 おける沸点が150℃以上であるものが好まし 。かかるその他の反応性成分としては、例 ば、硬化促進剤としてのアミン系化合物や 水酸基と反応するイソシアネート基を有す 化合物、硬化反応の連鎖移動剤としてのチ ール基を有する化合物、透明基板との密着 を改善するためのシランカップリング剤等 挙げられる。特に、1,4-ビス(3-メルカプトブ チリルオキシ)ブタンのようなチオール基を する化合物を少量添加することで硬化物の 性率を調整することもできる。

[その他の添加剤]
 また硬化性樹脂組成物には、必要に応じて イドロキノン系やクレゾール系の重合禁止 や、ベンゾトリアゾール系やヒドロキシフ ニルトリアジン系のUV吸収剤や、ヒンダー アミン系等の光安定剤等を適宜添加しても い。また、各種顔料や染料を添加して透明 層体の透過光の色を変化させたり、ITO(イン ウム錫の酸化物)などの電導性の微粒子を微 量分散させることで赤外線を吸収させること もできる。また、硬化後の硬化性樹脂組成物 と屈折率の異なる微粒子や短繊維状のフィラ ーを均一分散させることで透明積層体の透過 光の様態を変化させたり、硬化性樹脂組成物 の厚みの範囲内で特定の意匠を実現するフィ ラーを添加することもできる。

[含有割合]
 本発明の硬化性樹脂組成物において、該組 物中の各成分の含有割合は以下の範囲であ ことが好ましい。
 (a)成分の含有量は20質量%以上が好ましく、4 0質量%以上がより好ましい。(b)の含有量は25 量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ま い。(a)成分が20質量%以上であると充分な架 構造が得られ高温時の変形を抑制でき、(b) 分が25質量%以上であると硬化反応を均一化 きることで引裂き耐性を向上できると共に 透明基板との密着性も改善できる。
 (a)成分の含有量は、他の成分とのバランス 応じて設定できるが、75質量%以下が好まし 、65質量%以下がより好ましい。(b)成分の含 量は、他の成分とのバランスに応じて設定 きるが、60質量%以下が好ましく、50質量%以 がより好ましい。
 本発明の硬化性樹脂組成物中の(a)成分と(b) 分の合計の含有量は50質量%以上が好ましく 特に60質量%以上がより好ましい。また、(a) 分と(b)成分の質量比(a)/(b)は、20/80~75/25が好 しく、30/70~65/35がより好ましい。

 (c)成分は必須ではないが、これを含有させ 場合は3質量%以上が好ましく、5質量%以上が より好ましい。3質量%以上であると充分な柔 性付与効果が得られやすい。(c)成分の含有 は、他の成分とのバランスに応じて設定で るが、50質量%以下が好ましく、45質量%以下 より好ましい。
 (d)成分は必須ではないが、これを含有させ 場合は1質量%以上が好ましく、2質量%以上が より好ましい。1質量%以上であると透明基板 の密着性を改善できる効果が得られやすい (d)成分の含有量は、他の成分とのバランス 応じて設定できるが、15質量%以下が好まし 、10質量%以下がより好ましい。

 上記その他の反応性成分の含有量は、10質 %以下が好ましく、5質量%以下がより好まし 。その他の反応性成分は含有されなくても い。
 光重合開始剤を添加する場合、その添加量 、(a)~(d)成分と上記その他の反応性成分の合 計量100質量部に対して0.1~3質量部が好ましく 0.1~1質量部がより好ましい。好ましい添加 は用いる光重合開始剤の硬化促進の効果に 存するが、上記範囲の下限値以上であると 加効果が充分に得られやすく、上限値以下 あると硬化後の紫外線照射による黄変など 低減でき好ましい。
 熱重合開始剤を添加する場合、その添加量 、(a)~(d)成分と上記その他の反応性成分の合 計量100質量部に対して0.5~3質量部が好ましく 0.5~1質量部がより好ましい。上記範囲の下 値以上であると添加効果が充分に得られや く、上限値以下であると硬化物の分子量を きくでき引裂き耐性を改善でき好ましい。

[粘度]
 硬化性樹脂組成物の未硬化の状態における 25℃での粘度V 25 が0.05Pa・s以上であり、かつ40℃での粘度V 40 が50Pa・s以下であることが好ましい。本明細 における粘度の値は以下の方法で測定した である。
 粘度測定用の容器(Brookfield社製 HT-2DB-100)に 測定しようとする硬化性樹脂組成物を約10g れ、粘度測定用の保温機に設置して組成物 温度を40℃または25℃の測定温度とする。次 に粘度計(Brookfield社製 LVDV-II+ pro)に取り付け た測定用のスピンドル(Brookfield社製 SC4-31)を 定容器中の組成物に浸漬させて、組成物の 性の大きさに応じて0.3~100rpmの範囲の速度に 設定したスピンドルを回転させながら15分保 した後、硬化性樹脂組成物の粘度を測定す 。

 硬化性樹脂組成物のうち、低分子量である( b)~(d)成分および上記その他の反応性成分が占 める割合が多いほど該組成物の粘度は低下す る。また(a)成分の分子量が高いほど該組成物 の粘度は増大する。
 (a)成分の含有量を多くしてV 25 が0.05Pa・s以上であると、硬化前後での硬化 起因した硬化物の収縮を抑えやすい。硬化 後での収縮が大きいと、硬化物に歪みが残 機械的強度が低下しやすい。更に真空積層 を用いて硬化性樹脂組成物を一対の透明基 間に挟持する場合は、V 25 が0.15Pa・s以上、特に0.5Pa・s以上であると、 明基板に滴下した硬化性樹脂組成物が、他 の透明基板と重ね合わせる際に、透明基板 周辺に予め形成されたシールから溢れ出る とを防止するのに効果があり好ましい。V 40 が50Pa・s以下であると、透明基板に硬化性樹 組成物を供給する際に硬化性樹脂組成物の 好な流動性が得られやすい。したがって、 に後述する真空積層法に用いる場合には、 2の雰囲気下において、密閉空間が硬化性樹 脂組成物で速やかに満たされやすい。特に好 ましくは、V 40 が20Pa・s以下である。

 前記特許文献1、2に記載の方法、すなわち ールした後の基板間に硬化性樹脂組成物を 入して硬化させる方法(以下、注入充填法と う)では、粘度の高い硬化性樹脂組成物の使 用は困難である。狭い基板間隙に粘度の高い 硬化性樹脂組成物を注入できたとしても注入 された硬化性樹脂組成物中や硬化性樹脂組成 物と基板との間に生じた泡の除去はきわめて 困難である。注入充填法を使用する場合、脱 泡を容易に行うためには硬化性樹脂組成物の V 25 は0.15Pa・s未満が必要であり、特に0.10Pa・s以 が好ましいと考えられる。したがって、本 明の硬化性樹脂組成物のうちV 25 が0.05Pa・s以上0.15Pa・s未満のものは注入充填 への適用に適しており、0.15Pa・s以上のもの は真空積層法への適用に適している。

<積層体の製造方法>
 図1~図4は、本発明の硬化性樹脂組成物を用 て透明積層体(以下、単に積層体とうことも ある。)を製造するのに好適な真空積層法の 実施形態を説明するための図である。図1(B) 図1(A)のb-b線に沿う断面図であり、図2(B)は 2(A)のb-b線に沿う断面図である。これらの図 基づいて本実施形態の積層体の製造方法に いて説明する。
 まず一対の矩形の透明基板10a、10bを用意す 。図1に示すように、一方の透明基板10aの4 縁部に沿って両面接着タイプのシール材12を 固定する。本実施形態では、シール材12とし 両面接着テープ12を貼着する。シール材12は 、硬化性樹脂組成物14の硬化物と同程度の透 性(光透過性)を有するものが好ましい。

 次に、図2に示すように、透明基板10aのシー ル材12に囲まれた矩形状の領域13内に硬化性 脂組成物14を供給する。硬化性樹脂組成物14 供給量は、後の工程で形成される、シール 12と一対の透明基板10a、10bとで囲まれた密 空間が、硬化性樹脂組成物14の硬化物で満た される量に設定する。この時、透明基板の自 重によるたわみなどの変形は起こらない前提 で密閉空間の体積を算出する。
 硬化性樹脂組成物14を供給する方法は塗布 もよく、滴下でもよい。本実施形態では、 明基板10aを下定盤18上に平置きにし、水平方 向に移動するディスペンサー20を用い、硬化 樹脂組成物14を線状、帯状又は点状に塗布 る。このディスペンサー20は、一対の送りね じ22、22と、該一対の送りねじ22、22に直交す 送りねじ24とからなる周知の水平移動機構 よって、領域13の全範囲上を水平移動可能と なっている。なお、ディスペンサー20に代え ダイコート塗布手段を適用することもでき 。
 また必須ではないが、本実施形態ではシー 材12の上面にシール用硬化性樹脂36を塗布す る。シール用硬化性樹脂36は本発明の硬化性 脂組成物14と同じものであってもよく、異 る硬化性樹脂を使用することもできる。硬 性樹脂としては紫外線硬化性の硬化性樹脂 好ましい。本発明の硬化性樹脂組成物14が熱 硬化性の硬化性樹脂組成物の場合、シール用 硬化性樹脂もまた熱硬化性樹脂を使用できる 。

 こうして硬化性樹脂組成物14が塗布された 方の透明基板10aおよび他方の透明基板10bを 図3に示すように減圧チャンバー26内に収容 る。減圧チャンバー26内において、一方の透 明基板10aは、硬化性樹脂組成物14が塗布され 面が上面となるように水平に保持される。 方の透明基板10bは、上定盤30の吸着パッド32 、32…によって、一方の透明基板10aの上方に 平に吸着保持される。吸着パッドは粘着材 用いた粘着パッドでもよい。上定盤30はエ シリンダ34によって上下に駆動可能となって いる。吸着パッド32の個数、及び上定盤30に する取り付け位置は、透明基板10bのサイズ どによって適宜変更できる。
 そして、減圧チャンバー26内の空気を真空 ンプ28によって吸引して、減圧チャンバー26 を減圧雰囲気(第1の雰囲気)とする。該減圧 囲気(第1の雰囲気)の圧力は1kPa以下が好まし く、10~100Paがより好ましく、30~50Paがさらに好 ましい。該第1の雰囲気の圧力が1kPa以下であ と、硬化性樹脂組成物14に気泡が残存する を防止しやすい。10Pa未満であると、真空度 高いため、その真空環境を構築する際の時 的なロスが大きい。また、真空度が高過ぎ と、硬化性樹脂組成物14に含まれる熱重合 始剤(又は光重合開始剤)、重合禁止剤、およ び光安定剤などの添加物が一部揮発するなど 悪影響を与えるおそれがある。

 この状態で、エアシリンダ34を動作させて 方の透明基板10bを下降させ、一方の透明基 10a上に重ね合わせる。すなわち一方の透明 板10aの上面に向かって他方の透明基板10bを し当てて、透明基板10a上の硬化性樹脂組成 を押し広げながら、重ね合わせる。
 さらに減圧雰囲気(第1の雰囲気)の圧力で所 時間保持することにより、2枚の透明基板10a 、10bの間隙内に硬化性樹脂組成物14が挟持さ た密閉空間を形成する。すなわち、一対の 明基板10a、10bが、シール材12およびシール 硬化性樹脂36を介して積層された状態(未硬 の積層体)となり、シール材12と一対の透明 板10a、10bとで囲まれた密閉空間が形成され 。この密閉空間内には硬化性樹脂組成物14が 収容されており、密閉空間内の硬化性樹脂組 成物14以外の部分は、第1の雰囲気と同じ減圧 状態(真空状態)となっている。

 次に、減圧チャンバー26内を、前記第1の雰 気よりも圧力が高い第2の雰囲気にする。第 2の雰囲気の圧力は10kPa以上が好ましく、100kPa 以上であることがより好ましい。また、第1 雰囲気の圧力と第2の雰囲気の圧力との差は 50kPa以上であることが好ましく、100kPa以上 あることがより好ましい。第2の雰囲気の圧 は大気圧であることが最も好ましい。例え 減圧チャンバー26内を大気開放する。第2の 囲気の圧力が大気圧であると、特定の圧力 保持するための設備が不要なため簡便であ 。これによりシール材12と一対の透明基板10 a、10bとで囲まれた密閉空間の外部が、第1の 囲気よりも圧力が高い第2の雰囲気となるた め、密閉空間の外部と内部の圧力差によって 一対の透明基板10a、10bが互いに密着する方向 に押圧される。これにともない、密閉空間内 の硬化性樹脂組成物14以外の部分に硬化性樹 組成物14が流動していき、密閉空間全体が 化性樹脂組成物14によって均一に満たされる 。
 この後、シール用硬化性樹脂36および硬化 樹脂組成物14を硬化させることにより、一対 の透明基板10a、10bが硬化性樹脂組成物14の硬 物からなる接着層を介して一体化された透 積層体が得られる。

 例えば、シール用硬化性樹脂36及び密閉空 内の硬化性樹脂組成物14が、紫外線硬化性樹 脂組成物の場合には、図4に示した紫外線照 装置40を使用してこれらを硬化させることが できる。
 紫外線照射装置40は、高圧水銀ランプ42、42 らの紫外線UVを反射ミラー44、44、46、46を介 して未硬化の積層体48の両面全面に照射でき ように構成されている。この装置を用いる とにより、シール材12の上面に塗布した硬 性樹脂36、及び密閉空間内の硬化性樹脂組成 物14を同時に硬化させることができる。紫外 光源としては、より簡便に、複数連装させ ケミカルランプやブラックライトなどを使 することもできる。なお、硬化性樹脂組成 14が熱硬化性樹脂組成物の場合には、熱を えて硬化させればよい。

 上記実施形態において、シール用硬化性樹 36は必須ではないが、両面接着テープ12上に シール用硬化性樹脂36を塗布しておくと、密 性が向上し、密閉空間の密閉度が向上する め、大気圧に開放した際に、密閉空間内の 圧度(真空度)を保持するうえで好ましい。 に、減圧下で一対の透明基板を対向接合さ る際に、シール用硬化性樹脂36の塗布厚み分 、透明基板間の距離を大きくとることができ 、シール内に供給された硬化性樹脂組成物14 一対の透明基板の接合時に局所的にシール ら漏れることを防止できる。
 大気解放した後は、シール用硬化性樹脂36 差圧によりシール上に広がり塗布厚みは充 小さくなるため、所定の密閉空間の体積変 はほとんど問題にならない。また両面接着 ープの代わりに、硬化性樹脂組成物14とは別 の高粘性のシール用硬化性樹脂を塗布してシ ール材とすることもできる。高粘性のシール 用硬化性樹脂には所定のシール厚みを維持で きるようスペーサー粒子を配合して使用して もよい。高粘性のシール用硬化性樹脂をシー ル材として使用することにより、シール材に 囲まれる領域に供給される硬化性樹脂組成物 14を透明基板面内に保持することができる。 た、硬化性樹脂組成物14の供給量を調整す ことにより、硬化後の一対の透明基板間の 脂硬化物の厚みを調整することができる。

<透明基板>
 透明基板10a、10bは特に限定されず、ガラス の無機透明基板であってもよく樹脂製の透 基板であってもよい。
 透明基板は、ガラス又は樹脂よりなること 好ましい。ガラス板の場合には、合わせガ スが得られる。樹脂板としてポリカーボネ トを適用すれば、衝撃性が高く軽量な透明 ネルを提供できる。また、ガラス板と樹脂 とを、硬化性樹脂組成物で接合してもよい 透明基板の大きさは特に限定されないが、3 00mm以上、より好ましくは600mm以上の辺を少な くとも一つ有する透明基板であると、建築用 や車両用の開口部に設置する透明部材として 広く利用することができる透明パネルを提供 できる。透明基板の大きさは、通常の用途に おいては4m 2 以下の大きさが適当である。透明基板の形状 は特に限定されない。例えば矩形である。

 一対の透明基板10a、10bの少なくとも一方 、硬化性樹脂組成物14と接する側の表面上 、硬化性樹脂組成物14の硬化時に硬化性樹脂 組成物14と化学結合可能な官能基を有する表 処理剤で透明基板表面を処理して得られた 面処理層が設けられていることが好ましい これにより硬化性樹脂組成物14の硬化物か なる接着層と透明基板との接着性が向上し 積層体の機械的強度が向上する。したがっ 高い強度が要求される合わせガラスに好適 ある。表面処理剤としては公知のチタン化 物またはシラン化合物を使用できる。

 シラン化合物としては、例えば3-メタク ロキシプロピルトリメトキシシラン等のシ ンカップリング剤が挙げられる。シラン化 物を用いる場合、具体な使用方法の一例と ては、まずシラン化合物:水:iPA(イソプロピ アルコール)=0.3:0.5:99.2 の溶液を室温で10時 攪拌し、シラン化合物を加水分解すること 一部または全部がシラノール化した溶液を る。次いで、この溶液中に透明基板を1分間 漬して引き上げた後、150℃のオーブンで30 熱処理してガラス表面と反応させる方法を いることができる。

 また、一対の透明基板10a、10bがほぼ同じ 率を有する湾曲基板であってもよい。例え 、フィルム状に成形された中間層を介して 対の透明基板10a、10bを一体化する場合、透 基板が曲率の大きい湾曲基板であるとフィ ムに皺が生じるため積層体の製造が困難で る。これに対して、本発明の真空積層法で 透明基板の形状に追従するように接着層が 成されるため、透明基板の形状は制限され 、三次元的に湾曲した曲率の比較的大きい 明基板であっても使用できる。

<透明積層体>
 本発明によれば、一対の透明基板が、本発 の硬化性樹脂組成物の硬化物からなる接着 を介して一体化された透明積層体が得られ 。該接着層の厚さは0.2~4.0mmが好ましく、0.3~ 2.5mmがより好ましい。該接着層の厚さが0.2mm 上であると、積層体の良好な機械的強度が られやすい。また本発明によれば硬化反応 不均一を抑えることができるため、接着層 厚さが4.0mm程度に厚くても、硬化物の屈折率 の不均一に起因した透過光の歪みが抑制でき 、透明基板との密着性が良好な積層体が得ら れる。
 また、硬化性樹脂組成物の硬化物は透明性 優れており、ヘイズ値が6%以下、好ましく 1%以下である、透明性に優れた透明積層体が 得られる。

 また接着層の厚さをTs、一対の透明基板10a 10bのいずれか薄い方の厚みをT1、厚い方の厚 みをT2とする時、接着層の厚みTsが下記の式(2 )を満足することが好ましい。なお、T1とT2は じ厚みの場合がある。
 T1×0.05≦Ts≦T2×1.5 …(2)
 すなわち、接着層の厚みTsが一対の透明基 の薄い方の厚みに対して5%以上であると、積 層体としての強度を確保しやすく、透明基板 の厚い方の厚みに対して150%を超えると積層 の厚みが無用に厚くなる。

 本発明の硬化性樹脂組成物を積層体の接着 に用いることにより、接着層が比較的厚い 合にも、ヘイズ値や光学歪が小さい良好な 学特性が得られる。これは、硬化性オリゴ ーおよび低分子量の硬化性成分として特定 (a)成分と(b)成分を組み合わせて用いること より、硬化反応の過程で硬化速度が適切に 整されるとともに、(b)成分の分子構造が、 の水酸基と、アルキル基の大きさによって 均一な硬化物が得られると共に基板との密 性向上に適切に寄与するためと考えられる
 したがって、本発明の硬化性樹脂組成物を 明基材の接着層として用いることで、接着 が高い機械的強度と基材との良好な密着性 示すと共に、良好な透明性を示すことから 耐衝撃性が高く、光学品位良好な、安全性 の優れる透明積層体が得られる。

 また本発明の硬化性樹脂組成物は、真空積 法に好適に用いて透明積層体を製造するこ ができる。真空積層法にあっては、真空減 下の雰囲気により一対の透明基板が密着さ るため、接着層中に気泡が発生しにくい。 たがって、かかる気泡を除去するために工 が不要となり、透明積層体を生産性良く製 できる。
 また真空積層法では、硬化性樹脂組成物と て比較的粘度の高い組成物、または分子量 高い組成物を使用できるので、硬化した際 強度の高い硬化物となり、全体として機械 強度の高い透明積層体を得ることができる したがって、接着層の厚みを薄くしても透 積層体の機械的強度を十分に得ることが可 である。

 以下に実施例を用いて本発明をさらに詳し 説明するが、本発明はこれら実施例に限定 て解釈されるものではない。
[例1~16]
 表1に示す配合で、各成分を混合して硬化性 樹脂組成物を調製した。表1における配合量 単位は質量部である。
 また得られた一部の硬化性樹脂組成物の25 および40℃での粘度をそれぞれ測定した。そ の結果を表1に示す。表1の「未硬化物の粘度 の欄の「-」は粘度を測定していないことを 示す。ただし、組成物の粘度は(a)成分の粘度 と他の反応性成分に対するその割合でほぼ決 まるものであることより、例2、3における組 物の粘度は例4の組成物の粘度とほぼ同等で あり、例10、12、13、14における組成物の粘度 例11の組成物の粘度とほぼ同等である。こ ことは各例の積層体製造における硬化性樹 組成物の取り扱いにおいて確認されている

 表1に記載した各成分は以下の通りである。
 ・ウレタンアクリレート1:アクリロイル基 有するウレタン系オリゴマー(製品名「EB230 、ダイセル・サイテック社製)。官能基数2、 数平均分子量の測定値約7700、40℃における粘 度の測定値約13.4Pa・s。数平均分子量約3000の リプロピレングリコールとイソホロンジイ シアネートと2-ヒドロキシエチルアクリレ トの反応生成物と認められる。
 ・ウレタンアクリレート2:アクリロイル基 有するウレタン系硬化性オリゴマー(製品名 U-200AX」、新中村化学工業社製)。官能基数2 数平均分子量の測定値約5100、40℃における 度の測定値約79.6Pa・s。数平均分子量約8000 脂肪族系ポリエステルジオールと脂肪族系( たは脂環族系)ジイソシアネートと2-ヒドロ シエチルアクリレートの反応生成物と認め れる。
 ・ウレタンアクリレート3:水酸基価より算 した数平均分子量が約2000のポリプロピレン リコールとイソホロンジイソシアネートを ぼ1対2となるモル比で混合し、錫化合物の 媒存在下で反応させて得られたプレポリマ に、2-ヒドロキシエチルアクリレートをほぼ 1対2となるモル比で加えて反応させることに り得られたウレタン系オリゴマー。官能基 2、数平均分子量の測定値約6000、40℃におけ る粘度の測定値約10.5Pa・s。
 ・ウレタンアクリレート4:水酸基価より算 した数平均分子量が約5600のポリプロピレン リコールとイソホロンジイソシアネートを ぼ1対2となるモル比で混合し、錫化合物の 媒存在下で反応させて得られたプレポリマ に、2-ヒドロキシエチルアクリレートをほぼ 1対2となるモル比で加えて反応させることに り得られたウレタン系オリゴマー。官能基 2、数平均分子量の測定値約14000、40℃にお る粘度の測定値約14.7Pa・s。
 ・ウレタンメタクリレート:メタクロイル基 を有するウレタン系硬化性オリゴマー(製品 「UA-4000」、新中村化学工業社製)。官能基数 2、数平均分子量の測定値約5300、40℃におけ 粘度の測定値約0.71Pa・s。数平均分子量約4000 のポリプロピレングリコールと脂肪族系(ま は脂環族系)ジイソシアネートと2-ヒドロキ エチルメタクリレートの反応生成物と認め れる。
 ・ポリエーテルジアクリレート:製品名「APG -700」、新中村化学工業社製。官能基数2、数 均分子量の測定値約1000、40℃における粘度 測定値約0.04Pa・s。数平均分子量約700のポリ プロピレングリコールのジアクリレートと認 められる。
 ・エポキシジアクリレート:製品名「EA-5520 、新中村化学工業社製。官能基数2、40℃に ける粘度の測定値約0.25Pa・s。1,6-ジグリシジ ルオキシヘキサンのアクリル酸2モル付加物 認められる。

 ・2-ヒドロキシブチルメタクリレート
 ・2-ヒドロキシエチルメタクリレート
 ・CH 2 =C(CH 3 )CO(OC 2 H 4 ) n -OH:n≒2(製品名「PE-90」、日本油脂社製)。
 ・CH 2 =C(CH 3 )CO(OC 3 H 6 ) n -OH:n≒4~6(製品名「AE-90」、日本油脂社製)。
 ・n-ドデシルメタクリレート
 ・n-オクタデシルメタクリレート
 ・4-ビドロキシブチルアクリレート
 ・重合開始剤1:ベンゾインイソプロピルエ テル。
 ・重合開始剤2:1-ヒドロキシ-シクロヘキシ -フェニル-ケトン(製品名「IRGACURE 184」、チ ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)。
 ・重合開始剤3:1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)- ェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1- オン(製品名「IRGACURE 2959」、チバ・スペシャ ルティ・ケミカルズ社製)。
 ・重合開始剤4:ビス(2,4,6-トリメチルベンゾ ル)-フェニルフォスフィンオキサイド(製品 「IRGACURE 819」、チバ・スペシャルティ・ケ ミカルズ社製)。

[積層体の製造]
 例1~例16で得られた各硬化性樹脂組成物を用 いて合わせガラス(透明積層体)を製造した。 硬化性樹脂組成物は、容器に入れたまま開 状態で減圧チャンバー内に収容し、チャン ー内を約200Paに減圧して10分保持することで 脱泡処理を行ってから使用した。
 まず、長さ610mm、幅610mm、厚み2mmのソーダラ イムガラス(透明基板)を2枚用意した。一方の ソーダライムガラス(透明基板10a)の4辺の端部 に沿って、厚み1mm、幅10mmの両面接着テープ( ール材12)を貼った後、該両面接着テープの 面の離型フィルムを除去した。
 予め、ウレタンアクリレートオリゴマー(製 品名「UF8001G」、共栄社化学社製)100質量部と ンゾインイソプロピルエーテル(重合開始剤 )1質量部を均一に混合して調製したシール用 外線硬化性樹脂36を、前記両面接着テープ 上面に、塗布厚み約0.3mmでディスペンサーに て塗布した。

 次に、硬化性樹脂組成物14(例1~4、6~8、10~14) 関しては、透明基板10aの両面接着テープを った面上の、両面接着テープで囲まれた領 内に該硬化性樹脂組成物14をディスペンサ を用いて総重量が380gとなるように複数個所 供給した。次いで、この透明基板10aを、図3 に示すように真空チャンバー内に水平に載置 した。
 次に、他方のソーダライムガラス(透明基板 10b)を、真空チャンバー内の上定盤30に吸着パ ッド32、32・・・を用いて保持させるととも 、透明基板10aと平行に対向し、かつ透明基 10aとの距離が10mmとなるように保持させた。

 次いで、真空チャンバーを密封状態とし チャンバー内が約30Paとなるまで排気した。 この時、滴下した組成物は発泡が継続するこ とはなかった。この後、昇降装置によって上 下の定盤を接近させ、透明基板10aと透明基板 10bとを2kPaの圧力で圧着し1分間保持した。こ 後、約30秒で真空チャンバー内を大気圧に し、透明基板10aと透明基板10bとが硬化性樹 組成物14の未硬化層を介して密着している透 明積層体の前駆体を得た。

 次に、昇降装置によって上下の定盤を離 させ、上側の上定盤30の吸着パッド32、32・ ・に貼着している、透明積層体の前駆体を 上側の上定盤30から剥離させた。次いで、 明積層体の前駆体の外周部の両面接着テー が存在する部分に対して、他方の透明基板10 bを介して、高圧水銀ランプを光源とするフ イバー光源から紫外線を照射し、シール用 外線硬化性樹脂36を硬化させた。この後、透 明積層体の前駆体を水平に保って約1時間静 した。

 一方、V 25 が0.10Pa・s以下の硬化性樹脂組成物では真空 ャンバー内を大気圧に戻したときシール部 ら液漏れが生じるため、上記真空積層法の 用は困難であった(なお、V 25 が0.15Pa・s以上の硬化性樹脂組成物では注入 た硬化性樹脂組成物からの脱泡ができず、 記注入充填法は使用できなかった)。そこで V 25 が0.15Pa・sより小さい硬化性樹脂組成物14(例5 9、15、16)に関しては、予め一対の透明基板 周辺に貼った両面接着テープのシールを介 て張り合わせ、上辺のシールを一部剥がし 開口部を設け、その隙間から注射筒を用い 所定量の硬化性樹脂組成物14を透明基板間 注入した。次に、縦置きに長時間静置して 入した気泡をシール上辺に集めた後に、上 に集まった気泡を押し出すようにして再度 入口を両面テープのシールを介して密着さ 封口した。この後、透明積層体の前駆体を 平に保って約24時間静置した。

 その後、透明積層体の前駆体の両面方向か 、均一に高圧水銀ランプにより、それぞれ1 mW/cm 2 の強度の紫外線を10分間照射して、硬化性樹 組成物14を硬化させることにより透明積層 (合わせガラス)を得た。得られた透明積層体 の接着層の厚さはいずれの例においても約0.8 mmであった。
 なお、例2、3、4、5、及び7では高圧水銀ラ プに代えてケミカルランプを用い、上記と 条件で紫外線を照射した。

[評価]
(ヘイズ値)
 得られた透明積層体の接着層が存在する部 について透明性の評価としてヘイズ値を測 した。ヘイズ値は、東洋精機製作所社製の イズガードIIを用い、ASTM D 1003に準じて測 した。その結果を表1に示す。

(密着性)
 透明積層体の一方の透明基板10aの一部のみ 除去して接着層(硬化物)を露出させ、他方 透明基板10bから引き剥がす操作を行い、下 の基準で密着性を評価した。その結果を表1 示す。
 ○:接着層を引き剥がす際に接着層が大きく 変形した。
 △:接着層を引き剥がす際に接着層がやや変 形した。
 ×:接着層を引き剥がす際に接着層はほとん 変形しなかった。

(引き裂き強度)
 透明積層体の一方の透明基板10aの一部のみ 除去して接着層(硬化物)を露出させ、他方 透明基板10bから接着層(硬化物)の一部(1cm×2cm 程度の大きさ)を剥離して試験片とした。得 れた試験片の長辺のほぼ中央に約1mmの切れ を入れて引き裂き、下記の基準で引き裂き 度を評価した。その結果を表1に示す。
 ○:引裂かれる際に接着層が大きく変形して 伸びた。
 △:引裂かれる際に接着層が変形したが伸び は小さかった。
 ×:引裂かれる際に接着層はほとんど変形す ことなく容易裂断した。

(落球試験)
 例1および2で得られた積層体について落球 験を行った。試験では、積層体をJIS R 3205  に準拠した試験枠上に設置して、重量4.11kgの 鉄球を1.5mの高さから積層体の中央に落下さ た。試験は、温度を23±2℃に管理した雰囲気 内で行った。
 試験の結果、例1および2のいずれにおいて 鉄球は積層体を貫通しなかった。続けて、 じ高さより2回同じ試験体に鉄球を落下させ が貫通しなかった。

 表1の結果に示されるように、本発明にかか る例1~9の透明積層体ではヘイズが低くて透明 性に優れており、基板との密着性および耐引 き裂き性も良好である。これに対し(b)成分を 含有しない例10、11の透明積層体では密着性 耐引き裂き性が劣っていた。
 (b)成分に代えて、水酸基の数が1個で炭素数 2のヒドロキシアルキル基を有するヒドロキ アルキルメタクリレートを用いた例12の透明 積層体では、密着性および耐引き裂き性は良 好であったものの白濁が生じた。
 (b)成分に代えて、水酸基を有するとともに リオキシアルキレン鎖を有するメタクリレ トを用いた例13,14の透明積層体では、密着 および耐引き裂き性が劣っていた。
 (a)成分を他のアクリル系オリゴマーに代え 例15,16の透明積層体では、密着性および耐 き裂き性が劣っていた。

[例17]
 以下の原料成分を使用し、[例1~16]と同様に 層体を製造し評価した。
 ・ウレタンアクリレート5:末端にオキシエ レン基を有する水酸基価より算出した数平 分子量が約4000のポリ(オキシプロピレン/オ シエチレン)ジオールとイソホロンジイソシ ネートをほぼ3対4となるモル比で混合し、 化合物の触媒存在下で反応させて得られた レポリマーに、2-ヒドロキシエチルアクリレ ートをほぼ1対2となるモル比で加えて反応さ ることにより得られたウレタン系オリゴマ 。官能基数2、数平均分子量の測定値約21000 40℃における粘度の測定値約93Pa・s(前記Brook field社製粘度計による測定結果)。ただし、こ の粘度は前記Brookfield社製粘度計の測定基準 を超えていることより、東機産業社製 回転 粘度計 RE-85Uを使用して再度粘度を測定した その結果、40℃における粘度は約90Pa・sであ った。
 ・重合開始剤4:ビス(2,4,6-トリメチルベンゾ ル)-フェニルフォスフィンオキサイド(製品 「IRGACURE 819」、チバ・スペシャルティ・ケ ミカルズ社製)。
 ・重合禁止剤1:2,6-ジ-t-ブチル-ハイドロキノ ン。
 ・紫外線吸収剤1:オクチル-3-[3-t-ブチル-4-ヒ ドロキシ-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2 -イル)フェニル]プロピオネートと2-エチルヘ シル-3-[3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(5-クロロ-2 H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェニル]プロ オネートの混合物(製品名「TINUVIN 109」、チ ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)。
 上記ウレタンアクリレート5、2-ヒドロキシ チルメタクリレートおよびn-ドデシルメタ リレートを質量比40/40/20の割合で混合した混 合物に、重合開始剤4を0.1質量%、重合禁止剤1 を0.02質量%、および紫外線吸収剤1を0.3質量% 割合で配合し、硬化性樹脂組成物を製造し (以下組成物Lという)。この組成物Lの粘度(前 記Brookfield社製粘度計による測定結果)は、25 で1.1Pa・s、40℃で0.57Pa・sであった。
 前記例1~4、6~8、および10~14と同様に、前記 空積層法を用い、紫外線硬化の光源として ミカルランプを使用して積層体を製造し、 られた積層体について前記と同様の評価を った。その結果、ヘイズ値は1%以下、密着性 は○、引き裂き強度は○であった。

[例18]
 以下の原料成分を使用し、[例17]と同様に積 層体を製造し評価した。
 前記例17で製造した組成物Lに、硬化反応の 鎖移動剤として1,4-ビス(3-メルカプトブチリ ルオキシ)ブタン(商品名「カレンズMT BD1」、 昭和電工社製)を組成物Lに対して0.5質量%混合 した硬化性樹脂組成物を製造した(以下組成 Mという)。連鎖移動剤の添加量が微量である ため組成物Mの粘度測定は行わなかった(前記 成物Lと同等と認められる)。前記例17と同様 に、前記真空積層法を用い、ケミカルランプ を使用して積層体を製造し、得られた積層体 について前記と同様の評価を行った。その結 果、ヘイズ値は1%以下、密着性は○、引き裂 強度は○であった。引き裂き試験後の試験 を観察すると前記例17で得られた硬化物よ も柔軟性のある硬化物となっていた。

[例19]
 以下の原料成分を使用し、[例17、18]と同様 積層体を製造し評価した。
 ・ウレタンアクリレート6:ウレタンアクリ ート5に用いたものと同じポリ(オキシプロピ レン/オキシエチレン)ジオールとヘキサメチ ンジイソシアネートをほぼ5対6となるモル で混合し、錫化合物の触媒存在下で反応さ て得られたプレポリマーに、2-ヒドロキシエ チルアクリレートをほぼ1対2となるモル比で えて反応させることにより得られたウレタ 系オリゴマー。官能基数2、数平均分子量の 測定値約45000、50℃における粘度の測定値約25 00Pa・s(前記東機産業社製 回転粘度計 RE-85U 使用して、粘度測定値が測定基準値に入る う測定温度を50℃とした)。
 ・重合開始剤4、重合禁止剤1、および紫外 吸収剤1は、例17に記載のもの。
 上記ウレタンアクリレート6、2-ヒドロキシ チルメタクリレートおよびn-オクタデシル タクリレートを質量比40/40/20の割合で混合し た混合物に、重合開始剤4を0.1質量%、重合禁 剤1を0.02質量%、および紫外線吸収剤1を0.3質 量%の割合で配合し、硬化性樹脂組成物を製 した(以下組成物Nという)。この組成物Nの粘 (前記Brookfield社製粘度計による測定結果)は 25℃で22Pa・s、40℃で10Pa・sであった。
 前記例17、18と同様に、真空積層法を用い、 紫外線硬化の光源としてケミカルランプを使 用して積層体を製造し、得られた積層体につ いて前記と同様の評価を行った。その結果、 ヘイズ値は1%以下、密着性は○、引き裂き強 は○であった。

 本発明の硬化性樹脂組成物を用いて製造さ た透明積層体は、接着層の耐引き裂き性お び透明基板との密着性が良好であり、かつ 明性にも優れているので、特に、自動車の 防ガラス、建物の窓ガラス(安全ガラス、防 犯ガラス)等に有用である。
 
 なお、2007年7月30日に出願された日本特許出 願2007-197571号の明細書、特許請求の範囲、図 及び要約書の全内容をここに引用し、本発 の明細書の開示として、取り入れるもので る。