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Title:
CUTTING METHOD, AND WIRE-SAW APPARATUS
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/108051
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a cutting method for cutting an ingot into wafer shapes by wrapping a wire on a roller having grooves, and by pushing the wire being run onto the ingot, while feeding the grooved roller with cutting slurry. The cutting method is characterized by measuring the displacement of the ingot varying in an axial direction, and by controlling the axial displacement of the grooved roller in accordance with the measured axial displacement of the ingot, thereby to cut the ingot while controlling the relative position of the wire to the whole length of the ingot varying in the axial direction. Thus, there are provided the cutting method and a wire-saw apparatus, which control the cutting locus to be made in the ingot so as to reduce the Bow or Warp of the cut wafer, and which can cut the ingot flat.

Inventors:
OISHI HIROSHI (JP)
KITAGAWA KOJI (JP)
KUDO HIDEO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/000081
Publication Date:
September 12, 2008
Filing Date:
January 24, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SHINETSU HANDOTAI KK (JP)
OISHI HIROSHI (JP)
KITAGAWA KOJI (JP)
KUDO HIDEO (JP)
International Classes:
B24B49/04; B24B27/06; B24B49/14; B28D5/04
Foreign References:
JP2005103683A2005-04-21
JP2003145406A2003-05-20
JPH0446759A1992-02-17
JP2003001624A2003-01-08
Attorney, Agent or Firm:
YOSHIMIYA, Mikio (6-11 Ueno 7-chome,Taito-k, Tokyo 05, JP)
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Claims:
 ワイヤを複数の溝付きローラに巻掛けし、該溝付きローラに切断用スラリを供給しつつ、前記ワイヤを走行させながらインゴットに押し当ててウエーハ状に切断する方法であって、
 前記インゴットを切断するときに、軸方向に変化するインゴットの変位量を測定し、該測定されたインゴットの軸方向の変位量に対応させて、前記溝付きローラの軸方向の変位量を制御することにより、
 前記軸方向に変化するインゴットの全長に対しての前記ワイヤの相対位置を制御しつつインゴットを切断することを特徴とする切断方法。
 
 前記溝付きローラの軸中に冷却水を通し、該冷却水の温度および/または流量を調節することによって、前記溝付きローラの軸方向の変位量を制御することを特徴とする請求項1に記載の切断方法。
 
 前記インゴットの軸方向の変位量の測定を、熱電対または差動式変位計を用いて行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の切断方法。
 
 前記測定されたインゴットの軸方向の変位量から、切り込み深さに対するインゴットの軸方向の変位量のプロファイルを作成し、該作成されたプロファイルに基づいて、前記溝付きローラの軸方向の変位量を制御することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の切断方法。
 
 ワイヤが複数の溝付きローラに巻掛けされ、該溝付きローラに切断用スラリを供給しつつ、前記ワイヤを走行させながらインゴットに押し当ててウエーハ状に切断するワイヤソー装置であって、
 少なくとも、前記切断されるインゴットの軸方向の変位量を測定するインゴット変位量測定機構と、該インゴット変位量測定機構により測定されたインゴットの軸方向の変位量に対応するように、前記溝付きローラの軸方向の変位量を、溝付きローラの軸中に通す冷却水の温度および/または流量にフィードバックして制御する溝付きローラ変位量制御機構を備えたものであることを特徴とするワイヤソー装置。
 
Description:
切断方法およびワイヤソー装置

 本発明は、ワイヤソー装置を用いて、シリ ンインゴット、化合物半導体等のインゴッ から多数のウエーハを切り出す切断方法と イヤソー装置に関する。
 

 近年、ウエーハの大型化が望まれており、 の大型化に伴い、インゴットの切断には専 ワイヤソー装置が使用されている。
 ワイヤソー装置は、ワイヤ(高張力鋼線)を 速走行させて、ここにスラリを掛けながら インゴット(ワーク)を押し当てて切断し、多 数のウエーハを同時に切り出す装置である( 開平9-262826号公報参照)。

 ここで、図12に一般的なワイヤソー装置の 例の概要を示す。
 図12(A)の全体図に示すように、ワイヤソー 置101は、主に、インゴットを切断するため ワイヤ102、ワイヤ102を巻掛けた溝付きロー 103(ワイヤガイド)、ワイヤ102に張力を付与す るための機構104、切断されるインゴットを送 り出す機構105、切断時にスラリを供給する機 構106で構成されている。

 ワイヤ102は、一方のワイヤリール107から り出され、トラバーサ108を介してパウダク ッチ(定トルクモータ109)やダンサローラ(デ ドウェイト)(不図示)等からなる張力付与機 104を経て、溝付きローラ103に入っている。 イヤ102はこの溝付きローラ103に300~400回程度 巻掛けられた後、もう一方の張力付与機構104 ’を経てワイヤリール107’に巻き取られてい る。

 また、溝付きローラ103は鉄鋼製円筒の周 にポリウレタン樹脂(シェル部)を圧入し、 の表面に一定のピッチで溝を切ったローラ あり、巻掛けられたワイヤ102が、駆動用モ タ110によって予め定められた周期で往復方 に駆動できるようになっている。

 ここで、溝付きローラ103についてさらに説 を加えておく。従来より使用されている溝 きローラ103の一例として、図13に示すよう ものが挙げられる。溝付きローラ103の両端 は、溝付きローラの軸120を支持している軸 け121、121’が配設されている。例えば、軸 け121はラジアルタイプのものであり、この ジアルタイプの軸受け121側に溝付きローラ10 3が軸方向に伸びることが可能になっており 一方、軸受け121’はスラストタイプのもの あり、このスラストタイプの軸受け121’側 は伸びにくい構造になっている。すなわち 軸方向において、専ら一方向のみに溝付き ーラが伸びることが可能な構造である。
 また、軸受け121、121’の両方がラジアルタ プであり、軸方向において、前後に伸びる とが可能な構造のものもある。

 インゴットの切断時には、図12(B)に示す うなインゴット送り機構105によって、イン ットは溝付きローラ103に巻掛けされたワイ 102に送り出される。このインゴット送り機 105は、インゴットを送りだすためのインゴ ト送りテーブル111、LMガイド112、インゴット を把持するインゴットクランプ113、スライス あて板114等からなっており、コンピュータ制 御でLMガイド112に沿ってインゴット送りテー ル111を駆動させることにより、予めプログ ムされた送り速度で先端に固定されたイン ットを送り出すことが可能である。

 そして、図12(A)に示すように、溝付きロ ラ103、巻掛けられたワイヤ102の近傍にはノ ル115が設けられており、切断時にスラリタ ク116から、溝付きローラ103、ワイヤ102に例 ばGC(炭化ケイ素)砥粒を液体に分散させたス リを供給できるようになっている。また、 ラリタンク116にはスラリチラー117が接続さ ており、供給するスラリの温度を調整でき ようになっている。

 このようなワイヤソー装置101を用い、ワイ 102にワイヤ張力付与機構104を用いて適当な 力をかけて、駆動用モータ110により、ワイ 102を往復方向に走行させながらインゴット スライスする。
 現在、ワイヤには幅0.13~0.18mmのものを用い それに2.5~3.0kgfの張力をかけ、400~600m/minの平 速度、1~2c/min(30~60s/c)のサイクルで往復走行 せてスライスするのが一般的である。
 

 従来では、上記のような一般的なワイヤ ー装置を用いてインゴットの切断が行われ きたが、実際に切断されたウエーハの形状 調べてみると、BowやWarpが生じてしまってい た。このBowやWarpは半導体ウエーハの切断に ける重要品質の一つであり、製品の品質要 が高まるにつれ、一層の低減が望まれてい 。

 そこで、本発明者らがワイヤソー装置を用 たインゴットの切断方法について鋭意研究 行ったところ、上記BowやWarpの発生原因は大 別して、
 ・溝付きローラおよびインゴットの熱膨張
 ・ワーク送りの真直度
 ・切断中の(ウエーハ面外方向への)ワイヤ たわみ
の影響が重畳したものであることが分かった 。そしてさらに、これらのうち、特に溝付き ローラおよびインゴットの熱膨張による影響 が大きく、これを改善すれば、BowやWarpの改 効果を最も大きく得られることがわかった

 以下では、溝付きローラおよびインゴット 熱膨張によるBowやWarpへの影響について詳述 する。
 まず、切断中にインゴットは一定温度のま であり、溝付きローラのみが熱膨張する場 について述べる。溝付きローラはインゴッ からの切断発熱によって生じるスラリ温度 上昇によって、またはワイヤからの熱伝導 介して熱膨張する。上述したような溝付き ーラのそれを支持する軸受けの種類と組み わせによって、図14(A)に示すように、軸方 の専ら一方向に熱膨張する場合と、図14(B)に 示すように、軸方向の両方向(前後方向)に均 に熱膨張するものとがある。したがって、 ンゴットにおける切断軌跡は、軸方向の専 一方向に変位する場合(図14(A))と、軸方向の 両方向(前後方向)に対称的な形状に変位する 合(図14(B))がある。

 次に、切断中に溝付きローラの熱膨張は く、インゴットのみが熱膨張する場合を考 る。切断中に例えば熱電対を使用して測定 たインゴットの温度を熱膨張量に換算する 、図14(C)に示すように、インゴットは軸方 の両方向に、その時々の切断負荷に応じて 断当初は熱膨張し、切断終了時近傍で熱収 する。

 そして、上記の溝付きローラの熱膨張およ インゴットの熱膨張・収縮が同時にインゴ トに作り込まれた場合の切断軌跡を図15(A) 15(B)に示す。
 図15(A)は、溝付きローラが軸方向の専ら一 向に熱膨張する場合に対応した切断軌跡で り、図15(B)は、溝付きローラが軸方向の両方 向(前後方向)に均等に熱膨張する場合に対応 た切断軌跡である。
 このように、従来の切断方法およびワイヤ ー装置では図15(A)、15(B)のような切断軌跡と なり、切断されたウエーハのほとんどにBowや Warpが形成されてしまっていた。

 本発明は、上記問題点を鑑みてなされた のであり、例えば切断されたウエーハのBow Warpを低減できるように、インゴットに作り 込まれる切断軌跡を制御し、特には平坦にな るようにして切断することができる切断方法 およびワイヤソー装置を提供することを目的 とする。

 上記課題を解決するため、本発明は、ワ ヤを複数の溝付きローラに巻掛けし、該溝 きローラに切断用スラリを供給しつつ、前 ワイヤを走行させながらインゴットに押し ててウエーハ状に切断する方法であって、 記インゴットを切断するときに、軸方向に 化するインゴットの変位量を測定し、該測 されたインゴットの軸方向の変位量に対応 せて、前記溝付きローラの軸方向の変位量 制御することにより、前記軸方向に変化す インゴットの全長に対しての前記ワイヤの 対位置を制御しつつインゴットを切断する とを特徴とする切断方法を提供する。

 インゴットの熱膨張・収縮のそれ自体を 御するのは困難であるため、本発明の切断 法では、まず、インゴットを切断するとき 、軸方向に変化するインゴットの変位量を 定する。そして、該測定されたインゴット 軸方向の変位量に対応させて、溝付きロー の軸方向の変位量を制御する。これによっ 、軸方向に変化するインゴットの全長に対 てのワイヤの相対位置を制御しつつインゴ トを切断することが可能となり、インゴッ における切断軌跡を所望のように調整する とができる。例えば、切断軌跡を平らなも とすることができ、切断後の各ウエーハに いて、BowやWarpを著しく低減することができ る。

 このとき、前記溝付きローラの軸中に冷却 を通し、該冷却水の温度および/または流量 を調節することによって、前記溝付きローラ の軸方向の変位量を制御することができる。
 このように、溝付きローラの軸中に冷却水 通し、該冷却水の温度および/または流量を 調節することによって、簡単かつ正確に溝付 きローラの軸方向の変位量を制御することが 可能である。

 そして、前記インゴットの軸方向の変位量 測定を、熱電対または差動式変位計を用い 行うことが可能である。
 このように、インゴットの軸方向の変位量 測定は、熱電対または差動式変位計を用い 簡単な方法で行うことができる。

 また、前記測定されたインゴットの軸方向 変位量から、切り込み深さに対するインゴ トの軸方向の変位量のプロファイルを作成 、該作成されたプロファイルに基づいて、 記溝付きローラの軸方向の変位量を制御す のが好ましい。
 このように、測定されたインゴットの軸方 の変位量から、切り込み深さに対するイン ットの軸方向の変位量のプロファイルを作 し、該作成されたプロファイルに基づいて 溝付きローラの軸方向の変位量を制御すれ 、実に簡便であり、手間をかけずに溝付き ーラの軸方向の変位量の制御を行うことが きる。

 また、本発明は、ワイヤが複数の溝付き ーラに巻掛けされ、該溝付きローラに切断 スラリを供給しつつ、前記ワイヤを走行さ ながらインゴットに押し当ててウエーハ状 切断するワイヤソー装置であって、少なく も、前記切断されるインゴットの軸方向の 位量を測定するインゴット変位量測定機構 、該インゴット変位量測定機構により測定 れたインゴットの軸方向の変位量に対応す ように、前記溝付きローラの軸方向の変位 を、溝付きローラの軸中に通す冷却水の温 および/または流量にフィードバックして制 御する溝付きローラ変位量制御機構を備えた ものであることを特徴とするワイヤソー装置 を提供する。

 このように、本発明のワイヤソー装置で 、切断されるインゴットの軸方向の変位量 測定するインゴット変位量測定機構を備え いるので、インゴットの軸方向の変位量を 定でき、そして、インゴット変位量測定機 により測定されたインゴットの軸方向の変 量に対応するように、溝付きローラの軸方 の変位量を、溝付きローラの軸中に通す冷 水の温度および/または流量にフィードバッ クして制御する溝付きローラ変位量制御機構 を備えているので、インゴットの軸方向の変 位量に対応して溝付きローラの軸方向の変位 量を制御することができる。しかも、その制 御は、溝付きローラの軸中に通す冷却水の温 度および/または流量にフィードバックして われるので、簡単かつ正確に制御を行うこ ができる。

 本発明の切断方法、ワイヤソー装置であれ 、切断中に、制御が困難なインゴットの軸 向の変位量に対応して、溝付きローラの軸 向の変位量を制御することができるので、 ンゴットの全長に対しての溝付きローラに 掛けされたワイヤの相対位置を制御するこ ができる。すなわち、切断軌跡を制御する とが可能であり、特には切断軌跡を平らな のとしてBowやWarpを低減することができる。
 

本発明のワイヤソー装置の一例を示す 略図である。 (A)熱電対が貼り付けられたインゴット 一例を示す説明図である。(B)差動式変位計 配設されたインゴットの一例を示す説明図 ある。(C)渦電流センサが配設された溝付き ーラの一例を示す説明図である。 溝付きローラの断面の一例を示す説明 である。 本発明の切断方法におけるインゴット 溝付きローラの軸方向の変化の関係を示す 明図である。 本発明によるインゴット切断時におけ 溝付きローラの熱膨張(前後方向)とインゴ トの熱膨張・収縮を考慮したときの切断軌 の一例を示す説明図である。 熱電対を用いて測定したときの切り込 深さに対するインゴットの温度の一例を示 グラフである。 予備実験によって得られた冷却水の温 と、溝付きローラ3の変位量との関係の一例 を示すグラフである。 実施例で切り出したウエーハのBow・Warp の測定結果を示すグラフである。 比較例1で切り出したウエーハのBow・War pの測定結果を示すグラフである。 比較例2で切り出したウエーハのBow・Wa rpの測定結果を示すグラフである。 比較例3で切り出したウエーハのBow・Wa rpの測定結果を示すグラフである。 従来の切断方法に使用されるワイヤソ ー装置の一例を示す概略図である。(A)全体図 、(B)インゴット送り機構の概略図。 溝付きローラの構造の一例を示す概略 平面図である。 (A)インゴット切断時における溝付きロ ーラの熱膨張(一方向)と切断軌跡の一例を示 説明図である。(B)インゴット切断時におけ 溝付きローラの熱膨張(前後方向)と切断軌 の一例を示す説明図である。(C)インゴット 断時におけるインゴットの熱膨張・収縮と 断軌跡の一例を示す説明図である。 (A)インゴット切断時における溝付きロ ーラの熱膨張(一方向)とインゴットの熱膨張 収縮を考慮したときの切断軌跡の一例を示 説明図である。(B)インゴット切断時におけ 溝付きローラの熱膨張(前後方向)とインゴ トの熱膨張・収縮を考慮したときの切断軌 の一例を示す説明図である。

 以下では、本発明の実施の形態について説 するが、本発明はこれに限定されるもので ない。
 上述したように、従来の切断方法やワイヤ ー装置を用いてインゴットを切断すると、 に溝付きローラやインゴットの軸方向の熱 張によって、図15のように切断軌跡が軸方 に変化し、切断されたウエーハには大きなBo wやWarpが生じてしまう。これに対し、切断軌 の軸方向の変化をなくすため、例えばスラ をインゴット等にかけることによって、イ ゴットや溝付きローラの軸方向の変化を抑 する切断方法等が研究されてきた。

 しかしながら、特にインゴットの軸方向 変化を抑制することは困難であるし、上記 ようにスラリをかけて制御しようとしても 実際には少しは変化してしまうため、Bow等 防止対策としては不十分であることが本発 者らによって判明した。

 そこで、本発明者らは、結局、溝付きロ ラ、インゴットの両方とも軸方向への変化 なくすことができないのであれば、逆に、 方を同じようにして軸方向へ変化させるこ によって切断軌跡を調整し、Bow等を低減す ことを考えた。そして、特にインゴットの 方向の変化を制御するのは難しいので、こ インゴットの軸方向の変位量に対応して溝 きローラの軸方向の変位量を制御し、それ よって切断中にインゴットの全長に対して ワイヤの相対位置を適切に調整できれば良 ことを見出して本発明を完成させた。

 以下、本発明のワイヤソー装置、切断方法 ついて、図面を参照しながら詳細に説明す が、本発明はこれに限定されるものではな 。
 図1に、本発明のワイヤソー装置の一例を示 す。
 本発明のワイヤソー装置1は、まず、本体部 として、従来のワイヤソー装置101と同様に、 インゴットを切断するためのワイヤ2、ワイ 2を巻掛けた溝付きローラ3(ワイヤガイド)、 イヤ2に張力を付与するための機構4、切断 れるインゴットを送り出す機構5、切断時に ラリを供給する機構6を有している。
 ワイヤ2、ワイヤ張力付与機構4、インゴッ 送り機構5、スラリ供給機構6は、図12の従来 切断方法に使用されるワイヤソー装置101と 様のものとすることができる。

 なお、本発明では、軸方向において両方 (前後方向)に変化するインゴットの変位量 対応させて溝付きローラ3の軸方向の変位量 制御させるため、溝付きローラ3は、軸受け の両方がラジアルタイプであり、軸方向にお いて、前後に伸びることが可能な構造のもの とすることができる。

 そして、本発明のワイヤソー装置1では、 さらに、切断の際にインゴットの軸方向の変 位量を測定するためのインゴット変位量測定 機構11と、インゴット変位量測定機構11によ 測定されたインゴットの軸方向の変位量に 応するように、溝付きローラの軸中に通す 却水の温度および/または流量にフィードバ クして溝付きローラ3の軸方向の変位量を制 御する溝付きローラ変位量制御機構12が備え れている。

 このインゴット変位量測定機構11として 、例えば熱電対13を用いたものとすることが できる。すなわち、インゴットに熱電対13を ンゴット軸方向の前側および後側に貼り付 ておき、この熱電対13により計測されたイ ゴットの温度を熱膨張量に換算して、イン ットの軸方向の変位量を算出、処理するコ ピュータ18を配設したものが挙げられる。図 2(A)に、インゴットに熱電対13を貼り付けた場 合の一例を示す。

 また、この他、熱電対13を用いるのでは く、差動式変位計14を用いたものとすること ができる。すなわち、熱膨張しにくいもの( えばワイヤソー装置1の本体)等に変位計の支 持部を取り付け、計測部をインゴットの軸方 向の両側に配置してインゴットの軸方向の変 位量を測定するものとしても良い。差動式変 位計14はコンピュータ18と接続されており、 定されたデータを処理できるようになって る。図2(B)に、インゴットに対して差動式変 計を設置した場合の一例を示す。

 このインゴット変位量測定機構11は特に 定されず、切断の際に、正確かつ速やかに インゴットの軸方向の変位量を測定できる のであれば良い。上記熱電対13や差動式変位 計14を用いた機構とすれば、測定が簡単であ し、正確に行うことができて好ましい。

 次に、溝付きローラ変位量制御機構12につ て述べる。
 この溝付きローラ変位量制御機構12は、大 くわけて、溝付きローラ3の軸方向の変位量 測定する溝付きローラ変位量測定部15と、 付きローラ3の軸中に通す冷却水の温度、流 を調節する冷却水調節部16からなる。

 まず、溝付きローラ変位量測定部15は、 えば渦電流センサ17を溝付きローラ3の軸方 の両側に近接して配設することにより、軸 向の変位量を測定することが可能なものと ることができる。図2(C)に、溝付きローラ3に 渦電流センサ17を配設した場合の一例を示す 溝付きローラ3の軸方向の変位量を測定する 手段は当然これに限定されないが、渦電流セ ンサを用いれば非接触で精度高く測定を行う ことができるので好ましい。

 また、冷却水調節部16には熱交換器やポン が配設されており、溝付きローラ3の軸中に す冷却水の温度、流量を調節できるように っている。
 ここで、冷却水調節部16について、図3に示 ような溝付きローラ3の断面図を用いて説明 する。溝付きローラ3は、ワイヤ2が巻掛けさ る溝を有する樹脂部(シェル)が最外層とし 形成されており、その内側にシェルガイド さらに内側に軸心を有する構造となってい 。本発明のワイヤソー装置1で用いられる溝 きローラ3では、軸心部に、冷却水調節部16 より温度、流量が調節された冷却水が通る 造になっている。

 そして、この溝付きローラ変位量制御機 12には、溝付きローラ変位量測定部15によっ て測定された溝付きローラ3の軸方向の変位 のデータに基づいて、冷却水調節部16により 冷却水の温度、流量が調節されるように、こ れらのデータをフィードバック処理するため のコンピュータが備えられている。さらに、 この冷却水の温度、流量の調節にあたっては 、インゴット変位量測定機構11によって測定 れたインゴットの軸方向の変位量が考慮さ ており、最終的に、このインゴットの変位 に対応して溝付きローラ3の軸方向の変位量 が制御されるようにプログラムが組まれてい る。

 なお、コンピュータ18は、インゴット変位 測定機構11における熱電対13や差動式変位計1 4と接続されていると同時に、溝付きローラ 位量制御機構12におけるローラ変位量測定部 15、冷却水調節部16とも接続されたものとす ことができる。このようにすれば、インゴ トや溝付きローラ3に関するデータを一括し 処理することができて簡便かつ効率的であ し、各機構11、12に分けて設けるよりもスペ ースをとらずに済ますことができ、省スペー スを図ることができる。
 コンピュータの台数等は、それぞれの処理 力やスペース等に応じて適宜決定すれば良 。

 このような本発明のワイヤソー装置1であ れば、切断中におけるインゴットの変化に同 期して溝付きローラ3を変化させることが可 である。すなわち、例えば、インゴットが 断の際に熱膨張して軸方向の両側に伸びて 、冷却水の調節によって溝付きローラ3を軸 向の両側に伸ばすことができるものである で、それによってインゴットを切断する各 イヤの位置を溝付きローラ3の軸方向の両側 にずらすことができる。このとき、インゴッ トの各切断位置における軸方向の変位量と同 じ分だけ、各ワイヤの位置がずれるように、 溝付きローラ3の軸方向の変位量を制御する うプログラムを組んでおけば、インゴット 全長に対してのワイヤの相対位置は一定に 整されることになり、切断軌跡は平らなも となる。その結果、Bow等が低減された優れ ウエーハを得ることができる。

 次に、上記ワイヤソー装置1を用い、本発 明の切断方法を実施する手順について述べる 。なお、以下では、切断軌跡が平らになるよ うに溝付きローラ3の軸方向の変位量を制御 る方法について述べるが、これに限定され 、所望の切断軌跡になるように適宜変更す ことができる。

 まず、インゴット送り機構5により、把持し たインゴットを所定速度で下方に送り出すと ともに、溝付きローラ3を駆動させて、ワイ 張力付与機構4により張力が付与されたワイ 2を往復方向に走行させる。なお、このとき のワイヤ2に付与する張力の大きさや、ワイ 2の走行速度等は適宜設定することができる 例えば、2.5~3.0kgfの張力をかけて、400~600m/min の平均速度で1~2c/min(30~60s/c)のサイクルで往復 方向に走行させることができる。切断するイ ンゴット等に合わせて決めれば良い。
 また、切断用スラリを溝付きローラ3および ワイヤ2に向けて噴射を開始し、インゴット 切断を行う。

 このように切断を行っていると、切断によ 摩擦熱やスラリ等の影響によって熱膨張・ 縮が生じ、インゴット自体においては、例 ば図14(C)のような軸方向変化および切断軌 が形成されることになる。
 一方、溝付きローラ3において、こちらもや はり熱膨張が生じて、例えば図14(B)のような 方向変化を起こし、インゴットの切断軌跡 影響を与える。
 したがって、これらの変化が合わさって、 15(B)に示すような切断軌跡となり、得られ ウエーハにはBow等が生じてしまう。

 そこで、切断軌跡が平らになるようにす には、本発明の切断方法のように、図4のイ ンゴットと溝付きローラの軸方向変化の関係 に示すとおり、インゴットの軸方向の変位量 に対応させて溝付きローラ3の軸方向の変位 を制御する。すなわち、インゴットの熱膨 に合わせて溝付きローラ3も同様に熱膨張さ 、インゴットが収縮する場合には溝付きロ ラ3も同様に収縮させる。このとき、溝付き ローラ3の変位量の制御により、インゴット 全長に対してのワイヤの相対位置を調整し 一定になるようにする。上記インゴットの 膨張による切断軌跡への影響、および溝付 ローラ3の制御(溝付きローラ3の熱膨張の影 )の結果、最終的に得られる切断軌跡は、図5 のように平らにすることができ、Bow等を低減 できる。

 以下、上記の切断中のインゴットや溝付き ーラ3の軸方向の変化、制御についてより具 体的に述べる。
 まず、切断中におけるインゴットの軸方向 変位量をインゴット変位量測定機構11によ 測定する。この測定は、熱電対13や差動式変 位計14等を用いた測定方法とすることができ 。正確かつ速やかにインゴットの変位量を 定することができれば良い。
 なお、図6に熱電対13を用いて測定したとき 切り込み深さに対するインゴットの温度変 の一例を示す。切り込み深さが半分程度(150 mm)になるまで温度が上昇していき、その後徐 々に冷却していき、最後に急冷しているのが 判る(すなわち、図14(C)に示すように、一旦熱 膨張した後、収縮していくことが判る。)。 のような温度データと、インゴットの材料 おける線膨張係数を用いて切り込み深さに けるインゴットの軸方向の変位量を算出で る。
 この熱電対13や、または差動式変位計14等に よって測定されたデータをコンピュータ18で 理する。

 一方、溝付きローラ3の方でも、溝付きロー ラ変位量制御機構12の溝付きローラ変位量測 部15により、例えば渦電流センサ17を用いて 溝付きローラ3の軸方向の変位量を測定する この測定データもまた、コンピュータ18で処 理する。
 そして、コンピュータ18によって、インゴ トの軸方向の変位量に対応するように、制 される溝付きローラ3の軸方向の変位量が決 される。すなわち、この場合、切断軌跡が らになるようにするため、インゴットの各 断位置における軸方向の変位量と同じ分だ 、溝付きローラ3に巻掛けされた各ワイヤの 位置がそれぞれ軸方向にずれるように、溝付 きローラ3の軸方向の変位量が決定される。 まり、変化するインゴットの全長に対して ワイヤの相対位置が一定に調整されるよう 溝付きローラ3の変位量が導かれる。

 決定された軸方向の変位量に基づき、実 に溝付きローラ3の変位量を制御するには、 冷却水調節部16によって行う。冷却水調節部1 6により、溝付きローラ3の軸中(軸心)に通す 却水の温度や流量を調節することで、溝付 ローラ3の温度を調整し、軸方向の変位量を 御する。

 なお、冷却水の温度および流量と、溝付き ーラ3の軸方向の変位量の関係を、予め実験 を行って求めておくと良い。
 図7に、予備試験によって得られた冷却水の 温度と、溝付きローラ3の変位量との関係を すグラフを示す。図7の上部ラインは、溝付 ローラ3が後方に伸びた量、下部ラインは前 方に伸びた量である。冷却水の温度が上がる につれ、溝付きローラ3が前方および後方の 側に伸びる量が増していることが判る。す わち、溝付きローラ3を両側方向により伸ば たいのであれば冷却水の温度を上げ、収縮 たいのであれば冷却水の温度を下げれば良 ことが判る。

 冷却水の流量についても、同様にして予め 当な試験を行っておき、流量変化と溝付き ーラ3の軸方向の変位量との関係を調べてお くと良い。
 さらには、冷却水の温度のみ、または流量 みを変化させた場合だけでなく、これらの 化を組み合わせた場合における溝付きロー 3の変化について予備試験を行っても良い。
 そして、これらの予備試験の結果を基にし 、溝付きローラ3の所望の変位量に対応する 冷却水の温度や流量を決定する。
 このように、溝付きローラ3の軸方向の変位 量を、冷却水調節部16にフィードバックして 却水の温度や流量を調節することによって 御する。

 以上のように、熱膨張によるインゴットの 方向の時々刻々の変化に応じて溝付きロー 3の軸方向の変位量を制御することができる 。
 ただし、インゴットの熱膨張量は、切断条 とインゴットの寸法に応じて極めて再現性 高いため、これを考慮して、インゴットの り込み深さに対して上記方法で計測したイ ゴットの軸方向の変位量のプロファイルを 成し、コンピュータ18等に記憶させ、そし このプロファイルに基づいて、溝付きロー 3の軸方向の変位量を制御することも可能で る。このような制御方法であれば、極めて 便に溝付きローラ3の制御を行うことができ 、効率面において向上を図ることができる。
 

 以下、本発明を実施例によりさらに詳細に 明するが、本発明はこれに限定されない。
 (実施例)
 図1に示す本発明のワイヤソー装置1を用い 本発明の切断方法を実施した。以下の表1に す切断条件で、ワイヤおよび溝付きローラ スラリをかけて直径300mmのシリコンインゴ トを切断した。
 インゴットの熱膨張量の測定にあたっては 図2(A)に示すように、インゴット両端の切り 込み深さ285mmの位置に熱電対をエポキシ系接 剤で固定し、インゴットの温度を測定して リコンの線熱膨張係数2.3×10 -6 /℃を乗じて求めた。
 なお、切断中のインゴットの切り込み深さ 対する温度変化は図6とほぼ同様であった。

 そして、切断中は、溝付きローラ3の軸中に 通す冷却水の温度を調節することにより、各 切り込み深さにおいて、上記測定方法で得ら れたインゴットの軸方向の変位量と同じ割合 で溝付きローラ3を軸方向に変位させた。す わち、軸方向に変化するインゴットの変位 に合わせてワイヤの位置も溝付きローラ3の 方向に相当量ずらし、切断軌跡が平らにな ように、インゴットの全長に対してのワイ の相対位置が一定になるよう制御しながら 断を行った。
 なお、予備試験によって得られた冷却水の 度と、溝付きローラ3の変位量との関係は、 図7に示す関係とほぼ同様であった。

 図8に、実施例で切り出したウエーハの全数 について実際に形状測定を行い、Bowを測定し た結果を示す(図8の下のグラフ)。なお、図8 上のグラフは、インゴットの軸方向の前、 中、後の位置で切り出したウエーハのBow/Warp 形状の典型例を表している。図8に示すよう 、ウエーハのBowは-2~+2μmの範囲に集中してい ることが判る。このように、実施例では、後 述する比較例に比べて極めて小さなBowのウエ ーハを切り出すことができた。これは、図8 上のグラフからもわかるように、本発明の イヤソー装置および切断方法によって、切 軌跡を比較的平らなものとすることができ ためである。
 

 (比較例1)
 従来のワイヤソー装置(軸方向の前後に伸張 可能なタイプ)を用い、切断中におけるイン ットや溝付きローラの熱膨張量を測定せず さらにこれらを考慮せずに、冷却水の温度 流量を一定にして溝付きローラに通すこと 外については実施例1と同様にしてインゴッ の切断を行った。

 図9に、比較例1で切り出したウエーハの全 について実際に形状測定を行い、Bowを測定 た結果を示す。図9に示すように、ウエーハ Bowは-5~+6μmの範囲に集中しており、Bow値の 対値が実施例(-2~+2μm)の3倍以上となっている ことが判る。
 

 (比較例2)
 従来のワイヤソー装置(軸方向の専ら一方向 に伸張可能なタイプ)を用いること以外につ ては比較例1と同様にしてインゴットの切断 行った。
 図10に、比較例2で切り出したウエーハの全 について実際に形状測定を行い、Bowを測定 た結果を示す。図10に示すように、ウエー のBowは-2~+8μmの範囲に集中しており、実施例 (-2~+2μm)に比べてやはり広い範囲であり、絶 値が大きくなっていることが判る。なお、 付きローラのタイプの違いにより、プラス にBowが偏った結果となっている。
 

 (比較例3)
 従来のワイヤソー装置(軸方向の専ら一方向 に伸張可能なタイプ)を用い、インゴットの 方向の変位の抑制を図るために、切断中に ンゴットにもスラリをかけること以外につ ては比較例1と同様にしてインゴットの切断 行った。なお、インゴットにかけるスラリ 温度は23℃で一定とした。

 図11に、比較例3で切り出したウエーハの全 について実際に形状測定を行い、Bowを測定 た結果を示す。図11に示すように、ウエー のBowは-2~+4μmの範囲に集中しており、実施例 (-2~+2μm)に比べて範囲が広い結果が得られた これは、インゴットにスラリをかけること 、熱膨張によるインゴットの軸方向の変化 やや低減されたものの、この変化を完全に ロとするには至らず、結局のところ、切り したウエーハのBow等の改善も部分的にとど ってしまうからである。
 

 なお、本発明は、上記実施形態に限定され ものではない。上記実施形態は、例示であ 、本発明の特許請求の範囲に記載された技 的思想と実質的に同一な構成を有し、同様 作用効果を奏するものは、いかなるもので っても本発明の技術的範囲に包含される。